平成6年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(尾崎吉弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時六分開議
○議長(平越孝哉君) これより本日の会議を開きます。
○議長(平越孝哉君) この際、申し上げます。
 過ぐる十一月二十五日逝去されました故浜口矩一議員に対し弔意をあらわすため、中村利男君から発言を求められておりますので、この際これを許可いたします。
 21番中村利男君。
  〔中村利男君、登壇〕
○中村利男君 追悼の辞。
 議員各位のご同意を得まして、故浜口矩一議員に謹んで哀悼の言葉をささげたいと存じます。
 かねてから新宮市民病院で入院加療中の浜口さんが、ご家族の手厚い看護のかいもなく、去る十一月二十五日、忽然としてこの世を去られたのであります。思えば、生者必滅、会者定離は世の常とは申せ、余りにも早い旅立ちはまことに痛恨のきわみであります。
 顧みますれば、あなたは昭和十年に和歌山師範学校をご卒業され、東牟婁郡内の小学校、中学校で教諭を歴任後、昭和三十八年には宇久井中学校長に就任され、以来、昭和五十年三月に退職されるまで、三里小学校長、那智中学校長を歴任され、学校教育の向上充実に半生をささげられました。
 こうした教育者としての功績と選挙民、教え子たちの推挙もあり、また郷土を愛する一念から、昭和五十四年四月の和歌山県議会議員選挙に東牟婁郡選挙区から立候補し、見事初当選を果たされました。そのときのあなたのお喜び、その胸中はいかばかりであったかをお察しいたします。
 以来、四期にわたり連続当選され、県議会では日本社会党に所属されるとともに、厚生常任委員会委員長、文教常任委員会副委員長、農林水産常任委員会副委員長を初め、総務、厚生の各常任委員会委員として、また決算審査特別委員会委員、半島振興過疎対策特別委員会委員として非凡な才腕を振るわれ、県勢の伸展に献身的な活躍をされたのであります。
 あなたは、生来、温厚にして清廉潔白で、諸分野に卓越した識見をお持ちの良識あるまじめなお人柄である一方、正義に立ち向かう気骨ある不撓不屈の信念でふるさとに対する強い思いを持たれ、活発な議会活動を展開されました。特に本会議でのあなたの弁舌は、議政壇上を揺さぶり、聞く者の心を打ち、感銘を与えずにはおかないものでした。原子力、農林水産業、教育、医療問題などについて、その識見と強い責任感をもって真摯な活動を展開され、県政に大きなご功績を残されたのであります。こうしたご功績により、全国都道府県議会議長会自治功労者表彰を今十二月議会で伝達されるようになってございます。
 二十一世紀が間近に迫り、豊かなふるさとの創造を目指してまさにこれからという時期だけに、あなたのようなかけがえのないお方を失ったことは、ひとり県議会だけにとどまらず、県民にとりましても大きな損失であり、まことに惜しみてもなお余りある痛恨事と言わざるを得ません。あなたの残された足跡をおしのびするとき、私たちの心に、また和歌山の政界に大きな空洞ができた思いにかられ、残念でなりません。私たちは、あなたがこよなく愛された郷土和歌山の発展のため、一層の努力を重ねてまいる所存でございます。
 名残は尽きませんが、あなたのありし日の面影をしのびつつ、生前の業績をたたえ、その人となりをしのびつつ、心からご冥福をお祈りし、奥様初めご家族並びに和歌山県の前途に限りないご加護を賜りますようご祈念申し上げまして、追悼の言葉といたします。
○議長(平越孝哉君) 次に、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から監査結果の報告及び現金出納検査の結果報告がありましたので、報告いたします。
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○議長(平越孝哉君) 日程第一、議案第百二十一号から議案第百四十二号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 6番尾崎吉弘君。
  〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 十二月定例議会の冒頭、浜口矩一議員のご冥福を議場の皆様、県民の皆様とお祈りしながら、質問をさせていただきたいと存じます。
 西防波堤の埋め立てについての検討委員会の中間報告がなされました。この問題につきましては、平成三年五月の住友金属並びに和歌山市の希望表明以来、私自身の質問も含め、幾度となくこの県議会でも取り上げられてまいりまして、また新聞紙上もにぎわしてきたところであります。
 その結果、本年三月には住友金属から県に対して一定の申し入れがなされ、これを受けて県では本年五月に検討委員会を設置し、新しい土地利用の検討がなされてきたわけであります。そして、去る十一月二十八日に、この検討委員会による中間報告がなされたのであります。
 私はかねてより、この問題の対処に当たっては、全国的にも初めてのケースであり、この埋立地が紀北でただ一つの廃棄物処理場としての役割を有していることや、将来の和歌山県あるいは和歌山下津港の発展を図る上で大変貴重な土地であること、さらに、現在、地球を含めた環境問題が注目されておるときでありますが、環境保全の観点から環境改善のために認められた埋め立てであるので、中長期的な視野に立った上で総合的かつ多面的な観点から現実的な解決を模索すべきことを主張してまいったのであります。その意味では、これまでの県の取り組みを大筋では了とするものでありますが、検討委員会の中間報告という一つの大きな節目を迎えた今の段階におきまして、改めて県当局の考え方と今後の取り組み方針を確認しておきたいと思うのであります。
 そこで、まず一連の質問の前提といたしまして、今回の中間報告の意義あるいは位置づけがどういうものであるのかということについて、企画部長にご答弁を願いたいと思います。
 中間報告では、「6 おわりに」というところに「検討委員会としては西防波堤沖埋立地の利用について検討を行い一応の計画案を示したところであるが、最終的な判断を行なうためにはこれまで述べてきたように、支援施設を含め以下の1)~3)について、それぞれの事業主体等での別途調査や見通し等が必要であると考えているところであり、その結果を待って利用計画案の答申を行なうことといたしたい」となっておるわけでありますが、このことの意味、今後の手順などについてご答弁をいただきたいと思うのであります。
 今回の中間報告では、環境保全と公共・公益的利用、良好な港湾条件の活用などを基本方針とし、新たな土地利用の内容として六項目の利用が示されております。第一は、地域の環境保全のための製鉄所高転炉滓の処理場、第二は、関係法規の枠組みを踏まえ、増大するエネルギー需要に対処するためのLNG火力発電所、第三は、リサイクルの促進などを前提とした上での廃棄物の広域処理、第四は、大阪湾地域のゲートウエー・玄関口に立地するという和歌山下津港の立地条件を生かした、テクノスーパーライナーへの対応を含む多目的公共埠頭、第五は、水辺の特性を生かしつつ良好な環境を創出し、一般市民の利用を図るための緑地公園、そして第六に、環境問題の研究や啓蒙を行うための環境保健センターであります。
 これらの内容については、私も今後の和歌山の振興発展を考えていく上でそれぞれ大きな意味を有するものと思うわけでありますが、これらの利用内容について、現時点での県当局の考え方を確認しておきたいと思うのであります。
 まず初めに、今回の中間報告の内容や方向を総括して、知事の所見をお伺いしたいと存じます。県勢の浮揚発展あるいは県民福祉の向上という面で今回の中間報告の内容をどのようにとらえ、考えられておるか、お答えをいただきたいと思います。
 次に、各利用項目ごとに所管行政上どういう意義を見出し、あるいはどのように評価しておられるのか、そして今後どう対処しようと考えているのかということについて、各利用項目に関係する企画部長、保健環境部長及び土木部長の答弁を求めるものであります。
 かねてからも再三申し上げてまいりましたが、この西防埋立地の原点は公害対策であります。すなわち、公害の発生源を沖に移して公害をなくする目的で埋め立てが認められてきたという過去のいきさつがあるわけでありまして、大きく言えば地域の環境改善であります。この点につきましては、中間報告の「6 おわりに」という項で、「なお、検討委員会においても意見が出されたが、住友金属工業株式会社の環境改善対策による当初の環境改善目標値の達成と将来のより良い環境条件の創出への努力表明が今回のいわゆる沖だし計画見直しの要因であったことから、関係者において十分見守っていくべきであろう」となっておりますが、私といたしましては、見守るだけでは弱いのではないかと思っておるのであります。
 既に、六月議会での私の環境保全に関する要望について、知事からは十分配慮するとの回答を、また公害関係の数値目標は満足しているとの保健環境部長の答弁をいただいているところでありますが、月平均や年平均ではかれない、風向きなどの気象条件等によって短時間に起こる高濃度汚染、あるいは場所を限定して局地的に起こる公害に対処できるとは言いがたい点があるのではなかろうかと思っております。
 そこで、よりよい環境を創出する、それを見守っていくということは、どのようにして見守るのか、保健環境部長の答弁を求めるものであります。
 また、埋立地の新たな土地利用について、中間報告の中でも、瀬戸内法の観点から新たな土地利用は環境保全に十分配慮されたものである必要があり、新しい時代に向けた環境創造に創意工夫を凝らすことが必要とされておりますが、保健環境部長としてはどの時期にどう指導されていくお考えなのか、お伺いをいたします。
 さらに、新たな利用計画、特にLNG火力などによる環境負荷が増加するものと考えられます。公害源の施設を移転することによって達成されるとされていた環境目標については、住友金属はもちろんのこと、他の新たな利用計画を含めて達成されるべきものと考えますが、この点について保健環境部長にあわせて答弁をお願いしたいと思うのであります。
 また、この環境問題に関連して、未整備の緩衝緑地の問題もございます。すなわち、河西緩衝緑地の残事業の問題であります。
 この問題につきましては、地域の環境改善を図る上でぜひとも必要であるとの観点から、私は、過去の約束を積み残しにしたまま新たな計画へ乗り出すということではなしに、過去からの約束を整理して、それに対するきちっとした会社としての方針を言明して次に進まなければならないという観点から、ことしの二月議会でも質問をさせていただき、それに対して県の方では、公共事業として実施することはなじみにくく、今後企業において整備する方向で進めてまいりたいという答弁をいただいたいきさつがあります。
 そこで、その後の検討・調整状況も含め、改めて現時点での考え方について土木部長に答弁をお願いしたいと思うのであります。
 先ほども申し上げましたように、私は大筋においてこの問題の解決に向けてのレールが敷かれつつあるように思っております。中間報告で示された利用計画案は和歌山の振興発展を考える上でそれぞれ意義を有するものであり、今後、引き続き検討が深められるものと思います。その検討に当たっては、中間報告でも触れておられますが、この西防沖埋立地に対する陸上のアクセスが大きな問題であります。この西防沖埋立地へのアクセスというものは、すなわち和歌山下津港に対するアクセスと同じでありまして、今まで何回となくこの壇上で申し上げてきたところであります。西防沖埋立地への道路アクセスが完備しなければ当然この土地の有効利用はできないし、和歌山下津港の発展もあり得ないということでございます。今回は特に陸上アクセスについて答弁を求めることはいたしませんけれども、一方で忘れてはならない問題として、海上側のアクセスの問題を提起しておきたいと思います。
 中間報告を見ますと、良好な港湾条件を生かすという観点から、多目的公共埠頭や火力発電所などが提唱されております。それ自体は結構なことでありますが、海上側のアクセスの問題、すなわち入港船舶の増加をもたらすものと推測をされます。和歌山下津港の前面海域は大阪湾の入口部に位置しておりまして、船舶航行のふくそうする海域であります。また、先般は船舶衝突に伴う油流出事故も発生したところであります。
 そこで、この問題の締めくくりとして、こうした海上輸送の安全対策についてどのように認識し、また検討していくのかということについて、土木部長の答弁を求めるものであります。
 まず第一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(平越孝哉君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎吉弘議員にお答え申し上げます。
 住友金属西防埋め立てについては、本年五月に検討委員会を設置し、検討をいただいているところでございまして、去る十一月二十八日に中間報告をいただいた次第でございます。
 検討委員会においては、委員の各先生方には長時間にわたり熱心かつ活発にご討議をいただき、今回の報告をまとめていただいたわけでございまして、本県での重要な課題、先ほど来話ございました産業廃棄物とか公共大埠頭の問題等々について、私は一定の前進を見たものであると考えております。また、利用計画案全体としては本県の活性化と県民福祉の向上を目的としているものでございまして、環境保全と公共・公益的利用に即するものであると考えておるところでございます。
 今後、最終答申をいただくわけでございますけれども、それまでに県としても積極的に関係団体とともに必要な対処をしてまいりたいと思っております。
 他の問題は、部長から答弁いたします。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 尾崎吉弘議員にお答えいたします。
 西防埋め立ての中間報告の位置づけと意義でございますが、最終答申が出されるまでの中間的な段階におけるこれまでの検討内容が報告されたもので、最終答申に向けての利用計画の方向性が示されたものと受けとめてございます。
 具体的には、製鉄所の高転炉滓の処理施設、LNGの火力発電所等、六つの利用計画が適当とされており、同時に最終判断をなすために必要な調査等が指示されてございます。これら調査については行政や事業主体が行うこととなりますが、委員会の事務局である企画部としては、関係部局や各方面と連携を密にしながら、その速やかな実施について努力してまいる所存でございます。
 次に、中間報告の各利用計画に対する考え方でございます。
 計画案に示されたLNG火力発電所の立地については、地元の意向を尊重しつつ、適地性、安全性、地元の同意という電源立地に対する三原則を堅持し、地域振興の立場で対応してまいります。
 中間報告ではLNG火力発電所の立地が適当であると結論されておりますが、最終判断のためには通産省の環境影響調査要綱等に基づく環境調査の実施が必要であるとされてございます。したがって、電気事業者による環境影響調査の実施状況を見きわめてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 尾崎吉弘議員ご質問の中間報告の各利用計画案に対する考え方ですが、保健環境部としては、廃棄物広域処理機能と環境保健センター(仮称)が中間報告に取り上げられましたことは非常に喜ばしいと思っております。
 廃棄物は、その処理処分が社会問題化していること、また西防埋立地が平成八年八月に終了することなどを考え合わせますと、公共関与によるフェニックスへの積み出し基地及びその前処理施設が取り上げられたことは、時宜を得たものであると考えております。このような意味から、当初計画の公害発生源の沖出しである製鉄所の高転炉滓処理場についても、廃棄物の減量化、再資源化が考えられており、適当であると認識しております。
 また、環境保健センターについても、環境基本法への対応や保健所法等の改正に対応することはもちろん、複雑化する環境問題や健康問題に対処するため、県衛生公害研究センターの機能を見直し、移転拡充を図りたいと考えているものでございます。
 今後、両施設について早急に整備計画を取りまとめる等、所要の対応を図ってまいりたいと考えております。
 続いて、環境保全への取り組み方についてお答えいたします。
 数値目標の達成と今後の公害対策については、さきの議会において答弁申し上げたところですが、気象条件や局地汚染問題への対応については、県としても環境庁とも打ち合わせ、環境モニタリングシステムを住友金属工業に構築させ、県の住友金属周辺のデータを提供するなどし、住民ニーズを反映したきめ細かい公害対策を指導してまいりたいと考えています。
 また、よりよい環境を求めた公害対策の見守り方については、当面、公害防止協定に基づく設備承認で必要な指導を行い、住友金属工業の追加公害対策等の結果を見て、公害防止協定の改定も考えてまいりたいと思います。
 埋立地の土地利用に関する環境面の対応については、この検討委員会においても環境に優しい利用計画とされておりますが、今後、LNG火力発電所に関しては、一つには国の電源開発調整審議会の環境事前評価の行われる中で、二つにはLNG火力発電所とその他の利用計画を含め港湾計画の環境事前評価の行われる中で、県として詳細に指導してまいりたいと考えています。
 新規立地に伴う環境問題については、利用計画の具体化や環境アセスメントの結果を見て判断すべきもので、住民と発生源の距離や公害の種類によって一律に考えられませんが、議員ご指摘の方向で今後公害防止協定の改定などを検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 尾崎吉弘議員のご質問、三点についてお答えいたします。
 第一点として、新たな利用計画案の意義などについてでございますが、多目的公共埠頭と緑地公園についてお答えいたします。
 まず、テクノスーパーライナーへの対応を含む多目的公共埠頭については、これまでも関連の質問に対する答弁で申し上げてまいりましたように、和歌山下津港においては大水深の公共バースが絶対的に不足している状況にあります。また、外国貿易用のコンテナターミナルがないため、県内に発着する外航コンテナ貨物はすべて大阪港や神戸港などで扱われている状況でありますので、こうした現状の改善に大きく寄与するものと考えております。
 また、和歌山下津港においては、大阪湾の入り口に位置するという立地条件を生かし、県内だけでなく広域にサービスする港湾を目指すべきであり、テクノスーパーライナーにも対応できる多目的公共埠頭はぜひとも必要なものでございます。今後、所要の面積、必要な水深、所要の施設の配置等について早急に検討を行うとともに、一方ではポートセールスなどについても積極的に対応してまいりたいと考えております。
 次に、緑地公園については、もともとの埋め立て計画にも含まれていたものであり、また和歌山下津港の現状は港や海辺に市民の親しめる場所が少なく、さらに今回の検討の基本方針でも環境保全・改善に資することとしており、ぜひとも必要なものと考えております。
 このため、緑地のあり方について検討するに当たっては、自然と触れ合え親しめる緑地、一般市民の利用や魚釣り護岸との一体的な利用といった観点も含めて進めてまいりたいと考えております。
 二点目の緩衝緑地に関する対処方針についてでございます。
 河西緩衝緑地については、既存の河西公園その他企業緑地も含め、昭和五十七年九月に都市計画決定を行い、湊、中松江、西松江地区について公害防止事業団に委託し、平成四年度完成したことにより四十九・五ヘクタールが供用してございます。河西緩衝緑地のうち未整備区域である東松江地区など十ヘクタールについては、企業において整備をする方向で検討依頼をしてまいったところでございます。これを受けて住友金属工業では事業化に向けて調査を行っているところであり、緩衝緑地の整備を進めていくとのことでございます。県としても、この意向を受け、緑地の整備に向け一層の努力をしてまいります。
 最後に、海上交通の安全対策についてでございます。
 和歌山下津港の前面水域は大阪湾の入り口部に位置することから、船舶航行のふくそうした海域であると認識しております。また、和歌山下津港への入港船舶数は、平成五年の港湾統計によれば五トン以上の船舶で年間約三万三千隻、うちこの西防埋立地が立地する北港区に入港する船舶数は年間約四千七百隻、一日平均で十三隻となってございます。
 議員ご指摘のとおり、今回の利用計画案は船舶航行の増加をもたらすものであり、海上輸送の安全対策は今後の重要な検討課題であると考えてございます。このため、今後、入港船舶数の推計や航行ルート、操船方法の検討などを綿密に行う予定にしております。特にLNGの輸送船については、巨大船でございますことから、その施設計画に当たっては港湾管理者サイドの検討に加え、海難防止協会において専門的な委員会が設けられ、その安全性について検討、審査されることが通例となってございます。
 いずれにしても、海事関係者の意見も聞きながら具体的な計画づくりを進めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 6番尾崎吉弘君。
○尾崎吉弘君 知事からもお話がありましたけれども、検討委員会の先生方の精力的なご検討には、私も敬意を表するものでございます。 その中で、今、最後に土木部長から答弁がございましたマイナス十九メートルという大水深の活用は、和歌山下津港にとりましては大変大事なものでございます。これだけの大水深を持つ港湾はほかには少ないということでございまして、これを十分活用できるような工夫、検討が今からなされていかなければならない。すなわち、答弁の中にも出てまいりましたけれども、この間の議会でも申し上げましたように、コンテナ施設がないために和歌山の地場産業がこうむっておるコスト面でのマイナス──和歌山下津港が近畿の一翼を大きく担える港に発展するためには、テクノスーパーライナーの設置も含めてこの場所の活用こそが最も大切であると考えておるわけでありまして、来年度される十年間の港湾改定計画の中でも十分の検討を、この際特に強く要望しておきたいと思うのであります。
 次に、環境問題につきましては、最終的に電源開発調整審議会というものにかけられる、そのための影響評価の調査が始まるということでありますけれども、これはLNGを設置した場合のそれに対する調査ということでありまして、住友金属を含めた全体としての環境調査というのがまた必要になってくるわけであります。それは港湾計画の中で総合的な調査を行っていくとの答弁でございますが、関電独自の環境影響調査、そして住友金属その他を含めた港湾地域としての環境影響調査、この二点をしっかりとやっていただくことが大変大事になってまいると思うのであります。そのための準備も怠りなくお願いを申し上げたいと思っております。
 和歌山市民の間では、何と申しましてもLNG火力発電所に対する関心が高いわけでありまして、恐らくきょうあたり、市長から調査をしてほしいという要請が市議会の推進決議を得て出るのではないかと思うわけであります。あるいはもう出ておるのかもしれませんが、これが出ますと、関西電力から調査をさせていただきますという申し入れがありまして、また地元の漁業組合にも調査に同意してもらいたいという申し入れを行い、漁業組合の同意を得て市長としての判断で同意をしていくという順序になるようであります。
 そこで、環境影響調査書の作成のための作業に入ると聞いておりますが、春、夏、秋、冬と、それぞれの季節に応じた現況調査をすることになりますから、この現況調査で最低一年はかかる。その上に立って今度は予測評価書というものをつくっていくのに大体半年から一年と聞いております。それがスムーズに進めば、知事は関西電力からの建設要請を受けて、隣接の市町村の同意を得て、総理大臣の諮問機関である電源開発調整審議会に持っていくというふうな順序と聞いておりますけれども、西防沖埋立地の活用ということは、知事も申しておられましたように、和歌山県のいろいろな面での振興にとって非常に大きな問題であると同時に、環境という面からも非常に大きな問題であります。こういう二点に十分ご留意をいただきまして、慎重かつ積極的にご対処していただきますよう要望申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。

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