平成6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第四号 平成六年三月十一日(金曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第七十五号まで、及び報第一号(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第一号から議案第七十五号まで、及び報第一号(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十三人)
 1 番 小 川  武
 2 番 吉 井 和 視
 3 番 井 出 益 弘
 4 番 和 田 正 一
 5 番 町 田  亘
 6 番 尾 崎 吉 弘
 7 番 岡 本  保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 向 井 嘉久藏 
 10 番 佐 田 頴 一
 11 番 阪 部 菊 雄
 12 番 堀 本 隆 男
 13 番 平 越 孝 哉
 14 番 富 田  豊
 15 番 門  三佐博 
 16 番 西 本 長 弘
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 上 野 哲 弘
 19 番 宇治田  栄 蔵
 20 番 尾 崎 要 二
 21 番 中 村 利 男
 23 番 山 本  一
 24 番 馬 頭 哲 弥
 25 番 鶴 田 至 弘
 26 番 飯 田 敬 文
 27 番 村 岡 キミ子  
 28 番 松 本 貞 次
 29 番 下 川 俊 樹
 31 番 宗  正 彦
 32 番 橋 本  進
 33 番 浜 田 真 輔
 34 番 冨 安 民 浩
 35 番 上野山 親 主
 36 番 中 村 裕 一
 37 番 和 田 正 人
 38 番 大 江 康 弘
 40 番 木 下 秀 男
 42 番 森  正 樹
 43 番 野見山   海
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 本  収
 46 番 森 本 明 雄
 47 番 浜 口 矩 一
欠 席 議 員(一人)
 39 番 中 西 雄 幸
 〔備 考〕
 22 番 欠 員
 30 番 欠 員
 41 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口  勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 中 西 伸 雄
 総務部長 木 村 良 樹
 企画部長 佐 武 廸 生
 民生部長 南 出 紀 男
 保健環境部長 江 口 弘 久
 商工労働部長 吉 井 清 純
 農林水産部長 野 見 典 展
 土木部長 山 田  功
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長職務代行者
   上 野  寛
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員 山 階 清 弘
 警察本部長 西 川 徹 矢
 以下各部長
 人事委員会委員長
   水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長職務代理者
   谷 口 庄 一
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 梅 本 信 夫
 次 長 中 村  彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 長 尾 照 雄
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 川 端 孝 治
 調査課長 岡 山 哲 夫
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時三分開議
○議長(宗 正彦君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(宗 正彦君) 日程第一、議案第一号から議案第七十五号まで、並びに知事専決処分報告報第一号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 44番新田和弘君。
 〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長よりお許しをいただきましたので、一般質問並びに質疑を行います。
 まず初めに、平成六年度の当初予算と財政問題についてお尋ねをいたします。
 平成三年に始まった景気後退局面は既に三十五カ月目に入り、戦後の最長記録三十六カ月を塗りかえかねない厳しい経済情勢にあります。民間調査研究機関の平成六年度の実質経済成長率予測では、低い方でマイナス〇・四%、高い予測で一・六%成長と分かれております。平成五年度はほとんどの見通しがマイナス〇・一%からマイナス一・一%とマイナス成長を予測していましたが、六年度は年度後半には財政、金融面からの景気対策の効果が浸透することにより低成長ながらプラスに転じるとの見通しを示しております。
 政府は、総合経済対策として五年度の第三次補正予算を含めて総額十五兆二千五百億円を二月に成立させ、引き続き、六年度の経済成長見通しを実質で二・四%と設定する六年度当初予算一般会計七十三兆八百十六億六千九百万円、財政投融資計画三十九兆四千八十二億円を提案し、五年度の三次補正予算とともに十五カ月予算と位置づけ、景気浮揚を図ろうとしております。実際に景気対策となる公共事業費は、六年度当初予算では八兆九千八百四十六億円、三次補正予算の一兆六千四十五億円を合わせると総額十兆円を超える規模に達するわけであります。さらに、国民の消費を喚起するため、所得税、住民税の二〇%減税を含む総額六兆円の減税が盛り込まれました。
 本県は、国の総合経済対策を受け、二月補正予算二百十億七千五百万円の計上と、世界リゾート博と関西国際空港開港の年を迎え、「のびゆく県土づくり」「すこやかな社会づくり」「やさしい生活環境づくり」「こころ豊かな人づくり」「たくましい産業づくり」の五つの政策目標を基本に、平成六年度当初予算一般会計五千三百四十三億一千八百万円、特別会計、企業会計合わせて千五百四十九億六千五百九十一万九千円が提案されております。一般会計の伸び率は八・九%で、NTT債繰り上げ償還分二百三十九億七千三百万円を除くと四・〇%となりますが、地方財政計画の伸び率三・六%をいずれも上回った予算となっております。
 しかし、長引く景気の低迷で県税収入は八百七十一億円と前年比六・二ポイント減となっています。本年の減税分を除いても三ポイント減となり、初めて三年連続して県税収入が前年を下回る状況にあります。このため、財政調整基金から百億円、県債管理基金から百七十七億円、合計二百七十七億円の取り崩しを行い、さらに減税補てん債二十九億六千九百万円、財源対策債七十一億七千万円など、総額六百十九億六千六百万円の県債を発行するという厳しい財政状況にあります。
 本県では、こうした厳しい財政状況の中、景気対策として本年度も県債を財源に県単独普通建設事業を七百六十七億円、前年比一一・〇ポイント増を計上し、公共事業の確保に努めております。
 そこで、仮谷知事に六年度当初予算に対するご所見をお伺いいたします。
 次に、五年度の県税収入は当初九百二十九億円の計上であったが、二月の最終補正では九百二十六億五千万円と、二億五千万円の減額補正となっております。また、二月最終補正では七十三億円の県債を発行し、同時に七十六億円の県債管理基金への積み立てを行い、あわせて繰入金百八億円余の減額を行っております。
 そこで、総務部長にお尋ねいたします。
 一、平成五年度の県税収入の決算見通しはどうか。
 二、二月補正で、七十三億円の県債発行と七十六億円の県債管理基金への積み立てについては減収補てん債の発行が考えられるが、説明されたい。
 三、五年度当初、財政調整基金九十五億円、県債管理基金百五十五億円の取り崩しが計上されていたが、二月補正において繰入金百八億円の減額及び県債管理基金への七十六億円の積み立てにより五年度はそれぞれ増減し、残高はそれぞれ幾らになったか。
 四、平成六年度の所得税、住民税の減収に伴う本県への影響額とその補てん対策はどうされるのか。
 五、六年度県税収入の確保は減税の実施を含めてどう見通しされ、歳入確保に努められるのか。また、六年度住民税課税についてはどうされるのか。
 六、景気対策の実施により県債による県単独事業が増加し、県債は五年度当初では四百六十五億八千九百万円、伸び率一九・八%増、六年度は六百十九億六千六百万円、伸び率三三%増と、歳入に占める県債の割合も二けた台になってきています。さらに、当該年度末現在高見込み額は三千七百六十二億五千五百三十六万円に上り、この二年間でおよそ一千億円の県債が増加することになるが、財政上問題はないか。
 以上、六点お尋ねをいたします。
 次に、景気・雇用対策についてお尋ねいたします。
 長引く景気の低迷に対応するため、本県では国の総合経済対策を受け、二月補正を行い、さらに六年度当初予算を計上し、公共事業の拡大や中小企業の金融の円滑化等の経済対策を実施することにより、本県の経済の活性化に努めているところであります。
 六年度は、本県にとって世界リゾート博の開催及び関西国際空港の開港という絶好の機会であり、本県の活性化に期待が寄せられております。しかし、県内景気は依然として厳しい調整局面が続いており、雇用情勢も有効求人倍率の低下や新規卒業者の採用がまだ決定しないなど、特に女性の雇用に厳しいものがあります。
 本県では、こうした状況を受け、本年三月に和歌山県景気・雇用対策本部を設置いたしました。対策本部は、当面の景気・雇用対策として、一、雇用維持・確保対策の推進、二、中小企業対策の推進、三、公共事業等の推進の三点を挙げております。
 そこで、景気・雇用対策本部長である副知事に景気・雇用対策についてどう対処されるのか、お尋ねをいたします。
 次に、関係部長にお尋ねをいたします。
 一、本県では、五年度は公共事業の八〇%上半期前倒し発注を行ってきました。六年度は国の当初予算成立がおくれ暫定予算となる見込みなど公共事業の前倒し発注が危惧されますが、本県では六年度も上半期前倒し発注に対してどう対処するのか。
 二、中小企業経営安定対策として、総融資枠の拡大と緊急経営資金特別融資枠の拡大にはどう対応されるのか。
 三、新聞報道によりますと、三月十日に長期プライムレートが三・八%から四・四%に引き上げられたとのことであります。緊急経営安定資金の金利は一月から二・七%に下がってきておりますが、金利への影響はどうか。
 四、雇用情勢の悪化に対して、労働省では平成五年十二月に雇用支援トータルプログラムを発表しました。それによると、企業の雇用維持支援の強化等による失業の予防、離職者の再就職の促進、地域雇用の強化等による新たなる雇用機会開発への支援を挙げております。本県の一月の有効求人倍率が〇・七一倍と前月より〇・一ポイント減少しておりますが、具体的な雇用対策はどう進められるのか。
 以上、四点お尋ねをいたします。
 次に、紀の川大堰事業に関連してお尋ねをいたします。
 紀の川大堰事業の建設は昭和五十三年三月に治水目的で国が計画した事業でありましたが、関西国際空港への利水が絡み、紀の川分水の話が進展する中で、昭和六十年十二月に国の関西国際空港関連施設整備大綱に盛り込まれました。昭和六十一年十二月に国の予算で事業化が決定、さらに六十二年十二月には和歌山・大阪両知事が紀の川利水に関する協定書に調印し、紀の川分水が決定いたしました。そして、平成五年三月に本体第一期工事の入札が行われ、第一期工事を平成八年三月に完成させ、さらに第二期工事に入り、平成十一年度までに全工事を完了するとしております。紀の川大堰の完成に合わせて新六箇井堰は取り除き、約百八十万立方メートルにも上る堆積物を取り除くことにより同水位でも水の量は約三倍になり、さらに百五十年に一度の洪水を想定した一万二千立方メートルの洪水に対応できるようになると聞いております。
 そこで、土木部長にお尋ねをいたします。
 一、紀の川大堰事業の進捗状況と第二期工事の着工の見通しはどうか。
 二、全工事の平成十一年完成の見通しはどうか。
 以上、二点お尋ねをいたします。
 次に、紀の川リバーサイドグリーンベルト構想についてお尋ねをいたします。
 紀の川大堰の建設により、河口部から岩出橋までの約十六キロメートルの区間、約三百ヘクタールを、生態系に優しい自然に満ちた河川を創造し市民の憩いの場として公園整備するため、平成三年十月に国、県、和歌山市が一体となって紀の川リバーサイドグリーンベルト構想を策定いたしました。整備の基本方針は、一、河川区域にある不法占用を撤去する、二、河川区域内にある民地を順次買収する、三、生態系に優しい河川の創造を行う、四、高水敷を親水性を持った魅力ある公園として整備するの四点を柱に、平成十一年完成を目指して整備するとしております。
 平成四年二月に近畿地建が公表した紀の川大堰環境調査結果においても、紀の川河口から十一キロ付近までの水際には、ヨシなどの湿生植物群生が八ヘクタール、セイタカヨシ六ヘクタールなどが確認されております。また、鳥類は下流部で三十一科九十七種が確認され、絶滅の危機が増している危急種に含まれるカンムリカイツブリや存続基盤が脆弱な希少種のコアジサシなどが確認されています。魚類においても十八科五十一種が確認されているところであります。こうした生息環境を保全するためには、ヨシ原の復元や野鳥公園、魚道や湾処設置などが必要となっております。また、二十一世紀に向かって週休二日制の一層の定着や学校週五日制の拡大などが予測され、県民の余暇時間の活用の場として河川や河川敷を活用し、スポーツ広場、テニス場、ゴルフ場、ボート・カヌー等の水面利用、ジョギング・サイクリングロード、緑地広場、駐車場等の整備が期待されております。
 紀の川リバーサイドグリーンベルト構想の計画主体者である県と和歌山市は、紀の川緑地基本構想策定委員会を設置し、四年度に一千万円、五年度に一千六百万円の調査費で都市緑化技術開発機構に調査委託し、基本構想の策定を目指しております。
 そこで、関係部長にお尋ねをいたします。
 一、河川区域内にある不法占用は、平成三年十月で現存するものは住居関連建物約三百八十棟で是正率が六〇%となっています。国、県、市が構想を円滑に実施するために平成六年度までに是正を完了するとのことでありますが、是正状況はどうか。
 二、河川区域にある民地の買収は平成四年度から開始されていますが、現況と今後の計画はどうか。
 三、紀の川緑地基本構想の策定と事業計画はどうか。
 以上、三点お尋ねいたします。
 次に、大滝ダムについてお尋ねをいたします。
 大滝ダムは、昭和二十八年の十三号台風、昭和三十四年の伊勢湾台風により紀の川流域に大被害が生じたため、昭和三十五年四月に予備調査が開始され、昭和四十七年四月に治水、利水、発電の多目的ダムとして基本計画が告示され、総額二百三十億円、工期昭和五十二年完成を目途にスタートいたしました。その後、昭和五十三年三月に基本計画の第一回目の変更が行われ、総事業費が七百七十五億円と約三倍に、工期は五十九年完成に延長されました。昭和五十六年二月にやっとダム本体工事の着工同意の覚書を締結し、仮排水路トンネル工事に着手いたしました。昭和六十三年二月に基本計画の第二回目の変更が行われ、総事業額は千五百四十億円と当初の約六倍、工期は平成六年度完成に延長されました。さらに平成五年十一月、建設省により事業費並びに工期の変更があり、総事業額は当初の十倍を超え、工期も平成十一年完成と延長されてきていると聞いております。
 大滝ダムの利水については、上水道用として奈良県毎秒三・五トン、和歌山県毎秒〇・四五トン、和歌山市毎秒一・五四トン、橋本市毎秒一トン、工業用水用として和歌山市毎秒〇・五一トン、合計毎秒七トンの水を供給することになっております。
 そこで、関係部長にお尋ねをいたします。
 一、大滝ダムの完成が平成十一年に延期されたことにより、基本計画の告示の昭和四十七年から実に二十八年の歳月と当初の十倍を超える事業費をかけることになりますが、完成の予測はどうか。
 二、大滝ダムの利水に関して、将来の水需要を考慮して和歌山市は、上水道用として毎秒一・五四トン、工業用水として毎秒〇・五一トンの供給を受けるため、大滝ダム負担金を支払ってきております。大滝ダム開発量に対して和歌山市の暫定取水権の許可見通しはどうか。
 三、県の保有している上水道用毎秒〇・四五トンについては各市町村より希望があると聞いています。和歌山市においても第五期拡張事業に伴う新規水源として希望していますが、県の考え方はどうか。
 以上、三点お伺いいたします。
 次に、紀の川分水についてお尋ねをいたします。
 昭和六十二年十二月に和歌山県は、大阪府との間で紀の川利水に関する協定書及び紀の川利水に関する覚書を協定、確認してきています。それによると、和歌山県は紀の川大堰、紀伊丹生川ダムの整備等により、平成十二年を目途に毎秒約四トンを上限として、水資源の確保に努めているところであります。ただし、当分の大阪への分水は毎秒三トンとするとなっています。このため、大阪府は地域整備協力費総額百七十億円を支払う、分水の前提となる紀の川大堰建設費七百億円のうち大阪府は二百九十一億円を負担するとなっております。
 そこで、企画部長にお尋ねいたします。
 一、県内の利水に影響する大滝ダムが平成十一年に完成し、紀の川大堰も十一年に完成することになれば、紀の川大堰の新規水源として毎秒〇・二九トンが発生することになり、平成十二年より分水が可能となりますが、協定書にある紀伊丹生川ダム等の完成がない限り分水を開始しないと理解しておりますが、どうか。
 二、「分水量については当面三トンとする」を、その後、分水量は着工のおくれなどから当面は空港で使用する毎秒〇・二九トンに修正されているとの新聞報道がありますが、どうか。
 三、紀の川分水に伴う取水口及び導水管の用地については昭和六十三年に大阪府より提示されていると聞いていますが、県では検討されているのか。
 以上、三点お尋ねをいたします。
 次に、米問題についてお尋ねをいたします。
 平成五年は、台風や異常気象など天災が相次いで発生し、農業に大きな被害をもたらしました。特に冷害等により水稲の作柄は、全国平均で七五と戦後最低の水準となりました。このため、国民食糧の基幹である米の需給が厳しい状態に陥っています。
 国は、五年度における米の収穫量を七百八十三万トンとし、昨年の持ち越し分二十万トンを合わせれば、おおむね二百万トンの米をアメリカ、中国、タイ等から輸入すれば需給が安定すると述べてきています。
 米の流通の仕組みから見れば、平成四年までは、卸売業者が政府米を購入するほか自主流通米を全国集荷団体及び第二次集荷業者より購入し、それを小売業者に販売することになっていました。しかし五年度は、米の不作から国は昨年十一月より政府米及び自主流通米をともに政府管理米として全量管理を行い、十一─二月期、三─六月期、七─十月期の三回に分けて卸売業者に販売することになり、本年は入札制度や相対取引による自主流通米が事実上なくなったことになっております。
 三─六月期に入り国では、標準価格米を、一、外国産米のみを原料とする標準価格米、二、国内産米と外国産米を原料とする標準価格米の二案のいずれかを各都道府県が選択するものとなりました。和歌山県においては、アメリカ産米六〇%、中国産米二〇%、タイ産米二〇%の標準価格米を十キロ当たり三千百八十五円で販売することを発表いたしました。ところが、三月より標準価格米が外国産米に変わるということで、二月末より米が店頭から消える米不足が生じ、米価も十キロ当たり二千円以上の値上がりをしてきております。
 我が党の女性局のメンバーが三月四日から六日にかけて和歌山市内の米屋さんやスーパー、農協など二十店を調査いたしました。調査報告によりますと、米の価格は、国内産米五キロ当たり三千四百五十円から六千七百八十円、国内産米と外国産米の混合で五キロ当たり二千六百円から二千九百五十円、外国産米のみではタイ米が五キロ当たり千五百五十円と、国内産米の値上がりが大きいところでございました。
 また、販売量は、市内のあるスーパーでは「二月二十五日より国内産米十キロ当たり七千三百円、五キロ当たり三千七百円に値上げします」との張り紙がありますが、米は全く置かれていなかったり、またある店では、国内産米五キロ入りを一日に二十袋に限り販売しているなどで、不特定多数の人々が利用するスーパーなどの店頭には米が全く見当たらず、置いてあるのはモチ米か一キロか二キロ入りのタイ米のみであったとの報告でありました。
 この調査を行ってくださった和歌山市の毛利照美さんが産経新聞に投稿され、三月九日付で掲載されましたので、ここで紹介させていただきます。
 「コメ神話は崩れた。瑞穂(みずほ)の国の崩壊とともに店頭から日本米は消えた。目下、コメは政府も食糧庁も手の届かない無法地帯となってしまった。先日、近くのスーパーを四軒回ってみた。見事に日本米の棚はがら空きであった。やっと見つけたのが七〇%外国産のブレンド米であった。 先般、不正入札があったと報道されていたが、業者の買いだめのせいであろうか。自主流通米の制度ができてから、業者にもたれかかってきた現行の食管制度では、取り締まれないことを露呈している。農政不信は、いっそうつのるばかりだ。 おコメがないと聞けば、ほしくなるのが心理である。そこにつけ込み、値を上げるため、コメ隠しをする。食物がないよりも、もっと貧しい心根である。私たち消費者は悪乗り業者に利用され、悪を増長させてはならない。 私は、外米が手に入るようになってから積極的に調理を工夫、食卓にのせている。友人も、パンやめん類の料理回数を増やし、おコメに頼らなくてもすむよう心がけていると言う。 農薬、衛生面は国にまかせて、ただ外国米は口にあわないと嘆くより、発想の転換をしてみてはどうだろうか。例えば食文化で国際貢献をしているのだと自負してみてはいかが。そう思うと、とても心が豊かになってくる」と投稿されております。
 問題なのは、平成五年度の収穫量が七百八十三万トンに対して国の集荷量は約四百万トンしか集まらず、農家による自家消費分三百八十三万トンのうちおよそ二百五十万トンが自由米市場いわゆるやみ米として流通しており、加えて、食糧庁が三月から米は国産米三割、外国産米七割で販売する旨を発表したため、これを機に国産米の不足を予想しての売り惜しみや米隠し、また買いだめ等により米の値段が高騰し、つくられた米不足が生じてきていると思われます。
 今日まで、国においては米の消費拡大を訴えて各種の施策が実施されてきたところであり、米の凶作となった本年こそ食管制度の利点を生かすチャンスと言われてきましたが、国産米が店頭から次々と姿を消す状況に対して、県民は憤りと同時に農政に対する強い不信を募らせております。
 十日に政府は、三月に供給する国内産米の量を二十万トンに四万トン追加し、さらに三万トン追加して二十七万トン供給することにより安定供給するとのことでありますが、こういった施策に対し、仮谷知事にお尋ねをいたしたいと思います。本来、食管制度は米の安定供給を図る目的で定められているにもかかわらず今日の事態を迎えたことに対して、知事はどう認識され、どう対処されるのか、お尋ねをいたします。
 次に、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 一、 本県の水稲作付面積は平成元年度以降を見ても年々減少し、五年度は九千五百四十ヘクタールとなっています。収穫量も作付面積の減少に応じて年々減少し、五年度は四万一千三百トンと減少してきております。集荷実績においても年々減少の一途をたどり、五年度は五千五百七十八トン、総収穫量の一三・五%で集荷率は四五・六%と、近年のうちで最低の記録となっております。県は、米の生産量の拡大や集荷実績の向上のためにどう対処されるのか。
 二、本県の卸売業者は前年において十一─二月期一万一千五百トン、三─六月期一万六千六百トン、七─十月期二万一千五百トンと、月平均四千トンの割で販売量の確保を図ってきたと聞いておりますが、卸売業者の販売量確保の実態はどうか。
 三、三─六月期に入り、本県においても小売店等の店頭より米が消え、また二月末よりの大幅な値上げの状況をどうとらえ、どう対処されるのか。
 四、米の小売業者については、本県では平成三年六月に県下で千五十五軒の許可を与えてきております。これは、食管法等により人口千五百人に一軒の割で許可されると聞いております。しかし、本県では各スーパーや小売店等でほとんどが米を売っているのが実態のようです。こうした状況から、県は規制を緩和する観点からも、米を販売する要件を整えた店舗に対しては平成六年六月の更新時に許可を与えるよう改善されてはと思いますが、県の考え方はどうか。
 以上、四点お尋ねいたします。
 次に、学校給食用の米についてお尋ねいたします。
 米飯給食は、国内産米の消費拡大と米中心の日本型食生活の定着のため、昭和五十一年から本格実施されてきております。本県における五年度の学校給食の実施状況は、小学校二百五十七校、中学校六十四校であると聞いております。学校給食に使用される米は全国で年間約十一万トンとのことでありますが、今年は凶作の影響で米の確保が大丈夫かと危惧されるところであります。
 国は、三月より国内産米三割、外国産米七割で供給する中にあって、文部省は国内産米が前提の学校給食には外国産米は不適当と判断し、国内産米を確保するとしております。今日までは、政府米の給食用の米購入については実施状況に応じて四五%から六〇%の値引き率が適用されてきておりますが、国内産米の大幅な値上げによって、給食費の父母負担の上昇が心配されるところであります。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 一、本県における学校給食用の国内産米の確保についてどう対処されるのか。
 二、国内産米の高騰による父母負担がアップされることを心配しますが、どう対処されるのか。
 以上、二点お尋ねをいたしまして、第一回目の質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 新田議員にお答え申し上げます。
 平成六年度の当初予算に対する知事の所見でございます。
 平成六年度は世界リゾート博開催と関西国際空港が開港され、これを一過性のものではなく、息の長い県勢発展につないでいくために極めて重要な年であると考えてございます。このため、バブル経済崩壊の影響からまだ立ち直り切れない県内景気の回復に努めるとともに、交通網の整備、産業基盤・生活基盤の充実、教育・文化の振興、さらに高齢化社会への対策、過疎化問題等、引き続き粘り強く進めてまいりたいと思っております。
 しかし、お話のように、財政事情は非常に厳しい段階でございます。そうした意味においても、財源として交付税のついた起債や基金等により財政計画をして予算を編成させていただき、諸施策を進めてまいりたいと思っております。この結果、六年度の予算については地方財政計画を上回る投資重点型の積極予算としたところであり、ふるさと和歌山の新しい創造に向かって、力強くたくましい予算になったと確信しているところでございます。
 次に、米の問題でございます。
 お話のように、私も食糧の安定確保は極めて重要なことだと考えてございます。米については国が責任を持って安定供給を確保することとなってございまして、そうした観点から、食糧庁長官や和歌山食糧事務所長に対して安定供給を図るよう強く申し入れたところでございます。
 今後とも国に対して強く働きかけてまいるとともに、県としても巡回指導等を行って食糧の安定確保に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
 他の問題は部長から答弁申し上げます。
○議長(宗 正彦君) 副知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○副知事(西口 勇君) 新田議員にお答えをいたします。
 景気・雇用対策への対応についてのご質問でございますが、長引く景気低迷の影響を受け、厳しい経営環境あるいは雇用問題に直面をしている県内産業に対して緊急に景気・雇用対策の効果的かつ円滑な推進を図っていたくめに、去る三月一日、私を本部長とし、関係部局長で構成する景気・雇用対策本部を設置いたしました。直ちに本部会議を開催し、全庁的な取り組みを促進していくこととしております。
 取り決めした当面の対策としては、お話にもございましたが、三点ございます。
 まず第一点は雇用維持・確保対策についてでございますが、商工労働部内に特別企業訪問班を設置し、大手企業並びに業種別組合に対してできるだけ早い時期に企業訪問の実施を行い、求人・雇用の維持、下請企業への発注などを要請することにしております。また、離職者への支援対策として、ハローワーク合同就職説明会を開催し、離職者の再就職の促進に努めることにしております。
 第二点は中小企業対策の推進でございますが、厳しい経営環境が続く中小企業者の資金需要にこたえる経営安定対策として、中小企業融資制度を十分活用していただけるよう、積極的に啓発、相談に取り組んでまいりたいと考えております。
 第三点として公共事業の拡大についてでありますが、平成五年度から、公共事業の八〇%を超える前倒し発注に加え、過去に例を見ない大型補正予算が編成され、経済対策規模としては過去最大の対策が講じられたところでございます。国の総合経済対策を受けた平成五年度の二月補正予算についても、現在の景況を踏まえ、年度内契約が可能となるように早期に議決をお願いしているところであります。
 また、平成六年度当初予算においても、景気の回復を念頭に置いて、投資的経費に重点配分された事業予算の円滑な執行に努め、景気・雇用対策の実を上げるように全力を傾注して取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 予算、財政問題について、六点のお尋ねでございます。
 まず、五年度の県税収入の決算見込みでございます。
 平成五年度の県税収入については、当初予算額九百二十九億円を計上しておりましたが、まず県民税利子割については、銀行預金等の十二月分の申告が予想以上に好調であったことから増収が見込まれます。また個人県民税については、給与所得は堅調に伸びているものの、土地等の譲渡所得が大幅に減となったため、減収が見込まれます。自動車取得税についても自動車の販売不振により減収が見込まれ、その他の税でも、個人事業税は物品販売業、製造業等の第一種事業で事業所得が落ちたため、また特別地方消費税、ゴルフ場利用税は景気の低迷による利用客の減少のため、それぞれ減収が見込まれるところであり、差し引きでご指摘のように二億五千万円の減額補正となったものでございます。この額については、現在までの調定、徴収状況等から見て確保できるものと考えております。
 次に、県債の発行と基金への積み立てについてのご質問でございます。
 追加提案した五年度二月補正予算については、約七十三億円の県債を計上しておりますが、このうち約五十九億円については減収補てん債の発行を予定しているところでございます。これは、地方交付税の精算方法の一つとして、五年度における法人二税等の減収による交付税の不足額を当該年度の起債によって一括して前倒し補てんするというものでございまして、これに係る元利償還金については次年度以降の交付税によって財源措置されることとなっております。平成六年度の財政事情が極めて厳しいこともあり、このことにより生み出された一般財源を基金に積み立てることにより年度間の効率的な財政調整を図っているということでございます。
 次に、五年度財政調整基金及び県債管理基金の現況はどうなっているかというお尋ねでございます。
 まず財政調整基金については、平成五年度百一億円余の取り崩しを予定しておりましたが、五年度の収支見通しがほぼ確定したことを踏まえ、基金の繰り入れを行わないことにしたところでございます。その結果、基金残高は五年度末で百六十七億円余りとなる見込みでございます。
 また県債管理基金については、県債の償還財源として五年度百五十四億円余りの取り崩しを行う一方、減収補てん債等により生み出された一般財源を後年度の県債の償還財源として県債管理基金へ七十六億円余りを積み立てることとしており、その結果、基金残高は五年度末で七百三十六億円余りとなる見込みでございます。
 次に、所得税、住民税等の減収の影響額と補てん策についてのご質問でございます。
 平成六年度の減税に伴う地方税の減収については、全額を減税補てん債の発行によって補てんすることとし、その元利償還金について地方交付税による財源措置を講ずるとの対策が講じられているところでございます。本県においては、個人県民税所得割について約三十億円の減収が見込まれるところでありますが、対応額について減税補てん債を発行することとしております。
 なお、所得税減税に伴う地方交付税の減税については、国の交付税特会における借り入れ措置により補てんされ、所要の総額が確保されるということになっております。
 次に、六年度県税収入の見通しと住民税課税の方法についてのご質問でございます。
 平成六年度の県税収入については、まず個人県民税では、減税が実施されることに伴い、その影響額も含めておよそ三十四億円、率にして一八%の減収が見込まれるところでございます。また、法人二税において、基幹産業である鉄鋼業が不振であり、化学、機械器具等の製造業、建設業、小売卸売業、銀行業等、ほとんどの業種で減収が見込まれ、法人二税全体で三十四億五千万円、率にして一一%の減収となっております。一方、軽油引取税については税率の引き上げ等により増収が見込まれるところですが、減税や法人二税等の落ち込みが大きいため、県税収入全体では対前年度当初比九三・八%、五十八億円減の八百七十一億円の計上となったものでございます。
 今後の見通しについては、税収は景気の影響を受けやすいものでございますので、今後の経済動向を注意深く見守りながら、当初予算計上額の確保に向け、賦課・徴収両面にわたって一層努力してまいりたいと考えております。
 なお、平成六年度税制改正案によると、住民税の課税については一年限りの特別措置とし、二十万円を限度として所得割額の二〇%の減税を行うということとなっております。その具体的な方法としては、給与所得者については六、七月分を徴収せず、また自営業者等については六月の第一期納付時に減税するということになっております。この実施に際しては、円滑に行えるよう努力してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、県債の発行が増加しているがその対応はどうかというご質問でございます。
 国、地方を通じて極めて厳しい財政状況のもと、累次の経済対策や地域に密着した社会資本整備を積極的に推進するための地方債の発行による公債残高の増高は、本県のみならず全国的な趨勢となっておりますが、本県においては、従来から後年度の財政負担を極力軽減するという観点から、元利償還金について国の財政措置を伴うものをできる限り活用するよう工夫を凝らしているところでございます。平成六年度当初予算に計上した県債についても、その約九割は元利償還金について交付税措置を伴うものを導入することにしており、将来の県財政の硬直を招かないよう配慮しているところでございます。
 次に、公共事業の上半期前倒しについて平成六年度はどういうふうになるのかというご質問でございます。
 公共事業等の前倒し発注については、従来から国の方針も踏まえ、景気対策の一環として対応してまいったところでございます。現下の厳しい経済状況に対応するため、本県としては平成五年度二月補正予算の早期発注に努めることがまず必要であると考えておりますけれども、六年度当初予算についても早急かつ円滑な執行が景気回復上必要と考えており、本年の場合、ご指摘のように国の予算成立時期が一月ほどおくれたというふうな問題もございますが、一日も早い景気回復を図るため適切な対応に努めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 新田議員にお答えをいたします。
 中小企業に対する融資枠の拡大と長プラの上昇と制度融資の金利への影響につきまして、一括してお答えをいたします。
 商工労働部としては、景気の低迷により厳しい経営環境となっている中小企業者の資金需要にこたえるため、本年度から新たに低利の不況対策融資として緊急経営資金特別融資を創設するとともに、融資枠の拡大、融資利率の引き下げなどを行い、中小企業金融の円滑化に取り組んできているところでございます。
 しかし、景気の低迷が依然として続く状況にあり、平成六年度においても、緊急経営資金特別融資の融資枠を平成五年度当初に比べて二十億円増の六十五億円に拡大して引き続き実施するとともに、総融資枠についても平成五年度当初に比べて一三・二%増の六百六十七億三千九百万円を今議会にお願いしているところでございます。また、政府系金融機関における融資枠についても国の第三次補正により拡大されたところでもございますので、県内中小企業者の資金需要に積極的に取り組んでいただけるよう要請も行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、融資利率については従来より長期プライムレートを参考に設定してきているところでございます。議員ご指摘のように、長期プライムレートが昨日から引き上げられたところでありますが、景気の動向や中小企業者への影響なども勘案し、今後、融資利率の見直し時期も含めて慎重に検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、雇用対策についてお答えをいたします。
 本県における雇用失業情勢を見ると、景気低迷の影響を受けて求人数が減少している一方、求職者数は増加傾向にあり、議員ご指摘のとおり、平成六年一月の有効求人倍率は〇・七一倍となり、前月に比べ〇・〇一ポイント減少してございます。今後の見通しについて、国の景気予測では一部に明るい兆しも見られるとはいえ、円高の進行など先行き感には不透明な部分が多いことから、雇用失業情勢は今後とも厳しい状況が続くものと予想され、依然として注意すべき状態にあります。
 このような状況の中で、副知事からも答弁させていただきましたとおり、去る三月一日、副知事を本部長として景気・雇用対策本部を設置し、全庁的な取り組みを促進するとともに、今後、国において策定された雇用支援トータルプログラムに基づき、拡充された雇用調整助成金制度を活用して企業の雇用維持努力を支援し、失業の予防に努めるとともに、特定求職者雇用開発助成金制度等により、就職が困難な障害者や高齢者の方々の雇用の場の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
 いずれにしても、こうした雇用関係給付金制度をより事業主に周知徹底し、有効活用を図りながら雇用の促進と安定に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 紀の川大堰事業についてでございます。
 まずその進捗状況でございますが、紀の川大堰は建設省において昭和六十二年度に建設に着手をし、これまでに大堰関連工事としての低水護岸、工事用道路並びに準備工事を実施しており、平成五年三月には大堰本体の建設工事に着手しております。
 平成五年度は大堰本体工事を進めるとともに、関連工事としての低水護岸工事の促進を図っており、本年の出水期までに右岸側二基の堰柱コンクリートの打設を行う予定となっております。この二基を含め六基を平成八年三月に完成する予定であり、この間、平成七年度中には第二期工事として残り二基の堰柱を発注する予定でございます。
 次に完成時期でございますが、堰本体関係については平成九年度完成予定となっており、その他の関連工事、補償工事についてはさらに二、三年かかる見込みとなっております。今後とも、国、県、市が協調して地元関係者のご理解、ご協力を得て事業の進捗が図られるよう引き続き努力をするとともに、国に対しても早期完成を強く要望してまいりたいと存じます。
 次に、紀の川リバーサイドグリーンベルト構想に関してでございます。
 紀の川リバーサイドグリーンベルト構想は、紀の川大堰建設を契機として、河口部から岩出橋までの間を自然に優しい市民の憩いの場としてふさわしい公園整備を図ろうとするものでございます。
 ます不法占用の是正の問題でございますが、紀の川下流部は、昭和二十年七月の大空襲で焼け出された行き先のない人たちの一時避難場所として使用をされ、さらに終戦の食糧難、住宅難等の要因も加わって年々過密化し、昭和四十年ごろには三百八十五世帯、家族数千百四十五人にも及ぶ違法な集落が形成をされ、昭和四十七年度末には棟数で九百二十七棟の規模の大集落となったものでございます。
 本年七月の世界リゾート博の開催を控え、国、県、市が協調して不法占用の解消を図るため、平成四年に紀の川環境整備推進本部の体制を強化し、これまで集中的に対応をしてきたところでございますが、その結果、自主撤去が加速されており、平成六年二月末では残り九十八棟となり、約九〇%の撤去率となっております。
 次に、紀の川河川敷内にある堤外民地の買収についてでございますが、現在、約四十七ヘクタールの民有地があり、平成四年度から県土地開発公社が建設省から用地先行取得業務を受託して交渉を行っており、平成五年度末までに川辺橋左岸の約十ヘクタールの民有地を取得しております。今後の予定としては、予算状況、河川管理施設等の整備順位を総合的に判断して順次買収をしていくこととしております。
 次に、紀の川緑地基本構想の策定と事業計画についてでございますが、平成四年度から紀の川緑地の基本構想及び基本計画の検討を進めております。これらの策定に当たっては、利用者の代表者と専門家から構成される検討委員会を組織して、紀の川の河川空間が持つ植生、鳥類、魚類等の自然環境の把握、陸上、水上、空のスポーツ並びにモータースポーツなど各種レクリエーション利用の可能性、あるいは良好な河川景観の保全と修景などについて、長期的視点に立った評価を行い、河川緑地としての整備と利用のあり方を検討しておるわけであります。事業計画については、平成八年度工事着手をめどに建設省、和歌山市とも調整を図ってまいりたいと存じます。
 次に、大滝ダムの完成見通しでございます。
 大滝ダムは、紀の川沿川の約七十万人の生命、財産を守るとともに、約百万人分の上・工水の開発及び発電を目的とした多目的ダムでございます。
 当ダムは、奈良県吉野郡川上村の中心部の四百八十七戸が水没するという影響の大きさから補償交渉が難航し、事業の進捗が大幅におくれているところでございます。しかし、昭和六十三年十二月にダム本体工事に着手、平成五年二月にはダム本体第二期工事に着手をして、現在ダム本体左岸部の掘削を実施しておるところでございます。平成五年度末にはダム本体コンクリート打設設備等が概成する予定となっております。また、用地補償関係については、用地及び建物の約九〇%が補償済みとなっております。
 このたび建設省より、ダム本体コンクリート打設を目前に控え、完成までのめどがおおむねついた現時点で検討の結果、完成の時期は平成十一年度の予定であると伺っております。本県としても、紀の川水系の治水対策上はもとより利水上からも重要な事業であり、一日も早い完成を今後とも国に対して強く要望してまいります。
 最後に、紀の川大堰に関連して暫定取水権の問題でございます。
 和歌山市から国に対して河川法に基づく許可申請が出され、近畿地方建設局河川部長から協議があり、県として、許可されることについては支障ない旨、回答したところでございます。現在、国において審査中でありますが、早急に許可されるよう働きかけてまいりたいと存じます。
 以上です。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 紀の川大堰事業に関連するご質問にお答えいたします。
 まず、県が保有している水源活用についてでございます。
 県が大滝ダムにおいて保有することになる毎秒〇・四五トンの権利については、長期的な視点に立って紀の川流域の水需給の安定を図るため活用してまいりたいと考えてございます。
 和歌山市が策定する上水道第五期拡張事業計画については、必要な水源の確保について和歌山市と十分協議を行い、適切に対処してまいりたいと考えてございます。
 次に紀の川分水についてでございますが、まず紀の川大堰完成後の分水の時期についてでございます。
 大阪府への分水は、紀の川利水に関する協定により毎秒約四トンを上限とし、当分の分水量は毎秒約三トンとなってございます。紀の川大堰事業が完成した時点において、大阪府に対して毎秒〇・二九トンのダム使用権が設定されることになってございますが、分水時期については、大滝ダム、紀の川大堰、紀伊丹生川ダムの完成を基本としてございます。
 次に、分水量の修正についてのご質問でございます。
 大阪への分水量は、紀の川利水に関する協定により、紀の川大堰、紀伊丹生川ダムの整備等により、毎秒約四トンを上限とし、当分の分水量は毎秒約三トンとなってございまして、このことについては現在も変更はございません。
 最後に取水口及び導水管の用地についてでございますが、取水口の位置については、河川管理者である建設省が関係者と協議の上、決定することとなってございます。導水管のルートについては、取水口と浄水場の位置を想定した事務レベルのルート案の提示がございました。県としては、導水管の敷地は可能な範囲内で道路として一般の用に供するものと大阪府との間で取り決めていることから、今後、導水管ルートについては取水口の位置の決定に合わせ、道路としての利便性を十分考慮しながら、大阪府を初め、和歌山市とも協議を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 農林水産部長野見典展君。
 〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 新田議員にお答えをいたします。
 米問題についてのご質問に順次お答えいたします。
 まず、米の生産拡大と集荷の向上についてのご質問でございます。
 本県の水稲作付面積については、議員ご指摘のとおり減少傾向にございますが、昨年のような不作を踏まえ、作付面積の確保を図るため、県下稲作農家を対象に意向調査を実施したところでございます。これをもとに稲作農家の作付意向を十分配慮しながら復田を推進した結果、平成六年度においては約二百ヘクタールの作付面積の拡大が図られる見込みでございます。
 次に集荷対策についてでございますが、五年産米の不作が見込まれたため、県米穀適正集荷協議会を平成五年七月から数回開催し、予約の進捗状況を見きわめながら、一次集荷業者に対し集荷督励と協力要請を行ってきたところでございます。さらに、出荷を促すため市町村農協を通じ、農家一俵運動を行ってまいったところでございます。今後とも、稲作農家の理解を求めながら、関係機関と一体となり、稲作面積の確保と集荷率の向上に向けた取り組みをしてまいる所存でございます。
 次に米の販売量の確保についてでございますが、政府から卸売業者への販売量については、米の需給計画に基づき、十一月から二月期は前年対比九%アップの一万二千五百五十四トン、三月から六月期は一万六千五百九十七トンと、県内卸売業者の必要量は確保されてございます。今後も国に対し安定供給を強く要望するとともに、的確な情報把握に努めてまいります。
 次に、米不足と高値是正への対応についてでございます。
 平成五年産米の不作から自主流通米の基準価格が七%高に設定されてきたことや、外国産米の入荷のおくれと国産米への需要の集中などが品薄感を招き、米価全体の値上がりを招いたものと思われます。このため、国では国内産米の追加供給や外国産米の円滑な供給と価格監視の強化など、五項目の緊急対策が講じられているところでございます。
 県としては、県民食糧の確保が重要なことであると認識しており、国の機関と連携を図るとともに、市町村の協力を得ながら、巡回指導による価格監視や販売状況調査を実施してまいったところでございます。今後とも国に対し安定供給が図られるよう積極的に働きかけるとともに、関係機関との緊密な連携のもと、値上がりの防止など巡回指導を強化してまいります。
 次に米穀販売業の許可についてでございますが、食糧管理法の許可基準に基づくものでございまして、県としては消費者の利便性、地域性に配慮した許可となってございます。議員ご指摘の内容は国の制度にかかわる問題でもございますので、ご提言の趣旨を国に伝えてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 学校給食の二点についてお答えいたします。
 学校給食においては、パンと米飯などを併用し、米飯給食については一週間に二・五回程度実施してございます。学校給食用米の供給については、政府米が日本体育・学校健康センター、県学校給食会を通じて各給食実施校に実施されておりますが、昨年の凶作のためその確保が難しい状況となっております。
 このような状況の中で、教育委員会としては、県の関係部局、食糧事務所等と連携し、情報収集を行うとともに、全国学校給食振興期成会等を通じ、米の適切な確保が図られるよう国に要望してきたところであります。この結果、秋の収穫期までの本年四月から十月までの期間、国内産の自主流通米が学校給食用として供給されることとなってございます。
 また、保護者負担については、国の試算では現行の負担金額より月額百円程度の増となるところでございますが、国の特別助成措置が講ぜられることにより月額十円程度の負担増にとどまる見込みとなってございます。このことについては、今後、該当市町村教育委員会及び関係機関に対して周知徹底を図ってまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) 再質問がございませんので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 早速、質問に入ってまいりたいと思います。
 初めに、医療問題についてお尋ねをいたします。三点について質問いたしますが、その第一点は国立南和歌山病院、そして国立和歌山病院で働く賃金職員にかかわっての問題であります。
 厚生省は昨年、全国の国立病院で働く一万三千人の賃金職員のうち看護婦九百八十六人、その他の職員八百七十四人、計千八百六十二人を削減して、賃金、労働条件の引き下げをする「改善計画」を各病院長あてに指示し、そしてそれを通じて労働組合に通知されました。これは今、全国的に大変大きな社会問題となっているところであります。
 この「改善計画」は、賃金職員の首切りに伴って、二十二病棟、約千床の閉鎖が計画をされているところであります。この計画が実現するまで新規採用を中止し、退職者補充はしない、希望退職を勧奨する、労務委託の積極的推進、外来看護婦の人員配置を減らす、夜勤は現在三人のところを二人に、二人のところは一人にしていく、また保育所運営の見直し、縮小、そして保育料の値上げと保母の削減、こういった内容を含んだ具体的指示が行われてまいりました。賃金職員はもちろんのこと、病院で働く職員、地域住民、患者にも戸惑いや不安といった状況が広がりつつあります。
 しかし、厚生省はいまだに労働組合との話し合いを拒否しておりますし、病院長に対しても労働組合との話を拒否するように指示いたしております。「改善計画」はいずれも国が医療責任を放棄する内容になっていることから見ましても、当然、国民から今後、批判をされてくるでありましょう。
 ここで、賃金職員について説明をしておきたいと思います。
 定員職員と全く同じライセンスと同じ責任を持ち、夜勤も含めて全く同じ仕事をしながら、身分は定員外の扱いを受けている職員であります。厚生省の定める基準では、賃金職員は定員職員と比較して賃金、労働条件は大変悪いようであります。例えば、定員職員の看護婦の初任給で見てみますと、今までの経験年数は一〇〇%加算し、それが初任給に格付をされますけれども、賃金職員の場合は、どんなに経験が豊かであったとしても一切その経験年数は加味されません。何年働いたとしても新卒扱いであります。また、定員職員は一年一回の定期昇給があり、一号俸上がるわけですけれども、賃金職員は一号俸のその半分しか昇給しないということになります。しかも、月給制ではなく日々雇い入れとなっております。しかし、日々雇い入れでありながらも、夜勤を含む勤務は一カ月間の勤務表で決まってしまうという矛盾も持っています。
 昨年、北海道でこのことが実施されまして、賃金が実際に引き下げられました。その結果、百万円を超す賃下げになった方もあると言われています。そういった中で働く意欲をなくし、昨年の三月から八月末までに北海道の二十五の病院で四百三人の看護婦さんが集団脱退のように退職していったと言われております。そしてその結果、この北海道にある国立の二十五病院のうち八病院、十一個病棟が閉鎖をされ、地域の皆さん方には大変不安がられていますし、地域に対しても深刻な影響を与えていると伝えられています。
 休暇について見てみますと、病休、夏季休暇はなくなり、休めば欠勤扱い、もちろん生理休暇や産前休暇も無給となります。もちろん育休もありません。ボーナスも、三月三十一日の一日だけ採用が中断されるために、夏のボーナスは全額支給されないことになります。年休も労基法の五日から出発をするという、大幅な労働条件の後退になります。
 そもそも、賃金職員が国立病院に採用されてきたのは、厚生省みずからも認めてきたように、国立病院や療養所の医療スタッフは他の日赤病院や済生会、労災といった公的医療機関に比較しても極めて少ない人員配置になっていることから、必要欠くことのできない職員として定員外の賃金職員の採用を行ってきた経過があります。そして、賃金や労働条件においても各病院長と労働組合などとの話し合いの中で改善をし、そして働く意欲をつくるための条件整備をしてまいりました。そして地域の医療を確保するという点からも、大きな役割を果たしてきました。
 しかし、賃金職員は年度を越えての採用が禁止されています。ところが厚生省は、定員職員と全く同じ仕事に長年従事している賃金職員を、年度末すなわち三月三十一日あるいは四月一日に書類上だけ首を切って一日の空白期間を置いて、そしてまた次の日から採用するという脱法まがいのこともしてきているのです。実際には首を切ったその日も夜勤や夜勤明けであるというような状況で、医療を確保するために働き続けています。ですから、雇用関係は一年間ずっと続いていると見ても間違いではありません。
 看護婦の場合、夜勤回数について人事院勧告の二人夜勤、月八日以内を実現させるためにも必要な人員だとも思っていますし、このことを本当に完全実施させるならば、今の賃金職員を千人以上ふやしてやっと八・五回というふうになっているわけですから、この賃金職員の首を切ったならば一体どうなるでありましょう。厚生省の人員削減計画は国民の医療要求や願い、そして国が医療に責任を果たすことからしても、直ちに計画を撤回し定員をふやすこと、あわせて患者が安心していつでもどこでもだれもが国立病院にかかれる病院づくりを目指すことが厚生省の当面の任務ではないかと思います。あえてこのことを強調しておきたいと思います。
 さて、本県に設置しております国立南和歌山病院、国立和歌山病院にも同様、賃金職員の方が百三十名採用されています。職員と同じように働き、勤続年数も、三十年もの間一生懸命働いてきた方もいらっしゃいます。職種についても、看護婦を初めとして医療技術者や現場労働者といった多職種にわたっています。国立南和歌山病院では二十一名、国立和歌山病院では看護婦二名を含む六名の賃金職員と定員職員十二名までも削減し、しかも四年間で首を切るという計画でもあります。そして、賃金引き下げによって年間二百万円の賃下げになる人が、この和歌山でも出てくると言われています。
 先ほども述べましたように、この百三十名の賃金職員は、二つの病院の医療を確保する上からも、最小限本当に必要欠くことのできない人員でありますし、現場からすれば、今でさえも不足しているのに、ふやしてほしいという願いは切実なものがあります。ましてや国立南和歌山病院は、県下の高度先駆的な医療を担う病院として新設された経過もございます。本県としても政府に対して重点的な要望課題の一つとして積極的な建設推進の姿勢をとってきたことを考え合わせますと──いまだに開設に至っていない診療科や、週一回から二回しか開設されていない診療科もあると聞いています。看護婦の配置もまだまだ不十分です。
 国立和歌山病院は、県下の結核医療の拠点でもあります。また、重度心身障害児や小児の長期慢性疾患病棟とそのための養護学校を併設した県下唯一の医療機関でもあります。当然、他の一般医療機関と比べ、介護や看護により多くの人手を必要とします。このような医療現場から人員削減することは、とんでもないことです。医療看護サービスの低下を招き、患者負担を強要することになるのではないでしょうか、大変心配です。本県にとりましても、紀中、紀南地域の医療確保として、地域医療計画の重要な病院でもあろうかと思うのであります。知事はこの事態に対してどのような認識をお持ちなのか、そしてどのような対応を考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、今社会問題となってまいりました中小病院の縮小、閉鎖、転換が続く問題についてであります。
 これまでたびたび医療法が改正される中で中小病院の経営が危機的状況になり、これまで長い間地域医療の中心的な役割を果たしてきた病院が閉鎖等に追い込まれたとの報道を聞くたびに、胸が痛くなります。全国的には、縮小、閉鎖、老健施設への転換などによって大体月四百床が消えていっていると言われています。あるいは、救急指定病院からの撤退も続いています。現実に、本県においてもございました。今後も起こり得ることであります。多くの中小病院が迷っているのではないかと私は思っています。
 このような状態について、病院は決して経営努力を怠ってきたのではありません。たび重なる医療法の改悪や実態に見合った診療報酬の引き上げが行われてこなかったことにも大きな原因があるというふうに私は思います。厚生省は、みずから「八九年以降、一番病院の経営状態が悪い」と言っております。診療報酬の引き上げ率は四・八%であり、薬価引き下げは二・一%と言われています。きょうの新聞を見てみますと薬価引き下げが六・六%に決まったと書かれておりますが、こうやってみたとしても、このことが即座に中小病院の危機的な経営をよくするとは考えられません。実際にこのパーセントを病院の経営状況に引き当ててみますと、プラス・マイナス・ゼロか、あるいはマイナスになるのではというほど、実態を無視した改正の内容であります。人員不足や経営危機に悩む状況は、一般病院では今後一層深刻な状況になるのではないかと予想されます。
 今、病院経営を続けていこうと思えば、基準看護をとり、看護料やいろいろな高い得点の活用をと考えざるを得ません。しかし、このことも大変厳しい状況にあります。例えば、基準看護を受けようと思った場合には、条件として看護婦の比率があります。その比率に合った看護婦数を確保しなければいけません。あわせて、医師確保においても中小病院の場合は大変高い給料を払わなければなかなか来ていただけない。このことから考えても、医師確保や看護婦確保というのは並み大抵の努力ではできません。そして、救急告示病院の撤退においても、二次救急患者への対応が大きな支障を来すことははっきりいたします。これは今後の大きな課題になるでありましょう。
 厚生省は、在宅医療、訪問看護事業を積極的に推し進めることを今日的課題にしております。このことから考えてみましても、放置できない重要な問題でもありますし、地域医療の後退にもつながりかねません。そこで、現状を踏まえた上での今後の対策等を保健環境部長からお聞きしたいものです。
 次に、この十月から実施されるであろう、入院時の給食費を患者から一日八百円程度を徴収する問題であります。
 現在は、入院しますと基準寝具、基準給食として保険から支払われております。厚生省は、「御飯はどこにいても食べるのだから、在宅介護や医療を受けている人たちとの不公平をなくすため相応の負担をしてもらう。この自己負担によって生み出される三千億円の財源は、付き添いに今大変金がかかるということから、付添婦の費用に回す」などと、このことを理由にして患者負担をつくろうとしています。
 そもそも入院食は、入院の必要な患者には治療としての位置づけを忘れてはなりません。さまざまな疾病に応じた調理方法と栄養価をも重視した細心の注意を払いながら、おいしく温かく食べられるように努力をされているのです。一般的な食事と同一視することこそ、病院給食に対する無理解ではないのでしょうか。患者の自己負担は差額室料や付添料など制度的にも拡大されてきているのでありますから、入院することよりも病院へ診察に行くことさえ今後敬遠するようになるのではないかと私は危惧をいたします。
 ご存じでしょうか。特別メニュー制が、自己負担をとってもよいということで制度化されました。しかし、これは自己負担という点からも、日本全国の病院でも実際には活用されていない状況にあります。今回の自己負担は、額の違いはあったとしても、すべての入院患者さんから徴収することになります。私の友人も入院中であります。「早く退院しなくては。家族にこれ以上負担をかけられない」と心を痛めているのです。また、病院経営者の皆さんに聞いてみましても、「温かくておいしい給食を毎日食べてもらおうと努力を続けておるんです。でも、八百円の自己負担になったら本当に患者さんが入院してくれるだろうか」と、治療効果への不安も語っておられるのです。
 入院給食は、医療保険によって命と健康を守ってほしいという国民の圧倒的な願いでもあります。民生部長のご所見を伺うものです。
 次に、農政問題についてお尋ねをいたします。
 「安全な食糧は日本の大地から」というスローガンは、今や国民共通の願いでもあります。米や農産物は工業産物と違い、天候に影響を受けやすく、自然からの直接の生産物で、自然そのものです。そして、自然そのものである私たちの命を直接はぐくむものでもあります。
 昨年の米の収穫は、冷夏や長雨、そして台風などで作況指数七四という大凶作に見舞われました。まさにこれは天災そのものであります。収穫量は七百八十万トン、国民が年間必要とする米の総量は一千五十万トンと言われておりますから、二百七十万トンも不足という事態を起こしました。ここで、備蓄が本当にあったならば不足分は補えたのです。残念ながら、九二年産米の在庫はわずか二十六万トン、わずか十日分の備蓄でした。結果的には二百四十四万トンという不足量であります。
 同じ年に、隣の韓国でも凶作でありました。この国では、日本の消費量で言えば約三百万トンの備蓄米があったため、自国産米だけで十分供給できるものとなったということは、日本との大きな違いでもあります。日本ではこれまで、農家が米をつくりたいと言っても、強制減反によって米づくりはさせられませんでした。ですから、政府が不作、凶作時にも安心して国産米が供給できるようにゆとりを持った需給計画を立ててこなかったことが今回の米不足の最大の原因だと、私は思うのであります。まさに意図的、政治的につくられた米不足であると言わざるを得ません。一方では米を初めとしたすべての農産物の全面的輸入自由化に道を開き、日本の農業の根本的問題として怒りさえ感じます。知事のご所見をお聞かせ願いたいと思います。
 既に緊急輸入されたタイ、中国、カリフォルニア米などは、町の米屋さんやスーパー、デパートなどで販売が始まっております。しかし、おいしいかおいしくないかということも関心が深いわけですけれども、残留農薬などの安全性が大きな問題となっているところであります。農林省などは「三段階の検査体制で安全チェックをしているので大丈夫ですよ」と、大宣伝を行っています。そしてマスコミなどでは、毎日どこかの番組で外米のおいしい料理方法などが盛んと今取り組まれている状況にもあります。しかし、日本の安全基準に比べて外国の安全基準は大変緩く、しかも食品衛生監視員──検査をする人──も全国でわずかに百九十五人という貧弱な体制ですから、手抜きをせざるを得ません。
 これは、日本共産党の福岡県委員会に通報があり、そして福岡県委員会がその場に行って調査をしたものであります。(写真を示す)これは、昨年十二月二十三日、福岡の博多港に荷揚げされました五十キログラム入り、麻袋に入ったタイ米の長粒米(加工用米)一万二千トンのうち、みそ、しょうゆ用加工米として加工業者から県内の精米工場に持ち込まれた米が精米機、選別機にかかる過程で発見された内容であります。これは、タイで販売されているたばこの吸い殻だそうです。それから、これがビニールのひもです。これはネズミの死骸です。針金が入っています。ゴムが入っています。何かのふたでしょう。そしてこれが、恐らく何かの、犬がくわえてもいいような骨が入っております。こういうものがあちらこちらでも出てきたというような状況です。
 今お示ししたように、日本の米では到底考えられない内容だそうです。このように、今外米が主食として輸入されているわけですが、変色した米、異臭、カビ、毒、そして残留農薬に対する安全性について国民は一層の不安を募らせているところであります。
 今、多くの道府県が残留農薬に対する独自の検査体制をとっています。そしてそれがもう実施されている県も多くあります。政府の検査は不十分あるいは安心できないという県民の声にこたえて、本県も独自検査体制が急がれるところと考えるものでありますけれども、いかがお考えでしょうか、保健環境部長のお答えをお願いしたいと思います。
 次に、学校給食はいち早く国内産米確保を行われているところであります。子供の成長、発達から考えた場合、保育所、幼稚園等においても国内産米の確保は必要と思うのであります。そして、病気のため入院加療をされておられる患者さん等に対する給食への配慮も、いま一つ必要かと思うわけであります。それぞれの努力に任せることなく、行政がお手伝いできるところについては積極的にやることを望むものですが、関係省庁への働きかけや県独自の行動はどのようになされているでしょうか、関係部長のご返答をお願いいたします。
 細川連立政権は、「米の輸入自由化はしない」という三度にわたる決議も、九割の自治体の米輸入自由化反対決議も踏みにじり、ガット・ウルグアイ・ラウンドの包括合意案を受け入れました。アメリカの圧力に屈し、こういう日本農業の根幹を揺るがす行為を行いながら一方でさらに減反を進めるというやり方は、本当に許されないと思います。
 細川首相は、ことしも全水田面積の四分の一に相当する六十万ヘクタールもの米作減反を農家に押しつけようとしています。一昨日の我が党の不破委員長の質問に対して、転作などの目標面積を七万六千ヘクタール緩和するとの答弁を行っていますが、減反政策の基本に変わりがありません。「国民が米不足で苦しんでいるのに何で減反か」と、怒りの声が生産者や消費者双方から上がっているのも当然のことです。
 このような細川連立内閣のやり方に対して、超早場米産地の鹿児島県吾平町では種まきも終わり、七月には収穫、「余るほどの米を一日も早く出荷したい」と張り切っています。福島県の大玉村では、村当局が農家への減反の押しつけをやらないと決めました。その中でこの村は、助成金カットなど減反未達成への政府制裁措置には、農家の被害が少なくなるよう村が予算を組むこと、村として一俵増産運動を起こすとしています。また、茨城県の阿見町や藤代町では、町当局が「減反目標は提示するが推進はしない。農家の判断にゆだねる」と表明し、逆に復田を決意する農家がふえ、米増産の動きが周辺の町村にも広がり始めました。無責任農政に対する怒りの動きは、まだ一部ではありますけれども、全国に広がりつつあります。「国民の主食を守るため大いに米をつくろう。そのため減反は廃止を」との声が日に日に広がり始めました。
 米の輸入自由化も、まだ決まったわけではありません。包括合意案は国会の承認が得られない限り、ただの紙切れにすぎません。米輸入自由化の撤回と減反政策の根本的見直しを国に対して要望すべきだと思いますが、当局の今後の対応についてお示しください。また、本県の稲作農家への減反に対する対応はいかがされるのでしょうか、農林水産部長からの答弁を求めます。
 次に、住友金属問題についてお尋ねをいたします。
 住友金属がリストラの名のもとに強行している人減らし、合理化の問題についてであります。
 住友金属は、昨年四月から、アクションプラン三カ年計画に基づき、三千人にも上る合理化を進めてまいりました。今月八日、この合理化計画をさらに千三百人ふやし、四千三百人にすることを明らかにしています。また、我が党が入手した住金企画室の内部資料によりますと、住友全社でコスト削減一四%の目標が、住金和歌山製鉄所ではさらに一〇%上積みされて二四%という大規模なコスト削減が強行されようとしています。これを人員削減で見ますと千四百人に相当すると言われています。この方針で、関連下請企業への外注費の削減、残業の圧縮、一時帰休の拡大、福利厚生費の削減等々を矢継ぎ早に打ち出し、実行しているのであります。まさに、労働者を犠牲にした大企業の横暴がまかり通っているのではないでしょうか。
 こうした過酷な合理化のもとで、労働者は悲惨な状況に置かれています。例えば、四十代、五十代の働き盛りが、一昨年も自殺者三人を含む二十人が在職死亡しており、この十年間で百七十六人が亡くなっております。私が平成三年の十二月議会で取り上げましたように、労働災害もいまだに続発しています。また、定期健康診断で再度精密検査の指示が三七%も出されるなど、生命と健康が異常な状況に追いやられています。こうした状況の最大の原因は、命や健康、安全を顧みない人減らしにあると、住金労働者は訴えています。
 Aさんは「無理がたたって三交代できない体になっているが、残業規制や一時帰休で五万円から六万円の減収になっており、三交代勤務をやらざるを得ない」、Bさんは「体調が悪くても休暇要員を配置していないので休めません」、関連会社の幹部は「住金から六、七人とれと言われている。そんなことをされたら、うちの社員を十人から出さないかん」と頭を抱え、在職死亡の組合ニュースが続く中、職場では「『組合ニュースの黒枠だけには載らんとこう』と、合い言葉になっています」などの切実な声が寄せられています。
 このように、労働者に対して過酷な犠牲を押しつけながら、一方で住友金属は、昨年の九月時点で隠し利益を四千三百七十六億円もため込んでいるのがわかりました。労働者が安心して働ける職場をつくることに行政としても最大の関心を払い、あらゆる人減らし、合理化計画の中止・撤回を指導し、賃下げなしの時短と過密労働規制による雇用の創出を図るべきではないでしょうか。
 下請に対してはどうでしょうか。住友の下請企業は五百社と言われ、そのうち八十数%は県内企業であります。住金による外注費、物流コストの削減は、下請企業への単価の切り下げ、発注停止など、地域経済に大きな影響を及ぼしています。さらに、住金はこれまで下請企業に発注していたスケール上げ、製品の傷の手入れ、クレーンなどのワイヤの取りかえ、スクラップ処理等々の仕事を下請から取り上げ、運送業者もトラックの半分を遊ばせていると訴えています。また、仕事があってもその場しのぎの不安定な仕事内容になっており、しかもことしから下請企業に対して通勤の自転車置き場や事務所の土地代まで徴収するなど、下請企業の経営を一層困難にしています。
 商工労働部長にお尋ねいたします。このような労働者や下請企業を犠牲にした住友金属の実態についてどのように把握し、対応を図ってきたのか、また今後、雇用の維持と下請企業の仕事の確保など、住友金属に対してどのような指導をされるのか、さらに、住友金属の下請振興基準に明確に違反した行為に対して是正指導を行うつもりはないか、以上についてお答えください。
 最後に、関西新空港に関連して質問を申し上げます。
 新空港の開港が近づく中で、騒音問題への不安が高まってまいっております。運輸省の予測によりますと、WECPNL七〇のコンターラインは、離着陸回数が二十六万回のときに友ケ島にかかる以外は海域内におさまり、問題はないと言っています。新空港は、国内で初めての二十四時間空港であります。計算はあくまでもモデルであって、実際に飛行が始まらないとその影響ははっきりしないのではないでしょうか。
 着陸時の進入コースは、大川地区からは千三百メートル、戎崎からは六百五十メートル先の海上を飛行することになっていますが、進入経路線上を外れることもありましょう。予測を上回る騒音が出る可能性は十分あります。また、低周波空気振動による被害を心配する意見も多く出されてまいりました。運輸省の予測では、大部分の地域住民の日常生活においては支障はないものと考えられるとしていますが、幾らかは日常生活に支障の出ることを予測していると見ることもできます。
 隣の岬町では、騒音が予測される小島地区などの千百四十人の町民から健康及び環境調査を実施し、開港前の環境や健康の現状把握を行っています。和歌山市でこのような調査をされたとは聞いておりませんけれども、住民生活を守る上から大切なことではないかと思います。開港まで半年となった時点では遅過ぎると言えなくもありませんが、県として加太地区やその他の住民から健康や環境についての現況調査を行う考えはないのでしょうか。また空港会社による環境監視の測定は予定されていると思いますけれども、その予定箇所や測定内容についてどのように計画されているのか、お示し願いたいと思います。
 運輸省は、原則的に海上に限るとしていた発着便の飛行ルート計画を白紙に戻し、陸上ルートを含んだ新たな計画の策定に入ったとされています。これは、滑走路を三本にふやす全体構想を実現するには海上限定では不可能と判断したとのことですが、このことで住民の不安はますます大きくなっていくのではないでしょうか。このような動きに対して、運輸省の考え方についてお聞かせいただきたいと思います。
 いずれにしましても、新空港ができたことで県民生活に被害を与えることがあってはならないことは言うまでもありません。県当局が県民の生命と暮らし、生活向上を最優先させる立場から空港の諸問題に対処することを要望して、第一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(宗 正彦君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 国立病院等の賃金職員の処遇改正の問題についてでございます。
 国においては、国立病院、療養所の業務の改善に取り組み中でございまして、職員の過剰人員の解消、処遇の適正化等を行っておるということを聞き及んでいるところでございます。
 賃金職員の過剰人員の解消に当たっては、患者サービスの低下や地域医療への影響が生じないように配慮するとともに、看護婦等の過重な負担を避けるように改善計画が策定されたと聞いてございまして、県としては今後の推移を見ながら対処してまいりたいと思っております。
 また、米の問題についてでございますけれども、昨年の米は異常気象等により不作となったものと私は受けとめてございます。先ほど新田議員にも米問題についてお答えしたとおりでございまして、米は食管法に基づき国が責任を持って安定供給の確保を図ることとなっております。
 県としても、不測の事態に備え、今後、生産基盤の強化などを図りながら、米の備蓄体制など安定供給に万全を期するよう、国に対しても強く要望してまいりたいと思っておるところでございます。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 村岡キミ子議員ご質問の医療問題の看護婦確保の困難性ということについてでございます。
 看護婦等の充足については、和歌山県看護職員需給見通しにより施策を実施しておりますが、県内における看護婦等の質を考えますとき、本県は看護婦に比べ准看護婦が多いのが現状であります。県としては、全体の看護婦養成計画の中で看護婦二年課程(進学コース)設置等、今後検討していくべき課題と考えております。
 続いて救急患者への対応についてでございますが、医療機関の縮小、閉鎖は、地域ごとに見ていくと確かに医療供給体制の後退につながるおそれがあり、医療供給体制の整備という観点から非常に重要な課題であると認識しております。
 県においては、県下全域並びに地域の実情に即した医療供給体制の確保を図るため、地域保健医療協議会等において協議検討を行い、包括的な医療の充実に努めているところであります。特に救急医療の確保については、救急告示医療機関を初めとして、休日急患診療所や病院群輪番制等の初期から三次までの救急医療体制及び救急医療情報システムの整備に努めてきたところでございます。今後、さらに医療関係機関との連携を密にしながら医療供給体制の整備充実に努めていきたいと考えております。
 続いて、米、農業問題についての輸入米の安全性についてお答えいたします。
 輸入米の検査体制についてでございますが、国は残留農薬の成分規格及び異物混入等について検査の結果、食品衛生上問題ないことを確認したもののみについて輸入を認めております。これまで輸入された米については安全宣言をしているところであります。
 今後、本県においても輸入米が恒常的に流通することから、より安全性を確保するため、収去検査を平成六年四月から実施いたします。なお、今後とも国及び関係部局と連携を図りながら、流通経路における米の安全性の確保に努めてまいりたいと存じます。
 続いて、病院給食は国内米でという質問でございますが、病院用給食米は、現在、各病院とも地元米穀販売店から調達しているところであり、国産米については品薄感、価格高騰等、その安定確保に苦慮しているところでございます。
 昨年十月には県病院協会が病院給食米の確保について厚生大臣に要望、さらに三月には県内関係機関にも要望したところであります。保健環境部としては、病院給食に混乱を来さないよう、関係団体とも相談しながら対処してまいりたいと考えております。
 続いて、関西新空港開港における環境問題で、加太地区周辺住民の健康や環境についての現況調査についてでございますが、加太周辺の環境については従前から騒音等のバックグラウンド調査を実施しており、現在、開港に向けて空港会社及び県、市の環境監視について検討を進めている段階でございます。
 住民健康調査については、和歌山市が全市的に呼吸器系特定疾患調査を行っております。当初のアセスメント等では本県への影響は考えられませんが、航空会社や県、市の環境測定結果によっては、全国の第一種空港近県の状況等も勘案しながら和歌山市と打ち合わせ、対処してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 民生部長南出紀男君。
 〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 村岡議員にお答えいたします。
 入院時給食費の患者負担の導入についてでございますが、今回の医療保険制度の改正については、昨年十二月の厚生大臣の諮問機関である医療保険審議会の建議の内容に沿って行われるものでございます。
 今回の改正は、今日重要な課題となっている付き添い看護・介護に係る給付の改正、また在宅医療の推進、入院時の食事に係る給付の見直し等を一体のものとして実施しようとするものでございます。
 入院時の食事に係る保険給付の見直しについては、そのサービスの向上を求める声が大きくなってきておりますが、現行の保険給付体系では患者の意向が反映されにくくなっております。そこで、今回、新たに入院時食事療養費を創設し、こうした問題点を改善するとともに、入院時の食事について低所得者の負担に十分配慮しつつ、平均的な家計における食費を勘案した相応の費用負担を求めることにより、入院と在宅の負担の公平化を図ることとしております。なお、この改正案については今通常国会に提出される予定でございますので、その推移を見守ってまいりたいと考えております。
 次に、米、農業問題のうち、保育所給食の国内米の問題でございますが、本県の保育所の給食は、措置権者の市町村等が地域性を考慮し、地元の産物を利用した給食運営が基本でございまして、地元小売業者で調達しているのが現状であります。保育所においては、ここしばらくは地元業者の協力を得て国産米の確保がなされていると聞いておりますが、今回食糧庁から国産米の単品販売を禁止する方針が報道されたため、年間を通じ国産米を確保することは難しい状況であります。
 こうした状況にかんがみ、全国の保育所で構成する全国保育協議会では、学校給食だけでなく育ち盛りの保育園児にも国産米の確保を国に対して要望してございますし、県としても、さきに行われた全国児童福祉主管課長会議において保育所給食における国産米確保について強く要望したところでございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 農林水産部長野見典展君。
 〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 村岡議員にお答えをいたします。
 米、農業問題についてのご質問のうち、米輸入自由化の撤回と減反政策の根本的見直しについてでございますが、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意は、国際的自由貿易体制維持の見地から政府としてやむを得ない決断であったと認識をしてございます。
 しかしながら、今回の合意は本県農業にとって厳しいものと受けとめており、国内対策の充実強化を図るよう国に強く要望しているところでございます。また県議会においても、昨年十二月、「ウルグアイ・ラウンドの農業合意に伴う国内対策の充実強化に関する意見書」を政府あてに提出していただいたところでございます。
 次に国の減反政策についてでございますが、米の潜在的な生産力が需要を上回っている状況にあることから、引き続き生産調整が実施されることになってございます。しかし、平成六年の米の作付面積は、適正な備蓄量を確保するため減反の緩和方針がとられることになってございます。また、平成六年の本県の稲作については、農家の意向を十分尊重した転作面積の配分を行った結果、先ほど新田議員にもお答えしたとおり、二百ヘクタールの作付面積の拡大が見込まれてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 村岡議員にお答えをいたします。
 住友金属のリストラについて、人減らし、合理化についての認識と対応でございます。
 先日発表された住友金属工業株式会社のリストラ計画については、長引く不況により鋼材需要が低迷しており、今後も急速な業績の好転が望めないとの判断から、昨年三月に打ち出された平成五年度から平成七年度までの中期経営計画を見直したものであり、従来の計画と比べて、人員の合理化では今回千三百人を上積みして四千三百人となっておりますが、各事業所ごとの雇用調整数についてはいまだに確定していないと聞いてございます。
 また、平成七年度までの設備投資計画については、従来、三千三百億円であったものを二千百億円に下方修正されております。しかしながら、和歌山製鉄所に建設予定の新シームレスミルに対する投資九百億円については今回の計画において変更はなく、影響を受けないものと考えております。
 県としては、先日の尾崎議員のご質問にもお答えしたとおり、人員の合理化に対しては和歌山製鉄所にできる限り影響がないよう住友金属工業株式会社に強く要請してまいり、雇用の安定に努めてまいりたいと存じます。
 次に、下請企業の仕事確保と下請振興基準に基づく住友金属への指導についてお答えをいたします。
 景気低迷が続く中、昨年十一月に住友金属工業株式会社を初めとする県内親企業にお集まりをいただき、下請受注の確保及び下請取引の適正化について依頼したところでございます。
 現在のところ、住友金属工業株式会社のリストラ計画では生産量を減少させないと伺っております。しかし、今後とも引き続き住友金属工業株式会社に対し、さきにお答えした雇用維持確保とともに、下請中小企業への受注確保についても強く要請してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 関西国際空港に関連するご質問にお答えいたします。
 まず、関西国際空港株式会社による環境監視測定の箇所と内容についてでございますが、開港後の環境監視は、昭和六十一年十一月に関西国際空港株式会社で策定した関西国際空港建設事業に係る環境監視計画が基本とされてございます。
 航空機騒音については、常時観測局が和歌山市内に設置されることとなってございまして、現在、大阪湾周辺地域に設けられる定点観測地点も含め、設置箇所の適地選定が行われているところでございます。和歌山市内に設置される常時観測局では二十四時間体制で航空機騒音が測定され、関西国際空港株式会社ではそのデータの収集解析を行い、常に環境基準が維持されているかを監視するものでございます。
 次に、運輸省の飛行経路の策定方針についてでございますが、開港時には飛行の安全確保、騒音が居住地域に及ばないこと、飛行の経済性、技術の進歩への対応等の基本的な考え方が盛り込まれた三点セットの一つである関西国際空港の計画案の経路により供用するとの、運輸省の正式な見解が示されてございます。また、関西国際空港を取り巻く諸情勢の変化への対応から、三点セットの基本的な考え方を維持しつつ、今後、地元の理解も得ながら、安全性の向上、関西国際空港の機能の拡充等のため、飛行経路について所要の検討を行っていきたい旨もあわせて示されているところでございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 幼稚園給食についてお答えいたします。
 公立幼稚園の給食については、設置権者である市町村が地域の実情等に応じ対応することとなってございます。
 教育委員会としては、学校給食法に定める義務教育諸学校に対し国内産の自主流通米を学校給食用として供給されることとなってございますが、幼稚園についても同様の対応がなされるよう、該当市町村に対し協力方をお願いすることとしてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今、答弁をいただきました。時間もございませんので、米問題についてお伺いをしたいと思います。
 知事は、昨年の米は異常気象等により不作となったものとおっしゃいました。これはそうだと思うんですけれども、やっぱり、食管法で国が備蓄をしてちゃんと確保できるようにしなければいけないというふうになっているわけです。
 私たち国民には、「米は余っている、余っている」と、あれほど言ってこられました。ですから、余っているんだなということで、学校給食などでもどんどん回数をふやして、おいしいお米を食べてもらおうということで努力をされてきた。にもかかわらず、ただ一回の凶作だけでこんな事態に陥るということは、私たち国民は食管法の名のもとにだまされていたんじゃないかと、こういうふうに私は思うんです。
 実際にそうでしょう。「余っている」と言いながら、いざこういう状況になったらあたふたとしなければいけない。政治として、国民の主食であるものをきちっと蓄えておくということについて、やっぱり国民をだましていたんだとしか私たちは受け取れないんです。
 そういった点では、今後、備蓄問題については厳しく要請をされると思うわけですけれども、しかし、こういった事態は、もう事前にわかっていた状況でもあるわけです。この二、三年は、平年並みというような状況でもなかったと思います。そういった時点がありながらも、実際には備蓄がほとんどなかったとしか──今の結果を見れば、そういう事態になっているんじゃないかと思うわけです。けしらかん政治だと私は思います。
 それから、農林水産部長の答弁の中で、「ウルグアイ・ラウンドの合意は、国際的自由貿易体制維持の見地から政府としてやむを得ない決断であったと認識をする」とおっしゃっています。そしてその後、「しかし、本県農業にとっては厳しいものと受けとめている」とあるわけですけれども、日本の国民の皆さんや国会決議、地方自治体の決議があれほどごうごうと起こって、そして細川さんが首相になったときにも「私はこれを守っていきたい」と言って交渉に行かれたにもかかわらず国際自由貿易の中で頑張り切れなかった。そこには、やっぱりアメリカの圧力があったとしか思えないんです。それに屈したことについて、政府に対して物を言うべきだと思います。私たちは、決してこのことはあきらめていません。先ほども言いましたように、これはまだ批准されているわけではありません。国民の多くの皆さんたちが反対と言っているわけですから、私たちは撤回をさせるために頑張る決意です。
 以上、要望にしておきます。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は三月十四日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後零時十七分散会

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