平成6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第1号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第一号 平成六年二月二十八日(月曜日)
 午前十時開会・開議
 第一 会議録署名議員の指名
 第二 会期決定の件
 第三 議案第一号から議案第五十四号まで、及び報第一号(知事説明)
会議に付した事件
 一 会議録署名議員の指名
 二 会期決定の件
 三 議案第一号から議案第五十四号まで、及び報第一号(知事説明)
 四 休会決定の件
出 席 議 員(四十五人)
 1 番 小 川 武
 2 番 吉 井 和 視
 3 番 井 出 益 弘
 4 番 和 田 正 一
 5 番 町 田 亘
 6 番 尾 崎 吉 弘
 7 番 岡 本 保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 向 井 嘉久藏 
 10 番 佐 田 頴 一
 11 番 阪 部 菊 雄
 12 番 堀 本 隆 男
 13 番 平 越 孝 哉
 14 番 富 田 豊
 15 番 門 三佐博 
 16 番 西 本 長 弘
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 上 野 哲 弘
 19 番 宇治田 栄 蔵
 20 番 尾 崎 要 二
 21 番 中 村 利 男
 23 番 山 本 一
 24 番 馬 頭 哲 弥
 25 番 鶴 田 至 弘
 26 番 飯 田 敬 文
 27 番 村 岡 キミ子  
 28 番 松 本 貞 次
 29 番 下 川 俊 樹
 30 番 石 田 真 敏
 31 番 宗 正 彦
 32 番 橋 本 進
 33 番 浜 田 真 輔
 34 番 冨 安 民 浩
 35 番 上野山 親 主
 36 番 中 村 裕 一
 37 番 和 田 正 人
 38 番 大 江 康 弘
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 木 下 秀 男
 42 番 森 正 樹
 43 番 野見山  海
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 本 収
 46 番 森 本 明 雄
 47 番 浜 口 矩 一
欠 席 議 員(なし)
 〔備 考〕
 22 番 欠 員
 41 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口 勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 中 西 伸 雄
 総務部長 木 村 良 樹
 企画部長 佐 武 廸 生
 民生部長 南 出 紀 男
 保健環境部長 江 口 弘 久
 商工労働部長 吉 井 清 純
 農林水産部長 野 見 典 展
 土木部長 山 田 功
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長
 教育委員会委員長
 岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
 西 本 貫 一
 警察本部長 西 川 徹 矢
 以下各部長
 人事委員会委員長
 水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 鈴 木 俊 男
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 梅 本 信 夫
 次 長 中 村 彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 長 尾 照 雄
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 川 端 孝 治
 調査課長 岡 山 哲 夫
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時三分開会・開議
○議長(宗 正彦君) ただいまから、平成六年二月定例会を開会いたします。
○議長(宗 正彦君) これより本日の会議を開きます。
○議長(宗 正彦君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十時四分休憩
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 午前十一時四分再開
○議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
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○議長(宗 正彦君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。
 今期定例会の会議録署名議員は、3番井出益弘君、19番宇治田栄蔵君、35番上野山親主君の三君を指名いたします。
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○議長(宗 正彦君) 次に日程第二、会期決定の件を議題といたします。
 お諮りいたします。今期定例会の会期は、本日から三月二十四日までの二十五日間といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) ご異議なしと認めます。よって、今期定例会の会期は本日から三月二十四日までの二十五日間と決定いたしました。
○議長(宗 正彦君) この際、報告いたします。
 木下義夫君から、二月十日付で一身上の都合により議員を辞職したい旨の願い出が提出されましたので、地方自治法第百二十六条ただし書きの規定により、同日これを許可いたしました。
 以上、報告いたします。
○議長(宗 正彦君) 次に、諸般の報告をいたします。
 お手元に配付のとおり、知事から地方自治法第百八十条の規定による専決処分の報告及び地方自治法第二百二十一条第三項の規定に定める法人の経営状況を説明する書類の提出が、監査委員から監査の結果報告及び現金出納検査結果の報告がありました。
 以上、報告いたします。
○議長(宗 正彦君) 次に、今期定例会に提出されました議案等は、お手元に配付のとおり、議案第一号から議案第五十四号まで、並びに知事専決処分報告報第一号の計五十五件であります。
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 財第207号 
  平成6年2月28日
 和歌山県議会議長 宗 正 彦 殿
 和歌山県知事 仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成6年2月定例会議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
 議案第 1号 平成6年度和歌山県一般会計予算
 議案第 2号 平成6年度和歌山県農業改良資金特別会計予算
 議案第 3号 平成6年度和歌山県林業改善資金特別会計予算
 議案第 4号 平成6年度和歌山県沿岸漁業改善資金特別会計予算
 議案第 5号 平成6年度和歌山県中小企業近代化資金特別会計予算
 議案第 6号 平成6年度和歌山県母子寡婦福祉資金特別会計予算
 議案第 7号 平成6年度和歌山県東京事務所宿舎特別会計予算
 議案第 8号 平成6年度和歌山県職員住宅特別会計予算
 議案第 9号 平成6年度和歌山県物品調達特別会計予算
 議案第10号 平成6年度和歌山県立医科大学特別会計予算
 議案第11号 平成6年度和歌山県印刷事業特別会計予算
 議案第12号 平成6年度和歌山県営競輪事業特別会計予算
 議案第13号 平成6年度和歌山県営港湾施設管理特別会計予算
 議案第14号 平成6年度和歌山県流域下水道事業特別会計予算
 議案第15号 平成6年度和歌山県市町村振興資金特別会計予算
 議案第16号 平成6年度和歌山県自動車税等証紙特別会計予算
 議案第17号 平成6年度和歌山県用地取得事業特別会計予算
 議案第18号 平成6年度和歌山県立五稜病院事業会計予算
 議案第19号 平成6年度和歌山県電気事業会計予算
 議案第20号 平成6年度和歌山県工業用水道事業会計予算
 議案第21号 平成6年度和歌山県土地造成事業会計予算
 議案第22号 平成6年度和歌山県駐車場事業会計予算
 議案第23号 平成5年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第24号 平成5年度和歌山県用地取得事業特別会計補正予算
 議案第25号 和歌山県職員定数条例の一部を改正する条例
 議案第26号 職員の分限に関する手続及び効果に関する条例の一部を改正する条例
 議案第27号 職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例
 議案第28号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第29号 和歌山県特別会計条例の一部を改正する条例
 議案第30号 和歌山県児童福祉施設設置条例の一部を改正する条例
 議案第31号 和歌山県心身障害者対策協議会条例の一部を改正する条例
 議案第32号 和歌山県身体障害者福祉センター設置及び管理条例の一部を改正する条例
 議案第33号 和歌山県立高等看護学院設置及び管理条例及び和歌山県看護職員修学資金貸与条例の一部を改正する条例
 議案第34号 精神保健指定医の費用弁償及び報酬支給条例の一部を改正する条例
 議案第35号 和歌山県公害防止条例の一部を改正する条例
 議案第36号 和歌山県婦人等就業援助センター設置条例の一部を改正する条例
 議案第37号 南紀白浜空港条例の一部を改正する条例
 議案第38号 和歌山県都市公園条例の一部を改正する条例
 議案第39号 和歌山県営住宅管理条例の一部を改正する条例
 議案第40号 和歌山県建築審査会条例の一部を改正する条例
 議案第41号 和歌山県立学校等職員定数条例の一部を改正する条例
 議案第42号 和歌山県立近代美術館設置および管理条例の一部を改正する条例
 議案第43号 和歌山県立博物館設置および管理条例の一部を改正する条例
 議案第44号 警察官に対する支給品及び貸与品に関する条例の一部を改正する条例
 議案第45号 和歌山県地方警察職員定員条例の一部を改正する条例
 議案第46号 警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第47号 和歌山県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第48号 和歌山県使用料及び手数料条例の一部を改正する条例
 議案第49号 和歌山県使用料及び手数料条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
 議案第50号 平成6年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
 議案第51号 平成5年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
 議案第52号 当せん金付証票の発売について
 議案第53号 訴訟の提起について
 議案第54号 工事請負契約の締結について
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 財第207号 
  平成6年2月28日
 和歌山県議会議長 宗 正 彦 殿
 和歌山県知事 仮 谷 志 良
 知事専決処分について報告
 平成5年度和歌山県一般会計補正予算等について、早急に措置する必要が生じたが、臨時県議会を招集する暇がなかったので、やむを得ず地方自治法第179条第1項の規定により専決処分した。
 よって、同法同条第3項の規定により、報第1号をもってこれを報告し、その承認を求めます。
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○議長(宗 正彦君) 日程第三、ただいま報告いたしました議案第一号から議案第五十四号まで、並びに知事専決処分報告報第一号を一括して議題といたします。
 まず、知事から提案理由の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 平成六年度予算案を初め諸議案についてご審議をお願いするため二月定例会を招集いたしましたところ、議員各位には何かとお忙しい中をご参集いただき、厚く御礼申し上げます。
 ただいま上程されました諸議案について提案理由をご説明するに先立ち、県政の運営について私の所信を申し述べたいと存じます。
 さて、ことしはいよいよ世界リゾート博、関西国際空港開港の年であります。七月十六日に開幕する世界リゾート博では、本県のすばらしい自然、文化、歴史を国際的リゾートエリアとしてアピールするとともに、二十一世紀に求められるライフスタイルを国内外に提言いたします。また、二十四時間世界に開かれた関西国際空港の開港は、はかり知れない経済的波及効果による地域活性化はもとより、人、物、情報、そして文化の新しい交わりを生みます。一九九四年、平成六年夏、長らく私たちが目標にしてきた大きな年であり、世界リゾート博と関西国際空港、この二つが生み出す大きな恵みを本県の諸産業の活性化に、そして国際化時代に対応する人づくりなど、息長く県勢の飛躍発展につないでまいらねばならないと決意を新たにしております。
 まず、世界リゾート博につきましては、残日計が百三十八日と表示し、開幕への緊迫感を伝えています。それに合わせて、諸準備も急ピッチで進んでおります。
 博覧会の中心施設であるテーマ館を初め二十にも及ぶパビリオン群、その中でも国際リゾート館には、本県が友好提携を結んでいる中国山東省とフランスピレネーオリアンタル県を初め、世界十数カ国からの出展参加があり、県及び市町村の友好姉妹都市からのイベント参加もいただくことになっております。この機会に和歌山県をPRするのも大きな目的の一つであります。本県の自然、文化、人、産業を多面的に紹介するわかやま館、特産物を展示販売する和歌山プラザなど、国内外に向け、和歌山から個性あるメッセージを発信します。博覧会成功のかぎは、何といいましても、県民の皆様の参加、県民みんなでつくり上げる博覧会にすることにあります。
 県民の皆様には、来場してリゾート体験していただくことはもちろんでありますが、イベントへの参加、ボランティアとしての参加、町をきれいにする花づくりやクリーンキャンペーンへの参加など、県民みんなが参加することによって、この博覧会を成功に導いていただきたいと考えており、ご協力をお願いする次第であります。
 もう一つの大きな出来事、関西国際空港の開港であります。
 私は、知事就任以来、最重要課題として取り組んでまいったのは、半島に位置する本県の国土軸への直結であります。議員各位を初め、県民の皆様のご支援により、鉄道につきましては一足先に新大阪乗り入れが実現し、道路は、昨年、阪和自動車道の全線開通により、念願であった国土軸との直結を果たしました。ことしは、関西国際空港の開港により、全国主要都市はもとより世界と結ばれることになります。たくさんの人々が集い行き交う、物、情報が流れる、異なる文化と文化が交わる、そうした交流の場がつくり出され、そこから新しい文化、友好の輪、ビジネスチャンスが生まれます。この機会をしっかり掌中におさめ、県民生活のあらゆる分野において質的向上を図ってまいる所存であります。
 二十一世紀に差しかかろうとする今日の時代は、変化、変革の激しい時代であります。国際社会においても、民族紛争など戦火の絶えない地域もあり、また利害が対立する国際間の貿易問題など、新しい秩序確立への模索の渦中にあります。
 そうした中にあって、欧州におけるECからEUへの連携強化や、先日、痛ましい事態が起こりましたが、イスラエルとPLOの歴史的な和解、また国内では連立政権の誕生、長年の懸案であった政治改革法の成立など、混迷の中にあって新しい時の流れもまた見出すことができるのであります。
 私たちを取り巻く社会環境においても、高齢化、国際化、情報化や過疎化といった諸課題とともに、新しい時代の訪れを告げる幾つかの事象が見え始めています。東京一極集中是正が叫ばれている中で、独創的な発想と努力で特色ある地域づくりを行っている地方の動きがあり、そうした動きが地方分権への声の高まりにもなってきております。また、経済大国から生活大国へ、成長、効率主義からゆとり、豊かさを求める国民志向の変化などがそのあらわれであります。私は、こうした時の動き、流れを的確に把握し、将来への確かなビジョンを描くことに不断の努力を払うとともに、県民の皆様の声に耳を傾け、対話と協調の中で、県政を最善の方向へ進めてまいる所存であります。
 さて、世界リゾート博と関西国際空港の開港という大きなインパクトをより豊かな県民生活の実現へと結びつけることが今後の県政の最も重要な課題であります。私は、これを契機に関西における新たな交流圏を創造し、その中で和歌山を位置づけること、すなわち第二国土軸や京奈和自動車道、紀淡連絡道路、大阪湾ベイエリア整備、関西国際空港全体構想推進などの諸課題の実現に向けて関西が一体となって取り組み、より広域的な観点から本県の発展を図ってまいらねばならないと考えております。
 一方、県内に目を転ずれば、県土の均衡ある発展を図るための県内幹線道路網の整備も喫緊の課題であります。また、本県では全国平均を上回るペースで高齢化が進んでおり、医療、福祉、雇用、生涯学習など広範な分野において高齢化社会のシステムを築いてまいらねばなりません。これらの諸課題について、私は「のびゆく県土づくり」、「すこやかな社会づくり」、「やさしい生活環境づくり」、「こころ豊かな人づくり」、「たくましい産業づくり」の五つの政策目標を基本として、本年度から始まる第三期中期実施計画においても、本計画中に到達できる県政の目標を明らかにし、着実に実施してまいりたいと存じます。
 二十一世紀が目睫の間に迫った今日は、戦後、半世紀を経るときでもあります。戦後の平和がもたらしてくれた繁栄の中にありながらも、私たちは激しく揺れ動く時代の中にあります。しかし、和歌山県には今、確かな目標があります。世界リゾート博と関西国際空港の開港、この二つの翼を得て、ふるさと新時代の実現に向けて力強く飛躍するチャンスであります。
 私は、「交流から生まれる新たな創造」を県政の各分野において掲げ、世界や国内各地との交流で躍動する和歌山、すばらしい自然、文化、歴史が花開く、ゆとりと豊かさが実感できる和歌山、県民みんなで支え合う健やかな和歌山を築いていくために全力を傾注してまいる所存であります。議員各位を初め、県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。
 以下、予算の具体的内容につきましてご説明申し上げます。
 本県の財政状況は、低迷を続ける景気情勢もあり、県税収入が三年連続して前年度を下回るなど一層厳しさを増しております。その中で、徹底した歳出の削減、合理化を進めるとともに、国の財源措置のある起債の活用、各種基金の思い切った取り崩し等により財源を確保する一方で、県民生活の向上につながる緊急度の高い施策については重点的に進めることとし、投資重点型の積極予算を編成したところであります。また、景気対策といたしましては、国において所得税、住民税の減税、公共投資の大幅拡大等を盛り込んだ史上最大規模の総合経済対策が講じられたのに伴い、県といたしましても、これに対応して公共事業、単独事業の大幅拡大、中小企業対策など平成六年度当初予算、平成五年度二月補正予算を通じて最大限の努力を払うとともに、県景気・雇用対策本部を設置し、緊急かつ全庁的に取り組むことといたしております。
 以下、各分野における歳出予算の概要についてご説明いたします。
 まず第一の柱は、「のびゆく県土づくり」であります。世界リゾート博と関西国際空港のさまざまな恵みを県下全域にもたらすための道路交通網の整備であります。
 昨年、阪和高速道路の全線開通により本県の産業、観光等に大きな貢献を果たしたところですが、引き続き湯浅御坊道路の早期完成はもとより、近畿自動車道紀勢線の御坊以南への延伸についても積極的に取り組むとともに、紀淡連絡道路の調査推進、京奈和自動車道の事業促進を図り、高速交通体系の整備を一層促進してまいります。
 県内幹線道路につきましては、国道二十四号バイパス、紀の川広域農道、水上栃谷線がそれぞれ開通し、交通事情が飛躍的に向上したところであります。本年、新たに国道四百二十四号白馬トンネル、唐尾マリンアクセス、紀州サンリゾートラインが完成し、県内道路網は充実の度を加えます。また、国道四百八十号の府県境トンネルや大島架橋にもいよいよ着手するほか、野上電鉄の廃止を前提に、その線路敷を半島振興道路として整備するなど、新たな道路整備の展開と、農道、林道等を含め、あらゆる整備手法を駆使することにより県内二時間交通圏の早期確立に努めてまいります。
 鉄道につきましては、これまで実施してまいりました紀勢線の高速化調査をもとに、高速化に資する整備方策についてJR西日本と共同で事業化に向けた詳細な調査を進めることといたしております。
 空と海の道につきましては、紀南の活性化に大きなインパクトを与える南紀新空港を平成七年度中のできるだけ早い時期に開港できるよう積極的に取り組んでいるところであり、また将来の海上輸送の主役と言われているテクノスーパーライナーの導入を含めた拠点整備について、引き続き調査検討してまいりたいと考えております。
 県土の均衡ある発展のため交通体系の整備は不可欠であり、これを最重点として進める一方、地域における特色ある町づくりをあわせて進めていかなければなりません。
 新宮・東牟婁を中心とする熊野地域については、当地域のすぐれた自然、文化、歴史的資源を生かし、熊野学研究センターを初めとするリーディングプロジェクトの実現化方策を市町村とともに検討してまいります。田辺・御坊地域については、県土の中央部に位置するかなめの地域であり、地方拠点法に基づく地域整備を行い、県北部地域では関西国際空港の臨空域として波及効果を最大限生かした整備方策を進めてまいりたいと存じます。
 第二の柱は、「すこやかな社会づくり」であります。
 県民医療の中核である県立医科大学の移転整備につきましては、附属病院の実施設計が間もなく完了いたしますので、本年中に建設に着手し、順次、大学の整備に取りかかり、平成十年度の完成を目指し取り組んでまいります。また、看護職員の確保養成を図るため、紀南地方看護婦養成所を来年四月開校するほか、看護短期大学も建設に着手し、平成八年春開学いたします。
 次に福祉対策でありますが、私は福祉行政を進める上で、ハンディキャップを持つ人も社会の一員として自立、参加できるシステム、そして地域住民が互いに助け合う社会をつくることが最も肝要だと思います。こうした観点に立ち、在宅福祉の充実と障害者の社会復帰、自立を図ることに重点を置いたところであります。
 まず、県老人福祉計画に基づき、ホームヘルパー、ショートステイ、デイサービス等の在宅福祉を充実するとともに、特別養護老人ホーム入所者の家庭復帰を支援する事業を新たに実施します。また、障害者の就労の場を確保し、社会参加と自立を促進するため、全国で初めての精神障害者福祉工場、及び精神薄弱者の福祉工場、福祉ホームを整備するとともに、第三セクター方式による重度障害者雇用企業の育成を図ってまいります。さらに、新たに県社会福祉協議会にボランティアセンターを設置し、幅広く県民の皆様のボランティア活動を支援してまいります。
 同和対策につきましては、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の三年目に当たり、法の期限内に残された課題を解決するためにも住環境整備等に積極的に取り組むとともに、同和問題の早期完全解決のため教育啓発や産業就労対策を一層推進してまいります。
 また、本年は国連の定めた国際家族年であり、この機会に家族の大切さ、家族の果たす役割について認識を深めるための記念行事を実施することといたしております。
 第三の柱は、「やさしい生活環境づくり」であります。
 私たちの活動により引き起こされる地球環境への影響について一人一人が考え、身の回りの生活環境を快適で住みよくすることは県民生活の質的向上を図る上で大切なことであります。
 まず、生活排水対策については、紀の川流域下水道の浄化センターの施設建設に本年度から着手するとともに、農山漁村における集落排水の整備や合併処理槽設置についても一層推進することといたしております。また、廃棄物の適正処理と中間処理による減量化を図るための廃棄物処理センターの整備基本計画を策定してまいります。
 次に、県民の憩いの場としての公園の整備であります。和歌浦に建設中の万葉館、健康館を世界リゾート博に合わせ開館できるよう工事を進めるとともに、緑花センターのパノラマ花壇を充実し、県民に一層親しまれる公園として整備いたします。さらに、自然との触れ合いを楽しみながら余暇を過ごすという自然志向の高まりや、多様な野外活動に対応する家族キャンプ村を新たに整備することといたしております。このほか、過去二カ年続けてまいりました県民生活環境整備重点化枠は、本年度もさらに充実することとし、海や川の水辺空間の整備を初め、道路沿いに植栽や花壇を設置するなど、潤いのある町づくりに努めてまいります。
 暮らしの安全確保といたしましては、警察活動の拠点として警察署の整備を促進するとともに、水上警察隊を新たに設置し、増大する海洋事故等に対処することといたしております。また、交通安全対策といたしまして、自転車道や歩道の段差解消や音声つき残秒表示信号機の増設を行います。加えて、大新公園に地下駐車場を新たに建設することといたしております。
 第四の柱は、「こころ豊かな人づくり」であります。
 まず学校教育の充実でありますが、一人一人の生徒の可能性を伸ばし、教育水準の向上を図るため、すべての県立高校において四十人学級を実施します。また、和歌山高校に総合学科を開設するほか、県立高校に自然科学科、生産技術科、国際経済科等の新学科を設置します。特殊教育の充実につきましては、和歌山市内に養護学校を新設するための調査検討を進めるとともに、紀北養護学校に重度肢体不自由児を対象とする学級を高等部に続いて小学部、中学部にも開設いたします。また、和歌山大学の工科系学部創設のための予算が国において認められ、県としても高等教育機関の充実と人材育成のため一日も早い開学を要請してまいりたいと思います。
 次に文化の振興でありますが、二十一世紀は文化の時代になると言われております。社会が発展するほど、心のゆとり、豊かさが求められ、次代を担う心豊かな人づくりを行う上からも、文化的視点に立った行政の推進に一層力を注いでまいります。
 まず、新美術館、新博物館を世界リゾート博の開幕に合わせて七月にオープンし、開館記念の特別展覧会を開催いたします。県民文化会館では、近代美術館のスペースを県民ギャラリーとして整備するとともに、紀南における文化の拠点として熊野学研究センター構想の実現化を進めます。
 文化やスポーツ、各種イベントなど新しい交流の場づくりとして進めている多目的ホールと総合健康・福祉棟につきましては、実施設計に取りかかり、平成七年度の工事着手に向けて取り組んでまいります。また、伊都・橋本地方に都市公園事業として多目的体育館を建設することとし、その基本計画を策定いたしてまいります。
 国際交流につきましては、本年は一気に花開く年であります。世界リゾート博では、海外からたくさんの人々が本県を訪れ、博覧会場で、町々で県民の皆様との交流があろうかと存じます。そうした触れ合いを大切にして、本県の国際化の基礎を築いていただきたいと思います。また、中国山東省との十周年記念、フランスピレネーオリアンタル県との一周年記念行事を行い、一層友好のきずなを深めるとともに、アメリカフロリダ州、メキシコシナロア州との友好提携も積極的に進めてまいります。
 第五の柱は、「たくましい産業づくり」であります。
 県内経済が依然として低迷を続ける厳しい状況を踏まえ、まず融資制度について全体の融資枠を大幅に拡大するとともに、低利の緊急経営資金特別融資を拡大実施し、中小企業金融の充実を図ってまいります。また、中小企業者がみずから行う新技術、新製品の開発、新分野への進出に対して支援を行うことといたしております。産業技術の中核的支援施設として整備中の工業技術センターについては、新本館を完成させ、新たに実証棟の整備に取り組みます。
 次に農林水産業の振興でありますが、農業については、消費者ニーズの多様化や産地間競争に対応するため、最新式の選果システムや野菜生産の機械化等による省力生産システムを導入し、特色ある産地づくりと高収益農業の確立を図ってまいります。
 また、農業、農村を取り巻く環境は、国際化の進展、担い手の減少など大きく変わってきており、こうした情勢を踏まえ、地域の特性を最大限活用した地帯別農業生産の方向や担い手対策などに焦点を当てた二十一世紀型農業振興計画を策定してまいります。中山間地域においては、過疎化、高齢化等とりわけ厳しい環境にあることから、農業生産や生活環境の基盤整備を着実に進める一方、特産物の商品開発や地域が有する多面的機能を生かした観光、レクリエーションの振興、都市との交流等により活力導入を図ってまいります。また、昨年創設いたしました森林整備担い手基金につきましては、さらに拡充し、林業従事者の確保、育成を図ってまいるとともに、水産業につきましては、つくり育てる漁業の振興を図るため北部地域栽培漁業センターの建設に着手してまいります。
 以上の施策のほか、平成六年度は半島振興法が制定されて十年になり、年度末には法期限を迎えます。特色ある地域づくりや生活基盤の整備を図る上で法による支援は不可欠であり、法の延長と支援策の充実を強く国に要望してまいりたいと存じます。
 以上が、予算案の主な内容であります。
 この結果、平成六年度一般会計の総額は五千三百四十三億円余、対前年度八・九%増となったところであります。あわせてご提案申し上げている特別会計は、総額九百九十五億円余、企業会計は五百五十四億円余となっております。
 なお、本年は国の予算編成が大幅に遅延する中で、新たな総合経済対策が同時に発表されるという異例の事態となりました。県といたしましては、この対策を受け、補正予算案を取り急ぎ編成したところであります。したがいまして、平成五年度補正予算では、景気対策として公共事業等の追加を行うこととし、補正額は一般会計で二百億円余、用地取得事業特別会計で七億円余の増額となっております。また、景気対策以外の補正予算につきましては、準備が整い次第、ご提案申し上げることといたしております。
 続きまして、条例案件についてご説明申し上げます。
 本議会に提出いたしました条例案件は二十五件でありますが、以下、その主なものについてご説明申し上げます。
 議案第二十五号、第四十一号及び第四十五号は、それぞれ県立医科大学事務局、県立学校等の職員、警察職員の定数、定員を定めるものであります。議案第二十八号及び第四十六号は職員及び警察職員の特殊勤務手当等の額を改定するものであり、議案第二十九号は母子福祉資金特別会計と寡婦福祉資金特別会計を統合するとともに、流域下水道事業について新たに特別会計を設置するための改正であり、議案第四十七号は公営企業会計に新たに駐車場事業を加えるための改正であります。議案第三十三号は、保健指導業務の多様化に対応するため、男子である保健士を県立高等看護学院に受け入れるためのものであります。また議案第四十八号は、新たに供用開始する近代美術館、博物館、万葉館、健康館等の使用料を定めるとともに、経済情勢の変動等により公営住宅等の使用料及び手数料を改正するものであります。
 次に、その他の案件といたしまして、議案第五十号及び第五十一号は建設事業施行に伴う市町村負担金について、議案第五十四号は工事発注の適正化を図るため、現在、試行段階にある一般競争入札により実施した工事請負契約の締結であり、それぞれ議決を求めるものであります。
 また、報第一号知事専決処分報告は、国の経済対策を受けた南紀新空港建設に係る補正予算について早期に実施する必要から、やむを得ず地方自治法第百七十九条第一項の規定による専決処分を行い、これを報告し、承認を求めるものであります。
 このほか、諸報第一号は地方自治法第百八十条第一項に基づく委任専決処分報告であります。
 最後に、法人の経営状況に関する書類を別途提出いたしております。
 以上で、提出議案等に対する私の説明を終わります。何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(宗 正彦君) 以上で、知事の説明が終わりました。
○議長(宗 正彦君) 次に、お諮りいたします。明三月一日から三月四日まで、及び三月七日から三月八日までを議案調査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) ご異議なしと認めます。よって、三月一日から三月四日まで、及び三月七日から三月八日までを休会とすることに決定いたしました。
○議長(宗 正彦君) 次会は三月九日再開し、質疑及び一般質問を日程といたします。
○議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午前十一時三十八分散会

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