平成5年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(新田和弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成五年十月五日(火曜日)

○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 44番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、景気対策についてお尋ねをいたします。
 経済企画庁が九月十四日に発表した四─六月期国民総生産(GNP)実質成長率は前期比〇・五%減、年率換算で二・〇%減に落ち込み、三期ぶりにマイナス成長に逆戻りとなりました。これは、個人消費など内需の低迷に加え、円高で輸出がダウンとなり、外需も落ち込んだためと言われております。さらに七─九月期も、一ドル百円に迫る円高の進行と冷夏の影響で、もう一段悪い数字になるとの見方が強まっております。一橋大学の中谷教授は、「九三年度を通した成長率はゼロ成長もしくはマイナス成長の公算が高まるだろう。昨年の〇・八%成長に続いて今年もマイナス成長ということになれば、平成不況は戦後最悪の大不況になる」と警告しております。
 こうした状況に対し政府は、経済対策として四月の新総合経済対策十三兆二千億円に続いて九月十六日に、規制緩和、円高差益還元策に加えて新たに六兆二千二百三十億円規模の財政支出を盛り込んだ緊急経済対策を決定しました。また日銀は、九月二十一日に現行年二・五%の公定歩合を〇・七五%引き下げて年一・七五%とし、即日実施したところであります。
 長引く景気の低迷は平成五年度の国の税収にも影響を与え、七月までの税収実績では法人税が一一%マイナス、所得税も八・二%マイナスとなり、こうした傾向が続くと、予算の見積額に比べて五兆円を超える大幅な税収不足になる公算が高くなってきております。さらに、景気の低迷と急激な円高は企業の一層のリストラを促進させ、八月現在、有効求人倍率が全国平均で〇・七〇まで低下し、完全失業率も二・五%に上がるという極めて厳しい雇用情勢となり、新卒者の求人数も著しい減少を示しております。
 本県においては、景気対策として昨年九月の過去最高規模の補正予算を初め、景気に配慮した五年度当初予算、さらに新総合経済対策を受けて、六月の百七十三億円に上る異例の大型補正予算に加えて今議会に百七十一億三百万円の大型補正予算を上程され、景気対策にかける知事の熱意を感ずるものであります。
 そこで、仮谷知事にお尋ねいたします。
 本県においては、景気対策として思い切った公共事業の確保と上半期前倒し八〇%達成を目指して事業の発注・執行に当たっていますが、最近の公共事業に絡む汚職の摘発により、談合の温床となる指名入札制度を見直すことが叫ばれています。また、公共事業の入札をこれまで以上に慎重に対応していくため、契約に相当の時間を要すれば契約率が伸びず、せっかく予算化された工事執行がおくれてしまうのではないかと心配されております。事実、建設省の発表したゼネコン大手五十社の受注調査においても、八月の地方自治体等の受注額が前年同月比で四二・七%の大幅なマイナスとなってきております。知事は入札制度の見直し及び公共事業の速やかな発注と執行をどう進められるのか、お尋ねをいたします。
 次に、関係部長にお尋ねいたします。
 一、五年度の国の税収は五兆円を超える大幅な税収不足との予測であります。本県でも昨年は九月に減額補正をしましたが、本年度の税収見通しはどうか。
 二、国の新総合経済対策を受け、本県においても振興資金二十五億円、特別融資枠十五億円の拡大が補正計上されていますが、今年度の貸し付け実績はどうか。
 三、貸し付けの条件緩和において、中小企業信用保険法の限度額が倍額となる特定業種の指定を弾力的に実施する保証の弾力的活用、及び超低金利を反映する貸出金利の引き下げの改善はどうか。
 四、円高や冷夏による企業活動の低迷により、近畿地区の雇用情勢も悪化の一途をたどっております。本県においても有効求人倍率の動向と中高年者に対する雇用の確保をどう進めるのか。
 五、労働省では日経連を初めとする八十四業界・団体に対して中学、高校、大学の新規卒業者の採用拡大を文書で要請されたとのことでありますが、本県での新規卒業者に対する求人状況と地元業界・団体に対して採用拡大にどう対応されるのか。
 以上五点、お尋ねをいたします。
 次に、地域情報化計画についてお尋ねいたします。
 我が国における社会経済の情報化が進展する中で、企業を中心として電気通信サービスに対するニーズが高度化、多様化してきており、例えば映像伝達やLAN(企業内情報通信網)間の接続に見られるように、高速・広帯域な通信サービスのニーズが顕著になってきています。
 しかし、現在の通信基盤は基本的には明治以降百年近く要して全国に整備された電話網を基礎として構築されているため、伝達能力等は必ずしも十分でなく、これにかわるものとしてISDN(総合サービスディジタル網)を初めとする新世代通信網の構築が急務となっています。
 新世代通信網は、各家庭や企業への通信回線として現在の電話回線にかえて光ファイバーケーブルを用いるなど、音声、文字、映像等の多様かつ大量な情報をまとめて超高速で伝達することを可能とする通信網であります。そのために、企業はもとより家庭においてもテレビ電話が実現するなど、社会経済の発展基盤として豊かな生活の実現や産業活動の高度化、地域社会の活発化等に大きく寄与するものと期待されております。平成五年度の「通信白書」は、四年度の国内情報通信サービスの電気通信分野ではISDNサービス、高速ディジタル伝達サービス、自動車携帯電話サービス等が大きな伸びを示しているほか、多様なサービス機器の提供、通信料金の値下げ等により高度化、多様化が進展していると述べております。
 郵政省は、三年度から五年度にかけ、電気通信基盤充実事業として総額七千百五億円の事業を行い、さらに景気対策として、昨年の総合経済対策で電力、NTT等の設備投資追加分七千億円、本年の新総合経済対策でも六千二百億円が措置され、新社会資本の充実としてネットワークのディジタル化投資の繰り上げ、光ファイバー網関連投資の追加など、設備投資の前倒し及び設備投資額の上積みが行われてきております。
 本県のNTTのサービス網充実計画によると、総合ディジタル網の整備投資額は五年度八十八億円で、ディジタル化率は五年度末で六八・二%になるとのことであります。また本県は、情報文化都市和歌山を目指して平成四年三月に地域情報化推進計画を策定し、県内ネットワークの構築を図ろうとしております。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 一、現在、国において電気通信基盤充実事業が積極的に進められていますが、本県においても、情報化社会を迎え、コンピューターネットワークが重要な社会基盤を形成するときを迎えています。本県は、広域的なネットワーク基盤の整備として、和歌山、田辺のアクセスノードを県内の地域拠点に拡充し、さらに東京、大阪とも結ぶ高速ディジタル占有網いわゆる黒潮ネットワークの整備推進を目指しておりますが、知事は今後どう進められるのか。
 二、地域情報化の推進として御坊・田辺広域テレトピアが昭和五十九年にモデル地域指定を受け、推進機関として第三セクター株式会社テレコムわかやまが設立されております。加えて、四年度から郵政省を初めとする関係省庁が地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置を促進するとしていますが、知事は地方拠点都市にふさわしい地域情報化をどう進めるのか。
 以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、企画部長にお尋ねをいたします。
 一、県内の情報通信基盤の拡充のためにNTTを初めとする電気通信事業者の積極的な事業投資が求められるところでありますが、本県におけるNTTのディジタル化率を一〇〇%にするために今後どう推進していくのか。
 二、黒潮ネットワークを活用した各種の情報システムの整備とネットワーク管理の心臓部となるKI─Linkシステムの推進をどう進めるのか。
 三、郵政省が三年度から生活関連公共投資として実施する、電気通信格差是正事業の自動車電話用鉄塔整備事業や民放テレビ放送難視聴解消事業等について、本県はどう進めるのか。
 四、通産大臣の諮問機関である産業構造審議会が、国立大学と研究機関にLAN(構内通信網)を整備してネットワークで結ぶことを提言しています。本県では和歌山大学、近畿大学、工業技術センター、リサーチラボ、県立医大等を結ぶリサーチダイヤモンド計画を計画しておりますが、今後どう進められるのか。
 以上四点、お尋ねをいたします。
 次に、MRSAの院内感染についてお尋ねをいたします。
 今年の三月に高野口町で七十二歳の女性の方が亡くなり、私の遠縁に当たる人でもありましたので葬儀に参加させていただきましたが、その後、ご主人がぜひ話を聞いていただきたいと和歌山まで来られました。
 話によりますと、亡くなられた奥さんは、昨年五月ごろに腎臓病で橋本市民病院に入院していましたが、十月ごろ腎臓病による尿毒症で人工透析が必要となり大阪労災病院に転院。その後、透析を行って快方に向かい、週三回の透析を実施していけば退院も可能と言われるまでによくなったそうであります。しかし、十一月二十七日に突然MRSA菌が検出されたと聞かされ、部屋の前に手洗いとゴム手袋が常設されるようになったそうであります。付き添っていたご主人は、自分の病室と同じように手洗いとゴム手袋の置かれている病室が同じ階に何カ所かあるのに気がつき、院内感染したのではないかと思ったそうです。治療の結果、幸いにして正月明けには医師より菌がなくなっていると聞かされ一安心しましたが、二カ月後の三月三日に再びMRSA菌が検出、三十八度近い発熱を繰り返し、十日後に急性肺炎による呼吸困難で亡くなられたそうであります。
 ご主人いわく、腎臓病の人工透析で入院した妻が二度もMRSAに感染してとうとう死んでしまったことにやり場のない不満を訴えながら、「せめて院内感染を防ぐ対策をぜひに」と言って帰られた次第であります。
 六月の本会議でMRSAの院内感染の質問に答えて江口保健環境部長は、「黄色ブドウ球菌は自然界に広く生息する菌であり、このうち抗生物質の多用により出現したのがメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)であります。 MRSAに感染しただけでは何の症状もないことが多いわけですが、保菌者の免疫力が著しく低下したとき等にMRSA感染症が発症する可能性が高くなります。臨床像は、感染部位によりさまざまですが、皮膚炎、肺炎、敗血症等を引き起こします」と答弁しています。
 また医大の駒井学長は、医大において「昨年一年間に七十八人にMRSAが発見されておりますが、そのうち二十六人がMRSAによる感染症状を起こしており、入院患者が約六千三百人でございますから、その率は〇・四%でございます。この数値は、私が聞く範囲では、重症者を扱う他の病院に比して少ないと思います」と答弁しております。しかし、医大一カ所で一年間に二十六人の感染症があったことからしますと、県下の九十八カ所の病院での発生を考えると、本県においても相当数の感染症の数があるものと推測されます。
 厚生省は、平成三年六月にMRSAの院内感染対策として、医療施設ごとに対策委員会を設けて消毒や清掃などのマニュアルを作成するよう都道府県に対して通達、四年三月には院内感染防止マニュアル「MRSAに注目して」を作成し、国立病院などに配布してきております。本県においても、通達を受けて、感染対策委員会の設置と院内感染に対するマニュアル作成を行うよう病院に対して指導してきているところであります。
 さらに厚生省は、本年一月に都道府県に対して「院内感染対策への積極的な取り組み」との通達を行い、施設内感染総合対策として、一、抗生物質製剤の適切な使用法の徹底、二、施設内感染防止に関する教育・研修、三、施設設備事業の推進、四、施設内感染対策の指導の徹底、五、調査研究の推進の五点の実施を示しました。本県では、こうした状況を受けて、九月補正予算に院内感染対策推進のための予算三百八万八千円が計上されたところであります。
 そこで、保健環境部長にお尋ねいたします。
 一、九月補正でのMRSA等による院内感染対策推進の事業内容はどうか。
 二、県内の各病院におけるMRSAの保菌及び感染症の実態調査を実施されてはどうか。
 三、MRSA感染対策の決め手は消毒の徹底と感染者の隔離に尽きるとも言われていますが、施設設備事業の推進を今後どう対応されるのか。
 四、MRSAが世界で初めて発見されたイギリスでは、MRSAの検出率は日本の十ないし二十分の一と言われています。その原因は、感染対策専門の看護婦(ICN)の存在が大きいとのことであります。本県においてもICNの育成・設置を推進されてはどうか。
 以上四点、お尋ねをいたします。
 次に、高校入試制度の改善についてお尋ねをいたします。
 文部省は、新しい学習指導要領の実施に当たり、中学校の九一年度入学者から指導要録の改善を実施してきています。改善の内容は、生徒の成績評価について、クラスや学年の中での位置を示す従来の相対評価から、学習目標にどこまで到達しているかを見る絶対評価中心に転換したことであり、この新しい様式では絶対評価の観点別学習状況を基本とすると最重視し、相対評価の評定は補完的なものと位置づけています。
 中学校では、必修教科は従来どおりの五段階相対評価であるものの、選択教科はABCの三段階絶対評価に変え、また観点別学習状況は、一、関心・意欲・態度、二、思考・判断、三、技術・表現、四、知識・理解の四項目を設定、本人の到達度をA(十分満足できる)、B(おおむね満足できる)、C(努力を要する)の三段階で記入するとしております。
 県教委は、中学校における新しい学力観に基づいた学習指導を生かし、偏差値に依存しない特色ある教育を推進するにふさわしい入試方法の改善を図るため、平成四年七月に高校教育改革検討委員会を発足、四年、五年の二カ年間、文部省の委託を受けて高校入試のあり方など県外調査を実施しながら研究してきたところであります。こうした取り組みの結果、県教委は九月十日、昭和四十三年以来二十五年ぶりに大幅な入試の改善を実施しました。
 入試改善の概要は、一、調査書に観点別学習状況の欄を新設する、また部活動やボランティア活動の記載の充実、二、学力検査は五教科各百点満点を基準とし、学科によって傾斜配点を導入する、三、合否判定基準は学力検査、評定、観点別学習状況等、特別活動及び校内外の活動等とする、四、推薦入学の充実、以上の四点を挙げております。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 一、今回の大幅な改善の目的は何か。また、平成六年度実施に向けて高校、中学校にどう徹底されるのか。
 二、合否判定基準に四つを挙げていますが、学力検査や調査書の評定のいわゆる生徒の学力と、今回新たに取り入れられる観点別学習状況とクラブ活動などの諸活動を総合的にどう評価して合否を判定するのか。
 三、傾斜配点、作文及び小論文の実施、推薦入学者の数の決定は早急に必要と思うが、どう対処するのか。
 四、佐賀県では来春の入試で普通科を前期・後期の二回に分けて実施し受験機会の複数化を図るとの報道がありました。本県でも、教育長より二月議会で受験機会の複数化を検討している旨の答弁がありましたが、導入についての考えはどうか。
 五、高校四十人学級の実施や入試制度の改善の実施により各学校の募集人員の決定、発表への対応はどうか。
 以上五点、お尋ねをいたします。
 次に、和歌山高校おける総合学科の設置についてお尋ねをいたします。
 平成三年四月の中央教育審議会答申では、一人一人の子供の個性を生かし特色ある高校教育を実現するため、学科制度の再編、新しいタイプの高校の設置の奨励、単位制を活用した選択中心の教育課程の編成など、広範囲な提言が行われました。
 本年二月、文部省は「高等学校教育の改革の推進について」で高校の学科制を見直し、普通科と職業科を総合する総合学科を六年度から新設することで生徒の個性に応じた教育の多様化や進路の早期方向づけを図る方針を打ち出しました。本県においても、高校への進学率が九五%を超し、入学してくる生徒の特性や進路等において多様化が進み、高校教育を取り巻く状況は大きく変化してきております。
 こうした変化に対応するため、県教委は六年度から和歌山高校に総合学科を設置することを九月二十一日に発表しました。この結果、和歌山高校は現在の普通科五学級二百人と情報科学科二学級八十人の募集を停止し、定員二百人の総合学科のみの学校になる予定であります。
 総合学科の特色としては、将来の進学・職業選択を視野に入れた七系列を生かした指導や実験、実習など、体験的学習を重視いたします。また、現在の一クラス四十人をさらに少人数化して二十数人を一クラスとするきめ細かい指導が可能になります。加えて、無学年制を取り入れ、学年に関係なく授業が受けられ、必須科目三十八単位と総合選択科目などを合わせて三年間で計八十単位以上取得すれば卒業できるのが特色となっております。総合選択科目群には、情報科学系、工業技術系、流通管理系、美術・工芸系、体育・健康系、語学・文化系、自然科学系など七系列があり、生徒がみずからの適性能力、興味、関心、進路希望に応じて選択できることになっております。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 一、高校の第五次教職員配置改善計画において新しいタイプの高校への教員の改善計画がありますが、総合学科の新設に対して、少人数クラスや多くの選択科目を担当する教職員の配置と確保をどう進めるのか。
 二、九月補正で総合学科実習棟の設計委託及び六年度債務負担行為が計上されていますが、実習棟の概要はどうか。
 三、和歌山市の六年度中学校卒業者数は、北学区で前年比マイナス九十七人の二千九百三十四人であります。和歌山高校に総合学科が新設され、普通科五学級二百人の募集停止となります。単純に計算いたしますと、九十七人減により二学級減となれば、北学区で普通科三学級分の増員が必要となるわけでありますが、どう対応されるのか。
 四、総合学科の趣旨や特色について、生徒、保護者、教師など、県下の中学校関係者にどう理解を得ていくのか。
 以上四点お尋ねいたしまして、第一問を終わらせていただきます。
○議長(宗 正彦君) 議事の都合により、この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十五分休憩
  ──────────────────
  午後一時四分再開
○議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 午前中の新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 新田議員にお答え申し上げます。
 第一点の、景気対策についての入札制度の問題と公共工事の速やかな実施についてでございます。
 公共事業の執行については、上半期目標契約率八〇%を掲げてございまして、これが達成のために総力を挙げて取り組んでいるところでございます。上半期末の契約率については現在集計中でございますけれども、八月末の契約率は六六・八%となっておりまして、上半期の目標率八〇%はほぼ達成できるものと考えております。
 景気対策としては、さらに今議会に百七十一億円の補正をお願いしているところでございますが、これの執行に当たっても、年度内の完成を目指して全力を傾注してまいりたいと思っております。
 さて、いわゆるゼネコン汚職につきましては、まことに遺憾なことでございます。摘発を受けた入札参加業者に対しては、指名停止の措置を講じております。今のところ、これら指名停止措置により本県の公共工事の発注に支障が生じたということはございません。ただ、公共工事の入札制度の見直しについては、入札・契約制度検討委員会を設けて検討しており、今年末までに手続の細部をまとめ、大規模工事において制限つきの一般競争入札を一部試行していきたいと考えておるところでございます。新しい制度のために入札なり契約事務に従来よりも時間を要すると考えられますけれども、事業執行については影響が少ない形で実施してまいりたいと思っております。
 次に、黒潮ネットワークの整備促進でございます。
 ご指摘のとおり、近年、情報化の進展は目覚ましいものがございます。こうした現況でございますので、県民の福祉の向上と地域の活性化については重要な課題でございます。
 黒潮ネットワークについては、行政の情報通信や県民への行政情報の提供のために利用してございますけれども、本年度は特に、高度情報化に対処するための県内各拠点を結ぶ高次ディジタル化を実施することにしてございまして、県民の利便性を図るため、和歌山、田辺に加えて新宮もそうしたアクセスノードにする予定で現在進めておるわけでございます。今後とも、県内外のネットワークの拡充と情報発信機能の整備充実になお一層努力してまいりたいと考えておるところでございます。
 それから、地方拠点都市地域の情報整備促進についてでございますけれども、去る八月六日に田辺・御坊地域を指定したわけでございます。現在、十八市町村で構成する協議会において、地域情報化の推進を含めた基本計画づくりを進めている現状でございます。
 議員ご指摘の地域情報化の推進については、多様な施策がいろいろ考えられるわけでございますけれども、基本計画に位置づけられた事業に対しては県としてもその具体化に積極的に努力してまいりたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 平成五年度の県税収入の見通しはどうかとのご質問でございますが、平成五年度の県税収入については、当初見込みに際して法人二税等で落ち込みが予測されることなどから、前年度当初比九二・四%、七十六億円減の九百二十九億円を計上したところでございます。
 本年八月末現在の調定状況は対前年同月比九六・三%で、全体として当初見込み程度に推移しております。しかしながら、円高等の影響を受け景気が低迷する中、今後も厳しい状況が予測されるなど、税収確保は予断を許さない状況でございます。このような状況にかんがみ、予算の確保に向け、賦課・徴収両面にわたり、より一層努力をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 商工労働部長吉井清純君。
  〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) 新田議員にお答えをいたしたいと思います。
 景気対策のうち、まず振興資金及び特別融資の貸し付け実績でございますが、長引く景気の低迷により売り上げの減少を来し、極めて厳しい経営状況になっている中小企業者の資金需要にこたえるため、平成五年度当初予算で低利の緊急経営資金特別融資を融資枠四十五億円で創設するとともに、中小企業振興資金の融資枠を二百八十五億円に拡大するなど、対策を講じたところでございます。
 議員ご質問の貸し付け実績についてでございますが、中小企業振興資金で本年四月から八月末までの新規の貸し付け状況は、平成四年度の同時期と比べ、件数、金額ともに約一・四倍の八百五十三件、八十九億五千七百万円、貸付総額としては二百七十四億四千万円となってございます。また、新たに創設した緊急経営資金特別融資については、同じく四月から八月末までの状況で二百六十八件、三十三億四千七百万円となってございます。このような利用状況や急激な円高や冷夏等の現状を踏まえ、今議会に融資枠の拡大をお願いし、中小企業金融の円滑化を図ることといたしてございます。
 次に、保証の弾力的活用と貸出金利の引き下げでございますが、まず信用保証協会の保証の弾力的活用については、国が指定する特定業種等に該当する中小企業者については一般保証に別枠保証を加え、倍額まで活用できることとなります。また、信用保証協会においては、中小企業者から別枠保証の活用申し込みがあった場合、その趣旨を十分踏まえながら弾力的に対応するとともに、保証料の軽減も行い、中小企業金融の円滑化に取り組んでいるところでございますが、県としても信用保証協会に対して、引き続き個別企業の実情に応じて弾力的な保証を行っていくよう指導しておるところでございます。
 また貸付金利の引き下げについては、十月一日から長期プライムレートも引き下げられましたので、早急に貸付金利の引き下げを実施すべく、現在検討をいたしておるところでございます。
 続いて、有効求人倍率と中高年齢者の雇用対策でございますが、本県における雇用失業情勢を見ると、景気低迷の影響を受け、昨年十一月の有効求人倍率は三年二カ月ぶりに一倍台を下回り、以降、低下傾向で推移し、本年八月には〇・七四倍と低下しております。また、今後の見通しについても、円高の進行など景気の先行き不安感に依然不透明な部分も多く、また一般的に雇用の回復は景気の回復よりさらにおくれる傾向があることから、雇用失業情勢は今後とも厳しい状況が続くものと予想され、一層注意すべき状態にあります。
 このような状況を踏まえ、雇用調整助成金を活用することにより企業の雇用維持努力を支援し、失業の予防に努めているところでございます。また高齢者等の求職者については、きめ細かな職業相談を行うとともに、雇い入れ時の各種助成金などの活用を図りながら求人開拓を実施し、早期就職の促進に努めてまいります。
 最後に、新規卒業者の求人状況と採用拡大についてでございます。
 平成六年三月新規高等学校卒業者の求人受理状況については、七月末現在で求人数は一万九千三百九十八人、うち県内求人は九千七百六十四人、学校等の紹介による就職希望者は四千五十三人、求人倍率は四・七九倍となっております。景気低迷の影響を受けて、昨年同時期に比べて求人数では三六・八%の減、うち県内求人は昨年同時期に比べ三四・三%の減、また求人倍率では二・〇六ポイントの減となっております。
 このような状況を踏まえ、新規学校卒業者の就職は、学生生活から新たに職業生活に入る人生の大きな転機であり、特にその円滑な就職を促進することが重要であることから、県としても去る十月一日付で、商工労働部長名をもって県内七十二業種・団体あてに文書により求人の確保について要請を行ったところでございますが、今後とも教育機関との密接な連携のもとに新規学校卒業者の求人の確保に努力してまいりたいと存じております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 地域情報化計画に関連するご質問にお答えいたします。
 まず、県下のディジタル化率の推進でございますが、情報通信基盤の整備を進める上では、光ファイバーや各種設備などハード面の整備と、情報発信やその利用などソフト面の整備との調和のとれた施策の展開が重要であると認識してございます。このうち、ソフト面の整備は自治体や企業、県民の創意や活力に負うところが大きく、ハード面の整備についてはNTT等の通信事業者に負うところが大きいわけでございます。
 NTTによる県内のディジタル化については、都市部においては平成三年度に整備がおおむね完了し、他の地域についても西暦二〇〇〇年を目途に順次整備が進められているところでございます。県としても、NTTとの間で情報連絡会を昭和五十九年以来定期的に開催し、情報交換やハード面の整備に関する要請等を行っております。今後さらに積極的に早期整備を働きかけてまいるとともに、ディジタル通信の需要喚起にもつながる各種施策の一層の推進に努めてまいる所存でございます。
 次に、KI-Linkシステム推進についてでございますが、黒潮ネットワークを活用した行政情報システムの整備については、既にパソコン通信のWave-Netや生涯学習情報システムの開発運用をしており、財務会計オンラインシステムなど五つの業務の行政内部のシステムについてもこれを活用して運用しているところでございます。今後、リゾート観光情報、技術や人材などの産業情報、教育文化情報など、種々のシステムについても、関係部局と連携をとりながら順次整備を進めていきたいと考えております。
 次に、KI-Linkについては、複数の情報システムをコンピューターにより一元的に利用できるようにする情報案内システムを構築するため、本年度についてはまずWave-Netや生涯学習情報、図書館情報、中小企業情報等について、その利用の便を図ってまいる予定でございます。今後さらに、提供情報の拡大、情報の所在案内機能の追加等、KI-Linkの総合案内機能の拡充発展に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、電気通信格差是正事業の推進についてでございますが、電気通信格差是正事業の一つでございます移動通信用鉄塔施設整備事業は、国、県の財政支援を受けて市町村が鉄塔等の整備を行うことにより、自動車電話や携帯電話の利用可能エリアを拡大し、地域間の情報格差の是正を図るものでございます。県としては、事業主体である市町村に適切な助言と指導を行う等、本事業の実施に積極的に対応してまいる所存でございます。
 また、民放テレビ放送難視聴解消事業は、国、県の財政支援を受けて事業主体として昨年設立された社団法人和歌山県放送中継施設整備センターまたは市町村が中継局や共同受信施設を設置することにより、地形的な要因による民放テレビ放送の難視聴を解消する事業でございます。平成四年度には田辺市と南部川村の境に中継局を設置しており、また本年度は川辺町に共同受信施設の設置を決定してございます。今後とも、国や事業主体と十分な調査を図りつつ積極的に取り組んでまいる所存であり、来年度についても引き続き県内数カ所において共同受信施設の設置を検討いたしているところでございます。なお、民放中波ラジオ放送受信障害解消事業についても、本年度、日置川町において中継局の設置を予定しているところでございます。
 最後に、リサーチダイヤモンド計画の推進についてでございます。
 和歌山大学、近畿大学、工業技術センター等の研究開発拠点において、研究機能の強化や人材育成機能の充実を図るとともに、これらの拠点を相互に連携しながら、地域産業の高度化、先端産業、知識集約産業の集積を進め、創造的技術開発エリアの形成を図るリサーチダイヤモンド計画を推進しているところでございます。
 現在、関西地区の大学を結ぶオリオンズネットワークが和歌山大学まで接続されておりますが、これら大学と県内研究機関の学術研究交流を図るため、本年度において県庁及び工業技術センターと和歌山大学とのネットワーク接続を予定しており、大学側と協議を行っているところでございます。今後は、県内の学術研究開発情報の活発な交流を推進するため、黒潮ネットワークなども利用しながら、それぞれの拠点を結ぶ情報ネットワークの形成を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 新田議員ご質問のMRSAの院内感染について、今回補正予算をお願いしている院内感染対策事業の内容ですが、看護責任者を中心とした院内感染対策講習会を県下三カ所で開催する経費及び病院、診療所等の医療機関、社会福祉施設等で活用していただくための院内感染対策マニュアル作成に要する経費をお願いしているものでございます。
 続いてMRSAの保菌及び感染症の実態調査ですが、MRSA感染症等の問題は、医療現場における患者と医療関係者との信頼関係に深くかかわる問題であります。県においても、国の通達に基づきその指導を強化しているところであり、本年度の医療監視時においても県独自に院内感染防止に関する取り組み状況について調査中であります。議員ご提言の感染症患者の実態調査についても、国等の動向を見きわめながら今後検討してまいりたいと考えております。
 次に病院、施設における感染予防の施設対策ですが、院内感染防止の最も重要なことは、議員のご指摘のとおり、予防対策と伝播阻止対策で、具体的には流水による手洗いの励行や院内消毒及び隔離等の環境対策等であると考えられ、これらの対策を医療機関へ周知徹底を図っているところであります。今後さらに、院内感染防止に関する教育・研修の充実、院内設備の充実についても指導していきたいと考えます。
 最後の、インフェクション・コントロール・ナース(ICN)と呼ばれる感染症対策専門の看護婦の育成・設置についてでございます。
 現在のところ国においても法制化の動きはございませんが、県としては、本年度実施する院内感染対策講習会において積極的に看護職員の参加を求め、MRSA等の院内感染に対する識見を有する看護婦の育成に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 高校入試制度の改善と総合学科設置について、合わせて九点についてお答えいたします。
 まず入学者選抜の改善についてでございますが、第一点目の改善の目的については、生徒の能力、適性、興味、関心及び進路希望等が著しく多様化する中で、新学習指導要領に基づき、知識偏重の学力観を改め、みずから学ぶ意欲と思考力、判断力、表現力を重視した新しい学力観に立って、生徒一人一人の個性や可能性等を多面的に評価することを目的として、入学者選抜のあり方の改善を図ったところであります。
 また、その趣旨の周知についてでございますが、例年よりも一カ月以上早く入学者選抜実施要項を発表するとともに、県立学校長会、地方教育事務所長会等を開き、改善の趣旨と内容を説明してきたところでございます。さらに、今月中旬から、中学校の校長及び担当者を対象に地方別の進路指導研究協議会を開催し、周知徹底を図ってまいる所存でございます。
 第二点目の合否判定については、今回の改善において、学力を初め文化、スポーツ等の学校内外における諸活動を積極的に評価するため改定した調査書の観点別学習状況などの記載事項、及び学力検査の成績に基づいて、総合的に合否判定をすることとしてございます。
 第三点目の選抜方法については、職業学科及び専門学科において、学科の特色を発揮した選抜の実施を可能にするため、傾斜配点や推薦入学者数など学校長の裁量を大幅に広げたところであります。各高等学校ごとの選抜方法は今月中旬に県教育委員会において取りまとめ発表するとともに、地方別進路指導研究協議会等において各高等学校から中学校に説明することとしてございます。
 第四点目の受験機会の複数化については、今後、和歌山県高等学校教育改革推進検討委員会において引き続き検討してまいりたいと考えてございます。また、平成六年度の募集定員については、四十人学級実施の課題などを踏まえ、昨年より一日でも早く発表したいと考えてございます。
 次に、総合学科についてお答えいたします。この総合学科は、全国で初めて設置するものであります。
 第一点目の教職員の確保についてでございますが、基本的には現有の教職員をもって対応したいと考えてございます。このほか、各選択科目群ごとに資質、力量を備えた教員を配置できるよう全県的に検討するとともに、社会人講師の導入をも含めた非常勤講師の確保に努め、教職員の研修の機会を設けることなどにより授業の充実を期してまいります。今後、総合学科の趣旨が十分達成されるよう、国の第五次教職員配置改善計画と関連づけながら、定数の確保に努力する所存でございます。
 第二点目の実習棟についてでございますが、多様な選択科目群に対応するため、大きく分けて工業系、商業系の実習室、その他職員室等を含めた施設で、四階建て約二千平米として計画してございます。
 第三点目は北学区における普通科の定員についてでありますが、募集定員の決定に当たっては、各通学区域の中学校卒業生徒数の推移、高校入学状況、私学の振興及び地域の状況等を踏まえ、総合的な観点に立って慎重に検討してまいりたいと考えます。
 最後に、総合学科設置について周知徹底を図ることについてでありますが、先日、報道機関を通して学科の新設について発表するとともに、学科の内容について県内の中学校の校長、教職員及び保護者や行政関係者を対象として説明会を開催したところであります。また、今月中旬から県下の八地方において進路指導研究協議会を開催し、総合学科について周知徹底を図っていく予定であります。
 以上でございます。
○議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 44番新田和弘君。
○新田和弘君 答弁をいただきましたので、二点、要望させていただきたいと思います。
 まず第一点でございますが、景気対策の問題でございます。
 知事は、今議会にも百七十一億に上る大型補正予算を計上されて、景気対策にかける意気込みを示されておるわけでございます。当初予算の計上、六月の大型補正、そして今回の大型補正と、いわゆる県単独事業を含めた公共工事の確保によって県内経済の活性化を図ろうと意図されておると思うわけでございますが、先ほどの答弁でもございましたとおり、いわゆるゼネコン汚職や談合等の問題によって、こういった予算化された公共工事が実施の段階、契約発注段階で非常に時間を要してくるし、またそういったことで先送りになってくるという危惧が高まっておりますので、せっかくこういった大型予算を計上しながら執行残になってしまうということのないよう、ひとつ格段のご努力を願いたいと思います。疑惑を招くような入札のないよう、特段のご努力をお願いいたしたいと思います。
 第二点目でございますが、今回、教育委員会の方で、高校入試制度の大幅な改善、そして全国初の総合学科の設置と、新しい方向を目指す諸制度の改善がなされるわけでございます。こういった改善につきましては、やはり一にかかって高校側、また中学校側、生徒父兄の理解を得ていくことが非常に大事な問題ではないかと思います。
 先ほどの答弁の中でもそういった趣旨の理解・徹底のためにご努力をされる旨のご答弁がございましたが、せっかくいい改革をしても趣旨の徹底が不十分であった場合に効果があらわれないということにもなりかねないと思います。
 せっかくこういった大きな改革をやられるわけでございますので、そういった趣旨が学校関係者や県民の皆さんに十分ご理解いただけるよう、特段のご努力をお願いいたしたいと思います。
 さらに、本日の昼休みにも和歌山市の中学校のPTA連合会の方から陳情がございまして、和歌山市内における普通科の定員確保等についても大変ご要望がございましたので、あわせてこういった確保についてもご努力をいただきたいことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
○議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。

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