平成6年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第五号 平成六年十二月十二日(月曜日)
  午前十時開議
  第一 議案第百二十一号から議案第百四十八号まで(質疑・委員会付託)
  第二 一般質問
  第三 請願付託
会議に付した事件
 一 議案第百二十一号から議案第百四十八号まで(質疑・委員会付託)
 二 一般質問
 三 請願付託
 四 休会決定の件
出 席 議 員(四十二人)
 1  番  小  川 武
 2  番  吉  井  和  視
 3  番  井  出  益  弘
 4  番  和  田  正  一
 5  番  町  田 亘
 6  番  尾  崎  吉  弘
 7  番  岡  本 保
 8  番  藁  科  義  清
 9  番  向  井 嘉久藏  
 10  番  佐  田  頴  一
 11  番  阪  部  菊  雄
 12  番  堀  本  隆  男
 13  番  平  越  孝  哉
 14  番  富  田 豊
 15  番  門  三佐博  
 16  番  西  本  長  弘
 17  番  高  瀬  勝  助
 18  番  上  野  哲  弘
 19  番 宇治田  栄  蔵
 20  番  尾  崎  要  二
 21  番  中  村  利  男
 23  番  山  本 一
 24  番  馬  頭  哲  弥
 25  番  鶴  田  至  弘
 26  番  飯  田  敬  文
 27  番  村  岡 キミ子  
 28  番  松  本  貞  次
 29  番  下  川  俊  樹
 31  番  宗 正  彦
 32  番  橋  本 進
 33  番  浜  田  真  輔
 34  番  冨  安  民  浩
 35  番 上野山  親  主
 36  番  中  村  裕  一
 37  番  和  田  正  人
 38  番  大  江  康  弘
 40  番  木  下  秀  男
 42  番  森 正  樹
 43  番 野見山   海
 44  番  新  田  和  弘
 45  番  浜  本 収
 46  番  森  本  明  雄
欠 席 議 員(一人)
 39  番  中  西  雄  幸
 〔備 考〕
 22  番  欠  員
 30  番  欠  員
 41  番  欠  員
 47  番  欠  員
説明のため出席した者
 知 事 仮  谷  志  良
 副知事 西  口 勇
 出納長 梅  田  善  彦
 知事公室長 中  西  伸  雄
 総務部長  木  村  良  樹
 企画部長  宮  市  武  彦
 民生部長  南  出  紀  男
 保健環境部長  江  口  弘  久
 商工労働部長  中  山  次  郎
 農林水産部長  野  見  典  展
 土木部長  山  根  一  男
 企業局次長 味  村 勝
 医科大学学長  駒  井  則  彦
  以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 岩  崎  正  夫
 教育長 西  川 時千代  
  以下教育次長
 公安委員会委員 高  垣 宏
 警察本部長 西  川  徹  矢
  以下各部長
 人事委員会委員長
 水  谷  舜  介
  人事委員会事務局長
 代表監査委員  天  谷  一  郎
  監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長職務代理者
 谷  口  庄  一
  地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長  岩  垣 孝
 次  長  中  西  俊  二
 議事課長  松  田  捷  穂
 議事課副課長  佐  竹  欣  司
 議事班長  松  谷  秋  男
 議事課主事 長  尾  照  雄
 議事課主事 松  本  浩  典
 総務課長  岡  山  哲  夫
 調査課長  柏  木 衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉  川  欽  二
 議事課主査 鎌  田 繁
 議事課速記技師 保  田  良  春
  ──────────────────
  午前十時十九分開議
○議長(平越孝哉君) これより本日の会議を開きます。
○議長(平越孝哉君) この際、報告いたします。
 過日提出のありました議案第百二十三号並びに議案第百四十三号、議案第百四十四号及び議案第百四十六号、議案第百四十七号は、いずれも職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
  〔職員朗読〕
  ───────────────────
 和人委第294号
 平成6年12月9日
 和歌山県議会議長  平 越 孝 哉 殿
  和歌山県人事委員会委員長  水 谷 舜 介
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成6年12月1日付け和議会第262号及び平成6年12月8日付け和議会第272号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
 記
 議案第123号  職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第143号  職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第144号  教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第146号  市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第147号  警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 意  見
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(平越孝哉君) 日程第一、議案第百二十一号から議案第百四十八号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 42番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しを賜りましたので、質問に入りたいと存じます。
 我が国初の二十四時間運用の関西国際空港から、関西はもとより全国の多くの人々の夢と期待を乗せて一番機が飛び立った九月四日から本日でちょうど百日が経過いたしました。あの開港日とその前後一週間ほどのマスコミのフィーバーぶり、特にテレビの報道ぶりは、それまでの関西国際空港についての報道といえば、国内便、国際便の便数の確保が当初目標に達しないこと、着陸料、空港使用料等々の高いこと、連絡橋の通行料が高いなどのマイナス面の報道が主で、いかに関西国際空港が在来の国内各空港に比べて安全性、快適性、利便性においてすぐれた空港かといった点は余り伝えられないことに残念な思いを抱き続けてまいりました私にとって、驚嘆すべき変化であり、また歓迎すべきことでもございました。ともあれ、十二年間、関西国際空港の早期開港、全体構想の実現等々を言い続けてまいり、この日を鶴首して待ち望んでまいった者の一人として、未明からテレビにかじりつき、一番機が飛び立つ風景を眺めながら感慨ひとしおのものがあったのであります。
 そこで、今後、関西国際空港が我が国の空の表玄関として、またアジアの真のハブ空港として機能するために今後我々が精力的に取り組まなければならない問題、解決しなければならない点について幾つか取り上げ、申し上げたいと存じます。
 第一に、第二期工事は本来の姿である国の責任のもとに行うべきだという点であります。何ゆえ国の責任のもとに行うべきであるのか、以下、幾つかその理由を私なりに申し上げたいと存じます。
 第一点。国の基幹施設を国の責任と予算で建設することは至極当たり前であり、もっと言えば義務であるということに尽きるのであります。過去において国の基幹施設を、国も出資する特殊法人とはいえ株式会社に任せたことがあったでありましょうか。羽田空港沖合展開事業はいかがであったでしょうか。また、東海道新幹線建設事業は、山陽新幹線は、東北・上越・北陸新幹線等々、枚挙にいとまがないのであります。さらには、大阪空港の騒音対策や被害補償にも莫大な国家予算がつぎ込まれたのであります。我が国のみならず、古今東西、国の基幹的施設の建設を国の責任ではなくて地方に押しつけた例を私は寡聞にして知りません。
 第二点。国が全面的に責任を持って事に当たらなければ本当の意味での国の基幹施設になり得ないのではないかという危惧であります。国が大局観に立ち長期的視野に立って事業を推進してこそ、本来的に基幹施設足り得るものとなりますが、地方中心の株式会社では、大局観、長期的視野の点で無理があると私は思わざるを得ないのであります。
 第三点。長期的視野を持たず大局観に立たないがために、一部の政府幹部の中に「地元の熱意が不足している」等々の本末転倒の議論を持ち出す者まであらわれる始末であります。地方の一部の者のための施設なら、地元の熱意も必要でありましょう。国の基幹施設を建設するのに何が「地元の熱意」かと私は思うのであります。
 我が国が枝葉末節の議論をしている間に、アジアのライバル空港はいずれも国の威信をかけて総力を挙げて事業を推し進めているのであります。いずれは我が国がアジアの盟主の地位を追い落とされるのではないか、そんな危惧がしてならないのでありますが、単なる杞憂に終わることを祈っております。
 第四点。第一期工事で関西国際空港株式会社方式をとり、地元や民間への負担を大きくしたために、言いかえれば、独立採算性の関空会社に経営を任せた上に「採算性」という一見聞こえのいい言葉で国の責任を回避したがために、関空会社としては着陸料等空港利用料金にはね返らさざるを得ないこととなり──これは同じことが成田空港にも言えるわけでありますが──それによって乗り入れ航空会社によっては便数を減らしたり乗り入れを見合わせるところも出てくる等々の結果を生み、まことに皮肉なことに「採算性」の面で近隣諸国の空港との競争の面でおくれをとることになりはしないかという心配を私はいたすのであります。全体構想実現に向けての地元の熱意とか採算性とかいう議論は、まさに「角を矯めて牛を殺す」ということわざにもあるがごとく、瑣末なことにこだわる余り、大事を忘れ、すべてをぶち壊すことになりかねません。
 例えば、十月二十七日付の日本経済新聞には、このような記事が出ておりました。いわゆる開港当日のことでありますけれども、「関西国際空港ターミナルビルに韓国空港公団の某高官の姿があった」として、その人の言葉として「すばらしい海上空港だ。しかし将来の需要増に即応できない中途半端な設計ですね。空港の専門家が計画したとは思えない」、そんな捨てぜりふを残して去ったと書かれております。さらには、同じ空港公団のある幹部の話として「我々は東北アジアのハブ空港を目指している」と胸を張ったとも書かれています。また、大韓航空の幹部の話として、これまで日本人の三〇%が金浦空港で国際線に乗り継いで世界へ飛び立っていたけれども、関西国際空港開港後は一〇%程度に減ったというコメントも載っております。このほか、シンガポールのチャンギ国際空港や香港のチェク・ラップ・コック空港、台湾中正国際空港等々、いずれもアジアのハブ空港の座を虎視たんたんと狙っているのであります。
 そこで私は、大蔵省や運輸省の幹部、担当者の皆さんに次の言葉をささげたいと思います。淮南子の「説林」の中の「冬氷は折るべく夏木は結ぶべし」という一節であります。これは、水は大変やわらかなものでありますけれども、冬になって凍れば、たやすく折ることもできるし割ることもできる、また夏の間の木というのは大変やわらかくてその枝は結ぶこともできると、そういう言葉だそうであります。まさに、物事というのは時を得れば非常に成就しやすいけれども、その時を失してしまえば物事をなすのは大変難しいというたとえの言葉であります。
 そこで、以上るる申し上げましたけれども、その点を踏まえまして、第二期工事は空港整備法を再び改正して国の責任で行う、すなわち運輸省がこれを設置するという本来のあるべき姿に戻して建設すべきだと思いますけれども、いかがでありましょうか。もちろん、私たち地方の者が応分の負担をして全面的に協力を惜しまないことは言うまでもないのであります。
 第二点目以降、具体的なことについてお尋ねをいたします。
 まず、第二期工事は第七次空港整備五箇年計画の中で位置づけられるべきであり、それもできるだけ早い段階で着手すべきであると思いますが、いかがでありましょうか。また、そのためにどういう対応をし、今後取り組んでいかれるのか。
 第三に、第二期工事は国の空港特別会計ではなく一般会計の中で対応すべきであると思いますけれども、今後このことについて関係方面への働きかけ等どうしていかれるおつもりでありましょうか。
 第四に、国際・国内両便の増便の問題についてであります。
 九月四日の開港から最近まで、さまざまな資料で申し上げたいと思いますが、当初の予定を上回って大変な盛況であるということであります。例えば、これは一日平均ベースでありますけれども、国際線旅客便で九月が四十三・九便、十月が四十五・二便、十一月に入りましては四十九・九便、国内線の旅客便で言いますと、九月が六十五・三便、十月が六十六・九便、十一月に入って六十四・七便、さらには見学施設の利用者等を見てまいりますと、九月が八千五百人、十月が九千九百人、十一月が九千二百人、ただし、この十一月の数字は一日から二十日までの数字の平均であります。
 また、一般紙の報道といたしまして、例えば日本経済新聞が関空の利用者にアンケートを行った結果を見てまいりますと、大阪空港あるいは成田空港と比べてどうかというアンケートに対しまして、大阪空港よりすぐれているという人が八〇・七%、劣っているという人は一〇・四%、成田空港と比較してすぐれているが七三・二%、劣っているが八・三%、これはそれぞれ無回答が八・九%、一八・五%ございますので、それをのけますとほとんどの人が関西国際空港は非常に便利である、快適であるという回答をしているのであります。大阪空港も成田空港も、その周辺に住んでいる人は当然、大空なり成田空港の方が便利なわけでありますから、そういう一部の人を除くとほとんどすべての人が関西国際空港が快適であり便利であると答えたということになると私は思います。
 今後の国際・国内便の増便見込みについて、ここで報告をいただきたいと思います。そのような大変な好評から今後増便を考える航空会社等があると聞いておりますので、その点お答えをいただきたいと思います。さらには、本県としてポートセールス等々、どういう取り組みを続けていかれようとするんでしょうか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
 第五に、関西国際空港への交通アクセスについてであります。
 開港から今日まで百日間で、私は十一回、関西国際空港を利用いたしました。今までの大阪空港に比べて、安全性、快適性、利便性において格段にすぐれており、非常に使いやすい空港であるということを申し上げたいと思います。まさに我が国の空の玄関として諸外国の人たちにも胸を張って誇れるものだと思います。
 トム・リードという人は、今までの日本の空の玄関である成田空港については「とても経済大国・日本の表玄関とは思えない」とおっしゃっていましたが、それに比べて関西国際空港は「日本の表玄関として大変立派な見事な空港である」というふうに語ったという報道も耳にしております。
 私はこの十一回の利用に当たりまして、さまざまなアクセスを利用して空港へ、あるいは空港から行き来してみました。リムジンバス、タクシー、自家用車、団体借り上げバス、南海のラピート、はるか、それから在来電車の乗り継ぎ等々、いろんな行き方で空港へ行き、空港から帰ってまいりました。ラピート、はるかについては、一たんわざわざ難波、天王寺まで出向いて乗りかえたわけでありますけれども、在来の電車を乗り継ぐ以外のアクセスはすべて大変快適でありましたし、時間も短時間ですし、スムーズに連絡されており、関西国際空港の利便性を肌身で感じたわけであります。
 そこで、ここで問題にしたいのは在来電車の乗り継ぎに関してであります。いずれも、泉佐野駅あるいは日根野駅で重い荷物を持って階段を上りおりしてホームを移動しなければなりません。さらには連絡時間等々、やはり不便を感じざるを得ないのであります。やはり和歌山から、我々の強い希望である直通便を何としても実現していただきたい。今後この点についてどういう働きかけをされるのか、お聞きしたいと思います。
 次に、ホスピスケアについてお尋ねをいたします。
 ホスピスケアについての質問に入る前に、この「ホスピス」という言葉の意味について若干申し上げますと、中世ヨーロッパの十字軍のころ、聖地へ向かう巡礼者の宿泊所あるいは行路病者の収容所、旅人のための避難所のことを指す言葉でありました。そこから転意して「天国へ向かう人の中継ぎの安息所」という意味に使われてきたそうであります。近代的ホスピスケアの発祥は一九六七年、シシリー・ソンダース女史がロンドン郊外に建設したセント・クリストファー・ホスピスと言われております。その後、一九七〇年代に入って、イギリスでは約三十カ所にふえ、現在では五百施設に上っているとされております。以後、世界に普及していくことになりますけれども、特にアメリカ、カナダ両国で目覚ましく、一九八〇年初めには両国の全土に広まり、現在、全米のホスピスは約二千カ所を数え、バージニア州に設けられた全米ホスピス協会にそのほとんどが加盟しているということであります。一方、ドイツにおいても二十五カ所のホスピスが活動中で、ほかに計画中のものが約三百に上るとされております。
 ところで、ホスピスケアの形態には、次の五つがあるとされております。まず第一に、総合病院から独立した建物においてホスピス活動を行うもの。例として、ロンドンのセント・クリストファー・ホスピス、あるいはニューヨークのカルバリー・ホスピタル。第二に、総合病院の構内の別の独立した建物においてホスピス活動を行うもの。例として、オックスフォード大学のチャーチル病院構内のサー・マイケル・ソーベル・ハウス、浜松の社会福祉法人・聖隷福祉事業団三方原病院ホスピス病棟。第三に、独立した建物はないけれども、病院内で一つの病棟をこれに充ててホスピス活動を行うもの。例として、アメリカ・オハイオ州のホスピス・オブ・シンシナティ、カナダ・モントリオールのマック・ギル大学ロイヤル・ビクトリア・メディカルセンターのパリアティブ・ケア・ユニット、我が国では富山県立中央病院のホスピス病棟がこれに当たります。第四に、独立した建物も病棟も持たず、分散している病院内患者に対してホスピス活動を行うもの。第五に、訪問看護を主としてホスピス活動を行うもの。この典型的な例としては、アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ郊外のホスピス・オブ・マリンがあります。
 我が国には現在、ホスピスケア病医院は、病棟を持つもの、病床を設けているもの、在宅ホスピスケアに力を入れているものを含めて二十七カ所と言われておりますけれども、このうち厚生省の認可を受けているところは現在十二カ所となっております。一九七三年、大阪・淀川キリスト教病院でホスピスケア・プログラムがスタートし、一九八一年には浜松・聖隷三方原病院にホスピス病棟が誕生したのが我が国での始まりであります。
 いずれもキリスト教の歴史の中で発展し世界に広まったものでありますが、現在我が国では新潟県長岡市のビハーラ長岡西病院という仏教系の施設、さらには国立がんセンター東病院、先ほどの富山県立中央病院など、公立の病院もございます。
 ここまで述べてまいりますと賢明な先輩・同僚議員や当局幹部の皆様はおわかりだと思いますけれども、あえてホスピスケアについて解説をいたしますと、現代医学をもってしても治癒できない末期がん患者等に対し、苦痛を緩和し、残された生命をいかに有意義に意味のある日々を送れるようにさせるか、すなわち残された生命、生活の質、クオリティー・オブ・ライフを高めさせるために、患者はもちろん家族、友人、医師、看護婦、ソーシャルワーカー、心理療法士、チャプレンなど宗教者、ボランティアたちがチームを組み、看護主体のケアを行うことを意味しております。言いかえれば、ホスピスケアとは、病棟などの一定の施設というより、終末期の患者に対する対応の方法、システムを指すと申せましょう。したがって、基本的には病名告知がなければ成り立たないのであります。
 アメリカにおいては、自分の状態について真実を知ることは患者の権利であるという考え方が定着し、それによって患者自身や家族、医療者にとってよい結果をもたらすという価値観が社会に確立されております。しかしながら、我が国においては病名を積極的に知りたいと考える人はまだまだ少なく、一方で、医者が患者は病名を知らないと思っていても実は患者本人は知っているという奇妙な状況もあるとされております。
 私は、この質問をするに当たり、医務課や医大事務局の幹部の皆さんと浜松・聖隷三方原病院、富山県立中央病院の二カ所の先進例を見てまいりました。スタートしてまだ間もない我が国にあって、今後ホスピスケアをいかに広げていくのか。二つの先進例を見た感想は、日本でホスピスケアを普及させていくには、まだまだ幾つもの難関をクリアしていかなければならないという厳しい現実でありました。
 しかし一方で、私たちは確実に老い、だれもがやがては死に至るのであります。そして、がんにかからないという保証はありません。私は病名告知について基本的には賛成の考えを持っておりますけれども、現在の我が国の医療・社会体制の中では反対であります。なぜか。それは、人の絶望の中で死より深い絶望はなく、それゆえにこそ残された日々を意味あるものにするための病名告知であるはずでありますけれども、余りにも重い死の宣告、病名告知という精神的苦痛を支え和らげていくスタッフ、システムが用意されているかといえば、現在の日本ではノーであり、それが今の我が国の医療界の現実であるからであります。たった一人の看護婦が一晩だけでも患者のベッドサイドに付き添うことすら不可能な日本の医療の現実の中で、がんを告げられ冷静に受けとめられる日本人が果たして何人いるでありましょうか。
 「医の心」という本にある医師の言葉として載っていたのでありますけれども、「現代は医療の技術が進み、医師は技術者としての側面を持っている。しかし、その技術、知識の根本となるものは、あくまで患者のそばに行き、患者の話を聞いて手を当てること──そのことを「手当て」というのでありますが──である」とございます。
 また、聖路加国際病院院長であり、聖路加看護大学の学長で、また財団法人ライフプランニングセンター理事長でもある日野原重明先生は、次のように言っておられます。「うそをいわずに、病気が難航していることを、医師は患者とともに認め、タイミングをみながら、ストレートに癌だといわなくても、悪性の病気を示唆する説明をしつつ、癌という言葉を患者が受容できる時期を待って、いわば癌を小出しにしつつ、真実を話す方向で患者と会話すべきである。 患者が死ぬかもしれないことを考え、それを言葉にした時『死ぬことなんか考えるな』といって患者の死への準備をおし止めるようなことなく、医師も看護婦も『死をどのように考えておられるのですか』と、患者の言葉を受けて対応すべきである。そのような患者が自分の死を受容しようとするきざしが徴れた時、医師や看護婦はそれを否定しないで、むしろうなずくべきである。癌という言葉を使うことは、その次のステップでなされるべきだと思う」、「またその病気の段階はどの程度かを医師はよく心得たうえで、患者に徐々に対応すべきである。これは時間を要し、患者の心を読む洞察力が必要とされる。末期患者へのターミナルケアとは、──「ターミナルケア」とはホスピスケアの別名でありますけれども──痛み、苦しみを止める巧みな処方を提供することと、ゆたかな感性をもってこまやかなやさしい態度と言葉で対応するわざをいうのである」。また、同じ著作の中で、日野原先生は内科学の泰斗と言われているウィリアム・オスラー教授のことを引用して言われております。彼はアメリカのジョンズ・ホプキンズ大学医学部創設の中心的存在であり、当時世界に最も普及した「内科書」の著者である方であります。「オスラーは、いまから百年ほど前に四百八十六例の臨死患者の調査をやっています。その結果は、いよいよ死ぬときには、約八割の人は眠るように死ぬ。苦しんだり、非常に気持ちが乱れたり、痛みがあったりして死を迎える人は二割にすぎない、というのです。死は誕生と同様、ただ眠りであり、忘却である、と。 また、プラトンは『ティマイオス』のなかで、『老いとともに、自然に終局に向かうものは、およそ、死の中でも、もっとも苦痛の少ないもの』といっています。ところがいま、病院にいってごらんなさい。八十五歳、九十歳の老人が死ぬ姿は悲惨です。それはなぜか。無理な治療をやっているからです。つまり、致死患者にも延命目的の医療をやっているからなのです。 酸素吸入の管が気管のなかに入っているから、患者に意識はあっても最後の別れも告げられない。言葉が出ない『生物』として死ぬわけです。言葉で伝達ができるということは、人間の人間たる所以です。拷問されている時のようにその言葉が取り上げられ、おまけに麻酔をかけられ、全く自分を失ってしまったようないのちとしてのみ生き延びている姿は悲惨です。 窓もないCCU、ICUに入って、配偶者はもちろん、友達、子ども、孫も面会謝絶です。近代医学のなかで死んでいく人々の最期はこのように悲惨そのものです。私はそれを毎日見ていて、これはどうにかしなくてはならない、現代医学は間違っていると思います」、「不必要な治療は止めることです」、「意識がなくなって何もできないような延命よりも、短くても、豊かな価値のある『生命の質』をサポートするほうが本当は望まれているはずです。いのちは長さよりも深さではないでしょうか」、「死んでいく四百八十六人のケースのうち、八割は苦しまないという調査結果をオスラーが出してから九十年、医学の進歩によって逆に、いまは皆苦しみながらミゼラブルに死んでいきます。点滴、経管栄養、人工呼吸器をつけられて、拷問にかけられながら死ぬのです。そうやって助けられるのならいいけれども、癌の末期で助からないとなれば、どうして酸素をマスクをはずしてあげないのか、声が出るようにしてあげないかということを、現場にいて強く感じます。 有終の美という言葉がありますが、私はいま、『有終の医療』という言葉を広めたいと思っています。人生の最後が意味のあるよう、また感謝のうちに終えることができるよう、医学や看護がお手伝いをするという方向へ百八十度転換しなければなりません。 延命の医学からいのちの質を高めるケアへと移っていかなければならないときなのです」という言葉でございます。
 少し引用が長くなりましたけれども、以上、さまざまな角度からホスピスケアについて論じてまいりました。
 そこで、お尋ねをいたします。
 まず、ドクターでもある保健環境部長にお聞きをいたします。ホスピスケアについてどういう認識を抱いておられるのか、加えて、本県において今後ホスピスケアを展開していく必要性があると私は思いますが、どのような展望を抱いておられるのか、お示しをいただきたい。
 次に、駒井県立医科大学学長にお尋ねをいたしたいと存じます。平成十年に移転オープンが予定されております新県立医科大学におきまして、ホスピスケアをどのような規模とスタッフでどのような考えに基づいて、また将来にはどのような展開をしていくのかも含めて、現時点での構想をお聞かせいただきたい。特に、ホスピスケア・スタッフの養成にはかなりの時間と労力が必要と思われますが、この点も含めてご答弁を賜れば幸いでございます。
 以上で、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港の全体構想は国の責任のもとに行うべきではないかという質問でございます。
 昨年の十二月議会でもお答えさせていただきましたけれども、お話しのように、本来、第一種空港は国が設置し管理することが原則でございます。しかしながら、現在、関西国際空港は空港整備法により関西国際空港株式会社が設置・管理しているわけでございます。こうしたことを勘案しながら、現在、オール関西から成る関西国際空港全体構想推進協議会を設置し、学識経験者も入っていただいて、その場においてご意見をいただきながら、地元案として事業費抑制の問題を初め、事業主体や事業手法など、実現方策の調査検討を行っているところでございます。
 また、全体構想の第七次空港整備五箇年計画への位置づけについてでございますけれども、お話しのように、全体構想の早期実現のためには、平成八年度から始まる第七次空港整備五箇年計画に二期計画の事業着手が位置づけられ、期間内の早期着工が必要であると考えている次第でございます。そのために、関西国際空港全体構想推進協議会において第六次空港整備五箇年計画に示された諸課題について検討を進めつつあるわけでございますけれども、まず当面の課題として、全体構想を第七次空港整備五箇年計画へ位置づけるためにも、来年度の政府予算においてボーリング調査費等を満額確保することに全力を挙げてまいりたいと思っておるところでございます。
 他の問題は、部長から答弁させていただきます。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 森議員にお答えいたします。
 第二期工事は国の空港特別会計でなく一般会計の中で対応すべきというご質問でございます。
 現在、我が国の空港整備については空港整備特別会計で実施されてございまして、空港整備特別会計に基づき経理を行うこととされてございます。したがって、本県においては、予算の拡充を図るため、空港特別会計への一般会計からの繰り入れ拡充等、空港整備財源強化の働きかけをしているところでございます。昨年十二月には県議会において「空港整備財源の拡充に関する意見書」を関係各省庁に提出いただきまして、去る七月にも、県議会議長に県関西国際空港全体計画促進協議会の代表理事として運輸省及び県選出国会議員に対して強く要望していただいたところでございます。
 今後も引き続き、県議会のご支援をいただきながら関係機関等へ強く働きかけていく所存でございます。
 次に、国際便、国内便のさらなる増便をというご質問でございます。
 関西国際空港の便数についてでございますが、国内線についてはほぼ満足する成果を得てございます。また国際線については、冬季ダイヤから約五十五便に増便されたところでございます。政府間の航空交渉など大きな課題もございますが、今後も需要に合わせて増便されていくものと期待してございます。
 増便に向けては、従来から国、航空会社に対する要望活動に取り組んでいるところでございまして、去る七月に県として国内航空三社への要望活動を行い、また先般もオール関西の取り組みとして関西国際空港全体構想早期実現期成会で航空三社の社長との懇談会を開催いたしまして、増便を要請したところでございます。また、関空会社を初め関係機関とともに、海外エアラインへのポートセールスや外国人記者を招いてプレスツアーを実施したところでございます。プレスツアーでは本県の代表的な観光地をPRし、さらに利便性を確保するためには引き続き増便に向けた働きかけが必要であると考えてございます。
 今後もオール関西で国、航空会社に対する要望活動を行うとともに、PR活動やポートセールス等、需要喚起に向けた取り組みにも積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 最後に、関西国際空港への交通アクセスの利便性向上と直行便の実現についてでございます。
 これまで、県議会初め和歌山県輸送力強化促進委員会のご協力をいただきながら、JR西日本や南海電鉄に対して直通列車の運行や乗り継ぎの利便性の向上などを強く要望してまいりました。その結果、JR西日本においては、日根野駅におけるすべての快速列車の停車、和歌山方面からの同一ホーム乗りかえ、さらには阪和線では初めてのエレベーターの設置など、また南海電鉄においては泉佐野駅構内に乗りかえ用のエレベーターの設置など、乗り継ぎの利便性の向上に一定の成果がなされたところでございます。さらに、JR西日本では十二月三日のダイヤ改正において朝の通勤時間帯の乗り継ぎについて改善していただいてございます。
 県としては、今後も空港利用者の利便性の向上を図るため、直通列車の運行や南海の直通列車運行に不可欠である泉佐野駅の連続立体交差事業の推進等について、国や事業者等に対する積極的な働きかけを行ってまいる所存でございます。ただ、このためには列車利用者の需要の掘り起こしが重要でございまして、県民の皆様方の一層のご協力をお願いいたしたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 森議員ご質問の、ホスピスケアについてどう認識し、今後本県においてどう展開していくかということですが、県民の医療に対する要望が多種多様化してきている中、進行したがん等の疾患により従来の治療を目的とした医療の限界に直面したときの選択肢として、ホスピスケアの必要性は今後増大することが予想されます。現状においては苦痛の緩和を主としたケアが一般病院において実施されている程度であり、これに患者の精神面及び生活面のケアを加えたいわゆるホスピスケアについては、まだまだ黎明期であると言わざるを得ません。
 議員ご指摘のように、もともと宗教的背景のもと発展してきたホスピスケアでございますが、国においても緩和ケア病棟(PCU)の基準が定められ、認可を受けた施設が少しずつふえてきている等、医療従事者及び国民の末期医療に対する意識の高まりとともに、医療に占める位置づけ及びその運営方法が確立されていくものと考えます。
 しかし、当該ケアを実施するに当たり、現状においては告知の問題や医療従事者に対する教育の問題等、種々の課題が存在することも事実であります。こうした中で県としても、一人の人間としての終末のあり方という観点から、先進地の事例等を参考にしながら、本県の状況に沿った終末期医療への対応を検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 医科大学学長駒井則彦君。
  〔駒井則彦君、登壇〕
○医科大学学長(駒井則彦君) 森議員のホスピスについてのご質問にお答え申し上げます。
 紀三井寺に建設される新附属病院においては、五階にがんに対する治療の専門医が集まって集中的に治療する病棟を設け、これに隣接して、議員お話しの治療効果の期待のできなくなった方々に対するターミナルケアを行う病床十三床を設置することにしております。現在、その運営方法及びスタッフ等について検討を重ねているところでございます。
 私は、ターミナルケアについて四つの大きな要素があると考えております。第一は痛み及び不快症状に対するコントロール、第二は死に対する不安、絶望感、恐れに対する精神的な支え、第三は患者の家族に対するケア、第四は病名告知や延命治療などに関する問題でございます。この中で大学病院で行い得るものとしては、痛みに対する緩和治療と末期患者に対する接し方、病名告知や延命治療の是非などの教育でございます。
 現在も、学生や医療スタッフに対して、大阪大学の柏木教授によるホスピスケアに関する特別講義やがん患者の体験談などをセミナー形式で教育しているところでございます。将来は、ホスピスでの実習等も取り入れてまいりたいと考えております。
 次に、ターミナルケアの専門スタッフの養成についても重要な課題と考え、ことしも卒業生がキリスト教病院のホスピスで研修することになっております。今後とも計画的な養成に努めてまいりたいと考えております。
 いずれにしても、人間に必ず訪れる死への準備教育としてのターミナルケアは、我々医療に携わる者にとっても重要な問題であると認識してございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 42番森 正樹君。
○森 正樹君 まず初めに、全体構想について二、三、申し上げたいと存じます。
 私は、これまで何回も「全体構想、第二期工事は国の責任のもとに行うべきだ」と申し上げてまいりました。これも過日の日本経済新聞の報道として伝えられたところでありますが、飯田経夫さんという国際日本文化研究センターの教授が次のように寄稿されて述べておられます。
 「社会資本の整備は、マクロ経済が順調に成長するときには、その成長に引っ張られる形で、いわば自然に進んでしまうところがある。これまでの日本は、そういう形で、いわば『需要追随的』に、社会資本の整備を続けてきた側面が大きい。しかしそれでは、社会資本の整備は、見るべきグランドデザインもなく、いわばつぎはぎ的にしか進まない」、「空港などの大型社会資本の場合には、これまでの『需要追随的』な整備を一変させて、国民経済的・国策的な観点から、壮大でグランドデザインにもとづいた整備を進め、逆にそれをマクロ経済成長の新たな梃子(てこ)とする方法が考えられる。つまりそれは、マクロ経済のさらなる成長・発展のために、ハブ空港がもつ大きなポテンシャリティーをフルに活用しようという発想にほかならない」、このように述べられております。まさに私の言いたいことをずばり言われたわけであります。
 本来、国の責任と予算のもとで行うべき基幹的な施設でありまして、例えば前にも申し上げましたが、韓国政府は新ソウル・メトロポリタン空港をつくるに当たり、航空局法という法律をわざわざ改正強化して、国の責任のもとにすべて行うんだということで取り組んでいるわけであります。先ほどの質問の中でも申し上げましたように、東北アジアのハブ空港を目指すんだという意気込みで、完全に関西国際空港は相手じゃないというふうな認識のもとに進めているように受け取れます。これが杞憂に終わればいいんですけれども、下手をすると、いずれはアジアのハブ空港の座をソウル・メトロポリタン空港やチャンギ、中正国際空港、チェク・ラップ・コック空港、それ以外の中国大陸での構想、あるいはマレーシア、インドネシアの国際空港に取られるおそれは大変大きいわけであります。そのときになって慌てても時既に遅しと言わざるを得ません。
 そういう意味で──これは、ここにおられる知事以下、当局の幹部の皆さんに申し上げることではなくて、大蔵省や運輸省の幹部に言うべきことでありましょうが、いずれ私のこの発言が大蔵省や運輸省の幹部に伝わることを期待して申し上げておきたいと思います。
 それから、これも過日の新聞報道でありますが、亀井さんという運輸大臣が「関西国際空港は国家的プロジェクトとして取り組む」とか「関空と神戸とは──神戸空港のことですね──別問題」と最初は言われておりました。しかしながら、最近に至りまして、「空港は関西国際空港だけではない。神戸やほかの空港もあるのだから、地元の熱意を見て予算要求をしていく」とかさまざまな言い方で、要するに今までと変わらない。最初大臣に就任されたときは非常に、ある意味で期待を持って言動を注視しておったんですけれども、しょせんはただの人だったなと私は思います。
 それから増便の問題ですけれども、日米航空交渉の再開がうわさをされております。今、以遠権の問題をめぐって日米の間で大変もめておるわけでありますけれども、こういう国際的な状況。それから、これはたしか産経新聞のアンケートだったと思いますけれども、航空三十九社に対するアンケートによりますと、関西国際空港の国際線を来春には週四百便にするという拡張計画が明らかになっております。そのような大変明るい希望のある話もあるのでありますが、また一方では、ちょっと開港時の熱が冷めて少し下向きだという報道も聞かれます。今大変難しいところに差しかかっていると思いますが、我々はこの国際・国内便の増便に対してどう取り組んでいくのか。例えば県庁内で利用促進のためにどんな手を打っていくのか。極端なことを言いますと、大阪空港はもう利用するな、航空便を利用するんだったら関西国際空港を利用しなさいと、そういう通達を知事名で出してもいいんじゃないかと、極論ですが思うんですけれども、いかがでありましょうか。
 それから、ILSを国で買い取るとか港湾施設を大阪府が買い取る等の構想も出ておりますけれども、そのことによって空港使用料、着陸料が少し値下げになるという明るい話も聞いております。そのことによって航空会社が乗り入れ便数をふやすことにつながっていく可能性もありますし、増便に向けて我々は一体となって取り組んでいかなければならないと思うわけであります。
 もう一つ、第二期工事の中で連絡道路の南ルートにぜひ取り組んでいただきたい。関空が開港して、いつだったですか、台風で連絡橋が閉鎖になって何便かのお客さんが空港島内に閉じ込められたという騒ぎがございました。図らずも、風に弱いという弱点をさらけ出したわけであります。したがって、南ルートはトンネル方式で、できればそれも沈埋工法でやるべきだと。それによって予算も安く済みますし、工事もある意味で非常に簡単ですし、この方法でぜひ早期に実現を図るべく今後取り組みを進めていただきたい、働きかけをしていただきたいと思います。
 最後にホスピスケアについてでありますが、駒井先生にお願いがございます。
 私が富山県立中央病院等々を見学に行ってまいりまして痛切に感じたのは、看護婦さんにかかる負担が非常に大きいということであります。患者一・五人に一人という割合で厚生省の基準は定めておりますが、この看護婦さんの存在が非常に大きいということを、そういう実例を幾つも見て私はつくづく感じました。
 それから、富山県立中央病院では、このホスピスケアをスタートするに当たりまして、四年間で実に四十六回の視察、調査、研修、講演を繰り返しております。ヨーロッパやアメリカ、あるいは日本国内の淀川キリスト教病院、聖隷三方原病院、国立がんセンター東病院、長岡西病院、さらには神戸アドベンチスト病院とか沖縄の病院とか、いろんな例を勉強して、四年にわたって四十六回繰り返しているわけであります。それほどこのホスピスケアという問題は非常に難しい部分がいっぱいあるわけで、このスタッフの養成が非常に大きな問題になってくるだろうと。
 したがって、県立医大におかれましても、ぜひともこのスタッフの養成のために予算を惜しまずに、海外も含めて研修、視察、調査等をやっていただきたい。それで、知事、副知事、出納長にはその点の予算をきちっとつけていただきますように特別にお願いを申し上げまして、第二質問を終わります。
 以上、すべて河漢の言ということで──「河漢」とは天の川という意味で、要するに取りとめもない発言だというふうに理解をしていただいて結構でございますが、すべて要望でございます。
 以上で終わります。ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
○議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 45番浜本 収君。
  〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 四点、質問をいたします。
 その一つは、二級河川・田並川の全面改修と部分改修についてであります。ローカル版でありますから、そういった発想で質問をいたします。
 先日私は、今無人駅になっている田並の駅におり、駅周辺の木立から時々飛び立つ小鳥のさえずりを聞きながら、田並川下流から上流まで地区の方々と歩きながら、この川の現状を見る機会を得ました。
 田並上地区の川の右手に才助の滝の石塔が刻まれ、その説明では「田並才助谷の奥、林道の終点からほど近くにこの滝があります。雄の滝、雌の滝と並んでいる二つの滝の間には小さな森があって、一畳敷きぐらいの板間を持ったお堂があり、傍らのコケむした石の塔には『荒行の場』の文字が見られます。昔は修行者が荒行をしたところであったのでしょうか。深山幽谷、夏なお涼しい名勝地であります。水豊富な上流であります」──こんな石塔に見入っていると、つい目的である田並川の現状調査を忘れがちにもなったが、その夜予定されている田並上地区での田並川改修のための懇談会に備え、川の決壊場所、生えるだけ生えている川の中の高い草、堆積土砂のため流れがはかばかしくいかないところ、もう少し手を入れたらいいのになと思われる幾つかの場所、護岸の低いところ、道すがらところどころに立っておる「河川愛護」の標識に、晩秋とも重なって何か物悲しさすら覚える県二級河川・田並川を素人の目で見終えた私は、区長さんを初め二十数余名の地区の方々と夜、懇談会を行ったが、その席上出された少しばかりの意見や様子を紹介いたしたいと思います。
 「みんなが参加している河川愛護の会で川に生えた草を刈るのに区から二十五万円を出し、刈り取った草を区民が焼いたりもするが、県から三万五千円のジュース代をいただいて作業後のどを潤したりもする。県の川には違いないが、区の河川でもあるから川の手入れ、草刈りなどは全部区民の奉仕で行っておりますよ」、また「草を刈る日雇い賃ぐらいはちょっと出してくれてもいいのにな」と、遠慮がちに話する方々もおられました。また、「以前、下流で土砂が堆積していたので県土木にお願いをしたところ、最初の年は百メートルばかりしゅんせつをしていただいたが、翌年は三十メートル、そしてだんだんしてくれなくなった。今ごろは何にもしてくれません。最初土砂を取り除いてくれたところは、下流のせいか今は土砂でいっぱいになっている。土砂をとってほしいと申し出たら、地元で残土処分をするところを探してくれないかと言われたが、それも思うようにはいかず、土砂はたまる一方です」といった素朴な意見が出される中で、私は九一年度災害当時の写真数十枚を見せてもらいながらその当時の状況説明を受けたのでありますが、以下、十一月二十八日、串本土木事務所長と串本町に提出された陳情書を紹介し、土木部長の見解をただします。
 「陳情書(前文省略) 私たちの住む串本町田並上地区は、主として農業を営んでおりますが、大雨が降るたびに田並川の増水はんらんにより長年にわたり田畑及び住宅に被害をもたらし、特に最近はまた、高齢者の多いこの地区では大変不安を持ちながらの日々を送っております。最近強く求められている田並川全般にわたる改修はもとより、特に大きな被害の箇所については早急に対応を考えていただきたく、先般、県土木及び関係者の方々のご出席をお願いもし、現地におきまして状況説明を申し上げ、改善方を求めてまいりましたが、長年にわたる私たちの念願をお聞きいただきたく、今般、関係地区住民の連署をもってお願いする次第であります。 串本土木事務所長殿 串本町田並上区長以下二十余名」。
 紀伊半島の片隅に流れる延長四千メートル、幅五メートルの田並川。河口あたりから百メートルばかりは川らしいが、全体として川であって川でない二級河川の田並川。しかも、この地・田並地区は、ご承知のように故小野真次先生の出生の地であります。また、仮谷知事の出身地・和深地区と至近の距離にある串本町の一部であります。
 ここで私は、かつて白浜の町長をさせていただいたころの河川改修事業、白浜の安久川改修について少しだけ紹介いたしたいと思います。
 白浜駅付近を上流に持つ白浜町の安久川は、総延長約三キロの中小河川であったが、沿線地区住民は来る年も来る年も、台風時や災害時には河川のはんらんと、加えて海からの高潮に悩まされ続けてきたが、昭和五十一年からその改修事業が県の努力で公共事業として採択され、既に十八年の歳月をここに経、またこの間約三十億の継続事業費が投入され、ようやくその完成を迎えようとしております。そういった息の長い河川改修ではあっても、県のたゆまざる努力によって平成七年度、白浜空港の開港と相まって現実にその完成を迎えようとしているのであります。
 そのような視点から、放置されているこの田並川の全面改修と部分改修をぜひとも実現されるよう、私もまた陳情書に連署した思いで質問をした次第であります。
 二つ目は、原子力発電について質問をいたします。
 一つ。国は、次期の全国総合開発計画を策定するため現在の第四次全国総合開発計画のチェック作業に入っていると聞いているが、当然のことながら、県としても国の動向に重大な関心と注意を払って研究検討されていることと思います。そこで、国のエネルギー政策、とりわけ原子力発電所についての考え方と見通しを説明されたいのであります。
 二つ目。現在、県内には海南火力発電所と御坊火力発電所が立地操業し、県内の総発電量は百五十五億八千四百万キロワットアワーで、一方、県内の消費電力量は六十六億五千百万キロワットアワーであり、発電量の約六〇%は県外に送られております。この移出分については国から電力移出県等交付金として毎年多額の交付金が交付されているが、この制度ができてから県に交付された交付金の総額はいかほどか、また、その使途は県の方針としては産業振興とりわけ企業誘致のために充てていると聞いているが、これまでの実績と今後の方針を伺うものであります。
 三つ目。現在、県内には二カ所の火力発電所に続き、さらに御坊市と和歌山市に発電所立地が計画されようとしているが、県の政策の基本である第四次長計では「国が、電源三法等の諸施策により配慮している状況から、県としては、適地性・安全性・地元の同意という三原則を堅持し、立地地域を総合的に整備し、住民の福祉と地域振興の立場から、原子力発電所等の電源立地を促進する」と書いていたが、それを受けての第二次及び第三次中期実施計画では、立地促進を消し、今後とも適地性、安全性、地元の同意という三原則を堅持し、地域振興の立場で「対応する」としているが、このことは、当面、平成八年までには推進しないと理解していいのか、この際、確認しておくものであります。
 また、先ほど述べたように、現在二カ所の発電所から多量の電力を県外に移出しているが、さらに二カ所建設をしようとしていることを想定した場合、つまりこんなにたくさんの火力発電所を建設しようとすることは、今後原子力発電所は建設しないのかな、しないのだな、そうあってほしいなと理解していいのか。
 以上、私は、過去幾たびか論争してまいりました「紀伊半島に原発は要らない」という立場から、知事、企画部長、商工労働部長にそれぞれ質問をした次第であります。答弁を求めます。
 次に、公有水面の埋め立てと用途の変更について質問をいたします。一つは串本漁港の問題であり、いま一つは串本町の有田漁港の問題であります。
 昭和五十六年八月、和歌山県知事から串本町に諮問された公有水面の埋め立ては同法第三条の規定により串本町議会の同意するところとなったが、それは、串本町串本笠嶋谷千五百五十七番地ほか三地先、面積約一万三千坪、県営串本漁港であります。また、埋め立ての用途は、一、漁港施設用地、二、漁港関連施設用地、三、漁民住宅用地であります。この埋め立てが完成して既に十一年。しかし、当初の埋め立ての用途は、当時の串本町民と漁民からの強い願望や期待にもかかわらず、その目的は実現をしておりません。特に漁民住宅用地については、後継者対策として、また土地が残れば一般町民にも分譲できるなどとして大方の合意を得てきたところでもあります。しかし現状は、建設業者が漁港修築工事用として消波ブロックの製造作業所に使用している状況であります。
 そこで、私は次の諸点について質問をいたします。
 一つ。この埋立地周辺地区、特に尾の浦地区は、北風の吹く時期には大量の砂ぼこりなどによる被害が多く、苦情が続出しているが、そういった状況を知っているのかどうか。まず、そのことが大事だと思う。──知らないのだろうな。私は現地の十二、三名の方々と一晩、このことをじっくり聞かせていただきました──また、知らない人たちはそのためにどのような改善策を考えているのかな、このことについて質問をいたします。
 二つ目。公有水面埋立法第二十九条は埋立地の用途と異なる利用の制限を規定しているが、この串本漁港の埋め立ては、先ほど述べたように完成以来既に十一カ年を経過しているが、現在この埋立地は消波ブロックの製造作業所としてある建設業者が使用している。それは一体いつから行われ、いつまで行おうとしているのか。また、公有水面埋立法では埋立地の用途と異なる利用の制限は公用または公共の用に供するときは除外されているが、この消波ブロックの製造作業所に使用するための変更は公用または公共の用に供しているものとする、そういう見解をお持ちのようでありますけれども、説明を求めます。
 三つ目。先ほど申し上げました県営有田漁港の埋め立ては、昭和六十年三月、町議会の同意のもと、面積七千二十三平方メートル、埋め立て用途は漁港施設用地であります。しかし、この埋立地もまた、その一部が消波ブロックの製造所として建設業者が──同じ建設業者でありますが──独占使用をし始めたので、漁民から漁港の利用上問題があると苦情が出され、その業者は一時他の場所に移動したが、最近また製造を開始している状況であります。漁港内漁民の安全性、効率的利用の点から問題はないのか、お尋ねをいたします。
 四つ目。公有水面の埋め立ては、その所期の目的をいかに果たしたかということと、また変更をせざるを得ない場合は、法律のいかんにかかわらず、広く関係機関、町あるいは町議会の同意、そしてしかるべき大方の住民の合意、納得を求めるべきものであると私は思う。漁民住宅用地、特に後継者対策の立場からも、こういった目的を果たせるよう努力すべしと思うが、その見解を求めます。
 次に、教育全般の問題について質問をいたします。
 最近私が聞いた教育現場の二、三の事例をまず紹介いたします。
 台風のため学校は休みとなったが──台風ですから、休校になるのは当然であります──その休日の振りかえ授業を確保するために、ある学校ではこの十二月二十三日──天皇の誕生日であります──に授業を行うとか。また高校の場合、修学旅行は授業時間に入らないが、リゾート博の見学は授業に組み入れられたとのこと。修学旅行は授業にならない。リゾート博の見学は授業。球技大会、レクリエーション大会等は結構だが、その実施前に二時間授業を行うとのこと。
 私は、今挙げた二、三の例について一々ここで説明を求めようとは思わないが、こういった事例は、一部では歓迎する向きもあるやに聞いているけれども、私はそうは思わない。そんな指導や風潮は褒められたことなのだろうか。私は、こういった行政指導のあり方に疑問を感じるからであります。お答え願いたいのであります。
 二つ目。文部省は、明春四月から現行の月一回の学校週五日制から月二回の学校週五日制実施を決定したが、現行の学習指導要領は学校週六日制を基準につくられており、平成四年九月から実施されている学校週五日制月一回実施により詰め込み教育が進んでおることは事実であります。週六日を前提につくられた指導要領のもとでは、休業分を平日の授業へ上乗せしたり、ゆとりの時間や学校行事を減らしたり、宿題が多くなったり、休日以外はかえって窮屈になる傾向さえ出ております。本来、学校週五日制は子供たちにゆとりを与えることを目的としているにもかかわらず、現実は逆の作用を果たしつつあります。
 したがって、現行指導要領の見直しは、来年四月から行われる週五日制月二回の実施にとっては決定的に重要な要件でなければなりません。五日制月二回実施と矛盾する現行指導要領の見直しについての確かな方針の樹立と実行を文部省に強く求めることは、けだし当然の理であろうと私は思います。
 先日七日に行われた本問題についての鶴田議員の質問に対し、教育長は「学校週五日制の月二回実施については現行の学習指導要領で対応できるものと受けとめてございます」と答弁されたが、教育長は現場の状況を知らな過ぎるのではないかと私は思います。教育長が直接現場の校長さんや職員に聞くと、教育長が言うような答弁になってくる。私が聞くと──「あいつは、ちょっと違ったとこを聞いているからな」という解釈もあると思いますけれども、教員組合やそうでないところ──私の教え子たちがもう今校長ないし教頭さんにたくさんなっておりますから、そういう人たちに聞いてみると、「そんなこと幾ら言われても、やっぱり土曜日の四時間を別なところで埋め合わせをせなならん。現実にそうしているんや。だから、先生たちにそれを、こうせえ、ああせえと言うのは大変しんどいで。しかし、それはやっておる。授業時間全体の割り振りから言うと当然そうしなきゃならん」と、私が聞いた範囲の先生たちは皆そう申します。
 ということは、私が聞いてそれに答えた先生方は、わざとわしにうそを言うているのかな。あるいは、教育長には「それはもう今ので結構でございます」とうまいこと言うているのかな。そういう辺が私にはわからないから、あえてその見解をもう一度聞きたいと思います。
 三つ目。既に県下二十六の自治体では新学習指導要領の撤回、見直しの決議が採択されているが、こういった世論──あえて「世論」と申し上げます──についての教育長の見解を求めます。
 四つ目。十二月八日、衆議院文教委員会でも取り上げられた愛知県の中学二年生のいじめ自殺の問題は、あす十三日、閣僚会議でも取り上げられるとのことだが、これについても七日の質問に対し教育長は、教育庁内にプロジェクトチームを組織し幅広く検討していくとの答弁を行ったが、本県におけるいじめの発生件数の傾向はどうなのか、また今後取り組まれるであろうプロジェクトチーム編成に向かう基本的な考え方を、この際、開陳されたいのであります。
 最後になりますが、全く私的なことを話すことをお許し願いたいと思います。それは、私が小学校三年生のときのことであります。
 小倉の詰め襟を着た平田先生が、きょうの国語の授業は予定を変えると言って、北原白秋の「からたちの花」の詩を黒板に書いて、その歌を教えてくれました。「からたちの花が咲いたよ。 白い白い花が咲いたよ。 からたちのとげはいたいよ。 青い青い針のとげだよ」──日ごろ音楽は教えないこの先生がこの歌を教えてくれたことを、私は今も思い出します。そして、村にたった一軒この花を植えている高山寺という別荘の庭を教えてくれたので、私たちはその日の放課後、飛んで行ってその花を見に行ったことを今も思い出します。
 「からたちも秋はみのるよ。 まろいまろい金のたまだよ。 からたちのそばで泣いたよ。 みんなみんなやさしかつたよ。」──少年の心に刻まれたこの白秋の詩は、始業式や卒業式のときにはいつも末席に座っていた平田先生とともに思い出されるのであります。そして、五十三歳になって初めて僻地の校長先生になってそこでやめられたこの先生は、しかしながら、私と十四名の同級生にとってはすばらしい先生でありました。こういった小さな学校での授業はだれにも公表されないけれど、幼い児童の心をそれなりにとらえたのであります。
 人はだれしも、先生の授業を通じて感動を覚えたり、うれしかったり、励まされたりもした経験があるはずであります。しかし、余りがつがつした規制の枠の中からは自由やゆとりが失われがちであり、また自然との触れ合いや遊び、ゆとりが失われつつある教育の現状を思うとき、我々はいま一度立ちどまって教育のあり方を再検討しなければならないと思います。最初に挙げた事例等ともあわせて、所見を求めます。
 以上で、終わります。ありがとうございます。
○議長(平越孝哉君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
 原子力発電と長期計画の関係でございますけれども、中期実施計画は、県の長期総合計画を実効あるものにするために、計画をめぐる情勢の変化、また計画の進捗状況を的確に把握しながら適切な進行管理を行うために三年ごとに行っているものでございます。
 電源立地については、私はかねてから申し上げておりますように、適地性、安全性、地元の同意という三原則に基づき地域振興の立場から対応しているわけでございまして、今後もこの方針を堅持してまいる所存でございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 浜本議員にお答えいたします。
 田並川の改修についてでございます。
 田並川の改修状況については、河口から町道橋・宮前橋までの間一・四キロメートルを局部改良事業により昭和四十一年度に概成させたところでございます。(「昔やな」と呼ぶ者あり)さらにその後、災害復旧工事等により護岸の整備、下流の河道内堆積土砂の除去など、部分的な整備を進めてきたところでございます。今後、河道等の適正な管理に努めるとともに、近年の水害等の浸水状況や河川の現況等を十分把握して、全体的な改修について検討してまいりたいと考えております。
 また部分改修についても、現在の河川の状況からすると、河道内に堆積している土砂の排除が重要と考えておりますので、土砂の堆積状況を踏まえながら検討してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 浜本議員にお答えいたします。
 国の原子力発電所についての考え方と見通しについてでございます。
 我が国のエネルギー政策とりわけ原子力発電所についての考え方と見通しについてでございますが、資源エネルギー庁によると次のとおりとされてございます。
 エネルギー政策をめぐる課題は、一、我が国のエネルギー供給構造の脆弱性からのエネルギーの安定供給確保、二、国民生活の豊かさ、経済全体の活力向上の観点からのエネルギー供給の効率化、三、エネルギー消費と密接に関連する地球環境問題への対応といった三つの要請を同時に達成することとされてございます。
 原子力発電については、すぐれた燃料供給及び価格の安定性、経済性におけるすぐれた長期安定性、CO2等の環境負荷が少ないという環境特性等に着目し、べース供給力の中核を担う電源として位置づけ、安全性に万全を期しつつ着実に開発を推進することとされています。
 次に、原子力発電の見通しについては、平成六年六月の電気事業審議会需給部会の中間報告によると、平成四年度の発電設備容量三千四百四十二万キロワット、全体の一九%を、平成二十二年度では発電設備容量七千万キロワット、全体の二五%にすることが目標とされてございます。
 以上が、国の考え方と見通しでございます。
 次に、火力発電所の現状と原子力発電所建設についてでございます。
 これまで答弁しておりますとおり、電源立地については、今後とも地元の意向を尊重しつつ、適地性、安全性、地元の同意という三原則を堅持し、地域振興の立場で対応してまいります。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 商工労働部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 電力移出県等交付金についてお答えします。
 電力移出県等交付金については、発電用施設周辺地域の企業導入、産業近代化のために昭和五十六年に制度化され、平成五年度までに二十九億五千万円が県に交付されてございます。制度化当初は本県の産業構造の変革期で本格的に企業誘致に取り組み始めたころであり、企業誘致の受け皿づくりとして県及び関係市町村が数多く工業団地を造成し、企業への貸付事業を行うなど、貴重な財源として本県の産業振興と雇用の確保に貢献してまいりました。
 実績としては、県下十一カ所の工業団地に対して助成し、この用地には十三社の誘致企業が進出し、約九百三十人の新規雇用とおよそ四百二十億円の工業出荷額を創出し、また貸し付けとしては、交付金のうち八億五千万円を原資にこれまでに四十一社の企業に対し四十八億五千万円の貸し付けを行い、それぞれの地域の活性化に非常に役立っているものと考えてございます。今後とも、当交付金を企業誘致を中心とした産業振興に活用してまいりたいと存じます。
 とりわけ企業誘致については、付加価値の高い電気機械、精密機械等の加工組み立て型産業や情報産業等の先端技術産業の導入を図り、経済基盤の安定と産業構造の多角化、雇用の創出を目指してまいりますが、その受け皿としての工業団地の造成は、本県においては平地が少ないため他府県より造成に費用がかさみ、土地単価も高くなる傾向にあります。そのため、工業団地を少しでも安くするために交付金の導入は不可欠であり、今後も貴重な財源として効率的に使用していく考えでございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 農林水産部長野見典展君。
  〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 浜本議員にお答えをいたします。
 ご質問の串本漁港の埋立地については、漁港施設や漁民住宅用地などとして造成したものでございますが、その具体的な利用がなされるまでの間、公共事業としての漁港工事の経済性等を考慮し、ブロック製作場所として漁港管理条例に基づき建設業者に使用の許可を与えたものでございます。許可に際しては地区住民や周辺環境等に十分配慮するよう指導してございますが、今後、お話の点も踏まえ、より一層指導強化をしてまいります。
 次に埋立地の用途の件でございますが、公有水面埋立法に基づき用途以外の利用については制限されており、現時点では目的外利用について考えてございません。しかしながら、今回の件については、漁港工事という公共性にかんがみ、具体的利用がなされるまでの間、ブロック製作場所として昭和六十年から漁港管理条例に基づきその都度許可を与えてございまして、現在の工事目的が達成されるまで使用させることとしてございます。
 次に、串本町の有田漁港の漁港施設用地として造成した埋立地については、地元の漁業協同組合と調整を行い、漁業活動に支障のない範囲において県条例に基づき許可を与えてございまして、現在、ブロック製作場所としてその一部を使用させてございます。今後とも、使用に当たっては漁業活動に支障を来さないよう使用者に対して一層指導してまいる所存でございます。
 次に、漁港区域内の公有水面の埋め立てについての考え方でございますが、県としては、町や漁業関係者等、地元の意向も十分踏まえ、埋立地の有効利用を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題、五点についてお答えいたします。
 教育行政指導のあり方とかかわって振りかえ授業等についてでございますが、児童生徒の学習を保障し、豊かな人間性と確かな学力を身につけさせるためには、何よりも授業を大切にしなければならないと考えます。そのため、全国水準の授業日数を確保するとともに、一時間一時間の授業を大切にするよう強く指導してまいりました。また、単に授業日数を確保するだけでなく、学校行事を初め多様な教育活動を行い、豊かな体験や人間的な触れ合いを通じて生きて働く学力を身につけさせるよう指導してまいりました。各学校では、創意工夫を凝らし、授業日数の確保と魅力ある授業づくりに取り組んでいるところであり、球技大会の日の授業や振りかえ授業を行うことについては、それぞれの学校が主体的に決定しているところでございます。
 次に学習指導要領の見直しについてでありますが、現行の学習指導要領は、生涯学習社会を展望し、学校週五日制の導入をも視野に入れ、改訂されたものでございます。月二回の実施については、月一回の定着状況や月二回の調査研究協力校の取り組みなどを踏まえ、慎重に検討してきたところでございます。これらの学校では、子供たちの学習負担に配慮しつつ、休業となる第二、第四土曜日の授業の取り扱いについてさまざまな研究を行ってまいりました。その結果、学校行事の精選などの教育課程の工夫によって月二回の実施が可能であるだけでなく、新しい学力観に立った教育を推進する契機となったことが報告されております。
 ご指摘の各自治体における決議は、住民の方々の意見を反映したものと受けとめてございます。今後、月三回以上の導入に当たっては、学習指導要領の見直しについて都道府県教育長協議会などを通して要望してまいりたいと考えます。
 次にいじめの発生件数についてでございますが、平成五年度全国では約二万一千件、本県では百六十四件となっており、ここ数年、数的には減少の傾向にございます。しかし、このたびの愛知県での中学生の自殺とその遺書を見ましたとき、その背景には、親子関係、友人関係、そして地域社会とのかかわり、とりわけ学校の対応など、さまざまな課題が投げかけられております。
 本県では、三年前から「三つの忍耐」の一つとして「開放に耐える」ことを挙げ、開かれた学校づくりを重視し、家庭、地域と一体となった教育を推進するよう指導してきたところであります。今回のプロジェクトチームの編成に当たっては、学校や行政の関係者だけでなく、専門的指導者や家庭、地域社会の代表者等からも広く意見を求め、登校拒否の問題とともに、多面的な角度から一層効果的な方策と指導のあり方について検討してまいりたいと考えます。
 この検討結果については、命にかかわる問題であることから、実施できるものから順次積極的に施策を講じてまいります。さしあたっては、冬休みを控え、いじめの問題について全教職員で討議するとともに、ホームルームで話し合うなど、各学校で適切な取り組みを進めるよう指導してまいります。
 また、先ほど議員から小学校時代の恩師との心温まる出会いについてご披瀝いただきましたが、いじめ等をなくする上においても、こうした感動ある授業や心の通い合う教育こそが基本であると考えます。子供たちにとって今最も必要なものは、授業に感動し、みずからカラタチの花を確かめたくなるような教育であり、現在進めている教育改革の目指すところも、教員の意識改革と創造的な努力に基づく感動ある教育であります。
 今後とも、教師と子供が、子供たち同士が、互いに思いやり共感し合う教育の実現に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 45番浜本 収君。
○浜本 収君 土木部長の答弁中、河口から一・四キロの局部改良は昭和四十一年という答弁がありましたが、だれか横から「昔やな」という私語がございました。まさに昭和四十一年でありますから、二十八年前ですか、(「知事さん若かった」と呼ぶ者あり)──その昔であります。また、その後、災害復旧工事等により護岸の整備、堆積土砂の除去など部分的な整備を行ってきたと答弁が続けられましたが、繰り返し申し上げますように、局部改良は二十八年前。その後、部分的な整備を行ったということであります。ですから、現状は川であって川でないといった──大変口汚い表現ではございますが、私はそこを歩いてみて実感としてそう感じたのであります。川であって川でないなと。五メートルの幅といいますけれども、三メートルのところもあるし、草がたくさん生えて、その上で、野球はできないけど飛び回ることができるような、そんな川であります。副知事なんかは、特にそれを見ておいてほしいと思う。百聞は一見にしかず。今後の現地調査なり串本土木の皆さん方の努力に期待し、要望といたします。
 次に、公有水面の埋め立ての問題であります。
 総面積四・五ヘクタール、その区分として漁港施設用地約二・八ヘクタール、漁港関連施設用地約一・二ヘクタール、漁民住宅用地約〇・五ヘクタールと三つの用途を指定し、その面積をそれぞれ区分するといった厳密な形で串本町議会は、知事からの諮問を受けてこれを可決したのであります。こういった厳密な用途目的がありながらも、いつの間にかブロックの製造作業所になっておる。いろいろの説明はされておっても、それは余りにも身勝手過ぎるのではないかと私は思います。今、仮にこの埋立地に、つまり四・五ヘクタールに建設業者が消波ブロック製造作業所をつくるなどと言って埋め立ての同意を議会に求めたとしたら、どうなるでありましょうか。一発に否決される。また、仮谷知事がそういうことを諮問する道理はない。
 当時、漁業組合は、先ほど述べた三つの用途、中でも漁民の住宅用地、土地が残れば一般町民にも分譲することがあるのですよというチラシを町内全戸に配布した。きょうはその紙を持ってくるのを忘れましたが、当時の状況といいますのは、自然破壊とかいろんなことが議論をされる、そういう段階でありました。だから、この埋め立てはどうしてもしたいんだということで、各戸にそのビラを配布して、これは後継者対策の住宅用地も確保しているんですよ、余ったところはまだ町民にも分譲することがあるんですよと、そういう発想で大方の同意を得た。漁業組合全体としてそういう運動を強力にやったということを私は聞いてございます。
 そういう中で厳密に三つの区分をされたその土地が、行ってみるとそこには大きな作業所がつくられておる。しかもそれは、動鳴気漁港とかよその漁港の工事をするためにブロックが必要だということでやっておる。公共事業だから必要性はあるんだと言っておりますけれども、それであの業者は、四・五ヘクタールの土地を自分の土地のように振る舞っておる。そして、「あの消波ブロックは大分もうかるの違うか」と、こういうささやきがあちらこちらで行われておるといった状況であります。
 だから、埋め立てが所期の目的を貫徹していくということでないならば、この埋め立てというのは一体どういうことになるのか。県の所有物ではあっても──いつまでそれが行われていくのか。大変嘆かわしい状況だと、私は埋め立ての諮問の状況から見てそう思います。
 これは私の感想にとめておきたいと思います。もしそうじゃないということであれば、また反論を願いたいと思います。
 三つ目。先日来、テレビ、マスコミで大きく取り上げられているいじめ自殺について、与謝野文部大臣──最近は大臣がたくさんかわるので、与謝野ってどこの人かなと思ったら、やっぱりある有名な方の孫さんだそうですが──は、八日の衆議院の文教委員会で「学校の対応に問題がある」と言及したと言われております。また、一般的には学校や家庭に問題があるとした発言や指摘が支配的でありますが、それは問題の一面だけからのとらえ方ではないだろうかと思います。上から下に向かって「反省をせよ」とか説教を幾ら繰り返してみても問題の解決にはならないと私は思う。
 では一体、この国の教育行政に責任を持つ文部省は、どのような観点からこの問題をとらえ、また教育行政にメスを入れようとしているのか。何ら明らかにされていないのが実情であります。十三日に閣僚会議がされても、結論なんてとても出るものではない。「これは大事なことや」と村山さんが言う程度だと思います。
 学歴社会の構造、試験地獄、塾通いをしなければ打ちかつことができない、塾は悪いと幾ら言っても──このごろはそういう議論はされていませんけれども──塾へ通って学力をつけて大学に受からなかったらあかんのやという親たちの願い。そういう縦の社会構造や教育のあり方にメスを入れなければ、問題の指摘を幾らしてもそれはだめだと思う。そういう上での反省や説教を幾ら繰り返しても、本質的な解決に迫ることはできない。教育制度、教育条件の面からも、また直接教育に従事する人々、親たちの教育要求など、現在の教育の全体的な仕組み是正など、多面的なとらえ方からこれを考察しなければならないと私は思います。
 浜本収──宣伝をする意味ではありません──が、ここでこんなことを言っても、だれも「うん、そうなや」とうなずいてくれてはおりません。しかし、私が今申し上げたようなことを、ニュアンスは違いますが、科学技術庁長官・田中真紀子が発言しております。九日の晩にテレビを見ておりまして、十チャンネルをひねったら、たまたまバーッと勢いのえらいおばさん──と言ったら失礼ですか──が、「文部省の指導体制がなってないじゃないか」と、彼女はそう言っている。私はそうだと思います。それで、鉛筆を用意してそれを書いて、そのことを私の意見のようにしてきょうここで言うてやろうかなと思ったんやけれども、書くいとまがなくて正確にそのことを伝えることができないのが残念でありますけれども、この国の文部行政、文部省の体質に問題があるんだという指摘を、彼女は閣僚の一人でありながらしている。そのとおりだと、私は思いました。
 そういうことを含めて、先ほどから申し上げた教育制度とか今の教育の全体系、あり方といった方向からでないと、いわゆる学校の教師の、あるいは親たちのと、そんなことばっかり幾ら言うてみても問題の解決にはならんということをこの際特に申し上げて、以上、要望やら意見といたします。
 終わります。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜本収君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(平越孝哉君) この際、暫時休憩いたします。
  午後零時八分休憩
  ──────────────────
  午後一時五分再開
○議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 5番町田 亘君。
  〔町田 亘君、登壇〕(拍手)
○町田 亘君 知事、あなたが知事に就任されたのは、大橋知事の死去に伴い昭和五十年十一月のことでした。その時代は、オイルショックから高度経済成長の終えんを迎え、狂乱物価、中小企業の倒産は戦後最高、多くの失業者を出し、値上げラッシュ、国鉄料金も五○%アップ、一千万円の宝くじを求めて福岡で死人まで出した年であり、「記憶にございません」のロッキード事件で元総理田中角栄氏が逮捕された時代でもありました。就任翌年には有田市のコレラ事件も起こったり、先の見通しのできない低成長の大変な時代に就任されました。そのような状況を考えるとき、知事就任は単に喜びだけではなかったと思うのであります。
 昭和五十年十二月十二日、ちょうど十九年前のきょう、知事はこの本会議場で知事として初めてあいさつをされています。おおむね、次のようなあいさつでした。「私は、先般の選挙において県民のご支持をいただき、県政を担当することとなりました。まことに光栄の至りであります。ご存じのとおり、内外の諸情勢極めて困難なとき、県民の心を心として県民生活の向上と県勢発展に全力を傾注してまいりたいと存じます。しかし、最近の経済情勢の中で、国家財政、地方財政ともにかつてない異常な事態に直面しているところであります。本県財政もその例外ではなく、まことに憂慮すべき事態に立ち至っているところであります。そのような観点から、次の事柄を中心に全力を尽くしてまいりたい。人間を大切にし、心の通った福祉の充実。国民的課題である同和問題の完全解決。潤いがあり、安心のできる環境づくり。たくましく心豊かな人づくりをする。明るいあすの郷土づくり。市町村と一体となり県民総参加の県政を期する」と訴えられました。
 まさに、仮谷県政五期十九年は、まごころ県政を基本に、県民の圧倒的な支持のもと、県民との心の触れ合いを求め、県民のための政治とふるさとに限りない愛情を込め、ふるさと飛躍のため果敢に取り組まれた十九年であったと思います。世界リゾート博の開催、関西国際空港及び白浜空港、道路網の整備等々、仮谷知事の手腕によって、十九年経過した今日、大きな花が開き、また将来に向け開こうとしています。過ぎし日の和歌山を思い、新たな和歌山の時代に夢をはせ、今期で任期を退く決意をされたところでありますが、十九年を振り返り、今どのような感想をお持ちですか。
 知事とは、栄光のみを求めるものではなく、良識と実力を兼ね備え、県民と県益を基本に決断し、実行する人でなければならないと思いますが、知事像についてのお考えをお教え願いたいと思います。
 現在、平成七年度の予算編成期にありますが、次期知事に引き継がれる予算になるわけであります。どのような方針で編成されるのか、また次期知事に何を求めてまいりたいと考えておられるのか、お考えをお示し願いたいと思います。
 ここで一言、知事に、そして皆さんにお礼を申し上げたいと思いますので、お許しをいただきます。
 大塔村木守の精神薄弱者更生施設「あすなろ木守の郷」については、知事のご英断によって決定していただき、先日、起工式を行うことができました。村当局はもちろん、木守地区住民の皆さんの温かい心で受け入れていただきました。起工式の当日、木守地区の奥さん方が全員出て食事の用意もしてくれました。涙の出る思いで玉ぐしをささげさせていただきました。竣工の暁には、過疎の村木守で園生五十人、施設の先生約三十人、計八十人が生活を始めるのであります。「木守」という字は木を守ると書きますけれども、木守は子供を守りする、守る里にもなるのであります。この計画のために、関西電力さんや地元の皆さん、そして知事初め多くの皆さんにお世話になりましたことを、この場をかりて心からお礼を申し上げたいと思います。
 次に、河川についてお尋ねいたします。
 本県の河川は、大台ケ原を水源に持つ紀の川が県北を西に流れて紀伊水道に注ぎ、また東部には日本最多雨地帯の大峰山脈に源を発して熊野灘に至る新宮川があり、県内の二大一級河川となっています。この二つの河川に挟まれて、北より有田川、日高川、富田川、日置川、古座川等々、三百十八本の二級河川と七十六本の準用河川もあります。
 雨が降り、森林が水を保ち、その森から少しずつ水が流れ出、それがたくさんの枝、支流を集めて川となっていく。いつもきれいな水が流れ、降雨によって流水量に余り変化がなく、また逆に雨の降らない日々が続いても流水量に影響しない川、そんな川が安定した川と言われます。そんな川では、昔からずっと変わらない生物が今でも生息していると言われています。母なる川で子供たちが水遊びをしたり魚をとったりすることは、子供たちの生活ではごく当たり前のことであり、このような経験は大変重要なことで、自然を知り、生命を知ることは、その経験の中で創造性や冒険心が育ち、自然を相手に試行錯誤を繰り返してこそ自然をより深く認識していく基礎ができていくものと思います。しかし、昔あった夢のような川が少なくなり、また川があっても子供たちを引きつけ、興奮させるような場所や生き物が少なくなっているのではないでしょうか。
 私の家の近くを流れている富田川について考えてみたいと思います。富田川は、主要河川の中で上流にダムのない唯一の川であります。私の子供のころは、夏になると富田川に走り、上流から川下にたくさんの材木を流す。その丸太に乗って遊んだり、水しぶきを上げて飛び込んだり、ふちに潜ってウナギ、ナマズ、コイをつかまえようと夢中になって、唇が紫色になるまで遊んだものです。
 この富田川には、昔は十九ふち、不動のふち、山王のふち、彦五郎ふち、一本松のふち、清姫ふち等、何十カ所も自然のふちがありました。そして、全国でも珍しいオオウナギの生息する、夢のある、ロマンのある川でありました。今は、一カ所もふちらしいふちがありません。雨が降れば山から土砂と一緒に濁った水が直接川に出て、そのまま海に流れ、少し雨が降らないと川の瀬が切れ、エビ、チチコ、ハエ、フナ等はふちがないためにだんだん姿を消してしまい、都会からの釣り客もない寂しい川となり、下水道と変わらないような川となりつつあります。川の働きは、水を流すだけではありません。おのおの変化に富んで、万物がすめる潤いのある川、遊ぶときも多様な楽しみ方をしてもらえるような川、そんな川づくりに取り組もうではありませんか。
 このたび、水辺拠点づくり事業として、彦五郎堤防に公園をつくっていただきました。この彦五郎公園と一緒に彦五郎ふちの再生、また毎年七月、盛大に行われている中辺路町の清姫祭りにあやかって清姫ふちを復活させるなど、富田川に何カ所かふちをつくってはいかがですか。例えば、中辺路町川合に旧農業用水井ぜきを利用して自然プールの設置、大塔村と中辺路町の境にある北郡地内の迂回部分をショートカットして熊野古道公園等をつくることも考えてみてはいかがでしょうか。土木部長のお考えをお聞かせ願います。
 富田川の支流である馬川についてでありますが、数年以上、工事が延期、施行されていません。毎年一億円近い予算がついていたのでありますが、他の河川に流用しています。今年度は、国よりペナルティーとして減額されたと聞いています。県、町村の皆さんのご苦労は多とするところでありますが、今年度も予算の消化ができないのか、しっかりした土木部長の答弁を求めます。
 次に、紀南の道路整備についてお尋ねいたします。
 昭和五十七年、紀伊半島の経済浮上を願う県民の声として、国道四十二号線と並行して山間部を走る三百七十一号線が串本町まで国道に昇格されました。これまで、海岸線に比べて内陸部町村に関係した道路網の整備がおくれていただけに、龍神スカイラインを利用すれば橋本市から串本町まで一気に走れるこの国道昇格は山間地域の過疎に歯どめがかかったと、知事初め各町村長は喜びの談話を発表されました。それから十二年余りたちます。
 そこでお尋ねいたしますが、国道に昇格したとはいえ、まだ通行不能区間があります。中辺路町の小松原─龍神間と大塔村の木守地区でありますが、どのようになっているのか、現状と今後の見通しについてお聞かせ願いたいと思います。
 「道」という字は、首にしんにゅうを書きます。首をかけてやらなければならないほど大変なことなのだと、知事がある場所でのあいさつで話されていましたが、まさにそのとおりであります。また、その道によって人の流れも商業圏域も大きく変わるものであります。
 先日、吉井議員も述べられておりましたが、水上栃谷線、白馬トンネルが開通したおかげで、新宮圏域から和歌山への時間が大きく変わりました。国道百六十八号から今月十七日にオープンする三百十一号四工区を通り、中辺路町から水上栃谷線で龍神から白馬トンネル、吉備インター、和歌山市へと、約三時間で来ることができます。
 今、県内で県庁から一番遠い町村はどこだと思いますか。県内で、車で三時間以内で行けないところはどこだと思いますか。串本町、古座町、古座川町であります。和歌山まで来るには国道四十二号線しかないのであります。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。
 きのくにふるさと林道緊急整備事業として着工されるふるさと林道、すなわち将軍川線と紀南縦貫林道について、計画等を具体的にお示し願いたいと思います。
 次に、土木部長にお尋ねいたします。
 紀南の道路網の整備について、林道将軍川線と国道三百七十一号線の連係、県道上富田すさみ線の整備と先日発表された南部までの高速道路の連係についてどのように考えておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
 最後に、先日、大塔村三川の友人宅を訪ねたときの話であります。
 裏山にクリの木を植えてあり、毎年、都会にいる子供たちや孫たちに、ことしこそは必ずクリを送ってやろうと約束しているのだが、猿に全部とられてしまう。そこで、クリの実を買う方が安くつくほどトタン板を買ってきて、猿が木に登れないように、また他の木からも飛び移れないように準備万端、完全武装。近所の人たちも、これだと大丈夫と。しかし、夕方には猿たちが木に登って実をとっているではありませんか。どうして登ったと思いますか。現場を見ていないが、猿たちが何匹も協力し、肩車をして登ったとしか考えられないのであります。これは、笑い話ではありません。日光の猿軍団の一匹の猿が一年間で一億円稼ぐ芸をするぐらいでありますから、彼らにとっては朝飯前であったかもしれません。目の前でカボチャをシイタケを、にたっと笑いながら平気で持っていってしまうのです。犬をつないでおいても、鎖の届く限界を知っていて平気で寄ってきます。犬も、猿の数の多さに恐れをなしたのか、薄目をあけて居眠りをしているのです。山林農家にとっては切実な問題であります。
 前議会で浜本議員も質問され、被害を未然に防止するために駆除に対し補助を出していると答弁されています。駆除申請にしても、以前に比べスピードアップされて感謝しているところであり、県当局や町村もその対応に努力されていることは認めます。しかし、毎年毎年、猿やイノシシ、シカが出てきて農作物を荒らすから有害駆除を申請する、そして許可して殺す、これで根本的な解決策と言えるだろうか。彼らは、どうして人里におりてくるのか。山は木を育てる場というだけでなく、天然林に囲まれる山は、治水、治山の役割を果たし、人間、動物の生命の維持に役立ち、教育、文化の場でもあります。すなわち、自然は生物共存の場であります。山あり、谷あり、平野があって、そこには生きる場を分かち合って、距離を保ち、領域を守り、共存が成り立ってきたのだと思うのであります。
 昭和三十年代後半から、当時の材木ブームに乗り、官民挙げての杉、ヒノキの造林事業が始まりました。そのおかげで、和歌山県下の人工林面積は全国で十七番目に高いと言われるほど植林をしました。西牟婁郡下の町村では、人工林の割合は上富田で七五%、中辺路町七七%、大塔村七二%、あの広大な面積の山全体、頂上に至るまで杉、ヒノキに覆われています。大変な労力と資金を投入して、植林できるところはすべて杉、ヒノキを植林しているのが現状であります。以前は建築用材としての価値があった間伐材の需要もなく、補助制度があっても間伐に費用がかかるために民有林のほとんどは間伐が進まず、不良木は暴風雨に弱く、風倒木が大量に出て、山腹崩壊の危険性も高いと聞いています。このように申し上げると、杉、ヒノキの植林が諸悪の根源のようにとられるかもしれませんが、当時の施策は時代の要請もあり、当然の取り組みだったと思います。しかし、山林は民有林が多いために、その時代その時代の経済事情に左右され、全体的にコントロールができなかったことも、今から思えば反省点ではないでしょうか。これらの施策によって、猿などの野生鳥獣の食害が目立ち始め、里に出てきて被害を与えるようになったのも事実であり、深刻な被害と積極的な人工林化の推進は密接な因果関係があると考えます。木は親が植えて孫が切る長い長い事業であり、難しいこともよくわかります。
 平成四年度の猿の捕獲数は県下で三百五十七匹、うち西牟婁郡で百四十八匹、平成五年度は県下で二百四十三匹、うち西牟婁郡は半分以上の百三十四匹、県下でトップであります。これは、ほとんど射殺されています。猟師さんが猿は殺したくないとしり込みする中で、毎年三百匹前後が殺されている、これはほんの一部であります。現実には、野生鳥獣の害に困っているのですから、緊急避難的に駆除対策を進めなければなりません。しかし、被害が出たから即、駆除一点張りということだけではなく、長期的な視野に立って考える必要があるのではないでしょうか。他府県の例を挙げるまでもなく、何か具体的な方策についてのお考えがあればお教え願いたいと思います。
 ことしの夏は未曾有の渇水に悩まされ、改めて森林の持つ機能が評価され、今後の森林対策の必要性についての認識が深まったのではないでしょうか。ここ十数年の間に伐期に入った森林が伐採された後、和歌山県の森林政策をどうしていくかが今後の課題であります。将来の労働力不足と採算性の問題から、この次の植林事業はできないのではないかと心配する向きもあります。伐採した後、裸で放置するような事態だけは避けなければなりません。
 改めて申し上げますが、私は何でもかんでも野生鳥獣の立場に立て、あるいは害獣はすべて駆除してしまえという極論に走るのではありません。山林の持つ機能を利用して、行政指導を経済優先主義からきれいな自然環境の保持、国土保全、水資源の涵養、野生鳥獣と人間の好ましい共存関係等を含めた自然の調和の方向に転換し、二十一世紀に向けて我々の子孫に残していくべきだと考えるからであります。
 繰り返しますが、野生鳥獣と人間の共生について、また今後の県の森林政策について農林水産部長の答弁を求めます。
 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの町田亘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 町田議員にお答え申し上げます。
 去る十月十四日の九月県議会におきまして、今期をもって引退を表明させていただいたときに申し上げましたように、かつてない規模で開催した世界リゾート博は、県民の皆さんのおかげで大成功裏に終わりました。また、多年の念願でございました関西空港が開港し、世界に開かれた新しい和歌山の時代がやってまいりました。さらに、高速道路等交通網の整備、太平洋新国土軸構想の進展、白浜空港整備、半島性の脱却、懸案でございました医大の移転整備、美術館等の整備充実、和大の工学部設置等々、諸問題もめどがついてまいりました。この大きな節目を境に引退を決意いたしましたと申し上げたわけでございます。
 振り返ってみますと、十九年間、ひとしお感慨深いものがございます。その間、ご指導、ご支援いただいた県議会、県民には感謝にたえません。任期はまだあるわけでございますので、最後の締めくくりに全力を傾注したいと思っております。
 それから、未来の知事像でございますけれども、変革する時代の中でございます。先見力、実行力のある政治家でなければならないと思いますし、誠実で、信頼され、国においても、近畿はもちろん他府県等においても信頼される政治家であり、風格のある和歌山をつくっていただきたい。また、三割自治の地方財政でございますので、少ない自主財源で最大の効果、飛躍発展に努力していただきたい。そうした行政的な政治的手腕のある方が望ましい政治家だと思っておるわけでございます。
 次に来年度の予算についてでございますけれども、私にとりまして最も重要な予算編成の最後の年でございます。編成に当たっては、世界リゾート博の成功によって培われた自信と誇りを、また関西国際空港の開港による国際化時代への波及を大きく生かしてまいるために、今日まで取り組んでまいりました交通政策、高年齢者等の福祉対策、農業並びに産業対策、観光、環境対策等々、積極的に推進してまいりたい。そしてまた、この和歌山の新しい知事になる人が、すばらしいふるさと和歌山を、さらに豊かな、住みやすい、またコミュニケーションの行き届いたふるさとを築いていただくことに大きな期待を寄せているところでございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 町田議員にお答えいたします。
 まず、河川の整備二点についてでございます。
 第一点目の富田川の整備については、昭和二十五年以来、中小河川改修事業で河口から大塔村の鮎川新橋までの間十五・四キロメートルについて改修計画を策定し、鋭意事業促進を図ってまいったところでございます。その結果、河床の切り下げを残して本川河道の拡幅工事は概成しており、現在、支川の改修に力を注いでおります。
 議員ご指摘のように、流域の人々が川に親しめる河川整備を進めることが重要であると考えております。このため、富田川では歴史的な堤防である彦五郎堤防で水辺の拠点整備を進めており、本年度で完成いたします。
 さらに、その一つといたしまして、北郡地内で洪水に対する安全性を高めるとともに、潤いのある水辺の拠点整備を考えておりまして、中辺路町と協議中であり、県としても実現に向け積極的に対応していきたいと考えております。
 なお、ふちの復活については、そこで遊ぶ子供たちの安全の確保、水質、ふちの維持等を考える必要があり、これらの諸条件を満たすところを検討してまいりたいと思ってございます。
 第二点目の富田川右支川の馬川の改修については、ここ数年用地買収が難航したことにより本年度は予算減額となってございますが、難航している部分を残し河道拡幅工事を実施する予定でございます。今後とも、用地の解決と工事の促進に向け、地元の方々の協力を得ながら一層努力してまいりたいと考えておるところです。
 次に、国道三百七十一号及び県道に関してでございます。
 国道三百七十一号の交通不能区間のうち中辺路町と龍神村の間については、現在、中辺路工区、龍神四工区の二カ所でバイパス工事を進めているところでございます。
 一方、大塔村と古座川町の間については、待避所等の設置を行っておりますが、並行路線として林道木守平井線が開通しており、また周辺では林道将軍川線の整備が計画されているため、これの完成により一定の交通機能を果たせるものと考えてございます。
 有効な道路整備を行うためには、国道、県道、市町村道と農道、林道等を組み合わせながら道路網を形成していくことが必要であり、その観点から効果的な投資に努力しているところでございます。
 なお、高速道路の御坊─南部間が事業化され、また沿線の市町村並びに関係者の方々のご協力のもとに既に地元説明会が開始され、早期完成に明るい展望が開けつつありますので、近い将来、串本、古座、古座川方面からの車は、国道四十二号を利用するほか、林道将軍川線を通り、市鹿野から田辺へ出て、南部から高速道路を利用する流れも多くなるものと考えております。したがいまして、この間の道路整備を促進することが必要と考えており、検討を進めているところであります。
 また、林道将軍川線は国道三百七十一号に近接した付近を通る計画になっておりますので、三百七十一号との接続については、大塔村、古座川町とも十分協議しながら検討を進めてまいりたいと考えているところです。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 農林水産部長野見典展君。
  〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 町田議員にお答えをいたします。
 まず、ふるさと林道緊急整備事業については、地域の活性化、生活の利便性の向上を目指し、現在、二路線について整備促進をしているところでございます。
 きのくにふるさと林道については、現在の林道将軍川線を改修するもので、日置川町市鹿野と古座川町添野川を結ぶ延長約十九キロメートルの計画で、本年度既に予備設計に入り、平成九年度をめどにその両端部分を合わせ約七キロメートルを整備することとなってございます。残り十二キロメートルの中間部分については、平成十年以降、ふるさと林道次期対策事業などにより、完成に向け鋭意取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また紀南縦貫林道については、那智勝浦町小匠から古座川町小森川に至る計画と中辺路町野中地内の国道三百十一号から林道広見川線に至る計画となってございます。本年度既に一部着工しており、平成九年度までには両端合わせ約十一キロメートルを整備することとしてございます。
 次に、野生鳥獣と人間生活の共生のご質問でございます。
 シカ、イノシシ、猿などによる被害は、主な生息地の紀南地方で多く発生してございます。ことしは、記録的な猛暑と渇水により、天然林の中でも特に実のなる木が不作となったため、野生鳥獣がえさを求めて里山に姿を見せ、例年になく農林作物に多くの被害を与えたものでないかと考えてございます。
 ご質問の野生鳥獣と人間生活とが共存できる方策でございますが、林業経営としての人工林と、すぐれた自然景観を保ち、鳥獣の生息環境となる天然林とをバランスのとれた状態に配置していくことが重要と考えてございます。
 現在、広葉樹を主体とする天然林は十三万ヘクタールございますが、単に放置するのではなく、広葉樹林整備特別対策事業などで伐採跡地へ広葉樹を植栽するとともに、既存木の育成施業も実施しているところでございます。今後、天然林の保存に十分配慮するとともに、こうした事業や生活環境保全林の整備事業においても、クヌギ、カシ、ナラ類などの実のなる樹木や鳥獣の生活環境に役立つ樹木の選定に考慮し、野生鳥獣と人間生活との共存を目指して森林整備に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、今後の森林政策についてでございます。
 森林は、木材の生産、水資源の確保、災害の防止など、大切な働きを持つ上、すぐれた自然景観やさまざまな森林文化をはぐくむなど、県民生活にとっては欠かすことができないものでございます。
 このような役割を持つ森林を将来にわたり守り育てていくために、林道、作業道の開設、機械化の推進、間伐などの施業、林業従事者確保のための就業環境の改善、さらには森林の持つ公益的機能の充実などを柱とした林業施策に取り組んでございます。
 一方、県民の自然志向の高まりの中で、これらにもこたえるため、環境の保全、保健文化休養機能の高い多様な森林の造成、保護などをより一層推進し、今後とも調和のとれた森林、林業の育成に努めてまいりたいと存じます。
 また、次代を担う子供たちを対象とした森林体験、あるいは森林・林業教室などについても積極的に実施し、森林、林業の重要性を広く県民に理解していただけるよう取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平越孝哉君) 以上で、町田亘君の質問が終了いたしました。
○議長(平越孝哉君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平越孝哉君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○議長(平越孝哉君) 次に、議題となった全案件のうち、議案第百四十二号平成五年度和歌山県歳入歳出決算の認定についてを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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○議長(平越孝哉君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(平越孝哉君) 次に、お諮りいたします。十二月十三日及び十四日は、各常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平越孝哉君) ご異議なしと認めます。よって、十二月十三日及び十四日は休会とすることに決定いたしました。
○議長(平越孝哉君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員からこれを申し上げます。
  〔職員朗読〕
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  総務委員会 第一委員会室  
  厚生委員会 第二委員会室  
  経済警察委員会  第三委員会室  
  農林水産委員会  第四委員会室  
  建設委員会 第五委員会室  
  文教委員会 第六委員会室  
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○議長(平越孝哉君) 次会は、十二月十五日再開いたします。
○議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時四十五分散会

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