平成5年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(上野山親主議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成五年七月六日(火曜日)

○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 11番上野山親主君。
  〔上野山親主君、登壇〕(拍手)
○上野山親主君 お許しを得ましたので、一般質問を行いたいと思います。
 「新しい力、新しい風、新しい声、新しいシステムを進めるため我々は新しく生まれた。今日の決断を機に二十世紀を締めくくり、二十一世紀を切り開くため、新たな活力ある政治を創造することを誓う。死力を尽くし、政治を蘇生させ、勇気と理性によって歴史の一ページを切り開く」。これは、六月二十三日、保守新党、新生党結成の記者会見で羽田党首が切り出した決意の主な内容であります。
 我が国の政権は、保守合同以来三十八年間、自由民主党の一党によって支えられ、その結果、戦後荒廃した日本を世界の経済大国にまでつくり育ててきたのは、国民の血のにじむような大変な努力と苦難の道のり以外の何物でもないと思うのであります。しかし、米ソの冷戦構造が崩壊し、国際社会の中の日本の責任が問われ、国民の政治に対する価値観も大きく変わり、それとともに国民が政治に求めるものも変化してきているのであります。言いかえれば、政治の構造そのものが時代の要請でその変革を求められており、政党間の壁を乗り越えて国家、国民のために行動することが使命となってまいりました。
 しかし、ロッキード事件、リクルート問題、佐川疑惑等々、数々の政治家と金にまつわる事件が後を絶たず、国民の信頼をいとも簡単に無造作に踏みにじってきたのも事実であります。今や、政治に対し、政治家に対し、国民の信頼は完全に失われていると言っても過言ではありません。日本の議会制民主主義は崩壊寸前であります。
 かかる現状にあって、政治改革は必ずやります、やらなければなりません、そう言い切ってさきの国会に臨んだ宮沢首相でありましたが、結果はご承知のとおりであります。宮沢首相初め、自民党首脳が選んだ道は、私たち国民が今最も政治に求めている期待と信頼を裏切り、みずから責任政党の地位を放棄したとしか考えられないのであります。
 今、政治が最もやらなければならないのは何なのか。それは、国民の信頼を取り戻すことであります。このときにあって、我々地方で自由民主党を支えてきた党員の一人として、この結果はまことに無念と言わざるを得ません。今の自民党は、国民の期待と信頼にこたえられないばかりか、その役目は終わったと言わなければなりません。
 私たちは、地方に生き、地方を愛する政治家として、新しい時代の波を起こし、今こそ県民とともに良識ある県政をつくり上げていかねばならないときであります。中央一極集中を排除し、多極分散を推し進め、真の地方分権とは、真の地方の時代とは、そしてふるさと和歌山のあすとは、これからの与えられた課題に向かって、私たち志を同じくする者五名が相集い、新しい政治の波を地方から起こすために、新しい和歌山の時代を築き上げるために、長年政治活動をともにし、同じ目標に向かって歩んできた自由民主党を涙をのんで離党し、六月二十二日、新会派開政クラブを結成することを決意したのであります。
 今、政治の新しいうねりが生じようとしています。自民党を離党し結成された新生党、さきがけ、また自民党内でもいろいろなグループが派閥を乗り越えて結成され始めました。この動きは、今までの自民党一党支配ではこの難局は乗り切れない、政権交代可能なシステムづくり、政界再編成を模索する動きのあらわれであります。私たちは、イデオロギーを超え、党派を超え、今こそ国民、県民の負託にこたえられるシステムづくりを中央も地方も取り組んでいかねばならないときであります。
 我が国は、国民一人当たりのGNP約三百ドルの貧困から、一国平和主義、一国繁栄のために邁進してまいりました。その結果、世界第二位の経済大国の地位を得るまでになりました。しかし、私たち地方の立場から見て、今の日本の政治や行政の仕組み、経済機構を考えるときに、あすのふるさと、あすの和歌山の未来が見えるかというと疑問を持たざるを得ません。
 例えば、本県の第一次産業の就業者の割合は全就業者の一二・六%を占めています。全国平均の七・一%に比べかなり高い数値となっていますが、農業所得や粗生産額は全国に比べそれほど高い地位ではありません。特に、第一次産業の一番の悩みの種は後継者問題であります。政治、行政の中央集権、産業の大企業偏重主義が地方に過疎を招き、都会に過密を招いたのであります。今のままでは、私たち地方は取り残される一方であります。今こそ、私たちはこのすばらしいふるさと和歌山のあすを切り開くために立ち上がるときであろうと存じます。政治、行政の中央集権を打破し、新しい和歌山の産業基盤を築いていかねばなりません。そのためには、国民、県民が望む政治ができる体制づくりを、まずやらなければなりません。日本の歴史的な改革に明治維新が挙げられますが、あの維新も土佐や薩摩という地方から起こったものであります。地方が動けば国も動く。私たちは、今こそ勇気を持って新しい時代に向けて将来のビジョンをつくり上げていかねばならないときであります。
 知事にお伺いをいたします。
 現状の政治状況をどう認識されておられるのか。今後、日本の政治はどうあるべきとお考えなのか、お聞かせをいただきたいと存じます。また、この状況下で知事としてどう対処していくお考えなのか、決意のほどをお伺いいたします。
 二月定例議会において、私の地方分権に関する質問に対し、知事は以下のようにご答弁をされております。
 地方は、過疎化、高齢化が進んでいる。東京では、過密による都市機能の停滞を招いている。政治、行政の縦割りの仕組みそのものに大きな変革が必要だ。今、国会移転、地方分権が論議されている。非常に喜ばしいことである。これから、一人一人の国民が豊かな生活ができる生活大国という形になるためには、地域の文化、地域の個性、土地の住みやすさというものが重点として取り上げられなければいけない。地方分権については言われてから久しいが、我々としても権限委任について国から県に移管するよう要望した経過がある。中央官庁には中央の領域を守るという精神が非常に強いのではないか。地方自治体はそれだけの能力がないと彼らは言うが、人材とか技術面において地方自治体も相当進んできていると思う。その壁を打ち破っていかねばならない。現在、知事会において専門部会を設けて検討している。道州制にすぐ持っていったらいいのかというよりも、現在の都道府県をもう少し評価すべきではないか。権限を強化して、それから道州制とかに段階的に行くべきではないか。また、都道府県合併、市町村合併の論議もあるが、都道府県をもう少し充実していく。全国の都道府県はある程度基礎が確立してきている。人口規模が東京都のように一千百万人のところもあるし、百万人以下の県もある。それを充実することによって、合併問題なり、道州制なり、連邦制なりというものに段階的に行くべきではないか。以上のように述べられております。
 知事のご所見は、まず地方自治体をより充実し、権限を強化し、段階的に地方分権を推し進めるということであります。それ自体よく理解できるところでありますし、全国知事会において専門部会で検討されているところでありますが、私は地方分権について和歌山県として具体的に何からどう取り組むのか、今から検討する必要があるのではないかと思います。もちろん、全国レベル、国政レベルの考え方にもよってその影響はあるでしょうが、基本的に最低論議しなければならない問題があるのではないかと存じます。
 例えば、知事の言われる地方自治体そのものをより充実するということを一つ考えてみましても、人材の問題、県の行政改革、そして市町村への指導対応の問題等々、課題は多いわけであります。大変なエネルギーと時間がかかります。今から県行政内独自で専門プロジェクトを組まれ、正面から取り組まれてはいかがでしょうか。知事のご所見をお伺いいたします。
 第一位鹿島アントラーズ、第二位横浜マリノス、第三位ヴェルディ川崎、第四位ジェフ市原、第五位清水エスパルス、第六位サンフレッチェ広島、第七位名古屋グランパスエイト、第八位横浜フリューゲルス、第九位ガンバ大阪、第十位浦和レッズ、これはことし開幕した日本プロサッカーJリーグの第十四節終了時の各チームの順位であります。ファーストステージも最終段階を迎え、優勝争いはほぼアントラーズに絞られたと言っても過言ではない感がします。
 今や、Jリーグ人気はプロ野球に並び、追い越す勢いであります。私自身もJリーグの魅力に取りつかれ、毎週水曜日と土曜日はテレビにかじりつく時間がふえてまいりました。あのゴールシュートの決まったときの爽快感、そしてゲームそのもののスピード感と躍動感、格闘技に近いあの迫力、ファンと選手の一体感、世界じゅうで最も人気の高いスポーツであるゆえんと思います。私自身も、早速チーム名を覚えようとスポーツ新聞を読みあさり、スポーツニュースを片っ端から見てやっと十チームの名前が言えるようになりました。チーム名が言えるようになればJリーグ理解度Dクラスだそうであります。チーム名の意味や由来がわかる人はCクラス、マスコットマークを一目見てチーム名がわかる人はBの下クラス、オフサイドが理解できる人はBの上クラス、各チームそれぞれのポジションと選手名をすらすら言える人はAクラスだそうであります。皆さん方はどのクラスでしょうか。
 Jリーグは、男女を問わず、特に若い層に抜群の人気があります。先輩同僚諸先生方も、Jリーグがわからなければ若い人との話題は合わなくなると思います。これからも、どしどしご勉強していただきたいと思います。
 人気絶頂のJリーグにも悩みがあります。それは、専用グラウンドの絶対量が少ないということであります。地方遠征するにも、練習場を確保するにも苦慮する状況にあるようであります。事実、ガンバ大阪も京阪神地方で適地を模索中であるとか聞き及んでいますが、この際、Jリーグの誘致を一考されてはいかがでしょうか。関係方面から情報を集め、サッカー、ラグビー、アメリカンフットボールの国際試合が開催でき、二万人から三万人収容できる本格的な専用球技場の建設に着手されてはいかがでしょうか。コスモパーク加太計画の一環として取り組まれることをご提言申し上げます。企画部長のご所見をお伺いいたします。
 私たち開政クラブ一同は、真の地方の時代を築き上げるために、地方分権について全力で取り組もう、このテーマを重点施策として取り上げようと誓い合いました。そのためには今、私たちはその基盤となる政治の流れ、仕組みを変革させなければならないと存じます。わかりやすい政治活動を行い、国民、県民に開かれた政治をやる、これが開政クラブの基本姿勢であります。歩む道は違いますが、平和で自由な社会を築き、潤いのある生活が送れる地域づくりを目指す思いは同じであります。
 最後に、長い間ご指導いただきました自由民主党の諸先輩、同志の皆様方に心より厚く御礼を申し上げ、県民の皆様方のさらなるご指導をお願い申し上げまして、私の一般質問にかえさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの上野山親主君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 上野山議員にお答え申し上げます。
 ただいま、上野山議員から抱負、信念を承ったわけでございます。 それから、現在の政治状況についての認識、今後の日本の政治はどうあるべきか、知事としてどう対処していくかということでございます。
 先ほども述べたところでございますけれども、現在の政局は戦後四十八年間の中で最も重大な局面を迎えていると思っておるわけでございます。東西冷戦終結後、国際社会における我が国の責任が重くなっていることはもちろん、国内においても経済問題、交通基盤の問題、高齢者対策、農業問題を初め、幾多の課題を抱えております。また本県においても、関西国際空港の開港を明年に控えて非常に重要な時期でございます。こうした時期に、政治の世界にある者の一人として、政治に対する国民の信頼が低下していることを非常に残念に思っております。しかしその反面、今ほど政治のあり方に対する国民の関心が高まっているときはないと思うのでございます。
 今、選挙が戦われておるわけでございますが、国民多数の声がどこに存在するのか、衆議院総選挙を通じて、今後の我が国の政治のあり方を、そして政治改革をいかに進めるか、我々政治に携わる者を初め国民のすべてが真剣に考えなければならない問題だと思っております。選挙において国民の審判が下った後は、速やかに内外の諸問題に対応できる体制が整うことを切望するものでございます。そして私もまた、今後とも県民の声を私の心として、時代に即応してなお一層信頼される、清潔で公平な県政を進めてまいりたいと思っております。
 次に、地方分権についてでございます。
 最近、さまざまな観点から地方分権論が論議されておるわけでございます。さきの二月議会においても、議員のご質問にお答えしたところでございます。私は、国からの権限移譲が進まないのは、決して受け皿である地方団体に問題があるのではなしに、人材的にも現在の都道府県は権限移譲に十分対応していけると考えております。
 専門的プロジェクトチームをつくってはどうかということでございますが、権限移譲の推進は本県だけの問題ではなく、全都道府県共通の課題でございます。したがいまして、お話ございました点について、関係する部課で本県独自に必要な研究を進めるとともに、全国知事会を通じて全都道府県と連携をとりながら運動を進めていく、そしてまた都道府県ばかりではなしに市町村とも協力してやっていく、そしてこれをただ単なる運動ではなしに国民運動に高めていくことが最も肝要なことではないかと思っております。
 幸い、六月に地方自治法が改正されて、知事会等の地方六団体に国会等への意見提出権が認められることになったわけでございます。また、さきの国会においても地方分権の推進が決議されておるわけでございます。これを契機に、皆さん方とともになお一層権限移譲の推進を国に働きかけてまいりたいと思っております。
 以上です。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) お答えいたします。
 Jリーグについては、議員お話しのとおり、開幕以来、攻撃的でスピーディーなゲーム内容により、スタジアムでの観戦、テレビ中継ともに人気が上昇しており、サーカー熱の広がりを感じているところでございます。Jリーグ各チームは、日本リーグの社会人チームを母体にしながら、プロ野球と比べて地域との結びつきが強いフランチャイズ制をとっていると聞いてございます。
 サッカーやラグビー等の専用の球技場の建設についてでございますが、総合運動公園の整備方針との関連もございますけれども、コスモパーク加太計画を含め、貴重なご提言と受けとめさせていただきたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 以上で、上野山親主君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十二分休憩
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