平成6年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(下川俊樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時六分開議
○議長(平越孝哉君) これより本日の会議を開きます。
○議長(平越孝哉君) この際、新任者をご紹介いたします。
 七月五日、人事委員会委員に選任され、七月十九日、就任されました松原敏美君をご紹介申し上げます。
 人事委員会委員松原敏美君。
  〔松原敏美君、登壇〕(拍手)
○人事委員会委員(松原敏美君) 去る六月定例会におきまして議員の皆様方のご同意を賜り、人事委員に選任いただきました松原敏美でございます。
 もとより微力ではございますが、職責を全うするため懸命に努力を重ねる所存でございますので、何とぞ、ご指導ご鞭撻賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 まことに簡単ではございますが、ごあいさつとさせていただきます。
○議長(平越孝哉君) 次に、報告いたします。
 過日提出のあった議案第九十五号、議案第九十六号及び議案第百五号は職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
  〔職員朗読〕
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 和人委第215号
 平成6年9月30日
 和歌山県議会議長  平 越 孝 哉 殿
  和歌山県人事委員会委員長  水 谷 舜 介
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成6年9月27日付け和議会第190号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
 記
 議案第 95号  職員団体の登録に関する条例の一部を改正する条例
 議案第 96号  議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第 105号 警察官に対する支給品及び貸与品に関する条例の一部を改正する条例
 意  見
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
  ──────────────────
○議長(平越孝哉君) 日程第一、議案第八十九号から議案第百十六号まで、並びに知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 29番下川俊樹君。
  〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 九月議会のトップパッターとして、まず今回の世界リゾート博について幾つかの感想を申し上げ、質問をいたします。
 世界リゾート博終了直後、九月二十六日のNHKテレビ放送で「和歌山で行われていました世界リゾート博が、昨日、七十二日間の会期を終え、閉幕いたしました。連日、大変な入場者が訪れ、地方博としては異例の、入場者見込み百五十万人を大きく上回る約三百万人の入場者となり、地方博としては大成功の博覧会となりました」と伝えておりました。県民の一人として率直に喜びたいと思いますし、まずもってお礼を申し上げる次第でございます。
 思い起こせば七年前、知事は「世界リゾート博を開催する」と表明されました。このとき、正直言って何点かの懸念を覚えたのは私一人ではなかったのではないでしょうか。まず、「世界」とは何だということです。関西国際空港の開港が予定されていたとはいえ、実感としてはほど遠いものがあったあの時代に、和歌山が一挙に世界に結びつくか、また国際的なイベントになるのだろうかといった点でございました。
 次に、「リゾート」というテーマそのものについてです。時あたかもリゾート法が成立し、リゾートが時代の寵児であったことは事実でございますが、新しいだけにその実態がなかなかつかみづらい時代であったと記憶しております。それゆえ、具体的にはどのような博覧会になるのかといった点について心配をしたものでございます。
 また準備期間中には、バブル経済の崩壊といった新たな要素によって果たして企業の協賛が得られるのかといった点も心配でございましたし、直前には本当にお客様にお越しいただけるのかという切実な心配をいたしたものでございます。加えて、交通対策を含めた期間中の運営は大丈夫なのかといった点も大きな不安材料でございました。こうした懸念は、私のみならず、県議会そして多くの県民の共通した心配事ではなかったかと思います。
 しかしながら、結果はどうでしょう。私たちの心配はことごとく杞憂に終わり、県政史上最大のイベントが大成功のうちに閉幕をしたのでございます。これは、五十市町村の全面的な協力のもと、県民が心を一つにし、誇りと喜びを持って取り組んだたまものであり、結果として県外からも多くのお客さまを迎え、和歌山の豊かさと魅力を広く内外に紹介することができたわけでございます。
 ここに、知事の先見性、そして英断と努力をたたえるとともに、深く敬意を表したいと思います。また、裏方として支えてこられましたリゾート博協会、推進局並びに関係者のこれまでのご労苦に大きな拍手を送りたいと思うのは私一人ではないと思います。特に、最も心配いたしました交通対策に、そして海上のセキュリティーの確保、そして警備にと万全の体制を講じられた県警察のその緻密さには、大きな驚きとともに深甚なる敬意を表するものであります。
 これに加えて、会期中の九月四日には待望久しかった関西国際空港も開港し、見学者が引きも切らない状態であると聞き及んでおります。これまで、ややもすれば北に向かいがちであった近畿の関心が、今回のリゾート博の開催、関空の開港により大きく南に流れが変わるのではないでしょうか。これは紀南に生活する者にとって、またリゾート、観光に活性化の道を求めようとしている私どもの地域にとりまして心強い限りでございますし、今後は和歌山からさらに南への流れをおつくりいただきたいと願う次第でございます。
 こうした認識に立って、以下の点について知事及び当局の見解をお伺いいたします。
 まず、この成功を今後の貴重なノウハウとする必要がございます。そこで、博覧会の成功は何が原因だったとお考えか、その成功の要因を知事に尋ねるものでございます。また、このリゾート博から学んだことは何であるかも、あわせてお聞かせを願いたいと思います。
 次に、ポストリゾート博についてお伺いをいたします。ポストリ博といえば、リゾート整備の今後の方向、主会場の整備、またその収益金の活用等々ありますが、リゾート整備の方向性はさきの議会における知事答弁や一連の発言によりある程度の理解ができるので、今回はもう少し大きな視点で、県政の方向性といった観点からお伺いしたいと思います。
 この博覧会に費やした人員とエネルギーは莫大なものであったと思います。通常の業務では得がたい経験や知識を蓄積されたことと思いますが、これを一過性のものとしてしまうのは余りにももったいない気がいたします。そして、熱く燃えている今こそ、次なる目標を定めるべきではないでしょうか。
 そこで、質問でございます。今回携わった職員に蓄積された自信とノウハウを次に生かすといった観点から、ポストリゾート博について現在どう検討されているのか、またどのようにお考えか、企画部長にお伺いをいたします。
 以上でリゾート博の質問を終わり、次に移らせていただきたいと思います。
 健康保険法等の一部改正についてお伺いをいたします。
 我が国の医療を取り巻く状況は、人口の高齢化が進んでいること、疾病構造が成人病を中心に多様化していること等の特徴を持ってございます。そのような中で医療保険の果たす役割は非常に大きく、県民が健やかで安心できる生活を送るための基盤として機能しております。二十一世紀に向けて今後ともこの役割を維持しつつ、県民に適切な医療を効果的かつ安定的に確保していくことが必要ではないかと考えます。
 そこで、次の点についてお尋ねをいたします。
 第一点、本年十月に実施された制度及び内容いかん、特に入院時食事療養費の創設の考え方について。
 第二点、県単独医療費支給制度における給食費を助成対象としないことについて。
 第三点、和歌山市が独自に助成するように上程をされてございますが、このことについて県の考え方。
 この三点について、民生部長、保健環境部長の答弁を求めるものであります。
 次は、新宮地方の振興についてであります。
 私は常々、新宮市の活性化は新宮市自体の取り組みと周辺町村との関連の二つの側面から検討することが大切であると考えております。すなわち、新宮市の整備は、まず第一は市民三万六千人のための整備であることは論をまちません。しかし一方で、東牟婁町村は言うに及ばず、奈良県南部地域や三重県南部をも範囲とした約二十万人の広域生活圏の中心都市としての役割を考えた整備でなければならないと思うのであります。言いかえれば、中心都市としての新宮市と周辺町村には、新宮市の発展ないところに周囲の振興なし、周辺の振興がなければ新宮市の発展はなしといった密接な関連があると言えるのではないでしょうか。過疎に歯どめをかけ、若者の定住を図るには、中心都市・新宮市と周辺町村の機能分担が欠かせないと思うのであります。
 では、新宮市が中心都市として担うべきものは何でありましょうか。都市的な機能を初めたくさんあると思いますが、ここでは広域の地域全般に夢を与える共通するテーマとして、次の二つに絞って質問をしたいと思います。
 まず、スポーツについてでございます。スポーツの効用は今さら申し上げるまでもなく、心身の鍛練に加えて、チームワークによる一体感の醸成やスポーツを通じた広域的な若者やスポーツ愛好者の交流等、地域振興や活性化にもたらす効果は大きいものがございます。広域生活圏の中心都市・新宮市の都市基盤として、県施設としてのスポーツ公園の建設を強く要望し、知事の答弁を求めるものであります。
 次に、新宮地域の誇る文化についてでございます。
 今、県におかれましては、世界に誇るべき文化資源としての熊野に着目され、熊野学センター構想を進められております。確かに、熊野学という地域学をお考えいただくのはまことに意義あるものであり、このことについてはこれまでも何度かその推進を強く要望してまいったところでございますが、私の懸念材料は、この計画がとかく専門家の拠点になり過ぎるのではないかということでございます。願わくは地域住民とまざり合った、また気軽に利用できる施設とされることを強く切望するものであります。なぜならば、熊野に住む者にとって熊野は身近過ぎるだけに、意外にその本当のすばらしさが十分に理解され、自分たちのものとなっていないと考えるからであります。地域に生活する者がその文化を正しく認識し、誇りに思うことが地域おこしの第一歩だと考えるからでございます。
 それゆえに、この熊野学センターに加えて、地域住民が日ごろの文化活動の場として活用できるいわば熊野文化ホールといったものが併設され、地域での活動を通じて熊野のすばらしさが地域内外の人にとって認識できる複合施設として検討いただけないかと思うものであります。日本じゅうの人が注目し、地域の人々がこぞって利用できる質と規模の施設が自分のふるさとにあるんだという誇りを私たちにも持たせていただきたいという願いを踏まえて、知事公室長の答弁を求めるものであります。
 また、この際、最近新聞紙上をにぎわせている地域連携軸構想について質問いたします。
 当局のこれまでのご努力により、海岸ルート・近畿自動車道紀勢線の南伸は着実な進展を見せておりますし、山岳ルートとしての国道四百二十五号─水上栃谷─国道三百十一号ルートも大幅に進捗をしております。このことは、紀南地域の県都和歌山市を初め関西国際空港へのアクセスルートとして大変ありがたく、全線完成に向けて県当局のご努力にお礼を申し上げるところでございます。
 私はこれまで、この整備に加えていま一つの県際ルートとして、知事が提唱されているアンカールートの一角、すなわち新宮─五条間の道路整備について強く要望してまいりました。新聞報道などによりますと、第五次全国総合開発計画では紀南地域は国土政策上の課題地域としてとらえられ、こうした地域の活性化のためには交流人口の増加による振興が必要であり、このためより広域的な地域による連携が必要であるとの指摘がされてございます。
 アンカールートにつきましては、紀伊半島知事会議以後その必要性が強く指摘されたところでございますが、具体的な行動としてはなかなか目に見えてこないという現状にあります。私はこの際、新宮市を取り巻く広域アクセスの確保という観点からぜひこの整備促進を要望するものであり、そのステップとして五全総にいう地域連携軸構想への参画が必要であると考えるものでございますので、企画部長の所見をお伺いするものでございます。
 次に、JR紀勢本線の整備促進についてお伺いをいたします。
 二十一世紀を目前にした今、和歌山県は大きな飛躍のときを迎えていると思うのでございます。関西国際空港の開港により和歌山県は世界に最も近い県としてクローズアップされており、新しい白浜空港ももう間もなく開港となります。また和歌山市と淡路島を結び大阪湾環状ルートとなる紀淡海峡連絡道路構想も、着々と実現への道を歩んでいると伺ってございます。
 一方、高速道路については、近畿自動車道紀勢線湯浅御坊道路が来年度中には御坊まで開通するほか、第二阪和道、京奈和自動車道など、その整備が着実に進んでおり、高速交通基盤の整備に寄せる県民の期待はまことに大きなものがあり、これも県当局のたゆまぬご努力のたまものであると、敬意を表する次第でございます。
 さて、高速交通基盤は大きく三つに分けられると思います。一つは海、もう一つは陸、さらに空でございます。和歌山県は、振り返ってみますと、大変大きなおくれをとるこの二十世紀だったと思います。昔、海路が主な交通手段だったころには紀伊半島は随分栄えたものでございます。紀伊国屋文左衛門しかり、紀州の商売人が全国に名をはせたのも海路の時代でありました。熊野水軍が全国にその名を知られたのも海路が盛んなころであります。
 ところが、二十世紀に入って交通手段が海路から陸路へと移りました。いわゆる道路と鉄道の時代になってまいりました。そうなってまいりますと、日本列島を縦に貫く主な幹線網、鉄道で言えば東海道線、道路で言えば名神、東名、こうしたものを中心に日本が大きく発展するに至って、紀伊半島はおくれをとってきたというふうに考えられます。
 先ほども申し上げましたが、ここ数年のうちに空港と高速道路の整備は着実な進展を見せているところでありますが、鉄道の整備が残されていると思うわけでございます。これまでの間、紀勢本線の電化、田辺までの複線化、また特急くろしおの新大阪乗り入れなど、仮谷知事を先頭に先輩の皆さんが必死になっておくれを取り返す努力をしていただいたわけでございますが、現在、まだ列車の乗り心地、高速性において全国水準からおくれをとっている状況にあると思います。二十一世紀は鉄道復権の世紀であると言われており、鉄道の特性である大量輸送、定時性、速達性は我々にとって大きな魅力でございます。観光立県、リゾート立県として、関西空港などのインパクトを県下全域に波及させ、交流人口の増加を図り、県民の利便性の向上や地域の活性化を図るためには、交通基盤のもう一方の柱である鉄道の整備が焦眉の課題であると思うわけであります。
 最近の新聞によりますと、JR西日本において紀勢本線など急カーブの多い線区での高速走行が可能で乗り心地のよい特急列車、いわゆる「スネークトレイン」を平成十二年を目途に開発中であると報道されておりました。また、最近の鉄道の利用客の好みを見ますと、グレードの高い高級感のある列車に人気があるようで、鉄道の高速化を進めると同時に乗り心地のよい新型車両の導入を早急に進める必要があると思うわけであります。
 このような新型特急車両の導入による波及効果は大変なものであり、例えば平成四年にJR東海が名古屋─紀伊勝浦間に新型特急車両ワイドビュー南紀を投入いたしましたが、これは大幅な旅客増に結びつき、大変な経済誘発効果があったことは皆さんもよくご存じだと存じます。このほかにも、北陸線に導入されたJR西日本のニュー雷鳥、JR四国の新型振り子特急いしづち、JR東日本のスーパーひたちなど、たくさんの例があります。これらはすべて旅客増に結びついてございます。このように、リゾート博後の紀伊半島の活性化、特に紀南地方の活性化のためには、紀勢本線の高速化と同時に新型車両を導入することが大変有効な手段であると考えてございます。
 去る九月一日に田辺市において「紀勢本線の二十一世紀を考える紀伊半島鉄道フォーラム」が開催され、運輸省の澤田技術参事官、JR西日本の梅原鉄道本部長、石原広川町長、県観光連盟の高橋副会長の講演があり、紀勢本線の高速化や新型車両の導入について皆さん大変積極的な発言をされてございました。また、皆さんが異口同音に、市町村、経済界を含めた地元が一体となって熱意を示すことが紀勢本線の整備を進める早道であると発言されていたと伺ってございます。私もまさにそのとおりであると思うわけであり、静岡県の掛川市で新幹線の新駅を建設するために地元で約三十億円の基金を集めた事例もございます。今後、紀勢本線の活性化を進めるためには、地元として単に要望するだけでなく、基金集めなども行い、大いに協力すべきであると思うわけでございます。
 県当局においては、現在、紀勢本線の整備について検討を行っていると聞いておりますが、紀勢本線に対する基本的な考え方はどうか、快適性の向上についてはどうか、そしてまた速度向上についてはどうか、知事並びに企画部長にお尋ねをし、私の質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの下川俊樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 下川議員にお答え申し上げます。
 第一点の、世界リゾート博の成功とその要因についてでございます。
 博覧会の最終の記者会見の中で私は、「天の時、地の利、人の和」と申し上げたわけですけれども、この博覧会の成功は、何としても立派なものをつくらなければならないという県民の熱意と関係者の努力が相まって、また、すべてにおいて世界リゾート博に追い風が吹いたということが大きな原因ではないかと思っております。
 具体的には、天候に恵まれたことや大きな交通渋滞が発生しなかったことはもちろんでございますけれども、第一点として昨年の七月から県下全域で繰り広げてきたリレーイベントにより各地域の盛り上がりが図られたこと、第二点として博覧会会場そのものが本県の豊かな自然の中にあって「夏」や「海」といったリゾートのイメージにマッチしたこと、第三点として従来の博覧会にない、来場者自身が参加し体験できる博覧会にしたこと、第四点としてポルトヨーロッパや国際リゾート館、南太平洋ビレッジ等の施設を初め、レーザー級ヨット世界選手権大会や水上スキーショーなど、数多くの国際的イベントを開催することにより国際性を大きく打ち出したこと、第五点として夜のイベントを特徴づけたことにより夜間入場者が非常に多かったこと、などが考えられるところでございます。そしてまた、こうしたことに加えて、来場者にさまざまな体験を提供していただいた出展企業や団体の方々、市町村デーやイベント参加などで博覧会を盛り上げていただいた方々、ボランティアとして参加していただいた方々、博覧会に対するご理解とご協力をいただいた周辺住民や漁業関係の皆さん方など、関係する多くの方々の連携が非常にスムーズにいった結果ではなかったかと思っておりまして、こうした皆さんに心から厚く御礼を申し上げたいと思っております。
 次に、世界リゾート博から学んだことは何かという質問でございます。
 この博覧会から多くのことを学ぶとともに、また多くのものを残してくれた博覧会であったと思っております。当初の目標でございました百五十万人を大幅に上回る二百九十八万人もの来場者をお迎えして、県内外からの多くの方々にこの博覧会を通じて本県のすばらしい自然、歴史、文化、人のぬくもりといった本県の豊かな魅力を広く理解いただくことができましたし、また開催期間中の九月四日には待望の関西国際空港が開港し、京阪神はもとより東京、北海道、海外からも非常に近くなったことにより、本県のリゾート地としての適地性を国内外にアピールすることができたことも考えられます。さらに、「県民総参加」として和歌山県始まって以来の一大イベントを県民が一体となってともに大成功に導いたこと、そしてこの博覧会の準備から開催に至るまでのさまざまなノウハウやそれに取り組んだ人材など、今後の本県の発展にとってかけがえのない大きな財産を残してくれたこと。とりわけ私は、私たち県民に「やればできるんだ」といった自信とふるさとへの誇りを与えてくれたことが一番大きかったのではないかと思っておるわけでございます。
 次に、新宮地方の振興として、県施設としてのスポーツ公園の建設についてでございます。
 話ございましたように、スポーツは心身の健康をはぐくむとともに、また豊かな活力ある地域社会づくりに非常に重要な役割を負っているものでございまして、県民のスポーツ・レクリエーション需要に対応するための施設整備は重要な課題でございます。
 スポーツ施設は現在、各市町村で設置しているほかに、広域的なものとして広域圏で設置しているもの、県営紀三井寺総合運動公園、県立体育館等、県で設置しているものがございます。新宮定住圏においても以上の点を踏まえ、県としても適地の確保について現在積極的に取り組んでおるところでございます。施設につきましては、広域圏でのスポーツ・レクリエーションの需要に対応するためのあり方等について、関係機関と協議して今後進めてまいりたいと思っております。
 次に、紀勢本線の整備に対する基本的な考え方ということでございます。
 お話ございましたように、県勢の発展にとって高速交通網の充実ということは非常に重要な問題でございまして、私も積極的に取り組んでいるわけでございます。とりわけ昨今は鉄道復権と言われている時代でございまして、鉄道網の整備については非常に重要な課題として、平成四年から運輸省とJR西日本の全面的な協力をいただきながらポイント改良などの調査を現在進めつつあり、積極的に取り組んでおるところでございます。
 紀勢本線の整備についての県の取り組み姿勢でございますけれども、ご指摘のとおり、私も何といっても地元の熱意が一番大事なことではないかと思ってございまして、沿線の市町村、経済界等を含めた地元の盛り上がりを踏まえ、地元の皆さんとともに、JR西日本と協力して具体的かつ積極的に今後の紀勢本線の整備を進めてまいりたいという考えでございます。
 快適性等、他の問題については部長から答弁いたします。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 下川議員にお答えいたします。
 まずポストリゾート博についてでございますが、議員ご指摘のように、この博覧会の開催とその成功により、県民はもとより私ども県職員にとっても大きな自信と誇りが得られ、また貴重な経験とノウハウの蓄積をもたらしたものと認識してございます。
 したがって、こうした経験やノウハウをこれからの県勢の飛躍に確実につなげていくためにも、リゾート博効果を持続し発展させていくための新たなイベントの開催やグリーンツーリズムの振興など、現在ポストリ博の施策展開について全庁的に取り組み、多角的な検討を進めているところでございます。
 いずれにしても、リゾート博の成功を単なる一過性のものとしてしまわないように、今後は高い評価を得た海を初めとする和歌山の豊かな自然や体験型リゾートの魅力、交通の利便性のアピールなど、リゾート博が発信した和歌山の新しいイメージを紀南地域に向けて誘導し、そのインパクトを全県的に生かし切るよう努めてまいる考えでございます。
 次に、新宮地方の振興についての地域連携軸構想についてでございます。
 議員ご質問のように、国における四全総の総合点検作業の中で新しい国土形成の理念として提唱されているものでございます。その内容としては、府県や市町村の境を越えた広域的な地域がさまざまな手法による多用な地域連携を促進するというもので、本県においても交流テーマや交流地域、連携のあり方について検討を進めるため、今議会に構想策定の予算をお願いしているところでございます。
 紀南地域の活性化を図るためには、地域の特色を生かし、自由で柔軟な発想に基づいたさまざまな交流の促進が求められると認識してございます。その交流の促進を図るための手段の一つとして、議員ご指摘の県際ルートを含むアンカールートの形成について、かねてから紀伊半島を構成する三重県、奈良県とともに国に対して強く要望しているところでございます。今回の構想につきましても、地元市町村はもちろん、関係府県や国の参画を得ながら策定し、その位置づけを国に対し働きかけてまいりたいと考えてございます。
 最後に、紀勢本線の整備についての快適性と速度向上についてでございます。
 県としても、かねてより特急くろしお号にかわる新型車両の導入の必要性を認識しており、JR西日本に対してその導入につき強く要望しているところでございます。また、紀勢本線の高速化については、平成五年度に紀勢線高速化構想基礎調査において短期的に整備可能な方策について調査を実施してまいりました。その結果、駅周辺の曲線改良やポイント改良など、具体的な整備箇所が明らかになってきてございます。今後、調査を鋭意進めるとともに、JR西日本と協力して積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 民生部長南出紀男君。
  〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 下川議員の健康保険法等の一部改正についてのご質問のうち、その内容はどうか、さらに入院時食事療養費の創設の考え方についてのご質問にお答えを申し上げます。
 今回の制度改正は、二十一世紀に向かって揺るぎない医療保険制度を確立するという考え方のもとに、約二年にわたる医療保険審議会等の審議を踏まえて行われたものでございまして、今日重要な課題となっている付き添い看護に伴う患者負担の解消を図ること、また在宅医療の推進を図ること、さらに入院時の食事に関する給付の見直しを図ることが改正の中心でございます。
 入院時の食事につきましては、質の改善を図るとともに、病院で入院されている方と自宅で療養されている方等との公平の観点から、平均的な家庭における食費程度の定額の一部負担をお願いすることとして、その財源で重い保険外負担を負っている付き添い看護の解消、在宅医療の推進等を図ろうとするものでございます。
 なお、食事の一部負担については低所得者に十分配慮をした軽減措置も講じられており、結核予防法等による命令入所等、公費負担医療の対象となっている方々については新たな負担が生じないこととされてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 下川議員ご質問の健康保険法等の一部改正に関して、県単独医療費支給制度における給食費を助成対象としないことについてお答えいたします。
 現在、本県では県単独の福祉医療として重度心身障害児者、母子家庭、乳幼児、さらには六十七歳から六十九歳の高齢者に対し、医療費の自己負担分に対する補助を行っております。
 しかしながら、今回の改正に伴い新たに発生する入院時の食費負担について、入院者のみに補助を行うことは在宅で療養される患者さんに対し著しく均衡を欠くこと、この負担額は家庭でも要している程度の食事の費用を基準にしており、また所得に応じ自己負担額の軽減措置が講じられていること、加えて近畿各府県においても制度改正の趣旨を踏まえてほぼ同様の対応を行っていること、さらに、国から県単独の福祉医療の中で食事の負担を補助することは今回の制度改正の趣旨に沿わないものであり不適切であるとの指示があったことなども踏まえ、現在福祉医療の対象となっておられる方々に負担をお願いすることといたしました。
 次に、和歌山市が独自に助成することについての県の考え方についてでございますが、今回の法改正の趣旨の一つは、ただいま民生部長の答弁にもありましたように在宅医療の推進であり、とりわけ急がれているのは、従来の入院医療ではなく、お年寄りが自宅で療養されることを可能とする在宅福祉・医療サービスの充実、そしてそれらを担う看護、介護に関するマンパワーの育成であります。
 しかし、今回の和歌山市の決定は在宅医療を推進する法改正の趣旨に逆行するものであり、長期的には財政を圧迫し、将来の本格的な高齢化社会に対する柔軟な対応を難しくするものではとの懸念を持っております。県としては、二十一世紀の超高齢化社会の中で活力ある県として維持し発展させていくため、在宅福祉・医療サービスの充実対策として、訪問看護ステーション、在宅看護支援センターの整備、またマンパワーの強化対策として紀南に看護婦養成所、県立医科大学に附属看護短期大学の設置等の施策を講じるなど、各種の施策を老人保健福祉計画に基づき、長期的ビジョンに立って一つ一つ着実に実施してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 知事公室長中西伸雄君。
  〔中西伸雄君、登壇〕
○知事公室長(中西伸雄君) 下川議員ご質問の新宮地域の振興についてのうち、熊野学研究センター構想と整備促進についてでございます。
 熊野学研究センター構想については、平成五年度に県と東牟婁、西牟婁郡二市十四町村で構想実行委員会を組織してございまして、有識者の意見を聞きながら基本構想を策定したところでございます。
 基本構想の内容は、「熊野学ネットワーク構想」として、熊野学を研究し、熊野を体験し、そして熊野を学習するという三つの機能を発揮することに重点を置いてセンター施設を設置するとともに、調査研究や熊野体験、展示、情報発信などの事業を展開することとまとめてございます。なお、本年度はこれらの構想をもとに基本計画を策定し、実現に向けての具体的な方策について検討を行うこととしてございます。
 熊野地域は、自然や文化、歴史など、さまざまな人々を引き寄せるすばらしい魅力がございます。今後は議員ご指摘の点も踏まえ、熊野の魅力を感じ、熊野に集う人々や地域の皆さん方にも参加、ご利用いただける施設のあり方等について、市町村初め関係の皆さんと一緒に検討し、熊野地域の活性化に結びつけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 29番下川俊樹君。
○下川俊樹君 今、ご答弁をいただいたわけですけれども、世界リゾート博から学んだことということで、いろんな条件、成功の要因について、いろいろお聞きしました。全くそのとおりだと思います。知事が今答弁の中で「やればできるんだ」ということをおっしゃいましたけれども、これからの諸施策の実行に当たっても、この「やればできるんだ」ということで我々の意識も改革していきたいと思いますし、また県民の先頭に立って頑張っていただいている県職員の皆さん方の意識改革にも──本当に全力を挙げて取り組んでかち得ることの喜びをこのリゾート博で体験していただいたということは、今後の県政において大変大きな財産だと思います。
 今後とも、そういう意味で県勢の発展のために一緒になってご努力いただきますことを要望して、終わります。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で下川俊樹君の質問が終了いたしました。

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