平成5年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(阪部菊雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成五年十月五日(火曜日)

○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 11番阪部菊雄君。
  〔阪部菊雄君、登壇〕(拍手)
○阪部菊雄君 平成五年九月定例議会の一般質問初日に、お許しを得まして一般質問をさせていただきます。
 今まさに、一大変革と激動の渦中で世界の各国国民はあえいでおります。ロシアでは、大統領派と議会派が銃撃戦を行ったような始末でございます。また中国、ヨーロッパ各国、中近東等、世界至るところで極めて不安定な厳しい様相になっております。
 しかし、共存こそ生き残りの唯一の道として決裂寸前で和解を選択したイスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)とがワシントンにおいて、クリントン大統領の肝いりで、歴史的な「共存しなければ生きられない」という現実的な認識でぎりぎりの場面で破局を回避させたということは、ちょっぴり明るいニュースでもありました。
 想起すれば、我が国も、バブル経済は物の見事に崩壊し、今や全国にさまざまな悲劇と、反面また忌まわしい汚職事件が頻発いたしております。ゼネコン献金は、前国会議員・金丸事件、茨城・宮城両知事、仙台市長等の収賄事件等々、数々が発覚。あってはならない、やってはいけないことであります。ゼネコンの魔手はあらゆる分野にバチルスのごとく侵入しております。国会議員、地方自治体首長、市町村にまで列島汚職・収賄の悲しむべき事件に、まじめな国民大衆の強い憤激を買っております。
 仮谷知事、県勢を浮揚させようという大事業、マリーナシティ建設と世界リゾート博、コスモパーク加太、南紀白浜空港、医科大学の移転等々の大事業がメジロ押しにやってきております。本県も県勢発展のため大きな投資が進行中であります。
 さて、ゼネコンに係る収賄事件は、建設業界の談合を招く原因・指名競争入札制度にあると思考され、連日、政府または都道府県、県庁所在地の市長のほとんどが、制度自体に問題があるとして、行政措置として既に改善策を講じたか具体的な検討中であることが明らかになりました。
 ちなみに、ゼネコン献金は二十七自治体で、ないということであります。当県もそのようであります。県や和歌山市の入札制度見直しの状況は、一部の新聞で報道されております。しかし、尾崎吉弘議員、新田議員に対するご答弁がありましたので、私には答弁不要でございます。
 さて、国政も大きくさま変わりいたしました。政治改革法案の流産、内閣不信任案採決強行、平成の大乱は自民党の分裂で連立時代に突入し、細川内閣が成立となりました。俵孝太郎の「細川内閣が空中分解する日」という「正論」十月号、細川政権の衝撃特集にこんなことが書いてありました。
 新生党の羽田氏にかわって突如として細川氏の名前が出たとき、俵氏いわく、「私が反射的に浮かんだのは、金丸・小沢の直系の羽田では連立政権が成立しない。恐らく社会党が反対するであろうということで、小沢は、細川をトップに据えた内閣なら国民に人気が出るに違いない」──まさにそのとおり、内閣総理大臣に選任されました。さらに俵氏は、「頭八つに分かれた与党が歩調をそろえて進むのは容易なことではない。足並みの乱れはあらゆる局面で起こってくると見てよかろう」と看破しております。
 さて知事、ゼネコン汚職、収賄事件多発の現状から、去る十九日、武村官房長官が茨城県での街頭演説で首長の多選禁止の検討と地方自治法の改正を含めてその必要性を強調いたしております。一方、臨時行政改革推進審議会(第三次行革審)による十月のまとめの最終答申には、「首長の多選は住民の意思により排除することが望ましい」との間接表現で、事実上多選抑制を項目に盛り込む方針であります。また、社会党の山花政治改革担当相は「多選弊害があり、法改正を前向きに検討する」と発言しております。
 私は、他府県は別といたしまして、仮谷知事は第一期目から第五期に至る間、血のにじむような思いで今日の県勢浮揚に最大の努力と英知を傾注してまいりました。仮谷知事はこうした発言をどのように受けとめておられるのか、率直な感想をお聞かせいただきたいのであります。
 私は、それは県民が選ぶものだと思っております。また、三日の産経新聞によると、多選禁止には知事の八割が反対、政令市長八人も反対とのことであります。賛成いたしておるのは、県知事では岩手、群馬、大阪、政令都市では仙台、横浜、川崎であります。しかし、反対すること、それは当然のことと思うのであります。
 次いで、企画部長にお尋ねいたします。
 二十一世紀を展望した県政の大型開発プロジェクトは、そのほとんどが企画部の立案に基づくものが多いのであります。コスモパーク加太計画についてお尋ねいたします。
 平成三年九月定例議会の一般質問で、本問題について前企画部長の在職中にただしたことがあります。すなわち、この開発用地二百七十ヘクタールの中で、住宅などの面積を縮小して約三十ヘクタールを県の総合運動公園にしてはどうかということであります。答弁は極めて低音で、「県、市、県土地開発公社で構成する加太地域開発整備推進協議会において種々調査を重ねた。平成二年十一月、コスモパーク加太開発推進機構を設立。新しい町づくりを目指し、よりすぐれた土地利用計画を策定するため鋭意努力する」と答弁、全く私の質問に答えておりませんでした。
 さて、昨年九月の一般質問で、再度本件について県の総合運動公園として三十ヘクタールを中核として仮谷知事に計画の見直しを提言いたしました。頑固に拒否されないように部長の答弁を求めたわけであります。しかしながら答弁は、「貴重なご意見と受けとめさせていただきたいと存じます」と、全くその気なしの通り一遍の答弁でありました。
 部長、あなたは本年一月十二日、総務委員会かねてからの要請により、東急インにてコスモパーク加太土地利用基本計画について委員会の了承を求め、一月二十日前後に新聞に発表すると発言されました。委員全員から魅力ある町づくりのため検討を続けるべきだという意見があったことを思い出していただきたいのであります。
 あなたは、前部長の計画そのままに近い案で出してきておりました。また参画する十四社とは何の覚書もなく、拘束することすらありませんでした。また、参加されると思っていた十四社──現在一社が辞退されて十三社──も、今回のバブル経済崩壊で完全に撤退されていたのであります。いかがでしょうか。それでもこの大不況下で「待てば海路の日和あり」とのんきに構えているのではないでしょうか。私は特に、計画の大幅見直しを推進協議会に答申する考えありや否や、ご答弁を願いたいのであります。
 さらにまた、現在、大阪地検特捜部に摘発、押収された和歌山市推進の大型リゾート開発・フォレストシティ計画の一件書類はどのようなものであったのか、現段階までの経過について詳細なるご報告を承りたいのであります。また、きのう市役所の方にも捜査されたようでございます。
 さて、次に土木部長、関西空港アクセス道路・阪和自動車道が着工から二十五年目で全線開通、和歌山バイパスの開通、まことにおめでとうございました。知事にも心から感謝を申し上げる次第であります。
 さて、京奈和自動車道橋本道路、県と市で二、三年後に着工へと前進しつつあるということであります。地域住民の利便、地域発展の起爆剤ともなります。現在までの進捗についてご答弁を賜りたいのであります。
 さらに、本年度国道に昇格成りました三路線の今後の整備改修の促進状況と、一昨年、一般質問で特に仮谷知事さんからご高配を賜った答弁をいただきました、伊都地方活性化につながる花園村─美里町へのトンネル構想と、九度山町慈尊院地区から紀の川架橋、高野口町国道二十四号線に連結する新しい道路構想について、該当するそれぞれの町村にどのような指導をなされているか、お答えいただきたいのであります。
 次に、商工労働部長にお願いいたします。
 現下、大不況のどん底に全国の大中小企業が生きるか死ぬかという厳しい危機に直面いたしております。日銀短観によれば、円高の影響と冷夏・長雨による売り上げ不振等により景気は実質底割れし、景気判断の分かれ目とされる五〇%を割り込んでおります。経企庁は全く経済音痴の寄り集まりのように、いまだに「景気は一進一退である」と、まさに無知をさらけ出しているのであります。
 全国の大手企業である自動車、ハイテク電器産業、鉄鋼産業、百貨店、スーパー等の売り上げ不振、紡績メーカー、繊維産業全般の大不況等による工場閉鎖、雇用調整による人員削減等々、リストラを通り越した生き残りのためのうめき声がちまたに満ちあふれております。これにより税収が大幅に減少することは理の当然であります。近畿地区の短観は、八月の時点でマイナス五二と全国最悪で、地方景気はさらに深刻さを増大させており、来春までに回復することは絶対あり得ないところであります。恐らく、ここ二、三年は世界的な奇跡がない限り回復することはないものと私は判断いたしております。
 私どもの伊都・橋本地方のパイル織物は、自動車用シートモケット、玩具、寝装品等々、深刻な窮地の中、悪戦苦闘をいたしております。発展途上国に追い上げられ、円高による輸入急増等々、到底太刀打ちのできない苦境に呻吟いたしております。
 県の助成措置として、工業センターの絶大なるご協力により再織の自動化が完成いたしました。産地振興課、工業センターの各位に心から厚く御礼を申し上げる次第であります。また、今般、国の集積活性化法によりパイル織物とその関連産業の活性化計画が通産大臣の承認を受け、県内での承認第一号となりました。新製品の開発や製品の高付加価値化に取り組む中小企業者に金融、税制両面からの支援をいただくことになりました。この活性化支援計画についてご説明をいただきたいのであります。
 こうした未曾有の大不況下、人減らし、雇用しない企業が県下で増大しつつあり、正常の人さえも働く企業が減少しつつあるとき、障害者、高年齢者の雇用は極めて厳しい昨今、県下の就職等の現況についてお尋ねし、さらにこの方々の雇用促進を企業に対してどのように対処しているのか等、詳細にご答弁いただきたいのであります。
 また、世界リゾート博と県内観光とをどのようにセットしてキャンペーンを実施するのか、具体的なその計画があればご答弁を願いたいと思います。
 次いで民生部長、平成二年六月の定例議会で全員賛成で可決されました議請第八十三号「伊都地方に心身障害者更生施設の設置について」は、民生部の重要な案件として積極的に取り組んでいただきたいと思います。特に、最近、市町村長さんの意向も極めて良好となりつつありますので、早急に再調整をしていただきたく、今後の考え方、進め方等について詳しくご答弁を求めます。
 また、急速に高齢化が進んでおり、当県は全国でも上位の高齢化社会になっております。これらの高齢者の方々の福祉と医療施設等の設置も、伊都・橋本地方にできるだけ早く実現できるよう特別のご配慮をしていただきたいと思います。これについては、門、平越、向井の三議員とともに念願して当たっておる次第でございますので、ご披露申し上げておきます。
 次いで保健環境部長、私は平成二年九月定例議会で酸性雨によるコンクリートの公共構造物への影響についてお尋ねいたしました。本年度の調査によりますと、強い酸性雨により樹木を枯死させたり、湖沼、土壌等、極めて濃度の高いものとなりつつありますが、現在はいかがなものでありましょうか。また、河川等の浄化についての対策はいかがでしょうか。
 さらに、エイズについてお伺いいたします。
 最近、アメリカではエイズ患者が三十万人を突破、既に六一%が死亡したと米防疫センターの六月末の集計で明らかにされました。また、アジア開発銀行はエイズの流行がアジア諸国の経済にどう影響するか調査研究し、将来予測を報告いたしました。報告によりますと、特に深刻なタイでは、エイズ感染者は三十五万人以上、その経済的損失は十九億ドルに達するといいます。また、感染者が百万人以上と推定されるインドや十九万人もいるというミャンマーでも、若年労働者を中心に急増いたしております。西暦二〇〇〇年には、世界のエイズ感染の中心はアフリカからアジアに移るのは確実との見方であります。恐らく、何らかの対策がなければアジアの経済に深刻な打撃となるであろうと報告されております。
 さて、県下の発生は現在何人でしょうか、また潜在患者を推定いたしましたらどれぐらいあるのでしょうか、ご答弁いただければありがたいと思います。
 次に教育長、教育の現場においてエイズについてどのような教え方をしておるか、これもお伺いする次第であります。
 さらに、県立高校の年間授業日数、授業時間について、私が平成三年九月の一般質問でお伺いし、その後、教育委員会、西川教育長の並み並みならぬご努力により相当改善されたと承っておりますが、その後の経過と改善実績について詳細ご答弁をいただきたいのであります。
 さらに、学校週五日制の定着と生徒、父兄の考え方について現在どのように推移しているのか、お答えいただきたいのでございます。
 また、高校一学級四十人定数の未実施九校について平成六年度より実施するかどうか、ご所見をお尋ねする次第であります。
 次いで、現在また問題化しつつある校則についてお伺い申し上げます。先日の新聞報道によると、私服で登校しておる生徒がおり、しかも修学旅行には私服での参加を主張しているようでありましたが、ここ一両日、制服で参加したというふうにも承っております。
 ところで、各学校には服装規定など校則があると思うが、ほかにどのような校則があるのか、それは絶対守らせるべきものなのか、校則の意義について学校では生徒にどのように指導しているのか、また校則について教育委員会は各学校にどのように指導しておるのか、お伺いするものであります。
 さて農林水産部長、ことしは大変な冷夏、長雨により農作物、果樹等に多大の打撃となりました。全国の稲作は戦後最大の凶作でありますが、県下の作柄はいかがでありましょうか。また、果樹や蔬菜等の作柄はいかがでありましょうか。
 さらにまた、関西空港は来年九月開港となりましたが、これに対応するフライト農業の育成はどう進捗しておるのか、お尋ねする次第であります。
 さて、終わりでございまするけれども、私は今が一番重要な県政の正念場だと思っております。仮谷県政に対して百八万県民は熱い願いを込めて見詰めております。しかし、仮谷知事の政策を推進するためのスタッフ、西口副知事、梅田出納長、中西知事公室長を初め各部の部課長、局長、職員の皆さんは、さらにお互い協力し、競輪の使い込み事件や元企画部長の職責利用のような、知事に迷惑をかけないようにさらなるご精励を切願いたしまして、第一回の質問を終わるものであります。
 ありがとうございます。
○議長(宗 正彦君) ただいまの阪部菊雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 阪部議員にお答え申し上げます。
 知事等の首長の多選禁止についてでございます。
 政治改革が、お話ございましたような大きな流れでございます。そうした中で、首長の多選を法律でもって規制しようという動きがあるということも私は承知しておりますし、また私に対してもいろいろなアンケート調査があるわけでございます。しかし、この問題は過去二回、昭和二十九年と昭和四十二年に規制のための法案が国会に提出されまして、種々の議論が重ねられた経過がございます。
 私は、四年に一度、有権者の信を問う現在の選挙制度、また地方自治制度のもとで、有権者の判断に任せるのが最善の道ではないかと考えております。しかし、いずれにしても、いろいろな政治問題、行政問題等があります。そうした中において、もし多選を禁止するとしたならば何を基準にやるべきか、また、地方自治制度、選挙制度、さらには我が国の政治の仕組みなどとあわせ、さらに広く国民の議論を掘り下げる必要があるのではないかとも思っておるわけでございます。
 指名競争入札の答弁はもう要らないということでございましたので、省略させていただきます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) まず、コスモパーク加太計画の再検討についてのご質問にお答えをいたします。
 コスモパーク加太計画は、民間活力の導入を基本に町づくりを推進しているところでございまして、昨年十二月に推進機構で土地利用計画案を取りまとめたところでございます。かねてよりコスモパーク加太の土地利用計画については、阪部議員を初めとして県議会から種々のご提言をいただいているところでございまして、現在、推進機構において、昨今の予想を上回る厳しい経済情勢の動向を見きわめつつ、公共的利用も含め、あらゆる角度から再検討を行い、策定に向けて懸命の努力を続けているところでございます。
 次に、大阪地検特捜部摘発についてでございますが、大阪地方検察庁係官が去る八月四日に訪れ、和興開発株式会社に関する国土利用計画法違反容疑に関連した書類の閲覧を求めましたので、これに応じたところでございます。そして九月二十一日には、和興開発株式会社及び関係者に対し、国土利用計画法違反容疑により強制捜査がなされ、翌九月二十二日、同庁係官が再度来県し、国土利用計画法違反容疑に係る和興開発株式会社関係の土地売買届け出等の書類及び燦黒潮リゾート構想関係書類の提出を求められましたので、これに協力したところでございます。
 県といたしましては、今後の捜査の成り行きを見守ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 まず京奈和自動車道橋本道路については、平成元年度に事業化をされ、平成三年度から用地買収を進めております。現在、橋本市の真土、上兵庫、下兵庫、市脇地区で用地買収を進めておりますが、市内の各所に公図混乱があり、公図訂正をしながらその促進を図っておるところでございます。また高野口町については、現在、町において地籍調査を実施していますが、一、二年後にはこれを完了して用地買収に入れる予定と聞いております。今後、事業の促進を図るため、建設省に対して予算の拡大等、強く要望してまいります。
 次に国道昇格三路線の整備でございますが、本年四月に三路線、百七十九キロメートルが国道となりました。平成五年度において、国道三百七十号では改築事業二工区、特殊改良事業一工区、国道四百二十五号では特殊改良事業一工区、また国道四百八十号では改築事業一工区、特殊改良事業七工区で事業の促進を図っております。残る未改良区間についても、現在事業中の箇所の進捗状況を見ながら早期整備に努力をしてまいります。
 次に、橋本・伊都地方の活性化対策としての問題でございます。
 まず、花園村─美里町のトンネル構想でございますが、これは町村道花園長谷線で、花園村側で約三・二キロ、また美里町側で約六・〇キロメートル、全延長で九・二キロメートルの道路でございます。現在、両町村において公共事業でそれぞれ一カ所ずつ事業中であります。当該区間全体計画の一部として花園村においてルート等の調査を行っておりますが、美里町側での調査がおくれている状態でございます。当区間は地形が非常に険しく、長大トンネルとなることから、技術的にも予算的にも厳しい状況でありますので、今後、事業手法等も含めて両町村と相談をしてまいりたいと思います。
 次に、九度山町慈尊院地区から紀の川架橋を含め国道二十四号に連結する新しい道路構想については、現在ご要望の付近は紀の川の左右岸の道路整備がおおむね完成をしたところでございます。現在、京奈和自動車道のインター関連として町道八号線の改良を県が代行事業として進めており、さらにこの代行区間の北側についても町事業として整備を推進いたしております。
 架橋構想については、膨大な事業費が必要なこと、さらに九度山橋から約一・四キロメートルと比較的近接をしておること等から、早期には実現が困難であろうかと考えておりますけれども、地域の将来の課題として両町間において取り組んでいく必要があると考えられます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長吉井清純君。
  〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 地場産業の活性化、振興対策及び障害者、高年齢者の雇用についてお答えをいたします。
 県内の地場産業の状況は極めて厳しいものがございますが、議員お話しのとおり、橋本・伊都地方を中心とする特殊織物業界はとりわけ厳しい状況にあると認識しているところでございます。
 当業界の活性化を図るため、特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法に基づき、橋本・伊都地域の活性化計画を策定し、本年七月に国の承認を得たところでございます。この計画では、パイル織りの技術を生かしつつ、難燃性、抗菌性、防音性等の機能を付加した新商品の開発を進め、新しい分野への進出を図ることとしてございます。また、両面毛布製造過程での自動化装置の開発等についても取り組むところでございます。今後とも、工業技術センターを中心に関係業界と一体となって特殊織物業界の振興に努めてまいりたいと考えております。
 続いて、障害者の雇用については、雇用率制度に基づく雇用の確保を中心に各種の施策を積極的に展開しているところであり、本県の平成五年六月の調査では、民間企業での実雇用率が一・九三%と前年に比べ〇・〇二ポイント増加しており、雇用情勢全般が悪化の中にあっても着実に改善しつつございます。しかしながら、企業規模別、業種別には格差が見られるとともに、とりわけ重度障害者を中心に雇用の立ちおくれがございます。したがって、今後とも事業主などへのさらなる理解と協力を求めてまいりたいと考えてございます。
 一方、高年齢者の雇用については、六十歳定年の完全定着を目指すとともに、六十五歳までの継続雇用の推進及び定年退職後における臨時的、短期的な就業の場の確保などに社団法人高年齢者雇用開発協会との連携のもとに雇用促進大会を開催するなど、積極的に取り組んでいるところでございます。
 最近の雇用失業情勢を見ますと、景気低迷の影響を受けて有効求人倍率は低下傾向で推移しており、雇用情勢が一層厳しさを増す中、障害者、高年齢者の就職についてきめ細かい職業相談を行うとともに、雇い入れ時の各種助成金制度の活用を図りながら求人開拓を実施し、さらに早期就職の促進に努めてまいる所存でございます。
 最後に世界リゾート博と観光PR活動についてでございますが、世界リゾート博に向けて首都圏、中部圏、近畿圏においてテレビコマーシャルの放映を実施するとともに、新聞、雑誌など種々の広告媒体の活用やイベントの開催などを通じ、強力にPR活動を行っているところでございます。また現在、JR各社及び市町村等と共同で全国の主要駅においてキャンペーンを展開中でございます。一方、関西国際空港の開港を控え、オーストラリア、シンガポール、韓国などでのPR活動も行っているところでございます。
 これら広告宣伝活動を通じ、世界リゾート博の告知宣伝はもとより、県下の各観光地のPRを行い、この機会に博覧会に来られた方々にさらに県内観光地へお越しいただき、歴史・文化に彩られた本県のすばらしさを認識していただきたいと考えてございます。なお、去る六月中旬には全国から約三百名の旅行エージェントの方々にご参集をいただき、全国宣伝販売促進会議を開催し、博覧会会場を中心として県下の観光地を結ぶ旅行商品の企画を依頼したところでございます。
 いずれにしても、博覧会を契機に本県の観光振興を図るため、今後とも宣伝活動を積極的に進めるとともに、誘客に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 民生部長南出紀男君。
  〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 阪部議員の障害者、高齢者施設の整備についてお答えをいたします。
 まず心身障害者更生施設の整備でございますが、近年の障害の重度化、障害者の高齢化にあわせ、また保護者の方々の高齢化も問題となってございまして、施設の充実は重要な課題と考えてございます。
 伊都地方における障害者施設の整備については、議員のお話のとおり、平成二年六月の県議会において請願を採択していただき、関係市町村並びに伊都地方心身障害児者父母の会等の意向を聞きながら検討してまいりましたが、現在、伊都地方市町村等において設置場所、運営主体について協議されていると聞いてございます。
 県としては、地域性、ニーズ等から紀北地方での施設配置の必要性は承知をしておりますので、今後、地元の協議の結果を踏まえ、関係市町村並びに父母の会等とさらに協議を重ねてまいりたいと考えてございます。
 次に高齢者施設についてでございますが、高齢化が進む本県においては、高齢者対策は県政の重要な課題であります。このことから、全国に先駆けて老人保健福祉計画を本年五月に策定し、平成十一年度末までの保健福祉サービスの目標を設定したところでございます。
 今後は、サービスの実施主体である市町村と連携しながら目標の達成に努力してまいりたいと考えていますが、なお伊都・橋本地域の高齢者施設についても、この計画に基づき漸次整備を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 阪部議員ご質問の酸性雨、河川浄化等の環境対策ですが、酸性雨については、平成元年から衛生公害研究センターで測定を行っており、平成四年度では平均pH四・九でございました。環境庁がまとめた昭和六十三年から平成二年までの全国のpHを見ると四・三から五・三で、和歌山の酸性雨は弱い方にあると思われます。
 また河川の水質汚濁については、県内の十九河川の水質調査及び中小七十一河川の水質調査、並びに排出源の調査等を行っており、この結果、工場等の排出源は規制等により減少し、生活排水系の汚濁が増加しています。このため、水環境保全啓発事業等や環境教育推進事業を行うほか、地球環境保全普及啓発事業を行うこととしております。
 続いて県下のエイズ感染と予防対策ですが、最近のエイズ患者・感染者の状況は、ことし一名の感染者の報告がございました。この感染者は三十歳代の外国人男性で、現在までの県内の患者・感染者数は四名となりました。しかし、これは本人の意思で検査を受けて感染を確認された人であって、議員ご指摘のとおり、厚生省の研究によると現実の感染者数は報告数の八・七倍と推計していることからも、潜在的感染者の存在が懸念されるところです。
 エイズ予防対策としては、正しい知識の普及と患者・感染者に対する偏見や誤解をなくすことが大切であります。保健環境部としてもこれらのことを踏まえ、各種民間団体等を含めた和歌山県エイズ予防啓発特別促進協議会をこの七月に設置し、各分野からのご意見をいただいて啓発普及を積極的、総合的に推進しているところです。
 また、保健所における相談や現在実施しているHIV-1型検査に加え、この十月からHIV-2型の検査を実施し、検査体制の充実を図るとともに、受け入れ病院についても医療従事者の研修を実施する等、積極的な体制づくりを推し進めているところであります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 農林水産部長野見典展君。
  〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 阪部議員にお答えいたします。
 農林業振興対策のご質問の、まず本年の稲作の状況でございますが、本年は冷夏、豪雨、日照不足に加え、台風の襲来や秋雨前線の影響等で水稲や果樹、野菜等、農作物への影響が懸念されてきたところでございます。
 水稲の作柄については、北海道、東北、九州地方を中心に冷害やいもち病などにより著しい被害をもたらしてきたことから、去る九月三十日、農林水産省が発表した全国の作況指数は「著しい不良」の八〇、本県は平年をやや下回る九七となってございます。今後、収穫最盛期を迎え、適期刈り取りと適切な乾燥調整により品質の向上を図るよう指導してまいります。
 なお、全国的な作況指数の低下による米の品不足が予想されることから集荷の大幅な落ち込みが考えられるため、食糧事務所、市町村、農業団体など関係機関と連携をし、有線放送、チラシの配布などによる集荷の促進に努めているところでございます。
 次に、果樹、蔬菜等の作柄についてでございますが、桃については長雨による落果や腐敗果等が発生し、作柄は前年対比八五%の一万千九百トンとなってございます。また温州ミカンについては、現在、果実の肥大は順調で、前年対比一〇二%の二十二万九千七百トン、柿については前年対比一〇三%の五万六千五百トンが見込まれてございます。また蔬菜、花卉の作柄については、キュウリやトマト、ナスなどの果菜類や菊、バラ等の生産量は前年に比べやや減少となってございます。
 今後とも引き続き、気象の推移や生育状況等を的確に把握しつつ、栽培管理の徹底や計画的厳選出荷等、生産販売対策について適時適切な指導に努めてまいる所存でございます。
 次に、フライト農業の現況でございます。
 関西国際空港等の立地に対応したフライト農業の育成については、これまで施設栽培を軸として、各種の補助事業や制度資金を活用しながら、品質の高い農産物を安定的に供給することを基本として推進してきたところでございます。現在までにトマトの養液栽培を初め、桃、柿のハウス栽培やバラ、カーネーション等、百二十ヘクタールの計画に対して八十五ヘクタールの施設園芸団地が形成されているところでございます。
 一方、県産農産物の機内食への供給については、大阪空港出発便では既に県産ジュースが機内食として採用されており、関西国際空港においても議会の協力をいただきながら、農業団体と一体となって積極的に働きかけてきたところ、既に機内食供給会社二社が現地工場調査を行うなど、明るい見通しと判断してございます。
 今後とも引き続き、本県の地域特性を生かしながら、年間を通じて供給できる産地体制の整備と、既に設置している県農協連の特需センターや花卉流通センターの機能強化、また生鮮野菜を中心とした加工施設の整備とあわせ、空港周辺需要や機内食供給などの販路開拓等、総合的な施策を講じながら、フライト農業の展開に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) エイズ教育と教育振興についてお答えいたします。
 エイズ教育についてでございますが、エイズは潜伏期間が数年から時には十年に及び、感染者が気づかない間に蔓延する危険がありますが、その反面、感染経路が限られておりますので、正しい知識を持ち、適切な注意を払うことによって感染の危険を回避できる病気であり、その意味で「教育こそエイズ予防のワクチンである」と言われております。
 このため、学校教育においてできるだけ早い時期にエイズ予防の基礎となる正しい知識を身につけ、またエイズに関する誤解や偏見を除くよう、性教育と関連づけながら学校教育活動全体を通じて計画的に取り組むことが重要な課題であると考えております。
 教育委員会としては、平成五年一月に、小学校以上のすべての学校に「エイズに関する指導の手引」を、また高校生全員にパンフレットを配布し、県下各地方において教職員、PTAの指導者等を対象に研修会を開催してまいりました。これを受けて各学校では、ホームルームや保健体育を初めとする各教科で、発達段階に合わせエイズ予防の基礎となる正しい知識と衛生的な生活習慣を身につけ、感染者に対する偏見を払拭する指導を計画的に進めているところでございます。
 さらに本年度からは、中学生を対象に文部省作成のパンフレットを配布するとともに、和歌山市を国のエイズ教育推進地域として指定し、小・中・高等学校並びに家庭、地域の連携によるエイズ教育の実践、研究を進めてございます。今後とも、エイズ予防対策における教育の重要性を踏まえ、積極的にエイズ教育を推進してまいる所存であります。
 次に、県立高校における授業の日数についてでございますが、平成三年九月議会において議員からご指摘を受け、本県の実態は全国平均より年間二十日程度少ない状況にあると答弁いたしました。
 授業日数を確保することは、生徒の学力水準の向上はもとより、将来の進路保障につながるものであり、これを本県における教育改革の最重点課題の一つとして位置づけ、その取り組みを進めてまいりました。
 平成四年一月には授業の日数及び時間数の確保に関する教育長通知を出すとともに、校長会、教頭会、教務部長会等において年間二百十日以上の授業日数の確保と長期休業前後の短縮授業の解消や年間指導計画の見直しなど、創意工夫ある取り組みを行うよう指導してまいりました。各学校にあっては、始業式、終業式当日における授業の実施、二学期制の導入、六十五分授業の実施などの努力がなされたところであります。その結果、平成四年度の年間授業日数は全学年において大幅にふえ、特に一年生については全日制で二百十四日、定時制では二百十二日となり、また年間を通して学校週五日制を実施している平成五年度においても二百十日以上を確保できるものと考えてございます。
 今後も、この日数の確保とともに、一時間一時間の授業を大切にすることや、授業内容及び方法についても一層工夫を凝らし、魅力ある授業を展開することなど、教育効果を高める取り組みを進めるよう努めてまいる所存であります。
 次に学校週五日制についてでございますが、昨年の九月に学校週五日制を導入してからちょうど一年が経過したところでございます。この間、各学校においてはさまざまな創意工夫により学力の向上維持に努めるとともに、休みとなる土曜日や日曜日の過ごし方についても指導を行ってきてございます。さらに、社会教育施設や学校の施設を積極的に開放するとともに、子供が参加できる各種の事業を実施してまいりました。
 この学校週五日制の実施について保護者や子供たちの意識等を把握するため、平成五年一月、本県において独自のアンケート調査を行いました。その結果、月一回の実施について、保護者の賛成は五五%と過半数を超えており、保護者の理解も進んできていると考えてございます。小学生や中学生の賛成は八〇%を超えており、その理由として「友達や家の近くの人と遊ぶことができた」、さらに「家の手伝いができた」、「公民館や図書館に行くことができた」ことなどを挙げており、休みの土曜日を活用してそれぞれがさまざまな過ごし方をしております。このように、生活体験、自然体験などが従前にも増して深まりを見せつつあり、月一回の五日制は定着しつつあると受けとめてございます。
 しかしながら、心身に障害を持つ子供たちへの手だて、あるいは留守家庭の子供への配慮、ボランティア活動の促進などの課題があると認識してございます。こうした課題を踏まえ、今後とも一層、学校、家庭、地域社会の連携を図り、学校週五日制の定着に向けて鋭意取り組んでまいる所存であります。
 次に、高校における四十人学級定員の実施についてでありますが、平成四年度に八校、五年度に十二校の計二十校を実施してきたところであり、これは国の計画を大幅に上回ってございます。平成六年度は未実施校の九校についても四十人の学級定員とするよう努めてまいりたいと考えております。
 次に校則についてでございますが、学校が集団生活の場であることや生徒が心身の発達過程にあることなどから、学校には一定の決まりが必要であり、校則が定められてございます。各学校の校則には学習に関するものや生徒の服装、しつけ、安全等の生活に関するものがあります。校則は、学校の教育方針、生徒の実態、保護者の考え方、地域の実情等を踏まえて各学校においてつくられているものであり、すべての生徒が健全に学校生活を送り、よりよく成長、発達していくための指針となる意義あるものでございます。各学校にあっては、ホームルームや生徒会活動、アセンブリー等を通じて生徒に校則の持つ意義を理解させ、これを自分のものとしてとらえ、遵守するよう指導に当たっているところであります。
 なお、私服登校の生徒についても、当該校では校則にのっとり教育的観点から粘り強く指導を行ってきており、本日、当該生徒は制服を着用して修学旅行に参加したと報告を受けてございます。今後とも、校則を教育指導の一環として適切に運用していくよう指導してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 11番阪部菊雄君。
○阪部菊雄君 企画部長から、推進機構において昨今の厳しい経済情勢の動向を見ながら従来のあり方をどうするかということで、公的なものも含めて検討しておるというお答えを聞いたわけでございます。やはり将来の和歌山県民あるいはその子孫のために、すばらしいそうした計画の中に私の申し上げたようなことも含めてご検討いただければ大変ありがたいと思っております。これは要望いたしておきます。
 さらに民生部長でございますが、議請八十三号についてはいろいろとご配慮賜っておりますことにつきまして、心から御礼を申し上げる次第でございます。
 聞くところによりますと、来る十月十五日に伊都郡の市町村長さんと医師会、障害者父母の会の役員の皆さんとこれについて第一回の会合を持たれるようでございます。施設の中にさらに授産場も一緒に併設していただきたいということでもありますので、ぜひよろしくご指導のほどをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で阪部菊雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十二分散会

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