平成5年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成五年七月六日(火曜日)
  午前十時開議
  第一 副議長辞職の件
  第二 議案第七十四号から議案第九十九号まで、及び報第一号から報第六号まで(質疑)
  第三 一般質問
会議に付した事件
 一 副議長辞職の件
 二 議案第七十四号から議案第九十九号まで、及び報第一号から報第六号まで(質疑)
 三 一般質問
出 席 議 員(四十三人)
 1  番  尾  崎  要  二
 2  番  中  村  裕  一
 3  番  下  川  俊  樹
 4  番  石  田  真  敏
 6  番  木  下  秀  男
 7  番  岡  本 保
 8  番  藁  科  義  清
 9  番  向  井 嘉久藏  
 10  番  小  川 武
 11  番 上野山  親  主
 12  番  井  出  益  弘
 13  番  町  田 亘
 14  番  尾  崎  吉  弘
 15  番  門  三佐博  
 16  番  西  本  長  弘
 17  番  高  瀬  勝  助
 18  番  冨  安  民  浩
 19  番  和  田  正  一
 20  番  阪  部  菊  雄
 21  番  平  越  孝  哉
 22  番  大  江  康  弘
 24  番  山  本 一
 25  番  吉  井  和  視
 26  番  浜  田  真  輔
 27  番  堀  本  隆  男
 28  番 宇治田  栄  蔵
 29  番  富  田 豊
 30  番  中  村  利  男
 31  番  馬  頭  哲  弥
 32  番  宗 正  彦
 33  番  鶴  田  至  弘
 34  番  上  野  哲  弘
 35  番  村  岡 キミ子  
 36  番  松  本  貞  次
 37  番  木  下  義  夫
 38  番  和  田  正  人
 39  番  中  西  雄  幸
 40  番  橋  本 進
 41  番 野見山   海
 42  番  森 正  樹
 44  番  新  田  和  弘
 45  番  浜  口  矩  一
 46  番  森  本  明  雄
欠 席 議 員(一人)
 43  番  浜  本 収
 〔備 考〕
 5  番  欠  員
 23  番  欠  員
 47  番  欠  員
説明のため出席した者
 知 事 仮  谷  志  良
 副知事 西  口 勇
 出納長 梅  田  善  彦
 知事公室長 中  西  伸  雄
 総務部長  木  村  良  樹
 企画部長  佐  武  廸  生
 民生部長  南  出  紀  男
 保健環境部長  江  口  弘  久
 商工労働部長  吉  井  清  純
 農林水産部長  野  見  典  展
 土木部長  山  田 功
 企業局長  高  瀬  芳  彦
  以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 岩  崎  正  夫
 教育長 西  川 時千代  
  以下教育次長
 公安委員会委員長
 山  階  清  弘
 警察本部長 西  川  徹  矢
  以下各部長
 人事委員会委員長
 水  谷  舜  介
  人事委員会事務局長
 代表監査委員  天  谷  一  郎
  監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 鈴  木  俊  男
  選挙管理委員会書記長
  地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長  梅  本  信  夫
 次  長  中  村 彰
 議事課長  中  西  俊  二
 議事課副課長  佐  竹  欣  司
 議事班長  松  谷  秋  男
 議事課主事 長  尾  照  雄
 議事課主事 松  本  浩  典
 総務課長  川  端  孝  治
 調査課長  岡  山  哲  夫
 (速記担当者)
 議事課主査 吉  川  欽  二
 議事課主査 鎌  田 繁
 議事課速記技師 中  尾  祐  一
 議事課速記技師 保  田  良  春
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  午前十時十四分開議
○議長(馬頭哲弥君) これより本日の会議を開きます。
○議長(馬頭哲弥君) この際、報告いたします。
 過日提出のあった議案第七十七号及び議案第八十五号は職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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 和人委第106号
 平成5年6月29日
 和歌山県議会議長  馬 頭 哲 弥 殿
  和歌山県人事委員会委員長  水 谷 舜 介
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成5年6月29日付け和議会第86号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
 記
 議案第77号  和歌山県退職年金及び退職一時金に関する特別取扱条例等の一部を改正する条例
 議案第85号  市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 意  見
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(馬頭哲弥君) 次に、報告いたします。
 副議長大江康弘君から、副議長の辞職願が提出されております。
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○議長(馬頭哲弥君) 日程第一、副議長辞職の件を議題といたします。
 まず、その辞職願を朗読させます。
  〔職員朗読〕
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  辞 職 願
私こと一身上の都合により副議長の職を辞職いたしたくお願い申し上げます
  平成五年六月二十九日
 和歌山県議会副議長  大 江 康 弘
 和歌山県議会議長  馬 頭 哲 弥 殿
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○議長(馬頭哲弥君) お諮りいたします。大江康弘君の副議長辞職を許可することに賛成の諸君はご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(馬頭哲弥君) 起立全員であります。よって、大江康弘君の副議長の辞職を許可することに決定いたしました。
  〔大江康弘君、発言の許可を求める〕
○議長(馬頭哲弥君) この際、大江康弘君から発言の許可を求められておりますので、許可いたします。
 22番大江康弘君。
  〔大江康弘君、登壇〕(拍手)
○大江康弘君 一言お礼を申し上げさせていただきたいと思います。
 ただいまは、議員諸先輩の皆様方の温かいご高配によりまして辞職をお認めいただきましたこと、心からお礼を申し上げたいと思います。
 昨年六月に皆様方に心温まるご選任を賜りまして以来、今日まで、馬頭議長には非常に頼りない女房役としてご迷惑をかけてきたわけでありますが、諸先輩の皆さん、また仮谷知事さんを初め県ご当局の皆さん方、そして県民の皆様方の温かいご指導のもとに今日までその重責を果たさせていただきました。特に、この席をかりまして、自由民主党県議団の皆さんには心からお礼を申し上げたいと思います。
 今後は、一議員として仮谷県政の発展のために、また和歌山県議会の発展のために微力を尽くしてまいりたいと思います。
 この一年間、皆様方にお世話になりましたことを改めてお礼を申し上げまして、私の辞任のごあいさつにかえさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
  ──────────────────
○議長(馬頭哲弥君) 日程第二、議案第七十四号から議案第九十九号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第六号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 6番木下秀男君。
  〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 平成五年六月議会、一般質問の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。
 日本は、今二つの熱い戦いが繰り広げられております。いずれも、四日の日曜日に開始された衆議院議員選挙と大相撲名古屋場所でございます。
 大相撲は、二子山部屋とハワイ組の男の戦いであります。衆議院議員選挙は、うそつき解散により行われているものでございまして、私はこのたびの選挙を「政界再編政治浄化選挙」と位置づけてございます。三十八年間続いた自民党が分裂し、一党支配が終えんを迎え、既成政党に少数新党を加え、二十一世紀型の方向づけをする選挙とも言えると思います。かつては保守の金城湯池と言われた和歌山県も、今の選挙は新党さきがけ以外の各党が候補者を擁立し、激戦に突入したところでございます。
 今、この政情について、知事のご所見をお伺いできれば幸いでございます。
 それでは、通告に従いまして質問に入ります。
 まず、今議会に上程された補正予算について質問を行います。
 我が国経済はバブル崩壊後の長期不況が続き、去る二月議会においてもその対策等についてお伺いしたところでございますが、自後、連日にわたり新聞紙上で、企業倒産、雇用調整、新卒者の採用制限、企業リストラ等、苦悩する企業の実態や生き残りのための対策や努力が報じられております。
 政府においては、こうした局面を打開するために、平成四年三月、同年八月、さらに今年四月に、十三兆円を上回る史上最大の新総合経済対策を策定されました。この対策の中で、公共事業の施行促進、公共投資の追加、金融と税制対策、雇用対策、輸入促進など、文字どおりの総合対策が講じられ、直ちに実行に移されたことは既にご承知のとおりでございます。
 こうした対策の成果もあって、今日現在、景気動向にやや明るさが見え始め、先月十日、経済企画庁が景気は転換期を迎えて拡大局面に入ったとするいわゆる底入れ宣言を発表いたしました。もちろん、消費や設備投資の低迷、為替や政局の動向など警戒要因の存在することも否定するものではございませんが、私は政府の策定した新総合経済対策が徐々に浸透し、経済企画庁の底入れ宣言どおりに景気が着実に回復へと向かっていると確信するものでございます。
 景気浮揚に対する私の一般的な認識を前提に、具体的に質問をいたします。
 知事の提案理由説明によりますと、総合経済対策を受けた国の補正予算に対応した補正とあります。国の対策はひとり国のみで行うものではなく、国と地方公共団体が一体となって推進すべきものであることは論をまたないところでありますが、聞くところによりますと、地方公共団体の中には六月補正を先送りして九月以降で対応するところもあるということでございます。本県においても、過去、突発的要因による小規模な六月補正はありましたけれども、本補正予算のような大規模な補正は仮谷県政始まって以来のことであります。
 そこでお尋ね申し上げますが、知事に、あえて異例とも言える六月補正予算を編成したその意図するところについて、まずお伺いするものでございます。
 そして、本補正予算でどういった点を強調されたか、換言すれば予算編成での配慮や特色について、知事のお考えをお伺いするものでございます。
 次に、予算の執行面についてお伺いいたします。
 県においては、予算執行の円滑化を図るため、公共事業等の前倒し発注に努められているところでありますが、今日までの決算状況を見ると毎年多額の繰り越しが発生しております。私は、せっかくの予算が消化されずに繰り越されては予算本来の意味をなさないと思うのであります。特に、現下の景気状況から早急な予算執行が望まれるものであります。
 そこで、本補正予算を含めて公共事業等の施行促進についていかに考えられているか、主管である土木部長にお尋ねいたします。
 工事発注についてでございますが、今、大きな社会問題となっているゼネコンによる贈収賄事件に関連して、全国各地の自治体で指名停止の措置をとっておりますけれども、和歌山県としていかがされているか、今発注している企業があるのかどうか、あればどう対処するのか等も土木部長にお伺いするものでございます。
 前段、景気動向について申し述べましたが、景気と県税の関係についてお伺いいたします。
 提出されております専決処分報告によりますと、平成四年度の県税収入は九百七十五億円になるとのことでございますが、これは平成三年度の決算と比べて六十八億円、六・四%の減収であります。これは、景気状況が県税に厳しく反映した姿であると思うのであります。
 そこで、平成五年度に計上された九百二十九億円の県税収入でありますが、景気は底を打ったということでありますから、私はこの当初予算額の確保はもちろん、若干の上積みも見込めるのではないかと思うのでありますが、県税についての見通しと見解についてお伺いするものでございます。
 次に、県公営競技事務所不祥事件についてであります。
 知事も冒頭の提案説明の中でご説明されましたが、今春四月、県公営競技事務所職員による業務上横領事件の報道は県下に電撃的に伝わり、県民一同のショックは言いあらわせないものであったと思います。県民の公僕として和歌山県の発展と県民の福祉向上に献身的な努力をしている五千有余名の優秀な職員の中からかような不祥事を引き起こしたことは返す返すも残念至極であり、知事を初め県職員の心中、察するに余りあります。調査が進展するにつれ、事件の大胆な手口と二億円をも超す横領金額からも、和歌山県政始まって以来の不名誉な事件と思うものであります。
 去る五月の県議会各派代表者会議に、県当局から事件発生と途中経過報告を受けたところであります。今回の事件が明るみに出たきっかけは、四月一日付の定期人事異動の辞令交付欠席によることから発覚したということでありますが、人事異動の対象になっていなかったならまだまだ横領が続いていただろうと思うとき、ぞっとするものであります。この事件は、県職員に対する県民の信頼を根底から失墜するものであり、徹底究明し、根絶しなければならない事象であります。
 上司は「仕事ぶりはよくでき、信頼していた」、同僚は「まじめだった」、このような評価でありますが、二人は大変なギャンブルマンだったことも判明しております。チェック体制のずさんや、同職に六年も七年も配置していたことや、退庁後の日常の生活状態を把握していなかったこと等が原因とも言われてございます。
 この事件が発覚した直後のある報道記事に、次のような文が掲載されておりました。「県公営競技事務所幹部らが、平成二年度から三年間に二億一千六百万円も横領していた事件が表面化した。上司の管理責任を問う声が出ていたが、監査委員は何をしていたのかと県民は不審に思っている」云々と出てございます。この記事を拝読して、議会から選出され監査委員を務めた一人として、この事件を契機に監査のあり方と監査委員の選任について検討を要することを痛感したものであります。
 県当局は、着任早々の木村総務部長を委員長に原因究明と再発防止のため調査検討委員会を設置し、幅広く調査検討を重ねてその報告をまとめられたと聞いてございます。就任以来、まごころ県政一筋に和歌山県勢発展のためにその先頭に立って善政をしいてきた知事にとって、今回のこの二人によって引き起こされた事件は、親の心子知らずと申しましょうか、まさに晴天のへきれきであり、断腸の思いでありましょう。調査検討委員会の報告を受けられた今、知事の所見をお伺いするものであります。
 不祥事の調査に当たられた商工労働部長に、その原因と今後の対応についてお伺いいたします。
 また、調査検討委員会を設置してその委員長である総務部長に、その検討結果と具体的な再発防止対策等についてお伺いするものであります。
 最後に、住友金属工業の西防埋立事業についてお伺いいたします。
 私がこの埋立事業について質問するのは、確か四回目であると思います。埋立工期の延長問題や、一、二工区埋立完了地の一時利用──これは関空関連工事の件でございます──また、埋立地へ投棄する産業廃棄物の問題、そして埋め立て本来の公害防止沖出し移転等々について当局のお考えをただしてまいりました。この間、二回埋め立ての現地も視察したところでございます。また、本埋め立てに関する以前の、昭和四十五、六年ごろの公害問題、そして昭和五十二、三年ごろの公有水面埋立申請時の県議会の状態等を精査いたしましたところ、実に五十回余の質疑が交わされ、いかに先輩諸兄が真剣に取り組んできたかを知り、感服したものでございます。さらに、その当時の先輩に直接ご意見をも拝聴いたしました。それほど私はこの埋立事業に関心を持っており、今もなお持ち続けておるのでございます。
 当初の埋立計画から、諸般の事情──経済不況とか鉄鋼業界の需要の落ち込み等もございます──で埋立工事完了は平成八年八月と延長され、今日に至っておりますが、住友金属和歌山製鉄所が平成三年五月、西防埋立地への公害源施設の沖出しを中止したい旨を公表されたのでございます。と同時に、地元和歌山市は、この希望表明を支持するとともに、西防埋立地へのLNG火力発電所の誘致等を表明されたのであります。公表以来、企業側と隣接する地元住民との間で交渉が持たれていることを仄聞いたしてございます。二年余りの歳月が過ぎましたが、この間、特段の状況変化はなかったものと認識しておりますけれども、本問題について免許権者である知事の現時点での基本的なお考えをお伺いしたいと思います。
 本西防埋立地の問題については、極めて遺憾なことではありますが、鉄鋼生産をめぐる大幅な情勢の変化や環境対策技術の急速な進歩に端を発するものであり、加えて公有水面埋立法上も制度的には許容されているところであり、やむを得ない側面もあるものと思考するものであります。しかしながら、埋立工事中に根本的な変更が取りざたされるのは全国的にも初めてのケースであり、この埋立地が和歌山県域の特定重要港湾である和歌山下津港の発展を図る上で極めて重要な役割を果たす土地となり得ること、さらにはこの埋立地が紀北地域で唯一の廃棄物処分場として機能していること等を勘案すると、一面的な観点から軽々に論じるのは適当でないと言わざるを得ないのであります。
 そこで、本問題についての担当である土木部長に、埋立法上の現状の位置づけと、県としての当面の対処方針についてお伺いいたしたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下議員にお答え申し上げます。
 まず第一点、現在、総選挙最中でございます。政情についてどう考えるかということでございます。
 お話ございましたように、首相の不信任案可決に基づいて議会は解散されたわけでございまして、今戦っておる選挙戦は、戦後かつてない、政治改革中心に行われる選挙であると思っております。
 世の中は揺れ動いておりまして、国際的に見ましても東西冷戦が終結いたしました。そしてまた、国内の問題として佐川問題等がございました。そうしたものが遠因となりまして、政治改革に対する国民の願望が非常に強いわけでございますし、そしてまた国民の政治に対する不信も高まっております。こうした中で今選挙が戦われておるわけでございますけれども、本日の新聞を見ましても、三塚会長が、過半数は難しい、二百三十が目標だということを言っておりますが、それは別といたしまして、一党独裁という問題がいけるかどうかという問題も、私は現在の(「一党独裁とは何か」と呼ぶ者あり)──一党独裁支配ということが難しいんじゃないかということが言われておるわけでございます。
 しかし、自由民主党を三木武吉さんがつくった当時の本等を私も読んだわけでございますけれども、その昔の時代と同じ産みの悩みの時代ではないかとも思っております。国民の審判が終わった段階において、諸問題に対応する体制づくりをやっていただきたいと思っておるところでございます。
 次に、今回の補正予算の基本的な考えと特色でございます。
 当面の最大の課題である景気対策について、公共事業の上半期契約目標率を八○%としてその施行促進を図るなど、景気に十分配慮した本年度当初予算の円滑かつ着実な執行に努めております。
 さきに国の予算が通過いたしまして補正予算が成立したわけでございまして、景気も一部に明るさが見え始めているわけでございます。景気の早期回復を図るために、この時期としては異例でございますけれども、公共事業等の追加を中心とした大型の補正予算を編成したものでございます。
 今回の補正予算額は一般会計で百七十三億円余りとなっており、債務負担行為等も含めた全体の経済対策規模としては二百四十億円を上回る大規模なものとなっております。
 具体的な内容としては、国道、県道等の道路網の整備で約三十六億円、港湾、空港の整備で約三十五億円など景気の早期回復に資すると期待するものや、世界リゾート博に向けて早期に対応が必要なものなど、本県にとって緊要度の高い事業について重点的に措置したところでございます。
 次に、西防の埋め立ての問題でございます。
 ご指摘のように、平成三年五月に住友金属から表明がなされたわけでございます。鉄鋼をめぐる大幅な情勢変化があるとはいえ、まことに遺憾であると考えております。この表明以来、二年余りの時間が経過したわけでございますけれども、この間、埋め立ての権利を有する住友金属において沖出し中止に関する地元のコンセンサスの形成、環境改善の方策、土地利用の内容など、その実現性について種々の検討作業が行われている段階であると思っておるところでございます。
 県としては、そうした作業の推移を見ながら、適当な段階で行政としての立場から指導するなど適切に対応する必要があると考えておりますが、埋立法上では具体的な変更申請がなされた段階で審査し判断することとなっておるわけでございます。
 次に、公営競技事務所の不祥事件についてでございます。
 本会議の冒頭で申し上げたとおり、この事件の発生についてはまことに遺憾に存じ、深くおわび申し上げます。
 この事件については、私自身も厳しく受けとめて、私自身を含めて事件の当事者並びに管理監督者に対して処分を行ったところでございます。また、今回の事件の原因等について幅広く検討を行い、具体的な事務の改善について着手しているところであります。
 今後は、かかる事件が再び起こることのないよう、改めて職員の綱紀粛正を徹底するとともに、原点に立ち返って県民の県政に対する信頼回復に向けて、さらに一層の努力を続けてまいりたいと存じておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) まず、補正予算に関連をして、公共事業の促進についてでございます。
 公共事業は、社会資本整備の新たな展開もあり、年々ふえております。この公共事業促進については、用地専門職員の採用、測量設計の外部への委託、積算のオンラインシステム電算機器の活用、債務負担制度の活用等を行い、当初予算の上半期契約目標率八○%に向けて努力をしているところでございます。さらに今後、電算機器の増設、現場技術業務委託制度の活用、あるいは分割発注による工期短縮等を進め、繰越額が極力少なくなるよう適正な事業の執行に努めてまいります。
 次に、仙台市長の贈収賄事件に絡むゼネコン四社に対する県の対応でございます。
 六月三十日付で、この四社に対し三カ月の指名停止処分を行ったところでございます。今議会に、工事発注関係の知事専決処分報告が一件、及び工事変更契約について議決を求める案件が一件上程をされております。このうち、専決処分報告は南紀新空港建設関連の造成工事でございまして、この四社のうち西松建設を構成員とする共同企業体でございます。変更契約の締結については、国道改良工事の白馬トンネルに関係し、工事請負契約の変更でございまして、清水建設を構成員とする共同企業体でございます。また、既に契約をして工事施工中のもので、清水建設関係企業体が五件、西松建設関係企業体が二件ございます。既に契約をして工事施工中のものについては、今議会に提案している二件を含めて工事の施工を継続させることもやむを得ないものと考えております。今後三カ月間は県が発注する工事には指名をいたしませんので、この間に入札執行を予定している土木関係の大型工事は二件ほどございますが、当然これらの工事についてはこの四社は指名を受けることができないことになります。
 次に、住友金属西防埋め立ての問題でございます。
 まず、現状の埋立法上の位置づけでございます。
 埋め立ての権利を有する住友金属が、埋立法上も許容されている埋立地の用途変更に関する希望を表明し、沖出し中止に関する地元のコンセンサスの形成、環境改善の方策、土地利用の内容など、その実行可能性に関する検討作業を実施している状況にあると認識しており、現時点においては当初の埋立免許の内容は有効なものと考えております。
 次に、当面の対処方針でございます。
 この西防埋立地については、紀北地域の諸活動を支えるとともに、今後の和歌山県あるいは和歌山下津港の発展を図る上で極めて重要な役割を果たす場所であると認識しております。議員ご指摘のとおり、一面的な面からのみ判断することは適切でないと考えます。埋立法上は具体的な変更申請がなされた段階で厳正に審査をし判断することになりますが、地元のコンセンサスの動向など、事態の推移を見きわめつつ適切に対応していく必要があると考えております。
○議長(馬頭哲弥君) 総務部長木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) まず、平成五年度県税収入の見通しと見解についてでございます。
 平成五年度の県税収入は、当初予算については景気の先行きが極めて不透明であり、特に法人二税で大幅な落ち込みが予測されることなどから、前年度当初比九二・四%、七十六億円減の九百二十九億円を計上したところでございます。本年五月末における実績では、自動車取得税等、一部の税目で当初見込みを下回るものもありますが、法人二税、自動車税を初め、県税全体としては当初予算で見込んだ程度で推移しているところでございます。
 今後の見通しでございますが、ご指摘のとおり、景気が回復すれば増収も期待できるところでございますが、ただ税収を大きく左右する法人二税については三月決算法人が多く、また個人県民税については翌年度課税となっていることから本年度の税収に反映されにくいという事情もございます。
 いずれにいたしましても、年度当初のことでもあり、確かな見通しを申し上げることはできませんが、当初予算額の確保に向け、賦課徴収両面にわたり一層努力を傾注してまいりたいと考えております。
 次に、公営競技事務所不祥事件に係る原因究明と再発防止策についてのお尋ねでございます。
 このたびの公営競技事務所に係る事件については、その重要性にかんがみまして、再発防止のため、直ちに職員に対し綱紀粛正の通達等を出すとともに、所属長並びに出納員に対する研修を行ったところでございます。また、その原因の究明と今後の対策について調査検討委員会を設置し検討を行ってきたところであり、先般、その結果を知事に対し報告したところでございます。
 今回の事件は、多額の現金を取り扱う職場であるにもかかわらず、その管理やチェック体制等について怠りがあったことが直接の原因と考えられるため、報告書ではこれらの点の改善を中心にまとめておりますが、その主な事項を申し上げますと、次のとおりでございます。
 事件発生の原因の一つとなった電話投票制度に係る資金前渡については、近畿自転車競技会との協議による制度改正によりこれを廃止するとともに、未払い金交換のための現金については残金を銀行に預け入れることといたしております。
 また、人事管理上の問題については、現金を取り扱う職場、許認可事務に従事する職場、契約事務に従事する職場を中心に、同一職員が長期間勤務することのないよう適切な人事配置を行っていくなどとなっているところでございます。
 さらに、資金前渡制度が規則本来の趣旨にのっとり運用されるよう周知徹底を図るとともに、県が出資金等を支出している団体に対しても財務管理に関するチェックを強化するなどでございます。
 今後、再びこのような事件の起こることのないよう、この報告書の検討結果にのっとり、最善の努力を行っていく所存でございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 商工労働部長吉井清純君。
  〔吉井清純君、登壇〕
○商工労働部長(吉井清純君) ご質問にお答えする前に、まず公営競技事務所を所管する部長といたしまして、このたびの同事務所職員の起こした不祥事件につきまして、まことに申しわけなく、議員の皆様方を初め県民の皆様方に、改めて深くおわびを申し上げます。
 それでは、議員ご質問の事件の原因と今後の対応についてお答えをいたします。
 まず、事件の原因でございますが、当事務所は常に多額の現金を取り扱うところであり、現金や通帳などを厳格にチェックする必要があったにもかかわらずそれを怠っていたことや、印鑑の管理保管について施錠せず、通帳の保管についてはすべて部下を信頼して任せきりになっていたことなどが主たる原因であります。
 次に、今後の対応についてでございます。
 既に、印鑑、通帳及び金庫のかぎについては出納員が厳重に管理し、金庫のかぎ番号も変更いたしております。特に現金については、毎日、日計表により照合の上、厳重にチェックし、定期的に現金検査を既に実施しているところでございます。また、職員に対して研修を実施し、職務の重要性を認識させるとともに、自覚を高めるように努めているところでございますが、調査検討委員会においてもご指摘のありました電話投票制度の改善、現金の銀行への預け入れについても既に協議を終え、いずれも八月から実施することといたしてございます。今後、このようなことが再び起こらないように、なお一層の努力をいたす所存でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 6番木下秀男君。
○木下秀男君 ご丁寧な答弁をいただきましたので、要望として申し上げます。
 特に土木部長さんに申し上げますが、仕事があれば不平不満はないのでございますけれども、いつも仕事がないという不平の声が聞こえるのが主として土木に携わる建設業者等でございます。今の状態から見ると、そのような言葉が出ないほど事業量があるかと思いますが、どうしても年度末に一括して発注することが間々ございますので、質問の中でも申し上げましたけれども、できるだけ前倒しというか早い機会に、年内に消化できるように、年内に完工できるような発注をしていただくように、関係の職員を督励して補正予算をも含めた予算消化に努めていただきますようにお願い申し上げて、質問を終わります。
 要望でございます。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下秀男君の質問が終了いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 11番上野山親主君。
  〔上野山親主君、登壇〕(拍手)
○上野山親主君 お許しを得ましたので、一般質問を行いたいと思います。
 「新しい力、新しい風、新しい声、新しいシステムを進めるため我々は新しく生まれた。今日の決断を機に二十世紀を締めくくり、二十一世紀を切り開くため、新たな活力ある政治を創造することを誓う。死力を尽くし、政治を蘇生させ、勇気と理性によって歴史の一ページを切り開く」。これは、六月二十三日、保守新党、新生党結成の記者会見で羽田党首が切り出した決意の主な内容であります。
 我が国の政権は、保守合同以来三十八年間、自由民主党の一党によって支えられ、その結果、戦後荒廃した日本を世界の経済大国にまでつくり育ててきたのは、国民の血のにじむような大変な努力と苦難の道のり以外の何物でもないと思うのであります。しかし、米ソの冷戦構造が崩壊し、国際社会の中の日本の責任が問われ、国民の政治に対する価値観も大きく変わり、それとともに国民が政治に求めるものも変化してきているのであります。言いかえれば、政治の構造そのものが時代の要請でその変革を求められており、政党間の壁を乗り越えて国家、国民のために行動することが使命となってまいりました。
 しかし、ロッキード事件、リクルート問題、佐川疑惑等々、数々の政治家と金にまつわる事件が後を絶たず、国民の信頼をいとも簡単に無造作に踏みにじってきたのも事実であります。今や、政治に対し、政治家に対し、国民の信頼は完全に失われていると言っても過言ではありません。日本の議会制民主主義は崩壊寸前であります。
 かかる現状にあって、政治改革は必ずやります、やらなければなりません、そう言い切ってさきの国会に臨んだ宮沢首相でありましたが、結果はご承知のとおりであります。宮沢首相初め、自民党首脳が選んだ道は、私たち国民が今最も政治に求めている期待と信頼を裏切り、みずから責任政党の地位を放棄したとしか考えられないのであります。
 今、政治が最もやらなければならないのは何なのか。それは、国民の信頼を取り戻すことであります。このときにあって、我々地方で自由民主党を支えてきた党員の一人として、この結果はまことに無念と言わざるを得ません。今の自民党は、国民の期待と信頼にこたえられないばかりか、その役目は終わったと言わなければなりません。
 私たちは、地方に生き、地方を愛する政治家として、新しい時代の波を起こし、今こそ県民とともに良識ある県政をつくり上げていかねばならないときであります。中央一極集中を排除し、多極分散を推し進め、真の地方分権とは、真の地方の時代とは、そしてふるさと和歌山のあすとは、これからの与えられた課題に向かって、私たち志を同じくする者五名が相集い、新しい政治の波を地方から起こすために、新しい和歌山の時代を築き上げるために、長年政治活動をともにし、同じ目標に向かって歩んできた自由民主党を涙をのんで離党し、六月二十二日、新会派開政クラブを結成することを決意したのであります。
 今、政治の新しいうねりが生じようとしています。自民党を離党し結成された新生党、さきがけ、また自民党内でもいろいろなグループが派閥を乗り越えて結成され始めました。この動きは、今までの自民党一党支配ではこの難局は乗り切れない、政権交代可能なシステムづくり、政界再編成を模索する動きのあらわれであります。私たちは、イデオロギーを超え、党派を超え、今こそ国民、県民の負託にこたえられるシステムづくりを中央も地方も取り組んでいかねばならないときであります。
 我が国は、国民一人当たりのGNP約三百ドルの貧困から、一国平和主義、一国繁栄のために邁進してまいりました。その結果、世界第二位の経済大国の地位を得るまでになりました。しかし、私たち地方の立場から見て、今の日本の政治や行政の仕組み、経済機構を考えるときに、あすのふるさと、あすの和歌山の未来が見えるかというと疑問を持たざるを得ません。
 例えば、本県の第一次産業の就業者の割合は全就業者の一二・六%を占めています。全国平均の七・一%に比べかなり高い数値となっていますが、農業所得や粗生産額は全国に比べそれほど高い地位ではありません。特に、第一次産業の一番の悩みの種は後継者問題であります。政治、行政の中央集権、産業の大企業偏重主義が地方に過疎を招き、都会に過密を招いたのであります。今のままでは、私たち地方は取り残される一方であります。今こそ、私たちはこのすばらしいふるさと和歌山のあすを切り開くために立ち上がるときであろうと存じます。政治、行政の中央集権を打破し、新しい和歌山の産業基盤を築いていかねばなりません。そのためには、国民、県民が望む政治ができる体制づくりを、まずやらなければなりません。日本の歴史的な改革に明治維新が挙げられますが、あの維新も土佐や薩摩という地方から起こったものであります。地方が動けば国も動く。私たちは、今こそ勇気を持って新しい時代に向けて将来のビジョンをつくり上げていかねばならないときであります。
 知事にお伺いをいたします。
 現状の政治状況をどう認識されておられるのか。今後、日本の政治はどうあるべきとお考えなのか、お聞かせをいただきたいと存じます。また、この状況下で知事としてどう対処していくお考えなのか、決意のほどをお伺いいたします。
 二月定例議会において、私の地方分権に関する質問に対し、知事は以下のようにご答弁をされております。
 地方は、過疎化、高齢化が進んでいる。東京では、過密による都市機能の停滞を招いている。政治、行政の縦割りの仕組みそのものに大きな変革が必要だ。今、国会移転、地方分権が論議されている。非常に喜ばしいことである。これから、一人一人の国民が豊かな生活ができる生活大国という形になるためには、地域の文化、地域の個性、土地の住みやすさというものが重点として取り上げられなければいけない。地方分権については言われてから久しいが、我々としても権限委任について国から県に移管するよう要望した経過がある。中央官庁には中央の領域を守るという精神が非常に強いのではないか。地方自治体はそれだけの能力がないと彼らは言うが、人材とか技術面において地方自治体も相当進んできていると思う。その壁を打ち破っていかねばならない。現在、知事会において専門部会を設けて検討している。道州制にすぐ持っていったらいいのかというよりも、現在の都道府県をもう少し評価すべきではないか。権限を強化して、それから道州制とかに段階的に行くべきではないか。また、都道府県合併、市町村合併の論議もあるが、都道府県をもう少し充実していく。全国の都道府県はある程度基礎が確立してきている。人口規模が東京都のように一千百万人のところもあるし、百万人以下の県もある。それを充実することによって、合併問題なり、道州制なり、連邦制なりというものに段階的に行くべきではないか。以上のように述べられております。
 知事のご所見は、まず地方自治体をより充実し、権限を強化し、段階的に地方分権を推し進めるということであります。それ自体よく理解できるところでありますし、全国知事会において専門部会で検討されているところでありますが、私は地方分権について和歌山県として具体的に何からどう取り組むのか、今から検討する必要があるのではないかと思います。もちろん、全国レベル、国政レベルの考え方にもよってその影響はあるでしょうが、基本的に最低論議しなければならない問題があるのではないかと存じます。
 例えば、知事の言われる地方自治体そのものをより充実するということを一つ考えてみましても、人材の問題、県の行政改革、そして市町村への指導対応の問題等々、課題は多いわけであります。大変なエネルギーと時間がかかります。今から県行政内独自で専門プロジェクトを組まれ、正面から取り組まれてはいかがでしょうか。知事のご所見をお伺いいたします。
 第一位鹿島アントラーズ、第二位横浜マリノス、第三位ヴェルディ川崎、第四位ジェフ市原、第五位清水エスパルス、第六位サンフレッチェ広島、第七位名古屋グランパスエイト、第八位横浜フリューゲルス、第九位ガンバ大阪、第十位浦和レッズ、これはことし開幕した日本プロサッカーJリーグの第十四節終了時の各チームの順位であります。ファーストステージも最終段階を迎え、優勝争いはほぼアントラーズに絞られたと言っても過言ではない感がします。
 今や、Jリーグ人気はプロ野球に並び、追い越す勢いであります。私自身もJリーグの魅力に取りつかれ、毎週水曜日と土曜日はテレビにかじりつく時間がふえてまいりました。あのゴールシュートの決まったときの爽快感、そしてゲームそのもののスピード感と躍動感、格闘技に近いあの迫力、ファンと選手の一体感、世界じゅうで最も人気の高いスポーツであるゆえんと思います。私自身も、早速チーム名を覚えようとスポーツ新聞を読みあさり、スポーツニュースを片っ端から見てやっと十チームの名前が言えるようになりました。チーム名が言えるようになればJリーグ理解度Dクラスだそうであります。チーム名の意味や由来がわかる人はCクラス、マスコットマークを一目見てチーム名がわかる人はBの下クラス、オフサイドが理解できる人はBの上クラス、各チームそれぞれのポジションと選手名をすらすら言える人はAクラスだそうであります。皆さん方はどのクラスでしょうか。
 Jリーグは、男女を問わず、特に若い層に抜群の人気があります。先輩同僚諸先生方も、Jリーグがわからなければ若い人との話題は合わなくなると思います。これからも、どしどしご勉強していただきたいと思います。
 人気絶頂のJリーグにも悩みがあります。それは、専用グラウンドの絶対量が少ないということであります。地方遠征するにも、練習場を確保するにも苦慮する状況にあるようであります。事実、ガンバ大阪も京阪神地方で適地を模索中であるとか聞き及んでいますが、この際、Jリーグの誘致を一考されてはいかがでしょうか。関係方面から情報を集め、サッカー、ラグビー、アメリカンフットボールの国際試合が開催でき、二万人から三万人収容できる本格的な専用球技場の建設に着手されてはいかがでしょうか。コスモパーク加太計画の一環として取り組まれることをご提言申し上げます。企画部長のご所見をお伺いいたします。
 私たち開政クラブ一同は、真の地方の時代を築き上げるために、地方分権について全力で取り組もう、このテーマを重点施策として取り上げようと誓い合いました。そのためには今、私たちはその基盤となる政治の流れ、仕組みを変革させなければならないと存じます。わかりやすい政治活動を行い、国民、県民に開かれた政治をやる、これが開政クラブの基本姿勢であります。歩む道は違いますが、平和で自由な社会を築き、潤いのある生活が送れる地域づくりを目指す思いは同じであります。
 最後に、長い間ご指導いただきました自由民主党の諸先輩、同志の皆様方に心より厚く御礼を申し上げ、県民の皆様方のさらなるご指導をお願い申し上げまして、私の一般質問にかえさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの上野山親主君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 上野山議員にお答え申し上げます。
 ただいま、上野山議員から抱負、信念を承ったわけでございます。 それから、現在の政治状況についての認識、今後の日本の政治はどうあるべきか、知事としてどう対処していくかということでございます。
 先ほども述べたところでございますけれども、現在の政局は戦後四十八年間の中で最も重大な局面を迎えていると思っておるわけでございます。東西冷戦終結後、国際社会における我が国の責任が重くなっていることはもちろん、国内においても経済問題、交通基盤の問題、高齢者対策、農業問題を初め、幾多の課題を抱えております。また本県においても、関西国際空港の開港を明年に控えて非常に重要な時期でございます。こうした時期に、政治の世界にある者の一人として、政治に対する国民の信頼が低下していることを非常に残念に思っております。しかしその反面、今ほど政治のあり方に対する国民の関心が高まっているときはないと思うのでございます。
 今、選挙が戦われておるわけでございますが、国民多数の声がどこに存在するのか、衆議院総選挙を通じて、今後の我が国の政治のあり方を、そして政治改革をいかに進めるか、我々政治に携わる者を初め国民のすべてが真剣に考えなければならない問題だと思っております。選挙において国民の審判が下った後は、速やかに内外の諸問題に対応できる体制が整うことを切望するものでございます。そして私もまた、今後とも県民の声を私の心として、時代に即応してなお一層信頼される、清潔で公平な県政を進めてまいりたいと思っております。
 次に、地方分権についてでございます。
 最近、さまざまな観点から地方分権論が論議されておるわけでございます。さきの二月議会においても、議員のご質問にお答えしたところでございます。私は、国からの権限移譲が進まないのは、決して受け皿である地方団体に問題があるのではなしに、人材的にも現在の都道府県は権限移譲に十分対応していけると考えております。
 専門的プロジェクトチームをつくってはどうかということでございますが、権限移譲の推進は本県だけの問題ではなく、全都道府県共通の課題でございます。したがいまして、お話ございました点について、関係する部課で本県独自に必要な研究を進めるとともに、全国知事会を通じて全都道府県と連携をとりながら運動を進めていく、そしてまた都道府県ばかりではなしに市町村とも協力してやっていく、そしてこれをただ単なる運動ではなしに国民運動に高めていくことが最も肝要なことではないかと思っております。
 幸い、六月に地方自治法が改正されて、知事会等の地方六団体に国会等への意見提出権が認められることになったわけでございます。また、さきの国会においても地方分権の推進が決議されておるわけでございます。これを契機に、皆さん方とともになお一層権限移譲の推進を国に働きかけてまいりたいと思っております。
 以上です。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) お答えいたします。
 Jリーグについては、議員お話しのとおり、開幕以来、攻撃的でスピーディーなゲーム内容により、スタジアムでの観戦、テレビ中継ともに人気が上昇しており、サーカー熱の広がりを感じているところでございます。Jリーグ各チームは、日本リーグの社会人チームを母体にしながら、プロ野球と比べて地域との結びつきが強いフランチャイズ制をとっていると聞いてございます。
 サッカーやラグビー等の専用の球技場の建設についてでございますが、総合運動公園の整備方針との関連もございますけれども、コスモパーク加太計画を含め、貴重なご提言と受けとめさせていただきたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 以上で、上野山親主君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十二分休憩
  ──────────────────
  午後一時十二分再開
○議長(馬頭哲弥君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 ただいま議長から発言を許されましたので、一般質問に入りたいと存じます。
 まず初めに、関西国際空港にかかわる諸問題についてでございます。
 第一に、関西国際空港全体構想の実現について触れてみたいと思います。
 この問題についての最近のマスコミ報道等を見ておりますと、まことに否定的な内容のものが多く、私たち全体構想を強く願う者にとりまして残念な傾向が出ているのであります。全体構想が遅々として進まない上に、内的不安要因、外的不安要因のいろいろなものが重なっておりまして、さらに全体構想の実現を難しくしているように思われます。
 空港整備法には、その第一条に、「この法律は、空港の整備を図るため、その設置、管理、費用の負担等に関する事項を定め、もつて航空の発達に寄与することを目的とする」とございます。そして、第二条には第一種から第三種空港の規定をしておりまして、第一種空港については国が設置すると規定をされているのであります。
 しかも、我が国には三つとない国際空港であるわけですけれども、関西国際空港に関しては、その費用負担の多くを地元へ押しつけてまいりました。運輸、大蔵を中心として国のこのような態度は相も変わらない中央集権的な態度であり、言いかえれば東京一極集中主義と言えると思います。例えば、関西国際空港は関西国際空港株式会社主体による建設であり、まさに地方押しつけの典型的な形でありますが、一方、羽田空港は、国内空港であるにもかかわらず国の事業として、現在、沖出し拡張計画が進められております。過日、来阪された林大蔵大臣は、全体構想の実現について非常に消極的なコメントを発表しておられました。そのニュアンスは、主に採算性を重視するという観点でありました。
 一方、全体構想実現への外的不安要因というのは幾つかあるわけでございますが、さきの議会で申し上げた、我が国周辺各国の国際空港の建設ラッシュがあります。二十一世紀初頭に実用化が言われている新SST、次世代超音速機の拠点となる空港、すなわちスーパーハブ空港でありますが、現在、その研究が着々と進められております。アメリカ大陸に三カ所、欧州に一カ所、アジアに一カ所、豪州に一カ所、さらにはそれぞれ二カ所程度になるかもわかりませんけれども、日・米・欧・豪の各大陸に、拠点となる空港の設置が研究されているわけであります。このスーパーハブ空港の設置をにらんで、国際ハブ空港の競争が世界的に激しく行われているわけでありますけれども、この中で特にアジアが激烈だと言われております。特に、お隣のソウルの新ソウル・メトロポリタン空港は一九九七年開港予定と聞いております。本年九月に建設に着手するということでございます。この新ソウル・メトロポリタン空港は、我が国最大のライバルとなるであろうと思われます。現ソウル金浦空港でさえも、現在、我が国国際空港、地方空港の十六空港と定期路線を結んでおりまして、就航便数は週百八十六便にも及ぶのであります。一日約二十七便就航しているわけでございます。まさに現在、ソウル金浦空港は日本や世界に向かった空の玄関になっているわけでありまして、ある意味では異常な形と言わなければなりません。そんな折に、林大蔵大臣は全体構想に関して否定的なコメントを残されました。こういう態度は、まさに木を見て森を見ない姿勢と言わなければならないと思います。このような地方切り捨て、中央集権的態度は全く許しがたいわけでございます。
 戦後三十九年、自民党一党支配が続いてまいりました。さきの国会で政治改革論議が進められて、あと一歩で実現のところまで参ったわけでございますけれども、一部の長老たちの個利個略によってつぶされてしまい、やみに葬り去られてしまったわけでございます。政・財・官三者のもたれ合いによる癒着構造が次々と起こる汚職腐敗事件を生んだと言っても過言ではございません。私たちは、この数年、舞台設定と登場人物と時期こそ変われ、全く同じ筋書きの劇を見せ続けられてきたわけでございます。リクルート劇であり、共和事件劇であり、佐川急便事件であったと言えると思います。このような自民党の一党支配が中央集権的な日本の体制を生み、地方切り捨てが進められてまいったと言っても過言ではないと思います。しかし、この衆議院選を契機として確実に新しい歴史へと向かっていくと思います。
 本題に戻しまして、全体構想の実現のために知事はこれまでも積極的にご努力をなさってこられましたけれども、こうした内的、外的不安要因の中で、今、一番厳しいとき、しかも大変重要なときに差しかかっていると言えると思います。この問題について今後どう取り組んでいくおつもりであるのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
 次に、国内便の大幅確保についてでございます。
 最近のマスコミ報道等を見ておりますと、大体、三十便から六十便という数字でございます。当初、七十便を確保するとしておりましたけれども、なかなか国内便の確保が進まない現状でございます。その原因は、大阪空港の存続という問題、関西国際空港の着陸料等が非常に高くつくというコスト高の問題、飛行ルート等の関係で飛行時間が長くなるという問題、さらにはバブルがはじけた後の航空不況、需要の伸びの問題、そしてもう一つ、関西国際空港の交通アクセスの問題とされております。国内便の大幅確保をするためにこれらの幾つかのハードルを乗り越えていかなければならないわけでございますが、大阪空港の存続の問題についてはさきにも触れましたし、今回は申し上げません。特に、関西国際空港の交通アクセスの問題について触れてみたいと思います。
 例えば、航空各社とか地方空港の当局者の弁によく出てくるのが、大阪空港に比べると関西国際空港は交通アクセスが悪い、都心から離れているという声を聞くわけでございます。しかしながら、そうでしょうか。私も経験がありますけれども、大阪国際空港へ向かうのに、普通、大阪の都心から阪神高速を通ってバス及びタクシーで参ります。事故や工事等が行われていて渋滞に巻き込まれて一時間以上かかったということも一度や二度ではございません。それ以外の交通アクセスは皆無でございます。それに対して関西国際空港は、海上アクセスが四本、鉄道はJR、南海の二本、それから高速道路も、北からは大阪湾岸道路と近畿自動車道紀勢線の二本があります。さらには第二阪和等たくさんございますけれども、そのように多重アクセスが確保されているわけでございます。ほぼ三十分あれば大阪都心から関西国際空港に到着できるわけでありまして、CAT(シティ・エア・ターミナル)の完備等と相まって非常に利便性の高い空港であると私は思います。しかしながら、一方で地方空港の当局者や航空会社の幹部の中に根強い関空不便説がありまして、現実と少し違うわけでありますが、これらの説得、PRを強めていかなければならないと思います。
 そういう意味で、本年春、知事を団長としてポートセールスが行われました。知事みずから先頭に立ってご苦労いただいたわけでございますが、その後、何度か行われていると思います。それらの状況もできればお知らせをいただきたいと思います。
 さらに、このような根強い関空不便説を克服するために、ありとあらゆる方面に向かって関空の利便性のPRをしなければならない。できれば、一回に終わらすことなく、知事を先頭に今後も各方面に対してポートセールスを盛んに打っていっていただきたい。そこら辺のことについてもご答弁をいただきたいと思います。
 三点目に、関西国際空港の開港時期についてでございます。
 これも、最近マスコミ報道等をよく読んでおりますと、九月開港説が有力でございます。六月八日の毎日新聞は、「9月でも"来夏"開港?」、六月九日の朝日新聞は「関西新空港 開港、9月下旬以降に」、六月十二日の「紀伊民報」では「来年9月開港説が浮上 安全面で"2カ月"ずれ」、六月十五日産経新聞は、「来年9月開港強まる 『関西空港会社』服部社長が会見」等々となっております。
 本県にとっては、この関西国際空港の開港が県勢浮揚の起爆剤として大きな期待と願望を持って迎えられるところであるはずであります。この開港を機にリゾート博を開催し、和歌山県を世界に向かってPRしようという計画でございます。しかしながら、関西国際空港の開港が一年おくれるということでリゾート博の開催も一年ずらしたわけでございます。ところが、またこの開港が一年おくれた上に九月にずれ込もうという状況になってきているわけでございます。この開港時期について、今最終段階に入っていると聞いておりますけれども、たとえ可能性が何%あるかわかりませんが、リゾート博開催と同時に開港できるように百八万県民挙げて取り組まなければならないと思います。この点について、知事のご所見、担当部長のご見解を承りたいと思います。
 次に、関西国際空港の交通アクセスに関する諸問題についてお尋ねをしたいと思います。
 先ほども申し上げたように、関西国際空港は極めて利便性の高い空港でありまして、県北各地域からほぼ二十キロ圏内、三十分もあれば空港に到着できるわけでございます。しかしながら、関西国際空港をさらに利便性の高い空港とするためには、交通アクセスの充実を図っていかなければならないと思います。
 例えば、鉄道便について。
 本県から関西国際空港への鉄道の直通乗り入れについては、以前にもお尋ねしたことがございますけれども、日根野駅及び泉佐野駅のホームや路線の改良が間に合わないためにスイッチバック方式での直通乗り入れを現在検討されていると聞いております。この実現のめどについて企画部長のご答弁をいただきたいと思います。
 たとえスイッチバック方式でありましても、日根野駅や泉佐野駅で大きな荷物を持って乗りかえる不便を考えますと、この実現は利便性の上で大変重要な問題でございますので、ご答弁をいただきたいと思います。
 二点目に、タクシーの問題でございます。
 最近、一部の地域で同一地域同一運賃の見直しを検討され、その実現に向かっていろいろと運動が行われております。和歌山の客をタクシーに乗せて関西国際空港へ向かうときはいわゆる営業区域外へ出るわけでございますが、空港に着いて帰りに和歌山向きの客を拾うという場合に、現在の法上の制約の中では非常に難しい問題があると思います。さらには、地域によって料金に差があるわけでございます。この料金や営業区域の問題等々に関してどのような対応をされているのか、お答えを賜りたいと思います。
 三点目に、リムジンバスの問題でございます。
 例えば、和歌山市内あるいはその周辺から関西国際空港へ向かう利用客が、和歌山市内のある地域から直接空港ターミナルまで乗りつけることができるということで、リムジンバスの利便性は大変高いものがあるわけでございます。このリムジンバスの就航の状況について、現時点での状況をご報告いただきたいと思います。
 以上で、第一質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森議員の質問にお答えする前に、一言申し上げます。
 先ほどの木下秀男議員に対する私の答弁の中で、「一党独裁という問題がいけるかどうかという問題も、私は現在の一党独裁支配ということが難しいんじゃないかということが言われておるわけでございます」と申し上げた部分について、「自民党単独政権の維持が難しいんじゃないかということが言われておるわけでございます」と訂正させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 森議員にお答え申し上げます。
 全体構想の推進でございますけれども、全体構想を早期に実現しなければならない理由の一つとして、森議員がご指摘されたように、最近、航空事情が大きく変わりつつありますし、特にアジアの近隣諸国の空港整備状況がございます。将来の国際航空事情を展望した場合に、関西国際空港を真のハブ空港にするためには全体構想の推進が必要であると考えております。
 かねてより、全体構想早期実現期成会において積極的に働きかけを行ってきたのでございますけれども、お話のように非常に難しい状況になりつつあるわけでございまして、より強力な推進体制の確立を図るため、本年四月に大阪府、大阪市、関西経済連合会、大阪商工会議所を中心として、私もその代表委員に就任し、さらに本県から県議会議長、和歌山商工会議所会頭も参画いただき、事務局体制を整備した新しい組織として関西国際空港全体構想推進協議会を設立したところでございます。
 当面の課題は、まず八月の概算要求にボーリング調査を含む本格的調査費を確保することでございまして、現在その対応について協議会において種々検討しているところでございます。今後とも、県議会のご意見をいただきながら、全体構想の早期実現に向けて積極的に推進してまいりたいと思っておるところでございます。
 次は、関西国際空港における国内便の大幅確保でございます。
 国内便の確保に向けては、大阪空港の存続や着陸料金の問題、飛行経路の問題、また昨今の経済情勢の停滞等、数々の課題があるわけでございまして、ご指摘のように、関西国際空港の交通アクセス等の利便性に対するPR不足も一つの課題だと考えております。この点については、関係自治体、経済界及び関西国際空港株式会社とともにオール関西でポートセールス活動に取り組んでおりまして、前にもお答えしたように、沖縄へは私が団長として、その後、札幌、福岡、また本県独自で宮城県を初め新潟県、長崎県、熊本県へポートセールスを行ったところでございます。今後とも、関空会社を中心に、関係団体の皆さんともども、引き続き関西国際空港のPRに取り組んでまいりたいと考えております。
 また、国内便の確保については、運輸省や航空会社に大幅確保を強く要望しているところでございます。先日も、運輸事務次官や航空局長に国内便の確保を強く要望したところでございます。昨今の航空不況という厳しい状況でございますが、大阪国際空港からの振り分け便数をも含めて、現在、関西国際空港と主要空港間の便数の調整が運輸省と航空各社の間で続けられておるわけでございます。また、関空会社においても、収支採算面から国内便の確保を強く望まれているところでございます。本県としては、県議会のお力添えもいただき、引き続き国を初め航空会社等に強く働きかけてまいりたいと思っております。
 残りの問題は、部長から答弁いたします。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 関西国際空港に関連するご質問にお答えいたします。
 まず、開港の時期についてでございます。
 関西国際空港では、現在、各施設の整備が順調に進められてございます。空港の主要施設である旅客ターミナルビルについては来年六月に完成し、開港までの間に手荷物処理システム等、複雑な施設については、他の空港の開港時の例からして特に慎重な慣熟期間が必要でございます。また、大阪国際空港から関西国際空港に移ることに伴う従業員等の習熟期間、航空会社の夏の繁忙期等の諸問題が相まって、安全な開港のためには十分な準備が必要と聞いてございます。一方、関西国際空港の建設においては一兆四千三百億円の膨大な事業費で建設してございまして、収支採算性から見て一日も早い開港が必要でございます。
 先日も、知事が早期開港を運輸省事務次官、航空局長に強く要望したところでございまして、運輸省においては、現在なおあらゆる角度から慎重な検討が続けられていると伺ってございます。今後とも、県議会の皆様のご協力をいただきながら、早期開港に向け、引き続き強く働きかけをしてまいりたいと考えてございます。
 次に、関西国際空港の鉄道アクセスについては、スイッチバック方式による直通列車の運行について、かねてからJR西日本、南海電鉄に文書で要望するとともに、機会あるごとに働きかけを行ってまいってございまして、先般も輸送力強化促進委員会の協力をいただきお願いをしてまいったところでございます。
 直通列車のスイッチバック方式でございますが、現在、JRにおいては日根野駅での技術的な問題は確保していただいております。また、南海電鉄の泉佐野駅については、高架のための用地取得が難航していると伺ってございます。需要の問題もあるわけでございますが、今後とも県議会のご指導をいただき、努力をしてまいりたいと存じます。
 次に、関西国際空港へのタクシーの乗り入れについてでございます。
 複数の交通機関によるアクセスを確保するため、鉄道、バスの運行とあわせて県内タクシーの空港常駐についても要望書を提出するとともに、機会あるごとに運輸省に対し要請をしてまいったところでございます。
 関西国際空港株式会社においては、和歌山地域の事業者のためのタクシー乗り場を既に確保していただいてございます。また、運輸省においても営業地域が異なる関西国際空港での営業が可能となるポイント免許制度を設けていただき、和歌山地域の事業者は、免許の取得等により空港での営業が可能となってきてございます。現在、タクシー協会が中心になってその対応について検討が進められているところでございます。県といたしましては、タクシー協会とも連絡を密にし、なお一層努力してまいりたいと存じます。
 関西国際空港へのリムジンバスの運行についてでございます。
 この問題につきましても、かねてから関係者のご協力をいただき、機会あるごとに働きかけを行ってまいったところでございます。現在、リムジンバスの運行については、平成三年四月に南海電鉄と日本航空、全日空、日本エアシステムの航空三社により設立された関西空港交通と地元事業者である和歌山バスとの間で運行に伴う諸課題の検討が進められているところでございます。今後とも、県議会を初め関係機関の協力をいただきながら、より一層の努力を図ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 42番森 正樹君。
○森 正樹君 幾つかの問題について、再質問をさせていただきます。
 まず、全体構想について。
 昨年度と今年度の二年にわたって、ボーリング調査費が政府予算の中で見送られた経緯がございます。したがって、関西国際空港株式会社の自主財源で対応するという形になりました。先ほども申し上げましたけれども、国のこのような非常に消極的な態度──私たち和歌山百八万県民挙げて関西国際空港の開港には大きな夢を託し、取り組んできたわけでございます。しかしながら、最近のマスコミ報道や関係各方面のご意見等々を漏れ承る中で、全体構想実現という熱が少し冷めてしまったかのような感がいたします。県勢浮揚という大きな課題を抱える私たちにとって、この全体構想の実現は何としてもやらなければならない事業でありまして、横風用一本を含めて三本の滑走路で全き国際ハブ空港として実現しなければならないわけでございます。
 そういう中で、和歌山がある意味では一番恩恵もこうむりますが、全体構想に支障が出た場合の影響も一番大きく受けるわけでございまして、私たちとしては、この全体構想の実現に向かって、それこそ政・財・官一体となって取り組まなければならない。自民党一党支配による政・財・官のもたれ合いの癒着構造は困りますが、全体構想実現に向かっての和歌山の政・財・官挙げての取り組みは大いに結構なことでありまして、今後も知事を先頭に積極的に取り組んでいかなければならない、そのために知事にも頑張っていただきたいことを要望いたします。
 次に、国内便の問題であります。
 国際便は、当初目標を上回る便数がほぼ確保されそうだというふうに聞いております。そうした中で、ややもすると国内便が当初の七十便という目標に届かない。知事は、政治生命をかけて国内便の確保に取り組むとおっしゃいました。これは、よく議事録を読んでみますと、一便も国内便が確保されない場合に政治生命をかけるとおっしゃったというふうに、ある県の幹部はおっしゃっておりました。そのことはともかく、今、新聞報道等で三十便ないし六十便の確保と伝えられておりますが、知事は、三十便程度が確保されたから政治生命をかけた意味があった、目標を達成したんだと、そのような低位での実現で満足なさる方ではないと私は思います。やはり、関西国際空港が国際、国内両便がたくさん乗り入れするという、本当の意味の国際ハブ空港にならなければなりませんし、国内便の大幅確保ができないとなれば、それは完全な意味でのハブ空港とはなり得ないのであります。
 そういう意味で、どうか知事、高いところに目標を置いていただきまして、七十便を確保して初めて政治生命をかけた意味があったんだと、そのように言えるように今後もご努力を賜りたいと思います。これも要望にとどめます。
 それから、開港の問題です。
 地盤沈下等々の問題によりまして、関西国際空港の開港が当初の予定よりも一年ずれ込みました。したがって、我が和歌山が県勢の活性化をかけて開催いたしますリゾート博も開催を一年おくらせた経緯がございます。ところがまたぞろ、今伝えられる話によると関西国際空港の開港が九月という説が有力でございます。九月と言えば、リゾート博の終わりのころであります。それでは意味がないわけでありまして、何としてもこのリゾート博の開催初期に、できれば開催当日に関西国際空港がオープンすればこれはもう一番いいわけでありますけれども、今後も開港時期の一日も早いことを願いますし、それに向かってご努力を賜りたいと思います。これも要望にとどめます。
 最後にもう一点、関西国際空港への鉄道アクセスに関する問題でございます。
 大阪方面から、例えば難波、天王寺から関西国際空港へ直通便がたくさん運行されることになります。それに伴いまして、鉄道には当然許容量がありますので、増便された分は従来の天王寺─和歌山、難波─和歌山市間という私たちにとっては大変重要な足になる、例えば南海のサザン号、あるいはJR阪和線のはんわライナー等々、在来便への影響はないのかどうか、大変懸念されるところでございます。一部には、サザン等が廃止されるのではないか、あるいは縮小されるのではないかといううわさもございます。そのような不安、うわさを力強く打ち消していただきたいのでありますが、間違っても関西国際空港への大阪からの直通便の運行によって和歌山との交通の足が減便されることのないようにお願いをしたい、この点だけはできればご答弁を賜りたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 再質問にお答えをいたします。
 鉄道の在来線への影響の問題についても、かねてから運輸省、JR、南海電鉄に要望してまいってきてございます。現在、JRにおいては、天王寺発日根野行きを関西国際空港へ延長し、南海電鉄においては、難波発泉佐野、羽倉崎行きを関西国際空港へ延長することを基本に、増便も含め計画がされてございます。和歌山方面への特急など在来便への影響については、運転本数に影響を及ぼさない方向で作業を進めているとの説明を受けてございます。
 また、特急サザンの廃止というただいまのお話でございますが、南海電鉄においてはそういった計画はないとのことでございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問はありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 以上で、森正樹君の質問が終了いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 それでは、まずボランティアの問題についてご質問をさせていただきます。
 この問題については今まで三回質問をさせていただきましたが、今回は角度を変えての質問にさせていただきます。
 まず、新聞の記事でありますが、「文部省において、今年実施する平成五年度採用試験から、将来の幹部となる大卒一種職員の面接の調査票にボランティア活動歴欄を新設することを決めた。ボランティア推進の旗振り役である同省が範を示すのがねらいで、国家公務員採用では初めての試みであり、また同省とともにボランティアを所管する厚生省も同様の措置を検討している」とあります。
 国家公務員の採用試験の合否の判定の一部分にボランティア活動歴が取り入れられることになったのであります。今後の高齢化社会の到来に備えてボランティアの育成は絶対必要であり、また公務員としての資質及び人格にボランティア精神が要求されることとなってきたのであります。
 私は、公務員の採用試験において、これは面接の段階であろうと思いますが、ボランティア活動歴を重視し、活動歴が英語等の語学能力やスポーツの特技と同様に人物評価の一つになることは大変すばらしいことで、ぜひとも推進していただきたいと思うのであります。採用試験に有利なためにボランティア活動をするという者もあらわれてくると考えられ、にわかボランティアを生む可能性が多くあるので賛成できないという意見もございますが、動機はともかく、ボランティア人口の増加を第一義と考えることが今緊急の課題であり、一つの方法であろうと思います。
 現に、英米などでは多くの医学部が合格の条件にボランティア活動の経験を挙げておりますが、この経験者からは、奉仕活動を続けているうちに社会の抱えている問題や医師の使命などに目覚めたという例がたくさんあるそうでございます。また、ボランティア活動は社会の緊急の要請であるため積極的に推進していく必要がありますが、そのためには社会全体がボランティア活動を高く評価する必要があるわけであります。
 そこで、ボランティア活動に対する県職員のあるべき姿について、知事にお尋ねいたします。
 また、ボランティア活動歴のある者の採用試験における考え方を、人事委員長にお尋ねいたします。
 続いて、人事委員会における採用試験についても人物評価の一つとして考えているのかどうかについて、お尋ねいたします。
 ボランティア活動は、実際に体験してみないとその必要性や大切さが理解されないこともあるので、まず体験させることが重要であるということで、高校生などを対象としたボランティア体験学習が県の事業として実施されております。もっと発展して、滋賀県では来春の高校入試においてボランティア活動歴を内申書に記載し、合否の判定にするということが新聞に出ておりました。このことについて、教育長のご見解をお尋ねいたします。
 また、現在、内申書が高校入試の合否の判断にどの程度採用されているのかもお尋ねいたします。
 内申書を重視した推薦入学の枠をもっと多くすればよいと考えますが、今後の推薦入試の方向についてもお伺いいたします。
 次に、精神障害者対策と県立五稜病院の問題について質問をいたします。
 障害者の「完全参加と平等」のテーマのもとに、具体的な障害者対策指針とした国連・障害者の十年が昭和五十八年から展開され、この間、県においては障害者にかかる和歌山県長期行動計画を策定し、積極的に施策を展開し、その結果、大きな成果を上げられたことを高く評価するものであります。今後とも積極的に取り組まれていくことを強く望んでおります。しかし、私はこれまでの障害者問題の取り組みの中において、精神障害者に対する施策が他の障害者対策に比べておくれているように思うのであります。
 そこで、精神障害者対策の現状や今後の取り組みについて質問をいたします。
 精神障害者に対する行政は、長い間、入院治療を中心に進められてまいりましたが、昭和四十年ごろからは保健所を地域の精神保健行政の第一線機関と中心に位置づけ、在宅の精神障害者の訪問指導や相談指導が実施されるようになり、また入院中心の医療から通院中心へと転換されてきたわけであります。昭和六十二年に精神衛生法が改正され、精神障害者の人権を擁護しつつ、適切な精神医療の確保、また精神障害者の社会復帰対策の推進を大きな柱とした新しい精神保健法が昭和六十三年七月に施行され、その第二条に、「国及び地方公共団体は、医療施設、社会復帰施設その他の福祉施設及び教育施設を充実することによつて精神障害者等が社会生活に適応することができるように努力するとともに、精神保健に関する調査研究の推進及び知識の普及を図る等精神障害者等の発生の予防その他国民の精神保健の向上のための施策を講じなければならない」という義務が規定されております。保健、医療、社会復帰を包括した総合的な施策の推進が求められておるのであります。私は、精神障害者の問題の中で、この精神保健対策を積極的に推進していかなければならないと考えているものであります。
 そこで、第一点目として、この新しい法律が施行されて五年を経過しようとしているときに当たり、本県における精神障害者の社会復帰対策及び地域ケアについてどのように展開されているのか、お尋ねいたします。
 次に、県立五稜病院についてであります。
 県立五稜病院は、精神衛生法──現在の精神保健法──に基づいて県の義務として設置され、昭和二十七年に開院した県立の精神病院であります。五稜病院は、県内の他の精神病院とは、おのずからその性格が違うわけであります。一つ目には、精神医療水準の向上のための指導的な役割を持つこと、二つ目には、特殊・高度な医療で採算をとることが困難であると認められる医療を担当すること、三つ目には、民間の医療機関では対応が困難な分野の精神医療を担当すること、このような役割を課せられた病院であると思うのであります。また、昭和三十九年には公営企業法の適用を受けることとなり、「経済性と公共性の調和のとれた運営に努めなければならない」とされているものであります。
 まず初めに、病院の経営状況を見ると、平成三年度の決算において約四億五千万円の赤字となっております。この問題については今までいろんな議論がなされていることは承知しておりますが、全国の府県立精神病院と比較したときに五稜病院の経営状況はどの程度であるのか、公営企業としての五稜病院が改善しなければならない点は何か、また県立病院として県が負担しなければならないところもあると思うがどうか、お尋ねいたします。
 私は、子供のころから五稜病院を見てまいりましたし、病院に勤務されている皆さん方ともいろいろ話し合う機会を持たせていただいたことがございます。開院後四十一年目の現状はどうかと言いますと、施設面では、開院当時は木造の建物でありましたが、逐次整備がなされ、昭和四十七年には現在の建物施設となり、その当時としては大変立派なものであり、喜ばれたものであります。しかし、現在の状況を、精神障害者の人権を擁護しつつ適切な精神医療の確保を行うといった面から見ると大変問題があるわけであります。一つ目には、病室は個人のプライバシーが守られていない、二つ目には、体の不自由な障害者や老齢の患者さんが使用できるような病院構造、施設ではない、三つ目には、建物全体の老朽化が激しい、四つ目には、精神医療が多様化し細分化している中で、新しい医療ニーズに取り組めない状態であるなど、多くの問題を抱えながら、入院患者の治療環境をよくするため、また安全確保のため、職員が大変な苦労をなされておるわけであります。
 今後、県民の保健福祉の一層の向上を図っていくためには精神保健対策が重要な問題であると思っております。今、申し上げたような五稜病院の現状では、これからの精神保健対策を推進していく上で五稜病院に対する多様な医療ニーズにこたえていけるのかどうか、大変不安であります。今後、県の精神保健対策を推進していく上で五稜病院の役割をどうお考えなのか、また病院機能の充実を図っていくお考えがあるのか、まず知事のご所見をお伺いしたいと思います。
 私は、五稜病院をして県の精神保健行政を推進していく上で、その位置づけを明確にし、その役割を十分に果たすためには、建物の建てかえを含めて、次のような新たなことに取り組み、県民から信頼される病院とする必要があると思うのであります。
 一つは、老人痴呆対策としての老人痴呆疾患専門治療病棟の設置であります。本県では、約八千人の痴呆性老人がいると推定されております。この対策は、高齢化の進んでいる本県にとっては大変重要なものであると思うのであり、五稜病院においても積極的に取り組んでいただきたいと考えるのであります。
 二つ目には、応急体制の整備についてであります。これは、単身者や身元の判明しない者で精神障害のため入院治療が必要であるが、入院に必要な同意が得られない場合の入院制度として精神保健法に定められたものであり、この制度は救急医療の一形態であると位置づけられているものであります。このような入院を行えるのは、知事が指定する病院でなければならないとされております。近畿府県においては既にこの体制が整備されているようでありますが、本県においてはまだ取り組んでおられません。適切な医療保護のため、県においてもぜひ必要であると思うものであり、この役割を県立五稜病院において整備する必要があると思うのでありますが、いかがでありますか。
 三つ目は、社会復帰対策への取り組みであります。言うまでもなく精神病院の治療の最終目標は、精神障害のため治療を受けられている方々が社会の中で生活できるように治療をし、必要な援助を行うことであります。そのための対策として、作業療法やデイケアを行える体制整備に取り組んでいただきたいのであります。
 四つ目は、看護体制の整備についてであります。五稜病院の現状は、基準看護特一類──これは入院患者三人に対して看護職員一名の体制であります──で、現状は一カ月の夜勤回数が九回から十回となっております。看護婦等人材確保法が昨年施行され、看護婦等の勤務条件の改善として月八回以内の夜勤とすることが求めれております。この法律の指導に当たる県としては、まず県立病院においてこの体制を整備し、県内の病院に対し範を示すことが大切であると思うが、いかがでありますか。
 以上のことについて、保健環境部長から具体的なお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 最後の問題でありますが、同和問題の啓発について質問をさせていただきます。
 県同和委員会が行った平成元年県民意識調査によれば、同和地区の人との結婚について四七・七%の人が地区の人との結婚にこだわりを持っているという結果であります。特に結婚についてのことを申し上げるわけでありますが、地区内と地区外の結婚の比率は年々高まってきております。しかし、まだまだ意識面での変革が予想外に低いのであります。この結婚が憲法に保障されたとおり何のこだわりもなく行われるようになるには、強力な啓発なり、それに伴う具体的な実践活動が必要であると思うわけであります。同和問題の啓発は、行政がその責務の自覚の上に立ち積極的に推進するものであり、その目的は同和問題の正しい理解と認識を培い、意識の変革を促し、差別をなくする実践力を高めることにあります。実践とは、具体的行動の結果であると思います。推進方針、推進体制を多く列記するよりも、確かな実践の積み重ねが必要とされるのであります。特に、行政職員は同和問題の早急な解決を図る責務を有しており、一人一人の積極的な取り組みが県民の意識をより早く変革させるものであります。そのために行政は、啓発活動推進の指導的役割を担う職員を育成することに努めなければなりません。
 そこで、具体的な質問を申し上げます。
 この具体的な問題の中に大きな問題があるということで、特に質問をさせていただくわけであります。県同和委員会発行の「同和問題を理解するために」という、県民啓発用冊子がございます。その中に、「風習についての考え方」という項目がございます。その中の文章に、「結婚式や起工式、仏事に重要視される『大安』や『仏滅』、『友引』は六曜と呼ばれ、まったく科学的根拠のない迷信であると同時に、このような不合理な考え方が部落差別を支えている要因のひとつになっています」とあり、大きな字で「あなたの手で因習や偏見を打破し、部落差別の解消につとめましょう!」と書かれておるわけであります。
 結婚式等の祝い事は、多くの場合、吉日ということで大安に実施されているのが現状ではなかろうかと思います。知事初め県の幹部職員がことし出席された結婚式も、ほとんどが大安でなかったかと想像するわけであります。私も、出席した式はほとんどが大安でありました。まさに、これは生活の中に定着しているのであります。しかし、このことが迷信であり、不合理であり、部落差別を支えている要因であるならば、このことを消滅させる努力を、まず行政が職員をして具体的に実践に取り組むべきであると考えますが、今までこのようなことに取り組んできたかどうかについてお尋ねいたします。
 また、県の祝賀行事とか行政指導のかかわりを持つ諸団体に対して、まず実践しなければならないと考えますが、具体的な方針をお聞かせください。
 以上、質問を終わらせていただきます。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 吉井議員にお答え申し上げます。
 ボランティア活動に対する県職員のあるべき姿ということでございます。
 ただいまボランティア活動について吉井議員から話ございましたけれども、私も同感でございまして、現代社会の緊急かつ重要な問題であると思います。
 ボランティア活動は、自主性が第一であり基本であると感じておりますが、県職員も積極的に取り組む姿勢が必要であると思います。今後、研修等を通じて職員の意識向上に努めるとともに、率先実行できる、ボランティア意識の強い職員の育成に努めてまいりたいと思っております。
 それから、県の精神保健対策としての五稜病院の役割についてでございます。
 県立五稜病院は、開院以来、既に四十余年を経過しております。この間に社会情勢が大きく変化いたしましたし、また急速に高齢化が進んでまいっておるわけでございます。また精神治療においても、治療体制の高度化、多様化が求められている現在でございます。
 こうした時代の要請に適応したきめ細かな精神科医療を担当し、最終目標である、患者が社会に適応して生活できる施設の整備を具体的に検討するために、現在、庁内に五稜病院整備委員会を設置し、来る二十一世紀を展望した五稜病院の整備問題に検討を加えつつあるわけでございまして、これを積極的に推進してまいりたいと思っております。
○議長(馬頭哲弥君) 保健環境部長江口弘久君。
  〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 吉井議員ご質問の、精神障害者対策の精神障害者の社会復帰対策と地域ケアについてでございます。
 回復途上にある精神障害者の地域における生活支援を図るため、保健所において作業指導、レクリエーション活動、創作活動等のデイケア事業や精神保健相談、訪問指導などを行っております。また、生活指導や作業指導を通して社会適応訓練を行う社会復帰施設と小規模作業所への運営補助のほか、仕事に対する集中力や対人能力等を育成するため、一定期間事業所に通所し訓練を行う通院患者リハビリテーション事業を実施いたしております。さらに、平成五年度の新しい事業として、地域において共同生活を営む精神障害者に対し、日常生活の援助等を行うグループホーム援助事業を実施しているところでございます。今後も、指導、援助体制を充実させ、精神障害者の地域における社会復帰を促進してまいりたいと考えてございます。
 次に、県立五稜病院の経営状況についてでございます。
 平成四年度の決算では、病院事業費用十七億二千三百五十七万六千円に対し、病院事業収益は十二億六千二百二十九万二千円で、収支差の四億六千百二十八万四千円を一般会計から補助しております。なお、このうち約四億円が交付税措置されております。全国において、精神科主体の都道府県立病院は四十病院ございますが、収支が均衡している病院は一つもないのが現状であります。このような中で五稜病院と他の病院を比較すると、医業支出に対する医業収入の割合、いわゆる医業収支比率では、平成三年度で全国平均六一・八%に対し五稜病院七三・六%と、全国でよい方から八番目となってございます。
 次に、公営企業として五稜病院が改善しなければならない点については、五稜病院内における経営管理体制の整備、収益確保面、経費節減面での努力などが挙げられます。
 また、県立病院として県が負担しなければならない部分があるかどうかとの質問でございますが、経費の性質上どうしても収入をもって充てることのできない経費については、地方公営企業法の規定により県が負担するものとなっております。
 いずれにしても、今後も引き続き経営改善に対し積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 続きまして、議員ご指摘の県立五稜病院の老人性痴呆疾患専門治療病棟の設置、応急体制の整備、社会復帰対策への取り組みの三点については、本県における精神保健行政の大きな課題でございまして、保健環境部としても、五稜病院に機能付加した形で積極的に取り組んでいかなければならない事項であると認識しております。また、看護体制の整備については、看護職員の処遇改善が各方面から強く求められており、また昨年六月には看護婦等の人材確保の促進に関する法律が公布されたことなどにかんがみ、保健環境部としては、今後、法の趣旨に沿った看護職員の待遇改善を推進していかなければならないと考えております。いずれにしても、今後、これらの点について庁内組織である五稜病院整備委員会で具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 民生部長南出紀男君。
  〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 同和啓発とその実践の方策等についてお答えを申し上げます。
 吉井議員ご指摘のとおり、古い伝統的風習や慣習が現代社会においてもなお存在していることは事実でございます。日常生活の中に存在するこれらの風習や慣習は、いずれも科学的根拠に乏しく、身近な生活の中に不合理を残し、差別意識を支える要因の一つになってございます。
 県同和委員会の平成元年度県民意識調査によると、例えば、「仏滅の日に結婚式をあげることを気にしますか」という問いに対して、「非常に気にする」三○・一%、「やや気にする」四四・四%を合わせると七四・五%もございまして、近代化や合理主義が浸透してきてる今日においても、なお仏滅等の非科学的風習を気にする人が高率で、根強く残っていることが指摘されております。
 県民啓発として機会あるごとに啓発に努めておりますけれども、特に県職員に対しては、職員同和特別研修を昭和四十八年度から今日まで二十回にわたり実施し、同和問題の理解と認識を深めるとともに、人権意識の向上に努めてまいりました。議員ご指摘のこの問題についても、平成三年、四年度の職員研修の中で取り上げまして、合理的、科学的認識に立って実践力を身につけるよう職場で研修を深めたところでございます。今後とも、行政職員が県民の指導的役割を自覚し、実践力を高められるよう創意工夫を凝らして研修に努めてまいります。
 次に、県、市町村や関係諸団体の主催する祝賀行事等においては仏滅等を避けることもあるやに聞いておりますので、今後は非科学的な風習にとらわれることなく実践啓発活動をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 人事委員会委員長水谷舜介君。
  〔水谷舜介君、登壇〕
○人事委員会委員長(水谷舜介君) 吉井議員に、県職員の採用試験についてお答えをいたします。
 県職員の採用試験における人物評価については、面接試験においていろいろな角度から評価をしているところでございます。
 ご質問のボランティア活動歴については、試験申し込み時の段階で課外活動歴として申込書に記載していただき、面接時の参考としているところでございます。
 なお、今後とも新しい時代を担う多様な人材を確保するため、いろいろ検討してまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) ボランティア活動等についてお答えいたします。
 ボランティア活動は、その活動を通して人々とともに生きる喜びを味わい、自分自身の生活をより豊かにするものであり、児童生徒の人間形成にとって教育的な意義は極めて大きいものがあると考えてございます。こうしたことから、教育委員会といたしましては、県立潮岬青年の家や老人ホームなどにおいて、中学生、高校生を対象にボランティア養成講座を開催し、ボランティア活動の基礎的な理論や技術を習得させ、地域社会に貢献できるボランティアとしての資質の養成を図っているところでございます。また各学校においては、生徒会活動、クラブ活動等において、地域の福祉施設や老人ホームの訪問、通学路の清掃等の体験学習を行っております。
 高校入試におけるボランティア活動歴の評価については、現在、ボランティア活動への参加を初め、スポーツ、文化活動の状況を積極的に評価するあり方を研究しているところであります。
 次に、内申書すなわち調査書については、中学校在学中に培われた生徒一人一人の能力、適性などを見るため、合否判定に当たっては学力検査の成績と同等に扱っております。
 また推薦入学制度は、昭和五十四年度に農業科及び工業科に初めて導入し、昭和六十二年度にすべての職業学科に、六十三年度には理数科や体育科などの専門学科にも拡充を図ってきたところであります。現在、県立高校では職業学科を設置している二十校において四十九学科で、また専門学科を設置している八校において八学科で、調査書、面接、作文を中心に推薦入試を実施してございます。推薦入学の枠についても、昭和五十四年度には募集定員の二○%であったのを、平成四年度では四○%程度まで拡大してまいりました。今後とも、推薦入試及び一般入試の選抜方法のあり方を多面的に検討し、高校入学者選抜のより一層の改善を図ってまいる所存であります。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(馬頭哲弥君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十一分散会

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