平成6年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時五分開議
○議長(平越孝哉君) これより本日の会議を開きます。
○議長(平越孝哉君) この際、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
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  財第143号 
 平成6年10月7日
 和歌山県議会議長  平 越 孝 哉 殿
  和歌山県知事  仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成6年9月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
 記
 議案第117号  和歌山県公安委員会の委員の任命につき同意を求めるについて
 議案第118号  和歌山県教育委員会の委員の任命につき同意を求めるについて
 議案第119号  和歌山県収用委員会の委員の任命につき同意を求めるについて
 議案第120号  訴訟の提起について
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○議長(平越孝哉君) 日程第一、ただいま報告の議案第百十七号から議案第百二十号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました議案についてご説明申し上げます。
 まず議案第百十七号は、県公安委員会の委員西本貫一君が本年十月十二日をもって任期満了となりますので、引き続きこれが委員に任命いたしたいと存じ、同意をお願いするものであり、議案第百十八号は、県教育委員会の委員中西玉子君が本年十月十四日をもって任期満了となりますので、その後任として吉田裕君をこれが委員に任命いたしたいと存じ、同意をお願いするものであり、議案第百十九号は、県収用委員会の委員山中静君が本年十月十八日をもって任期満了となりますので、引き続きこれが委員に任命いたしたいと存じ、同意をお願いするものであります。
 次に議案第百二十号は、和歌山地方裁判所損害賠償請求事件の判決に対して控訴するため議決をお願いするものであります。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(平越孝哉君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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○議長(平越孝哉君) 次に日程第二、議案第八十九号から議案第百十六号まで、並びに知事専決処分報告報第七号をあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 36番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。
 私は、御坊市、日高郡のみならず、まさに県民の悲願であります日高港についてお伺いしておきたいと思います。
 去る八月十日付の新聞報道によりますと、「注目の日高港湾白紙に」「反対三十一・賛成十八」「三尾漁協が臨時総会で否決」「宙に浮いた御坊、美浜の同意決議」との見出しで、昭和五十八年に国の重要港湾の指定を受け、ようやく動き出そうとした日高港湾が瀬戸際で白紙に戻されたと報じられております。
 もとより、日高港の整備につきましては、この県議会におきましても高度経済成長期のころより先輩の皆さんがその必要性を論じ、仮谷県政の主要施策の一つとして地元御坊市、美浜町ともども懸命に取り組んでこられたところであります。さきの二月定例会におきましても、「近畿圏の海の玄関である本県も、和歌山下津港や日高港の整備を通じて海運王国日本の復活に貢献したい。とりわけ日高港の整備については、大阪湾諸港との機能分担を図りつつ、県中部地域の経済活動を支援するため、外内貿易機能の整備と地域産業の基盤整備を図る。そのため、地元の御坊市や美浜町の協力を願って漁業関係者と調整を進めており、今後とも努力を重ね、できるだけ早い時期に着手できるよう努める」との力強いご答弁もいただいておりました。
 そもそも、天然の良港でもないところに港をつくろうというのですから、どだい無理な話かもしれません。港の話が出た当時、来訪した運輸省の原田昇左右審議官が黒潮打ち寄せ砕け散る波を見て「ほほう」とうなったという話さえ聞いております。およそこんなところに港ができるとは、だれも思わなかったに違いありません。しかしながら、高速道路もない。飛行場もない。特急電車もとまらない。あるのは多少の平野と目の前の海だけ。だからこそ、海へかけたのでありましょう。大げさな言い方かもしれませんが、当時の御坊には海と熱意しかなかったのです。
 それでも、熱意とは恐ろしいものです。近畿でほとんど最下位の財政力しかなかった御坊市が、大枚百万円をはたいて調査費を計上したのであります。まさにこのときが日高港の始まりでありました。この熱意にほだされた運輸省第三港湾建設局の竹内良夫局長が、国費で、しかも瀬戸内の環境調査の名目で建設が可能かどうかの技術的な調査をしてくださったと聞いております。それから約十年、昭和五十八年、日高港は立派な計画をもって重要港湾に昇格したのであります。
 しかし、それ以降でもまだ課題はあり、私が御坊市議に選ばれた昭和六十二年ごろでも、地元負担金の軽減や埋め立て事業主体の問題など。もちろん交渉にさえ入っておりませんでしたが、漁業補償も難しいと言われておりました。こうした困難な課題を一つずつ解決してこられたのは仮谷知事のご英断、県当局の真剣な取り組み、地元の熱意にあったことは論をまちませんが、やはり根底には、せっかく六百二十キロの海岸線を持ちながら港らしい港は和歌山下津、新宮しかないという、この共通の認識があったからではないでしょうか。重要港湾まで十年、それからまた十年と、まさに努力の積み重ねでありました。
 今日、時代背景も変わり、高速のインターまで十分、関西空港、ジェット化される白浜空港へそれぞれ六十分のちょうどよいところへ港をつくるのであります。今まさに着工前夜と思われましたが、まことに厳しい状況に追い込まれてしまいました。しかし、まだまだ試合は終わったわけではありません。ちょうど野球で言うなら、九回表に押し出しで同点に追いつかれ、いよいよこれから九回裏の攻撃が始まる、そんなところではないでしょうか。
 そこで、私からは一点のみ、日高港湾整備の現況についていかにお考えか、また今後の方針についてお答えいただき、私の質問とさせていただきます。
○議長(平越孝哉君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村議員にお答え申し上げます。
 日高港湾整備についての現況と今後の方針についてでございました。
 ただいま経過についてるる話がございましたが、日高港と申しますと、紀伊水道の入口にもなるわけでございます。ただ、話ございましたように、太平洋に面しておったゆえに、果たして港湾ができるかという問題もあったわけでございますけれども、鹿島の港湾整備ができて、日本の港湾事業のやり方にも大きな変化を来したわけでございます。そうした荒海に対して新しい港湾を整備していくということが御坊市並びに地元の皆さんや県としての考え方であり、また国においてもその点も認めていただいて、着工していただいておるわけでございます。
 港湾としての重要な地点であるし、また高速道路が南伸しておりまして、現在、御坊市において工業立地の問題が取り上げられて、近く企業も誘致発表の段階に立ち至っているわけでございます。また、御坊・田辺拠点都市としての地位ということもございまして、非常に重要でございまして、このプロジェクトはなお一層積極的に進めなければならない事業であると思っております。
 話ございましたように、三尾漁業協同組合の同意を得られなかったことは非常に残念に思ってございまして、御坊市、美浜町長さん初め関係の皆さんに厄介になりながら、残念に思っております。
 しかしながら、先ほども申しましたように、この事業は非常に重要な事業でございますので、三尾漁業協同組合の言っている点についてなお私たちも十分調査を進めなければならないし、そしてまた大局的な立場に立っていただかなければならないわけでございます。そうした面について、なお一層地元の了解について努力してまいりたいと思ってございまして、なお一層のご支援をお願い申し上げたいと思っておる次第でございます。私たちも努力することをお誓い申し上げ、答弁にさせていただきます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平越孝哉君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。

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