平成6年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第三号 平成六年六月二十八日(火曜日)
  午前十時開議
  第一 議案第七十六号から議案第八十四号まで、及び報第二号から報第六号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第七十六号から議案第八十四号まで、及び報第二号から報第六号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十二人)
 1  番  小  川 武
 2  番  吉  井  和  視
 3  番  井  出  益  弘
 4  番  和  田  正  一
 5  番  町  田 亘
 6  番  尾  崎  吉  弘
 7  番  岡  本 保
 8  番  藁  科  義  清
 9  番  向  井 嘉久藏  
 10  番  佐  田  頴  一
 11  番  阪  部  菊  雄
 12  番  堀  本  隆  男
 13  番  平  越  孝  哉
 14  番  富  田 豊
 15  番  門  三佐博  
 16  番  西  本  長  弘
 17  番  高  瀬  勝  助
 18  番  上  野  哲  弘
 19  番 宇治田  栄  蔵
 20  番  尾  崎  要  二
 21  番  中  村  利  男
 23  番  山  本 一
 24  番  馬  頭  哲  弥
 25  番  鶴  田  至  弘
 26  番  飯  田  敬  文
 27  番  村  岡 キミ子  
 28  番  松  本  貞  次
 29  番  下  川  俊  樹
 31  番  宗 正  彦
 32  番  橋  本 進
 33  番  浜  田  真  輔
 34  番  冨  安  民  浩
 35  番 上野山  親  主
 36  番  中  村  裕  一
 37  番  和  田  正  人
 38  番  大  江  康  弘
 40  番  木  下  秀  男
 42  番  森 正  樹
 43  番 野見山   海
 44  番  新  田  和  弘
 46  番  森  本  明  雄
 47  番  浜  口  矩  一
欠 席 議 員(二人)
 39  番  中  西  雄  幸
 45  番  浜  本 収
 〔備 考〕
 22  番  欠  員
 30  番  欠  員
 41  番  欠  員
説明のため出席した者
 知 事 仮  谷  志  良
 副知事 西  口 勇
 出納長 梅  田  善  彦
 知事公室長 中  西  伸  雄
 総務部長  木  村  良  樹
 企画部長  宮  市  武  彦
 民生部長  南  出  紀  男
 保健環境部長  江  口  弘  久
 商工労働部長  中  山  次  郎
 農林水産部長  野  見  典  展
 土木部長  山  根  一  男
 企業局長  高  瀬  芳  彦
  以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 岩  崎  正  夫
 教育長 西  川 時千代  
  以下教育次長
 公安委員会委員長
 西  本  貫  一
 警察本部長 西  川  徹  矢
  以下各部長
 人事委員会委員長
 水  谷  舜  介
  人事委員会事務局長
 代表監査委員  天  谷  一  郎
  監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 鈴  木  俊  男
  選挙管理委員会書記長
  地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長  岩  垣 孝
 次  長  中  西  俊  二
 議事課長  松  田  捷  穂
 議事課副課長  佐  竹  欣  司
 議事班長  松  谷  秋  男
 議事課主事 長  尾  照  雄
 議事課主事 松  本  浩  典
 総務課長  岡  山  哲  夫
 調査課長  柏  木 衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉  川  欽  二
 議事課主査 鎌  田 繁
 議事課速記技師 保  田  良  春
  ──────────────────
  午前十時三分開議
○議長(宗 正彦君) これより本日の会議を開きます。
  ──────────────────
○議長(宗 正彦君) 日程第一、議案第七十六号から議案第八十四号まで、並びに知事専決処分報告報第二号から報第六号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 3番井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 おはようございます。二日目ということで昨日の一般質問と幾つか重複した点があるかと思いますけれども、どうかよろしくご清聴お願いします。
 昨日、馬頭議員から知事に対し、県市協調に関係して非常に心配を込めた、また知事は和歌山県の親のようであってほしいという希望を込めた質問がありました。私も、和歌山市長選挙に絡む質問はしない方がいいんじゃないかと随分考え、悩んだんですけれども、和歌山市民の皆さんが非常に心配をしておられます。実は、きょう頭をセットしに行きましたら、床屋さんで、「知事さんが怒っているのはよくわかるけれども、和歌山市の人らがこれに巻き込まれたらどないなるのかな」と言われました。「きのうも一般質問であったので、新聞見てくれましたか」と言うと、「見たけれども、やっぱり心配や」ということでありました。私は、知事からそういうことについて適切な答弁をいただけると思いますので、さらに質問させていただきたいと思います。
 先般実施された和歌山市長選挙につきましては、全国的に和歌山市の名前を知らしめたというか、全く不可解な選挙であったことは、皆様もご存じのとおりであります。和歌山市議会においても、六月二十四日、市議会議長より、「旅田市長のとった行動は、市政への不信感を及ぼし、民主主義のルールを大きく外れ、議会との正常な関係を損なう結果ともなり、甚だ遺憾である。改めて民主主義の根幹に立ち返り、法の精神を十分遵守し、常識ある、正常で民主的な自治体運営に心がけられるよう注意する」との異例の議長注意があったことを報道で知りました。
 なぜ、この時期に市長選挙と同時に一年二カ月後の知事選出馬表明を行い、その後の選挙戦においては、今回の市長選候補者についてはこの相手では負けることはない、後は打倒仮谷県政の戦いであるとの選挙運動を繰り広げたのか、なぜここまで市長が知事選に向かってエスカレートしてしまったのか、これも旅田氏の作戦であったのか、成り行きでこのようになってしまったのか、いまだに疑問に思っているところであります。これで、とんでもない混迷選挙に巻き込まれたのは、旅田市長を支援すべく何かと応援してきた仮谷知事を初め、国会・県会・市会議員や各種団体の世話人、そして和歌山市民の皆様でありましょう。その後において、旅田市長も、皆様に大変な混乱を与え、このことで迷惑をかけたのは全く申しわけないとのおわびも連発されておりますが、「私に与えられた市長としての期間は一年二カ月として、この期間、市政に全力を尽くす」と述べて、県知事選に向かって選挙戦術の展開を進めている実態と思われます。
 この混迷した市長選挙の結果、市民の間で仮谷知事に対して、仮谷知事はかなり憤慨をされているようだがとの心配というか、気の毒にという声を多く聞かされます。住友金属西防埋立地の今後の取り扱いについても、市長選挙の影響はないだろうかとの相談も幾つかありました。そして、和歌山市つまり和歌山市民が不利益な結果とならないように、和歌山市行政に対する処理と旅田氏個人への対応とを区別していただき、和歌山県行政、県都和歌山市の行政処理は仮谷知事の適切なる対処をもって臨んでいただけるよう、市民は切望と心配をしているのが実態であります。
 戦国時代の戦いならともかく、民主主義国家における今日の政治家として、今回のような戦略は極めて遺憾なことと感じております。和歌山市長選、そして和歌山市民の県市協調不安に対して、当該市選出の県会議員として知事の見解をお尋ねいたします。
 二番目に、仮称新南海橋についてお尋ねします。
 昭和六十一年九月定例議会において、第二阪和国道和歌山早期延長についてと題して、新南海橋は和歌山県で一番先に開通が必要とされ、最も経済効果に影響ある橋であるから、第二阪和国道和歌山北バイパス、すなわち新南海橋ルートを早期に完成させることが和歌山市はもとより和歌山県にとって重要なことであると述べました。初登壇以来、平成五年十二月定例会で合計十一回、すなわち今議会で十二回目となりますが、第二阪和国道と新南海橋の早期完成に向かって努力をお願いしたい旨、事業促進を提言してまいりました。
 毎年、国からの予算を見て、なぜこのように予算がつかないのかを原因追及した結果、限られた国の予算の中で和歌山県のどの箇所にどれだけの土木予算を配分してもらうかは配分に対する国への県の働きかけで決まるものであるとの結論であります。つまり、平成五年七月には国道二十四号和歌山バイパス十二・四キロメートルが開通し、平成六年七月にはリゾート博開催までの供用を切望していた新毛見トンネルと湯浅御坊道路の広川─井関間六・四キロメートルが供用する運びとなりました。これは、本県の交通体系上、またリゾート博成功のためにも予算配分としてやむを得なかったかもしれません。しかし、和歌山はこれだけ道路整備がおくれているのでありますから、おくれを取り戻すためには何とか特段の取り組みをせねばならないと考えます。
 とりわけ第二阪和国道は、国道として大阪よりの玄関口であり、県経済に及ぼす影響は多大なものであり、県として最重点的取り組みをして早期開通をせねばならないといつも私が提言し、県も努力すると答弁をしているのに、なぜ毎年、第二阪和南海橋ルート、別名称和歌山北バイパスの予算がこのように少ないのか、少ないのを和歌山県として了解しているのか、また早期に橋梁工事に着手できないのか、そして今後の見通しについてお聞きしたいのであります。
 三番目に、都市計画について。
 都市計画の原案は昭和十六年につくられたもので、その後、第二次世界大戦に和歌山市の多くの部分が戦災を受けたため、戦災復興のやむを得ない建造物が乱立した等のこともあって、原案とはかなり違う現況にあります。
 風致地区として指定されていた例ですが、昭和十六年ごろ松林があり、その前は砂浜で風光明媚な場所であったらしいのですけれども、戦後は民家が建ち並び、松の木などは皆無となってしまっているが、地区民はなぜここがいつまでも風致地区指定を解除してもらえないのか、余りにも不自然な規制だと困惑しております。
 また、和歌山市内には戦時中、食物不足を補うため、農林省が市街化調整区域内の国有地を農地として民間へ耕作用に貸し付けた土地がかなりあります。農地として国より払い下げを受け、本人の所有となっている土地はいいのですが、農林省より今日も借地料を払って借地しているけれども、実態は戦後、農地以外に使用されて現在に至っているため、国より本人への払い下げは農地に原状回復もしくは市街化区域へ編入がなければ払い下げの対象とならないとのことであります。しかし現実は、当該場所を農地として原状回復することは不可能に近く、また無理をして原状回復する意義がないと考えるし、そのため原状回復命令も出されずに、現状は宅地または雑種地や山林として使用されておりますが、実態は使用されていないままで借りているところもたくさんあります。登記簿の地目は農地で所有権は農林省となっているため固定資産税も課税されず、当該土地使用者にとっては、先祖の時代にこのようなことになってしまったことであり、農地に原状回復もできず、土地の有効活用がされていないので善処してほしいとのことであります。
 国や県、市にとって税収財源でもある貴重な土地がこのように有効活用されていない面積部分がかなりあり、戦後の現状を戦前の計画に合わそうとするのが正しい都市計画なのか、戦後の現状を基本に考えるのが正しいのかということになりますが、戦災という思わぬ事態を理由に都市計画の原案を大きく改正することは困難でも、ぜひともやらねばならない正しい改正だと考えております。もちろん、無秩序な市街化や乱開発を認めないためにも、県として正常にすべきところは早急かつ抜本的に見直さなければ、問題の後送りをして、問題のない場所についてのみの小手先改正の都市計画では実態との間に矛盾箇所が生じ、市民のもめごとの原因となるだけであります。どこかで無秩序な市街化を食いとめるため、現実と現状を的確にとらまえ、規制するばかりでなく、緩和すべきところは勇気をもって規制緩和をせねば、放置して問題を後送りするのは行政の立場をかばうのみで、県民のための行政であるべきものが県民の立場に立って汗を流すことを忘れているとも言われております。つまり、昔のお上のお役所仕事タイプになっては、民主主義国家の行政の姿として法の精神を欺くことになるのではないでしょうか。県都である和歌山市の都市計画は、原案は和歌山市において検討・作成されるわけでありますが、県のさらなる指導力を求めるとともに、見解をお尋ねします。
 次に、都市計画道路についてお聞きします。
 都市計画道路も多くの計画道路がありますが、貫通してこそその効力も一○○%となりますけれども、ほとんどが未着手や未貫通であり、重要路線で貫通が最も早く竣工したとして、三十年先、五十年先、百年先等の進みぐあいの状況であります。都市計画道路の今後の見通しについてお尋ねします。
 この際、県都和歌山市、そしてその圏域の交通アクセスについて、画期的な提案を申し上げたいと思います。
 和歌山県の広域道路網・マスタープランでも検討はされておりますが、これは現在ある都市計画道路やその連絡道路として、和歌山市の主に市内中心部の内環状道路的な計画であります。市内中心部の道路拡幅は、新設道路の建設より地元民や地権者の協力が得られにくい。昭和十六年の都市計画道路として決定していたのに、五十年以上経過しても進捗状況は極めて悪い状態にあります。また、道路の事業計画も県、市、国が一貫した事業計画として推進されておらず、ばらばらにそれぞれが工事をするため、県民、市民にとっては喜ばれる度合いの極めて低い道路事業の推進実態だと、残念でなりません。
 さて、私の提言と申し上げますのは、一口で言いますと、和歌山市周辺外バイパス環状道路という機能の高規格道路的なものであります。概要は、和歌山県の広域道路網マスタープランの和歌山市周辺についての計画をより現実的に考え、道路事業の早期完成を望むのと、三十年、五十年、百年先を考え、和歌山市と岩出町で人口六十万から七十万都市としての都市機能が必要とされ、交通アクセスについても和歌山市の外周を循環道路として目的地に一番近いランプウエーから乗りおりする。つまり、目的地に向かうのに市内地を通過する従来の道路を拡幅整備するタイプの道路ではなく、未来の和歌山市圏域の交通アクセスを考えるとき、関西国際空港の開港、大阪湾ベイエリア開発整備、第二国土軸構想、紀淡海峡構想等々、二十一世紀の近畿圏の整備のあり方として、和歌山県においてもこれらに対応する都市整備に取り組んでいかねばならないと思います。つまり、都市計画及び都市計画道路の推進と見直し、また新たに都市型交通アクセスの取り組みの一つとして、県都和歌山市が将来、交通停滞による経済損失、発展阻害より救えるこの和歌山外環状バイパス道路は、和歌山市の比較的に建築物が密集していない外周を一巡するもので、用地買収も密集地の立ち退き者対象の工事とは違って早期完成が期待できるのであります。和歌山市内各地へのバイパス機能を持った高規格道路的な外環状バイパス道路を、和歌山市と岩出町圏域に対応するためにも県都和歌山市が備える必要があると考え、今後ぜひ考えていただきたいと望むものであります。
 これは、今回、答弁をいただこうというところまで最初は考えておったんですが、質問としてはまた別の機会にしたいと思いますので、ぜひ提言として県の方では聞いていただきたいと思います。
 四番目に、和歌山下津港湾の使用と整備及び埋立計画について。
 和歌山市下津港使用実態については、いろいろと問題点も多くあります。先日も尾崎議員が和歌山下津港について質問されましたが、それに関連した一部として、今回は間もなく和歌山下津港湾の埋立工事に着手する和歌山下津港西浜地区における水面貯木埋め立てについて、木材協同組合より県の対応策に問題があるとの点について質問し、対応を確認するものであります。
 和歌山港入港の年間木材数量は、平成三年では三十九万七千九百十二立方メートル、うち陸上おろし四八%、平成四年では三十九万八千七百七十六立方メートル、うち陸上おろし五二%、平成五年では三十六万三千百七十四立方メートル、そのうち陸上おろしは五五%と、陸上おろしが上昇の推移となっております。このこともあって、このたび水面貯木場を埋め立て、陸上貯木場及び木材関係基地に統合するものであります。
 ここで水面貯木場を埋め立てますが、ここを利用していた水面貯木材をすべて陸上貯木にすることはできないのであります。なぜかと申しますと、比較的安価で取引の早い木材のトガや米杉などは陸上においても余り傷まないうちに短期間に売却取引があるのですが、高級ですぐに売却できない上米松、スプルース、米ヒバなどは長期間保存取引となることが多いので、木材の腐りやひび割れ防止のため水面貯木し、顧客があればその都度水上にて丸太を回転させ、木材の形状及び材質を入念に判定してもらうのだそうです。このように、一本数十トンで数百万円もする高級材は水面貯木する必要があるのにもかかわらず、今後ほとんどが陸上貯木となり、水面貯木場埋め立て後は水面貯木場で貯木していた木材をすべて陸上に貯木し、水面貯木場確保の必要がないという、最近までの県の対応でありました。木材協同組合が県に対して木材界業務内容について詳しく説明し、対応を申し入れましたが、今後とも三○%前後の水面貯木が必要であるため、水面貯木場と荷役機能が可能な場所を新たに確保すべく対処していただけるものと考えるが、答弁を求めます。
 最後に、県人事と人事異動について質問します。
 以前、当本会議場において同僚議員より質問がありましたのも、まだ記憶に新しいところであります。たしか大江先生がされたと思いますが、関連したことで質問をさせていただきます。
 事務職と技術職において管理職への登用率に歴然として差があることは、私もこの県議三期の間に何かと感じてきたところであります。とりわけ技術職の方は、管理職として活躍できる場が少ないばかりか、役付職として役だけはいただいているようですが、明らかに給料面でも格差がついており、平成五年から平成六年を比較してもまだまだ格差が是正されておりません。県職員が事務職、技術職を問わず公平に努力することの励みとなるためにも、早急にさらなる見直しと是正をすべきと考え、この点について見解をお尋ねします。
 また、管理職の人事異動が平均二年ペースで実施されているようですが、平成五年十二月本会議においても、人事異動時の事務引き継ぎの悪さについて申し上げました。すなわち、県は人事異動によって県民との約束で都合の悪いことだけ外していく、そしてこの処理をうまくやってのける人、つまり困難な仕事はなるべく取り組まず、けがをしないように人事異動まで引き延ばして後送りして異動で渡っていく人が、困難な仕事を解決しようとする人より順調に昇進する傾向にあるのではないかと申し上げましたが、このようなことは「まごころ県政」を提唱する仮谷知事のもとでの管理職としてあるべき姿ではないと考えます。
 今回、私の質問の中の木材協同組合の問題で県民と県との食い違いがあったのも、人事異動による引き継ぎがうまくできていなかったのではないでしょうか。管理職人事異動の二年サイクルが適切で十分仕事がこなせるのか、疑問に感じているところであります。人事異動と引き継ぎについて、現状での問題点をよく把握し、「まごころ県政」を唱える仮谷知事のもとで管理職体制として知事をしっかり支えていくためにどうあるべきかの見解をお聞かせいただきたい。
 以上で、一回目の質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの井出益弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 井出議員にお答え申し上げます。
 県市協調の問題でございます。
 きのう馬頭議員にも申し上げましたように、私は旅田市長の一連の行動が市民を無視したおごれる行為であるということに、私も和歌山市民でございますので、市民の一人としても怒ったわけでございます。それゆえに、市民のためのもの、県民のためのものの事業等については、誠心誠意、県市協調で進めてまいるつもりでございます。
 特に今の時期、皆さん方の絶大なるご支援をいただき、私も政治生命をかけた関西国際空港がやっと開港する運びになりました。思い起こせば、その長い歴史の中に、兵庫県、神戸市との問題、また泉南地域の問題、県内の問題等々ありました。それが完工いたしまして、和歌山県の交通網、産業基盤を確立するときでもございます。また、和歌山県は臨海型工業地帯でございましたけれども、住友工業があのようになってまいったわけでございます。
 県勢発展のためにマリーナシティを和歌浦湾につくりまして、これができ上がりました。この完成と同時に世界リゾート博をやって、和歌山県のすばらしさ、すぐれたところを知っていただく絶好の機会であり、かつてない重要なときであると思っております。それだけに、この機会を十分に生かすために、今後とも良識をもって全市町村との協調のもとに県行政を推進してまいります。
 他の問題は、関係部長から答弁いたします。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 井出議員のご質問にお答えいたします。
 まず、仮称新南海橋についてお答えいたします。
 直轄事業については、限られた予算の中で県内の効率的な道路網の整備や各種プロジェクト等との整合を図りながら、その整備を進めているところであります。昨年には国道二十四号和歌山バイパスが供用され、また世界リゾート博開会までには毛見拡幅及び湯浅御坊道路の吉備と広川の区間が供用される予定であり、本県の発展に大きく寄与するものと考えております。和歌山北バイパスについては、この道路の重要性は深く認識しているところであります。
 このような事業を促進するためには用地の早期取得が重要でありますので、その促進方策について、手法も含め、関係機関と十分協議してまいりたいと考えております。また予算の拡大につきましても、県議会並びに関係の皆様方のご協力を得ながら、今後とも国に対し強力に働きかけてまいりたいと考えております。
 このうち新南海橋についてでありますが、橋梁工事に着手するためには、右岸側において排水処理の問題を含めた地元協議及び用地測量が終了し一部用地買収ができる状況になっていること、もう一つは、左岸側のJR高架に伴う費用負担並びに架線設置に伴う地元調整等の問題が解決し、一部工事が行える状況となっていることが必要であると聞いております。
 新南海橋につきましては、平成五年度に予備設計を完了し、平成六年度には地質調査と設計を行う予定となっております。さきに述べたような条件が解決され、早期に橋梁工事に着手できるよう、関係機関と連携しつつ努力してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、都市計画のうち都市計画関係の見直しの必要性についてでございます。
 市街化区域と調整区域の区分、いわゆる線引きについては、無秩序な市街化の防止を図るため、都市計画基礎調査の結果を踏まえ、公共施設の整備状況等も見きわめた上で定期的な見直しを推進することとなっております。
 和歌山海南都市計画区域につきましては、昭和四十六年決定後、市の発展動向を勘案し、ほぼ十年ごとに全体の見直しを行っており、最近では平成二年度に行ったところでございます。現況の線引き内での用途地域の見直しについては、都市計画法の改正に伴って用途地域の種別が八種類から十二種類に細分化されたところであり、それに基づいて現在関係市及び町において鋭意作業を進めているところであります。今後、これらの作業を進めるに当たっては、土地利用の変化の状況を十分踏まえて、議員のご指摘の点も十分参考とさせていただきながら、都市の健全な発展を目指して市及び町を指導してまいりたいと存じます。
 次に、都市計画道路についてでございます。
 市街地での都市計画道路は、円滑な都市活動を確保するためなくてはならないものであり、その整備促進は緊急の課題であると考えております。このため、和歌山インターチェンジと市街地への重要なアクセスとなる三年坂や湊神前線などの東西道路の整備促進を図るほか、南北幹線道路として本町和歌浦線などの整備に努力してきたところでございます。
 議員ご指摘のように、都市計画道路整備については、長期的な視点に立ちつつ、広域的な観点も踏まえて都市交通の円滑化に資するため、計画的、効率的に整備を進めていくことが必要と考えております。今後とも、都市の骨格となる主要幹線の整備については重要な課題でございますので、関係機関とも十分連携し、調整をしながら事業推進を図ってまいりたいと考えております。
 最後に、和歌山下津港湾の使用の実態と整備及び埋め立てについてでございます。
 港湾における木材の取り扱いについては、荷役作業の効率性や製材輸入の増加などが要因となり、水面荷役から陸上荷役へと転換していく傾向にあります。和歌山下津港においても、昭和五十年代には水面荷役が八五%程度であったものが、平成五年には四五%まで減少し、それに対して陸上荷役は五五%に増加してきております。和歌山下津港西浜地区における水面貯木場の埋立計画はこうした動向に対応したものでございますが、一方では今後とも水面荷役が続けられるものとも予想しております。このため、埋立区域以外の水域や物揚げ場などを活用しつつ、必要な範囲での水面荷役にも対応できるよう検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 県人事における技術職と事務職の管理職ポストの格差についてのご質問でございます。
 ご案内のように、県の組織は数多くの職の集まりという形になっております。そしてまた、個々の職に対して事務、技術いずれの職員を配置するかについてはその職の内容等を勘案しながら決定しているところでございまして、ただいまご指摘のような点も踏まえて、今後とも変化する行政内容を見きわめながら、事務、技術いずれの職員がそれぞれの職務に適しているかを検討してまいりたいと考えております。
 次に、人事異動とそのときの事務引き継ぎに関するご質問でございます。
 県の組織の活性化のため、人事異動は欠くことのできない重要な要素でありますが、事務の継続性は非常に大事なことでございまして、これまでも文書あるいは口頭で綿密な事務の引き継ぎを行ってきているところでございます。今後とも、人事異動によって事業の継続性が損なわれることがないよう、より一層円滑な事務引き継ぎを徹底してまいりたいと考えておりますので、ご了承いただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 3番井出益弘君。
○井出益弘君 知事は、和歌山県民の親でもあり和歌山市民の親でもあるということで、きょうの答弁を市民の皆さんが聞いてくれたら、あるいはそういうことがそのうち伝わっていくと、ほっとしてくれるんじゃないかと思います。みんなが随分心配しているものですから。質問する方も随分気を使いましたけれども、余りこういうはれものにさわらないのも悪いかな、逃げてもいかんなと思って質問させてもらったんですが、難しい答弁にもかかわらず、混迷選挙で迷惑を受けているご心中、また我々も本当に遺憾なことと思う中で適切な答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 それから人事異動については、今後とも対応してくれるということでありましたが、人事異動ごとに大変引き継ぎが悪いということを十二月にも申し上げ、また今回も申し上げるというようなことは異例なこと、異例な質問ととらえてもらって、特に心して取り組んでいただきたいと思います。
 以上、要望にかえて終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で井出益弘君の質問が終了いたしました。
○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 お許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、住友金属による埋立地の転用問題についてお尋ねをいたします。
 この問題については、きのうも論議がありましたし、私も過去二度にわたりお尋ねしたところでございますが、現在、埋立地の転用をめぐって検討委員会が設置されるに至りましたので、改めてお尋ねするところでございます。
 一九九一年に住友金属が埋立地の転用意向を表明して以来、知事は、転用は遺憾であるとしながらも、関電のLNG発電所計画等については、環境アセスメントや住民合意が必要であろうということを表明するにとどまってまいりました。私は、転用が遺憾であるならば、その転用工作を中止させるべく免許権者としての責務を果たすべきだと求めてまいりましたが、知事初め当局はその方向で何ら対処することなく、事態は旅田市長の例の強引な手法と企業によって一方的に進められて現在に至りました。
 一方、公害は今も残っている、観測地点を変えて新たな観測をする必要があるのではないか、将来の生産規模の拡大によって公害はどうなるかわからない、そのような疑問や不安を残したまま、さらに自治会の合意は住民の総意ではないという不満や不安を残したまま事は運ばれて現在に至っております。結局、この転用意図が表明されてから三年間、何が水面下で話し合われていたか私どもが知る由もありませんが、県は今日のこの事態が来るのをじっと期待して待っていたのか、あるいはこのことを期して工作を進めていたのだろうと推測されるところであります。
 ところで、埋立地は公有水面でした。それは、瀬戸内法という法によって埋め立て等は厳しく規制されたところであり、公害工場の沖出しという大義によって免許されたものであります。それが、状況によって沖出しは不要になったので転用するということになってきた。しかし、果たしてそれが本当にやむを得ないものであったのかどうか。その点がこの三年間、県の主体的な調査やそれによる県民の疑問への回答がないままに検討委員会の設置へと運ばれてきたと、私は大きな疑問を依然として持っているわけでございます。きょうは既に検討委員会が発足している段階でありますから、その時点に即してお尋ねをいたしますが、法的に言えば転用は可能でしょう。公害工場の沖出しという目的で埋められた公有水面が、その目的がなくなったとされたとき、海またはその土地が本来の所有者であった県民や市民のもとに戻してもらえるのかどうかという根本的な問題に答えなければなりません。極めて単純で、いささか乱暴な論理で言えば、原状回復して公有水面に戻せということになるでしょうが、もちろん現実的ではありません。しかし、もともと公有水面、すなわち県民、市民のものであったところが私的な土地になっているという根本的な矛盾にどう答えていくのか。私は、有償であれ無償であれ、基本的にその地はこの際、県に返還されることが最も道義的な態度ではないかと考えているわけでございます。それが、現実的に困難であったとしても、そのような姿勢が県や企業にあるかないか、それが今後この地の利用の上で大きな差異を生んでくると思うわけであります。また、その際重要な意味を持ってくる企業による埋立原価について、あるいはその積算方法について県は承知しているのかどうか、知事並びに関係当局の見解を伺いたいと思います。
 今回、企業の方から利用は県の方で検討されるのが望ましいと、県は検討をゆだねられたわけですが、果たして無条件にゆだねられているのでしょうか。県への申し入れでは、この土地が貴重な土地であるがゆえに、公共、公益的に活用されたいとありますが、ただ三工区だけが公共的に活用されたいとされています。それでは一工区、二工区は県に白紙委任されたのか、それとも私企業による公益的活用が前提とされているのか、前後の経過から見てそういう方向が前提とされているのではないか等々の疑問を抱いているのであります。完全な白紙委任ではなく、三工区は公共、一、二工区は私企業による利用と条件が付されているように読めるところでありますが、県当局の見解をお伺いいたします。
 また、同社の申し入れ文書には、「埋立地の新たな利用計画については、弊社の利用計画も有している」とありますが、同社は一九九一年の転用意向表明の際に、「物流基地や関西電力のLNG火力発電所の可能性を検討していく」とありましたけれども、今回の申し入れの際、同社が有していた計画とはいかなるものであったのか、明らかにしていただきたいと思います。
 あえてそれをお尋ねするのは、検討委員会にゆだねるとされているものの、今までの流れの中で企業の意向が既定の方向として考えられているのではないかと懸念するからであります。いずれしろこの際、一切にとらわれず、一、二、三工区全面にわたって県の主体的な検討が望まれるところでありますが、昨日の質問に重ねて当局の見解を求める次第であります。
 また、それだけに検討委員会の任務は重要であろうし、広く県民の意を体して検討されることを望むところでありますが、この委員会が非公開であるというところに大きな問題を感じます。なぜ、正々堂々と公開されないのか。検討委員会の議論が公開されれば、当然、世論はそれに反応するでしょうし、検討委員会はまたその世論にも反応するでしょう。しかし、それこそが広く県民の意を体するということであり、幾人かの学者と県市各一名の代表者が県民のわからないところで審査するなどというのは、まことに妙な話であります。世論を圧力や雑音と考えているようでは民主的な検討とは言えないでしょう。再考すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、検討委員会による検討範囲はどこまでなのか、明らかにしていただきたいと思います。公共的利用、公益的とはいえ、私企業による利用の範囲を定めるのか、あるいはもっと具体的に公共的利用なら何をするとか、私企業による業種まで検討するのか、どの辺まで検討するのか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
 なお、三工区は公共に活用をとの企業からの申し出は、その土地の県への無償提供を意味するのかどうかも明らかにしていただきたいと思います。
 同時にこの際、広く県民の意向を聞き取るために、埋立地に関する基本的な考え方も含め、活用方法を討論する公聴を行ってはいかがでしょうか。公聴的な場を持ってはいかがでしょうか。県民の中にはたくさんの疑問が残されたままです。その疑問にも答えるとともに、公有水面を埋め立て、その目的外への転用に当たって、何を基本として考え、いかに活用されるか、県民的議論があってもいいはずであります。企業と和歌山市が早々と転用方向を打ち上げて住民工作に奔走する、知事は遺憾と言いながら何もせずじっと見ている、三年たってある程度世論工作が終わったころ、貴重な土地だから県で利用方法を考えてくださいと申し出られる、しかも三工区は公共に使ってください、ただし、白紙とは言いながらも、一工区、二工区はいろんな含みを持って提案されている、その上、検討委員会は非公開。そんな流れを見てまいりますと、内々に話はもうでき上がっているのではないか、単に県が公正に検討するように装っているだけではないか、そんな疑問が生まれてくるのは当然ではないかと思うのです。もしそれが実情なら何をか言わんやでありますが、そうでないとするならば、検討委員会の公開を含め、公聴会を開いて十分県民の意向が反映されるよう対処すべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
 この項の最後に、和歌山市と関電が進めようとしているLNG発電について、またLNGの危険性について、当局がいかなる認識をお持ちなのか、お尋ねをしておきたいと思います。
 和歌山市と関電によって、LNGは安全だ、クリーンだと、早々と和歌山市全戸に宣伝が行われてまいりました。しかし、事はそう簡単なものではありません。過去のLNG事故を見ても、一九四四年、アメリカのオハイオ州で百三十名の死亡、数百名の負傷者の事故を起こしております。一九六六年西ドイツでは、死亡三、負傷八十三という大事故もありました。一九六八年にはオレゴン州で四名の死亡、数十名の負傷者、一九七三年、ニューヨークで四十名以上の死亡、そういう事故が相次いでいるわけであります。
 以上は、死亡災害を伴った工事現場の事故として目立ったものだけでありますが、これだけでも、安全であると手放しで宣伝することの愚かさを十分に物語っていると思います。LNGの安全だけが一方的に宣伝されているとき、県当局としてはこの反面の事実こそ十分研究し、県民への啓発に当たらなければならないと思いますが、LNGの危険についていかほどの認識を持っておられるのか、お示しをいただきたいと思います。
 続いて、子供の権利条約についてお尋ねをいたします。
 従来、子供を大切に保護育成し、その権利を尊重するという宣言や憲章、法令等は時代の進展とともに充実発展させられ、今日に至っていますが、子供の権利条約は従来のそれらと比して画期的な内容を持っていると言われています。子供の権利を宣言した一九五九年の児童権利宣言等も、大きな意味を持って世界の子供の福祉の向上に資してまいりました。それは、国や行政に努力の義務を求めただけのものでありましたが、さらに権利条約はその努力義務を措置する義務へと発展させ、子供を保護の対象からさらに権利行使の主体へと、その子供観を発展させました。しかし一方で、現実の問題として、この権利条約は発展途上国の問題であるとみなしたり、日本は既に子供の保護育成が法によっても定められているから、あえて考慮の必要がないのではないかとの議論もあります。当局として、この条約の発効の意義、それを行政上どう生かすべきと考えているのか等、所見を明らかにしていただきたいと思います。
 ところで、子供の権利条約は大人がつくった条約であります。子供は、その条約の存在も、みずからに付与された権利も知りません。権利は、まず当事者に自覚されなければなりません。大人には、まずその仕事があります。そのために、大人自身がこの条約の精神を身につけなければなりません。条約の履行のために国や地方行政がまず果たさなければならない仕事の一つは、ここにあると思います。子供の権利と言えば、実にさまざまな誤解や偏見があるのが実情です。子供は保護育成される対象だから権利の制限は当然だという考え方や、判断力の未熟な者に権利を与えてどうするのか等々、実にさまざまであります。そのような思想状況の中にあって、子供の権利条約をすべての県民のものにするために県行政として何をされようとしているのか。さまざまな文書の発行や啓発的講習等、積極的な対応が求められると思いますが、いかがでございましょうか。
 また、条約の立場に立ち、行政や社会生活が子供の権利を侵害していないかどうか、子供の権利を満たしているかどうか広く見直し、現在の行政の隅々まで検討してみる必要はないでしょうか。子供は家庭とともに夕食をとり、夕刻の団らんを家族とともに楽しめているだろうか。退廃文化にさらされてはいないだろうか。図書館には十分に図書があるだろうか。放課後の生活は安全で文化的だろうか等々、すべての分野から見直し、大人として最良のものを与えるという条約の精神を満たすための努めが我々には課せられたと思います。その見直しを図るためには一定の機構が必要だと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 すべての行政機関が子供の成長にかかわっていると言って過言ではないでしょうが、教育関係はとりわけ大きな責務を持っているでしょう。そのあらわれでしょうが、文部省はいずれの省庁よりも先駆けて、五月二十日、「児童の権利に関する条約について」と題する通知を各都道府県教委とそれを経由して学校関係におろしました。私は、この文書が新聞等に報道されたり、その文書そのものを見たときに、その内容に大変疑問を抱きました。県教委はこの文書についてどのような所感を持ち、また条約の精神に沿ってどのような教育行政を発展させようとされているか、お尋ねをいたしたいと思います。
 ついては、県教委において、条約と文部省通知について論議をされたことがあるのかどうか、まずお伺いをしたいと思います。
 この通知では、本条約は、日本国憲法や教育基本法と軌を一にするものであるとして、まことに久しぶりに文部省の通達文書に日本国憲法や教育基本法が肯定的に描かれて出てまいりました。まことにご同慶の至りというところでありますが、指示の各項になると、また首をかしげざるを得ない、何のための条約批准かと思われるような節に出会います。この各項目ごとの指示は和歌山県の教育においてもいろいろと影響を受けるところでありましょうから、この通知を県教委がどのように読み取り、県下の教育の中に子供の権利条約をどう生かそうとしておられるのかをお尋ねしたいと思うわけであります。
 その通知の一部に、次のような一説があります。「本条約第十二条から第十六条までの規定において、意見を表明する権利、表現の自由についての権利等の権利について定められているが、もとより学校においては、その教育目的を達成するために必要な合理的範囲内で児童生徒等に対し、指導や指示を行い、また校則を定めることができるものであること。(中略)これは学校の責任と判断において決定されるべきものである」と論じております。
 この十二条から十六条というのは、意見表明権を初め、子供の権利、表現、情報、思想、良心、宗教、結社、集会の自由等々を記した項でありますが、これらの権利がほとんど顧みられることなく、今紹介いたしましたように、例えば校則については、「学校においては、その教育目的を達成するために」と子供の権利に触れることなく、校則を定めることができると断定されているわけであります。
 子供には発達段階があります。子供の権利を認めることは、子供の言うとおりせねばならぬということでは、もちろんないでしょう。学校は学校としての指導の任務があるのは当然であります。しかし、条約の精神を一方で口にしながら、この項には、子供の意見を聴取したり、それを生かしていこうという文言は一言もありません。校則等において、「これは学校の責任と判断において行うもの」と、まことに一刀両断であります。学校の責任と判断については当然ではありますが、校則とは子供が守るべきものであります。子供の納得は当然必要でしょう。十分な判断力があれば、本来、子供自身が定めるべきものでもありましょう。その中でこそ、子供はみずからを律することのできる大人に成長していくのです。子供の意見、権利はどう尊重されるのか、全く触れられていないどころか、無視されている思いであります。
 私は、ここで校則問題で論議をするつもりはありませんが、校則が文部省によって例として取り出され、またここで権利条約がどう生かされているかの否定的な典型を見る思いがいたしましたので、文部省通知に即して私の見解を述べました。子供の権利条約はここでは生かされていない、私はそう思いますが、教育長の所見をお伺いしたいと思います。
 文部省通知の第五項は、子供の意見表明権に対して特別の解釈を加えているところであります。私がこの項目に奇異を感じたのは、この意見表明権は「表明された児童の意見がその年齢や成熟の度合いによって相応に考慮されるべきという理念を一般的に定めたものであり、必ず反映されるということまでをも求めているものではない」というコメントを付していることに対してであります。ここでは、本来なら、学校として意見表明権をどう保障し、かつ指導するかという新しい問題提起があってしかるべきところでありますが、一般的に定めたものだ、必ず反映せよというものではないと、逆に権利制限の方向を強く打ち出している点であります。
 四項、五項に共通するのは、子供を指導に従う対象としてだけとらえ、子供を権利行使の主体者としてとらえているとは言えないものになっています。したがって、条約の批准、発効によって、どのように子供たちに権利を保障するのかではなく、指導上どんな制限ができるのかという、全く条約の理念と原則に反した通知になっていると思います。教育委員会の論議に当たっては、このような点はどう論議されたのでしょうか。
 いじめの問題、登校拒否、希望を生かした進学、その他無数と言っていいほどの子供の権利をめぐる問題が山積しています。条約の立場から、これらの焦眉の問題にどう対応されようとしているのかを含め、教育長の所信をお尋ねする次第であります。
 次に、サッカーくじの法案化について、教育長の見解をお尋ねしたいと思います。
 サッカーくじは、日本オリンピック委員会や日本体育協会等のスポーツ団体が、プロサッカーの創設に際して、イタリアのトトカルチョをまねて、資金確保の苦肉の策として、一九九二年、各党に要請したことから政治の舞台に上ってまいりました。これらのスポーツ関係団体が資金難を克服するために、文字どおり苦肉の策としてサッカーくじに思いを寄せたことについては、永年のスポーツ予算増額の願いがほとんどかなえられていないだけに、その心情は理解できないことではありません。しかし、今、十代、二十代の青少年がサッカーブームの中心部分にいることを考えるとき、プロサッカーJリーグをギャンブルの対象とすることについて、私は大きな危惧を抱くものであります。
 第一に、サッカーくじ導入は、Jリーグの健全なスポーツとしての発展をゆがめ、ギャンブルスポーツに変質させかねない危険をはらんでいます。そして、スポーツ本来の文化的、教育的役割をゆがめ、青少年の人格形成やモラルの発達にも新たな障害を持ち込むことになりかねません。こんなことを言えば、心配し過ぎだと言う方もおられます。しかし、サッカーくじ法案大綱が、くじ販売の制限の対象としては、青少年の発達状況、社会環境、法規制の遵守等を考え十八歳以下とすることとしていること、すなわち十九歳からでないと、このくじは買えないとしていること自体に、サッカーくじが十八歳未満にはいかに教育的悪影響を及ぼすか、法案の作成者自身が認めていることのあらわれだろうと思います。
 また、一方で、くじも安易にしかも安く購入できる方法もとられようとしています。茶の間にまで広がってきたサッカーくじが、スポーツの楽しみをギャンブルの楽しみへと変質させれば、これほど嘆かわしいことはありません。まさか競輪、競馬のように純粋のギャンブルになりはしないとは思いますが、たとえ年齢制限をしたとしても、青少年への悪影響が十分に懸念されます。スポーツもかけなければおもしろくないという風潮、スポーツもかければもっとおもしろいという風潮が、これを機会にだんだんと広がっていく可能性もあります。他のスポーツにもその影響が出てきはしないだろうか。全国地域団体連絡協議会や日本PTA全国協議会も、法案大綱を撤回されたい旨の態度を表明いたしました。このような状況の中で、青少年の健全な育成とスポーツの健全な発展をリードする県教委もサッカーくじに反対する意向を表明し、スポーツと子供の健全な発展のために先頭に立っていただきたいと願う次第であります。
 また、スポーツ予算の少なさがかかる事態を生み出してきている状況を踏まえ、国に対してスポーツ予算増額の実効のある要望、手だてを講じられることを求め、教育長の所見をお伺いする次第であります。
 以上で、第一問を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 住金の埋立地に関連いたしまして、転用目的の埋立地は公有の地ということでございます。
 西防埋立地の第一工区、第二工区は、公有水面埋立法第二十二条に基づきまして、もう竣功検査を終わっております。既に住友金属の所有地となっておりますので、埋立工事中の第三工区とは法律上の位置づけが異なるわけであります。したがって、公共へ提供される予定である第三工区と竣功済みの第一工区、第二工区を同列に扱うのは適切でないと考えており、ご指摘のような返還の申し入れをする考えはございません。
 次に、住金の埋立地に関連いたしまして、埋立地全区を検討の対象にという問題、また白紙からの検討という問題でございます。
 昨日もお答えしたわけでございますけれども、西防埋立地の新しい利用については、高い見地と公正な立場から検討が必要という考えから、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会を設置し、検討していただいているところでございまして、この委員会では埋立地すべてを白紙で検討いただくこととし、第一工区及び第二工区については公共、公益的利用、第三工区については公共利用で検討をお願いしているところでございます。
 次に、子供の権利条約でございます。
 話もございましたが、本条約は児童の意見表明権、思想、表現の自由、児童に対する差別の禁止等、児童の権利に関して包括的な協定をされたものでございまして、児童の権利宣言等と比べて児童を主として保護の対象としてとらえるだけでなく、権利の主体としての側面も打ち出しているところでございます。
 現在、少子化の社会でございます。本県においても、子供を健やかに育てる環境づくり等、児童を取り巻く諸問題に対して議会とともに懸命に取り組んでいるわけでございます。また、世界に目を向けると、多くの国々で生命権すら危ぶまれる児童が存在しているわけでございます。そうした中で、ことしは家族の意義について考えようという国際家族年でもございます。このときに当たりまして、児童の最善の利益を主として考慮し、その保護、人権について積極的に対処する契機となる本条約の持つ意義は大きいものがあると思っております。
 次に、条約への行政の対応でございます。
 申し上げましたとおり、この条約はすべての児童の幸せを保障する極めて意義のある内容であると認識しているところでございまして、行政、児童福祉関係者のみならず、広く児童を含めた県民の皆さんにその内容、意義をご理解いただき、一体となって、意識、実態両面で一層、児童の人権尊重の契機となるよう、この条約の趣旨を啓発してまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 鶴田議員にお答えいたします。
 まず、住金の埋立地に関連して、埋立原価についてでございますが、現時点では住友金属から聞いてございません。
 次に、第三工区について有償か無償かどうかというご質問でございますが、住友金属工業から、埋立工事中の第三工区については、竣功後、県において公共の用に供してほしいとの申し出がありましたが、この申し出の第三工区については無償で提供されるものと理解してございます。
 それから、白紙からの検討をのご質問の中で、住友金属の計画を申し入れの際に聞いたかという点でございます。
 今回の申し入れについては、埋立地が公有水面を埋め立てた利用価値の高い土地であること等から見て、埋立地の新たな土地利用について県にその検討を依頼してきたものでありますが、申し入れの際、住友金属工業が有していたという計画については、今のところ聞いてございません。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 鶴田議員にお答えいたします。
 住金の埋立地に関連いたしまして、検討委員会の公開と公聴の必要性でございます。
 検討委員会の運営でございますが、第一回の運営委員会において、忌憚のない議論を交わしたいとの委員の総意によりまして、会議等は非公開と取り決めてございます。会議内容の概要等については、委員会の了解を得て、許される範囲内で公表してまいりたいと考えてございます。また、委員会が検討を進める上で必要と認めるときは委員以外の出席を求めるとの取り決めがなされております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) LNGの危険性の認識についてのご質問でございます。
 LNG(液化天然ガス)の危険性については、これはメタンを主成分とした液体燃料でございまして、都市ガスとして家庭用にも使用されているものでございます。
 このLNGを使用した発電所を新設する場合には、過去における外国での事故例を教訓に、電気事業法によりタンクに安全対策、耐震対策等を施すことが必要とされており、また発電所の附帯設備としての危険物施設、高圧ガス施設の設置についても、消防法、高圧ガス取締法などにより所要の防災対策を講じなければならないとなっております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 民生部長南出紀男君。
  〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 鶴田議員の、子供の権利条約にかかわってのご質問にお答えいたします。
 まず、広報啓発活動の推進でございますが、ただいま知事からも申し上げましたが、児童福祉を所管する民生部といたしましても、この条約の重要性を踏まえ、本年一月に設置いたしました主任児童委員を初め福祉関係者への積極的広報はもちろんのこと、関係団体の研修、会議等、機会をとらえて、その内容、精神等についての積極的な広報啓発に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、条約の研究推進体制の強化の点でございますが、この条約が発効した今、議員ご指摘のとおり、行政や社会生活においてその精神が貫かれているかどうか、もう一度考えてみることは非常に大切なことだと認識してございます。
 民生部においては、児童福祉審議会や関係の庁内各課、また第一線の児童相談所を初めとする児童福祉関係機関において、要保護児童問題、児童の健全育成等、児童福祉に積極的に対処しているところでございますが、この児童の権利条約が発効したことに伴い、いま一度児童の権利保護について十分配慮がなされているか注意を喚起するとともに、この条約の精神を尊重し、児童を人権の主体、一個の人格を持つ人間として、その正当な権利が守られるよう努力してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 子供の権利条約とサッカーくじについてお答えいたします。
 児童の権利に関する条約については、関係機関と連携を図りながら、教育委員会内部において、児童にとっての最善の利益という観点から、子供を単なる保護の対象としてだけでなく、権利を行使する主体としてとらえる条約の趣旨を学校教育にどのように生かすか、積極的に論議を深めているところであります。
 本県においては、憲法及び教育基本法はもとより、人権尊重の精神を貫く同和教育等を積極的に推進してきているところであり、この条約と私どもの進めている教育の考え方は同じであるとの認識に立って、今後さらに条約の趣旨を学校等に周知徹底してまいりたいと考えます。
 意見を表明する権利などについては、あくまでも児童生徒の年齢、発達段階に応じて相応に考慮し、適切に指導していくべきであり、このことは親や教師の義務であると同時に、責任であるととらえてございます。
 文部省通知についても、このような観点から児童生徒の実態、保護者の考え方や地域の実情等を踏まえ、一層きめ細かな指導をしていくように留意することを求めたものであると理解してございます。
 いじめ、登校拒否等については、現在の教育における病理現象ととらえておりまして、一人の子供の問題としてとらえるのではなく、子供全体の問題であると考えてございます。こうした課題に対しては、心の悩みを受けとめ、解決を図る取り組みが重要であるとともに、一人一人の個性を生かす教育を積極的に推進しなければならないと考えております。このため、教育相談の充実を図るとともに、家庭や地域との連携を一層重視し、保護者や地域社会に開かれた学校づくりとなるよう強く指導しているところであります。
 また、本人の希望を生かし、主体的に学ぶことができる個性を生かす教育を推進するため、中学校にあっては選択履修幅の拡大やチームティーチングの導入、高校にあっては教育の本質、不易の部分を大切にしながら、学校間連携を初め、総合学科の設置、単位制課程の導入など、さまざまな新しい施策を積極的に講じてきているところであります。
 今後、本条約の理念の実現を目指して、さらに児童生徒の人権に十分配慮しつつ、こうした施策や指導の一層の充実を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、スポーツは、心身ともに健康でたくましい青少年の育成や豊かで活力ある地域社会づくりに重要な役割を果たすものであると考えてございます。
 スポーツ振興くじについては、報道等を通じてスポーツ議員連盟において将来を見据えた新たなスポーツ振興方策実現のための財源確保の方策としてその構想が検討されていると伺ってございます。スポーツの振興を図り、青少年の健全育成を進めるためには十分配慮する必要があると考えます。このことについては、今後、国会の場で広く国民の意向を反映した論議がなされ、適切に対応されることを期待しております。
 なお、国のスポーツ予算については、従前から増額されるよう強く要望してきているところであり、スポーツ振興の重要性を踏まえ、今後ともあらゆる機会を通じ、国に要望してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 25番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 住友金属の埋立地、一、二工区と三工区が所有者が違うんだから当然考え方も違ってくるというお話でございまして、それは私も当然だと思っております。私が特に知事にお尋ねして考えを求めた点は、一工区にしろ三工区にしろ、もとは公有水面であったという問題、そしてその一工区から三工区までの全工区がすべて転用されることになったという問題、こういう根本的な問題です。もとは公海であったのが私的な土地になっているという矛盾があるときに、本来、企業や県はどういう立場でそれを見ていかなければならないかということを訴えたかったんですよ。
 恐らく、住友金属は多額の金をつぎ込んであの土地をつくっています。全部、公有にしようと言ったって、そう簡単にできることではないんですよ。そういう点はよくわかりますから、有償であれ無償であれ、どうしていくのか将来の問題いろいろあると思うけれども、基本的な考え方として、あれはもともとみんなの海であったんだという観点に立たないと、後々の対応に大きな差が出てくると私は思うんです。そういうような立場に、県の方としても、企業の方としても立っていただきたい。そうならなければ、これからあの土地がどのようになっていくのか、大きな懸念を残すままになるのではないかと思っているわけです。
 それで、そこの点で知事がどう主体性を発揮するのか、あちらはもう住友の土地になっているんだ、こっちはまだなっていないからと、こういうような考え方だけでは本当に県が主体性を持った対応をできないんじゃないかと思います。そういう点で、もっとはっきりと県の主体性を打ち出していく必要があるのではないかと思うわけです。
 そういう中で、一つ気になる点があります。住友金属から申し入れがあったときに、この土地は埋め立てるのに何ぼかかったかということについては聞いてない、住友金属がこの土地を利用するについてどんな計画を持っていたかということも聞いていない、私は、これは全く主体性のない話だと思うんです。これから白紙委任されるわけでしょう。白紙委任されて出される結論というのは、これからはすべて県の責任になるんですよ。そうすれば、そのくらいの初歩的なことは当然聞いてあってしかるべきでしょう。聞いているけれども言わないというんだったら話は別ですよ。そうじゃないかなとも思っているんですけれども。しかし、一応聞いていないとおっしゃられた。それは大変無責任な話だと、私は思います。だから、白紙委任されたら、今後県は一切責任を持たなければならないという立場になっているわけですから、そういう点での主体性がどう発揮されるのか、そこのところをお考えいただき、答弁をもらいたいと思うんです。
 もう一つ、その主体性という問題について検討委員会との関係があります。
 検討委員会が非公開になって、時折、必要に応じて内容を発表するとのお話がありましたけれども、私はもっと世論を聞く機会を持たせなければならないと思うんです。そこで出てきた結論を県が尊重してということになるわけですけれども、その際に検討委員会の中で県の意向はどういう格好で反映されるのか。副知事が出席されておりますが、全く白紙の立場で出ていかれたら、これは話にならんと思うんです。やはり県は県としての問題提起もあろうと思いますし、考え方もあろうと思います。そういう点はどうなっているのか、少なくとも今までの答弁ではわかりません。
 私は、一問でいろいろ申し上げた中に、話はもう大筋のところでできているのと違うかと、そういう疑問をずっと持ち続けているんです。そうなったら、この問題について和歌山県の主体性はどういうふうに貫かれているのか、こういう問題についてどうお考えになっているのか、お答えいただきたいと思います。
 権利条約の問題について、知事初め部長、教育長から積極的な方向を提示されたことについて、今後の行政に期待をつないでいきたいとと思いますが、現在、条約発効してまだ日時がたっておりませんから具体化されていないのはやむを得ないと思いますけれども、どうか積極的な対応をしていただきたいと思います。
 私は、先ほど文部省見解を長時間にわたって紹介をいたしましたが、さっき民生部長が、子供の権利が本当に守られているのか、もう一度この際に見直してみようと思うという表明をされました。あの文部省見解というのは、そういうのが全然ないんですね。少なくとも、私は読み取れないんです。そういう点、教育長から趣旨はこういうことだという答弁がありましたけれども、積極的な子供の権利宣言の意味を──教育長自身は十分とらえられておると思いますが、今後生かしていただきたい点を要望としてつけ加えておきたいと思います。
 サッカーくじのことについてお願いがございます。
 十分配慮する必要があるとおっしゃられましたけれども、これが実施されると一体どういう状態が生まれてくるかということについて、特にスポーツの健全な発展、子供の健全な育成という立場から考えてみてほしいと思うんですね。ほかの部長さんが、サッカーくじについては十分配慮してもらわんならんという答弁ならやむを得ないと思いますが、教育長の場合は率直にもっとはっきりと、サッカーくじでスポーツの健全性を阻害されては困る、子供の健全発達、育成には障害になるんだから困るということをもっと大きな声で言ってほしいと私は思うんです。長の立場もありますから、まだ法案が国会に上程されていないという段階ですから評価もしにくいというお立場もわかりますが、こういうのは事前に世論をどう大きくするかということが、やっぱりかかっているわけです。もちろん、賛成の方もおられるでしょうけれども、しかし、スポーツと子供の未来のために、こういうくじを導入することについては何とかやめるように、教育長もお骨折りを願いたいと思うんです。これ、もう私の願いです。教育長はそういう重責におられますので、強く要望いたしまして、私の第二問を終わらせていただきます。
○議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 住金の問題について、第一、第二工区の件でございますけれども、先ほど申しましたように、もう竣功検査は終わっておる。所有権も決まっておる。それは鶴田議員も知っておる。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 それで、これからの問題、やっぱり産業政策の問題、雇用条件の問題等もあるわけでございます。そうした観点からも、私はそのような働きかけは行っていかない。第三工区についてはやっていく、公共でやるということでいきたいと思います。
 それから、自主性の問題、主体性の問題です。きのうも馬頭議員にお答えしたんですけれども、埋め立てをするについて、運輸省とも関係がございます。建設省とも関係がございます。環境庁とも関係がございます。そうしたところにおいて、どうしたらいいかという協議をやってきた、そして協議で検討委員会をつくるということで、高い視野から、そしてまた公正な形で検討をするということになっております。
 詳細については、部長から答弁いたします。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 住友金属から計画を聞いていない点について、主体性がないではないかというご趣旨の点についてでございます。
 今、知事の方から答弁がありましたように、検討委員会等で検討が開始されたところでございます。計画については、今後必要があれば検討委員会の中で聞いていくことになると考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 25番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 部長の答弁ですけれども、必要があれば聞きますよという話なんですが、必要を感じなかったんですか。もう、これ答弁要りません。必要を感じるのが普通なんですよ。だから、普通の感覚で、もうちょっと県民の普通の感覚で進めていただきたいと思います。
 知事から、優しいお諭しをいただきました。先ほども言いましたように、そういうことは当然のことなんですよ。ただ、私は言いましたように、もともとは公有水面だった、それが私的に今度は所有されるようになった、ところが、もともとの名目はもうなくなっていると、そういう事態に立ち至ったときに、本来ならばどうすべきなのかということです。現実の問題としてはいろいろありますよ、よくわかりますが、本来ならばどうするのか。本来ならば、県民、市民のものに、国民のものにそれを還元していくのが当然の立場なんだから、そこの点を踏まえていかないと県の主体性を失った対応になってしまう、県民のこと、市民のことを忘れた対応になってしまうのではないかという懸念を強く抱きますので、そういう意味で頑張ってください。
 それから、県民の声を広く聞くということを要望いたしました。それは、もうぜひ何らかの形で持っていただきたいと思います。大きな土地が県民が本来期待したことと違った方向へ行こうとしているわけですから、そういう点も行政の方としては十分考えるべきだと思います。
 以上、要望しておきます。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午前十一時四十分散会

このページの先頭へ