平成5年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(尾崎吉弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成五年十二月八日(水曜日)

  午前十時四分開議
○議長(宗 正彦君) これより本日の会議を開きます。
○議長(宗 正彦君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から現金出納検査結果の報告がありましたので、報告いたします。
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○議長(宗 正彦君) 次に日程第一、議案第百三十六号から議案第百四十六号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 6番尾崎吉弘君。
  〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 冒頭に発言のお許しを得ましたことを感謝しながら、早速、質問に入りたいと思います。
 今回の十二月補正は九月の政府の緊急経済対策を受けてのものでありますけれども、しかし今回の景気対策予算は、本県は本県としての特性、独自性、切り口というものがなくてはならないと思うのであります。政府は、生活者、消費者の視点に立ってと言っておりますけれども、知事はどのような視点で、どんな構想で今回の予算編成をされたか、まずお伺いを申し上げます。
 本県においても、不況はますます深刻さを増し、怨嗟の声いや増すばかりであります。これまでのたび重なる景気対策を受けて、現在の本県の景気状況がどうなっているのか、その現状の把握とこれに対する見解をお伺い申し上げたいと思います。
 村本建設の倒産が大きく報道されましたが、本県でも昨年を超える企業倒産が増加していると思いますけれども、どのように推移をしているか、そして倒産の原因もどのように推移しているか、その動向についてお答えをいただきたいのであります。
 今回の不況の要因としていろいろなことが論議されておりますが、金融機関の不良債権が不況の大きな要因と言われておるのも事実であります。特に本県は、フォレストシティ計画が中小企業に対する金融機関の姿勢に悪影響を及ぼすのではないかと心配する向きが大変多いわけであります。
 そこで、県の信用保証協会の保証状況はどうなっているのか、代位弁済の動向をも含めてお聞かせをいただくとともに、中小企業の金融への対応を改めてお伺い申し上げます。
 次に、税制の面からこの経済不況を考えてみるということが論議されております。すなわち、地価を上げるということはよくないことでありますけれども、商品価値として、金融商品として土地が動かなければ経済は動かないと言われておるわけであります。
 そこで、税制調査会等においても土地譲渡税、相続税、地価税等についての検討がなされておるわけであります。これは国の問題でありますが、我が和歌山県として、知事の裁量で判断をしていただけるものとして監視区域というものがある。国土法という立場から申しますと、監視区域制度の運用の趣旨からして、これは時限立法的な措置でありまして、機動的に行うべき制度であることを踏まえると、今後の監視区域制度の運用については検討を要する時期ではないかと考えております。
 先日の新聞によりますと、フォレストシティ等の影響により監視区域の指定に関する検討作業がおくれているというようなことが報道されておりますけれども、本県の監視区域の指定期間が平成六年二月末日で満了するのに際して、今後の考え方について、次のことをお伺い申し上げます。
 一、地価の現状について、二、監視区域の指定期間が満了する平成六年二月末日以降の監視区域制度の運用について、三、今般の緊急経済対策において監視区域制度の弾力的運用の方策の検討が盛り込まれておりますが、具体的にはどういうことかということをお尋ね申し上げます。
 次に、九月議会で行いましたフォレストシティ関係の質問で、それ以後の問題についてお伺いを申し上げます。
 まず、このフォレストシティは燦黒潮リゾート構想における加太・紀泉地区の中に入るものであろうと思いますが、明年度開港される関西国際新空港のインパクトを我が県で最も大きく受ける地域として、これを活用し、連動して我が県の発展を図っていかなければならないという大きな命題から考えると、いろいろなことがございましょうけれども、この紀泉地区の開発が重要なことであろうと思っております。
 そこで、その後の事態の展開の中で燦黒潮リゾート構想における本計画の位置づけに変化はないのか、見直しという指摘もありますけれども、改めて当局の考えを聞くものであります。
 第二点は、事態の推移の中で、今後、当初に計画された施設の内容、例えば紀陽銀行の山口さんが美術品を提供すると言われていたような美術館はなくなるでありましょうし、他のスポーツ施設等の変更が予想されておりますが、そうなった場合に、このリゾート構想の中での取り扱いはいかなる展開を見せていくのでありましょうか。
 次に、我が県ではこの件に関して都市計画法、森林法による審査が行われておるわけでありますけれども、かかる事態の推移から考えて、事業者の資力、信用についてどのような見解を持って取り扱おうとしているのか、その考えを鮮明にお話しいただきたいと思います。
 また、事業者が事業を進めていくため事業の体制を刷新していく、例えば別の会社が開発者になる、あるいは現在の事業者の会社の役員を入れかえてしまうというようなことが考えられますけれども、こういった問題について、都市計画法、森林法とのかかわりでどのように考えておられるかということであります。
 先日来の報道によりますと、開発地に入る進入道路の地権者が開発同意の撤回を表明して申請人に申し入れたということでありますが、これに対する当局の見解を明らかにしていただきたいのであります。
 次に、港湾関係であります。
 ご存じのように、港は物流の拠点であり、産業の拠点であり、人がにぎわい、憩える場所でなければ発展していかないことは自明の理であります。
 そこで、和歌山下津港の中心部である本港地区の充実を訴えてきたところでありますけれども、港の玄関口としてはまだまだ極めて貧弱であります。現在、和歌山下津港には不定期ながら年間二十そうもの観光船が着岸していると聞いておりますけれども、港の魅力が備わればもっと観光客が多くなり、大型観光船用の埠頭なども必要になってまいります。また、旅客船ターミナルや鉄道ターミナルの整備も必要でありましょうし、商業施設や大規模な駐車場、水際線を生かした緑地やイベントが開催できる広場、さらには官公庁や港湾関連事業所の合同庁舎など、港を活性化する施設はいろいろあります。
 そこで、次期港湾計画の検討の中でこの本港地区の空間をどのようにとらえて整備していこうとしているのか、お尋ねをするものであります。
 また、外国との貿易強化のための施設整備や背後地のいろいろ生ずる都市問題を解決していく受け皿としても大変重要なところでありますが、こういった整備のためには新しい空間が必要であります。本港地区の外防波堤の沖合海域の活用を強く要望するゆえんであります。次期港湾計画での考え方をお伺い申し上げます。
 次に、来年度四月一日から施行されるいわゆる色抜き条例と呼ばれている染色・化学工業等に対する条例がございますが、来年の四月を控えて染色・化学業界は大変な苦悩の時期であります。
 まず第一に、どのような技術で色を抜くことができるか、それも生産活動を続けながら技術を開発することができるかということが大変なことでありますし、Aの会社で成功した方法をそのままBの会社に適用するということはできない。なぜなら、それぞれの工場で生産しているものが全部違うんです。違うということは排水が全部違うわけでありますから、同じ様式がすべての会社に適用されるということにはならない。それぞれ自分の会社に適した技術を開発しなければなりませんし、現在生産しているものがいつまでも世界の需要に合うということにはならないわけでありまして、世界の流れ、需要の流れが変わるに従って生産のあり方を変えていかねばならない。そのたびに出てくる排水に対する対応を考えねばならない。大変なことであります。こういう対応は世界で初めて、日本ではもちろん初めてであります。しかしながら、条例を守らなければ排水をとめられる。ということは、工場を停止しなければならない。こういう問題を抱えて大変苦悩していることはご存じのとおりでありますが、この業界の苦悩の実態をどのように認識されておるか、現在の対応をどのようにしておられるのか。
 和歌山市では、色抜きのための施設に対しては無利子でお金を貸すということになっておりますが、もちろん担保は要ります。そうして、でき上がった施設を運転していく場合に大変なランニングコストがかかるわけでありまして、このランニングコストが企業の経営に加える圧迫が極めて大きな不安要因になっておるわけであります。
 そこで、県としてはこの事態の推移を見守りながら、ランニングコストに対する無利子の融資なり具体的な方策を考えていくべきであると思いますけれども、こういったことへの将来の対応をどのように考えておられるかということであります。
 次に産業廃棄物の現況でありますが、まず和歌山県で処理されておるもの、県外に持っていっているもの、こういったものを含めてお聞かせをいただきたいと思います。
 次に、今まで産業廃棄物の一部が海洋投棄されてきたわけでありますが、つい最近、国際的なロンドン条約により、これが二年後には禁止になることが決まったわけであります。業界にとっては、これに対する対応は大変重要なものとしてとらえておるわけであります。日本の国の動きを考えてまいりますと、県内で出てくる廃棄物は県内で処理するのが原則であるようでありまして、そうでない場合でも他府県と協力した広域的な対処の仕方をきちっと立てる。いずれにいたしましても、和歌山県としての自主性に基づいたきちっとした方針の確立がなくてはならないと思いますが、来年三月ごろにできると聞いているこの処理計画の中でどんな方策を立てようとしているのか、お聞かせをいただきたいのであります。
 次に、一年ほど前に、和歌山市の薬種畑ノ坪地先の国有海浜地に不法占拠する家があり、これに対する対処方、戦後はいまだ終わらないということで質問をしたわけであります。その後の対処についてお聞かせをいただきたいと思います。
 また、和歌山市大字西浜字中川地先の防風林であった国有海浜地がありますが、これを何とか地域のためになるように、和歌山市の活性化につながるように、県の大きな進展に寄与できるものとして活用できないかということで測量をしていただいたと聞いておるわけであります。こういう努力については高く評価をするものでありますが、この活用についての方針をお聞かせいただきたいと思うのであります。
 最後に、和歌山県には高速高規格道路を進めていく議員連盟が幾つかあるわけでありますが、私も京奈和あるいは第二阪和の議員連盟、第二国土軸の議員連盟等で他府県に参りましたし、また陳情にも参りましたが、数重なる陳情を通じて得た実感は、工事事務所、地建、建設省、国土庁等に参りましても、和歌山県内だけの道というものは余り相手にしてくれない、最低、近畿全体としての道路の位置づけ、もっと大きく言えば国の中で位置づけられた道路というものでなければ真剣な取り組みがなされがたいように思うのであります。
 この間、「新しい国土軸を考えるシンポジウム」が岩手県の盛岡市でありまして、私、出席をさせていただいたわけであります。ここで出ておりましたが、日本海側と太平洋側を横断的に結ぶ道路は東北、関東、中部、四国、九州と各地区ごとにあるわけであります。ところが、近畿だけにそれがないのであります。今まで知事を先頭にいろいろとご苦労をいただいて、県内のいかり型の道路、あるいは三県が協力して紀伊半島を縦断する道路のご努力をいただいているようでありますけれども、紀伊半島を縦断する道路をぜひとも国家的な意味合いを持つ道路として位置づけるべきであると思うわけであります。
 一つは、京都府宮津から紀伊半島の南端、これを近畿地区の日本海と太平洋を抜ける高規格道路として、ぜひとも位置づけてもらいたいと思うのであります。軸というのは、自動車や人間が行き来する交通の軸だけではなしに文化の軸でもあります。日本海と太平洋を結ぶこの道路の果たす役割は非常に大きなものがあろうと思うわけでありますが、我々念願の紀伊半島縦断の道路を、このような国家的な、文化的な意味合いも含めた道路として国にお認めをいただくようなご努力を、まず願いたいと考えております。
 以上、第一回目の質問を終わりたいと思います。
○議長(宗 正彦君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎吉弘議員にお答え申し上げます。
 十二月補正予算の特性についてでございます。
 低迷する景気のてこ入れを図るために、これまで六月と九月で対応してまいったわけでございますが、さきに発表された国の緊急経済対策を受けて、さらなる追加措置として今般十二月補正を行ったものでございます。
 具体的な内容といたしましては、従来から積極的に進めてきた道路整備をさらに推進するほか、南紀新空港の建設促進を図るなど、県民生活の向上に直結したものに重点的に予算を編成したわけでございます。一方、消費者、生活者の視点についても、本県の実情を踏まえて、歩道や自転車道の整備、公営住宅の建設促進、また農業集落排水の整備、地域福祉センター建設の補助等、きめ細かい施策を盛り込んでおるところでございます。
 次に、和歌山下津港の本港地区の整備充実についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、港湾は物流活動や産業活動の拠点でございます。そしてまた、人がにぎわい、憩える場所でなくてはならないと思っておるわけでございまして、現在整備中の和歌山マリーナシティも、都市近郊型の海洋レクリエーションの基地として、観光和歌山県の一層の発展と県民の憩いの場を創出できるものだと大いに期待しておるわけでございます。こうした形で港湾の活性化を図ることは、県勢の活性化にもつながると思っております。
 特にご指摘ございました和歌山下津港の港湾計画は、七年に港湾計画が改定されるわけでございますけれども、本港地区の再整備についても、あらゆる分野においてなお一層積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、内川の排水対策についてでございます。
 お話ございましたように、この問題については非常に重大な課題だと考えており、現在、工業技術センターにおいて研究を進めているところでございます。今後、業界の意見等を承りながら対処してまいりたいと思っております。
 詳細については、担当部長から説明させていただきます。
○議長(宗 正彦君) 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 十二月補正予算の特徴、独自性と不況対策についてのうち、今日までの景気対策の効果についてのご質問でございます。
 景気の低迷に対応するため、昨年の秋以降、本県としても累次の景気対策を講じてきたところでございます。こうした中、経済情勢は本年前半には一時回復の兆しを見せたものの、その後の急速な円高の進行や長雨、冷夏により企業者、消費者の投資マインド、消費マインドが萎縮する方向に作用したことなどから、現在までのところ景気の先行きは依然不透明のまま推移してきていることはご案内のとおりでございます。
 このように個人消費等の民需が低迷しているものの、国、県を通じた公共投資については、前倒し執行を図ったこともあり、景気の下支えという観点からは相応の効果を示しているものと考えております。今般、さらに九月の国の景気対策を受けた補正予算を編成しているところであり、これまでの対策に加え、経済全般への好影響があらわれてくることを期待しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長吉井清純君。
  〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) ご質問の景気動向、企業倒産の動向、中小企業金融対策についてお答えをいたします。
 まず景気動向については、最近の主な経済指標では鉱工業生産指数は六月から四カ月連続で対前月比でマイナスを示し、九月では前年同月比でマイナス二・四%の九三・三となっており、非常に低迷をいたしている現状でございます。個人消費の面でも、大型小売店販売額、自動車の新規登録台数も前年比でマイナスが続いております。公共投資額については堅調に推移しており、景気の下支え効果を期待しているところでございますが、有効求人倍率は本年十月で○・七六倍と低下傾向になってございます。
 次に県内企業倒産の状況については、民間調査機関の調べによりますと、平成四年では昭和六十一年以来、六年ぶりに百件を超える倒産を記録し、金額的にも大型化しているところであり、本年に入っても依然高い水準で推移いたしているところでございます。
 これら倒産の原因でございますが、昨年より販売不振、売掛金回収難などによる景気変動要因が増加しております。奈良県の村本建設が史上最大規模で倒産し、十一月八日現在で県内八十数社が影響を受け、債務額で約十一億六千万円となっております。今後も、景気の低迷による倒産がふえてくることも予想されるわけでございます。
 次に中小企業金融対策については、本年度九月補正においても中小企業振興資金、緊急経営資金特別融資で合わせて四十億円の融資枠をさらに拡大するとともに、十一月一日から各融資利率の引き下げも行い、中小企業者の金融の円滑化を図ってきているところでございます。また県といたしましても、国に対し中小企業金融の円滑化を強く要望してまいったところ、数度の経済対策の中で政府系金融機関の貸付枠の拡大が行われ、県内の貸付実績も大幅に増加し、資金需要に積極的に取り組んでいただいているところでございます。
 次に信用保証協会の保証状況については、平成五年四月から十月末現在の新規保証承諾は、件数で六千二百八十件、金額で五百四十四億八千六百万円であり、これは昨年同時期と比べて件数、金額とも約一・一倍となっております。
 また代位弁済状況については、平成五年十一月十九日現在では、件数が二百五件、代位弁済額で十四億八千八百万円、これは昨年同時期と比べ件数、金額とも約一・四倍という状況でございます。
 県といたしましても、中小企業者の厳しい経営状況を踏まえ、年末に向けての資金需要の増加も考えられることから、十一月十一日に金融機関と県との懇談会を開催し、中小企業金融のより一層の円滑化に取り組まれるよう知事からも要請をいたしたところでございます。今後も、景気動向はもとより、中小企業者の皆さんの県融資制度の活用状況、また代位弁済状況等をも十分注視し、中小企業金融の円滑化に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、内川の排水対策並びに産業廃棄物の処理についてお答えをいたします。
 まず、平成六年四月より和歌山市の排出水の色等規制条例が施行されることに伴い、染色・化学業界で該当する企業にあっては、厳しい経済環境の中で処理方法の検討や処理施設の設置のため懸命に取り組んでいるところでございます。
 県といたしましては、知事からもお答えさせていただいたとおり、工業技術センターにおいて平成三年度より研究に取り組む一方、依頼試験に諸設備を活用しながら積極的に対応しているところでございます。今後、処理施設の設置企業が試運転を行う中で生じる諸問題の解決について、引き続き協力、支援を図っていかなければならないと考えてございます。
 また、議員ご指摘のとおり、本格的な運転に入ると相当額のランニングコストが予測され、今後の企業活動に影響を与えることも予想されることから、慎重に推移を見守るとともに、関係業界や和歌山市ともども、課題解決に向け検討してまいりたいと考えてございます。
 なお、産業廃棄物処理については、地場産業の振興発展にとりまして重要な問題と認識してございます。今後、関係業界と連携を密にしながら関係部局へ働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 土地対策における今後の監視区域制度の運用についてのご質問にお答えいたします。
 まず地価の現状についてでございますが、平成二年後半からの地価の下落傾向は、景気の後退、監視区域制度を初めとする地価抑制策の浸透などにより本年に入ってもなお続いており、平成五年地価調査によりますと、地価高騰時に大阪南部の地価急騰の影響を受けた紀北地域ではその反動を受け、例えば和歌山市の商業地域では対前年比二一・八%を初めとして全域的に下落幅が大きく、一方、紀中、紀南地域では二%以下の小幅な下落で鎮静化を示してございます。しかしながら、現在の地価水準は地価高騰前に比べ依然として高水準にある地域もございまして、今後の地価の動向については十分注視していかなければならないと考えてございます。
 次に、監視区域の指定期間満了後の制度の運用についてでございます。
 現行の監視区域指定期間が平成六年二月末で満了することになります。地価の動向は先ほどお答えしたとおりの状況でございますが、期間満了後の監視区域制度の運用については、今般の国土庁通達「監視区域制度の的確な運用」の趣旨を踏まえて、今後の地価の動向、社会経済情勢、並びに地域の実情を総合的に勘案しながら対応してまいりたいと考えてございます。また、その際には市町村の意見も聞き、近隣府県の動向把握にも努めるとともに、国と十分協議を行いつつ、緩和等をも視野に入れ検討する必要があると考えてございます。なお検討作業については、時期を失することなく的確な対応を図ってまいりたいと存じます。
 次に、今般の緊急経済対策についてでございます。
 一、規制緩和等の推進、二、円高差益の還元、三、厳しい経済情勢等への対応と調和ある対外経済関係の形成が柱となっており、その中の「住宅供給のための諸施策の推進」の中に監視区域制度の弾力的運用の方策の検討が盛り込まれたものでございます。監視区域制度については、地域の土地市場の実態を踏まえた弾力的運用を前提に、地価に悪影響を与えないよう配慮しつつ運用方策を検討することとなってございます。
 次に、その後のフォレストシティ開発計画についてのご質問にお答えをいたします。
 まず、燦黒潮リゾート構想における位置づけについてでございます。
 リゾート需要については、国民のゆとりと潤いのある豊かな生活への移行に伴い確実に拡大するものと認識してございまして、さきに国土庁が設置した総合保養地域整備研究会においても長期的視点に立った整備、地域資源活用型のリゾート整備等の重要性がうたわれているところでございます。この提言を受けて国土庁では、「自然・地域文化とのふれあいリゾート」と題して、国際シンポジウムを、来る二月二十三日から二十四日にかけて全国に先駆けて本県で開催していただくことになりました。
 多様なリゾート資源に恵まれている本県では、関西国際空港の開港や白浜空港のジェット化、高速道路の南伸等、リゾート整備にとっての条件整備も整いつつあるところでございますので、国際シンポジウムの成果も取り入れながら、燦黒潮リゾート構想の推進に引き続き、長期的視点に立って取り組んでまいりたいと考えてございます。
 議員ご質問の加太・紀泉地区は、関西国際空港の至近に位置し、都市近郊にあるという地理的な条件を生かした国際交流型リゾート空間の形成を目指すこととしてございまして、今後とも関西国際空港のインパクトを最大限に活用したリゾート整備の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、施設内容の変更に伴う構想の取り扱い方針についてでございます。
 加太・紀泉地区は、燦黒潮リゾート構想の七つの重点整備地区の一つとして国際交流型リゾート空間の創出を目指し、グレードの高い滞在施設を初め、スポーツ・レクリエーション施設、教養・文化施設、集会施設等、リゾート法に基づく特定民間施設の整備を推進することとしてございます。
 このうち紀泉地域は、こうした多様な施設整備の推進により、複合的かつ独立したリゾート空間の形成を目指しており、あわせて加太地域と相互に補完し合いながら、多様で魅力的なリゾート空間を確保することとしてございます。こうした基本的な考え方に立って構想の推進に努めることとしてございますが、今後、個別施設の変更が生じた場合にあっては、総合保養地域整備法第六条の規定に基づき所要の手続を行ってまいりたいと存じます。
 最後に、日本海と紀伊半島の南端を結ぶ高規格道路についてでございます。
 議員ご提言の高規格道路は、日本海側と太平洋側を結ぶ地域連携軸の形成に資するものであると考えられ、新たな地域間交流を創出するとともに、地域の活性化や地方定住の促進、東京一極集中の是正につながるものと考えてございます。
 このうち京都府から奈良県間については、京都府宮津市から京都市までの京都縦貫自動車道を通り、京都市から京奈和自動車道により奈良県五條市に至るルートが考えられます。これらの自動車道は、昭和六十二年に策定された高規格幹線道路網計画において個別に位置づけがなされております。
 また、奈良県五條市から和歌山県南部の間については、県の長期総合計画においてアンカールートを形成する紀伊半島縦貫道として位置づけるとともに、三重、奈良、和歌山の知事で構成する紀伊半島知事会議において紀伊半島縦貫自動車道の具体化が合意され、国に対し要望活動を行っているところでございます。
 今後は、議員ご提言の日本海側と太平洋側を結ぶ高規格道路の整備に向けて、関係府県と連携を図りながら国に対し働きかけてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 農林水産部長野見典展君。
  〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 尾崎吉弘議員にお答えいたします。
 その後のフォレストシティ開発計画についてのご質問のうち、申請人に対する資力、信用についてでございます。
 森林法に基づく林地開発については、森林を適正に利用する観点から、事業遂行の確実性が重視されます。その中で資力、信用も基準となるところでございまして、現状では許可することは厳しいと考えてございますが、今後の推移を見守りながら対処してまいります。
 次に、体制を刷新した場合の取り扱いについてでございますが、体制の刷新にはいろいろなケースがあると考えられます。具体的に関係書類の提出があれば、森林法に基づき対処してまいります。
 次に、進入道路の地権者が開発同意の撤回を表明したことに対する影響についてでございますが、進入道路に係る地権者の同意撤回については、地権者と申請者との間で話し合うべき問題であると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 最初に、フォレストシティ開発計画に関して、事業者の資力、信用についてでございます。
 都市計画法第三十三条第一項第十二号で、資力、信用について審査することとなっております。審査に当たっては、資金計画、過去の事業実績等を勘案して行うこととしておりますが、必要に応じて役員の履歴書、資産状況を示す書類、処分計画に無理がないかなどを求めて総合的に判断することとなります。現状のままでの許可については厳しい状況と考えております。なお、今後の推移も見きわめながら対処してまいります。
 次に、事業者の体制刷新の関係でございます。
 事業を進めていく方策についていろいろなケースがあろうかと考えますが、事業者及び事業を支援している関係者が検討すべきことでございます。土木部といたしましては、具体的に相談があれば、建設省とも相談の上、都市計画法に基づいて対応してまいりたいと考えております。
 次に、進入道路についてでございます。
 地権者からの開発同意撤回の件でございますが、地権者と事業者の問題でありますので、今後、地権者と事業者との調整経過を見きわめながら対処してまいります。
 次に、和歌山下津港本港地区の整備充実でございます。
 議員ご指摘のように、南海電鉄和歌山港駅及びフェリー乗り場周辺の整備は、和歌山下津港の玄関口として必ずしも十分ではないと認識をいたしております。
 そこで次期の港湾計画では、関西国際空港の開港や高速道路開通による大阪との時間短縮、和歌山市の市街地との近接性といった有利な立地条件を生かして、多くの人が集い、にぎわう港の玄関口としてふさわしい環境づくりをするため、この地区を再整備する構想を検討中であります。この中で、議員がご提言されたようなさまざまな施設の整備についても考えてまいりたいと存じます。また、こうした再開発を進めるとともに、高度な物流体系の構築、廃棄物処分場の確保など和歌山下津港に対するさまざまな要請に対応するためには、次期の港湾計画において新たな空間開発が必要になってくると認識しております。
 ご提案のありました本港地区の外防波堤沖海域については、既存の施設と近接した利便性の高い空間であることから、新たな開発空間の候補地の一つとして考えてまいりたいと存じます。
 次に、国有海浜地の整備でございます。
 まず、和歌山市湊字薬種畑ノ坪地先の国有海浜地不法占拠の是正に当たっては、過去からの経緯もあり、管理者の県としてもその対策に苦慮をしているところであります。この地域の整備については、現に住宅地として生活を営んでいる実態を踏まえると総合的な対策が必要であり、関係機関と協議をしてまいります。
 また、和歌山市大字西浜字中川地先は、海岸砂丘上に防風林が造成されている地域であり、現在この一般海浜地は国有地となっております。このうち約一万九千平方メートルについては、地域の有効利用を図るため関係機関と協議をしているところでございます。利用計画について、地元の意見も聞きながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、日本海と紀伊半島を結ぶ高規格道路でございます。
 このうち和歌山県における紀伊半島縦貫道路については、現在、全国高規格幹線道路網計画一万四千キロの中に位置づけられておりませんが、今後、企画部と協力しながら検討してまいりたいと考えております。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 尾崎議員の産業廃棄物の処理に関する質問にお答えします。
 平成四年度の推計によりますと、県内では一年間に六百十五万トンの産業廃棄物が発生し、約半分に相当する三百三万トンが中間処理により減量化し、最終的には二百四十七万トンが埋め立て等により処理されてございます。このうち県外で処理されているものは、中間処理量の一%、二万八千トンと最終処分量の九%、二十三万トンとなってございます。また、海洋投入処分されているものは最終処分量の二%に相当する四万五千トンとなってございます。
 県内で発生する産業廃棄物の処理に関する基本的な方針については、現在改定作業中の産業廃棄物処理計画の中で明らかにしてまいりたいと考えておりまして、県外処理及び海洋投入処分に依存する産業廃棄物についても、処理計画の中で検討課題として位置づけ、関係者の意見を伺いながら適切な方策を見出してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 6番尾崎吉弘君。
○尾崎吉弘君 県も、中小企業金融対策、不況対策に対して一生懸命お考えをいただいていることがわかるわけでありますけれども。
 その中で、金融機関、銀行は主として大蔵省の管轄するところでありますけれども、知事から県内金融機関の代表者に対して、異例とも言うべき、この不況を乗り切るために金融機関の協力要請をしたということに、その意欲を評価するものでございます。これを受けて、紀陽銀行、きのくに信用金庫が低利で融資に踏み切るというニュースがごく最近ございました。しかしながら、先ほどから申し上げておりますように、県内の金融機関のリーダーシップを発揮してもらわなければならない紀陽銀行が、そのリーダーシップを発揮するに足る能力を失いつつあるのではなかろうかということを心配しているわけであります。これは、この銀行一つにとどまらず、他の金融機関に与える影響大であると思うのであります。監督官庁は大蔵省でありますけれども、事態を注視し、関心を持ちながら、金融機関の経済に与える要因の大きさ、影響の大きさを十分に考慮に入れながら、この不況を乗り切るための施策をとっていただくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。

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