平成5年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第三号 平成五年七月七日(水曜日)
  午前十時開議
  第一 議案第七十四号から議案第九十九号まで、及び報第一号から報第六号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第七十四号から議案第九十九号まで、及び報第一号から報第六号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十四人)
 1  番  尾  崎  要  二
 2  番  中  村  裕  一
 3  番  下  川  俊  樹
 4  番  石  田  真  敏
 6  番  木  下  秀  男
 7  番  岡  本 保
 8  番  藁  科  義  清
 9  番  向  井 嘉久藏  
 10  番  小  川 武
 11  番 上野山  親  主
 12  番  井  出  益  弘
 13  番  町  田 亘
 14  番  尾  崎  吉  弘
 15  番  門  三佐博  
 16  番  西  本  長  弘
 17  番  高  瀬  勝  助
 18  番  冨  安  民  浩
 19  番  和  田  正  一
 20  番  阪  部  菊  雄
 21  番  平  越  孝  哉
 22  番  大  江  康  弘
 24  番  山  本 一
 25  番  吉  井  和  視
 26  番  浜  田  真  輔
 27  番  堀  本  隆  男
 28  番 宇治田  栄  蔵
 29  番  富  田 豊
 30  番  中  村  利  男
 31  番  馬  頭  哲  弥
 32  番  宗 正  彦
 33  番  鶴  田  至  弘
 34  番  上  野  哲  弘
 35  番  村  岡 キミ子  
 36  番  松  本  貞  次
 37  番  木  下  義  夫
 38  番  和  田  正  人
 39  番  中  西  雄  幸
 40  番  橋  本 進
 41  番 野見山   海
 42  番  森 正  樹
 43  番  浜  本 収
 44  番  新  田  和  弘
 45  番  浜  口  矩  一
 46  番  森  本  明  雄
欠 席 議 員(なし)
 〔備 考〕
 5  番  欠  員
 23  番  欠  員
 47  番  欠  員
説明のため出席した者
 知 事 仮  谷  志  良
 副知事 西  口 勇
 出納長 梅  田  善  彦
 知事公室長 中  西  伸  雄
 総務部長  木  村  良  樹
 企画部長  佐  武  廸  生
 民生部長  南  出  紀  男
 保健環境部長  江  口  弘  久
 商工労働部長  吉  井  清  純
 農林水産部長  野  見  典  展
 土木部長  山  田 功
 企業局長  高  瀬  芳  彦
 医科大学学長  駒  井  則  彦
  以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 岩  崎  正  夫
 教育長 西  川 時千代  
  以下教育次長
 公安委員会委員長
 山  階  清  弘
 警察本部長 西  川  徹  矢
  以下各部長
 人事委員会委員長
 水  谷  舜  介
  人事委員会事務局長
 代表監査委員  天  谷  一  郎
  監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 鈴  木  俊  男
  選挙管理委員会書記長
  地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長  梅  本  信  夫
 次  長  中  村 彰
 議事課長  中  西  俊  二
 議事課副課長  佐  竹  欣  司
 議事班長  松  谷  秋  男
 議事課主事 長  尾  照  雄
 議事課主事 松  本  浩  典
 総務課長  川  端  孝  治
 調査課長  岡  山  哲  夫
 (速記担当者)
 議事課主査 吉  川  欽  二
 議事課主査 鎌  田 繁
 議事課速記技師 中  尾  祐  一
 議事課速記技師 保  田  良  春
  ──────────────────
  午前十時三分開議
○議長(馬頭哲弥君) これより本日の会議を開きます。
  ──────────────────
○議長(馬頭哲弥君) 日程第一、議案第七十四号から議案第九十九号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第六号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 46番森本明雄君。
  〔森本明雄君、登壇〕(拍手)
○森本明雄君 おはようございます。
 順次、質問を進めてまいります。
 最初に、障害者対策についてであります。
 世界人権宣言は、いかなる差別も受けない権利をすべての人に約束しました。残念ではありますが、我が国では、障害を持つ人の多くにこの約束は果たされていないと思います。
 国は本年、障害者に関する新長期計画を発表しています。今後十年間の指針となるものであります。計画では、基本的な考え方として、一つ目に障害者の自立性の確立、二つ目に全員参加による平等な社会づくり、三つ目に障害の重度化や障害者の高齢化への対応などを強調しています。障害者が積極的に社会参加できる雇用機会の創出とともに、職業教育の充実も訴えています。具体的な勤務のスタイルとして、短時間勤務、在宅勤務、フレックスタイムなどが並んでいます。道路や建物などでの物理的障害を取り除くなど、社会活動参加に向けた生活環境面の改善も促しています。
 予想したとおり、旧長期計画を踏襲した内容ばかりであります。目新しいものといえば、アジア・太平洋地域での障害者問題をめぐる国際協力の推進を目標に掲げたことぐらいであります。今年からアジア・太平洋障害者の十年が始まったためでありますが、新長期計画についてのご所見をお伺いいたします。
 昭和五十八年からの国連・障害者の十年では、旧長期計画をもとに障害者対策が進められてきました。確かに、障害基礎年金や特別障害者手当の創設で、不十分ながら一応の所得保障はしました。精神衛生法が障害者の人権を守る視点から改正され、精神保健法になりました。また、音の出る信号機や歩車道の段差解消も普及してまいりました。ほかにも数々の成果があります。しかし、国連・障害者の十年の理念である「完全参加と平等」の実現には、ほど遠いと思うのであります。
 事実、養護学校卒業生の就職は相変わらず難しいし、自由に利用できる交通機関もありません。たとえ外出できても、盲導犬同伴では利用を断られるホテルもあります。施設を出て暮らしたいと思っても、部屋探しもままならない状態であります。「完全参加」どころか「参加」すらおぼつかない現状であります。結局、旧長期計画が描いたシナリオは余り現実化しなかったと思うのであります。十年間の評価についてお伺いいたします。
 先ほど述べたように、類似商品のような今回の新長期計画にどれだけの期待が持てるのだろうか。肝心なことは、障害者とともに生きる社会をどう育てるかであります。障害者や老人を弱者と決めつけ、保護し助けてあげる存在と見る風潮は、依然として根強いのではないかと思います。人間は皆、加齢とともに耳は遠くなり、目も不自由になります。足腰も弱り、動作も緩慢になります。今障害を持っている人たちと変わらない状況になるのであります。障害者対策は、障害を持つ方々だけの問題ではありません。すべての人たちに共通の課題として幅広い対応が必要であると思いますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、地方分権についてであります。
 通常国会で、地方分権を推進する決議が採択されました。明治以来の中央集権体制は、我が国に目覚ましい経済発展をもたらした反面、地方は画一化を要求され、自治体の自主性は阻害されてきたと思うのであります。
 戦後、地方自治法が制定され、地方に自治が認められたはずでありますが、中央集権構造は今も続いています。道路一本、福祉施設一つつくるのも自治体が勝手に決められないのであります。条例を制定する場合も、国の定めた法律が認めている権利まで規制はできません。結局、地方政治といっても、中央官庁の許認可を得なければ何事も進まないのが実情であります。
 世界でも有数の経済大国になった今、中央集権体制のデメリットが目立ってきたようであります。今後は、効率性よりも地域の個性や多様性に目を転じていかなければならないと思うのであります。高齢化社会で住民にきめ細かなサービスを提供するためにも、身近な行政である自治体の果たす役割は重みを増してきます。また、地方自治には住民の意向が反映されやすいと思うのであります。
 衆参両院での決議は、地方分権推進のために法制化を初め抜本的な施策を総力を挙げて断行していくべきであると強調しています。政府は、国会決議を真正面から受けとめ、法制化、権限移譲に取り組むべきであると思うのであります。
 県民が生き生きと暮らせる和歌山建設には、中央集権体制の打破が必要であると思います。自治体は、国の許認可権や補助金で権限、財政面で制約を受けています。この仕組みを改め、和歌山の問題は和歌山の責任と権限で解決できる地方分権、主権のシステムを確立しなければならないと思いますが、国会決議に対する知事の所見をお伺いいたします。
 首相の諮問機関である地方制度調査会が、規模・能力が比較的大きな都市について、その事務権限を強化し、できる限り住民の身近で行政を行うことができるようにすると同時に地域行政の充実に資することを目的として、中核市制度の創設を答申しました。この答申を受け自治省は、各省庁との協議を進め、来年の通常国会に地方自治法など関係法の改正案を提出する予定だと聞いています。
 人口三十万人以上、面積百平方キロメートル以上で地域の中核的機能を有する都市が対象となっており、政令指定都市に次ぐ規模の権限を都道府県から移譲しようというものであります。対象都市の決定は、当該都市の意思に基づき、また当該都市を包括する都道府県の合意を得るとなっています。自治省では、資格を有する都市に主な県庁所在地など全国二十六市を挙げています。本県では和歌山市が挙げられています。その和歌山市では、旅田市長は「県庁所在地であり、また地方の中核的な役割を果たす使命を持っている自治体であるという立場からも、これらの制度について、県を初め各関係機関に積極的に指定を要望してまいりたいと考えております」と、指定について積極的姿勢を示していますが、県の見解をお伺いいたします。
 次に、水道水源の安全性確保についてであります。
 水道の水源汚染の問題が深刻になってきている、このままでは安全でおいしい水の供給はできなくなるという話が新聞に報道されていました。一つは、水道水源の水質保全に関する有識者懇談会の報告書であります。水道水源の水質の現状あるいは水道事業の実態を踏まえて、将来にわたって安全で良質な水道水の供給を確保するために、今後、工場排水、農薬、生活排水に関する種々の規制的な措置あるいは生活排水処理施設の整備などを一体的かつ計画的に実施していく必要、それから水質汚染事故発生時の適切な対応といったことについて、幅広い内容にわたって政策提言をしています。
 次に、社団法人日本水道協会の水道水源の汚染状況に関する調査であります。これは、昨今、水道水源の汚染問題が社会的にも問題になっている中で、同協会が構成団体である全国の水道事業体、市町村の水道事業体、千八百九十四に対して実態調査を含めたアンケート調査を行い、回答のあった九百団体の事例について取りまとめたものであります。
 その概要は、取水に近い事業場の排水あるいは未処理の生活雑排水などにより、水道事業が取水の停止を初めとしてさまざまな影響を受けている、田畑にまかれる農薬、肥料の流入、あるいは水源上流域での開発に伴う森林伐採、観光などによって水道が影響を受けている事例が少なくないというような結果になっていると報告しています。
 水道水源に起因する水道水質の問題として、異臭味被害があります。これは、水が停滞しやすい水域において各種排水によって富栄養化の現象が見られ、そうした水域から取水している水道において飲み水にカビ臭などの異臭味が発生する問題であります。
 厚生省では、こうした被害の状況を昭和五十八年度より毎年、全国的に調査してきています。その結果によりますと、被害人口はここ数年増加傾向にあって、直近の調査結果である平成三年度の結果によりますと、首都圏あるいは近畿圏を中心とした九十八の事業体で約二千万人の水道利用者の方が被害を受けているというデータであります。八年間の調査で、この間、倍増してきている状況となっています。
 県内では、水道水の異臭味被害はまだ及んでいませんが、原水の異臭味はあります。よくならない河川の汚濁状況から、今後の保証はありません。異臭味というと、臭い水ということで健康には影響はないと解釈をされる方も多いようでございますが、国立公衆衛生院の衛生工学部長は次のように述べています。
 人を含めて、動物には生体の防御機能があり、飲み水にしても食べ物にしても、あるいはそれ以外のさまざまな環境などについても、完全であるかどうかは、いわゆる五感で判断をしています。また、WHOでは、憲章の中で『健康とは、単に疾病状態にないという肉体的な状況ばかりでなく、精神的にも社会的にも健全であること』と定義していますが、このような定義に従えば、水道水の異臭味は決して健康によい水とは言えないことになります。異臭味水道水と健康についての所見と、水道水源の異臭味防止対策についてお伺いをいたします。
 次に、水道水源に流れ込んでくるいろんな問題、化学物質が多く含まれるという問題であります。
 今、いろんな説がある中で、少な目に見積もって化学物質約二万種以上が出回っています。そのうち一万種ぐらいが私たちの身の周り近いところで常に循環していると言われていますが、これは多くが使用後には水に入るわけであります。この中で、農薬について取り上げてみます。
 平成四年九月三十日現在で登録を受けている農薬の銘柄数は六千三十七件であり、これに含まれる有効成分数は四百五十一化合物であります。農薬の登録に際しては、水道原水に含む公共用水域での安全性の確保を前提に、厳正な審査の上、登録していると思うのでありますが、原水に一定程度化学物質等が含まれていた場合の人体への影響についてであります。
 人の健康への影響については、数多くの微量化学物質があり、人の健康の保護に関する環境基準が定められている物質や登録されている農薬については項目ごとに慢性的な影響について十分な検討がされているとは思いますが、数多くの微量化学物質すべてについて人体への慢性的な影響が明らかになっているということではないと思います。
 また、有効成分数四百五十一化合物、登録を受けている農薬の銘柄数六千三十七件、数え方によれば何千種類の組み合わせは何万種類にもなると思います。こういう数多くの微量化学物質の複合的な人体への影響について、現在の科学的な知見では評価が困難な実態であり、十分解明されているということは言えないと思いますが、見解と対応についてお伺いいたします。
 次に、原水に化学物質等が含まれていた場合、水道の処理技術によってどの程度の除去が可能なのかどうか。現在の一般的な水道における上水処理技術は、沈殿池、ろ過池という非常に物理的な処理方法を中心に来ているので、そうした処理技術においては化学物質等についてほとんど処理する、除去する能力はありません。異臭味については、オゾンあるいは活性炭を用いた特殊な処理、つまり高度浄水処理という手法がかなり実施されつつあります。こうした処理技術を使えば一定程度化学物質にも対応できる余地はありますが、ただ除去できる物質の種類や程度というものは、一定の限界があります。こうした処理技術には大変高度な管理あるいは多額の費用を要しますので、こうした処理技術を早急に導入することは極めて困難だと思います。
 したがって、水道水源にこうした物質がふえてくると水道では対応し切れないという問題が出てまいりますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
 昨年末、水道法に基づく水質基準及び公害対策基本法に基づく水質汚濁に係る環境基準が拡充、これに合わせた形で環境基準も有害物質については大幅に拡充強化、さらに、これを達成するために今度は工場の排水基準あるいは地下水の浸透規制拡充のため、中公審に諮問しています。
 有識者懇談会の報告書の中では、飲料水の水質基準が改定になって大幅に項目もふえたが、これについて新たに基準化された化学物質を含む製品等の使用が広がれば、水道事業者が新しい水質基準に適合した水道水を供給することが困難となる事態が発生することも予想されると。これはすなわち、新基準はつくったものの、このままでは達成できないと言っているのでありますが、県内の実情についてお伺いをいたします。
 新基準は本年十二月一日から施行されることになっていますが、県内水道事業体の水質検査機能の問題であります。本来は各水道事業体で検査をするのが当然でありますが、現行の二十六項目の水質検査ですら、検査項目によっては外部に検査を依頼しているのが実情であります。新基準では検査項目が四十六項目にふえ、その項目の中でも1・1・2トリクロロエタン、1・1・1トリクロロエタンなど、さらに農薬系のシマジン、チウラムなどは、事業体で対応することは検査設備、技術者の確保の面で到底不可能でありますが、県としてどう対応されるのか、お伺いをいたします。
 紀の川の水質汚濁の改善についてであります。
 水質環境基準の有害物質、すなわち健康項目については改善が図られてきました。一方、生活環境項目については最近は横ばいの状況であります。平成四年度版「環境白書」では、例えば紀の川の補助地点であり和歌山市四十万市民の取水地点である新六箇井堰でのBODの七五%値は二・一ミリグラムで、環境基準値を超えています。間近な上流での環境基準点・船戸でも環境基準値を超えています。長年こうした状況は変わっていません。
 今日まで、環境基準はつくったが、つくったものに対して、目標だからということだけで、達成できなくても大きな反省がなかったように思うのであります。水道水源を守るんだということで、水道水源の位置づけをもっと優先的にすべきではないかと思うのであります。
 水道水源、公共用水域において有機性の汚濁があった場合、塩素を作用させるとトリハロメタンという有害物質ができます。これは、水道事業体の中でできることかもしれませんが、生活環境項目でさえも有害物質になり得るんだ、水道の水質として望ましくない水になるんだということをしっかり踏まえ、今の施策でできていないということに対して新しい施策を講じていかなくてはなりませんが、取り組みについてお伺いいたします。
 生活環境項目について、今の環境基準というのは利水目的に応じた形で類型を区分されていますが、その中で水道というのは、県民の健康や生活に直結する重要な利水であるという認識のもとにつくられています。環境庁は、環境基準に基づき、汚れの程度と水の利用状況に応じて六つの類型に分けている全国の河川の仕分けを全面的に見直す方針を固めたようでありますが、県の対応についてお伺いいたします。
 以上で、一回目の質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの森本明雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森本議員にお答え申し上げます。
 地方分権についての国会決議に関する所見でございます。
 地方分権を進めていく上で最も重要なことは、昨日、上野山議員にもお答え申し上げましたように、国から地方への権限移譲であると私は考えてございます。権限移譲の推進については、臨時行政改革推進審議会や地方制度調査会から答申がなされ、全国知事会としても国へ働きかけを行ってまいりましたけれども、残念ながら満足のいく成果が得られていない現状でございます。
 こうした状況の中で、議員の質問にありましたように、国会において地方分権の推進のための決議がなされましたことは、まことに心強いことでございます。このことを契機として、私としても各都道府県と連携をとり、市町村のご協力も得ながら、地方への権限移譲の推進をなお一層国に働きかけてまいりたいと思っております。
 次に、中核市制度についてでございます。
 この制度は、この四月に地方制度調査会が内閣総理大臣に答申した制度でございまして、ご質問もありましたように、原則として人口が三十万人以上、面積百キロ平方以上を要件に、現在政令指定都市に移譲されている事務の一部を県から当該市へ移譲することとなっております。
 本県では和歌山市がこの条件を満たすと考えられるところでございまして、私としては、行政をできる限り住民の身近で行うことを目的とする中核市制度の趣旨を尊重しつつ、今後の動向を見守ってまいりたいと思っております。
 他の問題は部長から答弁させていただきます。
○議長(馬頭哲弥君) 民生部長南出紀男君。
  〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 森本議員の障害者対策についての関係でご答弁させていただきます。
 まず一点目の、新長期計画についてでございます。
 本年三月、国が策定をした障害者対策に関する新長期計画は、昭和五十七年の旧長期計画及び昭和六十二年の同計画後期重点施策の理念及び目標を受け継ぎながら、これまでの成果を発展させ、新しい時代のニーズにも対応できるように策定されたものでございます。また、この計画の推進に当たっては、関係行政機関相互間の密接な連携を図り、障害者対策の総合的、効果的な実施を図ることとされているところでございます。
 このような点から、新しい長期計画は、障害者の社会への完全参加と平等の実現のため、積極的な具体策展開の指針として大きな役割を果たすものと確信しているところでございます。
 次に、二点目の国連・障害者のいわゆる旧十年の評価についてでございます。
 この十年間は、障害者福祉の機運が醸成されるとともに、積極的な取り組みにより、各分野における大きな成果を得ることができたものと評価してございます。しかしながら、議員ご指摘のとおり、障害者を取り巻く社会環境面においては、障害者を庇護されるべき存在としてとらえる意識上の障壁、また交通機関や建築物等における物理的な障壁などがあり、障害者の完全参加と平等の社会実現には今なお多くの課題を抱えていると認識してございます。
 三点目の、今後の取り組みについてでございます。
 障害者問題は、すべての人々にとって自分自身の問題であり、障害を持つ人も持たない人も、ともに生きる社会を築くことが基本でございます。障害者が住みよい社会はすべての人にとっても住みよい社会であるとの観点から、社会全般に障害者の参加や利便を前提にした一般的な措置が講じられる必要がございます。
 県としては、本年度、国の新しい長期計画や県内の身体障害者実態調査結果などを踏まえ、県心身障害者対策協議会のご意見を伺いながら、第二次の長期行動計画を策定し、長期的展望に立ったきめ細かい施策の充実をより積極的に図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 森本議員ご質問の水道水源の安全性確保、異臭味防止対策についてでございます。
 水道水の異臭味については、従来から「臭気がないこと」とされており、そのように各事業体を指導してきたところでございます。今回、水道水の水質検査項目の強化の中で快適水質項目に臭気に関する項目も強化され、適宜調査することになっておりますので、今後、これらの調査を指導するとともに、必要に応じて施設整備等、国への要望や市町村を指導してまいりたいと考えております。
 水道水源の異臭味については、水質汚濁も大きな要因であり、富栄養化物質である窒素、燐の環境基準の設定等を踏まえて水質汚濁防止を推進してまいりたいと考えております。
 次に、化学物質の複合的な人体への影響についてでございます。
 農薬等、化学物質の複合的な人体への影響については、現在、国において微量化学物質の慢性的な影響が検討されておりますが、河川と公共水域での水質目標、水質汚濁防止法の環境基準の追加、そして水道水の水質検査項目の強化等が図られ、水の安全性に関する重要性が認識されたものと考えております。今後とも、国が行う調査に協力するとともに、新しい情報の入手と安全の確保に努め、関係部局との連携を図ってまいりたいと考えております。
 次に、化学物質等が含まれていた場合の除去についてでございます。
 化学物質が含まれた場合の除去については、現在、一番有効とされているオゾン、活性炭等による高度浄水処理施設の普及促進を図ってまいりたいと考えております。なお、国では現在、小規模水道事業体においても採用可能な新たな浄水方法について調査研究が進められておりますので、その動向や他府県の状況等も調査を進めるとともに、安全性の確保のための努力を行ってまいる所存でございます。
 続きまして、新水質基準に適合した水道水の供給についてでございます。
 新水質基準策定のための資料として平成元年度から三カ年間調査した結果、県内ではいずれも基準値を超えるものは検出されておりません。しかし、新水質基準に適合した水道水の供給については、何よりも良好な水源を確保することが基本であり、水質管理計画を早急に策定し、水源の水質の監視をするとともに、これらの結果を踏まえ、関係部局と協議をしながら水源汚濁の防止に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、水道事業体の水質検査機能についてでございます。
 水道の水質検査については事業体が対応するのが基本でございますが、市町村の財政事情等から、設備、技術者の確保等、個々の事業体で対応するのは困難であると考えられます。市町村の対応、国の動向、各府県の状況等を参考にしながら対応を検討しているところでございます。
 続いて、環境基準の達成についてです。
 議員ご指摘のとおり、紀の川の船戸測定点及び新六箇井測定点のBOD値(生物化学的酸素要求量)は、二・四ミリグラム・パー・リットル及び二・一ミリグラム・パー・リットルと、それぞれ環境基準のBOD値二ミリグラム・パー・リットルを超えております。この要因は、主として生活排水が全体の約七五%を占めているためと考えております。
 この生活排水対策については下水道の整備が最も望ましいのですが、これの補完として、農村集落排水処理の整備も含めて関係機関に要望するとともに、台所排水も一緒に処理できる合併浄化槽の推進のための補助等も行っているところであります。生活排水は個人の環境保全意識が重要であることから、水環境保全啓発等の各種の事業を行い、環境基準の確保に取り組んでいるところでございます。
 次に、河川の類型の見直しについてでございます。
 環境基準の見直しについては、平成五年六月二十八日付で類型指定及び見直しの状況を調査するよう課長通知がございました。県としても、今後必要な調査を行い、環境庁と協議の上、必要ならば所要の改定を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 農林水産部長野見典展君。
  〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 森本議員にお答えをいたします。
 水道水源安全性の確保についての農薬関連のご質問でございます。
 農薬については、農薬取締法に基づく国の登録制度がございまして、各種毒性試験や河川などへの影響等、安全の確認がなされた上で製造、販売されてございます。
 県としては、国の安全使用基準に基づき農作物病害虫及び雑草防除指針を策定しており、あわせて農薬危害防止運動の実施や農業改良普及所、農協等、関係機関を通じ、農薬安全使用の指導啓発を行い、使用者に対する意識の高揚を図っているところでございます。したがって、農薬については、使用回数、量など適正に使用される限り問題がないものと認識をしてございます。
 今後、より一層安全な農薬の開発について、国等へ要望してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 紀の川の環境基準の達成に関係して、下水道についてお答えをいたします。
 紀の川の水質環境基準を維持達成するために、昭和五十二年、県において策定をした紀の川流域別下水道整備総合計画に基づき、流域を三ブロックに区分し、下水道整備を行っているところであります。
 上流部は、県事業として紀の川流域下水道事業伊都処理区を昭和五十四年度に事業化し、現在、幹線管渠工事及び終末処理場の用地買収を行っております。また、枝線管渠工事等は、関係市町において流域関連公共下水道事業として事業促進をしております。
 中流部では、那賀処理区として平成四年度に下水道基本計画案を作成したところであり、今後、関係町の協力を得ながら都市計画決定を行い、早期事業化を図ってまいりたいと考えております。
 さらに、下流部では和歌山市が昭和四十七年から公共下水道事業に着手し、整備を進めているところであります。今後も引き続いて、紀の川の水質の保全、流域住民の生活環境の改善を目指した下水道事業の促進に努力してまいりたいと存じます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 再質問がありませんので、以上で森本明雄君の質問が終了いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 それでは、お許しをいただきましたので、一般質問を行わせていただきます。
 住友金属工業株式会社の西防埋め立てとその転用の意向表明、その後の関連する動きに関係して、県当局の行政姿勢について質問をいたします。
 昨日、先輩議員から同趣旨の質問がございましたが、私も、重複することをあえて承知の上で、また論旨の関係上重複することをお許しいただきながら、質問をさせていただきます。
 ご承知のように、同社は公害工場の沖出しということで公有水面埋め立ての認可を受け、埋立工事を今日まで継続しているところであります。ところが、一昨年の五月、同社は埋立用地の利用計画を見直すと発表し、世間の耳目を、とりわけ和歌山市民の大きな驚きとなったところでありました。本問題は二年前の六月議会で一斉に取り上げられ、相当の論議がされたところでありますが、私も深い関心を持って聞いたものでございました。
 以来、二年が経過いたしました。事態も相当進行していることもあろうかと思われます。一昨年六月発行の住友金属の文書を見てみますと、次のようなくだりがあります。
 「西防埋立地の利用計画の見直しについて」という文書でございますが、「環境改善目標数値の遵守と鉄鋼生産の維持を現敷地内で両立させることが可能であるとの確実な見通しが得られましたので、埋立地の高度利用を図ってまいりますために利用計画を見直す方針を固めた次第であります。この間、方針決定に至る過程で、和歌山市に利用計画の見直しを行う方針で検討中である旨のご報告をいたしておりましたところ、先般、弊社に対して、地域の開発と活性化及び産業振興の観点から関西電力のLNG火力発電所誘致を含む公共的利用を図ることに関して協力のご要請がありました。弊社といたしましては、利用計画の見直しに当たり、公共的、公益的な視点に立ち、港湾地区としての立地条件を踏まえた利用を図ることを念頭に置き、例えば関西経済圏の拡大、活性化に対する物流基地や和歌山市から協力要請をいただきましたLNG火力発電所等の可能性につきましても、諸条件を勘案しながら検討をしてまいる方針であります」、このように述べておられます。
 いささか長く引用さしていただきましたけれども、住友金属の方針が確固としたものであるということを物語る文書として、またLNG発電基地についても重要な選択肢の──「重要」と言うよりも、物流基地と並んで現段階では唯一的な転用方針となっていることも読み取ることのできる文書でございましたので、あえて引用さしていただきました。
 すなわち、住友金属は、公害工場の沖出しという条件で取得した埋立免許で、全く異質の目的をもってここ二年間埋立工事を続けてきているわけであります。このことについては後ほど質問するわけでございますけれども、この問題に対する当時の県当局の態度も一度振り返ってみておきたいと思うんです。この問題が新聞等に報道されましたとき、知事は、要旨次のようなコメントを発表いたしました。
 「住友金属が見直しを表明したことは遺憾である」としながら、また一方では、「見直しを進めるに当たっては、これまでの経緯あるいは企業責任を踏まえ、地域の活性化を図るべく最大限の努力をされたい」として、和歌山市に対して、今後の検討に当たっては市の将来を展望し長期計画に位置づけをすること、特に電源立地については環境アセスメントが非常に重要であるため、これをクリアすること、並びに、地元を初め関係者の皆さんの十分なご理解を必要とすることを伝えたとされています。「遺憾である」というふうにコメントされておりますけれども、見直しそのものは否定せず、見直すに当たって注意すべき諸点を指示したようなコメントでありました。
 県議会でも当然この見直し問題は論議を呼ぶことになり、一部議員から「大企業の横暴」という指弾や「知事の談話に違和感を抱く」というような不快感の表明もありましたが、知事は、今後変更申請が出たら審査を行うということと、埋立地は地方公共団体が買い上げることも法的には不可能ではないという見解等をここで表明されました。ここでも「見直しは遺憾」とし、その遺憾の部分は言葉だけで何らの対応のないことも明らかになったところでした。
 以上のような経緯をもとに二年の歳月が経過いたしました。住友、関電、和歌山市、いずれも見直し、LNG基地の進出、LNG誘致にと、その体制を整えつつあるように思われるところであります。
 そこでお尋ねするわけですが、一昨年の住金の見直し発表以来、県当局はこの問題にどのように対応されてまいりましたか。住友金属、関電、和歌山市等と公式、非公式にどのような話を進めてこられましたか。その際の県当局の基本的な態度はどのようなものであったのか、明らかにしていただきたいと思います。とりわけ、当時「見直しは遺憾」と表明した知事の姿勢はどのように貫かれ、現在それについていかなる所信をお持ちなのか、明らかにしていただきたいと思います。
 二番目、住友金属による現下の埋立行為は、明白に転用を前提としているものであります。さきに長々と二年間の経緯を申し上げましたのも、その客観性を示すためのものであったわけですが、明らかに転用を前提に行っている埋立工事であります。しかし、埋め立ての許可条件は、公害工場の沖出しであります。埋め立ての合法的根拠は当事者によって喪失していることが表明されているわけであります。私は、公害がどの程度減少し、どの程度残留しているのか、今この項目で問うところではありませんが、当事者は沖出しの必要はないと天下に公言しています。そして同時に、埋立工事を進行させているわけです。免許権者としての当局はこの矛盾を目の当たりにしているわけですが、この事態に対してどのような所感をお持ちでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
 さらに、第二工区の竣功認定に当たっては鉄工用用地としてその竣功を認定しています。埋め立ての当事者が転用することを公式に表明している埋立地を鉄工用用地として竣功を認定するというのは、素人の私たちから見ると全く何をしているのかわからないところであります。技術上、工法上の問題に限っているのかもしれませんが、そこには行政として免許条件を守らせるという姿勢が全く見当たりません。用途変更の申請が出たら審査をするというのが当局の態度としてさきに表明されていましたけれども、それならば、関係する会社、地方公共団体にも用途変更を前提とした勝手な動きは自粛さすべきが免許庁としての仕事ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
 次に、第三工区着工に当たってはそのような基本的な話し合いがなされたのかどうか。あったとすればどのような内容で行われたのでしょうか。本来的に言うならば、遅くともこの時点で転用の意思を公式に確認し、それが免許条件と異なるならば埋立工事の一たんの中止、その後の問題は法との関係で整合性のあるものにすべきだと私は考えるのですが、いかがでしょうか。そういうことがないと、住金と県とがなれ合っているとか、住金の土地転がしを県が黙認しているとかというようなことを言われても仕方がないのではないでしょうか。所見をお伺いしたいと思います。
 次に、公害問題についてお聞きをいたします。
 公害防止装置の改善や生産量の低下等により従前の公害が相当改善されたのは事実であろうと思います。しかし、地元には依然として公害の被害の訴えがあり、今回の住金の措置に対する不満も大きな声となって聞かれます。ごく最近も、公害の存在と発生源の沖出しを求める要望が住民団体から県や市及び企業に提出されたと聞いております。
 当局として、この住金公害の現状をどう把握しておられるか、沖出し不要という企業の主張をどう考えられるのか、公害被害の根絶のためにどのような方針で指導されておられるのか、地元の住民の訴えも届いておろうかと思われますので、考え方を示していただきたいと思います。
 次の問題に移ります。
 和歌山市布引地区のシーサイドロード、和歌山市が建設中の市道予定地に、現在、一枚の大きな看板が立っています。この地区の一定部分が土地収用法に基づく事業認定を受けたという告知でありますが、六月中旬、この看板が突然立てられ、それを見た人々は大きな不安と青天のへきれきのごとく行われた私権の制限行為に大きな怒りを抱き、現在に至っております。
 平成二年に和歌山市が、この地にマリーナシティにつなぐ道路の建設を決めました。以来、市の方は精力的に買収行為を続けたようであり、そのことは新聞記事等でも承知しておりましたが、同時にそれは必ずしも円滑に進んでいなかったようでもあります。
 この土地は、古老の話によれば、四百年から五百年の長きにわたって死にかわり生きかわりしながら耕され続けてきた土地ということであります。そこには、百数十代の人間の歴史が刻み込まれているでしょう。しかも、まれに見る肥沃の土地であり、市内でも数少ない専業農家の集落でもあります。
 農家が土地を手放したくない、あるいは失いたくないと思う心は、切なるものがあります。三年前にふと思いついたシーサイドロードとは、その土地にかける思いが違います。買収の困難は当然予想されたことだと思いますが、余りにも早い土地収用法の適用であります。あの地にシーサイドロードが必要かどうかをきょう私は論ずるつもりはありません。ただ、公共、公益のためにという名分があれば私権の制限という権力行為を慌ただしく振り回すということに大きな疑問を抱くわけであります。しかも、この事業の認可申請と認定に至る過程が、民意の反映とりわけ当該地区の地権者たちの意見を聞くという全く初歩的な、地方行政としてはイロハのところが欠けている粗雑な申請と認定であったということに大きな疑問を抱くわけであります。
 質問の一つは、和歌山市が土地収用法に基づく事業認定の申請を行ったことも、それを縦覧に供したことも、そしてそれが県によって認定されたということも、当該地区の人々は全く知らなかったということを県当局がどう考えるかということであります。
 和歌山市は当該地区の人々に対し、時折、強制収用もあり得ると口にはしていたようであります。しかし、土地収用法とはどういうものか、いつ申請するのか、その事業の申請がされればどのような順序で執行に至るのか、あるいはこの過程において当該地権者にはどのような権利が保障されているのか、事業認定の申請の前にはそれぐらいの説明があっても当然であります。そうでないと、住民の権利が完全に無視され、行政権力のひとり舞台になるからであります。
 では実際にどうであったのか。土地収用法の説明も、認定申請の日も、これにかかわる住民の権利の説明もありませんでした。一つだけ、義務的にしなければならないことがありました。それは認定申請を縦覧させるということです。縦覧させなければ法的に定められた手続とならないからでありますが、そのためには縦覧に供しているということも告知されなければなりません。本来、そのことは地権者たち、当該の地区の人々は当然知らなければならないわけであります。
 しかし、知りませんでした。なぜ知らなかったのか。和歌山市は、市役所の正門の道路に面した掲示板に西洋紙半紙一枚程度の大きさの印刷物を張りつけたのです。そして、市役所のエレベーター、市役所の土木部管理課に、縦覧に供している旨を掲示しただけであります。それだけであったわけです。
 市役所や役場の前の掲示板に小さな文字の印刷物がぶら下げられているのを、私どももよく見かけることがあります。しかし、まずそれを読むという人はおりません。ポスターなら目を引くこともあるかもわかりませんが、小さな文字のプリントの西洋紙が一枚掲げられているのを一々読んでいる人というのは、いまだ見かけたことがありません。
 当該地区の人々は、農繁期で多忙をきわめておりました。深夜二時、三時の労働は決して珍しくないという時期でした。十キロメートル以上離れた市役所の掲示板やエレベーターの前に何が張られているかに興味を抱き、わざわざそれを見に行くという人は、これもまずおりませんでした。もちろん、土木部の管理課のドアを見に行く人も、これまたおるわけがありません。
 結局、事業認定の申請があったことも、それが縦覧に供されていることも知りませんでした。したがって、公式に意見を出せる機会であったにもかかわらず、全く意見が出せなかったわけであります。語り尽くせないほど言いたいことを持っていた当該の地権者の意見は、公式の場で出す権利をこの際奪われたのです。そして和歌山市は、県に対して「縦覧したけれども、意見はなかった」と報告し、県も意見がなかったということでこの項目は処理したわけであります。
 以上のような状況の中で認定した県当局の行政姿勢を問いたいのであります。土地収用法を適用するというのは、土地の買収がうまくいかないからです。うまくいかないのは、何らかの理由があるからです。反対意見があるからです。だからこういう措置がとられたわけでありますから、市から「意見がない」という報告があれば、その真偽をただしてしかるべきではないでしょうか。それが県の認定行為として最初に行うべきことではないでしょうか。
 土地収用法第二十一条は、都道府県知事が事業認定に関する処分を行おうとする場合において、意見書の添付がなかった場合またはその他必要があると認めるときは、起業地にある土地の管理者──この場合、地権者です──から意見を求めなければならないとあります。場合によっては専門家の意見を聴取するとか、公聴会の開催まで定めております。
 縦覧はもともと公正さを保障するためのものです。それをさせないことは公正を欠いたということであります。それが周知されず「意見なし」ということであれば、意見を求めるべく指導するのが県の仕事ではないのでしょうか。地権者の感情や願いを大切にすること、納得を通じて仕事を進めることが行政の本来的立場であるならば、今回のこの件に関する認定のあり方は極めて粗雑であり、認定の効果に疑問を抱くものであります。
 以上の点について、当局の見解を求めます。
 二番目の質問は、認定に当たる当局の体制的問題であります。私は、認定に当たっては合議機関がなければならないのではないかと思うわけであります。土地収用法に基づく土地の強制買収は、地権者の権利を公益の名において制限するものであり、権力による土地の一方的接収であります。私は、地権者の故意による妨害やごね得をねらっての買収妨害に対しては、ある程度法に基づく毅然とした対応が必要であろうとは考えております。わずか数平方メートルの土地に三千万円を補償するようなある市の度量はごね得への哀れな屈伏だと思いますが、そういう悪意の妨害行為への対処と今回の問題は本質的に異なる対応がなければならないと思います。行政の行為が善でそれに逆らう者は悪いという構図は、民主主義と無縁であります。
 成田空港での土地収用が二十数年を経ても強制収用に至らなかったことなどは、私権がいかに尊重されるべきかを物語っています。したがって、実際に強制収用というのは県下でもなかなか例を見ないものでありますが、認定に当たっても当然慎重を期すことが必要だと考えます。
 しかし、申請書がマニュアルどおりに形式さえ整えていればOKの印がつかれるというのが現実であります。今回の場合もそのように措置され、土木部の一つの課において、この問題は何らの合議、複数の人数において討議・決裁するということではなく、担当の一課の一存によって事は運ばれているわけです。法的にそれは違法ではないでしょう。しかし、その印鑑一つでその地区一帯の地権者はみずからの財産の自主的処分の権限がなくなるということを考えれば、単に一つの課に任せておくという問題ではなかろうと思います。
 また、認定の条件の中には「当該地区の土地の合理的利用」と、相当難しい判断が必要な項目もあります。こういうことを一課一室で判断することは極めて危険なことであり、当該地区が農業振興地域であり、和歌山市の中でも数少ない専業農家の集落であることを考えれば、一層その感を深くするものであります。認定に当たってはしかるべき委員会等による審議が必要だと思われますが、いかがでしょうか。
 以上をもちまして、第一問を終わらせていただきます。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 西防埋立地の利用計画の見直しについての現在の所見でございます。
 お話ございましたように、二年前、住友金属の土地利用計画を見直したいという希望表明の際に「遺憾である」と述べました私の気持ちは、変わっておりません。住友金属から、移転を中止したいという希望表明の後、埋立地の転用について申し入れを受けておりませんし、和歌山市等との話し合いは行っておりません。
 また昨日、木下議員にも申し上げたように、公有水面埋立法上は埋立地の用途を変更することは許容されておるわけでございます。現在、住友金属において、沖出し中止に関する地元のコンセンサスの形成、環境改善の方策、土地利用の内容など、その実現性について種々検討作業が行われている段階と認識しており、その推移を注意深く見守っていくべきものと考えておる次第でございます。
 なお、埋立法上は、具体的な変更申請がなされた段階で審査し、判断することになっております。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 最初に、住友金属西防の埋め立てに関しまして、埋立許可条件と現実とが矛盾しているのではないかというご質問でございますが、これは埋立法上の考え方ということだろうと存じます。
 二年前に住友金属が土地利用計画を見直したいとの希望を表明しておりますが、これは埋立権を所有する者としての希望を述べたものであって、県としては、具体的な変更申請がなされない以上、従来の免許は依然有効であろうと考えております。
 次に、免許庁としての指導をしてはどうか、特に第二工区を竣功させたことに対するご質問でありますが、埋立地の竣功認可は免許内容に応じた土地が物理的にできたかどうかという観点から行うのであります。したがって、第二工区の竣功認可については、埋立免許を持っている住友金属から竣功認可の申請があり、願書どおりの内容で土地が完成していたということから許可をしたものであります。
 次に、法との整合性等の問題でございますが、現在、住友金属において埋立地の利用の変更のための検討作業が行われていると認識をしております。検討作業の結果、埋立地の用途変更申請がなされれば、公有水面埋立法に基づき厳正に審査、判断等をする所存であります。情勢の推移を注意深く見守りつつ適切に対応していくべきものと考えております。
 次にシーサイドロードの関係でございますが、まず一番目に、関係住民の意見聴取等に関してでございます。
 市は、平成二年十月からシーサイドロードの用地交渉を開始して、本年四月二十一日の説明会までの間、再々交渉を重ね、約八〇%の同意を得られましたが、残りの方々の同意が得られず、任意交渉と並行して収用手続の開始を行うことを説明し、五月十三日に事業認定の申請に至ったと聞いております。県においては、市における公告、縦覧手続後、六月十五日に認定告示を行ったところであります。
 この間、地権者の方々が認定に関し意見を述べる機会がなかったのではないかというご指摘でございますが、収用法上、地権者等への周知方法は公告という手続のみであり、それ以外の手続による周知は起業者の判断にゆだねられておるわけでございます。今回、適法に行われたものであると認識をいたしております。
 また、公聴会の開催あるいは専門的知識を持つ者の意見聴取、関係行政庁との合議という話もございましたが、これらは事業の範囲が極めて広範である場合、あるいは特殊な事業の場合、法令上の制限がある場合にそれぞれ行われるものでありますが、本事業は限られた範囲の線的な一般道路事業でございます。その必要はないものと判断をいたしたわけであります。
 次に、認定の仕組みといいますか、しかるべき議論の上で行ってはどうかというご提言でございますが、認定庁としては、申請を受けて土地収用法の規定に基づき、起業者の意思、能力の有無あるいは収用する土地が最小限度であるかなどの土地利用の合理性、収用の必要性等の要件に該当するかどうか、慎重に審査をし、認定をすることとなっております。
 起業地内に道路、河川等の公共施設がある場合や土地利用に関し自然公園法、都市計画法等による制限や許認可等を要する場合には収用法に基づき関係行政機関の意見を聴取することとなっており、いわば合議制に準じたような形になっていると考えられます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 鶴田議員ご質問の住友金属西防埋め立ての公害根絶の指導強化についてでございますが、住友金属工業和歌山製鉄所周辺の環境については、公害防止施設、緩衝緑地その他により改善され、平成四年版「環境白書」によりますと、硫黄酸化物、窒素酸化物、降下ばいじん等は環境基準、行政目標値を満足しており、埋立計画策定時の昭和五十年当時と比べると相当な改善を示しています。
 しかしながら、公害苦情は全くなくなったとは認識しておりません。今後も引き続き環境監視を行うとともに、事業者に対し、技術進歩に伴う最適な公害防止施設の整備、維持管理に努めるよう指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 住金の埋立問題につきまして、その利用計画の見直しが発表されて以降、知事は「遺憾」との意を表しまして、現在もその趣旨は変わっていないというふうにおっしゃられました。
 そこで私は、見直しが遺憾であるということであれば、遺憾という所信に基づいて何らかの対応があってしかるべきではないかと思うわけです。公害の問題がある、それを除去するための埋め立てである、そういうことで出発して、そしてそれが見直しされる。それが遺憾だということであれば、住友金属に対して何らかの対応が当然生まれてくると思うわけなんですが、その点はいかがなんでしょうか。実は、そこから先の知事のプレーが全く見られないのが非常に不自然だと思います。
 「遺憾」という言葉はどういうことなのかということについても考えなければならないと思いまして、よくわからないものですから「広辞苑」を引いてみました。そうすると、「思いどおりにいかず心残りである」というのが一つ出てまいりました。知事は「当然、公害を沖出しさすべきだと思っていたけれども、それがうまくいかなくなってきた」と、こういうふうに思っておられるんですか。私はそんなふうにまず「遺憾」というのを読みました。
 次に、「残念」という言葉もあるんです。公害工場の沖出しができずに残念というふうにおっしゃっているのか。そこのところもよくわからないんです。知事の後のプレーがないんですから。
 もう一つ最後に、「気の毒」というのがあるんです。そうすると、住友さんが気の毒だと知事が思っているのか、住民を気の毒と思っているのか、これもよくわからないんです。
 知事は「遺憾」という言葉を再三おっしゃられますけれども、言語明瞭意味不明というのはこういうことではないかと思いまして、まことに遺憾に思うわけであります。そこの中身について、「遺憾」とはどういうことなのかをひとつ明らかにしていただきたいと思うわけです。
 きのう、先輩議員の質問に対しまして、住友が見直し作業を進めていることについて「適当な段階で行政としての立場から指導する」という答弁があったように思います。この「適当な段階」というのはどういう段階を指しているのか、どのような条件が整ったときを適当な段階とするのか、この中身をひとつ明らかにしていただきたいと思うわけであります。
 また、「適切に対応する」という答弁もあったと思いますが、その「適切」というのは、立場によって随分意味が変わってまいります。問題は、沖出し中止、埋立地の利用目的の変更、こういう問題が明確に提起されておるわけですから、現在、行政当局としてそれに対する基本的な姿勢はどうなのか、それに対する基本的な評価はどうなのかということを明らかにしなければ、適切な対応というのはなかなか打てない。これまた「適切」という意味がわからなくなってくるわけです。そういう点もひとつ明らかにしていただきたいと思うわけであります。
 土木部長の答弁の中には、埋立地の利用見直しというのは住友が希望を表明したものであるという評価がありました。これは、単に希望を表明したというもんじゃないんです。社として決定をして、そして今それを遂行すべく着々とさまざまな準備を行っているところなんです。単なる希望じゃないんです。したがって、それに行政としてどう対応するかというのは当然求められるわけです。希望だったら眺めておったらいいんです。静観しておったらいいんです。そういう段階ではないという認識で対応すべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
 実際問題は、埋立地の転用──転売ということになるかもしれません。そういう格好で埋め立ては進んでいます。住民のサイドから見ると、許可条件と現在の埋立行為とが完全に矛盾をしているわけです。こういう矛盾がなぜそのまま許されているのかがわからないんですよ。行政としての何らかの対応があってしかるべきではないかというのが住民の一般的な感情だと思います。しかも、発表されてから二年もたっています。市や住金と県の話し合いが持たれていないというのも大変不合理な感じを抱きます。
 結局、知事がもうゴーサインを出しているのではないかと、こういうふうに思われても仕方がないんじゃないか。ノーならば、現在の住友の転用のための準備行為に対してストップをかけるというのが免許庁としての仕事ではないかと私は思うわけですが、いかがでございましょうか。
 公害の問題につきましては、住民団体から沖出しの要望も現段階においても出されております。公害が残っているという答弁がありましたが、この点については担当部のより一層の改善のための指導を要望しておきたいと思います。
 シーサイドロードの問題に移りますと、私は今回の事業認定の申請から認定に至る県の措置というのは、収用法上、法的に何ら問題があるとは思っておりません。しかし、地方行政というのは法にさえ抵触しなければそれでいいのだというものではないと思うんです。多くの地権者が私権を制限される状態が生まれてくるような認定の申請が上げられる、あるいは縦覧があることも知らずに何も意見を出すことができなかったという事態、それが地方行政としては非常に不十分な姿勢だと思うんです。それを承知の上で県がそれを認定するということが、私にはよくわからないんです。住民こそ主人公という立場がここでは貫かれているようにどうしても思わんのです。
 私は、土地収用法そのものを否定するものではありません。先ほども申し上げましたように、必要な場合もあろうと思います。しかし、今回のような事態の場合、もしそれを適用するとしても住民に対する親切な対応が当然あってしかるべきだと。それがなされていないことを県当局が承知の上で認めてしまったということに対して、私は非常に不満を抱くわけです。住民に思いをはせる、そういう温かさというのがあってしかるべきじゃないでしょうか。いま一度お尋ねをするわけでございます。
 ある農家は一割以上の土地を失います。ある家は祖先の墓の上に道が走ります。ある家では、庭のある家をと最近ようやく買い求めたその家の、その庭の八割以上が削り取られます。ある家では、このことによって後継者が後継する意欲を失いかけているという話も出ています。五百年間、先祖伝来の土地、百数十世代にわたって生きかわり死にかわりして耕してきた土地であります。農家が持つ土地への執着、若い後継者がこの土地に抱く夢、それを理解してやってこそ地方行政だと思うわけであります。そういう姿勢の欠落が今回の措置の中に見られます。
 二番目の問題の、そういう申請が上がってきた場合には、個人の判断ではなく合議の機関があってしかるべきという問いの答えに、関係行政機関に該当するところがない、そういうのは今回は不必要であると答えられましたが、今回の場合でも、地権者の意見がないという不自然さには当然気を配るべきじゃないか、あるいは土地利用が合理的であるかどうか慎重に審査をすべき課題ではなかったか、そういう点を考えようとするならば、単なる一課一室に任せるということではなくて、そこに上がってきた申請を集団的に検討する委員会、審議会的なものがあってもいいのではないか、そういうことを考える次第であります。県当局の見解をお伺いしたいと思います。
 以上で再質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 私が「遺憾」と申し上げたのは、住友金属の土地利用計画の見直しに関する私の気持ちを率直に述べたものでございます。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えいたします。
 住友金属西防の埋め立てに関しまして、適当な段階あるいは適切な対応とはどういうことかということでございます。
 いずれにいたしましても、現在、一概にこれを明確に想定することは非常に難しいのではないかと思いますが、例えば時期としては、沖出し中止に関する地元コンセンサスがある程度形成をされたり、あるいは利用計画が具体化をした段階というようなことが想定されますし、また適切な対応ということについては、好条件を備えた貴重なスペースの利用としてふさわしい利用かどうかを含め、まさに多面的な観点からこれを指導をしていくというようなことが想定されます。
 いずれにしても、埋立法上は具体的な変更申請がなされた段階で審査、判断ということになりますが、今申し述べたような段階が至れば所要の対応をしていく必要があるのではないかと考えております。
 それから、シーサイドロードで住民の意見を聞くという立場での親切さや温かさが足りないのではないかというご指摘がございました。
 先ほども申し述べましたが、この認定は単に形式的に要件が整っているということで行うのではなくて、内容的にもいろいろ審査をいたしております。
 また、この私権にかかわる事業認定の申請がなされるまでには、地元交渉を通じ、事業認定の手続を行うことについても徹底周知をされているのが一般的であると理解しておりますが、今、手続の周知について不十分な場合もあるんじゃないかというご指摘でございます。そのような点については今後とも十分注意をしてまいりたいと思っております。
 それから、認定を行うときにしかるべき合議制をしくべきではないか、あるいは合議制機関を設置してはどうかというご提案でございますが、先ほどの答弁でも申し上げましたように、収用法上、合議制に準じた取り扱いが実情なされておると考えております。事業認定に際しては、土木部において慎重に審査をし、認定をしているものであります。なお、案件によっては関係部局との調整を行うというようなことも当然ございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問はありませんか。
 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十三分休憩
  ──────────────────
  午後一時三分再開
○議長(馬頭哲弥君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 12番井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 お許しをいただきましたので、通告順に従って一般質問を行わせていただきます。
 まず一番に、医大関係について順次ご質問を申し上げます。
 県立医科大学及び附属病院の統合移転は、移転候補地として、和歌山大学隣接地、加太の関西国際空港土取り場跡地、そして海南の三候補地の中でたび重なる検討を重ね、最終的には、いずれも決定的な場所としての要素に至らなかったとでも解釈をしたらよいのか、紀三井寺競馬場跡地に移転することが決定したわけであります。当時、国立移管は絶望的かとの報道も流れましたが、県当局の説明では、あと五、六万平方メートルを買収する予定で、その買収見込みもあり、国立移管についても断念をしたとは言えないとのことでありました。
 しかし、用地買収は難航した上、暗礁に乗り上げ、断念に至ったようであります。その辺、県の担当された方々は大変なご苦労をされたことと思いますが、県立医科大学の国立移管運動は今でも続けて運動しているのでしょうか、それとも断念をしたのですか、現実的な明快な答弁をお願いします。
 次に、この国立移管を期待できるのか、断念かは、県立医大及び附属病院の統合移転に対して重大な影響があると考えます。つまり、国立医大としての移管の望みがなくなったということは、大学の教授陣、スタッフ陣等の機能が国レベルで運営されるために医術レベルの向上等が期待されていたことや、県の一般財源より毎年五十億円以上の負担が、国立となってくれたら毎年のことでもあることを考えると県財政上ありがたいといった、そういう期待も断たれるわけであります。
 ここで私が申し上げたいのは、国立移管を目指しての医大の統合移転計画と国立への移管が不可能になった時点とでは、同じ移転整備計画ではないはずだということを確認したいからであります。
 この国立移管の努力目標も断念ということなら、国立移管を目指せなくなったことにより、今後、県財政は永久的に、和歌山県立医科大学及び附属病院に一般財源で毎年五十億円以上の負担を強いられることが確定し、さらに統合移転後は医大関係の財政負担が今の持ち出し額以上に激増し、県財政の圧迫にならないかという懸念であります。この点について、誠実な答弁を求めます。
 もともと国立移管を本気で目指していたのだろうかとさえ感じるし、こんなはずではないと思うが、昔からのことを先輩や関係者から聞くと、ますます医大整備、統合移転の話は県としての考えがどうだったのか、いまだにわからない私であります。とにかく、国立移管断念の結果、関係当局はどのように計画を見直し変更をしたのか、お聞かせをいただきたい。
 また、県立医科大学は、医学部入学試験の合格生徒中、県内合格者が少なくほとんどが県外の生徒だとか、医師国家試験合格率が公立医大の中で最も悪いのが和歌山県立医大だとか聞きますが、過去三年における医大への入学生及び卒業生の県内・県外の就労状況等についてお尋ねします。
 三番目に、院内感染やMRSAの現状と今後の対策についてお聞きいたします。
 MRSA(メチシリン・レジスタント・スタフィロコッカス・アウレウス)──メチシリン耐性黄色ブドウ球菌という訳らしいですが、最近、厚生省もMRSAと院内感染対策を大変重要視してきています。と言いますのは、MRSAはエイズ等と同様に原因解明や治療に困難をきわめる難病と聞いていますが、入院患者が入院の原因となった病気で死亡するのではなく、入院中に病院で他の病気に感染し、最後はMRSAに院内感染し、原因がよくわからないまま死亡しても院内感染の責任がだれも追及されないという、死亡していく人にとっても家族にとっても大変な問題であります。入院患者や病院に勤務する関係者が病院の中でこの病気に一度感染すると、抗生物質による治療の効力がなくなるため、免疫性や抵抗力がない体では大変恐ろしいものであると聞いていますが、ここでお尋ねします。
 MRSA感染症について、和歌山県でもかなりの院内感染の実態を関係者より聞き及んでいますが、まずMRSAとはどのような症状のものなのか、また院内感染の実情について、県内の病院や各種施設における実態を県当局はいかに把握しているか、県としてどのように対応しているのか、また今後どう取り組んでいくのか、お聞かせをいただきたい。
 また、県立医大病院でも院内にMRSA感染症の保菌者がかなり多くいるようですが、具体的に保菌者の実態、発病者の実態等について、件数を平成四年一月より十二月の一年間についてお聞かせいただきたい。そして、今後の対策についてもあわせてお聞かせを願います。
 次に、元号と西暦の事務処理についてお尋ねします。
 最近の行政改革においては、合理化とか改善とかの言葉とセットにでもなっているのが、コンピューターであります。以前より私も行政書士の仕事をしていますため、官公庁に提出する書類を代書することが多いのでありますが、市町村を初め官公庁の書式化された用紙には、「平成」「昭和」「大正」「明治」等の字の後に、二けた程度の何年と記入されるべくスペースがあるものがほとんどであります。二けたの升がないものについては、数字が二、三文字ほど記入可能なスペースがあけられています。しかし、西暦で記入できそうな書式にはなっていないのが実態です。
 西暦で事務処理が可能なように元号と併用可能な書式にすることが、コンピューター対応の将来を先取りした事務処理の改善になると考えます。県当局の見解をお尋ねします。
 三番目に、第二阪和と南海橋についてであります。
 これは、私はもう当議場においても、また市議会のころからも何回も言って、「何回言ってもかからんから『何回橋』や」と言ったところが、「難解橋」じゃないかとお話しされたこともありますが、ひとつよろしくご答弁をお願いします。
 一九九四年夏、関西国際空港の完成、そして日本の歴史に残る世界リゾート博覧会、これらを契機に、「陸の孤島和歌山」とかの汚名を返上すべく、和歌山が見直され、リゾート県和歌山として和歌山を訪れてくれる人々が増加の一途をたどってくれたらと祈る気持ちでありますが、やはり心配なことは道路事情の悪さであります。大阪への道路が、県都である和歌山市対応についてだけを見ても全く整備がおくれており、高速道路のインターが和歌山市内に一カ所しかなく、大変な混雑が予想されます。北インター設置についても、私も県会に来て八年の間言い続けてきましたが、なかなか具体化しませんでした。
 第二阪和も新南海橋も、公共事業の第一歩である用地買収等を和歌山市に任せっきりの状態で、以前、県議会本会議において「新南海橋の完成目標を平成八年として和歌山市とともに県も頑張る」との心強い答弁をいただいたのですが、和歌山市は大変苦戦しているようであります。
 和歌山県の県都・和歌山市にとって、市の中心部を紀の川によって南北に分断されているのを大動脈的に結ぶ役割を持ち、県経済、環境にも大きな影響を期待されている第二阪和国道としての新南海橋でもあります。新南海橋の現在の進捗状況はいかがなものでしょうか。
 最後に、プレジャーボート等による水難事故の防止対策について。
 警察本部長のご就任早々にこのようなご質問をさしていただくために非常に恐縮をしておるんですけれども、ひとつよろしくお願いします。
 以前より定例県議会におきまして、リゾート県を目指している和歌山県として、プレジャーボートの係留場所対策、管理対策その他について、県や国としても将来を考え対応していく必要があると何回か申し上げました。そして、何カ所かのプレジャーボートの係留場所も県当局のご努力により建設され、また着々と完成しつつあります。そのご努力に感謝を申し上げます。
 その後の報道によりますと、建設省も、係留場所として許可をしても河川管理上問題が発生しないような場所については、河川についてもプレジャーボートの係留場所の許可を考えていくと最近発表されましたので、その関係についてはしばらく様子を見て、当面は見守っていきたいと思っています。
 さて、近年、全国的にマリンスポーツ等の海や川でのレクリエーションに参加する人口が急激に増加しており、特に水上バイク等プレジャーボートの普及とそれに伴う水難事故や迷惑行為、あるいはスキューバダイビングによる潜水中の事故が目立ってきているところであります。
 本県においてもその例外ではなく、毎年夏場には片男波、加太、磯ノ浦、白良浜等の海水浴場では延べ百五十万人以上の遊泳者が訪れており、今後ますます増加するものと予想されます。また、水上バイクの県内登録も、昭和六十二年には三十七台であったものが平成三年には二百二十三台と約六倍に増加している上に、大阪等、近府県からも相当数の水上バイクが入ってきており、春過ぎから休日等には片男波・磯ノ浦海水浴場、あるいは紀の川河口から田井ノ瀬橋の間や岩出井堰上流等で急旋回をして走り回り、暴走を繰り返し楽しんでいるのが実情であります。多いときには、これらの海や川で合わせて百数十台にも上る現状であります。
 水上バイク等プレジャーボートによる事故も、昭和六十三年から平成四年までの五年間で二十件発生しており、二人の死亡者と十二人の負傷者が出ているところであります。その事故内容を見ましても、水泳客との接触事故や無免許操縦で岩礁に乗り上げ負傷したというようなものが多く、海水浴場管理者や水泳客から危険だという苦情が出ていますし、最近の他府県での例ですが、漁業の網を破るといったこともありますし、他人の場所に勝手に係留するものも多く、漁業を営む者や釣り人にも迷惑を及ぼしているところであります。
 その他の水難事故を見ましても、スキューバダイビングの事故は県内の海で過去五年間に十九件発生し、死者十七人、いまだに行方がわからない者一人に上っていますし、いそ釣りやアユ釣りに関係した水難事故も過去五年間で六十一件発生し、四十八人も亡くなり、ことしもアユの解禁があってすぐ、紀の川で一人と有田川で一人の二人が亡くなっているのであります。
 また、四輪駆動車が紀の川の水深一メートル以上もあるところを横断したり水を散らして競って走るため、紀の川で釣りを楽しむ人やこれを管理する漁業組合からも、アユ漁にも影響があるので何とか対策を考えていただきたいとの声が県や建設省にも日増しに大きくなっているようであります。きょうも、傍聴にお見えになってくださっている漁業組合の方がたくさんおられると思います。
 こうした状況に加えて現在建設中のマリーナシティが完成すれば、世界リゾート博開催中はもとより、今後さらにその周辺における水上バイク等のプレジャーボート利用者が増加し、それに伴う水難事故の多発が大いに心配されるところであります。マリンレジャー立県を目指す和歌山県にとって、リゾート博開催までにこうした水難事故を防止するための思い切った対策を進めることが県民の安全を守る上で極めて重要なことであり、今まさにその時期に来ていると思うのであります。そこで、現状の把握と今後の対策等についてお尋ねをいたします。
 まず、水上バイク等、プレジャーボートのこうした危険行為や迷惑行為について、水難事故の防止等を図るためにこれまでどのような対応をしてきたのか。
 次に、五月二十七日付「和歌山新報」によると水上バイク規制等の条例化を進めていると報道されているが、どのような内容のものか、今後の対策をどのように考えているのか、以上について概要をお聞かせいただきたいと思います。
 きょうは、県立医大の学長さんもわざわざお越しいただいておりますので、大変難しい質問というか、答えにくい質問かと思いますけれども、ひとつよろしく明快な答弁をお願いしたいと思います。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの井出益弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 井出議員にお答え申し上げます。
 県立医科大学の国立移管の目標でございます。
 県立医科大学の移転整備につきましては、昭和六十三年十二月に紀三井寺の競馬場跡地を移転整備用地として決定させていただいて以来、県民の保健医療の中核施設として、さらには将来の医学・医療の進展に対応できる大学として整備を図るために、現在、基本計画、基本設計等の段階を経て、来年度から本格的な建設に着手することにしておるわけでございます。
 ご質問の国立移管問題については、文部省も国の財政が極めて厳しい中で「国立への移管は考えられない」との立場をとっておるわけでございまして、現状では推進することが困難であるとの認識のもとに、現医科大学の老朽化等の現状も踏まえ、県民の早期移転への強い要請からも、一日も早い完了を目指しておるわけでございますので、ご理解いただきたいと思います。
 他の問題は部長から答弁いたします。
○議長(馬頭哲弥君) 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 県立医科大学に関する質問にお答え申し上げます。
 県立医科大学の移転整備に要する経費は、基本設計を終えた段階では八百億円にも上る見込みであり、また移転後の運営経費についても、施設規模の増大等に伴い増高することも考えられるため、今後、県財政の長期的な視野に立って、合理化等を図りながら適切な医大の運営に努めてまいりたいと考えております。
 また、ただいま知事の答弁にもありましたように、国立移管が現状では極めて厳しい状況にございますが、移管が可能かどうかということは別として、県立医科大学の施設等については、県民のための教育・研究・診療機関として、その使命と期待される役割に十分対応できるものでなければならないと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、入学者の県内外の出身者及び卒業者の県内外への就職状況でございますが、過去三カ年を平均すると入学者の約七五%が県外者で占められております。しかしながら、就職状況で申しますと卒業生の約六八%が医大を含めた県内の医療機関に就職し、県内の地域医療に貢献しているところでございます。
 今後とも、医療技術の高い医師を養成することはもちろん、卒業生の進路指導等については、できるだけ多く県内に定着する方向で努力していきたいと考えている次第でございます。
 次に、元号欄の扱いについてのご質問でございますが、元号は法律により公式の年の表示方法とされているものでございまして、国等の公的機関が元号を使用することは元号法が予定しているところであるとするのが政府の見解であるというふうに聞いております。
 したがって、国においては原則として元号が使用されているところでございますが、県においても政府のこの見解を尊重し、県の機関が作成する文書については原則として元号を使用してきたところでございます。
 もとより、これは県民の皆様方に元号の使用を強制するものではなく、西暦で記入された申請書等も受理されるものであることは言うまでもございません。
 なお、今後の元号の取り扱いでございますが、ただいまのところは先ほど申し上げた政府の見解を尊重して対応しているところでございますので、よろしくお願いを申し上げます。
○議長(馬頭哲弥君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 井出議員ご質問の院内感染やMRSAに関するご質問にお答えいたします。
 MRSA患者の症状についてでございますが、黄色ブドウ球菌は自然界に広く生息する菌であり、このうち抗生物質の多用により出現したのがメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)であります。
 MRSAに感染しただけでは何の症状もないことが多いわけですが、保菌者の免疫力が著しく低下したとき等にMRSA感染症が発症する可能性が高くなります。臨床像は、感染部位によりさまざまですが、皮膚炎、肺炎、敗血症等を引き起こします。
 次に院内感染の実情についてでありますが、新聞等により社会問題化して以降、電話等による照会もふえ、本県としても深刻な問題として受けとめております。ただ、常に自然界に生息する菌であることから、予防対策と万一感染が判明したときの適切な対応を中心として指導を行ってきたところであり、国においてもこの実態把握については専門家の間にさまざまな意見があると聞き及んでおりますが、平成四年七月に全国の病床数三百床以上の医療機関の抗生物質製剤の感受性状況調査結果によると、一、検体総数のうちMRSAが検出された割合は約一二%、二、黄色ブドウ球菌中に占めるMRSAの割合は約六二%であり、地域的な偏りはほとんど見られていないと報告されています。今後、これらの状況を参考に検討していきたいと考えております。
 県としての対応ですが、医療従事者の教育や手洗いの徹底が肝要なことから、特に病院においては感染対策委員会を設置し、院内感染に対するマニュアルの作成、従事者に対する周知徹底及び感染者が判明した場合の対応策を協議するよう重点的に指導してきたところであります。
 今後の取り組みですが、さらに院内感染防止に関する教育、研修の充実、手を消毒するための設備設置、関係者に対する施設内感染対策の指導の徹底を図るとともに、国及び関係団体が実施する講習会への参加、研修会用資料の作成及び配付など、予防対策を講じてまいる予定でございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 第二阪和と南海橋についてお答えをいたします。
 第二阪和国道の和歌山北バイパスについては、現在、近畿地建と和歌山市が地元と協議を重ねながら用地買収を促進しております。昨年は議会の皆様のご協力により補正予算もいただき、平成四年度末現在、約二〇%の進捗となっております。さらに用地買収を促進するため、国に対し予算の増額を引き続き要望をしているところでございます。
 うち、仮称・新南海橋については、本年度は予備設計を行う予定と聞いておりますが、前後取りつけ区間についてJRとの協議、あるいは右岸側の地元調整等の懸案事項も残されておりますが、今後、和歌山市とともに懸案事項の解決に努力をするとともに、国に対して工事の進捗を働きかけてまいりたいと存じます。
○議長(馬頭哲弥君) 警察本部長西川徹矢君。
  〔西川徹矢君、登壇〕
○警察本部長(西川徹矢君) ご質問の、水上バイクなどプレジャーボート等による水難事故等の防止対策についてでございます。
 まず、プレジャーボートによる危険、迷惑行為等への対応については、現在、迷惑防止条例がございます。しかし、この条例では、海水浴場等、人が遊泳しておる場所での不安を覚えさせるような行為のみを禁止しており、これ以外の規制については直接的な対象として取り締まる法令等はございません。
 では、これまでどうしてきたのかということでございますが、要望、苦情があるたびに警察官を現場に出動させ、警察法に基づく一般的な権限として指導警告を行い、例えば無免状等によって法令の違反があることがわかった場合には、その法令を活用して検挙をし、もって当面の危険を回避するというような措置を講じてきたところでございます。
 ちなみに、昭和六十三年から平成四年までの五年間の指導警告あるいは検挙の状況を申し上げますと、危険もしくは迷惑行為があるとして指導警告した件数が百十一件ございます。そして、船舶免状を取得せずにプレジャーボート等を操船したという形で、船舶職員法違反で検挙したのが四件ございます。
 先ほど井出議員もご指摘のとおり、世界リゾート博の開催を控え、今後マリーナシティ周辺の海域においてマリンレジャーが大変盛んになるだろうと、そしてそれに伴うプレジャーボート等による事故が大変ふえるんじゃないかという予想を我々も持っております。
 そこで、警察としては、この機会に抜本的な対策をとるべく、昨年から本年にかけて本格的な実態調査を行ってまいりました。この結果を踏まえ、その対策の一環として、プレジャーボート等による危険、迷惑行為の規制を条例化するとともに、その取り締まりを強化していく、そしてこれらの行為の防圧を図ってまいりたいと、こういうふうなことを現在考えております。
 そして、目下、実態調査で判明した水難事故の原因、それからプレジャーボート等に対する苦情、その他、河川内や海浜を暴走するいわゆるサファリジープの実態等に基づき、さらに我が県特有の事情等を勘案し、条例化のための準備作業を進めておるのが実情でございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 医科大学学長駒井則彦君。
  〔駒井則彦君、登壇〕
○医科大学学長(駒井則彦君) ご質問の病院内感染には、ウイルス性肝炎、結核、エイズ、MRSAなどがございます。
 MRSAは、メチシリンという抗生物質に耐性を持った黄色ブドウ状球菌でございます。この菌は、健康者の鼻の中や咽頭にも認められ、比較的弱く、増殖力も弱いので健康なときには何も症状はあらわれませんが、老人とか大きな手術後など、体の免疫力が低下したときに繁殖し、頑固な肺炎や腸炎などを起こします。現在はバンコマイシンなどの効果のある抗生物質ができておりますが、有効な薬が少なかったために問題になったものでございます。
 本学附属病院において、入院中に必要な患者には細菌検査を行っております。昨年一年間に七十八人にMRSAが発見されておりますが、そのうち二十六人がMRSAによる感染症状を起こしており、入院患者が約六千三百人でございますから、その率は〇・四%でございます。この数値は、私が聞く範囲では、重症者を扱う他の病院に比して少ないと思います。
 MRSA感染症の対策としては、平成三年度に設置した感染予防対策委員会が作成したマニュアルに従って、主治医、担当の看護婦などが中心になり、家族や患者に十分説明を行った後に、他の病人に感染しないように個室に収容し、病室、器具等の消毒を行い、有効な抗生物質を投与いたします。
 感染予防対策としては、重症患者や手術前患者の鼻腔、喀たん、ふん便等の細菌検査、医師や看護婦の手洗いの励行、マスクやうがいの励行、手指の消毒器や空気清浄器など感染防止器具の設置、予防着の着用など、院内感染の防止に努めております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 12番井出益弘君。
○井出益弘君 医大の統合移転列車の行き先は、遠方ながら国立移管の駅を目指していた。行き先が県立駅に変わった。つまり、敷地面積的にも大きな変更があった。しかし、この医大列車の車内放送は、変更があっても乗客にわかるように説明しない。そして、機関車は一生懸命走っている。この医大列車は、だんだん巨大列車となりながら走っている。この医大列車はどこに向かっているのだろうか。県財源の永久的に毎年五十億円をはるかに上回るとも考えられる重い荷物は、列車に乗せてもらっている県民の肩にかかる。肩に荷を負っても、新しくできる医大列車には県民は期待している。しかし、心配もしている──私、こういう歌というか、所見、所感を……。
 私は、仮谷県政、仮谷志良知事を信頼しています。しっかり知事さんも頑張ってくださっているのはよく知っています。普通、人は法律の間違いを犯したら罪に問われる。政治家は進路、政策を間違っても罪には問われないが、国民に対して大変な罪を犯したことになるとの話を聞いたことがあります。大変私も感銘を覚える言葉であります。
 しかし、政治家の考えている心中はわかりにくいことが多いと感じる最近の私でもあります。とりあえず、わかりやすい政治、行政を県民、国民の皆さんは求めているのだと私は思います。それゆえに、一言申し上げさせていただきます。
 MRSAの感染症について、県立医大の駒井学長さんの数値を示しての勇気あるまことの答弁に敬意を感じております。しかし、院内感染、MRSAは県民にとっては大変な問題であります。非常態勢での対応をお願いいたします。
 順次、所見、要望を述べさせていただきます。
 元号の問題であります。私は、これからは必ず、遅かれ早かれ西暦の四けた表示の升、スペースは要ってくると思います。そしてまた、私の知っておる範囲ではどんどんやりかけているところもあります。だけど、先ほどの答弁は、何か元号法どうこうと言っていましたけれども、あれは再質問を私にやらす機会を与えたのかなというふうな気がしまして、これは知事さんの考えと違うんじゃないかなと。やはり知事さんだったら、各市町村にもそのようなことは前向きに指導していきたい、あるいは研究していきたいというようなことを心中思われていると思うんですけれども。ぜひそういうことは、元号法どうこうとかというのではなくて、現実対応のことで、知事さんに申しわけないような部長答弁にならないようにお願いしたいと思います。知事さんの考えと違うことを言ってはいけない。
 それで、四けたの西暦記入も可能な形に改善指導することは時代の変革に整合した、遅かれ早かれ将来必ず取り組まねばならない事務処理の一つでありますので、ぜひ検討をお願いします。
 次に、新南海橋と第二阪和の問題です。
 これは、和歌山市だけではなく、和歌山県としても今最も早期完成を必要とされている道路、橋の一つが第二阪和国道であり、第二阪和の中でも新南海橋が最も優先的に取り扱われ、また取り組まねばならないものだと思います。県としてもその重要性を認識していただいているとは思いますが、さらに県の重点取り組み課題として強力に推進方、対処していただきますよう要望いたします。
 それから、プレジャーボート等に関する条例の件であります。
 ことしの夏には間に合わないかと思いますけれども、来年、世界リゾート博もあり、先ほども申し上げましたが、できるだけ早期に対処していただけるような取り組み、また条例として上程をしていただきたいと思います。
 以上で、要望で終わらせていただきます。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で井出益弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(馬頭哲弥君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時四十五分散会

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