平成6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第六号 平成六年三月十五日(火曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第七十五号まで、及び報第一号(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第一号から議案第七十五号まで、及び報第一号(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十一人)
 1 番 小 川  武
 2 番 吉 井 和 視
 3 番 井 出 益 弘
 4 番 和 田 正 一
 5 番 町 田  亘
 6 番 尾 崎 吉 弘
 7 番 岡 本  保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 向 井 嘉久藏 
 10 番 佐 田 頴 一
 11 番 阪 部 菊 雄
 12 番 堀 本 隆 男
 13 番 平 越 孝 哉
 14 番 富 田  豊
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 上 野 哲 弘
 19 番 宇治田  栄 蔵
 20 番 尾 崎 要 二
 21 番 中 村 利 男
 23 番 山 本  一
 24 番 馬 頭 哲 弥
 25 番 鶴 田 至 弘
 26 番 飯 田 敬 文
 27 番 村 岡 キミ子  
 29 番 下 川 俊 樹
 31 番 宗  正 彦
 32 番 橋 本  進
 33 番 浜 田 真 輔
 34 番 冨 安 民 浩
 35 番 上野山 親 主
 36 番 中 村 裕 一
 37 番 和 田 正 人
 38 番 大 江 康 弘
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 木 下 秀 男
 42 番 森  正 樹
 43 番 野見山   海
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 本  収
 46 番 森 本 明 雄
 47 番 浜 口 矩 一
欠 席 議 員(三人)
 15 番 門  三佐博 
 16 番 西 本 長 弘
 28 番 松 本 貞 次
 〔備 考〕
 22 番 欠 員
 30 番 欠 員
 41 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口  勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 中 西 伸 雄
 総務部長 木 村 良 樹
 企画部長 佐 武 廸 生
 民生部長 南 出 紀 男
 保健環境部長 江 口 弘 久
 商工労働部長 吉 井 清 純
 農林水産部長 野 見 典 展
 土木部長 山 田  功
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員 高 垣  宏
 警察本部長 西 川 徹 矢
 以下各部長
 人事委員会委員長
   水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   鈴 木 俊 男
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 梅 本 信 夫
 次 長 中 村  彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 長 尾 照 雄
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 川 端 孝 治
 調査課長 岡 山 哲 夫
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(宗 正彦君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(宗 正彦君) 日程第一、議案第一号から議案第七十五号まで、並びに知事専決処分報告報第一号を一括して議案とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 23番山本 一君。
 〔山本 一君、登壇〕(拍手)
○山本 一君 通告に従いまして、質問をさせていただきます。
 まず、海南市・和歌山市間の境界について、率直な私の考えを申し述べまして、知事の明快なお答えをいただきたいと存じます。
 海南市の十二月定例市議会での一般質問で「マリーナシティ埋め立て境界確定の裁判の現状はどうか」との質問がありまして、質問に答えて「平成四年二月二十一日に訴状を提出して、平成五年十二月一日から証人尋問が始まり、収入役が立った」と答弁がありました。主な争点としては、「昭和四十六年二月二十六日に海南市、和歌山市の交わした協定書、覚書は法的に無効である。両市議会に示されておらないので無効で争論は存在する」と山本海南市長が断言されておりますが、議決機関である両市議会を云々申されることは、執行機関・海南市長が議決機関・市議会の存在をわきまえず、これを軽視、無視しておられることまことに甚だしいと、私は論じる次第であります。
 議決すべき案件は議決いたしております。協議すべきものは協議をもう済ませております。内閣総理大臣においても、地方自治の本旨にのっとり、普通地方公共団体の自主性、自律性を尊重するという基本的ルールがございます。主務大臣も、法的に限られた以外に不穏当な指揮監督など皆無と察していますし、地方自治の尊厳は侵されるものではありません。和歌山県が自治法違反などと呼ばれて、県民は納得がいかず、憤りを感じている次第であります。
 私は、昭和四十年六月から四十五年十一月まで海南市議会議長職にあり、以降二期、助役の職にありました。現職の海南市議会・久保田議長とは、当時ともに早期解決に当たってまいった次第であります。大橋知事、両市長、両議長ともどもに意見を交わしたことも、両市議長がともに大橋知事と話し合うこともたび重ねました。過ぎし日の思い出が、この議政壇上でまぶたをよぎってまいります。
 いまだ海南市から、山本一に聞きたいの一言もお受けいたしておりません。理解に苦しんでおる次第であります。両市の市長、宇治田さんも、明楽さんも、妙中先生も、吉岡先生も、両市間に足しげく運んでいただきました。また、生駒市長さん、小野知事さん、大橋知事さんも、ご存命の時代のことごと、何と回顧されていられましょうか。
 マリーナシティの境界云々で、過日一月十七日、海南市長が上京し、自治省に対して「自治大臣が和歌山県を指揮監督されたい」との要望を行ったと報じています。私には、その真意を解することができないのであります。願望的なものであっても、公的責めはあると思います。
 昭和四十六年二月初旬に、知事あっせん発表案を両市に示されました。それは、一、知事あっせん発表案として、「ただいま妙中境界審議委員から発表のありましたとおり、妙中委員を初めとする境界審議委員の努力により両市の歩み寄りの兆しが見えましたので、一、この境界争いについての裁定は知事預かりとする、二、従って裁定については勝負なしとする、三、今日、裁定とは別に別紙のとおりあっせん案を提示いたしました。これは、裁定とは別に、理論よりも現実に即しつつ、しかも将来を展望したあっせん案でありますので、両市はこのあっせん案を受け入れられ、円満解決されることを強く要望する次第である」。
 二、海南港埋立地に関する知事あっせん案として、「一、現時点においては第二工区埋立地の一部を和歌山市の所属とすることを留保し、この埋立地の全域を海南市の行政区域とすること。二、第二工区埋立地の地先に将来新たな埋め立てが計画され実施に着手するときはこの留保関係を解くものとすること。三、第二工区埋立地の地先に新たな埋め立てが行われたとき、和歌山市は積極的にこの地域の開発に取り組むこと。四、この地域(現在の第二工区埋立地はもちろん、将来の新たな埋立地を含む)に公害問題が生じた場合には、この境界問題にとらわれることなく、両市は友好的に協議の上、適切な措置を講じること。和歌山県知事大橋正雄」。
 かくして、四十六年二月二十六日に、和歌山市宇治田市長、海南市明楽市長が出席の中で円満に協定書並びに覚書に調印されたのであります。ここに、五年越しの和歌山市・海南市間の境界線紛争は解決いたした次第であります。
 今日、法的に無効だとか、法的に根拠なしと言うがごとき言動は、信義誠実の原則を全く覆したものであると私には思われてならないのであります。協定書及び覚書というものは、二つ以上の当事者の自治体間の合意を証するもので、契約と同様のものであると考えております。上位法である民法第一条の基本原則、すなわち信義誠実の原則により協定は契約説をとるのが妥当との判決を聞かされております。
 付言いたします。法第九条の解釈によりますと、公有水面に係る市町村の境界に関し紛争があるときとは、公有水面のみに係る市町村の境界に関し関係市町村の間で意見が不一致であり、これが原因となって客観的に紛争があると認められる状態を生じている場合を言い、公有水面上の一定の地点をみずからの区域にしたいとする主張及びこれに反対する主張は単なる願望であって、法律上の争点と解することはできない、あくまでも客観的事実の主張に意見の不一致がなければならないものと解されています。
 また、海南市に幾ら身銭があるからと申しまして、二千七百余万円に及ぶ訴訟費用を支出して和歌山市に文句をつけたり、和歌山県に内容証明郵便を送付してきたりすることなど、知事は本気でどう思われますか。一度お聞かせ願いたいと思います。
 なお、知事にお尋ねします。私の協定書、覚書に対する見解は不動なものでありますが、山本市長の誤った考えに「偉大な計画」と祝辞を述べている人もあるので、知事の明言をお聞かせいただきたいと存じます。
 また、自治大臣に和歌山県を指揮監督せよと申されたことに、県民感情として知事はどういうぐあいに感じておられるか、ぜひお答えをいただきたいと存じます。
 次に、県道船戸海南線の交通ネック問題でちょっとお伺いしておきます。
 この問題については、四年に一度は私はこの議場でいろいろと当局に対して質問を繰り返している次第でありますが、本当にこの箇所は、地元の生活道路、産業道路であり、近所の人々の命が危機にさらされているのが現況の姿であります。
 私は、いつもこういう点について力説しておるわけでありますけれども、いまだに昭和二十三年の都市計画決定以来、どうにもこうにも進まない。いろいろなご意見も申し上げてきた。しかしながら、もう現在では、過去にとらわれず、土木部長の率直なこれからの方針をお聞かせ願いたいと存じます。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの山本一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 山本議員にお答え申し上げます。
 海南市と和歌山市間の境界問題についてでございます。
 ただいま山本議員からその当時の経緯について詳細な説明がございましたが、昭和四十六年に海南市と和歌山市との間で交わされました協定書、覚書の考え方については、平成元年十二月の議会でも議員のご質問に答弁させていただいたところでございまして、私としては、過去の経緯というものは今後も十分尊重されつつ対応が図られるものと考えておるわけでございます。
 また、海南市から自治大臣に対して要望書が提出されたということを聞き及んでございますが、県としては地方自治法に基づいて適正に事務を進めてまいったところでございますし、また、国に対してもその経緯について十分説明を行ってきておりまして、今後も引き続き、適正に事務を進めてまいりたいと思っております。
 いずれにしても、この問題については現在裁判中でございます。その動向を見守ってまいりたいと考えておる次第でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 山本議員にお答えいたします。
 県道船戸海南線のご指摘の箇所は、都市計画道路船尾黒江線として幅員十一メートルで都市計画決定がなされております。しかしながら、現地の交通安全対策を非常に急ぐ必要がありますので、海南市と協議の上、当面の対策について現在地権者と交渉を続けているところであります。公図混乱等もあり、いまだ了解を得るに至っておりませんが、今後とも粘り強く交渉を続けてまいりたいと存じます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 23番山本 一君。
○山本 一君 今、知事の方からご答弁いただきました。私が本会議でかつて訴えましたことについて、それは今も変わりがないと知事はおっしゃいました。それは理解ができて結構でありますけれども、いまだに裁判が続けられておる──私は一遍聞きたいと思うんですが、海南市が和歌山市を相手取ってこういういちゃもん的な訴訟を起こすことは筋が合うているのかいないのか。本当は、海南市は中に入ってくれた和歌山県に対していろいろといちゃもんをつけるのがその道ではないかいなと私は思うんですけれども、これは和歌山市のみであって、和歌山県には関知しないものですか。
 これがまとまるときに県の代々の皆さん方は、小野さんの時代にも、大橋さんの時代にも、いろいろとご苦労をなさってきた。けれども、もうみんな亡くなっておる。僕と現在の海南市会議長しか残っておらない。実情を知っている者がないんです。今いろいろ言っている端っぱの人は何も知らない。山本有造市長さんでも知らない。
 だから、これについて和歌山市を相手に訴訟を起こしていくことは何か問題点はないんですか。これは和歌山市としているのは間違いで、本当を言うと和歌山県とやるべきなんじゃないかと。そして、和歌山県へ来たら和歌山県がはねたらいいんじゃないかなと、こう思うんですけれども、僕のそんな考え方はどんなものでございますか。
○議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 山本議員にお答え申し上げます。
 争いをするのは県に対してじゃないかというご質問であったと思いますけれども、協定書、覚書が無効であるということを海南市が裁判に訴えておるところでございまして、県としては受けておらないわけでございます。
 先ほども言いましたように、県がやった理由は、昔からの経緯を考えたということ、また地方自治の本旨にのっとってやったということ、そして地方自治法に基づいての適正な事務をやったと、かように思って処理しているところでございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 23番山本 一君。
○山本 一君 知事がお答えいただいたこともよく理解できるわけですけれども、この協定書、覚書については、最初にいろいろと非常に難儀したんです。和歌山の議会も認めなければならないし、海南の議会も認めなければならない。この調停を県へ文書で出すかどうか、非常に難航したんです。そして、相当な時日がかかって、両市議会も各市長さんも了解されて、そういう文書が出た。
 文書が出て、それで不足があれば九十日以内に本訴訟に入るわけなんですけれども、ところが九十日たってもそうはならずにそのままで来た。そして、その間に大橋知事の方から、調停にかけて県が裁定するとか、そんなことはもうやめようやないか、両市の皆さんが取り下げて了解してくれるなら、私が改めて知事としての考え方を述べるから聞いてくれるかということになって、そして出てきたものについて四十六年二月二十六日に両者が合致し、判こを押したということです。
 だから、後からの人は何も知らずにいろいろなことを争点を求めてやっておられるけれども、もともとはみんな議会に出た──「出ていない」とか言うけど、全部議会で議決されています。海南の議会でも、和歌山の議会でも。議決しなかったら、あの第二工区の登記もできない。地区番地をつけてこそ、初めて登記ができる。それを全部やってある。やってあるから、海南鋼管さんも関電さんもああいうように仕事をやっているわけです。議会をほったらかしているというようなことではなしに、議会の方では議決すべきことはちゃんと議決し、話し合うべきことはちゃんと話し合ってある。そして最後には大橋さんが、もうそんな難しい裁定をするようなことはもうやめようやないか、ひとつ話し合いで片をつけようやないかということで案を出していただいて、それに両市が納得をして調印し、覚書にも調印したと、こういうような経過があると思うんです。
 だから、私らみたいに重点を置いてそれにかかわってきた者には、後から出てきている問題が何か──「境界に争論」と言うけれども、もう先に決まってしまってあると。お互いの市の間で、話し合いの上で決めたんや。九十日以内に裁判にもかけずに、大橋さんのご苦労にこたえて、ひとつみんなが寄って話し合いで調停しようかということになったわけであります。
 知事さんはその後を引き継いで、争論の訴訟問題云々おっしゃるけれども、僕の考えでは争論は立たないと思うんです。決まっているから。調停は確固とした不動のものが確立しているんです。だから、私は訴訟と言ってもこれは通らないのではないかと。その訴訟の理由に、両市の議会が承知していないとか議案を出していないとか言うけれども、そんなもの、僕ら皆やってきてある。議会の議長の席にあって、そんなことは抜かりなく全部やってある。そうでなかったら地番も設けられない。
 だから、言うていることが根本から私は間違っていると思うんです。まあ知事さんは、裁判問題になっているからと非常に気を使ってもらっておるんだけれども、根本は理解していただいていると思いますので、もう種々しどろもどろは申しませんけれども、やっぱりそのいきさつから言うたら、もう片のついたものであるということ。そうでなければ──海南でも、ああいうことを海南市長が言い出したことについて「市長の偉大な事業や」と言う人もあるんです。マリーナシティから二十億か三十億か入る、偉大な事業を起こした、感心だと褒めている人がある。知らん人が皆そんなことを言うているんです。
 これは、県の広報の上からも、もっと市民、県民にはっきりと知らせてほしいなと思うんです。
 ちょっと要望しておきます。以上。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山本一君の質問が終了いたしました。
○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番野見山 海君。
 〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。
 今なお国際社会は、世界各地で民族紛争、内乱、飢餓に苦しむ子供たち、難民問題、地球環境等、多くの課題を残しながら、ことしも引き続き生じていると思います。これらの解決のために、今後も日本の国際社会における役割はさらに期待され、重視されるものと思うのであります。
 一方、我が国は、戦後、国民が額に汗して頑張ったおかげで、経済的には世界のトップクラスに入りました。これからは国民一人一人の心の豊かさ、ゆとりが大きく求められている時代と思います。国民の願いであった政治改革四法案が成立するなど、成果は見られたものの、バブル経済がはじけた後、多くの公共事業の前倒しを初めとした景気対策を講じてきましたが、依然として景気回復の兆しは見えてこない現状であると思います。
 昨年の七月の衆議院選挙で自民党が大きく後退することにより自民党の三十八年間続いた政治から細川連立政権が誕生してはや八カ月を迎えますが、支持率は依然として高い状況であります。このことは、自民党政権時の金権汚職や贈収賄事件等による政治不信を一刻も早く回復させるため、国民が細川政権に大きな期待を託しているあらわれだと思うのであります。私も、この連立政権を守り、継続していかなければならないと思っている一人であります。
 そこで、地方分権論については多くの議員の方々が論議されてこられましたが、私なりに地方分権、市町村への権限移譲、財源移譲、地方都市づくりについてお伺いいたします。
 細川連立政権の誕生により、地方分権が進められようとしております。一歩一歩前進させなければなりません。これについては、過去、神奈川県長州知事が提唱された「地方の時代」で、県というのは市町村の連合事務局だと言われたのであります。県というものは、市町村をバックアップすることだと考えたそうであります。
 しかし現実はそうでなく、県庁の組織というのは国の出先的な色彩が強く、縦割り行政になっていると私は思うのであります。その原因の一つとして、県も地方自治体であるが、市町村より上位の団体であると大方の県民もそう認めているし、また県の職員、市町村の職員もそういった認識を持っているものととれるのであります。
 また、陳情政治についても、何事においても陳情しなければ予算が獲得できないといった政治も、これまた改めなければならないことだと思います。平成六年度の予算獲得のために、私も二月十日の東京事務所の開設に出席しまして、二月十一日は手分けして各省庁に陳情してまいりました。県の東京事務所職員を中心に積極的に取り組まれ、予算獲得、補助金獲得の成果はありました。しかし、陳情しなければ物事が何も運ばないような構造というものは、これまた中央集権という地方分権を妨げている大きな要素だと思うのであります。
 さらに、権限移譲と財源移譲についても、細川政権が誕生して以来、地方分権の動きが出ていますが、基本的には今までの制度を抜本的に改革していこうといった取り組みは見られないのであります。権限移譲においても、機関委任事務から団体委任事務への流れや、国から県へ許認可権の移譲が進んでいます。しかし、それに伴う財源措置については三割自治という構造は変わっていないし、変えようともしません。これらの構造を変えることによって地方公共団体の果たすべき役割が発揮でき、東京一極集中を排除して国土の均衡ある発展を図ることが、今国民が求めている地方分権であり、地方政府の実現になると思うわけであります。知事のご所見をお伺いします。
 また、権限移譲、財政措置については県から市町村へ権限移譲を行ってきたと思いますが、現状はどうか。国から県へ権限移譲、許認可権移譲が進められている中で、本県の豊かな町づくりのためには、地域のことは地域で決め、責任を持つ行政システムが必要であると思います。市町村へ移譲できる権限を積極的に推進すべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、地方拠点都市の取り組みについてお伺いいたします。
 紀南の中核都市田辺市では、去る一月三日の生駒市長のご逝去に伴う田辺市長選挙が先月行われました。各団体を初めとする皆さん方のお力添えの結果、生駒市政継承を訴えて弔い選挙となった新市長が誕生したことは、田辺市と常に連携を密にしてきた県においても的を射た結果と言っても、私は過言ではないと思います。
 今は亡き生駒市長は、八年前初当選され、財政力も非常に厳しい状況でありましたが、財政の立て直しをするなどして、紀南の中核都市にふさわしい活力ある豊かな町づくりを築いてこられました。農業集落排水事業、し尿処理場、ごみ処理場建設、学校の新築、新庄森林公園、総合運動場、美術館の建築、生活道路整備等、多くの事業を推進してこられ、県内五十市町村の中でトップの自治体と私は自負しております。さらにこの事業を継続して、市民の負託にこたえていかなければならないと思うのであります。
 確かに、田辺湾総合リゾート開発計画に沿って事業の展開を行っていた総合商社丸紅がバブル経済崩壊の影響を受けて事業を撤回したこと、市民の高齢化など、多くの課題がさきの市長選挙での争点になりました。しかし、紀南の玄関口と言える田辺市には、二十一世紀に向けて町づくり事業を進めている中で、明るい材料も幾つかあります。
 まず、南紀白浜空港がジェット化され開港すれば、首都圏を初め各方面と短時間で直結されることによって田辺市が物流基地の中心拠点となるほか、開港に伴い多くの観光客が田辺市を初め周辺の観光地に足を運ぶなど、経済面での波及効果ははかり知れないものがあると思うのであります。
 田辺市を初めとする周辺地域が、去年の八月、知事から地方拠点都市法の指定を受け、現在、基本計画を策定していると聞いております。この法指定によって和歌山県の和歌山市一極集中が解消され、田辺市では中核都市的機能の充実整備が図られ、地場産業の振興はもちろんのこと、公共事業が重点的に展開されるほか、進出企業には税制面での優遇措置が受けられる、文化活動の活発化、生活環境の整備などが図られると聞いておりますが、その後の進捗状況と基本計画の承認に向けての県の取り組み、田辺市の都市づくりの構想をどのように描いておられるか、お聞きしたいと思います。
 また、田辺市を初めとする観光振興策については、和歌山市を初めとした紀北地域の皆さんには余り知られていない、ひき岩群や奇絶峡といった雄大かつすばらしい山間部に広がる景観を初め、芳養湾や天神崎といった海の景勝地など、絶好の自然環境に恵まれております。これらを広く県内、県外の人々に知ってもらうとともに、観光振興等の観光リゾート立県を推進することになると思います。県には、田辺市とその周辺の観光振興により一層のお力添えをお願いするものであります。ナショナルトラスト運動で有名になった天神崎を初め、田辺市周辺の観光振興をどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
 三つ目に、白浜空港の関連事業についてお伺いいたします。
 七月十六日から始まる世界リゾート博会場内の建物も、大きく姿を見せてまいりました。また、九月四日の関西国際空港の開港により、和歌山県の経済、文化、観光等の浮揚活性化に大きな期待がかかっております。このことが紀北地域のみならず紀南地域にも大きな経済波及効果による地域活性化を生み出す、新しい流れにしたいものだと思うのであります。
 間違いなく紀南地域の活性化のかぎを握る南紀白浜空港の整備事業は、開港を目指して急ピッチで、本体工事、造成工事も完成する見通しであるとともに、延長千八百メートル滑走路の舗装工事、ターミナルビル建設も始まろうとしている中、私は開港に伴う関連事業整備促進といった点から、過去の議会での一般質問に続いてさらに話を進めてまいりたいと思います。
 この空港は現在の滑走路千二百メートルの空港の横に、ジェット機が発着できる千八百メートル滑走路の建設が来年中の完成を目指して進められております。この施設の完成により、MD87という機種のジェット機の就航が予定されており、定期就航便も東京を初め福岡、名古屋便が予定されて、各方面から大きな期待が寄せられているところであります。
 まず、ジェット機空港が紀南地域にもたらすメリットは、輸送力が増大することによって臨空産業が発展し、紀南の観光面はもちろんのこと、経済浮揚に大きな起爆剤となることはだれもが認めるところであります。紀南地方は、温暖な気候条件を生かして市場性の高い野菜や果物、花卉などの農産物の栽培が盛んに行われているほか、豊かな漁場に恵まれ、イセエビやアワビといった高級品と言われる水産物の宝庫でもあります。こうした農水産物が首都圏へ直送されていますが、現在のYS11機では貨物の積載能力が最高千九百五十八キロで、また乗客が六十四人も乗るとかなり積載量も制限されることから、高級品を中心とした航空貨物便が主なものとなっています。しかし、ジェット化により乗客の定員も二倍余りになるほか、生鮮食料などの大幅な輸送力の増加が図られスピードアップされるため、首都圏を中心に新しい販路の開拓が期待できる、紀南地方待望のジェット機空港と言えます。
 さらに、県は空港の輸送力を大幅にアップしようと、南紀白浜空港の滑走路二百メートルを延長して二千メートルに拡大させ、中型ジェット機を導入しようと、新年度予算に調査費を計上されています。この計画の実現のために運輸省に強く働きかけていると聞いております。この中型ジェット機が離着陸できる空港が整備されますと、韓国や台湾などアジア諸国との輸出入も可能となるほか、空港周辺には都市圏向けの紀南の生鮮食品、花卉を直送する大型の農水産物の加工工場などの建設も現実のものとなり得るのであります。
 そこで、この中型ジェット機発着可能な新たな空港整備について、またそれに関連する農水産業の振興策について、県当局のご見解をお伺いします。
 さらに、ジェット化によって本格的なリゾート観光地の構想が新たな形で浮上するものと思います。そして、多くの方々が白浜空港を利用され、紀南を訪れ、温泉でのんびり休養し、観光地めぐり、さらに南へと足を伸ばし、国道四十二号沿線の海岸の景観、潮岬、橋杭、勝浦温泉、那智の滝、そして熊野古道を散策するなどしてリフレッシュする、こういった紀南観光ルートでお客が増大するであろうし、現にふえてきています。また、阪和自動車道の全線開通によってマイカーを利用したアウトドア型の家族旅行もふえています。こうしたことから、観光ルートの道路整備は何をおいても急がなければならないと思います。国道三百十一号整備の進捗と改良完成、また田辺龍神線の進捗と改良完成についてお伺いいたします。
 また、各地方空港は、それぞれ空港の計画や拡張など、国内の地方空港とのネットワークの取り組みや国際交流の輪を広げようと、空港を拠点に海外から外国人を迎え入れる国際交流がそれぞれの地方で進められています。南紀白浜空港においても、将来は中型ジェット機導入もあり得るのでありまして、今開港がおくれているが、工事はハイピッチで進んでいます。それに合わせて、国内の地方空港とのネットワークで航路の拡大をするなどの対策、例えば北海道の千歳空港とのネットワークで相互間の交流や特産物の輸送等を考えていくならば、地域の大きな活性化になるものと私は思うのであります。
 こうしたことから、ポートセールスに積極的に取り組むべきだと思いますが、ご見解をお伺いいたします。
 一般質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 野見山議員にお答え申し上げます。
 地方分権に関する私の所見ということでございます。
 地方分権の推進につきましては、国と地方の機能分担について、私は徹底した見直しを行い、県民生活に関連する行政については地方公共団体の手で完結する体制を整えることを基本として、事務と財源の再配分を進めるべきではないかと思っております。
 そのために、地方分権を強化する方向に沿って、現在の事務事業の見直し、国庫補助金等の整理合理化など行財政制度の改革を進めるとともに、あわせて地方の一般財源の充実強化、地方財政の健全化を図り、地方公共団体が自主的に各種施策を積極的に展開できるような地方財政基盤を強化する、これが絶対に必要な条件でございます。
 幸い、昨年、国会において地方分権推進の決議が行われたところでございます。また本年は、地方分権を基本政策の一つに掲げる細川政権が、第三次行政改革審の最終答申を受けて地方分権推進基本法制定を目指して地方分権大綱方針を策定する予定になっておりまして、地方分権の機運が高まっておるということ、非常にありがたいわけでございます。これらを契機として、私も知事会等において地方分権の推進をなお一層国に働きかけてまいりたいと思っております。
 なお、話ございました、県から市町村への権限移譲に対する財源移譲の現況、また今後の市町村に対する行政システムの取り組み等については、県としては従来から、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体において処理することを基本として、本庁から出先機関へ、さらには県から市町村へと権限の移譲を行ってきたところでございます。
 近年、地方分権推進の高まりの中で、国においては基礎的自治体である市町村の充実強化のためのパイロット自治体制度、中核市、広域連合制度が構想され、各都道府県においても市町村への権限移譲の推進が図られておる現状でございます。本県においても、市町村移譲の可能な権限について現在研究中でございまして、今後とも市町村の自主性、自立性を高める施策の推進に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、白浜空港の整備でございます。
 中型ジェット機の発着を可能にするための滑走路の二千メートル化については、私もぜひ早期に完成するよう積極的に取り組んでまいる所存でございまして、お話ございましたように、平成六年度の予算案に調査費を計上しているわけでございまして、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 他の問題は関係部長から答弁いたします。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 地方拠点都市の取り組みについてのご質問にお答えをいたします。
 現在、関係市町村から素案の提出があり、承認に向けて県庁関係各課及び関係省庁との調整を行ってございます。調整終了後、速やかに関係部局長で構成する推進組織に諮り承認するとともに、承認後は国の協力を得ながら計画の具体化に向け支援してまいりたいと考えてございます。
 議員ご質問の田辺市の都市づくりについてでございますが、田辺市は地方拠点都市地域の中心都市に位置づけられており、地域全体に都市的サービスを提供していく役割を果たすこととなってございます。このため、商店街の再開発を含む田辺駅周辺整備や市立美術館を中心とした滝内地区周辺整備を進め、中心都市としてふさわしいにぎわいあふれる町づくりを行うとともに、周辺町村との一体性を高めるため、道路整備を中心とした交通ネットワークの強化を図ることとしてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 田辺市周辺の観光振興につきまして、お答えをいたします。
 議員お話しのように、田辺市には海、山の自然がもたらしたすばらしい景勝地がございます。市内には、熊野の別当湛増ゆかりの闘鶏神社を初め歴史文化資源も数多く存在しておりますし、梅干しや南蛮焼といった観光に直結する伝統産業もございます。こうした環境は、道路交通網の整備や田辺市の持つ多様なポテンシャルと相まって観光面でも有利であると思われますし、加えて南紀白浜空港のジェット化等により、ますます脚光を浴びるものと期待されます。
 こうした状況から、日本のナショナルトラスト運動の発祥の地である天神崎の保全やひき岩群周辺の施設整備に努めているところでございますが、今後ともこうした観光資源の整備や開発に努めるとともに、当地域を県内外に強くアピールしてまいりたいと存じます。
 また、最近の観光客の行動範囲も広がる傾向にあり、広域的な視点に立った観光振興も重要でございます。紀南の拠点都市である田辺市や地元観光協会等の一層の取り組みに期待しながら、こうした点についても周辺町村や関係団体等と連携を密にしながら取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、南紀白浜空港のジェット化整備による紀南地方への観光客の受け入れについてでございますが、議員お話しのとおり、紀南地方の観光振興にとって大きなインパクトがあるものと認識しております。紀南地方の一大観光拠点である田辺・白浜に直接ジェット機でお越しいただけることは、利便性の点からも今後、各地からの観光客の増加が期待できるとともに、その方々のニーズも多様なものになってくるものと考えてございます。こうしたことから、宿泊施設のみならず、スポーツ・レクリエーション施設、文化施設、休養施設、販売施設等も含めた各種観光施設の集積と多様性が求められてくると存じます。
 今後、南紀白浜空港の開港に向けて、地元市町村、同観光協会、関係団体等と協議を重ね、全国さらには世界に通用する観光地として充実整備の促進を図ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 南紀白浜空港の関連事業についてお答えをいたします。
 まず、中型ジェット機の発着を可能にするための滑走路の延長整備については、空港建設地の立地条件が非常に厳しく、また利用者の大幅な拡大を図る必要があることなど、さまざまな課題がございます。このため、平成六年度予算案に調査費を計上して、滑走路の延長工法などの技術面での実行可能性、中型機投入の基準である年間利用客三十万人を満たせるかどうかの需要予測などについて調査検討をする予定でございます。
 種々の課題がある中ではありますが、一千八百メートルでの開港後の次の段階の目標として、新空港建設促進議員連盟を初めとする関係方面の方々のお力添えをいただきながら取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、観光ルートの道路整備でございますが、国道三百十一号は現在、上富田二バイパス、中辺路四バイパス、中辺路五バイパス、本宮一バイパス、本宮三バイパスの五つの工区で整備促進を図っております。
 この五つの工区のうち、中辺路四バイパスと本宮三バイパスは、それぞれ平成六年秋、平成七年度に完成させるべく努力しているところであります。また、上富田二バイパスについては、根皆田橋から県道上富田南部線までの八百四十メートルのバイパスがこの春完成し、残る区間も平成八年度供用を目途に本工事及び用地買収を鋭意進めているところであります。残る中辺路五バイパス、本宮一バイパスについては、用地買収等が順調に行われれば平成十年度までに完成をさせたいと考えております。
 県道田辺龍神線については、田辺市大沢、南部川村名之内地内及び龍神村柳瀬地内の二つの工区のほか、局部的な改良も含め、現在鋭意整備中でございます。
 柳瀬工区のうち虎ケ峰トンネルを含む前後の工区はリゾート博までに供用予定であり、柳瀬工区全体についても平成七年度中に供用したいと考えております。また、大沢、名之内工区についても平成九年を目標に鋭意整備促進を図っておるところでございます。
 次にポートセールスでございますが、白浜空港のポートセールスについては、庁内組織である新南紀白浜空港建設・利用促進協議会を中心に、県議会及び関係市町村や関係機関のご協力も得ながら取り組んでまいりたいと存じております。
 航空事業者や相手地域への働きかけ、またビジネス客の掘り起こしと紀南地方の恵まれた自然や豊富な農林水産物のPRによる需要の喚起などを積極的に行って、路線の拡大が図れるように努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 農林水産部長野見典展君。
 〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 野見山議員にお答えをいたします。
 南紀白浜空港のジェット化に伴う紀南の農水産業の振興についてでございますが、議員お話しのとおり、輸送力の増大や乗降客の増加が見込まれるところでございます。このため、これまでもプロジェクトチームを設置し、空輸出荷等による販路拡大について検討してきたところでございます。しかし、近年、道路網の整備やトラックによる鮮度保持輸送技術の向上等により、空輸コストなどの点で課題が残されてございます。
 こうした中で、紀南地域の特性を生かした花卉等の施設園芸を初め、新たな品目の導入も検討しつつ、一層の高付加価値産品や高級魚介類の販路拡大を図るとともに、増加が見込まれる乗降客に対する産品の販売促進にも努めることとしてございます。
 また、これら農水産品の予冷・保冷施設や加工施設の設置について検討を行うなど、今後とも関係機関と一体となって紀南の農水産業の一層の振興に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 44番野見山 海君。
○野見山 海君 答弁、ありがとうございました。
 地方分権については、今、細川政権のもとでかなりのピッチで前に進んでいくだろうと思います。そこで、今、和歌山県から各市町村への権限移譲、財政移譲の関係が、かなり八〇から九〇近く進んでいることはありがたいことでありますし、現在研究中という答弁がございましたけれども、できるだけ早く結論を出していただいて、一つでも二つでも移譲ができるように努力をしていただきたいなと思っております。
 もう一つは、三百十一号線の整備です。
 平成十年ごろに完成という話を聞くわけでございますが、紀南にとってはやっぱりあのコースが観光コースにもなります。大塔村の森林リゾートが今ちょっと一服している状況でありますが、こういった観光道路を整備することによって、またこの森林リゾートが浮上するのは間違いないと思いますので、できるだけ一日も早く観光道路整備の実現をしていただきたいなと思います。
 以上、要望であります。ありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時八分休憩
 ──────────────────
 午後一時三十二分再開
○副議長(町田 亘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番上野哲弘君。
 〔上野哲弘君、登壇〕(拍手)
○上野哲弘君 通告に基づきまして一般質問を行います。
 一番目に、地方にもシンクタンクの設置をということで知事にお伺いしたいと思います。仮谷県政における平成六年度の予算編成並びに説明を伺いまして、質問いたします。
 今年度は、申すまでもなく、世界リゾート博の開幕、関西国際空港の開港と、和歌山の時代を標榜する絶好のチャンスとなりました。そのために前年度比八・九%増の総額五千三百四十三億円余の当初予算となっておりますが、この予算の有効かつ効果的な運用をお願いするところであり、また県下五十市町村それぞれが町づくりのため県政の積極的対応に期待しているところでもあります。特に、紀北・紀中・紀南──この分け方は適当でないかもしれませんが──地域のそれぞれの特色を生かした広域行政にも目を向けていただいていると思いますが、より幅広く指導と対応をお願いするところでもあります。
 しかしながら、今議会において答弁されているように、県税収入が三年連続して前年度を下回るというような県財政の状況は、良好であるとは申せません。その中で、副知事を本部長とする県景気・雇用対策本部が設置されましたことは、心強いものがあり、期待するところでもあります。そのような状況から、今年度予算が県下全域の景気浮揚につながり、将来展望が見える予算であってほしいと願っております。
 さて、質問の趣旨でありますが、前段で申し上げましたとおり、県税収入の三年連続しての減収は和歌山県の経済状態が下降線をたどっていると考えるべきで、深刻な社会情勢になっていると言っても過言ではありません。特に県内大手企業の住友金属の人員削減あるいは巴川製紙の合理化等、リストラによる雇用不安を初めとして、将来到来するであろう規制緩和における生産性向上のための人員整理等、日本全国、大都市に限らず地方もその対応を考えなければならないと思います。地方における対応策を考える上で地方にも常設のシンクタンクの必要性があると思いますが、将来展望もあわせて知事の所見をお伺いいたします。
 次に、規制緩和について。規制緩和につきましては、昨年、現政権が打ち出したほやほやの問題でありますので、なかなか具体的に答弁はできないかと思いますが、私なりの質問内容でお答え願いたいと思います。
 現政権が打ち出した規制緩和についてお伺いいたします。
 規制緩和に至った大きな理由として、日本の市場の閉鎖性の打破と、日本の物価と欧米諸国の間の内外価格差を圧縮することにあると言われております。そのため、規制緩和の実行は、大量の失業者を生じさせる反面、新規事業が創設され、その結果、日本経済はプラスの方向へ進むであろうと学者の方は述べられております。そのような観点から、新規事業が地方に及ぶ可能性とその対応について考える必要があります。
 日本も相当の輸入国でありますが、それ以上に貿易黒字を出している現状と内外価格差の是正を考えた場合、ますます輸入が進行するものと思いますけれども、地方における海外貿易の推進についてどのように考えておられるか。
 加えて、規制緩和により地方において新規事業としての海外貿易が実現し、港の活用も含めて第三セクター設立の機運が出てきた場合、県はどのように対応できるのか、商工労働部長にお伺いしたいと思います。
 次に、地域振興と地ビールの製造についてであります。
 情報紙によりますと、現政権が昨年打ち出した規制緩和策のうち、ビール製造免許の取得に必要な最低製造数量、年間二千キロリットルが六十キロリットルに引き下げられるようであります。一部の自治体関係者や地域おこしのグループの熱い注目を浴びている、これが実現すれば地酒と同じように個性ある地ビールが全国各地で誕生する可能性がある、新しい町おこしの材料にもなるとあって早くも原料の栽培に乗り出した地域もある、設備負担も大きく市場規模も限られているなど慎重論もあるが、関係者の期待が高まっているのは間違いない、とあります。
 今のところ、全国で十数カ所が名のりを上げておるそうですが、特に北海道斜里町では、農業振興と雇用の確保、観光振興などの複合的な地域経済活性化を念頭に入れて第三セクターで行おうとしており、年間百五十万人の観光客と地元消費量を合わせた千キロリットルのうち、二割の二百キロリットルを目標にしているとなっております。また既存の大手メーカーも、それぞれ社内で地ビール対策のチームを編成して今後の対応に備えているとのことであります。また、高知県窪川町では四万十川の清流を生かした事業として計画中であり、都道府県では、長野県がこの計画に手を上げているところであります。
 地ビール製造につきましては、全国各自治体の思いは皆同じで、町おこしや村おこしの地域活性化の一環として考えており、和歌山県下においても当然この計画に参画すべきものと思います。
 質問に当たって抽象論では話になりませんので、具体的に地域を指定し、企業的見地から提案し、答弁をお願いするところであります。ずばり申し上げて、熊野の水をビールに、すなわち那智の滝・源流の水ということになりましょうか。
 地ビールの製造につきましては、それほど簡単ではありませんし、企業として成り立つためには相当の努力が必要かと思いますが、地域活性化の目玉として地ビールが一番可能性があるのではないかと思っております。付加価値をつけて熊野の水が売れれば、この上ない活性化になるのではないかと考えます。
 それでは、地ビール製造に参加すべき理由として次の点を挙げたいと思います。
 第一に、全国にネームバリューのある那智の滝・源流の水として売り込み、那智勝浦町、新宮市、熊野川町を中心に東牟婁全域を対象として第三セクターを設置し、地域の活性化と雇用の拡大を図るというものであります。
 第二に、熊野三山、勝浦、川湯、湯ノ峰、瀞峡等を控え、観光客が相当数見込まれるため、地域での販売が大きく作用する地ビール業には有利と考えます。
 第三に、例えば熊野川町周辺に工場ができるとすれば、国道三百十一号の全面開通により白浜温泉も視野に入れることになり、それなりの体制ができれば拡大する余地が十分あると考えられます。
 以上の観点から、広域行政の推進とそれに伴う第三セクターということになれば県の指導が必要不可欠なものと考えますので、企画部長の見解を伺いたいと思います。
 なお、この質問に関連して、龍神村の水についても現状をお伺いしたいと思います。
 第三点、市田川の導水計画と浄化対策についてお伺いいたします。
 新宮市内を流れる市田川の浄化対策として、現在、国、県の事業として熊野川からの導水のための工事が進行中であり、市民の一人としてこの事業に大きな期待を寄せているところでもあります。
 質問の第一点は、この工事の計画内容と、水質浄化にどのように対応できるのか、土木部長にお伺いいたしたいと思います。
 第二点は、この導水だけでは水質浄化の全面的解決にならないと思いますが、この導水計画と並行して実施すべき対策があれば、この機会にお伺いしたいと思います。
 第三点として、環境問題に携わっている人が言うには、単に汚濁を薄めるだけでは下流あるいは海の汚染は変わらないではないか、もっと根本的な対応が必要ではないかとの指摘がありましたので、質問いたします。
 次に、四国四万十川支流琴平川を抱える高知県窪川町で大型浄化槽を川底に設置するという記事がありましたが、この設備が市田川に適用できないか、土木部長にお伺いいたします。
 参考までに状況を申しますと、次のようであります。
 琴平川は窪川町の中心市街地を流れ、約一千五百世帯の生活排水が流れ込んでいる。水は白濁し、悪臭を放ち、四万十川流域での最大の汚染源となっている。それを解消しようというものであります。
 川底に大型浄化槽を設置する設備の内容については、次のようになっております。支流合流点付近の川底に幅二・五メートル、深さ三・二メートルのコンクリート製の暗渠を長さ八十八メートルにわたって埋め、琴平川の流れをすべてくぐらせるというものであります。暗渠は内部を十七層に仕切り、沈殿槽に空気を送って一部の微生物を活性化させるブロア室、ろ過室をつくります。ろ過室には、木炭を加工したチャコールバイオ、シイタケのほだ木や落ち葉などの炭素系有機物ニトライトという鉱石の自然ろ材、ホスカットと呼ばれるプラスチック片のろ材を詰める。琴平川のBODは現在二二・五ppmであるが、ろ過後は四万十川でのBOD基準の二ppmまで浄化できるというものであります。
 以上につきまして、当局の明快なる答弁をお願い申し上げます。
 以上で終わります。
○副議長(町田 亘君) ただいまの上野哲弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 上野議員にお答え申し上げます。
 大きな時代の流れの中にあってこれに対処するためには地方においても常設のシンクタンクをつくったらどうかということでございます。
 県内では、総合的な研究開発等を行うために、県、市町村、県内企業等の出資によって財団法人和歌山社会経済研究所が昭和五十六年に設置されておりまして、現在、活発に調査研究を行っております。県下の市町村につきましても、長期総合計画の策定や地域活性化の政策形成に当たって、この社会経済研究所を広く活用しているわけでございます。今後とも、時代に合ったシンクタンクのあり方について検討してまいりたいと思います。
 また、そこまでのシンクタンクまでいかなくても、各地域において、市町村の企画、産業等の担当者で地域の振興策等についての会合を持つようにして検討を進めていくということも指導してまいりたいと思っております。
○副議長(町田 亘君) 商工労働部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) まず、地方における海外貿易の推進と第三セクター設立の機運が出てきた場合の対応についてお答えをいたします。
 和歌山税関において平成五年一月から十二月までに通関手続がなされた輸入額は二千二百八十二億円で、輸出額は千五百億円と、輸入額の方が大きく上回ってございます。このうち、新宮港では輸出はなく、輸入額は二十九億八千五百万円で、輸入品目はすべて木材関係となっております。
 地方における貿易の拡大については、輸出入に適した産品等が必要であり、貿易産品の開発を目的とした第三セクター設立等の機運が醸成された場合、その動向を見きわめながら対処してまいりたいと存じます。
 続いて、龍神の自然水についてお答えいたします。
 龍神の自然水の販売状況についてでございますが、ふるさと産品の掘り起こしによる新たな産業の創出と雇用の拡大を目指し、財団法人龍神村開発公社で製造・販売されてございます。平成四年度の水の売上高は約二千四百六十万円と聞いてございます。今後とも、龍神村並びに同財団法人とも協議しながら販売促進について支援してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(町田 亘君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 地域振興と地ビールの製造についてのご質問にお答えいたします。
 現在、県では、熊野地域の将来を担う青年たちの参画を得て、観光部会や農業部会など六つの部会で構成する研究会等を通じ、広範多岐にわたるご意見を伺いながら熊野地域活性化計画の策定に取り組んでいるところでございます。
 とりわけ、地域の個性的な資源を生かした活性化方策については熱心に検討していただいているところでございまして、熊野の伝統文化のイベント化や熊野グッズの商品化、熊野探訪ツアーの事業化などが議論されているところでございます。
 議員ご提案の、熊野の水を使った地ビールの製造につきましては、地元の皆様方とともに研究会において議論を深めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 新宮市市田川の導水計画と浄水対策について、一括してお答えをいたします。
 現在実施中の市田川河川浄化対策事業の概要についてご説明をいたします。
 本事業につきましては、建設省事業として、新宮川本川から揚水機により浄化用水を市田川上流に導入する事業と、県事業として、導入された浄化用水の一部を浮島川及び浮島の森に導水する事業から成っております。これにより、市田川、浮島川の現状水質、BODで二十ないし五十ミリグラム・パー・リッターを大幅に改善できるものと思います。
 ご指摘のとおり、湖、湾などの閉鎖性水域に対する浄化対策としては負荷量の削減が必要であり、希釈対策である浄化用水の導入では閉鎖性水域の汚濁対策としては不十分であります。しかしながら、幸いにも新宮川河口部及び周辺の海域では市田川合流点部を除けば良好な水質状況を保っており、現在の市田川の浄化対策で対応できると考えております。
 次に、議員ご提言の河川内大型浄化施設の市田川への適用についてでございますが、一般的に汚濁負荷を減少させる浄化対策については、河川に流入する前の少量・高濃度で対処することが効率的であり、下水道整備が基本となります。また河川内の施設については、洪水等の流水の影響を受けやすく、維持管理上、課題がございます。
 さらに、市田川は勾配が緩く、海水の影響を受けていること、地盤が軟弱であることから浄化効果や施設の施工に大きな問題があり、同様なものをそのままここに適用するということは難しいと考えております。
 今後、さらに市田川の環境改善に向け、国、県、市が協調して浄化対策の勉強を行うとともに、住民の河川環境意識高揚のために諸活動を行ってまいりたいと考えております。
○副議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 18番上野哲弘君。
○上野哲弘君 企画部長、地ビールについては最近の話で、なかなか詳しい情報もないかと思いますし、企業ですから、そう簡単にいくものでないことは百も承知で申し上げているのですが。
 一般的には、ビールが一本千円ぐらいになるんじゃないかという話も聞いています。実は酒造メーカーにちょっと聞きますと、今、一升が二級の小売で千五百四十円らしいのですが、それがメーカー出しで千円ぐらいじゃないかという話です。それを単純に割りますと、大瓶一本が六百三十三ミリリットルですか、そういうことになると三分の一ということになりますので、千円という判断はちょっとオーバーではないかと、そのような感じを持っているわけです。そういう面で、大手あるいは商社や各地の自治体のいろんな情報がこれからどんどん出てくると思いますが、物になるかどうか、ぜひ研究していただいて、できればそういう形でひとつ推進していただきたいと思います。
 それで、本来ならここで要望で終わるんですが、六月に再度このことを質問いたしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それと、海外貿易という問題も規制緩和の中で申し上げたのですが、例えばビールの原料は、日本の場合、世界のあれからすると三倍以上かかるみたいです。今もちょっと聞きますと、農家で買い取るのが十六万ぐらい、メーカーに売るのが、食管になっているので三万二千五百円。十六万で買い入れて三万二千五百円で売るというむちゃくちゃなことをやっており、規制緩和も出てくると思うんですが、これからますますこういう面で、海外での格差是正のために、そういう貿易が含まれてくるんじゃないかと。そういう面で、港の利用もあわせてこういう面にもひとつ目を向けていただきたいと思います。
 それと広域行政なんですが、市町村の数は、幕末以後、七万一千四百九十七という数字になっているみたいです。それが、明治二十二年の市町村合併で一万五千八百五十九となり、現在では三千二百三十五の市町村が存在しているみたいです。やっぱり時代も違いますし、これから広域行政というのが非常に重要になってくるんじゃないかと。そういう面で、どうしても単なる縦割り行政じゃなしに横の連絡とかいろんな面で県の指導が必要じゃないかと思いますし、できるだけ地域の皆さんが一緒になってできる形をこういう事業にも生かしていただきたいと、そのような思いがしてそういう質問をいたしました。
 今後ともぜひ県当局のご指導をお願いしまして、質問を終わります。
○副議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で上野哲弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(町田 亘君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十八分散会

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