平成6年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(飯田敬文議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時五分開議
○議長(平越孝哉君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(平越孝哉君) 日程第一、議案第八十九号から議案第百十六号まで、並びに知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 26番飯田敬文君。
  〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 議長のお許しをいただきましたので、順次、質問をさせていただきたいと思います。
 一九八七年、国土庁により策定されました第四次全国総合開発計画いわゆる四全総は、二十一世紀に向けての国土づくりの指針を示しております。その中には、我が国の諸情勢の大きな変化に対して、人口動態、経済、国際関係などの課題を述べております。特に国際的には、東西冷戦終結を受けて、我が国が関係する中国を初めとするアジア諸国との連携を深めていくことが日本の進むべき道であると述べておるわけであります。また、東京一極集中はさまざまな問題を引き起こし、多角、多圏域型の地域構造を形成していくことが大事であるとして、圏域では東京圏、関西圏、名古屋圏と地方中核都市に分類し、各地方それぞれが広範な分野で世界の拠点となり得る複数の都市を育成することが大事だと訴えております。関西圏については大阪、神戸、京都の三極構造となっており、関西国際空港を活用した国際都市づくりを強化していくことが重要であると説いているわけであります。
 ところで、四全総総合的点検調査部会報告の中で、関西圏の府県名は京都、大阪、兵庫、奈良の四府県となっており、我が和歌山県がそのほか二県となっておる事実があるわけでございますが、なぜ我が県が関西圏に入っておらないのか、大変理解しがたい記述があるわけであります。また、四全総の考え方はアジア諸国との友好を強調しておりますが、現在行われている友好姉妹都市提携を、特に関西国際空港開港を機にしてアジアを大きく視野に入れて推進していくべきであると思いますが、仮谷知事のご所見をお伺いいたしたいと思います。
 また、世界は歴史的な大きな変動が起こり、過去の秩序崩壊に伴う混乱が今もなお続いております。ポスト冷戦の余波は私たち日本にも大きな波を運んでまいりました。日本は、これまで欧米諸国に対し追いつき追い越せを旗印に中央統制的な方法で国を発展させてまいったわけであります。今日、それが一定の成果を上げてきたことは確かでありますが、世界的な変革の時代にあって、さまざまな矛盾を引き起こしておるわけであります。歴史的な大転換を遂げた日本の政治も例外ではありません。約半世紀にも及ぶ自民党一党支配の崩壊から新しい連立政権が誕生し、戦後政治史を改革の波へと導いてきたわけであります。
 ところで、今回の連立政権誕生への引き金となった原因は、さきに述べた世界的な秩序崩壊に伴う混乱も原因の一つではございますが、日本政治自身の原因である構造的腐敗や金権体質などの政治改革の失敗から来る政治不信であったと思うわけであります。新政権は最大課題として政治改革を掲げ、政治改革関連法案の成立に全力を注ぎ、国民に開かれた政治を訴え、法案を成立させてきたわけであり、その流れは新しい連立政権にも引き継がれ、今臨時国会で区割り法案等、仕上げがなされようとしておるところであります。
 政治不信のもう一方の原因である行政に対しての不信も、きわまっております。一九九三年十月末に最終答申をまとめた臨時行政改革推進審議会は、七項目を首相に対して提出いたしました。その内容に地方分権の推進がうたわれております。しかし、多くの意見として、地方は機関委任事務に見られる法構造や補助金による中央からの財政統制などがあり、地方は中央集権体制の末端であり、自治は空洞化していると言われ、地方分権の担い手としての地方の行政力不足が不安視をされているところであります。また、東京圏への諸機能の一極集中や経済的、文化的な地域格差の拡大が国土利用の不均衡を生み、社会経済のゆとりある発展を阻害していると感じられるのは私一人でありましょうか。これらに対応するためには、集権型行政システムから脱し、地域特性に合った文化、経済を十分発揮できるような分権型行政システムが必要であります。
 そのような折、全国知事会などの地方六団体の地方分権推進委員会は、一九九四年九月に地方分権推進要綱を国に具申いたしました。地方分権推進要綱案は八章から成っており、地方公共団体と国の関係、財政自主権の確立と分権の推進に伴う財源保証、分権推進計画の作成、さらに地方分権委員会の設置などで構成をされております。
 地方と国の関係では、国が処理すべき事務を外交など十六項目に制限し、住民生活に直結する行政はすべて自治体が行うように定められております。なお、分権に伴う財源保証の問題では、自治体の課税自主権の強化や地方交付税制度の見直し、国庫補助負担制度の改革を実施すると決めております。
 地方分権推進計画は、国の出先機関の整理統合を内容とした計画を立て、この計画の実施状況を監視する機関として国に独立した地方分権委員会を設置するように定められております。さらに、要綱は地方分権推進法を一年程度の間に策定すべきと明記しており、地方分権の要求の波は大きく広がっていると感じるわけであります。また、首相の諮問機関である第二十四次地方制度調査会も同様の報告を昨日決定し、首相に提出をいたしたところであります。
 このときに当たり、仮谷知事にお伺いをいたします。
 我が和歌山県が他府県に先んじて地方分権推進にかかわる積極的な取り組みを特に要望するとともに、さらに県と市町村との関係においても分権推進法は密接な関係があり、この際、県と市町村の分権のあり方等について抜本的に検討すべきときに来ていると思うわけであります。こうした地方分権に対する県当局の基本的なお考えをお聞きしたいと思います。
 続きまして、関西国際空港開港を機にして、この空港を中心とした国際都市づくりについてお尋ねをいたしたいと思います。
 私が今日まで訴えてまいりました和歌山県、とりわけ紀北地域と大阪府泉南地域を一体とした新都市づくりを促進しなければならないと思っております。幸いにして、先ごろ、計画から二十五年、着工から七年半を費やし、関係各位のご努力のもと開港した我が国のハブ空港であります関西国際空港は、一関西圏の空港ではなく、日本の航空行政の中心的空港であります。もちろん、世界主要空港の中に参入をしようとするからには、横風用滑走路など全体構想の早期着工・完成が必要であります。国としてもアジア諸国の指導的立場をあらわすためにも、また世界の趨勢は海上から陸上へと移り、航空輸送へと移ってきておるわけであります。海上、陸上交通とあわせ、世界は一つになりつつあると思うわけであります。
 このようなとき、航空行政が世界におくれることがあっては日本の将来はないと考えるわけであります。どうか、県知事におかれましては、日本の基幹空港である関西国際空港の位置づけを十分認識され、関西圏が生き残っていくためばかりではなく、日本の将来を占う重要な空港であることを十分認識されまして、国に対して強く要望されることを希望いたすものであります。また、世界に一番近い町・那賀郡として関西国際空港を核とした新都市づくりを促進し、関西空港全体構想の早期実現と相まって進めていただきたいと思うわけであります。
 次に、道路整備についてお伺いをいたすわけであります。
 本年二月議会においても、関西国際空港を利用し、京阪神と並ぶ経済集積を持つ大阪泉南地域と紀北地域とりわけ那賀郡との一体化を促進すべきであると提言をいたしました。その方法の一つとして、道路の早期整備が重要であるわけであります。
 府県間道路泉佐野岩出線及び泉佐野打田線を和歌山側より完成させ、全体整備のイニシアチブを発揮され、和歌山を関西圏において必要不可欠な県に育てていくべきであると思うわけであります。また、高規格高速道路の京奈和自動車道路建設があわせて急務であります。
 しかし、関西国際空港が開港した今、関西空港を核とした和歌山県に対する道路整備は重要でございますが、その点から見ますと、現在橋本─高野口間の事業開始がされているとはいえ、京奈和自動車道路の具体像がなかなか見えておらないわけであります。紀の川臨空都市圏整備構想の中心的道路としては余りにも遅過ぎると思わざるを得ません。京都府下、奈良県下の実施状況と比較いたしましても、両府県にはおくれをとっておるのが現状ではなかろうかと思うわけであります。
 そこで、和歌山県の浮揚を考えるならば和歌山市側、那賀郡側からも同時に事業着手すべきであると考えますが、いかがでしょうか。府県間道路の空港アクセスと工事の進捗、及び京奈和自動車道路の和歌山市側、那賀郡側よりの同時着工をすべきであると提言をいたしたいと思います。県当局のご見解をお聞きしたいと思います。
 次に、さきの議会でも質問させていただいた鉄道の整備についてお聞きをいたしたいと思います。
 鉄道整備は、道路整備とともに、国際都市建設また人が住みよい住環境づくりを推進していく上で欠くことのできない施策であります。今回は具体的に建設の提言をさせていただき、地域の交通政策に協力をしていただきたいと考えておるわけであります。
 那賀郡には、南麓サイエンスパーク計画のプロジェクトの中にある学術研究都市づくりの地域がございます。現在、近畿大学生物理工学部が開設されており、二学年五百八十三人が在学をしております。そのほとんどが大阪府を初めとする他府県よりの通学生であり、全体が入学すると一千百人もの学生が在学することになるわけであります。近畿大学の総合大学化や国内外の大学などの誘致を含めた国際学術研究都市をつくり上げるためにも、鉄道の建設が不可欠であると思うわけであります。
 そのためにも、関西国際空港を核とする大阪泉南地域と紀北地域の一体化を目指し住みよい都市建設を図る上で、JR阪和線和泉砂川駅とJR和歌山線下井阪駅を結ぶ鉄道建設を行い、途中にその大学駅を設けてはどうかと思うわけであります。もちろん、南海貴志川線と連結をすれば和歌山市内からどちらを利用しても行ける環状ルートができ上がるわけであります。
 JR和泉砂川駅とJR下井阪駅とは約十三キロメートルであります。和泉山脈を含めたトンネルは三・九キロメートルでつながり、現行のルート下井阪─和歌山駅─和泉砂川駅三十六・三キロの約三分の一であります。予想をはるかに超えた紀北地域の発展につながると思うわけであります。また、これが実現をいたしますと和歌山線の活性化にもつながり、高野山へも直結することになります。ぜひ実現できますように調査され、県勢浮揚につなげていただきますよう強く願っておるわけであります。県当局の考え方をお聞きしたいと思います。
 さて、今まで質問させていただいた事柄は単に和歌山県のみの発展を目指したものではなく、地方分権の波と関西国際空港を利用した、近畿圏の復権に向けての地域に根差した一体的な開発施策が必要であることを訴えてまいったところであります。東京一極集中をなくするためには、地方分権や行政改革を中心とした国際化にふさわしい受け皿を構築していかなければなりません。
 幸い那賀郡には、岩出・打田両町にまたがる県のプロジェクトの中で関空に一番近いプロジェクトである南麓サイエンスパーク計画があるわけであります。その柱は、住宅地域、企業誘致地域、学術研究都市地域の三点から成っており、特に学術研究都市は近畿大学を中心に、緑花センター、昭和の森の建設は終えておりますが、さらにその整備が必要となっております。これを受け皿として積極的な開発が必要であると思うわけであります。
 また大阪府では、関西国際空港の開港を受けて国際会議の開催が相次いでおります。国際観光会議、APEC閣僚会議など、国際コンベンション都市として飛躍させる戦略であるとお聞きをしております。我が和歌山県もこうした有利な追い風を利用して、国際会議場の建設や和歌山でオリンピックが開催されるような国際競技場等の建設が必要であると思うわけであります。
 私は、県に各種イベント招致や国際的な会議・大会などを積極的に推し進めるコンベンションビューローの設置が必要ではないかと考えております。国際会議場については、那賀郡北西部に昭和五十四年、県民の憩いの場として緑花センターを設置し、あわせて昭和の森整備が行われたわけでございますが、この事業を進めるに当たりまして、関係各町の応援、理解も得られ、また県当局が取得した所有地やその他の土地も含めた会議場建設を具体的に進めていただきたいと思うわけであります。近くには近畿大学が開校して眼下には紀の川が流れ、人と自然が触れ合うすばらしい環境であります。
 また、国際陸上競技場等の建設については、現在県立陸上競技場のみで、それも建設から二十四年がたち、老朽化しているように思われてなりません。和歌山にオリンピックなど国際大会を誘致できる競技場を建設し、世界に誇れる国際都市・和歌山を築き上げることが大事であると思うわけであります。
 さらに、私が二月議会において要望いたしました紀仙スカイライン構想が、このたび当局のご熱意をもって本当にご努力をいただいておりますことに対し厚く御礼を申し上げる次第でございます。この事業は和歌山・紀北地域の発展の第一歩として重要な事業であり、今まで申し上げてまいりました大阪泉南と紀北地域、とりわけ那賀郡の観光・宿泊レクリエーション施設をつくり上げ、大阪泉南地域と那賀郡の一体的なさらなる開発を期待したいと思います。
 県当局の国際会議場及び国際陸上競技場建設、並びにイベント推進の母体であるコンベンションビューローの設置について具体的なお考えをお伺いいたしたいと思います。
 続きまして、私のふるさとであります那賀郡は、世界に一番近い町として郡内各町とともに総合的に発展をさせていかなければならないと常々思っておるわけでございます。紀の川臨空都市圏整備構想策定事業を積極的に進めていくことによって、紀の川流域の豊富な自然環境と調和した臨空都市圏づくりを早急に具体化する必要があると思うわけであります。その一つには、那賀郡全体、紀北地域全体から見た土地利用計画を行い、乱開発を避け、自然と調和した計画的な整備を進めていただきたいと思うわけであります。また、紀の川流域下水道整備については、地元各町と綿密に調整をしながら、早急に終末処理用地の確保と周辺整備計画をお願いしたいと思うわけであります。
 さらに、関西国際空港には、開港前の想像をはるかに超える情報の波が押し寄せております。いよいよ本格的な情報社会に入ってきたわけであります。和歌山県は情報システムの導入には意欲的な取り組みをされておりますが、県の基幹産業であるところの農業の情報化の取り組みについては今後特に強力に推し進めていかなければならないと思うわけであります。今まで申し上げてまいりました国際化の波は農業の形態までも変えてしまい、近代的農業の発達は高度な情報を必要としておるわけであります。県運営の通信ネットでは多種多様な情報に対処されておらない現状があると聞いており、県民がひとしくどの分野においても情報が得られるようなシステムを構築されますよう、この際、強く要望いたしたいと思います。
 紀の川臨空都市圏整備構想の進捗と具体的方針、また紀の川流域下水道整備の進捗状況と情報システムの今後の取り組み計画をお聞きしたいと思います。
 以上、国際都市建設等についての私の質問を進めてまいりましたが、県当局の積極的なご答弁を強く期待を申し上げまして、第一回目の質問を終わらせていただきたいと思います。ご静聴ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 飯田議員にお答え申し上げます。
 二十一世紀の国土づくりについての関西圏のあり方の問題でございます。
 おっしゃられましたように、関西国際空港が開港して、国際都市としての関西圏をつくり上げることが緊要な課題だと私も思っておるわけでございます。それをいかにしてつくるか。創意と責任を持った体制をつくり上げてやっていかなければならないし、本県の果たす役割も非常に大きいと思っておるわけでございます。
 特に、関西圏においての国際交流の問題については、話ございましたように、アジアとの交流が重要な課題でございます。昔からのアジアとの交流のノウハウ、そしてまた距離が近いといった特徴を生かしまして、二十一世紀はアジアの時代だと言われておりますので、そうした面においてなお一層交流を深めていかなければならないと思っておるところでございます。
 また地方分権の問題でございますが、都道府県と市町村が連携をとりながら現在進めてございまして、今般、地方六団体、知事、都道府県議長、また市町村長等の団体が地方分権推進要綱を取りまとめ、内閣及び国会に対して地方分権推進に関する意見書として提出したわけでございます。このことは大いに意義がございますし、この意見書の内容が年内に国において策定される予定の地方分権に関する大綱方針に反映されるよう、知事会等あらゆる機会を通じて働きかけてまいりたいと思います。また、話ございましたように、昨日の地方制度調査会小委員会における決定を調査会として了承したと言われてございます。これは、今まで答申があったけれどもできなかったのは進め方に問題点があるということで、進め方等について検討した意見書でございまして、こうした形で積極的に進めていただきたいと思っております。
 また、県と市町村との関係につきましては、従来から住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体において処理することを基本として市町村への権限移譲を行ってきたところでございますけれども、今後とも市町村のご意見を伺いながら、なお一層市町村の自律性、自主性を高める施策に具体的、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 他の問題は部長から答弁いたします。
○議長(平越孝哉君) 知事公室長中西伸雄君。
  〔中西伸雄君、登壇〕
○知事公室長(中西伸雄君) 飯田議員ご質問のアジア諸国との交流についてでございますが、本県においては、歴史的つながりの深い中国山東省と昭和五十九年に友好提携を締結しており、本年七月に友好提携十周年の記念式典を開催したところでございます。また、県内の市町村では、和歌山市、橋本市、串本町が、中国、韓国、トルコの都市とそれぞれ友好提携を行ってございます。先日閉幕した世界リゾート博においても、韓国、タイ、フィリピン、アセアンセンター等、アジアの各地域からのご協力を得て博覧会の国際性を高めていただいたところでございます。
 また、本年九月に関西国際空港が開港し、アジア諸国との航空路線の利便性が増したことに伴い、本県とこれらの地域を結ぶ人、物、情報の流れも一層活発化することが予想されておりますが、これを機会としてアジア諸国との交流を進めていくことが重要であるとの認識に立ち、県内市町村の地域性をも考慮しながら施策を講じていくことが必要であると考えてございます。
 しかしながら、アジア諸国と一口に申し上げましても、国それぞれ経済状況や政治体制が大幅に異なり、すべての国々に対して同じようなレベルで交流を行っていくことは大変困難なことでございます。こうしたことから、本県としては、機会をとらえてアジア諸国との交流を今後の課題として検討してまいりたいと存じてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 飯田議員にお答えいたします。
 二十一世紀の国土づくりについての四全総を踏まえた国際都市づくりの取り組みについてでございます。
 第四次全国総合開発計画においては、関西圏の整備の方向として、国際機能を担い、文化、学術、研究、国際交流機能等の強化及び経済活動の充実を図ることを位置づけており、本県は関係府県と連携をとりながら、関西国際空港の建設、大阪湾臨海地域の開発整備など世界都市機能の集積とともに、圏域内外の交流、連携基盤の整備に積極的に取り組み、世界都市・関西を形成するための重要な役割を担ってまいる所存でございます。
 なお、本年六月に報告された四全総最終点検報告において、関西圏の地域区分に本県が含まれておらず二府二県のエリアとなっていることについてのご質問でございますが、国土庁にその真意を確認したところ、単に統計データ処理の便宜のためでございまして、国土庁としては四全総における考え方と同様の本県を含めたエリアとの見解をちょうだいしておるところでございます。しかし、本県を関西圏の重要な役割を担う地域として一層明確に位置づけるよう、国土庁主催の四全総点検最終報告の意見交換会の場において意見を述べさせていただいたところでございます。
 国際都市建設についての中の鉄道整備についてでございます。
 鉄道の新線建設については、鉄道事業者が旅客需要や安全性、事業採算等を勘案し、運輸大臣の認可を受けて行うこととされてございます。県としても、現在、紀の川臨空都市圏整備構想策定調査を実施しているところでございます。議員ご提言の鉄道整備についても、本調査における地域の交通ネットワークのあり方等を検討する中で、交通需要の動向等を見ながら検討すべき課題であると考えてございます。
 三番目の、国際施設建設とイベント招致のコンベンションビューローの設置についてでございます。
 関西国際空港が開港し、本県も世界に開かれた和歌山としての条件が整ってまいりました。これまで、国際化を目指し、世界リゾート博を開催し、美術館、博物館等、文化施設などの整備に取り組んでまいりました。また、国際的なスポーツ大会やイベントが開催できる多目的ホールや国際的リゾート基地としての和歌山マリーナシティなど、国際化時代にふさわしい都市機能の整備に取り組んでいるところでございます。また、さまざまな交流を繰り広げるために会議等の誘致や開催のノウハウが必要であり、民間も含めた検討が必要であると考えてございます。
 特に那賀地方については、関西国際空港への近接性を生かした臨空都市圏として整備してまいりたいと考えてございまして、交流機能、スポーツ・レクリエーション機能等の充実についても必要であると考えてございます。
 四番目の、紀の川臨空都市圏整備構想についてでございます。
 紀の川流域は、さきの関西国際空港の開港により開発ポテンシャルが飛躍的に向上している地域であると認識してございます。本流域の豊かな自然環境と快適な水辺環境を生かしながら、開発と保全の調和を基調に環境共生型の都市圏を形成してまいりたいと考えてございます。
 進捗状況並びに具体的方針でございますが、関係市町の開発構想や意向の聴取を実施しているところでございまして、これと並行して、有識者等で構成する策定委員会において本地域にふさわしい機能配置や交通体系等についてご意見を伺っているところでございます。今後はさらに先進地域の事例なども参考にしながら、ゾーニングや開発可能地の選定並びに事業手法等を検討してまいりたいと考えてございます。なお、検討に際しては、関係市町と密接な連携を図りながら、議員ご指摘のように大阪府との広域的な視点も踏まえて検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 五番目でございますが、情報化システムの構築についてでございます。
 ご質問の県営のパソコン通信Wave-Netについてでございますが、昭和六十三年に開設し、会員数が現在約三千百人となってございます。このパソコン通信は、二十四時間運用により、県からの情報提供を初めコミュニケーションの場として利用できるようになってございます。
 Wave-Netの情報の内容については、情報源である関係部局から情報を県民に提供しているところでございますが、議員お話しの農業情報を含め、さらにその内容の充実に努めるとともに、県内の情報通信基盤である黒潮ネットワークを一層整備拡充し、県民の福祉、活力向上に寄与できるよう、さまざまな分野の情報システム構築に向け、関係部局と連携をしながら努力してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 飯田議員の国際都市建設についてのご質問について、二点お答えいたします。
 まず道路整備についてでございますが、府県間道路の整備については、紀の川利水に関する協定に基づき、両府県が協力して整備を進めているところでございます。
 府県道泉佐野岩出線の和歌山県側では、根来工区が昭和六十三年に事業化され、用地買収と工事を進めております。森工区についても平成五年度に事業化され、また国道二十四号バイパスまでの区間についても現在用地買収を進めております。今後は、現在事業中の区間の促進を図るとともに、大規模農道から府県境までの区間についても早期事業化に努力してまいります。
 大阪府側については、関西国際空港の開港の前に泉南インターチェンジからりんくうタウンまでの区間が暫定二車線で供用され、泉南インターチェンジから金熊寺地区までの区間が本年度中に供用予定でございまして、また残る府県境までの間は平成六年度に事業化されたところでございます。
 府県道泉佐野打田線については、和歌山県側はおおむね一次改良済みでありますが、府県境部における線形不良区間については、大阪府とともにバイパス工事を促進しております。そのほか、泉佐野市上大木地区でバイパス事業が進められております。なお、そのほかに国道三百七十一号、四百八十号、岬加太港線などの府県間道路についても、阪和開発連絡協議会の場などで調整しながら事業の促進を図っているところでございます。
 京奈和自動車道については、橋本道路が平成元年度に事業化され、現在、用地買収が進められており、高野口町─打田町までの紀北東道路についても平成五年度に事業化され、早期に都市計画決定すべく建設省において諸調査が実施されております。和歌山市から打田町までの間については、紀北西道路として第十一次道路整備五箇年計画内の事業化が位置づけられておりますが、この道路の重要性にかんがみ、県としても早期事業化について積極的に取り組むとともに、京奈和自動車道全体の早期供用に向け、国に働きかけてまいります。
 次に、紀の川臨空都市圏整備構想に関連して、流域下水道に関してのご質問についてでございます。
 紀の川中流域の那賀郡六町を対象とした紀の川流域下水道那賀処理区については、現在、基本計画の策定をほぼ終了し、終末処理場、ポンプ場の位置、周辺整備などについて関係の町と協議中でございます。今後、処理場、ポンプ場の計画を早期に固めるとともに、地元調査も十分に行いながら、都市計画決定の法手続を進め、事業着手に向けて取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番飯田敬文君。
○飯田敬文君 今、知事を初め関係部長の大変ご理解のある回答をいただきまして、心強く思っておるところでございます。しかし、三点にわたって要望だけ申し上げたいと思います。
 今も質問しましたように、地方分権こそこれからの日本の進むべき道であるということで、特に意を強くしておるところでございます。関西空港がこれから全体構想を初めとして日本の基幹空港として大きく飛躍をしていくためには、やはり財源的な裏打ち、さらには採算性、いろんな問題がこれから大きな問題としてかかわってくるだろうと思いますけれども、地方分権こそこの関西国際空港を支えていくべき大きな道筋ではなかろうかと私は常々思っておるわけでございます。関西空港を国際的な日本の玄関空港としてこれから推進していくためにも、我が和歌山県が中心的な県として地方分権の推進に邁進をしていただきたいなと、特にお願いをするところでございます。そうしたことを通じて国際都市建設に向けての道が開けてこようと思いますので、積極的にこの地方分権のリーダーシップをとっていただきまして、和歌山県がこれを推進するんだという形でお願いをしておきたいと思うところでございます。
 二つ目は、関西空港また和歌山県はこれからアジアに顔を向けて進めるべきだと、私は常々このように思っておるところでございます。これからも、アジアの国と共存共生をしていかなきゃならない。日本も和歌山県も、これから空洞化ということが顕著な問題として出てくるであろうと思っておりますけれども、アジアの国々と経済的な交流なり貿易なりを通じて共生をしていく形で進むべきではなかろうかと思っておるところでございます。その中において市町村レベル、県民レベルでの姉妹都市提携やアジアとの友好交流ということで、ひとつアジアに顔を向けて推進していただきますように特に要望しておきたいと思います。
 三点目に、京奈和自動車道路の問題でございます。先ほどもお願いをしたところでございますけれども、いずれにしても、この高規格道路がこれからの和歌山県の道路施策の中の最も基本的な道路ではなかろうかと思うわけでございまして、一日も早い実現をお願いするわけでございます。ひとつできるところから、特に和歌山市側、那賀郡側からも同時に着工できるように、近畿地建等に積極的に呼びかけていただきまして、臨空都市、国際都市・和歌山の建設に向けての重要な高規格道路だとの認識を持って推進していただきますことを特にお願いを申し上げまして、質問を終わります。
 以上です。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。

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