平成5年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(鶴田至弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成五年十月六日(水曜日)

○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 それでは、通告に従って質問をさせていただきます。
 まず最初に、燦黒潮リゾート計画の問題でございます。
 この計画がスタートしてから三年が経過いたしました。県はリゾート開発を立県の柱として今日まで取り組んできているところでありますが、全国的に見ても、経済情勢の激変やリゾート法の余りな企業優遇、あるいは住民軽視等によって各地でトラブルが生じたり、とんざしている状況があります。
 本県におきましても、知事は、長期の展望に立ってこの燦黒潮リゾート計画を推進するという旨、議会でしばしば明言しているところでありますが、我が和歌山県も全国の例に漏れず、その計画は満身創痍というところであります。一度冷静に燦黒潮リゾート計画の現状を見直して、改めるべきところは改め、足らざるところは加え、県民が安心してその成り行きを期待できる計画に改めるべきではないかと、そういう趣旨で質問をいたしたいと思います。
 この問題は、ここ数年の間、本議会でも論議のテーマとしてしばしば取り上げられているところでありますが、それだけに、多くの問題を持っていたことのあかしでもあろうかと思われます。
 計画は、平成二年にスタートいたしました。完成をほぼ十年後の平成十二年とされているわけで、あと数年であります。計画によりますと、民間投資額は五千七百億円と見込まれ、雇用は六千人増大し、リゾートを楽しむために来県する人は千二百万人増加するであろうという見込みでありました。しかし、ビッグプロジェクトであった田辺湾総合開発は丸紅の撤退によってとんざし、加太コスモパークは巨額の県費の投入にもかかわらずいまだその展望が開かれず、県財政よりの利子補給をせざるを得ない事態に至り、フォレストシティ計画は、住民の強力な反対運動や醜怪な開発業者と銀行、一部政治家絡みの疑惑に大阪地検が動き出すなどの事態となり、これもまた事実上凍結せざるを得ないのではないかと言われるような様相を呈し、現在協議中の計画にも住民の反対運動が根強く、その先行きが危ぶまれる計画も含まれているわけであります。そう見てまいりますと、我が燦黒潮リゾート構想は、まさに傷だらけという感であります。
 さて、この際、整理するためにお聞きいたしたいと思いますが、本構想の進捗率は現時点でどうなっているのか、お尋ねをいたしたいと思います。
 また、五千七百億と言われた民間投資額ではその進捗率がどうなっているのか、六千人の雇用増大予想ではその進捗率がどうなっているのか、来県者千二百万人増ということではどうなのか、プロジェクトの中でのビッグプロジェクトと言われてきたものの進捗率はどうなっているのか、さらに平成十二年までのそれぞれの見通しをどう把握しているのか、お示しをいただきたいと思います。
 また、各プロジェクトの中にも住民の反対運動が起こっているところもたくさんあると思いますが、プロジェクト数にして幾カ所あるのか、お示しいただきたいと思います。
 この間、本計画に対して、賛成の立場からも、批判的立場からもさまざまな意見、とりわけ憂慮を表明する意見が数多く出されてまいりました。例えば地価上昇のおそれ、自然破壊へのおそれなどを筆頭にし、地域住民の主体性が保障されていない、あるいは企業の横暴、時間と金のかかるリゾートどころではないという県民の懐状況、また、似たような施設が他府県にもたくさんあり、それとの競合、すなわち需要と供給に関する心配、地域が豊かになる開発なのかどうかという心配、あるいは地域の人々が利用して楽しめる施設となるのかどうかという問題、夢ばかり追っている現実性のない計画、北高南低──すなわち、行政は北部に肩入れは熱心だが南の方へは低いのではないかというような憂慮が、来る議会、来る議会、論じられております。結局、当局が苦心して答弁をされても、なかなか納得のできる状況にないというのが現実であります。一体、何が原因なのか。バブルの崩壊だけなのか。深い検討が必要であろうかと思います。
 この間、国土庁あたりから「今後のリゾート整備のあり方について」という文書が出され、本議会でも質問者から紹介されたこともありました。以来一年が経過していますので、私もいま一度その概要を再度援用して、県当局がこの間どのような検討をこの燦黒計画になされたのかを問いたいと思うのであります。
 国土庁の委嘱による総合保養地域整備研究会の中間取りまとめの文書の要旨ですが、次のように述べています。「現在進められているリゾート整備の一部には自然破壊や環境汚染に関する批判が生じている。それに対して自治体等が規制などを行い、一定の努力を行っているけれども、十分満たされているわけではない」、また、「地域振興への寄与が不十分だとか、高い料金で大衆が利用できないとか、どこへ行っても同じであるとかの批判もある」、さらに、「経済情勢の変化により開発業者が撤退して計画どおり進んでいない点も見られる」といたしまして、バブル経済の中で取りつかれたようにリゾート開発に躍った姿を反省されています。国があおった責任は触れられていませんけれども、まさにリゾート法とそれに食いついた資本のえじきとなった姿が各地に見られたものでした。
 同時に、リゾート整備の見直しの基本方向として、今後は長期的な視点に立って考える必要があるだろう、国民のためのリゾートという考え方をもっとしっかり持たなければならないのではないか、あるいは地域のためのリゾートということももっと考えなければならないのではないかというような立場から、現在のリゾート等の見直しを提言しているわけであります。
 昨年九月議会でこの点は議員から紹介があったので要約をいたしましたが、まさに我が和歌山県でもこの観点から見直す必要に迫られている時期であろうかと思うわけであります。
 以上のような問題点の指摘及び提言が県当局によってどのように検討され、現行の燦黒潮リゾート計画にその立場からどのような検討が加えられているのか、明らかにしていただきたいと思います。単に「長期的な展望に立って計画を遂行していく」というだけでは、県民は安心してそれを見ているわけにはいかないのであります。反省すべき点は反省し、足らざる点は補い、「なるほど、これならば」と言える計画につくり直していくことが長期を展望する上でも絶対に必要ではないかと思うわけであります。
 本議会で各議員が提起した問題や憂慮を根本的に払拭するための見直しを、また県民の求めるリゾート構想に改めるための見直しをすべきと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
 次に、燦黒潮リゾート計画の一部として設計をされているコスモパーク加太の展望についてお聞きをいたします。
 昨日も議員から同趣旨の質問がございましたので、私なりの立場から質問をさせていただきます。
 過日、総務委員会で現場を見せてもらったところですが、その広大な空間には圧倒されるばかりでございました。ところが、この土地がどのように活用されるのかということについては、依然として明らかでないわけです。検討がどこまで進んでいるのかということについても、私どもにはなかなかわからない。多くの県民の皆さんにもわからない。その点を明らかにしていただきたいと思います。
 県民や和歌山市民は、かつて美しいパンフレットを見せられ、国際的なリゾート地ができるとかバラ色の夢を見せられてきたのでありますが、当初の計画とはどうやら話が違ってきているらしい、金ばかり食っているコスモ加太、そんな不安や不平がいっぱい出てきているのが実情であります。
 大企業十四社が集まって推進機構で検討しているそうですが、県としての基本的な姿勢はどのように持たれているのか、明らかにしていただきたいと思います。今までのリゾート開発では、企業の得手勝手ということを十分味わわされてきておると思います。必要なことはそういう中での県の基本的姿勢、とりわけ、ここで県民に何を与えていくのか、県民の生活にどう資するのかという基本的な姿勢を確固として持って臨むことが必要だと思いますが、それが見えてまいりません。企業が来る、そうすれば投資があるだろう、あとは税収もふえてくるだろう、そういう視点からだけでは県民のためのコスモパーク加太と言えないことは言をまたないと思うのでありますが、この地の開発と将来展望をどのような理念を持って進めているのか、お示しいただきたく思います。
 また、このプロジェクトへつぎ込んだ資本の大きさも県民の驚きとするところでございますが、現在までどれだけの金をつぎ込んできたのか。利息だけでも百億を超すと聞いてきましたが、現在までそれはいかほどになっているのか。最終的にどのくらいになるのだろうか。県はまた開発公社の利息分の融資を行っておりますけれども、それはいつまで続くのだろうか。幾ら融資していくのだろうか。そういう問題も県民の疑問としてたくさん残っているところであります。その見通しを示していただきたいと思います。
 また、今後の造成、基盤整備のための県費や和歌山市の出費をどのくらいとなると見込んでいるのか、お示しいただきたい。庶民にとって目のくらむような金が際限なくつぎ込まれるのを前にして、県民にとってコスモパーク加太とは一体何なのか、改めて問いたいと思うわけであります。お答えいただきたいと思います。
 次に、これも燦黒潮リゾート計画の一環として今大きく取り組まれているマリーナシティについてお伺いしたいと思います。
 はかり知れない利益を県や和歌山市にもたらすと喧伝されてきたマリーナシティも、その造成地の全容をあらわしてまいりました。リゾート関係の大型プロジェクトがあちこちでとんざしている中で数少ないプロジェクトだと評されたりしているマリーナシティでありますが、一体どのようなシティーができ上がるのか、そういう思いも多くの方々が持っています。ヨットを持った、経済的に恵まれた方々のお住まいになる、庶民にとっては余り縁のないマンションやホテルの島──テーマパークなるものがあるそうですが、それを目当てに観光客がどっと来ると言われる。一体どのくらい来るのだろうか、それが果たして我々県民にとってどういう意味を持っているのだろうか、リゾート博が終わればあとは松下興産一色、県の公共施設は松下興産の営業を支え保管するだけのもの、松下興産だけがどっぷりともうけるためのマリーナシティではないのだろうかと、リゾート博を前にして、そういうささやき声が大きな声となって聞こえてきております。私自身、そのような疑問を従来から抱き続けてきているわけでございますが、いま一度現時点でマリーナシティを見詰め直してみたいと思います。
 さて、この人工島に国や県や市は結局どれだけの金をつぎ込むことになるのでしょうか。造成費、アクセス道路、護岸、公共下水、上水道、その他国や地方自治体が建設する上物のたぐい等、国や自治体の負担分を含め、第三セクターでどのくらいの金がつぎ込まれることになっているのか、いま一度お示しいただきたいと思います。
 また、基盤整備完了後、マリーナシティにはどのような事業が展開されるのでしょうか。かつて、着工前に美しいパンフレットが配られましたが、ホテル、マンション、マリーナあるいは観光施設等々の詳細と事業主体をあわせて示していただきたい。
 同時に、第三セクターで経営する部分の責任を我が県も持つことになることだろうと思われますが、それについての展望をどのように持っているのか、お示しをいただきたいと思います。
 県民にとってマリーナシティとは何であるのか、そういう問題をはっきりさせなければならないのではないかと思っています。テーマパークはリゾート博のときにもう既に見てしまった、ヨットやボートは持っていないという大方の県民にとって、その島が一体どのような意味を持っているのか。巨額の税金がつぎ込まれている島が県民の心を満たさないものだとしたらまことに残念なことでありますが、そのあたりをどう考えておられるか、お示しいただきたいと思います。
 マンション等も、定住される方がどのような方々なのかわかりませんが、県民がおいそれと入居して生活できるものではないというような気配であります。また、定住される方々がどのくらいの見通しを持っておられるのか。それによって税収に影響もしてくるでしょうし、あるいは学校などの建設等も考えなければならないかもしれません。固定資産税等の税収見込みを含め、その辺の事情をどう展望されるのか、お示しをいただきたいと思います。
 また、このマリーナシティに関係して、今、シーサイドロードの問題が大きな関心を呼んでおります。そのことについてお尋ねをいたします。
 前回も和歌山市布引地区のシーサイドロード問題について質問をさせていただきました。ご承知いただいているとおり、和歌山市による農地の強制収用の問題でありますが、私は、この収用法の発動に至る経過が極めて非民主的であり、四百年も耕し続けてきた人々の気持ちを逆なでする極めて強権的措置であると、その撤回を求めたところでありますが、残念ながら入れられるところではございませんでした。以後、この問題は、一方では収用委員会に係るところとなり、一方では法廷で争うという新たな局面となり、問題は一層こじれている状況にあります。
 三年かかっても農民が土地買収に応じてくれぬから強制収用というのが根本にある問題でありますが、前回も申し上げましたように、二年や三年で承諾してもらえなかったから収用法の発動というのは余りにもせっかちであり、行政の得手勝手だと大方のところは思っています。それはシーサイドロードの必要性を認めるかどうか以前の問題として、行政姿勢として、私もそう感じます。リゾート博があるからとにもかくにもそれに合わせねばとの思いばかりが先行して、住民の願いや感情をブルドーザーで踏みつけるような勢いであります。
 そのリゾート博も、開会までに九カ月ほどとなりました。十数件の強制土地収用を完了するだけでも、恐らく相当の日時が必要でありましょう。和歌山市当局も認めているように、道路が完成する時間としては明らかに不足しています。あえて強行しても来年の七月までには完成することはないでしょう。それであれば、あえて地権者の猛烈な反対を強権によって押しつぶしてまで強制収用しなくても、いま一度それを取り下げて地権者との話し合いの道を探るべきだと私は考えます。
 私は、リゾート博参加者が、和歌山県や市が嫌がる農民から強制的に取り上げた土地の上を走っていることを知ったならばどう感じるだろうかと常々危惧しています。和歌山県や和歌山市はむちゃするところや、そう思われることは必定であります。県や市の公共事業における民主性というか、県や市がこうと決めたらもう何でもやり切ってしまう、そういう印象を持たれることはまず間違いなかろうと思います。それは恐らく、私たち県民にとっても嘆かわしいことであります。
 交通渋滞は、もちろん私どもも皆心配するところでありますが、強制執行までして土地を収用する、そういう非民主性を他府県の人々の前にさらすのもまた極めて恥ずかしいことだと私は思います。
 いずれにしろ、リゾート博までには間に合わぬ工事であるならば、県は和歌山市に対して、あんまりむちゃするな、振り上げた強制収用というこぶしをおろして話を振り出しに戻してはと指導されてはいかがでしょうか。
 裁判では、このシーサイドロードを公共事業と銘打っているが、本質的には松下興産という私企業のための便宜を図るのが主要な目的になっているのではないかという根本的な問題も提起され、争われようとしております。そういう問題が一方で争われている最中にリゾート博参加者に和歌山のマイナスイメージを与える強制収用などは行うべきではないと思うのですが、いかがなものでございましょうか。
 続いて、教育問題についてお尋ねをいたします。
 去る九月、和歌山市商工会議所におきまして、教育要求県民集会という集会が、教員や父母三百人余り、教育委員会の出席も得て開かれました。県教委の方々への要望が百項目以上出され、それぞれの回答もありましたが、予算がなくてできないというだけではなく、十分道理が通っていないために要望者を納得させることができない幾つかの問題がありました。私も末席で傍聴させていただいたわけでございますが、当局の答弁には理解に苦しむ点がありました。
 その一つは、高校入試改革に関する問題であります。
 教育委員会は、過日、高校入試についての要綱を発表いたしました。その中で、内申書と言われるものに、今までにない観点別評価、到達度別評価とかボランティア参加などという項目が加えられています。従来の入試点数による輪切り主義から総合的に受験者の能力を判断していこうとする新指導要領に沿った改革であるとのことですが、受験させる方の中学校、採点する方の高等学校の双方から戸惑いと困惑の意見が出されました。教育委員会の方からの答弁はありましたが、私が客観的な立場から聞いていても質問者を納得さし得ないものでありました。
 その質問は、関心、意欲、態度を評価する観点別評価は学校によっても評価の基準が違い、教師の主観が入り、入試判定の公平性を欠くのではないかという問題でありました。これは道理のあることで、教師がどの角度から見るかによっても評価が異なるでしょうし、学校によっても評価が変わりましょう。私自身もし教師だったら、この観点別評価を記入せよ、それをもって合否の判定の素材にすると言われたら、本当に困ってしまうと思いました。恐らく、A先生とB先生によって評価が異なることもあるでしょう。学校によっても評価は異なります。
 実は、同様の措置を茨城県が導入決定したところ、各界からさまざまが批判が出て撤回するという事態も起こっているわけです。
 また、内申書のボランティアの項目ですが、これも評価が難しい。生徒がそのような環境に置かれているかどうかという状況でそういう機会があるかないかということもありますから、状況は全く異なってきますし、評価も異なってきます。こういう悩みが内申書をつくる学校の方にも、それをもとに合否を判定する方の高校にも随分とあるわけです。もちろん、現場の先生方も、父兄の方も、今のような入試、選抜方法がよいとは思っていません。どちらかと言えば、このような現場や父兄の方々こそ現行の選抜方式に疑問を抱き、選抜方法の改善を願っていたところであります。ですから、入試の改革は教師や父母の願いではあったわけでありますが、この願いをどのように改善するか、そしていつから実施するかという相談は現場には全くなく、ある日突然、しかも入試わずか五カ月前という時期に発表されたのであります。
 傾斜配点の制度も導入されています。中学校時分は入試科目にとらわれずにまんべんなく基礎的知識を学ばなくてはならないときです。ところが、入試に合わせて特定科目に偏重する危険は十分にあるわけです。こういうことは、中学校教育の基本的理念との問題で深い検討が必要なところです。技術的な問題としても、どのくらいの傾斜をつけるのか、高校側はこれから検討し、中学校に説明せねばなりません。五カ月先の入試に間に合わせるとすれば、十分の検討はほとんど保証されていないという状態であります。
 教育要求県民集会では、せめて来年の入試にこれを適用することはやめてほしい、そして現場教員を含めて教育委員会との協議機関をつくって検討すべきではないかという要望がありましたが、私も同じ思いをしたところであります。したがって、参加者の問いかけは私の質問でもございます。教育委員会の答弁をお願いしたいと思います。
 次に、障害児学級のスクールバスの問題についてです。南紀養護学校とはまゆう養護学校の障害児の通学するスクールバスをぜひ一台ふやしてほしいというお願いをしたいと思います。
 これも先ほどお話しした集会で出されたところですが、教育委員会の回答は、残念ながら父兄や教員の願いを満たすものではありませんでした。増車の願いは、通学時間が片道一時間以上かかる子供が二〇%以上いること、あるいはバス停までの父兄による送迎に時間のかかるところもあるので送迎路線を延長してほしい、したがってあと一台増車していただきたいということであります。
 ご承知のとおり、はまゆう養護学校は知恵おくれの子供たち、南紀養護学校は肢体不自由児の学ぶ学校であります。ご想像いただきたいと思いますが、知恵おくれの、肢体障害児の、あるいはその複合障害を持つ子供たちが一時間以上ベルトにくくられて送られるということは、実に大変な労苦であります。健常な者でもバス一時間はうんざりするものです。
 お母さんから、こんな訴えがございました。紹介しておきたいと思います。「私の娘は、小学部二年生。脳性マヒによる重度障害児で、言葉もしゃべれず、おすわりもできない身体です。 それなのに、遠距離のため、通学時間は片道一時間十五分もかかり、毎日疲れて帰ってこないかと心配し、また病気の後などは、ぶり返さないかと、一日延ばしにしてしまう状態ですのでせめて一時間以内に短縮できたらと願っております。 また、自宅は南部町岩代なので、ここまでスクールバスが廻ってこないため、田辺市芳養までは片道三〇分もかかり、下の一歳、四歳の子どもを乗せての通学は危なく、往復一時間、朝夕計二時間は、農業をしている我が家では、私の手も必要で、たいへん負担になり、時には、ケンカの原因にもなっています。 ぜひ、バスを一台増やし、南部町内まで走って下さることを希望します」──これは、南紀養護学校の寺本裕子さんというお母さんからの訴えでございます。
 南紀養護の山中さんという方からの訴えもございますので、紹介をしておきますが、「子どもはバス通学五年目で、最も重度、体幹四肢の変形進行のため、座席を寝たままの状態に改良して戴き、ひもやベルトを使って身体や手を縛りつけた状態で、四~五〇分乗ります。でも子どもの、その時の状態によって、上肢の屈曲、手首の外転した部位が不随意に動いたとき、バスの通路に飛び出す場合もあります。子どもは、自分で元の位置に戻すことができません。その時、タイミング悪く、多動の子どもさんが通路を歩くとします。こんな危険な状態が現実にあります。 今年四月からは両校の新入生も増え、ぐずる子ども、動く子どももいます。学校側も小さな子どもたちに、もし何かあってはと、安全を配慮してくれ、常勤の介助員さんと教師もしくは事務室の人、二人は必ずバスに乗ってくれ、負担をかけている状態です。 是非、スクールバスや添乗員を増やして、安心して通学できるようにして下さい」、そういう切なる訴えがありました。県PTA連合会も県教委に要望されていると聞きました。
 和歌山県は、八校の養護学校を持っています。これは評価すべき点だと私も思っています。しかし、このような新たな問題もまだ残っており、これから克服していかなければならない課題だと思います。「画竜点睛を欠く」とまでは申しませんが、もうちょっとの努力で本当に喜んでもらえる教育行政となることは明らかであります。父母の願いをぜいたくだと思わないで、ぜひかなえてあげていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
 これをもちまして、私の第一問を終わらせていただきます。
○議長(宗 正彦君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 燦黒潮リゾート計画の見直しでございます。
 リゾート整備は本県の県土づくりの柱の一つでございます。また、二十一世紀を目前に控え、人間の価値観というものが大きく変わりつつある現状でございまして、ゆとりと潤いのある、真に豊かな生活への国民的要求が高まっております。それに伴ってリゾートの需要は拡大するものと私は認識しておるわけでございます。
 本県は、ご承知のように、すばらしいリゾート資源、観光資源、史跡等々があるわけでございます。また、本県はただいま、関西空港の開港、白浜空港のジェット化、高速道路の南伸等、交通網の整備が進んでいる絶好の機会でございます。
 今後、社会経済の動向や国の研究会の提言の趣旨等も踏まえて燦黒潮リゾート構想の推進に努力してまいりたいと思っております。
 他の問題は、部長から答弁いたします。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 燦黒潮リゾート計画に関連するご質問にお答えをいたします。
 まず、燦黒潮リゾート構想の進捗状況についてでございます。
 リゾート法は民間活力の導入を基本といたしており、実態の詳細な把握は困難な面もございますが、その進捗状況を見ますと、用地費を除く特定民間施設に対する投資額はおおむね六百九十億円と見込まれ、構想承認時に試算した投資予想額の四千五百億円に対し約一五%の進捗率となります。
 次に、雇用に関してでございます。
 本構想は約六千人の雇用増を想定いたしており、概算ではございますが、整備中のプロジェクトを含め、現時点で約七百人の直接雇用効果が見込まれてございます。これを進捗率で申しますと約一二%に当たりますが、このほか、構想の策定に際して直接雇用として想定していたリネンサービスやメンテナンス等の業種のように外部委託されたものも相当数ございます。
 また、利用者数の面から見ますと、同構想は約千二百万人の施設利用者を想定いたしておりますが、完成済みのプロジェクトの利用実績状況は現時点で約八十万人であり、現在整備中のプロジェクトが完成すると約五百五十万人の施設利用者が見込まれてございます。
 次に、ビッグプロジェクトの展望についてでございます。
 プロジェクトの進捗状況については、本構想の全七十五プロジェクトのうち、現在協議中、建設中、完成済みを合わせて、進捗しているプロジェクトは三十七で、進捗率は約四九%でございます。
 今後の見通しにつきましては、昨日、尾崎議員にお答えいたしましたとおり、リゾート法に基づく燦黒潮リゾート構想は民間活力の導入を柱として策定されていることから、経済環境の変化による影響を受けやすいという側面も持ってございます。
 バブル経済の破綻など、リゾート整備を取り巻く経済環境には厳しいものがございますが、こうした中においても本県のリゾート整備は着実な発展を見ているところでございます。
 今後、ゆとりと潤いのある生活への国民的な欲求を背景に、拡大しつつあるリゾート需要に対応すべく、その実現に向けて努力してまいりたいと考えてございます。
 次に、住民の反対運動のあるプロジェクトは幾つあるのかとのことでございます。
 リゾート整備を推進するに当たっては地域においてさまざまな意見があろうと存じますが、燦黒潮リゾート構想の対象プロジェクトのうち、反対の陳情がリゾート構想所管の課に直接提出された案件は二件でございます。
 次に、リゾート法見直しの動きと県の対応についてでございます。
 議員ご指摘の研究会の提言についてでございますが、まず第一点目の自然環境や景観への影響につきましては、本県の燦黒潮リゾート構想は海洋性リゾートを統一テーマとして、良好な自然環境や景観の保全と活用を基調とした計画でございますので、重点整備地区の設定に際しては、自然環境保護上、特に重要な地域を除外してございます。また、整備に際しては、自然の保全や環境との調和に十分配慮するようにいたしているところでございます。
 二点目の地域振興への寄与の問題につきましては、本構想は県土づくりの重要な施策と位置づけられており、農林漁業や観光業の健全な発展に配慮するとともに、地場産業や農林水産業のリゾート産業への参画に関する事例研究を参考に供するなど、農山漁村の活性化についても配慮いたしてございます。
 また、三点目の事業主体の撤退等につきましては、社会経済環境の激変により生じた事象でございまして、こうしたことから、研究会の提言にもありましたように、地域の資源を利用した、地域づくりに資するリゾート整備という視点も重要であると認識をいたしてございます。
 四点目の良質、安価なリゾート整備という視点につきましては、多様な選択が可能な余暇活動の場を適正料金で提供することは重要なテーマと考えてございます。具体的に、安価な宿泊施設を提供するため税制、金融上の支援措置を国に要望するとともに、地域の特性を生かした小規模なリゾート整備を推進するなどの対応を図ってまいりたいと存じます。
 次に、コスモパーク加太に関連するご質問にお答えいたします。
 まず、コスモパーク加太の検討はどこまで進んでいるのか、県としての基本姿勢はどうかについてでございますが、コスモパーク加太計画は、民間活力の導入を基本に、二十一世紀にふさわしい自然環境と調和のとれたリゾート、研究開発、住宅の三つのコンセプトによる新しい町づくりを推進いたしたいと考えてございます。
 このため、平成二年十一月に、民間企業十四社、県、和歌山市、県土地開発公社でコスモパーク加太開発推進機構を設立し、民間開発ノウハウを活用して土地利用計画等を策定しているところであり、昨年十二月に推進機構で土地利用計画案を取りまとめたところでございます。
 かねてから、コスモパーク加太の土地利用計画については県議会から種々ご提言をいただいているところでございまして、現在、推進機構において、昨今の予想を上回る厳しい経済情勢の動向を見きわめつつ、公共的利用も含め、あらゆる角度から再検討を行い、策定に向けて懸命の努力を続けているところでございます。
 次に、本計画の現在までの事業費及び最終利息の見込み額についてでございます。
 コスモパーク加太計画は、県土地開発公社が土取り事業及びこれに伴う防災工事を現在行っているところでございまして、これに要した費用は約一千億円余と聞いてございます。
 最終利息につきましては、その後の工事スケジュール等が不確定でございますので、算出にはなおしばらく時間を要するものと存じます。
 現在までの県の融資額及び最終融資見込み額についてでございますが、公社に対し、総事業費抑制のため融資を行ってございます。平成四年度に十八億円、平成五年度は、現在までに上半期分七億九千二百万円を融資したところでございます。平成六年度以降の融資につきましては、経済情勢の推移も見きわめながら対応してまいりたいと存じます。
 本計画の今後の造成及び基盤整備等の見込み額についてでございますが、公社の土取り事業に伴う防災工事が終了した後、新たな事業主体によって、道路整備、公園整備、宅地整備、下水・水道・ガス・電気等の供給処理施設の整備が必要でございます。
 事業主体につきましては、経済情勢の動向を見きわめながら慎重に検討いたしているところでございます。
 次に、本計画への進出希望企業についてでございますが、計画の当初から進出を希望している複数の企業はございます。しかしながら、土地利用計画等を策定中であり、進出希望企業と具体的な話には至ってございませんが、計画の進捗に従って企業誘致に努力をしてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) マリーナシティの県等の造成、基盤整備への投資につきましてお答えを申し上げます。
 マリーナシティの基盤整備に係る全体事業費は、売却用地の土地造成費も含めて約五百六十億円となってございます。このうち、公共事業分は約三百二十億円でございます。
 なお、上物の公共施設として現在工事に着手をしている和歌山館及びディンギーマリーナのクラブハウスにつきましては、両者を合わせて約五十四億円を予定いたしております。
 次に、マリーナシティの第三セクター事業の展望についてでございます。
 マリーナシティにおける第三セクターの用地は第一工区の七・一ヘクタールでありまして、リゾート博開催時には駐車場及びキャンプサイト用地として提供した後、住宅建設に着工し、分譲をする予定であります。
 ご承知のように厳しい経済情勢ではございますが、この用地はマリーナ施設を利用される方々や海洋性アメニティー空間に住宅を求める方々などに住宅施設を提供するものであり、住宅需要の動向を見きわめつつ、高層化するなどによって経営の健全化に努めるとともに、一般の方々が購入できるようにしてまいりたいと考えておるところであります。
 次に、シーサイドロードの土地収用の問題でございます。
 シーサイドロードは、その公益性、公共性、必要性を認めて、本年六月十五日に事業認定の告示を行ったところであります。これに伴って、七月には起業者である和歌山市から裁決申請及び明け渡し裁決の申し立てが収用委員会に対してなされ、現在審理が行われているところであります。また、八月には土地所有者十六名から本件事業認定の取り消し請求が提起され、現在係属中であります。
 ただいま議員から、和歌山市に対して裁決申請を取り下げるよう指導してはどうかというご提案がございましたが、本件道路は、事業認定申請書にもございますように、国道四十二号の混雑、布引地区における道路の未整備、マリーナシティ完成に伴う発生交通量等に対応する道路として極めて公益性、公共性、必要性が高く、その整備を急がれているものであり、またリゾート博のアクセス道路として利用できる道路でもあります。
 本件道路について裁決申請等を行うか否かについては起業者の判断であり、和歌山市において十分に審議された上で意思決定をされたものと理解をしております。一方、これに並行して任意解決へ向けての努力についても、引き続き和歌山市と協議を続けてまいります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企業局長高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○企業局長(高瀬芳彦君) マリーナの関係につきまして、三点についてお答えをいたしたいと思います。
 まず、民間事業の展望といたしまして、世界的に有名な娯楽企画会社であるMCAのノウハウを取り入れた、異国情緒あふれるテーマパークのポルトヨーロッパなど、国内では見られないような娯楽施設を中心に、和歌山の海域でとれる新鮮な魚介類を提供販売するフィッシャーマンズワーフ、マリーナ施設、マリーナクラブハウス、エネルギーセンター、スポーツ施設、さらに高層マンション、艇庫つき住宅、ホテル等、約三十八ヘクタールの用地に民間及び第三セクターを含めた事業が実施されます。事業費総額として千百億円に上る事業が展開される計画でございます。
 次に、経済波及効果についてでございます。
 マリーナシティでは、公共マリーナの整備を行うとともに、和歌浦湾のすぐれた景観と調和し、親水性の高い緑地、防波堤、護岸など、多様な施設を配置した町づくりを目指しております。多くの方々に利用していただけるものと考えてございます。
 民間の調査機関の予測によりますと、観光客等の年間入り込み客は三百万人と推定されてございます。また定住人口でございますが、四千人の町ができるものと考えてございます。
 このように、多数の利用客により、県内産品の売り上げ、ホテル、その他諸施設の利用などにより経済的効果が期待され、地元での雇用の問題、所得の創出、観光ポテンシャルの向上、企業の立地誘導等、本県の活性化に多くのメリットが得られるとともに、税収増も大いに見込まれておるものでございます。
 最後に、和歌山マリーナシティはどのような町になるのかとのご質問でございます。
 二十一世紀を目指した本県のビッグプロジェクトでございまして、民間の活力を導入し、官民一体となって取り組んでいるところでございます。特に、民間の持つ創造力や資金力、経営力を最大限に生かし、国際的な交流の拠点ともなる、魅力あるリゾート地の形成を目指してございます。
 水辺空間をできる限り生かし、多くの方々が自由に散策し、親しんでいただけるように、我が国で初めてのダブルデッキ方式の親水性防波堤や護岸を配置してございます。さらに、憩いの場として緑地公園、サンセットパークやMCAのノウハウを取り入れたテーマパーク、フィッシャーマンズワーフ、本県のすばらしさを紹介する公共施設としての、仮称ではございますが和歌山館、並びにディンギークラブハウスをリゾート博までに完成するように現在建設中でございます。
 このほか、約千隻収容のマリーナ施設や住居施設としての高層マンション、艇庫つき住宅、ホテル、広く利用できるスポーツゾーン等、平成十二年ごろまでに順次完成する計画でございます。
 このように、子供からお年寄りまで多くの県民の方々を初め、国内外の人々が楽しめる新しい生活環境の場を形成してアメニティー豊かな町づくりを目指しているものでございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 入試改善と養護学校のスクールバス運行についてお答えいたします。
 今回の高等学校入学者選抜の改善につきましては、昨日、新田議員にもお答えいたしましたとおり、従来の知識偏重の学力観を改め、新学習指導要領による新しい学力観に立った教育を推進することを目的として行ったものでございます。
 この改善に当たっては、平成三年度から観点別学習状況を評価の基本とするように生徒指導要録が改訂されたものであります。このことから、教育委員会内にプロジェクトチームをつくり、新しい指導要録に対応した調査書のあり方や高等学校入学者選抜の改善等に着手いたしました。
 高等学校入学者選抜の改善は中学校及び高等学校の教育や生徒、保護者への影響が極めて大きいことから、教育関係者や県民の意見を幅広く聞くため、学識経験者、中学校及び高等学校の校長会の代表者などで構成する高等学校教育改革推進検討委員会を発足させ、さまざまな視点から多面的に検討を進めてまいりました。
 さらに、全国の状況の把握に努めるとともに、和歌山県二十一世紀を創る人づくり推進協議会において協議していただき、また中学校及び高等学校の校長会、PTA関係者並びに教職員団体など、十三にも及ぶ教育関係諸団体の方々から意見を聞き、三カ年にわたり検討してまいりました。
 こうした中で、観点別学習状況の評価やボランティア活動などの評価、傾斜配点などを取り入れたところであります。
 なお、議員ご指摘の観点別学習状況やボランティア活動などの評価につきましては、各中学校において調査書等作成委員会を設置し、その評価を審議して厳正、公平、適正を期することとしてございます。
 こうした検討を経て、例年より一カ月以上早め、過日、九月上旬に実施要綱を報道機関を通して発表し、その後、県立学校長会や地方教育事務所長会等を通じて改善の内容と趣旨について周知徹底を図ったところであります。
 今後、さらに今月中旬から中学校の校長及び担当者を対象とした地方別の進路指導研究協議会を開催し、一層の趣旨徹底を行うとともに、各高等学校からもそれぞれの学校の選抜方法の特色を中学校に対して説明し、円滑な実施に努めてまいる所存であります。
 次に、南紀養護学校及びはまゆう養護学校のスクールバスの運行についてでありますが、学校において一人一人の児童生徒の障害の程度等を踏まえ、健康状態に配慮した運行経路等を工夫しているところであります。
 長時間乗車解消のため、南紀養護学校のスクールバスは田辺ルート、はまゆう養護学校のスクールバスは白浜ルートで相互乗り入れを行っており、乗車定員については現在余裕のある状況でございます。また、平成五年度から田辺ルートのスクールバスの介助体制の強化もしたところであります。
 なお、南紀養護学校及びはまゆう養護学校にはそれぞれ寄宿舎を設置しており、通学の困難な児童生徒に対応してございます。
 今後とも、安全かつ円滑な運行のあり方等については研究してまいりたいと考えます。
 以上です。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 25番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 知事の方から答弁をいただきまして、リゾートの需要の増大もあり、経済動向、その他国の提言を踏まえて推進をするということでありました。私は、その限りにおいてはそれを是としたいと思いますし、和歌山県の自然が今後のリゾートを提供していく上で大きな役割を果たすであろうということも思いを同じくするところであります。
 ただ、今までの教訓から私たちが何を学ばなければならないのか、そこのところが今後どう生かされるかということ。例えば住民のことをもっともっと大切に考えるとか、地域開発の発展のことを考える、あるいは大企業の得手勝手を許さない、また自然破壊、環境破壊を許さないというような、今まで出されてきたさまざまな問題に対して今後再び同じ轍を踏まないようにどうやっていくかというあたりの県としての総括と、それを今後生かしていくことを明文化してやっていくという開発の理念というものを明確にしなければ同じことになってくるのではないか、景気の動向の中で結局行ったり来たりということになってしまうんではないかと、そういう思いがいたします。そういう点で燦黒潮リゾート計画の見直しということを私は言っているわけでありまして、答弁をお願いしたいと思います。
 次に、企画部長に。
 燦黒潮リゾート構想が順調に進んでおる、プロジェクト七十五のうち三十幾つかが進んでおって、四九%まで来ておる、こういうふうにおっしゃられるわけですけれども、これが果たして順調な到達点かどうか。さらに、現在まで進んできたものは順調であったけれども、これから先のものは一体どうなるのか。そう考えると、そう順調に進んでいるというふうに評価はできないと思うんです。私は、大企業の得手勝手なのが順調に進まなくても、それはそれでいいと思っていますけれども、当局としてこれが順調な成り行きだと評価するということは、私は間違っていると思います。
 この質問を準備するに当たって、私がこの議席に参ってからのリゾート関係の質問を全部読ませていただきました。二十二人の方が質問をしておって、十九人の方々が何らかの形で危惧を表明しております。見直しという意見も三件出ております。こういう状況の中で、このリゾート開発計画が順調に進んでおるというふうに見るのは、とんでもないことではないかと思います。
 住民運動等によって企画部サイドに受けている反対陳情は二件だと言われております。しかし実際、ゴルフ場反対は、この計画の中でも九件に及んでいるわけでして、そのゴルフ場開発に関係する点だけを見ても、それは決して順調な状態ではないし、私はそういう点では別に順調でなくてもいいと思っておるわけですけれども、企業局としてはどう考えているのか、お示しをいただきたいと思います。
 時間がないのであとについては言及できませんけれども、障害者のバスの問題など、ぜひよろしくお願いいたします。定員にまだ満ちていない、余裕があるというふうにおっしゃっておりますけれども、あの障害者の方々が乗っているバスに補助席を使った定員いっぱいを詰め込んでごらんなさい。どういう状態になるか、ご想像いただけると思います。ぜひ温かい配慮を心からお願いいたしまして、第二問を終わらせていただきたいと思います。
○議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 さきに答弁申し上げましたように、リゾートの整備は県土づくりの重要な柱であり、これを積極的に進めているところでございます。
 また、国の研究会の提言も踏まえながら今後とも具体的な事業の展開を図る中で、多様な余暇活動空間の整備と、アメニティーの高い地域づくりに資していきたいと思っております。
 本県は、先ほども述べましたように、すばらしい自然環境がございます。また海岸線も、人工海岸は大都市の近くで最も少ないところでございます。こうした自然と共生できるリゾートを進めてまいりたいと思っております。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 着実に進んでいるとの評価ができないという再質問でございますが、リゾート整備を取り巻く社会経済状況は極めて厳しい中でございますし、また燦黒潮リゾート構想が承認されてから二年九カ月という現状から見まして、四九%というプロジェクトの進捗や投資、雇用、来県者の進捗状況を総合的に判断すると一歩一歩前進しているものと受けとめているところでございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(宗 正彦君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十九分休憩
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