平成5年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成五年十二月八日(水曜日)
  午前十時開議
  第一 議案第百三十六号から議案第百四十六号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百三十六号から議案第百四十六号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十五人)
 1  番  小  川 武
 2  番  吉  井  和  視
 3  番  井  出  益  弘
 4  番  和  田  正  一
 5  番  町  田 亘
 6  番  尾  崎  吉  弘
 8  番  藁  科  義  清
 9  番  向  井 嘉久藏  
 10  番  佐  田  頴  一
 11  番  阪  部  菊  雄
 12  番  堀  本  隆  男
 13  番  平  越  孝  哉
 14  番  富  田 豊
 15  番  門  三佐博  
 16  番  西  本  長  弘
 17  番  高  瀬  勝  助
 18  番  上  野  哲  弘
 19  番 宇治田  栄  蔵
 20  番  尾  崎  要  二
 21  番  中  村  利  男
 22  番  木  下  義  夫
 23  番  山  本 一
 24  番  馬  頭  哲  弥
 25  番  鶴  田  至  弘
 26  番  飯  田  敬  文
 27  番  村  岡 キミ子  
 28  番  松  本  貞  次
 29  番  下  川  俊  樹
 30  番  石  田  真  敏
 31  番  宗 正  彦
 32  番  橋  本 進
 33  番  浜  田  真  輔
 34  番  冨  安  民  浩
 35  番 上野山  親  主
 36  番  中  村  裕  一
 37  番  和  田  正  人
 38  番  大  江  康  弘
 39  番  中  西  雄  幸
 40  番  木  下  秀  男
 42  番  森 正  樹
 43  番 野見山   海
 44  番  新  田  和  弘
 45  番  浜  本 収
 46  番  森  本  明  雄
 47  番  浜  口  矩  一
欠 席 議 員(一人)
 7  番  岡  本 保
 〔備 考〕
 41  番  欠  員
説明のため出席した者
 知 事 仮  谷  志  良
 副知事 西  口 勇
 出納長 梅  田  善  彦
 知事公室長 中  西  伸  雄
 総務部長  木  村  良  樹
 企画部長  佐  武  廸  生
 民生部長  南  出  紀  男
 保健環境部長  江  口  弘  久
 商工労働部長  吉  井  清  純
 農林水産部長  野  見  典  展
 土木部長  山  田 功
 企業局長  高  瀬  芳  彦
  以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 岩  崎  正  夫
 教育長 西  川 時千代  
  以下教育次長
 公安委員会委員長
 西  本  貫  一
 警察本部長 西  川  徹  矢
  以下各部長
 人事委員会委員長
 水  谷  舜  介
  人事委員会事務局長
 代表監査委員  天  谷  一  郎
  監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 鈴  木  俊  男
  選挙管理委員会書記長
  地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長  梅  本  信  夫
 次  長  中  村 彰
 議事課長  中  西  俊  二
 議事課副課長  佐  竹  欣  司
 議事班長  松  谷  秋  男
 議事課主事 長  尾  照  雄
 議事課主事 松  本  浩  典
 総務課長  川  端  孝  治
 調査課長  岡  山  哲  夫
 (速記担当者)
 議事課主査 吉  川  欽  二
 議事課主査 鎌  田 繁
 議事課速記技師 中  尾  祐  一
 議事課速記技師 保  田  良  春
  ──────────────────
  午前十時四分開議
○議長(宗 正彦君) これより本日の会議を開きます。
○議長(宗 正彦君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から現金出納検査結果の報告がありましたので、報告いたします。
  ──────────────────
○議長(宗 正彦君) 次に日程第一、議案第百三十六号から議案第百四十六号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 6番尾崎吉弘君。
  〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 冒頭に発言のお許しを得ましたことを感謝しながら、早速、質問に入りたいと思います。
 今回の十二月補正は九月の政府の緊急経済対策を受けてのものでありますけれども、しかし今回の景気対策予算は、本県は本県としての特性、独自性、切り口というものがなくてはならないと思うのであります。政府は、生活者、消費者の視点に立ってと言っておりますけれども、知事はどのような視点で、どんな構想で今回の予算編成をされたか、まずお伺いを申し上げます。
 本県においても、不況はますます深刻さを増し、怨嗟の声いや増すばかりであります。これまでのたび重なる景気対策を受けて、現在の本県の景気状況がどうなっているのか、その現状の把握とこれに対する見解をお伺い申し上げたいと思います。
 村本建設の倒産が大きく報道されましたが、本県でも昨年を超える企業倒産が増加していると思いますけれども、どのように推移をしているか、そして倒産の原因もどのように推移しているか、その動向についてお答えをいただきたいのであります。
 今回の不況の要因としていろいろなことが論議されておりますが、金融機関の不良債権が不況の大きな要因と言われておるのも事実であります。特に本県は、フォレストシティ計画が中小企業に対する金融機関の姿勢に悪影響を及ぼすのではないかと心配する向きが大変多いわけであります。
 そこで、県の信用保証協会の保証状況はどうなっているのか、代位弁済の動向をも含めてお聞かせをいただくとともに、中小企業の金融への対応を改めてお伺い申し上げます。
 次に、税制の面からこの経済不況を考えてみるということが論議されております。すなわち、地価を上げるということはよくないことでありますけれども、商品価値として、金融商品として土地が動かなければ経済は動かないと言われておるわけであります。
 そこで、税制調査会等においても土地譲渡税、相続税、地価税等についての検討がなされておるわけであります。これは国の問題でありますが、我が和歌山県として、知事の裁量で判断をしていただけるものとして監視区域というものがある。国土法という立場から申しますと、監視区域制度の運用の趣旨からして、これは時限立法的な措置でありまして、機動的に行うべき制度であることを踏まえると、今後の監視区域制度の運用については検討を要する時期ではないかと考えております。
 先日の新聞によりますと、フォレストシティ等の影響により監視区域の指定に関する検討作業がおくれているというようなことが報道されておりますけれども、本県の監視区域の指定期間が平成六年二月末日で満了するのに際して、今後の考え方について、次のことをお伺い申し上げます。
 一、地価の現状について、二、監視区域の指定期間が満了する平成六年二月末日以降の監視区域制度の運用について、三、今般の緊急経済対策において監視区域制度の弾力的運用の方策の検討が盛り込まれておりますが、具体的にはどういうことかということをお尋ね申し上げます。
 次に、九月議会で行いましたフォレストシティ関係の質問で、それ以後の問題についてお伺いを申し上げます。
 まず、このフォレストシティは燦黒潮リゾート構想における加太・紀泉地区の中に入るものであろうと思いますが、明年度開港される関西国際新空港のインパクトを我が県で最も大きく受ける地域として、これを活用し、連動して我が県の発展を図っていかなければならないという大きな命題から考えると、いろいろなことがございましょうけれども、この紀泉地区の開発が重要なことであろうと思っております。
 そこで、その後の事態の展開の中で燦黒潮リゾート構想における本計画の位置づけに変化はないのか、見直しという指摘もありますけれども、改めて当局の考えを聞くものであります。
 第二点は、事態の推移の中で、今後、当初に計画された施設の内容、例えば紀陽銀行の山口さんが美術品を提供すると言われていたような美術館はなくなるでありましょうし、他のスポーツ施設等の変更が予想されておりますが、そうなった場合に、このリゾート構想の中での取り扱いはいかなる展開を見せていくのでありましょうか。
 次に、我が県ではこの件に関して都市計画法、森林法による審査が行われておるわけでありますけれども、かかる事態の推移から考えて、事業者の資力、信用についてどのような見解を持って取り扱おうとしているのか、その考えを鮮明にお話しいただきたいと思います。
 また、事業者が事業を進めていくため事業の体制を刷新していく、例えば別の会社が開発者になる、あるいは現在の事業者の会社の役員を入れかえてしまうというようなことが考えられますけれども、こういった問題について、都市計画法、森林法とのかかわりでどのように考えておられるかということであります。
 先日来の報道によりますと、開発地に入る進入道路の地権者が開発同意の撤回を表明して申請人に申し入れたということでありますが、これに対する当局の見解を明らかにしていただきたいのであります。
 次に、港湾関係であります。
 ご存じのように、港は物流の拠点であり、産業の拠点であり、人がにぎわい、憩える場所でなければ発展していかないことは自明の理であります。
 そこで、和歌山下津港の中心部である本港地区の充実を訴えてきたところでありますけれども、港の玄関口としてはまだまだ極めて貧弱であります。現在、和歌山下津港には不定期ながら年間二十そうもの観光船が着岸していると聞いておりますけれども、港の魅力が備わればもっと観光客が多くなり、大型観光船用の埠頭なども必要になってまいります。また、旅客船ターミナルや鉄道ターミナルの整備も必要でありましょうし、商業施設や大規模な駐車場、水際線を生かした緑地やイベントが開催できる広場、さらには官公庁や港湾関連事業所の合同庁舎など、港を活性化する施設はいろいろあります。
 そこで、次期港湾計画の検討の中でこの本港地区の空間をどのようにとらえて整備していこうとしているのか、お尋ねをするものであります。
 また、外国との貿易強化のための施設整備や背後地のいろいろ生ずる都市問題を解決していく受け皿としても大変重要なところでありますが、こういった整備のためには新しい空間が必要であります。本港地区の外防波堤の沖合海域の活用を強く要望するゆえんであります。次期港湾計画での考え方をお伺い申し上げます。
 次に、来年度四月一日から施行されるいわゆる色抜き条例と呼ばれている染色・化学工業等に対する条例がございますが、来年の四月を控えて染色・化学業界は大変な苦悩の時期であります。
 まず第一に、どのような技術で色を抜くことができるか、それも生産活動を続けながら技術を開発することができるかということが大変なことでありますし、Aの会社で成功した方法をそのままBの会社に適用するということはできない。なぜなら、それぞれの工場で生産しているものが全部違うんです。違うということは排水が全部違うわけでありますから、同じ様式がすべての会社に適用されるということにはならない。それぞれ自分の会社に適した技術を開発しなければなりませんし、現在生産しているものがいつまでも世界の需要に合うということにはならないわけでありまして、世界の流れ、需要の流れが変わるに従って生産のあり方を変えていかねばならない。そのたびに出てくる排水に対する対応を考えねばならない。大変なことであります。こういう対応は世界で初めて、日本ではもちろん初めてであります。しかしながら、条例を守らなければ排水をとめられる。ということは、工場を停止しなければならない。こういう問題を抱えて大変苦悩していることはご存じのとおりでありますが、この業界の苦悩の実態をどのように認識されておるか、現在の対応をどのようにしておられるのか。
 和歌山市では、色抜きのための施設に対しては無利子でお金を貸すということになっておりますが、もちろん担保は要ります。そうして、でき上がった施設を運転していく場合に大変なランニングコストがかかるわけでありまして、このランニングコストが企業の経営に加える圧迫が極めて大きな不安要因になっておるわけであります。
 そこで、県としてはこの事態の推移を見守りながら、ランニングコストに対する無利子の融資なり具体的な方策を考えていくべきであると思いますけれども、こういったことへの将来の対応をどのように考えておられるかということであります。
 次に産業廃棄物の現況でありますが、まず和歌山県で処理されておるもの、県外に持っていっているもの、こういったものを含めてお聞かせをいただきたいと思います。
 次に、今まで産業廃棄物の一部が海洋投棄されてきたわけでありますが、つい最近、国際的なロンドン条約により、これが二年後には禁止になることが決まったわけであります。業界にとっては、これに対する対応は大変重要なものとしてとらえておるわけであります。日本の国の動きを考えてまいりますと、県内で出てくる廃棄物は県内で処理するのが原則であるようでありまして、そうでない場合でも他府県と協力した広域的な対処の仕方をきちっと立てる。いずれにいたしましても、和歌山県としての自主性に基づいたきちっとした方針の確立がなくてはならないと思いますが、来年三月ごろにできると聞いているこの処理計画の中でどんな方策を立てようとしているのか、お聞かせをいただきたいのであります。
 次に、一年ほど前に、和歌山市の薬種畑ノ坪地先の国有海浜地に不法占拠する家があり、これに対する対処方、戦後はいまだ終わらないということで質問をしたわけであります。その後の対処についてお聞かせをいただきたいと思います。
 また、和歌山市大字西浜字中川地先の防風林であった国有海浜地がありますが、これを何とか地域のためになるように、和歌山市の活性化につながるように、県の大きな進展に寄与できるものとして活用できないかということで測量をしていただいたと聞いておるわけであります。こういう努力については高く評価をするものでありますが、この活用についての方針をお聞かせいただきたいと思うのであります。
 最後に、和歌山県には高速高規格道路を進めていく議員連盟が幾つかあるわけでありますが、私も京奈和あるいは第二阪和の議員連盟、第二国土軸の議員連盟等で他府県に参りましたし、また陳情にも参りましたが、数重なる陳情を通じて得た実感は、工事事務所、地建、建設省、国土庁等に参りましても、和歌山県内だけの道というものは余り相手にしてくれない、最低、近畿全体としての道路の位置づけ、もっと大きく言えば国の中で位置づけられた道路というものでなければ真剣な取り組みがなされがたいように思うのであります。
 この間、「新しい国土軸を考えるシンポジウム」が岩手県の盛岡市でありまして、私、出席をさせていただいたわけであります。ここで出ておりましたが、日本海側と太平洋側を横断的に結ぶ道路は東北、関東、中部、四国、九州と各地区ごとにあるわけであります。ところが、近畿だけにそれがないのであります。今まで知事を先頭にいろいろとご苦労をいただいて、県内のいかり型の道路、あるいは三県が協力して紀伊半島を縦断する道路のご努力をいただいているようでありますけれども、紀伊半島を縦断する道路をぜひとも国家的な意味合いを持つ道路として位置づけるべきであると思うわけであります。
 一つは、京都府宮津から紀伊半島の南端、これを近畿地区の日本海と太平洋を抜ける高規格道路として、ぜひとも位置づけてもらいたいと思うのであります。軸というのは、自動車や人間が行き来する交通の軸だけではなしに文化の軸でもあります。日本海と太平洋を結ぶこの道路の果たす役割は非常に大きなものがあろうと思うわけでありますが、我々念願の紀伊半島縦断の道路を、このような国家的な、文化的な意味合いも含めた道路として国にお認めをいただくようなご努力を、まず願いたいと考えております。
 以上、第一回目の質問を終わりたいと思います。
○議長(宗 正彦君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎吉弘議員にお答え申し上げます。
 十二月補正予算の特性についてでございます。
 低迷する景気のてこ入れを図るために、これまで六月と九月で対応してまいったわけでございますが、さきに発表された国の緊急経済対策を受けて、さらなる追加措置として今般十二月補正を行ったものでございます。
 具体的な内容といたしましては、従来から積極的に進めてきた道路整備をさらに推進するほか、南紀新空港の建設促進を図るなど、県民生活の向上に直結したものに重点的に予算を編成したわけでございます。一方、消費者、生活者の視点についても、本県の実情を踏まえて、歩道や自転車道の整備、公営住宅の建設促進、また農業集落排水の整備、地域福祉センター建設の補助等、きめ細かい施策を盛り込んでおるところでございます。
 次に、和歌山下津港の本港地区の整備充実についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、港湾は物流活動や産業活動の拠点でございます。そしてまた、人がにぎわい、憩える場所でなくてはならないと思っておるわけでございまして、現在整備中の和歌山マリーナシティも、都市近郊型の海洋レクリエーションの基地として、観光和歌山県の一層の発展と県民の憩いの場を創出できるものだと大いに期待しておるわけでございます。こうした形で港湾の活性化を図ることは、県勢の活性化にもつながると思っております。
 特にご指摘ございました和歌山下津港の港湾計画は、七年に港湾計画が改定されるわけでございますけれども、本港地区の再整備についても、あらゆる分野においてなお一層積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、内川の排水対策についてでございます。
 お話ございましたように、この問題については非常に重大な課題だと考えており、現在、工業技術センターにおいて研究を進めているところでございます。今後、業界の意見等を承りながら対処してまいりたいと思っております。
 詳細については、担当部長から説明させていただきます。
○議長(宗 正彦君) 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 十二月補正予算の特徴、独自性と不況対策についてのうち、今日までの景気対策の効果についてのご質問でございます。
 景気の低迷に対応するため、昨年の秋以降、本県としても累次の景気対策を講じてきたところでございます。こうした中、経済情勢は本年前半には一時回復の兆しを見せたものの、その後の急速な円高の進行や長雨、冷夏により企業者、消費者の投資マインド、消費マインドが萎縮する方向に作用したことなどから、現在までのところ景気の先行きは依然不透明のまま推移してきていることはご案内のとおりでございます。
 このように個人消費等の民需が低迷しているものの、国、県を通じた公共投資については、前倒し執行を図ったこともあり、景気の下支えという観点からは相応の効果を示しているものと考えております。今般、さらに九月の国の景気対策を受けた補正予算を編成しているところであり、これまでの対策に加え、経済全般への好影響があらわれてくることを期待しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長吉井清純君。
  〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) ご質問の景気動向、企業倒産の動向、中小企業金融対策についてお答えをいたします。
 まず景気動向については、最近の主な経済指標では鉱工業生産指数は六月から四カ月連続で対前月比でマイナスを示し、九月では前年同月比でマイナス二・四%の九三・三となっており、非常に低迷をいたしている現状でございます。個人消費の面でも、大型小売店販売額、自動車の新規登録台数も前年比でマイナスが続いております。公共投資額については堅調に推移しており、景気の下支え効果を期待しているところでございますが、有効求人倍率は本年十月で○・七六倍と低下傾向になってございます。
 次に県内企業倒産の状況については、民間調査機関の調べによりますと、平成四年では昭和六十一年以来、六年ぶりに百件を超える倒産を記録し、金額的にも大型化しているところであり、本年に入っても依然高い水準で推移いたしているところでございます。
 これら倒産の原因でございますが、昨年より販売不振、売掛金回収難などによる景気変動要因が増加しております。奈良県の村本建設が史上最大規模で倒産し、十一月八日現在で県内八十数社が影響を受け、債務額で約十一億六千万円となっております。今後も、景気の低迷による倒産がふえてくることも予想されるわけでございます。
 次に中小企業金融対策については、本年度九月補正においても中小企業振興資金、緊急経営資金特別融資で合わせて四十億円の融資枠をさらに拡大するとともに、十一月一日から各融資利率の引き下げも行い、中小企業者の金融の円滑化を図ってきているところでございます。また県といたしましても、国に対し中小企業金融の円滑化を強く要望してまいったところ、数度の経済対策の中で政府系金融機関の貸付枠の拡大が行われ、県内の貸付実績も大幅に増加し、資金需要に積極的に取り組んでいただいているところでございます。
 次に信用保証協会の保証状況については、平成五年四月から十月末現在の新規保証承諾は、件数で六千二百八十件、金額で五百四十四億八千六百万円であり、これは昨年同時期と比べて件数、金額とも約一・一倍となっております。
 また代位弁済状況については、平成五年十一月十九日現在では、件数が二百五件、代位弁済額で十四億八千八百万円、これは昨年同時期と比べ件数、金額とも約一・四倍という状況でございます。
 県といたしましても、中小企業者の厳しい経営状況を踏まえ、年末に向けての資金需要の増加も考えられることから、十一月十一日に金融機関と県との懇談会を開催し、中小企業金融のより一層の円滑化に取り組まれるよう知事からも要請をいたしたところでございます。今後も、景気動向はもとより、中小企業者の皆さんの県融資制度の活用状況、また代位弁済状況等をも十分注視し、中小企業金融の円滑化に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、内川の排水対策並びに産業廃棄物の処理についてお答えをいたします。
 まず、平成六年四月より和歌山市の排出水の色等規制条例が施行されることに伴い、染色・化学業界で該当する企業にあっては、厳しい経済環境の中で処理方法の検討や処理施設の設置のため懸命に取り組んでいるところでございます。
 県といたしましては、知事からもお答えさせていただいたとおり、工業技術センターにおいて平成三年度より研究に取り組む一方、依頼試験に諸設備を活用しながら積極的に対応しているところでございます。今後、処理施設の設置企業が試運転を行う中で生じる諸問題の解決について、引き続き協力、支援を図っていかなければならないと考えてございます。
 また、議員ご指摘のとおり、本格的な運転に入ると相当額のランニングコストが予測され、今後の企業活動に影響を与えることも予想されることから、慎重に推移を見守るとともに、関係業界や和歌山市ともども、課題解決に向け検討してまいりたいと考えてございます。
 なお、産業廃棄物処理については、地場産業の振興発展にとりまして重要な問題と認識してございます。今後、関係業界と連携を密にしながら関係部局へ働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 土地対策における今後の監視区域制度の運用についてのご質問にお答えいたします。
 まず地価の現状についてでございますが、平成二年後半からの地価の下落傾向は、景気の後退、監視区域制度を初めとする地価抑制策の浸透などにより本年に入ってもなお続いており、平成五年地価調査によりますと、地価高騰時に大阪南部の地価急騰の影響を受けた紀北地域ではその反動を受け、例えば和歌山市の商業地域では対前年比二一・八%を初めとして全域的に下落幅が大きく、一方、紀中、紀南地域では二%以下の小幅な下落で鎮静化を示してございます。しかしながら、現在の地価水準は地価高騰前に比べ依然として高水準にある地域もございまして、今後の地価の動向については十分注視していかなければならないと考えてございます。
 次に、監視区域の指定期間満了後の制度の運用についてでございます。
 現行の監視区域指定期間が平成六年二月末で満了することになります。地価の動向は先ほどお答えしたとおりの状況でございますが、期間満了後の監視区域制度の運用については、今般の国土庁通達「監視区域制度の的確な運用」の趣旨を踏まえて、今後の地価の動向、社会経済情勢、並びに地域の実情を総合的に勘案しながら対応してまいりたいと考えてございます。また、その際には市町村の意見も聞き、近隣府県の動向把握にも努めるとともに、国と十分協議を行いつつ、緩和等をも視野に入れ検討する必要があると考えてございます。なお検討作業については、時期を失することなく的確な対応を図ってまいりたいと存じます。
 次に、今般の緊急経済対策についてでございます。
 一、規制緩和等の推進、二、円高差益の還元、三、厳しい経済情勢等への対応と調和ある対外経済関係の形成が柱となっており、その中の「住宅供給のための諸施策の推進」の中に監視区域制度の弾力的運用の方策の検討が盛り込まれたものでございます。監視区域制度については、地域の土地市場の実態を踏まえた弾力的運用を前提に、地価に悪影響を与えないよう配慮しつつ運用方策を検討することとなってございます。
 次に、その後のフォレストシティ開発計画についてのご質問にお答えをいたします。
 まず、燦黒潮リゾート構想における位置づけについてでございます。
 リゾート需要については、国民のゆとりと潤いのある豊かな生活への移行に伴い確実に拡大するものと認識してございまして、さきに国土庁が設置した総合保養地域整備研究会においても長期的視点に立った整備、地域資源活用型のリゾート整備等の重要性がうたわれているところでございます。この提言を受けて国土庁では、「自然・地域文化とのふれあいリゾート」と題して、国際シンポジウムを、来る二月二十三日から二十四日にかけて全国に先駆けて本県で開催していただくことになりました。
 多様なリゾート資源に恵まれている本県では、関西国際空港の開港や白浜空港のジェット化、高速道路の南伸等、リゾート整備にとっての条件整備も整いつつあるところでございますので、国際シンポジウムの成果も取り入れながら、燦黒潮リゾート構想の推進に引き続き、長期的視点に立って取り組んでまいりたいと考えてございます。
 議員ご質問の加太・紀泉地区は、関西国際空港の至近に位置し、都市近郊にあるという地理的な条件を生かした国際交流型リゾート空間の形成を目指すこととしてございまして、今後とも関西国際空港のインパクトを最大限に活用したリゾート整備の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、施設内容の変更に伴う構想の取り扱い方針についてでございます。
 加太・紀泉地区は、燦黒潮リゾート構想の七つの重点整備地区の一つとして国際交流型リゾート空間の創出を目指し、グレードの高い滞在施設を初め、スポーツ・レクリエーション施設、教養・文化施設、集会施設等、リゾート法に基づく特定民間施設の整備を推進することとしてございます。
 このうち紀泉地域は、こうした多様な施設整備の推進により、複合的かつ独立したリゾート空間の形成を目指しており、あわせて加太地域と相互に補完し合いながら、多様で魅力的なリゾート空間を確保することとしてございます。こうした基本的な考え方に立って構想の推進に努めることとしてございますが、今後、個別施設の変更が生じた場合にあっては、総合保養地域整備法第六条の規定に基づき所要の手続を行ってまいりたいと存じます。
 最後に、日本海と紀伊半島の南端を結ぶ高規格道路についてでございます。
 議員ご提言の高規格道路は、日本海側と太平洋側を結ぶ地域連携軸の形成に資するものであると考えられ、新たな地域間交流を創出するとともに、地域の活性化や地方定住の促進、東京一極集中の是正につながるものと考えてございます。
 このうち京都府から奈良県間については、京都府宮津市から京都市までの京都縦貫自動車道を通り、京都市から京奈和自動車道により奈良県五條市に至るルートが考えられます。これらの自動車道は、昭和六十二年に策定された高規格幹線道路網計画において個別に位置づけがなされております。
 また、奈良県五條市から和歌山県南部の間については、県の長期総合計画においてアンカールートを形成する紀伊半島縦貫道として位置づけるとともに、三重、奈良、和歌山の知事で構成する紀伊半島知事会議において紀伊半島縦貫自動車道の具体化が合意され、国に対し要望活動を行っているところでございます。
 今後は、議員ご提言の日本海側と太平洋側を結ぶ高規格道路の整備に向けて、関係府県と連携を図りながら国に対し働きかけてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 農林水産部長野見典展君。
  〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 尾崎吉弘議員にお答えいたします。
 その後のフォレストシティ開発計画についてのご質問のうち、申請人に対する資力、信用についてでございます。
 森林法に基づく林地開発については、森林を適正に利用する観点から、事業遂行の確実性が重視されます。その中で資力、信用も基準となるところでございまして、現状では許可することは厳しいと考えてございますが、今後の推移を見守りながら対処してまいります。
 次に、体制を刷新した場合の取り扱いについてでございますが、体制の刷新にはいろいろなケースがあると考えられます。具体的に関係書類の提出があれば、森林法に基づき対処してまいります。
 次に、進入道路の地権者が開発同意の撤回を表明したことに対する影響についてでございますが、進入道路に係る地権者の同意撤回については、地権者と申請者との間で話し合うべき問題であると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 最初に、フォレストシティ開発計画に関して、事業者の資力、信用についてでございます。
 都市計画法第三十三条第一項第十二号で、資力、信用について審査することとなっております。審査に当たっては、資金計画、過去の事業実績等を勘案して行うこととしておりますが、必要に応じて役員の履歴書、資産状況を示す書類、処分計画に無理がないかなどを求めて総合的に判断することとなります。現状のままでの許可については厳しい状況と考えております。なお、今後の推移も見きわめながら対処してまいります。
 次に、事業者の体制刷新の関係でございます。
 事業を進めていく方策についていろいろなケースがあろうかと考えますが、事業者及び事業を支援している関係者が検討すべきことでございます。土木部といたしましては、具体的に相談があれば、建設省とも相談の上、都市計画法に基づいて対応してまいりたいと考えております。
 次に、進入道路についてでございます。
 地権者からの開発同意撤回の件でございますが、地権者と事業者の問題でありますので、今後、地権者と事業者との調整経過を見きわめながら対処してまいります。
 次に、和歌山下津港本港地区の整備充実でございます。
 議員ご指摘のように、南海電鉄和歌山港駅及びフェリー乗り場周辺の整備は、和歌山下津港の玄関口として必ずしも十分ではないと認識をいたしております。
 そこで次期の港湾計画では、関西国際空港の開港や高速道路開通による大阪との時間短縮、和歌山市の市街地との近接性といった有利な立地条件を生かして、多くの人が集い、にぎわう港の玄関口としてふさわしい環境づくりをするため、この地区を再整備する構想を検討中であります。この中で、議員がご提言されたようなさまざまな施設の整備についても考えてまいりたいと存じます。また、こうした再開発を進めるとともに、高度な物流体系の構築、廃棄物処分場の確保など和歌山下津港に対するさまざまな要請に対応するためには、次期の港湾計画において新たな空間開発が必要になってくると認識しております。
 ご提案のありました本港地区の外防波堤沖海域については、既存の施設と近接した利便性の高い空間であることから、新たな開発空間の候補地の一つとして考えてまいりたいと存じます。
 次に、国有海浜地の整備でございます。
 まず、和歌山市湊字薬種畑ノ坪地先の国有海浜地不法占拠の是正に当たっては、過去からの経緯もあり、管理者の県としてもその対策に苦慮をしているところであります。この地域の整備については、現に住宅地として生活を営んでいる実態を踏まえると総合的な対策が必要であり、関係機関と協議をしてまいります。
 また、和歌山市大字西浜字中川地先は、海岸砂丘上に防風林が造成されている地域であり、現在この一般海浜地は国有地となっております。このうち約一万九千平方メートルについては、地域の有効利用を図るため関係機関と協議をしているところでございます。利用計画について、地元の意見も聞きながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、日本海と紀伊半島を結ぶ高規格道路でございます。
 このうち和歌山県における紀伊半島縦貫道路については、現在、全国高規格幹線道路網計画一万四千キロの中に位置づけられておりませんが、今後、企画部と協力しながら検討してまいりたいと考えております。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 尾崎議員の産業廃棄物の処理に関する質問にお答えします。
 平成四年度の推計によりますと、県内では一年間に六百十五万トンの産業廃棄物が発生し、約半分に相当する三百三万トンが中間処理により減量化し、最終的には二百四十七万トンが埋め立て等により処理されてございます。このうち県外で処理されているものは、中間処理量の一%、二万八千トンと最終処分量の九%、二十三万トンとなってございます。また、海洋投入処分されているものは最終処分量の二%に相当する四万五千トンとなってございます。
 県内で発生する産業廃棄物の処理に関する基本的な方針については、現在改定作業中の産業廃棄物処理計画の中で明らかにしてまいりたいと考えておりまして、県外処理及び海洋投入処分に依存する産業廃棄物についても、処理計画の中で検討課題として位置づけ、関係者の意見を伺いながら適切な方策を見出してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 6番尾崎吉弘君。
○尾崎吉弘君 県も、中小企業金融対策、不況対策に対して一生懸命お考えをいただいていることがわかるわけでありますけれども。
 その中で、金融機関、銀行は主として大蔵省の管轄するところでありますけれども、知事から県内金融機関の代表者に対して、異例とも言うべき、この不況を乗り切るために金融機関の協力要請をしたということに、その意欲を評価するものでございます。これを受けて、紀陽銀行、きのくに信用金庫が低利で融資に踏み切るというニュースがごく最近ございました。しかしながら、先ほどから申し上げておりますように、県内の金融機関のリーダーシップを発揮してもらわなければならない紀陽銀行が、そのリーダーシップを発揮するに足る能力を失いつつあるのではなかろうかということを心配しているわけであります。これは、この銀行一つにとどまらず、他の金融機関に与える影響大であると思うのであります。監督官庁は大蔵省でありますけれども、事態を注視し、関心を持ちながら、金融機関の経済に与える要因の大きさ、影響の大きさを十分に考慮に入れながら、この不況を乗り切るための施策をとっていただくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 ただいま議長から発言を許されましたので、一般質問を行いたいと存じます。
 過日、吉井和視委員長以下、私ども建設常任委員会一同は、新ソウル・メトロポリタン空港を視察、調査してまいりました。今回の視察に当たっては、大韓民国・駐大阪総領事館李俊和領事のお骨折りをいただき、韓国政府並びに韓国空港公団の正式許可を得て出発いたしたわけであります。今回の視察に参加された先輩、同僚諸兄のお許しをいただき、新ソウル・メトロポリタン空港が将来関西国際空港にとって脅威となり、好敵手となることを訴え続けてきた者として、また今回の視察の提案者の一人として、ここに報告を兼ね、あわせてご質問申し上げるものでございます。
 我々の視察は、十月二十五日から二十七日にかけて二泊三日の、まことに慌ただしい日程でございました。このうち第二日目の二十六日、朝八時宿舎を出発して夕方五時ごろまでの約九時間、丸一日かけて新ソウル・メトロポリタン空港の調査をしてまいりました。結論から申し上げますと、この空港は関西国際空港の好敵手どころか脅威であり、関西国際空港がどんなに逆立ちしても太刀打ちできない存在になりかねない、そんな可能性が十分あるということを肌で感じてまいりました。
 韓国は、アジアの中でも近年目覚ましい発展を遂げた国の一つでございます。この三十年間に、人口増で六○%、国民一人当たりの所得は実に五十倍にも伸びております。当然、航空需要の伸びも目覚ましく、一九七一年、昭和四十六年に百四十万人であった航空旅客は一九九一年、平成三年には千八百四十万人に達し、さらにIATA(国際航空輸送協会──インターナショナル・エア・トランスポート・アソシエーション)の予測によれば、ソウル首都圏の航空旅客数は二○一○年には六千万人に達すると言われております。韓国には、ソウルの金浦空港のほか、釜山の金海空港、済州島の済州空港の三国際空港がございますが、国際旅客の八七%、国内旅客の三八%、貨物に至っては、実に九五%をこのソウル金浦空港が扱っております。なお、九○年代半ばには飽和状態に達することが各方面から指摘されているところであります。
 そこで、一九八九年、平成元年一月、韓国政府の運輸大臣から、当時の盧大統領に対して新空港建設の必要性が報告をされました。直ちに翌九○年にかけて候補地選定作業が進められ、二十二の候補地が浮かび上がったそうでございます。その中から、ICAO(インターナショナル・シビル・アビエーション・オーガニゼーション)──(国際民間航空機関)の基準に合致する七候補地が残りまして、これらについて精密な調査をすべて行い、さらに最終候補地として三つが選定されたそうでございますが、最終的に同年六月に仁川直轄市沖の現建設地に決定したわけでございます。
 翌九一年五月には新ソウル首都圏空港建設促進法という特別法が施行され、同年十二月十四日には韓国運輸省航空局が新空港建設に責任を持って当たれるようにするため、韓国航空局法という法律が改正されました。これはまさに、関西国際空港をつくるために空港整備法を改悪した日本政府の対応とは正反対の行動でありまして、私は韓国の政府がとった行動の方が国家的事業を進める国の対応としては当たり前であり、正しいと思います。その後、九二年五月、環境影響評価が完成、同年六月、新空港建設最終計画策定、同年十一月着工と進んだのでございます。運輸大臣から新空港建設の必要性が大統領に対し提出され、実に着工まで三年十カ月の早わざでございました。
 新空港具体化の背景はこれぐらいにしておきまして、現地に皆さんをご案内したいと思います。議長のお許しをいただき、先輩同僚諸兄、並びに仮谷知事初め当局の皆様のお手元には、手書きでつくったものでございますが、略図をお配りさせていただいております。また、これも議長のお許しをいただいて、議場には、私の字で書いたまことに汚い図でございますが、付近の拡大図を掲示させていただきました。
 お手元の地図をごらんいただきたいと思いますが、この新ソウル・メトロポリタン空港建設地は、ソウル特別市の西五十二キロメートルの黄海に臨んだ仁川直轄市の沖合に展開しているわけでございます。この一帯の海域は干満差が約十メートルで、朝鮮動乱時にアメリカ軍、連合軍が上陸した土地として有名でございます。仁川直轄市の沖合に浮かぶ永宋島──島のことは現地読みでドと発音しますのでヨンジョンド──そのさらに沖に龍遊島(ヨンユウド)、その間に三木島(サンモクド)、この三つの島がございます。この間の赤い線で示したところが埋め立てられる部分でございますが、ここを埋め立てて空港地にしようというものでございます。南北八キロメートル、東西七キロメートル、実に広大な埋立地でございます。
 この仁川港(インチョンコー)で我々を出迎えてくれた韓国空港公団の鄭一權建設弘報課長とともにフェリーにて島に渡りました。まず、現地事務所会議室で鄭課長の説明を受け、その後、質疑応答を行いました。お手元の地図にも簡単な計画概要を掲げてございますのでごらんいただきたいと思います。
 計画によりますと、二○二○年の完成時には、長さ三千七百五十メートルから四千二百メートル、幅六十メートルの滑走路が四本、運航回数は年間五十三万回、同じく年間旅客一億人、総面積千四百三十五万坪、建設費は予定で十兆ウォン、日本円に換算すると一兆三千五百億円になります。この永宋島の主な産業は、漁業、農業、主に朝鮮ニンジンと米をつくっておりました。それから、塩田式の製塩業、さらにはごく一部、海水浴客等を対象とした観光産業もあるということでした。なお、補償対象戸数は二百八十戸、約千人だったそうでございます。なお、今回初めて漁業補償が持ち上がりまして、対象者、補償額ともわずかですが、既に解決済みだということでございました。
 ところで、質疑応答の中で、将来、HSCTすなわちマッハ三ないし五で飛ぶ高速民間航空機のことでございますが、いろんな研究によって違いはあるものの、その滑走路は五千から六千五百メートルが必要だと言われておりますけれども、それにも十分対応できるだけの空港であるということがよくわかりました。私がこの質問をぶつけましたところ、鄭課長も十分対応できるんだと、胸を張って言いました。なぜなら、南北に滑走路が四本できるわけですけれども、この南北が八キロあるわけでございまして、将来的にHSCTの空港としても十分対応できるということでございます。そういうことを十分視野に入れて建設に取りかかったということを言われておりました。
 この後我々は、昼食を挟んで、永宋島と龍遊島を既に早くからできている両島間の生活道路を渡って見てまいりました。と申しますのは、この間の海域は和歌浦の干潟などは問題にならない、それこそ水平線のかなたまでという言い方が決して誇張ではないぐらい延々たる干潟でございます。百聞は一見にしかずと申しますけれども、現地に足を踏み入れ、巨大さに圧倒される一日でございました。
 なお、この新空港とソウル特別市間は八車線の高速道路と専用高速鉄道で結ばれ、ソウル市─新空港間の所要時間は車で四十五分、鉄道では三十分弱となっております。一期工事完成時には、三千七百五十メートル、幅六十メートル滑走路一本、年間運航回数十七万回、年間旅客数二千七百万人、面積三百三十二万坪で、一九九九年の供用開始を目指しているということでございます。
 報告は以上でございますが、このほかにもアジアの主要空港といたしまして、シンガポールのチャンギ国際空港、マレーシアのスバン空港、香港のチェク・ラップ・コック空港、台湾の中正国際空港等々、アジアの主要空港が今急ピッチで建設整備を進めております。また、さらには中国あるいはロシアといったところが極東地域において空港建設の計画を持っているといううわさもございます。
 こうした現実を踏まえて、以下、質問に移りたいと思います。
 関西国際空港が、真の意味での二十四時間空港としてアジアのハブ空港の地位を確立するためには滑走路三本の全体構想の実現が必要条件であり不可欠であることは、今さら申し上げることもないわけでございます。何度も何度も申し上げてまいりました。そして、その全体構想実現のために、今我々は一体何ができるのか、何をしなければならないのかということが一番大事ではないかと思います。現時点からの理想的なタイムスケジュールを申し上げますと、平成六年にボーリング調査に着手し、今世紀中に調査をすべて終えて着工し、二十一世紀初頭の早い段階に全体構想の実現というのが理想でございます。しかしながら、一部には全体構想実現の必要性に疑問の声を上げる向きもございます。
 皆さんもごらんになったかと思いますが、去る十一月十九日付の新聞には、国土庁の大石久和という総合交通課長が大阪を訪れて講演したそうでございます。その中でこんな発言をしておりました。「関西国際空港は全方位型のハブ(拠点)空港を目指すより、計画中の中部国際空港との連携に重点を置くべきだ」と。要するに、暗に全体構想は必要でないというような発言でございます。私は、国の現職の課長が、幹部がこのような後ろ向きの発言をすることは全く許せないと思います。現状を全く知らないものだと思います。
 我々が今回この新ソウル・メトロポリタン空港を視察したときに向こうの課長さん等々がおっしゃっておられましたけれども、こうした形でこの空港を正式に視察に来たのは我々が初めてだということでございました。要するに、日本の運輸省なり大蔵省の者はまだだれも現地を知らないわけでございます。それが証拠に、ある資料を読んでおりましたところ、新ソウル・メトロポリタン空港について「これは、新聞報道をもとに私はしゃべっているのだが」というような運輸省の幹部の発言もありました。なぜ現地を見に行かないのか、そういう素朴な疑問を持つわけでございます。なお、私たちの視察の翌日には大阪府副知事が初めて視察に来るということをおっしゃっておられました。
 ともかく、関西国際空港を取り巻く状況は決して生易しいものではございません。神戸沖空港等の問題もございますし、長引く不況と先ほど申し上げたようなアジア各国の状況という内外の要因もございます。全体構想実現を願う我々を取り巻く情勢というのは決して順調なものではないわけでございます。さらに、いつも申し上げますが、大蔵省等は採算性を盾に関西国際空港全体構想実現に消極的な姿勢を崩しておりません。運輸省もまた、地元の意見が食い違い足並みがそらわない、熱意がないなどと筋違いのことを言う者もおります。いつも私が申し上げているとおり、国家的事業であり、国の社会資本整備のための事業の柱となる関西国際空港でございます。基幹事業でございます。もちろん地元が応能負担をするのは当然でございますが、建設は一○○%国の責務においてやるのが当たり前であります。先ほど、韓国がこの空港をつくるために航空局法という法律まで改正して、国の責任においてやるという意思を明確にしたことをお話ししたわけですが、そのような対応を日本の政府にも望みたいところでございます。
 そこで、具体的に三点にわたりご質問申し上げます。
 第一に、全体構想事業は本来、国の責任と予算で行うべきであると思います。この際、全体構想事業の諾否を採算性に立って論ずるような的外れの考えを排し、我が国内外のあらゆる状況をよく認識しつつ、地元の協力参加を得ながら、国家百年の大計に立って運輸省すなわち国の責任において主体的に事業に着手すべきであると思いますが、いかがでございましょうか。前議会に続いて、知事の率直なご意見を聞かせていただきたいと思います。
 第二に、これも知事にお答えを賜りたいと思いますが、全体構想調査費の平成六年度政府予算への満額盛り込みを認めさせる必要があると思います。これに対して県は今までどのような対応をしてこられたでしょうか、あるいは今後どう働きかけていかれるのか、お尋ねをしたいと思います。
 第三に、この全体構想実現の必要性をまだまだわからない者がいるという現状の中で、どう関係方面に認めさせていくかという問題について、県当局としてはどう行動されるおつもりであるのか、企画部長からお答えをいただきたいと思います。
 次に、景気対策に移らせていただきます。
 先ほど先輩議員がご質問をされましたので、重複を避けて申し上げたいと思います。
 最近、マスコミで「景気低迷」「景気回復」「不景気」「雇用不安」といった見出しが見聞きされない日はないと言ってもいいぐらい連日取り上げられているところでございます。我が国にとって、景気対策はいかに緊急課題であり重大問題であるかを示していると言っても過言ではないと思います。もし現在の景気低迷がさらに続くようであれば、消費者の消費意欲、事業者の設備投資意欲はますます冷え切ってしまい、未曾有の大不況に陥り、取り返しのつかない事態に立ち至ることも予想される昨今でございます。
 最近の状況を少し見てまいりますと、例えば九月中間期決算では、収益の悪化はほぼ全業種に広がったと報道されておりまして、五社に一社が経常赤字に転落をしたという数字も示されております。十一月三十日に発表された十月の完全失業率は二カ月連続で上昇し、前月比より○・一ポイント高い二・七ポイントを示し、八八年二月以来五年八カ月ぶりの高水準でございます。同じく十月の新規求人数は前月比三・六%減少し、前年同月比では一八・三%もの落ち込みを示しているのでございます。また、完全失業者数は百七十六万人で、前年同月比三十一万人増となっております。同じ三十日、通産省が発表した十月の鉱工業生産指数は、九○年を一○○とした季節調整済みの速報値でございますが、前月比で五・一%下げ、同じく鉱工業出荷指数も五・六%低下し、ともに五三年の調査開始以来、最大の下げ幅を記録してしまったのであります。打ち続く景気の低迷に対して、また内外からの強い景気対策を要求する声に応じて、政府はようやくその重い腰を上げ、十一月三十日の閣議で六兆一千五百億円の補正を決定いたしました。同じ日、大蔵・通産両省は、企業のリストラ支援のため、土地譲渡益課税の部分的軽減や事業用資産の買いかえ特例の要件緩和の検討に入ったとも報じられておりました。
 深刻な景気低迷に歯どめをかけ、不況を克服するために、各界各層から大幅な所得税減税を求める声が続出しておりますが、国民はこぞって景気回復を願い、祈りにも似た気持ちで見守っていると申し上げたいと思います。もし今、有効な対応策を講じないまま推移すれば、消費者の消費マインド、事業者の設備投資マインドは全く冷え切ってしまうおそれがございます。一たん冷え切った消費マインド、設備投資マインドは、それこそ冷凍食品をレンジで解凍するように簡単には溶けないということは専門家がひとしく指摘するところでありますし、我が国経済は抜き差しならない大不況に陥るおそれも決して少なくないと言わざるを得ません。言うまでもなく、景気回復、不況克服は国の仕事であり政府の責任でございますけれども、大蔵省や通産省の役人、政府、国会議員がたくさんいるのに一体何をしているんだというのが庶民の偽らざる声でございます。私も全く同感でございますが、手をこまねいて傍観するわけにはいきませんし、我々は県という立場で何ができるのか、そうした観点に立って以下、ご質問を申し上げたいと思います。
 まず第一に、最近の政府の景気浮揚策の動きに関して、今後これらが具体的な施策として打ち出されてくる目途、スケジュールは一体いつごろであり、どのようなタイミングになるのか、できれば過去の例などを参考に具体的にお答えをいただきたいと思います。
 第二に、本議会に提出されている十二月補正予算について、その期待される効果はどの程度であるのか。特徴については、先ほど先輩議員の方からご質問がありましたのでカットいたします。また、景気回復のために県は何ができるのか、今何をなすべきなのか、今後の追加措置は必要であるのか、不必要なのか、私は必要であると思いますけれども、もし必要であると言うのであれば、そのタイムスケジュールを示していただきたい。
 第三に、本県経済の直近の状況に関して、本県の鉱工業生産指数、同出荷指数、完全失業率、新規求人数、有効求人倍率、企業倒産数、税収状況、大口滞納状況等を報告いただきたい。あわせて、もしわかれば、それぞれの全国平均値や類似県等との比較もお答えを賜りたいと思います。
 最後に、この問題に関する私の個人的な見解を申し上げ、質問を締めくくりたいと思います。
 例え話から始めたいと思います。私は、今回の不況は、病気になぞらえれば理解しやすいと思います。すなわち昨今の景気低迷は、風邪がこじれて肺炎になった状態だと言っていいと思います。平成二年ごろ、風邪の初期症状のくしゃみがおさまらない日本経済という患者が政府という病院に治療に出かけました。院長であり診察に当たった宮沢喜一さんという医者が治療に当たりました。ところが、金融緩和という有効な治療を受けるのは、外来で初めて行ってから一年近くたった平成三年も暮れのことでありました。初めはくしゃみ程度の軽い風邪だと思っていた日本経済という患者は、誤診と手当てのおくれにより肺炎を併発し、重症となってしまったと言わざるを得ません。もちろん、誤診をした医師の宮沢さんは責任を追及されて辞職いたしました。後任の院長には細川護煕さんという方が就任をしたわけでございます。風邪というのは、軽い症状のように見えて、こじらせると大変難しい病気でございます。初期症状のときに適切な診療を行っておれば、病気平癒、社会復帰となったものを、初期症状の誤診と治療の手おくれにより、平成四年夏の十兆七千億円、同五年春の十三兆五百億円、合わせて二十三兆七千五百億円もの巨額の治療費を投じたにもかかわらず、こじれた風邪と併発した肺炎は快方に向かうどころか、ますます難しい状況に陥っていると言わざるを得ません。その後、本年九月には後任の細川院長が六兆一千五百億円の治療費を投入いたしました。
 いずれにしても、これほどの巨額の対策費にもかかわらず、快方に向かう兆候が見られないのは一体なぜなのか。本年の政府予算が七十二兆三千五百四十八億円、この平成四年、五年の政府の三回の特別景気対策、緊急経済対策が二十九兆九千億円ですから、実に国家予算の四一・三二%をつぎ込んだ計算になるのであります。それだけの巨額の治療費を投じながら、一体なぜ病気は治らないのか。素朴な疑問でございます。どんなに高額の薬を投入しても、症状に合わない見当違いの投薬や治療は、病気をこじらせこそすれ、症状を回復させることにはならないと思います。今回の不況は政策不況というのが専門家の一致した見方でございますが、巨額の対策費もその政策自体に景気を回復させるだけの力がなければ全くむだと言わざるを得ません。
 すなわち、第一に、これまでの三度の対策費は常に政策実行のタイミングが遅きに失したということ。第二に、景気対策というと公共事業というワンパターンを繰り返しておりますけれども、果たしてどれほどの効果が期待できるか疑問が多いという専門家の指摘がございます。欧米先進国等では、最近は景気対策のために公共事業という考えは皆無に等しいと言われております。もちろん、社会資本のストックの違いという背景がありますけれども。第三に、景気対策に係る事業が行き当たりばったりで計画性がなく、先見性に欠けるということ。第四に、我が国の公共事業のコスト高と業者数が多過ぎるということ。これは、和歌山県も一緒だと思います。
 以上四点、今思っていることを率直に申し上げました。この四点について県当局としてどう思われるか、率直なご見解を最後にお尋ね申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森議員にお答え申し上げます。
 メトロポリタン空港を視察した結果に基づいていろいろのご意見を承ったわけでございます。
 関西国際空港については、私も関西のさらなる発展のためにアジアのハブ空港になっていかなければならない、その必要性があることは痛感しておるわけでございます。
 お話ございましたように、本来、第一種空港については国が設置し、管理するのが原則でございます。特に、国際化が進む中で空港の意義は非常に大きいわけでございまして、空港特別会計の充実ということが最も緊要な課題ではないかと思っておる次第でございます。しかしながら一方、関西国際空港は空港整備法により関西国際空港株式会社が設置管理することになっておるわけでございます。一期計画については、運輸大臣が定める基本計画に基づいて現在、建設が進められております。二期計画以降については、空港整備法の関係もございまして、事業主体、事業手法等、極めて難しい問題がございます。このために、関西国際空港全体構想推進協議会において、学識経験者も入れて意見をいただきながら、事業主体を含めた実現化方策について検討調査を行っておるわけでございまして、早期に地元としての案を取りまとめて、国と協議しながら全体構想の早期実現に努めてまいりたいと存じておる次第でございます。
 次に、関西国際空港の全体構想の調査費でございます。
 先ほど述べました関西国際空港全体構想推進協議会において、初めて地元負担をするということで合意いたしまして、現在、国に対して強く要望を行っております。先般も、県内の議会、行政、経済界の皆さん方により、調査費獲得のための運輸省への陳情を行っていただいたところでございます。また十一月四日に、県議会の関西国際空港対策特別委員会の皆さん方にも要望活動を行っていただいているところでございます。私も過日上京して、運輸大臣、次官、航空局長、大蔵省の主計局長等にも強く要望してまいったところでございます。今月の十日には、全体構想の早期実現に向けて東京アピール93を開催することになっておるわけでございます。議会開会中でございますので副知事に出席していただき、政府関係者並びに関係省庁に強く訴えてまいりたいと思います。今後の予算折衝においても、皆さん方の力をおかりしながら強く訴えてまいりたいと思っております。
 他の問題については、関係部長から答弁させていただきます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 関西国際空港の全体構想の早期実現の必要性についてのご質問にお答えいたします。
 関西国際空港は、国際航空輸送量の増大やアジアにおける国際ハブ空港の確立、また近畿圏が目指す世界都市関西の形成や国際文化圏形成のために全体構想の早期実現は極めて必要でございます。
 全体構想については、段階的に推進することが昭和五十九年に関係閣僚会議で了承され、現在、一期計画が進められております。第二期計画の実施時期については、航空審議会答申によりますと、航空需要は二○○二年に一期計画だけでは対応し切れない状態になり、二本目の滑走路が必要となってございます。また、関西国際空港は海上空港であることから、安全性と信頼性の確保のためにも横風用の滑走路がぜひとも必要でございます。一方、財政面の課題については、現在、地元において採算性をも含め事業手法等について検討しているところでございますが、まずボーリング調査を確保する必要から、地元負担も考えるなど積極的な対応を図っているところでございます。こうした必要性、地元の熱意を国初め関係機関に強く訴え、理解を求めてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(宗 正彦君) 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 景気対策のうち、所管の四点についてお答え申し上げます。
 まず、最近の政府の景気浮揚対策への動きについてでございます。
 数次にわたる経済対策にかかわらず景気が低迷している深刻な現状はご指摘のとおりでございまして、厳しく認識しているところでございます。このような中で、政府の九月対策に基づく政府予算が現在国会審議中であり、一刻も早い成立と執行を期待しているところでございます。なお、今後のさらなる追加対策については、国において平成六年度予算も含め、さまざまな角度から検討されているとの報道がなされているところでございますが、今のところ詳細は明らかとなっておりません。いずれにいたしましても、景気の深刻な状態を一刻も早く打開すべく有効な方策を期待するとともに、県といたしましても適宜適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、本県の十二月補正予算案の特徴、その期待される効果、今後の追加措置の必要性、スケジュールについてのご質問でございます。
 低迷する景気へのてこ入れを図るため、さきに発表された国の今年度第二次補正予算と軌を一にして、本県としても今般、景気対策のための十二月補正予算を編成したところでございます。今回の補正は、これまで行われてきた類似の景気対策に続くものであり、景気への好影響があらわれてくることを真に期待しているところでございます。今後についてでございますが、十二月補正を含めたこれまでの数次の景気対策の効果を十分見きわめながら、経済情勢に配意しつつ、平成六年度当初予算も含め適切な対応を心がけてまいりたいと考えております。
 次に、本県の税収動向、大口滞納状況について、また全国平均や類似県との比較はどうかというご質問でございます。
 本県の税収状況については、十月末現在の調定額で、県民税利子割、自動車税、軽油引取税は前年度実績をやや上回っているものの、主要税目である法人事業税は景気の低迷から大幅に減収となっており、また個人県民税についても土地等の譲渡所得が大幅に減ったため減収となるなど、合計では対前年同月比九五・九%となっております。この本県の九五・九%という数字でございますが、これは全国平均の九四・三%をやや上回っており、また近畿の類似県と比較いたしますと、奈良県の九七・二%よりは下回っているものの、滋賀県の九三・八%を上回っており、真ん中ぐらいの状況にあるということでございます。いずれにいたしましても、非常に厳しい状況下ではございますが、税収確保のためなお一層努力してまいりたいと考えております。
 次に、大口の滞納状況でございます。個人県民税を除く滞納繰越額十三億七千七百八十九万円のうち、五百万円以上のいわゆる大口滞納者は、県下で十九件、二億三千五百七十五万円となっております。これらの大口滞納者については、現在、個別の状況を踏まえながら差し押さえ等の措置を講じているところでございまして、税の公平の立場からも今後さらに厳正に対処してまいりたいと考えております。
 最後に、これまで政府が打ち出してきた景気対策の持つ問題性のご指摘に関してでございます。
 長引く不況に対して、従来型の景気対策が激動する今日の社会の中で十分機能するかどうかについてさまざまな意見があることは十分承知いたしております。現在、なお景気の先行きが不透明であるという点については、円高の進行、長雨や冷夏等、不測の要因によるところも大きいと考えておりますが、今後、景気対策のタイミング、手法等について県として必要と思われる点があれば、地方の立場から積極的に意見を申し述べてまいりたいと考えております。
 ただ、最近の国の対策を見ると、新たな社会資本整備の方向性や規制緩和の推進等、経済社会情勢の推移に応じた施策が盛り込まれてきていることも事実でございます。今後、このような変化の動向が来るべき平成六年度の当初予算の中にどのような形で反映されてくるのか、国の対応を十分見きわめつつ本県としても対応してまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長吉井清純君。
  〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 森議員にお答えをいたします。
 まず景気対策については、長引く景気の低迷、急激な円高、冷夏等の影響を受け、中小企業者にとってはまことに厳しい経済動向が続く現況にあり、県といたしましても昨年度に引き続き、本年度も中小企業の金融円滑化のために低利の緊急経営資金特別融資を新たに創設するとともに、融資枠の拡大、融資利率の引き下げを行うなど、積極的に融資制度の拡充を図り、中小企業者の資金需要にこたえてきたところでございます。しかし、景気動向は依然として厳しいものがあり、今後も中小企業の皆さん方からの要望をも踏まえ、融資制度のより充実を行い、金融面からの支援に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また中小企業に対する技術支援については、工業技術センターにおいて、製品の検査工程の合理化や人材不足に対する生産システムの開発等を進めるほか、技術相談指導や開放試験室を設け積極的に利用していただくなど、新商品、新技術の開発支援のため懸命に取り組んでいるところでございます。
 次に、小売商業を取り巻く環境は、個人消費が引き続き低調な動きを示し、一段と厳しさを増してございます。こうした中、商店街のイメージを一新し、魅力を高め、集客力を向上させるためにアーケード等の施設整備事業、商店街が今後進むべき道、あるべき姿等の調査研究事業、各種イベントの実施といった商店街の積極的な努力を強力に支援してまいりたいと考えてございます。さらに、本県経済を不況に強い産業構造に転換させていくために、試験研究機関等の高次産業の誘致をより促進するとともに、半年後に迫った関西国際空港開港と世界リゾート博を契機に観光和歌山を積極的にPRし、観光地と観光関連産業の振興を図っていくなど、本県経済の活性化を図るため各種施策を効果的に実施してまいりたいと考えてございます。
 次に、本県経済の直近の状況に関する主要経済指標の動きについてお答えをいたします。
 製造工業に係る鉱工業生産指数の推移については、全国は平成三年第一・四半期の一○二・七をピークとして、本県はややおくれ、同年第三・四半期の一○三・二をピークとしてそれぞれ下降基調で推移し、本年九月の速報値では全国は九二・一、本県が九三・三、近畿の滋賀県は八六・九、奈良県は九四・五となってございます。また出荷指数については、本年十月の全国の速報値で八九・五と前月に比べ五・六%の低下となっております。完全失業率については、府県ごとの統計はございませんが、総務庁の労働力調査によると、本年七月から九月の全国平均二・五%に対し近畿は三・○%となっており、ブロック別では全国で最も高い数字を示してございます。本県の新規求人数は、本年十月で三千九百十人と前年同月に比べ一八・六%の減少を見ております。十月の減少率は全国が一八・六%、滋賀県が二三・八%、奈良県が九・九%となっております。有効求人倍率については、全国が平成三年三月の一・四七倍をピークとして、本県が鉱工業生産指数同様ややおくれて同年五月及び六月の一・三四倍をピークとして減少に転じ、本年十月では全国が○・六七倍、本県が○・七六倍、また滋賀県は○・六五倍、奈良県は○・五六倍となっているところでございます。
 今回の景気はその後退局面が大都市圏よりおくれて始まり、県内経済が国内景気と比較するとやや底がたい動きを示しながら、調整過程に入ったと認識しているところでございます。企業倒産の状況について、民間調査機関の調べによりますと、平成二年を基準としてその水準を見ると、平成四年では全国計が二・二倍、本県が二・九倍となっており、滋賀県、奈良県も本県と同様の水準となっております。また本年に入っても、全国、本県、さらに両県とも引き続き高水準で推移しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答え申し上げます。
 景気対策に関連して、公共事業のコスト高、業者数の問題でございます。
 公共事業のコストについては、建設物は地震等の自然的条件、賃金・物価水準、工事費に占める用地費の割合等により、我が国のコストは比較的高くなっているものと考えております。
 次に建設業者数でございますが、我が国で現在、建設業許可を持って営業を営んでいる建設業者数は五十三万七千七百九十八社でございます。一方、平成三年度の国民総支出の建設投資が占める割合は一七・九%となっております。建設業者数が多いために景気対策の効果が上がらなかったのではないかというご指摘でございますが、この国民総支出の建設投資が占める割合を見る限り、それなりの効果はあると考えております。
 一方、和歌山県内で現在、建設業許可を持って営業を営んでいる建設業者数は六千百六十一社で、和歌山県の千人当たりの建設業者数は五・七となっており、全国平均の四・三に比べて多くなっております。しかしながら、社会資本の整備を図るために建設業の果たす役割は大きなものがございます。今後、さらにきめ細かく公共事業を進めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 42番森 正樹君。
○森 正樹君 まず、関西国際空港全体構想に係る問題についてでございます。
 先ほど申し上げませんでしたけれども、この新ソウル・メトロポリタン空港をつくる動機の一つとなったと思われる情報として、これは韓国政府筋の非公式な見解ではございますけれども、このようなものがございます。「大阪の人工島に建設される関西国際空港が抱えている問題や成田空港の二期工事関連で続いている地主との論争が新空港の計画促進の決定要素になったのは確かである」と語ったというものでございます。
 まさに、アジアのハブ空港を目指して韓国政府が、日本がああいうもたもたした姿を見せている、今がチャンスだと、そのあらわれが運輸大臣が大統領に対して建設の必要性を訴えた。何しろ、旅客の八七%、貨物の九五%が金浦空港に集まっているわけです。それが、今世紀中に飽和状態になる。したがって、どこかにつくらなければならないという背景はもちろんございました。しかしながら、もう一つ決定づけたものはこれだったと、私は思いたくないんですが、一部これは事実だろうと思います。その結果が、運輸大臣の諮問から実に三年十カ月で建設に取りかかったという──もちろん、補償問題等とか、我が国と違ったやりやすさという部分があるでしょうけれども、しかしながら、それだけの異例の速さで建設にかかったということは、アジアのハブ空港を目指して、今がチャンスだと。日本と同じで、韓国は今大変な不景気でございます。そういう中で国力の増進のために、景気回復のためにある意味で──言い方は悪いんですが、ばくちを打ったんではないかと思います。十分アジアのハブ空港になるチャンスだと、そういう自信もあっての行動だったと私は思います。
 もちろん、経済的なヒンターランドの問題とか、我が国が持っている切り札というのはございますけれども、しかしながら前にも申し上げたように、ソウル金浦空港と日本の国際空港、地方空港とは十六路線が結ばれているわけです。日本人の多くが、全国から金浦空港を通してトランジットして世界へ出ていっているわけです。日本の国際空港じゃないわけです。日本の国際空港を通らずに、韓国の国際空港を通って日本の海外旅行客が世界へ向かっているという現実、これを我々は直視しなければならないと思います。
 そういう意味で、関西、和歌山の経済浮揚のためにということもございますが、日本という国全体の社会資本整備のためにも、また二十一世紀に向かっての我が国の良好な発展のためにも、ぜひとも全体構想が必要なのであります。採算性がどうだとか、そんな問題ではないと思います。いつも申し上げますが、これはつくらなければならない、やらなければならない国家的な事業であると、そのように思います。そういう中で、国土庁の何とかという──大石でしたか、課長が言う発言などは全く論外であって、問題だと思います。これぐらいにしておきまして。だんだん興奮してまいりますので。
 次に景気の問題について、二、三、所感を申し上げたいと思います。
 私は、土地を初めとする規制緩和と大幅な所得税減税が景気を回復さす特効薬になると。もちろん、所得税減税はこのように消費マインドが冷え込んでまいりますと貯蓄に回るという指摘もございますし、その部分は確かにあると思います。しかし、一億二千万人の国民、特にまじめに所得の中から所得税を納めていただいた多くのサラリーマンにこの際お返しをするという意味合いを込めて、当然、所得税の大幅減税をやるべきだと申し上げたいと思います。
 それと、規制緩和についてです。今回は質問の中には含めませんでしたけれども、これはある研究家のシミュレーションでございますが、人間が朝起きて夜寝るまでの間に、これだけの規制緩和との絡みがあるという話でございます。
 まず、朝起きて歯を磨きます。そうすると、塩入り薬用歯磨き──メーカーは申し上げませんが、私も使っております。これを使いますと、塩の輸入規制と専売制という規制にひっかかるわけでございます。それから牛乳を飲みますと、本土産牛乳の価格維持制度という規制がございます。御飯を食べますと、食管制度という昭和十七年に設けられた前世紀の遺物みたいな制度と米の輸入規制という問題がございます。みそ汁を飲みますと、塩の専売制という問題がかかってまいります。それから、通勤のために駅へ向かいますが、バスに乗ると事業免許制度とか運賃認可制度という規制がございます。会社へ向かうために鉄道に乗ると、やはり事業免許制度とか運賃認可制度があります。それから、会社とか駅の乗りかえ等でエスカレーターに乗ると、エスカレーターの速度制限という規制があるそうでございます。駅のキオスクで新聞とか雑誌を買うと、再販制による価格維持という規制がございます。それから、ちょっと前の晩飲み過ぎたということでドリンク剤をよく飲まれる方がありますけれども──酒の飲めない私にはわからないですが──再販制による価格維持という独禁法適用除外という規制がございます。タクシーに乗ると、事業免許制度による台数規制、営業地域規制、運賃認可制という規制がございます。昼食で、例えば豚汁定食を食べるとするとして、農業飼料・肥料の農協による独占的供給といういわゆる独禁法適用除外という問題がございます。恋人とデートする前に散髪していこうということで理髪店へ行くと、理容業組合の価格カルテルという問題があります。理髪に時間がかかっておくれそうなので電話ということになると、通信事業に対する参入・価格規制という規制がございます。それから、本を買っていこうということで書籍を買うと再販制による価格維持、デパートに寄ると、デパートという大型店舗の場合は大店法による営業規制がございます。それから、彼女が化粧品を買うというので一緒に行くと、再販制による価格維持あるいは独禁法不徹底による非効率な商慣行という問題があります。スーツを買うということで洋服屋に寄りました。独禁法不徹底による非効率な商慣行。それから、CDを二人で聞こうということで買いに寄ると、再販制による価格維持があります。
 まだたくさんありますけれども、人間が一日に行動するだけでも実にさまざまな規制を受けて暮らしているわけでございます。本当に豊かさを実感できる暮らしという問題が今さまざまな形で提起されておりますけれども、二十一世紀に向かう社会の中でこれからはこうした規制は徐々に緩和していくべきであろうと思います。これは、ほとんどの方が同感だろうと思います。そうした意味で、例えば県の段階で規制緩和できるものがあるわけでございますから、そうしたものを今後前向きにぜひとも検討していただきたいことを最後にお願い申し上げて、すべて要望にして質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
  正午散会

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