平成6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(富田 豊議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成六年三月十日(木曜日)

 午後一時五分再開
○副議長(町田 亘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 14番富田 豊君。
 〔富田 豊君、登壇〕(拍手)
○富田 豊君 関西国際空港に関連して昨日からも多くの議員から質問がありましたが、その問題点を一点に絞り、提言を交えて質問をいたしてまいりたいと存じます。
 今、多くの政治家が口を開けば、関西国際空港を契機として和歌山県が一大飛躍し浮揚していくのだ、そして活性化してくるのだと、しばしば演説やあいさつの中で県民の期待を呼びかけてきているのも事実でありますが、その現況は一体どうなのか、果たしてこのような大きな期待を持たしながら本当に世界に開かれた関西国際空港の立地なのか、和歌山県にとってどれだけのメリットがあるのか、その見通しについて危惧の念を抱かないわけにはまいらないと思うのであります。県民に与えてきた未来像、そしてその期待感にはどんなものがあったのだろうか。県民の期待にこたえるべく、県行政も県議会も一体となって取り組んでいかなければならんのは当然のことであります。
 そこで、県民の期待感にはどんなものがあったのだろうか、幾つかを挙げてみることにいたしました。
 まずその一点目は、和歌山県から海外へ出入国する旅客が近くになったという利便性、また国外への貨物輸出入に対する流通の利便性、すなわち国際線、国内線を利用するのに近距離であるという簡便さに対するところの期待感が挙げられるのであります。
 二点目は、関西国際空港が設置されれば大手企業や関連会社等の進出により活性化されてくることの中で雇用が拡大されていくのではなかろうかと、距離的に通勤が可能な本県としては就職難の解消にもつながるであろうという期待感であります。
 三点目は、関西国際空港立地に欠かせないのが機内食センターであり、その需要もさることながら、人口増大に伴って必要とされるであろう農水産物、生鮮食料品、さらには県内物産等の需要が拡大されるので隣接県として本県の供給資源が望まれるであろう、それがゆえに本県の産業が活性化されていくのではなかろうかという期待感であります。
 四点目は、アクセス道路を初め高速道路や幹線道路が整備されて快適な交通網体系ともなれば生活環境もよくなるであろうし、また企業誘致にも一段と拍車がかかるであろうという期待感であります。
 五点目は、年間十六万回の発着便数ということで、毎日何万人という外国からの旅客がおりてくる中で和歌山県にどれだけの人が誘致されるかは未知数ではありましょうが、観光資源の多い本県にとって観光業界の活気を一段と高めるであろうし、土産品や県物産の購買力についても増大をされ、さらには宿泊客の誘致にも期待が持てるであろうと、多種多様な期待感を持っているのであります。
 このように多種多様な期待感を持っている県民に対し、行政は一体どのような手段や方策を講じてこられたのか。万遺憾なき対策を尽くしてこられたと思いますが、このことについて次の数点を質問いたしてまいりたいと思います。
 まず、第一点目の利便性についてお伺いをいたします。
 奈良や京都、大阪からは空港までの直通列車や直行バス路線が計画実施されているようでありますが、空港から最も近い本県からの直通列車は、いまだ決定を見ていない状況にあります。その見通しについてお聞かせをいただきたいと思うのであります。
 先般、議会からも特別委員会で鉄道局長にも陳情してまいりましたが、例えばスイッチバック方式にしてでもこれを先決とし、ぜひ採用していただきたいと願うものであります。
 スイッチバック方式を実施するのに、もしもJRや南海電鉄が採算性や経費の関係でプラットホームや線路の改良費の捻出に問題点があってできがたいと言うならば、公共性施行という形で、行政サイドからの助成を行ってでも駅構内改良が実現されるよう配慮してはどうかと思うのでありますが、お尋ねをいたします。
 実は、先月十六日の朝、NHKのテレビを見ていて感じたのでありますが、大分県の豊肥JR線に清川駅を含め数カ所の無人駅があって、その中の清川駅の駅舎を自治体が全額負担して新しく建てかえ、その新駅舎を利用して、物産展示場を兼ねて村おこしに一役買っているということでありました。県民の利便性を考えるとき、ぜひ自治体サイドで経費を負担してでも直通列車実現を考えていただけないものか、お尋ねをするものであります。
 第二点目の雇用の拡大についてでありますが、関西国際空港開港まであとわずかとなりました。聞くところによりますと、昨年すなわち平成五年六月ごろから今日まで、関西国際空港株式会社の社員及び用務員、関連会社の採用試験が既に行われてきたということであります。その中で和歌山県内の採用予定人員はどのくらいあったのか、把握しておればお聞かせいただきたいと存じます。
 なお、雇用の拡大が期待されるということの中で、雇用に関する担当部局ではどのような方策を講じてこられたのか、雇用拡大にどの程度貢献されてきたかをお聞かせいただきたいと思うのであります。
 第三点目の、機内食供給を初め、関西国際空港の乗客や関連会社等の人口増大に伴う生鮮食料品や農水産物、県物産の供給についての施策については十数年前から取り組んでこられたと思うのでありますが、万全の体制はできているのか、また農協を初め個人企業や農水産業者との連携や対策はどのようになされてきたのか、お聞かせをいただきたいと存じます。ただ民間に任せるだけのものではなく、行政主導で積極的に取り組み、その対応と方策を進めていかなければならないと思うからであります。
 第四点目の交通体系についてでありますが、高速道路や幹線道路の整備について、現時点でどこまで進捗しているのか、また将来の見通しや新たに計画されている交通体系はどのように考えているのか、そのビジョンをお示しいただきたいと存じます。
 一昨年、私がこの本会議で質問要望した湾岸道路計画について、すなわち空港から岬加太港線を経由して紀の川河口橋を渡り、和歌浦、海南を経て紀南につなぐ海岸線観光道路構想についてであります。そのときの答弁では「十分検討いたします」とのお答えがありましたが、今もなお引き続き検討されていると理解してよろしいでしょうか、お伺いいたします。
 前回質問した同じ問題を再度お尋ねいたしましたそのゆえんは、次のとおりであるからであります。
 過去、私が本会議で質問をしたその当時は夢物語に思えたような提言要望であったその構想が、今日では現実の問題として浮揚してまいったからであります。それは、今から十三年前の昭和五十六年二月議会で紀淡海峡トンネル構想が浮揚したときでありました。トンネル構想もよいが、それよりもワイズマン構想に沿って友ケ島から淡路島へ、さらには四国へと夢の大橋をかけてはどうかと熱っぽく訴えてまいりましたが、余りそのときは問題視されなかったのであります。ところが今日では、第二国土軸を初め、現実の問題として架橋大橋が軌条に乗っているからであります。
 また、新幹線につなぐ新大阪乗り入れ問題が浮揚したときでありましたが、まずは乗り入れ問題を先決として、さらには紀伊半島を一周する新幹線誘致運動を展開してはどうか、今から叫んでも決して早過ぎることはないではないかとただしたのであります。当時、沖縄県と和歌山県だけが将来ともに新幹線の計画がないとまで言われた時代でもありました。だが、今日になってみると、東北ミニ新幹線もできた今、次は和歌山だと唱える人がだんだんとふえてきたことも実態であります。
 また、平成四年二月議会で定期観光バスの運行について、その必要性を熱っぽく訴えてまいりましたが、先月、和歌山バス会社が定期観光バスの運行実施に踏み切ったとの報道を受けまして、力説してきたかいがあったと賛意を表したのであります。
 このように、政治家は行政とは違った夢とビジョンを持って発言しているのであります。この議場で発言をされた議員各位の一言一言については皆真剣に承るという姿勢と重要視することが大切ではないかと、あわせ申し添えさせていただきます。
 さて、以上申し述べてまいりましたが、その中でも県民が最も望み、そして期待をしているものは何であるかということについて、提言を交えながら質問をいたしてまいりたいと存じます。
 それは、関西国際空港第一期工事計画では年間十六万回ということでありますが、全体構想では二十六万回の発着ということですから、関西国際空港へおりてくる乗客は年間三千万人を超えるものと予想されます。その乗客のほとんどが京阪神や東京方面へ流れていくのではないかと憂えるものであります。それでは、おりてきた乗客が右旋回をして和歌山へどれだけ流れ込むのか、和歌山へ誘致する手だてはないのか、それだけの魅力のあるものはどうすればよいのか等々、考えざるを得ないのであります。
 観光客は奈良、京都が日本の代表的な観光地だと思っているならば、和歌山へ誘致する魅力のあるものを実現していかなければなりません。それが土取り跡地のコスモパーク構想ではないかと思うのであります。
 今、推進機構の中において行政や企業体で構想を練っておられるということでありますが、行政側は財源や採算性を考え、企業は利益・利潤を目的としているのであるならば、思い切った魅力のある施策は到底実現できないのではないかと思うのであります。行政が財政を考え、採算性を重んじていることもわからないではないが、余りにも慎重過ぎて機を逸することになりはしないかと憂えるものであります。
 そこで、今、土取り跡地の現況はどうなっているのか、また将来のコスモパーク構想については、関西国際空港に着陸した乗客を誘致するに足る魅力のあるものにするにはどんなものが考えられるのか、お示しを願いたいと存じます。
 前々回にもこの本会議で質問申し上げましたが、和歌山県の浮揚対策は、そして一大飛躍の道は、奇想天外だと思われるようなことも考え、思い切った施策を断行せねば活性化の道は開けないとまで言われております。ただ目の前に起こってくる諸問題や必要に迫ってくる問題のみの処理に追われているという事なかれ的な行政のあり方では、思い切った発展の道はないと思うからであります。
 昨日、尾崎、森両議員からの提言もありましたが、私の聞く限りにおいても県会議員各位からコスモパーク予定地構想について数多くのご意見を承っておりますので、その内容を要約いたします。
 ある議員の説では、世界じゅうの人が集まってくるための国際競技場やあらゆる種目の競技ができるスポーツドームをつくってはどうかという提言であります。
 さらにはある議員から、今世界じゅうで日本庭園がブームを呼んでいるということの中で、敷地全体を日本の象徴的存在のものとして広大な日本庭園をつくり、日本に行った者は必ず一度は見てこいよと言われるような魅力のあるものにしてはどうかという提言もありました。
 さらに、ある議員の説では、国際的なサミット会議場を建設し、外国首脳を迎える迎賓館をもあわせ設置してはどうか、またその周辺には快適な遊歩道や緑豊かな日本庭園、快適に散策できる公園を設けたらすばらしいものができるではないかという意見もありました。
 また、世界を、そしてアジアを視野に入れたグローバルな構想を持つべきであるとし、例えばスイスのジュネーブのごとく、加太発ロイター共同といったような情報発信基地として国際機関の核ともなれば世界に開かれた関西国際空港であると位置づけられるではないかという、広大な構想を持つ議員の意見もございました。今、地方分権の問題が叫ばれている中で、東京にばかり一極集中した物の考え方を見直してもよいと考えるのであります。
 今から十数年前には、各議員からの提言の中に、空港の貨物ヤードや機内食センターをつくってはどうかというご意見もあったことをあわせ申し添えさせていただきます。
 さらに、参考までに申し上げますが、先般チャンギ空港を視察してまいりました。その空港周辺には国際的な宿泊ホテルが建ち並び、数万人の収容能力があって、国際会議やコンベンション、国際展示会等々の開催が去年一年間で、驚くなかれ五百八十二回もあって、三十四万人の人が訪れたということであります。もしこれら議員それぞれの提言の中で採算性や財源の問題が気がかりならば、迎賓館やサミット場等は国の事業とし、国の財源を投入する等、その考え方はいろいろあるではないかと思うのであります。
 現在の和歌山の状況では、国際的な会議やコンベンションはおろか、国内的な全国大会やイベントを開くのにも事を欠き、宿泊するホテルの収容力もなく、会場や広場も間に合わない状態であることを考えれば、もっと思い切った施策を講じるべきであると思うのであります。
 以上、総じて申し上げましたが、採算性や財源を心配なさる行政サイドの考え方も理解できないわけではありませんけれども、これを度外視した政治家の夢とビジョンもお考えの中に取り入れていただきたいことを申し添えさせていただくのであります。
 次に、昨日の質問にもありましたが、何が何でも全体構想を実現させなければならんという執念に立って、今回、空港視察に行ってまいりました。その概況報告を含め、質問をいたしてまいりたいと存じます。
 関西国際空港設置に関する当初の出発点は、年間二十六万回の発着便数であり、日本で初めての二十四時間空港ということで、文字どおりアジアのスーパーハブ空港として構想を目指し、そのための三点セット合意であったはずであります。
 そこで知事に、全体構想についての手段と決意を含めたご所見をお伺いいたしたく存じます。
 先般、シンガポールのチャンギ空港と三年後に開港予定の新香港空港を調査視察してまいりました。まず、シンガポールのチャンギ空港について強く感じさせられたことや感想を含め、その状況や実態について報告を申し上げてみたいと存じます。
 まず第一に感じたことは、日本と国情や考え方が全く違うということと、空港にかける意気込みが違うということでありました。それは、シンガポールがアジアの中心的位置にあって位置づけが違うということと、物の考え方が個人よりも公共がすべて最優先されるということでありました。また、空港を中心として栄えてきた国であり、国全体が空港の恩恵を受けて活力がみなぎっているようにも思えたのであります。
 空港の価値観や評価についての考え方は、近隣のマレーシア、韓国あるいは香港、インドネシア、タイ等々の国々では新たなハブ空港を目指して空港建設が進められており、設備面やサービス面についても十分に改善充実されようとしている今日、これらのほかの空港に比べて常に水をあけて最高の地位を保たなければならないという意気込みでありました。そのためには、現在ある第一、第二ターミナルに加えて第三、第四のターミナル計画を企画し、その中に映画館やプール、休憩・宿泊ホテル等を併設し、さらにはビジネスセンター及び市内電話、観光案内等、すべて無料でこれを開放し、ターミナル内ですべての事務的ビジネスができるという超サービス的な施設が行き届いていることも大きな魅力の一つでもあると思われました。
 なお、サービスのよさや設備は至れり尽くせりで、例えば税関、出入国管理、検疫等は、飛行機が着陸してからすべてのチェックを終えて外へ出てくるのに十二分から最終でも二十分程度の所要時間で全部処理できるという速さであり、その便利さに快適を感じたのであります。
 なお、第一ターミナルビルから第二ターミナルビルまでの距離が一キロメートルあるのですが、これは無人電車により一分の所要時間で運べるという簡便さでもありました。
 次に、一番関心のあった財源問題でありますが、チャンギ空港の建設や整備費については、運営主体が民間航空庁であって、国からすべて譲り受けての運営であるがために建設費の負担が一切ないので去年一年間で二億四千万ドルの収益があり、これを積み立てて第三滑走路の土地買収費や第三ターミナル、第四ターミナルの建設費に充てるということですから、財源問題については問題がないということで、関西国際空港との違いを見せつけられたのであります。
 なお、発着便数については、世界の五十九社が乗り入れをしており、五十四カ国、百十一都市と直結しての運航であり、その利用客は千八百十万人、発着回数は十二万六千回ということでありましたし、なお年々一五・五%の割合で増加の一途をたどっているとのことでもありました。
 アクセス道路は、中央の都市部を走る高速道路と海岸線を走る高速道路の二つの路線があって、第三ターミナルの完成と相まって地下鉄からも接続されるとのことでありましたが、もちろん高速道路はすべて無料であります。空港から都心部までは約二十分の所要時間であるという点から考えますと、利便性については申し分のない状況であります。
 次に、地域整備については国の開発庁の企画で実施されており、隣接地には空港関連企業や倉庫業、工業団地等があって、空港騒音対策の一つとして空港周辺にはゴルフ場が設置されていて、理想的な環境づくりにも役に立っているということでありました。
 空港需要に対する地元農水産物の供給状況をお尋ねいたしましたところ、シンガポールの農業はほとんど皆無の状態であって、あえて言うなら卵の生産ぐらいのものだということで、すべてインドネシアやマレーシア等の近隣諸国からの輸入に頼っているということでありました。関西国際空港の隣接にある和歌山県が供給資源県となることの必要性を強く感じたのであります。
 次に、先刻も申し上げましたが、世界的な国際会議等は去年一年間に百回程度あったと聞いていたので、実際はどのぐらいあったのですかとお尋ねをいたしましたところ、コンベンションが五百八十二回、展示回数が七十六回、合計して三十四万人の人が集まったのだと聞かされたときに、和歌山県も国際的な会議場が欲しいものだなと強く感じたのであります。また、この人たちを受け入れる宿泊施設も万全であり、去年一年間で六百万人の宿泊があったということであります。まさに世界のベッドであると言われるゆえんでありますとお答えされたのであります。
 このようにスーパーハブ空港としての先陣争いがある中で是が非でも関西国際空港を世界に開かれた空港として近隣諸国におくれをとらないためにも、全体構想実現に向けて鋭意努力せねばならないと強く感じたものであります。
 このたびの空港調査団視察の一端を申し述べましたが、時間の関係もありますし、新香港空港の視察状況も含め、調査団一行とともに詳細な報告書をただいま作成中でございますので、一冊の冊子として取りまとめ、ご報告をいたしたいと存じます。
 以上をもって、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(町田 亘君) ただいまの富田豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 富田議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港の全体構想実現への取り組みでございます。
 ただいま、シンガポールのチャンギ国際空港を視察されたことについていろいろ承りまして、財源問題等、本当に羨望にたえないところでございます。
 国情の違いがあるとは申せ、関西空港を現在進めている我々にとりまして、これからなお考えていかなければならない幾多の問題があるわけでございます。そうした点についてお教えをいただきながらやっていかなければならないと思っております。
 私も、関西国際空港は日本で二十四時間開かれた初めての国際空港である、第一種空港である、そしてまたこれは関西が発展するために世界に誇れるアジアのハブ空港として立派に整備されなければならないと思っておるわけでございます。
 ご承知のように、財源問題等において非常に苦労していますが、地元の協力を得て調査費もついたところでございます。こうした問題については、国においてもなお一層積極的に考えていかなければなりませんけれども、我々もそうした意見を持って国に対処していかなければなりません。
 それとともに、また現実問題として、第六次空港整備五箇年計画を事業化するに当たって多くの課題や地元としての問題点を持っております。そうした問題に対して現実的にどう対処していくかということ等、非常に難しい諸問題がありますが、こうした問題等について県議会の皆さんと十分相談させていただきながら現実的対応の問題も早急に決定し、第七次空港整備五箇年計画で位置づけられるように全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
 その他コスモパーク等々、いろいろおっしゃられた点については後ほど部長が答弁いたしますけれども、そうした夢を持ってこれからの行政に取り組んでまいりたいと思っております。
○副議長(町田 亘君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 関西国際空港に関連するご質問にお答えいたします。
 関西国際空港へのアクセスについてでございますが、関西国際空港と和歌山市を結ぶリムジンバスについては、和歌浦口から市内七カ所の停留所を経由して、一日十六往復の運行申請が運輸省になされているところでございます。またタクシーについても、和歌山市域の事業者の空港での営業が可能となってございます。
 議員ご質問の空港への直通列車の運行につきましては、大阪都心部からの直通列車の運行等とのアクセスルートが関西国際空港関連施設整備大綱において位置づけがなされてございます。こうしたことから、本県からの鉄道の直接乗り入れなどについては、県議会空港対策特別委員会におかれても運輸省に陳情をいただくとともに、輸送力強化促進委員会の協力をいただいて、JR西日本、南海電鉄に対し強く働きかけを行ってきたところでございます。
 現在のところ、南海本線につきましては、泉佐野駅における鉄道高架事業のおくれから物理的にスイッチバック方式は不可能となってございます。またJR西日本につきましては、旅客需要等の問題から非常に厳しい状況でございますが、現在、阪和線では初めてとなる日根野駅におけるエレベーターの設置について既に工事が進められているところでございます。また、ラッシュ時の同一ホームの乗りかえなどについても検討を進めていただいているところでございます。
 今後、需要の増加対策に取り組むとともに、引き続きスイッチバック方式の実現に向け、県議会のお力添えをいただきながら努力してまいりたいと存じます。
 次に、スイッチバック方式による直接乗り入れを実施するための公費負担についてでございます。
 空港連絡線の分岐駅となるJR阪和線日根野駅につきましては、既に駅構内の配線工事も完了し、本県からのスイッチバック方式による直接乗り入れについては技術的には可能となってございます。また、南海泉佐野駅についても直接乗り入れが可能となるよう、現在高架事業が進められているところでございます。
 スイッチバック方式による直通列車の運行につきましては、先ほども申し上げましたが、旅客需要が最大の課題となってございまして、今後、沿線自治体とともに需要の増加対策に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 次に、コスモパーク加太の現状と将来構想についてでございます。
 昨日、尾崎吉弘議員にお答えいたしましたように、コスモパーク加太につきましては、現在、県土地開発公社の土砂採取関連工事を進めており、平成六年三月末に終了の予定でございますが、現在の厳しい経済情勢のもとで民間企業が事業主体となって事業を進めることはまことに難しい状況でございます。このため、県、和歌山市、県土地開発公社の三者の協議のもと、県土地開発公社が事業主体となって事業を推進することといたしたいと存じます。
 次に将来構想についてでございますが、コスモパーク加太は関西国際空港に至近の位置にあり、開港のインパクトの活用、また京奈和自動車道、紀淡海峡ルート、加太・岬スカイライン等の構想の具体化に伴い、大いに将来展望が期待できるものと考えているところでございます。
 富田議員のご提言のように、関西国際空港におり立つ世界の人々を和歌山に招致できる魅力ある施設立地が必要であると考えているところでございます。議会でご提言もいただいている総合運動公園等を含む施設立地についても、総合的な見地から積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 商工労働部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 関西国際空港に関連しての雇用の拡大についてお答えをいたします。
 平成四年四月から今日までの関西国際空港株式会社並びにその関連会社六社への採用及び採用内定者は、全体で四百九十五名、そのうち県内からは五十二名であると把握しております。
 関西空港関連に係る雇用拡大につきましては、県内の誘致企業二十五社で、平成六年二月二十五日現在、Uターン雇用者三十六名を含む地元雇用者六百六十九名の雇用創出が図られているところでございます。引き続き、誘致企業に対しては地元採用の積極的な促進を図るよう指導いたし、一層の雇用拡大に努めてまいりたいと考えております。
 しかし一方では、こうした空港関連企業の採用が進むに従って通勤圏内である紀北地方を中心として中小企業の人手不足も懸念されることから、県といたしましては、県外に流出している人材のUターンの促進を図るとともに、本年度から新たに高校就職指導担当教職員等を対象として事業所見学などを実施し、若年労働者の確保に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
 次に、観光客の誘致についてお答えをいたします。
 関西国際空港の開港は、本県の観光客誘致にとって非常に重要な機会であると認識してございます。
 まず、空港内に観光案内所を近隣府県等と共同で設置するほか、本県独自で観光パネルを掲出するなど、関西国際空港をご利用の方々に対し和歌山県の観光情報を提供するのを初め、空港を起点としたルート別観光パンフレットの日本語、英語、韓国語、中国語版の制作も手がけているところでございます。
 また、NIES諸国からの観光客が多く見込まれるところから、既に台湾や韓国の旅行エージェントや関係団体に赴いて旅行商品の企画や観光客の送客を強く働きかけているところでございますし、去る三月七日から韓国や台湾のレジャー記者をお招きし、本県の観光地を紹介しているところでございます。
 本県の観光資源は、高野・熊野を初め歴史文化資源から見ましても、また雄大な太平洋に臨むさまざまな表情を持つ海岸美など豊かな自然景観から見ましても、京都、奈良に比して決して遜色のないものであると確信をいたしております。したがいまして、今後ともネイチャーランドキャンペーンなどを通じてこれら観光資源を全国的にPRするとともに、諸外国に対してもさらなる宣伝活動を展開してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 農林水産部長野見典展君。
 〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 富田議員にお答えをいたします。
 関西国際空港の開港に伴う農水産物の供給についてのお尋ねでございます。
 機内食、空港島及び周辺地域への需要の増加に対応するため、紀の川流域を中心に産地の育成と販路の拡大に取り組んできたところでございます。
 機内食につきましては、関係団体と一体となって県産物の採用について要請活動を行ってまいった結果、新空港においても本県産ミカンジュースの採用は明るい見通しとなってございます。
 また生鮮農産物につきましては、現在、品ぞろえの観点から食材会社では中央卸売市場等からの一括仕入れに重点を置いており、県といたしましては、農業団体ともども県農協連指定卸売会社を通じ、本県産農産物が食材会社に安定供給できるよう働きかけてございます。
 一方、県産物のPRと新たな販路開拓を図るため、空港ターミナル内の和歌山県物産コーナーにおいて、梅干し、ジュース、水産加工品、漆器などの地場産品等を展示・販売する予定でございます。
 なお、緑化木につきましては、植木組合など関係団体と一体となって取り組んできたところ、ウバメガシやサザンカ等が採用されてございます。
 今後とも議会のご支援をいただき、関係団体との連携を一層密にしながら新しい時代に対応した集出荷体制を強化し、販路拡大に努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) アクセス道路についてお答えを申し上げます。
 関西国際空港に関連した高速道路等の関連交通アクセス道路整備につきましては、昭和六十年十二月に国において策定をされた関西国際空港関連施設整備大綱及びこの大綱を踏まえて県において策定をした地域整備計画に基づき、事業促進を図っているところであります。
 高速道路につきましては、近畿自動車道の松原─海南間が昨年九月に全線開通をし、また関西空港自動車道及び阪神高速湾岸線の泉大津からりんくうジャンクションの間がこの四月二日に開通予定となっております。
 第二阪和国道の和歌山北バイパスについては、本年度に引き続き、地元のご理解を得ながら用地買収の促進を図っていく予定となっております。
 このほかに、空港へのアクセス道路として県道岬加太港線の和歌山側である大川・深山工区は現在工事中でございまして、空港開港までに供用できるよう事業促進を図っているところであります。
 その他、県道泉佐野岩出線、泉佐野打田線、粉河加太線、西脇山口線等につきましても、それぞれその整備促進に努めているところであります。
 また、新たな計画といたしましては、大阪湾環状道路及び第二国土軸構想の一環をなす紀淡連絡道路の調査が進められておりまして、これの早期事業化に向けて努力をしてまいります。
 次に、議員ご提案の、空港から岬加太港線を経由して和歌浦、海南に至る道路でございますが、将来的には、加太周辺から和歌山下津港の本港地区を経て国道四十二号に結ぶ、規格の高い道路が必要であると考えております。ただ、周辺は人家並びに工場が連檐をしており、また海水浴場や和歌山下津港の北港地区を経由することとなり、解決しなければならない課題が数多くありますので、引き続き検討してまいりたいと存じます。
○副議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(町田 亘君) 再質問がございませんので、以上で富田豊君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(町田 亘君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十分散会

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