平成5年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(飯田敬文議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成五年十月七日(木曜日)

  午前十時十三分開議
○議長(宗 正彦君) これより本日の会議を開きます。
  ──────────────────
○議長(宗 正彦君) 日程第一、議案第百十二号から議案第百三十四号まで、並びに知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 26番飯田敬文君。
  〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 ただいま議長から発言を許されましたので、質問をさせていただきます。
 私は、去る八月八日、那賀郡の補欠選挙において一万七千百八十四人にも及ぶ真摯かつ厚い信任をいただいて伝統ある和歌山県議会に送っていただきました。ここで、那賀郡民約十万人の皆様方の声を初め、百八万県民の声を県政に反映すべく努力してまいる決意を表明させていただき、ここ県議会の壇上をおかりしてではございますが、改めて那賀郡民を初め応援していただいたすべての方々に御礼を申し上げる次第でございます。
 さて、私は立候補するに当たりまして、「あなたの声を県政に」「県政にやさしさを」「ふるさとに活力を」を信条にして訴えてまいりました。今、日本を取り巻く内外情勢は大きく変わろうとしております。特に、中央においては自民党単独政権から細川連立内閣へと政権が交代され、激動の二十一世紀への幕が切って落とされており、和歌山県もその大きな波をてことして前進することが重要であろうと考えております。私は、もうすぐ迫りくる二十一世紀を射程に入れて、二十一世紀を展望した町づくり、ふるさとづくりに邁進をする決意でございます。
 人類は、有史以来、英知と勇気を持って改革と進歩を追い求め、政治、経済、文化を営々として築き上げてきたものであります。人類未踏の二十一世紀を目前にして、さらに英知を結集してこの厳しい難局を乗り切らなければなりません。政治はこのかじ取り役として、その指導力を今こそ問われているときではないかと思います。政治は県民一人一人が幸せになるためにこそあるものであり、県民一人一人が主人公となったときこそ政治の完成、真の民主主義の実現があると信じて疑いません。県民一人一人の永久に続く幸せの実現のために、微力ではございますが、諸先輩のご指導を得て身を粉にして頑張ってまいる決意をお誓い申し上げ、県議会での初めての質問をさせていただくに当たり、私の政治に対する信念と信条を述べさせていただきました。どうかよろしくご指導をお願い申し上げます。
 それでは質問に入るわけでございますが、処女発言でございまして、体系的に順序立っておらないことをお断りいたしまして、質問に入らせていただきます。
 まず初めに、関西国際空港の立地に伴う波及効果について質問をいたします。
 本県議会や県当局は来年七月開港を主張しており、私自身も早期開港を望んでおるものでございますが、ともかく来年九月には県民の悲願であった関西国際空港が開港される運びとなっております。昭和四十六年十月、運輸大臣から関西国際空港の規模及び位置に関する諮問が出されて以来、これまで約四半世紀にも及ぶご苦労、ご尽力された関係各位に心から敬意を表するものであります。
 さて、この関西国際空港は、停滞する不況を克服し、関西の復権に向け大きなインパクトを持つものであると期待されております。特に、和歌山県の経済、文化、国際化に大きく貢献し得るものと、県民の大きな夢を膨らますものであります。しかしながら、開港目前の今になっても県民の前にはその具体像がなかなか見えてきておりません。そもそも、立地に伴う本県に対する波及効果とは一体、具体的に何なのでしょうか、県の見解をお聞かせ願いたいと思います。
 確かに、県政の長年の課題であった国土軸及び国際軸との直結は関西国際空港が開港することにより実現をいたします。既に、九月二十五日には関西国際空港関連施設整備の一環である近畿自動車道岸和田─堺間が開通し、和歌山県が国土軸と直結し、いよいよ本格的な飛躍が望まれるところとなっております。私は、関空開港のインパクトを利用した大阪府泉南、紀北地域は、京阪神と並ぶ近畿第四の経済集積を持つものと考えております。しかし、県勢停滞の原因である和泉山脈が大きく立ちはだかっております。この和泉山脈の壁を取り払う空港開港関係の各種ビッグプロジェクトや関連公共事業の推進が不可欠となっております。
 中でも、岩出、打田両町にまたがる南麓サイエンスパークの計画は、県内のプロジェクトでは最も空港に近く、臨空都市計画として注目を浴びているところでございます。このプロジェクトは、岩出、打田両町にまたがる東西九キロ、南北四キロ一帯に研究教育ゾーン、定住ゾーンづくりを計画し、開発規模は全体で六百六十八ヘクタールと大きく、公共事業だけでも昭和六十二年ベースで二百二十八億円にも上るわけであります。現在、昭和五十四年五月、県土地開発公社が開発した紀泉台団地八十一・四ヘクタールの七百七十一区画の大半は分譲販売が完了し、さらに民間による大型住宅団地の造成が進み、アメニティーの高い定住ゾーンを形成しております。また、先端技術ハイテクゾーンは、松下電池株式会社の和歌山工場が進出し、平成三年五月より操業を開始しております。学校ゾーンとして、近畿大学生物理工学部が本年四月に開学いたしました。将来は、総合大学化を図っていただきたいと考えております。また、打田町北東部の北勢田ハイテクパークや、そのほか工業団地が次々に完成をしております。
 以上、述べてまいりましたが、県全体の発展にとって那賀郡が県の玄関口として浮上することが和歌山県浮上に向けて大変重要な意味を持っていると思いますが、いかがでしょうか。
 特に、南麓サンエンスパーク計画成功が大きな意義を持っております。この計画についての進捗状況と今後の県の計画推進方法をお伺いいたします。
 続いて、交通施策の充実についてお伺いいたします。
 まず、何といっても道路事情であります。大阪への道路整備は県都和歌山市へ集中しているのが現状であり、那賀地方へ通ずる府県間道路であるところの泉佐野岩出線、泉佐野打田線、泉大津粉河線は、いずれもその整備が関西国際空港並びに京阪神経済圏へのアクセス道路として重要であり、大阪府側も積極的に取り組む姿勢であると聞いております。大阪府側とあわせて、その進捗状況と整備方針をお伺いいたします。
 また国道四百二十四号線は、府県道泉佐野打田線により大阪に連結をしており、那賀郡から海南、海草、田辺市へと通ずる県の南北幹線道路として和歌山県全体の発展に向けた大動脈であると思われますが、県当局におかれてはその改良推進に積極的に取り組まれ、那賀郡内では本年八月末に貴志川バイパスが完成をしており、残すところ竹房橋から桃山町の間だけとなっておりますので、この区間のバイパスについて早急に事業化されるよう特にお願いをするとともに、全線開通に向けた県の計画をお伺いしたいと思います。
 また、和歌山市へ向かう幹線道路として国道二十四号線バイパスが開通し、大幅な時間が短縮されて大変喜んでおるところではございますが、那賀地方は打田、岩出までは道路が整備されているものの打田以東は未計画な状況にあり、そのためばかりではないと思いますが、人口の減少傾向にあるわけでございます。私は、那賀郡は一つであるという考えから、粉河以東の道路整備を推進していただきたいと思いますし、あわせて県道粉河加太線の改良計画をお伺いしたいと思います。
 さらに、第二国土軸上に位置する京奈和自動車道路の現状と完成予定時期、及びこれまで述べてきた府県間道路、近畿自動車道との連結方法をお聞かせいただきたいと思います。
 交通施策については、道路整備のほかに鉄道の便が考えられます。大阪府泉州地域と和歌山県紀北地域を結ぶ環状線構想なるものが、いろいろなところで論議されてきたところでございます。和泉山脈を取り除くために、関西新空港を中心とした鉄道網の整備が重要であります。県としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 続いて、生活環境整備についてお尋ねいたします。
 空港開港の波及は、那賀地方には人口の急増としてあらわれてきており、その生活環境整備は急を要するものであります。また、環境問題に対する国民の意識が非常に高まっている中で、私たちのふるさとの財産である自然を守るためには下水道の整備がぜひとも必要であります。まず、紀の川流域下水道の那賀処理区における計画の進捗状況をお伺いいたします。
 さらに、ごみ及びし尿処理施設の不足が深刻化しております。急激にふえる人口に不安を訴えており、ごみ処理も郡内の各町とも対処に困惑しております。今後の建設及び処理場受け入れ地域の周辺整備計画など広域行政が必要とされており、県当局の対策、実施計画をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、企業誘致と地場産業の育成についてお聞きをいたします。
 県全体から見た那賀地方についてのところで申し上げましたが、県勢の浮揚の一つとして企業誘致と地場産業の育成も大きなポイントであると考えております。紀の川テクノバレー計画の中での、県土地開発公社が造成した工業団地の用地を生かしたハイテク技術の企業や長期的視点に基づく雇用関連、並びに若者の定着に向けての総合的な計画が必要となっております。現在、打田町に松下電池工業が操業し、ほかの工業団地にも操業されました。関西国際空港の開港で世界各国と直結することになり、その面においても早期の企業誘致の促進計画が必要であると考えます。県の計画についてお伺いをいたします。
 さて、地場産業の育成についてでございますが、那賀郡の地場産業は何といっても農業関連が主力であります。郡の農業は、従来より広大で肥沃な耕地に恵まれて県下随一の穀倉地帯として発展してきましたが、若年労働者の県外流出が生じ、高齢化が進む一方、オレンジに代表される輸入自由化の波により一層の厳しい現実に直面をしております。そこで、花卉等、付加価値の高い農産物を含めた近代化施設による経営効率向上に努めるとともに、農業の基盤整備を促進しなければならないと考えますが、県としてどのようにお考えでしょうか。
 また、関西国際空港の開港による農産物の供給体制、いわゆるフライト農業や機内食対応計画など、現在の進捗状況をお伺いいたします。
 次に、人権問題についてお伺いをいたします。
 世界人権宣言四十五周年という記念すべき年に当たり、これまでも述べてきたとおり、関西国際空港の開港、世界リゾート博の開催という状況の中で、名実ともに国際化の波が押し寄せてきております。世界は今、平和、人権、環境保護を基本に動いていることを認識し、和歌山県としてもこのことを十分に踏まえた具体的な対応が必要であろうと考えます。特に、本年は世界人権宣言四十五周年という記念すべき年であり、また国際先住民族年にも当たります。このことを記念して、過日、県民文化会館において県民の集いが開催されたわけであります。
 さて、この人権宣言の精神、また基本的人権を保障するということは一体どういうことを意味するのか、この四十五周年を機に再度認識を新たにして、具体的な施策の確立が必要となっております。基本的人権の中身は自由と平等の実現であり、人間としてひとしく尊敬され、誇りを持って生き抜く権利であります。人権というのは、決して自然発生的に生まれたものではなく、人間の幸せ、あるいはより人間らしく生きるという要求を実現させる不断の闘いの中で生まれ、歴史の中で絶えず進歩発展してきたものであり、現在も発展し続けているものなのであります。従来、人権の保障といえば、生存権、存在権、それのみを一面的に強調して取り組まれてきた傾向がございますが、今後はそれぞれの立場の人がそれぞれの立場に自覚と誇りを持って、また障害者は障害者、高齢者は高齢者、同和地区住民は同和地区住民として誇りを持って、生きがいを持って生き抜ける権利を保障していくことこそ人権の確立と言えると思います。
 県当局の人権問題についての基本的な考え方と、責任ある人権行政を進める担当部局の設置と、具体的施策をお伺いいたします。
 次に、同和問題についてであります。
 同和問題については、和歌山県が同和先進県として多くの課題を克服してきたわけでございますけれども、地対財特法という法律があと三年半という事態を迎えて、残事業ということが残ってまいります。
 県の集約によりますと、現在四百億の残事業があり、この残事業を地対財特法期限内に完遂することが急務であると聞いております。期限内完遂については極めて重要な問題があることを指摘し、県の見解をお聞きしたいと思います。
 例えば、和歌山市のある地区では、県の河川事業の完成が地対財特法の期限を超えてしまい、さらに都市計画道路事業も絡み、地改事業を初め、ほとんどの事業が期限内完了の著しく困難な箇所も見受けられるわけでございます。また、河川、下水道、都市計画道路の改善の見通しが立たないために地区の環境改善が進まないところも随所に見受けられます。さらに、御坊市の島団地、ひまわり団地の対策に見られるように、現行の政令枠内では対応できない課題が相当数存在し、同和問題の完全解決の観点からすると、現実には県の集約をはるかに超える事業が必要になってくると考えられるわけでございます。残事業あるいは必要な事業の集約、完遂の見通しについての県の見解をお伺いいたします。
 次に、実態調査についてであります。
 この秋に、総務庁の調査が県内の二○%の関係住民を対象に実施されると聞いておりますが、政府の調査とは別に、県としても主体的に全地区、全関係住民の総合的な実態を把握することが必要であり、ぜひとも実現をされたいと思います。
 さらに、そのことを踏まえて現在の同和対策総合推進計画の見直しをお願いするとともに、同和問題解決の方向についても明らかにする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 最後に、同和問題の解決に向けた県民啓発については、県並びに関係各位の大変なご努力に深く敬意を表するものではございますが、県同和委員会発行の啓発冊子「同和問題を理解するために」の中で、特に気になる点を述べたいと思います。
 結婚問題についてでありますが、その冊子には県民の七一%が同和地区の人との結婚を認めていますと書かれております。結果を見ると、啓発の成果が相当出て差別はなくなりつつあると私自身も感じておりますが、しかし、現実には結婚や交際にかかわって差別を受けた例も少なくなく、言うに言われない非常に厳しい現実があるわけでございます。このことが啓発の中で十分踏まえられなければ、かえって誤った意識を植えつけてしまうわけでございます。それに、同和結婚問題についてでありますけれども、結婚は両性の合意に基づくものでございまして、地区内とか地区外とかという区別が、同和結婚という考え方が果たして妥当であるかどうか検討していただきたいと思うわけでございます。
 本当に両性の合意のもとに結ばれているかどうか、そのことが一番問題なのであります。この点について県の考え方を明らかにしていただき、今後の啓発活動の県としての取り組み計画をお聞かせいただきたいと思います。
 以上で、第一回目の私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 飯田議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港の立地に伴う波及効果でございますけれども、お話もございましたように、本県は関空と至近距離にあり、そのインパクトを最大限に生かすために、大阪湾環状交通体系や紀淡ルートを含む第二国土軸構想の推進、そしてまた空港を中心とした大阪湾岸の総合的な整備開発を図るための特別法が制定されたわけでございます。
 一方、国土軸へ直結する近畿自動車道紀勢線が去る九月に供用を開始いたしましたほか、国道二十四号和歌山バイパスの開通等々、多くの基盤整備が完成しつつあるのが現状でございます。二十一世紀の臨空都市圏の形成へ飛躍するとともに、長年の念願である半島性からの脱却に大きく拍車をかけたところでございます。
 関西国際空港が開港すると、世界から人や物、あるいは情報が飛躍的に増大いたしまして、産業、経済等の重心が和歌山側にシフトし、またシフトさせなければならないわけでございます。こうした点において、県勢の活性化に強く結ばれてまいるものと確信しているところでございます。
 次に、県全体から見た玄関口としての那賀郡についてでございます。
 那賀郡は、京阪神に近うございます。特に、関西国際空港とは至近距離に位置しているわけでございまして、本県の新たなる発展を図る上で非常に高いポテンシャルを持っている地域だと存じておるところでございます。こうしたことから、研究開発機能、居住機能、先端産業等の立地を促進して県経済活性化の先導的な地域とするために、建設省の支援事業として、話ございました南麓サイエンスパーク計画を現在進めているところでございます。
 これまで、近畿大学、松下電池の誘致、和歌山バイパス、また後ほど述べられた府県間道路等の整備などを推進してきたところでございます。特に、関西国際空港の開港も来年となってまいったわけでございます。また、第二国土軸の一部となる京奈和自動車道も本年から着手することになるわけでございまして、近畿圏においてますます重要な役割を担う地域となってくるわけでございます。
 また、昨年、国土庁から委託を受けた紀の川臨空・林間都市整備構想調査を実施してございまして、地域の持つ豊かな自然、歴史、文化と調和しながら、農業を含めた地域産業の高度化、また新たな産業の導入を図るとともに、快適な都市機能を有する臨空都市圏、田園都市圏を形成するために、地域の皆さんと力を合わせて積極的に進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
 他の問題は、部長から答弁させていただきます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 飯田議員にお答えをいたします。
 最初に、交通施策のうち道路整備についてでございます。
 泉佐野岩出線については、粉河加太線以北のバイパス約一・二キロの早期整備に向け努力をしているところでございます。粉河加太線以南のバイパスについても、順次整備を進めてまいります。大阪府については、府県境から泉南市金熊寺間四キロメートルについてバイパスを含め調査を行っており、早期事業化に向け努力中であり、金熊寺から泉南インターを経由して樽井に至る五・二キロについては、関空開港までに暫定二車で概成を図ると聞いております。
 泉佐野打田線については、府県界部を大阪府と協議しながら整備を進めているところであります。また、大阪府では泉佐野市上大木地内で一部改良区間一・四キロを残して改良済みでございまして、これも平成八年度に完成と聞いております。
 泉大津粉河線、国道四百八十号でございますが、両府県にまたがり、現在トンネル等の基礎調査、ルート協議等を行っております。事業着手に向け、大阪府とともに努力をしてまいります。
 国道四百二十四号竹房橋から桃山区間でございますが、県道桃山下井阪線交差点から東方一キロを車道の改良も含めた特定交通安全施設等整備事業として平成四年度におおむね完了いたしました。竹房橋までの残る区間約一・四キロについて、現在、概略設計、交差点協議等を行っており、事業化に向け努力をしてまいります。
 国道二十四号の打田以東の整備については、二十四号に並行して京奈和自動車道がございます。平成元年度には橋本道路、また平成五年度には紀北東道路が国道二十四号のバイパスとして事業化をされたところであり、当面これの早期完成に全力を尽くしてまいりたいと考えております。なお、地元の要望については、機会をとらえ国に伝えてまいります。
 県道粉河加太線の粉河寺周辺は、平成三年三月に都市計画の変更がされております。この道路を拡幅していくのには、河川改修、駐車場整備などと同時に計画を進めていくことが必要と考えておりますので、町とも協議を進めてまいります。
 京奈和自動車道の橋本道路は、平成三年度より用地買収を進めております。また高野口町から打田町間の紀北東道路についても、現在都市計画決定を行うための調査中であります。
 打田町から和歌山市間の紀北西道路については、現在、第十一次道路整備五箇年計画内に整備に着手をするという位置づけをされておりますが、今後とも国に強く要望してまいります。また完成時期でございますが、不確定要素が多くて明らかにはされておりませんけれども、早期整備を国に対して強く要望しているところであります。
 京奈和自動車道路と府県間道路、及び近畿自動車道との連結でございますが、京奈和自動車道と近畿自動車道とは連結をされます。橋本道路においては、都市計画道路三石台垂井線、国道三百七十一号、高野口町道八号線でインターが計画をされております。その他の区間については、現在調査中でございます。
 次に、生活環境のうち下水道についてお答えを申し上げます。
 紀の川の水質環境基準を維持達成するため、県において策定した紀の川流域別下水道整備総合計画に基づき、紀の川流域下水道の伊都処理区の整備を行っているところであります。那賀処理区については、平成四年度から下水道基本計画を策定中であります。今後、関係町と連携を図りながら、できれば平成五年度に地元説明等を行い、順次、都市計画決定などの法手続を進める予定にいたしております。この事業を進めるためには、関係町の流域下水道に対する理解と全面的な協力がぜひとも必要であると考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 関西国際空港を中心とした鉄道網の整備についてのご質問にお答えをいたします。
 関西国際空港に関連した鉄道網の整備については、関西国際空港関連施設整備大綱に基づき、現在、整備が進められているところでございます。
 議員お話しの大阪府泉州地域と本県紀北地域を結ぶ鉄道新線については、水間鉄道が昭和二十五年に事業認可を、昭和二十九年には工事の施工認可を得てございましたが、改めて平成元年五月の運輸政策審議会答申第十号において、水間鉄道の犬鳴方面への延伸について、沿線地域の開発状況、当該開発に伴う新規需要の規模等を総合的に勘案して路線整備の必要性について検討する路線として位置づけをされているところでございます。この路線の紀北地域へのさらなる延伸については、関西国際空港をめぐる交通需要の動向、紀北地域の開発状況等を見ながら、長期的に検討すべき課題であると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 飯田議員ご質問の、ごみ、し尿処理についてお答えいたします。
 市町村のごみ及びし尿処理については、市町村が作成する一般廃棄物処理計画に従い、その区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないよう収集、運搬及び処分をしなければならないとなっておりますが、施設の建設に際し、地元調整等難しい問題が生じていることは存じております。
 県においては、長期的に安定したごみ及びし尿処理がなされるよう市町村の指導等を行っておりますが、施設の整備については国庫補助にあわせて県費助成も行っております。今後、市町村の廃棄物処理計画が円滑に推進されるよう関係市町村と十分協議しながら進めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長吉井清純君。
  〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 企業誘致と地場産業のご質問のうち、企業誘致の促進についてお答えをいたします。
 本県では、企業誘致を行うことにより、県勢の活性化とともに働く場の確保や労働条件の向上等を図っております。特に、紀の川テクノバレー計画に即して那賀郡を中心に工業団地を造成し、電気機械、精密機械等の加工組み立て型産業、研究施設、及び技術開発型の企業誘致を推進しております。具体的には、松下電池工業株式会社を初め二十五社の進出が決定し、そのうち十六社が既に操業しており、約一千人の雇用を見ております。また、北勢田のハイテクパークも完成し、その他、数カ所の工業団地についても計画を進めているところでございます。今後とも、関西国際空港の開港を契機に、さらに企業誘致を積極的に推進してまいります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 農林水産部長野見典展君。
  〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 飯田議員にお答えをいたします。
 企業誘致と地場産業のご質問に関連して、那賀郡の農業振興についてのお尋ねでございます。
 那賀地方の農業は、京阪神に近く、また関西国際空港に隣接しているという恵まれた立地条件にあり、地域経済にとっても重要な位置を占めていると認識してございます。
 県といたしましては、当該地域の特性を生かした収益性の高い農業の実現を図るため、かんきつ類の集出荷貯蔵施設を初め、桃の予冷施設やバラ、トマトの養液栽培施設などの近代化施設の導入に努めるとともに、紀の川広域農道や紀の川用水事業などの生産基盤の整備を図ってきたところでございます。今後、議員お話しのとおり、厳しい農業情勢を踏まえ、このたび充実強化を図った果樹園芸試験場紀北分場や農業試験場を核に、関係機関との連携を一層密にしながら、近代化施設や生産基盤の整備に向け積極的に取り組んでいく所存でございます。
 次に、関西国際空港開港による農産物の供給体制や機内食対応計画などの進捗状況についてのお尋ねでございます。
 空港の開港に伴う県産農産物供給体制については、紀の川流域を関空関連地域と位置づけ、各種の施策を講じながら高品質安定供給を基本に施設園芸タウンづくりを推進してきたところでございます。現在、百二十ヘクタールの計画に対して八十五ヘクタールの施設化が図られてございます。
 また、県産農産物の機内食への供給については、県産ジュースの採用に向け、県議会の協力をいただきながら、農業団体とともに強く働きかけているところでございます。今後とも、恵まれた地域特性を生かした施設栽培の推進や生鮮野菜等の加工処理施設の整備に加え、空港需要への販路開拓等、フライト農業の展開に向け積極的に推進してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 世界人権宣言四十五周年についてのご質問にお答え申し上げます。
 世界人権宣言の第一条には、「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」とうたわれておりますが、県では、すべての人の人権を尊重するというこの精神を基本として、従来から人権思想の普及高揚に努めているところであり、本年は世界人権宣言四十五周年という記念すべき年に当たることから、去る九月二十日に人権啓発県民の集いを開催し、人権問題についての理解と認識を深めたところでございます。また、十二月の人権週間には、各部局の協力を得ながら、県下各地で人権意識を高めるための街頭啓発を実施したいと考えております。
 次に、議員ご質問の人権行政を進める担当部局の設置については、今後の研究課題としてとらえさせていただき、当面、従来からの人権啓発の窓口となってきた経緯もございますので総務部で対応してまいります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 民生部長南出紀男君。
  〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 飯田議員の同和問題にかかわる三点のご質問にお答えをさせていただきます。
 まず一点の残事業については、平成三年十月に国において実施された調査により、現行の地対財特法のもとで計画された事業は平成五年度以降四カ年で約四百二十億円となってございます。
 なお、議員ご指摘のとおり、地区内には河川事業等の一般対策として早急に実施しなければならない事業もあり、それらの事業との調整を図りながら、早期着手を図るため関係各部や市町村とも十分協議しながら法期限内の完了に全力を挙げて取り組んでまいります。
 二点目の実態調査の関係についてでございます。
 平成四年に地対財特法の一部改正がなされたことに基づき、同和対策総合推進計画の一部改正をしたところでございますが、本年、国において実施している実態調査は、今後の同和対策の方向づけをする上で大変重要な調査であると認識してございます。したがって、その調査結果の有効活用や平成六年度において県独自で計画をしている実態調査の結果を踏まえて、本県としての今後の同和対策のあり方について十分検討していかなければならないと考えております。
 三点目の啓発の問題についてであります。
 同和問題の解決を図っていく上で、心理的差別をなくす啓発活動は今後の重要な課題であると認識してございます。残念ながら、結婚等に関連した差別事件も依然として発生しており、これらにかかわる県民意識についても課題があることも事実でございます。
 また結婚の状況でありますが、差別の結果として地区内結婚の比率が高く、県民意識においても結婚に対して消極的な意識状態が依然として見られ、その解消のための啓発活動は重要であり、両性の合意に基づく結婚が行われるべきであると考えているところであります。
 今後、これまでの啓発の成果も生かしながら、議員ご指摘の点を踏まえ、さらに一層創意工夫を加えて積極的な啓発活動を展開してまいります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) 再質問がございませんので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。

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