平成6年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第四号 平成六年六月二十九日(水曜日)
  午前十時開議
  第一 議案第七十六号から議案第八十四号まで、及び報第二号から報第六号まで(質疑・委員会付託)
  第二 一般質問
  第三 請願付託
会議に付した事件
 一 議案第七十六号から議案第八十四号まで、及び報第二号から報第六号まで(質疑・委員会付託)
 二 一般質問
 三 請願付託
 四 休会決定の件
出 席 議 員(四十三人)
 1  番  小  川 武
 2  番  吉  井  和  視
 3  番  井  出  益  弘
 4  番  和  田  正  一
 5  番  町  田 亘
 6  番  尾  崎  吉  弘
 7  番  岡  本 保
 8  番  藁  科  義  清
 9  番  向  井 嘉久藏  
 10  番  佐  田  頴  一
 11  番  阪  部  菊  雄
 12  番  堀  本  隆  男
 13  番  平  越  孝  哉
 14  番  富  田 豊
 15  番  門  三佐博  
 16  番  西  本  長  弘
 17  番  高  瀬  勝  助
 18  番  上  野  哲  弘
 19  番 宇治田  栄  蔵
 20  番  尾  崎  要  二
 21  番  中  村  利  男
 23  番  山  本 一
 24  番  馬  頭  哲  弥
 25  番  鶴  田  至  弘
 26  番  飯  田  敬  文
 27  番  村  岡 キミ子  
 28  番  松  本  貞  次
 29  番  下  川  俊  樹
 31  番  宗 正  彦
 32  番  橋  本 進
 33  番  浜  田  真  輔
 34  番  冨  安  民  浩
 35  番 上野山  親  主
 36  番  中  村  裕  一
 37  番  和  田  正  人
 38  番  大  江  康  弘
 40  番  木  下  秀  男
 42  番  森 正  樹
 43  番 野見山   海
 44  番  新  田  和  弘
 45  番  浜  本 収
 46  番  森  本  明  雄
 47  番  浜  口  矩  一
欠 席 議 員(一人)
 39  番  中  西  雄  幸
 〔備 考〕
 22  番  欠  員
 30  番  欠  員
 41  番  欠  員
説明のため出席した者
 知 事 仮  谷  志  良
 副知事 西  口 勇
 出納長 梅  田  善  彦
 知事公室長 中  西  伸  雄
 総務部長  木  村  良  樹
 企画部長  宮  市  武  彦
 民生部長  南  出  紀  男
 保健環境部長  江  口  弘  久
 商工労働部長  中  山  次  郎
 農林水産部長  野  見  典  展
 土木部長  山  根  一  男
 企業局長  高  瀬  芳  彦
  以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 岩  崎  正  夫
 教育長 西  川 時千代  
  以下教育次長
 公安委員会委員長
 西  本  貫  一
 警察本部長 西  川  徹  矢
  以下各部長
 人事委員会委員長
 水  谷  舜  介
  人事委員会事務局長
 代表監査委員  天  谷  一  郎
  監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長職務代理者
 谷  口  庄  一
  選挙管理委員会書記長
  地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長  岩  垣 孝
 次  長  中  西  俊  二
 議事課長  松  田  捷  穂
 議事課副課長  佐  竹  欣  司
 議事班長  松  谷  秋  男
 議事課主事 長  尾  照  雄
 議事課主事 松  本  浩  典
 総務課長  岡  山  哲  夫
 調査課長  柏  木 衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉  川  欽  二
 議事課主査 鎌  田 繁
 議事課速記技師 保  田  良  春
  ──────────────────
  午前十時四分開議
○議長(宗 正彦君) これより本日の会議を開きます。
○議長(宗 正彦君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から監査結果の報告及び現金出納検査の結果報告がありましたので、報告いたします。
○議長(宗 正彦君) 次に、申し上げます。
 昨日の会議における鶴田議員の質問に対する答弁について、その一部に不適当な箇所があり、これを取り消したいとの申し出がありますので、議長において速記録を精査の上、措置したいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
  ──────────────────
○議長(宗 正彦君) 次に日程第一、議案第七十六号から議案第八十四号まで、並びに知事専決処分報告報第二号から報第六号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 35番上野山親主君。
  〔上野山親主君、登壇〕(拍手)
○上野山親主君 おはようございます。
 お許しを得ましたので、通告順に従って一般質問を行いたいと思います。
 いよいよ、九月四日に我が国初の本格的な二十四時間国際空港・関西国際空港から一番機が飛び立ちます。また、関西文化学術研究都市も九月に町開きが計画され、関西の活性化、関西復権の期待は広がる一方であります。
 そうした中で、去る四月二日午後三時、関西国際空港と六甲アイランドを結ぶ大動脈・阪神高速湾岸線が開通をいたしました。今回開通をしたのは全線約八十キロの計画のうち六甲アイラインド北─りんくうジャンクション間の五十五・八キロでありますが、今までの高速道路には見られないさまざまな配慮がなされています。何といっても大きな特徴は、いろんなデザインを施した大橋であり、それぞれの大橋の存在であります。斜張橋としては長さ世界第八位の東神戸大橋、だんじりの屋根をイメージした岸和田大橋等であります。高速道路自体を観光資源、観光名所として、見事なまでにライトアップされ、演出されております。この湾岸線は、まさに未来への、二十一世紀への関西復権をかけた希望のハイウエーと言っても過言ではありません。今後計画されておりますアジア太平洋トレードセンター等々、次の世界を担う基幹施設と関西国際空港とを有機的に結ぶ夢のハイウエーであります。
 我が和歌山県にとりましても、関西圏の中心部と直結する極めて大切な大動脈と位置づけることができます。新空港が開港すれば、世界じゅうから、そして世界じゅうへ、人、物、情報が発信・受信されることになります。今こそ我がふるさと和歌山のビジョンづくりを急がねばならないときではないでしょうか。
 関西復権をかけ、世界都市・関西を目指し、オール関西で取り組んでいる事業に大阪湾ベイエリア開発整備事業が挙げられます。大阪湾ベイエリアは、関西国際空港のインパクトを生かし、世界都市機能の整備をし、ウオーターフロントにおける人間性回復空間を再生し、個性ある都市核を結ぶ多核ネットワーク型都市圏の形成を二〇二五年までに目指すものであります。
 昭和六十二年三月に近畿の創世計画すばるプランが発表され、同年六月、四全総に位置づけられて以来、平成元年九月に官・民・学三者により大阪湾ベイエリア開発推進協議会が発足し、平成三年四月、大阪湾ベイエリア開発整備のグランドデザインが発表され、同年十二月、財団法人大阪湾ベイエリア開発推進機構が設立され、平成四年十二月、大阪湾臨海地域開発整備法が制定され、着実にその環境が整備されてまいりました。
 平成三年四月に発表されたグランドデザインによりますと、大阪湾ベイエリア開発整備の方向は、まず関西の有する経済的、文化的可能性を生かし、世界に貢献できる世界都市機能を構築することが位置づけられております。世界都市機能を高水準レベルまでに育成するためには、国際的な文化学術研究機能、経済機能、交流機能、居住滞在機能を強化しなければなりません。その具体的方策として、大阪湾ミュージアムの建設、国際ベイエリア研究センターの整備、情報技術大学の設置、企業立地のための産業情報センターの整備、ベイエリア都市連合によるオリンピックの開催、外国人生活支援システムの整備等々が計画されています。
 次に、産業の高度化と新たな産業創造のための機能を蓄積するための施策が盛り込まれています。その具体策としては、各国の通商機関、世界企業の本社機能の誘致、世界的規模の国際見本市会場、国際会議場、ホテル等を一体的に整備することによって国際的業務機能を強化し、世界に開かれた交流拠点を形成することが可能とされています。また、二十四時間型の通関・保税機能を持つ国際航空貨物物流中枢的拠点・環太平洋トレードゾーンを設置し、総合物流システムを構築することによって物流機能の強化が図られるとされています。また、ウオーターフロントを生かした開放的な空間の整備により、リゾート空間の整備と一体となった人間性回復の場としての居住空間が育成されるとしています。このような諸施策を遂行するためには、交通インフラ、情報通信インフラの整備がぜひとも必要であると、当然ながら述べられております。
 今、ウオーターフロントブームであります。古来、ウオーターフロントは人間が定住生活を始めたところであり、人、物、情報が交流し、都市が形成されてきたところでもあります。今、新たな発想のもとで見直されようとしています。我が国においても、東京湾では東京臨海新副都心計画、横浜のみなとみらい計画、千葉の幕張新都心計画等々、大型のウオーターフロント計画だけでも四十、中小規模のものを含めれば実に百を超えるプロジェクトがひしめいております。大阪湾でも同様に、神戸ポートアイランド、大阪市南港ポートタウン、関西国際新空港、六甲アイランド、フェニックス計画等々、着々とその計画が進められようとしています。
 コンテナ化や船舶の大型化によって旧来の港湾施設が使えなくなり、港湾機能の旧施設の遊休化が進み、大規模な改造が必要となってきたこと、造船、製鉄などの重厚長大産業の減退によって臨海部の生活機能が低下し、広大な遊休地が発生したこと、それに伴って港湾施設や重化学工業部門で働いていた人々の流出が始まり、生活空間としての臨海部の衰退も顕著になってきたことなどの理由から、産業構造の転換と交通通信システムの転換を背景として今日のウオーターフロントブームを起こしたと言っても過言ではありません。
 すばるプランには、双眼型国土構造の確立に向けてという副題がつけられています。これは、我が国全体を二つの異なる核を中心とし、均衡ある国土の形成を目指そうとするものであります。それは、関西国際空港を軸とする国際交流都市圏、アジア太平洋地域とのつながりを生かした先導的経済圏、関西文化学術研究都市を初めとする創造的文化圏といった三つの圏域構想の実現によって可能だとされています。このような世界を先導し得る経済、文化、学術の一大集積地としての関西国際文化圏を形成することによって国土の双眼構造の一翼を担おうというのがすばるプランの基本的な考え方であります。
 以前、関西国際空港のインパクトを活用し、いかに和歌山県の発展を促進するかという県民挙げての課題が本会議場でも何十回となく議論され、先輩、同僚議員からも数多くの指摘と提言がなされました。中でも、「扇風機の裏側」という言葉がよく使われたのも事実であります。これまでの体験、反省を踏まえ、私たちはふるさと和歌山の将来像を創造していかねばなりません。
 大阪湾ベイエリア構想について質問を申し上げたいと思います。
 第一点は、この事業は、関西が日本の二大核を目指し、国際都市機能を有する二十一世紀に向けての未来都市を建設しようとする一大プロジェクトであります。当然、本県もこの事業に積極的に参画し、本県の二十一世紀のビジョンづくりをしなければなりません。大阪湾ベイエリア構想を通じ、本県のあるべき姿をどのように位置づけているのか、また何を求めているのか、お伺いいたします。
 現在、各関係府県で独自の青写真を構想中であると聞いておりますが、本県の取り組み状況をお伺いいたします。その取り組みのタイムスケジュールもあわせてご答弁をお願いするものであります。
 本プロジェクトは民間活力の協力がなければ目的の達成はできるものではないと考えますが、県民に対してどう理解を求め、どのようにアピールをしていくのか、またその協力体制をどう考えておられるのか、お示しをいただきたいと存じます。
 続いて、行政のリストラについてお伺いいたします。
 今、国際社会は東西冷戦の終結により平和協調の流れと民族紛争等の諸問題に対する危機感が共存する中で、大きく変動しております。また経済的には、資本主義国家間でのブロック化や保護主義の強まり、管理貿易の動きなどが我が国の経済基盤を揺るがそうとしています。一方、国民生活においては、長い労働時間、高い物価水準、住宅・社会資本整備の立ちおくれ等が指摘される中で、国民意識はこれまでの成長を優先する傾向から、ゆとりや安心、公正を重視する傾向へと変化しています。また、バブル経済が崩壊し、中長期的な不透明感も強くなっています。我が国の市場経済システムは、日本経済が諸外国に大きな影響を及ぼすようになってきたことに加え、長い労働時間や通勤時間などを通じて個人の生活が犠牲にされてきたこと、国内市場が成熟化に向かいつつあることから、市場経済の透明性、余暇やゆとりの重視、事業の再構築を初めとする企業活動の革新が求められています。また、政治社会システムについても、新たな政治秩序の確立に向けた指導力の発揮や、女性や高齢者が安心して働き生活できる社会構造が求められています。
 このような時代の変動に対応していく上で、行政の基本的な役割は、経済社会システムの変革を支援し、ゆとりある豊かな国民生活を実現するとともに、我が国が国際社会と調和し、国際社会に貢献していくための各般の施策を積極的に提案し、実現していくことにあることは言うまでもありません。そのためには、みずからの組織が、制度が、運営等の仕組みそのものが新しい変革の時代に適合したものかどうかを問い直してみる必要があるのではないでしょうか。
 昨年十月、臨時行政改革推進審議会は最終答申を提出いたしました。一九八一年に発足した臨時行政調査会、土光臨調以来続いた審議会による諮問方式は最終段階を迎え、今後の焦点は行革推進本部が答申を実行する新しい局面に入ったわけであります。最終答申は、官主導から民自立への転換などを主テーマに、地方分権の推進、縦割りの弊害是正等、八項目で構成され、二十一世紀を展望した中央行政体制の見直しを示唆しています。その主な骨子は、規制緩和推進のためのアクションプランの策定、地方分権推進に向けての地方分権大綱の策定と基本法の制定、首相の補佐体制の整備などの内閣総合調整機能の強化、行政改革のオンブズマン的第三者機関の設置などが挙げられ、総合的検討が進められる契機となることを期待すると述べられています。
 また、不況下での財政事情悪化を背景に、地方自治体の間で組織機構の改正、整備が実施され、外郭団体の統廃合の動きが急速に広がっています。全国都道府県、政令指定都市のうちの三割を超える二十一自治体が統廃合に着手、検討に入っています。岩手県は、第三セクターだった岩手開発鉄道の旅客部門を廃止し、昨年八月、資金を引き揚げています。川崎市は教育施設整備会社を廃止、大阪府は四月、行政組織改革の第一弾として府内七カ所の府民センターを廃止、また東京都が三月の都議会で取り上げられたのをきっかけに都行政管理委員会などで統廃合を含めた見直しを始めるなど、全国的にその機運が高まっています。
 一方、本県は、行政改革推進本部、組織検討委員会を通じ、各部局において組織の改廃、統合が実施され、その取り組みがなされているところであります。地方行政の本分は、地域社会の活性化と地域住民の福祉向上のための具体的施策の遂行にあります。そして、安定的、継続的に県民の要請にこたえていかねばなりません。まず何といっても財政基盤を確立する必要があります。日本経済は、不安定な環境下に置かれています。税収入も一層不透明感が生まれてまいりました。近い将来、超高齢化社会が到来いたします。いかにむだをなくし、コストをできる限り低く抑えるかがそのかぎとなっています。優秀な人材を適材適所に配置し、最小限の人数で最大限の行政サービスを実施していかねばなりません。できる限りのむだをなくし、働きやすい働きがいのある職場環境づくりに努めなければなりません。
 今、労働時間の短縮が叫ばれています。週休二日制の導入により改善されているところでありますが、さらに年次休暇の計画的活用の促進が重要な課題となっています。長時間に及ぶ超過勤務は職員の健康管理上の問題に加え、職員の疲労の蓄積、事務処理の惰性化等の事務効率上の問題があります。また、年次休暇の有効な活用は職員の心身のリフレッシュが図られ、活力ある職場の形成に役立つものと期待ができます。これらの二つの課題については、幹部職員を初め職員の意識を高めるとともに、勤務時間内の事務効率の向上を図るために事務の簡素化、効率化を進めていくことが効果的であります。そのためには、事務の見直しをし、OA化の計画的な推進により事務処理方法の合理化を図ること、事務処理体制を見直し適正な人事配置を行うこと、年間を通じて可能な限り業務の量の平準化を図ることが前提となります。
 まず、外郭団体を含めた組織上の統廃合についての基本的な方針と今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、本県の財政規模、事業規模、事務量等からすると職員の適正規模はどれくらいなのか、現状と比較するとどうなのか、お示しをいただきたいと思います。
 今、職場環境をよくするためにあらゆる業種でいろんな試みがなされています。中央省庁においても本年一月から毎週水曜日を全省庁一斉定時退庁日としております。一般企業においてもフレックスタイムの導入等で業務の効率化を図ろうとしています。この点についての本県の具体的な取り組み状況はいかがでありますか、お答えをいただきたいと思います。
 最後に、事務処理方法の見直し、事務処理体制の合理化、平準化についてお伺いいたします。全庁挙げて職員みずからがそれぞれの事務の合理化を図るためのQC活動、クォリティ・コントロールを実施してはいかがかと思いますが、お考えをお聞かせください。
 続いて、情報通信システムの取り組みについてお伺いいたします。
 一九九三年十二月二十一日、ナショナルプレスクラブにおいて、情報スーパーハイウエー構想の発表の中でゴア副大統領が次のように述べています。「クリントン大統領が年明け早々にもテレコミュニケーションに関する立法行政一括法案を議会に提出する旨を本日ここに発表いたします。(中略)情報時代を語るに当たっては、技術の面だけではなく、コミュニケーションについても語らねばならないでしょう。コミュニケーションという行為から社会が生まれるからです。そう遠くない昔、交通手段が非常に限られていたころ、社会は小さく、通信という行為はごく個人的でしかも直接的でした。家族や隣人、仕事仲間の間で行われるにすぎなかったのです。ところが、交通手段が発達するや、私たちは互いから遠く離れ、コミュニケーションはさらに困難になりました。(中略)私たちは、今後十年間に起こるべき変化の中で人類が遭遇し得る最も大きな変化を経験するでしょう。私たちは、通信手段によってより健全でより豊かなより教育レベルの高い社会を形成するでしょう。そして、社会のきずなを強め、さらに新たな情報社会の形成をも可能にするでしょう。私たちが最終的に目指すものは、新しい技術ではありません。それは、我々の基本原則にも当てはまることです。独立宣言の起草や署名に使われた羽ペンであれ、よりすぐれた通信はいつの時代にあってもより大きな自由とより大きな経済成長をもたらすのです。それこそが私たちの目指すものなのです。そして、国家が実現をしようとするものです」。
 今、アメリカでは、二十一世紀に向けてクリントン政権の大号令のもと、国家プロジェクトとして情報スーパーハイウエー構想に本腰を入れようとしています。一方、我が国も、一九九〇年に光ファイバー通信網を日本全国に網羅する新高度情報通信サービスが発表され、二〇一五年を目途に動き出しております。マルチメディアは情報、通信、放送並びにソフトウエアの四大ハイテク産業の融合の上に構築される二十一世紀型創造産業であります。将来の一大産業予備軍と言っても過言ではありません。ビデオゲームからホームショッピング、さらには医学、教育、オフィス、そして行政に至るあらゆる分野の変革を可能にする新産業革命の機関車的存在であります。全国各地でその取り組みが着々と進んでいます。
 今月の二十日、マルチメディア時代の情報基盤としてCATV・有線テレビが脚光を浴びる中、奈良県の生駒市を中心に有線テレビ事業を行っている近鉄ケーブルネットワーク社、加入世帯一万六千が第一種電気通信事業者の免許申請の準備に入ったと発表されました。郵政省との協議を進め、七月にも申請、認可を待って家庭警備保障・ホームセキュリティーサービスなどの事業に乗り出すことになっています。このほか、住友商事がアメリカ企業と提携しCATV事業を本格的に展開する一方、関西文化学術研究都市では好きなときに好きな映画が見られるビデオ・オン・マインドの実験が七月から始まる予定であります。このほか、第二電電など新電電各社がCATV会社が持つケーブルを利用し、電話や遠隔医療、パソコン通信などに乗り出す計画が着々と進んでいるようであります。
 CATVは九三年度末で全国に百五十八施設があり、百六十三万世帯が加入、うち近畿二府四県には二十九カ所、十六万世帯が加入しています。郵政省の政策の中で厚木テレコムタウンを一つのモデルとして全国各地の地方拠点都市の拠点地区にサテライトビジネスセンターを設置し、高度な通信機能を備えたオフィス開発を推進することによって進出企業による情報通信の投資を促進する事業が展開されています。全国各地からこの事業の構想を樹立し、名のりを上げている地方自治体が続出しております。
 本県も、黒潮ネットワークの整備等を中心に高度情報化に対処する施策に取り組まれておりますが、必ずしも十分ではありません。今後ますます情報化社会は、二十一世紀に向けて高度化が加速をつけて進展するものと思われます。当然、行政レベルだけでは取り組めるものではありません。また、県民レベルでの理解も深めていかねばなりません。必ずやってくる高度情報化社会に向けて、行政の責任の名のもとに受け皿づくり、体制固めを実施していかねばなりません。高度情報化社会を実現さすためには、あらゆる角度から研究を重ね、情報、データを収集し、そのノウハウを蓄積していかねばなりません。
 そのためには、まず人材の養成が最優先であると考えます。専門職員、プロフェッショナルの養成についていかがお考えか、お伺いをいたします。
 最後に、このたびの和歌山市長選挙を振り返って一言申し上げたいと思います。
 今度の選挙ほど、指導者のあり方、政治に対する取り組み姿勢を問われた選挙はなかったのではないでしょうか。選挙で選ばれる者は、国のため地域のために目的達成に向かって最大の努力を払うことを忘れてはなりません。我が国の議会制民主主義の礎を築いた大熊重信公は、「国の大小は土地にあらずして人にあり」と残されています。指導者の地位は、みずからのため、私利私欲のためにあってはなりません。過去の歴史を振り返ってみても、ナチスドイツのように指導者の政治に対する取り組み方で一国を滅ぼすまでに至った事実があります。
 仮谷知事がとられた態度、姿勢は、私たち県民の良識と県民の声を代表するものであったと思うのであります。私たちはいま一度、公人とは何か、民主主義とは何かをみずからに問い直し、事に当たらなければならないと存じます。
 仮谷知事には、ますますお元気で、百八万県民の幸せのために、健全な社会の建設のためにご活躍いただきますことを心よりお祈り申し上げ、一般質問といたします。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの上野山親主君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○副知事(西口 勇君) 上野山議員のご質問にお答えをいたしたいと思います。
 行政のリストラ、組織の統廃合についてのご質問でありますが、庁内の行政組織検討委員会の委員長を務めている立場からお答えをいたしたいと思います。
 本県における組織機構の見直しについては、昭和六十年十二月に策定をした和歌山県行政改革大綱の基本方針にのっとり、簡素で効率的な組織機構の確立を図ることを目的として、毎年度、行政組織検討委員会において検討を行ってまいりました。その結果、現在までに一定の成果を上げてきたものと考えてございます。
 また、組織の見直しに当たっては、その時代その時代の行政需要に対応した組織づくりはもちろんであります。しかし、いわゆる朝令暮改とならないような中長期的な展望に立った考え方もまた必要であると考えております。
 現在、国において地方自治体の行政リストラについての検討がなされており、この八月にも各団体に対して総合指針が示されると聞いております。そのようなことも参考として、今後とも住民ニーズに配慮しつつ、より簡素で効率的な組織機構の確立のために取り組んでいきたいと考えております。
 以上であります。
○議長(宗 正彦君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 上野山議員にお答えします。
 大阪湾ベイエリアの開発整備についての本県の位置づけとその構想についてでございます。
 圏域が一体となって世界都市・関西の形成を目指そうとするものでございまして、法律等においては、こうした世界都市機能の具体例として、国際的な研究、展示、業務、文化等の機能が挙げられてございます。
 本県としては、すぐれた地域特性、すなわち恵まれた自然環境と豊かな歴史、文化の蓄積、さらには世界へのゲートウエーである関西国際空港への近接性等を十分活用いたしまして、世界都市・関西の一翼を担うべく、ベイエリアの南の開発拠点として位置づけていきたいと考えております。
 また、計画の概要でありますが、核となる開発地区を設定し、重点的な開発整備を図るとともに、圏域内外を連係する広域交通網や地域住民の良好な居住環境の整備を図るものといたしたいと考えてございます。
 それから、具体的な取り組み状況と今後のスケジュールについてでございます。
 本県の取り組み状況についてでございますが、昨年の地域指定後、対象市町村や関係者等に対して法制度の説明やヒアリング等を行ってまいりました。さらに、この六月には法律の規定に基づいて開発地区の申し出制度に関する手続を決め、この年末を期限としてその受付を開始する旨の告示を行ったところでございます。
 なお、今後、計画の作成に当たっては、主務省庁との協議のもとにより関係府県市や大阪湾ベイエリア開発推進機構等と調整の上、できるだけ早い時期に国に対して承認申請が行われるよう努めてまいりたいと考えております。
 県民に対するアピールとその協力体制でございますが、確かに、議員ご指摘のとおり、このプロジェクトの推進のためには民間事業者の協力がなければ大変難しいものと考えてございます。現下の社会経済情勢は非常に厳しいものがございますが、二十一世紀における本県の世界都市機能の整備をしていくため、今後とも公共、民間がそれぞれの立場で、あるいは協力しながら進めていく所存でございます。
 最後に情報システムでございますが、情報関連専門職員の養成についてでございます。
 現在、情報システム課を初め、関係各課室に技術職員を配置して電算処理業務や情報関連の処理業務を行ってございます。特に、議員ご指摘のとおり、近年の情報化の進展は目覚ましいものがございます。技術面の動向についても、放送と通信の融合など、新たな展開を見せております。これらの動きに対応するためには、新しい知識と技術の習得や体制づくりが肝要であると考えてございます。
 このような状況に対応するため、専門職員を定期的に採用するとともに、各種研修会への派遣など、人材養成に努めているところでございますが、今後ともなお一層、高度情報化社会に対応できる職員の養成に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 本県の適正な職員規模はどれぐらいかというご質問でございます。
 本県においては従来から積極的に行政改革を行ってきているところでございまして、特に昭和五十年以降、四百三十五名の定員を削減し、その結果、現在の知事部局定数は四千三百七十四名となっているところでございます。
 本県の財政規模、事業量等に応じた適正な職員数ということに関しては、地理的な条件であるとか歴史的な事情から一概に申し上げることはできませんけれども、類似団体の職員数であるとか、自治省が作成している定員モデルといったものと比較していきながら、今後とも適正な職員規模の確立に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、業務の効率化についてのご質問でございます。
 定時退庁については、平成四年二月より毎月第一・第三水曜日を定時退庁日・ノー残業デーとして設定しておりましたが、完全週休二日制の実施に伴い、昨年の一月から毎週水曜日に拡充し、より一層労働時間の短縮の効果を高め、ゆとりと活力のある職場づくりに努めているところでございます。今後とも引き続き、年次有給休暇の計画的使用の促進とあわせ、労働時間の短縮に努めてまいりたいと考えております。
 また、ご質問の中にありましたフレックスタイム制でございますが、国では昨年の四月一日から試験研究機関を対象に導入しているところでございますけれども、地方公共団体における対象機関は一般住民との対応等々、国とは立場を異にするということもございますので、このような実態を勘案しながら、より効率的な職務の執行体制について検討を進めてまいりたいと考えております。
 それから、事務の処理体制、事務処理方法の見直しについてのご質問でございます。
 本県では、これまで職員みずからが、おのおのの事務の合理化を図ることを目的に各職場において業務要領づくりということに取り組んでおります。また、事務改善に関する職員のさまざまな意見を取り上げることを目的として、職員の提案制度というものも実施しているところでございます。今後とも、活力ある県政の推進を図り、効率的な行政運営を確保するため、職員一人一人の意識の向上を図っていくとの考えのもとに事務の合理化にますます努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番上野山親主君。
○上野山親主君 ご答弁ありがとうございました。
 一点だけ、企画部長に要望しておきたいんですが。
 大阪湾ベイエリアの問題で、今、和歌山県の青写真をつくる作業に入っていただいておりますけれども、この構想自体は二〇二五年、二十一世紀をにらんだかなり大きな構想であります。当然、和歌山県独自のビジョンづくりもやっていかなければならないと思いますが、そのためには行政だけでは不十分であると思います。行政と民間という形になりますが、分野によっては民間の方がレベルが高い分野が当然あるわけであります。特に、民間の知恵を行政に反映していく作業というのは怠ってはならんと思いますので、そこら、青写真をつくる中で民間の知恵と活力をいかに生かしていくのか、こういう作業をぜひ行っていただきたいと思います。
 一点だけ、要望として挙げておきます。以上です。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で上野山親主君の質問が終了いたしました。
○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 早速、質問に入ってまいりたいと思います。
 まず初めに、健康保険法等の一部改正についてでございます。
 ちょうどきょうが国会の会期切れということになりますけれども、あと延長されるかどうかはわかりませんが、そういう中で、国民の命と健康にかかわる重要法案がまともに審議されないまま短時間でごり押しされる今国会の異常事態に私はやりきれない憤りを感じ、二月議会に続いて健保問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 私は、この入院給食の保険外しと付き添い看護制度廃止及び保健所法等の改悪法案は、国民の命と健康、暮らしに大きくかかわる重要法案であると考えるものであります。それゆえに慎重審議が求められなければなりませんが、この法案成立過程を知るにつれ、国会審議のあり方に大きな疑問を深めているところであります。
 この法案に反対する日本医師会を初め、各医療団体、栄養士会、公私病院協会、保険医協会やさまざまな患者団体、そして五百万を優に超す反対署名、地方議会での意見書採択は十五の道県を含む九百五十六議会、このような反対の声や意見は無視したまま、ただただ法案成立を強行するための審議に終始した感を抱くものであります。議案審議の時間たるや、衆参両院を合わせてもわずか十二時間余りです。しかも、衆議院で採決もされていないときに参議院の採決日程まで決めてしまうという異常さです。審議抜き採決と言わざるを得ません。
 さらにひどいのは、負担をさせられる国民が国会傍聴も不可能な深夜や、あるいは異例な早朝審議をあえて設定するなど、まさに国民不在、国民無視も甚だしいものです。こうした状況を批判して反対の態度をきっぱりとったのが、日本共産党と自民党の田中真紀子さんだけでした。国の最高決定機関である審議の場が、形式的な単なる法案の通過機関に形骸化されてはなりません。議会制民主主義からしても、断じて許せない行為であります。
 こうした国会審議における経過について知事はどのような感想をお持ちなのか、率直なご感想をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、病院給食が保険外しとなった問題についてであります。
 私は、病院給食は治療の一環として重要な役割を持っていると思うんです。このことを忘れて、「家にいても食事はするのだから、入院中の食事についても支払うのが当然」として「公平論」という暴論を押しつけ、一日八百円、当面六百円が患者負担として導入されました。今回の改悪のねらいは、患者の負担増にとどまらず、だれでも同じ内容の医療が受けられる現在の医療保険制度を、患者のお金のあるなしによって医療内容を差別する制度に転換してしまおうとする大改悪でもあります。今は一部であれ病院給食を保険の給付から外し、将来的には薬や部屋代といったものにまで拡大をし、患者負担の大幅な拡大を進める突破口としてやったものではないかと思います。
 病院給食費を自己負担にして「質の向上」だと言っているわけでありますけれども、病院側にしてみますと、保険での収入は、今まで保険で見ていた分から自己負担に相当する分が削られてしまうことになります。ですから、当然、給食内容については経済的な問題から考えてもレベルダウンをせざるを得ません。質の向上に伴う費用は、八百円の自己負担にさらに上乗せされる自由料金や差額徴収が充てられることは確実です。そうなれば、差別が進行することはあっても、入院患者全体の給食サービスの改善につながらないことは明らかです。
 既に導入されている特別注文給食は、給食の質の向上を目指すためにつくられました。にもかかわらず、患者の負担による追加サービスでありますから、現在のところ全く活用されていないことが明らかになっています。こういう点からも、サービス、質の向上はとてもじゃないけどできないということは予想されることであります。
 そして何よりも、高齢者は医療費の一日七百円に給食費として当面一日六百円が新たにふやされるわけですから、約倍の負担額となります。金がなく払えなくなれば退院へと追いやられたり、あるいは「こんなものおいしくなくてとても食べられない」と給食を拒みながら払わない人も出てくることは確実でありましょう。
 病院給食は、何はさておき治療効果を最大限発揮できるように医師の処方に基づいて医学的、栄養学的に管理をされてまいりました。医療関係の皆さんたちは、ここに常に基本を置き、常日ごろ頑張っているわけですから、このことを忘れてはなりません。病院給食の基本であります。このことを私はこの議場から多くの皆さんに訴えたいと思います。
 民生部長にお伺いしますが、給食費の患者負担によって本当に質が向上し、給食サービスはよくなるのでしょうか、お聞かせください。
 次に、法改正は付き添い看護料の廃止をも行いました。これまで、基準看護を実施していない病院において、術後や容体が急変したとき、あるいはどうしても介護が必要な人たちに対して、一対一の看護を二十四時間体制で行えるということから、今の不十分な看護体制を随分と補う役割を果たしてまいりました。
 現在は、こうした付き添い看護に対し、申請すれば保険から還付をされるというふうになっております。その料金を見てみますと、甲乙という値段の差はありますが、和歌山市の場合、患者一人に対し付き添い看護者が一人つく一対一の場合には一日三千七百二十円、二対一の場合には三千四百五十円、そして三対一の場合には三千百九十円が還付されていたわけです。
 しかし、今回の法改正の中で、平成六年度末にはこの廃止が決められたわけです。「そのかわり、病院スタッフによって必要な介護ができるような体制をつくります」ということになっているわけですが、本当にこういった理想どおり実現するのでしょうか。私の看護婦生活二十五年余りの経験から考えてみましても、基準看護の病院でさえ家族介護を求められることは多々あるわけです。ましてやそれ以上に看護力の弱い病院では、結局、家族介護の増加といわゆる「やみ看護」にかわっていくというふうに思うわけです。
 さらに、無資格者の大量導入で、本来の質の高いよりよい看護の充実を提供したいと願う病院関係者と、十分な看護をしてほしいと願う患者の間に、深刻な医療問題として発展していくことも予想されると思うんです。患者が安心して入院し医療看護が受けられる保障どころか、新たな患者家族への負担と患者放置という状況を生み出すことは明らかでありますから、大変私は心配しているところです。
 ですから、法改正をするに当たって、さきに条件整備が行われた上で廃止が行われなければならない。でなければ、かえって現場と患者に混乱をもたらす結果を生み出します。このことを私は指摘しておきたいと思うんです。民生部長のご所見を求めたいと思います。
 次に、法改正で最も大変な状況になるのは高齢者の皆さんであり、高齢者の入院医療費等の費用の負担が大きな課題になってまいります。
 制度が改正されるたびに、高齢者の負担はふえる一方です。老人医療費の有料化に始まって、年金、消費税、今回の入院食事代、そして国保料など。これだけではありません。法のもとでも変わっていって悪くなる。さらに保険外負担ということも大変多くなってきています。本当に高齢者がお金を心配をしないでいつでも安心して入院できる保障は、今やなくなるのではないでしょうか。私はとても心配です。
 高齢者が入院したら一体どれだけの費用がかかるのでしょうか。民生部長、教えていただきたいと思います。
 次に、骨粗鬆症の予防対策についてお伺いをいたします。
 最近、女性の間で骨粗鬆症が話題になっております。私は、この問題を質問するに当たって、医大と角谷整形外科病院にお邪魔をいたしまして、骨粗鬆症という病気の原因や検査方法とその検査機器、そして予防、治療についても親切丁寧に教えていただき、学んでまいりました。
 よく高齢者の女性が腰痛を訴えて外来を受診することがありますが、その多くが骨粗鬆症であるという状況が大変ふえてきているそうです。また、入院している七十歳から八十歳の女性患者の大腿脛骨骨折の多くが骨粗鬆症に起因している状況もよくわかってまいりました。
 骨粗鬆症の患者は全国で今や五百万人から一千万人とも言われ、その大多数が女性であることも発表されているわけです。これは女性ホルモンに大きくかかわりがありまして、閉経後、骨を守る役割を持つ女性ホルモンの分泌がなくなり骨量が急激に減るため、六十歳以上の女性に多いと言われているんです。
 この骨量というのは十八歳ぐらいまでに形成をされて、さらにしっかりした骨になるのは二十代から三十代で、この時期が最大骨量になります。そして、四十代まではほぼ維持され、閉経を迎えると急激に減少すると言われています。私たちはよく「四十歳になったら、カルシウムが足りないから牛乳をたくさん飲むんだよ」と日常生活の中で言われてまいりました。また、テレビでは一日にカルシウムを六百ミリグラムとることを放映いたしております。そして、多くの女性たちはあれこれ努力をしているわけです。
 また、女性は妊娠、分娩という大きな仕事をいたします。胎児は母胎内で母親の骨量などお構いなく吸収をしていきますから、より以上にカルシウム等の摂取が求められるわけです。そして、骨はカルシウムやビタミンD、女性ホルモンが深くかかわりを持っていると言われています。
 カルシウム不足は、骨の変形や少しのショックで骨折しやすくなったり、ひどくなると寝たきりにつながってまいります。この骨粗鬆症を皆さんにご理解していただくために例えて申しますと、余り表現はよくありませんけれども、ちょうど大根にすが入った状態を想像していただくと理解できるのではないでしょうか。女性にとっては生理的現象でありますから、みんながみんな骨粗鬆になるわけではありません。老後を元気に生き生き暮らしたいというのは、すべての女性の願いでもあります。骨粗鬆症を予防するには、若いころからの食事習慣や適度な運動などに心がけることが大切だというわけです。
 そういう中で厚生省は、遅きに失したとはいえ、本年度から骨粗鬆症の検診事業を行うことにしています。骨粗鬆症の予備軍となる低骨密度者の早期発見が予防対策のかなめと位置づけていますし、十八歳から三十九歳までの女性を対象にモデル的に検診を行うものです。全国市町村五百カ所、大体各県平均で十カ所実施されると言われているわけですが、実施主体は市町村で行います。骨密度測定器のリース代に対して国と県が各三分の一の負担をするというものであります。
 厚生省のモデル事業は三十九歳までです。しかし、実際に骨粗鬆症は閉経後に急激に進むと言われているわけですから、その年齢の人たちをも含めた検診が必要ではないでしょうか。既に東京の中野区や板橋区などでは、三十五歳以上の区民に対して無料検診が始まっております。そして、県単独事業として大阪府や隣の奈良県でも実施をされているところです。大阪府は二年前から試験的に行い、昨年度から骨密度測定器をみずから買って保健所に配置し、希望者には──ここはお金を取っているようでありますけれども、大変女性たちには喜ばれていますし、その結果によって栄養士さんによる食事指導も行っていると聞き及んでいます。大阪府は、今後も測定器を買うための予算を考えていると言っていました。
 奈良県は、平成四年度から県内全体の各保健所に測定器を既に設置し、無料検診を行っています。しかし、希望者が多くて、なかなか対応できない状況でもあります。検診を始めてからちょうど十カ月の調査をいたしましたところ、受検者は八千人でありました。そのうちの八割が要注意の状態であったとの結果も出されていますが、女性たちの老後の健康に対する関心度の高さやこれに対応する奈良県の姿について、私は大変立派だと思うわけです。そして、この機械を市町村が主催する研修会等に積極的に貸し出しをするという取り組みも進めていらっしゃいます。
 保健環境部長にお答え願いたいと思いますが、厚生省が行うこのモデル事業に対し、既に具体的な実施計画に取り組んでいらっしゃるのでしょうか。その状況をお聞かせ願いたいと思います。そして、県単独としても、奈良県のように和歌山県内のすべての保健所に骨密度測定器を設置して、全女性を対象に希望者に対しては無料で検診を実施することはお考えになれないのかどうか、このことについてもお聞かせ願いたいと思います。
 次に、紀の川大堰建設工事による被害問題についてでございます。
 今、和歌山市園部地区、紀の川右岸周辺を中心として、建設省の直轄事業として建設工事が平成十二年の完成を目指して着々と進められているところでございます。建設省は工事着工に当たりまして、地元の住民の皆さん方、工事現場に直近の園部第十自治会に対して平成四年四月十四日に説明会を行っておられます。しかし、その後、住民の皆さん方の求める家屋に対する事前調査もないまま予備工事が始まりました。この予備工事は、平成四年六月九日から二十二日までと八月二十一日から十月二日までの二回の期間行われていますけれども、この間の騒音と振動等による予期しない被害が続出してまいりました。
 早速、建設省に被害調査を申し入れたにもかかわらず、対応はありませんでした。自治会対策委員会は自主的に調査を行い、再度建設省に申し入れました。被害発生後一年経過した平成五年五月、ようやく家屋調査、被害調査が行われるという大変お粗末な対応でもありました。
 住民の調査によりますと、住宅五十七戸中、四十六戸にさまざまな被害が発生し、住民は激しい怒りと不安を今日まで募らせているところであります。被害の実態は、雨漏り、屋根がわらのずれ、建具のゆがみ、玄関の壁の落下、床のタイル割れやめくれ、ブロック塀のずれや亀裂、台所・風呂場・トイレのタイル割れ、家の基礎にひび割れが入る、排水口の陥没や亀裂、新六箇井用水路に面した三十六軒の地盤沈下、そして新六箇井用水路のり面コンクリートのひび割れ、各家庭の壁のひび割れは、今見てもだれの目にもはっきりと確認できるほどひどいのです。また、電波障害もひどいものであります。
 私も、こうした被害の実態をたびたび見てまいりました。一日も早い改善策が示されなければならないと切に思うのであります。騒音振動は、家の中ではガラス窓がガタガタと今にも割れそうな音と振動、そして夜勤者にとっては静かに眠れる状況にはなかったそうですし、棚の物が落ちてくるなど、随分ひどかったようです。また、電波障害によるテレビの映像被害も続出し、集中アンテナによる改善を繰り返していますが、いまだによくなるどころか、ひどくなっている家もあると言われています。
 最近、建設省は二回目の家屋被害調査を実施し、被害に対する改善が始まったばかりでございます。しかし、住民の納得し得る対応策が示されるという状況には至っていないため、ますます環境悪化への不安は増大するばかりであります。県に対して去る三月に嘆願書を提出し支援を求めていることは、ご承知のとおりであります。
 土木部長に伺いますが、このような被害実態をどのように把握されているのでしょう。そして、どのような支援対策をお考えになっておられるのでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。とりわけ、集中アンテナの改善は急いでほしいものです。
 特に新六箇井用水路についてでありますが、用水路の擁壁ののり面部分に大堰工事によると思われるひび割れや川底に空洞がつくられている可能性も指摘されているところです。もしこうした箇所が損壊するようなことになれば、住民への被害ははかり知れないものとなるだろうと私は思うのです。指摘した状況がすべて大堰工事が原因とは言い切れませんが、少なくとも工事をしている点からも、原因者の一人であることからも、調査を行うことや被害を最小限に食いとめる手だてを早急に行うよう建設省に申し入れることを切に願うものです。土木部長のご意見をお聞かせ願います。
 次に、消費税の引き上げ問題について知事のお考えを伺います。
 私たち主婦は、買い物のたびに消費税の痛みを感じながら毎日の生活をいたしております。少しでも安い物はないかと頭を悩ましているのは、どこのご家庭でもご一緒だろうと思うんです。特に私どもが地域の中で生活相談を受けるお年寄りの皆さんは、月に三万円ちょっとの年金を頼りにしておられる方々であります。「消費税をなくしてほしい」と訴えられます。また「毎日の食費だけでも消費税を取らないでほしいよ」、こう訴えられるんです。こういう切実な願いは、年金暮らしのお年寄りはもちろんのこと、毎日市場やスーパーで買い物をしている皆さんの願いだと思うんです。
 ところが、政府の税制調査会が去る二十一日に首相に提出した税制改正答申では、消費税率の引き上げをはっきりと書いているではありませんか。また、同じ日の連立与党税制改革協議会も同じ趣旨の報告書をまとめています。政府と連立与党が消費税率のアップへ具体的に動き出していることは明白ではありませんか。
 私ども日本共産党は、国民生活を守る上からも、また民主主義を尊重する点から言っても、消費税の廃止などを求めてきており、税率のアップを認めることは絶対にできません。また、細川前首相が打ち出した国民福祉税構想のように、消費税の名前を変えただけの消費税率アップにも絶対反対です。
 私どもの計算によりますと、年収五百万円の勤労者の四人世帯では、今の三%の消費税率で一年間に八万五千八百円の消費税を払っています。消費税が七%に引き上げられますと、年間の消費税負担額は十九万七千九百円にもなり、十一万円以上の増税になります。十%ではどうかと申しますと、年間の税額は二十八万二千七百円、増税額は十九万六千七百円にもなります。所得税と住民税の二割減税が行われたとしても、年収五百万円の勤労者家庭ではわずか二万円少しですから、差し引き増税になることは明らかです。消費税の増税が、お年寄りなど減税の恩恵を受けない人はもちろんのこと、国民の七割、八割が増税になり、ますます生活が苦しめられることになります。知事は、国民をいじめ不況を長引かせるだけの消費税率アップについてどうお考えでしょうか。明確な答弁を求めます。
 税調答申は「高齢化社会のため」と言っていますが、そのための財源は、国民を苦しめる消費税のアップではなくて、九三年度の高額納税者として発表されたような、株取引で何百億円もの利益を上げながら所得の一割か二割しか課税の対象にならないような不公平な税制を改めることや、アメリカ兵に一人当たり千五百万円以上も注ぎ込んでいる、そんなお金の使い道を改めることこそ必要だと私どもは考えています。
 また、消費税のアップについて、連立与党内閣に加わっている政党の中には、昨年の総選挙で「消費税率アップは絶対やらない」と宣言したところがございます。選挙前には絶対やらないと言って、選挙が終わってからは、先ほど申しましたように消費税率アップを推進しようとするこういうやり方は、選挙での公約をないがしろにするだけでなく、民主主義を踏みにじることになると私は思うんです。消費税率アップのような政策の大幅変更を行うのであれば、直ちに国会を解散して総選挙を行い、国民に信を問うべきだと主張しているのです。選挙で公約したこととその後で実行することが正反対というようなことは、議会制民主主義の精神から言ってあってはならないことだと考えますが、知事のご所見を伺うものです。
 消費税の県財政への影響についてでございますけれども、総務部長にお伺いをいたします。現在の三%の消費税が県財政に与える影響について、公共事業、物品購入の支出増、県の公共料金の消費税収入について明らかにしていただきたいと思います。また、仮にも七%に引き上げられた場合の県財政とのかかわりについての試算をお示し願いたいと思います。また、私どもは、県の公共料金については消費税の転嫁を直ちにやめることを求めてまいりました。その考えは今もってないのかどうか、お伺いをいたします。
 次に、有事立法問題について知事の見解を問いたいと思います。北朝鮮の核疑惑開発問題に関連して国会でも問題となっているいわゆる有事立法について、知事の見解をお伺いするものです。
 憲法で戦争放棄をうたっております我が国において、戦時を想定した有事立法を検討すること自体が大きな問題と考えますが、政府の進めようとしているこういう重大な問題が国民の前に明らかにされないこともまた重大だと思います。
 さて、核疑惑問題では、南北朝鮮、アメリカとの間で話し合いが続けられています。日本政府は、対外的には国連の決定がなくても核兵器を含む北朝鮮への軍事制裁を辞さない立場をとっているアメリカに追随し、米軍との共同の軍事行動さえ進めることを表明、それに対応して戦争状態を想定した国内での体制づくりが、有事立法の制定に向けた動きだと私は思うんです。
 五月一日に放映されたテレビ朝日の番組で熊谷官房長官は、朝鮮半島で衝突が起こった場合の対応として「一気に危機管理体制をつくることができる。そのための実務的な準備をしている」と話しておられます。また、五月二十七日の国会で羽田首相は、八一年と八四年に中間報告として公表されているいわゆる有事立法の原案を前提に対応を研究中であることを認めています。
 この中間報告では、有事の際には自衛隊の第一線の指揮官が知事に物資や土地、医療関係者などの技術者の徴用を要請できる仕組みをつくることになっています。徴用の対象には、医師、歯科医師、保健婦、看護婦、大工さんから自動車運送業者などの広範に及んでいます。また報告は、自衛隊の車両や戦車が私有地を自由に走り回れるように道路交通法を改定するとか、野戦病院設置のための医療法の改定、死亡者を火葬場以外で焼いたり墓地以外にも埋葬できるようにするための法律改定さえ要求しているんです。こういった危険な法律がいざとなれば直ちに成立できるように準備されている、これが今現実に進んでいる実態であると私は思うのです。
 こんな危険な動きをただ経過を見守るといった姿勢で傍観することは許されることではありません。国民の生活も財産も、生命さえ奪う危険な有事立法には全国から反対の声を上げていくことが今大切ではないでしょうか。日本が憲法の平和の精神に立ち返って国際社会の中で貢献する、この平和憲法の精神を守ろうという国民の世論を広げることが何より大切だと考えるものです。
 仮谷知事、仮にも有事立法が制定された場合には県民を徴用する役を負うのですから、こういう危険な法律には反対する、そういう立場を明確にされることを求めるものです。知事の見解はいかがなものでしょう。県民の生命と財産を守る責任ある知事としての明確な答弁をお願いいたします。
 以上で、第一回を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡キミ子議員にお答え申し上げます。
 健康保険法等の一部改正でございますが、この改正につきましては、平成四年九月から約二年にわたる関係審議会での十分な検討を踏まえたものと聞いております。
 なお、今般の健康保険法の一部改正の中で、特に保険給付の範囲、内容の見直しに関して、ご指摘のような一部団体から見直しに反対または慎重な意見があるということは、マスコミ報道等により私も承知しております。
 しかしながら、今回の見直しは、今日重要な課題となっておる付き添い看護・介護や在宅医療と入院時給食等について一体のものとして保険給付のあり方を見直し、サービスの質の向上と患者のニーズの多様化にこたえていくものと聞いているわけでございまして、今後、厚生省に対して今回の制度改正の趣旨及び内容を十分に周知されるよう要望してまいりたいと思っております。
 次に、消費税のアップについてでございますけれども、今般の税制改革において、政府の税制調査会ではバランスのとれた税体系の構築を図るために個人の所得税の軽減と消費課税の充実を答申したところです。その具体的な内容は未確定でありますが、税制改革というのは我が国の経済や国民生活に大きな影響を及ぼす国政上の最重要な問題でございます。私としては、このことについて今後国会で十分に審議されることを期待するとともに、その動向を注意深く見守ってまいりたいと考えております。
 それから、消費税問題に関連しての選挙公約の問題でございます。私が答えるべきかどうかでございますけれども、一般論で申しますと、政治家は公約を大切にしなければならないことは当然でございます。しかし、時事刻々と変化する内外の情勢に対応していくことも、政治家としての政治の重要な課題でございます。
 いずれにいたしましても、国民の理解を求めながら、国民生活に資する政治というものを進めていかなければならないと思っておるところでございます。
 次に、有事立法についての知事の見解でございます。有事立法については、まだ国会において具体的な審議が行われたという話は私は聞いておりません。したがって、現在のところ内容的に定まったものがあるわけではないのではないか、そのような段階でございますので、意見を述べることを差し控えさせていただきます。
○議長(宗 正彦君) 民生部長南出紀男君。
  〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 村岡議員の健康保険法の一部改正に関連するご質問にお答えいたします。
 まず、入院給食の患者負担は給食サービスの向上につながるのかとのご質問でございますが、入院時の食事については、引き続き保険給付の対象としつつ、患者ニーズの多様化に対応するため、今回の負担の見直しに合わせて、診療報酬上、一つには多様なメニューの提供や適時適温等、患者ニーズに対応した良質な食事の提供に対する評価、二つには食堂など良好な食事環境での食事の提供の評価、三つには栄養士による栄養管理やベッドサイドにおける栄養指導についての評価などについて所要の措置が講じられるよう検討を加えていくこととされており、これらによって病院給食の改善が図られるものと考えてございます。
 二点目の付き添い看護料の問題でありますが、患者負担の重い保険外負担の解消を図るため、平成七年度末を目途に付き添い看護料を廃止するとともに、診療報酬上、看護・介護職員を新たに雇用し、看護・介護サービスを充実できるような評価等の方策を講じることとしています。これにより、病院スタッフによって適切なチームワークのもと、サービスの向上が図られるものと考えております。
 次の、お年寄りのいわゆる保険外負担の問題でありますけれども、入院費用については患者個々にサービスの状況が異なっており一概に申し上げられませんが、保険外負担については、サービスの提供や物品の販売についてその料金等の事項を掲示するよう徹底を図りたいと考えます。さらに、医療給付と重複する費用の徴収やあいまいな名目による費用の徴収についても、今後とも一層指導監督の徹底を図ってまいります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 村岡議員ご質問の骨粗鬆症の予防対策についてでございます。
 骨粗鬆症は、近年、高齢化社会の進展、カルシウムの摂取不足、運動不足等を背景として、壮年期以降の女性にとって重要な問題となっており、国において婦人の健康づくり推進事業の中に平成六年度から骨密度測定検査を加え、モデル的に全国五百市町村を対象に骨粗鬆症検診事業を実施することとしております。本モデル事業の実施については、国の実施計画を待って市町村と協議してまいりたいと考えてございます。
 県としては、骨粗鬆症の予防対策は第一に青年期に獲得される最大骨量を多くし、獲得した最大骨量をできるだけ維持し減少を防ぐことであり、このためバランスのとれた食生活、適当な運動を推進するための啓発活動が最も重要であると考えており、昭和六十三年度から食生活面からの普及啓発としてグリーン&ホワイト運動を展開してございます。なお、本年度は紀北、紀南の二会場で、骨粗鬆症予防の特別講演とあわせ骨密度測定を実施したいと考えております。
 また、保健所への骨密度測定器の導入については、先ほど申し上げたモデル事業の実施状況等を見ながら検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 紀の川大堰建設工事による被害についてのご質問にお答えいたします。
 紀の川大堰は、建設省において昭和六十二年度建設に着手し、平成五年三月には大堰本体の建設工事に着手しております。平成六年度は、大堰本体工事並びに関連工事としての低水護岸工事などの促進を図ることとなっております。
 議員ご質問の大堰本体施工箇所北側に隣接している家屋などに対する影響についてでございますが、建設省において昨年の五月に園部第十自治会の八十六戸について家屋調査を実施しております。さらに、本年二月から四月の間、さきに実施した調査家屋八十六戸のうち影響があると申し出のあった六十二戸について家屋の中間調査を行っており、現在、国で状況変化について解析を行っているところでございます。
 一方、家屋等に対する影響についての原因を解析する調査機関についてでございますが、地元関係者と建設省和歌山工事事務所との話し合いがまとまり、先日、工事による因果関係を解明するための地質調査等を発注したところでございます。
 また、電波障害については、昨年十月に受信用の集中アンテナを設置しておりますが、なお一部の住民の方から苦情があり、建設省において現在受信状態等の調査を行っていると聞いております。
 次に、新六箇井用水路の状況についてでございますが、用水路の老朽対策についての要望はありましたものの、大堰建設工事に起因したと思われる被害の発生については今のところ具体的な申し入れはないと建設省より聞いております。しかしながら、建設省では新六箇井用水路に関する住民の声も把握しており、現在調査中の諸調査を通じて状況等を把握できるものと考えております。
 紀の川大堰の建設は県にとっても重要な事業であり、また地元関係者の方々のご理解とご協力のもと進められる工事であると認識しております。県としても、予定している調査を早期に終了し、因果関係を解明していただき、地元関係者と十分話し合いをしていただくよう伝えてまいります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 消費税の税率を七%にアップした場合の県財政に与える影響ということでございますが、現行の消費税について申し上げますと、地方交付税、消費譲与税として県の歳入面にプラスになる一方、歳出面で県が最終消費者として消費税を負担する場合があるなど、歳入歳出両面にわたって消費税は県財政と密接な関係を有するものでございます。
 消費税率が仮に現行の三%から七%になった場合の影響についてのお尋ねでございますけれども、これは現段階で非常に機械的に試算したものでございますが、公共事業、物品購入等における一般会計の消費税負担額が六十六億円程度増加となるほか、使用料、手数料の消費税分が二千四百万円程度増加するというふうなことになろうかと思います。
 その一方で、一体として行われると考えられる税財政制度の改革により一定の歳入の変動が予想されますが、この点についてはさまざまな観点から現行制度の見直しの動きも報じられているところであり、現段階で歳入歳出両面を通じた全体的な影響額について確たる見込みを申し上げることはできないという状況でございます。
 いずれにしても、税制改正の議論に際しては、地方公共団体の適正な財源確保という観点から、国に対し十分に働きかけを行っていきたいと考えております。
 次に、公共料金への消費税の転嫁でございますが、消費税については、ご案内のとおり、広く公平な負担を求めるという趣旨から、制度上、地方公共団体の施設使用料等にも課税されることとなっておりますのでご理解をいただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 ご答弁をいただきましたので、再質問をいたします。
 知事ですけれども、この有事立法問題については、既に羽田さんも、「法」という名前は使わなくても、北朝鮮の核問題の有事体制という問題も含めて所信表明をしていらっしゃいます。また、衆議院の予算委員会や参議院の予算委員会でも、我が党もこの論議をしているわけです。官房長官にもお伺いをし、答弁もいただき、もう討論、審議は始まっているわけです。だから、知事がこういう答弁をするというのはどういうことかなと、私は疑問に思うんですよ。新聞にも随分と載っていますし。
 私がなぜこの有事立法問題について申し上げるかというと、国会レベルの問題であったにしても、この法が制定され施行されますと、知事は県民を徴用する最高責任者になるんです。そういうふうに、ちゃんと中間報告の中で明記をしているわけです。政令の中でそれをつくると明記しているんですから、そのことをやっぱり重要視しなければいけないと。
 だから、あえて私は、首長である知事が私たちにとっては最高責任者ということですから──徴用ということになりますと、業務命令ですよね。こういう点から見ましても、既にこれが審議をされていっているということでございますので、今こういう答弁をされることについて私は非常に不愉快な気持ちですし、国会の中身をもっと知っていただきたいと思うんです。重要問題です、これは。
 そういう点で、私は特に知事にお願いをしておきたいと思います。これは討論はしませんけれども──納得いかないんですが──知事の今の姿勢、審議はしていないというような態度について、私は許されない、そういう事態だと思います。
 それから、健康保険法が通ったわけですけれども、経過等から考えても、国民が知り得る材料もろくすっぽ出さないで通過させるというような現状が目の当たりにあったわけです。
 民生部長は、在宅と入院の負担を平等にするんだ、公平に負担してもらうんだとおっしゃったわけですけれども、入院とは何ぞや、在宅医療とは何ぞやということをまずよく理解していないんじゃないかと思うんです。確かに厚生省の建議書ではそう言っていますけれども、現場では本当にそうかと大きな疑問を今持っているわけです。
 入院というのは、医者が診断をして、「あなたは入院をして治療しなければいけないんですよ」と、きちっと出されるわけでしょう。在宅医療の場合は、一たん入院をしても、患者さんから「もう自分の家でやりますから」と申し入れをして、お医者さんが「いいですよ」というような形で、「そのかわり外来で二週間に一回なり一週間に一回おいでなさいよ。経過を見ましょう」ということですよ。入院というのは、日々きちっと医者が診察をし、そして治療方針を変えていくわけでしょう。そこの中で重要なのは、食事ですよ。「特別食」というのがありますね。これは、栄養士、医者が常に患者の症状によってやるということでしょう。こういう問題をきちっと見ないで「公平」というだけで法改正をするのか。患者負担を強いるのか。これは大問題ですよ。
 そういう点で、私たちは、実際に現場で対応する分には非常に問題があると。国は、いかに医療費を抑えるかという点でやっているだけの話ですよ。そういう点では、私は今のあなたの──お聞きしますけれども、在宅医療とは何か、入院医療の中での給食というのは何か、もう一回答弁してください。お伺いをいたします。
 それからサービスの問題ですけれども、これは本当にサービスの向上になると確信をお持ちですか。法律は変わったけれども、本当においしい食事を提供できる保証があるのか。値段は安くはならないけれども、それじゃそのままで患者負担を強いたからといって、具体的にやれるのかどうかというと、現場では大変ですよ。それから、「食堂をつくりなさい」と言っても、もうできてしまった病院はそう簡単にできますか。今からつくりかえるとか新しく開業するというのであれば、食堂をつくることはできますよ。今、目いっぱいの敷地の中で、基準の中で目いっぱいにつくっているわけでしょう。法律には何にも違反していない。そういうところに「食堂をつくって、いい環境をつくるんだ」と、こんなことは言うだけですがな。何の効果もありませんよ。
 それから、栄養士さんによる入院中の栄養管理というのは、それはできます。しかし、ベッドサイドに行って栄養士さんが栄養指導をできるかといったら、ぎりぎりの人数でいるのに、そんなことできますか。むちゃくちゃですよ、こんなもの。そういう点についても、あなた方の答弁はなっとらんのです。現場を無視し、実行不可能なことをやっているんですよ。
 もう一つ、付き添い問題も大問題です。もう時間がありませんけれども──委員会でやりますが。こんなもの、今あなた方は看護婦問題で悩んでいるんでしょう。保健環境部でも、看護婦が足りなくて大変なんでしょう。だから、付き添いをなくして本当に充実した看護婦体制がとれるかと言ったら、これはとれないことはもうはっきりしているんです。そういう点でも私は、この法案は成立しましたが、撤回してもう一回審議をし直すぐらいの重要法案だと思っています。
 紀の川大堰問題についても、ぜひ建設省に具体的、積極的に働きかけてくださいますようにお願いをしておきたい。
 先ほどの質問だけ、答弁をしてください。
○議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 有事立法について、要望でございましたけれども、私ははっきりしておきたいと思うんです。
 総理大臣への質問や議論はありましたけれども、法案は出ていないわけでございます。だから、法案が出てきた場合、知事の権限等の問題については十分それは相談あるべきだと思ってございますが、審議ということは行われておりません。
○議長(宗 正彦君) 民生部長南出紀男君。
  〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 村岡議員の再質問にお答えいたします。
 議員ご意見のとおり、給食そのものは、入院患者あるいは在宅患者を問わず、それはその疾病の治癒に必要なものとして十分認識をしてございます。
 ただしかし、今回の健康保険法の一部改正に伴う、先ほどからご質問いただきました給食費の患者負担の問題、あるいは付き添い看護料の廃止の問題等々、その改正の趣旨については、今後厚生省に対し、その改正の趣旨や内容について十分徹底するように要望してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 質問の発言時間が終了いたしましたので、ご了承願いたいと思います。
 以上で、村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十二分休憩
  午後一時四分再開
○議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 12番堀本隆男君。
  〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 議長のお許しを得ましたので、六月県議会のしんがりとして順次質問に入らせていただきます。
 私は、去る四月二十九日から五月七日までの九日間、中国広東省の大開発を視察してまいりました。それは驚くべき超高度経済成長とも言うべきもので、以下、少し長くなりますが、ご紹介いたしたいと思います。
 去年の十二月県議会におきまして、ポスト関空、ポスト世界リゾート博の県政課題とは何か、関空を生かした県勢活性化の方策として対アジア産業経済交流の振興、なかんずく発展著しい中国沿岸部への企業進出と中国企業の本県受け入れ等の検討について要望してまいりました。東南アジア、NIES諸国との交流の大先輩である大阪府の状況やアメリカのニクソン大統領の中国への積極姿勢、ヨーロッパ各国の進出状況も指摘し、日本の経済界が及び腰である間に中国政府は日本以外の先進諸国の資本と技術で固めてしまうであろうことをお話しいたしました。そして、演説をした手前、こうした中国の現実の姿を私自身がこの目で見てくる必要も痛感し、行ってまいったところであります。
 田辺市に、「ボタン生産では世界有数の企業」とアメリカの総合雑誌「フォーブス誌」に紹介されたカナセ工業株式会社があります。スペイン・バルセロナ、香港、中国・広東省、そして田辺市に工場を持ち、海外への企業進出では先駆けを果たし、成功しております。
 私は、中国視察先の選定に当たって、山東省にするか香港と関東省にするか迷いましたが、郷土産業の成功事例も見たく思い、金谷照男社長に折り入ってお願いし、広東省・観欄市にあるボタン工場を視察する機会に恵まれました。幸い、金谷社長は、毎月一回欠かさず香港、広東省・観欄鎮に行っており、快く同道を引き受けてくれました。私の視察コースは、香港、九龍、深せん経済特区、広東省・観欄鎮、省都広州市とその隣接の花都市、中山市、珠海、マカオ、香港と、関東省の沿岸部をぐるっと一周いたしました。深せん─広州間のみ鉄道、ほかはすべて車で、一行は私と金谷社長、カナセ工業の中国責任者の揚さん、通訳の中国国際旅行社の顔女史の四人であります。
 まず、香港、九龍地区の巨大ビル群は聞きしにまさるもので、議員各位もご承知のとおり、香港経済、香港資本の底知れない大きさを感じたところであります。
 次に深せん経済特区は、今から十五年前、人口七万人の町でありましたが、今や三百万人の昼間人口を有する大都市に成長しております。そして、なおビル群が続々と建設されて膨張しており、まさに第二の香港、九龍の形であります。香港の自由な市場主義経済を学習し、社会主義市場経済として大きく発展しているのであります。
 深せんから車で六十分のところに観欄鎮があります。二年前まては三時間かかったところが、急ピッチで省道が整備され、四車線または二車線の立派な道となっております。私が最も驚かされたことは、この五十キロメートルの沿道の田畑がほとんど埋め立てられ、両サイド数キロメートルにわたって延々と大開発が行われていたことであります。しかも工場ビルや高層住宅が次々と建設されており、すさまじい開発ラッシュで、帰途、別のルートを選んで帰りましたが、やはり同じ現象で、ただただ圧倒されるばかりでありました。
 観欄鎮におけるカナセ工業の工場は、人民政府から土地九千ヘクタール、工場四階建て二棟六千六百ヘクタール、及び全寮制の従業員住宅、食堂、テニスコートを借用し、賃料一カ月約百三十万円、当工場のボタン製造能力は月産約七千万個、従業員数二百十人、平均月額給料一人約六千円。観欄誘致企業五百六十社のうち日本企業は二社で、最優良十社の中に入り、人民政府から表彰されておりました。従業員は、雲南省、狭西省等十省の子女が多く、昼食時の道路はあふれるばかりの人の波でありました。
 深せん市から省都広州市へは百五十キロメートル、鉄道で約二時間三十分。車窓からは相変わらず大開発の連続で、のどかな中国の田園風景はわずかしか残されておりません。広州市は、旧市街四百万人、近郊三百万人、七百万人の大都会です。中国内陸部と沿岸部への鉄道の拠点であるだけに、広州駅前は万人に近い人々の群れでありました。繁華街は消費財にあふれ、多くの市民が町の裏々まであふれて活気を呈し、歴史のある古い建築と新しいビルが混在し、有名な大学が数多くある文化の町で、広東省六千五百万人の拠点都市であります。ここでは、日本総領事館で黒田領事から、広東経済の発展ぶりと日本企業の進出状況を伺いました。
 次に、広州市から車で一時間の花都市に参りました。沿道は、両サイドともやはり大開発であります。工場ビルが建ち並んでいます。ここでは、十年前に福島県から進出した作業服専門工場を視察しました。約三百人の女子工員が、一チーム十五人でミシン十五台を馬蹄形に置き、そで口からボタンつけまでを流れ作業で完成仕上げをする。そのチームがワンフロアに整然と並んでいる姿は壮観でありました。明るく清潔な部屋の中で、食事つき全寮制、月給六千円で効率よく働いてくれる。この合弁工場の中国進出の理由を尋ねますと、「十年前、国内で作業服の注文が多くなり、福島県では人手が集まらず、やむを得ず中国に進出した。中国で金をもうけるなんて全く考えなかった。いかに、よい製品を早く需要にこたえていくかが課題で、生産性はやっと日本の九○%まで追いついたところである。現地では労働条件のよい会社との評判も出て、利益もそこそこで、安定経営に入った」ということでありました。花都市は、こうした衣料品加工工場や雑貨品、電気製品など、軽工業の工場ビルが雨後のタケノコのように出現しつつあります。
 このようにして一行は、珠江の沿岸平野部を中山市、珠海市と、日中合弁企業を訪ねながら視察し、マカオに到着。約三百キロメートルの車の旅はすさまじい大開発の連続で、まさに超高度成長でありました。
 手元にある在広州日本総領事館でいただいた「広東省概況」によりますと、「広東省は、中国の改革、開放の最前線であり、中国の五つの経済特区のうちの三つ、深せん、珠海、汕頭までを有し、近年、香港、マカオとの経済的一体化が進み、いわゆる華南経済圏の形成が注目されている。広東省の人口は中国全土の五・五%にすぎないが、一九九三年の国内総生産額、工業総生産額、農業総生産額、商品小売総額等のいずれの指標においても全国の一○%前後を占め──これはいずれも全国一位から三位であります──中国経済全体に占める広東省の重要性は大きい。さらに、広東省の輸出入総額は全国の四○%を占め──全国一位で──外資導入額も二六%を占め、外国との経済交流において広東省が極めて大きな役割を果たしている」と書かれています。
 中国三十省のうち、全国工業生産シェアの一位は江蘇省で、これは上海を含めて一二・六%、二位は山東省で九・六%、三位は広東省で九・四%のシェアであります。さらに、誘致企業、外資導入件数は一九九二年度で、広東省九千七百六十九件、江蘇省七千八百五十四件、山東省四千百九件となっており、和歌山県と姉妹省である山東省も経済的発展の著しいことがわかります。ちなみに一九九三年──去年でありますが──の山東省の企業誘致契約件数は一万九千十二件と想像を絶する数で、このうち日本からの投資は約五十社、投資者の八七%は香港企業であります。和歌山県が昭和五十七年から現在まで鋭意進めてきた県内の企業誘致件数が六十件であることを考えるとき、経済背景は異なりますが、広東省の猛烈さがわかるわけであります。
 さて、姉妹省・山東省も発展著しいと伺います。先般、仮谷知事には山東省へ参られ、つぶさに視察され、お疲れさまでありました。そのご感想をお伺いいたしたいのであります。
 北京駐在の共同通信記者森氏は、山東省の近況を次のように伝えております。「変容する山東半島」と題し、「環渤海経済圏が国外からの投資を急速に伸ばし、中でも山東半島の主要港湾都市、青島、煙台、威海が市場経済化の波に乗って発展している。特に韓国からの投資は目覚ましく、一九八八年(昭和六十三年)に三社しかなかった韓国系企業は、昨年末までに七百二十二社にふえた。山東省対外経済貿易委員会はこう説明し、同省の外資企業は九三年、一年間に七千二百二十九社が新たに設立された。国別では、一位香港、二位台湾、三位米国、四位韓国、五位日本の順となっている。韓国と日本は、去年その順位が逆転した。特に威海は韓国企業が集中し、これまで繊維、服飾、食品加工、水産など、投資額の少ない労働集約型が主流だったが、最近は電子、通信機器、造船、機械など技術集約型もふえ始めた」とのこと。そして、「日本企業は大連ばかり目を向けているが山東省にも来てほしい」と言っております。山東省は、インフラの整備やエネルギー事情に問題があるが、地下資源、農産物、海産物、人的資源など資源は豊富であります。同じ姉妹県である山口県は、山口銀行が青島に進出し、山東省にかなりの山口企業が行っているとのことであります。本県企業はいかがでありましょうか。
 また青島市長は、先日、大阪市に事務所を開設し、中小企業の誘致を促進したいと表明しております。恐らく、関西新国際空港から山東ライン直行便の開設で、関西企業を大きく呼び込めると判断したものでありましょう。関西だけでなく、中部、関東、東北地方でも、山東省に関心の高い国内輸出関連企業は、商工会議所を中心にして盛んに視察団を送っております。変容する山東省の経済事情について、もっと和歌山県内企業への情報提供が望まれます。何はさておいても、関空開港により飛来する山東直行便の一番機が到着する際は我々和歌山県も県旗の小旗で迎えてあげたいと思いますが、いかがでありましょうか。
 さて、世界銀行では、中国、香港、台湾の三つの中国を中華経済圏ととらえ、この貿易総額が世界貿易に占める割合は九三年には八・五%となり、世界第三位の日本の八・四%を上回ったことを認めており、香港企業の広東省進出、台湾企業の福建省進出が進み、その成長が加速されており、二○○二年には域内総生産は九兆八千億ドルに達し、あと十年足らずで日本の二倍、米国を超える世界一の経済地域が誕生すると予測しております。我々は、中国パワーが日本の脅威になっていると受けとめるべきであります。
 最近、中国政府は技術力のある日本の中小・中堅企業の誘致に力を入れ始めております。そして、受け皿づくりに努めている様子であります。さらに、北京市、山東省、遼寧省など一市四省から関空対岸のりんくうタウンに拠点としての事務所を設けたい意向が大阪府に寄せられ、府もBPCへその他の中国商社や団体などのため賃貸料を割安にして受け入れる発表をしており、さらに香港財界も関西周辺に注目し視察を重ねていると聞きます。つまり、経済の相互乗り入れの時代に入ったわけであります。
 大阪市がアジアのビジネスセンターの機能を果たす拠点づくりにと野心的に建設したATC(アジア太平洋トレードセンター)を見てまいりました。本年四月十七日にオープンして以来、二百七十万人の客が入って盛況で、テナントに空室は多いものの、アジアのお客はこれからだと話しておりました。壮大なスケールであります。
 そこで私は提案したいのでありますが、坪四百五十万円もするりんくうタウンにオフィスをつくってアジアの方々の進出を受け入れるのは大阪府や大阪市にお任せして、和歌山県は居住の場として、すばらしい自然環境に恵まれ、しかも泉州地域に比較して有利で広大な分譲可能な大空間、コスモパーク加太があります。ここに東南アジアや中国の方々、日本に来られる多くの方々の住居ゾーンを設定し、仮称「アジア中国ハビテーションゾーン」を構想されてはいかがでありましょうか、お尋ねいたします。和歌山県が近畿の中で分担し得る最良の受け皿づくりであります。そのためには、大阪府にも協力を願い、幹線道路の建設を促進したいものであります。
 私が、こうも中国経済に関心を高めようと申し上げるのは、今や企業サイドから見て国境はないからであります。国際化というよりボーダーレスの時代に突入して、政府の庇護のもとに育った中小企業も、国際的な圧力のもと、輸入自由化、規制緩和は待ったなしの状態であります。中国へ行って安い人件費を使って、しこたまもうけようという考え方から言っているのではありません。二十一世紀に勝ち残る中小企業は、アジア、NIES、中国と相互乗り入れを果たした企業、つまり資金と技術の提携を結び、世界の市場に通用する製品をつくり出せる企業のみが生き残れると思います。世界の製造業は、今やまさに敗者を生む競争の時代に入ったと言われております。アジアとともに生きることが必要なのであります。正確でより詳しい情報、中国政府、省政府、県郷鎮人民政府の方針と受け入れ状況のデータの収集に努められ、県内企業を指導されたいと思います。
 日本で言われている産業の空洞化は、海外に進出したために起こるというよりも、海外の状況を知らずにいたために国際競争力を失って休廃業に追い込まれるケースによって起こるのであります。日本が進出しなくても、他の先進工業国の進出を中国政府は選びます。
 そこで提案でありますが、こうした中国の情報を取りまとめ、収集する県の機関として、香港に和歌山事務所を開設されてはいかがでありましょうか。香港は、華僑資本の動向を知る上で不可欠のロケーションにあり、かつ、タイ、シンガポール、ベトナム、インドネシアに近く、情報拠点であると同時に、本県からの経済、産業、観光、文化の発信基地になり得るからであります。
 先日、県経営者協会と紀陽銀行が共催で訪中経済ミッションを今秋三回にわたって派遣すると発表しております。時宜を得たよい企画だと思います。こうした訪中経済ミッションに、県担当職員が必ず参加していただきたい。そして、中国経済に精通した職員を育ててほしい。商工労働部長のご意見を賜りたい。
 帰途、伊丹空港で見た風景でありますが、香港からの乗客と台北からの乗客が重なって大変な混雑でしたが、ロビーのあちこちで香港、台湾からの観光団が集まり、ツーリストの旗の下で説明を聞いている。乗客の半数はあろうかと思われました。年間二百万人と言われるアジアからの観光客が、より所得が豊かになるとともに、さらに来日の増加が予測されます。関空の開港は大きなインパクトとなり、本県にもアジアの人々が多く来られることでありましょう。こうした、アジア、NIES、中国への本県の観光施策の展開の現状と課題についてお尋ねします。
 カナセ工業の金谷社長は経営理念として、「単なる利益を追求することではなく、事業は必ず人間関係の確立の上にあるとの信念のもと、世界によい製品を提供する姿勢であり、利益は後からついてくる、おのずと生まれるもの」と断言しております。「中国の人は大人であり、相手を信頼し尊敬すれば相手も私を信頼してくれる。私は、中国の工場に日本人は一人も送らず、経営を任せている。逆に、日本へは技術習得のため彼らを呼び寄せて人間関係を築いている」、そして広州市での黒田領事も同意見であり、その上、「進出に当たっては事前に十分調査せよ。ただ、金もうけに来るだけのせこい魂胆なら進出しない方がよい。必ず失敗する」と、上海周辺で起こっている労使紛争による失敗のケースを挙げ、異文化のもとでの相互理解とパートナーシップの大切さを繰り返し強調されていたのが印象的でありました。
 さて次に、総合交通体系整備構想についてお尋ねいたします。
 関西国際空港の開港、大阪湾岸道路の完成、近畿自動車道紀勢線の広川までの開通を間近に控え、また御坊までの開通を二年後とし、さらに新南紀白浜空港の開港を平成七年に予定するなど、県内の高速交通網が一気に開けようとしております。一方、第二国土軸として太平洋新国土軸の国土構想としての位置づけを国に認めさせ、紀淡海峡に大橋架橋のコンセンサスもおおむねつくり上げられた仮谷知事の業績は、実に大きいものがあると思います。県内主要幹線国道、県道も目に見えて改良が進んでまいりました。新しい発想に基づく広域林道水上栃谷線の完成や将軍川林道の改良は、地域住民に大きな喜びをもたらしております。一県民として喜びにたえないところでございます。さすが、「道の仮谷知事」と言われるゆえんでもあります。こうした機会をとらえ、総合交通体系整備構想を構築されたいと考えておりますが、当局のお考えを承りたいのであります。
 平成五年三月に、紀伊半島における高速交通体系整備構想に関する調査報告書が出されておりますが、鉄道、航空、道路、海路にわたる二十一世紀初頭における本県の総合交通体系がどのように整備されるのか、そのビジョンをお伺いしたいのであります。
 さらに、昨年末、広域道路網マスタープランを策定し、広域道路整備の基本方針を発表しております。地域整備の基本方針と道路整備の目標も理解できますが、一般の県民がこのマスタープラン図を見てもほとんどわからないと思います。いま一歩進めて、国道と主要県道以上の現況と整備計画を具体的に書き込んだものが望まれますが、いかがでありましょうか。
 そして、お尋ねしたいのでありますが、この広域道路網図に、国道、県道のほかに、広域農道網、広域林道網を同時に書き加えていただきたいのであります。そうした総合的な道路網図によって一目瞭然に道路網がわかり、県民の理解も一段と深まると思われます。せっかく各セクションごとに整備の努力を進められておるのですから、有機的、総合的な整備が望まれます。具体的には、この広域農道をこの主要県道に結べばさらに地域の発展につながるという視点も開けてまいります。ご見解を承りたいのであります。
 次に、大島架橋について。
 知事初め当局の皆さんの厚いご配慮とご努力により、平成十年度完成をめどとする工事が着々と進められております。串本町民は大変喜んでおり、ここに深くお礼を申し上げます。
 先般、知事が串本町で発表された架橋のデザインもすばらしく、実現の期待に胸弾む思いであります。その上で、こうした設計に対し少しお願いするのはまことに申しわけないのでありますが、一点だけお許しをいただきたい。
 それは、今から予測されるのは、橋の上からの眺めが天下の景勝になることは間違いございません。そこで、橋上での車の停止が続き、交通渋滞や衝突の危険性も起こりかねません。お願いしたいのは、大島側の橋詰めにパーキングエリアを設置し、橋の上での駐停車をなくす必要があるのではないか。人々は車をおりて、橋の上の歩道で観光願いたいものであります。パーキングエリアの設置について、土木部長のご見解を賜りたい。
 さて、ラジオ難聴地域の解消についての質問に入りたいと思います。
 常時、国道四十二号を走っている多くのドライバーから要請があり、私もそのことを痛感している一人ですが、車の中のラジオの雑音が余りにも大きく、放送が聞こえない問題でございます。
 特に、白浜町富田橋のところから日置川町、すさみ町、串本町の周辺にかけて、夜間はどのチャンネルを回してもほとんどまともに聞けません。私は、生活大国とはどんな国か、お伺いしたく思います。より身近な日常生活の回りの快適さ、文化の摂取のしやすさを実現することが生活大国と思う一人であります。特にラジオ放送は、ハンドルを持つ者、テレビを見ることのできない職場での唯一の楽しみであり、文化源であり、ニュースソースであります。大相撲、プロ野球、文化番組、定時のニュースなど、ラジオを愛用している皆さんは意外に多い。私は定時のNHKニュースの愛好者で、どうもこれが聞こえないといらいらしてまいります。こうしたラジオ愛好者の問題とは別に考えていただきたいこともございます。それは、災害緊急時に放送が聞こえなかったとき、もし事故が起こったら責任はどこにあるのかという問題であります。危険の回避ができない場合も十分あり得ることであります。
 さて、雑音の高い原因は数点あると思われます。一つは、国道四十二号とJR紀勢線が並行して走っているところでございます。これは区間も短く、仕方がないと考えます。二つは、無線交信局の強力電波の出ているところが二カ所ありますが、これも区間が短い。三つは、電力会社の高圧電線が国道四十二号に張り出すように沿っているところほど雑音が高いのであります。ところが、国道から少し離れて電柱が立っているところでは雑音も低い。観察してみて、そのことがよくわかりました。これは、見方を変えると、電波の出力の弱いことが原因かもしれないと考えますが、素人考えでありますので、間違っておればご訂正願いたいのであります。
 ところで、高圧電線の電柱がなぜこうも国道四十二号沿いに立てられているのかと思うわけであります。多分、電柱、電線の維持管理を考えると国道沿いが管理費が安く済むとは思いますが、道路から三十メートル程度離れて立てていただくと、かなり雑音が低くなります。この点についての見解を電力会社から聞いていただきたい。
 私はNHK放送を主に聞きますが、紀南を走っていて比較的よく入るのはNHK宮崎放送局、次にNHK徳島放送局、最も入りにくいのはNHK大阪放送局で、ローカル番組は聞くことができません。私のカーラジオの性能が悪いからかと思い、皆に聞いてみますと大体同じような答えが返ってきます。電力会社の社員も、ノイズの原因が高圧送電線にあることを認めております。いずれにしても、原因者負担の原則がこうしたケースにも適用されるのであるなら、その原因者に対し、国なり県当局から是正の方向でご指導をお願いしたいのであります。
 お聞きするところでは、県企画部は、去る六月一日の「電波の日」に近畿電気通信監理局長から表彰されております。民放テレビ放送難視聴解消事業及び民放中波ラジオ放送受信障害解消事業に積極的に取り組んで地域の情報格差の是正に貢献した功績に対してであり、国も和歌山県がこの事業に熱心であることを認めているそうであります。そのことは多といたします。しかし、ラジオ電波そのものが提供されたサービスであり、それが聞き取りにくい原因をつくっている発生者の側で原因者負担として解消する義務のないものなれば仕方がありません。あるいは、電柱を水平移動する工事費やその後の管理費が高くつき、一企業の負担にたえられないとか、電力料金にかさ上げされるとかの理由があれば、国民的合意で解決を図る努力を重ねることが生活大国実現の努力の試金石ともなると考えます。生活大国とは、一人一人の国民の生活の質をよくする、クオリティーライフを高める、尊重する社会であります。
 欧米を旅行して気がつくことは、高圧送電線は幹線道路沿いには建設されておりません。この話を聞いたある放送会社の幹部の方は、高圧送電線を国道沿いから水平移動する運動を起こされるなら喜んで参加しますと言っております。世界リゾート博や夏の海水浴シーズンを迎えてドライバーも一段とふえることですし、快適な紀州路の旅を楽しんでもらうためにも、この問題の対策と解決の方法について当局のお考えをお伺いしたいのであります。
 続いて、教育問題についてお尋ねします。
 ご承知のとおり、科学技術や政治経済あるいは文化や価値観といったさまざまな面で急激な変化が進んでいる今日、二十一世紀の郷土を支える人づくりという観点から、教育に大きな期待が寄せられています。また、いじめや登校拒否など切実な問題がマスコミで取り上げられるにつけ、県民の教育に対する関心がますます高まってきています。本県では、平成四年九月から学校週五日制が実施され、昨年度は、県民の大きな関心事となった業者テストの廃止、高校入試の改善など積極的に教育改革が推進されていると伺っておりますが、これからの教育のあり方について、教育長の考えをお聞きしたいと思います。
 まず第一点目は、勤労体験学習についてであります。
 かつての子供たちは、農村では田植えや稲刈りを手伝い、都市部においても家業や家事の手伝いをする中で、仕事の苦労や大切さを実感することはもちろんのこと、社会生活に必要な常識や人との協力の大切さなど、多くのことを学んでまいりました。しかしながら、近年、生活が便利になるにつれて子供たちの苦労がなくなり、勉学や趣味に集中できる環境が整ってまいりましたが、その反面、勤労から学ぶ貴重な体験が失われ、そのことが子供たちの実社会で生き抜く力の減退を招いているのではないかと懸念されているところであります。
 お聞きするところによりますと、古座、串本の両町が勤労体験学習の指定を受け、古座高校、串本高校などの保育体験、植林体験、備長炭づくりといったユニークな活動が生徒たちの心に感動を呼んでいることが地方紙でも紹介され、反響を呼んでおります。また、他府県から視察も来ているそうであります。こうした取り組みは、全国的に見ても貴重な活動ではないかと思われますが、これからの教育にとっては必要不可欠なものであり、指定を受けた特定の高校だけでなく、小学校から高校まで、すべての学校で勤労体験を重視した教育が行われることが大切であると考えます。本県では、今後こうした教育をどのように進めていくお考えでしょうか、お尋ねします。
 第二点目に、ことし四月には全国のトップを切って和歌山高校に総合学科を設置されました。この総合学科は、従来の新設学科とは異なり、全く新しい発想に基づく第三の学科ということで大変注目しているところであります。これからの学校教育を考える上で、非常に大きな意味を持つと考えるのであります。開設以来、全国から数多くの学校、団体、教育者の視察が相次いでいると聞いております。和歌山高校がその後どう変わったのか、生徒はどのように受けとめている様子か、その状況についてお尋ねいたします。
 さらに、こうした新しい試みを軌道に乗せるには、関係者の相当な努力と保護者や中学校の理解、協力あるいは思い切った条件整備が必要でありますし、和歌山高校での試みを成功させるためにも、今後総合学科をどのように育てていかれるのか、教育長にお答えをお願いいたします。
 第三点目として、去年から和商、和工、星林の三校の間で、各学校の特色を生かした学校間連携が行われているとのことでありますが、具体的にどのような教育が行われているのか、どのような面で効果が上がっているのか、生徒の反応はどうかといった点についてお答え願います。また、今後、和歌山市内だけでなく紀南地方でも実施されるお考えはないか、その見通しについてお尋ねいたします。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 堀本議員にお答え申し上げます。
 中国訪問の状況をお伺いいたしたわけでございまして、私が中国へ行ったことについての感想ということでございます。
 去る五月に、私も十年ぶりに山東省を訪問させていただいたわけでございます。議員ご指摘のとおり、中国は今、経済発展の真っただ中にございまして、山東省でも町中は建設ラッシュでみなぎる活気を感じたわけでございます。特に、青島の黄島開発区では日本の電子部品メーカーなどを視察しましたが、十年前にここを視察した際と変わりまして大きな港湾整備ができておる、工場地帯ができておる、また遊覧施設もつくられようとしていて、大規模な開発が進められておりますし、日本の資本のもとに港湾施設等もなお一層整備されております。また済南市も非常に活発でございまして、済南と青島までの高速道路が完成いたしまして、前のときは済南と青島は汽車で八時間ほどかかりましたけれども、高速道路で三時間半で行けるというような現況になっておるわけでございます。
 現在、県内の企業が合弁等によって中国へ十数社進出しておりますし、山東省には数社が進出しております。最近、家具関係についても話が具体化しておりまして、キリの半製品を輸入しているところもございます。
 私、特に今度の視察において注意いたしましたのは、五年前に天安門事件が起こったわけでございますので、中国は投資先として果たして安全なのだろうか、もしとう小平がなくなったら後の中国経済はどうなるんだろうか、また貧富の差が大きくなってくるからどうなるか、そういった話が日本の投資家、事業人の間に非常に多いわけでございまして、また中国の社会資本主義下の市場原理とはどういうものなのかということも見たかったわけでございます。
 中国の経済団体と日本の経済団体──日本の外務大臣であった大来佐武郎さんが中国の副主席の谷牧氏などとつくりました、毎年一回ずつ中国と日本で交代でやっている会議がございます。今、日本から行っておりますのは評論家の宮崎勇氏とか下河辺さん、三菱総研の鈴木さんとか、そうした会議に私も出席させていただいて中国の経済人の考え方等も伺っったわけでございまして、社会主義下の市場原理というのは日本の資本主義と余り変わらないのではないかという感じを持ったわけでございます。
 特に話が出ましたのは、日本と中国とアメリカとの経済について数的に言ったならば、日本は一対一だ、アメリカは三対三だ、中国は九対九だということでございました。一対一とは何かと申しますと、日本の経済成長率が一%でそれに伴う物価指数が一%、アメリカは成長率が三%で物価上昇率が三%、中国は成長率は九%で物価上昇率は九%だと。中国の九%ということについては、中国には確たる資料がございませんで、一二%などとも言われておりますけれども、ある程度確たる数字をとるとしたならば九%ぐらいになるのではないかと、そういう論議も出ていたわけであります。日本の経済人も最近になって、やはり中国を投資先として考え、またこれからのアジア経済の中心は中国になるのではないかという感じを持っているような感じがしたわけでございます。
 県としても、十年の交流の実績を踏まえて、県内地場産業のほか、観光、農業などといった各分野での中国進出について今後積極的に支援してまいりたいと思います。
 また、関西国際空港の開港と同時に、大阪─青島間の定期航空路線が開設されることが過日決定されたわけでございます。これによりまして、和歌山県と山東省との時間的距離は大幅に短縮されると思うわけでございます。特に山東省は、先ほども話ございましたように、資源や生産量の分野において中国各省の中で絶えず上位にあるし、治安は一番いいということでございます。そうした面で、姉妹協定している山東省との交流は非常に大きな効果を期待できるものではないかと思います。
 このような状況を踏まえて、私としても、大阪─青島路線の開設及び友好提携十周年を記念し、新たに日中友好県民の翼訪中団を平成七年度において山東省に派遣したいと考えております。
 それから、コスモパーク加太に中国の居住地域の設定をという問題でございます。
 一昨日、馬頭議員にもお答えいたしましたが、関空プロジェクトとしての基本姿勢を踏まえながら、社会経済情勢の激変に対応して柔軟に取り組むための検討を進めているところでございます。そうした面についても、ご提言を踏まえて十分検討させていただきたいと思います。
 次に、中国経済圏と本県経済との情報収集でございます。
 本県としては、これまで経済交流団の派遣やジェトロの積極的な活用等により対応してきたところでございます。ご提案の海外情報収集、あるいはアジア経済の中心とも言われている香港における活動拠点の整備等は極めて重要な事項と考えております。
 今後は、民間が行うミッションや、去る十三日に本県も参画して設立された関西国際経済交流推進会議が行う活動等も含めて、本県中小企業の海外展開の総合的な支援策について積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、総合交通体系整備のビジョンでございます。
 県の第四次長期総合計画において、県土を国土軸、国際軸に結ぶ高速道路の直結、関空との空の直結、また白浜空港の整備等とともに、県内の南北三軸、東西五軸の広域幹線道路網の形成を主眼として、陸・海・空を一体的にとらえた総合交通体系整備構想を位置づけているところでございます。目下、この構想の実現化を目指し、関係部署が一丸となって取り組んでいるところでございます。陸・海・空にわたる総合交通体系の整備は、県勢の飛躍発展を図る上で非常に重要な課題だと考えておりまして、今後とも最重要課題の一つとして取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 職員の訪中経済ミッションへの参加と中国経済に精通した職員の育成についてお答えします。
 国際社会における経済のボーダーレス化が進展する中、議員お話しのとおり、これからはアジア諸国、特に中国を視点に置いた生産、販売、投資等の経営戦略が重要なことであると考えてございます。本県では、これまで山東省との経済交流の中で二十七名の職員の派遣を行ってまいりましたが、先ほど知事からお答えしました、民間が行うミッションや関西国際経済交流推進会議が行う交流会議等、あらゆる機会を通じて職員の中国派遣に積極的に取り組み、中国経済に精通した職員の育成に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、アジア、NIES、中国への本県観光のPRの展開についてでございます。
 現在、海外から日本への旅客は約三百四十一万人でございます。その六○%以上がアジア諸国で占められてございます。中でも、韓国からは約八十五万人、台湾からは六十七万人と、訪日外国人の一、二位を占めてございます。ちなみに、中国からは約二十一万人で第四位でございます。こうした傾向は今後も続くものと考えられ、とりわけ関西国際空港の開港によって関西への入り込みが顕著になってくるものと予測してございます。
 本県においても、こうした状況に対応するため、昭和六十三年度より台湾や韓国を中心に誘客活動を行っておりますが、今後この二カ国に加えて、香港を初めとするアジア諸国に対する誘客活動も重視しなければならないと考えております。また、三重、奈良、和歌山の紀伊半島三県が共同で、本年二月、三月にかけてシンガポール、韓国、台湾の新聞記者等を招待し、三県を視察いただいたところでございます。また、この三県で冊子「紀伊半島」を英語、ハングル語、中国語で作成し、各国への働きかけに利用してございます。また、本県独自のパンフレットも作成中でございます。その他、国際観光振興会が作成した海外からの旅客が日本の宿泊施設を利用する際の手引書を購入し、地域の観光協会等を通じて配付してございますし、近畿府県観光委員会が実施している海外観光展への参加など各種の対策を講じてまいっておりますが、言葉や生活習慣あるいは価格等の問題を乗り越えて、国際交流の側面をあわせ持つ国際観光の振興に、観光協会や事業者等と連携しながら今後とも努力してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 堀本議員にお答えします。
 総合交通体系のビジョンについてでございます。
 先ほど知事からも答弁ございましたように、総合交通体系の整備は本県の活性化を図る上で極めて重要であると考えております。この認識のもとに、関係部局が一丸となって取り組んでいるところでございます。
 具体的に申し上げますと、議員お話しのように、平成四年度に作成した紀伊半島における高速交通体系整備構想を受けて、引き続き平成五年度から三カ年をかけて、二十一世紀の交通体系に対応するため、総合交通体系ビジョンの策定を行うべく、和歌山県交通リノベーション計画事業に取り組んでいるところでございます。本年度は、市町村等の意見を十分聴取しながら、ビジョンの基本的な方向について検討を行うこととしてございます。今後とも、各議員のご指導を得ながら、県内交通網の利便性向上に向け、総合的観点から取り組んでまいる所存でございます。
 それから、広域道路整備の総合マスタープラン網図についてのご質問でございます。
 総合的な道路網図については、道路ネットワークを構築する上で極めて重要なものでございます。計画路線については、県の長期総合計画に係る主要プロジェクト一覧図などに明示するとともに、新たに供用する路線については、適宜、担当部署において各種図面に記載いただいてございます。また、道路網計画の策定や道路の整備に着手するに当たりまして、道路、農道、林道の担当部署を交えながら検討、調整に努めているところでございます。その成果といたしまして、議員お話しの林道水上栃谷線や林道将軍川線の整備などが挙げられてございます。今後とも、関係部署と連携を密にしながら、地域の活性化や利便性の向上につながる道路ネットワークの構築に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、ラジオ放送の難聴地域の解消についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、紀南地方の国道沿線はドライバーにとって、NHKや民放ラジオ放送が鉄道や高圧送電線のノイズ等もろもろの要因により良好な受信ができない状況にございます。このため、県といたしましては、国や放送事業者、並びに電波障害の原因者等と話し合いながら、県民が豊かで文化的な生活が送れるよう、その解消に向け努力いたす所存でございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 大島架橋と駐車場の整備についてのご質問にお答えいたします。
 大島島内の海岸に面した部分や苗我島などは、吉野熊野国立公園の第二種特別地域に指定されており、景観、配色、緑化、地形の部分的な形状変更などについて関係機関と事前協議中でございます。また、現在、苗我島ループ橋の本工事に着工するため、必要な申請手続を鋭意進めているところでございます。
 これからの道づくりには、安全で快適な道路交通環境の確保のために、道のたまり機能を確保することや、十分景観に配慮した設計を行うなど、人に優しい道づくりを進めることが重要であると考えております。
 ご提言の大島橋詰めのパーキングエリアの設置については、関係機関との調整が必要でありますが、このような点を踏まえ、本体工事と並行しながら検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育に関する三点についてお答えいたします。
 まず、勤労体験学習についてであります。
 議員ご指摘のとおり、額に汗して働くことのとうとさや、物をつくり上げる喜びを体験することは、児童生徒の人格形成上、また豊かな人生を築いていく上からも極めて重要な意味を持つものであります。
 古座高校、串本高校が取り組んでおります勤労体験学習総合推進事業は、平成五年度から全国五地域で始まった国の事業を誘致したものであり、保健所において実際に乳幼児を抱き、直接命に触れる古座高校の保育体験や、串本高校の介護実習、地域清掃活動など、関係機関や地元の方々の協力を得て、全国でも数少ないユニークな活動を進めてございます。特に保育体験については、先般、視察に見えた千葉県議会議員の感動を呼び、この六月の同県議会本会議において紹介される予定と伺ってございます。
 こうしたことから、勤労体験の意義を踏まえ、広く地域社会の持つ教育力を生かしながら、小・中・高等学校にわたって計画的に取り組むよう指導の徹底を図ってまいりたいと考えます。
 次に総合学科につきましては、生徒の適性や興味、関心の多様化に応じ、柔軟で魅力ある高校づくりを進めるため、全国に先駆けて和歌山高校に設置したものであります。
 この総合学科は、美術工芸、スポーツ、工業、商業、情報科学といったさまざまな科目の中から生徒が自主的に選択できる画期的な学科であり、現在まで、文部省はもとより全国から九十七にも及ぶ学校や団体の視察が相次ぐなど、注目を集めてございます。和歌山高校においては、ことしの入学試験で二百名の定員を大幅に上回る応募がありました。この学科では、少人数グループによる指導を通して、生徒と教師の豊かな触れ合いの中で行き届いた教育が行われているところであります。その結果、生徒の学習意欲が高まり、問題行動による指導措置を受けた一年生は今のところ皆無であり、学校全体にもよい影響を与えていると報告を受けております。生徒の受けとめ方については、作文をもってご紹介したいと思います。
 『総合学科に入学して』、「四月に入学してから二ケ月たった今、この学校に入学してよかったと思う。入学する前までは『本当にここでいいのだろうか』と迷ったが、学校生活をおくっていく間にそれはなくなった。 その理由の一つに、勉強が楽しくなったことがあげられる。現在、総合学科では個人差のつきやすい科目には、習熟度別学習法をとり入れ、自分のレベルに合ったクラスで勉強する制度が用いられている。そのため、理解しやすく、勉強を楽しむことができる。 もう一つは、自分の学びたいことを中心に勉強ができ、その中で同じ道を求める、個性的な友人に出会い、充実した学校生活をすごしているからだ。 勉強の楽しさの中から、さらに新しい自分を発見するため、これからの三年間、多くの機会を活かし、努力してゆきたいと思う」。
 こうした子供の作文がございます。
 総合学科を育てる方途につきましては、まず教育環境整備のため、現在、鉄筋四階建て二千平方メートルの実習棟を建設中であり、多様な選択科目の授業に対応できるよう施設、設備の整備を進めているところでございます。さらに、生徒が多様な選択科目に分かれて授業が展開できるよう、また教員の意欲的な取り組みを支えるために、人的な体制についても可能な限り配慮してまいりたいと考えてございます。
 第三点目の学校間連携につきましては、平成五年度、全国に先駆けて商業、工業、普通科の三校による相互連携をスタートさせました。和商では、商業デザインとワープロによる文書処理、和工ではインテリア実習と情報技術、星林では英会話や中国語と、それぞれの特色ある科目について他校の生徒も授業を受けられるようにしたものであります。
 一年間の取り組みの結果、他校の生徒と一緒に学習することにより、クラス全体の学習意欲が高まり、新鮮で充実した授業ができた、他校の生徒と交流できてよかったなど、教員、生徒の双方から好評を得、ことしは星林高校の中国語に人気が集まるなどの特徴があらわれております。今後は、和歌山市におけるこうした成果を踏まえ、他地域での実施についても研究を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) 再質問がありませんので、以上で堀本隆男君の質問が終了いたしました。
○議長(宗 正彦君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○議長(宗 正彦君) 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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○議長(宗 正彦君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(宗 正彦君) 次に、お諮りいたします。六月三十日及び七月一日は、各常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) ご異議なしと認めます。よって、六月三十日及び七月一日は休会とすることに決定いたしました。
○議長(宗 正彦君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員からこれを申し上げます。
  〔職員朗読〕
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  総務委員会 第一委員会室  
  厚生委員会 第二委員会室  
  経済警察委員会  第三委員会室  
  農林水産委員会  第四委員会室  
  建設委員会 第五委員会室  
  文教委員会 第六委員会室  
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○議長(宗 正彦君) 次会は、七月四日再開いたします。
○議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時八分散会

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