平成6年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(門 三佐博議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時四分再開
○副議長(富田 豊君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(富田 豊君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 15番門 三佐博君。
  〔門 三佐博君、登壇〕(拍手)
○門 三佐博君 平成六年十二月定例議会の本会議において、先般訪問してまいりましたブラジル視察報告と一般質問をさせていただく機会を得ましたことを、心から感謝申し上げます。
 本日までに質問に立たれた同僚議員の皆様方の質問内容を伺いながら、県政全般にわたり多種多様な課題が山積し、県議会、県当局への期待が一層大きく、私どもの責任が重要であることを改めて痛感した次第でございます。
 私は、昭和五十年四月に初当選させていただいてから、はや五期二十年の任期を来春迎えさせていただくことになりましたが、私が県会議員として働かせていただく以前から、青年運動などを通じていろいろとご指導を賜っていた仮谷知事さんの生き方、人生観に引かれるものがありまして、常々尊敬していた次第であります。その理由は、常に清潔、公平であり、庶民性を持っておられる方であるからでございます。また行政面においては、部下を信頼され、組織を大切にして、責任の所在をはっきりされる点であり、決断と実行の人だとも評価できると思います。去る十月十四日、九月定例県議会の本会議最終日において今任期満了でご勇退なさる旨の決意の表明がありましたが、リゾート博の成功など県勢浮揚のために大変ご尽力いただき、数多くの業績が残っておるわけでございます。多くの県民のご支持を集め、六選出馬の要請がある中で、政治家の出処進退はみずから決めるとの信念のもとでの潔い決断は、まさに深い見識と哲学を持った政治家としての生きざまであり、感慨ひとしおで聞かせていただき、敬意を表するとともに、今日までのご労苦に対し深く感謝申し上げ、今後、県勢伸展のためにご健康でご活躍されますことをお祈りする次第でございます。
 さて、去る十一月三日から十日まで、ブラジル和歌山県人会創立四十周年記念式典出席のために海外出張いたしましたので、この機会に簡単に報告と質問をさせていただきたいと思います。
 十一月三日夕刻、仮谷知事、平越議長、西本県議、田島秘書課長、岡山議会総務課長、県職員の方々の総勢十四名、開港直後の関西国際空港に集合。自宅から一時間足らずで行ける本当に身近な空港という感じで、関空より十七時四十五分、JAL六○便で出発、ロサンゼルス空港まで九時間余、ロスで乗り継ぎのため約五時間休憩後、再びJAL六四便でサンパウロに向かい十二時間三十分、通算二十一時間三十分余の空の旅を終え、ブラジル・サンパウロ空港に十一月四日、午前九時四十分に到着、味村利光ブラジル県人会会長ほか多数の役員の方々が空港荷物到着口まで出迎えてくれ、西功サンパウロ州知事特別補佐官らのご配慮によりまして、税関はフリーパスで入国させていただきました。直ちに、白バイ五台の先導によりサンパウロ市のイビラプエラ公園内に建立されている開拓先没者慰霊碑にお参りし、仮谷知事が献花され、全員焼香黙祷いたしました。この慰霊碑は、ブラジル日本都道府県人会連合会の手により、今から約二十年前の一九七五年八月二十二日に、ブラジル移民始まって以来、亡くなられた日系人のみたまのご冥福を祈って建立されたものであり、当時の田中角栄総理大臣が題字を黒御影石に揮毫されております。地下霊廟内には観世音菩薩像、平和慈母観世音菩薩像などが安置され、ブラジル在住の日系人の心のよりどころであり最も慕われているところだと、管理責任者である山梨県人会長で都道府県人会連合会会長の網野弥太郎氏がお出迎えしてくれ、知事の参拝のお礼とこうしたことについて詳しく説明をしてくれました。その後ホテルに入り、県人会役員会による懇親会に移り、味村会長さんからは、リゾート博成功のお祝いの言葉やリゾート博訪問の際にご親切なご歓迎を受けたお礼などで歓談いたしました。
 十一月五日、熊野川町出身の二世、橋詰真八郎氏経営の農場を視察。チョウセンアザミ(アーティチョーク)という食用植物など百ヘクタールほどの耕作と釣り堀、ワイン工場なども経営されている方でございます。その後、近くのバラ園の視察。また、田辺市出身で電気器具製造業の古家瑞代氏の立派な邸宅での歓迎夕食会や海南市出身の二世で宣伝会社経営の宮下恵加さん宅でのパーティーなど、県人会有志の方々ともども大歓迎を受けました。その後、中北史郎県人会顧問のご案内でブラジリア、リオデジャネイロにも訪問いたしました。
 そこで、印象に残っている幾つかの事項についてご報告させていただくとともに、質問をさせていただきます。
 ブラジルは、ラテンアメリカ最大の工業国であります。外国資本や技術を導入し、積極的に工業化を進め、その結果、急速に経済が成長し、ほとんどの工業製品が国内で生産されるようになったわけであります。また、鉄鉱石、すず、ボーキサイトなど鉱物資源にも恵まれており、特にコーヒー豆の生産と輸出は世界第一位であります。私は、ブラジル訪問は十年前と今回で二回目ですが、サンパウロ空港におり立って車でホテルに向かう途中で感じたことは、車が大変多く、よく動いているということであります。多民族国家と言われるだけあって、あらゆる人種が一体となって生き生きと活動しているのであります。私たちの乗っているバスを見ると、向こうから明るく手を振ってくれる人もありました。とにかく底抜けの明るさがあって、底辺の広い庶民層が、私たちが主役でこの国を支えているのだというエネルギーの力強さを感じたわけであります。また、片側四車線も五車線もある道路を車がぎっしりとつながって走っております。ラッシュ時になるとかなり渋滞するらしいのですが、とにかく車があれほど多いということは経済が非常に活発であるということではないかと思います。一千三百万人の人口を持つサンパウロという活気ある立派な都市をつくり、また世界三大美港の一つと言われる、カーニバルで世界的にも有名なリオデジャネイロという大きな都市から原野の中にブラジリアという新しい首都を築くという大事業をやるだけあって、ブラジルという国は非常にエネルギッシュであり、若々しく未来のある国だという印象を強く受けてまいりました。
 さて十一月六日、ブラジル和歌山県人会連合会創立四十周年記念式典が日伯文化協会で行われましたが、大変な盛況で、九百名以上の方々が参加され、中には五百キロ、一千キロと遠くマットグロッソなどからも参加されていると聞きました。仮谷知事から親しみを込めたごあいさつと高齢者に賀寿状、平越議長、西本議員からは岡本保日伯議員連盟会長にかわり、それぞれごあいさつがあり、県と県議会から助成金の贈呈、参加者全員に県と県議会から記念品を渡し、久しぶりにふるさとの香りに触れた長老たちの目に涙が浮かんでいたのがとても印象的でございました。記念式典の後、演芸会や参加者全員との懇談会が開かれ、味村会長さんを初めできるだけ多くの方々とお話をする機会をつくりました。
 県からのブラジル移民は大正六年ごろから始まり、戦時中と戦後は一時中断していましたが、昭和二十七年ごろから再開し、戦後だけでも一千六百十五人余りが大志を抱いてブラジルへ渡っておられます。戦前は農業移民が中心でしたが、戦後は工業部門への進出が目覚ましく、農業や経済の発展に多大の貢献をしているということでございます。当初の移住には非常に困難が伴ったと聞いていますが、日系人は刻苦勉励、営々と努力を重ね、今日ではブラジルの政・官・経済界、医師、弁護士などあらゆる分野に進出して成功をおさめておられます。また、日系人の平素の行いが長きにわたってブラジル国民の中に溶け込み、大変信頼されていると聞き、非常にうれしく、また誇りに思った次第であります。国際化時代の中で我が日系人がこのように認められて重要視されていることは、まことに大きな意義を持つものと考える次第であります。
 しかしながら、これらの成功者の陰には、和歌山県出身の二世でブラジルでは大変著名な竹中正氏が昨年まで会長をして発展させてきた現地の相互扶助組織である援護会という組織がありますが、この援助を受けている方も相当あるようでございまして、こうした現地援護会の活動があることを忘れてはならないと思います。ブラジルで在住し活動されている県人会との相互交流を通じ、日本の約二十三倍の広大な国土と豊富な資源を持つブラジルとの経済文化の交流を深めることは、移住した県民のためにも、また和歌山県勢の発展にとっても非常に意義が深いものと考えます。
 そこで、国際交流について二点ほど質問したいと思います。
 まず第一点は、関西国際空港も無事開港し、また本県においても一大イベントであった世界リゾート博覧会も大成功をもって終了し、本県の国際化が既に始まっていると考えますが、本県の国際化のための人材育成についてどのように推進しておられるのか、知事の考えをお聞かせ願いたいと思います。
 第二点は、研修生の受け入れは、ブラジルだけでも既に六十六名の方の研修が終わり、帰国後は研修成果を生かして各界において活躍が目覚ましく、大きな期待が寄せられております。先ほど申し上げたように、ブラジルは国土が広く、しかも北から南へと地域差があるため、どんな作物でも生産できると言われ、その重要な担い手は日系人であります。農業を初め幅広く技術協力を深めることによって、ブラジルと本県はお互いに大きな利益をもたらすのではないでしょうか。そこで、知事さんから技術研修生の受け入れなど今後どのように進めていかれるのか、お伺いいたしたいと思います。
 次に、道路整備と拡充について質問いたしたいと思います。
 今年九月開港された関西国際空港による本県への社会経済の波及効果は、将来的にもはかり知れないものがあると思います。とりわけ、空港より三十キロメートルに位置する伊都地方、那賀地方の地域発展には、道路網整備の充実こそが発展のかなめと考えております。既に、紀の川筋東西を縦断する高規格幹線道路である京奈和自動車道が、平成元年度に橋本道路として十一・三キロメートル、紀北東道路として高野口町─打田町間十六・九キロメートルが平成五年度に事業化され、また紀北西道路として第十一次五箇年内事業着手が予定されており、現在、各種調査、用地買収が行われていることに対し、知事を初め関係各位のご尽力にお礼を申し上げたいと思います。しかし、関西国際空港を中心とした泉南地方の経済圏と伊都地方との一体化をなす府県間道路の整備促進も重要な課題であると思います。
 そこで、平成六年度に事業化された国道四百八十号の平道路、並びに主要地方道堺かつらぎ線の両府県間の整備状況、今後の整備方針をお伺いいたします。
 次に、河南地方の幹線道路である大門口大橋より高野町へ通じる四百八十号の改修計画と国道二十四号の交通渋滞対策についてお伺いいたします。
 四百八十号の星山─志賀工区については既に完了いたしましたが、高野山までの間で一部線形不良があり、梨子木峠付近については勾配もきつく、特に冬季においては凍結もあって通行に支障を来しているところであり、早期整備が必要であると考えますので、今後の改修計画についてお伺いいたします。
 和歌山市内と直結する国道二十四号線については、昨年岩出町より和歌山市まで和歌山バイパスが供用開始され、打田町黒土まで貫通いたしましたが、打田町から粉河町に向かう道路は特に朝夕の通勤時の交通渋滞がひどく、交通緩和対策として国道二十四号線のバイパスの計画が地元の皆さんより強く要望されておりますので、こうしたことについてお伺い申し上げたいと思います。
 次に、高野龍神スカイラインを経由した紀北地方と紀南地方の道路網構想についてお尋ねいたします。
 伊都地方には四百八十号を幹線とした道路体系がありますが、那賀郡粉河町、海草郡美里町、伊都郡花園村を経由して紀南地方へ結ぶ新たな道路網を形成することは、観光や経済発展のためにぜひ必要であると思います。既に、阪部議員、佐田議員もこの議場を通じて指摘されておりますし、地元選出の岸本光造代議士もこのことについて力説されております。その計画の地図を私らでつくっておりますので、知事さんに見ていただきたいと思います。
 具体的に申し上げますと、国道二十四号粉河地点を起点とし、紀の川を渡る竜門橋をかけかえ、龍門山をトンネルで貫き、粉河町鞆淵地区で県道かつらぎ桃山線と結び、さらに南へツツジ峠を貫き、美里町長谷宮地区で国道三百七十号と結ぶルートを新設し、町村道長谷花園線の峠をトンネルを含めた二車線道路で改修を行い、花園地区で国道四百八十号と結ぶ縦貫道路であります。現行路程で約五十二キロメートルが半分以下に、時間にして約二時間が三十分程度と短縮され、関空までの所要時間が三時間ほどかかるものが一時間圏内となると考えられます。県の長期総合計画にある南北三軸、東西五軸、すなわち三─五軸広域幹線道路網の整備と密接な関係があり、特に第二県土軸の橋本ルートの橋本から新宮を結ぶルートを補充する広域的な幹線道路となると信じます。また、このことにより関空と世界の霊峰高野山が直結するとともに、高野龍神スカイラインにも通じ、山村過疎等、中山間地域が持つ森林、自然、景観等を生かした森林文化リゾート、木の国グリーンゾーンの振興、都市住民との交流にも大きな役割と期待がかけられるのものと確信しています。このルートは、事業費も相当かさむものと考えられますが、関空から紀北地域を経て紀中、紀南の中山間地域へのアクセスとしてほぼ直線に近く、広域的な面、また関空の経済波及効果を県内に最大限に取り込むことを考えたとき、山間地域を結ぶ大動脈として事業効果も倍加されるものと推定されることから、長期的な計画として位置づけを強く要望するものであります。
 以上述べたことをご賢察いただき、ぜひとも知事のご英断をもって実現されることを切望いたしますが、ご決意のほどを知事並びに土木部長からお聞きしたいと思うものであります。
 次に、ダム放流による災害防止と紀伊丹生川ダム建設についてお尋ねいたします。
 先般、当地方を通過した台風二十六号がもたらした豪雨による紀の川の増水についてお伺いいたします。
 「川を治める者は国を治める」とのことわざどおり、治水事業の重要性はとりもなおさず県民の生活を支える第一義だと、私は常々思っているところでございます。私の地元である伊都郡かつらぎ町においても、幾度となく台風あるいは集中豪雨によりまして大きな被害をこうむってまいりました。特に記憶にあるのは、昭和二十八年の集中豪雨による未曾有の大被害であります。また、昭和三十四年の伊勢湾台風では、県内において死者・行方不明は十七名、昭和三十六年の室戸台風においても、死者・行方不明十六名という忌まわしい被害が記憶にございます。
 ご承知のとおり、近くを流れる紀の川は、母なる川、聖なる川として地域住民が親しみ、多大の恩恵を受けてまいりました。しかしまた紀の川は、住民のとうとい生命、財産をも一瞬のうちに奪い去る不安もあわせ持っております。といいますのは、上流にある奈良県川上村に昭和四十八年、農林水産省管轄である大迫ダムが流域住民の理解と協力によって完成をいたしました。大迫ダムは、農業用水取水のためのダムであると伺ってございます。
 台風二十六号、すなわち本年九月二十九日におけるデータによりますと、大迫ダムでの最大流入量が二千四トン、これに対して最大放流量が一千九百七十三トンであります。この放流によりまして、下流域である私の地元かつらぎ町においては紀の川流域の水位が急激に高くなり、地域住民の不安が一気に高まったのでございます。
 住民不安の一例を挙げてみますと、紀の川沿いにおいてアユなどの養殖を営んでいる知人がいるわけでありますが、紀の川の溢水により養殖のアユが全滅することにでもなれば全財産を失うことになり、すなわちこうした業者の方々の死活問題ともなります。当日の紀の川の水位の上昇を見ておりまして心から心配したのは、私一人だけではなかったろうと思います。
 ダム操作は、上流域の雨量をもとに、ダムへの流入量を下流へ調節して放流する仕組みになっているはずであると思います。この数字を見ると流入量と放流量がほぼ同じであり、ダムゲート操作は下流域住民が不安にならないような操作をすべきであると思います。また、ゲート操作は何を根拠に、何に基づいて行っているのか、こうしたことをお尋ねしたいと思います。
 次に、災害時の異常出水に際し、紀の川流域の樋門操作の不備により思わぬ災害が発生したり危険が伴うことが数々あり、不安にかられた住民もあるのであります。今後、このような際には、県と建設省が連携をよく深めて十分な対応策をご検討していただきたいことを要望しておきたいと思います。
 次に、橋本市、九度山町において紀伊丹生川ダム建設のため、建設省で実施計画調査がされていると聞いておりますが、完成後においては、大迫ダムの放流にさらに紀伊丹生川ダムからの放流が重なり、洪水が増幅されて災害が発生するとの懸念を持つ多くの住民からの声があります。紀伊丹生川ダムは多目的ダムと聞いておりますが、県当局のご見解をお伺いいたしたいと思います。
 次に、紀の川流域下水道についてお尋ねいたします。
 ゆとりと豊かさが実感できる住民生活の質の向上を目指して、それぞれの地域の特色を生かした自主的、主体的な地域づくり、都市の生活環境整備など、生活関連社会資本の整備充実を図ることを目的とした街路、公園緑地、下水道等、住民生活に密着した公共施設の整備を県としても積極的に推進されていることと思います。その中で、現在、紀の川上流、伊都郡内で進められている紀の川流域下水道事業についてお尋ねいたします。
 下水道事業に多額の費用がかかるということは、建設にも相当の期間がかかるということでございます。下水道整備は、生活環境の改善のみならず、河川等の公共用水域の水質を保全するためにも大変重要な施設、事業であります。母なる川・紀の川でも、水質の悪化が進みつつあります。このような状況の中で、紀の川流域下水道の早期供用開始が望まれているわけでありますが、十数年経過している現在でも終末処理場の建設には至っていません。最近、処理場用地の取得も進みつつあると聞いておりますが、いずれにしても用地取得等に全力で取り組んでいただき、一日も早い終末処理場の建設をお願いし、現在の進捗状況をお尋ねいたします。
 次に、紀北地方の看護婦養成所の設置についてお尋ねいたします。
 近年の医学、医療の高度化に伴い、看護業務内容も質的に変化し、看護職員はより専門的な知識、技術、能力が要求されるとともに、高齢化の進展に伴う在宅ケア、訪問看護等のニーズが増大し、看護職員のマンパワーの確保がますます大きな課題となってきております。
 本県においては、看護短大初め紀南地方への看護婦養成所の設置や各看護学校への運営費の助成、定員増に取り組むなど、看護職員の充足に努力されているところでありますが、紀北地方においても、今後の人口増等、地域需要を考えると、看護婦養成所を紀北地方に設置することがぜひ必要であります。このことは、去る九月県議会において請願が提出され、採択されていますが、紀北地方への看護婦養成所設置についてどのような対策をとっておられるのか、県当局のご見解をお伺いいたしたいと思います。
 これで、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴どうもありがとうございました。
○副議長(富田 豊君) ただいまの門三佐博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 門議員にお答え申し上げます。
 話ございました国際化のための人材育成ということ、これは非常に重要な課題でございまして、県においても各種取り組みを行っているわけでございます。
 まず県職員に対しては、県の職員に採用されたとき、そしてまた採用後四年たったとき、英会話並びに国際情勢等についての研修をさせることにしております。また、民間へ委託して語学等の研修も長期、短期を行っておりまして、現在まで十九名の職員が受けているわけでございます。また海外研修に対して、補助制度を設けて研修する制度をやっておるわけでございます。これも、昭和六十三年以来、七十一名の職員が海外へ行っておるわけでございます。県職員に対して、開港を契機になお一層積極的に進めてまいりたいと思います。
 また、県民の皆さんについても、昭和四十三年から青年海外派遣事業を実施しているわけでございます。また、婦人の海外派遣や近畿の知事会で青年洋上大学を毎年実施しております。さらに、農業分野においても農業士の海外派遣、労働関係の海外派遣、教育関係においては星林、那賀両校において国際科が設置されております。また、県の教育委員会に英語指導助手として二十六人の外国人青年に来ていただいておりますし、市町村の教育委員会に二十三人の外国人英語指導助手が来ていただいておるわけでございます。このように、国際化に対応する人材育成は重要な課題でございまして、今後ともなお積極的に進めてまいりたいと思っております。
 それから、ブラジル等の研修員の受け入れでございます。
 私も議員とともにブラジルを訪問させていただいた際に、和歌山県人の皆さんと十年ぶりにお会いしたわけでございまして、皆さんが元気で活躍されている姿を見て、非常に力強くうれしく存じた次第でございます。
 その際においても、昭和五十三年度から実施している海外技術研修員制度に基づき本県へ来た人たちとも懇談をさせていただいて、彼らがブラジルへ帰っていかに活躍しているか、その姿、考え方を聞かしていただいたわけでございます。皆さん方が本県へ参った最初はコンピューターとか機械技術等を覚えたわけでございますけれども、ブラジルへ帰り、その技術を生かしてブラジル社会の中で活躍している姿を見るとともに、もう少し人をふやしてほしい、また期間ももうちょっと長くしてほしいという意見等々があったわけでございます。来年は、日本とブラジルとの修好百周年の記念だそうでございます。この制度をなお一層画期的にふやしていきたいと思っておるわけでございます。
 それから道路整備の問題で、粉河町、美里町、花園村の貫通道路の新設でございます。
 話ございましたように、国道三百七十一号、四百八十号、泉佐野岩出線の府県間道路の整備、また紀の川沿いには和歌山橋本線等、各所で整備を行っておるわけでございます。
 内容等については部長から答弁いたしますけれども、当面の道路のうちの竜門橋については、現在、架橋位置等の検討を行っております。また、美里町と花園村の間の町村道・長谷花園線においては、それぞれ補助事業として整備を進めているところでございますけれども、峠付近ではトンネルを含めたルートの検討、整備手法、事業主体について、県も一緒になって検討を進めておるところでございます。問題は粉河町─美里町間でございまして、現在、県道も町村道もなく、地形的にも険しく膨大な事業費を要しますので、将来の検討課題として承っておきたいと思います。
○副議長(富田 豊君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 門議員にお答えいたします。
 まず、道路の整備と拡充の四点についてお答えいたします。
 第一点の、国道四百八十号線平道路についてでございます。
 国道四百八十号の和歌山県側については、県道那賀かつらぎ線の交点から府県界まで約五・七キロメートルを平道路として今年度事業化し、現在各種の調査、用地測量等を行っているところでございます。また、大阪府側についても既にルートの決定がなされており、トンネル等の調査が行われておりまして、県といたしましても早期に事業化が図られるよう大阪府に働きかけてまいりたいと思っております。
 次に、主要地方道堺かつらぎ線の整備についてでございます。
 主要地方道堺かつらぎ線については、山岳道路で幅員も狭く、全線の改良は膨大な事業費が必要なため、当面の対策として、線形改良、待避所の設置、防災対策工事等を行っているところでございます。また大阪府側についても、府県界より国道百七十号までの間の公図訂正を進めるとともに、現道拡幅や待避所の設置が進められております。県といたしましても、今後とも府県間協議を緊密に行いながら、早期整備が図られるよう努力してまいります。
 次に、国道四百八十号、かつらぎ町志賀から高野町間の整備についてでございます。
 国道四百八十号のうち国道二十四号から下志賀までは、本年度中に改良工事が完成することとなっております。残る花坂までの未改良区間についても引き続き積極的に取り組んでおり、県道かつらぎ桃山線との交点から東に向けた志賀バイパス約一キロメートルを平成七年度に事業化すべく国に要望中でございます。また、これに引き続く梨子木峠付近についても、現在、概略設計を行うなど調査を進めているところでございます。
 次に、国道二十四号線打田町以東のバイパス計画と渋滞対策についてでございます。
 国道二十四号の打田町以東については、現在、建設省において国道二十四号のバイパスとして京奈和自動車道の整備に取り組んでいるところでございます。県といたしましても、この予算の増額を強く国に要望しているところでございます。また、二十四号バイパスとしての機能を持つ和歌山橋本線の整備を鋭意進めているところでございます。また、農林水産部の事業ですが、河北及び河南の広域農道の整備も進められてきたところでございます。なお、現道の渋滞対策については、今後、建設省とともに十分検討してまいりたいと思っております。
 次に、ダム放流による災害防止と紀伊丹生川ダム建設についてでございます。
 大迫ダムは、農業用水のための利水専用ダムで治水目的ではございませんが、ダム操作をするに当たっては洪水時の放流が流入量を上回らないように行うこととなっております。また、放流に際しては下流域への十分な情報伝達を行い、防災体制をとることとしておるところでございます。
 なお、ご承知のように、ことしの異常渇水時には本ダムから放流することにより、渇水対策上、大きな役割を果たしたところでございます。
 紀伊丹生川ダムの建設についてでございますが、紀の川支川・紀伊丹生川に治水と利水を目的としたダムとして平成元年度より実施計画調査が行われているところでございます。
 本ダムの計画諸元は、現時点においてはアーチ式コンクリートダムとして検討されており、高さが約百三十四メートル、総貯水容量は四千七百四十万トンでございます。計画では、流入した毎秒千五百トンの洪水流量のうち約九○%をダムでためることにより、下流の洪水が大幅に低減されることとなります。このダム建設により、治水効果が発揮され、沿線住民の生命、財産を洪水から守るとともに、安定した取水ができることとなり、地域社会にも大きく貢献すると考えております。県といたしましても、早期建設に向け、地元関係者のご理解とご協力が得られるよう、今後とも努力してまいります。
 最後に、紀の川流域下水道についてでございます。
 紀の川流域下水道伊都処理区については、現在、幹線管渠工事で平成五年度末には十三・六キロメートルのうち七・二キロメートルが完成いたしまして、進捗率は五三%でございます。
 一方、終末処理場の用地取得の状況ですが、地元の地権者の方々と精力的に話し合いを進めており、現在、全体面積十九・○ヘクタールのうち十・七ヘクタール、また一期計画分として七・○ヘクタールのうち四・九ヘクタール、七○%の買収を済ませてございます。今後、一期計画の区域内を中心として用地買収に全力で取り組み、平成十年四月、一部供用開始を目途として終末処理場の建設に取りかかれるよう努力してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 門議員ご質問の、紀北地方の看護婦養成所の設置についてお答えいたします。
 紀北地方へ看護婦養成所を設置することについては、現在、県立高等看護学院将来構想の中で検討を進めてございます。平成八年の県立看護短期大学の開校に伴い、和歌山市内での実習病院の確保が困難となること、また現在地が狭小で施設整備ができないこと等から新たな環境のもとで整備を考えていく必要があり、紀の川筋への移転を含め検討中でございます。今後は、学習するにふさわしい環境等を考慮し、検討してまいりたく考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(富田 豊君) 以上で、門三佐博君の質問が終了いたしました。

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