平成5年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(井出益弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成五年十二月九日(木曜日)

○副議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 3番井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 本日四番目ということで、大変お疲れのことと思いますけれども、どうかしばらくご清聴のほど、よろしくお願いします。
 また、既に先輩・同僚議員よりよく似た質問等があり、その点についてはできるだけ重複を避けたいと思いますけれども、重複してしまった部分はそれだけ重要なことであるとの認識をしていただいて、よろしく答弁をお願いします。
 まず、一番目に通告させていただいた許認可行政について、県の行政力と県経済への影響であります。開発許可等について、フォレストシティ問題と住民の賛否等が許認可に及ぼす効力、住友金属西防埋立地の問題と住民同意、建築確認申請等も含めてお尋ねいたします。
 人が人間社会で生きていくために必要とされるものに衣・食という基本的なものがあり、「衣食足りて礼節を知る」という言葉の根源には、経済力つまり生活ができるための収入の安定があってこそ礼節つまり礼儀と節度をわきまえるということがあって、きれいごとが好まれる今日の一般社会に対しては古臭い言葉かもしれませんが、もともと法律も人間が人間社会で生きていくために必要最小限やむなしのルールで、これがなくてもやっていける社会が一番理想でありましょう。しかし、法律でがんじがらめになりつつある人間社会、そして権利には当然義務のあることを忘れがちで、何でも自由と主張し行動はするが、義務は自分にとって必要を感じないから余り考えない人も多くいるようです。
 奇跡的な経済成長を遂げた今日、日本に今必要とされるものは、まず道徳教育というか、人類すべての幸福を考えられる、他人にも優しい人間社会をつくるべき人間教育と社会啓発であります。そして、民主主義国家のルールに基づいた法律の上に、しっかりとした地方自治の行政力であります。しかし、行政力はあくまで県民サイドに立ったものでなければならないと考えます。
 公務員として行政で職責を全うすべく活躍されている国、県、市町村の各位におかれては、公共の福祉を念頭に業務に当たられていることと思いますが、中でも、県は県民あっての県で、国は国民あっての国であることも公務員として忘れてはならないことであります。
 行政力の乏しい都道府県、市町村は意思決定に確たる基準等が確立されていないことが多く、決裁期間が長くかかり、最後には丁重に断るか、難題と見れば人事異動まで引き延ばしを図るがごとくの後送りをし、引き継ぎをしないで異動していくタイプの幹部職員もいるようです。つまり、このように難題を解決しないで逃げた方がけがをしないで幹部に出世できるとの話も聞きますが、公務員が自分の御身大切本位で、県民の立場になって行政努力がなされない行政のもとでは、「お役所仕事」との言葉がよく聞かされるのであります。
 さて、本題の許認可行政でありますが、フォレストシティ問題に関しての一連の新聞報道等を見て、自治会長の判、水利組合関係者の判、代表者の判を押してもらっておくこと、すなわち公務員でない人の判が許認可決定者以上の効力を持っている実態があり、またその判を求めていろいろ不透明な不可解な問題が生じたり、その判のことで人間関係が恨みごとにまで及び、真実かデマかとのうわさも飛び交っていることについては、以前、議会でも私が、民間人に決定的な同意印を求めるような行政のやり方はやめるべきだと申し上げたのを今思い出しながら、残念に思っています。
 ここで、お尋ねします。
 地域や地元関係の同意書が許可等の申請及び許可決定に及ぼす効力についての見解、すなわち、同意書等がそろっていなければ申請受付もできないものか、そうでもないものか、また、今回のフォレストシティ関係の開発申請における各関係自治会の同意と水利関係団体や個人を除く団体等の同意は幾つの団体に求めていたのか、さらに、その中で三十二条等の法的に不可欠なものと行政指導の形で提出を求めさせた同意の判、承諾の判等の数をお答えいただきたい。
 私は、今回フォレストシティ問題で話題に揺れた地元に最も近い県会議員でもあり、大手の新聞記者も毎晩入れかわり立ちかわり訪問してきます。関係団体を初め地元では、役所が決めることの責任逃れとさせないために、法律や行政で働く専門家でもない素人にこのような重大な決定権にかかわる判を今後はできるだけとらせず、都市計画決定、調整区域の決定などは同意をしなくても、というより反対の声があっても公聴会だけは開催し、重大な間違いでもなければ原案どおり決定するのだし、それでよいのと違うかと話す役員さんがいました。
 会長が判を押したので前の道路の通行量がふえたとか、マンションが建ったので見通しが悪くなったとか、判を押さないといけないように知人、友人を連れ添って頼みに来られる等、判を押しても押さなくても迷惑しているのが実態のようです。
 ここで私が申し上げたいのは、何でも関係者の同意印を先にもらってからでないと申請書を受け付けない、そして苦情が出たら、会長に了解をとっているのだから地区民の苦情は地区内のこととして地区の会長に言ってくれとの責任転嫁行政ではよくないのは明白で、今後フォレストシティ問題のような不可解な事件を和歌山で再発させないためにも、住民同意の確認のあり方については、今回のように関係代表者の判ということだけで今後も行くのではなしに、この際、環境整備等も含めて許認可申請等の中身がどうあるべきかということはもとより、住民同意をいかに確認するか等のマニュアル作成をやっていただきたく思うがいかがか、お尋ねいたします。
 また、なぜ開発申請にまつわるこのような事件が発生してしまったのか、県の燦黒潮リゾート構想として期待をして受けとめていただけに現状を残念に思います。フォレストシティ計画について、これらの同意書は法律上求めたものか、行政指導として求めたものか、開発審査におけるこれらの同意書の扱いについての見解もお尋ねいたします。
 それから、先ほど「私がこの土地に一番近い」と言いましたが、二番目に近いそうです。地元で一番近いのは村岡先生でございます。
 次に、建築許可、建築確認申請等についてお尋ねいたします。
 まず、住民が反対運動をしても建築確認を許可して敢行されてしまうモーテル等に対しては、住民の声を重視するとか、反対がないか同意をとれと言うのに、これだけ地元が反対しても行政が建てさせるのは納得がいかんと反対運動代表者に聞かれることが何回かありましたが、これについてこの際、当局に見解をお聞きいたします。
 それから、建築確認申請提出時も、浄化槽や合併処理槽を設置したいとき、同意書という意味のような「協議書」なるものを添付させますが、この判をもらうためにも何かとトラブルや問題があるようです。
 次に、市街化調整区域の非農地、雑種地で有効利用ができない土地が多くあります。その中でもトラック露天駐車場をあちこちで見かけるが、それら運送業の経営者から、バブル崩壊後のこの長期型不況で、市街化区域内にある本社や点検整備工場を売却して、現在トラック露天駐車場として使用している土地に事務所を建築させてもらえれば何とか倒産をしないでやれるのだけれども、市街化調整区域のトラックを置いている土地は売れないので困っているとの相談が最近多くあります。県に相談に行くと原則的に不許可とのことで、行政の許認可に対する対処に、自分の土地なのになぜ市街化区域になるまで屋根の工事をさせてもらえないのかとか、トラックを雨ざらしで置いておくとトラックの痛みもひどく、情けないとの話を聞きます。また、県民が死活にかかわる窮地にあっても相談に乗ってくれない、県民あっての県じゃないですかと、県の対応に不満を並べて話をしております。
 不景気の長期化に伴い、経営の深刻さを感じる昨今であります。市街化抑制についても計画どおりに抑制できず、難しい点のあることは私も十分理解できます。しかし、都市計画どおりに土地利用できなくても、県民の土地を有効利用させることが県民の生活を守る上で意義のあることだと考えます。事業倒産に至ってはすべてに最悪であると考えるので、今日の事態を県も考えていただき、このような雑種地、非農地について県として何らかの救済をしてやってはと思うのですが、いかがですか。
 それからもう一つ、建築や開発申請でもよくある県民の相談で、戦前の昭和十六年に決定した風致地区指定という厳しい規制についてであります。
 これも議場で以前申し上げましたとおり、戦火による焼失前は風光明媚な松林等があったらしいが、今は民家がぎっしりと建っているところも多く、規制だけは今も生きていて、その地区民が建築確認申請をすれば、風致地区らしくしてもらわないといけない、おかしな法律でも行政の立場があると、難しいことを言って県民ともめる。そんなにももとの松林に戻す必要があるなら、これらの地域は県が買収でもして松林にすればよいのではないでしょうか。いつまでも県民に法律、法律と言って、それだけが仕事だと思っていると大間違いです。
 念のために申し上げますが、風致地区の規制そのものすべてを否定しているのではありません。おかしな、問題ある地域だけでも早く見直し、規制緩和すべく進言するものであります。こんな法律を見直すことこそ重要な仕事ではないのかと考えます。いつかはやらなければならない問題事を後送りすればするほど、がんの転移のように家が建ち並び、問題要素が重複してきて直すことが複雑になります。県として誠意ある明確な答弁を求めます。
 次に住友金属和歌山製鉄所の西防埋立地につきまして、用途変更の許可申請願についてお伺いします。
 これらのことについては最近マスコミ報道を頻繁ににぎわしており、町でもよく話題に上っていますが、たしか西防埋立申請は、五基の溶鉱炉があったころ、コークス工場等がフル稼働時に大変な粉じん等をまき散らし、公害対策の一環として、松江地区を初め周辺から粉じん源を沖出しすべしということから始まったものであります。その当時からの公害や粉じんの推移はどうなっているのか、県当局の公害関係に対する見解をお聞きしたい。
 埋め立てが始まって以来、和歌山市のごみ廃却処理場としても重要な役を果たしてきた土地であるが、用途変更について法的に住民関係者等の同意が要るのか要らないのか、話はどこまで進捗しているのか、お聞きしたい。
 長期化が予想される今回の不況でありますが、以前、和歌山県の例としては、下津丸善石油が、大型タンカー接岸可能にとの埋立申請の決定が長引いている間にまさかと思うようなこと、つまり丸善石油が倒産してしまったのであります。(「倒産してない」と呼ぶ者あり)丸善石油が倒産に等しいような状況に追い込まれたのであります。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)そして住友金属も、埋立申請を決意し、協議を始めてから約十五年、まさかと思う鹿島への大移転とオイルショック等、大不況に向かい始めたころに埋立許可となったのでありますが、今回は、住民や関係者の同意等に県としてどう対処するのが県民のためにベストだとの確信をつかみ、すべて民間任せではなく県政のトップ機関として、県経済の進路も含めたリーダーシップをとるべきであると考えます。
 地元の意見も尊重して聞き、検討し、いろいろな意見があると思うが、いずれ本問題に対しては県行政の決定的指針を示さなければならないと考えますし、その時期も余りおくれてはならないと心配をしています。県は、以上のようなことを踏まえていかにこの問題を受けとめ今後対処すべく取り組むのか、お聞きしたい。
 二番目に港湾整備のあり方につきまして、公共岸壁の改修の必要性と占用許可についてお尋ねします。
 和歌山県は海に隣接する部分がかなり多いのは、県民だれもが知るところであります。港湾も多くあります。道路事情がこれまたかなり悪いのも、県政にとって頭の痛いところであります。私は、和歌山県内に入るとガソリン、軽油の値段が急に高くなることについて石油組合の役員さんといろいろ議論を交わしたことにより、業者側にも問題はあるが、県行政にも問題点が幾つかあるのを感じました。今回はそのうちの輸送コストに関して、行政として何らかの対応ができると考えられるものについて県にお聞きします。
 和歌山市青岸地区の公共岸壁は主に石油、化学、セメント等のコンビナート用で、以前、県によって造成し、公共岸壁より内側に公共荷揚げ場を、その内側の土地を民間企業に譲渡して工場を建設させたものであります。公共岸壁、公共荷揚げ場と言っても、大半の企業が工場の前の部分は自社への荷揚げ場としてそれぞれ占用使用しているのが現状であります。
 しかし、最近タンカーの大型化が進み、それによって輸送コストの低減が図られてきたのが業界の常であったようであります。輸送コストは、タンクローリーでは少ししか運べないため、タンカーで運ぶのとでは大きく差がついてしまうのだそうであります。大阪方面やガソリンが安いと言われている地域の石油基地では、近年、タンカーの大型化とともに、石油基地関係の港湾が大型タンカー接岸可能なものにどんどん改修されてきているのが実情であります。公共岸壁も民間岸壁もこの傾向にあるようです。いずれも大型にどんどん改修されております。
 ところが、この青岸の岸壁は今や欠陥岸壁に近いもので、船底をするので、わざわざ小型タンカーを手配するか、普通の比較的小さいタンカーなら他のところへ先に荷物をおろしに回り、軽くなった最終にしか運んでもらえないのが現状のようです。公共岸壁を管理している県、すなわちこの土地にこれらの企業を誘致した県は、企業を誘致した経緯や地場産業対策の観点から、企業として採算のとれない工場になりつつあるものに対し、公共事業として何らかの改善を考えていただきたい。
 また、県が建設業者にこの工場前の荷揚げ場を建築廃材や土砂の置き場として貸しているため、ダンプカーが当該会社のパイプラインの上を行き通っており、当該企業が再三県へこれらに関して善処方を陳情しているにもかかわらず、そのたびに建設業者の占用許可を早期に打ち切ると何回も繰り返しながら、占用許可の一カ月更新を繰り返しているのが現状であります。県の行政に、不適切さを通り越して疑問を覚える私であります。
 以上のことについて、明確に、誠意ある答弁を求めます。
 三番目に、和歌山北バイパス、新南海橋の見通しと交通停滞緩和対策についてお尋ねいたします。
 まず、第二阪和国道、新南海橋の進捗状況と今後の予定について、来年度予算の見通し等も踏まえてお答えいただきたい。
 二番目に、新南海橋の建設はかなりおくれるような現状であり、これも踏まえて何らかの対策をしなければといつも言うのですが、全く停滞状況の緩和の改善はありません。当面の南海橋北詰め対策、つまり新南海橋が完成するまでの暫定措置として河川敷を道路として使用させてもらう努力でもしなければ、新南海橋完成まで現状のまま交通停滞や交通事故を繰り返している実態は余りにもひど過ぎます。
 当面の南海橋北詰め対策として、北詰めの水路部分にふたをして何とか対向が可能なようにできないか。また、上流側の第八緑地公園の道路が南海橋の近くまで舗装整備されているので、これを暫定措置として使用できれば交通停滞の緩和に大変役立ちます。それらの努力を我々とともにお願いしたいのですが、県としての見解をお聞きいたします。
 三番目に当面の六十谷橋北詰め対策についてでありますが、北島橋北詰めの橋の拡幅、堤防の拡幅をしていただいてからの停滞緩和の効力には大きいものがありました。同様に、当面の六十谷橋北詰め対策としてご検討をお願いいたしたいのでありますが、いかがでしょうか。
 次に、不況の長期化対策であります。
 これは、本当に大変な実態であることを県の皆様に強く、厳しく認識をしていただかなければ大変なことに至ると思います。不況の長期化と現状から見て、県内中小企業の苦境は近年にない厳しいものであることを認識され、県内中小企業を不況倒産から守るため、県の融資制度について思い切った施策を打ち出していただきたい。その際、制度融資の特別長期貸付物をつくるとか、返済方法を特別に臨時に据え置いて金利のみ支払うとか、事故に近いようなことを認めていくぐらいの画期的な県内中小企業の救済策を考えて実施しないと、年度内に倒産業者が続出すると思われます。県として、他府県に先駆けた不況に対する中小企業救済措置をお願い申し上げます。
 五番目に、世界リゾート博開催期間中の交通輸送対策についてお伺いいたします。
 二十一世紀という時代が間近に迫り、関西国際空港の開港を控え、本県は今まさに新しい時代に向けて大きく飛躍しようとしています。このようなときに本県の県土づくりの基本であるテクノ&リゾートに沿って、六百キロメートルにも及ぶ雄大な海岸線、緑豊かな山々等の自然環境と歴史に恵まれた数多くの文化資源等の貴重なリゾート資源を活用し、リゾートゾーンの整備推進を図りながら二十一世紀のリゾートの理想像を実現するため、リゾートのあり方を国内外へ提言しようとして開催されるウエルネスWAKAYAMA世界リゾート博は、本県を日本全国へ、そして世界へ大きく宣伝し、飛躍させる絶好の機会であると考えます。
 そこで、企画部長にお伺いします。
 リゾート博協会の発表によりますと、この博覧会で国内外から百五十万人の方々が本県へ訪れると伺っております。とすれば、開催期間中は、特に近畿自動車道、二十四号、四十二号から和歌山市、海南市へ大量の自動車が集中し、紀三井寺や海南市船尾東等の主要交差点では、平常でも交通量の多い地点であり、大変な停滞が予想され、通勤時等、日常生活の交通にも影響を及ぼすことが心配されております。現在、県リゾート博協会関係者等が一丸となって交通輸送対策に取り組んでおられると伺っていますが、その取り組みについてお聞かせをいただきたい。
 以上で、一回目の質問を終わります。
○副議長(町田 亘君) ただいまの井出益弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 井出議員ご質問の、住友金属工業和歌山製鉄所周辺の環境につきましては、平成五年版の「環境白書」によりますと、硫黄酸化物、窒素酸化物、降下ばいじん等は環境基準、行政目標値を満足しておりました。埋立計画策定時の昭和五十年当時と比べると、相当な改善を示しております。
 今後とも引き続き環境監視を行うとともに、事業者に対し、公害防止施設の整備、維持管理に努めるよう指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 まず、開発許可等についてでございます。
 ご質問の同意の取り扱いでございますが、水利組合の同意につきましては、都市計画法第三十二条の「公共施設の管理者の同意等」に該当する場合は、法的要件で同意書が義務づけられております。周辺自治会の同意については、トラブルを未然に防止する観点から行政指導を行っているところでございますが、どうしても同意の得られない場合には、交渉経過や開発事業者の対応方針等について資料の提出を求めるとともに、関係する市町からの意見を参考にして判断することといたしております。
 次に、フォレストシティ開発申請に当たって同意書の数等でございますが、法的要件である都市計画法第三十二条に係るものは、和歌山市の道路、水利組合など八件であります。また、行政指導で同意を得るよう指導した十三自治会については七自治会の同意書が添付され、同意の得られていない自治会についてはその調整経過等を記された書類が添付されております。なお、そのほかに二連合自治会長の同意書等が添付をされております。
 この同意書についての県の考え方でございますが、都市計画法第三十二条の同意が必要なことはもちろん、市街化調整区域内の大規模な開発については、これに伴うトラブルを未然に防止するため、周辺住民の方々の理解を得るよう指導する必要があると考えております。これらの同意の取りつけに当たって不正な行為があるとすれば、好ましいことではないと思います。
 また、マニュアル化をしてはどうかというようなご提言でございますが、開発事業は一つ一つの条件が非常に異なります。統一した一律のマニュアル化というのはかなり難しいように思いますが、要は担当者がその考え方を統一して当たるということだと存じております。
 次に、建築許可等についてでございます。建築物の工事を行う場合、和歌山市域は市、それ以外は県に対して建築基準法に基づく建築確認申請を行い、建築物の敷地、構造、設備等に関する最低限の基準が満たされているかどうかのチェックが必要となりますが、この確認においては地域住民の同意は審査対象とはされておりません。建築主事は確認申請書を受理したとき、地域住民の反対を理由に確認をしないことはできないわけでありますが、この建築確認とは別に、必要がある場合には、関係部局とも調整しつつ、地域住民の反対運動等の紛争解決に努めるよう指導をしてまいります。
 次に、運送事業法の改正によって発生した問題についてでございますが、市街化調整区域内での貨物輸送事業者の立地につきましては、運送事業免許の種別により、都市計画法では異なった取り扱いになります。いわゆる定期路線型の許可以外の貨物運送事業者については、インターチェンジ周辺に立地する場合、あるいは県が国または中小企業事業団と一体となって助成をする、中小企業の共同化として行う事業等がこの市街化調整区域内において許可ができる要件となっております。今後とも関係部局と相談の上、中小事業者の育成という面にも配慮しつつ、協業化などの実現について指導してまいりたいと思います。
 次に、風致地区の見直しでございます。和歌山市の風致地区は昭和十六年に指定をされ、ほぼ半世紀を経ているわけでございますが、これら風致地区においては、都市の風致維持、良好な自然環境の確保、また都市生活における快適性の増進に大きく寄与をしてきたところではございます。一方、時代の経過とともに、一部には風致地区としての効果が低下をしている区域、また逆に新たに指定が望ましいと思われるような区域も見受けられるところでございます。今後、地域の見直しについて検討してまいりたいと考えております。
 次に、開発許可に絡んで西防埋め立ての問題でございますが、この西防埋め立て問題に関する現在の状況は、住友金属において、環境改善の方策、土地利用の内容など、その実現性について検討作業がなされている段階であると認識をいたしております。県としては、そうした作業の推移を見きわめつつ、適当な段階で行政としての立場から指導するなど、適切に対応する必要があると考えておりますが、埋立法上は、具体的な変更申請がなされた段階で審査、判断することになります。
 なお、埋立法上は、変更申請に際し、地元自治会の同意が必要とはされておりません。ただ、審査、判断に当たっては、できる限り地元の意向を反映させてまいりたいと考えております。
 次に青岸の公共岸壁でございますが、これは、昭和三十六年に土地造成とともに資材製品の海上輸送施設として整備をされたものでございます。以来、石油類の搬入、石材等の搬出搬入に利用されてきましたが、近年の船舶の大型化に伴い、現在はほとんどが背後地にある石油会社の石油類の搬入に利用されている状況であります。石油会社よりこの物揚げ場の水深増大要請を受け、石油会社とともに検討を重ねましたが、現在の施設を改良することは地形上困難であるということで、隣接する位置に石油会社専用のドルフィンを建設することで合意し、平成四年十月、地方港湾審議会に諮問して港湾計画に位置づけをしたところでございます。
 また、周辺の土地利用の問題については、過去からの石油会社との協議の結果、専用ドルフィンの建設と一体的な要望として受けとめておりますが、昨今の経済状況のもとでは専用ドルフィン建設のめどが立たないとのことで今日に至っておるわけでございます。
 現時点での企業の要望が土地利用の問題だけ先行したいということであれば、要望内容をよく確認した上で適切に対応してまいります。
 次に、第二阪和国道、和歌山北バイパスの新南海橋でございますが、現在、近畿地建と和歌山市が地元と協議を重ねながら用地買収を進めており、仮称「新南海橋」の予備設計は完了しております。ただ、前後取りつけ区間について、JRとの協議、右岸側の地元調整等の懸案事項が残されております。今後、和歌山市とともに懸案事項の解決に努力をするとともに、国に対して予算の増額、用地買収の促進、工事の早期着手を働きかけてまいります。
 当面の南海橋北詰め対策でございますが、南海橋北詰め付近の交通緩和対策として、和歌山市が建設省の占用許可を受けている園路を車道として一般開放することについては、以前、和歌山市が建設省に要望した中で、河川管理上制約があり非常に困難であると聞いております。しかし、緩和対策として現道を拡幅するため、和歌山市が建設省和歌山工事事務所及び地権者と調整を進めており、近く工事着手と聞いておりますので、今後とも関係機関に働きかけてまいります。
 当面の六十谷橋北詰め対策でございますが、ここは和歌山バイパスの開通によって交通量の減少は図られております。しかしながら、朝夕など交通停滞が発生をしておるところでございます。堤防上で地形的な制約が非常にあり、その対策が難しいところでありますが、建設省とも協議をして検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(町田 亘君) 商工労働部長吉井清純君。
  〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 不況の長期化対策についてお答えをいたします。
 長期融資制度の新たな創設、返済期間の延長につきましては、先ほど鶴田議員のご質問でもお答えいたしましたように、県としても、長引く景気の低迷により、中小企業者にとっては売り上げの減少を来すという極めて厳しい状況を踏まえ、今年度新たに低利の緊急経営資金特別融資を創設し、実施しているところでございます。この制度が中小企業者の皆さんに活用され、この九月補正において融資枠の拡大も行い、資金需要にこたえているところでございます。
 また、融資制度の返済期間の延長につきましては、現行の制度にはございませんが、機会あるごとに国に対して要望し、今日に至っておりますけれども、引き続き根気強く要請してまいるとともに、今後とも県としても関係機関と十分検討してまいりたいと考えてございます。
○副議長(町田 亘君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 世界リゾート博における交通輸送対策についてのご質問にお答えいたします。
 リゾート博における交通輸送対策については、市内中心部の交通混雑緩和のため、世界リゾート博協会で策定した交通実施計画に基づいてその具体的な交通輸送計画を策定するため、国、鉄道、バス事業者等により世界リゾート博交通対策連絡協議会を設置し、現在検討を重ねているところでございます。
 概要を申し上げますと、主要駅である和歌山駅、和歌山市駅、海南駅から路線バスとシャトルバスによる輸送計画の策定を初め、市内中心部の交通総量を削減するため、会場内に四千台の駐車場を確保するとともに会場外にも駐車場を設置し、パーク・アンド・ライド方式によるシャトルバスを運行することとしております。
 また、警察本部において交通情報板や旅行時間計測装置を設置し、リゾート博関連道路の交通管理を行う総合交通管理システムの整備等、総合的な交通輸送対策を講ずることとしてございます。
 今後とも、鉄道、バス事業者、警察本部など関係機関のご協力をいただきながら交通輸送対策に万全を期してまいりたいと存じます。
 以上です。
○副議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 3番井出益弘君。
○井出益弘君 行政は法に従って働かねばならないのは、私も心得ているところであります。しかし、県民あっての県行政であることも基本であります。世界リゾート博を約半年後に控え、この長期不況のもとです。仮谷知事さんも大変でしょうが、不況は和歌山県だけではありません。こんなときにこそ、仮谷県政の他府県より一段とさえた頑張りと積極的な取り組みをお願いして、要望で終わります。
○副議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で井出益弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(町田 亘君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十三分散会

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