平成6年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成六年十二月七日(水曜日)
  午前十時開議
  第一 議案第百二十一号から議案第百四十二号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百二十一号から議案第百四十二号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十一人)
 1  番  小  川 武
 2  番  吉  井  和  視
 3  番  井  出  益  弘
 4  番  和  田  正  一
 5  番  町  田 亘
 6  番  尾  崎  吉  弘
 7  番  岡  本 保
 8  番  藁  科  義  清
 9  番  向  井 嘉久藏  
 10  番  佐  田  頴  一
 11  番  阪  部  菊  雄
 12  番  堀  本  隆  男
 13  番  平  越  孝  哉
 14  番  富  田 豊
 15  番  門  三佐博  
 17  番  高  瀬  勝  助
 18  番  上  野  哲  弘
 19  番 宇治田  栄  蔵
 20  番  尾  崎  要  二
 21  番  中  村  利  男
 23  番  山  本 一
 24  番  馬  頭  哲  弥
 25  番  鶴  田  至  弘
 26  番  飯  田  敬  文
 27  番  村  岡 キミ子  
 28  番  松  本  貞  次
 29  番  下  川  俊  樹
 31  番  宗 正  彦
 32  番  橋  本 進
 33  番  浜  田  真  輔
 34  番  冨  安  民  浩
 35  番 上野山  親  主
 36  番  中  村  裕  一
 37  番  和  田  正  人
 38  番  大  江  康  弘
 40  番  木  下  秀  男
 42  番  森 正  樹
 43  番 野見山   海
 44  番  新  田  和  弘
 45  番  浜  本 収
 46  番  森  本  明  雄
欠 席 議 員(二人)
 16  番  西  本  長  弘
 39  番  中  西  雄  幸
 〔備 考〕
 22  番  欠  員
 30  番  欠  員
 41  番  欠  員
 47  番  欠  員
説明のため出席した者
 知 事 仮  谷  志  良
 副知事 西  口 勇
 出納長 梅  田  善  彦
 知事公室長 中  西  伸  雄
 総務部長  木  村  良  樹
 企画部長  宮  市  武  彦
 民生部長  南  出  紀  男
 保健環境部長  江  口  弘  久
 商工労働部長  中  山  次  郎
 農林水産部長  野  見  典  展
 土木部長  山  根  一  男
 企業局次長 味  村 勝
  以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 岩  崎  正  夫
 教育長 西  川 時千代  
  以下教育次長
 公安委員会委員長
 西  本  貫  一
 警察本部長 西  川  徹  矢
  以下各部長
 人事委員会委員長
 水  谷  舜  介
  人事委員会事務局長
 代表監査委員  天  谷  一  郎
  監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長職務代理者
 谷  口  庄  一
  選挙管理委員会書記長
  地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長  岩  垣 孝
 次  長  中  西  俊  二
 議事課長  松  田  捷  穂
 議事課副課長  佐  竹  欣  司
 議事班長  松  谷  秋  男
 議事課主事 長  尾  照  雄
 議事課主事 松  本  浩  典
 総務課長  岡  山  哲  夫
 調査課長  柏  木 衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉  川  欽  二
 議事課主査 鎌  田 繁
 議事課速記技師 保  田  良  春
  ──────────────────
  午前十時六分開議
○議長(平越孝哉君) これより本日の会議を開きます。
○議長(平越孝哉君) この際、申し上げます。
 過ぐる十一月二十五日逝去されました故浜口矩一議員に対し弔意をあらわすため、中村利男君から発言を求められておりますので、この際これを許可いたします。
 21番中村利男君。
  〔中村利男君、登壇〕
○中村利男君 追悼の辞。
 議員各位のご同意を得まして、故浜口矩一議員に謹んで哀悼の言葉をささげたいと存じます。
 かねてから新宮市民病院で入院加療中の浜口さんが、ご家族の手厚い看護のかいもなく、去る十一月二十五日、忽然としてこの世を去られたのであります。思えば、生者必滅、会者定離は世の常とは申せ、余りにも早い旅立ちはまことに痛恨のきわみであります。
 顧みますれば、あなたは昭和十年に和歌山師範学校をご卒業され、東牟婁郡内の小学校、中学校で教諭を歴任後、昭和三十八年には宇久井中学校長に就任され、以来、昭和五十年三月に退職されるまで、三里小学校長、那智中学校長を歴任され、学校教育の向上充実に半生をささげられました。
 こうした教育者としての功績と選挙民、教え子たちの推挙もあり、また郷土を愛する一念から、昭和五十四年四月の和歌山県議会議員選挙に東牟婁郡選挙区から立候補し、見事初当選を果たされました。そのときのあなたのお喜び、その胸中はいかばかりであったかをお察しいたします。
 以来、四期にわたり連続当選され、県議会では日本社会党に所属されるとともに、厚生常任委員会委員長、文教常任委員会副委員長、農林水産常任委員会副委員長を初め、総務、厚生の各常任委員会委員として、また決算審査特別委員会委員、半島振興過疎対策特別委員会委員として非凡な才腕を振るわれ、県勢の伸展に献身的な活躍をされたのであります。
 あなたは、生来、温厚にして清廉潔白で、諸分野に卓越した識見をお持ちの良識あるまじめなお人柄である一方、正義に立ち向かう気骨ある不撓不屈の信念でふるさとに対する強い思いを持たれ、活発な議会活動を展開されました。特に本会議でのあなたの弁舌は、議政壇上を揺さぶり、聞く者の心を打ち、感銘を与えずにはおかないものでした。原子力、農林水産業、教育、医療問題などについて、その識見と強い責任感をもって真摯な活動を展開され、県政に大きなご功績を残されたのであります。こうしたご功績により、全国都道府県議会議長会自治功労者表彰を今十二月議会で伝達されるようになってございます。
 二十一世紀が間近に迫り、豊かなふるさとの創造を目指してまさにこれからという時期だけに、あなたのようなかけがえのないお方を失ったことは、ひとり県議会だけにとどまらず、県民にとりましても大きな損失であり、まことに惜しみてもなお余りある痛恨事と言わざるを得ません。あなたの残された足跡をおしのびするとき、私たちの心に、また和歌山の政界に大きな空洞ができた思いにかられ、残念でなりません。私たちは、あなたがこよなく愛された郷土和歌山の発展のため、一層の努力を重ねてまいる所存でございます。
 名残は尽きませんが、あなたのありし日の面影をしのびつつ、生前の業績をたたえ、その人となりをしのびつつ、心からご冥福をお祈りし、奥様初めご家族並びに和歌山県の前途に限りないご加護を賜りますようご祈念申し上げまして、追悼の言葉といたします。
○議長(平越孝哉君) 次に、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から監査結果の報告及び現金出納検査の結果報告がありましたので、報告いたします。
  ──────────────────
○議長(平越孝哉君) 日程第一、議案第百二十一号から議案第百四十二号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 6番尾崎吉弘君。
  〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 十二月定例議会の冒頭、浜口矩一議員のご冥福を議場の皆様、県民の皆様とお祈りしながら、質問をさせていただきたいと存じます。
 西防波堤の埋め立てについての検討委員会の中間報告がなされました。この問題につきましては、平成三年五月の住友金属並びに和歌山市の希望表明以来、私自身の質問も含め、幾度となくこの県議会でも取り上げられてまいりまして、また新聞紙上もにぎわしてきたところであります。
 その結果、本年三月には住友金属から県に対して一定の申し入れがなされ、これを受けて県では本年五月に検討委員会を設置し、新しい土地利用の検討がなされてきたわけであります。そして、去る十一月二十八日に、この検討委員会による中間報告がなされたのであります。
 私はかねてより、この問題の対処に当たっては、全国的にも初めてのケースであり、この埋立地が紀北でただ一つの廃棄物処理場としての役割を有していることや、将来の和歌山県あるいは和歌山下津港の発展を図る上で大変貴重な土地であること、さらに、現在、地球を含めた環境問題が注目されておるときでありますが、環境保全の観点から環境改善のために認められた埋め立てであるので、中長期的な視野に立った上で総合的かつ多面的な観点から現実的な解決を模索すべきことを主張してまいったのであります。その意味では、これまでの県の取り組みを大筋では了とするものでありますが、検討委員会の中間報告という一つの大きな節目を迎えた今の段階におきまして、改めて県当局の考え方と今後の取り組み方針を確認しておきたいと思うのであります。
 そこで、まず一連の質問の前提といたしまして、今回の中間報告の意義あるいは位置づけがどういうものであるのかということについて、企画部長にご答弁を願いたいと思います。
 中間報告では、「6 おわりに」というところに「検討委員会としては西防波堤沖埋立地の利用について検討を行い一応の計画案を示したところであるが、最終的な判断を行なうためにはこれまで述べてきたように、支援施設を含め以下の1)~3)について、それぞれの事業主体等での別途調査や見通し等が必要であると考えているところであり、その結果を待って利用計画案の答申を行なうことといたしたい」となっておるわけでありますが、このことの意味、今後の手順などについてご答弁をいただきたいと思うのであります。
 今回の中間報告では、環境保全と公共・公益的利用、良好な港湾条件の活用などを基本方針とし、新たな土地利用の内容として六項目の利用が示されております。第一は、地域の環境保全のための製鉄所高転炉滓の処理場、第二は、関係法規の枠組みを踏まえ、増大するエネルギー需要に対処するためのLNG火力発電所、第三は、リサイクルの促進などを前提とした上での廃棄物の広域処理、第四は、大阪湾地域のゲートウエー・玄関口に立地するという和歌山下津港の立地条件を生かした、テクノスーパーライナーへの対応を含む多目的公共埠頭、第五は、水辺の特性を生かしつつ良好な環境を創出し、一般市民の利用を図るための緑地公園、そして第六に、環境問題の研究や啓蒙を行うための環境保健センターであります。
 これらの内容については、私も今後の和歌山の振興発展を考えていく上でそれぞれ大きな意味を有するものと思うわけでありますが、これらの利用内容について、現時点での県当局の考え方を確認しておきたいと思うのであります。
 まず初めに、今回の中間報告の内容や方向を総括して、知事の所見をお伺いしたいと存じます。県勢の浮揚発展あるいは県民福祉の向上という面で今回の中間報告の内容をどのようにとらえ、考えられておるか、お答えをいただきたいと思います。
 次に、各利用項目ごとに所管行政上どういう意義を見出し、あるいはどのように評価しておられるのか、そして今後どう対処しようと考えているのかということについて、各利用項目に関係する企画部長、保健環境部長及び土木部長の答弁を求めるものであります。
 かねてからも再三申し上げてまいりましたが、この西防埋立地の原点は公害対策であります。すなわち、公害の発生源を沖に移して公害をなくする目的で埋め立てが認められてきたという過去のいきさつがあるわけでありまして、大きく言えば地域の環境改善であります。この点につきましては、中間報告の「6 おわりに」という項で、「なお、検討委員会においても意見が出されたが、住友金属工業株式会社の環境改善対策による当初の環境改善目標値の達成と将来のより良い環境条件の創出への努力表明が今回のいわゆる沖だし計画見直しの要因であったことから、関係者において十分見守っていくべきであろう」となっておりますが、私といたしましては、見守るだけでは弱いのではないかと思っておるのであります。
 既に、六月議会での私の環境保全に関する要望について、知事からは十分配慮するとの回答を、また公害関係の数値目標は満足しているとの保健環境部長の答弁をいただいているところでありますが、月平均や年平均ではかれない、風向きなどの気象条件等によって短時間に起こる高濃度汚染、あるいは場所を限定して局地的に起こる公害に対処できるとは言いがたい点があるのではなかろうかと思っております。
 そこで、よりよい環境を創出する、それを見守っていくということは、どのようにして見守るのか、保健環境部長の答弁を求めるものであります。
 また、埋立地の新たな土地利用について、中間報告の中でも、瀬戸内法の観点から新たな土地利用は環境保全に十分配慮されたものである必要があり、新しい時代に向けた環境創造に創意工夫を凝らすことが必要とされておりますが、保健環境部長としてはどの時期にどう指導されていくお考えなのか、お伺いをいたします。
 さらに、新たな利用計画、特にLNG火力などによる環境負荷が増加するものと考えられます。公害源の施設を移転することによって達成されるとされていた環境目標については、住友金属はもちろんのこと、他の新たな利用計画を含めて達成されるべきものと考えますが、この点について保健環境部長にあわせて答弁をお願いしたいと思うのであります。
 また、この環境問題に関連して、未整備の緩衝緑地の問題もございます。すなわち、河西緩衝緑地の残事業の問題であります。
 この問題につきましては、地域の環境改善を図る上でぜひとも必要であるとの観点から、私は、過去の約束を積み残しにしたまま新たな計画へ乗り出すということではなしに、過去からの約束を整理して、それに対するきちっとした会社としての方針を言明して次に進まなければならないという観点から、ことしの二月議会でも質問をさせていただき、それに対して県の方では、公共事業として実施することはなじみにくく、今後企業において整備する方向で進めてまいりたいという答弁をいただいたいきさつがあります。
 そこで、その後の検討・調整状況も含め、改めて現時点での考え方について土木部長に答弁をお願いしたいと思うのであります。
 先ほども申し上げましたように、私は大筋においてこの問題の解決に向けてのレールが敷かれつつあるように思っております。中間報告で示された利用計画案は和歌山の振興発展を考える上でそれぞれ意義を有するものであり、今後、引き続き検討が深められるものと思います。その検討に当たっては、中間報告でも触れておられますが、この西防沖埋立地に対する陸上のアクセスが大きな問題であります。この西防沖埋立地へのアクセスというものは、すなわち和歌山下津港に対するアクセスと同じでありまして、今まで何回となくこの壇上で申し上げてきたところであります。西防沖埋立地への道路アクセスが完備しなければ当然この土地の有効利用はできないし、和歌山下津港の発展もあり得ないということでございます。今回は特に陸上アクセスについて答弁を求めることはいたしませんけれども、一方で忘れてはならない問題として、海上側のアクセスの問題を提起しておきたいと思います。
 中間報告を見ますと、良好な港湾条件を生かすという観点から、多目的公共埠頭や火力発電所などが提唱されております。それ自体は結構なことでありますが、海上側のアクセスの問題、すなわち入港船舶の増加をもたらすものと推測をされます。和歌山下津港の前面海域は大阪湾の入口部に位置しておりまして、船舶航行のふくそうする海域であります。また、先般は船舶衝突に伴う油流出事故も発生したところであります。
 そこで、この問題の締めくくりとして、こうした海上輸送の安全対策についてどのように認識し、また検討していくのかということについて、土木部長の答弁を求めるものであります。
 まず第一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(平越孝哉君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎吉弘議員にお答え申し上げます。
 住友金属西防埋め立てについては、本年五月に検討委員会を設置し、検討をいただいているところでございまして、去る十一月二十八日に中間報告をいただいた次第でございます。
 検討委員会においては、委員の各先生方には長時間にわたり熱心かつ活発にご討議をいただき、今回の報告をまとめていただいたわけでございまして、本県での重要な課題、先ほど来話ございました産業廃棄物とか公共大埠頭の問題等々について、私は一定の前進を見たものであると考えております。また、利用計画案全体としては本県の活性化と県民福祉の向上を目的としているものでございまして、環境保全と公共・公益的利用に即するものであると考えておるところでございます。
 今後、最終答申をいただくわけでございますけれども、それまでに県としても積極的に関係団体とともに必要な対処をしてまいりたいと思っております。
 他の問題は、部長から答弁いたします。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 尾崎吉弘議員にお答えいたします。
 西防埋め立ての中間報告の位置づけと意義でございますが、最終答申が出されるまでの中間的な段階におけるこれまでの検討内容が報告されたもので、最終答申に向けての利用計画の方向性が示されたものと受けとめてございます。
 具体的には、製鉄所の高転炉滓の処理施設、LNGの火力発電所等、六つの利用計画が適当とされており、同時に最終判断をなすために必要な調査等が指示されてございます。これら調査については行政や事業主体が行うこととなりますが、委員会の事務局である企画部としては、関係部局や各方面と連携を密にしながら、その速やかな実施について努力してまいる所存でございます。
 次に、中間報告の各利用計画に対する考え方でございます。
 計画案に示されたLNG火力発電所の立地については、地元の意向を尊重しつつ、適地性、安全性、地元の同意という電源立地に対する三原則を堅持し、地域振興の立場で対応してまいります。
 中間報告ではLNG火力発電所の立地が適当であると結論されておりますが、最終判断のためには通産省の環境影響調査要綱等に基づく環境調査の実施が必要であるとされてございます。したがって、電気事業者による環境影響調査の実施状況を見きわめてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 尾崎吉弘議員ご質問の中間報告の各利用計画案に対する考え方ですが、保健環境部としては、廃棄物広域処理機能と環境保健センター(仮称)が中間報告に取り上げられましたことは非常に喜ばしいと思っております。
 廃棄物は、その処理処分が社会問題化していること、また西防埋立地が平成八年八月に終了することなどを考え合わせますと、公共関与によるフェニックスへの積み出し基地及びその前処理施設が取り上げられたことは、時宜を得たものであると考えております。このような意味から、当初計画の公害発生源の沖出しである製鉄所の高転炉滓処理場についても、廃棄物の減量化、再資源化が考えられており、適当であると認識しております。
 また、環境保健センターについても、環境基本法への対応や保健所法等の改正に対応することはもちろん、複雑化する環境問題や健康問題に対処するため、県衛生公害研究センターの機能を見直し、移転拡充を図りたいと考えているものでございます。
 今後、両施設について早急に整備計画を取りまとめる等、所要の対応を図ってまいりたいと考えております。
 続いて、環境保全への取り組み方についてお答えいたします。
 数値目標の達成と今後の公害対策については、さきの議会において答弁申し上げたところですが、気象条件や局地汚染問題への対応については、県としても環境庁とも打ち合わせ、環境モニタリングシステムを住友金属工業に構築させ、県の住友金属周辺のデータを提供するなどし、住民ニーズを反映したきめ細かい公害対策を指導してまいりたいと考えています。
 また、よりよい環境を求めた公害対策の見守り方については、当面、公害防止協定に基づく設備承認で必要な指導を行い、住友金属工業の追加公害対策等の結果を見て、公害防止協定の改定も考えてまいりたいと思います。
 埋立地の土地利用に関する環境面の対応については、この検討委員会においても環境に優しい利用計画とされておりますが、今後、LNG火力発電所に関しては、一つには国の電源開発調整審議会の環境事前評価の行われる中で、二つにはLNG火力発電所とその他の利用計画を含め港湾計画の環境事前評価の行われる中で、県として詳細に指導してまいりたいと考えています。
 新規立地に伴う環境問題については、利用計画の具体化や環境アセスメントの結果を見て判断すべきもので、住民と発生源の距離や公害の種類によって一律に考えられませんが、議員ご指摘の方向で今後公害防止協定の改定などを検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 尾崎吉弘議員のご質問、三点についてお答えいたします。
 第一点として、新たな利用計画案の意義などについてでございますが、多目的公共埠頭と緑地公園についてお答えいたします。
 まず、テクノスーパーライナーへの対応を含む多目的公共埠頭については、これまでも関連の質問に対する答弁で申し上げてまいりましたように、和歌山下津港においては大水深の公共バースが絶対的に不足している状況にあります。また、外国貿易用のコンテナターミナルがないため、県内に発着する外航コンテナ貨物はすべて大阪港や神戸港などで扱われている状況でありますので、こうした現状の改善に大きく寄与するものと考えております。
 また、和歌山下津港においては、大阪湾の入り口に位置するという立地条件を生かし、県内だけでなく広域にサービスする港湾を目指すべきであり、テクノスーパーライナーにも対応できる多目的公共埠頭はぜひとも必要なものでございます。今後、所要の面積、必要な水深、所要の施設の配置等について早急に検討を行うとともに、一方ではポートセールスなどについても積極的に対応してまいりたいと考えております。
 次に、緑地公園については、もともとの埋め立て計画にも含まれていたものであり、また和歌山下津港の現状は港や海辺に市民の親しめる場所が少なく、さらに今回の検討の基本方針でも環境保全・改善に資することとしており、ぜひとも必要なものと考えております。
 このため、緑地のあり方について検討するに当たっては、自然と触れ合え親しめる緑地、一般市民の利用や魚釣り護岸との一体的な利用といった観点も含めて進めてまいりたいと考えております。
 二点目の緩衝緑地に関する対処方針についてでございます。
 河西緩衝緑地については、既存の河西公園その他企業緑地も含め、昭和五十七年九月に都市計画決定を行い、湊、中松江、西松江地区について公害防止事業団に委託し、平成四年度完成したことにより四十九・五ヘクタールが供用してございます。河西緩衝緑地のうち未整備区域である東松江地区など十ヘクタールについては、企業において整備をする方向で検討依頼をしてまいったところでございます。これを受けて住友金属工業では事業化に向けて調査を行っているところであり、緩衝緑地の整備を進めていくとのことでございます。県としても、この意向を受け、緑地の整備に向け一層の努力をしてまいります。
 最後に、海上交通の安全対策についてでございます。
 和歌山下津港の前面水域は大阪湾の入り口部に位置することから、船舶航行のふくそうした海域であると認識しております。また、和歌山下津港への入港船舶数は、平成五年の港湾統計によれば五トン以上の船舶で年間約三万三千隻、うちこの西防埋立地が立地する北港区に入港する船舶数は年間約四千七百隻、一日平均で十三隻となってございます。
 議員ご指摘のとおり、今回の利用計画案は船舶航行の増加をもたらすものであり、海上輸送の安全対策は今後の重要な検討課題であると考えてございます。このため、今後、入港船舶数の推計や航行ルート、操船方法の検討などを綿密に行う予定にしております。特にLNGの輸送船については、巨大船でございますことから、その施設計画に当たっては港湾管理者サイドの検討に加え、海難防止協会において専門的な委員会が設けられ、その安全性について検討、審査されることが通例となってございます。
 いずれにしても、海事関係者の意見も聞きながら具体的な計画づくりを進めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 6番尾崎吉弘君。
○尾崎吉弘君 知事からもお話がありましたけれども、検討委員会の先生方の精力的なご検討には、私も敬意を表するものでございます。 その中で、今、最後に土木部長から答弁がございましたマイナス十九メートルという大水深の活用は、和歌山下津港にとりましては大変大事なものでございます。これだけの大水深を持つ港湾はほかには少ないということでございまして、これを十分活用できるような工夫、検討が今からなされていかなければならない。すなわち、答弁の中にも出てまいりましたけれども、この間の議会でも申し上げましたように、コンテナ施設がないために和歌山の地場産業がこうむっておるコスト面でのマイナス──和歌山下津港が近畿の一翼を大きく担える港に発展するためには、テクノスーパーライナーの設置も含めてこの場所の活用こそが最も大切であると考えておるわけでありまして、来年度される十年間の港湾改定計画の中でも十分の検討を、この際特に強く要望しておきたいと思うのであります。
 次に、環境問題につきましては、最終的に電源開発調整審議会というものにかけられる、そのための影響評価の調査が始まるということでありますけれども、これはLNGを設置した場合のそれに対する調査ということでありまして、住友金属を含めた全体としての環境調査というのがまた必要になってくるわけであります。それは港湾計画の中で総合的な調査を行っていくとの答弁でございますが、関電独自の環境影響調査、そして住友金属その他を含めた港湾地域としての環境影響調査、この二点をしっかりとやっていただくことが大変大事になってまいると思うのであります。そのための準備も怠りなくお願いを申し上げたいと思っております。
 和歌山市民の間では、何と申しましてもLNG火力発電所に対する関心が高いわけでありまして、恐らくきょうあたり、市長から調査をしてほしいという要請が市議会の推進決議を得て出るのではないかと思うわけであります。あるいはもう出ておるのかもしれませんが、これが出ますと、関西電力から調査をさせていただきますという申し入れがありまして、また地元の漁業組合にも調査に同意してもらいたいという申し入れを行い、漁業組合の同意を得て市長としての判断で同意をしていくという順序になるようであります。
 そこで、環境影響調査書の作成のための作業に入ると聞いておりますが、春、夏、秋、冬と、それぞれの季節に応じた現況調査をすることになりますから、この現況調査で最低一年はかかる。その上に立って今度は予測評価書というものをつくっていくのに大体半年から一年と聞いております。それがスムーズに進めば、知事は関西電力からの建設要請を受けて、隣接の市町村の同意を得て、総理大臣の諮問機関である電源開発調整審議会に持っていくというふうな順序と聞いておりますけれども、西防沖埋立地の活用ということは、知事も申しておられましたように、和歌山県のいろいろな面での振興にとって非常に大きな問題であると同時に、環境という面からも非常に大きな問題であります。こういう二点に十分ご留意をいただきまして、慎重かつ積極的にご対処していただきますよう要望申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
○議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 それでは、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず、行政改革と予算編成方針についてお聞きしたいと思います。
 十月七日付で、国の方から「地方公共団体における行政改革推進のための指針の策定について」という、相当細かい内容を含んだ通達が来ております。本来、行政改革は、地方自治体が住民の立場に立って県民福祉の増進のために独自に主体的に努力すべきものであり、国の方から余りとやかく言われる筋のものではありませんけれども、どうもしばしばとやかく言ってまいります。そしてその場合、国は「地方の主体性の尊重」と言いながら、何かと国の責務を地方自治体に転嫁してまいりました。
 八五年から行われました地方行革のさなかにあって、単に人員削減や人件費の抑制を求めるだけでなく、国の福祉の切り縮めを自治体に負担させたり、標準行政なるものを示してそれをオーバーするところには補助金カットを初めとしたさまざまなペナルティーを加えたり、自治体が主体的に行う行革というより国の定めた標準行政に従わせるという傾向が相当強くありました。「地方の時代」という耳当たりのよいかけ声の中で、地方も国の意向に沿い、もちろん肯定すべき前進面もあったわけですが、七〇年代から八〇年代にかけて前進させた住民福祉をあちこちで削り取り、住民要求の実現を低く抑え込んできた行政改革であったろうと思います。住民の視点に立つというよりは国の意向に沿うという方向が強く表に出た行革だったと、私は考えております。
 それは、当時の県の歳出面でも強くあらわれておりまして、一九八五年(昭和六十年)の県の歳出を一〇〇といたしますと、歳出の伸びが一九九〇年(平成二年)には一三一と伸びておりますが、民生費、衛生費関係を合わせて九六、労働費が一〇七、商工費が一〇九、教育費が一一八と、全体の伸び率一三〇に比べて生活に密着した予算がいかに低く抑え込まれたかがよくわかります。そして、逆に土木費が一五二と断トツの伸びをしておる点も十分に注目に値するところであります。職員定数もこの間に百名余が削減され、削減ムードの中で真に必要とされるところへの増員が抑制されてきたというところにも大きな問題があったかと思います。
 国はその行革期間中に和歌山県に何をしたか。実にその五年間に、五百十一億円にも及ぶ補助金のカットでありました。行革とは、肯定的な面を一部含みながらも、トータルとして住民の視点から振り返ってみれば住民軽視の姿が明瞭に見えてまいります。
 今、新たに国の方から行革推進の指針が示され、一年以内に県としても大綱をつくることが求められております。私は、行政改革については住民からの視点が貫かれるならば当然推し進められなければならないと思っておりますが、過去の行革の実績、先ほど申し上げましたような姿を見るとき、国の求めた行革とその指針に大きな疑問を抱くものであります。
 そのような立場から、以下、質問をいたします。
 まず、行革に対する基本的な態度の問題です。行革に当たっては、あくまでも地方自治の立場で、国の都合に地方自治を従属させるのではなく、みずからの主体性をもって行うということ。地方自治に対する国の介入や侵害には毅然としてそれを排除する姿勢が必要であろうと思います。同時に、住民の視点から、県民福祉の前進をさせる視点から行う必要があろうと思いますが、所信をお示しいただきたいと思います。
 あえてこのようなことを申し上げるのは、過去の実績もさることながら、この国の指針が出る前に、この方針のたたき台というかスタートとなった文書に、自治省のプロジェクトチームが出した「地方行政リストラ素案」というものがあります。そこには、「地方公共団体が行政改革に取り組むに当たっては、地方自治の原点に立ち返り、住民の選択と責任のもとに進められるよう住民参加の視点を重視し、推進体制を確立すべし」とか、「住民の視点に立った行政サービスの改善」とかが曲がりなりにも行革推進の一つの大きな視点として位置づけられておりました。しかし、素案から通達に練り上げられる過程でこの文言自体が削除され、住民の主体性がほとんど欠落させられてしまいました。行革における地方自治体の自主性、住民の視点を大切にするということ、この点が非常に重要な点だと考えますが、いかがお考えでしょうか。
 また、簡素で効率的な行政システムを確立することが求められていますが、住民福祉をどう前進させるかという当然の前提たるものがこの通達ではほとんど触れられておりません。さきの行革の際にも福祉予算、教育予算などの抑制、削減が並行して進みましたが、その傾向がまた一層強まるのではないかと危惧いたします。いかがなものでしょうか。
 またこの通達は、地方の主体性を一方で言いながらも自治体をこれに従わせるという面も強く持っており、地方自治を侵害する面が露骨に出ている面もあります。端的な例として挙げれば、新たな行政需要に対しては雇用するのではなく配置転換でやれとか、退職金は国の支給基準を上回ってはならぬとか、微に入り細にわたって指示をしています。結論的にそうなったとしても、そのようなことは自治体の主体的な論議の中で決めることで、国にとやかく言われる筋はないはずであります。明らかに越権です。このような国の態度をいかがお考えになられますか。
 関連して、平成七年度(一九九五年度)の予算編成についてお尋ねをいたします。
 不況による税収の不振、県債の累積、国の補助金カットなど来年度の予算編成にも苦労の多いところがありましょうが、世が不況であり県民の生活がゆとりをなくしていればいるほど、県政が温かい手だてを講じるというのが本来のあり方であります。
 まず、予算編成基準の設定の項についてお尋ねいたします。事業が基準内と基準外とに区別され、基準内事業は一〇%のカットが指示されています。基準外事業として定められた事業のうちに人件費や公債費等、当然恣意的な枠にはまらないものもありますが、公共事業、土木、農林等の政策的に伸縮できるものもあります。そういう点から見ると、公共事業、土木、農林関係はカットを受けないが、保健、民生、商工、教育という関係は伸びの対象から除くということになり、この部分に関する県民の願いは初めから軽視または抑制されることになります。
 ここ数年、県勢活性化の新規事業としてマリーナシティ造成やリゾート博に驚くべき多額の金がつぎ込まれる一方、民生、教育、生活関連予算は低く抑えられたと思います。県が特別に力を入れたところには猛烈に金をつぎ込み、その中で特定の大企業への肩入れをしたり、明らかに不要不急と思われるところに多額の支出がされたりして、そのしわ寄せとして県民の日常の生活要求を退けるという面が見られましたが、そのようなことがあってはならないと思います。生活環境整備事業は基準外に指定されていますが、これには特別に「過去の実績、事業効果を踏まえ精査せよ」と注文がつけられ、全体として生活部門の削減、抑制が色濃く出ていると思われますが、いかがでしょうか。
 二項の行革推進の項についても、「単に事業費の一律カットだけでなく、根底から徹底した見直しを行う」とありますが、文面どおり読めば、今まで行ってきた事業の廃止なども含まれると予想されます。このような場合、単に当該部局の判断だけでなく、直接関係する住民の意見の聴取や合意も必要だと思われますが、いかが対応されるようになっておりますか。
 職員定数については、過去の行革期間で約百名が削減されました。少数で効率的に仕事をこなすということは大切なことですが、必要な人員は確保せねばなりません。その必要性ということについても、まず行革ありき、定数削減ありきということではなく、住民の視点に立った判断が大切だと思います。私も各課を訪問した際、問わず語りに「せめてあと一人ぐらいは欲しい」との声をしばしば聞くところです。人事当局にも要求は届いているはずです。特に住民サービスに直結するところ、現場と称せられるところにその声を聞きます。そういうところには厚く増員するということも必要で、行革のかけ声ばかりで削るばかりが能ではなかろうと思いますが、来年度の方針はいかがなっておりますか。
 この項目の最後の点ですが、現在設置されている行政改革の検討推進機構の中に幅広く住民の意見を反映させるべく住民代表を加えるようにしてはいかがでしょうか。
 以上、知事並びに総務部長にお尋ねをいたします。
 続いて、教育長に以下質問をいたします。
 来春から、学校の週五日制が月二回となります。私は二年前に、この制度に入るに当たって懸念されることなどを取り上げて質問をいたしました。休みになった土曜日の授業はどこでするのか、月曜日から金曜日の間に入れるとすれば子供にとって労働時間の延長と同じ結果にならないか、週六日を前提とした学習指導要領を五日制にふさわしいものに改編すべきではないか等が趣旨でした。
 この間、学校ではいろいろ創意工夫がされ、子供たちにも負担を抱かせないように努力されたようでありますが、すべてがすべてうまくいったとは言えないような面もあります。学校行事が減ったという点はどことも共通していますが、そのために児童生徒に目に見えない影響もあったようであります。運動会の練習日が少なくなっておもしろくないとか、楽しかった七夕集会が二時間から一時間になったとか、文化祭と体育祭がことしは文化祭だけに、来年は体育祭だけにというようになったとか、あるいは一方の規模が小さくなってしまうとか、とにかく学校行事の縮小は子供たちにはいろいろ波紋を呼んでいるようであります。
 私は、前の質問のときにも申し上げたのですが、私の昔の思い出も学校行事にかかわるものがほとんどで、学校生活に潤いを与えてくれ、集団の規律やルールを学ぶ絶好の学習の場だったようにも思います。「学校行事の精選」と言ってこのように行事を減らすことはどうかと思います。
 また、指導要領にも関係することですが、学校の先生方から、基礎的なものはしっかり身につけさせたいという立場で授業を進めれば学期末には教え残しが随分と出てくる、一通り指導要領の分をやってしまおうと思えばスピードを上げねばならず、わかっていない子供を残してしまう、週休二日制はよいが学習指導要領をぜひ見直してほしい、そんな声が聞かれます。そういう声を発しているのが、少数ではなく大勢おられるわけです。一生懸命授業に取り組んでいる先生方もそんな声を上げられております。
 文部省が全国で月二回の週休二日制を実験研究した結果、研究協力校の四割前後の小中学校が土曜休日分を他の曜日に上乗せしたと報告されており、上乗せした学校の中で小学校の四一%、中学校の四五・三%が子供の学習負担が増加したと答えています。これでは、週休二日制を実施する目的とも合わなくなります。学校行事も今のままでは一層削減されると思います。学校に潤いがなくなってくる懸念もあります。週五日制は子供にも多くのメリットをもたらしましたが、一面、今申し上げたような否定的な面も生んでいます。五日制と直接かかわりもあり、このような事態の中で学習指導要領の見直しの要望が各地方自治体で上げられております。全国で五県議会も含めて三百余の自治体に及び、県下でも過半数二十六の自治体が学習指導要領の見直しの議会決議を行っているところであります。
 ついては、次の点で教育長の所信をお伺いいたします。
 来春から学校週五日制が月二回になるわけですが、現行指導要領は六日制が前提となっております。どうしても無理が生まれ、学校行事の削減や教え切れない授業が出てくる心配があります。学習指導要領を五日制にふさわしく子供たちの発達に即したものに見直すよう教育委員会が文部省に働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。指導要領を見直してくださいという多くの自治体の要望や教育現場からの強い要望があります。ぜひ要望にこたえてあげてください。
 次に、不登校の問題についてお尋ねいたします。
 この問題は、去る九月の本議会でも論議されました。今回、私もその論議の一端に加わり、私なりの問題を提起させていただき、教育委員会の所信をお伺いするものであります。
 教育委員会の本会議における答弁及び資料によりますと、本県の小中児童生徒の不登校は、一九九三年(平成五年)で七百七十件に及んでいるとされます。全国的に七万五千件に及び、一つの大きな社会問題となってまいりました。文部省は、この問題を専門的に研究する学校不適応対策調査研究協議会を置き、協議会は本年四月に報告書を提出し、相当細かく問題解決のための手法を示しております。
 登校拒否の児童の心の痛みは、本人がなかなか明かさないところから私どもの耳に入りにくいものがありますが、その子を抱えた保護者の苦しみは、人の子の親として我々も推察はできます。一部に既に紹介されたかもわかりませんが、ある母親の手記がありますので、紹介して痛みをともにしたいと思います。
 二年生の十月の後半、朝になるとふとんをかぶって「学校なんて行きたくないよう」「大きらい。学校なんて」と泣き出す始末。いくらなだめても言い聞かせても頑として言うことを聞かない。あげくの果ては、「頭が痛い」「おなかが痛い」と言い出し、起こそうとすると「ゲー」ともどしてしまう。微熱も出て何度医者通いをしたことか。「おかしい。普通でない」という疑問を抱きました。学校へ行くのをいやがる子供をなだめすかし、無理に送っていく日々が続きました。「これからどうしたらいいのか」目の前が暗くなり、揺れ動く心と戦いながら、なんとかしなくてはと思いました。「学校へ行かなくていいよ。無理せんとゆっくり休みな」といってあげなくてはいけないと思いながらも、つい「行くか行かないかは、自分で決めなよ。お母ちゃん、いつでも送って行ってあげるから」と言ってしまうのです。これではいけない、このままだと益々ひどくなる。ある日、「学校休んでもいいよ。今日はお母ちゃんと一緒に遊ぼう」というと、子供の顔に紅がさし、「ほんと!お母ちゃんほんとにいいの」とにこやかな顔で、とても嬉しそうにしました。やっと子供は楽になったのでしょう。そして坂道をころがるように、毎日休み出し、生活もひどく乱れてきました。私は混乱しました。本当にこれでよかったのか?と、手探りの日々が続くのでした。朝遅くまで寝ているせいか、夜は九時を過ぎても目はランラン「遊ぼう。遊ぼう」が始まるのです。お母さんごっこ、ピアノのレッスン、学校ごっこ。子供の夜遊びは三月一杯続きました。店は朝早く、二時間位の睡眠で仕事に出なくてはならないこともありました。先生の訪問にも心を閉ざし、外に一歩も出られない状況が続きました。この間、相談センターの先生には事ある毎に相談にのっていただき、暗く沈んでいた心は先生をお訪ねするたびに満たされたものです。理屈や言葉の上では、分かっているつもりでも、まだまだ弱い母です。
 三年になり、子供が、朝悩みに悩んで「今日は休む」と結果を出した時「うん、いいよ好きにしたら。あなたはいつも自分で決めているんやもんね」その言葉が終わるか終わらない内に、涙があとからあとから溢れ出て、止めることが出来ません。さとられないようにするのがやっとで、トイレにかけこみます。(みんなが出来ることが、どうしてうちの子だけ出来ないのか)悲しくて、悲しくて。(学校へ行こうとしても行けないから辛いんだよね。しっかりしなくては)トイレから出て来た私に、子供は「ごめんよ!お母さん」と、いつも一言言うのです。
──手記は後まだ続きますが、この辺にとどめておきます。
 このような子供たちが今、県下に七百名を超えているわけです。教育委員会はこのような現実にかんがみ、スーパーバイズ方式なる策を取り入れ、苦しむ子供と保護者に対応し、成果を上げてきつつあります。今後のさらなる成果を期待されるところでありますが、しかし、進行している目の前の現実は、現在の教育委員会の努力をはるかに追い越しており、不登校児童生徒の増加グラフは上昇線をたどる一方であります。五十日以上の不登校件数は、一九八四年(昭和五十九年)の二百三十一件が一九九三年(平成五年)には六百十件と、実に二六〇%に増加するに至っています。この現実は、スーパーバイズ方式という基幹的方針とともに多面的に解決の方策を緊急に講じることの必要性を物語っていると言えると思います。
 わらをもすがる思いの保護者は何とか助けてほしいとさまざまな手がかりを求め、相談先を探します。現実を放置できないとして、教職員組合は教員OBをボランティア相談として父母や児童生徒に対応させていますが、今日まであずかった相談件数は面接だけで二千百件、相談回数は一万六千回に及ぶとされています。民間医療機関への相談も相当の数に上るであろうと推察されますが、一回の相談件数が数千円を要したり、不登校の解決を六十万円で請け負うという商売もあらわれたというところもあります。
 さきに紹介した文部省の協議会は実に多岐にわたって対応の仕方を提案しています。スーパーバイズ方式を基幹とされることは私も大いに賛成ですが、目の前の現実にこたえ切れていない以上、対処方法を早急に講じなければならないのではないでしょうか。
 以下、文部省の協議会が示した提案の中から、さしあたりこれだけはという点について、私からも提案させていただきたいと思います。
 現状では対応し切れていない状況にかんがみ、相談業務に乗る教員の養成の規模を今よりも幾倍にも広げ、現在八地区に配置されたカウンセラーをふやし、所定の研修を受けた教員をブロックごと、あるいは大規模校ごとに配置できるようにし、将来的には全校に配置するようにされたい、とりあえずその計画に着手していただきたい、そういうふうに思います。
 二番目、不登校児童生徒を持つ保護者からも要望の強い適応指導教室の設置を考えてはどうでしょうか。大阪では、わずかながら減りを見せました。この施策のせいではないかと推論をされております。
 三番目、日常の担当教員が対応し切れればよいわけですが、なかなかできないところに問題があります。家庭訪問指導も重要だとされておりますが、特に専門的な知識を求められることでもありますから、そのための専門的指導員が必要ではないでしょうか。
 四番目、野外活動などで学校に復帰したという経験は数多く紹介されております。同じく、一日行事とか夜間学級とかも考えられます。父母だけの力でできるところではありません。そのような場を教育委員会の手で設けてはどうでしょうか。
 五番目、不登校をなくすために役に立つことならぜひ実施したいと、教育委員会もいろいろ策をお考えのことだと思います。しかし同時に、予算がないという苦い思いを一方で抱かれているのだと思います。しかし、このような深刻な問題が起きているということを財政当局にもよく理解を求め、しっかりと予算化してほしいと思います。同時に、文部省もいろいろな手だての提案だけでなく積極的に国として予算化を図るよう、県教委としても求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、和歌山市に建設が予定されておる馬券売り場の問題についてお聞きいたします。過ぐる議会で私はJリーグの賭博化についてただしましたが、今回は競馬です。
 和歌山市で日本中央競馬会の馬券売り場の計画が進んでいるようです。馬券売り場は、競馬場のスポーティーな雰囲気はさらさらなく、文句なしの賭博場です。馬券を発売する自動販売機が何十台と並び、数千の人々が目をぎらつかせて馬券を買うところです。
 私は、過日、大阪は道頓堀の場外馬券場を視察してまいりました。競馬開催日は一日四万人から五万人が来場するというそこは、まさに立錐の余地もないという人の集まりで、その群集の中には未成年かと思われる若い男女も見受けられ、場内放送は三十分ごとに「未成年は入場できません」と繰り返していました。この馬券売り場の数十メートル離れたところにまたボート券売り場が計画されているとかで、道頓堀のあのにぎやかな通りは商店街の名において「ボート券売り場反対」の白いのぼりが何本も風にはためいておりました。商店街の人々は、馬券売り場だけでもうんざりしてしまって、これ以上ややこしいものは来てくれるなというところだとのことでした。京橋にも馬券売り場の計画が持ち上がっておりました。しかし、周辺の町内会、PTA、青少年補導協議会などが反対の意思を表明し、どうやらJRAはほぼ断念したようでした。
 ここに、一通のコピーがございます。大阪府教育委員会が平成三年九月に府下の学校長にあてた通知です。表題は「競馬等ギャンブル及びその他の金銭に絡む問題行動の防止について」とされております。一部を紹介いたします。
 教委指─第六百七十八号とありまして、府立学校の校長あて、教育委員会指導第一課長の名前になっております。「競馬等ギャンブル及びその他の金銭に絡む問題行動の防止について(通知)」として、「今学期に入り、府警本部の公表のとおり場外馬券を購入して補導された高校生が相当数にのぼっていたことは誠に遺憾であります。 このような誤った利殖行為やギャンブルは、最近の社会的風潮から家庭生活、社会生活の中で、生徒がその影響を受けていることは否めないところであります。 しかしながら、健全な市民として将来を担うべく成長段階にある高校生が、正常な金銭感覚や労働意欲を失う危険性のあるこの種の行動に走ることは看過できないことであります。 つきましては、下記事項に留意の上、法律により禁止されている行為についてはもちろんのこと、勤労の意味や消費生活等についても、あらゆる機会に適切な指導を行うよう配慮」されたいということで、通知を出しているわけです。以下、競馬、競輪等は法律で禁止されているという中身をしっかり伝えなさいということが言われております。
 大坂府警本部少年課の資料によりますと、府下三カ所の馬券売り場で平成三年四月から八月三十一日まで、ある種の臨時体制をとって特別補導を行ったところ、少年六百八十五人が補導されましたが、うち四百四十三人が高校生、中学生二十三人、大学生三十四人だったそうです。これらの補導された少年にアンケートをしたところ、馬券購入に当たって未成年を理由に購入を拒否されたかどうかの問いに九〇・六%は何ら注意を受けることがなかったと回答しています。私も視察した馬券売り場の従業員に未成年への対応を尋ねてみましたが、学生服を着ていない限り識別は難しいと言われました。
 補導期間は五カ月間のみで、その期間に補導された少年も氷山の一角だろうと言われています。現在も未成年入場禁止の呼びかけをされている様子から見て、依然として未成年の入場は後を断っていないと推測され、従業員の方々もそれを否定されておりませんでした。経済の活性化にもつながると誘致されたということでしたが、商店街の方々はほとんどが否定的で、活性化するならばボート券売り場には反対しないとのことでした。雇用の問題も、正規の従業員は九名で、新たな雇用は清掃と窓口で三百七十人おられましたが、土曜と日曜の競馬開催日だけのアルバイトでした。人が集まってくるだけで地域活性化とは無縁だと、多くの方々が言っておりました。
 このように見てまいりますと、馬券売り場というのは、中央競馬会とギャンブルファンにとっては都合のよいものかもしれませんが、自治体に金が入るわけでもなく、周辺の風紀が悪くなり、少年の非行の温床ができるだけのものであります。和歌山市では地元自治会で抜き打ち的に突然話が出されて、あっという間に賛成多数にしてしまったようですが、周辺には今申し上げたような不安の声が改めて相当出てまいっております。ついては、青少年の健全な発達を日々指導される立場にある教育長に、ギャンブル一般の評価とこのような施設のできることに反対の意を表明されることを求め、その所信をお伺いするものであります。
 以上で、第一問を終わります。
○議長(平越孝哉君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 行政改革についてでございますが、国から上意を受けただけではなしに住民の視点でやっていくべきじゃないか、知事の所見をということでございます。
 私は従来から、本県の行政改革には自主的、主体的に取り組んでございまして、国から与えられた行政改革推進の指針は、これからの行政改革を行う総点検のための参考資料だというふうに考えてございます。お話ございましたように、行財政運営をより効率的、効果的に行うことによって県勢の活性化を図り、そしてまた県民の福祉の向上という点を最重点に図ってまいりたいと思っておるところでございます。
 また、行政改革の推進機構に住民代表を入れよとの問題でございますが、本県においては、私は着任以来、行政改革に取り組んでまいり、また見直してまいりました。機構の改革を行うとともに、人員の削減についても協力をいただきながら進めてまいった現状でございます。しかし最近、高齢化、国際化、情報化の進展等により住民ニーズの多様化が進んでまいりまして、こうした面から住民のニーズに合った行政のあり方ということを見直す時期に立ち至っているのではないかと思っておるところでございます。
 今後一年間を目途に、新行政改革の大綱を策定してまいりたいと思っております。策定に当たっては、住民の代表者等から構成される審議会を設置し、住民のご意見を伺いながら、住民の福祉向上に資する、簡素で効率的な行政を推進してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(平越孝哉君) 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 予算要求基準についてのご質問でございますが、人件費や公債費、扶助費といった義務的経費や社会資本整備のための公共事業等については、シーリング対象になじまない経費ということで扱っておりますが、これらを除く経常的な事業については、基準内事業として原則として前年比九〇%以内で要求するよう求めているところでございます。
 ご質問の福祉関係予算でございますが、その大部分を占めている扶助費についてはシーリングの対象外となっており、またその他の福祉、商工、教育関係事業についても県勢活性化のための新規事業や県民生活環境重点整備事業については基準外として要求を認めているところでございます。
 いずれにしても、本格的な高齢化社会が進展する中で、今後とも温かみのある健康福祉社会の実現を目指し、めり張りのきいた予算編成に努めてまいる次第でございます。
 また、各部署への職員の配置でございますけれども、これについては毎年各所属のヒアリングを行っており、適正な配置に努めているところでございます。住民サービスに直結する部署を初め、多様な行政需要に対応するため、今後とも適正配置に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題三点についてお答えいたします。
 現行の学習指導要領は、学校週五日制の導入をも視野に入れて、基礎基本の重視、教育内容の精選、幼・小・中・高の一貫性、系統性などを重視し、各学校の実情に応じた教育課程を弾力的に編成することが可能となってございます。
 週五日制の月二回実施については、幼・小・中・高等学校及び特殊教育諸学校において調査研究協力校を指定し、児童生徒の学習負担にも配慮しながら授業においてさまざな創意工夫を行い、一定の成果を上げてきております。学校行事についても、安易な削減を避け、児童生徒の自主的な活動を促す取り組みがなされております。こうしたことから、学校週五日制の月二回実施については現行の学習指導要領で対応できるものと受けとめてございます。今後、三回以上の導入に当たっては、月二回の実施状況や各自治体の決議、県民の意見等を十分考慮しながら、学習指導要領の見直しについて都道府県教育長協議会等を通じ要望してまいります。
 次に登校拒否問題についてでございますが、本県においても全国と同様、増加の傾向にあり、学校教育における重大な課題であると受けとめてございます。このため、本県においては研修センターに二名の教育相談主事を配置し、教員や保護者などに対して専門的な立場から指導助言を行ういわゆるスーパーバイズ方式による教育相談を行ってきております。平成五年度からはさらに県内八地方に教育相談員を一名ずつ配置し、教育相談活動の一層の充実に努めており、この一年間で約四百件を超える相談を受けております。
 また、こうした状況を踏まえ、学校における登校拒否の予防的対応や早期発見、即時対応が重要であるという観点から、教育相談合宿研修会や学校カウンセリング指導者養成講座などを実施し、すべての教職員の資質の向上を図るとともに、専門的にカウンセリングを行うことのできる高い技量を持つ教員の養成に努めております。特に、養護教諭に対してもカウンセリングに係る研修を実施し、保健室登校など教室に入れない子供への対応を進めてきております。
 今後、これまでの事業の一層の充実に努めるとともに、ご提案の趣旨を踏まえ、現在課題となっているいじめ問題をも含めた課題解決に向けて、より効果を高める方策について庁内にプロジェクトチームを組織し検討してまいりたいと考えます。
 次に、場外馬券売り場の件についてでございます。
 競馬そのものはイギリスにおいて古い伝統を持ち、人馬一体となってスピードを競うスポーツでありますが、一般的に申し上げて、ギャンブルは射幸心をあおるものであり、発達段階にある児童生徒の健全育成にとって決して望ましいものとは言えません。場外馬券売り場の設置計画については、競馬法施行規則に基づく設置の基準が定められているところであり、関係機関によって適切に審査されているものと認識しております。教育委員会としては、青少年の健全育成と好ましい教育環境の維持に向けて関係機関の理解などを求めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 25番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問は要望とさせていただきますが。
 行政改革の問題について、知事が自主的、主体的にやっていくということについては、ぜひそういう立場で望んでいただきたいと思いますが、私は必ずしも地方の主体性が貫き切れたとは考えていないわけです。標準行政なるものが提示されて、それを超えればいろいろとペナルティーを科して、その水準に従うようにという強力な指導というか介入が現実に行われてきたわけです。だから、そういうものをいかに乗り越えていくのか、その点をひとつ十分考えていただいて、重ねての要望になりますが、住民の視点というものを本当に根底に置いて、そして地方自治体の主体性をどう生かすかというあたりからこの問題に対応していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 予算編成の問題については、関係部局が大変ご苦労されておられるとは思います。厳しい事情というのは私どももよくわかるわけですが、ただ一〇%カットとか、あるいはとにかく抑制、抑制というかけ声ばかりが大きくなって、本当に職員が創意を持って県民の願いをどう生かしていくかといった意欲的な面が引き出されない、生かされないような状態になっては大変だと思います。金がなくてできないということも確かに現実の問題としてはあるわけですけれども、県民の要求をどうして生かしていくのかという、そこのあたりの議論が大いにできるように──もう職員の皆さんが、とにかく予算がないからだめなんだと萎縮してしまって創意を発揮できないというような状態はつくらないでいただきたい。そういう中で、本当に県民の願いを生かすべく、基準内事業と定められたものを大いに幅広く政策の中で展開していただくことを求めたいと思います。
 大体、基準内・外と区別するあたりから、やはり問題があるわけですから、そういう点は十分考え直していただきたいと思います。その点、要望をしておきます。
 不登校問題について、教育長がご苦労されておることにはかねがね敬意を表しているところであります。スーパーバイズ方式というのも、問題解決する力の底上げを図るという点では非常に重要な仕事であろうかと思います。大いに頑張っていただきたいと思いますが、実際、その問題が教育委員会の努力を上回って起こってきつつあるこの現実。そして、これに対応すべく今やられている仕事のテンポと規模。このテンポを速め、規模を広げることが必要ではないか、それがないとなかなか対応できないのではないかと思います。
 また、不登校の子供を持つ保護者の方々から、私が先ほど申し上げた課題のほかにも、こんなことをやっていただきたい、あんなことをやっていただきたいと、たくさんのご要望が出ていると思います。そういうことも確かに一つずつ効果があるということで実証をされていることです。教育委員会の皆さん方は、父母の努力だけではできない事柄については、教育行政としてそういう面にもぜひとも援助の手を差し伸べてやっていただきたい。いじめの問題も深刻な問題です。そういう問題もこの不登校の背景の一部にも確かにあるわけですから、そういう点、ぜひお考えいただきたいと思います。
 プロジェクトチームをつくってこれからの対策を考えていきたいとおっしゃられました。ぜひ実りあるものにしていただきたいとお願いをいたします。不況になりますと、不況対策の特別予算が組まれるんです。不登校の問題も、今まさに教育の問題の中で特別に対策をしなければならない問題として提起されてきたわけですから、それにふさわしい特別予算が組めるように、ひとつご努力を願いたいと思います。
 学習指導要領の見直しの問題については、教育長は再三同じような答弁をされておりますのであえて再質問いたしませんが、現実にはいいことばかりが起こっているわけじゃないんです。確かに、五日制と指導要領の改編がほとんど同時に進行しておりまして、五日制の実施は肯定的な面が主要な面だということについては私もいささかも異論はないわけですが、そこに新たに出てきている問題をどう解決していくかという視点をぜひ持っていただいて、何もかもよかったということで済まされないで、ぜひとも現場の先生方から出されている問題によく耳を傾けていただきたい。教育長の所信がいかんであれ、そういう現場の声がこのように多く出ているということについて、指導要領の改定の問題については文部省に率直に上げていただきたいということを要望いたしまして、終わります。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(平越孝哉君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十九分休憩
  ──────────────────
  午後一時六分再開
○副議長(富田 豊君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(富田 豊君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番上野哲弘君。
  〔上野哲弘君、登壇〕(拍手)
○上野哲弘君 毎度、熊野地域ばかりで申しわけありませんが、質問をいたします。
 平成三年四月の統一地方選において県会議員に当選させていただきました。和歌山県政に参画できたことを、まことに光栄に感じているところであります。間もなく四年間の任期満了が近づくに当たり、これまでの質問を総括して今後の対応に期したいと思います。
 今期中、政治的には非自民の連立政権が誕生し、さらに自社さきがけによる連立と、中央政治が混沌としてまいりました。近く新党が結成されることになっており、この先まだまだ不透明な状況が続きそうであります。
 一方、経済的には、バブルの崩壊等による不況が到来し、さらに内外価格差による製造業の海外進出が増加する中、国内における産業の空洞化が叫ばれているところであります。特に地方においては、人口減による過疎化が進み、加えて高齢化による活力の減退が顕著になり、過疎からの脱却と活性化を求めて、当該自治体は地域づくり、町づくりを真剣になって模索しているところであります。しかし、財政的な面、人的な面において地方の不足は否めません。国及び県において、従来の枠から発想の転換を図り、思い切った地域振興策が必要であると考えます。そのような認識に立って県全体を見てみたいと思います。
 和歌山県を大きく分けて、紀北、紀中、紀南とするならば、それぞれの地域の現状と将来展望についてお伺いいたします。
 和歌山市を中心とした紀北においては、リゾート博の開催が予想を上回る成功により思わぬ活力が沸き上がったところであり、関西新空港の開港により当地域への波及効果が期待されます。第二国土軸──今は太平洋新国土軸になっておるらしいですが──の推進により、京奈和道路の着工、紀淡海峡道路の計画、さらにベイエリア構想と、それに伴うビッグ事業がメジロ押しになっております。
 一方、田辺、白浜を中心とした紀中においては、地方拠点都市の指定により、地理的に見てその整備が期待されるところであり、白浜空港のジェット化により当地域の観光リゾート機能が大幅に向上されますし、それに伴う先端産業等の誘致、輸送手段の高度化に対応して農林水産物の販売促進等、活性化対策の具体化が図られるものと考えます。
 他方、新宮、東牟婁の紀南は、これまで和歌山県が統計的に他県に比べて上位にランクされた時代には紀南地域は相当の実力があったと考えますが、紀北、紀中に比べてその落差が大きいものと思います。県の長期総合計画においても、地理的なハンディがあるとはいえ、当地域の事業数が少ないものとなっておりますが、現状認識と将来展望について、知事の所見をお伺いいたしたいと存じます。
 次に、熊野地域活性化対策についてお伺いいたします。
 第一点、新宮、東牟婁の一体化について。
 これまで、熊野地域活性化対策の具体化のための要旨については提出されており、その実現に向けて県当局が鋭意努力されていることに対し感謝申し上げたいと思います。今回の質問の趣旨は、熊野地域を構成する各自治体が活性化に向けてお互いの調和が図られ一体化されているかどうかであります。
 広域行政において県と各自治体との関係を申し上げるならば、施設等の建設においては、それぞれどこにするかでお互い誘致合戦に陥ってしまいます。また、ソフト面での調和をそれぞれ唱えても、それを具体的な目標に向かって心を一つにするには行政の枠を超えなければなりません。活性化に向けて地域が一体化できるかどうかが、この振興策の重要課題と思います。当局において、何でもって地域全体が一つになれると思っておられるか、地域振興の立場から企画部長にお伺いいたします。
 次に、活性化対策の根幹についてお伺いいたします。
 和歌山県長期総合計画における各種事業を考えると、先ほども申し上げたように、第二国土軸構想(太平洋新国土軸)の中で、京奈和道路、紀淡海峡道路、ベイエリア構想等、紀北地域の振興策につながってきております。また関西新空港に関連しては、コスモパーク加太計画、南麓サイエンスパーク計画等、各種事業の多くは一つの根幹プロジェクトから派生したものとなっております。やはり、事業を行うについてはその地域を大きくとらえて推進すべきものであり、確実なものにするためにはその根幹を確立することにあろうと考えます。この活性化を進める上で、地理的要素すなわち海、山、川に関連したハード面の整備、歴史文化に結びつくソフト面の整備がその根幹になろうかと思いますが、当局において熊野地域のバックボーンをどのようにとらえておられるのか、財政面、人的面を含めて企画部長にお伺いいたします。
 次に、熊野学研究センターについてお伺いします。
 仮谷知事の熊野地域に対する思い入れから、熊野学研究センターの設置が決定されました。熊野の魅力を十分に出し得る発信基地としてこの研究センターが期待されているところであり、同時にこの事業が地域の振興に寄与するものでなければなりません。聞きますと、今年度で基本計画が終わり、来年度から具体的施策に入るようですが、それに関連してその設置場所と建築についてお伺いいたします。
 今の段階で何を研究するかが定まっていないようですが、大きくとらえるならば人間を研究する機関と考えればいいのではないかと思います。研究するについて、当然施設が必要と考えますが、その設置場所について申し上げたいと思います。
 行政が行う事業といえども、単なる資料館とか集会施設に終わってしまえば、維持管理の費用ばかりがかさみ、地域の振興に役立つどころか、お荷物になる可能性が大であります。できれば、熊野地域の活性化の中心的役割を持ち、将来に向かっての歴史をつくり上げる施設にすべきと考えます。そのために、設置場所については、管理運営が十分できるところであり、道路網及び歴史的環境が整備された、全国に通用するロケーションを選定すべきであります。この施設を通じて熊野学研究という形で人間性を高めるあらゆる機能を包含できるとすれば、二十一世紀の日本国民に受け入れられるものと思います。
 場所の選定もさることながら、建築形式について申し上げたいと思います。この施設を全国的に注目を浴びるものにするならば、ぜひ熊野材を活用した木造建築にすべきと思います。それは、当地域の歴史的背景と和歌山県の重要施策の一つである県産材の需要拡大にもつながるということであります。
 先日、建設委員会の視察において宮城県の松島──ここは年間五百万人の観光客が見えるそうでありますが、その中の国宝瑞巌寺は、四百年前、伊達政宗が熊野から木材を取り寄せ建立したとなっております。コンクリート建築はせいぜい八十年ないし百年の寿命とのことですが、木造建築のすばらしさは、長い年月に耐え得ることもさりながら、日本の歴史と文化を感じさせてくれます。今、NHKドラマで「花の乱」が放映されておりますが、応仁の乱により京都は焼け野原になり、現在の京都はその後の建造物によって数千万の観光客が訪れるということであります。その経済効果により地域社会が形成されていると言っても過言ではないと思います。我々も、数百年のスパンで物事を考えてもいいのではないか。例えば、この施設を飛び切りの木造建築にし、五百年後国宝にでもなれば仮谷知事の名前が残ることになります。すなわち「トラは死んで皮を残し、人は死んで名を残す」、そのぐらいの気持ちでもって実現してほしいものです。公室長の所見をお伺いいたします。
 次に、熊野古道を中心とした振興策です。
 熊野古道は、ご存じのとおり、平安時代、天皇家が京都から熊野三山にもうでた歴史街道であります。今日、全国的に歴史街道が注目を浴び、地域の振興に役立つものと考えられております。しかしながら、現在この古道の整備が文化財としての保護だけにとどまり、道としての機能が備わっておりません。近代化とともに古道が滅失してしまったのであります。
 私は、地域の振興策を考える上で、この古道の整備が将来、必ず活性化につながる県下最大の財産になるものと考えております。また、それぞれの地域の一体化を図る上で広域行政の動脈として存在すれば、それに関連した各種事業の誘致も可能となるのではないか、そのような思いを持っております。文化財保護による整備だけでなく、地域の振興策の一環として未整備区間の解消を図り、県下の古道全域を結びつけるべきと考えます。特に、熊野三山の中心となるべき新宮市と那智勝浦町の古道が全然整備されておりません。和歌山県の財産として、また当地域の活性化の柱として早期に整備に向けての事業化を進めるべきと思いますが、古道を中心とした振興策について企画部長にお伺いいたします。
 以上で、第一回目の質問を終わります。
○副議長(富田 豊君) ただいまの上野哲弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 上野議員にお答え申し上げます。
 県政における現状認識と将来の展望について、特に紀南地方を中心としてということでございます。
 活力あるふるさとの創造と均衡のとれた郷里の発展のために県の中期実施計画を行っており、おのおのの地域の特性や資源を生かした主要プロジェクトの推進を図っているところでございます。
 現状認識と地方振興のための考え方でございますけれども、特に紀南地域の振興を図るためには、何よりも交通基盤の整備を進めることが最も肝要なことではないかと思っておるわけでございます。近畿自動車道紀勢線の南伸を図るのはもちろんでございます。また、南からの那智勝浦高速道路の整備、さらに百六十八号、百六十九号、三百十一号、三百七十一号等の国道の整備や県道の整備、特に紀南地方は山間地帯が非常に多うございます。だから、県道もさることながら、林道の整備が非常に重要な課題でございますので、紀南縦貫林道やきのくにふるさと林道などの広域道路網の整備を図ってまいりたい。さらにまた、JR紀勢線の高速化の推進──昨日もその高速化についての県下の会議が開かれたわけでございますけれども、また新宮で行っているヘリポート、海上交通の整備など、陸・海・空についての交通ネットワークの整備を推進しているところでございます。また、当地方の振興にとって黒潮が近接する海洋の活用、心のふるさとである熊野文化の活用、豊かさと神秘性が備わった森林、河川、温泉の活用等が重要と考えておるわけでございます。
 平成四年度からは熊野地域活性化計画策定事業を実施しておりますが、その調査結果も踏まえて、今後とも市町村とも十分な連携を図りながら、若い人たちが定着できる活力ある町づくりに努めてまいりたいと考えております。
○副議長(富田 豊君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 上野議員にお答えいたします。
 熊野地域活性化対策の、新宮、東牟婁地方の一体化についてでございます。
 熊野地域活性化計画は、市町村や各界各層の意見を通して地域の一体的な取り組みの中で策定しているものでございます。本計画は、全総計画にも位置づけられている交流人口の増大をメーンテーマとしてとらえてございます。市町村それぞれの地域特性を生かしながら、地域全体を統一感のある熊野文化保養圏として形成していくことを目標としてございます。
 今後は、関係市町村の主体的な参画を促すとともに、広域的な観点から役割分担や機能連携など一体的な取り組みの必要性について理解を求めてまいる所存でございます。
 次に、活性化対策の根幹についてでございます。
 熊野地域は、吉野熊野国立公園などに代表される良好な自然資源、熊野信仰を核とした全国に誇るべき歴史文化資源を有してございまして、本計画策定に当たっての基本的な姿勢としては、これらの資源の積極的な保全、活用により地域振興に資することを意図したものでございます。
 なお、本計画の策定においては、人材発掘も含めて域内における多数の若手活動家の参画を得ながら取り組んできており、地域の参加意識の高揚に寄与していると考えてございます。今後は、議員ご指摘の人材面や財政面も含めて、実現化に向けた事業手法等について検討してまいりたいと考えてございます。
 最後に、熊野古道を中心とした振興策についてでございます。
 議員のお話にもございましたように、熊野古道は千年のロマンにあふれ、我が国の歴史文化の源流をたどる貴重な歴史遺産でございますので、先ほども申し上げた熊野地域の活性化計画を踏まえ、歴史文化資源を生かした広域的な地域振興を図るべく、関係部局とも十分連携をとりながら積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(富田 豊君) 知事公室長中西伸雄君。
  〔中西伸雄君、登壇〕
○知事公室長(中西伸雄君) 上野議員にお答えいたします。
 熊野学研究センター構想については、県と西牟婁、東牟婁郡の市町村で実行委員会を設置いたしまして、現在基本計画を策定しているところでございます。
 熊野地域の自然や文化、歴史、民俗、地理など、さまざまな分野にわたって多くの人々が関心を持ち、調査研究を初め、体験や学習等に取り組んでいるところでございます。そうした熊野地域への関心をさらに高めるために、現在策定中の基本計画では、活動の輪を県内外に広げるネットワークの方策やセンター施設の機能、規模、さらに関連施設等についてどうあるべきか、検討を進めているところでございます。場所や建築形式については今後の問題でございますけれども、いずれにいたしましても、関係の皆さん方のご意見を聞きながら、地域の活性化につながる施設をつくってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 18番上野哲弘君。
○上野哲弘君 今回の質問の趣旨を申し上げますと、活性化と言ってもなかなか難しい問題だし、そう安易にできるものではないと思うんです。
 それで、企画部の地域振興課ですが、予算がないということで、幾らいい絵をかいてもそれを整備する予算がなければなかなかうまくいかんのではないかという感じがするわけです。
 そこで公室長、センターの施設ですが、いろいろ計画の前後があると思うんですが、我々はこれを熊野地域の活性化の一環とする考えを持っているわけですけれども、この設置にしても西牟婁が入っているわけですね。だから、この計画が東牟婁の計画でやっているならば、あくまでも一体化を図ってもらわないと、いろんな面で本当の実力が発揮できないのではないかと思うわけです。
 それと、総務部長に要望いたします。例えば東牟婁、新宮に百億の金が出ていると。その金が使い道次第で二百億になると。そういう連携を持った中でやってもらいたい。縦割り行政の中で、そういう面も踏まえて地域の連携を深めてもらいたいという感じを持っているわけです。だから、この事業については担当課の方も十分連携してもらってお願いしたいと思います。
 農林水産部長、先ほどセンターの建築については木造をという話もしましたが、公共施設は木造を使用すれば県産材の需要拡大にもなるし地域の活力にもなるということで、いろいろな自信も出てくるのではないかという感じもするわけです。
 先ほど鶴田議員から不登校児童の話が出ていましたけれども、こういう問題でも、熊野地域は再生の場、蘇生の場、心をいやす場だということを先生方がおっしゃっているわけですね。それをうまく利用した国の施設ができないかとも思うんです。そういういろんな範囲の中で考えて、これを実行に移してもらうと。そのような波及的な要素を生かしてほしいなという感じを持っているわけです。
 それと、古道です。これは土木部長あたりに聞いた方がいいんですけれども、今、文化財保護ということで、残ったところだけしかしてないですね。道の本当の利用価値、そういう面が出ていないと思うんです。最近、建設省あたりも古道の整備について考えておられるようですが、そういう面もあわせて、県行政のすべての要素を一体化した形で生かしてほしいなという感じを持っておるわけです。各市町村もそれに向けて一体化を持って、お互いにいい地域づくりをするという観点で進めてもらったらいいと思います。
 先ほど、知事さんから紀南地域も考えておると言われましたが、紀北、紀中は高速道路の南伸もありますし、十年ほどである程度できるけれども、熊野は二十年、三十年後に花咲くかもわかりませんので、そういう面もあわせて、ぜひじっくりと腰を据えてお願いしたいと、そのような要望をいたしまして終わります。
○副議長(富田 豊君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で上野哲弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(富田 豊君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時三十三分散会

このページの先頭へ