平成5年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(木下義夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成五年七月九日(金曜日)

  午後一時四十九分再開
○議長(馬頭哲弥君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(馬頭哲弥君) この際、報告いたします。
 ただいま、和田正人君から午前中の同君の質問における発言について、その一部を取り消したい旨の申し出がありました。
 この際、お諮りいたします。同君の発言の一部取り消しについて、同君の申し出のとおり、これを許可することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) ご異議なしと認めます。よって、和田正人君からの発言の取り消し申し出を許可することに決定いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番木下義夫君。
  〔木下義夫君、登壇〕(拍手)
○木下義夫君 大変お待たせをいたしました。
 お許しをいただきましたので、一般質問を続けたいと思います。
 知事さん、中型まき網漁業者の皆さんが大勢傍聴に来られております。父とも思い、母とも思うあなたに、紀伊水道の和歌山県沖合海面におけるまき網操業上の徳島県との紛争についてご理解をいただき、早急な問題の解決を図り、安心して操業でき、まき網漁業の振興、発展のためご尽力を賜りたいという熱い願いを胸にして来られておるのであります。私は、このまき網漁業者の皆さんの心を心として質問をさせていただきます。仮谷知事、野見部長、どうか皆さんの心をよくご理解いただき、誠意をもって答弁をしていただきますよう、まずお願いをいたします。
 それでは、瀬戸内海を除く和歌山県沖合海面における中型まき網漁業の操業について質問いたします。
 和歌山県と徳島県の間の紀伊水道は、アジ、サバ等、まき網漁業にとって大変よい漁場であり、和歌山県のまき網漁業者は長年努力をして漁場を開拓し、そこで操業をすることによって生計を立ててきたのであります。昭和四十年ごろから、両県巾着網漁業連絡協議会を開催して操業期間等を中心に協議をし、紀伊水道を両県の入会漁場として認め、お互いに操業してきたのであります。
 昭和五十六年から、徳島県の県内事情──政治事情、若葉丸の許可更新──により、諭鶴羽山から沼島東端を見通した線が慣行線であると徳島県が主張し出したのであります。この問題については、昭和五十六年十二月県議会と平成四年十二月県議会の二回にわたり先輩木下秀男議員が質問をされており、同僚中村裕一議員、冨安民浩議員もそれぞれ熱心に取り組んでいただいております。
 昭和五十六年八月七日に開催された両県巾着網漁業連絡協議会で、伊島沖のまき網の操業について話し合いが持たれております。和歌山県の主張は、一、伊島沖海域は、従来から和歌山県船が操業してきた海域であり、安心して操業できるように考慮されたい、二、日ノ御埼、伊島、蒲生田岬を境にして瀬戸内海には慣行線はあるが、外海では両県の境界は定められておらず、従来から入り会いで操業している、三、若葉水産の操業区域を徳島県が一方的に許可していることはおかしい、四、徳島県の県内事情で和歌山県船が操業できないということは困る。徳島県の主張は、若葉丸の許可更新をめぐって県内の漁民から反対陳情があり、対策委員会をつくり対処していたが五十六年七月十六日に許可をした、和歌山県の事情もわかるが両県の話し合いがなされるまでの間、自粛をしてほしい。
 昭和五十六年九月二十九日の協議会で、和歌山県の主張は、一、長年の操業実績を尊重してもらいたい、二、両県の境界は存在しない、三、線引きが示されているのは底びきのみで、まき網については線引きはない、四、昭和二十六年以降、慣行線として線引きはない、五、紀伊水道の中央付近は共有の漁場として両県で大型魚礁を設置したこともある。一方、徳島県の主張は、諭鶴羽山、沼島東端を見通した線が慣行線である。
 以上のようないろいろな経過をたどりながら今日まで来たのであるが、昭和五十六年は徳島県より三件の呼び出し注意がありました。昭和五十八年は、徳島県より五件呼び出し注意があった。
 ここで入会漁場について述べてみると、現実の各県入会漁場の入会線は漁業の種類によって異なっている。徳川幕府が定めた山野海川入会に規定されているように、我が国では、古来、「いそは地付 沖は入り会い」と言われ、海面では沿岸部は地元が独占できるが、沖合部は地元が独占できない入会漁場とされて自由な入会操業ができることになる。昭和二十六年、東京都からの地方取り締まり規定の効力の範囲についての質問に対し水産庁は、自県規則が属地的に他県規則を排除して適用されるのは領海内で自己の県の管理権の及ぶ範囲内であり、その範囲はせいぜい離岸五百メーターから千メーターであると答えているのであります。
 漁業法について述べてみると、法の基本精神は海面を高度に利用し生産を増すことにあり、慣行、協定がある場合を除き漁業法上には境界線はない。明治三十四年、政府は、漁業問題の抜本的解決を図るため漁業法を初めて制定し、法律による国家統制を行いました。明治四十三年に一部改正したのであります。昭和二十四年にこの明治漁業法を廃止して、新たに現在の漁業法が制定されたのであります。この漁業法は、これより先に行われた農地改革がみずから耕作する農民に土地を与えたと同じく、当時の連合軍最高司令部の日本民主化政策の一環として、みずから働く漁民に漁業権を与えるという漁業改革のために立法されたものであります。そして、漁業改革のために従来の明治漁業法に基づいて免許されていた漁業権のすべてを政府が補償金を交付して一斉に消滅させるという、旧漁業権の一斉消滅補償が行われているのであります。新しく制定された漁業法によって免許されることとなる新漁業権への切りかえのために、旧漁業権の全部を消滅させたのである。この際なされた政府の補償も、現在の漁業法が施行されることに伴って従来の明治漁業法が廃止されることにより、明治漁業法によって免許されていた旧漁業権がその法的基礎を失うため効力がなくなるので、旧漁業権の失効に伴う損失の補償として、総額、当時のお金で百八十二億円が支払われたのであります。
 以上のことからでも、徳島県の主張には法律的根拠がなく、和歌山県の主張の正当性が裏づけられるのであります。
 昭和五十六年十二月十日の木下秀男議員の質問から引用させていただくと、徳島県が若葉丸にまき網操業許可をおろした地域は、日ノ御埼、伊島、蒲生田岬を結ぶ線の紀伊水道の外海であり、公海であるので、そのことそのものは妥当性を欠くものであり、その上に和歌山県のまき網漁業者にこの水域での操業を自粛するよう申し入れがあったと聞いているが、和歌山県の業者と徳島県の業者が円満に操業できるよう、万難を排してこれに対処すべきと考えるがとの質問に対して、当時の松本虎雄経済部長は、「まき網漁業の操業問題でございますが、ことし六月、徳島県から和歌山県のまき網漁船が徳島県側に入らないように自粛してほしいという連絡がございました。このことは、本県との入会慣習を無視したことであり、本県まき網漁業にとって大きな問題であると考えております。 従来、本県と徳島県は、まき網関係者が毎年連絡協議会を持って円満に話し合ってきましたが、最近は徳島県の都合により中止されている現状でございます。この種の漁業調整は、各県が従来の慣習によって自県海域を定め実施しているのが通例でございます。したがって本県としては、従来の入会慣習を重視するよう海区調整委員会ともども、去る十一月に徳島県と話し合いを持ったところでございますが、ただいま知事も申されたとおり、今後も引き続き、従来どおり漁場を行使できるよう話し合いを強く推進し、早急にこの問題の解決に努める所存でございます」、このように答えているのであります。しかし、ご存じのように、その後、一向に問題の解決は図られず、和歌山県のまき網業者にとって非常に不利な厳しい状態となってきているのであります。
 私は、昭和五十八年四月に県議会議員に当選させていただいてからこの問題に取り組んでおり、歴代水産課長とも話し合いをしてまいりました。昭和五十八年八月以降、徳島県から五件の呼び出しがあり、漁場では何回か操業を中止したこともあり、安心して操業できず、まき網経営が困難になるので早急に解決してほしいとの陳情を受け、そのたびに水産課長と話し合ったが、自重してほしいと言うばかりで解決せず、一度思い切って裁判をしてはどうかと話をしたこともあったけれども、とにかく待ってほしい、自重してほしいとの一点張りでありました。
 しかし、事態はますます和歌山県まき網業者に不利になるばかりで、昭和六十年十二月三日、一業者が小松島保安部日和佐分室の取締船に検挙され、行政処分を受け、罰金刑を科せられた。以来、昭和六十三年十月十六日より、小松島保安部日和佐分室の取締船、徳島県取締船つるぎ、せんばにより平成五年三月三日までの約五年間で十四件のまき網漁船が検挙され、そのたびに行政処分、罰金刑を受けた。その都度、水産課に陳情し指導を受けたが、とにかく検挙されたらおとなしく取り調べを受けて、処分されたら仕方がないとのことであった。しかし、ますます悪化するばかりであり、まき網の乗組員からも早く解決してくれなければ生活ができなくなるので転職を考えなければならないとの声も出てきた。和歌山県漁業協同組合連合会へも窮状を訴えて吉崎会長にもお力添えをいただき、民間外交も活発にすべきであるということで、中村裕一議員、冨安民浩議員にも同伴していただき、徳島県庁へ行って話し合いをいたしました。
 しかし、事態は好転せず、平成四年中は六件検挙処分され、平成五年三月三日、一まき網業者が、今までであったら現場での注意で済んでいる漁場で検挙され、五月二十四日付で漁業法第六十六条第一項違反で行政処分され、六月一日から六月三十日までの停泊処分を受けたのであります。取締官ができるだけ経済的負担が軽くなるようにするので希望があれば言えというので、不服であるが処分を受けなければならないのであれば七月十五日から八月十五日までの間にしてほしいと希望を述べたところ、行政処分は六月一日から六月三十日までの盛漁期にされた。こんなことを繰り返しては、乗組員の転職に拍車がかかり、乗組員不足で廃業に追い込まれるおそれが出てくるのであります。
 処分の内容は、徳島県漁業調整規則第四十八条第一項の規定に基づき停泊を命ずる。この処分に不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して六十日以内に農林水産大臣に審査を請求することができるということである。徳島県の聴聞は五月初旬にあった。それに先立つ平成五年三月二十九日、吉崎県漁連会長、水産課職員、杉山中型まき網組合連合会会長、まき網業者一行に同伴して徳島県水産課と田中徳島県漁連会長を訪ねて、今回の処分について、今後の操業についての善処方をお願いしたのであります。
 そのとき、徳島県側のある責任者の話にびっくりした。徳島県側は、最初は処分することにちゅうちょしていたが、処分をしたら和歌山県側は素直に処分を受けるので、だんだん強気になって、今は当然のことと思っている。最初、強行にその処分に反対したらよかったのにと言われた。私自身も、水産課の言われるのを信じ込み、何かよい方法はないかと苦慮していたし、まき網業者は検挙されるたびに行政処分として操業停止と罰金の処分を受けるし、操業はできないし、前科の汚名を受けていたのであり、まことに残念でなりません。
 今も申しましたように、三月三日、取り調べを受けた場所は今までは注意だけで済んでいた場所でもあるし、三月二十九日、吉崎県漁連会長に同伴してもらって徳島県側に善処方をお願いしているので、注意処分で済ましてもらえるとの希望を持っていたのでありますが、業者の希望も聞いてもらえず、盛漁期の六月一日から六月三十日までの一カ月間の操業停止という非常に厳しい処分を受けたのであります。このままでは廃業に追いやられるので、まき網業者の皆さんが自主的に相談をして農林水産大臣に審査請求をし、一方、和歌山地方検察庁田辺支部へ、被疑者鈴木石松、弁護人良原栄三先生と両名で漁業法違反の事件について、その善処方の上申書を平成五年七月一日付で提出いたしました。上申書は、次のとおりであります。
 上  申  書
  一、事件名 漁業法違反
 被疑者 鈴木石松
  平成五年七月一日
 弁護人 良原栄三
  和歌山地方検察庁 田辺支部 御中
 記
  一、被疑者の本件操業漁場は、和歌山県から許可されている中型まき網漁業許可証の操業区域たる「瀬戸内海を除く和歌山県沖合海面」の範囲内に含まれるものであります。
  二、同漁場については、従来から和歌山県と徳島県の両県において、紛争が存在してきましたが、和歌山県は、同漁場は「和歌山県沖合海面」として許可の範囲に含まれると解してきたところであります。
 そして、和歌山県は、被疑者ら中型まき網漁業者にその旨の説明をなし、同漁場における操業は、許可の範囲内における正当な操業であって、無許可操業ではないとの見解であったし、現在もその見解を堅持しているものであります(特に、この点についての和歌山県知事の見解をご確認
  願います)。
  三、ところで、和歌山県内の中型まき網漁業者は、従来は同漁場における操業につき、法律の理解不足から無許可操業として、刑事処分および行政処分を甘受してきました。
  四、しかしながら、このような状態が継続することになりますと、和歌山県内の中型まき網業者の死活問題になるばかりでなく、和歌山県の漁業全般に深刻な影響を与え、和歌山県内の経済全体にも重大な影響を及ぼすことになりますので、今後は、和歌山県内の同業者は、一致して、同漁場の操業につき正当な操業である旨の見解を表明し、本件同種事件に対処することに致しました。
  五、以上の次第でありますので宜しくご善処いただきますように上申致しますと同時に本件操業についての基本的な見解は、後日詳細な報告を申し上げますので、これらを十分ご検討願えますようにあわせて上申致します。
 このような上申書を七月一日に出しているわけでございます。
 昭和五十八年十月に水産課で意見を聞いているので、行政不服審査等をする前に一度教えていただいたらとの平中水産課長の勧めで、六月八日、水産課職員二名とまき網業者で元水産庁専門官の浜本幸生先生をお訪ねしました。そうしたら、昭和五十八年ごろ、徳島県からも和歌山県からも相談を受けたことがあった、徳島県へは、検挙する法律的根拠がないので指導にとどめるように、和歌山県には、徳島県に指導にとどめるように言っているので余り騒がないでと言っておいたのに、検挙され、行政処分を受け、罰金を科せられているのはまことにおかしい、いつでも力になると言ってくれた。そして、六月二十一日、わざわざ茨城県竜ヶ崎市から田辺漁業協同組合にお越しをいただき、日根農林水産部次長、平中水産課長、水産課員、まき網業者、中西秀雄漁業調整委員会委員、まき網乗組員責任者、冨安民浩議員、良原栄三弁護士と私とでいろいろ勉強させてもらった。そのときの浜本先生の意見では、和歌山のまき網船が海上保安部に検挙されているが、操業区域が和歌山県沖合海面となっているのに処分されるのはおかしい、漁業法違反は略式裁判であるが、正式裁判になった場合は法律的根拠がなく公判維持ができないと思う、長崎県では、熊本県の船の送検については検察庁から書類が突き返されているということでありました。
 ご存じのように、県内には中型まき網業者は十カ統あり、田辺漁業協同組合、比井崎漁業協同組合、御坊市漁業協同組合の中核をなしているのであります。まき網業者が操業できて順調に水揚げができるかどうかは、それぞれ当該組合の盛衰にかかわる大きな問題でもあり、和歌山県漁業界にとっても重大問題であります。まき網漁業者が漁場で安心して操業するためにも、和歌山県の取締船も出動して徳島県の取締船及び海上保安部の取締船から守ってほしいという差し迫った漁民の気持ちをお酌み取りいただき、取締船を出動するようお取り計らいくださるようお願い申し上げます。
 また、まき網業者には多くの関連業者があります。例えば、水揚げされた魚類を扱う鮮魚問屋、水産物加工業者、運送業者、その他関連業者の盛衰にかかわる大きな問題であります。それゆえに、この問題の解決に関連業者の人々も大きな関心を寄せている次第であります。どうか、この問題が順調に解決して、中型まき網業者が安心して操業ができ、和歌山県漁業がますます発展されんことを念じて、次の事項について質問をさせていただきます。
 一、この和歌山県沖合海面における中型まき網漁業者と徳島県との紛争について、知事はどのように考えているか。
 二、昭和五十六年十二月十日の松本虎雄経済部長の木下秀男議員の質問に対する答弁の中で、「各県が従来の慣習によって自県海域を定め実施しているのが通例でございます」と答えているが、この場合の自県海域とはどこを指すのか。
 三、中型まき網漁業許可証の「瀬戸内海を除く和歌山県沖合」とはどの範囲を指すのか。
 四、漁業法第六十六条第一項違反で行政処分、罰金を科せられたのであるが、和歌山県沖合海面という知事の許可をもらって操業しているので無許可操業ではないということについて、またこのことで漁民が行政処分を受け、残念ながら前科がついていることについての知事の所見をお尋ねいたします。
 五、田辺漁業協同組合所属の共漁丸の鈴木石松さんは、平成五年五月二十四日付、徳島県知事三木申三氏の徳島県漁業調整規則第四十八条第一項の規定に基づく漁業法第六十六条第一項違反の停泊処分に対し、農林水産大臣に審査請求すべく準備を進めております。また、漁業法第六十六条第一項の違反に対し、和歌山県地方検察庁田辺支部へ平成五年七月一日付でその善処方を上申しております。これに対して、和歌山県知事の全面的な支援が必要であるので、ぜひご支援をいただきたいと思います。
 六、昭和二十四年の新漁業法の制定で国家補償により旧漁業権が買収消滅したとあるが、このことと慣行線がないという県の主張との関連性についてお尋ねいたします。
 七、徳島県側の主張する慣行線の法律的根拠について。
 八、徳島県の検挙件数の増加と和歌山県水産課の指導の妥当性について。
 以上、八点の問題について質問をさせていただきました。先ほども申しましたように、どうか漁民の心を心として、この問題を早急に解決していただきますことを心からお願いを申しまして、第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの木下義夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下義夫議員にお答え申し上げます。
 中型まき網漁業の操業についてでございます。
 質問の第一点の徳島県との問題でございますけれども、以前から本県まき網漁船が操業していた海域での徳島県の漁業取り締まりについては、まことに遺憾至極であると考えておるわけでございます。
 本県はこの海域を入会海域として認めているので、原則として相互に自由に操業できる区域でございます。また話ございましたように、漁業法が昭和二十四年に改正されたわけでございます。しかし、漁業法自体の法的解釈に明確を欠くところがございます。そうした漁業調整の問題等については、漁業調整委員会に任すという形をとっておるわけでございます。今後とも、県、漁業調整委員会、まき網漁業者が一体となって徳島県と積極的な話し合いを続けてまいるとともに、あらゆる手段を講じて中型まき網漁業者が安心して操業できるように努力してまいりたいと思っております。
 次に、自県海域についてでございますけれども、これは法的に明確にされておりませんので、従来から慣行として認められ、利用している海域を自県海域と思っております。
 三点目の、和歌山県沖合海面の範囲についてでございます。昭和二十六年の東京都の照会に対する水産庁長官の通達による「領海内で、かつ自己の県の管理権の及ぶ範囲」以外の海面を沖合海面の範囲と考えてございます。
 四点目の、徳島県の行政処分についての所見でございます。徳島県は、旧専用漁業権の沖合線以西海域を自県海域と主張して漁業取り締まりを行っています。しかしながら、この旧専用漁業権は、昭和二十四年の新漁業法により消滅しているので、徳島県のこの主張自体は法律的根拠はないものと考えます。したがって、本県漁民が行政処分や司法処分を受けていることについては法律的根拠はないものと考えますので、今後さらに徳島県に対して厳重に抗議し、行政処分や司法処分に対し、あらゆる適当な手段を講じて本県まき網業者の擁護をしてまいりたいと考えております。
 五点目の、審査請求、裁判等に対する支援についてでございます。裁判等の結果いかんによっては本県まき網漁業に与える影響が非常に大きいものと考えますので、できる限り支援してまいりたいと思っております。
 それから、六、七、八の問題については部長から答弁いたします。
○議長(馬頭哲弥君) 農林水産部長野見典展君。
  〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 木下義夫議員にお答えいたします。
 質問の六点目の、新漁業法の制定と慣行線の関連についてでございます。徳島県の主張する慣行線は、旧漁業法により免許された専用漁業権の沖合線を指すものでございます。この専用漁業権は新漁業法制定により消滅しておりますので、本県としては慣行線は存在しないと理解してございます。
 次に七点目の、徳島県の主張する慣行線の法的根拠についてでございます。県といたしましては、法律的根拠はないものと解してございます。
 次に八点目の、徳島県の検挙件数が増加していることは、まことに遺憾でございます。ただいま知事から答弁がございましたが、本県のまき網漁業者が和歌山県沖合海面で安心して操業できるよう、徳島県県に対し和歌山県の立場を強く主張してまいりたいと思います。そして、あらゆる手段を講じてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 37番木下義夫君。
○木下義夫君 ただいま、知事及び部長より、まき網漁業者の心、苦しい立場を理解していただきまして、誠意あふれる思い切った答弁を賜り、厚く御礼を申し上げたいと思います。
 ただいまも論議ありましたように、この問題は長い歴史があると同時に、今日の、今晩の問題でもあるわけでございます。徳島県の行政処分に対して農林水産大臣に審査請求する準備を進める一方、司法処分に対しては和歌山地方検察庁田辺支部へその善処方の上申書を提出しているわけでございます。
 知事から、この問題についてはあらゆる手段を講じてまき網業者の擁護に当たると答弁をしていただきましたように、この問題は知事を先頭に官民一体となって当たらなければ解決いたしません。どうか、答弁にありましたように万全のご尽力を賜りますよう、心からお願いを申し上げたいと思います。
 きょうは、傍聴に参っておりますまき網漁業者の皆さんは大変喜んでいることと思いますので、どうかこの喜びをぬか喜びにしないように、本当の喜びにしていただくよう、よろしくお願いを申し上げます。
 また、時には県の取締船も出動させていただきまして、法律的根拠のない徳島県の取り締まり及び海上保安部の取り締まりからまき網漁業者を守っていただき、和歌山県漁業の発展のためご尽力を賜りますようお願いいたしまして、要望にかえて質問を終わります。
 よろしくお願いいたします。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下義夫君の質問が終了いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○議長(馬頭哲弥君) この際、お諮りいたします。議案第百号から議案第百八号までの人事案件については、委員会付託等を省略し、本日直ちに採決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) ご異議なしと認めます。よって、以上の人事案件については、委員会の付託等を省略し、これより直ちに採決することに決定いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 本案について質疑はございませんか。──質疑なしと認めます。
○議長(馬頭哲弥君) これより採決に入ります。
 この際、申し上げます。
 公安委員会の委員及び人事委員会の委員に係る議案については順次無記名投票をもって採決を行い、その後、収用委員会の委員及び同予備委員に係る議案を順次起立により採決を行うことといたします。
 まず、議案第百号和歌山県公安委員会の委員の任命につき同意を求めるについてを採決いたします。
 この採決は、無記名投票をもって行います。
 議場を閉鎖いたします。
  〔議場閉鎖〕
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの出席議員数は、議長を除き四十人であります。
 投票用紙を配付いたします。
  〔投票用紙配付〕
○議長(馬頭哲弥君) 配付漏れはありませんか。──配付漏れなしと認めます。
 投票箱を改めます。
  〔投票箱点検〕
○議長(馬頭哲弥君) 異状なしと認めます。
 念のため申し上げます。投票は無記名であります。投票用紙に、本県公安委員会の委員に山階清弘君を任命することについて同意することに賛成の諸君は「賛成」と、反対の諸君は「反対」と記載の上、点呼に応じて順次投票を願います。
 点呼いたします。
  〔氏名点呼〕
  〔各員投票〕
○議長(馬頭哲弥君) 投票漏れはありませんか。──投票漏れなしと認めます。
 投票を終了いたします。
 議場の閉鎖を解きます。
  〔議場開鎖〕
○議長(馬頭哲弥君) お諮りいたします。立会人に、7番岡本保君、8番藁科義清君、36番松本貞次君、45番浜口矩一君の四君を指名いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) ご異議なしと認めます。よって、立会人に以上の四君を指名いたします。
 なお、この際、白票を無効といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) ご異議なしと認めます。よって、白票は無効とすることに決定いたしました。
 これより開票を行います。
 立会人の立ち会いをお願いいたします。
  〔投票点検〕
○議長(馬頭哲弥君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数 四十票
  うち有効投票 三十八票
  無効投票 二票
  有効投票中
  賛  成 三十八票
 以上のとおり、賛成多数であります。よって、議案第百号和歌山県公安委員会の委員に山階清弘君を任命するにつき同意を求めるの件は、これに同意することに決定いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 次に、議案第百一号和歌山県人事委員会の委員の選任につき同意を求めるについてを採決いたします。
 この採決も、無記名投票をもって行います。
 議場を閉鎖いたします。
  〔議場閉鎖〕
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの出席議員数は、議長を除き四十人であります。
 投票用紙を配付いたします。
  〔投票用紙配付〕
○議長(馬頭哲弥君) 配付漏れはありませんか。──配付漏れなしと認めます。
 投票箱を改めます。
  〔投票箱点検〕
○議長(馬頭哲弥君) 異状なしと認めます。
 念のため申し上げます。投票は無記名であります。投票用紙に、本県人事委員会の委員に宮崎静治君を選任することについて同意することに賛成の諸君は「賛成」と、反対の諸君は「反対」と記載の上、点呼に応じて順次投票を願います。
 点呼いたします。
  〔氏名点呼〕
  〔各員投票〕
○議長(馬頭哲弥君) 投票漏れはありませんか。──投票漏れなしと認めます。
 投票を終了いたします。
 議場の閉鎖を解きます。
  〔議場開鎖〕
○議長(馬頭哲弥君) お諮りいたします。立会人に、7番岡本保君、8番藁科義清君、36番松本貞次君、45番浜口矩一君の四君を指名いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) ご異議なしと認めます。よって、立会人に以上の四君を指名いたします。
 なお、この際、白票を無効といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) ご異議なしと認めます。よって、白票は無効とすることに決定いたしました。
 これより開票を行います。
 立会人の立ち会いをお願いいたします。
  〔投票点検〕
○議長(馬頭哲弥君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数 四十票
  うち有効投票 三十八票
  無効投票 二票
  有効投票中
  賛  成 三十八票
 以上のとおり、賛成多数であります。よって、議案第百一号和歌山県人事委員会の委員に宮崎静治君を選任するにつき同意を求めるの件は、これに同意することに決定いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 次に、議案第百二号を採決いたします。
 本県収用委員会の委員に谷口昇二君を任命するにつき、これに同意することに賛成の諸君はご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(馬頭哲弥君) 起立全員であります。よって、議案第百二号和歌山県収用委員会の委員に谷口昇二君を任命するにつき同意を求めるの件は、これに同意することに決定いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 次に、議案第百三号を採決いたします。
 本県収用委員会の委員に藤原儀一君を任命するにつき、これに同意することに賛成の諸君はご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(馬頭哲弥君) 起立全員であります。よって、議案第百三号和歌山県収用委員会の委員に藤原儀一君を任命するにつき同意を求めるの件は、これに同意することに決定いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 次に、議案第百四号を採決いたします。
 本県収用委員会の委員に宮本義男君を任命するにつき、これに同意することに賛成の諸君はご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(馬頭哲弥君) 起立全員であります。よって、議案第百四号和歌山県収用委員会の委員に宮本義男君を任命するにつき同意を求めるの件は、これに同意することに決定いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 次に、議案第百五号を採決いたします。
 本県収用委員会の委員に東野信義君を任命するにつき、これに同意することに賛成の諸君はご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(馬頭哲弥君) 起立全員であります。よって、議案第百五号和歌山県収用委員会の委員に東野信義君を任命するにつき同意を求めるの件は、これに同意することに決定いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 次に、議案第百六号を採決いたします。
 本県収用委員会の委員に橋本敏君を任命するにつき、これに同意することに賛成の諸君はご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(馬頭哲弥君) 起立全員であります。よって、議案第百六号和歌山県収用委員会の委員に橋本敏君を任命するにつき同意を求めるの件は、これに同意することに決定いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 次に、議案第百七号を採決いたします。
 本県収用委員会の予備委員に松本光昌君を任命するにつき、これに同意することに賛成の諸君はご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(馬頭哲弥君) 起立全員であります。よって、議案第百七号和歌山県収用委員会の予備委員に松本光昌君を任命するにつき同意を求めるの件は、これに同意することに決定いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 次に、議案第百八号を採決いたします。
 本県収用委員会の予備委員に森薫満君を任命するにつき、これに同意することに賛成の諸君はご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(馬頭哲弥君) 起立全員であります。よって、議案第百八号和歌山県収用委員会の予備委員に森薫満君を任命するにつき同意を求めるの件は、これに同意することに決定いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 次に、議題となっております全案件のうち、ただいま議決いたしました議案第百号から議案第百八号までを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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○議長(馬頭哲弥君) 次に日程第四、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会において受理した請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(馬頭哲弥君) 次に、お諮りいたします。七月十二日及び十三日は、各常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) ご異議なしと認めます。よって、七月十二日及び十三日は休会とすることに決定いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員からこれを申し上げます。
  〔職員朗読〕
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  総務委員会  第一委員会室  
  厚生委員会  第二委員会室  
  経済警察委員会 第三委員会室  
  農林水産委員会 第四委員会室  
  建設委員会  第五委員会室  
  文教委員会  第六委員会室  
  ───────────────────
○議長(馬頭哲弥君) 次会は、七月十四日再開いたします。
○議長(馬頭哲弥君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時五十三分散会

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