平成6年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成六年六月二十七日(月曜日)
  午前十時開議
  第一 議案第七十六号から議案第八十四号まで、及び報第二号から報第六号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第七十六号から議案第八十四号まで、及び報第二号から報第六号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十三人)
 1  番  小  川 武
 2  番  吉  井  和  視
 3  番  井  出  益  弘
 4  番  和  田  正  一
 5  番  町  田 亘
 6  番  尾  崎  吉  弘
 7  番  岡  本 保
 8  番  藁  科  義  清
 9  番  向  井 嘉久藏  
 10  番  佐  田  頴  一
 11  番  阪  部  菊  雄
 12  番  堀  本  隆  男
 13  番  平  越  孝  哉
 14  番  富  田 豊
 15  番  門  三佐博  
 16  番  西  本  長  弘
 17  番  高  瀬  勝  助
 18  番  上  野  哲  弘
 19  番 宇治田  栄  蔵
 20  番  尾  崎  要  二
 21  番  中  村  利  男
 23  番  山  本 一
 24  番  馬  頭  哲  弥
 25  番  鶴  田  至  弘
 26  番  飯  田  敬  文
 27  番  村  岡 キミ子  
 28  番  松  本  貞  次
 29  番  下  川  俊  樹
 31  番  宗 正  彦
 32  番  橋  本 進
 33  番  浜  田  真  輔
 34  番  冨  安  民  浩
 35  番 上野山  親  主
 36  番  中  村  裕  一
 37  番  和  田  正  人
 38  番  大  江  康  弘
 40  番  木  下  秀  男
 42  番  森 正  樹
 43  番 野見山   海
 44  番  新  田  和  弘
 45  番  浜  本 収
 46  番  森  本  明  雄
 47  番  浜  口  矩  一
欠 席 議 員(一人)
 39  番  中  西  雄  幸
 〔備 考〕
 22  番  欠  員
 30  番  欠  員
 41  番  欠  員
説明のため出席した者
 知 事 仮  谷  志  良
 副知事 西  口 勇
 出納長 梅  田  善  彦
 知事公室長 中  西  伸  雄
 総務部長  木  村  良  樹
 企画部長  宮  市  武  彦
 民生部長  南  出  紀  男
 保健環境部長  江  口  弘  久
 商工労働部長  中  山  次  郎
 農林水産部長  野  見  典  展
 土木部長  山  根  一  男
 企業局長  高  瀬  芳  彦
  以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 岩  崎  正  夫
 教育長 西  川 時千代  
  以下教育次長
 公安委員会委員 山  階  清  弘
 警察本部長 西  川  徹  矢
  以下各部長
 人事委員会委員長
 水  谷  舜  介
  人事委員会事務局長
 代表監査委員  天  谷  一  郎
  監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 鈴  木  俊  男
  選挙管理委員会書記長
  地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長  岩  垣 孝
 次  長  中  西  俊  二
 議事課長  松  田  捷  穂
 議事課副課長  佐  竹  欣  司
 議事班長  松  谷  秋  男
 議事課主事 長  尾  照  雄
 議事課主事 松  本  浩  典
 総務課長  岡  山  哲  夫
 調査課長  柏  木 衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉  川  欽  二
 議事課主査 鎌  田 繁
 議事課速記技師 保  田  良  春
  ──────────────────
  午前十時四分開議
○議長(宗 正彦君) これより本日の会議を開きます。
○議長(宗 正彦君) この際、報告いたします。
 過日提出のありました議案第七十七号は職員に関する条例でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
  〔職員朗読〕
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  和人委第98号
 平成6年6月23日
  和歌山県議会議長  宗 正 彦 殿
  和歌山県人事委員会委員長  水 谷 舜 介
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成6年6月20日付け和議会第82号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
 記
 議案第77号  和歌山県退職年金及び退職一時金に関する特別取扱条例等の一部を改正する条例
 意  見
 上記条例案については、適当であると認めます。
  ──────────────────
○議長(宗 正彦君) 日程第一、議案第七十六号から議案第八十四号まで、並びに知事専決処分報告報第二号から報第六号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 24番馬頭哲弥君。
  〔馬頭哲弥君、登壇〕(拍手)
○馬頭哲弥君 議長のお許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。
 私は、去る二十二日朝、読売新聞を見るまで、実はこの項目を質問の中に入れておらなかったのであります。と申しますのは、知事の二十一日の記者会見において「リゾート博後に態度表明」と語られた記事を見るまでは、和歌山市長選をめぐる問題には触れるつもりはなかったのであります。しかし、よく考えてみると、すべてこのたびの和歌山市長選がきっかけとなっており、これを避けて通ることはできなくなりました。和歌山市民、県民を問わず、このたびの和歌山市長選を境にして政治の風向きが奇妙に変わったことに、初めは戸惑い、やや時間がたつにつれて、あるいはあきれ、まさかと思い、まじめに考える人々は県市協調はどうなるのかと案じ、あるいは知事さんは目的のためには手段を選ばぬ旅田さんの挑戦を受けて立つのかといったような話が巷間飛び交っております。和歌山市民にとって最も大事な市長選が、結果的には来年の知事選に出るための単なる踏み台としか考えていなかった旅田市長に対してどのような判断を持つかは市民の皆さんの良識にまつしかないと思いますが、私は盛者必衰のことわりを理解せぬ旅田君のおごりを、彼のために惜しむものであります。読売の川柳は、「知事になる繋ぎに市長したいだけ」とからかっております。
 旅田氏は、かつてこの県議会にも席を置いたころの同僚の一人として、彼の一連の行動は本議会に対する冒涜でもあると受けとめ、我々自身のとるべき道もまた問われていると考えます。したがって、これは単に県知事仮谷志良氏に対する挑戦といった次元の問題ではなく、民主主義のルールに対する独善的挑戦であると断ぜざるを得ません。県民は、今かたずをのんで知事の一挙手一投足を注目しておるのであります。
 私はあなたに、あの下津町事件の際に、「いかなることが起こっても、知事は県民にとって父親のようなものである」と申し上げたことがありました。知事が、とかく問題の多い旅田市政に対して、可能な限り協調、協力してこられたことはひとしく認めるところであります。政治の世界がいかに非情、不信義の習いとはいえ、公人として人前では尊敬を口にし、正義を装いながら、返す刀で背中を切りつけるがごときは、これはもう常識の枠を超えた異常のさたとしか言いようがないと思うのであります。
 今さら申し上げるまでもなく、地方自治体は民主主義の道場であります。地方自治はこの精神にのっとり、地方公共団体の健全な発展を保障することを目的として首長の任期を四年と定めておるのであります。しかし、驚いたことに旅田氏は、告示の前日、血縁者を後継者に指名し、そのことが成らぬと見るや一転して、わずか一年有半の任期を前提に立候補を表明し、この市長選に勝ったのであります。天下広しといえども、このような事例は我が国地方自治史上前代未聞の暴挙であり、案の定、全国に恥をさらす結果となったのであります。
 そうしていま一つ大事なことは、ようやく昨今、地方分権の重要性が認識され、前途に希望が見え始めた今日、このような事態を招いた独善的な行為を、和歌山県行政の最高責任者として知事はどのようにお考えになるか。
 また、冒頭申し上げたニュースに関連して申し上げるのでありますが、知事はこの中で、ご自身の態度表明の時期について触れられました。知事は、淡々落々たる心境を記者に語られたと思うのであります。「進むときは人任せ、引くときはみずから決すべし」。この言葉は、古今を問わず出処進退の鉄則であります。知事に就任されて間もなく、あなたは何かの折、私に向かって、「人間は、その立場に立ったとき、引きどきを常に考えなければならない」と言われました。私は、知事のその一言や重しと、今日もなお深い感銘を持っておるのであります。本議場において、改めて知事のご所見を問うものであります。
 さて次に、既に目睫に迫っているリゾート博の成功を祈りつつ、九月四日開港の関西国際空港への期待を込めながら、新たなる県政の主要課題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 まず第一点は、加太の土取り跡地の活用について、提言を含め質問いたします。
 コスモパーク加太計画は、社会経済情勢の急激な変化に伴い、民間による当初の事業計画をストップせざるを得ない事態に至りました。去る二月議会において同僚尾崎吉弘議員も質問されておりますので、私はこの際、観点を変えて質問をいたします。
 端的に申し上げて、これだけの広大な土地は国家的事業にこそふさわしいと考えております。関西国際空港建設に多大の貢献をしたところから生み出された土地でありますから、これが活用の手段は、単なるリゾート開発的発想程度のスケールを当てることはもったいないとかねがね思っておりました。
 そこで、知事に提案いたしたいと思うことは、我が国は今、複雑化する国際社会の中で、各般にわたって最大限の国際貢献が求められております。国連における立場も、年々その責任が増していくものと思われ、わけても常任理事国入りを希望する日本の役割は、経済的にも政治面にも一層積極的であることが求められております。しかし、翻ってODA一つを例にとっても、対象国の多さに比べてどうも大して感謝されているような感じがしないというのが国民の実感だと思うのであります。東西超大国の対立構造の変化によって、世界は冷戦からルールなき分裂抗争へと、熱い戦いが際限なく拡大しております。国連における秩序維持力も弱まり、戦後の世界をリードしたアメリカのルールも無力化しております。そこで必要なのは、新しい国際秩序の確立であります。この新しい理念は、地球的共存の哲学とも言うべきものではないでしょうか。このために日本はこれだけの貢献をしますということを目に見える形であらわすということをしない限り、国際社会は日本に心を許すとは思えないのであります。新たな共通の土俵に立って、積極的な提言なり、平和維持に必要な資金なり、技術なり、人間なりを出していくことをしなければ、貢献どころか、かえって批判、非難を受けるばかりになってしまうような気がいたします。今に、金を出すだけでは済まなくなると思うのであります。
 私は、知事に、この加太へ平和国家日本のなすべき国際協力の中核となるような機関を誘致するよう政府に説かれてはどうかと申し上げたいのであります。世界の歴史を振り返ってみますと、世界のナンバーワンと言われるような国家は、人類に対して何らかの手本を示してまいりました。イギリスは議会制民主主義を、フランスはフランス革命によって自由、平等、博愛をうたい上げたのであります。アメリカもまた、すぐれた民主主義を世に示してまいりました。崩壊したとはいえ、ソ連もマルクス以来のイデオロギーをもって世界に君臨したのであります。日本も、世界の一流国をもって任ずるならば、経済大国などと思い上がるのをもういいかげんにやめて、何をもって人類のために手本となるような貢献ができるのか、どのような大国の徳を示すことができるかで、運命すら決まってくると思うのであります。このような歴史的な役割のために我が県が協力できるとしたら、すばらしいと思うのであります。県民の大いなる誇りにつながるものと思うのであります。和歌山で国際社会のルールがつくられ、地球の平和と繁栄のための相談をするために世界じゅうから人々が集まってまいります。そうして、和歌山から情報が発信されるのであります。関空はそのためにつくられたようなものだと考えていいと思うのであります。加えて、加太は自然環境抜群、サミットを初め主要な国際会議が開かれるような機関の設置を考えることは必ずしも妄想にあらず、夢にあらず。世界の玄関が関空ならば、世界の応接間は和歌山県だと言っていいと思うのであります。小なりといえども和歌山県、国家百年の計に寄与し、世界の平和と繁栄に貢献することになることは必定であります。知事の高い理想をお示しいただきたいのであります。
 三番目は、住友金属の西防埋立地の問題についてであります。
 県は、三月三十日、住友金属の利用計画見直しについての申し入れを受理、五月には計画見直しのための諮問機関を発足させたことを発表されました。知事から委嘱を受けた委員会は、来年末までに新しい計画をまとめる方針とのことであります。住友金属は、三工区について完成後、無償提供する旨、意思表示されております。私は今回、知事が各界の権威を集めて本件の方向づけを考えられることは結構なことと思いますし、余計なことを申し上げるつもりはありませんが、和歌山港を基軸とする北部臨海工業地帯の盛衰に加えて、今日の実に深刻な経済不況の現状を見るとき、住友金属提案のいわば窮余の策が県経済の新たな基盤整備に絶大な意義を持つと判断するのであります。
 関西電力のLNG建設構想は、既に新聞でも報ぜられたとおりでありますから申し上げますが、まさに経済性、公共性において最大級のものであると考えるのであります。恐らく、この種質問には答えたくても答えられない要素もあろうかと思います。しかし、一定の理解を示しながら、私はもう一つこれにつけ加えさせていただきたいと思います。それは、この地方に適当と思われる企業とはかって、二十一世紀型の衆望を担うクリーンエネルギーやエンジン等研究のための施設を考えられないかということであります。
 申し上げるまでもなく、経済の語源は「経世済民」であります。すなわち臨機応変、有効適切な政策をもって政治を行い、県民の生活を保障することにほかならないのであります。知事におかれては、刻々変化する状況に対して迅速果敢な対応を示されるよう願ってご答弁を求めるものであります。
 四番目は、最近、急速に広がりを見せている梅の生育不良の問題についてであります。
 議員各位のお手元に、とりあえず田辺市の状況を示す地図をお配りしております。この問題は、南部川奥にも及んでおります。この地図は、田辺市の被害状況を示す地図であります。
 和歌山県の梅生産は、農林統計によりますと、昨年は四万五千五百トン、田辺市で一万二千五百トン、南部筋も大体似たような生産量であります。このうち、市内二農協扱いの青果は五千数百トン、漬け梅三千八百トン、合わせて金額にして五十四億、市場の扱いが千六百二十トン、金額で七億、また紀州田辺梅干組合の調査によると、組合員二十九社で総額大体二百億となっております。これらは、いずれも平成五年度の数字であります。そのほかに、生産者個人が漬物としてつくっているものがどれくらいあるかはわかりませんが、これもかなりの量であることは間違いありません。かくのごとく、今や梅及び梅干しが自治体の財政に大きなインパクトを持つに至っておりますことは、長年にわたる生産者の皆さんの血のにじむようなご努力と、県関係者の指導相まってここまで成果を上げてまいったのであります。
 ところが、数年前から、生育不良といいますか、若木をも含めて、あるいは畑の古い、新しいを問わず樹勢の状態が甚だしく低下して、これが広い範囲にわたってまいりました。ただいまのところは、一万数千本の木に問題が生じております。農林水産部におかれても、部長を先頭に懸命の努力をしていただいておりますが、依然これといった確証がないまま推移しております。昨年からことしにかけて、ついに山間部から里までおりてまいりました。
 生産者の一例を申し上げますと、被害甚大の秋津川に住む私の友人木下幸作さんは、畑が今よりも三十アール少ないときで平均二十三トンとれていたものが、昨年は十一トンに減り、ことしは何と、たったの三トンしかとれなくなりました。百本のうちで十一本しか元気な木は残りません。あるいはまた、百本のうちで五本しか残らなかった人もあるのであります。これも、そのうち枯れるはずあります。「もう梅はあかん、絶望や」、こう言って訴えてまいりました。
 一方、果樹共済の加入率は田辺市五七%と、促進加入の努力で伸びております。本問題が共済の対象になるのかどうかは、甚だ関心の高いところであります。また、今後の調査解明に対する農林水産部の取り組みについての考え方をこの機会にお聞かせいただきたく存じます。
 去る二十二日、本問題を心配された近畿農政局の松田部長は現地を視察され、協力を約束してくれておりますので、今後は農林水産省に対しても十分な連絡、疎通を図っていただきたいのであります。当局におかれては、梅農家が希望を持って働けるよう、今後とも万全の措置をされるとともに、ご指導を願ってやまない次第であります。農林水産部長の答弁を求めるものであります。
 最後に、六月十四日、関係市町村長が集まりまして知事のご承認をいただいた地方拠点都市整備に係る問題であります。
 このことについては、知事に改めてお礼を申し上げる次第であります。この法の精神は、いわば二十一世紀を目指す今日、地方行政確立の観点から、知的産業の適正配置を考慮に入れながら、広い範囲にわたって個性的な発想を促すことに主眼を置いたものと解釈するのであります。この法律を生かすことができれば、いうところの南北の比重がかなり正常化するものと期待が寄せられております。市町村から知事に提出された市町村合同の基本計画の中に、学術、教養、文化施設の設置をうたっております。教育、文化環境の適地性を主張しているものであります。どうか、この趣旨を十分にご理解いただき、今後対処されるよう願うものであります。企画部長のご答弁をお願い申し上げます。
 これをもって私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの馬頭哲弥君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 馬頭議員にお答え申し上げます。
 まず第一点は、和歌山市長選挙を振り返ってでございます。
 私は今日まで、誠心誠意をもって「まごころ県政」を進めてまいったわけでございます。もちろん、和歌山市とは知事就任以来、県市協調の施策を進めてまいりました。そして、いよいよ世界リゾート博の開催、関西国際空港の開港という絶好の機会を目前に控えて、県民、市民の総力を集めてふるさとの飛躍発展を図ってまいりました。
 ところが、市長選挙の告示日前日になって、本人は市長選に出ず、知事選に立つ、そしてかわりにいとこを立てるという話が飛び込んでまいりました。これは、まさに県都和歌山市政を私物化しようとするものであり、断じて許しがたいことであります。
 かくして、前代未聞の市長選となり、新聞各紙も取り上げるなど、地方自治のあり方、民主主義のルールをめぐって全国の注視が集まりました。政治家とは、選挙民に対して謙虚であり、また誠実でなければなりません。私も、これからはこれを参考にいたしまして、地方自治とは何か、民主主義とは何か、論議を深めてまいりたいと思っております。
 次に、私のことについてでございますけれども、私はかねがね政治家の出処進退というものは政治家にとって一番大事なことだと考えておるわけでございます。話ございましたように、知事就任以来、絶えずそれを考えてまいったわけでございまして、その考えは今も変わっておらないわけでございます。今はただ、関西国際空港、リゾート博成功へ全力を尽くして頑張ってまいっているところでございます。
 それから、加太の土取り跡地の活用でございます。
 お話ございましたように、加太の土取り跡地は関西国際空港から非常に近い距離にございますし、また自然環境に恵まれておる、そしてまた広大な土地は本県にとって貴重な財産だと思っておるわけでございます。このために、関西国際空港のインパクトを活用していくためのプロジェクトに取り組んでまいったところでございます。しかし、その基本姿勢を踏まえながらも、議員ご指摘のとおり、社会経済情勢の激変に対応して柔軟に取り組んでまいらなければならないと考えております。これまでも、当地域の開発についていろいろ検討を重ねてまいりました。しかし、ご存じのように大きな経済変動期になったわけでございます。
 そうした中で、現在、県庁においても種々検討を行っております。また、議会において議員の皆さんから提言いただいたこと、そしてまたほかからも各種のご提言がございます。そうしたものを今検討しておるわけでございますけれども、ただいま馬頭議員からご提言ございました国際貢献との関連においての国の施設の誘致等についても、今後、十分検討を重ね努力してまいりたいと思っております。
 次に、住友金属の西防埋立地の活用についてでございます。
 お話しのように、住友金属から西防埋立地の新たな土地利用について、県において見直していただきたいとの申し出がございました。検討委員会を設置いたしまして、高い見地と公正な立場から検討をいただいているところでございます。
 この事業は、運輸省、建設省、環境庁と関係がございます。そのため、各省との協議のもとに設置したものでございます。今後、検討委員会の検討をいただいた利用計画案を踏まえて、県勢の活性化と県民福祉の向上の観点から的確な対応をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 農林水産部長野見典展君。
  〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 馬頭議員にお答えをいたします。
 梅問題のご質問について、まず調査の現況でございます。
 田辺、南部地域で梅の生育不良が見られることから、その原因究明と対策のため、平成二年より暖地園芸センター、果樹園芸試験場、農林水産技術会議果樹部会を初め県、市町村、農協、農家代表等で組織する田辺・南部地域の梅病害虫特別対策協議会と連携いたしまして、これまで取り組んできたところでございます。これまでの結果から見て、その原因は土壌の乾燥や酸性化、有機物の不足、また他産地に比べ、十アール当たり二・五倍程度の多収量を上げていることから、着果過多が大きく関与しているものと考えておりまして、これまで、土づくり、剪定、かん水など種々の対策指導を行ってきたところでございます。本年は、三月中旬以降、雨が少なく、その上、着果が多かったことなどから新たな発生が見られましたので、四月に緊急技術対策会議を開催するとともに、私も急遽現地調査を行い、地域対策協議会に対し管理の徹底を指示したところでございます。
 次に、今後の対応については、新たな要因解明に向けて調査研究をさらに強化するとともに、樹勢の回復が可能か否かの判定基準づくりや栽培管理法などの総合的な梅生産安定技術の確立、また実証展示圃による現地検討会の開催、補助事業等の活用による改植や園地の改良の推進、経済性や農家の意向を踏まえた他品目への転換等について、試験研究機関や普及所、市町村、農協など関係者が一体となって農家が希望の持てる産地づくりに努めてまいります。
 次に、被害農家への対策についてのお尋ねでございます。
 まず農業共済制度でありますが、この制度は気象上の原因による災害等の果実の減収量に対するものでございます。先ほども申し上げましたが、本年は果実の肥大時期に雨が平年に比べて少なかったことなどが考えられますので、国とも十分協議をしながら対処してまいりたいと考えてございます。
 また、農家への救済に関連いたしまして、農業近代化資金及び自作農維持資金等の資金がございますので、ご活用願いたいと存じます。
 なお、利子補給の率、期間等については財政当局とも協議してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 馬頭議員にお答えいたします。
 地方拠点都市計画における施設の適正配置についてでございます。
 田辺・御坊地方拠点都市地域基本計画については、関係する十八市町村が共同してみずから作成したものでございます。「にぎわい溢れる自立的発展圏の創出」という基本理念のもとに、田辺市を中心都市として三十万人地域圏、三十分地域圏の構築を目指していくこととなってございます。そのためにも、各種機能が圏域内に適正に配置されることが必要でございまして、基本計画はそのような考え方に基づき策定されているものと考えてございます。
 議員ご指摘の教育文化機能についても、美術館や文化施設を初め教育的施設等がそのような考え方に基づき基本計画の中に盛り込まれているところでございまして、県といたしましても、今後、基本計画の実現化に向け、積極的に支援してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) 再質問がありませんので、以上で馬頭哲弥君の質問が終了いたしました。
○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番上野哲弘君。
  〔上野哲弘君、登壇〕(拍手)
○上野哲弘君 通告に基づきまして、一般質問を行います。
 毎度、熊野地域に対する質問で申しわけありませんが、知事を初め県当局が真剣になって活性化策を立案していただいておりますので、それにこたえる意味で、今回、大局的な見地から思い切った提案を含めて、この問題に対する締めくくりの質問を行いたいと思います。
 なお、それぞれの質問はすべて地域振興に結びつけてありますので、よろしくお願い申し上げます。
 第一点の、廃藩置県における三重県と和歌山県の問題について質問いたします。
 まず、熊野地域の範囲から申し上げたいと存じます。
 熊野地域とはどの範囲を指すかということでありますが、広く認識されておりますのは東西南北の牟婁郡ということになっております。しかし、和歌山県史ほか各種の郷土誌等において、その歴史的背景を詳しく述べられておりますので、今回、熊野地域の振興策が作成されるに当たり、私なりの提案を含めて質問したいと存じます。
 それでは、東西南北牟婁郡について、消去法により熊野地域を特定してみたいと思います。
 まず、田辺・西牟婁郡でありますが、当地域は口熊野という位置づけがなされており、今回の質問の趣旨には入らないと思いますので省くことにいたしました。ご理解のほどをお願いいたします。
 次に、北牟婁郡について申し上げたいと思います。北牟婁郡は、尾鷲市と海山町、紀伊長島町の一市二町から構成されており、この地域は江戸時代の幕藩体制からの紀州であり、長島町は行政名が紀伊長島町と呼ばれております。しかしながら郷土誌等で、この北牟婁郡は、本来は紀伊の国ではなく志摩の国であると述べられております。このことは、戦国時代、新宮の堀内氏美が当地方に進攻し奪取したものであり、そのまま牟婁郡に編入されたとなっております。以上のことから、北牟婁郡は熊野地域から除くべきであろうと思います。
 地図を見ますと、まさしく尾鷲から以北は伊勢志摩の国であり、熊野地域とは呼べないものの、その後、江戸時代を経て明治に至り紀伊の国として廃藩置県を迎えたところであります。このことにより、熊野地域とは残った東牟婁郡、南牟婁郡ということになり、従来の新宮藩の領地が熊野地域と言えるものと思います。
 明治に至り、新政府は、従来の武家社会における幕藩体制を解消し、新しく府県制度を導入したところであり、和歌山藩は和歌山県、田辺藩は田辺県、新宮藩は新宮県になり、その後、田辺県、新宮県は廃止されて和歌山県に統合されたのであります。しかしながら、明治新政府は廃藩置県において新宮県を東牟婁郡、南牟婁郡に分断し、熊野川を県境としたのは地域を無視した行為であったと言わざるを得ません。
 府県制度はたかだか百二十年の歴史であり、二十一世紀を迎えるこの時代にふさわしい地域振興を考える上で、この県境を再考する必要があろうかと考えます。すなわち、現在の三重県である熊野市・南牟婁郡を熊野地域として一体化すべきものと考えます。地域住民の合意が前提条件でありますが、この県境変更は、歴史的事由はもとより、二十一世紀に向かって振興策を打ち出した熊野地域が国に対してアピールするには、ぜひとも必要なことであると考えております。ちなみに、三重県においては東紀州振興策となっております。その分、国から割り引かれるものと考えますが、いかがでしょうか。
 県境の変更と、それに伴う和歌山県への編入の手続、つけ加えて地方自治体が属する県によって財政上の差異があるかどうか、総務部長にお伺いいたします。
 二点目の、熊野地域の振興策に関して、熊野地域活性化対策の三本柱のうち、熊野商会についてお伺いいたします。
 この事業化は第三セクターで行うことになろうと聞いておりますが、その進め方について、また具体的内容についてお伺いいたします。
 この事業化は、熊野地域振興策の起爆剤として、また中心的牽引車として期待するものであります。時代の流れとはいえ、第三セクターによる地域振興策は、出発はできても着実に運行されない危険性も含まれておりますので、ぜひとも綿密なる論議を経て事業化に取り組んでいただきたいと思います。特に、地域全体の視野に立って大きくとらえていただきたいところであります。
 基本的には、地域の資源である海、山、川の活用を図れる事業、地場産業の育成、外資の導入、規制緩和における新規事業の推進、海外貿易等、あらゆる方面に目を向けていただきたいと思います。
 次に、人材登用について申し上げたいと思います。
 何といっても、事業が成功するか失敗するかは、その人材にかかっております。単なる人数集めをするのではなく、一芸に秀でた文化的素養のある魅力的な人材での組織形成をすべきであると考えます。人材の発掘、育成を含めて、当然地元からの参加が最優先されると考えますが、見当たらない場合はUターン、Iターンも考慮に入れて地域活性化の推進役として期待したいと思います。
 以上、要望等も含めて所見をお伺いいたします。
 次に、地ビールについて。さきの議会でこの問題について質問するということを言いましたので、お伺いいたします。
 その後、各地における情報並びに取り組み等についてどのようになっておりますか、まずお聞きしたいと思います。
 地ビールは、ご存じのように、規制緩和における目玉商品として全国各地において製造ののろしが上がっているところであります。地方にとっては、魅力のある新規事業と言っても過言ではありません。しかしながら反面、事業化は難しいとの指摘もあることは承知しておりますが、私がこの事業に地域振興の一環として期待しているのは、次のような理由によるものであります。
 第一に、水が商品になること。第二に、原料である大麦が今後一層海外に依存することになれば、港の活用を図る上で貿易事業が考えられること。第三に、地ビールが地域の特性を醸し出し、食文化の高揚を図り、地方分権の一環としてとらえるべきではないかと考えます。
 今、日本国内はあらゆる分野において変革が求められておりますが、将来のビール業界がどのようになっていくのか、地方における可能性を求めて検討課題にするのはあながちむだではないと考えますが、当局の見解をお伺いいたします。
 次に、東洋医学について。この問題についても再三申し上げておりますが、特に専門の先生方の事例を紹介したいと思います。
 まず、東洋医学について国すなわち厚生省の見解をお伺いし、熊野地域において国立の東洋医学研究所の設置と、あわせて全国の研究者による大会の誘致を提案するものであります。なぜ東洋医学なのか、私見と多くの研究者の方々の発言をもとにして質問を行いたいと思います。
 まず最初に、京都府立医科大学教授である新村拓先生の論評を紹介しますと、その出発点は明治政府の対応から始まっております。「明治国家が漢方を排除したのは、直面する伝染病や戦争に何ら漢方は寄与せず、学理・薬理上の背景を持たず、閉鎖的で、しかも傷害事件での病理鑑定能力がなかったなどを理由として、漢方存続の請願に対して結局拒否され、医術開業、すなわち医師国家試験に漢方が加えられることなく今日に至っている。その間、外科手術の進歩と抗結核剤、抗生物質の開発で感染症を抑え込んだ西洋医学は、人々の信頼をかち得て戦後は病院全盛をつくり出している。だが、最近はそれにも陰りが見られる。幾つもの病を抱えた老人の急増に今日の臓器別病院外来が対応できず、三分診療や医原病へのおそれに加えて特効薬のない成人病の蔓延も関係している。科学的薬効評価が不十分であると言われながらも漢方が復活してきたのは、対話を重視し、全身状態を見て生薬を使い、自然治癒力を引き出そうとする姿勢を評価するからである」。
 次に、東京女子医大附属東洋医学研究所助教授の佐藤弘先生を紹介したいと思います。「生薬治療は、ヨーロッパでは認められている。日本では、薬の評価はアメリカの食品医薬品局(FDA)のお墨つきを大事にする風潮がある。そのアメリカがエイズ問題に関して、ニンジン、オウゴン、カンゾウなどの生薬がエイズに効くということになると、単一成分だけでなく複合成分も認める可能性がある。FDAが生薬を認めることになると厚生省は何とするか」と言われております。
 続きまして、癌研究会附属病院婦人科医長の陳瑞東先生。「漢方は、単なる予防医学ではなく、純然たる治療医学の中に組み込まれている。大事なことは、四十歳で漢方治療を始めたら、六十歳の病気が予防できるということです。しかも、六十歳になって西洋医薬をたくさん飲まされるよりは、漢方一剤だけを飲んで病気にならない方がはるかにいい。医療コストの削減にもなるし、患者さんにもいい。我々は、それなりの根拠があって漢方薬を出している。患者さんは、それを飲んで実際にぐあいがいいと満足している人が多い」。
 次に、日本医科大学生理学教室助手・河野貴美子先生。「医学も、立派な科学たるべく、人間を切り刻んで見たものだけを真実とし、成分を細かく分析して、各成分の薬効が証明できたものだけを正しいとして、民間療法の類は迷信だとばかりに、すべてを排除されてきました。日本でも、明治以後、西洋医学を学んだ者のみが医者であり、厚生省の認めた成分薬効の明らかなものだけが薬です。しかし、病は科学の方程式のように原因と結果が一義的に決まるものではない」と言われております。
 最後に、富山医科薬科大学教授・寺沢捷年先生。「漢方医学の理念は病気にならない体づくりであり、また心身の異常があらわれたならば、早期にこれを改善し、大事に至らないようにすることである。そして、医療の場では、ぜんそくやアトピー性皮膚炎、慢性肝炎等、西洋医学的治療が困難な病態に漢方製剤が応用されている。今や、漢方製剤は医療にとって必須の治療手段であり、これでしか救われない患者も多い。また、私どもの和漢診療学講座が文部省によって設置されたが、これは漢方医学と西洋医学との有機的な連携を一つの学問体系として認知したもので、これによって世界に類のない新たな医学医療が展開されようとしている」。
 以上のような観点から、東洋医学を研究すべきものと思いますが、高齢化社会の到来に向けての地域振興策の一環として、ぜひ推進していただきたいと思います。また、国民医療費が二十四兆円を超えたということを聞いておりますが、厚生省はこれまでの概念、すなわち西洋医学一辺倒の医療体制でいいのかどうか、あわせて保健環境部長の見解をお伺いいたします。
 次に、観光対策についてお伺いいたします。地域振興の一環として観光面における具体的施策についてお伺いいたします。
 最近、テレビで観光事業についての報道があり、二十四兆円の経済活動あるいは二百万人に及ぶ雇用という数値が示され、国内において相当の経済効果をもたらしているとなっておりました。特に地方においては、地域振興の上で観光事業の占める割合が高くなっていると思います。観光立県を標榜する和歌山県においてどのような対策を考えておられるのか、熊野地域の振興策にあわせてお伺いいたします。
 長年、議員活動を通じて各地を見て回っておりますが、熊野地域の観光対策は各地に比べて弱体化しているように見受けられます。さきの議会でも申し上げたように、伊勢志摩においては、千億円ほどの投資を行い、大々的に観光事業を打ち出しているところであり、他方、新しい発想によるイメージアップを目指した事業計画を提供している地域も見受けられます。
 このように、地域間競争が激化する中で、熊野地域も地域の特性を生かした事業をもっと積極的に推進すべきものと思います。特に、自然の三大要素である海、山、川を利用した施設なり、発想なりをもっと提供すべきものと思います。それには、まず目標設定を掲げることが肝要かと考えます。現在、熊野地域の宿泊人数は百六十万人となっておりますが、当面、二百万人を目標として掲げ、そのために地域として何をなせば達成できるか、達成するために何をすればよいか、人々は熊野地域に何を求めているか、地域における観光対策は待ったなしの状況であろうと考えますが、県当局の所見を伺います。
 最後に、新宮港の活用について申し上げたいと思います。
 新宮港は、昭和四十六年から昭和五十五年にかけて公共岸壁等の事業費として六十一億円余の投資を行い、また新宮市単独の埋立造成に四十億円余の投入を行ったところであります。熊野地域の振興を考える上で、この港を活用しない手はありません。さきの議会で木材輸入等で二十九億円余の利用であったと答弁をいただいておりますが、もっと多方面からの利用を考えるべきかと思います。今回の一連の質問は熊野地域活性化対策であります。その中での新宮港の活用でありますので、あらゆる可能性を求めて積極的に行動すべきときであろうと考えます。
 新宮港の活用については、二十一世紀は中国の時代と言われております。また、高齢化社会における東洋医学の普及により漢方薬事業の増大、地ビール事業による大麦の輸入等、中国貿易が日本にとってますます大きな市場となってくることは間違いないところであります。県当局は、港湾管理者としてどのような具体的計画を持ち、示されるのか、お伺いいたしたいと思います。
 以上をもちまして、第一回の一般質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの上野哲弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) ただいまの、熊野地域を一体化するための和歌山県、三重県の県境変更に関するご質問にお答え申し上げます。
 県境の変更を行う場合、具体的な手続といたしましては、憲法及び地方自治法上、まず国会において三重県南牟婁郡を和歌山県に編入する法律といったような法律を議決した後、三重、和歌山両県の県民の住民投票を実施し、各県民の過半数の同意を得なければならないこととされております。ちなみに、都道府県の境界変更につきましては、全国的に見ても明治二十一年に香川県が愛媛県より分離設置されて以来、全く実例がないということになっております。
 次に、関係市町村が県境変更により所属が変わった場合、財政上の差異が生じるかどうかというご質問でございますけれども、いずれのの県に属したとしても、税、交付税等、基本的な枠組みは変わりません。しかしながら、県の単独施策については当然のことながら差異が生じてくることになろうかと思います。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 上野議員にお答えします。
 熊野地域の振興策のうち、熊野商会、地ビールについてお答えいたします。
 県では、平成四年度から熊野地域活性化計画の策定に取り組んできてございます。平成五年度にグランドデザインの策定、及びそれを達成するための戦略プロジェクトの提示を行ったところでございます。その中の一つとして熊野商会構想を提案してございます。これは、熊野地域の持つ自然、歴史、文化などの地域資源に、新たな魅力づけや人材の育成などを通して広域的な観点から地域の振興を行おうとするものでございまして、計画実現に向け、先導的、中核的な役割を果たしていくものであると位置づけてございます。
 進め方並びに具体的内容については、本年度が本計画の最終年度でございまして、地元産品や地域資源、都市部での需要動向等を詳細に調査し、地域活性化にとって有効となるような内容とするため、地元の皆様とともに検討することとしてございます。
 また、人材の登用についてでございますが、議員ご指摘の点も踏まえ検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、地ビールについてでございます。
 規制緩和の代表的な事例といたしまして、また地域おこしの手段として全国的な関心を集めてございます。県といたしましても、前議会でのご提案を受けて、地ビールを活用した地域振興方策について各地の動向把握や資料の収集を行っているところでございます。
 各地の状況でございますが、民間事業者や市町村レベルを中心とした自治体などで地ビールに対する取り組みがなされておりますが、販売形態や経営方法、製造免許の取得条件や事業の採算性など多くの問題を抱えてございまして、そうした中で、現在、三件の製造免許の申請が出されたと聞いてございます。
 熊野地域での地ビール事業の具体化については、地元や各地の状況を見きわめるとともに、熊野地域の活性化の観点から検討を加えながら対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 上野議員ご質問の、東洋医学の国立東洋医学研究所の設置と東洋医学研究者の大会誘致についてでございます。
 近年、健康に対する関心の高まりの中で、人体が持つ治癒能力を引き出すことによって健康の回復やその維持増進を図る東洋医学が見直されてきてございます。東洋医学は、物理療法としてのあんま、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復と化学療法としての漢方薬との二大系統が現在の我が国の医療体系に取り入れられてございます。
 ご提言の東洋医学に関する国立研究所の設置については、国においても現時点では具体化の検討には至っていないと聞いてございます。熊野地域は、自然、温泉、歴史、神秘的な宗教文化を持ち、発展の可能性を秘めており、徐福伝説にも見られるように、中国、東洋医学とのかかわりも古い歴史を持つ地域でございますので、研究者の大会誘致も含め、ご提言の趣旨は、今後国の動向等を見ながら対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 観光対策についてお答えします。
 議員お話しのように、熊野地域には豊かな自然、温泉、社寺等、大変すばらしい観光資源がございます。これらをさらにどう活用していくかが今後の課題であろうと存じます。こうした観光資源の活用とともに、地域の人々の熱意に支えられた地域づくりを進めていただくことが観光の振興にとって大変重要なことと存じます。また、ご承知のように、最近の観光客の動向を見ておりますと、大変多様化しております。本宮町のオートキャンプ場の盛況に見られるようなアウトドア志向もその一つで、こうした多様化傾向は一層顕著になってまいろうと思います。したがって、従前の誘客態勢だけではさまざまなニーズに対応できないといったことも考えられます。
 県といたしましても、観光施設の整備とともに、人づくり塾なども実施しているところでございますが、さらにこれを充実するとともに、全国各地域での先進的な取り組み方や観光動向についての情報なども積極的に提供してまいりたいと存じます。
 また、当地域は紀伊半島南部地域の接点となっている地域でございますが、誘客の上で点だけでなく面としての展開が重視されている昨今、地元で組織されている南紀観光宣伝協議会等の活動に大いに期待しておりますし、奈良、三重、和歌山三県と域内四十八市町村で構成する紀伊半島観光振興協議会における取り組みにもさらに努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 新宮港の活用についてお答えいたします。
 平成五年の新宮港の利用状況は、全体で百二万九千トン、うち外国貿易は二十六万一千トン、国内貿易は七十六万八千トンとなっております。外国貿易は、原木十四万八千トンとチップが十一万三千トンの輸入でございます。
 議員ご指摘の外国貿易における新宮港の活用という点については、新宮港が消費地から遠距離に立地していることや、背後圏の産業集積が少ないこと等の制約もありますが、今後ともいろいろな分野での可能性について、関係部局とも連携しつつ検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 18番上野哲弘君。
○上野哲弘君 総務部長。こんなよその県の編入という話で、全く的外れの面はあるかと思いますが、実際、歴史をいろいろ見て地域的なことを考えますと、今回、特に熊野という形で県が策定された中で、県だけでやればお互いにあれですけれども、やはり国に注目されようと思えば、そのぐらいあっていいのではないかと、ひとつアクションを起こす意味で、近辺が一緒になったらいいんじゃないかと思います。
 実は、三重県南牟婁郡の紀宝町あたりですけれども、三重県知事がテレビに出ないんですよね。和歌山県知事のテレビしか出ないわけです。わしらの知事は仮谷知事かという話が出てました。南牟婁郡とは特に歴史的にもありますので、国をいろんな面で注目さすには、そのぐらいなければなかなか思い切っていかないということで、先ほどの東洋医学の面もありますし、ぜひこの問題を国の方へPR方お願いしたいと思います。
 それと、北山村の飛び地も、これが解決すれば飛び地にならんのですね。歴史的にあれが出たということは、やはりそこら辺にあるんじゃないかという感じがします。そういう面で、ひとつ国の方へPRをお願いしたいと思います。
 それと、保健環境部長。この問題もなかなか難しいですが、あなたが厚生省に帰られて事務次官になるころは、多分、東洋医学がかなり進んでいるんじゃないかと思います。こういうところで上野からこういう話があったということで、手おくれにならないように、国の医療費の削減も踏まえて、ぜひこれの推進方をお願いしたいと思います。
 以上、要望を込めまして、終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で上野哲弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時十五分休憩
  ──────────────────
  午後一時三十三分再開
○副議長(町田 亘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番尾崎吉弘君。
  〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 通告順に従いまして、質問をさせていただきます。
 和歌山下津港の港湾計画の改定についてでございますが、この問題につきましては、数回、質問を積み重ねてまいりました。平成七年から平成十七年に至る十年間の港湾の改定計画ということでありまして、和歌山の海を考える上で、和歌山の発展を考える上で、岐路になる極めて大切な計画だと思うのであります。
 ご存じのように、和歌山県は江戸時代には海によって開かれておりましたが、鉄道が普及して大阪を通らなければよその県や場所に行くことのできなくなった時点から、海によって閉じ込められる半島に変わってまいりました。これが和歌山県経済、和歌山県の活性を弱めてきた一番大きな根底の原因であろうと思うのであります。
 二十一世紀に向かってこの半島性を取り除き、閉じ込められた半島を開け行く半島にしていくためには、空と海を我が県のものにしなければならないということは、ご存じのとおりでございます。港とはさんずいへんに「巷」という字を書くわけでありますが、文字どおり、港はその地域の拠点であったわけであります。
 そこで、この計画の策定を直前に控えまして、知事の基本的な考え方をお聞き申し上げたいと思うのであります。
 和歌山の港は和歌山県だけの港にとどまってきたのが今日までの歴史でございますけれども、例えば大型船が阪神からアジア──一つ例を挙げますと韓国へ向かう場合は、大阪湾─土佐沖─豊後水道─関門海峡─釜山、また阪神から中国、東南アジアへは大阪湾─土佐沖─鹿児島沖というルートを航行しております。混雑のひどい瀬戸内海を航行しないのが原則でありまして、北九州博多港へ向かう場合も同様であります。
 和歌山下津港は、京阪神の大消費地にも近く、また陸上アクセス整備も着実に進んでいることから、京阪神の海上の窓口の少なくとも一つにはなり得る十分の条件を備えておるわけであります。こういったことを考えながら、和歌山県のための港湾というより、特に関西の中で大きな役割を果たしていく和歌山下津港に向かっての改定計画でなくてはならない、かように思うのでありますが、知事のお考えをお聞かせいただきたいのであります。
 次に、この港湾計画の中に何を盛るかということでございます。
 今まで、県民や市民が親しめる港、アメニティー要因の高い港、散歩や散策ができる港、あるいはマリーナシティに代表されるように、海洋レジャーの基地としての港、そしてまた下水道や産業廃棄物等、都市問題の中で起こってくる諸問題を解決しながら港の発展を考えていくといった要因、こういうことについて質問をさせていただきました。また、漁船とは別にいわゆるプレジャーボートというものが増加しておりますけれども、そういった問題についても次の計画の中で明らかにしていかなければならないということを質問してまいりましたが、今回は特にコンテナ化ということにつきまして、強調してご質問を申し上げたいと思うのであります。
 最近、特に「コンテナ」という言葉を耳にもいたしますし、特に外国との貿易では、その効率性などからコンテナ輸送が主流となっておりますが、本県を見てみますと、和歌山下津港を初め県内には外航のコンテナを取り扱える港は全くないというのが現状であります。そのために、県内の輸出入コンテナ貨物はすべて大阪や神戸など他の県外の港にて取り扱われているというのが現在の姿であります。
 ここに一つの例を示しますと、和歌山の地場産業である化学工業の中に紀和化学さんという会社がございます。この紀和化学さんの荷物はどういうふうにして輸出されておるかと申しますと、日本通運なりのトラック輸送でCFSと呼んでいるコンテナのサービスを受けるところ、大阪物流というところでコンテナ化して、わざわざ神戸港へ持って行って、そこから韓国、台湾に輸出をされておるというのが現状であります。もし、この紀和化学さんの荷物が和歌山下津港から直接に韓国、台湾に出ていくことができますと、それだけの陸上運賃はもちろんのこと、海上運賃もそれだけ安くなるということでありますから、苦しい地場産業を支えていく、助けていくという立場からも、港湾の果たしていく役割の大きさということがわかると思うのであります。
 地理的には和歌山下津港は神戸港、大阪港のコンテナ航路の通過点に位置しておるにもかかわりませず、コンテナの施設がないために、ほかの港で取り扱われております。その陸送する費用が県内製造業者に大きな負担になっていることは今申し上げたとおりでありますが、試算してみますと、この計画は十年計画ですから、平成七年から十年たった平成十七年には陸送のコストだけで四十七億円にもなる。和歌山下津港で直接コンテナが取り扱える場合、これがなくなるということであります。それだけではなしに、コンテナの荷役費、バーニング作業と呼んでいる費用、これらが全部港湾の関連業者の収益として発生をしてまいります。加えて、水先案内の業者、タグボートの業者、管理者の収入としてこれらも発生してまいります。これらを加算しますと、直接的な効果として考えてみましても年間八・三億円が地元経済を潤すということになるわけであります。
 今後、和歌山下津港において外航コンテナを取り扱えるような施設整備がぜひ必要であるということは既におわかりのことだと思うのであります。このコンテナを扱える港としての和歌山下津港といった問題について、どのように取り組んで具体的に計画の中に入れようとしておるのか、お伺いをするものであります。
 次に、現在運輸省が中心になりまして──この議場で私もいたしましたし、他の議員からも質問が出ました、いわゆる超高速船のテクノスーパーライナーであります。
 これは次世代の海運の担い手として大いに期待されておりますが、この実験船が平成六年、ことしですが、既にでき上がりまして、仄聞するところでは、県としても世界リゾート博覧会の終わり方にここに姿を見せられればということでご努力をいただいているようでございまして、もし実現すれば大変ありがたいことだと期待をいたしておるわけであります。これは実現できるかどうかわからないことでありますが、それほどのテンポで進んできておるということであります。ただし、これは実験船でありますから、実験船ができたからといってすぐにこれが就航するということにはならない。しかし、少なくとも、それへの対応を和歌山の港は今から準備していかなければならない。すなわち、この改定計画の中でテクノスーパーライナーをどのように位置づけていくかということになるわけであります。
 この問題につきましてどのようにお考えいただき、進めておられるか、これは土木部長にお伺いを申し上げます。
 次に、住友金属の埋め立て問題でございます。
 この問題につきましては、本年当初二月議会におきまして、そろそろ知事が主体的に取り組み、解決に導くときであると主張させていただいて質問を申し上げたのでありますが、その後、住友金属から知事に対して、埋立地の新たな利用については県において検討してほしい、埋立中の三工区については県において公共の用に供してほしいという申し出がなされまして、県は検討委員会を設置し、公共公益利用及び環境保全を方針として、埋立地全体を対象としながら白紙の状態から検討を開始されたと聞いておるのであります。このことは、この問題を解決に導いていく上での筋道をつけていくものでありまして、今後の県の精力的な取り組みを期待するものでありますが、一方では、並行して十分に留意しておかなければならない点もあります。
 その第一は、環境保全であります。二月の議会でも申し上げましたが、この問題の原点は、あくまでも公害対策であり環境改善であります。JISで定められておる数値的な環境保全目標は満足しているということはさきに答弁をいただいたのでありますけれども、周辺では今も苦情がなくなっていないというのが実情であります。どうしてこうなるのかということでありますが、先般、高炉の微粉炭の吹き込み装置の安全弁に故障が起こりまして、これが作動して付近に粉じんを降らすという事故がありました。このような事故も、降下ばいじんの測定法によるといわゆる月当たりどれくらいかということになってしまいますので、数値としては大してふえません。臭気についても同じことが言えるのであります。このように測定法はJISで定められておりまして、法規等ではこのようなものを対象として悪いとは申しませんけれども、住民から見るとおかしなことになる。我々が肌に感じておる公害をどうしてくれるのかという問題が残るわけであります。
 埋立地の利用を含めて、県は県勢発展の大所高所から判断されることでありましょうが、このような環境問題についてきめ細かく対処できるように、県が指導力を強くお示しいただきたいと思うのであります。このことにつきましては要望にとどめておきます。
 第二点目は、県が知事の諮問機関として設置されました検討委員会であります。
 馬頭議員からも検討委員会の質問が出たようでありますが、西防埋立地が工場の一部を沖合に移転して地域の環境改善に寄与することを目的として行われてきたことや、和歌山県や和歌山下津港にとってこの西防という部分は大変貴重なスペースであることを考えれば、総合的な視点から幅広い意見を集約しながら新たな利用を検討していくということが必要であります。検討委員会では、客観的な立場からの自由な何物にも制約されない議論を期待するために、全くオープンにするということは困難かもしれないわけでありますが、随時の状況説明なり関係者からの意見聴取なども必要ではないかと考えます。そこで、検討委員会の性格、公開の問題、また関係者からの意見聴取の仕方などについて、これは企画部長の答弁を求めるものであります。
 第三番目は、西防埋立地の新たな利用と先ほど取り上げました和歌山下津港の港湾計画との関係であります。
 西防の埋立地は和歌山下津港内の大規模な埋立地であり、かつ良好な条件を備えた大変貴重なスペースであることから、基本的には西防埋立地の利用も含めて港湾計画の改定を行うべきであると私は思うものであります。県当局にはぜひこの方向で精力的に取り組んでいただきたいと思うのでありますが、一方では、かねて申し上げてまいりました廃棄物の処分場の問題など、緊急の課題も備えているわけでありますので、今後の情勢の推移に応じて機動的、弾力的に対応していくことも必要だと思われます。こういう点につきまして、土木部長の答弁を求めるものであります。
 次に、県の環境行政の目標と今後の課題についてお伺いをいたします。
 一昨年、ブラジルにおける地球サミットを皮切りに、国においては公害対策基本法にかえて環境基本法というのが制定をされ、今後の環境行政の目標が設定されたわけであります。また大阪においては、これを受けて環境基本条例というものが制定されている状況であります。これについては前回の議会において質問をしたところでありますが、また個別の取り組みについて、農薬等の環境基準及び排出基準、悪臭物質の追加、水道水源の汚染防止、地球環境問題への対応等がなされているところであります。そこで、県における今後の環境行政の課題と取り組み、また今後の目標についてどのように考えているか、お聞かせをいただきたいのであります。
 最後に、産業廃棄物処理に関する問題点の認識と当面の課題ということであります。
 この当面の問題点の認識をどのように持っておられるか、まずこれをお伺いしなければなりません。ご存じのように、一つは財団法人和歌山環境保全公社の最終処分場が平成八年に終了するわけでありますから、その後の対策をきめ細かく持っておらなければならないということ。また、前の議会でも申し上げましたけれども、和歌山県から出てくる産業廃棄物の中で和歌山県では処理できなくて他府県に持っていかなければならないものがある。いわゆる汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、こういったものの相当量が県外と海洋投棄によって処理されておるのが現状でございますけれども、海洋投棄も既に国際会議において禁止をされてくるということになってまいりますから、これに対する対応ということが問題になろうと思います。
 それから、これは我が県の地形からも来るところでありますが、紀北部だけではなしに、紀中、紀南の産業廃棄物対策をどうしていくかということも重大な問題であります。こういったことの認識についてお伺いを申し上げたいと考えております。
 それから、フェニックスに持っていくわけでありますが、和歌山県で出てくる産業廃棄物を全部持っていくわけではない。二百何十万トンか出てくる産業廃棄物の中で六十万トン余りをフェニックスに持っていくということでありまして、相当減量しなければならない。すなわち、リサイクルのできるものはできるだけリサイクルをする、自分の企業責任において処理できものはできるだけ処理する、そういうふうに減量をしなければならないということになるわけであります。そういったことへの対応はどうなっておるかということです。先ほど申し上げた中間処理場設備の対応をどのように考えておられるか、具体的にお伺いを申し上げます。紀中、紀南対策についても同じであります。
 それから、このフェニックス計画でありますが、この前も質問が出たように思いますし私も申し上げましたが、これをどこから積み出すかという問題がございます。これについては、時から見てもう既にその場所は具体的に決まっておらねばならないわけでありまして、そこへ持っていく通路の問題とか場所の決定に伴う地元住民との話し合いということもあることで、余り議会で早々と言うことはどうかということで遠慮をしてまいりましたけれども、現時点でほとんど確定をしておられるというように私は思いますので、お答えをいただきたいと思うのであります。
 それから、このフェニックス計画というのは一つの事業でありまして、この事業に環境保全公社がどのような形でかかわっていくのかということであります。そのためには現在の環境保全公社の機構なり人員、組織もそれに対応するようにしていかなければならないという問題にもなってまいりますし、またその関連する業務につきましても、他府県の業者に頼んでというのではなしに、和歌山県内の公益的な性格を持つ機関にこれをお願いして処理していくことを考えていくべきであると私は思っておるわけでありますけれども、これについての見解をお答え願いたいのであります。
 以上で、第一回目の質問を終了いたします。
○副議長(町田 亘君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎吉弘議員にお答え申し上げます。
 和歌山下津港の港湾計画改定に当たりまして、計画改定の基本方針ということでございます。
 お話ございましたように、今後、和歌山県の発展を図っていくためには、私は海と和歌山の港の発展ということが緊急欠くべからざる問題だと思ってございまして、この改定時期をとらえ、積極的に長期的な観点から対処していかなければならないと感じておるわけでございます。
 ご承知のように、和歌山下津港は大阪湾のゲートウエー地域に立地しております。これから、二十四時間空港である関西空港が開港いたします。また第二国土軸の関連にもなりますし、ベイエリア構想の大阪湾交通体系の重要な地点にもなるわけでございます。従来まで、和歌山下津港は県内を後背地としての物流基地でございましたけれども、先ほど申したように、大きく世の中と経済基盤が変わってくるわけでございまして、従来までの和歌山港で欠点であった高速道路との連携道路等の問題を立派につくり上げること、そしてまた有機的連関を図ることが和歌山下津港の重大な使命であり、大阪湾の外港としての機能を発揮すべきものと考えておる次第でございます。
 また、話ございましたけれども、都市活動の基盤にもなるわけでございますし、また産業機能の充実も図らなければなりません。加えて、ウオーターフロントとしての発展ということも大きく期待されておるわけでございまして、こうした多様な要望、ニーズに対処し得る計画をつくってまいりたいと思っております。
 また、要望でございましたけれども、住友金属の環境対策につきましては十分配慮してまいりたいと思っております。
○副議長(町田 亘君) 土木部長山根一男君。
  〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 尾崎議員のご質問にお答えいたします。
 まず、和歌山下津港における外航コンテナ及びテクノスーパーライナーの導入についてでございます。
 海上輸送におけるコンテナ化は、近年、世界的に急速に進展しており、今や国際物流の主役となっており、港湾においてもコンテナターミナルがいわば港の顔となりつつあります。
 本県については、現在のところ外航コンテナ施設がありませんので、議員ご指摘のように、コンテナ化される輸出入貨物は神戸港や大阪港などの港を経由して陸路にて本県と行き来している現状でございます。
 平成元年に運輸省が行った外貿コンテナ貨物流動調査では、年間約五十万トンの県内貨物が外航コンテナとして他港で取り扱われております。このため、和歌山下津港の港湾計画の改定に当たっては、大阪湾のゲートウエー地域に立地するという特性を生かし、こうした外航コンテナも扱える施設の導入を図りたいと考えております。
 一方、こうしたコンテナ化の波は、国内における貨物輸送にも共通しております。運輸省が中心となって開発が進められている超高速船のテクノスーパーライナーは、こうした流れのほかに近年の労働力不足や環境問題を背景とするものでありますが、実用化されれば港湾に対しても大きなインパクトを及ぼすものと考えております。
 議員ご指摘のとおり、当県の港は寄港地となる大きな要因を有しておりますので、今後ともテクノスーパーライナーの開発動向を踏まえつつ、導入の可能性について関係部局とも連携しつつ十分検討していきたいと考えております。
 次に、西防埋立地の土地利用と港湾計画改定との整合性についてでございます。
 西防埋立地については、良好な港湾条件を有しており、和歌山下津港の将来を左右する大変貴重な土地であると認識しております。したがって、港湾計画の改定に当たっては、基本的に西防埋立地の土地利用を含めて行うべきものと考えております。このため、検討委員会の結論を踏まえて港湾計画の改定を行うこととなりますが、一方では廃棄物処理の問題や物流機能の高度化など、和歌山下津港に対してさまざまな形の要請があり、緊急性を有する案件も含まれております。したがって、今後の情勢の推移や緊急性等を勘案しつつ、機動的、弾力的に港湾計画の変更ができるよう作業を進めてまいる予定にしております。
 以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 企画部長宮市武彦君。
  〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 尾崎議員にお答えいたします。
 住友金属西防埋立地に係る検討委員会の性格及び進め方についてでございます。
 住友金属工業株式会社から申し入れを受け、県としては、貴重な公有水面の埋立地であり瀬戸内海環境保全特別措置法に定められた区域であるということを踏まえまして、公共公益的利用と環境保全の観点からの利用を図るため、学識経験者を中心とする西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会を設置したわけでありますが、当検討委員会の性格は知事の私的諮問機関であり、県が利用計画を策定する上で重要な位置づけを持つものでございます。
 また、検討委員会を非公開とすることについては、第一回の検討委員会で委員の皆様が、公正な立場から忌憚のない意見を述べる場としたいという意味で、委員の総意により委員会及び会議録、検討資料等を非公開とされたものであります。なお、会議内容の概要等については、委員会の了解を得て許される範囲内で公表してまいりたいと考えてございます。
 また、関係者の意見をお聞きすることについては、委員会が必要と認めた場合、委員会への出席を求め、意見を聞くことができると取り決められているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 尾崎吉弘議員ご質問の環境行政の目標と今後の課題ですが、議員ご指摘のとおり、国においては昨年十一月に環境基本法が制定され、今後、公害防止のみならず環境保全全般へとより幅広い対応が行政に求められつつあると認識してございます。
 このため、県として快適環境の保全・創造を図るための計画づくりに取り組むとともに、啓発事業等を実施してまいりたいと考えております。また、生活環境の保全の推進については、生活排水や廃棄物の対策を重点的に取り組んでまいりたいと考えています。
 なお、当面の課題としては、水質汚濁防止法並びに悪臭防止法の規制物質追加への対応、瀬戸内海環境保全特別措置法による窒素規制への対応、そして関西国際空港の開港に伴う航空機騒音監視体制の整備等があり、これらに適切に対処してまいりたいと考えております。
 続いて産業廃棄物処理に関しての問題点の認識ですが、県民の生活環境を保全し、産業の健全な発展を促進する上で廃棄物の持続的、安定的な適正処理の確保は極めて重要な問題であると認識してございます。
 具体的な問題としては、一つ目は、財団法人和歌山環境保全公社の最終処分場が平成八年に終了するため、その後の対応、二つ目は、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ等の相当量が県外処理と海洋投棄に依存せざるを得ないという問題、三つ目は、紀中・紀南地域に最終処分場が不足している問題の三点であると考えてございます。
 続いて平成八年九月以降の対応ですが、現在、県下全体で年間二百四十七万トンの産業廃棄物が最終処分されており、そのうち七四%に当たる百八十三万トンが財団法人和歌山環境保全公社で処分されてございます。平成八年九月以降は減量化やリサイクルの努力により最終処分量を百六十万トンにまで圧縮し、約七十万トンはフェニックス計画への参加等による公共関与処分を行い、残りは処理業者と自己処分による対応を考えてございます。
 続いて中間処理施設の整備ですが、特別な管理を必要とする一般廃棄物や、そのままでは埋め立てできない産業廃棄物の中間処理に対応できるよう、財団法人和歌山環境保全公社の将来構想と連動しつつ、排出事業者等による新しい処理機関の設立について、平成十年ごろを努力目標として検討を進めているところでございます。
 次に、紀中・紀南の最終処分場についてです。
 紀中・紀南地域の産業廃棄物は、紀北地域の約四倍の面積の中で一割に満たない発生量となってございます。したがって、市町村と排出事業者が連携して処分場を確保することが適当であろうと考えてございまして、県としては資金的な支援を行えるよう基金を造成しているところでございます。
 続いて、フェニックス計画の積み出し基地についてでございますが、積み出し基地の選定については、数カ所の候補地を検討した結果、現時点では住友金属工業の西防埋立地の暫定使用が適当であると考え、関係者と調整しているところでございます。
 最後にフェニックス事業への業務の参加ですが、フェニックス積み出し基地に関連する廃棄物の受け入れや海上輸送等の業務については、業務の適正かつ円滑な実施のためには県内の廃棄物関係機関が実施することが望ましいと考えてございまして、その趣旨を事業主体である大阪湾広域臨海環境整備センターに働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(町田 亘君) 再質問がありませんので、以上で尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(町田 亘君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時十四分散会

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