平成6年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 早速、質問に入ってまいりたいと思います。
 まず初めに、健康保険法等の一部改正についてでございます。
 ちょうどきょうが国会の会期切れということになりますけれども、あと延長されるかどうかはわかりませんが、そういう中で、国民の命と健康にかかわる重要法案がまともに審議されないまま短時間でごり押しされる今国会の異常事態に私はやりきれない憤りを感じ、二月議会に続いて健保問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 私は、この入院給食の保険外しと付き添い看護制度廃止及び保健所法等の改悪法案は、国民の命と健康、暮らしに大きくかかわる重要法案であると考えるものであります。それゆえに慎重審議が求められなければなりませんが、この法案成立過程を知るにつれ、国会審議のあり方に大きな疑問を深めているところであります。
 この法案に反対する日本医師会を初め、各医療団体、栄養士会、公私病院協会、保険医協会やさまざまな患者団体、そして五百万を優に超す反対署名、地方議会での意見書採択は十五の道県を含む九百五十六議会、このような反対の声や意見は無視したまま、ただただ法案成立を強行するための審議に終始した感を抱くものであります。議案審議の時間たるや、衆参両院を合わせてもわずか十二時間余りです。しかも、衆議院で採決もされていないときに参議院の採決日程まで決めてしまうという異常さです。審議抜き採決と言わざるを得ません。
 さらにひどいのは、負担をさせられる国民が国会傍聴も不可能な深夜や、あるいは異例な早朝審議をあえて設定するなど、まさに国民不在、国民無視も甚だしいものです。こうした状況を批判して反対の態度をきっぱりとったのが、日本共産党と自民党の田中真紀子さんだけでした。国の最高決定機関である審議の場が、形式的な単なる法案の通過機関に形骸化されてはなりません。議会制民主主義からしても、断じて許せない行為であります。
 こうした国会審議における経過について知事はどのような感想をお持ちなのか、率直なご感想をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、病院給食が保険外しとなった問題についてであります。
 私は、病院給食は治療の一環として重要な役割を持っていると思うんです。このことを忘れて、「家にいても食事はするのだから、入院中の食事についても支払うのが当然」として「公平論」という暴論を押しつけ、一日八百円、当面六百円が患者負担として導入されました。今回の改悪のねらいは、患者の負担増にとどまらず、だれでも同じ内容の医療が受けられる現在の医療保険制度を、患者のお金のあるなしによって医療内容を差別する制度に転換してしまおうとする大改悪でもあります。今は一部であれ病院給食を保険の給付から外し、将来的には薬や部屋代といったものにまで拡大をし、患者負担の大幅な拡大を進める突破口としてやったものではないかと思います。
 病院給食費を自己負担にして「質の向上」だと言っているわけでありますけれども、病院側にしてみますと、保険での収入は、今まで保険で見ていた分から自己負担に相当する分が削られてしまうことになります。ですから、当然、給食内容については経済的な問題から考えてもレベルダウンをせざるを得ません。質の向上に伴う費用は、八百円の自己負担にさらに上乗せされる自由料金や差額徴収が充てられることは確実です。そうなれば、差別が進行することはあっても、入院患者全体の給食サービスの改善につながらないことは明らかです。
 既に導入されている特別注文給食は、給食の質の向上を目指すためにつくられました。にもかかわらず、患者の負担による追加サービスでありますから、現在のところ全く活用されていないことが明らかになっています。こういう点からも、サービス、質の向上はとてもじゃないけどできないということは予想されることであります。
 そして何よりも、高齢者は医療費の一日七百円に給食費として当面一日六百円が新たにふやされるわけですから、約倍の負担額となります。金がなく払えなくなれば退院へと追いやられたり、あるいは「こんなものおいしくなくてとても食べられない」と給食を拒みながら払わない人も出てくることは確実でありましょう。
 病院給食は、何はさておき治療効果を最大限発揮できるように医師の処方に基づいて医学的、栄養学的に管理をされてまいりました。医療関係の皆さんたちは、ここに常に基本を置き、常日ごろ頑張っているわけですから、このことを忘れてはなりません。病院給食の基本であります。このことを私はこの議場から多くの皆さんに訴えたいと思います。
 民生部長にお伺いしますが、給食費の患者負担によって本当に質が向上し、給食サービスはよくなるのでしょうか、お聞かせください。
 次に、法改正は付き添い看護料の廃止をも行いました。これまで、基準看護を実施していない病院において、術後や容体が急変したとき、あるいはどうしても介護が必要な人たちに対して、一対一の看護を二十四時間体制で行えるということから、今の不十分な看護体制を随分と補う役割を果たしてまいりました。
 現在は、こうした付き添い看護に対し、申請すれば保険から還付をされるというふうになっております。その料金を見てみますと、甲乙という値段の差はありますが、和歌山市の場合、患者一人に対し付き添い看護者が一人つく一対一の場合には一日三千七百二十円、二対一の場合には三千四百五十円、そして三対一の場合には三千百九十円が還付されていたわけです。
 しかし、今回の法改正の中で、平成六年度末にはこの廃止が決められたわけです。「そのかわり、病院スタッフによって必要な介護ができるような体制をつくります」ということになっているわけですが、本当にこういった理想どおり実現するのでしょうか。私の看護婦生活二十五年余りの経験から考えてみましても、基準看護の病院でさえ家族介護を求められることは多々あるわけです。ましてやそれ以上に看護力の弱い病院では、結局、家族介護の増加といわゆる「やみ看護」にかわっていくというふうに思うわけです。
 さらに、無資格者の大量導入で、本来の質の高いよりよい看護の充実を提供したいと願う病院関係者と、十分な看護をしてほしいと願う患者の間に、深刻な医療問題として発展していくことも予想されると思うんです。患者が安心して入院し医療看護が受けられる保障どころか、新たな患者家族への負担と患者放置という状況を生み出すことは明らかでありますから、大変私は心配しているところです。
 ですから、法改正をするに当たって、さきに条件整備が行われた上で廃止が行われなければならない。でなければ、かえって現場と患者に混乱をもたらす結果を生み出します。このことを私は指摘しておきたいと思うんです。民生部長のご所見を求めたいと思います。
 次に、法改正で最も大変な状況になるのは高齢者の皆さんであり、高齢者の入院医療費等の費用の負担が大きな課題になってまいります。
 制度が改正されるたびに、高齢者の負担はふえる一方です。老人医療費の有料化に始まって、年金、消費税、今回の入院食事代、そして国保料など。これだけではありません。法のもとでも変わっていって悪くなる。さらに保険外負担ということも大変多くなってきています。本当に高齢者がお金を心配をしないでいつでも安心して入院できる保障は、今やなくなるのではないでしょうか。私はとても心配です。
 高齢者が入院したら一体どれだけの費用がかかるのでしょうか。民生部長、教えていただきたいと思います。
 次に、骨粗鬆症の予防対策についてお伺いをいたします。
 最近、女性の間で骨粗鬆症が話題になっております。私は、この問題を質問するに当たって、医大と角谷整形外科病院にお邪魔をいたしまして、骨粗鬆症という病気の原因や検査方法とその検査機器、そして予防、治療についても親切丁寧に教えていただき、学んでまいりました。
 よく高齢者の女性が腰痛を訴えて外来を受診することがありますが、その多くが骨粗鬆症であるという状況が大変ふえてきているそうです。また、入院している七十歳から八十歳の女性患者の大腿脛骨骨折の多くが骨粗鬆症に起因している状況もよくわかってまいりました。
 骨粗鬆症の患者は全国で今や五百万人から一千万人とも言われ、その大多数が女性であることも発表されているわけです。これは女性ホルモンに大きくかかわりがありまして、閉経後、骨を守る役割を持つ女性ホルモンの分泌がなくなり骨量が急激に減るため、六十歳以上の女性に多いと言われているんです。
 この骨量というのは十八歳ぐらいまでに形成をされて、さらにしっかりした骨になるのは二十代から三十代で、この時期が最大骨量になります。そして、四十代まではほぼ維持され、閉経を迎えると急激に減少すると言われています。私たちはよく「四十歳になったら、カルシウムが足りないから牛乳をたくさん飲むんだよ」と日常生活の中で言われてまいりました。また、テレビでは一日にカルシウムを六百ミリグラムとることを放映いたしております。そして、多くの女性たちはあれこれ努力をしているわけです。
 また、女性は妊娠、分娩という大きな仕事をいたします。胎児は母胎内で母親の骨量などお構いなく吸収をしていきますから、より以上にカルシウム等の摂取が求められるわけです。そして、骨はカルシウムやビタミンD、女性ホルモンが深くかかわりを持っていると言われています。
 カルシウム不足は、骨の変形や少しのショックで骨折しやすくなったり、ひどくなると寝たきりにつながってまいります。この骨粗鬆症を皆さんにご理解していただくために例えて申しますと、余り表現はよくありませんけれども、ちょうど大根にすが入った状態を想像していただくと理解できるのではないでしょうか。女性にとっては生理的現象でありますから、みんながみんな骨粗鬆になるわけではありません。老後を元気に生き生き暮らしたいというのは、すべての女性の願いでもあります。骨粗鬆症を予防するには、若いころからの食事習慣や適度な運動などに心がけることが大切だというわけです。
 そういう中で厚生省は、遅きに失したとはいえ、本年度から骨粗鬆症の検診事業を行うことにしています。骨粗鬆症の予備軍となる低骨密度者の早期発見が予防対策のかなめと位置づけていますし、十八歳から三十九歳までの女性を対象にモデル的に検診を行うものです。全国市町村五百カ所、大体各県平均で十カ所実施されると言われているわけですが、実施主体は市町村で行います。骨密度測定器のリース代に対して国と県が各三分の一の負担をするというものであります。
 厚生省のモデル事業は三十九歳までです。しかし、実際に骨粗鬆症は閉経後に急激に進むと言われているわけですから、その年齢の人たちをも含めた検診が必要ではないでしょうか。既に東京の中野区や板橋区などでは、三十五歳以上の区民に対して無料検診が始まっております。そして、県単独事業として大阪府や隣の奈良県でも実施をされているところです。大阪府は二年前から試験的に行い、昨年度から骨密度測定器をみずから買って保健所に配置し、希望者には──ここはお金を取っているようでありますけれども、大変女性たちには喜ばれていますし、その結果によって栄養士さんによる食事指導も行っていると聞き及んでいます。大阪府は、今後も測定器を買うための予算を考えていると言っていました。
 奈良県は、平成四年度から県内全体の各保健所に測定器を既に設置し、無料検診を行っています。しかし、希望者が多くて、なかなか対応できない状況でもあります。検診を始めてからちょうど十カ月の調査をいたしましたところ、受検者は八千人でありました。そのうちの八割が要注意の状態であったとの結果も出されていますが、女性たちの老後の健康に対する関心度の高さやこれに対応する奈良県の姿について、私は大変立派だと思うわけです。そして、この機械を市町村が主催する研修会等に積極的に貸し出しをするという取り組みも進めていらっしゃいます。
 保健環境部長にお答え願いたいと思いますが、厚生省が行うこのモデル事業に対し、既に具体的な実施計画に取り組んでいらっしゃるのでしょうか。その状況をお聞かせ願いたいと思います。そして、県単独としても、奈良県のように和歌山県内のすべての保健所に骨密度測定器を設置して、全女性を対象に希望者に対しては無料で検診を実施することはお考えになれないのかどうか、このことについてもお聞かせ願いたいと思います。
 次に、紀の川大堰建設工事による被害問題についてでございます。
 今、和歌山市園部地区、紀の川右岸周辺を中心として、建設省の直轄事業として建設工事が平成十二年の完成を目指して着々と進められているところでございます。建設省は工事着工に当たりまして、地元の住民の皆さん方、工事現場に直近の園部第十自治会に対して平成四年四月十四日に説明会を行っておられます。しかし、その後、住民の皆さん方の求める家屋に対する事前調査もないまま予備工事が始まりました。この予備工事は、平成四年六月九日から二十二日までと八月二十一日から十月二日までの二回の期間行われていますけれども、この間の騒音と振動等による予期しない被害が続出してまいりました。
 早速、建設省に被害調査を申し入れたにもかかわらず、対応はありませんでした。自治会対策委員会は自主的に調査を行い、再度建設省に申し入れました。被害発生後一年経過した平成五年五月、ようやく家屋調査、被害調査が行われるという大変お粗末な対応でもありました。
 住民の調査によりますと、住宅五十七戸中、四十六戸にさまざまな被害が発生し、住民は激しい怒りと不安を今日まで募らせているところであります。被害の実態は、雨漏り、屋根がわらのずれ、建具のゆがみ、玄関の壁の落下、床のタイル割れやめくれ、ブロック塀のずれや亀裂、台所・風呂場・トイレのタイル割れ、家の基礎にひび割れが入る、排水口の陥没や亀裂、新六箇井用水路に面した三十六軒の地盤沈下、そして新六箇井用水路のり面コンクリートのひび割れ、各家庭の壁のひび割れは、今見てもだれの目にもはっきりと確認できるほどひどいのです。また、電波障害もひどいものであります。
 私も、こうした被害の実態をたびたび見てまいりました。一日も早い改善策が示されなければならないと切に思うのであります。騒音振動は、家の中ではガラス窓がガタガタと今にも割れそうな音と振動、そして夜勤者にとっては静かに眠れる状況にはなかったそうですし、棚の物が落ちてくるなど、随分ひどかったようです。また、電波障害によるテレビの映像被害も続出し、集中アンテナによる改善を繰り返していますが、いまだによくなるどころか、ひどくなっている家もあると言われています。
 最近、建設省は二回目の家屋被害調査を実施し、被害に対する改善が始まったばかりでございます。しかし、住民の納得し得る対応策が示されるという状況には至っていないため、ますます環境悪化への不安は増大するばかりであります。県に対して去る三月に嘆願書を提出し支援を求めていることは、ご承知のとおりであります。
 土木部長に伺いますが、このような被害実態をどのように把握されているのでしょう。そして、どのような支援対策をお考えになっておられるのでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。とりわけ、集中アンテナの改善は急いでほしいものです。
 特に新六箇井用水路についてでありますが、用水路の擁壁ののり面部分に大堰工事によると思われるひび割れや川底に空洞がつくられている可能性も指摘されているところです。もしこうした箇所が損壊するようなことになれば、住民への被害ははかり知れないものとなるだろうと私は思うのです。指摘した状況がすべて大堰工事が原因とは言い切れませんが、少なくとも工事をしている点からも、原因者の一人であることからも、調査を行うことや被害を最小限に食いとめる手だてを早急に行うよう建設省に申し入れることを切に願うものです。土木部長のご意見をお聞かせ願います。
 次に、消費税の引き上げ問題について知事のお考えを伺います。
 私たち主婦は、買い物のたびに消費税の痛みを感じながら毎日の生活をいたしております。少しでも安い物はないかと頭を悩ましているのは、どこのご家庭でもご一緒だろうと思うんです。特に私どもが地域の中で生活相談を受けるお年寄りの皆さんは、月に三万円ちょっとの年金を頼りにしておられる方々であります。「消費税をなくしてほしい」と訴えられます。また「毎日の食費だけでも消費税を取らないでほしいよ」、こう訴えられるんです。こういう切実な願いは、年金暮らしのお年寄りはもちろんのこと、毎日市場やスーパーで買い物をしている皆さんの願いだと思うんです。
 ところが、政府の税制調査会が去る二十一日に首相に提出した税制改正答申では、消費税率の引き上げをはっきりと書いているではありませんか。また、同じ日の連立与党税制改革協議会も同じ趣旨の報告書をまとめています。政府と連立与党が消費税率のアップへ具体的に動き出していることは明白ではありませんか。
 私ども日本共産党は、国民生活を守る上からも、また民主主義を尊重する点から言っても、消費税の廃止などを求めてきており、税率のアップを認めることは絶対にできません。また、細川前首相が打ち出した国民福祉税構想のように、消費税の名前を変えただけの消費税率アップにも絶対反対です。
 私どもの計算によりますと、年収五百万円の勤労者の四人世帯では、今の三%の消費税率で一年間に八万五千八百円の消費税を払っています。消費税が七%に引き上げられますと、年間の消費税負担額は十九万七千九百円にもなり、十一万円以上の増税になります。十%ではどうかと申しますと、年間の税額は二十八万二千七百円、増税額は十九万六千七百円にもなります。所得税と住民税の二割減税が行われたとしても、年収五百万円の勤労者家庭ではわずか二万円少しですから、差し引き増税になることは明らかです。消費税の増税が、お年寄りなど減税の恩恵を受けない人はもちろんのこと、国民の七割、八割が増税になり、ますます生活が苦しめられることになります。知事は、国民をいじめ不況を長引かせるだけの消費税率アップについてどうお考えでしょうか。明確な答弁を求めます。
 税調答申は「高齢化社会のため」と言っていますが、そのための財源は、国民を苦しめる消費税のアップではなくて、九三年度の高額納税者として発表されたような、株取引で何百億円もの利益を上げながら所得の一割か二割しか課税の対象にならないような不公平な税制を改めることや、アメリカ兵に一人当たり千五百万円以上も注ぎ込んでいる、そんなお金の使い道を改めることこそ必要だと私どもは考えています。
 また、消費税のアップについて、連立与党内閣に加わっている政党の中には、昨年の総選挙で「消費税率アップは絶対やらない」と宣言したところがございます。選挙前には絶対やらないと言って、選挙が終わってからは、先ほど申しましたように消費税率アップを推進しようとするこういうやり方は、選挙での公約をないがしろにするだけでなく、民主主義を踏みにじることになると私は思うんです。消費税率アップのような政策の大幅変更を行うのであれば、直ちに国会を解散して総選挙を行い、国民に信を問うべきだと主張しているのです。選挙で公約したこととその後で実行することが正反対というようなことは、議会制民主主義の精神から言ってあってはならないことだと考えますが、知事のご所見を伺うものです。
 消費税の県財政への影響についてでございますけれども、総務部長にお伺いをいたします。現在の三%の消費税が県財政に与える影響について、公共事業、物品購入の支出増、県の公共料金の消費税収入について明らかにしていただきたいと思います。また、仮にも七%に引き上げられた場合の県財政とのかかわりについての試算をお示し願いたいと思います。また、私どもは、県の公共料金については消費税の転嫁を直ちにやめることを求めてまいりました。その考えは今もってないのかどうか、お伺いをいたします。
 次に、有事立法問題について知事の見解を問いたいと思います。北朝鮮の核疑惑開発問題に関連して国会でも問題となっているいわゆる有事立法について、知事の見解をお伺いするものです。
 憲法で戦争放棄をうたっております我が国において、戦時を想定した有事立法を検討すること自体が大きな問題と考えますが、政府の進めようとしているこういう重大な問題が国民の前に明らかにされないこともまた重大だと思います。
 さて、核疑惑問題では、南北朝鮮、アメリカとの間で話し合いが続けられています。日本政府は、対外的には国連の決定がなくても核兵器を含む北朝鮮への軍事制裁を辞さない立場をとっているアメリカに追随し、米軍との共同の軍事行動さえ進めることを表明、それに対応して戦争状態を想定した国内での体制づくりが、有事立法の制定に向けた動きだと私は思うんです。
 五月一日に放映されたテレビ朝日の番組で熊谷官房長官は、朝鮮半島で衝突が起こった場合の対応として「一気に危機管理体制をつくることができる。そのための実務的な準備をしている」と話しておられます。また、五月二十七日の国会で羽田首相は、八一年と八四年に中間報告として公表されているいわゆる有事立法の原案を前提に対応を研究中であることを認めています。
 この中間報告では、有事の際には自衛隊の第一線の指揮官が知事に物資や土地、医療関係者などの技術者の徴用を要請できる仕組みをつくることになっています。徴用の対象には、医師、歯科医師、保健婦、看護婦、大工さんから自動車運送業者などの広範に及んでいます。また報告は、自衛隊の車両や戦車が私有地を自由に走り回れるように道路交通法を改定するとか、野戦病院設置のための医療法の改定、死亡者を火葬場以外で焼いたり墓地以外にも埋葬できるようにするための法律改定さえ要求しているんです。こういった危険な法律がいざとなれば直ちに成立できるように準備されている、これが今現実に進んでいる実態であると私は思うのです。
 こんな危険な動きをただ経過を見守るといった姿勢で傍観することは許されることではありません。国民の生活も財産も、生命さえ奪う危険な有事立法には全国から反対の声を上げていくことが今大切ではないでしょうか。日本が憲法の平和の精神に立ち返って国際社会の中で貢献する、この平和憲法の精神を守ろうという国民の世論を広げることが何より大切だと考えるものです。
 仮谷知事、仮にも有事立法が制定された場合には県民を徴用する役を負うのですから、こういう危険な法律には反対する、そういう立場を明確にされることを求めるものです。知事の見解はいかがなものでしょう。県民の生命と財産を守る責任ある知事としての明確な答弁をお願いいたします。
 以上で、第一回を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡キミ子議員にお答え申し上げます。
 健康保険法等の一部改正でございますが、この改正につきましては、平成四年九月から約二年にわたる関係審議会での十分な検討を踏まえたものと聞いております。
 なお、今般の健康保険法の一部改正の中で、特に保険給付の範囲、内容の見直しに関して、ご指摘のような一部団体から見直しに反対または慎重な意見があるということは、マスコミ報道等により私も承知しております。
 しかしながら、今回の見直しは、今日重要な課題となっておる付き添い看護・介護や在宅医療と入院時給食等について一体のものとして保険給付のあり方を見直し、サービスの質の向上と患者のニーズの多様化にこたえていくものと聞いているわけでございまして、今後、厚生省に対して今回の制度改正の趣旨及び内容を十分に周知されるよう要望してまいりたいと思っております。
 次に、消費税のアップについてでございますけれども、今般の税制改革において、政府の税制調査会ではバランスのとれた税体系の構築を図るために個人の所得税の軽減と消費課税の充実を答申したところです。その具体的な内容は未確定でありますが、税制改革というのは我が国の経済や国民生活に大きな影響を及ぼす国政上の最重要な問題でございます。私としては、このことについて今後国会で十分に審議されることを期待するとともに、その動向を注意深く見守ってまいりたいと考えております。
 それから、消費税問題に関連しての選挙公約の問題でございます。私が答えるべきかどうかでございますけれども、一般論で申しますと、政治家は公約を大切にしなければならないことは当然でございます。しかし、時事刻々と変化する内外の情勢に対応していくことも、政治家としての政治の重要な課題でございます。
 いずれにいたしましても、国民の理解を求めながら、国民生活に資する政治というものを進めていかなければならないと思っておるところでございます。
 次に、有事立法についての知事の見解でございます。有事立法については、まだ国会において具体的な審議が行われたという話は私は聞いておりません。したがって、現在のところ内容的に定まったものがあるわけではないのではないか、そのような段階でございますので、意見を述べることを差し控えさせていただきます。
○議長(宗 正彦君) 民生部長南出紀男君。
  〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 村岡議員の健康保険法の一部改正に関連するご質問にお答えいたします。
 まず、入院給食の患者負担は給食サービスの向上につながるのかとのご質問でございますが、入院時の食事については、引き続き保険給付の対象としつつ、患者ニーズの多様化に対応するため、今回の負担の見直しに合わせて、診療報酬上、一つには多様なメニューの提供や適時適温等、患者ニーズに対応した良質な食事の提供に対する評価、二つには食堂など良好な食事環境での食事の提供の評価、三つには栄養士による栄養管理やベッドサイドにおける栄養指導についての評価などについて所要の措置が講じられるよう検討を加えていくこととされており、これらによって病院給食の改善が図られるものと考えてございます。
 二点目の付き添い看護料の問題でありますが、患者負担の重い保険外負担の解消を図るため、平成七年度末を目途に付き添い看護料を廃止するとともに、診療報酬上、看護・介護職員を新たに雇用し、看護・介護サービスを充実できるような評価等の方策を講じることとしています。これにより、病院スタッフによって適切なチームワークのもと、サービスの向上が図られるものと考えております。
 次の、お年寄りのいわゆる保険外負担の問題でありますけれども、入院費用については患者個々にサービスの状況が異なっており一概に申し上げられませんが、保険外負担については、サービスの提供や物品の販売についてその料金等の事項を掲示するよう徹底を図りたいと考えます。さらに、医療給付と重複する費用の徴収やあいまいな名目による費用の徴収についても、今後とも一層指導監督の徹底を図ってまいります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 村岡議員ご質問の骨粗鬆症の予防対策についてでございます。
 骨粗鬆症は、近年、高齢化社会の進展、カルシウムの摂取不足、運動不足等を背景として、壮年期以降の女性にとって重要な問題となっており、国において婦人の健康づくり推進事業の中に平成六年度から骨密度測定検査を加え、モデル的に全国五百市町村を対象に骨粗鬆症検診事業を実施することとしております。本モデル事業の実施については、国の実施計画を待って市町村と協議してまいりたいと考えてございます。
 県としては、骨粗鬆症の予防対策は第一に青年期に獲得される最大骨量を多くし、獲得した最大骨量をできるだけ維持し減少を防ぐことであり、このためバランスのとれた食生活、適当な運動を推進するための啓発活動が最も重要であると考えており、昭和六十三年度から食生活面からの普及啓発としてグリーン&ホワイト運動を展開してございます。なお、本年度は紀北、紀南の二会場で、骨粗鬆症予防の特別講演とあわせ骨密度測定を実施したいと考えております。
 また、保健所への骨密度測定器の導入については、先ほど申し上げたモデル事業の実施状況等を見ながら検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 紀の川大堰建設工事による被害についてのご質問にお答えいたします。
 紀の川大堰は、建設省において昭和六十二年度建設に着手し、平成五年三月には大堰本体の建設工事に着手しております。平成六年度は、大堰本体工事並びに関連工事としての低水護岸工事などの促進を図ることとなっております。
 議員ご質問の大堰本体施工箇所北側に隣接している家屋などに対する影響についてでございますが、建設省において昨年の五月に園部第十自治会の八十六戸について家屋調査を実施しております。さらに、本年二月から四月の間、さきに実施した調査家屋八十六戸のうち影響があると申し出のあった六十二戸について家屋の中間調査を行っており、現在、国で状況変化について解析を行っているところでございます。
 一方、家屋等に対する影響についての原因を解析する調査機関についてでございますが、地元関係者と建設省和歌山工事事務所との話し合いがまとまり、先日、工事による因果関係を解明するための地質調査等を発注したところでございます。
 また、電波障害については、昨年十月に受信用の集中アンテナを設置しておりますが、なお一部の住民の方から苦情があり、建設省において現在受信状態等の調査を行っていると聞いております。
 次に、新六箇井用水路の状況についてでございますが、用水路の老朽対策についての要望はありましたものの、大堰建設工事に起因したと思われる被害の発生については今のところ具体的な申し入れはないと建設省より聞いております。しかしながら、建設省では新六箇井用水路に関する住民の声も把握しており、現在調査中の諸調査を通じて状況等を把握できるものと考えております。
 紀の川大堰の建設は県にとっても重要な事業であり、また地元関係者の方々のご理解とご協力のもと進められる工事であると認識しております。県としても、予定している調査を早期に終了し、因果関係を解明していただき、地元関係者と十分話し合いをしていただくよう伝えてまいります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 消費税の税率を七%にアップした場合の県財政に与える影響ということでございますが、現行の消費税について申し上げますと、地方交付税、消費譲与税として県の歳入面にプラスになる一方、歳出面で県が最終消費者として消費税を負担する場合があるなど、歳入歳出両面にわたって消費税は県財政と密接な関係を有するものでございます。
 消費税率が仮に現行の三%から七%になった場合の影響についてのお尋ねでございますけれども、これは現段階で非常に機械的に試算したものでございますが、公共事業、物品購入等における一般会計の消費税負担額が六十六億円程度増加となるほか、使用料、手数料の消費税分が二千四百万円程度増加するというふうなことになろうかと思います。
 その一方で、一体として行われると考えられる税財政制度の改革により一定の歳入の変動が予想されますが、この点についてはさまざまな観点から現行制度の見直しの動きも報じられているところであり、現段階で歳入歳出両面を通じた全体的な影響額について確たる見込みを申し上げることはできないという状況でございます。
 いずれにしても、税制改正の議論に際しては、地方公共団体の適正な財源確保という観点から、国に対し十分に働きかけを行っていきたいと考えております。
 次に、公共料金への消費税の転嫁でございますが、消費税については、ご案内のとおり、広く公平な負担を求めるという趣旨から、制度上、地方公共団体の施設使用料等にも課税されることとなっておりますのでご理解をいただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 ご答弁をいただきましたので、再質問をいたします。
 知事ですけれども、この有事立法問題については、既に羽田さんも、「法」という名前は使わなくても、北朝鮮の核問題の有事体制という問題も含めて所信表明をしていらっしゃいます。また、衆議院の予算委員会や参議院の予算委員会でも、我が党もこの論議をしているわけです。官房長官にもお伺いをし、答弁もいただき、もう討論、審議は始まっているわけです。だから、知事がこういう答弁をするというのはどういうことかなと、私は疑問に思うんですよ。新聞にも随分と載っていますし。
 私がなぜこの有事立法問題について申し上げるかというと、国会レベルの問題であったにしても、この法が制定され施行されますと、知事は県民を徴用する最高責任者になるんです。そういうふうに、ちゃんと中間報告の中で明記をしているわけです。政令の中でそれをつくると明記しているんですから、そのことをやっぱり重要視しなければいけないと。
 だから、あえて私は、首長である知事が私たちにとっては最高責任者ということですから──徴用ということになりますと、業務命令ですよね。こういう点から見ましても、既にこれが審議をされていっているということでございますので、今こういう答弁をされることについて私は非常に不愉快な気持ちですし、国会の中身をもっと知っていただきたいと思うんです。重要問題です、これは。
 そういう点で、私は特に知事にお願いをしておきたいと思います。これは討論はしませんけれども──納得いかないんですが──知事の今の姿勢、審議はしていないというような態度について、私は許されない、そういう事態だと思います。
 それから、健康保険法が通ったわけですけれども、経過等から考えても、国民が知り得る材料もろくすっぽ出さないで通過させるというような現状が目の当たりにあったわけです。
 民生部長は、在宅と入院の負担を平等にするんだ、公平に負担してもらうんだとおっしゃったわけですけれども、入院とは何ぞや、在宅医療とは何ぞやということをまずよく理解していないんじゃないかと思うんです。確かに厚生省の建議書ではそう言っていますけれども、現場では本当にそうかと大きな疑問を今持っているわけです。
 入院というのは、医者が診断をして、「あなたは入院をして治療しなければいけないんですよ」と、きちっと出されるわけでしょう。在宅医療の場合は、一たん入院をしても、患者さんから「もう自分の家でやりますから」と申し入れをして、お医者さんが「いいですよ」というような形で、「そのかわり外来で二週間に一回なり一週間に一回おいでなさいよ。経過を見ましょう」ということですよ。入院というのは、日々きちっと医者が診察をし、そして治療方針を変えていくわけでしょう。そこの中で重要なのは、食事ですよ。「特別食」というのがありますね。これは、栄養士、医者が常に患者の症状によってやるということでしょう。こういう問題をきちっと見ないで「公平」というだけで法改正をするのか。患者負担を強いるのか。これは大問題ですよ。
 そういう点で、私たちは、実際に現場で対応する分には非常に問題があると。国は、いかに医療費を抑えるかという点でやっているだけの話ですよ。そういう点では、私は今のあなたの──お聞きしますけれども、在宅医療とは何か、入院医療の中での給食というのは何か、もう一回答弁してください。お伺いをいたします。
 それからサービスの問題ですけれども、これは本当にサービスの向上になると確信をお持ちですか。法律は変わったけれども、本当においしい食事を提供できる保証があるのか。値段は安くはならないけれども、それじゃそのままで患者負担を強いたからといって、具体的にやれるのかどうかというと、現場では大変ですよ。それから、「食堂をつくりなさい」と言っても、もうできてしまった病院はそう簡単にできますか。今からつくりかえるとか新しく開業するというのであれば、食堂をつくることはできますよ。今、目いっぱいの敷地の中で、基準の中で目いっぱいにつくっているわけでしょう。法律には何にも違反していない。そういうところに「食堂をつくって、いい環境をつくるんだ」と、こんなことは言うだけですがな。何の効果もありませんよ。
 それから、栄養士さんによる入院中の栄養管理というのは、それはできます。しかし、ベッドサイドに行って栄養士さんが栄養指導をできるかといったら、ぎりぎりの人数でいるのに、そんなことできますか。むちゃくちゃですよ、こんなもの。そういう点についても、あなた方の答弁はなっとらんのです。現場を無視し、実行不可能なことをやっているんですよ。
 もう一つ、付き添い問題も大問題です。もう時間がありませんけれども──委員会でやりますが。こんなもの、今あなた方は看護婦問題で悩んでいるんでしょう。保健環境部でも、看護婦が足りなくて大変なんでしょう。だから、付き添いをなくして本当に充実した看護婦体制がとれるかと言ったら、これはとれないことはもうはっきりしているんです。そういう点でも私は、この法案は成立しましたが、撤回してもう一回審議をし直すぐらいの重要法案だと思っています。
 紀の川大堰問題についても、ぜひ建設省に具体的、積極的に働きかけてくださいますようにお願いをしておきたい。
 先ほどの質問だけ、答弁をしてください。
○議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 有事立法について、要望でございましたけれども、私ははっきりしておきたいと思うんです。
 総理大臣への質問や議論はありましたけれども、法案は出ていないわけでございます。だから、法案が出てきた場合、知事の権限等の問題については十分それは相談あるべきだと思ってございますが、審議ということは行われておりません。
○議長(宗 正彦君) 民生部長南出紀男君。
  〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 村岡議員の再質問にお答えいたします。
 議員ご意見のとおり、給食そのものは、入院患者あるいは在宅患者を問わず、それはその疾病の治癒に必要なものとして十分認識をしてございます。
 ただしかし、今回の健康保険法の一部改正に伴う、先ほどからご質問いただきました給食費の患者負担の問題、あるいは付き添い看護料の廃止の問題等々、その改正の趣旨については、今後厚生省に対し、その改正の趣旨や内容について十分徹底するように要望してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 質問の発言時間が終了いたしましたので、ご了承願いたいと思います。
 以上で、村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十二分休憩
  午後一時四分再開
○議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

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