平成6年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(堀本隆男議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 12番堀本隆男君。
  〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 議長のお許しを得ましたので、六月県議会のしんがりとして順次質問に入らせていただきます。
 私は、去る四月二十九日から五月七日までの九日間、中国広東省の大開発を視察してまいりました。それは驚くべき超高度経済成長とも言うべきもので、以下、少し長くなりますが、ご紹介いたしたいと思います。
 去年の十二月県議会におきまして、ポスト関空、ポスト世界リゾート博の県政課題とは何か、関空を生かした県勢活性化の方策として対アジア産業経済交流の振興、なかんずく発展著しい中国沿岸部への企業進出と中国企業の本県受け入れ等の検討について要望してまいりました。東南アジア、NIES諸国との交流の大先輩である大阪府の状況やアメリカのニクソン大統領の中国への積極姿勢、ヨーロッパ各国の進出状況も指摘し、日本の経済界が及び腰である間に中国政府は日本以外の先進諸国の資本と技術で固めてしまうであろうことをお話しいたしました。そして、演説をした手前、こうした中国の現実の姿を私自身がこの目で見てくる必要も痛感し、行ってまいったところであります。
 田辺市に、「ボタン生産では世界有数の企業」とアメリカの総合雑誌「フォーブス誌」に紹介されたカナセ工業株式会社があります。スペイン・バルセロナ、香港、中国・広東省、そして田辺市に工場を持ち、海外への企業進出では先駆けを果たし、成功しております。
 私は、中国視察先の選定に当たって、山東省にするか香港と関東省にするか迷いましたが、郷土産業の成功事例も見たく思い、金谷照男社長に折り入ってお願いし、広東省・観欄市にあるボタン工場を視察する機会に恵まれました。幸い、金谷社長は、毎月一回欠かさず香港、広東省・観欄鎮に行っており、快く同道を引き受けてくれました。私の視察コースは、香港、九龍、深せん経済特区、広東省・観欄鎮、省都広州市とその隣接の花都市、中山市、珠海、マカオ、香港と、関東省の沿岸部をぐるっと一周いたしました。深せん─広州間のみ鉄道、ほかはすべて車で、一行は私と金谷社長、カナセ工業の中国責任者の揚さん、通訳の中国国際旅行社の顔女史の四人であります。
 まず、香港、九龍地区の巨大ビル群は聞きしにまさるもので、議員各位もご承知のとおり、香港経済、香港資本の底知れない大きさを感じたところであります。
 次に深せん経済特区は、今から十五年前、人口七万人の町でありましたが、今や三百万人の昼間人口を有する大都市に成長しております。そして、なおビル群が続々と建設されて膨張しており、まさに第二の香港、九龍の形であります。香港の自由な市場主義経済を学習し、社会主義市場経済として大きく発展しているのであります。
 深せんから車で六十分のところに観欄鎮があります。二年前まては三時間かかったところが、急ピッチで省道が整備され、四車線または二車線の立派な道となっております。私が最も驚かされたことは、この五十キロメートルの沿道の田畑がほとんど埋め立てられ、両サイド数キロメートルにわたって延々と大開発が行われていたことであります。しかも工場ビルや高層住宅が次々と建設されており、すさまじい開発ラッシュで、帰途、別のルートを選んで帰りましたが、やはり同じ現象で、ただただ圧倒されるばかりでありました。
 観欄鎮におけるカナセ工業の工場は、人民政府から土地九千ヘクタール、工場四階建て二棟六千六百ヘクタール、及び全寮制の従業員住宅、食堂、テニスコートを借用し、賃料一カ月約百三十万円、当工場のボタン製造能力は月産約七千万個、従業員数二百十人、平均月額給料一人約六千円。観欄誘致企業五百六十社のうち日本企業は二社で、最優良十社の中に入り、人民政府から表彰されておりました。従業員は、雲南省、狭西省等十省の子女が多く、昼食時の道路はあふれるばかりの人の波でありました。
 深せん市から省都広州市へは百五十キロメートル、鉄道で約二時間三十分。車窓からは相変わらず大開発の連続で、のどかな中国の田園風景はわずかしか残されておりません。広州市は、旧市街四百万人、近郊三百万人、七百万人の大都会です。中国内陸部と沿岸部への鉄道の拠点であるだけに、広州駅前は万人に近い人々の群れでありました。繁華街は消費財にあふれ、多くの市民が町の裏々まであふれて活気を呈し、歴史のある古い建築と新しいビルが混在し、有名な大学が数多くある文化の町で、広東省六千五百万人の拠点都市であります。ここでは、日本総領事館で黒田領事から、広東経済の発展ぶりと日本企業の進出状況を伺いました。
 次に、広州市から車で一時間の花都市に参りました。沿道は、両サイドともやはり大開発であります。工場ビルが建ち並んでいます。ここでは、十年前に福島県から進出した作業服専門工場を視察しました。約三百人の女子工員が、一チーム十五人でミシン十五台を馬蹄形に置き、そで口からボタンつけまでを流れ作業で完成仕上げをする。そのチームがワンフロアに整然と並んでいる姿は壮観でありました。明るく清潔な部屋の中で、食事つき全寮制、月給六千円で効率よく働いてくれる。この合弁工場の中国進出の理由を尋ねますと、「十年前、国内で作業服の注文が多くなり、福島県では人手が集まらず、やむを得ず中国に進出した。中国で金をもうけるなんて全く考えなかった。いかに、よい製品を早く需要にこたえていくかが課題で、生産性はやっと日本の九○%まで追いついたところである。現地では労働条件のよい会社との評判も出て、利益もそこそこで、安定経営に入った」ということでありました。花都市は、こうした衣料品加工工場や雑貨品、電気製品など、軽工業の工場ビルが雨後のタケノコのように出現しつつあります。
 このようにして一行は、珠江の沿岸平野部を中山市、珠海市と、日中合弁企業を訪ねながら視察し、マカオに到着。約三百キロメートルの車の旅はすさまじい大開発の連続で、まさに超高度成長でありました。
 手元にある在広州日本総領事館でいただいた「広東省概況」によりますと、「広東省は、中国の改革、開放の最前線であり、中国の五つの経済特区のうちの三つ、深せん、珠海、汕頭までを有し、近年、香港、マカオとの経済的一体化が進み、いわゆる華南経済圏の形成が注目されている。広東省の人口は中国全土の五・五%にすぎないが、一九九三年の国内総生産額、工業総生産額、農業総生産額、商品小売総額等のいずれの指標においても全国の一○%前後を占め──これはいずれも全国一位から三位であります──中国経済全体に占める広東省の重要性は大きい。さらに、広東省の輸出入総額は全国の四○%を占め──全国一位で──外資導入額も二六%を占め、外国との経済交流において広東省が極めて大きな役割を果たしている」と書かれています。
 中国三十省のうち、全国工業生産シェアの一位は江蘇省で、これは上海を含めて一二・六%、二位は山東省で九・六%、三位は広東省で九・四%のシェアであります。さらに、誘致企業、外資導入件数は一九九二年度で、広東省九千七百六十九件、江蘇省七千八百五十四件、山東省四千百九件となっており、和歌山県と姉妹省である山東省も経済的発展の著しいことがわかります。ちなみに一九九三年──去年でありますが──の山東省の企業誘致契約件数は一万九千十二件と想像を絶する数で、このうち日本からの投資は約五十社、投資者の八七%は香港企業であります。和歌山県が昭和五十七年から現在まで鋭意進めてきた県内の企業誘致件数が六十件であることを考えるとき、経済背景は異なりますが、広東省の猛烈さがわかるわけであります。
 さて、姉妹省・山東省も発展著しいと伺います。先般、仮谷知事には山東省へ参られ、つぶさに視察され、お疲れさまでありました。そのご感想をお伺いいたしたいのであります。
 北京駐在の共同通信記者森氏は、山東省の近況を次のように伝えております。「変容する山東半島」と題し、「環渤海経済圏が国外からの投資を急速に伸ばし、中でも山東半島の主要港湾都市、青島、煙台、威海が市場経済化の波に乗って発展している。特に韓国からの投資は目覚ましく、一九八八年(昭和六十三年)に三社しかなかった韓国系企業は、昨年末までに七百二十二社にふえた。山東省対外経済貿易委員会はこう説明し、同省の外資企業は九三年、一年間に七千二百二十九社が新たに設立された。国別では、一位香港、二位台湾、三位米国、四位韓国、五位日本の順となっている。韓国と日本は、去年その順位が逆転した。特に威海は韓国企業が集中し、これまで繊維、服飾、食品加工、水産など、投資額の少ない労働集約型が主流だったが、最近は電子、通信機器、造船、機械など技術集約型もふえ始めた」とのこと。そして、「日本企業は大連ばかり目を向けているが山東省にも来てほしい」と言っております。山東省は、インフラの整備やエネルギー事情に問題があるが、地下資源、農産物、海産物、人的資源など資源は豊富であります。同じ姉妹県である山口県は、山口銀行が青島に進出し、山東省にかなりの山口企業が行っているとのことであります。本県企業はいかがでありましょうか。
 また青島市長は、先日、大阪市に事務所を開設し、中小企業の誘致を促進したいと表明しております。恐らく、関西新国際空港から山東ライン直行便の開設で、関西企業を大きく呼び込めると判断したものでありましょう。関西だけでなく、中部、関東、東北地方でも、山東省に関心の高い国内輸出関連企業は、商工会議所を中心にして盛んに視察団を送っております。変容する山東省の経済事情について、もっと和歌山県内企業への情報提供が望まれます。何はさておいても、関空開港により飛来する山東直行便の一番機が到着する際は我々和歌山県も県旗の小旗で迎えてあげたいと思いますが、いかがでありましょうか。
 さて、世界銀行では、中国、香港、台湾の三つの中国を中華経済圏ととらえ、この貿易総額が世界貿易に占める割合は九三年には八・五%となり、世界第三位の日本の八・四%を上回ったことを認めており、香港企業の広東省進出、台湾企業の福建省進出が進み、その成長が加速されており、二○○二年には域内総生産は九兆八千億ドルに達し、あと十年足らずで日本の二倍、米国を超える世界一の経済地域が誕生すると予測しております。我々は、中国パワーが日本の脅威になっていると受けとめるべきであります。
 最近、中国政府は技術力のある日本の中小・中堅企業の誘致に力を入れ始めております。そして、受け皿づくりに努めている様子であります。さらに、北京市、山東省、遼寧省など一市四省から関空対岸のりんくうタウンに拠点としての事務所を設けたい意向が大阪府に寄せられ、府もBPCへその他の中国商社や団体などのため賃貸料を割安にして受け入れる発表をしており、さらに香港財界も関西周辺に注目し視察を重ねていると聞きます。つまり、経済の相互乗り入れの時代に入ったわけであります。
 大阪市がアジアのビジネスセンターの機能を果たす拠点づくりにと野心的に建設したATC(アジア太平洋トレードセンター)を見てまいりました。本年四月十七日にオープンして以来、二百七十万人の客が入って盛況で、テナントに空室は多いものの、アジアのお客はこれからだと話しておりました。壮大なスケールであります。
 そこで私は提案したいのでありますが、坪四百五十万円もするりんくうタウンにオフィスをつくってアジアの方々の進出を受け入れるのは大阪府や大阪市にお任せして、和歌山県は居住の場として、すばらしい自然環境に恵まれ、しかも泉州地域に比較して有利で広大な分譲可能な大空間、コスモパーク加太があります。ここに東南アジアや中国の方々、日本に来られる多くの方々の住居ゾーンを設定し、仮称「アジア中国ハビテーションゾーン」を構想されてはいかがでありましょうか、お尋ねいたします。和歌山県が近畿の中で分担し得る最良の受け皿づくりであります。そのためには、大阪府にも協力を願い、幹線道路の建設を促進したいものであります。
 私が、こうも中国経済に関心を高めようと申し上げるのは、今や企業サイドから見て国境はないからであります。国際化というよりボーダーレスの時代に突入して、政府の庇護のもとに育った中小企業も、国際的な圧力のもと、輸入自由化、規制緩和は待ったなしの状態であります。中国へ行って安い人件費を使って、しこたまもうけようという考え方から言っているのではありません。二十一世紀に勝ち残る中小企業は、アジア、NIES、中国と相互乗り入れを果たした企業、つまり資金と技術の提携を結び、世界の市場に通用する製品をつくり出せる企業のみが生き残れると思います。世界の製造業は、今やまさに敗者を生む競争の時代に入ったと言われております。アジアとともに生きることが必要なのであります。正確でより詳しい情報、中国政府、省政府、県郷鎮人民政府の方針と受け入れ状況のデータの収集に努められ、県内企業を指導されたいと思います。
 日本で言われている産業の空洞化は、海外に進出したために起こるというよりも、海外の状況を知らずにいたために国際競争力を失って休廃業に追い込まれるケースによって起こるのであります。日本が進出しなくても、他の先進工業国の進出を中国政府は選びます。
 そこで提案でありますが、こうした中国の情報を取りまとめ、収集する県の機関として、香港に和歌山事務所を開設されてはいかがでありましょうか。香港は、華僑資本の動向を知る上で不可欠のロケーションにあり、かつ、タイ、シンガポール、ベトナム、インドネシアに近く、情報拠点であると同時に、本県からの経済、産業、観光、文化の発信基地になり得るからであります。
 先日、県経営者協会と紀陽銀行が共催で訪中経済ミッションを今秋三回にわたって派遣すると発表しております。時宜を得たよい企画だと思います。こうした訪中経済ミッションに、県担当職員が必ず参加していただきたい。そして、中国経済に精通した職員を育ててほしい。商工労働部長のご意見を賜りたい。
 帰途、伊丹空港で見た風景でありますが、香港からの乗客と台北からの乗客が重なって大変な混雑でしたが、ロビーのあちこちで香港、台湾からの観光団が集まり、ツーリストの旗の下で説明を聞いている。乗客の半数はあろうかと思われました。年間二百万人と言われるアジアからの観光客が、より所得が豊かになるとともに、さらに来日の増加が予測されます。関空の開港は大きなインパクトとなり、本県にもアジアの人々が多く来られることでありましょう。こうした、アジア、NIES、中国への本県の観光施策の展開の現状と課題についてお尋ねします。
 カナセ工業の金谷社長は経営理念として、「単なる利益を追求することではなく、事業は必ず人間関係の確立の上にあるとの信念のもと、世界によい製品を提供する姿勢であり、利益は後からついてくる、おのずと生まれるもの」と断言しております。「中国の人は大人であり、相手を信頼し尊敬すれば相手も私を信頼してくれる。私は、中国の工場に日本人は一人も送らず、経営を任せている。逆に、日本へは技術習得のため彼らを呼び寄せて人間関係を築いている」、そして広州市での黒田領事も同意見であり、その上、「進出に当たっては事前に十分調査せよ。ただ、金もうけに来るだけのせこい魂胆なら進出しない方がよい。必ず失敗する」と、上海周辺で起こっている労使紛争による失敗のケースを挙げ、異文化のもとでの相互理解とパートナーシップの大切さを繰り返し強調されていたのが印象的でありました。
 さて次に、総合交通体系整備構想についてお尋ねいたします。
 関西国際空港の開港、大阪湾岸道路の完成、近畿自動車道紀勢線の広川までの開通を間近に控え、また御坊までの開通を二年後とし、さらに新南紀白浜空港の開港を平成七年に予定するなど、県内の高速交通網が一気に開けようとしております。一方、第二国土軸として太平洋新国土軸の国土構想としての位置づけを国に認めさせ、紀淡海峡に大橋架橋のコンセンサスもおおむねつくり上げられた仮谷知事の業績は、実に大きいものがあると思います。県内主要幹線国道、県道も目に見えて改良が進んでまいりました。新しい発想に基づく広域林道水上栃谷線の完成や将軍川林道の改良は、地域住民に大きな喜びをもたらしております。一県民として喜びにたえないところでございます。さすが、「道の仮谷知事」と言われるゆえんでもあります。こうした機会をとらえ、総合交通体系整備構想を構築されたいと考えておりますが、当局のお考えを承りたいのであります。
 平成五年三月に、紀伊半島における高速交通体系整備構想に関する調査報告書が出されておりますが、鉄道、航空、道路、海路にわたる二十一世紀初頭における本県の総合交通体系がどのように整備されるのか、そのビジョンをお伺いしたいのであります。
 さらに、昨年末、広域道路網マスタープランを策定し、広域道路整備の基本方針を発表しております。地域整備の基本方針と道路整備の目標も理解できますが、一般の県民がこのマスタープラン図を見てもほとんどわからないと思います。いま一歩進めて、国道と主要県道以上の現況と整備計画を具体的に書き込んだものが望まれますが、いかがでありましょうか。
 そして、お尋ねしたいのでありますが、この広域道路網図に、国道、県道のほかに、広域農道網、広域林道網を同時に書き加えていただきたいのであります。そうした総合的な道路網図によって一目瞭然に道路網がわかり、県民の理解も一段と深まると思われます。せっかく各セクションごとに整備の努力を進められておるのですから、有機的、総合的な整備が望まれます。具体的には、この広域農道をこの主要県道に結べばさらに地域の発展につながるという視点も開けてまいります。ご見解を承りたいのであります。
 次に、大島架橋について。
 知事初め当局の皆さんの厚いご配慮とご努力により、平成十年度完成をめどとする工事が着々と進められております。串本町民は大変喜んでおり、ここに深くお礼を申し上げます。
 先般、知事が串本町で発表された架橋のデザインもすばらしく、実現の期待に胸弾む思いであります。その上で、こうした設計に対し少しお願いするのはまことに申しわけないのでありますが、一点だけお許しをいただきたい。
 それは、今から予測されるのは、橋の上からの眺めが天下の景勝になることは間違いございません。そこで、橋上での車の停止が続き、交通渋滞や衝突の危険性も起こりかねません。お願いしたいのは、大島側の橋詰めにパーキングエリアを設置し、橋の上での駐停車をなくす必要があるのではないか。人々は車をおりて、橋の上の歩道で観光願いたいものであります。パーキングエリアの設置について、土木部長のご見解を賜りたい。
 さて、ラジオ難聴地域の解消についての質問に入りたいと思います。
 常時、国道四十二号を走っている多くのドライバーから要請があり、私もそのことを痛感している一人ですが、車の中のラジオの雑音が余りにも大きく、放送が聞こえない問題でございます。
 特に、白浜町富田橋のところから日置川町、すさみ町、串本町の周辺にかけて、夜間はどのチャンネルを回してもほとんどまともに聞けません。私は、生活大国とはどんな国か、お伺いしたく思います。より身近な日常生活の回りの快適さ、文化の摂取のしやすさを実現することが生活大国と思う一人であります。特にラジオ放送は、ハンドルを持つ者、テレビを見ることのできない職場での唯一の楽しみであり、文化源であり、ニュースソースであります。大相撲、プロ野球、文化番組、定時のニュースなど、ラジオを愛用している皆さんは意外に多い。私は定時のNHKニュースの愛好者で、どうもこれが聞こえないといらいらしてまいります。こうしたラジオ愛好者の問題とは別に考えていただきたいこともございます。それは、災害緊急時に放送が聞こえなかったとき、もし事故が起こったら責任はどこにあるのかという問題であります。危険の回避ができない場合も十分あり得ることであります。
 さて、雑音の高い原因は数点あると思われます。一つは、国道四十二号とJR紀勢線が並行して走っているところでございます。これは区間も短く、仕方がないと考えます。二つは、無線交信局の強力電波の出ているところが二カ所ありますが、これも区間が短い。三つは、電力会社の高圧電線が国道四十二号に張り出すように沿っているところほど雑音が高いのであります。ところが、国道から少し離れて電柱が立っているところでは雑音も低い。観察してみて、そのことがよくわかりました。これは、見方を変えると、電波の出力の弱いことが原因かもしれないと考えますが、素人考えでありますので、間違っておればご訂正願いたいのであります。
 ところで、高圧電線の電柱がなぜこうも国道四十二号沿いに立てられているのかと思うわけであります。多分、電柱、電線の維持管理を考えると国道沿いが管理費が安く済むとは思いますが、道路から三十メートル程度離れて立てていただくと、かなり雑音が低くなります。この点についての見解を電力会社から聞いていただきたい。
 私はNHK放送を主に聞きますが、紀南を走っていて比較的よく入るのはNHK宮崎放送局、次にNHK徳島放送局、最も入りにくいのはNHK大阪放送局で、ローカル番組は聞くことができません。私のカーラジオの性能が悪いからかと思い、皆に聞いてみますと大体同じような答えが返ってきます。電力会社の社員も、ノイズの原因が高圧送電線にあることを認めております。いずれにしても、原因者負担の原則がこうしたケースにも適用されるのであるなら、その原因者に対し、国なり県当局から是正の方向でご指導をお願いしたいのであります。
 お聞きするところでは、県企画部は、去る六月一日の「電波の日」に近畿電気通信監理局長から表彰されております。民放テレビ放送難視聴解消事業及び民放中波ラジオ放送受信障害解消事業に積極的に取り組んで地域の情報格差の是正に貢献した功績に対してであり、国も和歌山県がこの事業に熱心であることを認めているそうであります。そのことは多といたします。しかし、ラジオ電波そのものが提供されたサービスであり、それが聞き取りにくい原因をつくっている発生者の側で原因者負担として解消する義務のないものなれば仕方がありません。あるいは、電柱を水平移動する工事費やその後の管理費が高くつき、一企業の負担にたえられないとか、電力料金にかさ上げされるとかの理由があれば、国民的合意で解決を図る努力を重ねることが生活大国実現の努力の試金石ともなると考えます。生活大国とは、一人一人の国民の生活の質をよくする、クオリティーライフを高める、尊重する社会であります。
 欧米を旅行して気がつくことは、高圧送電線は幹線道路沿いには建設されておりません。この話を聞いたある放送会社の幹部の方は、高圧送電線を国道沿いから水平移動する運動を起こされるなら喜んで参加しますと言っております。世界リゾート博や夏の海水浴シーズンを迎えてドライバーも一段とふえることですし、快適な紀州路の旅を楽しんでもらうためにも、この問題の対策と解決の方法について当局のお考えをお伺いしたいのであります。
 続いて、教育問題についてお尋ねします。
 ご承知のとおり、科学技術や政治経済あるいは文化や価値観といったさまざまな面で急激な変化が進んでいる今日、二十一世紀の郷土を支える人づくりという観点から、教育に大きな期待が寄せられています。また、いじめや登校拒否など切実な問題がマスコミで取り上げられるにつけ、県民の教育に対する関心がますます高まってきています。本県では、平成四年九月から学校週五日制が実施され、昨年度は、県民の大きな関心事となった業者テストの廃止、高校入試の改善など積極的に教育改革が推進されていると伺っておりますが、これからの教育のあり方について、教育長の考えをお聞きしたいと思います。
 まず第一点目は、勤労体験学習についてであります。
 かつての子供たちは、農村では田植えや稲刈りを手伝い、都市部においても家業や家事の手伝いをする中で、仕事の苦労や大切さを実感することはもちろんのこと、社会生活に必要な常識や人との協力の大切さなど、多くのことを学んでまいりました。しかしながら、近年、生活が便利になるにつれて子供たちの苦労がなくなり、勉学や趣味に集中できる環境が整ってまいりましたが、その反面、勤労から学ぶ貴重な体験が失われ、そのことが子供たちの実社会で生き抜く力の減退を招いているのではないかと懸念されているところであります。
 お聞きするところによりますと、古座、串本の両町が勤労体験学習の指定を受け、古座高校、串本高校などの保育体験、植林体験、備長炭づくりといったユニークな活動が生徒たちの心に感動を呼んでいることが地方紙でも紹介され、反響を呼んでおります。また、他府県から視察も来ているそうであります。こうした取り組みは、全国的に見ても貴重な活動ではないかと思われますが、これからの教育にとっては必要不可欠なものであり、指定を受けた特定の高校だけでなく、小学校から高校まで、すべての学校で勤労体験を重視した教育が行われることが大切であると考えます。本県では、今後こうした教育をどのように進めていくお考えでしょうか、お尋ねします。
 第二点目に、ことし四月には全国のトップを切って和歌山高校に総合学科を設置されました。この総合学科は、従来の新設学科とは異なり、全く新しい発想に基づく第三の学科ということで大変注目しているところであります。これからの学校教育を考える上で、非常に大きな意味を持つと考えるのであります。開設以来、全国から数多くの学校、団体、教育者の視察が相次いでいると聞いております。和歌山高校がその後どう変わったのか、生徒はどのように受けとめている様子か、その状況についてお尋ねいたします。
 さらに、こうした新しい試みを軌道に乗せるには、関係者の相当な努力と保護者や中学校の理解、協力あるいは思い切った条件整備が必要でありますし、和歌山高校での試みを成功させるためにも、今後総合学科をどのように育てていかれるのか、教育長にお答えをお願いいたします。
 第三点目として、去年から和商、和工、星林の三校の間で、各学校の特色を生かした学校間連携が行われているとのことでありますが、具体的にどのような教育が行われているのか、どのような面で効果が上がっているのか、生徒の反応はどうかといった点についてお答え願います。また、今後、和歌山市内だけでなく紀南地方でも実施されるお考えはないか、その見通しについてお尋ねいたします。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 堀本議員にお答え申し上げます。
 中国訪問の状況をお伺いいたしたわけでございまして、私が中国へ行ったことについての感想ということでございます。
 去る五月に、私も十年ぶりに山東省を訪問させていただいたわけでございます。議員ご指摘のとおり、中国は今、経済発展の真っただ中にございまして、山東省でも町中は建設ラッシュでみなぎる活気を感じたわけでございます。特に、青島の黄島開発区では日本の電子部品メーカーなどを視察しましたが、十年前にここを視察した際と変わりまして大きな港湾整備ができておる、工場地帯ができておる、また遊覧施設もつくられようとしていて、大規模な開発が進められておりますし、日本の資本のもとに港湾施設等もなお一層整備されております。また済南市も非常に活発でございまして、済南と青島までの高速道路が完成いたしまして、前のときは済南と青島は汽車で八時間ほどかかりましたけれども、高速道路で三時間半で行けるというような現況になっておるわけでございます。
 現在、県内の企業が合弁等によって中国へ十数社進出しておりますし、山東省には数社が進出しております。最近、家具関係についても話が具体化しておりまして、キリの半製品を輸入しているところもございます。
 私、特に今度の視察において注意いたしましたのは、五年前に天安門事件が起こったわけでございますので、中国は投資先として果たして安全なのだろうか、もしとう小平がなくなったら後の中国経済はどうなるんだろうか、また貧富の差が大きくなってくるからどうなるか、そういった話が日本の投資家、事業人の間に非常に多いわけでございまして、また中国の社会資本主義下の市場原理とはどういうものなのかということも見たかったわけでございます。
 中国の経済団体と日本の経済団体──日本の外務大臣であった大来佐武郎さんが中国の副主席の谷牧氏などとつくりました、毎年一回ずつ中国と日本で交代でやっている会議がございます。今、日本から行っておりますのは評論家の宮崎勇氏とか下河辺さん、三菱総研の鈴木さんとか、そうした会議に私も出席させていただいて中国の経済人の考え方等も伺っったわけでございまして、社会主義下の市場原理というのは日本の資本主義と余り変わらないのではないかという感じを持ったわけでございます。
 特に話が出ましたのは、日本と中国とアメリカとの経済について数的に言ったならば、日本は一対一だ、アメリカは三対三だ、中国は九対九だということでございました。一対一とは何かと申しますと、日本の経済成長率が一%でそれに伴う物価指数が一%、アメリカは成長率が三%で物価上昇率が三%、中国は成長率は九%で物価上昇率は九%だと。中国の九%ということについては、中国には確たる資料がございませんで、一二%などとも言われておりますけれども、ある程度確たる数字をとるとしたならば九%ぐらいになるのではないかと、そういう論議も出ていたわけであります。日本の経済人も最近になって、やはり中国を投資先として考え、またこれからのアジア経済の中心は中国になるのではないかという感じを持っているような感じがしたわけでございます。
 県としても、十年の交流の実績を踏まえて、県内地場産業のほか、観光、農業などといった各分野での中国進出について今後積極的に支援してまいりたいと思います。
 また、関西国際空港の開港と同時に、大阪─青島間の定期航空路線が開設されることが過日決定されたわけでございます。これによりまして、和歌山県と山東省との時間的距離は大幅に短縮されると思うわけでございます。特に山東省は、先ほども話ございましたように、資源や生産量の分野において中国各省の中で絶えず上位にあるし、治安は一番いいということでございます。そうした面で、姉妹協定している山東省との交流は非常に大きな効果を期待できるものではないかと思います。
 このような状況を踏まえて、私としても、大阪─青島路線の開設及び友好提携十周年を記念し、新たに日中友好県民の翼訪中団を平成七年度において山東省に派遣したいと考えております。
 それから、コスモパーク加太に中国の居住地域の設定をという問題でございます。
 一昨日、馬頭議員にもお答えいたしましたが、関空プロジェクトとしての基本姿勢を踏まえながら、社会経済情勢の激変に対応して柔軟に取り組むための検討を進めているところでございます。そうした面についても、ご提言を踏まえて十分検討させていただきたいと思います。
 次に、中国経済圏と本県経済との情報収集でございます。
 本県としては、これまで経済交流団の派遣やジェトロの積極的な活用等により対応してきたところでございます。ご提案の海外情報収集、あるいはアジア経済の中心とも言われている香港における活動拠点の整備等は極めて重要な事項と考えております。
 今後は、民間が行うミッションや、去る十三日に本県も参画して設立された関西国際経済交流推進会議が行う活動等も含めて、本県中小企業の海外展開の総合的な支援策について積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、総合交通体系整備のビジョンでございます。
 県の第四次長期総合計画において、県土を国土軸、国際軸に結ぶ高速道路の直結、関空との空の直結、また白浜空港の整備等とともに、県内の南北三軸、東西五軸の広域幹線道路網の形成を主眼として、陸・海・空を一体的にとらえた総合交通体系整備構想を位置づけているところでございます。目下、この構想の実現化を目指し、関係部署が一丸となって取り組んでいるところでございます。陸・海・空にわたる総合交通体系の整備は、県勢の飛躍発展を図る上で非常に重要な課題だと考えておりまして、今後とも最重要課題の一つとして取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 職員の訪中経済ミッションへの参加と中国経済に精通した職員の育成についてお答えします。
 国際社会における経済のボーダーレス化が進展する中、議員お話しのとおり、これからはアジア諸国、特に中国を視点に置いた生産、販売、投資等の経営戦略が重要なことであると考えてございます。本県では、これまで山東省との経済交流の中で二十七名の職員の派遣を行ってまいりましたが、先ほど知事からお答えしました、民間が行うミッションや関西国際経済交流推進会議が行う交流会議等、あらゆる機会を通じて職員の中国派遣に積極的に取り組み、中国経済に精通した職員の育成に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、アジア、NIES、中国への本県観光のPRの展開についてでございます。
 現在、海外から日本への旅客は約三百四十一万人でございます。その六○%以上がアジア諸国で占められてございます。中でも、韓国からは約八十五万人、台湾からは六十七万人と、訪日外国人の一、二位を占めてございます。ちなみに、中国からは約二十一万人で第四位でございます。こうした傾向は今後も続くものと考えられ、とりわけ関西国際空港の開港によって関西への入り込みが顕著になってくるものと予測してございます。
 本県においても、こうした状況に対応するため、昭和六十三年度より台湾や韓国を中心に誘客活動を行っておりますが、今後この二カ国に加えて、香港を初めとするアジア諸国に対する誘客活動も重視しなければならないと考えております。また、三重、奈良、和歌山の紀伊半島三県が共同で、本年二月、三月にかけてシンガポール、韓国、台湾の新聞記者等を招待し、三県を視察いただいたところでございます。また、この三県で冊子「紀伊半島」を英語、ハングル語、中国語で作成し、各国への働きかけに利用してございます。また、本県独自のパンフレットも作成中でございます。その他、国際観光振興会が作成した海外からの旅客が日本の宿泊施設を利用する際の手引書を購入し、地域の観光協会等を通じて配付してございますし、近畿府県観光委員会が実施している海外観光展への参加など各種の対策を講じてまいっておりますが、言葉や生活習慣あるいは価格等の問題を乗り越えて、国際交流の側面をあわせ持つ国際観光の振興に、観光協会や事業者等と連携しながら今後とも努力してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 堀本議員にお答えします。
 総合交通体系のビジョンについてでございます。
 先ほど知事からも答弁ございましたように、総合交通体系の整備は本県の活性化を図る上で極めて重要であると考えております。この認識のもとに、関係部局が一丸となって取り組んでいるところでございます。
 具体的に申し上げますと、議員お話しのように、平成四年度に作成した紀伊半島における高速交通体系整備構想を受けて、引き続き平成五年度から三カ年をかけて、二十一世紀の交通体系に対応するため、総合交通体系ビジョンの策定を行うべく、和歌山県交通リノベーション計画事業に取り組んでいるところでございます。本年度は、市町村等の意見を十分聴取しながら、ビジョンの基本的な方向について検討を行うこととしてございます。今後とも、各議員のご指導を得ながら、県内交通網の利便性向上に向け、総合的観点から取り組んでまいる所存でございます。
 それから、広域道路整備の総合マスタープラン網図についてのご質問でございます。
 総合的な道路網図については、道路ネットワークを構築する上で極めて重要なものでございます。計画路線については、県の長期総合計画に係る主要プロジェクト一覧図などに明示するとともに、新たに供用する路線については、適宜、担当部署において各種図面に記載いただいてございます。また、道路網計画の策定や道路の整備に着手するに当たりまして、道路、農道、林道の担当部署を交えながら検討、調整に努めているところでございます。その成果といたしまして、議員お話しの林道水上栃谷線や林道将軍川線の整備などが挙げられてございます。今後とも、関係部署と連携を密にしながら、地域の活性化や利便性の向上につながる道路ネットワークの構築に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、ラジオ放送の難聴地域の解消についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、紀南地方の国道沿線はドライバーにとって、NHKや民放ラジオ放送が鉄道や高圧送電線のノイズ等もろもろの要因により良好な受信ができない状況にございます。このため、県といたしましては、国や放送事業者、並びに電波障害の原因者等と話し合いながら、県民が豊かで文化的な生活が送れるよう、その解消に向け努力いたす所存でございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 大島架橋と駐車場の整備についてのご質問にお答えいたします。
 大島島内の海岸に面した部分や苗我島などは、吉野熊野国立公園の第二種特別地域に指定されており、景観、配色、緑化、地形の部分的な形状変更などについて関係機関と事前協議中でございます。また、現在、苗我島ループ橋の本工事に着工するため、必要な申請手続を鋭意進めているところでございます。
 これからの道づくりには、安全で快適な道路交通環境の確保のために、道のたまり機能を確保することや、十分景観に配慮した設計を行うなど、人に優しい道づくりを進めることが重要であると考えております。
 ご提言の大島橋詰めのパーキングエリアの設置については、関係機関との調整が必要でありますが、このような点を踏まえ、本体工事と並行しながら検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育に関する三点についてお答えいたします。
 まず、勤労体験学習についてであります。
 議員ご指摘のとおり、額に汗して働くことのとうとさや、物をつくり上げる喜びを体験することは、児童生徒の人格形成上、また豊かな人生を築いていく上からも極めて重要な意味を持つものであります。
 古座高校、串本高校が取り組んでおります勤労体験学習総合推進事業は、平成五年度から全国五地域で始まった国の事業を誘致したものであり、保健所において実際に乳幼児を抱き、直接命に触れる古座高校の保育体験や、串本高校の介護実習、地域清掃活動など、関係機関や地元の方々の協力を得て、全国でも数少ないユニークな活動を進めてございます。特に保育体験については、先般、視察に見えた千葉県議会議員の感動を呼び、この六月の同県議会本会議において紹介される予定と伺ってございます。
 こうしたことから、勤労体験の意義を踏まえ、広く地域社会の持つ教育力を生かしながら、小・中・高等学校にわたって計画的に取り組むよう指導の徹底を図ってまいりたいと考えます。
 次に総合学科につきましては、生徒の適性や興味、関心の多様化に応じ、柔軟で魅力ある高校づくりを進めるため、全国に先駆けて和歌山高校に設置したものであります。
 この総合学科は、美術工芸、スポーツ、工業、商業、情報科学といったさまざまな科目の中から生徒が自主的に選択できる画期的な学科であり、現在まで、文部省はもとより全国から九十七にも及ぶ学校や団体の視察が相次ぐなど、注目を集めてございます。和歌山高校においては、ことしの入学試験で二百名の定員を大幅に上回る応募がありました。この学科では、少人数グループによる指導を通して、生徒と教師の豊かな触れ合いの中で行き届いた教育が行われているところであります。その結果、生徒の学習意欲が高まり、問題行動による指導措置を受けた一年生は今のところ皆無であり、学校全体にもよい影響を与えていると報告を受けております。生徒の受けとめ方については、作文をもってご紹介したいと思います。
 『総合学科に入学して』、「四月に入学してから二ケ月たった今、この学校に入学してよかったと思う。入学する前までは『本当にここでいいのだろうか』と迷ったが、学校生活をおくっていく間にそれはなくなった。 その理由の一つに、勉強が楽しくなったことがあげられる。現在、総合学科では個人差のつきやすい科目には、習熟度別学習法をとり入れ、自分のレベルに合ったクラスで勉強する制度が用いられている。そのため、理解しやすく、勉強を楽しむことができる。 もう一つは、自分の学びたいことを中心に勉強ができ、その中で同じ道を求める、個性的な友人に出会い、充実した学校生活をすごしているからだ。 勉強の楽しさの中から、さらに新しい自分を発見するため、これからの三年間、多くの機会を活かし、努力してゆきたいと思う」。
 こうした子供の作文がございます。
 総合学科を育てる方途につきましては、まず教育環境整備のため、現在、鉄筋四階建て二千平方メートルの実習棟を建設中であり、多様な選択科目の授業に対応できるよう施設、設備の整備を進めているところでございます。さらに、生徒が多様な選択科目に分かれて授業が展開できるよう、また教員の意欲的な取り組みを支えるために、人的な体制についても可能な限り配慮してまいりたいと考えてございます。
 第三点目の学校間連携につきましては、平成五年度、全国に先駆けて商業、工業、普通科の三校による相互連携をスタートさせました。和商では、商業デザインとワープロによる文書処理、和工ではインテリア実習と情報技術、星林では英会話や中国語と、それぞれの特色ある科目について他校の生徒も授業を受けられるようにしたものであります。
 一年間の取り組みの結果、他校の生徒と一緒に学習することにより、クラス全体の学習意欲が高まり、新鮮で充実した授業ができた、他校の生徒と交流できてよかったなど、教員、生徒の双方から好評を得、ことしは星林高校の中国語に人気が集まるなどの特徴があらわれております。今後は、和歌山市におけるこうした成果を踏まえ、他地域での実施についても研究を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) 再質問がありませんので、以上で堀本隆男君の質問が終了いたしました。
○議長(宗 正彦君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○議長(宗 正彦君) 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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○議長(宗 正彦君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(宗 正彦君) 次に、お諮りいたします。六月三十日及び七月一日は、各常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) ご異議なしと認めます。よって、六月三十日及び七月一日は休会とすることに決定いたしました。
○議長(宗 正彦君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員からこれを申し上げます。
  〔職員朗読〕
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  総務委員会 第一委員会室  
  厚生委員会 第二委員会室  
  経済警察委員会  第三委員会室  
  農林水産委員会  第四委員会室  
  建設委員会 第五委員会室  
  文教委員会 第六委員会室  
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○議長(宗 正彦君) 次会は、七月四日再開いたします。
○議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時八分散会

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