平成6年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(尾崎吉弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三十三分再開
○副議長(町田 亘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番尾崎吉弘君。
  〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 通告順に従いまして、質問をさせていただきます。
 和歌山下津港の港湾計画の改定についてでございますが、この問題につきましては、数回、質問を積み重ねてまいりました。平成七年から平成十七年に至る十年間の港湾の改定計画ということでありまして、和歌山の海を考える上で、和歌山の発展を考える上で、岐路になる極めて大切な計画だと思うのであります。
 ご存じのように、和歌山県は江戸時代には海によって開かれておりましたが、鉄道が普及して大阪を通らなければよその県や場所に行くことのできなくなった時点から、海によって閉じ込められる半島に変わってまいりました。これが和歌山県経済、和歌山県の活性を弱めてきた一番大きな根底の原因であろうと思うのであります。
 二十一世紀に向かってこの半島性を取り除き、閉じ込められた半島を開け行く半島にしていくためには、空と海を我が県のものにしなければならないということは、ご存じのとおりでございます。港とはさんずいへんに「巷」という字を書くわけでありますが、文字どおり、港はその地域の拠点であったわけであります。
 そこで、この計画の策定を直前に控えまして、知事の基本的な考え方をお聞き申し上げたいと思うのであります。
 和歌山の港は和歌山県だけの港にとどまってきたのが今日までの歴史でございますけれども、例えば大型船が阪神からアジア──一つ例を挙げますと韓国へ向かう場合は、大阪湾─土佐沖─豊後水道─関門海峡─釜山、また阪神から中国、東南アジアへは大阪湾─土佐沖─鹿児島沖というルートを航行しております。混雑のひどい瀬戸内海を航行しないのが原則でありまして、北九州博多港へ向かう場合も同様であります。
 和歌山下津港は、京阪神の大消費地にも近く、また陸上アクセス整備も着実に進んでいることから、京阪神の海上の窓口の少なくとも一つにはなり得る十分の条件を備えておるわけであります。こういったことを考えながら、和歌山県のための港湾というより、特に関西の中で大きな役割を果たしていく和歌山下津港に向かっての改定計画でなくてはならない、かように思うのでありますが、知事のお考えをお聞かせいただきたいのであります。
 次に、この港湾計画の中に何を盛るかということでございます。
 今まで、県民や市民が親しめる港、アメニティー要因の高い港、散歩や散策ができる港、あるいはマリーナシティに代表されるように、海洋レジャーの基地としての港、そしてまた下水道や産業廃棄物等、都市問題の中で起こってくる諸問題を解決しながら港の発展を考えていくといった要因、こういうことについて質問をさせていただきました。また、漁船とは別にいわゆるプレジャーボートというものが増加しておりますけれども、そういった問題についても次の計画の中で明らかにしていかなければならないということを質問してまいりましたが、今回は特にコンテナ化ということにつきまして、強調してご質問を申し上げたいと思うのであります。
 最近、特に「コンテナ」という言葉を耳にもいたしますし、特に外国との貿易では、その効率性などからコンテナ輸送が主流となっておりますが、本県を見てみますと、和歌山下津港を初め県内には外航のコンテナを取り扱える港は全くないというのが現状であります。そのために、県内の輸出入コンテナ貨物はすべて大阪や神戸など他の県外の港にて取り扱われているというのが現在の姿であります。
 ここに一つの例を示しますと、和歌山の地場産業である化学工業の中に紀和化学さんという会社がございます。この紀和化学さんの荷物はどういうふうにして輸出されておるかと申しますと、日本通運なりのトラック輸送でCFSと呼んでいるコンテナのサービスを受けるところ、大阪物流というところでコンテナ化して、わざわざ神戸港へ持って行って、そこから韓国、台湾に輸出をされておるというのが現状であります。もし、この紀和化学さんの荷物が和歌山下津港から直接に韓国、台湾に出ていくことができますと、それだけの陸上運賃はもちろんのこと、海上運賃もそれだけ安くなるということでありますから、苦しい地場産業を支えていく、助けていくという立場からも、港湾の果たしていく役割の大きさということがわかると思うのであります。
 地理的には和歌山下津港は神戸港、大阪港のコンテナ航路の通過点に位置しておるにもかかわりませず、コンテナの施設がないために、ほかの港で取り扱われております。その陸送する費用が県内製造業者に大きな負担になっていることは今申し上げたとおりでありますが、試算してみますと、この計画は十年計画ですから、平成七年から十年たった平成十七年には陸送のコストだけで四十七億円にもなる。和歌山下津港で直接コンテナが取り扱える場合、これがなくなるということであります。それだけではなしに、コンテナの荷役費、バーニング作業と呼んでいる費用、これらが全部港湾の関連業者の収益として発生をしてまいります。加えて、水先案内の業者、タグボートの業者、管理者の収入としてこれらも発生してまいります。これらを加算しますと、直接的な効果として考えてみましても年間八・三億円が地元経済を潤すということになるわけであります。
 今後、和歌山下津港において外航コンテナを取り扱えるような施設整備がぜひ必要であるということは既におわかりのことだと思うのであります。このコンテナを扱える港としての和歌山下津港といった問題について、どのように取り組んで具体的に計画の中に入れようとしておるのか、お伺いをするものであります。
 次に、現在運輸省が中心になりまして──この議場で私もいたしましたし、他の議員からも質問が出ました、いわゆる超高速船のテクノスーパーライナーであります。
 これは次世代の海運の担い手として大いに期待されておりますが、この実験船が平成六年、ことしですが、既にでき上がりまして、仄聞するところでは、県としても世界リゾート博覧会の終わり方にここに姿を見せられればということでご努力をいただいているようでございまして、もし実現すれば大変ありがたいことだと期待をいたしておるわけであります。これは実現できるかどうかわからないことでありますが、それほどのテンポで進んできておるということであります。ただし、これは実験船でありますから、実験船ができたからといってすぐにこれが就航するということにはならない。しかし、少なくとも、それへの対応を和歌山の港は今から準備していかなければならない。すなわち、この改定計画の中でテクノスーパーライナーをどのように位置づけていくかということになるわけであります。
 この問題につきましてどのようにお考えいただき、進めておられるか、これは土木部長にお伺いを申し上げます。
 次に、住友金属の埋め立て問題でございます。
 この問題につきましては、本年当初二月議会におきまして、そろそろ知事が主体的に取り組み、解決に導くときであると主張させていただいて質問を申し上げたのでありますが、その後、住友金属から知事に対して、埋立地の新たな利用については県において検討してほしい、埋立中の三工区については県において公共の用に供してほしいという申し出がなされまして、県は検討委員会を設置し、公共公益利用及び環境保全を方針として、埋立地全体を対象としながら白紙の状態から検討を開始されたと聞いておるのであります。このことは、この問題を解決に導いていく上での筋道をつけていくものでありまして、今後の県の精力的な取り組みを期待するものでありますが、一方では、並行して十分に留意しておかなければならない点もあります。
 その第一は、環境保全であります。二月の議会でも申し上げましたが、この問題の原点は、あくまでも公害対策であり環境改善であります。JISで定められておる数値的な環境保全目標は満足しているということはさきに答弁をいただいたのでありますけれども、周辺では今も苦情がなくなっていないというのが実情であります。どうしてこうなるのかということでありますが、先般、高炉の微粉炭の吹き込み装置の安全弁に故障が起こりまして、これが作動して付近に粉じんを降らすという事故がありました。このような事故も、降下ばいじんの測定法によるといわゆる月当たりどれくらいかということになってしまいますので、数値としては大してふえません。臭気についても同じことが言えるのであります。このように測定法はJISで定められておりまして、法規等ではこのようなものを対象として悪いとは申しませんけれども、住民から見るとおかしなことになる。我々が肌に感じておる公害をどうしてくれるのかという問題が残るわけであります。
 埋立地の利用を含めて、県は県勢発展の大所高所から判断されることでありましょうが、このような環境問題についてきめ細かく対処できるように、県が指導力を強くお示しいただきたいと思うのであります。このことにつきましては要望にとどめておきます。
 第二点目は、県が知事の諮問機関として設置されました検討委員会であります。
 馬頭議員からも検討委員会の質問が出たようでありますが、西防埋立地が工場の一部を沖合に移転して地域の環境改善に寄与することを目的として行われてきたことや、和歌山県や和歌山下津港にとってこの西防という部分は大変貴重なスペースであることを考えれば、総合的な視点から幅広い意見を集約しながら新たな利用を検討していくということが必要であります。検討委員会では、客観的な立場からの自由な何物にも制約されない議論を期待するために、全くオープンにするということは困難かもしれないわけでありますが、随時の状況説明なり関係者からの意見聴取なども必要ではないかと考えます。そこで、検討委員会の性格、公開の問題、また関係者からの意見聴取の仕方などについて、これは企画部長の答弁を求めるものであります。
 第三番目は、西防埋立地の新たな利用と先ほど取り上げました和歌山下津港の港湾計画との関係であります。
 西防の埋立地は和歌山下津港内の大規模な埋立地であり、かつ良好な条件を備えた大変貴重なスペースであることから、基本的には西防埋立地の利用も含めて港湾計画の改定を行うべきであると私は思うものであります。県当局にはぜひこの方向で精力的に取り組んでいただきたいと思うのでありますが、一方では、かねて申し上げてまいりました廃棄物の処分場の問題など、緊急の課題も備えているわけでありますので、今後の情勢の推移に応じて機動的、弾力的に対応していくことも必要だと思われます。こういう点につきまして、土木部長の答弁を求めるものであります。
 次に、県の環境行政の目標と今後の課題についてお伺いをいたします。
 一昨年、ブラジルにおける地球サミットを皮切りに、国においては公害対策基本法にかえて環境基本法というのが制定をされ、今後の環境行政の目標が設定されたわけであります。また大阪においては、これを受けて環境基本条例というものが制定されている状況であります。これについては前回の議会において質問をしたところでありますが、また個別の取り組みについて、農薬等の環境基準及び排出基準、悪臭物質の追加、水道水源の汚染防止、地球環境問題への対応等がなされているところであります。そこで、県における今後の環境行政の課題と取り組み、また今後の目標についてどのように考えているか、お聞かせをいただきたいのであります。
 最後に、産業廃棄物処理に関する問題点の認識と当面の課題ということであります。
 この当面の問題点の認識をどのように持っておられるか、まずこれをお伺いしなければなりません。ご存じのように、一つは財団法人和歌山環境保全公社の最終処分場が平成八年に終了するわけでありますから、その後の対策をきめ細かく持っておらなければならないということ。また、前の議会でも申し上げましたけれども、和歌山県から出てくる産業廃棄物の中で和歌山県では処理できなくて他府県に持っていかなければならないものがある。いわゆる汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、こういったものの相当量が県外と海洋投棄によって処理されておるのが現状でございますけれども、海洋投棄も既に国際会議において禁止をされてくるということになってまいりますから、これに対する対応ということが問題になろうと思います。
 それから、これは我が県の地形からも来るところでありますが、紀北部だけではなしに、紀中、紀南の産業廃棄物対策をどうしていくかということも重大な問題であります。こういったことの認識についてお伺いを申し上げたいと考えております。
 それから、フェニックスに持っていくわけでありますが、和歌山県で出てくる産業廃棄物を全部持っていくわけではない。二百何十万トンか出てくる産業廃棄物の中で六十万トン余りをフェニックスに持っていくということでありまして、相当減量しなければならない。すなわち、リサイクルのできるものはできるだけリサイクルをする、自分の企業責任において処理できものはできるだけ処理する、そういうふうに減量をしなければならないということになるわけであります。そういったことへの対応はどうなっておるかということです。先ほど申し上げた中間処理場設備の対応をどのように考えておられるか、具体的にお伺いを申し上げます。紀中、紀南対策についても同じであります。
 それから、このフェニックス計画でありますが、この前も質問が出たように思いますし私も申し上げましたが、これをどこから積み出すかという問題がございます。これについては、時から見てもう既にその場所は具体的に決まっておらねばならないわけでありまして、そこへ持っていく通路の問題とか場所の決定に伴う地元住民との話し合いということもあることで、余り議会で早々と言うことはどうかということで遠慮をしてまいりましたけれども、現時点でほとんど確定をしておられるというように私は思いますので、お答えをいただきたいと思うのであります。
 それから、このフェニックス計画というのは一つの事業でありまして、この事業に環境保全公社がどのような形でかかわっていくのかということであります。そのためには現在の環境保全公社の機構なり人員、組織もそれに対応するようにしていかなければならないという問題にもなってまいりますし、またその関連する業務につきましても、他府県の業者に頼んでというのではなしに、和歌山県内の公益的な性格を持つ機関にこれをお願いして処理していくことを考えていくべきであると私は思っておるわけでありますけれども、これについての見解をお答え願いたいのであります。
 以上で、第一回目の質問を終了いたします。
○副議長(町田 亘君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎吉弘議員にお答え申し上げます。
 和歌山下津港の港湾計画改定に当たりまして、計画改定の基本方針ということでございます。
 お話ございましたように、今後、和歌山県の発展を図っていくためには、私は海と和歌山の港の発展ということが緊急欠くべからざる問題だと思ってございまして、この改定時期をとらえ、積極的に長期的な観点から対処していかなければならないと感じておるわけでございます。
 ご承知のように、和歌山下津港は大阪湾のゲートウエー地域に立地しております。これから、二十四時間空港である関西空港が開港いたします。また第二国土軸の関連にもなりますし、ベイエリア構想の大阪湾交通体系の重要な地点にもなるわけでございます。従来まで、和歌山下津港は県内を後背地としての物流基地でございましたけれども、先ほど申したように、大きく世の中と経済基盤が変わってくるわけでございまして、従来までの和歌山港で欠点であった高速道路との連携道路等の問題を立派につくり上げること、そしてまた有機的連関を図ることが和歌山下津港の重大な使命であり、大阪湾の外港としての機能を発揮すべきものと考えておる次第でございます。
 また、話ございましたけれども、都市活動の基盤にもなるわけでございますし、また産業機能の充実も図らなければなりません。加えて、ウオーターフロントとしての発展ということも大きく期待されておるわけでございまして、こうした多様な要望、ニーズに対処し得る計画をつくってまいりたいと思っております。
 また、要望でございましたけれども、住友金属の環境対策につきましては十分配慮してまいりたいと思っております。
○副議長(町田 亘君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 尾崎議員のご質問にお答えいたします。
 まず、和歌山下津港における外航コンテナ及びテクノスーパーライナーの導入についてでございます。
 海上輸送におけるコンテナ化は、近年、世界的に急速に進展しており、今や国際物流の主役となっており、港湾においてもコンテナターミナルがいわば港の顔となりつつあります。
 本県については、現在のところ外航コンテナ施設がありませんので、議員ご指摘のように、コンテナ化される輸出入貨物は神戸港や大阪港などの港を経由して陸路にて本県と行き来している現状でございます。
 平成元年に運輸省が行った外貿コンテナ貨物流動調査では、年間約五十万トンの県内貨物が外航コンテナとして他港で取り扱われております。このため、和歌山下津港の港湾計画の改定に当たっては、大阪湾のゲートウエー地域に立地するという特性を生かし、こうした外航コンテナも扱える施設の導入を図りたいと考えております。
 一方、こうしたコンテナ化の波は、国内における貨物輸送にも共通しております。運輸省が中心となって開発が進められている超高速船のテクノスーパーライナーは、こうした流れのほかに近年の労働力不足や環境問題を背景とするものでありますが、実用化されれば港湾に対しても大きなインパクトを及ぼすものと考えております。
 議員ご指摘のとおり、当県の港は寄港地となる大きな要因を有しておりますので、今後ともテクノスーパーライナーの開発動向を踏まえつつ、導入の可能性について関係部局とも連携しつつ十分検討していきたいと考えております。
 次に、西防埋立地の土地利用と港湾計画改定との整合性についてでございます。
 西防埋立地については、良好な港湾条件を有しており、和歌山下津港の将来を左右する大変貴重な土地であると認識しております。したがって、港湾計画の改定に当たっては、基本的に西防埋立地の土地利用を含めて行うべきものと考えております。このため、検討委員会の結論を踏まえて港湾計画の改定を行うこととなりますが、一方では廃棄物処理の問題や物流機能の高度化など、和歌山下津港に対してさまざまな形の要請があり、緊急性を有する案件も含まれております。したがって、今後の情勢の推移や緊急性等を勘案しつつ、機動的、弾力的に港湾計画の変更ができるよう作業を進めてまいる予定にしております。
 以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 尾崎議員にお答えいたします。
 住友金属西防埋立地に係る検討委員会の性格及び進め方についてでございます。
 住友金属工業株式会社から申し入れを受け、県としては、貴重な公有水面の埋立地であり瀬戸内海環境保全特別措置法に定められた区域であるということを踏まえまして、公共公益的利用と環境保全の観点からの利用を図るため、学識経験者を中心とする西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会を設置したわけでありますが、当検討委員会の性格は知事の私的諮問機関であり、県が利用計画を策定する上で重要な位置づけを持つものでございます。
 また、検討委員会を非公開とすることについては、第一回の検討委員会で委員の皆様が、公正な立場から忌憚のない意見を述べる場としたいという意味で、委員の総意により委員会及び会議録、検討資料等を非公開とされたものであります。なお、会議内容の概要等については、委員会の了解を得て許される範囲内で公表してまいりたいと考えてございます。
 また、関係者の意見をお聞きすることについては、委員会が必要と認めた場合、委員会への出席を求め、意見を聞くことができると取り決められているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 尾崎吉弘議員ご質問の環境行政の目標と今後の課題ですが、議員ご指摘のとおり、国においては昨年十一月に環境基本法が制定され、今後、公害防止のみならず環境保全全般へとより幅広い対応が行政に求められつつあると認識してございます。
 このため、県として快適環境の保全・創造を図るための計画づくりに取り組むとともに、啓発事業等を実施してまいりたいと考えております。また、生活環境の保全の推進については、生活排水や廃棄物の対策を重点的に取り組んでまいりたいと考えています。
 なお、当面の課題としては、水質汚濁防止法並びに悪臭防止法の規制物質追加への対応、瀬戸内海環境保全特別措置法による窒素規制への対応、そして関西国際空港の開港に伴う航空機騒音監視体制の整備等があり、これらに適切に対処してまいりたいと考えております。
 続いて産業廃棄物処理に関しての問題点の認識ですが、県民の生活環境を保全し、産業の健全な発展を促進する上で廃棄物の持続的、安定的な適正処理の確保は極めて重要な問題であると認識してございます。
 具体的な問題としては、一つ目は、財団法人和歌山環境保全公社の最終処分場が平成八年に終了するため、その後の対応、二つ目は、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ等の相当量が県外処理と海洋投棄に依存せざるを得ないという問題、三つ目は、紀中・紀南地域に最終処分場が不足している問題の三点であると考えてございます。
 続いて平成八年九月以降の対応ですが、現在、県下全体で年間二百四十七万トンの産業廃棄物が最終処分されており、そのうち七四%に当たる百八十三万トンが財団法人和歌山環境保全公社で処分されてございます。平成八年九月以降は減量化やリサイクルの努力により最終処分量を百六十万トンにまで圧縮し、約七十万トンはフェニックス計画への参加等による公共関与処分を行い、残りは処理業者と自己処分による対応を考えてございます。
 続いて中間処理施設の整備ですが、特別な管理を必要とする一般廃棄物や、そのままでは埋め立てできない産業廃棄物の中間処理に対応できるよう、財団法人和歌山環境保全公社の将来構想と連動しつつ、排出事業者等による新しい処理機関の設立について、平成十年ごろを努力目標として検討を進めているところでございます。
 次に、紀中・紀南の最終処分場についてです。
 紀中・紀南地域の産業廃棄物は、紀北地域の約四倍の面積の中で一割に満たない発生量となってございます。したがって、市町村と排出事業者が連携して処分場を確保することが適当であろうと考えてございまして、県としては資金的な支援を行えるよう基金を造成しているところでございます。
 続いて、フェニックス計画の積み出し基地についてでございますが、積み出し基地の選定については、数カ所の候補地を検討した結果、現時点では住友金属工業の西防埋立地の暫定使用が適当であると考え、関係者と調整しているところでございます。
 最後にフェニックス事業への業務の参加ですが、フェニックス積み出し基地に関連する廃棄物の受け入れや海上輸送等の業務については、業務の適正かつ円滑な実施のためには県内の廃棄物関係機関が実施することが望ましいと考えてございまして、その趣旨を事業主体である大阪湾広域臨海環境整備センターに働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(町田 亘君) 再質問がありませんので、以上で尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(町田 亘君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時十四分散会

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