平成6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(吉井和視議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成六年三月十四日(月曜日)

 午前十時四分開議
○議長(宗 正彦君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(宗 正彦君) 日程第一、議案第一号から議案第七十五号まで、並びに知事専決処分報告報第一号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 2番吉井和視君。
 〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 それでは、通告に従って一般質問をさせていただきます。
 戦後半世紀を経過して世界における日本というものが注目される今日、我が国では経済発展とともに国民生活において「ゆとり」や「豊かさ」という言葉が各方面で取り上げられ、大手企業を中心に週休二日あるいは週休三日時代を迎えるようになりました。このゆとりと豊かさの中で、国民は家族や友人とともに過ごすレジャーやリゾートといった点について思考する時代に入ったことは、だれもが認めるところであります。
 そこで、レジャーとリゾートについての質問をさせていただきます。
 大阪にはみさき公園やエキスポランドといった大型レジャーランドがあるほか、奈良にはドリームランド、兵庫には東条湖ランドや宝塚ファミリーランドなどといったように、近畿各地には数多くの大型レジャーランドがあります。このような大型レジャーランドは我が和歌山には白浜アドベンチャーワールドだけで、これにしても動物がメーンのレジャーランドと言えます。
 我が和歌山県は京阪神といった大都市圏に近接している上、県内にはこの京阪神地方にはない、自然環境に恵まれた美しい海や山を初め、温泉、それに高野山や熊野文化といった歴史的な文化遺産を有しております。これまでの和歌山県の観光施策は、こういった温泉をPRしたり高野山や熊野観光をPRしたりするだけの観光振興行政を展開してきたと言っても過言ではありません。しかし、仮谷県政におかれましては、関西国際空港の開港に伴い、これからの観光リゾートがどうあるべきかを踏まえ、世界リゾート博を契機とした和歌山マリーナシティの建設を決意した点については、仮谷知事の先見性と和歌山の今後のあり方を十二分にとらえたものと高く評価するところであります。
 細川政権が誕生して以来、景気の動向は上向きする傾向が全く見られない中、さきに述べた大型レジャー施設の誘致といったものは、県では和歌山マリーナシティの建設を除いてかなり難しいものがあると思われる昨今でありますが、我が県政は、こういった大型レジャー施設の誘致といったものは絶対避けて通れないものだと私は認識いたしております。なぜならば、このレジャー施設自体、人が集えばその周辺も含めての経済波及効果ははかり知れないものがあると同時に、地域もしくは和歌山県全体のイメージアップにつながるからであります。
 そこで、まず大型レジャー施設の条件の一つである道路網について、さきの近畿自動車道の大阪直結に合わせて来月には阪神高速湾岸線の和歌山直結といった、観光リゾート立県和歌山を売り出すには格好の条件が整ったと言っても間違いないと言えます。
 また、県内各地の観光リゾート振興をどのように位置づけしていくのかというこれからの県行政の課題についてでありますが、和歌山の観光と言いますと、まず、これまで同様、温泉を生かした白浜や勝浦での観光振興が挙げられるほか、歴史や文化遺産を生かした高野山や熊野観光振興も大きな柱の一つと言え、このように地域の特性を考え、地域のバランスを考えながらの観光振興が県の観光行政の重要な施策と思います。
 そこで私は、そういったものと比較的縁の薄い、有田地方を中心とした中紀地方の観光施策についてのお考えをお伺いしたいと思います。
 平成三年、財団法人和歌山社会経済研究所が創立十周年を記念して行った「ふるさとに生きる─地域の活性化を目ざして」をテーマに記念論文を募集したところ、県内外から多くの論文が寄せられ、二十一世紀を目前にした和歌山のあり方などをとらえた作品が多くあったと聞きました。
 この中で私が最もユニークだと思ったのは、県職員である佐々木利純さんの作品で、優秀賞として選ばれたものであります。この作品は、市民がゆったりと楽しめる、これまでにない植物園づくりを提唱したものであります。「PLANT WORLD」と名づけられているこの植物園は植物公園を中心に構成されるものですが、レストランやショッピングプラザを兼ね備え、しかも植物自然環境についての情報も市民に提供できる施設で、子供からお年寄りまで幅広く、各世代が楽しめるような設計が練られております。この発想・構想がこれから迎えるゆとりや豊かさを求める時代に大変マッチしたものと、私も考えを同じくするものであります。それは、京阪神の大型レジャーランド自体が市民にどのようなものか既に知れ渡り、マンネリ化している中、週休二日時代を迎えて家族連れを中心とする人々がゆったりとしたレジャーを楽しむ時代となり、県内にもアウトドアブームが押し寄せてきているからであります。
 また、私の住む有田地方の観光リゾートの推進でありますが、有田川が流れ、京阪神からも近く、自然環境に恵まれた有田地方は、大規模レジャー施設の誘致が図りやすい場所であると考えております。有田地方には日本一のミカンといった特産物があるほか、ブドウなどの果物栽培や花卉栽培が盛んに行われているところであります。しかし、ミカン栽培をめぐっては、オレンジの輸入自由化が行われ、全国各地で産地化が進められ、PR合戦も過熱する中、ミカン農政の新たな展開が求められてきております。有田地方のミカン農家は、観光ミカン園を設けて京阪神からのミカン狩り客の誘致を図っておりますが、これも広告PR費用は各自で負担するなど、かなりの経営負担を迫られているのが現状だと言えます。
 そこで私は、ミカンを中心とした、有田地方の果物や花卉などを収穫できたり観賞できる大型観光農園形式のレジャー施設の設置を考えてはと思います。家族連れから一般市民まで、京阪神で購入するよりも安い果物や野菜、花卉を買い求めてもらったり、サイクリングをしながらこれらを収穫してもらったり、花を観賞してもらったり、あるいは果物を食べたり飲んだりするフルーツランドを設置するなどして、ゆったりと自然を満喫しながら有田地方の一日を過ごしてもらうということであります。
 そこで、このような大型レジャー施設は、県や地元を初めとする第三セクターの資本参加で、官民が一つとなって、これからの有田をどうするかを考えて運営に当たってはどうかと思うのであります。
 幸い有田地方は、世界リゾート博開幕までに御坊湯浅道路の広川町井関インターが開通するほか、JR紀勢線には広川ビーチ駅も設置され、こういった施設を誘致するには格好の条件が整ったところと言えます。また、この大型レジャー施設が積極的なPR展開を図り、有田に行けばミカンを初め果物や野菜、花卉がそろっているという宣伝効果を発揮させることによって、この大型レジャー施設だけでなく周辺の観光農園にも行楽客が数多く足を運ぶほか、既存の観光農園が負担を強いられているPR費用なども節約できるといった波及効果も見られると思います。
 これまで、県は製造業を中心とした企業誘致を積極的に展開されてきましたが、こういった製造業がハードとしたら、このような大型観光農園誘致はソフトと言ってもよいと思います。二十一世紀を控えてこういったソフト面での企業誘致にも積極的に取り組んでもらいたいと思いますが、関係部長に今後の取り組みについてお伺いいたします。
 なお、この際、知事に対しては、有田地方を中心とした地域振興策の将来ビジョンについてのご所見をお伺いいたしたいと思います。
 「政治は身近なところから、天下・国家は足元から」という私の政治姿勢に基づきまして、身近な問題に大きな問題が隠されていることについて、今から質問をさせていただきます。
 戦争が終わって既に半世紀がたち、現代の平和の礎を築いてくれた方々のことを、ともすれば我々は忘れがちになっていることがあります。首相や閣僚の靖国神社への公式参拝ですら議論されなければならないことに対して、私は大変残念に思います。同時に、戦争により肉親を亡くした遺族、そして戦後苦しんでこられた年月を思うとき、まだまだ我々がしなければならないことがあるように思います。戦争において生計の中心者を亡くした遺族に国が責任を持って生活を保障することは当然であり、国の援護事業そのものでもあります。
 現在、戦没した遺族に対して、恩給法上の公務扶助料として年に百八十万円程度の給付金が支給されております。またさらに、昭和三十八年度からずっと現在も続いておりますが、戦没者の妻に対して十年国債で特別給付金が支給されております。
 そこで、公務扶助料の受給資格について私は大きな問題があると思うので、ただしてみたいと思います。
 それは、一たん戦没者の妻が再婚すると受給資格を失い、その後、どんな変化があっても受給権が戻らないということであります。具体的な例でお話をさせていただきますと、昭和十九年、ある人の夫がサイパンで戦死し、幼い子供を抱えて生活することができないので、戦後の昭和二十四年に再婚したのであります。このまま幸せな生活をずっと送れば問題がないのでありますが、数年して、昭和三十一年に死別するわけであります。参考までに、戦後、恩給法が一時廃止され、復活したのが昭和二十八年からであります。この妻には公務扶助料も何も支給されないわけであります。配偶者が婚姻したり遺族以外の養子になったときには権利が消滅するということで支給されないわけであります。知事は心情的にどのように思われますか。そのことをお尋ねしたいと思います。
 私は、古い家制度が強く残っているように思います。戦争犠牲者の苦しい生活を助けるというよりも、家そのものに恩給を支給しているという感じが強くしてならないわけであります。遺族は、その人が生きている限り遺族であります。このような妻に対して国は遺族として恩給法上取り扱っていただきたいと思うのでありますが、知事のご見解をお願いいたします。また、県の援護事業として特別の対策が考えられないものか、お尋ねいたします。
 次に、産業廃棄物対策についてお尋ねいたします。
 産業廃棄物の処理については、いずこも同様に、その処理について行き場のない問題として混迷を深めております。最大の問題は、廃棄物の処理場の確保という最終出口の問題であります。
 国においても、「フェニックス計画」という夢のあるネーミングで十三年前に広域臨海環境整備センター法をつくり、廃棄物を埋め立てて新しい国土をつくるという計画をしたのであります。現在、大阪湾において計画進行中であり、廃棄物の処分に困る本県についても環境保全公社の後継処分場の確保が困難であり、西防埋め立てが終了する平成八年からこのフェニックス処分地に向かう方針であると聞いております。
 このフェニックス計画処分場に船で運搬するための積み出し基地を事業主体である大阪湾広域臨海環境整備センターが建設するわけでありますが、現在、積み出し基地の建設事業についてはどのように進捗しているのか、まずお尋ねいたします。
 フェニックス計画の処理対象区域は四市十町に限られ、無制限にすべての廃棄物を受け入れてもらえるわけではなく、また県内で発生するものは可能な限り県内で処理すべきであると考えます。
 産業廃棄物の処理については、排出業者の責任において適正に処理すべきものと処理法でうたわれているが、地球環境の保護という観点からすれば、もはや法に言うところの業者責任だけで突き放してしまうと適正処理を確保することが大変困難であり、適切な公共関与がぜひとも必要であると考えます。
 そこで、産業廃棄物処理における役割についてお尋ねいたします。
 長期的な処理計画についてどのように取り組むのか、また処分場の確保ということから、その必要性に理解を得るための県民の啓発が必要と思われますが、どのように取り組みを考えておられるのか、さらに廃棄物の技術管理者の育成はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
 また、廃棄物の問題は資源問題や産業政策として取り扱わなければならないもので、平成三年にリサイクル法・再生資源利用促進法が制定されております。リサイクル行政は県民や企業にごみの減量化や再生利用を促進するものであり、大変重要な近代行政の一つでもあります。現在、このリサイクル法を運用推進する部局は保健環境部であると思いますが、今後、リサイクル産業は大いに成長が期待できる分野であり、リサイクル産業の育成という産業政策として位置づけてこの行政を推進するためには、専門のリサイクル産業課というような部署を総合計画的な企画部あるいは産業部門である商工労働部に設置されてはどうかと思うのであるが、いかがでありますか。また、現在行われているリサイクル行政への取り組みについてはどのようになっておられるのか、お尋ねいたします。
 本年から高校入試において、和歌山高校に定員二百名の総合学科クラス、五クラスが新設されました。これは生徒の進路や個性に応じたもので、時代のニーズにこたえた体制であり、大変すばらしいものであります。その科目の内容は、高等学校必履修科目と総合学科必履修科目、総合選択科目とになっており、その中で予定されている総合選択科目は、情報科学系、工業技術系、流通管理系、美術・工芸系、健康・体育系、語学・文科系、自然科学系とさまざまな単位科目があり、生徒が意欲的に学習し、進路にも実践的にも役立つものと大変期待するものであります。
 そこで、何点か質問をさせていただきます。
 本年は和歌山高校だけとなっておりますが、県内の各地域への対応はどうするのか。
 平成四年の十二月議会で私は、県立高校に福祉科あるいは福祉のカリキュラムを持った学科を設置すべきであると質問したのに対し、西川教育長は答弁の中で、「福祉関連学科の設置については、時代や社会のニーズ、地域や学校の実態等を踏まえ、福祉や介護等を学習する福祉系のコースを含めた高等学校における新たな総合学科設置構想との関連の中で多面的に研究してまいりたい」と答えられておるわけでありますが、その多面的な研究過程と成果についてお答えください。また、今後の方針についてもお尋ねいたします。
 新しい学科創設と同時に、時代や社会のニーズに応じた魅力ある学科づくりをしなければならないと考えます。従来の学科についても見直し検討が必要であると思いますが、いかがでありますか。
 例えばの話でありますが、吉備高校の柑橘園芸学科であります。ミカン産地和歌山にとってはなくてはならない特色のある学科であると思いますが、最近の状況では専業・兼業農家の師弟が半数となっており、魅力に欠ける学科になっているのではないか、魅力ある学科づくりという観点から見直し検討の時期に来ているのではないかと考えますが、教育長はどのように考えられているのか、お尋ねいたします。
 一芸入試を実施するという新聞記事を読んだこともあり、ことしから高校入試の判定がかなり改善されたと聞いております。昨年の六月議会で私がボランティア活動を入試の合否判定に加えていただきたいと要望いたしており、積極的に評価するあり方を研究するとの答弁がありましたが、この点も含め、改善された内容をお伺いしたいと思います。また、推薦合格者は昨年に比べ三〇%強増加しておりますが、今後、推薦入試はどのような方針で行くのかをお尋ねいたします。
 以上であります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 吉井議員にお答え申し上げます。
 有田・日高地方の振興についてでございます。
 これまでも高速道路の整備や関西国際空港の開港のインパクトを活用して、有田定住圏においては有田オレンジインダストリアルパークの形成、日高定住圏については御坊田園テクノタウンの形成を核とした、調和のとれた、活力と潤いのある新しい町づくりを推進してまいっているところでございます。
 特に観光面におきましては、国道四百八十号や本年度完成予定の白馬トンネルなどの道路を整備するとともに、高野山、龍神、白浜、本宮、新宮と連携を密にいたします。また、有田・日高の湾岸道路を現在積極的に進めているのでございますけれども、そのすばらしい自然海岸を持つ湯浅湾、白崎海岸、日高湾を全国的に宣伝してまいりたいと思っております。
 話ございましたように、昨年、広川町に駅が開設いたしました。また、高速道路に結びつけるための農免道路が本年に完成する予定であり、絶好の機会ではないかと思っております。
 また、議員からご提言のあった当地域は先端的な農業経営を行っているところであり、全国的に有名な有田ミカンを初め、諸農園がございます。また、花などの活用も新しい観光振興の上で非常に重要な課題であると思いますし、お話ございましたフルーツランドの大規模な農園の形成はこれからの重要な課題になってくると思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、高速道路の開通によって有田・日高地域は京阪神大都市圏から一日レジャー圏ということになり、観光開発のポテンシャルは大変高まっておると考えますし、こうした条件を活用して積極的に観光の振興策を図ってまいる所存でございます。もちろん、企業誘致、農業・林業・水産業についても、この機会に進めてまいりたいと思っております。
 次に、恩給法の課題でございます。
 お話のございました公務扶助料につきましては、援護行政の重要性を改めて痛感しているところでございまして、再婚によって受給権利を失った配偶者の権利回復は、議員ご承知のとおり、非常に難しい問題であると私も認識しているところでございます。
 私も、議員お話しのその心情は十分理解できるところでございますので、県内におけるこうした方々の特別な実情を国にお伝えし、理解を得られるように今後努力してまいりたいと思っております。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 紀中地域のリゾート構想についてのご質問にお答えいたします。
 有田・日高地方は全国有数のシェアを誇る有田ミカンやしょうゆといった豊富なグルメ資源を有するとともに、白崎海岸など、従来から観光・レクリエーションゾーンとして広く親しまれてきたところでございます。
 このような地域の特性を生かして県では燦黒潮リゾート構想を策定し、西有田・白崎地区として、その地でとれた果物を味わうことのできる観光農園や釣った魚を料理して楽しむなど、味覚体験型リゾート空間の創出をテーマにその推進に努めているところでございます。
 一方、豊かな自然や生活文化等を生かした地域資源活用型のリゾート整備が再認識されてきている状況の中で、県では、去る二月二十三日、二十四日の両日、国土庁と共同で「自然・地域文化とのふれあいリゾート」国際シンポジウムを開催いたしました。このシンポジウムでは、ルーラルツーリズム、すなわち農山漁村を舞台とした手づくりのリゾートのあり方について有意義な提言がなされたところでございます。
 このような視点から有田・日高地方を見ますと、コスモスパークやミカン園など豊かな自然を有し、ルーラルツーリズムの実現可能性の高い地域であると認識してございます。県といたしましても、地域の機運の高まりを得て、観光農園等、地域資源を活用したリゾート整備の推進に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 観光振興とレジャーランドの誘致についてお答えをいたします。
 最近の観光の動向は、従来からの景勝地や神社仏閣などを訪れることに加えて、観光農園やキャンプ、スキューバダイビングなど、アウトドア志向を初め、その地域独特の産業や文化などを求める傾向にございます。そうしたことから、新しい観光資源の開発には地域の文化や特色ある産業との結びつきが重要な要素でございます。
 有田地方の観光形態は、海水浴や釣りを初め、全国に聞こえたミカンを中心とした果樹の観光農園、みそ・しょうゆなどの伝統産業もございます。
 現在、高速道路によるアクセスも整備され、京阪神から訪れやすい条件が整っていることから、今後、観光客の増大が大いに期待される状況にあり、議員ご提言のレジャー施設は観光ニーズに沿ったものでございますし、観光の振興に大きな役割を果たすものであると存じます。
 いずれにいたしましても、ご提言の趣旨については、今後、関係部局や地元の意向等を踏まえ、研究してまいりたいと存じます。
 次に、リサイクル行政の取り組みについて答弁をさせていただきます。
 産業活動から発生する廃棄物の処理については重大な課題であると認識しており、現在、工業技術センターでは、皮革産業の製造工程で発生するシェービングくずなどのたんぱく質を主成分とする天然高分子を原料とする生分解性プラスチックを製造する研究を行うとともに、平成六年度より近畿地域の公設試験研究機関との共同研究で高分子系産業廃棄物の高度利用技術に関する研究にも参加することといたしてございます。
 また、民間企業が協同組合等を組織して取り組んでいるものとしては、木材産業で大量に発生するおがくず等の植物性の物質を原料として生分解性プラスチックを製造する研究や繊維産業から発生する繊維くずを炭化して新商品を開発する研究等がございますが、いずれも工業技術センターの技術力に大学等の支援もいただきながら共同して研究を進めているところでございます。
 また中小企業情報センターでは、平成五年七月からエネルギー使用合理化設備導入促進指導事業を実施するに当たり、エネルギー使用合理化相談員を設置したところでございます。
 さらに、エネルギーの再生資源の利用等、エネルギー環境問題への対応を図る際に必要な情報を収集・蓄積するとともに、これらの情報を中小企業者等に提供することについても研究をしてまいりたいと考えております。
 なお、環境関連産業については将来的な発展が期待されているところであり、今後とも国の施策の動向を踏まえ、適切な対応を行ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 民生部長南出紀男君。
 〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 吉井議員の恩給法についてのご質問にお答えいたします。
 先ほど知事からもお答えしたところでございますが、恩給法における公務扶助料は、軍人等が戦病死した場合に、その軍人等によって生計を維持し、または生計をともにしていた配偶者を先順位者として、続いて未成年の子、父母等の順序で支給されることになってございます。また、配偶者が再婚した場合には恩給の受給権が消滅し、次の順位者に継承されることになります。
 しかしながら、先ほどの例でお話のありましたように、ご主人の戦死、恩給法の廃止、再婚、死別という大変なご苦労を考えると、その心中は察して余りあるものがございます。県といたしましては、議員のお話のこうした特別の実情を国にお伝えし、支給範囲の拡大を強く要望いたしたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 吉井議員ご質問の、産業廃棄物対策のフェニックス計画における積み出し基地についてお答えいたします。
 フェニックス計画の積み出し基地につきましては、平成六年度に調査と設計を行い、平成七年度に建設工事に着手し、環境保全公社の処分場が終了する平成八年九月から運用開始できるよう準備が進められてございます。そのため、現在、関係する地元に計画の趣旨等について説明を行っているところでございます。
 続きまして、廃棄物処理における役割の長期的な取り組みについてでございますが、長期的な産業廃棄物処理のあり方につきましては、現在、産業廃棄物処理計画を策定中であり、三月末に公害対策審議会から答申をいただく予定で作業を進めてございます。その中で、産業廃棄物の発生から処理・処分に至る過程を示し、それぞれの過程における関係者の役割を明らかにする考えでございます。
 次に県民啓発についてでございますが、産業廃棄物の最終処理場につきましては、土地利用に関する各種の規制や地域住民の反対運動等によって全国的に設置が困難な状況にございます。
 議員ご指摘のとおり、廃棄物行政への理解と協力が得られるよう、また産業廃棄物処理施設の設置が円滑に進められるよう、県民に対して産業廃棄物に関する正しい知識の普及啓発に努める必要があると認識してございまして、今後、適切な内容や方法等について検討してまいりたいと考えております。
 続きまして、技術管理者の育成についてでございますが、最近の廃棄物処理施設は高度に機械化されており、その操作について相当高度な知識及び技能が要求されてございます。そのため、平成四年に改正施行された廃棄物処理法では、廃棄物処理施設の設置者に対し技術管理者を置くことが義務づけられたところでございます。
 技術管理者の資格を取得するためには、財団法人日本環境衛生センターが実施する厚生大臣認定講習を受講していただき、資格を取得する必要がありますので、関係の事業者に対し、この制度の周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
 最後にリサイクル行政について、専門部署の設置とリサイクル行政の取り組みについてお答えいたします。
 年々ふえ続ける廃棄物を減量し、資源やエネルギーのむだをなくし、環境を保全する上でリサイクルを推進することは極めて重要であると認識してございます。平成三年に制定されたリサイクル法では、鉄鋼スラグや建設副産物等、リサイクルを進めるべきものが指定され、それぞれの主務大臣が定めた基本方針のもとに関係者が役割を分担して取り組むこととなってございます。県としては、法の趣旨を受けて、商工労働部ほか関係部局が分担して関係の事業者を指導しているところでございます。
 専門部署の設置とのご提言でございますが、当面は保健環境部が推進の窓口となり、関係部局が連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 総合学科の設置検討など、四点についてお答えいたします。
 ご承知のように、急速な社会の変化の中で、新しい学校教育の創造に向け、大きく前進していく必要があると考えてございます。こうしたことから、教育委員会といたしましては、子供たちが生涯を通じて個性を発揮し、たくましく生きていく力をはぐくむ教育を目指し、積極的な教育行政を推進しているところであります。その施策の一つとして、生徒の特性を最大限に伸ばす新しいタイプの学校として期待されている総合学科を平成六年度に和歌山高校に設置することといたしました。
 総合学科の今後の設置計画につきましては、和歌山高校における総合学科の教育成果を踏まえ、また全県的な適正配置等を考慮し、長期的展望に立って検討してまいりたいと考えております。
 議員ご指摘の福祉系の学科、コースの設置につきましては、高齢化社会や核家族化などが進展する中で福祉の心をはぐくむ教育が重要であることから、これまで、各学校における教育課程上の工夫、学科の新設及び総合学科設置構想など、さまざまな角度から検討してまいりました。こうした中で、生徒のニーズや設置に伴う看護系専門科目の指導教員の確保、介護実習のための施設設備など多くの課題があり、さらに慎重な検討が必要であると考えております。
 今後とも、各学校や総合学科において、教育課程の中で福祉関連科目を開設することについて引き続き研究してまいります。
 次に、魅力と特色のある学校づくりについてでございますが、これまで、時代のニーズや地域の実態などを踏まえ、職業学科において、電子機械科や情報処理科など、特色ある学科の新設・改編に取り組んでまいりました。特に農業関連学科においては、本県が全国に誇れる梅やミカン、柿、木材等の生産地であるという特色を生かして、森林科学科や生産技術科を設置してきたところであります。
 今後とも、地域産業の振興にもこたえることができ、生徒が目的意識を持って学び、この学校で学んでよかったと言える魅力ある学科づくりに取り組んでまいる所存でございます。
 最後に高校入試についてでありますが、これからの社会では、単なる知識ではなく、思考力、判断力、表現力など、生きて働く学力が求められてございます。こうしたことから、今回の入試改善におきましては、学力検査の成績や調査書の評定に偏ることなく、ボランティア活動を初めとする学校内外での生徒の諸活動等を合否判定において積極的に評価することとしております。
 また推薦入学においても、生徒の適性や希望をより生かすため、調査書を重視したり、実技、口頭による検査などを実施できるようにするとともに、推薦入学枠を原則としてこれまでの四〇%程度から五〇%程度を標準とするなど、さまざまな改善を図ったところであります。
 なお、推薦入学の今後の方向につきましては、本年度実施する入試改善の成果を踏まえながら対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 2番吉井和視君。
○吉井和視君 ご答弁、ありがとうございます。
 まず、レジャーランドの建設であります。景気が今後上向きということになれば、全国的にも、また県内でも新たなそういうリゾート構想というのが浮上してくると思いますが、特に有田を中心とした、また日高を初めとする中紀地方の観光リゾートについては、今までにない新しい発想で、知恵を絞り、いろんな地域の特性を生かしたリゾートを推進していただきたい、そのように思います。
 また、一遍にできないと思いますが、一番おくれておる中紀地方の観光についてのそういったプロジェクトチームというようなものを設置する際には、地元の人たちと一緒に考えるような機関をつくっていただければと、そのように思います。
 次に、恩給法の問題についてであります。私が特に言いたいのは、戦争が終わって昭和二十八年までの間、国力が一番の理由なんだろうと思いますけれども、恩給法の適用がなかったと。その間に子供を抱えて食べていけない、どうしても生活することができないということで再婚したような人には非常に気の毒に思います。
 そこで、知事に特別にお願いしたいわけなんですけれども、知事さんが県単独事業で特別福祉援助費ということで特援を支給されておったわけですが、そういったところへも光を当てていただきたい。そのことをお願い申し上げます。
 最後に教育長にお願いしたいのですけれども、私は福祉学科の福祉コース、専門コースというものを昨年十二月に質問させていただいて、教育長の答弁をいただきました。それで私は、ああ、今度の総合学科構想の中には福祉学科、コースというのができるなと、そういう強い期待感があったわけです。ところがあけてみると、それがなかった。我々はただ単に質問しているわけではないんです。広く県民の意見というものを集約して、この議場の中でそういうふうに質問をさせていただいておるわけであります。そして、そういう答弁をいただいたら、ああできるなということをまた県民に訴えるわけです。今度はできますよということで。だから、感じのいい答弁をしていただいたことについてはできるだけ何らかの形でやっていただきたい、そのように要望いたしまして、これで質問を終わらせていただきます。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。

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