平成5年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成五年十月七日(木曜日)

○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問をしてまいりたいと思います。
 まず、連日報道されている大規模リゾート開発フォレストシティ計画についてでございます。
 ご存じのとおり、去る九月二十一日、大阪地検特捜部は、フォレストシティ計画の事業主である和興開発株式会社、元県幹部企画部長宅やその勤務先など十カ所を国土利用計画法違反の疑いで強制捜査に入りました。以来、さまざまな問題が次々と明るみになっています。マスコミもゼネコン並みの扱いでありますから、私も地元住民の一人として、毎日、新聞から目が離せなくなっています。
 地元住民の間では、この五年間余りフォレスト計画の開発に対する賛否両論をめぐっていろいろな問題が発生し、日常生活の中でもぎくしゃくした感情を抱きながら暮らす毎日でございます。それゆえに、私ども住民は大阪地検の捜査の展開に大変注目をいたしているところです。「やっぱり、和興さん何か悪いことしていると思っとったんやけど本当やったんやな」と言う声が最近多く聞かれるようになりました。
 紀陽銀行の過剰融資問題、そして反社会的な暴力団体の関与が公然と指摘されていることも重大問題であります。また、県行政の関係書類の提出を求められ、押収されたことは、開発計画にかかわって犯罪の行われた容疑が濃厚であることを示すものであります。仮にも、こうした犯罪行為の伴った開発行為に行政が軽々しく許可を与えるなどということは絶対に許されないと思います。
 今、世界的に自然破壊や環境問題が重要視されるようになってまいりました。和歌山県下のあちこちで住民を無視したゴルフ場開発計画に反対する住民運動が、この間、活発に行われてきました。県も、新たな対応が求められる状況の中で、事前協議の前段階で届け出制をとるようにいたしました。その届け出のとき、地元市町村及び地元住民が積極的に要望する計画に限って受け付けること、そして開発許可の本申請の段階では、地元住民の総意を反映した地元同意書の添付を義務づけました。しかし、この住民合意はあくまでも行政指導の範囲内であります。しかし、住民にとっては開発計画に対する唯一の意思を伝える場となるわけですから、大変重要な問題だと思っています。業者の姿勢や行政指導の力量が、ここでは本当に住民の立場に立って行われることが問われると思います。
 計画のあることさえ住民は知りませんでしたし、知らされませんでした。知っているのは自治会長だけとか、あるいは一部の役員だけであるなど、住民が知ったときには既に事がすべて終わっていたというところまで進展してまいりました。そして、もう決まっていることだから何も言えない、決まったことだからというあきらめまであるような状況もずっと続いてまいりました。これは、地域住民の生活や生命にとって大変大きな問題であるにもかかわらず、開発業者の意図的な住民無視の姿勢と業者の横暴を厳しく規制する具体的な行政側の開発指導要綱がないからであります。
 フォレストシティ計画は、県がリゾート構想で指定したお墨つきの計画とも言えますし、公共的性格を持った計画だと私は考えます。町づくりの主人公は、その計画地周辺に暮らす住民の皆さんたちです。しかし、現行法や制度では、住民は基本的には無視あるいは除外されています。一方、企業を利する法となっていることも言わなければなりません。法の中で「許可しなければならない」と一方的に決めつけているところも問題であります。町づくりの基本は、その地域で暮らす人々がより豊かに、より健康に、より生活がよくなるためにというところにあるのであって、殊にフォレスト計画はその地域を丸ごと変えてしまうほどの大規模開発なのですから、住民の理解と協力のもとに形成された住民同意が最も優先されなければならないのは当然のことであります。町づくりの初歩的な原則として住民合意を大前提に進められなければならないということが言えると思いますが、いかがなものでしょうか。
 和興開発は、説明会を前に各家庭にビラを配布いたしました。このビラの中で、「地域の皆さんと共存共栄を図ります」と社長名であいさつが書かれていました。この間、住民同意を得るための事業者としての姿勢や努力はどういうふうな形で行われてきたのでしょうか。どんなに甘く見たといたしましても、私が居住する団地やその周辺の方々の話を聞きましても、和興開発は住民にまじめに、しかも自主的、積極的に誠意を持って説明会等を開催してきたとは言えません。去る九月三日、本申請後現在に至るも、園部、六十谷、直川地区の六十近い関係自治会の約半数は、いまだにもって一回もその説明さえないという状態であります。
 行政指導として同意書が必ず必要として指定された十三自治会ですら、いまだに説明会が行われないのも実態でありますし、大変ずさんなものです。ましてや、事業者である和興開発が説明会をみずから計画するなどということは皆無でありました。多くは、住民が日時や場所の設定を計画したところに出かけてきて説明をするというお客さん気取りでもありました。説明はしたとしても、質問の時間を設定していないとか、住民の不安や質問にまじめに答えない態度は、余りにも住民をばかにしたものでした。そればかりか、質問する住民に脅迫するなど、あるまじき行為も一度や二度ではありませんでした。私たちは、住民の皆さんたちと一緒にこのことを行政の担当課に訴え、改善を求めてまいりました。そのことについては業者の方に伝わっているのか伝わらないのかわかりませんが、なかなかその効果はあらわれませんでした。
 また、地権者を初め隣接地権者の同意のとり方など、まじめに努力をせず、金権の力に頼ったり、反対する住民代表に対し、自宅まで来て「家の若い者はもう黙ってへんからな」などと暴言を浴びせるなど、さらに新聞報道にもありますように、夜中に無言電話の嫌がらせなどが数日続いたと聞いています。目的のためなら手段を選ばないという卑劣なやり方が、和興開発の住民同意のとり方であります。何よりも、新聞に載りました圓明寺取り込みの実態がそのことを実証いたしております。これは、殴る、けるという暴力行為はないにしろ、精神的暴力行為と言わなければなりません。
 特に言っておかなければならないことがあります。直川、有功、善明寺、各連合自治会の同意問題です。同意書に明記してありますように、同意をとるために開発協力金、迷惑料という名前でもって直川連合自治会には五千万円、有功連合自治会には二億円とゴルフ場入場者一人当たり三百円を支払う、善明寺自治会には五千万円と、まさしく金で同意を買うという状態であります。これらが住民同意のとり方でありますし、その実態は連日、新聞に出ております。
 るる申し上げてまいりました。お尋ねをいたします。
 地域周辺住民の大切な財産や生命を守る立場から、こうした町づくりの重大な計画を進めるのに際し住民同意が大前提に座ることが、たとえ行政指導であっても不可欠であると同時に、今ほどこのことが求められているときはないと私は考えるものです。土木部長はいかがお考えでしょうか、ご所見をお聞かせください。
 あわせて、これまで住民団体である「いずみ山系の開発を考える会」の交渉や和歌山県リゾート・ゴルフ場問題連絡会等の交渉で確認をしてきた、同意を必要とする十三自治会のうち一つでも反対の自治会があれば許可は難しいと答弁をしてこられました。この答弁は今後とも変わりはないと信ずるものでありますが、この場で再度確認をいたしたいと思います。土木部長のお答えを願います。
 次に、生活基盤整備についてどうしてもお願いをしておかなくてはなりません。
 このフォレストシティ計画は和泉山脈の南斜面ですが、急峻な地形で深い谷を形成していると言われています。開発総面積三百二十五ヘクタールは、何と甲子園の八十倍の広さであります。十八ホールのゴルフ場、リゾートホテル、美術館、千五百戸のグレードの高い高級住宅、尼崎のつかしんや原宿の竹下通りを思わせるファッション通りなどが森の町として計画に盛り込まれております。大変夢を持たせるバラ色の説明が行われました。しかし、私たちこのふもとに住む二万人の住民から見てみますと、頭の上はすばらしいバラ色の町があるにもかかわらず、私たちの住むふもとの町は今でも県道粉河加太線の慢性的な渋滞、ちょっと大きな雨が降れば浸水に悩まされております。ゴルフ場の農薬公害も、子供たちや住民の健康に影響します。削り取られた山肌は保水力を失い、さきの大雨で大被害の発生した鹿児島のような災害が起こらないという保証はありません。私たちは、開発よりもまず今暮らしている生活を大切にしたいと思っています。道路渋滞の解消、内水面の浸水対策、下排水などの生活基盤整備の具体的な方向を示してください。土木部長の回答を求めます。
 続いて、国土利用計画法、土地売買届け出制と事後事務措置について伺います。
 一昨日の尾崎吉弘議員の質問にもありましたが、届け出によって勧告、不勧告通知までは法に基づく処理が行われるわけですから、特に問題はないと思います。しかし、その事後処理、つまり審査して勧告をしたあの土地が、一体どういう形で、どれぐらいの値段で売買されたのであろうか、こういう結果をいかにして聴取するかというところが問題だと思うわけです。今度の地検の捜査も、国土利用計画法のそこに問題があると指摘しております。このことについては、課長通達が出されております。これは、国土利用計画法の土地売買の届け出制に基づいて、その法の趣旨を行政として最後まで貫くんだ、そういう事務処理を位置づけたものだと私は思っています。
 契約締結状況報告について、先日、企画部長は、義務づけされていないので実効性は十分とは言いがたいと答弁されていますが、この実効性を高めるための具体的方法を検討されてきたのでしょうか。そして、これまで督促したことがないとか、強く求めることは難しいと新聞に報道されています。このことが事実とするならば、課長通達を出す意味も必要もないのではないでしょうか。現在、大阪地検の捜査に係る問題は、この報告書がきちんと処理されているならばここまで至らなかったのではないかと非常に残念に思うわけですが、このことについてもお答えいただきたいと思います。
 通達の中には、目的や、だれがどの時期までに報告しなければならないのか、そして督促をするのはどういうときだ、たとえ居住地が変わっても督促状は出せるんだと明記してあります。その上、報告に基づいての現地調査まで求めています。違反取引に対する措置、処理方法まで行政上の事務処理を明文化しているのでありますから、明らかに業務怠慢と言わざるを得ないと思います。京都、大阪、兵庫などでは積極的に取り組まれているように思うのですが、和歌山県はこれまでどのような処理をしてきたのか、そして今後どうされようとしているのか、企画部長の所見をお聞かせ願います。
 続いて、伺います。
 このフォレスト計画の書類は大阪地検に押収されているので、現在物理的に審査ができないという状況は十分承知いたします。私は、許可に当たっての審査基準ともなっている申請者の資金力、信用度の項目でお尋ねいたします。
 決定づけるわけにはまいりませんが、資金力という点では既に破綻していると思います。開発資金を融資している紀陽銀行が担保価値を上回る過剰融資、そして法の求めている大口融資規制に抵触する融資の疑いも指摘されているところです。フォレストシティ計画が資金計画において破綻している疑いは、こういうことから考えても明らかだと思います。信用度の面を考えてみましても、地元開発業者として住民との約束はなかなか守らない、業者としてのモラルが欠如している。今回のフォレスト計画では、住民同意を得る点でも、さきに申し上げた反社会的な暴力団体の関与が公然と指摘されていること、大阪地検の捜査を受けるということだけでも社会の常識をはるかに超えた受け入れがたい業者であると思うのであります。こうしたことを考え合わせるならば、審査するに値しない業者ではないかと思います。開発許可することは到底認められるものではありません。土木部長の見解を求めます。
 なお、フォレスト計画は、いわゆるリゾート法による燦黒潮リゾート構想の重点整備地区の特定民間施設に位置づけられております。和興開発が強引に計画を推進し、紀陽銀行がその無謀な計画を支えた要因として行政のお墨つきという認識があったとの指摘も当然だと思うわけです。
 私は、リゾート法が不動産会社、大手土木会社が巨利を得るために制定されたものであることを、これまで何度となくこの議場で訴えてまいりました。しかし、自然破壊に対する住民の反発やバブル経済の崩壊などもあって、今や全国的にリゾート計画の見直しを迫られ、撤回や縮小が相次いでいる実態です。政府も、法の見直しと公言せざるを得ない状況にあるわけです。県内においても、昨日、鶴田議員も指摘したとおり、本県の燦黒潮リゾート構想は見直しの必要が明らかになっていると思います。こうしたさまざまな問題を浮き彫りにしてきたフォレストシティ計画を重点整備地区特定民間施設から外し、計画そのものを白紙撤回するつもりはないのか、知事の率直な見解をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、小選挙区比例代表並立制についてお伺いいたします。
 現在、国会で論議が行われている衆議院への小選挙区制の導入、政党助成について知事の見解を求めたいと思います。
 金丸前自民党副総裁の七十億円にも上る蓄財事件は、私たち庶民から見れば途方もない金が政治の裏で動いていることを白日のもとにさらす結果となりました。長年の自民党政治の中で、ロッキード事件やリクルート事件、共和事件、今またゼネコン疑惑と不正、腐敗が蔓延し、国民の政治不信は極限に達しております。いずれも政治家に対して巨額の政治献金、裏金がわいろとして渡されていたものであり、政治を金でゆがめるという最も許されないことがまかり通っているわけであります。ところが、今度、細川内閣が提出した政治改革法案では、企業や団体からの政治家個人への献金は禁止されていますが、肝心の政治団体や政党への献金は野放しです。知事は、六月議会で企業や団体からの政治献金を是認する答弁をされましたが、今度明らかになった茨城や宮城県知事の逮捕という問題を見ても、企業からの献金をきっぱり禁止することがどうしても必要だということを指摘したいと思います。
 次に、選挙制度の問題です。今、衆議院には九つの政党がございます。これは、一票の格差という問題はありながらも、国民のさまざまな意思が多党制を生み出したと考えます。政治改革を言うなら、まず企業団体献金の禁止とこの一票の格差を是正し、国民の意思を正確に反映した国会を実現する、これが議会制民主主義の根本ではないでしょうか。八六年の衆議院本会議において、全会一致で定数の抜本是正を決議しているとおりであります。ところが、政府が提案している小選挙区比例代表並立制は、国民の民意を議席に反映するという点で大きな欠陥がございます。一つの選挙区から一人だけ当選するのですから、五人も六人も立候補すると三割、四割の得票で当選者が出てまいります。このことは当然のこととして、第一党が少ない得票で議席の大多数を占め、死に票を大量に生むことになります。また、選挙区が小さくなると買収などの悪質な違反が出やすくなるとも言われていますが、このことを実証する例として、さきの総選挙で鹿児島県の一区に合区された奄美群島区、徳之島の町長さんは、「小さいほど激しくなりお金がかかる。それは小さい器に石を投げるのと大きな体育館に石を投げるくらい違う。今回の選挙は予想していた以上にきれいな選挙になった」、こう述べられています。小選挙区制は、金権腐敗をなくすどころか、その反対の可能性の方が高いと言わざるを得ません。
 提案されている改革案は、全国を二百五十の選挙区に分け、比例代表から二百五十人を選ぶ制度となっています。その基本が小選挙区制であることは、佐藤元自治大臣がことしの四月に小選挙区並立制がいかにひどい内容であるかという趣旨を述べておられます。この報道を紹介いたします。佐藤元大臣によると、「比例代表と小選挙区制との間に並立制があるような考えだが、むしろ小選挙区制に近い性格を持つ。小選挙区制を例えば五百のうちの五十にするとかということになれば性格が違ってくる。いずれにしても、社会党がこの並立案を採用しないということは山花委員長も表明している」と述べておられます。
 実際、民意を反映しないということでは、さきの総選挙の結果からの試算によって各党がそれぞれ候補者を立てた場合、全国的には六割の死に票が出ると計算されています。連立内閣を構成している党が統一候補を立てた場合にも四割の死に票が出るようです。また、一人だけが当選する小選挙区制になると、どうしても一騎討ちの様相が強まり、多数の政党が二つ、三つの大きな政党に淘汰されていく傾向が、西ドイツやイギリスの例を見ても明らかであります。今の九つの政党に分かれている国民の政党支持の状況をアメリカのような二大政党に収れんさせるような選挙制度は、決して我が国の民主主義を発展させるものではないと思うのです。
 このように、死に票がたくさん出、国民の多様な政党支持を選挙制度によってゆがめる小選挙区制が民意を正確に国会議席に反映させ、また議会制民主主義を発展させるものと考えるのかどうか、知事のご所見を伺います。
 次に、政党助成の問題です。
 政党は、憲法の規定する結社の自由によって保障されたものであると同時に、国家から独立して政治活動を行い、その根拠を国民に求めるのが本来の姿と考えます。しかし、今回の政党助成法はその原則を初めて破り、政党の政治活動に国民の税金を四百十四億円も支出するというものです。国民の中で一番多い政党支持の状況は「支持政党なし」というのが最近の世論調査の特徴でありますが、政党助成法はこうした支持政党なし層からも、そして自分の嫌いな政党にも強制的に献金を取られる悪法であり、憲法の思想、良心の自由を侵すものであると考えます。しかも、得票率や国会議員数で切り捨てるという、二重にも三重にも許されない内容となっています。四百十四億円という金額についても、当初は六百十八億円としながら、国民の批判が強かったために引き下げたものですが、それでも自民党政府時代の三百九億円を上回っています。四日の国会審議では、ここ三年間の全政党支出の三分の一を国民の税金で賄うという答弁がありましたが、なぜ三分の一かという根拠は示されません。私どもは、たとえこの法律が成立しても政党助成金を受け取らないことを表明しております。知事はこういった問題点を持つ政党助成法についていかなる見解を持っておられるか、伺います。
 最後に、和歌川干潟の埋め立てについて質問をいたします。
 昨年、十二月県議会において、私はこの問題について、干潟が生き物の宝庫として、また自然の浄化作用の大きさなどからその重要性が世界的に注目されているときに行政が率先して干潟をつぶすことの問題点を指摘し、再検討を要請しました。ところが、県においてはその後、当初の計画案どおり、計画の縦覧、公有水面埋め立ての免許申請を行い、現在、河川課と港湾課で意見書についての検討等を行っていると伺っております。県より諮問を受けた和歌山市からは、地元住民の十分な同意を得ること、環境保全に十分配慮すること、利害関係者の同意を得ること、これら三点の条件が付されていると聞いております。
 私は過日の夜、地元住民の方々と一緒にあしべ橋から片男波にかけて現地の状況をつぶさに見てまいりました。夜が更けるに従って、和歌山ナンバーはもとより和泉ナンバーの自動車がひっきりなしに出入りし、市営の駐車場が締まっているものですから、どんどん車がたまってくるのを実際に見てまいりました。
 県の埋立計画願書に騒音の測定結果が載っていますが、夜中の二時から五時にかけて急激に騒音レベルが上昇しております。上端値五%の騒音では午前二時台は四十四デシベルですが、午前三時台が五十六デシベル、午前四時が五十四デシベル、午前五時台が六十七デシベルとなっています。測定地点の奥にある民家はわずかなものです。いかに外から入ってくる自動車の騒音がひどいか、おわかりいただけると思います。
 私が調査した日の夜も、十一時を過ぎても次々とあしべ橋を渡ってくる自動車の騒音もひどいものでしたが、地元の皆さんのお話では、梅雨が明けるころから海岸や民家近くで花火が朝方まで打ち上げられ、若い人たちの大声や叫び声がひっきりなしに続くということでございます。花火におびえた犬が家々から叫び声を上げ、一匹が鳴き出せば他の犬もほえて鳴き出す、それはひどい状況になるということです。昨年ご主人を亡くされた方のご家族は、病人がなかなか寝つかれず、疲れ切っていたと話しておられました。受験生をお持ちの家族のご心労も大変なものです。夏は車のクーラーがかけられ、騒音がひどく一晩じゅう眠れない日が続くそうです。
 片男波に若者が集まるのは、この地がそれだけ魅力的なところですから仕方がないとしても、住民の生活を脅かすことは許されないことです。まして、現状でもこのように深刻な被害があるものをさらに大きくするようなことはすべきでないと考えます。住民の皆さんは、埋め立てによって道路が拡幅されたり護岸が広がった場合、夜間の騒音が今よりさらに住宅地に近づき、生活が脅かされることへの恐怖感を訴えておりました。埋め立てで道路が広くなっても、夜間の道路の行き詰まり状況には何の変化もありませんし、車が増加するのは間違いないでしょうから、住民の不安も当然だと思います。
 当局として、住民の方々の現在の被害をどう解消しようとされているのでしょうか。また、今回の計画によって住民の方々の被害が大きくなることはないと考えておられるのか、そして被害を拡大するような計画は根本から見直すべきだと考えますが、ご所見を伺います。
 なお、計画に関連して、環境アセスメントの和歌川河口の現況調査で生息が確認されたとなっているホソウミニナ、ホソスジウズラタマキビ、オオヒメアカイソガニの発見は、生物学者から和歌浦での生息確認として重大な発見と指摘され、その再調査が要請されていますが、このことについて関係部長の見解を伺います。
 関連して、親水性護岸として、干潟を五千平方メートルにわたって埋め立てる計画になっていますが、埋め立ての干潟側の底に基礎の部分が図示されていますから実際の干潟破壊はさらに大規模になると思います。今回の計画による干潟の破壊規模を示していただくとともに、先ほどの貴重な生物の発見の重要性と広大な埋立計画とは両立しないことを改めて指摘し、埋立計画の再検討を求めたいと思いますが、関係部局の答弁を求めます。
 以上で、第一回の質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 フォレストシティ計画についての計画の見直し等についてでございます。
 加太、紀泉地域は、燦黒潮リゾート構想の七つの重点整備地区の一つでございまして、関西国際空港と至近な位置にあり、都市近郊にあるという地理的な特性から国際交流型のリゾート空間の形成に適した地域でございます。
 フォレストシティ計画については、昨日、尾崎議員に、司法当局の捜査の状況を見詰めながら慎重に対処してまいりたいと述べたわけでございます。いずれにいたしましても、この地域はリゾート整備に極めて高いポテンシャルを持っておるところでございます。関西国際空港のインパクトを最大限に取り入れたリゾート整備の推進に努力してまいりたいと思っております。
 それから、小選挙区比例代表制についての知事の見解でございます。
 政治改革に対する国民の期待が非常に大きくなっている中で、これらの問題について、現在、国政の場においてさまざまな議論がなされているところでございます。私としては、選挙制度の問題については、地方分権が大きな流れとなっている中で地方の声が国政に十分反映されるような制度となることを望んでいるわけでございます。また政党助成については、真に政治腐敗防止に実効あるものとなるように期待しているところでございます。
 いずれにいたしましても、政治改革は議会制民主主義の根幹にかかわる重要な問題でございますので、国会において十分議論がなされ、国民が理解し、納得したものとなるよう期待しているところでございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 まず、フォレストシティ計画に関して住民合意の問題がございました。
 議員ご指摘の住民合意については、開発事業者に対して開発に伴う工事中及び完成後のトラブルを未然に防止するため、隣接する自治会の同意を得るよう指導しているところでございます。
 また、一つでも隣接する自治会が反対していれば開発許可が困難というご質問でございますが、同意が得られていない自治会については引き続き理解を得るよう申請者を指導するとともに、反対している内容や理由、あるいは申請者及び市の対処等を判断して慎重に審査していくこととなります。
 次に、開発よりも生活基盤整備をということでございます。
 鳴滝川流域は、近年、宅地化が進みつつあり、浸水被害をこうむりやすい状況となってきております。平成元年九月の豪雨出水による被害を契機として、紀の川合流点より県道粉河加太線の鳴滝橋までの千二百メートルの間を激甚災害特別緊急対策事業により改修を実施しております。この計画は、洪水を安全に流下させるとともに、市と調整を図り、内水を受け入れることができるものとなっております。また、この激甚災害特別緊急対策事業の区間より上流山つき部までの間については改修計画を定めたところであり、地元の皆様方の協力を得て引き続き改修に取り組んでまいりたいと考えております。
 有功地区の内水排除については、平成四年度から事業実施に向けての計画を策定中であります。今後、平成六年度中に都市計画決定等の法手続を受けられるよう進めておるところであります。県としては、早期に事業着手できるよう市を指導してまいります。
 次に、有功地区の交通渋滞については、県道粉河加太線と有功天王線の交差点、及び六十谷橋北詰め交差点等において朝夕に交通渋滞が発生をいたしております。国道二十四号和歌山バイパスの供用により相当の混雑緩和が図られましたけれども、いまだ十分ではなく、今後の対策として、国道二十六号和歌山北バイパス及び紀の川大堰の管理道路でもある市道四箇郷六十七号線の整備を促進して交通容量の拡大を図りたいと考えております。
 次に、フォレストシティの開発許可における審査基準でございます。
 都市計画法に基づく開発許可については、同法の第三十三条において審査基準が規定されております。その主なものとしては、環境の保全、災害の防止、通行の安全または事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で公共施設が設けられていること、申請者に当該開発行為を行うために必要な資力及び信用があることなどがあります。審査に当たっては、司法当局の捜査を見守りながら、都市計画法に基づき慎重に対処してまいる所存でございます。
 次に、和歌浦廻線でございます。
 まず、深夜の騒音対策でございます。
 和歌浦廻線の整備における環境対策については、車道と人家との間に植樹帯や歩道を設置するなどをして人家に対する騒音の影響ができるだけ小さくなるような環境に配慮した構造といたしております。また、夏の納涼あるいは万葉館、健康館の施設利用等により交通が一時的に集中する場合の対策等については、駐車場の夜間一定期間の開設や交通規制等について、地域住民の方々の協力を得ながら関係機関とも協議をしてまいりたいと考えております。
 次に、この道路計画を抜本的に見直してはどうかということでございます。
 和歌浦廻線は、片男波地区の良好な生活環境を形成するための整備で、地元の要望も踏まえながら計画を策定し、一定の手続を経て都市計画決定をしたもので、地域にとって必要な道路計画であると考えております。
 次に、ホソスジウズラタマキビなどとの関係で再調査をしてはどうかということでございます。
 調査によりますと、ホソウミニナは埋立予定地外の旭橋付近で確認をされ、またホソスジウズラタマキビは主に片男波公園の内海側の高潮線一帯で確認をされております。さらに、オオヒメアカイソガニは同じく片男波公園付近で確認をされておりますが、これらはいずれも特に希少種ではなく、さらに主たる発見地点は埋立予定地外であるというようなことから当該埋め立てによる影響はほとんどないと考えておりまして、再調査の計画はいたしておりません。
 次に、干潟の破壊規模でございます。
 海底に設置をする道路、護岸等工作物の面積は、合わせて○・八ヘクタール程度になります。そのうち干満の差で生じる、いわゆる干潟が当該道路によって埋め立てられる面積はそのうちのほぼ○・四ヘクタールと考えられます。これは、和歌浦の干潟の面積約五十六ヘクタールのうちの一%未満でございます。干潟への影響は軽微であると考えております。
 埋立計画の再検討の考えはないかということでございますが、公有水面埋立免許の願書にもありますように、生物や干潟など環境に与える影響は軽微であると考えておりまして、今、この計画の再検討をする考えはございません。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 国土利用計画法に基づく土地売買届け出と契約締結状況報告についてのご質問にお答えいたします。
 契約状況報告書は、当該土地取引のその後の状況を把握するため、国土庁の課長通達の事務処理標準要領により示されたものでございます。県といたしましては、この通達を踏まえ、不勧告通知書を交付する際、文書により契約状況の報告依頼をいたしてございます。しかしながら、尾崎議員にも答弁いたしましたように、当報告書の提出については国土利用計画法上義務づけがないことから、その実効性は必ずしも十分とは言いがたい状況でございます。今後、届け出制度のより的確な運用を図る上からも、なお一層報告が得られるよう努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 フォレストシティ問題ですけれども、特捜部が入ってから予想もしなかった状態がずっとこう新聞で報道されてきている今の状態です。知事さんは、非常にいいポテンシャルであるということをおっしゃいました。今こういう事態に至っている業者が進めるフォレストシティ計画にかかわって元県幹部が疑いを持たれている問題と、あわせてこういう業者を県が指定をしてきた、知事みずからが指定をしたということについて、この間、反省をすると同時に県民に申しわけなかったという気持ちが全く見られないんです。だから、そういう点で、このフォレストシティ計画について県が進めてきたことそのものがよかったのかどうかということについてももっと真剣に考える必要があると思います。
 知事は、こういう業者に対して今どういう気持ちを持っておいでになるのか、もう一回、聞かせてください。撤回はする、しないというような問題以前の問題として、もう一回聞かせてください。
 それから、住民合意の問題で土木部長にお尋ねをいたします。
 先ほどからるる経過を申し上げてきているように、私たちは業者の姿勢の改善をずっと求めてまいりました。このことについても、新聞等で赤裸々に書かれている。住民たちは、今までずっと沈黙を守っていたんです。近所隣のことだから言わないで何とか静かに済ましていこう、そういう思いを今一斉に吐き出していらっしゃるのが実態です。そういう点からも、私はもっと厳しさがあってもいいと思うんです。
 先ほどから言っているように、私たちが交渉する中で、相手の建築課の課長なんかについては歴代ずっと人はかわりましたけれども、県が指定したこの十三の自治会についてはせめてもの住民同意をとることを行政指導であったとしても義務づけたわけですよね。これについて、今、土木部長は一切触れられなかった。かえって、今それを避けるような形で答弁をされました。県がみずから指定した十三の自治会のうちの一つでも同意がとれなかったならば許可するのは難しいということを明言されてきたわけですから、このことについてはっきり言ってください。これは確認のつもりで言っているわけで、改めてここで求めているわけではありません。そのことについて、もう一回きちっと答弁をお願いします。
 それで、このフォレスト計画で先ほど企画部長が、これは国土利用計画法で定められていないので義務づけは難しいとご答弁になりました。あなたの答弁では、課長通達が実際的には意味をなさないですよね。この文書を読んでみても、やっぱり後追いが必要だから、不正な行為がまかり通っていないかというのを見定めるための課長通達でしょう。これをおろそかにしているならば、国土利用計画法があったとしても抜け穴だらけの法律になると思うんです。法の趣旨をもっともっと大事にしていく、完遂するための課長通達という意味合いを持っていると思いますから、そこのところをもうちょっと前に向いて答弁をしていただきたいと思うんです。
 あの利用計画、届け出制に基づいて、その疑いがあるところがそのとおりになっていたのかどうかということが書類としてきちっと残っていたならば、この問題はここまで発展しなかっただろうと思うんです。個人としての届け出をしなかったとか、したとかという問題があったとしても、しかし行政側が法を重んじてきちっとやればそれは解決できる道だと思うんです。
 今後、効果があらわれるようにやっていきたいとおっしゃいますけれども、それじゃ今までの分については余り確かにやっていなかったということをお認めになるんですか。私たち県民は、ここの新聞記事のとおり、県はそういう態度で来ていたんだと認めてもよろしいのでしょうか。だとするならば、非常に問題だと思います。他府県がやっていることを和歌山県がやれないことはないんですから、これはきちっと位置づけをして進めてほしいと思いますが、見解を教えてください。
 以上で終わります。
○議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 国土利用計画法の届け出違反について特捜の捜査を受けたこと、私が先日尾崎議員に、遺憾でございますと述べたとおりでございます。また、現在捜査中でございますから慎重に対処していきたいと述べたところでございます。
 ただ、リゾート法に基づく燦黒潮リゾート構想は、計画を承認したわけでございまして、事業者を選定したわけではございません。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 再質問についてお答えを申し上げます。
 隣接する自治会の同意が得られない場合、許可することは困難である、あるいは難しいということについてでございます。
 議員の質問の内容にもございましたように、自治会同意は法律で義務づけられたものではございませんが、行政指導で同意を得るように指導をしているところでございます。したがって、同意がそろわないという状況は、同意がそろった状況に比較すればはるかに許可が難しいということになろうと思いますが、許可に際してその時点で同意がまだ得られていないというような場合には、その得られない内容等を審査する、さらに市の意見を聞いて慎重に判断をするということになります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 再質問にお答えいたします。
 課長通達をおろそかにしているのではないかということでございますが、私どもは課長通達に基づき、すべての不勧告、勧告通知の際にすべて文書でお願いをいたしてございまして、事務処理標準要領に従って進めてございます。
 なお、この実効性の問題でございますが、全国の各都道府県もこの課長通達に基づき事務をすべて同様にやっているところでございますが、先ほど申しましたように法そのものの義務づけがございません。極めて困難な課題ということになってございまして、全国の土地担当課長会議の席上でも、国に対して法の整備等しかるべき検討をお願いしたいということを再々要請しているところでございます。先ほど答弁いたしましたように、今後一層報告がいただけるよう努めてまいりたいと存じます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
○村岡キミ子君 ちょっと時間がございませんけれども、一言知事に申し上げます。
○議長(宗 正彦君) 村岡議員に申し上げます。
 発言するときには、番号、名前を……
○村岡キミ子君 失礼しました。27番。
○議長(宗 正彦君) 27番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 知事に一言申し上げておきたいと思います。
 事業者を認定したんではないんだと。しかし計画は認定したんだと。これは、事業者が計画をして行っている事業でございますから一体のものだと私は思います。このことについては知事との見解は違いますけれども、私たち住民としては、和興開発がこの事業を計画した、それを知事が指定をしていると理解をいたしております。
 終わります。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) この際、暫時休憩いたします。
  午後零時一分休憩
  ──────────────────

このページの先頭へ