平成5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(浜本 収議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番浜本 収君。
 〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 平成五年度主要事業の中で、県は「のびゆく県土づくり」として、一、陸の交通網整備、二、空の交通網整備、三、海の交通網整備のため所要の予算化を図ったところであります。陸・海・空の多岐にわたる交通網の整備促進は、県勢活性化の重要な柱であることは論をまたないところであります。そのためにも、過去幾たびか当議場を通じ、先輩、同僚議員による質問や要求、要望も行われてきたところであります。
 知事は、議案説明の中で、「和歌山下津港と日高港の港湾整備計画の促進を図るとともに、現在開発中の超高速貨物船テクノスーパーライナーの県内での国際複合拠点整備の調査を進め、基地の誘致に取り組んでまいります」として二千四百万円の調査費を計上したところであるが、私は過去の経緯と今後の県政の課題としての海上交通網の整備の再認識に立って、以下、簡潔に質問をいたします。
 平成三年十二月議会において、私は三重県と和歌山県によるサンベルト・燦黒潮ラインと呼称する紀伊半島海上交通体系の整備促進を要望したところだが、その際、県は次の答弁を行ったところであります。「本県における海上交通につきましては、ご紹介のあった佐渡のような離島航路とは異なり、鉄道や高速道路との競合、採算性といった種々の課題もございます。(中略)海上ルートの形成は、本県が有する六百キロメートルに及ぶ海岸線を活用するといった観点からも重要な課題であり、県としても高速船を利用した広域海上ルートについてさらに検討を深めてまいりたいと考えてございます」。立派な答弁であります。
 その後、本県は関係事業者等と海上アクセス研究会を行ってきたと聞いているが、その研究会で提起された課題と今後の方策を伺うものであります。
 また、採算性から見て、ジェットフォイルによる鳥羽、勝浦、白浜──「白浜」と当時名指しをいたしました──等への航路は至難であるやに聞いているが、あわせて今後の方策を問うものであります。
 先日私は、議会運営委員の皆さんと岐阜県庁を訪ねる機会を得ましたが、「私の県は海なし県でして」という言葉から始まる岐阜県庁の方のお話を聞きながら、この「海なし県です」という言葉がいつまでも耳に残ったのであります。「海なし県」は、行政施策の上からも海を活用しての県勢の活性化は到底望むべくもありません。しかしながら、六百キロに及ぶ紀伊半島のこの海の活用を、関西国際空港の開港、マリーナシティ、白浜空港の開港という連動する事業の中で見過ごすわけにはまいらないと思うのであります。県勢の活性化の重要な柱として、海上交通をより強力に推進すべしと思うのであります。答弁を求めます。
 次に私は、南紀新白浜空港開港との関連で、農林水産部長にフライト農業の振興策を要望し、質問をいたします。
 今、県は南紀新白浜空港の早期開港に向け全力を傾注しているところであります。南紀白浜空港は、これまで観光対策が主流であり、今後ともこの面でますます重要な役割を果たさねばなりません。しかし、この空港を取り巻く紀南の振興のためには、貨物便を活用した産業対策の拠点として、この空港をより重視しなければならないと思います。
 現在、白浜空港に運航しているYS11は貨物積載量が二トンであるが、ジェット化された後に運航されると思われるMD87は七トンの貨物積載能力があります。この積載能力の増加は、白浜空港のジェット化を活用した農業、水産業等の地域産業の振興を図るためには大変重要なことであります。県農林水産部は、関西国際空港に向けた生鮮農産物の供給及び空輸出荷等の臨空農業の推進、高品質かつ周年安定生産地の育成整備に要する経費など、フライト農業への予算化を図っているが、白浜空港との関連でのフライト農業に焦点を当てた対策にややおくれをとっているのではないかと私は思うのであります。紀南の農産物、花、水産物をジェット機で出荷することによる一次産業の振興のために、計画的な生産体制、流通対策等を含めての見解を問うものであります。
 次に、育児休業法についての県の対策を質問いたします。
 最近の社会経済情勢はまことに厳しく、労働界にもその影響を及ぼしているところであるが、中長期的に見た場合、構造的な労働力不足の時代が到来するであろうことが一般的に予想されているところであります。二十一世紀に向け活力ある県経済の発展を維持していくためにも、女性の社会参加、女性の活力に期待するところ極めて大きいものがあることは周知のとおりであります。
 こうした状況のもと、近年、女子の職場進出は著しく、女子の雇用者数は着実に増加しております。全国的な状況としては、平成三年の総務庁の労働力調査によれば、女子雇用者数は一千九百十八万人で雇用者総数の三八・三%を占め、五年前と比べて二一%、三百三十四万人の増加となっております。男子の場合は一○%、二百八十九万人の増加であるが、この数字から見ても男子より女子雇用者の増加数が多いことが示されております。また、既婚者の割合が七割近くを占め、さらに、いわゆるサラリーマン世帯の約半数が共働き世帯という状況にあります。勤続年数は、平成二年の賃金構造基本調査によれば女子雇用者の平均勤続年数は七・三年であり、男子の十二・五年に比べれば短いものの、年々伸長しているのが実情であります。一方、本県の状況は、平成二年の国勢調査による女子雇用者数は十二万六千人で、その構成割合は三八・七%、五年前と比べて一一%、一万二千人の増加となっており、男子の場合は二%、四千人の増加であるから、いかに女子労働者の増加が著しいか、この数字から見ても明らかであります。
 職場においては女子労働者の職域拡大が進み、女子と職業とのつながりは結婚、出産までの一時的なものではなく、生涯続くものとなりつつあります。しかし、職業を持つ女子は男子に比べて家事を多く負担しているのが現実の姿であり、女子の就業に大きな影響を及ぼしていると考えられます。女子が長く働き続ける場合の困難な障害として育児が第一であり、次いで老人や病人の世話が挙げられているところでもあります。
 このような状況のもとで、働く女子が家庭生活と職業生活の調和を図り、その能力と経験を生かせるような働きやすい環境を整備するため、昭和六十一年には男女雇用機会均等法が、また昨年四月には育児休業法が施行されたところであります。
 ご承知のように、この育児休業法は、その目的の第一条に、育児休業に関する制度を創設するための規定のほか、育児休業のような全面的な休業以外の方法で子の養育を容易にするため、勤務時間の短縮等の措置を事業主に義務づける規定を設けているが、大きく言えばこの二つの方法により、子を養育する労働者が退職することを防いでその雇用の継続を図り、職業生活と家庭生活が調和できる状態を導くことによって労働者の福祉を増進し、これらの労働者が能力を発揮していくことは、ひいては我が国の経済社会の発展につながるものと定めています。
 そこで一つ目に、この育児休業法の普及促進を積極的に図る立場から、県内におけるこの制度の導入状況と今後の方策を明らかにされたいのであります。
 二つ目に、このたび県は育児休業資金貸付事業費五千万円を計上しているが、この内容について伺うものであります。
 三つ目に、国がこの法律を実施するに当たり、育児休業の期間は現状では無給となっているが、休業中の所得保障については平成三年度中の衆参両院の社会労働委員会等で休業期間中の経済的援助について議論が伯仲してさまざまな意見が出されたけれども、一定の方向が見出し得なかったと議事録に記載されているが、今後、国に対し育児休業期間の何らかの経済的援助の措置を講ずべく県としての努力を要請し、あわせて答弁を求めるものであります。
 次に私は、すさみ町の特別養護老人ホームの件を簡単に取り上げてまいります。
 平成五年二月十九日、和歌山県知事は、社会福祉法人すさみ福祉会理事長に対し、社会福祉事業法第五十四条第二項の規定に基づく改善命令を行った。それは、すさみ町の特別養護老人ホームはまゆう園におけるずさん経営に対し、県が行った監査の結果に基づいたものであります。
 その概要は、園長は常勤し、職員の指導監督、業務の統括をしなければならない最高責任者であるにかかわらず、常勤せずその職責を果たしていない、同園の会計関係書類は、同園の事務所に備えられていないし、前回の監査においてもその改善指示を行ったが、伝票等、経理関係諸証憑書類は今もって同園に備えられていない、また勤務実態のない職員を雇用していた等々を批判し、期日を付し、法人の運営理事構成の刷新と民主的運営体制の確立を指示したところであります。
 なお、地方新聞の記事等によれば、法人名義で購入した自動車一台あるいは二台──どちらかわかりませんが、園長が私用に使っていたとか、パート雇用職員の賃金の水増しがなされその返還や是正が指示されたとかとあるが、その真偽のほどを明らかにするとともに、現状と今後の改善策をこの際明らかにされたいのであります。
 次に私は、ふるさと創生事業とこれに呼応した今後の県の方針について伺います。
 地方制度調査会委員の作家・下重暁子さんは、「ふるさとづくりとかふるさと創生というのは、まさに時代を象徴しているなという気がするんです。なぜかと言うと、ふるさとというのは、別につくらなくても、元々あるものなんですけれども、それをつくらなければならない状態にまでふるさとが荒れてしまったということなのかなという気がします」と述べ、また同委員会の委員で朝日新聞編集委員の川島正英氏は、「一律に一億円ということで、小規模町村に対する大変な優遇策になっているわけですね。これまで国が市町村に助成したり補助したりする場合は、ものすごく細かな基準があったわけです。それをあんなアバウトな形でお金を出したという意味でも、戦後の地方政治史の中で特筆すべき話だろうと思います」と、二人の方がふるさと創生事業についてそれぞれの異なった意見を総理府広報室発行の「時の動き 政府の窓」という小冊子の中で述べておりますが、いずれも一定の意味で肯定し得る意見だと思います。
 平成元年三月以来、全国市町村及び東京二十三区において実施されてきたいわゆるふるさと創生一億円事業は、平成二年末現在で一万六百九十三事業が決定されているが、本県五十の全市町村においてもこれが実施を見ているところであります。
 一月二十四日掲載された朝日新聞のふるさと創生事業の解説記事によれば、「竹下内閣が打ち上げた一億円のふるさと創生金をもとに、『日本一(世界一)の○○づくり』にかかった自治体で、その事業が実現したのは一割強しかなかったことが、二十三日までの朝日新聞社の調べでわかった。日本一の座に一度はついたものの、すぐに他県に追い抜かれたり、詳しくはじいてみたら巨額な費用がかかることが判明して断念したりで、原因は様々。村おこし・町おこしの中核事業に、と意気込んでいただけに、『大枚をはたいてトップに立てないとは』と泣いている自治体もあるようだ。 自治省企画室によると、一九八八、八九両年度に配分された一億円を日本一(世界一)の構築物や町づくりに使うと表明したのは四十七市町村。うち、今年度までに実現したのは『世界一の一年計砂時計』(島根県仁摩町)▽『世界一の手すき和紙』(福井県今立町)▽『自治体日本一クラスの大望遠鏡』(三重県尾鷲市)▽『蜃気楼発生装置』(富山県魚津市)▽『日本一のかがり火まつり』(岐阜県高根村)▽『夢おこし岩木山構想』(青森県岩木町)の六市町村だけだった。 残る四十一市町村では、まだ将来に夢を託すところもあるが、多くは挫折したり、幻に終わった」とあります。
 この事業は、みずから考え、みずから行う地域づくり事業を推進し、それぞれの地域が個性豊かな地域づくりを目指すものとして、ふるさと創生の起爆剤となることが期待されたが、幸か不幸か県下には今挙げた日本一式のこの種の事例は見られないが、過去の実施状況の中で、なるほどこれがふるさと創生事業だなと共感し得る県下での幾つかのユニークな事例をぜひ開陳されたいと思うのであります。
 この原稿をつくっておりますときに、たまたま三月十日、朝日新聞夕刊の一面を見ました。そこに大きく掲載された日高郡印南町の「カエル橋できた!さあ町をカエルぞ」というかえる橋の出現は、注目に値する創生事業であります。
 「印南町の町役場前に、JR紀勢線をまたぐ巨大な『かえる橋』が出現した。 長さ百九十メートル、幅九メートル、最上部の高さ二十五メートル。足を踏んばっている赤い親ガエルの上に黄色の子ガエルが乗っている。総工費六億五千万円をかけて町が建設、三月末に完成する。 印南町は(中略)数年前からカエルを町づくりのイメージキャラクターにしている。小野道風の──こんなことを言うてもわからん人が大分いらっしゃると思いますが、年齢の差であります。お許しを願いたいと思います──『柳に跳びつくカエル』をヒントに努力、忍耐、飛躍を学ぼうというアイデア。『考える』『人を、町を変える』『古里へ帰る』『栄える』の願いを込めている」。
 ふるさと創生事業は一億円というのに、このかえる橋は六億五千万円、あとの経費はどうなっているのかなという疑問が当然出てきますが、ふるさと創生事業と呼応して、県が実施している地域づくりやさきがけ事業等の今後の方針についても、ぜひ伺っておくものであります。
 次に私は、中央の総合保養地域整備研究会のまとめと県のリゾート推進のあり方について論を進めてまいります。
 国土庁の委託に係る中央の総合保養地域整備研究会は、去る二月八日、今後のリゾート整備のあり方について、リゾート整備全般、その理念と施策の方向、制度運用の諸問題等の検討の必要性を公表した。
 その概要は、自然破壊や環境汚染に関する批判、地域振興への寄与が不十分で、高い料金で大衆の利用度が少ない、どこでも同じような施設である等々の批判、また一方で、最近の社会経済情勢の変化等による開発事業者の撤退等を挙げ、これらの批判の中には十分客観的に分析していないものもあるが、指摘されている諸問題はリゾート整備にかかわる重要な論点を含むものとして、これらの問題提起を真剣に受けとめ検討を行うこととしたとし、リゾート整備の見直しの基本的方向、その体制の強化、将来展望と今後の課題を提言したところであります。また、特にリゾート政策理念の再確立のために、リゾート空間は次世代の国民の創造的でゆとりのあるライフスタイルを支える国土の中に蓄積すべき国民の共有財産であるとし、さらにまたその整備は地域づくりの有効な手段として重要であると指摘し、そのために長期的視点に立って着実にその整備を積み重ねる姿勢が不可欠のものとしているが、こういった概要(総括)に立って、以下、三点質問いたします。
 一、県内における幾つかのリゾート整備の事例は、リゾート形成を地域づくりの有効な手段と位置づけながらも、それを達成するための住民への問いかけ、住民の参加、住民との共生等々の発想に欠ける事例も見られるが、そういった視点について、まず県の見解をただすものであります。
 二、燦黒潮リゾート構想は、豊かな黒潮ラインに沿って七地区を重点的に整備するとして、まずマリーナシティを舞台とする海洋都市リゾート形成に全力を傾注し、世界リゾート博は二十一世紀のリゾート体験のあり方を提言する一大メッセージであるとし、日本と世界に和歌山の姿をアピールするものと位置づけ、今議会にも所要の予算計上を図っているところであるが、他の六地区は──ここにいっぱい書いております──いつの間にかこの燦黒潮リゾート構想のパンフレットから消えていくのではないかな、あっちの方ばかりよくなるんかな、そういうことを時々耳にいたしますし、私はそのことを危惧するものでありますがどうなのか、素朴に聞いておきたいのであります。
 また同時に、住民との共生を志向するリゾート形成の立場から、和歌浦湾を挟んで、その地元である和歌浦地区のマリーナシティへの期待というか協力体制というか、その状況について。私らが第三者的に見ていると、どうも皆さんが余りそのことを喜んでいない──まあ、わかりませんけれども、そんな感じがするのであります。和歌浦の人が立ち上がって何かすると、どうもそんな感じがない。これがもし、このマリーナシティのようなものを田辺湾につくる、白浜へつくる、串本へつくる、こういうことを想定したら、既に地元の人たちはこのことに沸き上がっておるだろうと思うんです。しかし、どうも和歌山へ来て和歌浦で受ける印象は、(「喜んでいるよ」と呼ぶ者あり)──喜んでいる方もいらっしゃるそうですが、私はどうもそういう気がしてならないのである。さらには、海南市の提起する境界争いの状況、このことについては既に新田議員から質問を行い、またさきの議会で総務委員長の報告もなされたところでありますが、その状況と今後の見通しを明らかにされたいのであります。
 私は、なぜこのことをしつこく言うかと言いますと、いわば二十一世紀のリゾート体験のあり方を世界にアピールするとしているが、和歌浦湾を挟んで何か鎮静化している。今、喜んでおるということを聞いて安心しましたけれども、片一方は裁判を打ち込まれている。地元で。
 我々選挙する場合、地元で反対される、裁判される、そんなことではどうも。白浜や新宮で女の人をたくさん連れていって、二十一世紀のリゾート体験ということで盛んに世界リゾート博のことを宣伝しても、第一、地元がどうなのかなという気がする。普通、そういうことでは選挙には立てないだろうな。私は、そのことを大変危惧するのであります。その危惧が単なる危惧であれば幸いでありますけれども、開港時に裁判の結果がどうであるとかこうであるとか、こういうことになってくると大変なことだなと、今からそのことを心配いたしますので、あえてしぶとく取り上げます。
 時間があと少しであります。三、総合保養地域整備研究会は、地域のためのリゾート、地域づくりに資するリゾート整備を提言しているが、その中で多様なリゾート整備の中の一つとして、農山漁村等のすぐれた景観や文化等を生かしたグリーンツーリズムの推進を示唆する一方、全く新しいリゾートの開発だけでなく、既存の観光地、温泉地等の再整備によるリゾート整備の必要性を強調しているところであります。
 具体的な問題として二点、その一つは、上富田町のリゾート整備についてであり、二つ目は、白浜町の椿地区への対応についてお聞きいたします。
 既に県は、燦リゾート地区に含まれていない西牟婁郡上富田町リゾート整備を農村型リゾートとして、平成四年度に県百五十万円、上富田町百五十万円、計三百万円を計上し、その調査検討を進めているところであるが、現状と今後の見通し、その指導方針もあわせて明らかにされたいのであります。
 椿に移ります。「湯かげんはいかがでしたか。またのお越しをお待ちしています」。ひっそりとした人影のない寒い冬の夕暮れ、椿駅にこんな看板が立っていた。かつて湯治場として栄えたこの椿駅は、七年前からいうところの無人駅となり、椿観光協会(民間)が資金を出して駅員さんを雇って運営しているところであります。
 平成四年の白浜、椿温泉観光客調査推計によれば、白浜駅におりる人員は年間八十五万余人、椿駅におりる人員は年間二万七千余人、白浜宿泊日帰り客数三百六十二万六千余人、椿宿泊日帰り客数十一万七千余人であります。ここ数年間、椿地区の客数は十二万人を境に低迷を続けているのが現状であります。
 前段述べましたが、ふるさと創生事業の一環として、県内においては六つ、全国では二百五十幾つと聞いておりますが、温泉の掘削に経費を費やすそれぞれの行政努力を散見するにつけても、一日六千キロリットルの量を誇る椿温泉湯治場の現状を見過ごしてはならないし、また総合保養地域整備研究会がリゾート推進の見直しの中で繰り返し繰り返し述べているように、「我が国においては既に湯治場のような伝統的な保養地の歴史を有することから、既存温泉地の再整備等も検討する必要がある」とする指摘に大いに着目する必要があると思いますけれども、観光行政とリゾート推進の立場に立っての県の確かな方針を伺うものであります。
 以上で終わります。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
 総合保養地域整備研究会の中間報告に基づく今後のリゾート整備についてでございますけれども、私から既存の温泉地の再構築の問題、椿温泉の問題について述べさせていただきます。
 古くから、人々が交流しながら長期滞在ができる湯治場は、保養を目的とした日本古来のリゾートの一形態であったと思うわけでございます。最近、またそれが見直されつつあるわけでございます。最近の長期滞在型のリゾートとしてその必要性が十分認識されてきておる、既存の温泉地においても安くて心のこもった温泉場ということが強く要請されておるわけでございます。
 お話ございました、椿の駅前の「湯かげんはいかがでしたか」という看板に心を引きつけられるものがあるわけでございまして、これからの椿温泉の発展にはこれが一番大事なことではないかと思うわけでございます。
 ご承知のように、椿温泉は大正時代から栄えてきた湯治場でございます。しかし、最近は白浜町の方がのしてきておるわけでございます。それに対して椿温泉としていかにあるべきかということについて、地元の皆さん方もいろいろ検討をされておるわけでございます。そうした中で、こうした心でもって温かく迎えることが大事ではないかということも考えつつあるわけでございます。
 昔は、椿温泉へ行って自炊をしながら湯治をやったものでございます。そうした趣をも考えて椿温泉の活用を図っていかなければならないし、我々としても、燦黒潮リゾート構想の中において長期滞在型の温泉地としてどうあるべきかということについて、地域の皆さんや白浜町当局の皆さんと一緒になって具体策を検討してまいりたいと思っておるところでございます。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) まず、海の交通網整備についてお答えをいたします。
 鳥羽─勝浦を結ぶ広域海上ルートについては、三重県や船舶事業者、その他民間企業で構成する研究会において検討を重ねてまいったところでございますが、ジェットフォイルの新造船が約三十億円という高価な船であり、初期投資のコストやメンテナンスの費用が高いことから現在の入り込み客だけでは採算性の確保が難しく、他の交通機関と競合すること、マイカー利用者への対応、集客施設等、観光リゾート拠点のさらなる整備の必要性など課題が示されてございます。また一方、経済環境についても、非常に厳しい状況となってきてございます。
 しかしながら、海洋資源の活用や地域活性化の観点から、今後この研究会で示された課題の解消に向け、観光客の相互交流による周遊旅行等、船旅の魅力や需要の喚起、地域の特色の掘り起こしなど、さらに粘り強く努力してまいりたいと考えてございます。
 また、議員ご提言の県内観光地を結ぶ広域海上ルートについては、重要な課題と考えてございます。現在、関西国際空港への海上アクセスについて研究会を設置し、検討を重ねているところでございますが、広域海上ルートについても、今後本研究会のテーマの一つとして取り組んでいきたいと考えてございます。
 次に、リゾート整備についてお答えをいたします。
 まず、リゾート整備における住民意見の反映についてでございます。
 燦黒潮リゾート構想については、構想の策定時及びその推進に当たって、市町村はもとより各重点整備地区の協議会や県レベル協議会を通じ、構想の推進を図る上などでの問題点や意見の把握に努めるとともに、それらの意見を踏まえながら、良質なリゾート地形成に向け取り組んでいるところでございます。
 一方、内陸地域におけるリゾート整備については、地元市町村と共同で計画の策定に取り組んでございまして、その計画の策定に際しては、地域の各界の代表の方々との懇談会、検討会などを開催し、意見の反映に努めてございます。国の総合保養地域整備研究会の報告書においても住民のコンセンサスづくりの重要性が提言されてございますので、本県においてもこの提言の趣旨を踏まえ、構想の各段階において周知徹底を図るとともに、地域の方々の意見が十分反映された計画となるよう、さらに市町村を指導してまいりたいと考えてございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想の今後の見通しについてでございます。
 リゾート整備は本県の地域振興を図る上で有効な手段であり、計画の具体化に向け長期的視点に立って積極的に取り組んでまいることといたしてございます。
 和歌浦湾地区については、議員ご指摘のとおりの進展を見ているところでございますが、他の重点整備地区についても、昨今の厳しい経済情勢のもとで多少のおくれは見られるものの、田辺、白浜地区での東急南紀田辺リゾートや紀州南部ロイヤルホテルの整備、枯木灘地区での釣り公園計画の具体化に向けての検討、潮岬地区でのスポーツ施設の整備、勝浦、太地地区での那智勝浦海岸コースタル・コミュニティ・ゾーンの整備などに見られるように、着実な進展を見ているところでございます。他のプロジェクトについても、長期的視点に立った民間企業の立地促進や公共の事業の積極的な導入等による民間のリゾート施設の整備誘導などに努め、地元市町村や協議会との連携のもと、各重点整備地区の具体化促進を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、和歌山マリーナシティとの協力体制についてでございます。
 燦黒潮リゾート構想の重点整備地区の一つである和歌浦湾地区については、マリーナシティを中心に周辺地域を含めリゾート施設の集積を図ろうとする計画であり、マリーナシティの整備に伴うビジネスチャンス等、その波及効果を周辺地域がどう積極的に利活用するかといった点が大きなテーマとなってございます。マリーナシティにあっては、フィッシャーマンズワーフやハーバーレストランなど地元の参画が可能な施設内容とするとともに、スポーツ施設等、地元の方々が利用可能な構想といたしてございまして、またこれと並行して片男波公園や漁港の整備なども地元の協力を得て進めているところでございます。今後、計画の具体化に伴い、和歌浦湾を構成する広域の地域とマリーナシティが共存し共栄できるよう、各界の代表者で構成している地元のリゾート構想推進協議会に対し、指導、助言を続けてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、農山漁村リゾートについてでございます。
 県では、燦黒潮リゾート構想対象地域以外の内陸地域を対象に、市町村と共同で内陸地域リゾート形成促進事業を実施いたしてございまして、上富田町については平成四年度で計画を策定いたしているところでございます。
 上富田町は、年間三百五十万人の観光客が訪れる白浜町に隣接し、田園風景や清流・富田川など海岸域とは趣を異にする内陸地としての魅力を有してございまして、こうした魅力を生かした体験施設等を整備するなど、ファミリーリゾートに対応した新しいタイプのリゾート地の形成を目指してございます。
 具体的には、現在整備されている総合スポーツ施設に関連したオートキャンプ場や特産の梅、スモモを使った体験農園、あるいは天然記念物オオウナギ等に関する博物館などを計画、検討中でございます。こうした計画を具体化することにより、白浜町への来訪者の誘因も図られることとなり、地域への経済波及効果が拡大し、地元のビジネスチャンスが増大するものと考えられます。
 なお、計画の策定に当たっては、農業協同組合、農業後継者グループ、青年団、体育協会、商工会からの意見を聞くとともに、役場に勤務する女性職員の参画をいただくなど、地元意見の集約、反映に努めているところでございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) 白浜空港とフライト農業についてお答えを申し上げます。
 紀南地方の農業振興については、これまで黒潮フラワーエリア産地化推進事業などを中心に、地域の特性を生かした高品質生産を基本として、野菜、花、果実などの施設園芸団地の育成に努め、カスミソウ、スイートピーなどの高級切り花、野菜ではエンドウ、シシトウ、果実では鮮度が求められるハウススモモなどの生産が伸びているのが現状でございます。
 しかしながら、空輸については、地元の関心も低いことから、今後、臨空に向けた農協、生産者団体等による協議会を設置するなど、関係者の意欲を喚起しながら、フライト産業による産地のイメージアップをあわせて推進してまいりたいと考えてございます。
 また流通対策については、関係団体とも協議しながら、生鮮農産物の予冷・保冷施設、魚介類の蓄養施設等の整備を図り、地域産業の振興になお一層努めてまいる所存でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 育児休業制度の導入状況、三点についてお答えをいたします。
 まず、本県における育児休業制度の導入状況でございますが、労働省和歌山婦人少年室の調査によりますと、昭和六十三年の普及率は一一・三%でございましたが、昨年十二月時点の調査では雇用者数三十一人以上の企業において六九・一%の企業が同制度を導入しており、今後、同制度の導入を検討する企業を含めると九○・七%となってございまして、法施行の普及啓発の効果があらわれてきたと考えてございます。
 次に、県の今後の取り組みについてでございます。
 まず、今議会にお願いをいたしてございます育児休業資金貸付事業を平成五年四月一日から実施してまいりたいと考えております。この制度の概要を簡単にご説明申し上げますと、県が預託した五千万円に和歌山県労働金庫が同額の資金を加えて資金運用を図ることとし、現時点で把握している各府県の中では最も低利な融資利率三・五%で、かつ最も多額の百二十万円を限度として生活資金の一部を融資し、制度の定着並びに普及を図ってまいろうとするものでございます。
 次に、これも今議会にお願いをしてございますが、これらの制度の普及促進事業を新たに興し、例えば育児休業ハンドブックといったものを県独自で作成し、広く普及啓発を図ってまいりたいと考えているところでございます。なお、指導監督機関である和歌山婦人少年室との連携をさらに深め、その普及啓発に努めてまいる所存でございます。
 次に、育児休業期間中の所得保障問題でございます。
 議員ご承知のとおり、この法案審議の段階で休業保障など種々論議がなされた結果、適当な時期に必要な見直しを行う旨の規定が追加されたところでございまして、今後の国における動向を注視しながら対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 特別養護老人ホームの運営についてお答えをいたします。
 社会福祉法人すさみ福祉会に対して行った改善命令による現状と今後の改善策でございます。
 このたびの措置は、二度にわたる特別監査の結果などを踏まえ、当該法人の運営が著しく適正を欠くとの判断をし、議員ご指摘のとおり、改善命令を行ったところであります。
 なお、法人名義の自動車の私的使用、及び非常勤職員に係る賃金支払いについては、平成三年一月二十一日に実施した特別監査において不適切であると指摘し、平成三年二月十三日に返還をさせたところであります。
 また、このたびの改善命令については、その命令内容に従って、一、園長は平成五年三月一日に辞任をいたしております、二、用務員を同年一月三十一日に解雇させております、三、経理事務は当園において処理するとともに、四、理事全員が平成五年三月一日に辞任届を提出し、その後任について地元関係者と協議していくとの改善報告を受けたところであります。
 県といたしましては、改善命令を遵守し、速やかに新理事体制を整えるとともに、法人及び施設の健全な運営管理体制を確立し、入所者処遇の充実が図られるよう、引き続き強く指導してまいる所存であります。
 もとより、社会福祉事業はお年寄りや障害を持つ方々などの自立的な生活を支援していくものであり、とりわけ社会福祉施設の運営に当たっては、利用者のニーズに応じた処遇等、適切な運営が確保されなければならないものであります。
 こうした社会福祉事業の重要性にかんがみ、県下の社会福祉法人及び社会福祉施設についても、適正な運営が確保されるよう、監査等を通じより一層指導を強化してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) まず、ふるさと創生事業と今後の方針でございます。
 ただいまご紹介のございました印南町のカエルをキーワードにした町づくりの取り組みを初めとして、県内市町村のふるさと創生事業には立派なものが数多くございます。
 事業の手法といたしましては、みずから考え、みずから行う地域づくり事業、いわゆるふるさと創生一億円事業でございますが、そのほかにそれに引き続いて措置されている起債と交付税を組み合わせたふるさとづくり、地域づくり事業、いろいろございますが、それらの中から幾つかの事例をご紹介いたしますと、ハード事業として、南部川村では、梅の栽培から加工までの総合的な試験研究に取り組む施設としてうめ21研究センターを整備いたしております。太地町では、日本の捕鯨発祥の地としての特性を生かした鯨の町づくりをテーマに鯨のアーチの設置等を行っております。清水町においては、周囲の川と森林の美しい景観にマッチしたしみず温泉健康館等を整備して、温泉とふるさと体験の町づくりを推進されております。またソフト事業としては、打田町で、地形的にスカイスポーツにとって好条件の百合山を基地としてパラグライダーの大会が開催され、町民の方々にもスカイスポーツのおもしろさを知っていただくよい機会となっているようでございます。そのほか、広川町の男山焼会館、金屋町の生石高原天文台、龍神村の龍の里づくり、田辺市の南方熊楠翁顕彰事業、貴志川町のマスコットキャラクターであるホタ郎くんなど多数ございますが、これらの事業は、いずれも地元の歴史、文化、産業等その特徴を生かして、地元住民の要望と市町村長さんの強力なリーダーシップがうまくかみ合って実施をされた事業でございます。住民の方々が誇りに思い、地域の活性化に大いに貢献をしているものと考えております。
 県といたしましても、市町村のこうした自主的、主体的な地域づくりをさらに促進させますために、地方債と交付税によるふるさと創生事業を積極的に推進するよう指導、助言をいたすとともに、地域活性化の「さきがけ」となるような事業に対して、県が実施しているさきがけ補助金制度等で引き続き支援をしてまいりたいと考えております。
 次に、マリーナシティの所属問題についてでございます。
 マリーナシティに係る境界に関しては、平成三年十一月二十二日付で海南市長から調停申請書の提出がございましたが、県といたしましては、昭和四十六年二月二十六日作成の協定書及び覚書は尊重し遵守すべきものと考えること等を理由として、調停に付すことはできない旨、平成三年十二月二十一日付で通知をいたしました。その後、海南市は和歌山市を被告として境界確定訴訟を提起し、これまで五回の口頭弁論が開かれております。現在、両市がそれぞれ主張する境界について実質審理が行われているところでございまして、県としてはその推移を見守っているところでございます。しかしながら、裁判は長期化が予想されますので、これと並行して何とか話し合いによる円満解決が図られないものか、両市長が政治家として忌憚なく話し合う場を設定しようという知事からの提案も行ったところでございます。
 いずれにいたしましても、県民一丸となって世界リゾート博成功のためのさまざまな取り組みがなされている中でもございます。紛争の早期解決を期待しているところでございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番浜本 収君。
○浜本 収君 私は、先ほど白浜空港との関連でのフライト農業に焦点を当てた対策に、やや県はおくれをとっているのではないかという趣旨の発言をいたしました。しかし、私の気の弱さが「ややおくれをとったのではないか」という表現をしたのであって、決定的にその対策めいたものが欠如していると、こう私は以前から思っております。ということは、時々そういったものを扱う農協とか漁業組合とか、あるいは町内、町外の方々のお話を聞きましても、空港ができるんだ、だから農産物をどうするというような話が余りない。皆さんが余り期待していないのか、それともほっとかれているからあきらめているんか、何かそんな感じがしてならない。
 今度の予算でいろいろ調べてみますと、こういう言い方は大変嫌な言い方であり、県会議員として発言するのは不適当でありますけれども、関西国際空港に当てたフライト農業の施策については一生懸命やっている。予算を図っている。しかし、そっちの方はどうかいなと見てみると、黒潮なんとかとあるが、それは従来と余り変わらない。ここへ焦点を当てた、意識をした意味でのそういう政策がない。私はさように思って、あえてこの問題を取り上げたのであります。
 しかし、ただいまいただいた答弁の趣旨に従って、どうぞ紀南地域の振興のために真剣に取り組んでいただきますことを、ここで要望をいたしておきたいと思います。質問ではございません。安心してください。
 椿地区の振興について。
 あの中間報告については、多分、県の前の総務部長をなさっていた斉藤さんなんかも関係していると思うんですけれども、私はあの八十ページぐらいのものを子細に読んでみました。そして、企画部の皆さんや特に地域振興課長なんかと話をする機会があって、その中間報告について、一遍、私が講師になって県庁の職員を集めて話してあげようかと言ったことがあります。自慢しているのではなく、それほど一生懸命読んでいるんだ。あんたたちも一生懸命読んでよ。送ってくれた人の方が勉強が足らん、そんな感じがしたんです。
 そしてその中に、先ほども申しましたが、繰り返し繰り返し述べられている湯治場、温泉地について、私なりに地方的にそれを解釈すれば、できもせんことを一生懸命するよりも、現実にあるそういう湯治場だとか温泉地について取り組む、再検討すべき──ときが来たとは書いてございませんが、そういうことをすべきだということを中間報告に書いてございました。私はその文字を見て、なるほどそうだなと思いました。
 皆さん、白浜温泉を少し紹介いたします。白浜温泉といっても泉源は、幸か不幸か私の村であります。昔の瀬戸鉛山村、今の湯崎であります。私は少年の日にそこで育ったが、しかしそこは一寒村にすぎなかった。「卒業生、右代表浜本収」と呼んでもらいました。しかし、あと見ますと十三人しかおらない。そういう小さな僻村であったのであります。そして、湯治場であった。それが六十年、七十年の歴史を経て今に至っている。つまり、そのことが今の白浜町の基礎をつくっていると、私は思ったんです。
 そして、ある晩、椿へ車で飛んでいった。そして、椿の観光協会の人なんかといろんな話をさせていただきました。その中で、私なりの勉強をさせてもらいました。立ったついでに、知っていることを言います。
 白浜の湯崎という海岸に、「温泉の永遠に溢れて春尽きず」という、高浜虚子先生が戦後間もなく白浜に来られたときにつくられた句の碑が立てられております。時々波しぶきを受けておりますけれども。そういった天然の恵み、天賦の恵みといいますか、景観という自然がもたらした条件が、ちょっと大げさな言い方をすれば今日の白浜の基礎であります。しかし、この町は特に温泉が湧出する。先ほど申しました寒村であった私の村と椿を見たときに、やっぱり歴史は繰り返すんかなという気がします。そう言ったら椿の人たちに悪いんですけれども、そんな感じがします。
 小学校の生徒何人おるの、いや複式学級でやっているところあるんやというような話も聞きます。そして先ほど申し上げたように、駅は無人化になって寂れている。そういうことを思うにつけて、要らんことをするよりもここを活性化させていくことが大変大事だなあと思います。温泉へ泊まっただけで税金が県へも入りますから、そういうことからも椿の活性化が大変大事だなということを思います。椿は、人情をたたえた昔の湯治場の風情をそのまま持ち続けてございます。そこにはイセエビの宝庫があるし、野生ザルが群れをなして海岸に押し寄せてくるという状況でもあります。
 そういったことについて、先ほど知事から力強いご答弁をいただきました。そういった趣旨に立って企画部においても、白浜町当局はもとより、地元椿地区の観光協会や漁業組合、主婦の方々等、そういうこの椿地区のリゾート計画を支え運営をしていかれる、いわば大多数の方々の意見や考え方が反映し得る、そういうリゾートをともにつくっていくんだという、「新しい」とは言いませんけれども、新しい決意で取り組んでいただきたいということを特に要望いたしておきます。
 終わります。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜本収君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時十四分休憩
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