平成6年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第三号 平成六年十二月八日(木曜日)
  午前十時開議
  第一 議案第百四十三号から議案第百四十八号まで(知事説明・質疑)
  第二 議案第百二十一号から議案第百四十二号まで(質疑)
  第三 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百四十三号から議案第百四十八号まで(知事説明・質疑)
 二 議案第百二十一号から議案第百四十二号まで(質疑)
 三 一般質問
出 席 議 員(四十二人)
 1  番  小  川 武
 2  番  吉  井  和  視
 3  番  井  出  益  弘
 4  番  和  田  正  一
 5  番  町  田 亘
 6  番  尾  崎  吉  弘
 7  番  岡  本 保
 8  番  藁  科  義  清
 9  番  向  井 嘉久藏  
 10  番  佐  田  頴  一
 11  番  阪  部  菊  雄
 12  番  堀  本  隆  男
 13  番  平  越  孝  哉
 14  番  富  田 豊
 15  番  門  三佐博  
 16  番  西  本  長  弘
 17  番  高  瀬  勝  助
 18  番  上  野  哲  弘
 19  番 宇治田  栄  蔵
 20  番  尾  崎  要  二
 21  番  中  村  利  男
 23  番  山  本 一
 24  番  馬  頭  哲  弥
 25  番  鶴  田  至  弘
 26  番  飯  田  敬  文
 27  番  村  岡 キミ子  
 28  番  松  本  貞  次
 29  番  下  川  俊  樹
 31  番  宗 正  彦
 32  番  橋  本 進
 33  番  浜  田  真  輔
 34  番  冨  安  民  浩
 35  番 上野山  親  主
 36  番  中  村  裕  一
 37  番  和  田  正  人
 38  番  大  江  康  弘
 40  番  木  下  秀  男
 42  番  森 正  樹
 43  番 野見山   海
 44  番  新  田  和  弘
 45  番  浜  本 収
 46  番  森  本  明  雄
欠 席 議 員(一人)
 39  番  中  西  雄  幸
 〔備 考〕
 22  番  欠  員
 30  番  欠  員
 41  番  欠  員
 47  番  欠  員
説明のため出席した者
 知 事 仮  谷  志  良
 副知事 西  口 勇
 出納長 梅  田  善  彦
 知事公室長 中  西  伸  雄
 総務部長  木  村  良  樹
 企画部長  宮  市  武  彦
 民生部長  南  出  紀  男
 保健環境部長  江  口  弘  久
 商工労働部長  中  山  次  郎
 農林水産部長  野  見  典  展
 土木部長  山  根  一  男
 企業局次長 味  村 勝
  以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 岩  崎  正  夫
 教育長 西  川 時千代  
  以下教育次長
 公安委員会委員 高  垣 宏
 警察本部長 西  川  徹  矢
  以下各部長
 人事委員会委員長
 水  谷  舜  介
  人事委員会事務局長
 代表監査委員  天  谷  一  郎
  監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 鈴  木  俊  男
  選挙管理委員会書記長
  地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長  岩  垣 孝
 次  長  中  西  俊  二
 議事課長  松  田  捷  穂
 議事課副課長  佐  竹  欣  司
 議事班長  松  谷  秋  男
 議事課主事 長  尾  照  雄
 議事課主事 松  本  浩  典
 総務課長  岡  山  哲  夫
 調査課長  柏  木 衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉  川  欽  二
 議事課主査 鎌  田 繁
 議事課速記技師 保  田  良  春
  ──────────────────
  午前十時七分開議
○議長(平越孝哉君) これより本日の会議を開きます。
○議長(平越孝哉君) この際、叙勲及び自治大臣感謝状受賞議員に対する記念品の贈呈並びに永年在職議員に対する全国都道府県議会議長会からの表彰状の伝達並びに記念品の贈呈を行うため、このまま暫時休憩いたします。
  午前十時八分休憩
  ──────────────────
 記念品贈呈式並びに表彰状伝達式
○事務局長(岩垣 孝君) ただいまから、叙勲及び自治大臣感謝状受賞の議員に対する記念品の贈呈式並びに永年在職議員に対する全国都道府県議会議長会からの表彰状の伝達並びに議長からの記念品の贈呈式を行います。
 まず、去る十一月十一日、勲三等旭日中綬章を授与され、また十月十四日、自治大臣から議員在職三十五年以上の地方自治功労感謝状、並びに十月二十六日、青森県で開催されました全国都道府県議会議長会の総会において議員在職三十五年以上で表彰を受けられました岡本保議員に対し、記念品の贈呈を行います。
 岡本 保殿。
  〔議長から岡本 保君に記念品を贈呈〕(拍手)
○事務局長(岩垣 孝君) 次に、議員在職二十年及び十五年以上の各議員に対する全国都道府県議会議長会からの表彰状の伝達並びに議長からの記念品の贈呈を行います。
 まず、議員在職二十年以上で表彰を受けられました門 三佐博殿。
○議長(平越孝哉君) 
 表 彰 状
  門 三 佐 博 殿
あなたは和歌山県議会議員として在職二十年以上に及び地方自治の発展に努力された功績はまことに顕著であります ここに記念品を贈りその功労を表彰します
 平成六年十月二十六日
  全国都道府県議会議長会
  〔議長から門 三佐博君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(岩垣 孝君) 同じく、西本長弘殿。
○議長(平越孝哉君) 
 表 彰 状
  西 本 長 弘 殿
 以下同文であります。
  〔議長から西本長弘君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(岩垣 孝君) 次に、議員在職十五年以上で表彰を受けられました富田 豊殿。
○議長(平越孝哉君) 
 表 彰 状
  富 田 豊 殿
あなたは和歌山県議会議員として在職十五年以上に及び地方自治の発展に努力された功績はまことに顕著であります ここに記念品を贈りその功労を表彰します
 平成六年十月二十六日
  全国都道府県議会議長会
  〔議長から富田 豊君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(岩垣 孝君) 同じく、宗 正彦殿。
○議長(平越孝哉君) 
 表 彰 状
  宗 正 彦 殿
 以下同文であります。
  〔議長から宗 正彦君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(岩垣 孝君) 同じく、中村利男殿。
○議長(平越孝哉君) 
 表 彰 状
  中 村 利 男 殿
 以下同文であります。
  〔議長から中村利男君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(岩垣 孝君) 同じく、浜本 収殿。
○議長(平越孝哉君) 
 表 彰 状
  浜 本 収 殿
 以下同文であります。
  〔議長から浜本 収君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(岩垣 孝君) 同じく、橋本 進殿。
○議長(平越孝哉君) 
 表 彰 状
  橋 本 進 殿
 以下同文であります。
  〔議長から橋本 進君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(岩垣 孝君) 同じく、木下秀男殿。
○議長(平越孝哉君) 
 表 彰 状
  木 下 秀 男 殿
 以下同文であります。
  〔議長から木下秀男君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(岩垣 孝君) 同じく、町田 亘殿。
○議長(平越孝哉君) 
 表 彰 状
  町 田 亘 殿
 以下同文であります。
  〔議長から町田 亘君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(岩垣 孝君) 同じく、尾崎吉弘殿。
○議長(平越孝哉君) 
 表 彰 状
  尾 崎 吉 弘 殿
 以下同文であります。
  〔議長から尾崎吉弘君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(岩垣 孝君) 同じく、大江康弘殿。
○議長(平越孝哉君) 
 表 彰 状
  大 江 康 弘 殿
 以下同文であります。
  〔議長から大江康弘君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(岩垣 孝君) 次に、同じく議員在職十五年以上の表彰を受けられました平越議長に対しましては、富田副議長から表彰状の伝達をしていただきます。
 平越孝哉殿。
  〔議長退席、副議長着席〕
○副議長(富田 豊君) 
 表 彰 状
  平 越 孝 哉 殿
 以下同文であります。
  〔副議長から平越孝哉君に表彰状を伝達〕(拍手)
  〔副議長退席、議長着席〕
○事務局長(岩垣 孝君) なお、中西雄幸議員にも在職十五年以上で表彰がなされておりますが、本日欠席されておりますので、別途議長から伝達が行われることになってございます。
 また、去る十一月二十五日逝去されました故浜口矩一議員に対しましても在職十五年以上で表彰がなされておりましたので、議長からご霊前にお供えをさせていただきました。
 以上で、記念品の贈呈及び表彰状の伝達が終わりました。
 それでは、ここで知事のご祝辞をお願いいたします。
  〔仮谷志良君、登壇〕(拍手)
○知事(仮谷志良君) このたび、平成六年秋の叙勲の栄誉に輝かれました岡本議員並びに永年勤続表彰の栄誉に輝かれました十五名の議員の皆さんにお祝いを申し上げます。
 まず、岡本保議員には、平成六年秋の叙勲において九期三十八年にわたる地方自治、とりわけ和歌山県勢発展への貢献が認められ、勲三等旭日中綬章の栄に浴されましたこと、心からお祝い申し上げます。また岡本議員には、三十五年勤続の表彰も受けられました。あわせてお祝いを申し上げます。
 二十年勤続の表彰を受けられました門三佐博議員並びに西本長弘議員には、これまで長い間、県勢発展に多大のご尽力をいただいてまいりました。まことにおめでとうございます。
 また、十五年勤続の表彰を受けられました故浜口矩一議員を初め平越孝哉議長、富田豊副議長、宗正彦議員、中村利男議員、浜本収議員、中西雄幸議員、橋本進議員、木下秀男議員、町田亘議員、尾崎吉弘議員、大江康弘議員の十二名の皆さん、このたびの受賞は皆さんの議員活動の功績に対して贈られたものでございます。故浜口矩一議員には、本当にありがとうございました。また十一名の皆さんには、心からお祝いを申し上げますとともに、今後ますますのご活躍をお願い申し上げます。
 時代の移り変わりの激しい昨今、人々の価値観も常に変化しております。そうした中で住民の多様なニーズに十分にこたえながら議員活動を続けていただくことは、並み大抵のことではございません。しかも、政治家には四年に一度の厳しい試練があるわけでございます。そうした試練に打ちかち、県政のためにご努力いただくことは、その人の人格、識見、手腕、行動力がいかにすぐれていらっしゃるかということの証左であると存じます。
 今、本県は関西国際空港の開港、そして世界リゾート博の大成功を受けて、激しい時代の流れの中でいかに和歌山を創造していくのか、まさに地方自治の真価が問われているところでございます。今後も、より豊かな、またすばらしいふるさとのため、皆さん方には格段のご尽力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
 皆さん、おめでとうございました。
○事務局長(岩垣 孝君) 続きまして、受賞議員からごあいさつがございます。
 岡本 保殿。
  〔岡本 保君、登壇〕(拍手)
○岡本 保君 一言、お礼のごあいさつを申し上げたいと存じます。
 今回の秋の叙勲に際しまして、図らずも私、勲三等旭日中綬章受章の栄に輝き、十一月十一日には宮中に参内いたしまして、天皇陛下からまことにありがたいねぎらいのお言葉をちょうだいいたしまして、感激して帰ってまいった次第であります。また、十月十四日には自治大臣から表彰を受け、また二十六日には全国議長会から県議在職三十五年の表彰をいただいてまいりました。
 振り返ってみますと、昭和三十四年に県会に立候補して当選させていただきまして、自来三十六年の長きにわたり絶えず心からご支援いただきました選挙民の皆様初め県民の皆さん、また仮谷知事さん初め歴代の知事さん、また先輩・同僚の議員の皆さん、そしてまた県当局並びに議会事務局の皆さん方の温かいご支援、ご協力があったのでありまして、心から感謝を申し上げる次第であります。
 ただいまはまた、知事さんからまことに身に余るお言葉をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。また、議長さんからご丁重な品をいただきまして、本当にありがとうございました。私は、今後この栄誉に恥じることなく、一層精進してまいりたいと思いますので、何とぞよろしくご支援、ご指導のほどをお願い申し上げまして、一言お礼のごあいさつにかえます。
 ありがとうございました。
○事務局長(岩垣 孝君) 次に、議員在職二十年及び議員在職十五年の表彰を受けられました議員を代表して門三佐博議員からごあいさつがございます。
 門 三佐博殿。
  〔門 三佐博君、登壇〕(拍手)
○門 三佐博君 先ほど来はどうもありがとうございました。西本長弘議員と私の二人が二十年勤続でありますが、年長のゆえをもちまして私が、二十年並びに十五年勤続表彰の栄に浴しました十四名の皆様方を代表して、まことに僣越でございますが、一言お礼のごあいさつを申し上げさせていただきます。
 また、本日この表彰の栄に浴することなく長逝されました浜口矩一議員のみたまに衷心より哀悼の意を表する次第でございます。
 ただいまは、仮谷知事さんから身に余るお言葉をちょうだいいたしまして、厚くお礼申し上げます。
 顧みまして、今日まで十五年、また二十年と、本県議会議員として務めさせていただきましたことは、ひとえに選挙民の皆様方の心温まるお支え、同時にまた、先輩・同僚議員、そして知事を初めご当局、議会事務局の皆様方の常に温かいご指導、ご鞭撻のおかげでございまして、関係の皆様方に深く感謝申し上げる次第でございます。
 この上は、私ども心を新たにいたしまして、研さんこれに努めるとともに、県勢発展のため一層の精進をいたす覚悟でございます。今後とも変わらぬご指導とご支援、ご鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げまして、簡単でございますが、お礼のあいさつといたします。
 ありがとうございました。
○事務局長(岩垣 孝君) これをもちまして、記念品の贈呈式及び表彰状伝達式を終わります。
  ──────────────────
  午前十時二十八分再開
○議長(平越孝哉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(平越孝哉君) この際、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
  ───────────────────
  財第172号 
 平成6年12月8日
 和歌山県議会議長  平 越 孝 哉 殿
  和歌山県知事  仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成6年12月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
 記
 議案第143号  職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第144号  教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第145号  和歌山県税条例の一部を改正する条例
 議案第146号  市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第147号  警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第148号  企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
  ──────────────────
○議長(平越孝哉君) 日程第一、ただいま報告いたしました議案第百四十三号から議案第百四十八号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました諸議案についてご説明申し上げます。
 今回追加提案いたしましたのは、職員等の給与改定に伴う関係条例の改正であります。去る十月十七日、県人事委員会より職員の給与改定に関する勧告を受け、本年四月一日から実施するため所要の措置を講じるものであり、条例案件として議案第百四十三号、議案第百四十四号及び議案第百四十六号から議案第百四十八号をもって給与関係条例の改正をお願いいたしております。また、給与改定に伴う所要の経費につきましては既定の予算で対応することといたしております。
 なお、議案第百四十五号は地方税法の一部改正に伴う関係条例の改正であります。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(平越孝哉君) 以上で、知事の説明が終わりました。
  ──────────────────
○議長(平越孝哉君) 次に日程第二、議案第百二十一号から議案第百四十二号までをあわせ一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 27番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、四つの問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 まず初めに、高齢者問題でございます。今回は、とりわけ特別養護老人ホームに絞ってご質問を申し上げてまいりたいと思います。
 今、県下では公立十施設、民間三十一施設で、定員総数二千六百八十五人が特養ホームに入所可能となっております。最近、私の方にも、多くの方々から特養ホームへの入所相談がございます。特に、「病院に入院しているけれども、退院を再三言われて困っている。家では介護することが困難である」とか、あるいは「仕事を休みながら今まで介護を続けてきたけれども、これ以上休むと会社を解雇されるかもしれない」、こういう不安いっぱいのせっぱ詰まった相談もふえてまいりました。中でも、付き添いの要らない病院などの紹介や相談が大変多い状況にあります。また、特養ホームへの入所まで半年あるいは一年待ちにいらいらしている家族からは、「どうか県内外を問わないから何とかしてほしい」、こんな相談も持ち上がってまいりました。待っている間に入院あるいは亡くなられるなど、こんな報告を聞くたびに私はどうしようもない気持ちになります。何とかこの方々が待つことなく入所できる施設の整備が緊急に必要ではないかということを強く感じるものです。
 特養ホームの入所待機者は、常時入所待ちの方も合わせますと五百人を超えると聞いているのでありますけれども、現在県下にどれぐらいの方がお待ちなのか、そしてその期間はどのくらい待たなければならないのでしょうか、教えていただきたいと思います。
 県は、ゴールドプランで特養ホームの設置目標を三千床としております。待機者あるいは今後さらに特養ホームへの入所希望者が増大することを思えば、目標そのものをもう一度検討し直し、見直すことが必要ではないのでしょうか。ご所見を伺うものです。
 次に、特養ホームの建設についてであります。
 これまで多くは民間に依存してきたことは先ほどの数字でおわかりと思うのでありますが、今後は県立の特養ホームの設置をみずから県が積極的に行うことが求められるのではないでしょうか。既に全国的に二十四府県で八十七施設が建設をされています。そしてその運営は委託あるいは直営事業が進められ、近畿においても大阪、兵庫、滋賀県等で大きな役割を果たしていると聞いております。市町村事業であるとはいえ、小規模な三十人程度で、しかもお年寄りが長年住みなれた地域に設置するなど、思い切った県の対応を期待するものです。ご所見をお聞かせいただきたいと思います。
 さて、この七月一日から特養ホーム入所者に係る費用徴収基準が改定をされました。それによりますと、平成六年四月一日以降の入所者は、年額十二万円を超える収入を得ていると入所経費の一部を負担するというものです。これまで入所者は、年金等の収入が年額二十七万円以下の場合、無料でありました。しかし、改定後、これが一気に、半額以下の年額十二万一円以上の収入があればその中から費用負担として徴収されることになったのです。負担額は年の収入額に応じて最低月額千円から四十六段階に分けられ、最高月額二十四万円までとなっています。しかも最高額においては、これまで十八万円であったものがこれまた一気に六万円も引き上げられたことになります。
 改定による問題点を見てみますと、第一に、生活保護基準では入院患者日用品費が月額二万二千二百円であります。特養ホームの負担金は、十二万円の年収者で月額一万円の生活費となることからも、制度上の最低生活が保障されなくなることになります。まさに生活保護基準の半額以下の保障となることは重大で、放置しておくわけにはいきません。
 第二に、今回の改定は入所者の実態を無視していると言わざるを得ません。特養ホームに入院している方々は、入院あるいは死亡のときの出費を心配してむだ遣いをしないように、施設側も何らかのアクシデントに備えて貯金するよう助言するのだそうです。そのため、少なくとも百万円はためることに努めているというふうに言われていますし、実につましい生活だと聞いているのです。こうした実態がまさに無視されていると言わざるを得ません。
 第三に、福祉サービスの費用は原則としてサービスの利用者、サービスを受ける側が負担する──それは特に食費の問題が挙げられております──自己負担という考え方です。在宅での介護はできないというさまざまな事情からホームに入所するのでありますから、いろいろなハンディに配慮ある対応があってこそ当然ではないでしょうか。こうした問題点から、行政側の担当者の反対の意見や抵抗も出る中で、幾つかの自治体で実施時期を延期するなどの状況も出ているのであります。しかも費用負担に至っては、制度開始当初の昭和五十五年当時は五万円であったものが、今回の改定ではその五倍もの二十四万円に引き上げられている。まさに福祉サービスの基本からも逸脱していると私は思えてなりません。
 さらに、これが病院に入るとなると、入院期間が三カ月以上続いた場合は特養ホームへ変えることができません。資格がなくなります。そうなりますと、住むところもないという深刻な事態になることも起こってまいるのではないかと、私は大変危惧するものです。入院にかかる費用も、医療費だけではありません。付き添い料、洗濯代、おむつ代、さらに給食の自己負担など、収入の少ない人は安心して入院もできなくなります。年金取得者の五五%は月額三万円代と言われています。こういう実態から見ても、あるいは老人福祉法に照らしてみても、このような低所得者にせめてもの費用負担金の軽減をと願うものでありますが、いかがなものでしょうか。
 次に、十二月三日の朝日新聞は、行政監察事務所が県内の特養老人ホーム等における運営状況調査を行い、幾つかの問題点を指摘し、改善を県に求める通知を出したと報じています。その通知内容はどのようなものか、またその対応はどうされたのか、明らかにされたいと思います。
 以上、この四点について民生部長の答弁をお願いするものです。
 次に、大規模開発問題についてお伺いいたします。
 知事は去る十一月二十七日、株式会社柏栄不動産が申請をしていた和歌山ニュータウン計画の開発を許可いたしました。この計画は、和歌山大学に隣接する和歌山市栄谷の山林約百六十一・八ヘクタールを切り開き、五千三百戸の宅地造成を行うもので、周辺の住民からは慢性的な交通渋滞や浸水問題をさらに深刻にするのではないかという不安の声が大きく広がっております。県はこうした住民の切実な声を事実上無視して許可したわけですが、さらに、許可された計画地には未買収の用地が約六・六ヘクタールも存在していることが判明をいたしました。この山林は現在、若衆山組合に所績する百三十四名の権利者によって登記されておりますが、そのうち少なくとも数十名はこの計画に反対をし、将来とも売買契約に応じる意思がないことを明言されております。
 柏栄不動産は、この山林の取得に際し、これらの反対地権者を無視し、若衆山組合の代表者と売買契約なるものを締結し、地元住民に聞くところによりますと、最近、同代表者を相手取って所有権の名義変更を迫っているようでありますが、さきにも申しましたように、この山林は百三十四名の組合員の名義になっている以上、たとえ勝訴してもその実効性は皆無に近いものです。このように私は思います。
 いずれにせよ、計画区域内の、しかも極めて重要な部分に未買収地を残したままで、しかも将来とも買収のめどが立たないという状況でこれを許可した県当局の責任は重大です。問題は法的要件にかなうかどうかではなく、多くの地権者の意向を無視するような県の姿勢、さらには着工すらできないようなものまで強引に許可する県の姿勢そのものです。湯浅の山田山ゴルフ場問題と同じ失敗、失政をまた繰り返すつもりですか。
 県はこの際、和歌山ニュータウン計画への許可を撤回するとともに、開発業者の言い分にくみするのではなく、地権者や周辺住民の声に謙虚に耳を傾けるべきではないでしょうか。土木部長の答弁を求めるものです。
 ここで、改めて知事に伺いたいと思います。県には、燦黒潮リゾート構想を初めとした大規模開発計画がメジロ押しです。これらの計画を進めようとする基本的な考え方についてお聞かせいただきたいと思います。
 続いて、三つ目の問題であります。マリーナシティ計画と下津の土取り跡地利用についてであります。
 約四十九ヘクタールの人工島・マリーナシティ用地の完成を祝う世界リゾート博も終わり、はや二カ月を経過いたしました。これまで県費約五百六十億円という巨額をつぎ込んだ事業でもありますが、今後、松下興産主導のマリーナシティ計画が本格的に具体化されつつあるようです。これらの計画が一企業の利益のみ優先されるようなものであってはならないことは当然であります。真に県民が大いに喜び合えるばかりでなく、本県の経済的効果はもちろんのこと、雇用等への発展的効果の見通しを持ち得る、より具体的かつ緻密な計画であるべきです。
 お尋ねをいたします。マリーナシティ計画における今後の具体的計画とその進捗状況についてお聞かせください。特に、県がかかわる第三セクターに係る出資金額と事業、そして松下興産の事業や公共施設など、それぞれの事業費などについてもお聞かせ願いたいと思います。あわせて、県経済への波及効果と雇用などの見通しについてもお聞かせください。
 さて、跡地利用の問題でありますが、マリーナシティ用地に必要な土砂採取は、最も至近距離の下津町戸坂周辺の山林やミカン畑約十六万坪から約四十五万立方メートルの土量を要して完成をいたしました。現在なお、雑賀崎土地造成事業用の土取りが本年十二月末まで続けられているようです。広大な山肌はむき出しとなり、見るも無残な姿でありますが、土取り事業も終わろうかという今日において、跡地利用計画が明らかにされておりません。下津リゾート開発株式会社の跡地利用計画を見ますと、リゾート開発企業の誘致を挙げております。ところが、いまだに企業が訪れる状況もなく、現在の経済状況から見ても、あのコスモパーク加太同様、極めて厳しい状況にあると言わざるを得ません。土取り事業に積極的に協力してきた下津町の財政負担は多大なものになるでありましょう。地元住民からは、土取り跡地利用の現状に大きな不安の声が出始めております。当初、バブル経済という情勢であったこともありましょうが、いずれにせよ、土取りを急ぐ余り十分な計画検討ないまま進められてきた事業への甘さが感じられてならないのであります。
 県は、燦黒潮リゾート構想の重点整備地区に指定をしております。マリーナシティとリゾート博開催といった公共事業の成否を問う点でこの土取り地がその基礎づくりに大きく貢献してきたという経過から見ましても、黙って見過ごす姿勢であってはならないと思うのです。
 幸いにして、下津リゾート開発株式会社と株式会社浅川組の間で交わされた協定書にこのことについて書いてあります。その内容を見てみますと、次の事項が明記されております。跡地はリゾート開発企業を誘致するが、土取り終了までに誘致企業が決定しないときは株式会社浅川組がその用地を取得する、また下津リゾート株式会社が目的を達成し、存続する必要が消滅したときには、その時点において残存する負債があるときは株式会社浅川組がそのすべてを負担することを明文化しております。したがって、浅川組はこの協定を遵守する義務を負わなければなりません。県は直接的責任はないとはいうものの、積極的にこれらについての指導援助をすべきものと考えるものです。こうした点について関係部長のご所見をお聞かせ願います。
 最後に、国会で大詰めを迎えているガット合意協定関連法案に関連して質問を申し上げます。
 今国会では、国民を苦しめる年金法改悪、米の輸入自由化、消費税率引き上げ、自衛隊法改悪、小選挙区制の区割り法など、悪法が次々と国民の意思とは無関係に強行されてまいりました。いずれも、旧連立の細川内閣時代に提案されたもので、新連立の村山政権がそれを仕上げるという構図で進められました。特に消費税の増税は、五%への引き上げという内容で成立しているものの、見直し条項により九七年四月の実施段階では六%にも七%にも税率を引き上げることができる仕組みになっており、国民にとっては重大な問題だと思うのです。
 私ども日本共産党は、消費税増税が実施される二年余りの間に国民の皆さんと力を合わせて実施にストップをかけるために全力を挙げることを、この場でまず表明をしておきたいと思います。
 また、重大な事態を迎えている米の輸入自由化などを含むガット合意協定関連法案の問題について、まず指摘をしておかなければならないのは、米の輸入自由化反対は三度にわたり国会で決議をされた国民の総意でもあり、すべての政党が公約したことでもあります。このことは、国会の中でも村山首相自身、ガット合意協定への調印が公約違反であり国会決議違反であることを国会答弁で認めたことであり、それでも国会でごり押しすることは全くもって許されないことです。また、和歌山県議会におきましても国に意見書を上げて県民の意思を伝えてきたところであります。
 言うまでもなく、ガット合意協定を受け入れると、日本農業は大打撃を受けるとともに、世界的な食糧不足が警告される中で、日本国民にとっては死活的な問題だと思うのです。このような重要問題を村山内閣は、WTO特別委員会で審議を開始した日に採決の日を口にするという異常なことを行い、本日八日にも採決を強行しようとしています。
 この間、私ども日本共産党の国会議員団の質問によって、米輸入自由化など日本がどうしても自由化したくないものはガット合意から除外できること、これからも自由化受け入れの撤回を求める再交渉ができることを国会の中で明らかにしてまいりました。現に、例えばアメリカは、世界最大のサービス貿易の輸出国であるにもかかわらず、商業宇宙衛星や航空運送サービスなど九つの分野で自由化免除措置をとっていますし、EU(欧州連合)も音響・映像や航空運送サービスなどの十の分野で免除登録をしているではありませんか。
 私ども日本共産党は、日本の風土と環境、文化が長い歴史を通じてはぐくんできた稲作を破壊することになる合意を日本が受けなければならない理由がどこにもないと考えます。この問題に対する知事のご所見をお伺いいたします。また、ガット合意が批准された場合の本県農業に与える影響についてどのように把握しているのか、農林水産部長にお伺いをして、第一回目の質問を終わります。
○議長(平越孝哉君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 開発に対する知事の基本的な考え方と姿勢ということでございます。
 二十一世紀を目指し、私は活力と文化あふれるふるさとづくりを基本目標として、豊かさと潤いのある県土を創出するため、これまで交通基盤の整備、産業の振興、文化施設の整備等、テクノ&リゾート計画を進めておるところでございます。そのために必要な開発はしてまいりましたが、一方で自然環境の保全にも十分配慮を行って進めてまいっておるところでございます。今後とも、保全、保存、開発の調和した安全で快適で活力のある県土づくりを、民間活力の導入も含めて県民の方々とともに進めてまいりたいと考えております。
 次に、ウルグアイ・ラウンドの合意協定についての知事の見解ということでございます。
 ウルグアイ・ラウンドの農業合意に伴う米の輸入自由化問題に対する見解については、これまで県議会から意見書の提出をいただくとともに、私も国内自給を基本とした米の市場開放阻止に向けて積極的に取り組んでまいったところでございます。しかしながら、昨年十二月の農業合意については、国において厳しい国会決議がある中でございましたけれども、世界の自由貿易体制を堅持していく見地からやむを得ない措置であったと理解しておるところでございます。
 しかし、日本の農業は擁護しなければならない。国においても、先般国内対策大綱が示されたところでございまして、現在国会において協定や法案等について種々審議がなされております。今後ともこうした国の動向を注意深く見守り、そしてまた国の諸施策を取り入れて、活力のある本県農業の振興に努めてまいりたいと考えております。
 他の問題は、各部長から答弁申し上げます。
○議長(平越孝哉君) 民生部長南出紀男君。
  〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 村岡議員の高齢者問題にかかわる四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず一点目の、特別養護老人ホーム入所希望者の待機者数と計画の見直しについてでございますが、現在、特養ホームへの入所希望者は県下で七百余名となってございます。県としては、これらの方々にはできるだけ住みなれた家庭、地域で暮らしていただくのが高齢者のためとの考えから、特別養護老人ホームのみで処遇することは適当であるとは考えておらず、むしろホームヘルパー等の在宅福祉サービスの充実を通じて、できるだけ本人や介護する家族の方々の負担を軽減していこうと考えてございます。
 もちろん、特別養護老人ホームに入所していただくのが必要な方々も多いわけですが、これらの方々を処遇するための施設の整備についても、和歌山県老人保健福祉計画にのっとり、入所待機者の状況や地域的なバランス等を考慮しながら、緊急性の高い地域から計画的に整備を進めているところでございまして、老齢人口一万人当たりの定員で見ますと、本県の整備率は近畿圏で一位の整備状況を達成しているところでございます。この特別養護老人ホームへの入所に関しては、それぞれの施設の立地条件等によりその期間に相違がございますが、おおむね数カ月から一カ年といったところでございます。
 なお、和歌山県老人保健福祉計画は平成五年五月に策定をされて以来、今日まで一年半余が経過いたしました。さきに厚生省において新ゴールドプランの素案が示されたところですが、本県の老人保健福祉計画について今後見直しを行うか否かは、この新ゴールドプランの内容等について十分に吟味をしながら慎重に検討を重ねてまいりたいと考えてございます。
 二点目の、民間依存より県立特養ホームの建設をというご質問でございますが、議員のお話の中にもありましたように、特別養護老人ホームは現在県下に四十一カ所ございまして、そのうち三十一カ所が社会福祉法人立となってございます。これらの状況の中で、県においては特別養護老人ホームの建設については、地域バランス等を考慮しながら、公立あるいは民間立を問わず計画的な整備を進めているところでございます。
 議員ご質問の県立の施設の設置については、現在、市町村、民間の特別養護老人ホームの設置希望も多いことから、それらによって老人保健福祉計画の実現が可能と考えております。そういったことから、現時点において県立の特別養護老人ホームの設置については考えておりませんので、ご理解をお願いいたします。
 なお、特別養護老人ホームの建設についてはただいま申し上げたとおりでございますが、和歌山県老人保健福祉計画の中には、例えば百三十五カ所のデイサービスセンターや十三カ所の高齢者生活福祉センターの整備といったメニューもあり、過疎地も含めた地域の方々が身近に利用できる施設の整備にも努めているところでございます。
 三点目の、低所得者の費用負担の軽減でございますが、特別養護老人ホームに係る費用負担については、老人福祉法に基づき、入所者本人及び扶養義務者の負担能力に応じて負担をしていただくことになってございます。本制度は入所者及び扶養義務者の負担能力に応じて負担していただくものであり、適切なものと考えておりますので、ご理解をお願いいたします。
 最後に、十二月三日の朝日新聞報道に対する県の対応でございますが、先般新聞報道がなされた和歌山行政監察事務所の県内老人福祉施設に対する監察結果の指導内容の主なものは、まず一点目は機能回復訓練指導員の配置等による効果的な機能回復訓練を行うこと、二点目は居室定員の超過の是正、三点目は看護婦室等の必要な設備の確保、そして四点目は在宅福祉施設の特別養護老人ホーム等への併設について市町村に対して指導を行うことというような内容が主たる内容でございます。
 県においては、老人福祉施設の指導監察について、法人・施設運営及び入所者処遇等について全施設を対象として各施設に対し毎年一回以上実施しているところでございまして、今後も今回の指導事項を踏まえ、入所者処遇のより一層の充実向上を図るため、指導監査を初め、あらゆる機会をとらえて各施設の指導を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 大規模開発について、和歌山ニュータウン計画に関するご質問にお答えいたします。
 和歌山ニュータウン計画については、和歌山大学に隣接する丘陵地約百六十二ヘクタールで住宅地等の造成を目的とした開発行為の許可申請がなされ、都市計画法等の許可基準に照らして審査を行った上で、平成六年十月二十七日付で開発許可を与えてございます。
 また、開発に伴うトラブルを未然に防止し安全かつ円滑な開発の推進を図るため周辺住民の理解を得るよう指導を行っており、事業者側は周辺住民との調整に努力をしてきたところでございますが、隣接九自治会のうちなお一自治会の同意が得られてございません。和歌山市が住民と調整しつつ円滑に開発を推進するよう事業者を指導すること、また事業者側も住民と調整しつつ開発を進めることを確認し、許可をしましたが、この際、周辺住民と調整することを条件としたところでございます。引き続き、周辺住民の理解を得るよう和歌山市ともども事業者を指導してまいります。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 企業局次長味村 勝君。
  〔味村 勝君、登壇〕
○企業局次長(味村 勝君) 村岡議員にお答えいたします。
 マリーナシティの具体的計画とその進捗状況でございます。
 和歌山マリーナシティについては、平成元年より国、県、第三セクターである和歌山マリーナシティ株式会社の三者で事業に着手をいたしました。総事業費五百六十五億で、平成六年三月に土地造成事業と基盤整備が概成してございます。
 土地造成後の整備でございますが、県は、公共マリーナの施設整備、サンセットパーク、緑地及び情報発信基地として県下の歴史、文化、産業等を紹介するわかやま館でございます。松下興産株式会社の整備する主な施設は、テーマパークとしてのポルトヨーロッパ、フィッシャーマンズワーフの黒潮市場、住宅施設としてのマンション、艇庫つき住宅やホテル、スポーツ施設、コンベンションホール等のレクリエーション施設でございます。次に、第三セクターの和歌山マリーナシティ株式会社でございますが、構成者は県、松下興産株式会社の二者から成っており、出資額一億円中、県三千四百万円、松下興産株式会社六千六百万円で現在運営を行っております。整備する施設は、居住用中高層マンション六棟を予定しております。
 これらの施設の総事業費は約一千億円程度であり、現在、ご承知のとおり、世界リゾート博時に好評をいただいたわかやま館、ポルトヨーロッパ、黒潮市場等が完成しており、引き続きマリーナ施設、マンション等、平成十二年の完成を目途に段階的に整備していく予定でございます。
 次に、マリーナシティ計画と県経済への効果や雇用の見通しについてでございますが、和歌山マリーナシティでは、和歌浦湾のすぐれた景観と調和し、親水性の高い防波堤、護岸や緑地などの多様な公共施設を配置した町づくりを目指しており、多くの方々に利用していただけるものと考えております。
 昭和六十三年に行った民間調査機関の予測によると、観光客等の年間入り込み客数が三百万人と推定され、また定住人口が四千人の町ができるなど、多数の利用客による県内産品の売り上げ、ホテルその他施設の利用などによる経済効果が期待されるとともに、既に稼働中のポルトヨーロッパ、黒潮市場等で約一千人が雇用されております。さらに、将来は施設の充実に伴い年間約八千人の誘発就業者数が見込まれます。また、これらに伴う所得の創出、税収も見込まれ、本県の活性化に大きく寄与するものと確信をいたしております。
 以上です。
○議長(平越孝哉君) 商工労働部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 下津土取り跡地の利用計画についてお答えします。
 下津町丸田地区での土取り跡地は、開発面積六十一・九ヘクタール、有効平地面積十八・六ヘクタールでございまして、その利用計画についてはまだ最終決定がされてございません。下津町では、リゾート関連施設の誘致を行って地域活性化を図りたいと考えてございます。県も町と一体になり、企業の誘致活動に努めているところでございます。
 ただ、現在、雑賀崎企業団地へ引き続き土砂搬出中でございまして、跡地につながる幹線道路として町道丸田戸坂線が工事中でございます。また、地域内道路、上水道等の基盤整備も必要となってきてございます。今後、これらの事業の進捗により周辺整備が急速に進み、跡地利用計画も具体化してくるものと考えてございます。
 今後、町とも連携をとりながら、最適の有効利用を図られるよう企業誘致に努力してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 農林水産部長野見典展君。
  〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 村岡議員にお答えをいたします。
 先ほど知事からウルグアイ・ラウンド農業合意に対する見解について答弁がございましたが、ご質問の本県農業への影響についてお答えをいたします。
 ご承知のとおり、今回の合意に基づく米のミニマムアクセスの受け入れや農林水産物の関税引き下げなどがあり、農業情勢は今、厳しい環境下に置かれてございます。中でも、本県農業と関係の深いオレンジや果汁については、現在の関税率を徐々に下げていくことで合意されてございまして、今後、輸入量の増加が予想される中で、本県農業の基幹である果樹産業に与える影響について懸念いたしてございます。
 こうした情勢に対応し、国では先般、国内対策大綱に基づく六兆百億円の措置が決定され、各般の施策が講じられようとしてございます。県としては、農家の意向等も十分踏まえながら、コストダウンを目指した園地改良や消費者ニーズを考えた他品目への転換等を積極的に推進するなど、地域の特性を生かした収益性の高い農業の展開を図り、農家の経営安定に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 最初に民生部長ですが、申し込みをして待っている人が七百余人あるということですね。そして毎年ふえていっている現状にあると、このことはお認めになるわけですが、これは老人ホームだけで賄うということではなくて、基本的には在宅の支援をするんだ、そのためにデイサービスやショートステイ等について手厚くやっていくんだ、これが今国や県が進めている基本なんですよと、あなたはそういうことを言いたいんだと思うんです。
 しかし、この特別養護老人ホームというのは、病院から直接行く人もあれば、病院から老健施設を通って最終的に特養へ行く人もありますけれども、現場の皆さん方、施設長なんかに聞きますと、自宅から直接寝たきりの方が特養へ入ってくる率が最も高いとおっしゃっているわけです。そういう点から見てみますと、ショートステイとかいったものは、必ずだれかお家に介護者がいることが最低の前提条件ですよね。そうでしょう。
 けれども、例えば、入院していても、再三お医者さんから「退院をしてよろしい」「連れて帰ってくださいよ」と退院を催促されて、お家の人たちは病院へ行くことが非常につらいという訴えもたくさんあるんです。そういう中で、自分も働いていたりしてどうしても介護できない、長年頑張ってきたけれども、もうこれ以上続かないんだ、仕事も休み休みやってきたけれども、もう限界なんですと、こういう方々が特別養護老人ホームを希望されるのは、本当に切実なんです。そういう中で七百余名の方々が待っていらっしゃるんです。簡単に特養を希望して言っているのではないということを、しっかりとつかんでいただきたいと思うんです。
 今、和歌山県には二千六百八十五床あるわけですね。目標が平成十一年で三千床ですから、あと三百何床あればいいわけですが、開設間近のところが百五十床あるとなっていますから、もう間もなく到達をすると。そうなりますと、七百人のうちの三百五十人がどうしても必要なんだと判定されたときには、これは実際には収容可能になります。それでも、やっぱりこれからまだまだ高齢化が進んでいく中で、今も在宅や中間施設、病院にいらっしゃる方もありますし、予備軍というのは相当な数に上っていると思うんです。そういう人たちがいざ入れてほしいといったときには、この目標ではだめなんだということはもうはっきりしていると思うんです。
 そういう点で見れば、この特別養護老人ホームのベッド数の見直し、ふやしていくことが今緊急に求められていると私は思うんですけれども、そういう点について民生部長はどう思われるのか。緊急性の問題だと──私が言うのはそこなんですが、おたくは地域性ということを言っています。だから、希望があったとしても「あなたのところはそんなに急がなくてもよろしい」ということで、つくることを抑えてきているんですか。そこのところもはっきりしてください。
 それから、負担軽減についてです。これは、ことしの四月に法が改正されて、実施は七月一日からということになっていますが、この額を見ますと、実際には非常に大変な事態になってくる。今までは、年収二十七万円以下の方の場合には無料だったわけです。ところが今度は、十二万円の方からもう既にお金を徴収していくということになりました。そうすると、この方は、年収十二万円ですから、一カ月一万円で入所の間は日常生活をしなさいよと、こういうことになります。今までは二万二千五百円。これで見ると半分以下に徴収基準が改正されたということですから、それだけ低所得者からも搾り取るということになります。
 こういうことは、憲法第二十五条の趣旨から見ても、あるいは老人福祉法といったものには、長年ご苦労をされてきた方々については生活にしろ何にしろ大事にされなければならない、こういうことが明記されているわけです。憲法第二十五条でも最低限の生活は保障しなければいけないということで、生活保護というのが設けられているわけです。この生活保護を受けておられる皆さんたちが入院しますと──もちろん特養へ入られたら無料になりますし、入院されましても、医療費やそういったものについてはすべて無料化されます。しかし、「入院していても何かとお金は要るでしょう。ご自由に使いなさい」と、「日用品費」という名目で小遣い程度、月に二万二千二百円は支給されているんです。これが国の最低基準なんです。ところが、特養に入っている人たちは、年金をもらっているからそういう保障がないわけです。こうして見ますと、生活保護の皆さんには二万二千二百円が最低基準として支給されるにもかかわらず、特養に入っている人たちは支払うばかりで何にもないということになります。
 こういう矛盾点について、本当に行政側は国に物も言わんし──あなたは何と言いましたか。負担していただくのは「適切なものと考えております」と言っている。こういう、本当に最低の日常生活の保障すらもしない。月に一万円という基準をどこから持ってきたのでしょうね。それ、教えていただきたいんです。私はこういう収入のない方々、ましてや経済活動が全くできなくなって年金だけに頼らなければならない人たち、こういう弱者の方々には、やはり軽減制度を設ける必要があると思うんです。
 例えば、年金を六十歳からもらっていらっしゃる方々が今たくさんあるわけですけれども、この年金に税金がかからない額ってあるんですよね。それは、昭和四年一月一日以前に生まれた方で年金をもらっていらっしゃる方。こういう方は、年金額が百四十万円以下ですと、税金がかからないんだそうです。また、昭和四年一月二日以後に生まれた方、これは将来的には私どもも関係するわけですけれども、こういった人たちは年金七十万円以下ですと税金はかからないんだそうです。こういうふうに、額によって最低保障を税金の面でも国はやっているんですよ。
 こういう点から見てみれば、軽減措置がとられても当然ではないかと思いませんか。だから、県ができないとするならば、あくまでもこれは市町村が主体的に事務を扱っているわけですから、そこらの責任になるというふうに思いますけれども、今、市町村は大変な事態になっているわけです。国はいろんなことを言うけれども、財政的保障が全くされていないという現実の中で、大変財政的には苦しくなっているということもあります。そこで、県がせめても、こういう人たちに軽減制度を適用させていくべきではないかと思うんです。矛盾だらけの特別養護老人ホームの徴収基準だと思うんです。
 日本が最低とも言われている生活保護基準にも満たないような仕打ちをするということ、お年寄りをいじめ、ことも冷たくあしらうといった今のあり方について、私は非常に怒りに思うんです。もう一度、この負担軽減についてお答えをいただきたいと思います。
 それから、今希望がたくさんあるのであえて県がつくることは要らんと、平たく言えばそういう答弁でしたね。民間でやる方が非常にふえているのは確かだと思います。しかし県も、積極的に高齢化社会の一端を担うという部分で、お金だけ出すのではなくて、やはり施設もつくっていくという姿勢に立ってほしいということなんです。だから、「つくらなくてもいい」と言い切れるところに私は問題があると思うんです。この問題については要望しておきますから、検討しておいてください。
 それから、開発の問題であります。
 この開発の問題については、もう私は再三、質問をしてまいりましたけれども、住民の皆さん方の、今日常生活に不便を感じている切実な問題、そしてこういう開発をされると将来的に非常に危険きわまりない状況が起こってくるんじゃないかという不安や疑問に対して、当局や業者が全く答えないという姿勢が貫かれているということなんです。
 この柏栄不動産がやるのは、高層住宅を含めた五千七百戸という大規模な宅地造成ですよね。今でさえも浸水問題は深刻な状況にあるということから考えても、直下にある住民の皆さんたちは不安がいっぱいある。そして、地権者の皆さんも用地買収には応じないということが根強く、将来的にもその可能性はないという時点において、開発優先の立場で県が許可をするということについて、非常に慎重さを欠いていると思うんです。そういう点で、先ほど知事が答弁なされた開発に対する基本的な考え方から見れば、非常に矛盾だらけだと思うんです。
 そして、この都市計画法というのは、開発を許可しなければならない、そして住民が全く救われないという法律になっているところにも着目をしてほしいと思うんです。だから、後で問題が起こらんがために行政指導で「話し合いをちゃんとやってくださいよ」「許可をおろした後は条件を守らないけませんよ」と言うようなことだけでは済まないと思うんです。許可してしまえば、業者というのは「許可はおりたんだ」ということで、だんだんやっていく中でそこだけがとり残されていく、住民の存在価値そのものを無視していくような工事が行われることもあり得るわけです。そういう点でも、許可はこの際、撤回していただきたいと思います。とりわけこの柏栄不動産の問題については、地権者の皆さんの態度、その申されている内容をもう一回吟味する必要があると思います。その点について、もう一回お答えください。
 マリーナの問題ですけれども、マリーナについてはむだ金を今後使わないでほしいという、この一言です。
 下津の土取り跡地については、マリーナシティやリゾート博を成功させたということから見れば、県にとっても放置できない問題だと思うんです。そういう点で、これから浅川組さんが約束をしてらっしゃることはきっちり守らせるという態度を、県からも特に要請していただきたいと思います。
 もう時間がありませんので──ガット問題については、恐らくきょう採択されてしまうと思うんですけれども、全国の農家の皆さんや農業にいそしんでいる皆さんが非常に危惧されている内容でありますし、六兆円のお金が本当に有効的に発動されるのかどうか、そして本当に六兆円で将来的な農業が確立されるのかどうか、このことについて私たちは非常に疑問に思っています。そういう点で、農林水産部長がおっしゃった問題について慎重にやっていただきたいと思います。
 以上で、答弁だけお聞きします。
○議長(平越孝哉君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 民生部長南出紀男君。
  〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 村岡議員の再質問にお答えを申し上げます。
 まず特別養護老人ホームの整備の点についてでございますが、ご承知のとおり、現在、国のゴールドプランに基づき、本県としてその整備目標を決めて整備を行っているところでございます。ちなみに、本県の整備目標については、実は国の二十四万床という整備目標をはるかに上回る整備率で、本県としての保健福祉計画に基づく特養施設の整備を行っているところでございます。しかも、ご質問にあったように、その整備に当たっては、当然のことながら、緊急性あるいは地域バランス、計画性等に基づいて実施しておるところでございまして、今後は、最初のご答弁の中でも申し上げたように、新ゴールドプランの早期策定を待って、本県としての実態を十分国に対しても働きかけ、さらにその内容等を検討しながら本県の老人福祉計画の内容に十分反映をしていきたい、このように考えてございます。
 二点目の費用徴収、負担の関係でございますが、これについては昨年十二月、中央社会福祉審議会の老人福祉専門分科会から費用負担のあり方について意見具申がなされ、この具申を踏まえて本年七月に費用徴収基準の改定が行われたところでございます。改正の趣旨については、食事は原則自己負担というような考え方のもとに従来から費用徴収基準が定められておりましたけれども、今回、在宅・施設間の負担の公平をさらに図る必要があるということ、さらには入所者の中には結果的に預貯金等の資産形成の状況にあるといったこと等が指摘されていること等から、入所者に認められている個別的な日常費、例えば嗜好品等の個人的な日常経費のあり方について、公平の観点から見直すべきであると、そうしたことに基づいて費用徴収基準の改正が行われたところでございます。この結果、確かに今回は年収十二万円を超える者について費用徴収をされたこととなったわけでございますけれども、従来どおりの費用徴収上限についてはそのままとなってございます。
 いずれにしても、そういった中央社会福祉審議会老人福祉専門分科会でご審議された内容に基づいて改定をされましたので、このことについて十分ご理解をお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) お答えいたします。
 この件については、安全性とか土地利用の面等について十分チェックの上、許可条件は満たしていると判断して許可したものでございます。
 また、ご指摘の土地については、許可時点では売買契約はなされているものの、権利移転の手続中でございました。約百六十二ヘクタールの計画地のうちで約六・六ヘクタールであること、また売買契約後の権利移転手続中であったことから、都市計画法に定める開発行為の妨げとなる権利の相当部分を取得しているとの基準を満たしていると判断して許可したものでございます。
 なお、先ほどもお答えしたように、周辺住民との調整については和歌山市ともども事業者を指導してまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──発言時間が終了いたしましたので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(平越孝哉君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十六分休憩
  ──────────────────
  午後一時六分再開
○副議長(富田 豊君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(富田 豊君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 3番井出益弘君
  〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 まず最初に、先日亡くなられた故浜口矩一議員に哀悼の誠をささげ、ご冥福をお祈り申し上げます。
 では、お許しをいただきましたので、順次一般質問をさせていただきます。
 まず、道路、交通網体系について。
 最初に、和歌山市外周圏域バイパス環状高規格道路の建設について知事と土木部長にお尋ねいたします。
 六月の議会でも申し上げましたけれども、関西国際空港の開港とともに、関空関連地域として和歌山市、岩出、海南をも含めて人口百万都市構想に向かい、将来の県都和歌山市圏域が万年交通停滞とならないために、第二国土軸とともに和歌山市、岩出、海南圏域の環状高規格道路が和歌山県の重要な交通体系として必要な時期が近い将来必ず来ると考えます。和歌山市内の中心部における交通網の停滞緩和については、道路の拡幅等も必要でしょうが、建築密集地域での内環状道路の整備については民間の協力を取りつけるのが極めて困難で、費用も余りにも巨額となり、貫通、完成するにはまず不可能に近いような年月が考えられます。その点、関西国際空港へのアクセス道路は開港時期目指してかなり早く完成したものであります。泉佐野市や泉南地域は、この機会に高速道路の整備がかなり進んだため、市内の停滞が大きく改善されたと聞いております。将来、和歌山市外周圏域バイパス環状高規格道路建設の必要性について、知事の見解並びに土木部長の答弁を求めます。
 二番目に、第二阪和国道と和歌山北バイパス、新南海橋の経過と今後の取り組みについて土木部長にお尋ねします。
 和歌山の大動脈ともなるべき第二阪和国道開通事業において、バブル崩壊後、最近、地元和歌山市では用地買収や家屋買収に対して買収申し出が大変ふえております。以前は予算をつけていただいて、買いに行ってもなかなか売っていただけなかった話が、最近は、家の方も雨漏りがしかけているし事業も早くやってほしいので協力するから早く買いに来てほしいと言われております。しかし、以前は地元の協力が得られない状況との答弁であったが、最近は予算がなくて買収に応じられないとのことであります。
 理由はいかんにしろ、一日も早く着工し開通させることが、和歌山にとって大きな経済波及効果があることは明らかであります。世界リゾート博覧会の事業を成功させるために、道路関係予算はトータル的には第二阪和すなわち新南海橋ルート、和歌山北バイパスの予算が大きく削られてしまったようであります。世界リゾート博覧会が見事に成功した現在、次は第二阪和、新南海橋を一日も早く開通させることに全力を挙げていただかねばなりません。取り組み状況をお尋ねします。
 三番目に、国道二十四号岩出バイパスの紀州大橋へのアクセスについて土木部長にお尋ねします。
 紀州大橋北詰めで、紀の川川下より岩出バイパス国道に合流する部分での交通事故が多発しております。直川、有功、六十谷、楠見方面から紀州大橋を利用して和歌山インター方面へのアクセスが整備されていません。関係方面から改善、対処を求められていますが、早急に取り組んでいただきたいものであります。当局の対処について答弁を求めます。 
 次に、都市計画について土木部長にお尋ねします。
 一番目に、鉄道の高架について。これは、JR、南海ともであります。
 新南海橋南端にも関係しているのですが、道路交通網整備に極めて効果的な鉄道高架のその後の取り組みと状況についてお答えください。南海紀ノ川駅周辺の連続立体交差事業、またJRの紀の川右岸六十谷橋北詰めについても何とか立体交差にできないかという以前からの懸案事項にその後いかに取り組まれているか、お尋ねします。
 二番目に、都市計画の見直しの実行がおくれることは県民には実害となっていることについて述べさせていただきます。
 戦前の昭和十六年当時の都市計画決定のまま戦災を受け、焼け野原になった後、戦災復旧の家屋が風致地区の松林だったところにも建ち並んでいます。家屋が建ち並んでいるのに、五十五年前の松林だったときの規制を現在も県や市の行政は適用するため、市民、県民の行政への不信は高まっています。これだけ議会で見直しの必要性を指摘され、見直しが必要と答弁しながらも、この規制は改正されていないとして市民に押しつけるのは、行政の間違いか、法律が間違っているのか。市民、県民に相談を受けるたびに、県は見直すと言ってくれていますよと、三期九年の間、何回説明したことかわかりません。このことで、県民は多くの実害を受けています。何かと仕事が忙しいかと思いますが、やっていただきたいものであります。関連した事柄もたくさんありますが、この風致地区の件にだけ絞って答弁を求めます。
 三番目に、土地の有効利用と行政対応の現状について。
 今から約三十年前、和歌山に路面電車が走っていたところを、路面電車廃止の際、その細長い電車敷地を二キロメートルにわたって県が寄附を受け、この土地を都市公園に指定した。このことにより、隣接する多くの土地が緑道でふたをされて袋土地にされていることが最近わかってきた。つまり、この一群の広大な土地は、市街化区域の中心地でありながら、現状では農地としてしか使うことが許可されない、市街化区域の土地として使用できないような法的制限を受ける扱いの土地となってしまっているのであります。和歌山市も、三十年前と現状とでは大変な変化があります。狭い、平地の少ない和歌山です。市街化区域の土地の有効利用について、適切な行政対応をされるとともに、まごころ県政の取り組みやいかにか、答弁を求めます。
 次に、規制緩和について。
 これも先ほどと少し関係がありますが、規制緩和について県はどのような緩和を考えているのでありましょうか。実施の取り組み状況と今後について、土木部長、商工労働部長──商工労働部長は、土木部長からその旨を十分申し伝えておくということですので、実施に当たってはぜひご相談をしていただいて努力をしていただきたいということで、答弁は結構です。
 土木部長にお尋ねします。
 和歌山市雑賀崎の泊まり新開周辺つまり鉄鋼団地埋立地周辺は、外材の木材港とその荷揚げ場となっており、工業地域であります。しかし、四十年前の埋め立てをするまでは海岸地と海でありました。そのころまでは、瀬戸内海国立公園として名実ともに合致していたのでしょう。工業地域の周辺は、瀬戸内海国立公園の規制の網は昔のままですが、現場は工業地帯とごみ捨て場、荒れ地となっている実態であります。そして風致地区です。つまり、昔からのいろいろな規制がかけられたままの、整地して有効利用したくてもさわれない土地にされているのです。昔の名所古跡と一緒にされたのでしょうが、現実とは余りにも整合性のない実態であります。なぜ、県がこの土地を工業地域として埋め立てをし海岸をなくしたのかよくわかりませんが、民間にこのようなことを許すでしょうか。しかし、考えがあってこのようなことを県が推し進めるのならば、県民が所有している土地に対しても、せめて国立公園や風致地区の厳しい規制を解除して、土地を有効に使用できるように、現場と整合性のあるように県として対応するのが県民のための県政だと考えますが、当局の善処策をお聞かせいただきたい。
 二番目に、戦後四十数年非農地が実態の農地の有効活用と行政対応についてお尋ねします。
 先ほどの雑賀崎地区の鉄鋼団地の周辺でありますけれども、この海岸近くには戦時中より食糧事情対策として農林省が土地を農地として所有し、その土地を国民に貸し付け、食物を供給させたが、終戦より今日までの間にそれらのほとんどの土地の上に建物が建っていたり山林化していて、今から開拓して農作物をつくれるように復旧することは不可能に近い状態であります。農林省としては、農地に復旧しなければ払い下げをしないが、市街化区域になるなら現状での処分も可能であるとのことであります。この雑賀崎地区だけでも、七十二筆、約三十人が土地を有効利用できないまま放置しているのであります。農地法を初め関係の規制緩和も既に実施検討を始めていると聞いていますが、この件について農林水産部長、土木部長に答弁をお願いします。
 次に、地方分権について。これは、知事に答弁をお願いします。
 第二十四次地方制度調査会は、去る十一月二十二日、地方分権の推進について答申を出しました。これによりますと、国と地方公共団体の役割分担の基本的な考え方として、国は内政面の役割を整理し、国際化への対応等に重点的に取り組む体制に転換すべきである、また地方公共団体は地域に関する行政を主体的に担い、企画立案、調整、実施等を一貫して対応できる体制に転換すべきであるとあります。事務配分の考え方として、国は、国家の存立に直接かかわる政策に関する事務、例えば、外交、防衛、通貨、司法などを行うほか、国内の民間活動や地方自治に関して全国的に統一されていることが望ましい基本ルールの制定に関する事務、例えば公正取引の確保、生活保護基準、労働基準など、及び全国的規模、視点で行われることが不可欠な施策、事業に関する事務、例えば公的年金、宇宙開発、骨格的・基幹的交通基盤などを重点的に行うこととし、その役割を限定的なものにしていくべきであるとあります。地方公共団体は、国が行う事務以外の内政に関する広範囲な事務を処理する、またみずからの判断と責任で事務処理をできるよう財源の確保や自主立法権も含め、自主性、自律性を確立することが重要である等のことが示されてあります。国から地方公共団体への権限の移譲等の推進に伴う利点、問題点、難点等も多く考えられます。知事は研究されていると思いますけれども、利点等についての知事の所見をお伺いします。
 次に、地方公共団体の行政改革について。これも、知事にお尋ねします。
 行政改革の推進は、政治改革、税制改革と並んで村山内閣の最重要課題であります。政府においては、平成五年十月の第三次行革審の最終答申及び平成六年二月の閣議決定を基本としながら、与党の基本方針を踏まえ、規制緩和の推進、地方分権の推進、特殊法人の見直し等、行政改革を強力に推進していくこととしています。具体的には、一番目に、規制緩和については平成六年度内に五年間を期間とする規制緩和推進計画を策定すること、二番目に、地方分権については地方分権に関する大綱方針を平成六年内に策定するとともに、これに基づき速やかに地方分権に関する基本的な法律の制定を目指すこと、三番目に、特殊法人については平成六年度内にすべての特殊法人の見直しを行い、整理合理化を推進することとしています。
 地方自治体における行政改革の推進については、自治省においても検討が進められていたが、与党の行政改革プロジェクトチームにおいて「地方公共団体における行政改革について」の考え方をまとめ、官房長官、自治大臣あて申し入れがなされたことを踏まえ、十月七日、自治事務次官名で各地方公共団体あて「地方公共団体における行政改革推進のための指針の策定について」が通知されてきたようであります。県の方針と取り組み、また市町村に対しての指導方針についてお尋ねします。
 次に、産業廃棄物等についてであります。
 廃棄物の処理及びその有効活用等について、保健環境部長にお伺いします。
 廃棄物の最終処分地の確保については、地域性、環境保全並びに跡地利用等の将来展望を踏まえ、推進していかねばならないと思います。財団法人和歌山環境保全公社の住友金属西防埋立処分地については平成八年八月で終了することとなっており、その後、大阪湾広域臨海環境整備センターが実施しているフェニックス計画に参加すべく、積み出し基地の建設に向けて現在準備中と聞き及んでおります。
 そこで、フェニックス計画に参加するとすれば、県内の市町村及び企業がどの程度負担となるのか。また、廃棄物は人間の生活及び産業活動に伴って必然的に排出されるものであり、いつまでも他府県に頼っておれない状況が将来必ず生じてくると思われます。そこで、県として県内で廃棄物等の最終処分場を確保し、跡地の有効利用を行い、地域の活性化を図っていくことも今から検討しておく必要があるものと思われます。どのような将来計画を持っているのか、お尋ねします。
 さらに、深刻化する廃棄物をどのように解決すべきかも重要な課題であります。一言で言えば、減量化と再利用の問題であります。つまり、再利用ないし再生利用という単なるリサイクル化にとどまらず、環境保全及び資源、エネルギーの節約の観点からも取り組むべきであると思われます。
 そこで、一般廃棄物の再資源化、有効利用等についての現状とそれらの事業にどのような助成等の施策がなされているのか、お伺いいたします。
 次に、和歌山医大の移転に伴う医大紀北分院の位置づけについてであります。
 まず、紀北分院の機能分担について。
 和歌山の紀北地方は私も知るところでありますが、和歌山市あるいは紀南には、大変信頼されるというか高次医療に対応していただけるような病院があるように県民は考えております。和歌山市で救急で運んで行ってもらって、和歌山市内の日赤とか医大とか労災とかでいろいろ処置をしていただいて亡くなった場合は、最高の病院で診てもらって精いっぱいの処置をしてもらったんだから家族、親戚も仕方がないじゃないかということになるが、紀北地方にはそこまで言える病院がないじゃないかということを紀北地方の県民の方からお聞きします。
 県立医大病院の移転整備が進む一方で、紀北地方の県民の医療として紀北分院の位置づけをどのように考えているのか。地域医療計画の中での紀北分院の位置づけ及び救急医療体制について県はどのように考えているのか、保健環境部長にお尋ねします。
 また、九月県議会において紀北地方への看護婦養成所設置について請願が採択されたところでありますが、県立高等看護学院が移転した場合、和歌山市内の学生が約四○%いますから、和歌山市内よりの通学の利便性についてどのように考えているのか、心配をしています。その人たちについて、事前に見解をお聞きし、県としてできる限り対処していただきたいと思います。
 最後に、地籍調査事業についてお尋ねします。
 国土調査法に基づく地籍調査事業は、毎筆の土地について、その所有者、地番及び地目の調査、並びに境界及び地積(面積)に関する測量を行い、その成果の写しが登記所に送付されますと、登記簿の表題部の記載が変更されるとともに、公図にかわり不動産登記法第十七条に規定する登記所備えつけ地図となります。これにより、土地が不明確なために起こるトラブルを未然に防止するとともに、財産の保全、各種公共事業の円滑化等、土地に関するあらゆる施策の基礎として活用、利用されるものであります。また全国的に見ると、平成五年度末の地籍調査の進捗率は約三八%であるのに比べ、本県における地籍調査事業は、昭和三十三年に印南町が着手して以来、その進捗率はわずか三・九%であります。このため、県当局において鋭意努力されていることと思いますが、次の点について答弁を求めます。
 和歌山市は、県庁所在都市であるとともに、本年九月の関西国際空港の開港等に伴う各種社会資本の整備が急務でないかと思料しているところであります。一方、これら土地に関する情報が整備されておらず、戦争の後遺症等もあって地図が混乱している地区が数多く存在している状況であり、隣接地との境界が不明という話をよく聞きます。これは、住民の財産の保全及び安全な土地取引を初め、公共事業における用地買収等、問題が山積している状況ではないかと考えるわけであります。県の方も、公共事業で地積や境界が確定しないために随分苦労しているようであります。
 また、本県の八割を占める山間部に話を移しますと、明治以降のたび重なる災害等により公図と現地が大幅に食い違っているところも数多くあると聞き及んでいます。特に、花園村のように昭和二十八年の大水害により破滅的な被害に見舞われた地区では、その被害状況は大であり、これらの地区の早急な地図整備が待たれるところであるとともに、これら山間部では過疎の波が押し寄せ、住民の高齢化が進み、山間部における土地の境界を確認することが今後ますます難航することが予想されることから、早急に地籍調査を実施すべきだと考えます。
 これらを踏まえ、市町村への指導体制等、県当局は今後どのように地籍調査を推進していくかをお尋ねいたします。これも、私は何回か質問させていただいておりますけれども、なかなか進んでおりません。いろいろ公共事業のおくれをただしたときも、地籍事業をやってくれるといいんだけれどもという逃げの答弁でありました。しかし、これは早急に取り組まねばいけない重要なことであります。部長の答弁を求めます。
 これで、一回目の質問を終わります。
○副議長(富田 豊君) ただいまの井出益弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 井出議員にお答え申し上げます。
 お話ございました和歌山市及び周辺において環状の道路網を形成することが必要であると考えておりまして、昨年十二月に策定した和歌山県広域道路網マスタープランにおいて市内の環状道路の位置づけを行ったところでございます。これは非常に重要な計画でございますので、今後積極的に検討を深めてまいりたいと思っておるわけでございます。
 詳細については、土木部長から答弁申し上げます。
 次に、地方分権に関する質問でございます。
 お話ございましたように、国が年内に策定する予定の地方分権に関する大綱方針に地方の意見が反映されるように、地方六団体である知事会、県議会議長会、市町村長等の団体が、さる九月二十六日に内閣及び国会に対して地方分権の推進に関する意見書を提出したところでございます。意見書は、従来の行政の各分野ごとに個別に権限移譲を図るという手法では十分な成果が上がらなかったという反省点に立って、国の事務を限定して国と地方の役割分担を根本的に見直そうという内容となっておるわけでございます。
 先月、村山首相に提出された行政改革推進本部地方分権部会の最終報告書及び地方制度調査会の地方分権の推進に関する答申を見ても、私どもが提出した意見書の内容がおおむね取り入れられておるわけでございまして、政府の大綱方針も私どもの意見が反映されるものになるのではないかと期待しているところでございます。この方向で地方分権が推進されると、地方がみずからの創意と責任のもとに豊かな地域づくりができる体制が確立されるわけでございまして、行政の即応性、柔軟性、総合性が増して、住民の皆さんの多様なニーズにこたえることができるようになると思うわけでございます。これが、私は地方分権の利点ではないかと思っております。
 また、地方分権を実効あるものとするためには、地方の自主性が図られるように、地方の自主財源の充実が不可欠なことでございまして、国からの権限移譲にあわせて地方公共団体の税財政基盤の整備が行われるものと考えておるところでございまして、この地方分権に大いに期待を持ってまいりたいと思っております。
 次に、行政改革についての質問でございます。
 昨日、鶴田議員にお答え申し上げたところでございますが、本県においては従来、自主的、主体的にとり行ってきた。また、昭和六十年に行政改革大綱を策定して、これに基づいて事務事業の見直しを行って一定の成果を上げてきた。しかし、現在のような変化の激しい時代の中で、住民のニーズが大いに変わりつつある現状でございます。そうした中において、再度見直す必要を感じておるわけでございます。今後、一年を目途にして新行政改革大綱を策定する予定であり、そうした視点において進めてまいりたいと思います。
 特に話ございました市町村に対する指導については、行政改革においては従来から市町村で積極的に取り組んできたと考えておるところでございます。県と同様に、社会の変化に対応した、簡素でより効率的な行政の確立に向けた、自主的な行政改革の推進に取り組んでいただけるように、適切な助言と指導を行ってまいりたいと思っておるわけでございます。県も市町村も相ともに行政改革について進めていきたいと思っております。
○副議長(富田 豊君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 井出議員にお答えいたします。
 まず、道路交通網体系についての三点のうちで、和歌山市外周の環状高規格道路についてでございます。
 市内の環状の道路については、知事答弁にもございましたように、昨年十二月に策定された和歌山県広域道路網マスタープランにおいて、整備手法は未定でございますが、広域道路交流促進型としての位置づけをしたところでございます。
 また、一般道路の和歌山市を通過しない環状道路としては、泉佐野岩出線、岩出野上線、国道四百二十四号、国道三百七十号等がございます。このうち泉佐野岩出線では、根来工区の事業促進を図るとともに、平成五年度から森工区、平成六年度から備前工区の事業に着手いたしまして用地買収を進めてございます。河南地域については、県道岩出野上線、国道四百二十四号、国道三百七十号ともにおおむね改良済みでありますが、一部残っている未改良区間については今後とも整備を進めてまいりたいと考えております。
 次に、第二阪和国道と和歌山北バイパス、新南海橋の経過と今後の取り組みについてでございます。
 和歌山北バイパスについては、この道路の重要性は十分認識しているところでございまして、関係議員の皆様方と一緒に事業費拡大について国にも強く要望しているところでございます。
 議員ご指摘の箇所については、事業を進めるための種々の方策を検討し、建設省、和歌山市と調整中でありますが、今後とも早期事業促進に努力してまいろうと思っているところでございます。
 新南海橋については、橋梁に着手するためには右岸側において排水処理の問題を含めた地元協議及び用地測量が終了し、一部用地買収ができる状態になっていること、もう一つは、左岸側のJRの高架に伴う費用負担、並びに仮線設置に伴う地元調整等の問題が解決し、一部工事が行える状況になっていることが必要であると聞いてございます。とりわけJRの高架に伴う費用負担については、道路事業と街路事業の合併事業という特殊事情から、JRを含めた三者間の費用負担調整が課題となってございます。今後とも、和歌山市、建設省と精力的に協議を進め、早期整備に向けて積極的に努力してまいりたいと思っております。
 次に、三点目の国道二十四号バイパスの紀州大橋へのアクセスについてでございます。
 紀の川右岸堤防の県道小豆島船所線の川下側から国道二十四号和歌山インター方面へのアクセスについては、県道と国道との高低差があり、また国道の曲線区間でもあるため、両方向通行可能な信号交差点に改良することは、交通安全の観点などからも困難な状況でございます。このための交通処理としては、県道小豆島船所線と田屋地内の市道紀伊三号線を利用して国道左岸方面へアクセスすることが望ましいと考えておりますが、市道の県道への取りつけ部で一部用地買収が難航している状況でございます。しかしながら、県といたしましても交通安全の面から早期にこの対策を図ることが重要と考えておりますので、和歌山市とも十分協議しながらその対策に努めてまいります。
 次に、都市計画については三点お答えいたします。
 まず、鉄道の高架についてでございます。
 和歌山市紀の川右岸の河北地域は、近年の急激な市街化の進展に伴い、街路、公園等の都市基盤の整備が急務となってございます。中でも南海本線紀ノ川駅周辺については、南海加太線との分岐駅でもあり、今後、河北地域の核として発展する地域であると考えております。
 当地域の整備を進めるに当たっては、鉄道を高架化する連続立体交差事業も有力な事業手法の一つと考えているところでございます。なお、連続立体交差事業は事業費も膨大となり、また区画整理等により周辺市街地と一体的に整備することが必要とされているところでございます。このため、地元市の積極的な対応が不可欠であり、市の意向を踏まえつつ、今後研究してまいりたいと考えてございます。
 また、紀の川右岸JR踏切については、紀の川大堰関連事業としてJR鉄橋をかさ上げする必要もあることから、立体交差する方向で今後検討することといたしております。
 次に、都市計画の見直しについてでございます。
 風致地区は、都市環境を維持し、都市内の自然を保護するために、建築、土地の形質の変更等の行為に制限を行っているものでございます。
 和歌山市においては、昭和十六年に六地区、約三百九十四ヘクタールについて指定を行い、昭和四十五年に第一種から第四種の地域区分を行って現在に至っております。しかし、指定地域の状況は市街化の進展により変化しておりますので、現況を踏まえて適時に適切な見直しが必要と考えているところでございます。
 一方、平成六年十月に施行された都市緑地保全法の一部改正によりまして、市町村において緑の基本計画を策定することとなっております。風致地区の見直しについては、この緑の基本計画を踏まえて総合的に検討する必要があることから、今後、県としても関係市町村と十分協議してまいることといたしております。
 三点目の、土地有効利用についてでございます。
 市街地における土地の有効利用は、都市の健全な発展のために重要な課題と認識してございます。県といたしましても、種々の施策を講じているところでございますが、適切な法及び制度の運用により、住みよい都市づくりに努めてまいりたいと考えております。
 ご質問の都市公園に隣接するいわゆる袋路等の土地の活用については、市街地の限られた土地を有効利用するという観点も含め、所定の法手続等の中で十分議論していくことが必要と考えております。
 最後に、規制緩和についてでございます。
 議員ご質問の件については、風致地区の指定を受けており、瀬戸内海国立公園区域としても指定されております。このため、今後条件整備がなされた場合は、それらを踏まえて和歌山市ともども検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 農林水産部長野見典展君。
  〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 井出議員にお答えをいたします。
 国有農地の管理については、農地法第七十八条第二項の規定により、知事が国から委任を受けてございます。市街化区域内の国有農地については、もとの所有者に売り払いすることとなってございます。一方、市街化調整区域内の国有農地については、農地としての利用を前提に、売り渡しまたは貸し付けということになってございます。
 なお、議員お話しの件については、将来の土地利用計画の動向も考慮しながら農地の有効活用を図ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 井出議員ご質問の、産業廃棄物等についてお答えいたします。
 フェニックス処分場に搬入した場合の処分料金についてでございますが、現在、財団法人和歌山環境保全公社の一トン当たりの受入料金は、一般廃棄物及び建設廃材が千三十円、産業廃棄物が三千七百八円に対してフェニックスの受入料金は、一般廃棄物が四千百二十円、建設廃材が二千六十円、産業廃棄物がその種類によって二千六十円から六千二百八十円となってございます。このフェニックスの料金については、フェニックス計画に出捐している近畿二府四県百七十一市町村が同一料金であります。
 次に、最終処分場の確保に係る将来計画でございます。
 フェニックス計画参加のための対応と並行して、県内の処分場確保のため海面埋め立てや内陸部の未利用地の活用等、関係機関と連携しながら進めてまいりたいと考えております。
 最後に、廃棄物に係るリサイクルについては、産業廃棄物のうち建設廃材等三五%が有効利用され、一般廃棄物では紙類、金属類、ガラス類等五%が資源として活用されております。市町村責任の一般廃棄物では、住民のリサイクル運動を支援する目的で市町村が輸送費等を助成しているところもございます。今後、県においては廃棄物問題は重要な課題であると考えており、減量化、処理・処分、再資源化等あらゆる機会をとらえて適正な方向を見出し指導してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、和歌山医大の移転に伴う医大紀北分院の機能分担でございます。
 橋本医療圏においては、県立医科大学附属病院紀北分院は基幹病院として位置づけております。また救急医療については、休日急患診療所や救急告示医療機関で対応しているところであります。今後も、さらに関係機関との連携を密にしながら、医療供給体制の整備充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、看護学校の移転でございます。
 紀北地方へ看護学校を設置することについては、現在、県立高等看護学院将来構想の中で検討しているところでございます。学生の通学の利便性については、県立高等看護学院の学生のうち和歌山市内出身の学生が議員ご指摘のとおり三八・七%でございますが、平成八年には和歌山市内に看護短期大学が開学することにより学生の選択の幅が拡大するものと考えてございます。しかしながら、学生の通学の利便性も考慮し、検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 井出議員にお答えいたします。
 地籍調査についてでございます。
 地籍調査事業の推進については、平成四年九月議会において全国で初めての地籍調査に関する意見書を採択いただいてございます。本県の平成六年度における地籍調査事業の着手市町村は二十五市町村を数えるまでになりました。しかしながら、地籍調査の進捗率は議員ご指摘のとおりでございますが、進捗率の向上を図るため土地対策課に地籍調査班を設置し、事業実施市町村の指導、審査及び未着手市町村への啓発活動等、積極的に取り組んでいるところでございます。
 次に、全国的に見ても、県庁所在地等の都市部における地籍調査が進んでいないのは事実でございます。ご質問の和歌山市における現状でございますが、地籍調査に関する準備に努めていると聞いてございます。また未着手市町村についても、地籍調査の進捗を図るべく着手する機運になりつつありますが、地籍調査従事職員の確保が非常に困難であると聞いてございます。
 一方、公共事業の促進にあっては、この地籍調査の推進が非常に有効な手段であるため、市町村としても努力をしていただかなければならないと考えてございます。県といたしましても、機会あるごとに推進のための啓発を行ってございますが、今後とも地籍調査の円滑かつ適正な推進に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 3番井出益弘君。
○井出益弘君 総枠一時間ということになっていますから、あと五分しかありません。丁寧なご答弁をいただいておりますので、再質問はせずに要望をしたいと思います。
 今回、私は土木部関係のことで非常に小さなことまで質問しました。長いものは、一期目に上がってから九年間言い続けてきました。何年かかっても何とかせなあかんとか、取り組む必要があると質問しても、まだ着手されていないとか、やる必要があると言っていながら、なかなかやらない。国との調整、いろんな規制あるいは法律的なこともあって、難しいことは確かにあると思います。
 今回私は質問項目にも一つ挙げておったんですけれども、なかなか立派な管理職の方が国からお見えになっており、努力をしてくださっておるのも事実であります。私は建設委員会へ所属したことがないので勉強不足かもわかりませんが、法律、規制でなかなか難しいとかという話ばかりされます。難しい、規制があるということももちろんわかりますが、何とか規制緩和をしてもらいたいし、国がいろいろ難しいことを言っておっても、県として県民サイドに立って、何とかせないかんと思うというところから、何とかするように、実行していくところまで頑張ってほしい。
 国から来ておる管理職の方は何か国の法律の見張り番のように、それはしてはいけない、それは問題があるとかということで、長くいたらできることまで余計できなくなるような気がいたします。県の管理職の方が何とかしてあげたいというところまで踏み込んでくれて動いてくれても、なかなかできないわけです。
 ですから、まず知事さんとか副知事さんなんかが何とか考えなかったらいけないだろうと思います。難しいけれどもほっておくわけにはいかんというようなことは、それは難しいですと言うのではなくて、県民の立場に立って対処していくと。それがまた、県益あるいは県勢の活力化に結びつくのではないかと思います。国から来られている方も、二年ぐらいの一定の枠の中で、よくわかってきたころにお帰りにならないといかんから大変だと思いますけれども、そこは県民サイドに立って、とにかく頑張っていただきたいと思います。今度和歌山へお見えになったときは、あなたは和歌山にいたときに非常によくやってくれたなあ、あるいは我々が東京に行ったときに、本当によくやってくれましたなあと言えるような間柄になっていただきたいことを特にお願いして、終わります。
○副議長(富田 豊君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で井出益弘君の質問が終了いたしました。
○副議長(富田 豊君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番山本 一君。
  〔山本 一君、登壇〕(拍手)
○山本 一君 質問項目に従いまして、これから順次ご答弁を賜ろうと思います。よろしくお願いいたします。
 第一番に、戦後約五十年の半世紀を迎えようといたしております。この間、敗戦の厳しい現実から経済大国とまで言われる日本に成長いたしてまいりました。本県においても、戦災復興に県民一丸となって努力し、ようやく目途のつきかけていた昭和二十八年、七・一・八水害に見舞われ、今度は災害復旧に追われる年月が続きました。
 幸いに、昭和三十年代からは日本の高度成長期を支えたリーディング産業である鉄鋼、石油などの素材型産業の成長によって本県経済も活況を呈し、県民意識も高揚されたわけでありますが、オイルショックを契機として、経済構造、産業構造ともにその変革を迫られる厳しい時代に突入し、本県もいや応なくその渦に巻き込まれていったのでございます。このような厳しい情勢の中、大橋知事が急逝され、その後を受けて仮谷知事が就任、五期二十年目を迎えられました。胸中いかばかりかと存ずる次第であります。
 経済構造と産業構造の転換を図るための施策を実現しようといたしましても、東京からの時間的な距離が遠く、中央幹線軸から離れた半島に位置するという立地性など、厳しい現実が大きな壁となって立ちはだかっておりました。最大の壁は、先進諸国に追いつくため日本が取り続けてきた効率化政策であり、集中化のメリットを最大限に生かそうとする意識ではなかったかと存じます。豊かで住みよい和歌山県を建設すると大志を表された仮谷知事には、厳しい課題に対処され、今日の和歌山県を創生され、今、感慨も新たにしておられると存じます。
 思えば、関西国際空港が泉南沖に決定し、東京一極集中の弊害がクローズアップされ、第四次全国総合開発計画では多極分散型国土の形成が主要なテーマとされ、さらには本県と同じような立場を有する各県がともに手を携えて、半島振興法、リゾート法の制定を見るに至りました。
 その後の十年を見ると隔世の感があり、本年九月には関西国際空港が開港して国際軸に結ばれ、東京は本県の通勤地域となりました。近畿自動車道の堺─松原間の開通によって中央幹線道路と直結し、広川─御坊市間の供用開始も間近となりました。御坊市─南部間の事業着手が決定され、うれしい限りでございます。また、文化施設として念願久しかった美術館、博物館、図書館の三館構想が実現し、和歌の浦には万葉公園と万葉館が開設されました。産業面では、近畿大学生物理工学部の開設、和歌山大学への理工系学部設置も躍動し、工業技術センターの再編整備も順調に進められ、世界リゾート博には二百九十万余の方々を国内外からお迎えし、地方博として最大の成果をおさめています。仮谷知事のご労苦に深く敬意を表している一人であります。
 しかし、なぜか県政を冷ややかに感じている県民もおられます。時代の風潮だと申される方もありましょう。バブル崩壊後の経済の停滞に起因すると申される方々もおられると思います。また公共事業の遂行に当たって、県民とのかかわり合いが薄くなっているとも聞かされます。災害復旧などは直接その日の生活にかかわる問題であり、当然、県民の注目するところであると存じます。現在の公共施設の建設では、直接の関係者のみがかかわり、地域全体とのかかわりが薄いとも聞かされます。また地域開発においても、開発地のみが整備され、周辺地域との調和が保たれていないとも聞かされます。そうなれば、当然ながら、県民としてはその施設なり開発を冷ややかに眺めているほかないと申す人もあります。
 そこで、例を挙げて質問いたします。
 リゾート博の会場となった和歌山マリーナシティの基盤整備では親水性の護岸が建設され、将来は東洋一のマリーナを有する海上都市が建設されることになっておりますが、その周辺を見るとき、対岸の護岸は旧来のままでみすぼらしく、調和のある状況とはとても申せません。護岸の改修を行い、親水性を持たせるなり、遊歩道を設けるなりして、県市民の心の憩いの場となるよう配慮すべきではないかと考えます。当局の見解を賜りたいと存じます。
 また現在、和歌山マリーナシティ内に建設されている遊び場は小さな子供には不向きであり、母と子がともに芝生の上でお握りでも食べられる箇所があってこそ、マリーナの存在価値と心のぬくもりが感じられると思います。公共用地の活用と今後の方針、対策についてお聞かせをいただきたいと思います。
 さらに、周辺との調和という点で見ると、近接する黒江地区は紀州漆器の町として長い伝統があり、地域住民の活力、近代化に関心を向けてほしいと思います。伝統産業会館に観光バスが来ると、その道に駐車することになり、生活の利便を損なうことも出ております。
 さしあたって、これまでも私は本会議においてしつこく質問をいたしてまいりました船戸海南線の交通ネック箇所の改修、並びに危険下にある城山トンネルの改良計画の進捗状況を含めて、所見を土木部長にお尋ねいたします。前部長は、変更もならないから、中で百メートルほどやろうと申されたこと、しかと受けとめていただいていると存じますので、その点を踏まえてご答弁を願いたいと思います。
 次に、生活弱者に対する施策についてお尋ねします。
 入院患者の食費負担が、健康保険法の一部改正によって、去る十月一日から一日六百円が患者負担となりました。本県では、高齢化が十年先行しております。県民は、日々の生活で何がしかの不安を抱え、特に老後の生活の不安はぬぐい切れないものがあります。今回の改正によって、入院時に食費負担を必要とされる県内の対象者数は二十万人を超えるかとも存じます。
 先般、和歌山市では、重度心身障害児者、母子家庭、乳児、老人の各医療について市単独で助成をすることとされました。このことで、在住する市町村によって入院されている患者さんたちの間に負担額の差が生じてまいっております。同じ食事をいただきながら、その負担額に差があるということに疑問を感じないわけにはいきません。福祉分野においても社会保障的な性格を有するものについては、日本国内どこにいても同じ程度の保障を受けることができるようになっていなければならないと思います。
 そこで、保健環境部長にお尋ねいたします。
 九月議会において県は助成しないとの方針を示されましたが、再度、検討するつもりはないのかどうか、また助成しないとなれば、月一万八千円と一方では助成しない、この不均衡に対し今後どのように対処されていくおつもりなのか、ご所見をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、関西国際空港の開港に伴う本県経済への波及効果についてお尋ねいたします。
 先月、大和銀総合研究所が発表いたしました関西国際空港の開港効果は五千九百六十億円、国内総生産を押し上げることになるとされております。これは、開港前に同研究所が行った試算を見直したものでありますが、この見直しを行うこととなった経過は、さきに予想した国際線の乗り入れ便数が増加し、人、物の動きが予想以上に増加したためと伺っております。特に、これまで成田空港を経由していた国際貨物の一部が関西空港に振り分けられ、前年度に比べ輸出で六五%の増加、輸入で四六%の増加を見たことによるとされております。また国際線利用客数も、一日当たり二万二千四百六十五人から二万三千五百三十一人へと上方修正されております。さらに、旅行客は空港内のほか、近畿各地の観光地で買い物、飲食を行い、これが近畿全域の生産や所得を増加させ、それがさらに消費に向かうため経済波及効果が膨らむとされております。この効果は、平成七年度にはさらに拡大し、その波及効果は一兆六千五百億円と見込まれ、近畿の国内総生産の成長率を二・三七%押し上げると予測されております。これらの予測は、まことにうれしいものであります。
 そこで、企画部長にお尋ねいたします。
 本県経済にも相応の経済効果をもたらすものと考えておりますが、いかがでありましょうか。また今後、関西国際空港の効果を県勢の伸展に生かすため、全体構想の早期実現を初めどのように取り組む考えでおられるのか、率直なご答弁をお願いしたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。
○副議長(富田 豊君) ただいまの山本一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 山本議員のご質問にお答えいたします。
 初めに、世界リゾート博跡地、並びに対岸を含めた調和のある整備をするべきであるとの趣旨のご質問にお答えいたします。
 マリーナシティの対岸の護岸の整備をとのことでございますが、議員ご質問の護岸、すなわち関西電力海南火力発電所の西側護岸については、その大半がもともとは海南港の防波堤として直轄事業により整備されたものであり、その後、県が行った埋立工事に伴い、現在のような姿になったものでございます。
 この護岸については、現在、魚釣りの場などに利用されておりますが、構造面、景観面などでは必ずしも対岸のマリーナシティと調和のとれたものとはなっておりません。このため、議員ご指摘のように、この護岸の親水性を高め、周辺との調和を図っていくことは必要であると考えており、今後、地元の関係者とも協議しながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、子供のための遊び場をとのことでございますが、和歌山マリーナシティにおいては、我が国初の親水性防波堤を初め緩やかな傾斜の護岸を設置し、高齢者からお子さんまで広く海に親しんでいただけるよう計画しております。また陸上部においては、サンセットパークや北側緑地を整備し、広く県民に潤いの場を提供することとしております。
 議員ご指摘の、特に小さな子供にも楽しんでいただける施設としては、リゾート博終了後に着手した北側緑地において芝生広場や木製のアスレチック施設、噴水等を整備していく予定にしております。
 次に、県道船戸海南線の改修並びに城山トンネルの改良計画についてでございます。
 ご指摘の箇所については、平成六年の夏に一部側溝の整備を行い、幅員の拡大を図ったところでございます。今後も、現道敷地を有効に利用するため、当面の対策として側溝等の整備を行ってまいります。また、本来は幅員十一メートルの都市計画決定どおり整備すべきであると考えますが、交通安全対策を急ぐ必要上、交差点部について改良を行うため地権者に家屋調査の申し出を行いましたが、いまだ了解を得るに至っておりません。今後とも、粘り強く交渉を続けてまいります。
 城山トンネルの改良計画については、人家が密集しておりまして工法等を十分に検討する必要があり、また市の協力も必要でありますので、市とも十分協議しながら、各種調査を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 山本議員ご質問の、入院時の給食費負担六百円についてでございます。
 今回の健康保険制度の改正は、来るべき超高齢化社会の中で揺るぎない社会保障制度を確立し、活力ある福祉社会を実現することを目的として、税制改革、年金制度の改正とあわせて実施されたものであります。改正の主な内容は、今日重要な課題となっている付き添い看護の患者負担の解消を図ること、在宅医療の推進を図ることなどでございます。
 また、議員ご指摘の入院時の食費負担についても、入院している方の食費のみ補助を行うことは在宅で療養されている方との間に著しく均衡を欠くことになり、また負担額は家庭でも要している程度の食事の費用を基準にしており、所得に応じ自己負担額の軽減が講じられていることなどの理由から、国会における十分な議論を経て決定されたものであります。これは、今後予想される高齢化社会に向けての対策として在宅福祉を積極的に進めようとするものであり、それゆえ県としても、改正の趣旨等を踏まえ、負担をお願いすることにいたしました。この方針は現在も変わってございません。
 さらに、現在、市町村間で自己負担の差が生じている点につきましては、国から、地方単独事業により入院時の食費の患者負担を軽減、解消することは制度改正の趣旨に反するものであり不適切であるとの指示があった旨を市町村に通知いたしております。
 今後とも県といたしましては、長期的ビジョンに立って、在宅福祉、医療サービスの充実対策として、訪問看護ステーション、在宅介護支援センターの整備、またマンパワーの強化対策として紀南に看護婦養成所、県立医科大学に附属看護短期大学の設置等の施策を講じるなど、老人保健福祉計画等に基づき、各種施策を総合的に、また着実に実施してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 山本議員にお答えいたします。
 関西国際空港の開港に伴う本県経済への波及効果と全体構想についてでございます。
 まず、本県への波及効果についてでございます。
 現時点では、波及効果の数値はつかめてございません。十一月の一日平均で、関西国際空港への乗り入れ便数が国際線で五十五便、国内線で六十五便が就航し、国際線、国内線の航空旅客が約四万七千人、見学施設利用者数が約九千二百人、貨物取扱量は輸出が四百三十トン、輸入が六百二十トン、国内発送が百十トン、国内到着が百トンと、膨大な人、物等の交流、流通がなされていると聞いてございます。このことから推定いたしましても、本県への波及は直接波及、間接波及を合わせて相当の効果があるものと考えてございます。また、県勢浮揚をかけて開催いたしました世界リゾート博も、当初計画の約二倍の二百九十八万人もの入場者を集め、盛大のうちに幕を閉じたのも、関西国際空港の建設、阪神高速湾岸線、近畿自動車道紀勢線など、周辺の基盤整備が大きな影響を及ぼしたものと考えてございます。
 また、関西国際空港の全体構想については、現在、第七次空港整備五箇年計画に盛り込むべくオール関西で要望活動、調査研究に取り組んでございまして、先般も東京で行われた東京アピール94に本県全体計画促進協議会として、県議会副議長にもご参加いただき、組織を挙げて活動しているところでございます。
 今後は、県議会のご支援をいただきながら、平成七年度に行われるボーリング調査等の予算獲得に向け全力で取り組むとともに、関西国際空港の持つ波及効果を享受するための調査、関西国際空港関連活性化プログラムを取りまとめ、県勢発展に役立ててまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 23番山本 一君。
○山本 一君 土木部長からいろいろご答弁いただきました。私も建設委員会に所属しておりますので、他にお聞きしたいことはまた委員会で質疑をしたいと存じます。
 それから保健環境部長ですが、この六百円と一万八千円の問題です。
 これは、ただそれだけを並べて法的にどうと言えば、なかなか理屈でいかんこともあろうとは思いますけれども、額で見て一万八千円とゼロということになると、片一方ではそれができて、もう片一方ではなぜできないのかとなる。簡単に言えば、お金の勘定で住民の方々に説得するということがなかなか難しい。現実は、その人の恩恵になり、その人の福祉につながる面もあろうと思います。だから、法で通されるならば、こういうものに対してもっと理解をしていただくよう、市町村に対しても県市民に対しても何らかの方法で納得してもらえるように宣伝の徹底をしてほしいと思います。
 これから、和歌山県でも地方選挙がずっと重なります。やっぱり、選挙というものを戦う私らにとっては、工事にしても何にしても、お金がどう動くかということがまず表に出てくる。比べたらはっきりする。そういう、心理的に難しいところがあります。法では割り切れんところがあります。これは国会で審議すべき問題であるかもわかりませんけれども、保健環境部の方でも地方自治体を一生懸命に説得し、納得してもらえるように啓蒙してほしいと思います。それをお願いしたいと思います。
 それだけ要望して、質問を終わります。
○副議長(富田 豊君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山本一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(富田 豊君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十六分散会

このページの先頭へ