平成5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(和田正人議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時三分開議
○議長(馬頭哲弥君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(馬頭哲弥君) 日程第一、議案第一号から議案第七十三号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 38番和田正人君。
 〔和田正人君、登壇〕(拍手)
○和田正人君 去る二月十六日、日向方斉住友金属相談役名誉会長がご逝去されました。
 平炉メーカーであった住友金属の銑鋼一貫体制への企業基盤確立と、敗戦後の混乱した昭和二十年代から産業復興と国民生活の安定に向けて動き出した昭和三十年代、その間の朝鮮動乱による特需景気が鉄の需要を大きく伸ばした中で、特に昭和三十六年三月十五日、和歌山に第一号高炉が火入れされた感激は、今も私は覚えています。
 当時の鉄鋼産業は旧八幡製鉄、富士製鉄にリードされる産業構造を余儀なくされる体制であり、関東・千葉進出に精魂を傾け日本銀行と争った「西山天皇」と言われた川崎製鉄社長の存在や、昭和四十四年二月、和歌山第五高炉の火入れ稼働に至るまでの故日向方斉氏の活躍は、住金関係者のみならず多くの皆さんに語り継がれているのであります。
 昭和三十六年から四十四年までに、二年に一本、五本の高炉に火入れした和歌山製鉄所、とりわけ昭和四十年、当時の粗鋼減産状況が続いた中で、生産枠や輸出枠について、また第四高炉建設をめぐって新規の設備調整問題として通産省や公正取引委員会と渡り合った経過は、石炭から石油へとエネルギー転換の進む産業界の技術革新とともに、自由競争を前提にした伸び行く産業、企業のあり方を社会に投げかけた大きな出来事であったと思います。世に言う住金事件であります。当時の状況下で、一民間企業が行政官庁の指導にあからさまに逆らったのは異例の出来事と言えた。
 今、和歌山製鉄所に限らず、日本の鉄鋼産業は大きな試練のきを迎えています。和歌山製鉄所に引き続いて、鹿島製鉄所の建設、住友金属の社長、会長を経て関経連の会長を務められ、関西復権にかけられた活動と業績はご案内のところであり、特に泉南沖埋め立てによる関西新空港建設には晩年の情熱を注がれたのであります。
 ここに、昭和六十二年元旦から日本経済新聞に掲載された「私の履歴書」、日向方斉氏の単行本(非売品)がありますが、関西国際空港にかかわる部分を紹介させていただきたいと思います。議長のお許しをいただき議員各位のお手元にお配りをさせていただいておりますので、ご参照いただきたいと思います。
 関西国際空港 念願の関西国際空港が二十七日着工した。関経連会長に就任して以来、一貫して推進してきた大型プロジェクトの門出である。喜びもひとしおであった。
 新空港建設が事実上決定したのは、昭和五十八年度の政府予算案で「着工準備調査費」が認められた時である。五十四年三月三十一日、関西の経済団体を網羅した「関西新国際空港建設促進協議会」が発足、佐伯勇大阪商工会議所会頭と私が代表理事に就任した。大商側は途中で古川進会頭に交代した。それから事業主体が決まるまでの約五年間、二人を中心に陳情を中央に繰り返した。
 陳情は大平正芳首相の時代から始まったが、五十五年六月のダブル選挙のさ中に急逝され、鈴木善幸首相に代わった。八月一日、鈴木首相のところへ表敬訪問に行くと、「善処する」との前向きの発言を得た。その言葉通り、地元大阪出身の塩川正十郎氏が運輸相で入閣。塩川さんは大阪、兵庫、和歌山の関係府県に何度も足を運び、「地元合意の形成」という、われわれ財界人ではなかなか難しい問題に力を尽くされた。さらに、大阪三区の衆議院議員(元運輸相)原田憲氏を会長とする「関西新国際空港建設促進議員連盟」が結成され、大いに士気が上がった。
 しかし、五十六、五十七年度予算とも一般調査費が認められたにとどまった。財政難が大きな壁となり、また工法についての異論や地元の反対もあって、着工を認める「実施設計調査費」はゼロ査定であった。
 五十七年四月、住金の東京本社内に促進協東京連絡事務所を開設。それを足場に、自民党三役や有力政治家、学識経験者、マスコミ関係者などと何度も懇談をし、要望やら根回しに明け暮れた。小坂徳三郎運輸相のお骨折りで、経団連、日商などのほか、日本各地の経済団体が促進協に加盟してもらえることになった。七月二十日、東京のホテルで開いた第五回促進協総会はまことに壮観で、二階堂幹事長に「日本最大の圧力団体の誕生だな」と言われた。
 その年の十一月二十七日に第一次中曽根内閣がスタートした。中曽根首相とは古くからの親しい間柄だった。十二月二十七日、私は首相官邸を訪れた。首相は「難航しているようだが、最後は私がやる」と太鼓判を押してくれた。二十九日の長谷川峻運輸相と竹下登蔵相との折衝で「着工準備調査費」という名のゴーサインが出たわけである。
 五十八年五月、関係閣僚会議が設置され、問題は事業主体に移った。公団方式、地方自治体主導型、第三セクター方式などがあったが、私は一種空港は国が責任を持って建設、運営すべきであると、公団方式を主張した。ところが、五十九年度予算編成の大詰めの段階になって、首相の意向を受けた運輸省から国、自治体、民間の三者が出資する株式会社方式を言ってきた。公共事業に民間資金を導入するのは筋違いで将来に悪例を残すと考え、徹底して反対した。そのうち運輸省が民間出資額五百億円を二百億円に修正してきた。早期着工のため、やむなく妥協した。
 経団連の稲山嘉寛会長、花村仁八郎副会長の参加、協力を頂き、企業から出資金を募ると、何と四百八十五億円も集まった。利権に結びつくことのないよう、広く薄くお願いしたことが功を奏したと思う。新空港に期待する民間の熱気を強く感じた。
 人事については当初、私を会長に、といってきたので、「私より港湾建設の専門家がいい」と首相に言った。その結果、会長はおかず、運輸省出身の竹内良夫氏の社長起用が決まった。五十九年七月三十一日、所期の目的を達して促進協を解散、十月一日関西国際空港株式会社が発足した。思えば長い道のりであった。
 以上でありますが、本来、国の責任において建設されるべき第一種空港が、財政的事情とはいえ第三セクター方式で地元負担を伴う工事となり、心配された地盤沈下も先日の発表によれば懸念なく来年夏開港へと工事が進められていますけれども、最大の課題は二十四時間運航のハブ空港としての役割と機能にするための全体構想実現であり、一本の滑走路での国内線路線決定と便数確保であると思います。これらについては後に触れることにして、一番機に搭乗するんだと常々話され、中央に意見の言える関西財界人として関空に夢を託されていた今は亡き故日向方斉氏に哀悼の念をささげ、壇上から謹んでご冥福をお祈りするものであります。
 さて、関西新空港に関連する問題でありますが、ここに一月十四日、読売新聞夕刊の「全体構想への近道」という記事があります。「大蔵省一階の主計局は昨年暮れ、五年度政府予算の大蔵原案内示状況や復活折衝の経過を取材する各地の記者でごった返した。 大阪にとっての最大の関心事は、関西国際空港の滑走路を三本に増やす『全体構想』の調査費。担当主査の前に陣取って、根掘り葉掘り査定理由や背景を聞いていたところへ、『全体構想って何ですか?』と突然、"初歩的"な質問が飛び出した。 熱くなっていた頭が、さめていった。関西復権をかけたプロジェクトも、全国的には『ローカル空港のひとつ』という評判は聞いていたから、質問を笑う気になれなかった。この空港の知名度の低さを、改めて実感させられた思いだった」、後略でございますが、こういう記事があります。
 私も二年前、第六次空港整備計画への全体構想の位置づけを要望するため、関空特別委員会として衆議院運輸委員会の国会議員に陳情したことがありますが、その際、「関空は海上埋め立てをしているそうですね」と言われた議員の認識から──議員の名誉のために選挙区は申し上げませんけれども──関空とは、東京を中心にした日本でどんな位置づけなのか、情けない思いをした体験があります。また、羽田沖工事の三本の滑走路や規模を見るとき、地方分権や国土の均衡ある発展などとはほど遠い、言葉のバランスにしか思えない腹立たしさを覚えるのであります。最近の関空に関する報道に対し、知事はどのように受けとめておられますか。
 二、三の例を紹介しますと、三月九日、全体構想について、「地元が現在のような──これは消極的なという意味であります──姿勢を続けるならば、第七次空港整備五箇年計画への盛り込みは難しくなる」と、山本雄二郎航空審議会委員が大阪市内での講演会で地元の取り組みを批判する発言をした内容が報道されています。空港整備計画を審議する運輸大臣の諮問機関の現職委員の発言であり、山本教授は、資金負担をめぐって、地元の中に「本来は国が負担すべき」「国と地元がイコールで負担するのはおかしい」などの意見が出ていることに対して不満を述べるとともに、運輸省の政策判断として、大都市圏の国際空港計画は中部もあれば首都圏第三もある、関西の全体構想よりもやりやすければそちらを選ぶのは当然とも語っているのであります。
 前後しますが、二月十九日の報道では、先日の森議員の質問にありました服部関空社長の談話があります。重複を避けますが、全体構想への事業主体になることは困難であると明言し、株式会社としては無理で、公団に改組するなど方法を考え直さなければならないとも話した、このように報道されていることについて、またNHKテレビで紹介された関空の実情や問題から、県民の中にも関空に対する関心や疑念を示されているだけに、今後の方向と実現に向けた促進期成会としての確固たる合意された姿勢を明らかにすべきだと思うわけであります。知事のご所見をお伺いしたいと思います。
 次に、先日の森議員の質問にもありましたが、二月十二日の那覇市内のホテルでの関西国際空港沖縄ポートセールス団関係の記事であります。
 「大阪の都心とつなぐ新空港の交通アクセスの便利さや、国際線との乗り継ぎやすさを訴え、新空港への路線誘致を狙った。 『大阪空港の存続で国内線の便数確保がなかなか苦しい』『でも、JRと私鉄が乗り入れ、都心までたった三十分です』 建設の模様などを伝えるビデオが大写しにされる会場で、今回の団長を務めた仮谷志良和歌山県知事らが次々と訴えた」とあります。
 この報道から、JRも私鉄も和歌山側から直接乗り入れしない今日の状況と、都心部への利便性を訴え、国内線相互乗り入れを空港を持つ各都市の自治体や経済諸団体にセールスする仮谷知事の心中を察するのであります。県益のため国内線確保に政治生命をかけるとまで言われた仮谷知事。運輸省の関空と現大阪空港への国内線路線の配分作業が始まった今、各航空会社の思惑を含め、厳しさを認識せざるを得ないのであります。
 運輸省は、九○年十二月に大阪空港の存続を決めた後、一、一日約三十便の国際線はすべて関西新空港に移す、二、大阪空港の国内線を現在の一日約百五十便を百便以下にするとの方針を固めているはずであります。にもかかわらず、森議員の質問にもありました大阪、兵庫の商工団体が航空会社や運輸省への要望活動を続けていることは、余りにも地域エゴ偏重の身勝手な動きであり、関西国際空港の将来を占うポイントである国内線確保という新空港の求める方向と矛盾するものではないか。欠陥空港、騒音公害として住民訴訟を初め多額の迷惑料、補償を支払ってきた事実は何であったのか。よいところ取りではないか。このような地域エゴの動きに対し良識ある関西の世論を合意できないのか、知事に伺うものであります。
 また、一方の航空会社は、種々伝えられているように最近の業績悪化で経営状況が非常に厳しいだけに、採算重視の路線決定を優先する姿勢であることは間違いありません。加えて、低コストの外国航空会社に客を奪われているため、赤字路線の運休と廃止を求めるなどの国際線不況などから、航空大手三社で計一千億円を超えると言われる新空港関連投資の圧縮を迫られていることから、日本航空と全日本空輸が関空に予定していた格納庫の建設計画を白紙に戻したことで、開港時に格納庫が一つもない世界でも珍しい国際空港になると言われています。和歌山に計画された航空会社の諸施設も、縮小もしくは凍結されているのであります。
 このような背景を持ちつつ、ことしの夏ごろ最終的な路線決定を運輸省が行うと予測されていますが、現在の国内線をめぐる見通しについて、さらに一番機の飛ぶ路線と開港時期について、企画部長の答弁を求めるものであります。
 さらに、「全体構想」というネーミングについて、早期実現期成会で検討はされていないのかどうか。また、開港目前になって「関西国際空港」という呼称で世界に通用するのかどうか。世界から見て日本地図の上から関西という理解は十分だと考えられるのか。二十四時間運航の初の国際空港であり、ハブ空港を目指す意気込みを示すためにもインパクトの強いネーミングを考えてもよいのではないか。
 さらに、空港ターミナルへの出店等について、昨年、説明会が開催されていますが、県内からの参加の状況について、また和歌山県として確保しているスペースについて具体的な活用の検討が進んでいるのか、以上の点について、あわせてお伺いするものであります。
 次に、外国人労働者をめぐる問題について質問いたします。
 国際化という言葉を聞くようになってから久しい。国際化というからには、いままで国境の内側だけで片づいていたことが国境を越えてかかわりあうようになり、物も金も人もお互いにより自由に行き来するようになることであろう。
 三蔵法師の天竺紀行は「西遊記」という空想小説を生んだくらいだから、旅行がいかに障害の多いものであったかがわかる。しかし、マルコポーロが黄金の国ジパングをめざして東方への旅を試みたとき、国境を越えるたびにいちいちパスポートを出して査証を受けたのであろうか。
 というより、どこにどんな国があるかも定かでなかった時代に、そもそも身分証明書のようなものがあったのであろうか。かりに国王から国王への親書があったとしても、その翻訳のできる人がはたしてどこの国にもいたのであろうか。
 答えはおそらくその反対で、昔の人びとは自分の生れたところに釘づけにされたまま、ほとんど旅行をしなかった。しかし、戦乱とか、飢饉があれば、蝗の大群が大移動をするように、あるいは、いまのイラク領内でクルド族が逃げまどうように、水と安全を求めて大移動をした。少数の例外は、利を求めて動く商人たちと、今日、歴史に残っている探検家や旅行家たちであろう。
 これは、ある雑誌に掲載された作家・邱永漢氏の「尊皇攘夷では乗りきれない 『人の国際化』の波はいやおうなく日本に押し寄せる」という題材のごく一部の紹介であります。
 外国人労働者問題について、以前の本会議において、戦後の西ドイツの経験を日本も参考にしなければならないときが来るのではと申し上げたことがあります。今、まさにその状況に直面しつつあるのではないか。西ドイツが復興するプロセスで、不足するダーティーな仕事の分野で、とりわけ炭鉱労働者を主としてトルコから導入した。しかし、二十年、三十年たって移民は市民権を持ち、人口も増加し、それがドイツ人労働者のライバルになっている。賃金の上昇を妨げる要因にもなっている上、失業者が出ると治安を悪くする。同じように東ドイツは、ベトナム人やビルマ人、アフリカ人など共産圏の労働者を歓迎した。それが、東西合併により管理経済が崩壊すると、何十万人という外国人労働者が妨げになりドイツの労働者の就職機会が制約されているとして、今、ドイツでは「ナチス政権下のユダヤ人迫害以来最悪の暴力」と言われる外国人労働者襲撃事件が頻発している事実。選挙でも、排斥運動を支持する党や候補者が得票を伸ばしている状況が報道されています。
 昨年、日本に上陸したものがあります。それは、海外で日本人がしばしば被害に遭っていた「ケチャップ泥」であります。我が県議会にも、海外においてこの経験をされた先輩がおられます。このような犯罪だけでなく、昭和五十七年に一千百件であった外国人刑法犯の検挙は平成三年には六倍増の六千九百件、中でも殺人、強盗などの凶悪事件は十倍増の百二十六件に上っている。最近の特徴は、日本人を犯行対象とした日本での事件がふえていること。警察庁の発表では、平成三年に検挙した殺人事件の二割、強盗事件の五割は被害者が日本人であります。なぜ、外国人の日本での犯罪が増加するのか。自国の経済の貧しさと生活状況から経済大国日本に行けばと不法就労を覚悟でやってきて、許されない法律のもと、まじめに働いている外国人も紹介されています。就労環境が厳しくなり、犯罪に走るにはそれなりの原因があるはずであります。
 ここに、一九七○年、アメリカ国務省のお世話と国際金属労連の計らいで私が見聞してきた当時のアメリカ労働事情調査報告がございます。簡単にまとめた小冊子でございますが、外国人労働者に関して、今回、読み返してみました。
 世界を代表するニューヨークには、当時ですら百五十を超える世界の人種が生活を営んでいて、米ソ冷戦下のもと、黒人を初め人種問題、大国アメリカという誇りと経済、外交等々、世界に対する諸問題と追い上げの厳しい日本製品に対する世論など、国の内外に多くのギャップを抱えているときでしたが、国内では自由の国アメリカに行けば市民権も取りやすく仕事もあるということで、中南米、プエルトリコやメキシコからの流入が多く、英語を話さないアメリカ人が増加していて、製造業の現場では、そのことを利用して通常の就業時間よりも前後一時間多く仕事をさせてその分は給料を支払わない、二時間分搾取する経営者が多いためトラブルが続いているとの紹介がありました。現在の日本でも、ブローカーまがいのピンはねや、仕事を求めている彼らの置かれている環境をよいことに不当な扱いをしている関係者はいないか。原因に対する対策を講じないで、事件や犯罪の検挙だけでは問題の解決にならない。二十三年前のアメリカでの事例であります。
 一方、バブルがはじけた後も外国人労働者の流入が続いている。法務省の統計によると、平成三年の上半期、新規入国者は百五十万八千五百三十三人、バブル崩壊後の昨年の上半期はこれを上回る百五十九万一千八百六十七人を記録した。出入国管理及び難民認定法で単純労働の受け入れを原則として禁止している。そのために不法就労が多く、外国人労働者の大半は観光の名目で入国し、そのまま不法残留するケースが多いのが実態であります。法務省の推計では、昨年五月一日現在の不法残留者は二十七万八千八百九十二人、その後も毎月一万人のペースで増加していると見られています。
 一昨年の「警察白書」によると、外国人労働者の多数居住している八地域の日本人千六百人を対象に行った調査結果では、「外国人とのつき合いがあるか」の問いには一○%、これもあいさつ程度であります。「機会があればこれからつき合うか」の問いには七五%の人が否定しているのであります。近隣に外国人がいることの不安感を五六%の人が訴えていること、不安の内容としてその七○%が犯罪の発生を挙げ、六○%近くが夜間の女性の一人歩きを挙げているとあります。
 最近、和歌山市内でも外国人をよく見かけます。東南アジア系か韓国、台湾といった判別が難しい人たちであります。特に、市内のパチンコ店でよく見かけます。彼らの人権のため偏見や予断は許されませんが、経済的に余裕があってパチンコを楽しんでいるとは見れないのであります。経済的に余裕がなくなり犯罪に走る環境やその懸念を禁じ得ないのであります。
 関西国際空港開港後は、関西圏にも合法、違法を問わず今以上に外国人労働者が増加することが予想されるだけに、現在の和歌山における外国人労働者の滞在状況と就業状態について、また犯罪傾向はどうなのか、さらに、問題を未然に防ぐ具体的な対応を検討すべき時期だと考えるだけに法的面と受け皿整備について、県警本部長並びに関係部長にお伺いするものであります。
 この問題の最後に、冒頭、作家・邱永漢氏の文章を紹介した、一番おくれているのは人の国際化という点、また一九七○年の訪米時に、既にアメリカ労働界の主要な幹部から、日本の経済面における成長度合いはすばらしいものであるが、国の体制が発展すればするほど国際的な責任と関係が生じることを知らねばならないと私たちは指摘をされています。
 アメリカ民主党のクリントン大統領が船出をしたことで、今後あらゆる分野で日本の国際貢献がより強く求められるのではないか。しかし、そのあり方については無定見ではなく日本の正しい選択と世界に通用する国際貢献であるべきであり、同時にこの外国人労働者への具体的な対応も国際貢献の一つであることを付言しておきたいと思います。
 次に、経済環境と円高への対応についてでございますが、少し時間が切迫をしてまいりました。議長のお許しをいただきまして、通告の順を変え、先にリゾート博開催と県民参加について質問と提言をさせていただきたいと思います。
 世界に和歌山をアピールする絶好の機会として、あと四百八十七日に迫ったリゾート博覧会開催に関する質問や補強する建設的意見が本会議でも多く出されてきました。アクセスを初め懸念される問題に対し、県当局を中心に今でき得る限りの努力を続けられているだけに、ぜひ成功させたいものであります。協力をいただく各企業も厳しい経済環境だけに、協会の皆さんもご苦労だと思います。
 そこで、県民により多く参加をいただく目的で、よりリゾート博覧会をイメージしていただくためにもと考え、サンプルを紹介しながら次の提案をいたしますので、ご検討いただきたいと思います。
 これは、缶ビールであります。(現物を示す)議場にもお回しをいただきました。大変きれいに見えたと思います。瀬戸大橋が開通した記念に川崎製鉄水島工場でつくられたものであります。サントリーと提携をし、七百ミリリットル、四百円で販売されています。私はこれを見たときに、何とか和歌山のリゾート博覧会に利用できないかと考えたわけであります。これは、今、倉敷を中心に地域限定品で販売されていますから、余り多くの方に知られていません。この児島側から写した写真、大変きれいに焼きつけをされています。リゾート博覧会はまだ会場もでき上がっておりません。イメージ写真だけでありますが、これを参考にしてイメージ写真の中で強くアピールできるものを選んでいただき、焼きつけをして、朝日ビールなどと提携しながら県内で宣伝用として販売してはどうか、このように提言するものであります。
 なお、これはアルミ缶ではなく、鉄でつくられた入れ物であります。この缶用の薄板製作には、住金和歌山製鉄所の所長にも話を進めておりますので、住友金属としても協力することにやぶさかでない、このように思います。鉄の使用量からすれば微々たるものであります。微々たる量でありますが、県内でつくられるものをまず利用する、こういうことで考えていただきたい。欠席の公室長にかわって積極的な答弁を副知事に求めて、この項は終わりたいと思います。
 あと、経済環境と円高への対応についてでございます。
 いろいろ準備をいたしました。特に、大変厳しい経済環境の中でございますので、現在、日本を代表するいろんな企業のトップの皆さん方が、これからの経済運営、企業運営をどうするのか、こういうふうな考え方をいろいろ問われたことに対して答えられた資料がございました。そのことを紹介したいわけでございますが、一部省略をさせていただきながら、特に皆さんに考えていただきたいような指摘をされている内容についてご紹介をいたします。
 ある会社の会長のお話であります。「経済の原点は、やはり物をつくることです。銀行が盛り場の表通りに店を並べて、土曜、日曜はよろい戸をおろしている。あんなばかな姿はありませんよ。盛り場というのは、土曜、日曜の一番盛りのとき、サービスや物を売って稼ぐ。それが盛り場というものです。銀行は一本裏通りに入って、表通りで店が稼いだ金を扱う。盛り場へ遊びに行って銀行に行くなんてこと考えもしませんよ。銀行がそんなんだから地価が上がるんです」。
 また、「企業は評論家集団ではないから利益を上げなきゃいけない。企業の社会との調和、国際的な調和が大事であるのはもちろんだが、利益を出すことを忘れてはいけない。それを棚上げにするから、税収が少なくなって国が慌てる。利益を上げる、配当もする、従業員に人並みの給料を支払う、これがなくて何が企業かと言いたい。そして、ちゃんと税金を納めるのが企業の責任です」。このように明言されている経営者もいます。
 また別の社長は、「日本が戦後、平和国家になったというとらえ方はおかしい。平和国家というのは、積極的に平和に貢献する、あるいは、した実績を認められている国を言うのであって、戦後の日本は生まれ変わったことは確かだが、貧乏国が金持ち国になった。成金国家になった。それでも、将棋で歩が金に成るというのはすごいことで、行動の自由度が高まった。成金国家でも、七○%は肯定的に評価できます。残り三○%は、非常に不足している分野がある。経済的には、食い物以外はしばらく買わなくても困らないところまで成熟してきたが、スペース問題があります。この問題を片づけないと、日本は単なる成金の浪費型国家になる。まさに『住足りて礼節を知る』で、スペース問題を解決しないとゆとりが生まれない。家だけでなく、オフィスも独創性を発揮できるようなゆとりが重要である。もう一つは、地球環境問題、資源保護、省エネルギーを含むエコロジーの問題を日本は最も先進的に進めなければならない。これら二つの問題に焦点を絞った傾斜対策を進めるべきで、単なる内需拡大の政策だと成金型の乱費消費を促進するだけになる」。
 この社長は、日本の産業は何をすべきかという点でもいろんなことを指摘されています。第一は、成熟社会の到来で、みんなと同じものをつくっていれば同じように売れるという時代ではなくなった、第二は、人口問題、絶対労働者数(若年労働力)の不足にどう対処していくか、第三は、その中で競争力を維持しながら時間短縮を実現すること、第四は、リサイクル法が強化される中でメーカーとして物づくりの仕方を大きく変えていかなければならないという課題、これらについても発言をされております。
 私は、準備をした資料をほとんど略して今申し上げましたが、このことを踏まえて県行政にかかわって質問いたします。
 今、和歌山市内、けやき大通りなどで地下駐車場の建設工事がされております。私は、これは要望でありますが、せっかくあれだけの大事業をするわけであります。なぜ、あの工事に併設して地下街をつくられなかったのか。これから、市駅前だとかまだいろいろ地下駐車場の計画があるようであります。和歌山市内には地下街がありません。類似都市に行けば、少なからず地下街を持って、商店の皆さんや人が集まる場所が提供されています。そして、地上部門を再開発する。このような公共工事のあり方が考えられなかったのかどうか。和歌山市の事業とはいえ、都市計画から見た町づくりという意味で、これから県の指導などもお願いをしておきたい。また、公共工事のあり方について、せっかくの事業でありますから、最大限投資効果を生み出す方策を設計をするまでにいろんな角度から検討を加えてみる、このようなあり方が望ましいのではないか、このように要望するものであります。
 また、紹介はいたしませんでしたが、お客を喜ばすということで事業をしている社長は、原点を忘れているという指摘をしながら、いろんなことを言われております。
 過去この議会でも取り上げられた和歌山市内を中心としたタクシーの運転手に対する悪評について、リゾート博覧会開催までに、マナーを含め他府県から来る皆さんに本当に評価のされる運転手になれるよう、業界の皆さん方ともぜひ話し合っていただきたいことを要望しておきたいと思います。
 具体的には、それぞれの提言の中から県行政についても経営感覚が必要であるという観点から知事にお伺いいたしますが、若い県職員に夢を与えているか、働きがいのある、また県民のために勉強するんだという意欲を持つ環境をつくっているかどうか、また他府県の後追い行政になっていないか、さらにまた二十一世紀へ先取りした施策は何か。
 総務部長には、近畿他府県の新年度予算の特徴的な施策は何かをお伺いいたします。
 また商工労働部長には、平成五年の輸出関連企業の為替レートは対ドル百二十円から百二十五円程度に予測した企業が多いわけでありますが、県内輸出企業の実情と、早い時期に一ドル百円の到来も言われるだけに今後の対応について、また雇用への波及も懸念されていますけれども県内企業の問題提起はされていないのか、こういう点についてお伺いをいたします。
 時間が参りましたので、途中大変失礼をいたしましたが、これで終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの和田正人君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 和田議員にお答え申し上げます。
 お話ございましたように、日向方斉さんが亡くなられたわけでございますけれども、住友金属和歌山工場の建設に、また関西国際空港に大きな功績を残されたわけでございまして、私からもご冥福を祈りたいと思います。
 さて、全体構想の実現でございます。
 先日も、森議員にお答え申し上げたところでございます。現在、直接の地元である大阪府を中心に大阪市、大阪商工会議所、関西経済連合会の首脳が定例懇談会を開催して、その中で関西国際空港問題が取り上げられているわけでございます。私は、何としても大阪が中心で動かなければならない、そしてまた関西財界が大きな力を持たなければならないと思うわけでございます。それらを力強く思いますし、また期待もしているわけでございます。
 しかしながら、私も関西国際空港全体構想早期実現期成会の代表理事でございまして、大阪府知事、兵庫県知事、大阪市長、関西経済連合会会長、大阪商工会議所会頭らとあらゆる角度からこの問題を検討していかなければならない。特に、関西の政治力の結集ということが一番重要な課題ではないかと思っております。
 また、関西国際空港が求めた方向と矛盾するような動き、伊丹空港の動き等についてでございますけれども、私も、これまでの関西国際空港をつくってきた経緯を考えまして、まことに遺憾に思っておるわけでございます。滑走路が一本の形で進むならば、関西復権ということは遠のいてしまうのではないかという危機感も持っております。そうした危機感が一番大事なことであります。
 そして、関西国際空港をつくったときの原点に立ち返ってみると、あの当時と時代は変わりつつあり、お話ございましたように、中部国際空港の問題がある、韓国等の問題がある。そうした問題を克服することにより地域エゴをなくしていかなければならないと思っておるわけでございます。
 先日も、大阪ベイエリアの会議がございました。そのときにも、宇野さんや兵庫県知事に、大阪財界と神戸財界がもう少し連携を密にしなければいけないのではないかと言ったんです。宇野さんも、今までベイエリアが忙しかったから、これからはこれに真剣に取り組むんだということを言われたわけでございます。
 次に、経済環境の問題でございます。
 提言として話された駅前の地下街づくりの問題、これについては検討したわけでございます。あの付近の商店街の皆さんも、他府県を視察して実情も調べてまいりました。しかし、民間としてどこまで協力できるかという問題等々ありまして地下駐車場だけになったという経緯がございます。地下街づくりということ、非常に大事なことでございます。しかしまた、経済的な問題、関係者の問題もあるわけでございますので、慎重に考えていかなければならないと思います。
 それから、県職員の夢の問題でございます。
 「事業は人なり」と言われますが、県等の自治体においても全く同じであると思っておるわけでございます。最近、若い優秀な職員が多いわけでございまして、特に管理者の皆さんには、こうした若い職員を上手に使いなさい、指導しなさいということを申しておるわけでございます。そして、若い職員の新しい感性で県政に息吹を与えていただきたい。県民が今何を考えているか、県政に何を求めているかを知るためには、そうした若い人たちの感性を活用することが大いに大切であると思います。
 私は、若い職員とも時々懇談会を催していろいろな意見を承っておりますが、彼らは和歌山県の発展のために、心豊かなふるさとづくりのために入ってきておりますので、熱気や活気を感じます。また現在、若い人たちが研究会をつくっていろんな問題について研究を行っております。それらに対しては、県としても職員互助会の方から経費を出させていただいておるわけでございます。人材育成について十分配慮してまいりたいし、また行政においても、こうした若いセンスのある職員の力を得ながら先取り行政をしていかなければならないと思っておるわけでございます。
 和歌山県にとって今なさなければならない重要課題は何かを考えることが先取り行政の一番の根本であると思うんです。だから、それに基づいての対策が必要です。
 私も知事に就任以来、和歌山県が紀伊半島に属しているために交通が不便である、これをいかに打破するかということが最大の課題でございます。皆さん方のご協力を得て半島振興法を制定し、また関西国際空港も明年に開港し、この秋には高速道路が大阪と結ばれます。さらにまた、白浜空港のジェット化、高速道路の南伸の問題等々あるわけでございます。
 特に今度の予算においては、目前の対策と中長期的に見た対策の二つの視点から考えております。中長期的な視点からは、第二国土軸における紀淡連絡ルートについては、県も負担金を出して早期にやっていただく。そして、和歌山市を中心とした紀北地域の産業経済発展のための対策をする。また紀南地方については、高速道路の延伸に係る環境アセスメントの経費の支出等ございますが、当面の課題、中長期的課題に分けて行政を進めているところでございます。
○議長(馬頭哲弥君) 副知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○副知事(西口 勇君) 和田議員の世界リゾート博に関連してのご質問でありますが、公室長が病欠でありますので、私からご答弁申し上げます。
 ただいまサンプルをお示しの上で大変貴重なご提言を賜りまして、まことにありがとうございました。いろいろ考えますに、世界リゾート博を成功に導くためにはPRが極めて大事でありますし、同時に県民総参加といいますか、各界各層の多くの方々の積極的なご支援、ご協力がぜひとも必要であると考えておるわけであります。
 本年の初めごろから、キャンペーンレディーあるいはまたマスコットキャラクターによるPRを行ってまいりましたけれども、この七月には郷土出身の歌手などによるイメージソングなども制作をして多方面にPRをしてまいりたいと思っております。
 また、企業の商品によるリゾート博のPRでありますが、いろんなアイデアを凝らす必要があろうと思いますけれども、この三月十日から世界リゾート博のPRテレホンカード──ちょっと小さくて見えないと思いますが、こういうデザインのものを発行していただいておるわけであります。(現物を示す)
 今、ご提案のございました缶ビールについても、大変効果的なものであろうと思いますし、また同時に地場産品を生かすという面からも大変意味があろうかと思いますので、ただいまお話のございました関係企業などとも十分連携をとって、ご理解とご協力を得られるよう努力を重ねてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 関西国際空港に関連するご質問にお答えをいたします。
 まず、一番機の飛ぶ路線と開港時期についてでございます。
 関西国際空港における建設工事については、管制塔が昨年十一月に既に完成しており、滑走路については来年一月に完成し、その後、離発着等の慣熟訓練が行われる予定になってございます。また、旅客ターミナルビルについては、来年六月初旬の完成予定となってございますが、建設工事と並行して、従業員教育等ソフト面での訓練が行われる予定と聞いてございます。
 なお、空港の開港については、国及び関西国際空港株式会社の方針として一年ぐらい前に開港月が明らかにされ、法的には三カ月前ぐらいに開港日が公示されると聞いてございます。
 また、一番機の路線については、現在、運輸省、航空会社等において検討されているところでございますが、国際、国内のハブ空港にふさわしい一番機が設定されるよう期待しているところでございます。今後とも、予定どおりの開港に向け、国並びに関西国際空港株式会社に対して、引き続き要請してまいりたいと存じます。
 次に、国内線と便数の見通しについてでございます。
 森議員にもお答えいたしましたとおり、関西国際空港株式会社が設定している七十便の確保については、議員お話しのとおり非常に厳しいものがあると聞いてございます。このことは、大阪空港の存続、着陸料金、飛行ルートの問題、さらには関西国際空港の利便性に対するPR不足等さまざまな要因が考えられますが、極めて深刻な昨今の世界的な航空不況が要因ともなってございます。
 運輸省においては、関西国際空港建設の経緯を踏まえ、開港時には大阪空港のジェット機の離発着枠百回分を関空に移すとともに、国際線の一元化はもとより、国内、国際のハブ空港としてふさわしい国内主要路線の設定に向けて協議、検討が続けられていると聞いてございます。
 県といたしましても、国内便確保の一つの課題である着陸料金については、少なくとも大阪空港と同じレベルにしていただくよう強く要請するとともに、県議会のお力添えもいただきながら、引き続き国初め航空会社に対して、東京便はもとより全国の主要都市と数多くネットワーク化されるよう強く要請してまいりたいと思います。また、国内主要都市へのPR活動にさらに積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、関西国際空港の「全体構想」というネーミングについてでございます。
 早期実現期成会等、地元関係者間で特に検討したことはございません。議員ご指摘のように、全国的にはなじみが薄いかもしれませんが、私どもといたしましては、その原因はやはり対外的なPR不足にあると受けとめ、議員ご提言の趣旨を踏まえ、より積極的なPR活動に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、関西国際空港の呼称についてでございます。
 議員お話しのように、世界地図上に「関西」という地名は記載されてございませんが、大阪湾ベイエリア開発整備のグランドデザインにおいても世界都市関西の形成を基本理念としてございまして、この理念に基づき関西復権の中核拠点となるのが、まさしくこの関西国際空港であろうと考えてございます。こうした意味からも、議員ご指摘の現状も踏まえ、関西が一丸となってあらゆる機会をとらまえ、国内外に関西国際空港をPRしてまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) まず、空港ターミナルへの出店でございます。
 関西国際空港ターミルビルディング構内営業者の募集説明会は、昨年の十一月十三日から十八日までの間に五回開催されました。飲食店二十八区画、物販店三十九区画、計六十七区画の募集案内がございました。本県からは、三十数社の出席を見たところでございます。
 なお、関西国際空港株式会社では、昨年の十二月十四日から十八日まで、それぞれの区画について申し込みを受け付けいたしました。本県からの申し込み状況については二十企業程度と聞いてございます。
 次に、県分としてのテナントでございます。
 関西の新しい表玄関に対応した国際交流拠点である空港で本県及び本県特産品を国内外に向けてPRするために、和歌山県コーナーの設置を予定してございます。展示即売する特産品等については、販売促進を通して本県の産業振興に寄与するよう調査してまいる所存でございます。
 なお、運営主体については第三セクター方式による株式会社を考えており、本議会に所要予算をお願いしているところでございます。
 次に、関西国際空港開港後の増加が予想される外国人労働者への法的整備と受け皿についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、関西国際空港の開港に伴い、合法、非合法を問わず外国人労働者の増加が予想されるところでございます。このため、まず外国人の入国に際して入国管理行政において入国審査を厳正に行い、不法就労の未然防止に努めることが重要であると認識してございます。また、職業安定機関等においても外国人の雇用に関する情報を収集し、法務、警察行政との連携のもとに不法就労の是正のための指導に努めてまいる所存でございます。
 なお、法的整備や受け皿の問題に関しては、出入国管理及び難民認定法の厳正な運用及び出入国管理官署の整備が必要であると認識をいたしてございます。
 次に、円高への県内企業の対応でございます。
 本県の地場産業において、製品輸出を行っている業種としては、化学、染料中間物、機械といった業種が代表的なものでございます。現在のところ、関係企業においては、このたびの円高により直接的な影響はほとんどないと聞いておるところでございます。しかしながら、今後の見通しについては、一部の企業で製品は特殊なもので技術的な面から見ても各国の市場において競合する企業がないのではと、やや楽観的な見方をしているところもありますが、大半の企業では今後、数カ月の間に為替差損による実質的な収益ダウンや円建ての契約を行っている企業などは、輸出相手国からの価格調整の要望が出てくることも多分に予想されるところでございます。さらに今後、円高が進む可能性も予測されるため、関係企業にあっては、経営の安定を図るために、より一層のコストダウンを図るべく、原材料の輸入割合を見直し、それに対応できる製品へ主力商品をシフトする方法の検討や、生産工程の合理化、省力化をより一層進めるとともに、高付加価値製品の開発に取り組む必要があると聞いてございます。
 県といたしましても、こうした国内外の社会経済情勢の変化に対応できる高度な技術力を備えた産業の育成が重要であると考えているところでございます。このため、工業技術センターを中心として、企業の生産工程の合理化、省力化のための技術指導並びに研究開発に努めるとともに、新製品の開発についても、いかに価値を感じさせる製品を創造するかを念頭に置いた指導や共同研究に取り組むなど、地域産業のハイテク化、技術の高度化を積極的に支援し、グローバルな見地から地域産業の育成に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、雇用への問題でございます。
 本県における雇用失業情勢を見ると、有効求人倍率の低下が見られるように厳しい状況になってございます。最近の急激な円高により、現在のところ雇用に関して特に問題は聞いておりませんが、このような水準が今後も引き続くようであれば、輸出関連産業を中心に雇用調整等、雇用面への影響も心配しているところでございます。今後は、この動向に細心の注意を払いながら、雇用調整助成金制度の活用等により企業の雇用維持努力を支援し、失業の予防に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 経済環境と円高の問題に関連して、近畿他府県の新年度予算における特徴的な施策でございます。
 近畿各府県の平成五年度予算案を概観いたしますと、全体の姿としては、いずれの府県も税収が低調な中で、基金の大幅な取り崩しや地方債の活用によって財源を捻出し、金融対策や単独投資に重点を置くなど、現下の経済情勢に配慮した予算としている点で共通点が見られます。
 お尋ねのございました、広範多岐にわたる具体的施策の中で各府県において特徴的と思われるものを若干拾い出しをしてみますと、大阪府では、関西国際空港の開港を控え、二十一世紀を展望した世界都市大阪の形成のための阪南丘陵開発を初めとする施策、京都府では、地域経済活性化、交通網整備のための京都縦貫自動車道建設等の事業や平安建都千二百年記念事業に伴う京都府警平安騎馬隊創設調査事業、兵庫県では、本年十月に施行される予定の福祉のまちづくり条例に関連した条例の普及啓発、県立施設の改修整備等の事業、滋賀県においては、びわこ空港の建設促進のほか、環境保護の機運の高まりの中で琵琶湖の水質保全のための施策、奈良県においては、その歴史的、文化的資源の活用を図る観点から、シルクロード学研究センターの創設や歴史探訪、自然探勝施設整備構想策定等の事業が挙げられようかと思います。
 いずれにいたしましても、本県を含め各府県において歴史、文化、自然、産業等、さまざまに異なる固有の地域性を踏まえながら、それぞれの政策課題を念頭に置いて平成五年度の予算案が編成されているものと考えられます。
○議長(馬頭哲弥君) 警察本部長中長昌一君。
 〔中長昌一君、登壇〕
○警察本部長(中長昌一君) 外国人労働者をめぐる問題についてお答えいたします。
 議員ご指摘のとおり、法務省の発表している推計に見られるように、観光等の目的で入国し不法滞在している外国人が全国的に急増してきていることは承知しているところでございます。これらの不法滞在者の大部分は不法就労者と考えられますが、本県内にこれらの不法滞在者がどれくらい流入し、どこに就労しているのかといった実態についてはその把握が極めて困難な実情であります。
 しかし、最近、本県警察が不法残留や旅券不携帯等で検挙した事案からうかがわれる実態をご説明いたしますと、これらの不法滞在者の就労先は主として建設作業、風俗・飲食関係営業となっております。また国籍別に見ると、タイ、韓国、中国などとなっております。
 次に、来日外国人の犯罪の傾向についてであります。
 昨年中に検挙した来日外国人は百五十三人で、前年に比べ約二・二倍となっております。内容としては、全体の八八%が密入国や不法残留等の出入国管理及び難民認定法違反でありまして、その他は窃盗や売春防止法違反でございます。
 本県では、現在のところ都市部で見られるような特定場所への蝟集、地域住民とのトラブルや議員ご指摘のいわゆるケチャップ泥のような事案の発生はございません。しかしながら、来日外国人による犯罪が急増している傾向にあるところから、引き続き関係機関との連携のもとに不法就労などの犯罪の取り締まりを強化するとともに、警戒活動等の防犯対策を積極的に講じてまいりたいと考えております。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 再質問がありませんので、以上で和田正人君の質問が終了いたしました。

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