平成5年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(野見山 海議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成五年十月六日(水曜日)

  午前十時二分開議
○議長(宗 正彦君) これより本日の会議を開きます。
  ──────────────────
○議長(宗 正彦君) 日程第一、議案第百十二号から議案第百三十四号まで、並びに知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 43番野見山 海君。
  〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 おはようございます。
 本日のトップバッターで質問をさせていただきます。
 冒頭に、私の先輩である同僚の浜本県議が今議会欠席をしておりますけれども、先輩議員の皆さんあるいは県当局の皆さんのお見舞い、ご激励をいただきまして、ありがとうございます。今、美浜の病院で養生をされておりますけれども、できるだけ早く退院をしたいので皆さん方によろしく伝えておいてくれという伝言がございましたので、ご報告申し上げたいと思います。
 それでは、通告に従って一般質問を始めさせていただきます。
 最初に、関西国際空港と観光振興についてお伺いしたいと思います。
 関西国際空港の開港が来年九月と迫ってまいりましたが、和歌山県は、この空港とのかかわりが薄らいできているような感がいたします。それは、伊丹空港の存続あるいは神戸沖空港の建設承認に見られるように、関西空港の必要性が遠のいてきたからと思うであります。この空港計画が持ち上がって以来、今は亡き宇治田省三・元和歌山市長や先輩議員の皆さんから、和歌山を扇風機の裏側にしてはいけないといった論議がありましたが、開港に向けて新空港と和歌山県の発展を結びつけて取り組まれたことや、また先輩の皆さんの熱心な取り組みがあって、あと一年先に開港が迫ってまいりました。
 また、この間に、大阪空港周辺の自治体でつくる七市協やその後の十一市協では大阪空港の即時撤廃や発着便数の縮小などを求めたにもかかわらず、関西国際空港の開港が近づくにつれて逆に国内便の大幅確保などを掲げたといった格好は、関空の建設促進を願った人たちから言わせると、地域エゴとも見られておかしくない姿勢をとってきたと思われるのであります。また最近に至っては、関空のスーパーハブ空港としての位置づけを無視するかのように、先ほども言いましたが、神戸沖空港の建設計画を国は承認いたしました。
 このような状況のもと、過去に今は亡き宇治田市長や先輩議員が言われた、和歌山の扇風機の裏側論が当てはまる様相となってきたと言えます。
 私は、この扇風機の裏側になりかねない一つの問題として、和歌山から空港への列車の直接乗り入れが実現しそうにないことについてお伺いするものであります。
 さきの新聞報道を見ますと、JR西日本及び南海電鉄はともに空港への新型車両を導入し、JRでは京都や新大阪、天王寺から直接乗り入れを行うほか、南海も難波から直接乗り入れを行うことを決めています。しかし、和歌山からの直接乗り入れは、JRでは日根野駅でスイッチバック方式を取り入れて列車の方向を変えれば乗りかえなしで済むが、運転士等の乗務員の移動には時間がかかるなど、そういった理由で見送りを決めたそうであります。このため、和歌山方面からの利用者の場合、JRでは日根野駅、南海では泉佐野駅で一たん下車した後、ホームを移動するなどして空港行きの列車に乗るといった不便な状況が生じるということであります。
 また、懸念されるのは、天王寺や難波からの空港への直接乗り入れに伴い、和歌山方面の列車便が減少するといったことも十分考えられるのではないかということであります。特に、白浜、那智勝浦といった外国人が魅力を感じる西日本有数の観光地と空港とを結ぶ直通列車がないということは、リゾート立県を推進する和歌山県にとっても大変に遺憾に思うわけでございます。そういったことにつきまして、一年以内に迫った開港へ向けての知事並びに県当局の取り組みについてご所見をお伺いするものであります。
 また、関空全体構想の実現に向けて調査費が概算要求をされ、動き出した中で、先ほどからの列車や自動車の直接乗り入れをスムーズに図るためにも、連絡橋一本といったスーパーハブ空港では、現在ある北ルートの連絡橋だけでは火災や大事故が発生した場合に不通となるおそれが生じてくるので、そういった安全対策の面から見ても空港の南ルートは絶対必要なものと考えるのであります。
 この南ルート建設促進に向けては、地元泉南市が中心となり、大阪周辺の市や町に呼びかけたり、また和歌山市や岩出町にも呼びかけて建設促進の合同協議会を結成する方向で取り組んでおると聞いております。泉南市の試算では、この南ルート建設は四・五三キロの斜張橋で、総事業費は八百九十億円から一千百億円近くかかると言われていますが、全体構想が進行するに伴い、和歌山県にとって南ルートは必要と思います。このような市や町の動きに合わせて、ぜひとも県としても推進に向けて取り組んでいただきたいと思いますが、当局のご所見をお伺いいたします。
 次に、高速道路の紀南延伸についてお伺いいたします。
 この問題は、和歌山県及び紀伊半島の観光面、経済面、それに過疎対策面での浮上策として早急かつ絶対不可欠なものと考えます。これまで県議会でも先輩の皆様方が審議されたり、紀南地方を中心としたたくさんの県民の皆さんが陳情を数多く重ねるなどして取り組んできた結果、徐々にではございますが、前進しつつあります。この高速道路は、紀南県民にとっては重要な懸案事項であります。
 今、急ピッチで工事されている湯浅─御坊間の高速道路の供用開始は平成六年度と言われております。また、田辺までの延伸が供用開始されるのは、このまま行きますと、今から十二年後の平成十七年ごろになるのではないかと思われます。この計画では、紀南の観光、経済面での浮上は到底難しく、過疎対策どころか、ますます過疎化が進むおそれが強いと言わざるを得ません。
 建設省の資料によりますと、和歌山県の高速道路及び高規格の総延長は二十五キロで、これは全国都道府県別では四十三番目で、ワースト五位になっております。
 本県は、紀伊半島という地理的なハンディから、太平洋ベルト地帯の第一国土軸いわゆる中央幹線軸から離れているという状況でありますが、先ほどの高速道路の都道府県別ランクを見ますと、田中角栄元首相の新潟県は全国で一位で、供用延長が百三十七キロ、政権交代の引き金となった金丸元副総理の山梨県では供用延長が百二十二キロ、全国で十五位であります。両県とも第一国土軸から外れているものの、高いランクに位置しています。しかし、今回の政権交代で均衡ある調和のとれた国土の発展を願う細川政権のもとでは、一極集中を見直すとともに過疎地域への整備対策を積極的に進められるということで、過疎の進む紀南地方への高速道路延伸の早期実現や仮谷知事がリーダーシップを発揮している第二国土軸整備の早期実現の推進に拍車がかかるものと考えるのであります。
 そこで、県におかれましても、この延伸について、国の早急な事業決定に向けての取り組みや県独自の用地確保の計画など、積極的に取り組むことが必要であると思いますが、県当局のご見解をお伺いします。
 あわせて、世界リゾート博に向けての湯浅─御坊間道路の一部供用開始めどと、この一部供用開始に伴う県民の利便性、それにこの湯浅御坊道路へのアクセス道路の整備状況について、県当局の取り組みをお伺いします。
 続きまして、老人保健福祉計画についてお伺いいたします。
 高齢化が他府県より十年早く進んでいる本県の高齢化対策は、重要な課題であります。先日公表された和歌山県老人保健福祉計画によりますと、和歌山県の人口は今後減少していくとともに、高齢化は、一九九〇年では一五・三%となっており、全国平均より三・三ポイント高い数値となっております。また、一九九五年あるいは二〇〇〇年にも、全国より早いペースで高齢化が進行していくものと予測されております。
 和歌山県の活性化のためには多くの主要プロジェクトを積極的に行っていき、人口減少と高齢化進行を緩和していく施策が重要だと考えるものであります。
 私は、第一に、保健・医療・福祉の施策を充実させて、県民が健康で安心して暮らせる地域づくりを推進していく必要があると考えます。そのため、今回の和歌山県老人保健福祉計画は大切な計画であると思いますし、他府県に先駆けて本年に策定されたことは評価するものであります。
 さて、保健・福祉といった分野は、平成二年の老人福祉法の改正や今後予定されている地域保健法の内容からも、市町村主体の事業の取り組みが予測されております。このような状況の中で、県当局の主体的な事業の取り組みに大きな期待をするところであります。
 市町村の事業実施に補助金を交付するなど、支援を行うことは当然でありますが、県という行政単位でしかできないことを積極的に実施していく必要があると考えるのであります。例えば、看護婦、介護福祉士、理学療法士など、高齢化社会を支える専門職の育成を行う養成機関や専門学校を充実すること、痴呆症老人対策等の高度な研究機関を設置すること、また県が主体となった事業実施並びに県が主体となった大規模福祉ゾーンの整備や広域的な施設の整備等、及び民間事業者や市町村が積極的に事業を実施できる環境整備に取り組むべきだと考えますが、当局のご見解をお伺いいたします。
 和歌山県老人保健福祉計画では、平成四年度の特別養護老人ホームの県全体の整備数二千四百二十五床に対して、平成十一年度の整備目標は三千床となっております。残り五百七十五床を整備すればよいということになります。しかし、地域的にアンバランスがある状況であります。那賀圏域、田辺・西牟婁圏域及び新宮・東牟婁圏域では既に整備目標数を上回る数の施設が整備されていますが、いまだ待機者が生じている状況にあります。特に田辺・西牟婁圏域では八十三名という待機者があります。在宅サービスを充実するとしても、施設を整備するほか解決方法がないのではないかと思うのであります。そういった意味で、特別養護老人ホームの整備、待機者への対応についてご見解をお伺いいたします。
 和歌山県地域保健医療計画によりますと、だれもが、いつでも、どこでもひとしく保健医療サービスが受けられるよう、健康増進から疾病の予防、診断、治療及びリハビリテーションに至るまで、包括的な保健医療体制を確保するために作成するものであるとなっております。県全体を見ると、県立病院は紀南地方になく、アンバランスが生じていますが、これについて県のご見解をお伺いします。
 障害者、高齢者に優しい町づくりのためには、都市全体の整備が必要と思います。官民合わせて実施しないことには、この効果が出てまいりません。本県においても公共施設の改修や道路の段差解消を実施してきましたし、さらに駅、ホテル、デパート等の公共性の高い民間施設についても対策を講じてこられたのは、言うまでもございません。本県も福祉の町づくり条例を考えてみてはいかがかと思うのであります。
 大阪府や兵庫県では福祉のまちづくり条例を制定し、公共的施設の改善を指導しています。特に建築基準法の施行条例を改正し、福祉のまちづくり条例とあわせて、すべての人がみずからの意思で自由に移動し、社会参加できる福祉の町づくりを推進しています。本県においても、新たな公共的建築物、民間の公共性の高いもの、そのほか既存の建築物も対象としたこれらの施設について、車いす用トイレ、エレベーター、視覚障害者誘導ブロック等、きめ細かな基準をつくり、事前指導改善計画の策を定めるとともに、改善に係る経費の一部を補助していく内容とする条例制定を行うことが必要ではないかと考えるのでありますが、当局のご見解をお伺いいたします。
 最後に、環境保全対策についてお伺いいたします。
 世界各国の湿地保全などを目的に、ラムサール条約締結国会議が六月九日から十六日まで、北海道釧路市で開かれました。この会議には七十三の加盟国及び三十四のオブザーバー国から約一千人の人々が参加し、各国の湿地保全やその賢明な利用について真剣に論議が交わされたと新聞で報道されております。
 私は、この条約名から、水鳥や湿地のみを目的とした条約かと思っていましたが、湿原や干潟の保全のみでなく、生い茂る熱帯の海岸、湖、沼、水田、ダムなど、広く水面一般の保全を対象とされているのであります。
 水辺こそ、水鳥に限らずあらゆる動物や植物の命の揺りかごであり、人間と自然が出会う、その接点にあるという考えが条約を支えている哲学であると言われております。こうした国際的な水辺保全、湿地環境運動の高まりの中で、県下の湿地保全の現状と今後の課題などについて目を向ける必要があると考えるのであります。
 県下の干潟保全の例として、田辺市新庄の内ノ浦にある干潟の保全に田辺市が取り組むというニュースが取り上げられております。この干潟には十数種の生き物が生息していると報じられているほか、古座川の湿原では、最も小さいトンボで知られるハッチョウトンボの羽が生えてきた様子を写真入りで紹介されておりましたが、こうした学術的に貴重な干潟や湿原は県下でどのくらいあるのか、そして保全の取り組みはどのようにされているのか、お伺いしたいと思います。
 ことしもウミガメが産卵を終わり、ふ化した子ガメが海に帰っていきました。紀伊半島の沿岸には、アカウミガメ、ヒメウミガメ、アオウミガメ、タイマイ等のウミガメが回遊していると言われております。そのうちアカウミガメは、和歌山県、三重県の海岸に上陸して産卵をしております。民間で組織されている紀伊半島ウミガメ情報交換会の調べによりますと、県下での産卵場所は和歌山市から新宮市までの沿岸に二十八カ所あり、特に南部町千里ケ浜には毎年たくさんのアカウミガメが上陸し、産卵する場所として知られ、県指定の名勝天然記念物となっているところであります。
 ところが、近年、砂浜の地形が変化し、いわゆる浜やせ現象で産卵場所が減少したり、ごみや海の汚染で産卵環境が悪化しております。また、ウミガメ保全へのPR不足や自然保護に関するモラル不足から、浜辺へ四輪駆動車を乗り入れたり、卵が盗掘されたりしているようであります。
 こうした中で、ウミガメを守ろうということで個人や民間団体で紀伊半島ウミガメ情報交換会が組織され、ウミガメの調査研究をするなど、民間レベルでウミガメ保護運動が高まっております。ウミガメを保護するということは砂浜を守るということ、あるいは海洋を汚染から守るということであり、当然、家庭排水や工場排水から海を守るというところまで広がる問題でありますが、ウミガメの浜辺保全について県のご見解をお伺いいたします。
 以上、一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(宗 正彦君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 野見山議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港の問題でございます。
 関西国際空港のアクセスの問題につきましては、野見山議員が述べられたように本県にとって極めて重要な課題でございまして、そのために、空港建設以来、本県からの鉄道、バス、タクシー等、複数の交通機関による利便性の高いアクセスを確保するために、輸送力強化促進委員会の協力もいただきながら、運輸省、JR、南海電鉄に対して要望してきているところでございます。
 旅客需要の問題がありますけれども、県民の利便性や本県の観光、産業の振興を図る上で極めて重要な課題でございますので、引き続き、県議会、輸送力強化促進委員会等と一体となって今後積極的に努力してまいりたいと思っております。
 それから、高速道路の紀南への延伸についてでございます。
 高規格幹線道路は、本県の地形上、地域発展を図る上で極めて重要な問題であり、県政の最重要課題として取り組んでまいったわけでございます。
 お話のように、高速道路につきましては、特に和歌山県はおくれているのが現状でございまして、なお積極的に南伸を進めなければなりません。
 現在、御坊─南部間は整備計画区間として、また南部─すさみ間が基本計画区間として位置づけられておりまして、すさみ─新宮間は予定路線となっております。
 現在、整備計画、基本計画の区間での必要な調査を建設省及び道路公団で行っておりますけれども、早期に調査を終えることが事業促進につながることと考えておりまして、路線の設定の問題、また工事を行っておるところの用地の確保の問題等についても、地元の市町村等と連携を密にして今後積極的に推進してまいりたいと思っております。
 残りの問題は、部長から答弁いたします。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 関西国際空港と観光振興についてのご質問にお答えをいたします。
 まず、鉄道の直接乗り入れについてでございます。
 関西国際空港への鉄道アクセスにつきましては、県民の利便性はもとより、観光、産業の振興を図る上からも重要なものであると考え、かねてからJR、南海電鉄に対してスイッチバック方式による直接乗り入れについて、輸送力強化促進委員会の協力もいただき、紀南地域と関西国際空港を乗りかえなしで結ぶ直通の特急列車の運行等も含め、強く働きかけを重ねてまいってきてございます。
 現在、JR、南海電鉄ともダイヤ編成に向けての作業に着手したところであり、本県からの直接乗り入れの問題については最終決定がされておりませんが、旅客需要に大きな課題があると伺ってございます。
 また、議員お話しの在来便への影響の問題につきましては、現在、JRにおいては天王寺発日根野行きを関西国際空港へ延長し、南海電鉄においては難波発泉佐野、羽倉崎行きを関西国際空港へ延長することを基本に、増便も含め、計画されてございます。
 和歌山方面への特急など在来便への影響につきましては、運転本数に影響を及ぼさない方向で作業を進めているとの説明を受けてございます。
 スイッチバック方式による直通列車の運行につきましては、先ほど申し上げたように需要に大きな課題がございますが、今後とも県議会や輸送力強化促進委員会のご協力もいただき、実現に向けて努力をしてまいりたいと存じます。
 次に、南ルートの促進についてでございます。
 航空審議会の答申や運輸省案の全体構想には盛り込まれておりませんが、議員ご指摘の災害時の安全性や本県からの利便性の確保からして、全体構想の実現とあわせての検討課題であろうと存じてございます。
 現在、全体構想につきましては、来年度予算にボーリング調査費を確保し、全体構想を早期に実現するため、関西国際空港全体構想推進協議会において種々協議を行っているところでございますが、今後、県内の関係市町で組織している紀泉問題連絡協議会とともに、その方策等について研究を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えいたします。
 まず、高速道路の御坊以南でございます。
 御坊─南部間につきましては、必要な調査を終えた後、日本道路公団に対して建設大臣が施行命令を出すという手順を経ることとなりますので、県としても関連公共事業調査を受託するなど、調査の促進のため日本道路公団に協力をしているところであり、早期に施行命令が出されるよう努力をしてまいります。
 また、基本計画区間につきましても、早期に整備計画区間に組み入れられるよう、建設省の調査に積極的に協力をしておるところでございます。
 次に、湯浅─御坊間の進捗でございます。
 湯浅御坊道路等の用地買収につきましては、高速道路事務局長のもと、道路建設課内に高速担当を設けるとともに、高速道路湯浅事務所及び御坊事務所も設置をして、各市町とともに建設省に協力をしながら地元調整、用地買収等の促進に努めてきたところでございます。
 また、紀南地方におきましては、那智勝浦道路が自動車専用道路として平成四年度より事業化をされております。
 今後とも、県議会のご協力、ご支援をいただきながら、国に対し強く要望してまいりたいと存じます。
 また、吉備町から広川町までの間については一部物件の撤去が残っており、厳しい状況ではございますが、世界リゾート博までに供用すべく、建設省において鋭意工事が進められております。この区間が供用されると湯浅町内の渋滞区間がなくなりますので、大きな効果があると考えております。
 次に、湯浅御坊道路へのアクセス道路の整備状況につきましては、御坊インターにおいて、県道江川小松原線、姉子御坊線、市道野口隠谷線を位置づけしております。湯浅御坊道路の開通に合わせるべく、それぞれ事業の促進を図っているところであります。
 また、インターに通じる複数のアクセス道路が必要であると考えており、これら各路線を補完する路線として県道印南原印南線、樮川鐘巻線も整備を進めておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 民生部長南出紀男君。
  〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 老人保健福祉計画にかかわる三点の質問についてお答えをいたします。
 まず一点目の、保健・医療・福祉施設の充実についてでございます。
 高齢化対策の推進については県政の重要な施策として努力を重ねているところでありまして、このたび、全国に先駆けて県老人保健福祉計画を策定いたしたところでございます。
 高齢者が安心して地域で暮らしていける社会を築くため、市町村と一体となり、本計画の着実な実現を図っているところでありますが、議員お話しの専門職の養成確保につきましては、看護職員として、平成七年に新宮市に看護婦養成所、さらに平成八年には県立医科大学附属看護短大を開設し養成するとともに、介護福祉士及び理学療法士として、養成施設に在学する学生に対しては修学資金の貸し付けを行い、養成に努めているところでございます。
 また、施設整備につきましても、平成十年をめどに取り組んでいる、総合的な拠点施設である総合健康・福祉センターの整備を図り、高齢者を初め県民の保健・福祉の充実に努めてまいる所存でございます。
 さらに、高齢者対策の主体的な役割を果たす市町村に対する技術的な援助や補助制度の活用等、市町村福祉の充実のため、積極的に推進をしてまいりたいと考えてございます。
 いずれにいたしましても、保健・福祉・医療の連携のもと、老人保健福祉計画に基づく総合施策の推進に努力をしてまいりたいと考えてございます。
 二点目の、特別養護老人ホームの整備と待機者への対応についてお答えいたします。
 本県の特別養護老人ホームの整備状況は全国的にも高水準にありまして、整備目標である三千床にいたしましても、国のゴールドプランと比較してもかなり高い目標となっており、現在着実な整備を図っているところでございます。
 ところで、県内の各保健福祉圏域における特別養護老人ホームの整備状況、入所待機者については、議員ご指摘のとおりの地域格差があることも承知をしております。
 今後の整備につきましては、整備率の低い地域を優先すべきものと考えてございます。
 こうしたことから、入所待機者の処遇の充実と家庭で介護している方々の負担軽減を図るため、ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイ事業のいわゆる在宅三事業の一層の充実に取り組んでいるところでございます。
 例えばホームヘルパーの確保のため、ホームヘルパー研修をより多くの人に受講していただくよう本年度から一般公募を行い、研修を実施しております。また、農協中央会において取り組んでいただいているホームヘルパーの養成研修を他の民間団体等でも実施していただけるよう、働きかけてまいりたいと考えてございます。
 今後は、老人保健施設やケアハウス、高齢者生活福祉センター等、他施設の整備を図り、保健・福祉・医療の連携のもとに、特に在宅三事業の充実を図ってお年寄りが希望される居宅での生活を支援し、特別養護老人ホーム入所該当者ができるだけ減少するように努力をしてまいる考えでございます。
 三点目の、福祉の町づくり条例についてでございます。
 県といたしまして、障害者や高齢者の社会参加を促進するためには、議員ご指摘のとおり、生活環境の整備改善が重要な課題と認識してございます。
 昭和六十一年に策定した障害者等の住みよい生活環境整備指針に基づき、その促進を図ってきた結果、着実にその整備が進んできたと考えておりますが、障害者や高齢者を含め、すべての人々に住みよい福祉の町づくりを一層推進することが求められていると承知をしてございます。
 本年三月に策定された国の障害者対策に関する新長期計画におきましては、生活環境の改善が重点項目として取り扱われており、その実施を担保するよう述べられてございます。
 また、建設省におきましては、高齢者や障害者に配慮した建物整備を図る新規立法の整備が予定されていると聞いてございます。
 県といたしましては、これら国等の動向を見ながら、また他府県の条例の内容及び制定に伴う問題点等について庁内関係部局とともに研究し、条例化を検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 野見山議員ご質問の老人保健福祉計画についてお答えいたします。
 お尋ねの紀南地方への県立病院の設置につきましては、医師等医療スタッフの問題や財源問題など、さらに県下全域の医療供給体制の整備などの観点から、なかなか難しい問題であると考えております。
 いずれにいたしましても、本県における保健医療供給体制の整備問題は非常に重要な課題と認識しており、地域保健医療計画の見直しを行い、これに基づき地域医療体制が確立されるよう努力してまいる所存であります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長吉井清純君。
  〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 環境保全対策の干潟、湿原の保全についてお答えをいたします。
 まず干潟につきましては、国の実施する自然環境保全基礎調査として平成二年度に分布状況等の調査が実施され、平成四年九月にその速報が出されたところでございます。詳細な調査結果はただいま国において取りまとめ中であり、本年度中に最終報告が出されることとなってございます。
 昨年の速報によりますれば、和歌山県下の干潟の分布状況は、串本町の橋杭、御坊市日高港等七カ所で、面積にして八十七ヘクタールとなっております。
 また、湿原につきましては、県下にはラムサール条約に登録するような湿原が存在しておりませんが、議員ご指摘のあった田辺市の新庄町に見られる内ノ浦の干潟等の湿地について、国の委託を受けて、本年度、分布概要等の実態調査を実施しているところでございます。
 続きまして、議員ご指摘のウミガメの保全についてでございます。
 自然と人間がいかに接し、共生していくかというモラルの問題が肝要であろうと認識しております。そのため、県といたしましても、自然教育の一環として、自然観察会等を通じて県民の皆様方に自然保護への理解と協力を求めているところでございます。
 海辺への四輪駆動車等の乗り入れによるウミガメの産卵地の破壊につきましては、国立公園においては環境庁長官が、国定公園、県立自然公園においては知事が区域を定めて車馬等の乗り入れを規制することができることとなっておりますが、現在、規制区域は設定しておりません。
 今後の保全対策につきましては、地元市町村からの意見や要望を踏まえ、また関係機関とも調整を図りながら対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番野見山 海君。
○野見山 海君 答弁、ありがとうございました。
 関西国際空港は和歌山県にとって、大きな浮上する一つの要素であります。さきの近畿知事会で論議があったと聞いておりますが、ヘリコミューター基地の整備が確認されたということであります。これによって、ハブ空港としての、関空を拠点にした近畿のヘリコミュニティーセンターネットワークづくりの推進が行われるものと思います。これが充実されると需要の拡大がなされ、神戸沖空港や関空の必要性が薄くなってくるのではないだろうかと思います。そういった意味で、知事には、今後も近畿知事会の中でこの関空の問題について積極的に取り組んでまいっていっていただきたいと思います。
 それから、乗り入れの問題につきましては、JRから非常に厳しいような話をよく聞きますけれども、県当局も一生懸命取り組んでおられるので、それを了といたします。まあ、遠い将来にかかわる問題かもわかりません。
 それはそれとして、紀勢本線から直接くろしお乗り入れというのは非常に難しい要素があろうかと思います。そういった意味で、くろしおの日根野駅での途中下車といいますか停車ということが考えられるんですが、そのときに、日根野駅の同一ホームで利用者の利便性を図っていくことが大事ではないだろうかと思うんです。そういった意味で、その一点だけ、取り組みをお聞かせ願いたいと思います。
 それから、高速道路の紀南延伸につきましては、先輩議員も何回か質問されておりますけれども、紀南にとっては大きな願いであります。今、土・日が休みになり、多くの皆さんが紀南の方に訪れてこられるのは事実であります。下川議員さんもちょいちょい車で県庁にお越しになり、私も一緒に乗せてもらうのですが、もう土曜日や日曜日なんか、物すごい。四十二号線は御坊まで渋滞です。だから、ぜひとも一日も早く広川町の供用開始をしていただきたい。
 そして、先ほども申し上げたように、このまま行くと平成十七年ごろに田辺まで供用開始といううわさがありますけれども、これを一日も早く、一年でも二年でも早く供用開始できるように、我々議員も頑張りますので、ひとつ力添えを賜り、頑張っていただきたいと思います。
 それから特養の関係ですけれども、今、田辺市では八十三名の待機者がございます。田辺周辺を見ますと、皆さんのおかげでその整備がされ、確保できておりますけれども、その上においても八十三名の待機者がおられる。この方々はホームヘルプサービスあるいはデイサービス、ショートステイの事業を受けておられますけれども、何とかもう一つ施設がならんのだろうかという話もあります。しかしまあ、和歌山全体を見た場合に非常に難しい要素があります。
 そこで、一つだけお願いしたいんですが。ショートステイ事業の中で、今は一週間になっておると思うんですけれども、これを十日ということでぜひひとつ検討課題にしていただきたい。内部で一回検討していただければありがたいなと思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。一つだけお願いをします。
○議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 再質問にお答えをいたします。
 同一ホームの乗り入れの問題でございますが、私どもは、まずスイッチバック方式による直通列車の乗り入れを最重点に、当面JRに対して交渉いたしているところでございます。
 南海電鉄につきましては、用地買収が十分でないために高架ができないといった技術的な面がございますので、しばらく時間がかかると思っております。そこで、JRに最重点に直通列車をお願いしてございます。
 ただ、需要の面が大変議論になっており、一日じゅうスイッチバック方式で空港へ直接乗り入れすることができるかどうか、この辺が大変問題になってきてございますので、一歩譲っても、同一ホームでの乗りかえも含めて、スイッチバック方式の直接乗り入れとの併合の中で考えていただきたいということでJRと強硬に交渉しているところでございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宗 正彦君) 以上で、野見山海君の質問が終了いたしました。

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