平成5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第六号 平成五年三月十五日(月曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第七十三号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第一号から議案第七十三号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十三人)
 1 番 尾 崎 要 二
 2 番 中 村 裕 一
 3 番 下 川 俊 樹
 4 番 石 田 真 敏
 6 番 木 下 秀 男
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 北 村  翼
 10 番 小 川  武
 11 番 上野山 親 主
 12 番 井 出 益 弘
 13 番 町 田  亘
 14 番 尾 崎 吉 弘
 15 番 門  三佐博 
 16 番 西 本 長 弘
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 冨 安 民 浩
 19 番 和 田 正 一
 20 番 阪 部 菊 雄
 21 番 平 越 孝 哉
 22 番 大 江 康 弘
 23 番 岸 本 光 造
 24 番 山 本  一
 25 番 吉 井 和 視
 26 番 浜 田 真 輔
 27 番 堀 本 隆 男
 28 番 宇治田  栄 蔵
 29 番 富 田  豊
 30 番 中 村 利 男
 31 番 馬 頭 哲 弥
 33 番 鶴 田 至 弘
 34 番 上 野 哲 弘
 35 番 村 岡 キミ子  
 36 番 松 本 貞 次
 37 番 木 下 義 夫
 38 番 和 田 正 人
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 橋 本  進
 41 番 野見山   海
 42 番 森  正 樹
 43 番 浜 本  収
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 口 矩 一
 46 番 森 本 明 雄
欠 席 議 員(二人)
 7 番 岡 本  保
 32 番 宗  正 彦
 〔備 考〕
 5 番 欠 員
 47 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口  勇
 出納長 梅 田 善 彦
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 佐 武 廸 生
 民生部長 吉 井 清 純
 保健環境部長 江 口 弘 久
 商工労働部長 中 西 伸 雄
 農林水産部長 中 村  昇
 土木部長 山 田  功
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
   山 階 清 弘
 警察本部長 中 長 昌 一
 以下各部長
 人事委員会委員長
   水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 塩 崎 省 吉
 次 長 中 村  彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 古 井 美 次
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 川 端 孝 治
 調査課長 大 畑  巌
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時五分開議
○議長(馬頭哲弥君) これより本日の会議を開きます。
○議長(馬頭哲弥君) 日程第一、議案第一号から議案第七十三号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 19番和田正一君。
 〔和田正一君、登壇〕(拍手)
○和田正一君 お許しを得て、一般質問をさせていただきます。
 その前に、知事を初め当局に一言お礼を申し上げます。
 県域全般にわたることではありますが、私の選挙区・東牟婁についても、平成五年度当初予算に計上されたふるさと林道緊急整備事業として紀南縦貫林道の整備に着手されるようになったこと、また広域幹線林道谷口皆瀬川線の舗装、のり面改良及び安全施設の整備をされること、木炭生産処理をされること、新山村振興農林漁業対策事業を古座川町、熊野川町に指定いただいたこと、ふるさといきものふれあいの里を本宮町皆地の深田に整備されること、熊野牛ブランドの推進、紀南地方看護婦養成所の建設、森林整備担い手基金等、新たな事業を計上していただきましたし、「平成五年度予算の概要」、「工事箇所表」、「予算説明書」等を拝見して、深刻な景気後退、法人税や地方税が落ち込む中にもかかわらず一般会計が伸びを示し、また県単投資は二けたの伸びを示したことは、知事を初め財政当局並びに関係部局の並み並みならぬご苦労のたまものと心から感謝申し上げ、厚くお礼を申し上げさせていただきます。ありがとうございます。
 私も、かつて町長として十二年、予算編成を行ってまいりましたが、知事にははるかに及ばないとはいえ、その苦労のほどは、まことに失礼とは存じますが、うかがい知ることができます。お礼とともに、次に要望を申し上げさせていただきます。
 「『のぞみ』山陽新幹線にデビュー。『のぞみ』が走って日本が縮む」とコマーシャルで放映されておりますが、国道三百十一号小広トンネルの開設や三百七十一号の改良、百六十八号、百六十九号、四十二号の早期改良──特に百六十九号は、現在、国の直轄工事として進められており、二、三年のうちには直轄部分が完成されると思いますけれども、その十津川村田戸から宮井橋に至る間が狭隘であり、車の対向もできないというふうな箇所でございますので、一日も早い改良をお願い申し上げたいと思うわけでございます。
 また、林道龍神本宮線、水上栃谷トンネル等は今秋までに供用開始とか。道路ができて和歌山県が縮むことを鶴首しておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 さて、これからは質問に移らせていただきます。
 今日まで山村は我が国の文化、経済、社会の基盤を形成するなど重要な役割を果たしてきましたが、過疎問題は我が国の高度経済成長とともに深刻化してまいりました。ある意味では、山村地域は都市の犠牲ともなってきたのではないでしょうか。そのため、国、県、市町村が一体となって過疎問題に取り組み、道路網、生産基盤、生活環境等の整備が進むなど、相当の成果を上げてはきました。しかしながら、「過疎白書」にあるとおり、依然として山村地域をめぐる情勢はまことに厳しいものがございます。若者を中心とした人口の流出と減少、人口の高齢化等──高齢化そのものは、健康でさえあってくれればありがたいことではありますが、高齢化の進行は人口構成のアンバランスにつながり、大正十三年生まれの「十年」とって五十九歳の私が、今なお村に帰れば若い衆ということでございます──によって地域の共同体としての機能も衰え、生産性の低下など、山村地域の活力が失われつつあります。
 平成三年度の「林業白書」においても、過疎化、高齢化で、このままでは林業、山村の維持が難しいと指摘されております。ウサギ追いし、小ブナ釣りし、牛の鳴き声ものどかだった山村──かつては木を切るおのの音が山々に、谷間谷間にこだまして活気のあったそのころの姿を思いますと、うたた感慨無量なものがございます。昔の姿、今いずこと言うべきでしょうか。このまま推移すれば、山村の維持はおろか、早晩崩壊する山村が生まれることは必定と思います。このことは、単に過疎山村、一町村の問題にとどまらず、県土の均衡ある発展にとってもゆゆしき問題であり、早急に解決すべき重要課題であるかと思います。
 さて、今、本県は関西国際空港の開港を間近にし、マリーナシティの建設、南紀白浜空港の整備などが着々と進み、県政の大きなプロジェクトがまさに花開く直前に到来しております。紀南地方においても、道路整備を中心に、活性化に向けて地域が一体となって懸命の取り組みを続けておるところでありますが、若者の流出や高齢化の中で浮上策に悩んでいるのが実情であります。
 冒頭にお礼を申し上げました、那智勝浦町と中辺路町、本宮町を結び紀南の山岳地帯を縦貫する長大林道計画、谷口皆瀬川林道の全線舗装は、国道がたびたび寸断される当地にとって、通学、通勤や日常生活に欠かせない迂回路が確保されることとなります。
 紀南地方の活性化に不可欠なものは、国道四十二号の大きなバイパスとなる紀南内陸道の整備でございます。すさみ町から古座川町、さらには熊野川町、本宮町を結ぶ内陸の道路を国道四十二号、また百六十八号のバイパスとして位置づけ、国道に匹敵するよう拡幅整備をすれば、生活に、観光に、さらには災害時の迂回路としてはかり知れない効果をもたらすものと考える次第でございます。
 このルートの県道部分は整備されつつございますけれども、古座川町松根と熊野川町西の間の町道和田川松根線約三十一キロメートルは、林道として開設した部分も含むことから、幅員が四、五メートルで、約半分は未舗装となっており、急カーブ、急勾配の箇所が相当存在する現状にあって、この区間の整備が遅々として進まない実情でございます。そのため、この区間をぜひ県道として取り上げ、計画的に整備していただきたいと願う次第でありますが、土木部長の見解をお伺いいたします。
 熊野川町は、今、未登記の部分を懸命に処理しつつあることをつけ加えさせていただきます。
 次に、林業労働対策として農林水産部長にお伺いいたします。
 私の住む熊野川町を例にとりますと、昭和五十五年に百九十三名あった林業就業者は平成二年には七十名と、六四%も減少しております。これから先、若者の林業への参入が多く望めない中で、山を守り、活気に満ちた林業を取り戻すためには、道と機械とを組み合わせ、新しい作業システムを取り入れ、山の作業の能率化、省力化を進めなければならない時代を迎えていると考えます。
 林道については鋭意計画的に整備を進めていただいておりますが、一方の機械については、タワーヤーダ、プロセッサー、グラップルソー等、性能の高い林業機械があり、それを本県でも早く関係者に普及する必要があるのではなかろうかと考えます。どのように考えておられるか、お伺い申し上げたいと思います。
 また、生き生きとした山村づくり、地域活性化のため、若者の定住対策、林業従事者の住宅等、住環境の整備もあわせてどのように取り組んでいくべきなのか、お考えをお示し願います。
 次に、ふるさと産品などの産業の振興についてでありますが、山村の基幹産業はやはり林業であり、長期的には林業の振興を図っていくことが当然の姿ではありますが、若者の定住化のためには所得の向上と多様な就業の場づくりが必要であります。
 つきましては、所得の向上、就業の場を確保するとともに、過疎山村地域の産業の振興のため、地域の特性を生かしたふるさと産品が各地に誕生し、その産品の販売所も多数見受けられ、評判もまんざらではないと聞き及んでおります。若者の定住化のための所得の向上と就労の場づくりのためにも産品の販路拡大を目指し、生産、加工、販売に至る一貫した指導を行い、ふるさと産品を地場産業として根づかせていく必要があると思います。今後どのように取り組んでいかれるでしょうか、部長のお考えをお伺いいたします。
 次に、山村過疎地域の問題の解決に当たっては、その地域の自主的、主体的な努力、そしてまた創意と工夫による魅力あふれる地域づくりが当然求められるところでありますが、この問題は、単に一地域のみではなく県全域にわたる問題であり、産業のみならず健康、福祉、教育、文化にも大きなかかわりを持つ問題であります。
 この地域の財政力は極めて低く、本県の過疎地域町村の財政力指数は全国最下位から二番目という状況にあります。当該町村の自助努力はもちろん必要ではございますけれども、そこに限界があり、強力な支援を懇願する次第であります。
 この問題は、ひとり農林水産部のみならず県行政の中で、全体の問題として全庁的な取り組みの体制をしいてくださるようお願いするわけでございますが、農林水産部長の所見をお伺いします。
 以上、過疎山村の現状をご理解いただきまして、最後に、これらの悩みを集約して発想された森林交付税についてお伺いいたします。
 森林は、人類にとってかけがえのない宝であり、生命の源でもあります。こうした高い公益性を持つ森林を国を挙げて守ろうと、去る二月十六日、中山本宮町長が創設を提言されて発足した森林交付税創設促進連盟の主催によるフォーラムが本宮町において開催されました。北海道から九州まで全国百余の町村が集まり、六百余名が、寒い中にもかかわらず、悲壮なまでの熱気に満ちた討議が行われたのでございます。
 都市部で経済を支え、諸産業が生産活動を続けておられるのも、国土の保全、水資源の涵養、空気の浄化など、山村地域が森林を管理経営することにより公益的機能を維持されてきておるからであります。
 私も、子供のころから、牛とともに田を耕し、木苗を植え、下刈り、枝打ちなど、山の管理に努めてまいりましたが、最近、町から都会に流れた人々の山離れ、また山林放棄が激しく、このまま放置すれば山村は崩壊の一途をたどるものと危惧いたしております。
 一昨年、中山町長の提言が中央紙にもたびたび掲載されたこともあってか、国においても、森林、山村を取り巻く状況にかんがみ、森林の有する多様な公益的機能を今後とも維持するため、地方団体が取り組む森林山村対策に対する財源措置を抜本的に拡充するとして、保全すべき森林の公有化の推進、森林の適正な管理の推進、林道整備の促進、森林管理のための担い手対策などの推進等に地方債、交付税一千八百億円程度が措置されたことは喜びとするところでありますが、林業の低迷、人口の流出、高齢化が進む中で、こうした森林の持つ公益性を守り、都市と山村の均衡ある繁栄を図るために森林交付税を地方交付税の枠外に創設して山村に還元することが必要であると強く訴える中山町長の姿は悲壮そのものでもありました。今後、この交付税についていかように取り組んでいかれるおつもりか、知事の見解をお伺いいたします。
 森林の持つ公益的機能、水資源の涵養、空気の浄化、国土の保全といったことについて県民に正しく理解してもらうための山村体験、社会教育や学校教育を通じて山村、木、森を知ってもらうための教育の面での取り組みを要望させていただきます。
 ちなみに、フォーラムでなされた宣言を読み上げさせていただきます。「森林は、私達人類にとってかけがえのない大切な宝であり、生命の源です。 このすばらしい森林を二十一世紀、更に未来永遠に承継していくことは、現代を生きる私達に託された最も大きく重要な課題です。 しかしながらこの森林を祖先から営々と守り育ててきた山村では今、過疎化と高齢化に悩み、存続さえも難しくなっています。こうした状況に対する国民世論の高まりと、国の施策の進展は、私達に大きな希望と勇気を与えてくれました。 今こそ森林の持つ公益的機能とそれを守り育てていく山村社会の役割を広く国民に訴え、大きな運動として森林交付税の創設を強く政府に要望していくことをここに宣言します」、このようにございます。
 いろいろ質問やら要望などを申し上げさせていただきましたけれども、県民の喜びを喜びとする県政、知事を初め当局の皆さん方のさらなるご努力とご精進をここにこいねがいながら質問を終えさせていただきたいと思います。
 山村は、来てよし、見てよし、住んでよし──村づくりに町村長初め議会、町民一体となって懸命に取り組んでおるわけでございますけれども、一人でも住みついていただくための施策が必要だと思います。中辺路町にハンソンさんがお住まいになられて、そして山の中で、「ここはいいですね」とおっしゃったらしいんですけれども、このような人たちに来ていただけるための山村づくりも必要ではなかろうかと思います。しかし山村の現実は、「よい空気だけでは食えぬ過疎の村」、「うまい水だけでは住めぬ過疎の村」──読み人知らずでございます。
 終わります。ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの和田正一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 和田議員にお答え申し上げます。
 森林交付税についてでございます。
 お話ございましたように、山村また森林を取り巻く環境というものは非常に厳しゅうございます。過日、本宮町においてフォーラムが開催されたわけでございますけれども、全国から多数の町村長さんが集まって盛大に開催されたこと、私も非常に力強く、頼もしく存じておりまして、全国の皆さんに山村の実態というものを十分理解していただいた、そしてまた重要性をPRできたと考えておるわけでございます。
 話ございましたように、最近、国土庁、自治省、農林水産省等、国においても諸施策をとり行っておることは事実でございまして、特に交付税のついた起債等の適用を活用させていただいて紀南縦貫林道の建設にも着手することになったわけでございます。そうした施策を行うとともに、皆さんのご支援を得て、半島振興法や過疎対策法等の諸制度を併用しつつ、今後ともなお一層進めていかなければならないと思っております。
 しかしながら、森林フォーラムにおいて取り上げられたように、これらの施策だけではまだ十分でない点があります。それは何か、それをいかに検討していくか、労働者対策の問題をどうしていくかといった問題が残されておりますし、またそれらの財源をどうするかという問題もあります。これらの問題は、県においても関係市町村とともに真剣に検討していかなければならない重要課題だと認識しておるわけでございます。
 フォーラムを開催する上において最も重要なことは、都会におる住民の皆さんが、自然を保護せよ、山林を守れと言うけれども、水、治山治水、空気、あらゆる国土形成において森林や山というものが非常に大事なものであり、それらを自分らも金を出してやるんだという風潮をつくっていくことでございまして、これらはこれからの重要な課題ではないかと思います。そうした森林フォーラム等と連携しつつ、なおさらに進めてまいりたいと思っております。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 古座川町から熊野川町に至る三十一キロの町道の県道昇格でございます。
 県道認定の前提となる道路敷地の権限取得が、古座川町管内では既に完了しておりますけれども、熊野川町管内において現在進んでおりません。議員お話しのとおり、現在、熊野川町において鋭意努力をしていただいているところでございますので、なお一層これを進めていただき、これが整理された暁には県道昇格に取り組んでまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) 林業の労働対策についてお答えを申し上げます。
 まず、林業の機械化につきましては、議員のお話にもありますように、作業の効率化や新規労働者の確保のため、最も重要な課題の一つと考えてございます。そのため、平成三年度よりオペレーターの養成を進めてまいりました。事業体の育成と高性能林業機械の導入普及を図るため、平成五年度から国が新たに創設をした林業担い手確保総合対策事業を早急に活用して、今後、タワーヤーダ、プロセッサー等を県において導入をし、研修の強化や現地での実際の活用を進めてまいりたいと考えてございます。また、諸施策を積極的に推進しながら若者の林業への参入を促進して林業の活性化を図ってまいる考えでございます。
 次に、若者定住対策と林業従事者の住環境の整備についてでございます。
 若者を中心とした定住を図っていくために、若者の好む多様な就業の場と安定した所得の確保、そしてまた都市的機能を備えた質の高い生活環境の整備が重要であると考えてございます。
 県といたしましても、これまで若者定住策については国の諸施策を積極的に取り入れてまいりましたが、県単独事業としても、農林道の基盤整備、また産品づくりの加工販売施設の整備や軽企業誘致等、就業の場づくり、そしてコミュニティー施設やスポーツ広場等、住環境の整備もあわせて進めてまいりました。また、若者が定住できる呼び込みのための施策も実施をしてまいりました。
 また、最近要望の高まっている林業従事者の宿舎の確保についてでございますが、本県から国に対して強く要望して、平成五年度からその建設についてモデル的に実施する方向で検討されていると聞いてございます。今後もこれら施策を一層推進し、若者定住を最重点として、市町村及び関係機関、団体と一体になって過疎山村対策に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、ふるさと産品の振興につきましては、山村地域における多様な就業の場や安定した所得の確保を図る上で大きな課題と考えてございます。このため、生産基盤、加工販売施設の整備やそれらの技術普及によって産地化促進に取り組んでまいりました。その結果、主なふるさと産品として、紀州備長炭を初め木工製品、山菜類、花卉類等、三十種類が生産されてございます。その出荷額は約八十六億円となってございます。
 今後、山村各地域の産品直売所の連携強化、そしてまた販路の拡大やニーズに合った商品開発等を図るとともに、試験研究機関、普及指導機関と一体になって山村の重要な産業として大きく育ててまいりたいと考えてございます。
 最後に、山村振興、過疎対策に対する全庁的な取り組みについてでございます。
 議員お話しのとおり、山村過疎問題は全県域にわたる問題であり、県行政すべてにかかわる問題でございます。県といたしましては、全庁的な取り組みとして、昭和四十一年に全国に例を見ない山村対策課を設置するとともに、昭和四十二年に全庁的に山村対策審議会を設置して総合的に取り組んでまいりました。
 現在の社会経済情勢の変化を踏まえて、今後、山村過疎対策のあり方と具体的施策を検討するために、農林水産部内に若手職員を中心としたプロジェクトチームと山村過疎問題検討委員会を設けて研究を深めているところでございます。
 今後、具体的な地域づくりについてさらに検討を進めるとともに、関係部局とも緊密な連携を持って積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 再質問がありませんので、以上で和田正一君の質問が終了いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 28番宇治田栄蔵君。
 〔宇治田栄蔵君、登壇〕(拍手)
○宇治田栄蔵君 議案第四十一号和歌山県公文書の開示に関する条例について質問をいたします。
 情報公開制度の必要性については先輩・同僚議員が過去何回も質問されたところであり、私も平成二年二月県議会において、情報公開制度の必要性について質問をさせていただきました。県当局におかれても同制度に理解を示され、その制度化に向けて検討されてまいりました。
 その経過をたどると、昭和五十六年十月、情報公開調査研究会の発足、平成元年十一月、情報公開推進委員会を設置、平成三年四月、総務学事課内に情報公開準備班を設置し、具体的な検討作業を始める、平成三年五月、県内各界の有識者で構成する情報公開懇話会を設置、平成四年三月、同懇話会から「和歌山県における情報公開制度のあり方について」の提言を得て、同年十一月、公文書開示制度案を作成という経過を経て、今議会において議案第四十一号和歌山県公文書の開示に関する条例案が上程されました。開かれた県政実現のため情報公開制度の採用を決断された知事に対し、またこのように短期間に法案の作成及び公開体制の整備をなし遂げられた関係各位に対し、心からなる敬意を表するところであります。
 情報公開制度とは、行政機関が自主的、能動的に行政情報を公開するにとどまらず、県民に行政機関に対する情報の開示請求権を認め、そのための手続等を定めることを内容とする制度を言います。
 県当局においては、「県民の友」を初め各種パンフレットやテレビの「県民チャンネル」などの広報活動によって、また行政資料室を設置し、行政資料に関する閲覧制度を設けることによって県政についての情報を県民に提供し、県民の理解を得ているところであります。
 情報公開制度と、今申し上げた広報とは、県民に情報を提供するということでは同じ意味を持つものでありますが、次のような点で異なる意味を持っています。
 一、情報公開制度は住民の個別的、具体的な請求に基づくものであるが、広報は住民の請求の有無にかかわらず行われるものであること、二、情報公開制度は行政機関が開示を義務づけられるものであるが、広報は行政機関が任意に行うものであること、三、情報公開制度の場合の開示情報についてのイニシアチブは住民が持つのに対し、広報の場合の提供情報のイニシアチブは行政側が持つこと、四、情報公開制度は公文書そのものの開示が中心になるのに対し、広報では住民に対しわかりやすく加工されたものが公開されること、五、情報公開制度では請求者にしか開示されず、広報効果を期待できないが、広報では、住民全体のニーズを踏まえ、または利害関係者全員のニーズに応じて不特定多数の住民に対して行うものであり、広報的効果を持つことなどであります。すなわち、情報公開制度は県民の請求に対して情報を公開することを県に義務づけるものであり、知りたい情報の選択権が県民の側にあるという点で広報とは異なる意味があるのです。
 広報にとどまらず、このような情報公開制度が必要とされるようになった背景を考えると、次のように言うことができます。
 県民が自己の権利・利益の保護を図るため、処分の基礎となった文書、資料の公開を求めるようになったこと、社会全体の情報化の進展や行政機能の拡大により行政機関に大量の情報が集積していることから、これらの行政情報をひとり行政機関だけが使用するのでなく、広く県民が使い得るものとして行政情報の自由な流通を図り、有効に活用すべきであるとしてその公開を求めるようになったこと、昭和四十年代になって公害、薬害、環境問題、消費者問題等が顕在化し、日本各地で公害等の被害者団体や消費者団体が中心となって住民運動が活発化し、関係省庁や地方公共団体、企業等に対して情報の公開を求めるようになったこと、また行政機関には安全確保や環境保護に対する責任があると考えて、行政機関に対して紛争に係る企業の保有している情報の公開を求めるとともに、行政機関自身の各種計画や基準策定の基礎データ、あるいは決定に至る審議過程に関する資料等の公開も要求するようになったこと、昭和五十年代に入り、ロッキードあるいはダグラス・グラマンの航空機疑惑事件等を契機として、政治行政の透明性の確保や行政の監視という観点から行政情報の公開を求めるようになったことなどが挙げられます。このような時代の要請にこたえて、情報公開の制度化を検討する地方公共団体が次第に増加してきました。
 このような状況の中で、昭和五十七年三月に山形県金山町において、全国で初めて金山町公文書公開条例が制定されました。小さな町の大きな実験として全国の脚光を浴びたのであります。都道府県においては、同じく昭和五十七年十月、神奈川県が情報公開の制度化に踏み切り、この傾向はその後も拡大し、東京都、大阪府を初めとする多くの自治体が情報公開の制度化を行い、現在では三十九都道府県が制度化を行っております。本県で今回本条例案が可決されると、全国で四十番目の制度化となるものであります。
 現在では、全国の約八割の都道府県が情報公開制度を導入しております。国では情報公開法が制定されていないのに、地方公共団体が情報公開制度を比較的容易に導入した事情背景としては、次のことが考えられます。
 地方公共団体の首長は住民の直接選挙で選ばれており、また各種の直接請求、住民監査請求、住民訴訟など、国には見られない多数の直接民主主義が設けられており、住民の行政への参加についての制度的仕組みと経験があること、地方公共団体が保有する情報には外交、防衛等の国の存立に直接関係する文書がほとんど存在せず、住民に身近な生活情報が多いこと、関連する諸制度との調整についても、例えば司法救済制度のあり方については、この種の事柄を条例で定めることができないため検討の対象外となっていることなど、現行法制度の枠組みの範囲内での制度化であることなどが挙げられます。
 情報公開の目的は、より一層公正で民主的な行政運営を実現し、行政に対する信頼を確保することにあります。この情報公開制度の目的を具体的に整理すると、一、行政への参加、二、行政への監視、三、国民の権利・利益の救済、四、行政情報の有効活用の四つが挙げられます。
 行政への参加とは、行政機関が保有している情報の中には政策形成に役立つものが多いから、これを見ること自体が参加である、あるいは見ることによって参加行動に役立つという意味で参加であるとするものであります。行政への監視とは、行政情報を公開することにより行政運営の透明性を確保し、公正な行政が行われるようにすることであります。国民の権利・利益の救済とは、行政による権利侵害や、現代社会において国民の関心が強まってきた公害、薬害、環境問題、消費者問題等に係る具体的な利益の侵害に対して、その原因の究明や防止策を立てるために関係情報の公開を求めるという機能であります。行政情報の有効活用とは、行政機関が第一次的にはみずからの業務の遂行のために持っているさまざまな情報を広く社会的に有効活用しようとするものであります。
 本条例におきましても、第一条において、「この条例は、県民の公文書の開示を求める権利を明らかにするとともに、公文書の開示に関し、必要な事項を定めることにより、県民の県政に対する理解と信頼を深め、県政への参加を促進し、もって開かれた県政を一層推進することを目的とする」と規定されており、これらの目的の実現を図っているところでありますが、その目的達成のため、その制度趣旨を十分に理解し、運用されることを強く望むものであります。 以下、本条例の解釈・運用についてご質問をいたします。
 本条例がその目的に沿って適切に運用されることが県勢の発展にとって最も重要なことであると考えます。そのためには県民が利用しやすい制度でなければならないし、また制度の趣旨、内容について県民の十分な理解を得ておかなければならないとも思います。この点について県としてどのような対応をお考えなのか、お伺いいたします。
 次に、第九条「開示しないことができる公文書」、すなわち非開示事項の解釈・運用についてお尋ねをいたします。
 行政機関が保有する公文書には極めて多種多様な内容のものが含まれており、その中には、個人の経歴、所得等のプライバシーに関する情報が記録されているものや、企業の財務内容、ノーハウ等の企業秘密に関する情報が記載されているものもあります。また、開示することにより、住民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ円滑な運営を阻害し、住民全体の利益を著しく損なうことになるものもあります。これらの公文書については、当該公文書の内容、性質から言って、原則公開の精神に立つ情報公開制度のもとにおいても、その例外として開示することができないものがあるという点については、恐らく異論のないところであろうと思います。
 このように、情報公開制度の基本理念である原則公開の例外として、開示できない公文書の範囲を定めたもののことを非開示事項と言い、本条例では第九条で規定されております。
 第九条では、「実施機関は、公文書の開示の請求に係る公文書に次の各号のいずれかに該当する情報が記録されているときは、公文書の開示をしないことができる」として、一号で法令秘情報、二号で個人情報、三号で企業情報、四号で犯罪の捜査情報等、五号で国等との関係情報、六号で合議機関等の情報、七号で意思形成過程等の情報、八号で行政運営情報について、公開しないことができる場合の取り扱いを規定しています。
 これら事項の非公開基準を見ると、正当な利益が損なわれると認められるもの(三号)、信頼関係が損なわれると認められるもの(五号)、当該事務事業の目的が損なわれると認められるもの(七号)と規定されています。これらの基準はいずれも抽象的、不明確であり、条例の解釈・運用によって非開示とされる範囲が広くなり、行政の恣意的運用のおそれがあるのではないかとの懸念があります。この懸念については木下議員、鶴田議員の質問でも指摘されたところであり、部長答弁では、条例の解釈・運用に当たって実施機関は県民の公文書の開示を求める権利を十分に尊重するものとしており、拡大解釈や恣意にわたることのないよう適正な運用をしてまいりたい、また開示・非開示については、開示することにより得られる利益と円滑な行政運営等による県民全体の利益との比較考量によって決することになるということでありました。
 公開の対象となる公文書は膨大な量になることから開示・非開示の基準が抽象的となるのは、ある程度やむを得ないところがあります。しかし、部長答弁の比較考量論では、県民からの行政情報開示請求に対して、主管部局の責任者が請求された情報に係るさまざまな情報を勘案し、同条項を適用し、その都度利益の比較考量をして公開の可否を判断しなければならないことになります。これでは円滑な行政運営に支障を来し、開示・非開示に統一性を保てないのではないかと思われます。このような事態を招かないために行政情報公開基準を策定し、各部局が公開の可否について共通の認識を持って合理的な判断を行えるようにすべきであると考えます。
 先日、自由民主党において、情報公開条例案についての勉強会を開催いたしました。その節に私は、私立学校の補助金について担当者の方々に一つの質問をさせていただきました。私立学校また幼稚園の生徒・園児については県から一定額の補助金が支給されている中で、具体的に智辯高校または高野山高校等についてどれだけの補助金が支給されているのか、こういうことが公開されるのかということを質問させていただいたわけであります。このとき私は、私立高校といえども、学校というものは社会的に公的な存在でありますから、県から出される支給額は当然に「公開になります」という答えが返ってくるものと期待をいたしておりました。しかし、当局の答えはそうではなくて、先ほど紹介した部長答弁のような比較考量論が出てまいりまして、公開することによって得られる利益、また非公開にすることによる利益、学校の法人としてのプライバシー等を比較考量して公開・非公開の決定をするという答えでございました。しかし、こういうふうに一つの事柄で一々比較考量論を展開していたのでは行政手続が円滑に進まないと感じたわけでございます。ですから、私は、もっと具体的な公開基準を定めて、県の行政全般について一つの線を明確にすることが必要じゃないかということを提案申し上げたいわけでございます。
 そして、そういうものがないのかということを見ておりますと、国においても若干参考になる資料がございます。国においては、情報公開法は制定されておりません。しかし、各省庁の文書課長等を構成員とする情報公開問題連絡会議で検討を進められて、平成三年十二月十一日に同連絡会議の申し合わせ事項として行政情報公開基準を取りまとめています。それによると、行政事務の管理作用の面で一定の性格を有する文書を二十三項目に分類し、各項目ごとに公開する文書と非公開とすることができる文書の主要例を挙げ、非公開とすることができる文書についてその考え方を記述しています。本県においても、これに類する行政情報公開基準を定めて運用すべきであると考えるが、県当局の見解をお示し願いたいと思います。
 次に、国の機関委任事務の取り扱いについてお尋ねいたします。
 国の情報については、公開についていまだ制度化はされておりません。その理由としては、外交、防衛、治安など国の存立に直接関係する情報や、関連する利害関係が複雑多様で、開示することによる影響の大きい情報が多く、慎重な検討を必要とすること、議院内閣制や三権分立など、我が国の政治制度の実情に適した制度とする必要があること、裁判手続、守秘義務や一定情報の開示等を定めた個別法令との関連等について立法論的に調整する必要があることなどが挙げられます。
 そこで、国の機関委任事務について、国の情報として公開の対象から除くのか、県の情報と同様に取り扱うのか、その取り扱いについて県当局の方針をお示しいただきたいと存じます。
 次に、プライバシーの保護との関係についてお尋ねをいたします。
 情報公開制度とプライバシー保護とは表裏一体の関係にあると言われます。そのため、情報公開条例が制定されると、個人情報が公開されると危惧する者も少なくありません。情報公開制度は個人のプライバシーを暴くものではありませんが、個人情報にかつてないほどの経済的価値が出てきた時代的背景もあり、情報公開とプライバシー保護との調整が難しくなってきています。本条例においてもプライバシー保護の重要性を考慮し、非開示事項として第九条二号で「個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、又は識別され得るもの」と規定するにとどまらず、第三条で、「実施機関は、この条例の解釈及び運用に当たっては、県民の公文書の開示を求める権利を十分に尊重するものとする。この場合において、実施機関は、個人に関する情報がみだりに公にされることがないよう最大限の配慮をしなければならない」と規定し、本条例の解釈・運用に当たって、特別にプライバシーの保護に留意することを求めています。
 ここで、プライバシーの権利とは、一人にしておいてもらう権利、あるいは私生活をみだりに公開されないという法的保護ないし権利と言われるように、他人に知られたくないという感情を保護するものを言います。これに対し、現代のプライバシーの権利概念は、自分に関する情報をコントロールする権利として考えられるようになりました。その背景には、行政機関が保有する個人情報の増大とそれに伴うコンピューター処理の拡大、民間の分野における個人情報の大量蓄積とその広範な利用があります。この個人情報の適切な管理を求める権利行使の主体は、本人にほかなりません。通常、自己情報コントロール権と言われているものであります。この自己情報コントロール権の具体的な内容として、自己情報について開示請求を求める権利や誤った自己情報について訂正を求める権利などがあります。
 埼玉県の条例では、通常、他人に知られたくない個人の情報について非開示とするが、本人から公開の請求があった場合は公開しなければならないとして、自己情報の開示請求権を認めています。その結果、美容師試験など、県が実施している各種試験の成績について公開するものが多くなったという成果を上げているということであります。また大阪府の条例では、第三章で公文書の本人開示及び自己情報に係る記載の訂正と規定して、開示請求権と訂正権を認めています。
 埼玉県、大阪府は自己情報コントロール権を条例で認めた点で評価することができます。しかし、情報公開制度は、行政情報を原則として公開とし、より一層公正で民主的な行政運営を実現しようとするものであるのに対し、プライバシーの保護は個人の権利・利益の保護を図るものであるから、この二つはその目的と仕組みを異にしています。したがって、一個の条例で両制度を規定するのは必ずしも適当ではないと考えるわけであります。
 そこで、神奈川県、東京都、福岡県などでは、別個に個人情報の保護に関する条例を定め、プライバシーの権利を保護しております。プライバシーの権利の重要性を考えるとき、本県においても個人情報の保護に関する条例の制定を考えるべきだと思いますが、県当局の見解をお示しいただきたいと存じます。
 以上で、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの宇治田栄蔵君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 宇治田議員にお答え申し上げます。
 情報公開に関するご提言並びに質問をいただいたわけでございますけれども、私からプライバシーの保護条例の制定について答弁させていただきます。
 個人に関する情報につきましては、お話もございましたように、プライバシーを保護し、個人の自由と尊厳を守るための最大限の努力をしなければならないのは当然のことでございます。
 また、ただいまご指摘ございました、自己情報コントロールとしての個人情報保護の制度化につきましては、請求権のほか、情報の収集・利用等に関する制限、また行政機関で保有する個人情報の実態を十分把握する等、いろいろ研究しなければならない問題があるわけでございます。しかしながら、個人情報の適正な収集・管理を初め、自己に関する情報の開示請求権や訂正申し立て権などを内容とするいわゆる個人情報保護制度につきましては、今後検討していかなければならない課題であると考えております。
○議長(馬頭哲弥君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 公文書の開示に関する条例に関しまして、まず制度の適切な運用のための県の対応でございます。
 この制度がその目的に沿って適切に運用され、県民の方々から利用されるものとなることが重要である点につきましては、ご指摘のとおりでございます。県といたしましては、そういうことを十分に念頭に置いて制度の運用に当たってまいりたいと考えております。
 このための具体的な方策といたしまして、まず県民の方々の利便性の確保を図るということから、本制度のすべての実施機関に関する開示請求を一つの窓口で受け付けて事務処理ができるように知事部局の中に総合窓口的なものを設置することにいたしておりますし、各地方機関についても、それぞれの機関が保有をしている公文書についてはその機関で受付、開示できるようにしたいと考えております。
 また、本県の地理的な状況なども考慮いたしまして、特に遠隔地の方からの請求については、その内容が公文書を特定できる場合には郵送による本庁窓口への請求も可能となるように検討をしているところでございます。
 いずれにいたしましても、広く県民への周知を図り、多くの方々に利用をいただくために、「県民の友」、テレビ・ラジオ等の広報媒体を活用するほか、市町村等のご協力もいただきながら進めてまいりたいと考えております。
 次に、九条に規定している非開示事項の解釈・運用の問題でございます。
 ご指摘の九条各号を含め、条例の解釈・運用に当たりましては、その趣旨、内容等について職員一人一人が正しく理解をし、いやしくも拡大解釈や恣意的な判断に陥ることのないように適切かつ円滑な運用を図ることが重要であると考えております。
 このために、本条例案をお認めいただけますれば、速やかに統一的な基準となる公文書開示事務の手引を作成するとともに、説明会や職場研修を実施するなどして制度の内容についての職員の認識をさらに深めてまいりたいと考えております。
 また、各実施機関相互あるいは実施機関内部の統一的な取り扱いや適正な運用を図る観点から、ただいまも申し上げましたが、知事部局内に情報公開に関する総合的な窓口を設置することによって組織、機構の面でも体制の整備を図り、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
 特に、ご指摘の九条各号の規定につきましては、立法技術上、一定の類型化をして規定せざるを得なかった関係もございます。運用の統一性が損なわれないように十分に留意をしてまいります。
 それから、国の機関委任事務の取り扱いについてでございます。
 機関委任事務につきましては、国会における自治大臣の答弁といたしまして、公文書の公開は公文書管理の一つの態様としてとらえるべきものであり、これは地方公共団体の固有の事務であること、したがって、機関委任事務に関して作成された文書であっても、公文書公開事務が地方公共団体の固有事務と解し得ることから公開をすることができる、そういう見解が示されております。
 ただ、機関委任事務の処理に当たりましては、地方自治法第百五十条の規定に基づく国の指揮監督権限が及びますので、九条第一号の規定の中で「主務大臣等から開示してはならない旨の明示の指示があるもの」との非開示規定を設けているわけでございます。この点を除きますと、開示の対象となるかどうかについては、機関委任事務も固有事務と同様の扱いになるものでございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 28番宇治田栄蔵君。
○宇治田栄蔵君 従来の政治行政におきましては、「よらしむべし、知らしむべからず」と言われたこともございます。そしてまた、公務員の守秘義務というものがございまして、守秘義務を余りに重視するために、どうしても秘密主義ということが行政の内部で非常にはびこった時代がございました。しかし今、公文書公開条例が制定されて、こういう過去の秘密主義と決別し、そして新しく、開かれた県政を実現しようと決断された知事に対しまして、私は心からなる敬意を表します。今後、この情報公開制度の趣旨を十分に生かした行政運営がなされることを心から要望するものであります。
 また、プライバシー保護のための個人情報の保護条例につきましては、知事から積極的なご答弁をいただきました。このことについては情報が公開された後の問題となるわけでございますけれども、その中で、個人のプライバシーの保護とこの権利の重要性に思いをいたすときに、できるだけ速やかに条例の制定化を考えるべきだと思います。県当局におかれても十分な配慮をされ、条例の具体化に向けて検討されることを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で宇治田栄蔵君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時十二分休憩
 ──────────────────
 午後一時三分再開
○副議長(大江康弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(大江康弘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番浜田真輔君。
 〔浜田真輔君、登壇〕(拍手)
○浜田真輔君 議長にお許しをいただき、通告に従って三項目にわたり質問をさせていただきます。
 今議会にて知事は、アメリカ大統領クリントン氏の就任演説の中の「変化・変革」という言葉を引用されております。また一方で、「現在、国民の政治に対する不信感はかつてない深刻なものである」とも述べておられます。まさに今、私たちは、政治、行政に変化・変革を求め、政治の信頼を取り戻さなければならないときに来ていると思います。
 経済界においては、不況下の中、リストラ(再構築)が盛んに叫ばれております。例に漏れず、現況の政治、行政も制度疲労を来していると言わざるを得ません。その中で変化・変革を求めるならば、現況の政治システム、中央集権体制を見直し、地方主体への地方分権へ移行することが必要だと痛感したところであります。
 ここで、第一項目めとして、論議花盛りの地方分権論について知事にお伺いをします。上野山議員、森議員もこの地方分権について触れられておりますが、私も補足の意味でこのことについてお伺いをしたいと思います。
 県当局は、歳入不足の中で、平成五年度予算四千九百七億七千二百万円を苦労を重ねて編成されたことと思います。まず財政面から申し上げますと、かつて、地方税の収入比率から、地方は「三割自治」と言われておりました。現在ではむしろ、四割、五割自治と呼ぶ方が適切かもしれません。このことは、地方自治体、私たちの和歌山県も例外に漏れず、財政の半分を交付金、補助金で賄っているのが現状であります。全国各地から集められた税金を中央において再分配してもらうわけで、例年、中央からいかに多く分配金を取ってくるかが首長また議会、行政関係者の最大の課題であります。毎年度末には東京の霞ケ関周辺が環状線以上のラッシュであるというのは、もう皆さんご承知のとおりであります。
 次に事務作業面から申し上げますと、国から委託されている機関委任事務は地方の仕事の七割を占める分量と言われ続け、中曽根内閣当時の行革審の答申にも「急激に変化しつつある内外環境下で、行政の目標のあるべき姿を改めて検討」として、この機関委任事務の整理、補助金の見直し、地方債許可制度の簡素化、地方税の自主性拡大などの指摘が行われました。この答申を受け、若干権限譲渡が実施されましたが、まだ現在、抜本的解決には至っておりません。そして、何より中央集権が生んだ最大の弊害は東京一極集中と言わざるを得ません。
 現在、東京圏と呼ばれる東京、神奈川、埼玉、千葉の一都三県には日本の総人口の四分の一に当たる三千二百万人が集中し、このままでは二〇一〇年ごろに東京圏の人口は約四千五百万人にも達するという国土庁の予測も出ております。この和歌山県も、人口流出先である東京圏のお得意先と言っても言い過ぎではないと思います。
 また、企業は、申告所得上位の五百社中三百二十六社、六二・二%、上位百社中においては七十二社が東京に本社を持っており、いわゆる大会社ほど東京圏に集中しているというのが事実であります。また文化面では、演劇、ミュージカル等といった各種公演延べ座席数の総数に対する割合、簡単に言いますと、全国各地で行われている各種公演の半分以上は東京で行われているというのが事実であります。人、物の集中は歴然であり、地方の不満が集中するのも当然であります。
 確かに、今までは中央集権の果たした役割は大きかったと考えますが、今に至っては、余りにも弊害が増大したものだと思います。中央の下位から脱却をし、地方のことは地方で決める、そして地方の独自な豊かさを創出していくという意思を示すときに来ていると思います。
 そこで、知事は地方分権については新聞のアンケートにて理解を示されておりましたが、まず仮谷知事にとって地方分権のすばらしい可能性といったものは何なのかをお答え願いたいと思います。そして、現在の国庫の交付金、補助金等、予算獲得努力と莫大な機関委任事務についてどう考えられているのか、本音でお答えを願いたいと思います。
 また、最近では地方分権論議の中で、これは市町村単位でありますけれども、ふるさと創生資金の一億円の用途に各自治体が頭を悩ませている事実を踏まえ、引き合いに出されるのは、権限の大幅譲渡に各自治体が対応できるかということが言われております。
 ここで、現段階で我が和歌山県に国からの権限譲渡をされた場合、行政組織的、また人材的に受け皿があるのかどうかもお伺いしておきたいと思います。そして、地方分権の方法論として道州制が取り上げられておりますが、知事ご自身が考える適正な行政規模とは一体どのくらいの規模を示すのか、お答えをいただきたいと思います。
 最後に、私は地方分権論に賛成の立場から、古くはシャウプ勧告以来、再三の行革審においても中央集権の見直しや改善を指摘されているにもかかわらず一向に改善されない現状を考えれば、地方分権論については各地方自治体が具体的な論議をし、明確な意思表示をしなければいけない時期に来ていると思います。知事においては、全国的にも経験豊富な方であります。ここで、知事自身、地方のために、ひいては郷土のために地方分権に積極的に取り組む決意があるならば、お聞かせいただければ幸いであります。
 第二項目めは、マリーナシティ内テーマパーク及びリゾート博後のノーハウの活用について質問をいたします。
 今回の当初予算にも世界リゾート博関連事業は各部局にわたり大幅な予算が組まれており、知事、県当局の熱意が感じられるところであります。
 さて、来年の開催まで五百日足らずに迫り、議会においてはハードからソフトにわたり再三の質問がされているところであります。また、新聞においてもさまざまな懸念もされておりますが、私は、その中でも前評判の高いミニテーマパークのポルト・ヨーロッパについてお伺いをします。
 一昨年、私はテーマパーク・ユニバーサルスタジオの誘致について質問をさせていただきました。そのとき、テーマパークとは地域経済の発展、雇用の創出、県民に与える影響等について大きな役割を担えるものだと説明をさせていただきました。その考えから、今回のマリーナシティ内のミニテーマパークも期待をかけられるものだと信じております。
 リゾート博期間中は多くの入場者を楽しませてくれるものだと思いますし、また国内においても、小規模と言いながら、非日常的空間を体験できる数少ない施設だと思います。この施設は恒久施設でありますから、リゾート博後も和歌山の観光の目玉となり得ると思います。
 ここで、知事にお伺いをします。
 知事もこのテーマパークに期待をかけておられますが、テーマパークの生命維持には必ずリピーターの確保が命題になります。そのためには、計画的に新しい施設、アトラクションを取り入れ、常に入場者を飽きさせない工夫をし続けなければなりません。継続投資が不可欠だということであります。これらのことを前提に、県として、まず我が県の目玉として取り入れる可能性があるのか。具体的には県広報にて協力など考えられるのか。また、予想以上の成功がおさめられた場合──これは仮定でありますが──また県民に大きな影響を与えられた場合、今後のテーマパークの展開に協力する準備があるのかどうかをお聞かせ願いたいと思います。あわせて、テーマパークを含め、マリーナシティが与える地域経済、雇用等への影響がおわかりなら教えていただきたいと思います。
 そしてもう一点、本年一月十五日の朝日新聞に、大阪市がポルト・ヨーロッパと同じノーハウを持ったユニバーサルスタジオの誘致に成功したかの記事がありました。このことは、マリーナシティ内におけるミニテーマパークに大きなダメージを与えるものだと思います。県は、事実を含め、このことをどうとらえられているのか、ご報告を願いたいと思います。
 次に、世界リゾート博後のノーハウの活用についてお伺いします。
 世界リゾート博は、目標入場者数百万人から上方修正することを含め、最終準備段階であります。世界リゾート博協会においてもご苦労のことと思う次第でありますが、私は、この苦労は今まで県行政には数少なかったものだと考える一人であります。一例を挙げれば、企業等に出展、協賛を求める場合にも従来の方法は通用しなかったこと、入場者数、採算性など行政のノーハウより企業論理が優先されることを身をもって知ったことであったと思います。
 新聞で拝見しましたが、副知事は新年のあいさつで、苦悩のない人生には感激はない、リゾート博で幾多の苦悩を乗り越えれば大きな感激が待っているということを述べられたそうであります。ならば、この大きな感激をただの感激に終わらせるのではなく、次のステップに生かす方法、施策を今から準備、計画することが必要だと思いますが、いかがなものでありましょうか。
 一歩踏み込んで提言を申し上げるならば、このノーハウをこれからの県のリゾート施策、観光施策の糧としていただきたいと考えます。今までの観光施策は、あくまでも応援団であって、選手になり得なかった感があります。しかし、世界リゾート博をリゾート元年として位置づけ、一過性のものではなく大きな飛躍を望むならば、集客や採算性等を理解できるセクション、そして観光行政は社会資本のハード部門から人材的育成などのソフト部門まで、本来は総合施策でなければなりません。
 以上の点から、企画から事業主体となり得る局、公社等としてこのノーハウを活用されたらいかがなものでありましょう。
 最後に、堀本議員も「リゾート」を漢字にもじっておられましたけれども、私の場合は、リゾートとは「理想都」と書いた方がイメージがわくんじゃないかなというふうに思います。もとより観光行政をより強力に推進し、和歌山を「理想都」に導けるよう、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 続いて第三項目めは、和歌山市河北地区の将来、現状について質問いたします。
 京奈和自動車道、紀淡海峡ルート、そして既存の近畿自動車道と計画が順調に進めば、この河北地区は高速交通網の拠点となり得る地区であります。まず、この点からお伺いをします。
 京奈和自動車道の現在の状況と近畿自動車道に至るまでの見通し、そして京奈和自動車道と近畿自動車道の接続部分のインターチェンジの新設について、また紀淡海峡ルートが国の第十一次道路整備五箇年計画において大阪湾環状道路に位置づけをされれば、京奈和・近畿自動車道関連、また関西新空港関連を含め、和歌山市とのアクセスは心配ないのかをお伺いしたいと思います。
 次に、河北地区の渋滞の解消についてお伺いをします。
 この地区は、岩出町を初めとして、那賀郡、伊都郡内、また阪南方面からの和歌山市の玄関口に当たる地域であります。そのために、朝夕の渋滞は激しいものがあります。ただ、平成五年度中に和歌山バイパスが供用開始されれば渋滞緩和に一役を買っていただけるものだと信じますが、先ほど触れましたように、高速交通網の延伸に合わせて、受け皿として県道粉河加太線、西脇山口線の整備も急務だと感じるところであります。
 そこで、現在、渋滞の起点となっている県道粉河加太線の六十谷交差点の改修について、都市計画決定がされている西脇山口線との整合性について、そしてこの春、直川地区に開校を予定している開智学園周辺の通学路の整備について、また紀の川大堰に伴い阪和線の橋のかけかえが行われることになっておりますけれども、この時期に合わせて阪和線下の県道粉河加太線の拡幅の可能性について、お伺いをしたいと思います。
 次に、軌道敷についてであります。
 先般、自民党県議団のミニ新幹線調査会にて、私も、山形、秋田の視察に参りました。そのとき単純に、もう子供のような話でありますが、この列車がこの黒潮路を走れば本当にいいなと感じたところであります。近い将来、大阪を起点として紀勢線ルート、四国ルートと新幹線等が走る時代が来るのではないかと思いますが、ここでお伺いをします。
 まず、二十一世紀をにらみ、河北地区にどのような可能性があるのか、そして、現在の阪和線上に河北地区内では紀伊、六十谷の二駅がありますが、その現状をどう把握しているのか、県にお伺いをしたいと思います。
 次に、河北地区内の河川についてお伺いをします。
 河北地区は、紀の川の恩恵を享受する一方で、治水面では大変困っているのが現状であります。そもそも紀の川北岸地域内の河川は紀の川を河口としているのが原因の一つであろうかと思いますが、県においても積極的に河川改修に取り組んでくれているところであります。ただ、正直申し上げますと、まだまだ不十分であろうかと思います。
 特に、七瀬川についてお伺いをします。紀の川大堰に伴い、水位等での治水面では期待できますが、現在の七瀬川は河川とは言えない状況であろうかと思います。増水時に容量がない点など、現状は認識していただいているはずであります。ぜひ七瀬川の改修について積極的答弁を期待し、また町づくりの観点から河川が果たす役割はいかなるものなのかをお伺いしたいと思います。
 次に、農業についてお伺いをします。
 この地区内は農振地域に指定をいただいておりますが、現在の実情は、厳しい言い方をすれば、辛うじて農業を続けているという状況であります。こうした状況下、この地区内の農業の将来性についてお答えをいただきたいと思います。あわせて、これからの農業の指針となるべき方向性をも示していただければ幸いであります。
 以上、河北地区関連全般にわたり質問をさせていただきました。担当部長に積極的答弁を期待し、あわせて、この機会に河北地区の将来性をご理解いただき、長期的施策として取り組んでいただくことを要望いたします。
 最後になりますが、私、この通告の中には含めておりませんでしたけれども、最近思うことを一言、知事にご要望したいと思います。
 「期待」という言葉がなければ「失望」という言葉は生まれてきません。私は、最近、私と同じ世代の人間と話す機会を積極的に多く持っております。その中で、もちろん県政も含め、政治全般にもわたり、同じ世代の人間の間から不平不満が出ていることは間違いありません。ただ、その不平不満をどう解決していくかといいますか、これを実行をもって解決していこうという熱意がこの世代にあるのかどうかという問いかけをされれば、まずもって「ない」と言った方がいいかもしれません。まさに、私たちの世代は甘えの構造そのものであろうかと思います。
 知事初め各部長は、できるだけ若い世代の声を県政に生かすとか、積極的に理解を示していただいておりますが、最近、このことを思うにつけて、ぜひ視点を変えていただいて、二十一世紀の和歌山を担う世代を育てるという責務を考えるならば、ぜひこの世代と対立をしていただきたいと思うわけであります。余りにも抽象的な言い方かもしれませんけれども、私たちの先輩は次の若い世代の頭をなでるようなことばかりして、そういう甘やかされて育った世代であろうかと思います。しかし、真剣に対立を意識して、反発するエネルギーを若い世代に育てていただきたいなと思います。そのことが二十一世紀の和歌山を担う世代の原動力になるんじゃないかなと考えております。このことは要望でございますので、ぜひ次の世代を育てるという意味で、一つの提案としてお聞きとめいただければ幸いであります。
 以上をもって、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(大江康弘君) ただいまの浜田真輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜田議員にお答え申し上げます。
 地方分権論につきまして、地方分権の利点、また交付金、補助金、機関委任事務についての見解、行政組織の整備と人的資源の確保、適正な行政規模、地方分権についての知事の所見等でございます。 
 地方自治にとって最も大切なことは、いかに地方が主体性と責任を持って地方の活性化を図っていくかということであると思うわけでございます。先日も上野山議員に述べましたけれども、これまでも、地方の自主性が図られるよう地方財源の充実をまず第一に考え、国に働きかけてまいりました。
 私は、分権を進めることによって、地方みずからの創意と責任のもとに豊かな地域づくりができる行政制度の確立が図られる、これが第一の利点ではないかと思います。また、現在の補助金、機関委任事務につきましては、国の関与や規制が大変多過ぎるという点から、もっと地方に権限を与えるべきではないかということ、これが地方分権について我々が絶えず訴えてきておる二点でございます。
 それから、地方への権限委譲に伴う行政組織、また人材についてでございますけれども、まず前提として財源が必要でございます。けれども、業務の処理能力、すなわち人的な面では十分に対処できると確信しておりますし、また移管される業務に応じて効率的な体制も整備ができると思っております。
 適正な行政規模の問題でございますけれども、現在、都道府県制は十分に定着しており、単に経済効率や行政の広域化だけでは論ずべきものではないと思っております。ただ、今後の問題として、住民の意向、伝統、または中央省庁の再編成から見ての機能や規模、形態を考えていかなければなりませんので、今後、時間と議論が相当必要ではないかと考えておるところでございます。そうした意味においても積極的に対処してまいりたいと思います。
 しかし、いずれにいたしましても、地方分権はあらゆる角度から論議されているところでございまして、このことは非常にいいことであり、これを国民運動的なものに進めて、国民すべてがこの地方分権について検討していくということが肝要ではないかと思っております。
 それから、テーマパークと世界リゾート博後の件でございます。
 テーマパークの位置づけにつきましては、去る一月八日に松下興産から報道されたとおり、相当な投資を行いますし、また、ほかには見られないハイテク技術を駆使した体験的な施設でございまして、リゾート博期間中はもちろんでございますけれども、リゾート博後においても、集客力等の観点から本県の観光の拠点として大きく寄与できるものと確信しておりますし、また期待しておるところでございます。
 これらのPRにつきましては、お話ございましたように、県としても県全体の観光PR活動の中で取り組んでまいりたいと思っておりますし、またこれの及ぼす経済効果等については最新のデータをもとに現在調査を実施中でございまして、近くそれが発表される予定になっております。
 最後に、新聞紙上等で報道されている大阪市内へのユニバーサルスタジオの誘致につきましては、松下電器としては、幾つかの話はあるようですけれども、検討には入っていないということでございます。
 次に、リゾート博後のノーハウの活用についてでございますけれども、ご指摘のとおり、この博覧会を一過性のものとすべきじゃないということは、私も同感でございます。
 ご承知のとおり、この博覧会は、本県の持つ恵まれた自然や歴史、文化、産業を国内外にアピールし、それはリゾート立県を目指す和歌山県の決意表明でもあると思いますし、またこの博覧会場から二十一世紀を踏まえたリゾートライフのあり方、生活大国としての国民の新しいあり方を情報発信することによって和歌山を国際リゾートエリアとして定着させることを目的としてございまして、和歌山県の活性化とともに地域産業にも大きなインパクトを与えるものと期待しているところでございます。
 また、終了後におきましても、恒久施設であるマリーナシティ和歌山館を通して本県のすばらしさを全国にアピールするとともに、この博覧会で培われたノーハウを埋もれさすことなしに今後の県行政、とりわけリゾート推進や観光行政の展開にどのように活用していくかということについて、人材の活用も含め、十分検討してまいりたいと思います。
 また、最後にお話ございました提言につきまして、いろいろまたお教えいただいて、私たちもまた厳しく対処してまいりたいと思っております。
○副議長(大江康弘君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 河北地区の将来について、幾つかお答えを申し上げます。
 まず、京奈和自動車道と北インターチェンジについてでございます。
 道路整備につきましては、国の道路整備五箇年計画あるいは県の同計画に基づき、高規格幹線道路から市町村道に至るまで、計画的な整備を進めておるところでございますが、京奈和自動車道については、県内延長約四十キロメートルのうち橋本市から高野口町間の十一・三キロメートルが橋本道路として平成元年度に事業化をされ、平成三年度より一部用地買収に着手をされております。また、高野口町から打田町間の十七キロメートルが平成五年度に事業化をされる予定でございます。
 残る打田町から和歌山市間につきましても、平成五年度からスタートをする第十一次道路整備五箇年計画期間中に事業着手をされる予定となっております。今後も引き続き、事業促進あるいは早期供用を国等関係機関へ要望してまいりたいと存じます。
 次にインターチェンジの新設につきましては、京奈和自動車道のインターチェンジとして和歌山市域でその必要性は十分認識をしており、建設省へ検討を働きかけてまいります。
 次に紀淡海峡ルートにつきまして、大阪湾環状道路の一環としての紀淡連絡道路と和歌山市とのアクセスでございますが、大阪湾環状道路は近畿自動車道及び京奈和自動車道と接続をされるものと考えられます。したがって、和歌山市からのアクセスは確保されると考えております。
 それから、県道粉河加太線及び西脇山口線に関してでございます。
 主要地方道粉河加太線六十谷交差点につきましては、昭和六十三年度に策定した渋滞対策緊急実行計画いわゆるアクションプログラムにおいて、緊急に交差点改良が必要ということでその位置づけを行い、現地調査に着手をいたしましたが、現在まで測量立ち入りの了承が得られるに至っておりません。今後、地元関係者のご協力が得られれば緊急的な交差点改良を行いたいと考えてございます。
 また、直川地区開智学園開校に伴う通学路の整備でございますが、平成四年度、千手川に自転車、歩行者用の橋梁架設を行っているところであります。引き続き、学校までの歩道整備を図ってまいりたいと思います。
 次に、西脇山口線は、現在、西脇工区及び平井工区で延長約三千二百メートルの区間にわたって、昭和六十一年度から総事業費約百六十三億円で実施をしております。平成四年度末での進捗率は約三〇%となってございます。
 議員ご提案の六十谷地区の阪和線下の拡幅でございますが、この前後区間の拡幅を含めて、その必要性を認識しております。西脇工区の進捗等を見きわめながら、その事業化に向けて取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、七瀬川の改修でございます。
 河川事業は、洪水を安全に流下させ、都市下水路や農業排水等の内水対策の受け皿となる根幹的事業でありまして、積極的に推進を図っているところでございます。
 七瀬川流域は、近年宅地化が進んでおり、今後さらに発展が見込まれる地域と考えられますから、その治水対策の重要性は一層増大するものと認識をいたしております。
 七瀬川の改修につきましては、浸水被害の軽減、将来の土地の高度利用のために不可欠な事業であり、大幅な河道拡幅を伴うことから、都市計画に位置づけて事業を進めなければならないと考えております。
 今後、改修計画について、地元、関係者の方々のご理解、ご協力を得られるよう十分説明をし、事業化に向けて取り組んでまいります。また、景観や環境に配慮した川づくりにつきましても、地元の意向を踏まえ、市とともに検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 河北地域の可能性と紀伊、六十谷駅の現状についてお答えいたします。
 議員お話しの河北地域につきましては、関西国際空港の至近距離に位置し、京奈和自動車道により京都、奈良と結ばれ、また将来、第二国土軸や紀淡海峡ルートなど交通の結節点となり、臨空都市圏として重要な地域であると考えてございます。
 ご質問の紀伊駅につきましては、近年の乗降客の増加に伴い、昭和六十三年三月のダイヤ改正において快速電車の停車が実現し、現在では朝夕の通勤時間帯を中心に、一日二十九本の快速電車が停車してございます。また六十谷駅についても、今週の三月十八日のダイヤ改正から新たに一日十二本の快速電車が停車することとなってございまして、両駅を核として活性化が図られ、地域の発展に大きく寄与するものと考えてございます。
 以上です。
○副議長(大江康弘君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) 農業振興についてお答えを申し上げます。
 河北地域の農業は、これまで、平たん部の多い立地条件を生かして、稲作のほか、キャベツ、ブロッコリーなど水田裏作野菜を中心とした農業が展開されてきたところでございます。このため、県といたしましても、野菜の予冷庫や集出荷施設等の整備を進めてまいりました。
 この地域では、都市化の進展に伴って農業生産力が低下しているのが現状でございまして、現在の農家数は約千三百戸で、うち専業農家率は一二%となってございます。しかしながら、この地域は京阪神を中心とした大都市圏や和歌山市街地に隣接をし、さらには高速道路と直結するなど、非常に有利な立地条件にあることから、県としては、今後とも和歌山市や農協等との連携を図りながら施設栽培を組み合わせた複合経営を推進し、都市近郊型農業の振興を図ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(大江康弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番浜田真輔君。
○浜田真輔君 これはもう要望でございますが、機関委任事務について一度県の中で整理をしていただいて、財政的裏づけ等、いろいろ心配点があろうかと思いますが、今すぐにでも権限を譲渡されてもやっていけるというものを明らかにして一回精査をされたらいかがなものかというふうに、まず一点、要望いたします。
 そして、これは私が感じたところですけれども、これはあくまでも国から県への権限譲渡でありますが、「人のふり見て我がふり直せ」ということもありまして、県から市町村への権限譲渡というものもあわせて考えていただきたいなというふうに思います。
 以上二点、要望として、質問を終わらせていただきます。
○副議長(大江康弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜田真輔君の質問が終了いたしました。
○副議長(大江康弘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 4番石田真敏君。
 〔石田真敏君、登壇〕(拍手)
○石田真敏君 野上電鉄問題についてお伺いいたします。
 最近、運輸省が欠損補助打ち切りの意思表示を行い、それに伴って野上電鉄自体が取締役会で廃業を決定したと報道されたことから、周辺市町の地域住民の話題を集め、その存続を求める住民運動も起こっております。現に今議会には、県立大成高校育友会、また三万九千余名の署名を添えて関係自治会より、公共輸送機関として野上電鉄の存続を求める請願が出されております。
 この問題について関係住民ひとしく感じることは、子供や老人、身体障害者の方々など交通弱者はどうなるのかということであります。また、国道三百七十号線──以前の県道海南高野線であります──が現在でも飽和状態にある狭隘さを見るとき、交通渋滞の一層の激化、さらには交通事故の危険性の増大ということが第一に気遣われるのであります。
 そこで、以下、具体的に質問を申し上げます。
 まず第一は、野上電鉄が取締役会で廃業を決定したと報じられましたが、このことについて県としてどう事態を把握されているのか、お伺いをいたします。
 また、もし今後、株主総会においてこのことが議題となり可決された場合、鉄道事業法では、事業の休廃業は「公衆の利便が著しく阻害されるおそれ」がない場合でなければ許可されないとありますが、この野上電鉄の場合にはどうなるのか。また、法には事業の休廃業決定以前に運輸省に事業改善命令という権限が付与されていますが、運輸省はこの事業改善命令をどう執行されると考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、今回の問題の直接的な引き金になった補助金についてお伺いいたします。
 この補助金は鉄道軌道整備法に基づいた補助金で、国二分の一、地方二分の一ということで、今日まで地方分については県二分の一、海南、野上、美里の一市二町で二分の一の補助を行ってきたのでありますが、今回、運輸省の話では、平成五年四月以降の運行に対する欠損補助は行わないとのことであります。このことについて県はどのように把握されているのか、また今日まで国、運輸省とどのように話し合ってこられたのか、お伺いいたします。
 また、もしこれが実施された場合、補助金の成り立ちからいって、地方分すなわち県及び一市二町も補助金を拠出しないということになるのかどうか。もしそうだとするならば、今後の協議の中で別途補助を考慮するお考えはあるのかどうかも、あわせてお伺いいたします。
 次に、今回の議論においては、どうも廃業やむを得ないという議論と存続すべきだとの議論に分かれているようであります。しかし、今もし鉄道線路をめくれば今後二度と敷設することはできないだろうと思われるだけに、私はまず、何とか鉄道を残す方法がないのかを第一に徹底的に議論すべきではないかと思います。その結果、どうしても無理だと大方の住民が納得できる段階に至って初めて次善の策を考えるべきだと思いますが、こういう議論の進め方が現在ではなされていないように思います。このことについて県当局はどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
 第一義的には、会社自体が責任を持ってその任に当たるべきは当然のことと思いますが、取締役会で廃業の決定をしたというような状況では、その意欲があるようには到底思えないのであります。とするならば、公共輸送機関であるという性格から、その最終的な責任のある運輸省、さらには県、地元一市二町、そして会社などが一堂に会し、真剣な詰めの議論をして、関係住民が納得できるような解決策を提示するようにしなければならないのではないかと思います。当局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、関係住民にとっては切実な問題であります。いたずらにボールの投げ合いをするのではなく、誠意ある取り組みが各関係者によってなされることを切望いたしたいと思います。
 次に、情報化・国際化・高齢化についてお伺いをいたします。
 ことしのキーワードは、「変革」、「チェンジ」だと言われています。開会日における知事説明の冒頭でも述べられ、また上野山、浜田両議員の質問でも引用されましたが、宮沢総理の所信表明演説においても「変革」という言葉が多用されました。また、クリントン米大統領の就任演説においても「チェンジ」という言葉が多用されました。
 ソビエト、東欧諸国の共産圏国家としての崩壊は戦後四十数年にわたった冷戦の終結を意味し、世界じゅうに安堵の思いを広めましたが、同時に、冷戦構造というおもしが取れたがゆえに、今日まで押さえ込まれていたさまざまな問題があちこちで噴き出してきているのが現状であります。
 また、宮沢総理は以前の演説で、「国際社会は、今、激動のさなかにある。何百年に一度という大きな変化が起こりつつある。世の中ではこれを『冷戦後の時代』と呼んでいる。この言葉は何が終わったかということを意味しているが、何が始まるのかを示唆してはいない。私はこれを新しい世界平和の秩序を構築する時代の始まりと認識したい」と述べておられます。こういう世界の流れの中にあって、日本だけがそのらち外にいることが不可能であることは言うまでもありません。日本が今後、世界の中でいかなる役割を演じ、いかにして世界と共生していくのか真剣に模索・検討していかなければならないときを迎えているとは、識者のひとしく指摘するところであります。
 また一方、国内的に見ても、第二次大戦後、今日まで四十数年にわたって続いてきたシステムが、今や十分に機能し得なくなってきているのであります。東京一極集中という言葉にあらわされる弊害は、その端的な例であります。まさしく日本は、国際的にも国内的にも変革のときを迎えていると言って過言ではありません。そして、この大きな変革の流れをじっと見てみますと、その底流にあるのは情報化・国際化・高齢化という大きな三つの流れであると思います。
 ソビエトの変革は、改革という意味の「ペレストロイカ」、そして情報公開という意味の「グラスノスチ」という言葉から始まったように、国境を越えて世界じゅうの人々の意識に大きな変化をもたらした情報化の進展は、今日の世界情勢、そして我々の生活にまで大きな変容を迫っているのであります。
 また、国際化の進展も、交通等の発達などによって人・物・金の飛躍的な流通をもたらし、世界の情勢、そして我々の生活を大きく変えようとしているのであります。さらに、日本独自の要因かもしれませんが、高齢化も日本にとっては大きな変革の要因となっていると思います。そして、これらは我々の価値観の変化、多様化までをももたらし、これらの変革要因に対して今日までのシステムでは十分に対応し切れなくなっていることが今後の大きな問題になると思われます。まさしく知事も述べられたごとく、私たちがいかに大きな時代の転換期にいるのかを痛感させられるのであります。
 そこで、以下、変革要因である情報化・国際化・高齢化と県行政とのかかわりについてお聞きしたいと思います。
 これらの言葉は、既にこの十年間、折に触れ語られてきた言葉であります。まさしく人口に膾炙している言葉だと思います。しかし、この十年余りの間使われてきたこれらの言葉の意味は、我々がこれらの言葉を使い始めたころに持っていた意味と今日持つ意味とが同じだと言えるでしょうか。恐らく大きな変化があると思います。従来思いも寄らなかったようなことがその意味に含まれていると思います。情報化ならば情報システム課、国際化ならば国際交流課、そして高齢化ならば高齢社会政策課がそれぞれ対応すればよいというだけでは済まなくなっていると私は思います。
 今、「情報化」とか「情報化社会」と言うとき、非常にあいまいであって、その実態をよくわからない方が、私も含めて大多数だと思います。ある学者は、情報社会の定義には二つの面があるとして、次のように指摘しています。「一つは、通信技術などの発達によっていかに情報を素早く伝送し、また大量にそれらを蓄積・加工するかという問題であり、また別の側面は、多様化の面、すなわちさまざまなものが存在し、選択の自由が広がっている状態をとらえて情報社会と呼んでいるのではないか」と指摘し、さらに、「この二つは、一方は通信の問題であり、他方は制御と選択の問題で、非常に異なった様相であるが、情報社会と言うとき、この両面を持っていることを頭に入れてとらえないと理解できない」と指摘しておられます。
 また、経済同友会による「新日本的経営の提案」という報告書を貫いている問題意識は、「高度情報化社会は、単なるハイテク社会というだけでなく経済活動の根幹を変えるものである。経済活動の変革は、政治、社会、文化、人間の価値観と密接に結びついている。したがって高度情報化社会への移行は、新しい政治、社会、文化、価値構造の変革とも連動していく」という点であるとも指摘されています。
 また、「国際化」という言葉は、今日、日常的によく使われていますが、日常的に意識する以上に実際の国際化はどんどん進行し、さらにそこからさまざまな問題が生じてきているのであります。
 ある本には、次のような記述がありました。「ある中年の日本人会社員が、こう語ってくれた。『このご時世で私どもの会社にも何人かの外国人が入ってきました。彼らを受け入れよう、そして受け入れてもらおうと努力しているのです。でも、関係が近く、また複雑になればなるほど問題もふえましてね。いやあ、国際化というのは大変なものですな』。国際化のおもみを彼の会社では多くの日本人社員がひしひしと感じていると言う。遠くから眺め合うだけなら、お互いに幻想も描き得た。だが、現実に接触が始まり、しかも利害関係が絡んでくると、お互いの物の考え方の違いが少しずつ顕著になってくる」、以上のような記述であります。すなわち、異文化をどう認識するのかということであろうと思います。こういうことは、恐らく国際交流課では既に実感されていることだと思いますが、今後、国際化が進めば進むほど至るところでこのようなことが起こってくると思います。
 また、高齢化についても、ほかの国々に例を見ない速さで進行する一方で、高齢化と表裏の関係にある出生率の低下に伴う少子化の問題が平成四年度版「国民生活白書」で中心課題に取り上げられているのであります。また、近年における女性の社会進出の急激な増加も、高齢化問題、少子化問題と大きくかかわっているのであります。つまり、高齢化問題を単なる老人問題としてとらえるのではなく、いろいろな領域にまたがる社会問題としてとらえなければならないと思います。
 先日、宮井書店において本の検索をお願いいたしました。まず、「情報」という言葉で検索していただいたところ、五百冊以上の関係書物がありました。ちなみに、そのうちの幾つかを紹介しますと、「情報化社会と教育」、「情報化社会と青少年」、「高度情報化社会と自治体」、「情報化社会を生きる女たち」、「情報化社会の行政改革」、「情報化社会と労使」、「高度情報化社会の健康と医療」、「プライバシーと高度情報化社会」などがありました。
 次に、「国際化」という言葉で検索していただいても、五百冊以上の関係書物がありました。幾つか紹介いたしますと、「国際化社会と教育」、「国際化時代の雇用政策」、「国際化社会と青少年」、「国際化時代の消費生活」、「国際化時代の日本農業」、「国際化時代の流通機構」、「国際化時代の福祉問題」、「『国際化』と地域活性化」、「国際化社会と在日外国人の人権」などがありました。
 次に、「高齢化」という言葉で検索していただくと、百七十冊以上の関係書物がありました。幾つかご紹介いたしますと、「高齢化社会と自治体の対応」、「高齢化社会が加速する医療の危機」、「高齢化社会と企業経営の活性化」、「高齢化・国際化と地域開発」、「高齢化社会と教育」、「高齢化社会と女性」、「高齢化社会の雇用問題」、「高齢化社会の住宅」、「提言これからの農村高齢化対策」、「高齢化社会と犯罪」、「高齢化社会と地域医療」などがありました。
 今、ご紹介した書物はそれぞれほんの一部でありますが、これを見ただけでも、情報化・国際化・高齢化という言葉であらわされる変革要因が本当に社会のさまざまな面に影響を与えていることがわかるのであります。
 以上のように見てきますと、各部各課では今日まで、長期計画などに見られるように、それなりに情報化・国際化・高齢化の問題について対応してこられたと思いますが、大きな時代の転換期と言われる今日、その変革の主要因である情報化・国際化・高齢化について、改めて見直してみることが必要ではないかと思います。
 知事は「和歌山の時代」と言われておりますが、今後の和歌山を考える場合、特にこの三つの変革要因の意味、内容を的確にとらえることなしには考えられないと思います。
 そこで、恐らく国レベルで見直さなければならないことも多いと思いますが、県行政として、各部各課にとってこれらといかにかかわりがあり、また今後かかわりが予想されるのか。すなわち、現時点でこれらの変革要因をどうとらえ、どう今後の課題とされようとしているのかを各部長よりお聞かせいただきたいと思います。
 ただ、時間の制約もありますので、情報化については、企画部だけの問題ではありませんが企画部長に、国際化については、知事公室だけの問題ではありませんが知事公室長にと思いましたけれども、きょうはご欠席でございますので副知事に、そして高齢化については、これも民生部だけの問題ではありませんが民生部長に、代表してご答弁いただきたいと思います。また、教育長、警察本部長にもそれぞれの立場からご答弁いただきたいと思います。そして知事には、この変革の時代において、知事の言われる「和歌山の時代」をどうイメージされているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 以上で、質問を終わります。
○副議長(大江康弘君) ただいまの石田真敏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 石田議員にお答え申し上げます。
 情報化・国際化・高齢化という問題について、特に変革の時代における「和歌山の時代」のイメージ等についてということでございます。
 現在、社会経済情勢や生活面において大きな変化・変革が進んでおり、その主要因は情報化・国際化・高齢化であるという議員のご指摘には同感でございます。
 詳細につきましては、後ほど副知事、関係部長から答弁させていただきますが、時代の流れを的確にとらえ、進展の著しい情報化・国際化・高齢化への対応を県政の重要課題の一つとして今後も取り組んでまいる所存でございます。
 さて、半島に位置する本県にとっては陸・海・空の高速交通網の整備を県勢発展のための最も重要な課題と考えて、これまで半島振興法の制定等、議員皆さん方を初め県民一丸となって取り組んでまいった次第でございます。
 こうした長年の悲願も、本年の近畿自動車道紀勢線の大阪府内の開通、来年の関西国際空港開港による国土軸、国際軸への直結により、ようやく実を結び始めてまいったと感ずるわけでございます。
 また、こうした時期に合わせて進めてきた美術館、博物館、図書館などの建設、頭脳立地構想の推進や工業技術センターの拡充、近畿大学生物理工学部の開学、南紀白浜空港ジェット化整備、さらに和歌山マリーナシティを主会場に開催する世界リゾート博等の各種事業が実現化しておるわけでございます。さらに、第二国土軸構想の推進や県立医科大学、多目的ホール、健康福祉センター、熊野学研究センター、地方拠点都市法の活用による都市整備等、各種プロジェクトが着実に進展しています。
 こうした事業等を基盤として私たちが受け継ぎ育ててまいった自然、文化、産業が、本県ではかつて経験したことのない人や物、文化や情報、世代や地域、そして国境をも越えたさまざまな出会いや交流の中で、新しい文化、新しい活力、そして潤いのある県土として花開くと考えておるわけでございます。
 日本は、絶えず他国との文化の交流によってすばらしい文化・伝統を育ててきたわけでございますが、この伝統を受け継いでなお一層花開かせてまいりたいと思います。
 また、関西国際空港を核に世界都市関西を形成する上で大阪湾ベイエリアの一翼を担う新しいフロンティアとしての本県の役割も期待される中で、関西の重心は大きく本県側にシフトしてきております。
 また、白浜空港のジェット化、高速道路の南伸に伴って、今まで交通不便なために開発されなかったすばらしい自然、すばらしい伝統・文化が花開き、生活大国にふさわしい、人々にリフレッシュを与えるリゾート地が形成されるわけでございます。
 このように、私たちが縦横に活躍できる舞台装置が整って二十一世紀に大きく飛躍するさまが肌で感じられる、まさに「和歌山の時代」が到来したということを実感しているところでございます。こうした点において、皆さん方のご支援をいただきながら努力してまいりたいと思っております。
○副議長(大江康弘君) 副知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○副知事(西口 勇君) 石田議員の国際化についてのご質問でございます。
 当初、知事公室長から答弁予定でございましたが、病気欠席でありますので、私からお答えを申し上げたいと存じます。
 我が国の社会の急速な国際化の進展に伴って、本県においてもいろいろな分野で国際化が進みました。また、国際化を進めるためのさまざまな取り組みが行われているところでございます。
 現在の国際交流は、かつての国と国との交流、外交であった時代から、国のレベルを超えて地域と地域が、さらに個人と個人が直接結びつきを深める交流の時代だと考えております。
 本県におきましては、関西国際空港が開港されることによって、言うならば二十四時間世界に開かれた和歌山県となるわけでございます。この利点を最大限に生かすためにさらに各分野の国際交流を推進いたしまして、本県の自然や文化、地域産業といった地域の特性を生かした、外国人にとって魅力ある和歌山県としなければならないと思います。また、外国の異なった人々や産業、文化との出会いによって、新たな活力ある和歌山県の産業、文化を創造していきたいと考えております。
 このために、国際化、国際交流を推進できる人材の育成が必要でございます。県職員や市町村職員の国際化研修あるいは青年の海外派遣などの充実、通訳者の育成、ホテルやタクシーなどでの外国人に対応できる従業員の育成、ボランティア組織の強化などが必要だと考えております。
 また、産業の分野におきましては、外国人労働者、特に労働力不足の業界における不法労働者の問題、土木事業やコンピューター機器購入などへの外国企業の参入問題、特に本県にかかわりの深い農林水産業ではオレンジ・果汁の輸入自由化あるいは商業捕鯨の問題など、今後の世界の流れを見きわめなければならない重要な課題がございます。
 また一方で、外国からの観光客の誘致は県勢活性化の一つの柱でもあります。外国語による案内標識、ガイドブックなどの充実、外国人が県民と交流する拠点となる国際交流センターの設置などを推進しなければならないと考えております。
 さらに、本県に在住される外国人の方々は、アジアや中近東、そして中南米の日本語を話せない日系人の方が多いという現実がございます。これらの方々の人権を守りながら、その方々の母国語で診療できる医療機関の把握と充実、国内で妊娠・出産・育児をされる外国人の母子保健対策、防疫体制の強化、あるいはエイズ等に対する外国語による相談、また年金や生活保護、社会福祉施設への外国人の入所措置などといったさまざまな問題に対処しなければならないと考えてございます。
 また、国際協力という立場からいたしまして、現在、県内各地でさまざまな形の技術研修生を受け入れておりますが、留学生への支援なども含めて、さらに地域の特性を生かせるような積極的な国際協力、支援を検討していく必要があると思います。
 一九九一年に策定した和歌山県国際交流推進指針に基づき、国際化時代に即応した国際交流事業の展開に努めておりますけれども、各部局にわたるこれらの課題への積極的な対応によって、世界に羽ばたく和歌山県の実現に努力をしてまいりたいと存じております。
 以上であります。
○副議長(大江康弘君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 野上電鉄に関連するご質問にお答えをいたします。
 まず、県の把握でございます。
 一月二十七日に開催された野上電鉄対策協議会において、野上電気鉄道株式会社から、一月九日の取締役会において鉄道及びバス事業の廃業が決定された旨、文書にて報告されたところでございますが、同協議会において議論され、その席上、会社に対し存続の方向で再検討するよう要請があり、現在、会社で再度検討中でございます。
 次に、鉄道事業法についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、鉄道事業法では、事業の休廃止については法第二十八条の規定により運輸大臣の許可が必要とされ、「公衆の利便が著しく阻害されるおそれ」がない場合に許可されることとなっておりまして、許可に当たっては代替交通機関の整備状況等について審査されることとなっており、代替機関がない中で鉄道の廃止が許可されることはないと伺ってございます。
 また、事業改善命令についてでございますが、同法第二十三条第一項第六号の規定により、利用者の利便、その他公共の利害を阻害している事実がある場合には、運輸大臣は鉄道事業者に対し、「旅客又は貨物の安全かつ円滑な輸送を確保するための措置を講ずる」よう命じることができることとなっており、国に対して適切な指導をいただけるよう働きかけをしてまいりたいと考えてございます。
 次に、欠損補助金についてでございます。
 この欠損補助金は鉄道軌道整備法に基づき補助されることとなっており、運輸大臣の認定を受けた事業者に対し、国が二分の一、地方公共団体も国と同額を補助することとなってございます。
 野上電鉄は、昭和四十九年以来十九年間にわたりこの補助を受け、運行を続けてきたところでございますが、議員お話しのとおり、平成四年九月八日、運輸省から補助要件に該当しない等の理由で欠損補助を行わない旨、野上電鉄に対し通告されたところでございます。
 県といたしましても、欠損補助を行っている立場から、運輸省に対し、その間の事情等につき見解を求めてまいったところでございます。
 野上電鉄の現状につきましては、輸送人員が補助金開始の昭和四十九年の年間約二百万人から平成三年には約六十二万人へと大きく減少しており、一方、補助基準であるピーク時の輸送人員についても基準の千人に対し現在百五十六人となっておりまして、基準を満たしていない状況であるとのことでございます。
 現在の補助制度は鉄道軌道整備法に基づくものであり、国が補助しない場合には県も補助することができないことになってございます。
 今後、県としては、野上電鉄の対応を見きわめつつ、国を含めた地元海南市、野上町、美里町等においてその対策を協議していく中で検討してまいりたいと考えてございます。
 最後に、今後の対応についてでございます。
 まず、鉄道事業法に基づく免許を受けた野上電鉄が事業者としての責任において今後の運営方針を示すことが先決であり、その会社の方針を踏まえ、地元海南市、野上町、美里町で構成する対策協議会において今後の対応が協議されることと存じます。
 県といたしましては、鉄道事業者に対し指導監督権を持つ運輸省の参加を得るなど、関係者が一堂に会する場を設けることが必要と考え、運輸省に対し、この検討の場に参画していただけるよう要請を行ってまいったところでございまして、今後、その対策の協議の場に参画し、対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、情報化についてのご質問にお答えをいたします。
 今日、情報化は我が国の経済、文化、社会のあらゆる分野において急速に進展し、工場においては産業ロボットの活躍による生産ラインの自動化、一人で何枚ものクレジットカードを持つカード社会、またどこからでも電話のできる携帯電話、快適な生活空間、家事の効率化等による豊かな生活の創造等、私たちの生活環境は大きな変化を来しております。
 こうした中で、情報化への取り組みといたしまして、情報化社会に積極的に対応していくために庁内でOA化の推進、情報化に対応する人材の育成、情報産業の育成、情報通信基盤の整備を行うとともに、保健、医療、生活、環境、教育、文化等の各分野の情報システムの導入を図り、積極的な取り組みを行ってまいってございます。
 また、県民、企業等への、さまざまな価値のある行政情報、産業情報、農業情報、学習情報の提供にも取り組んでいます。
 このような情報化社会の進展の中で、さまざまな課題が生じてきております。高度情報化社会に対応した望ましい都市構造及び居住環境の整備、人材育成、研究開発の中枢機能の整備、情報化に対応するための人的、資金的援助を必要とする中小企業対策、高齢者、障害者等がひとしく情報化社会の豊かさを享受できる環境整備が必要となってきてございます。
 また一方、青少年に対するビデオ、ダイヤルQ2、パソコンソフト等におけるポルノのはんらんによる有害環境やパソコンの普及による人間疎外、情報のはんらんによる情報選択の問題、情報機器による健康障害、その他プライバシー、著作権の保護、ハッカー・ウイルスに対するセキュリティー対策などの課題がございます。
 さらに、ペーパーレスの促進による森林資源の保全、情報通信網の活用による省エネルギー、省資源など、地球環境保護の観点からも積極的に取り組む必要があると考えてございます。
 今後、情報化はなお一層促進され、将来はテレビ電話、どこにいる人にでもかけられるパーソナル通信、ICカード一枚で買い物、交通、医療等に使える総合カードシステム、完全無人工場の実現も予想されるなど、社会システムの大幅な変革が考えられます。
 しかしながら一方では、高度情報化社会を実現していくためには、高齢化、国際化など、社会構造の変化に対応した情報化の推進に十分な配慮が必要であると考えられます。
 こうした課題を踏まえて、平成三年度に県全域の地域情報化を推進するため和歌山県地域情報化推進計画を策定し、県行政のみならず、民間、市町村を含めた総合的な情報化の基本方針を示したところでございます。
 この地域情報化推進計画の実現を図るため、民間、市町村、県が一体となった和歌山県情報化推進協議会をこの四月に設立し、各界一丸となって社会の変革に的確に対応した情報化の推進に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 高齢化の問題についてお答えをいたしたいと思います。
 高齢化につきましては、厚生省人口問題研究所の最新の推計によりますと、西暦二〇一〇年(平成二十二年)の六十五歳以上人口の全人口に占める割合は、全国平均では二一・三%、和歌山県では二五・四%と推計されております。したがって、本県では全国平均の高齢者割合を四%程度上回り、四人に一人が六十五歳以上の高齢者となることが予測されています。
 このような本県の急激な高齢化社会に対しまして、大きく二つの視点からの施策の展開が必要になるのではないかと考えております。
 第一の視点は、平均寿命が延び、長くなった人生を一人一人の県民が健康で生きがいを持ち、健やかに生活できるようにすることということであります。そのためにはまず、高齢者の持つ経験、知識、技能を生かし、高齢者みずからが生きがいを見出していくために、就業や学習機会の創出、種々の社会参加のための条件整備が必要になってまいります。あわせて、老後所得の保障のための将来にわたって安定した年金制度の構築が必要でありますし、健康な老後を迎えるための若年期からの健康づくりの対策も肝要であります。
 また、老後の心身の衰えや介護が必要になったときに備えての保健、医療、福祉サービスの充実が必要なことはもちろんでありますが、特に高齢者の介護の主役を現実には女性が担っていることにかんがみ、女性の自立のための支援等の取り組みも課題となります。さらに、高齢者が生活しやすい住宅環境や生活環境の整備も必要です。
 第二の視点は、社会に占める高齢者の割合が高くなっていく中で、社会の活力を維持し、社会システムをどのように構築していくかということが問題となります。
 高齢化の背景には、議員ご指摘のように出生率の低下に伴う少子化があります。このため、健やかに子供を生み育てる環境づくりが肝要でありますし、次代の超高齢化社会を担う青少年の健全育成も重要であります。
 また、特に和歌山県の高齢化に拍車をかけている要因には、若年層の県外流出があります。このため、企業進出による雇用機会の拡大や第一次産業の後継者対策などにより若年層の定着を図る必要があると考えております。
 いずれにいたしましても、社会の中で高齢者の割合が高くなることから、道路、河川、海岸、公共建築物などの整備に当たっては安全で利用者に優しい施設づくりが大切ですし、総合的な防火安全対策も必要です。また、若年労働者の減少により、生産過程での省力化、自動化を進める努力が必要になるとともに、高齢者、女性の労働市場への積極的な参画が期待されるところであります。
 次に農林水産業に関しましては、担い手の高齢化により生産力の低下、自然環境の荒廃も予想され、高齢化に対応した生産体制の確立、県土保全や環境保全等も課題となっております。さらに、高齢者の増加に伴い、市町村の行政経費の増加が見込まれ、特に財政力の弱い過疎団体に係る財政運営の指導、支援が課題であります。
 このように、議員ご指摘のとおり、高齢化に係る課題は各部各局にわたっておりますが、平成二年に策定された長寿社会総合対策指針をも踏まえながら、着実に課題の解決に向けて努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 情報化・国際化・高齢化について、教育の面からお答えいたします。
 まず、情報化への対応についてでありますが、学校教育においては、新しい学習指導要領に基づき、子供たちの発達段階に応じてみずから情報を選択し処理する能力など総合的な情報活用能力を育成するため、コンピューターや放送を利用した教育を推進するとともに、高等学校に情報科学科、情報処理科等を設置してきたところであります。
また、教員の資質向上については、各種研修講座の開催や研究校の指定を積極的に行っております。
 このようなことを通して教育内容や教育方法をさらに改善し、充実することに努めることが課題であります。
 また、生涯学習を積極的に推進する観点から、社会教育においては、情報活用能力の育成、情報化社会に向けた指導者の育成、情報手段を活用した新しいプログラムの開発や学習情報提供システム等の充実に努めているところであります。
 今後の課題といたしましては、生涯学習のあらゆる場において県民各層の情報活用能力の育成に努めるとともに、学校教育や社会教育の充実に向けて活用できる良質な教育用ソフトウエアを開発することや、学術、文化、スポーツなどに関する情報及び教育統計情報等を提供するシステムを整備充実させていくことなどが必要であると考えております。
 また、情報化の進展が青少年にもたらす影響や情報モラルの確立にかかわる課題についても、学校とともに研究を進めてまいる所存であります。
 次に国際化への対応についてでありますが、我が国と諸外国とのかかわりが教育や文化の面においてもますます深くなり、国際社会の一員として我が国が果たさなければならない役割と責務が今や一層大きなものになりつつあります。こうしたことから、国際化をみずからの課題としてとらえ、諸外国の異文化に適切に対応するとともに、国際社会で積極的に自己の考えを主張できるコミュニケーション能力を育成することは教育の大きな今日的課題であります。
 そのため、学校教育におきましては、豊かな国際感覚の涵養と語学能力の向上を図るため、国際関連学科の設置や日本人英語教員と外国人英語指導助手との共同授業の実施、また高校生の海外生活体験事業や教職員の海外研修の実施など、国際化に対応する施策を推進しているところであります。
 また、県民を対象とした各種の国際理解推進講座の開設や国際的スポーツイベントの開催、及び地域スポーツクラブの国際交流にも努めております。
 今後の課題といたしましては、こうした施策をより積極的に推進するとともに、スポーツを初め幅広い分野での国際交流活動の推進と支援、及び文化財等の外国語による表示や説明、また国際化に対応する外国人の特別非常勤講師などの採用や高校入試及び帰国子女教育のあり方について、多面的に検討を加えていかなければならないと考えてございます。
 次に、ますます高齢化が進む社会を迎えて、医療や福祉などと並んで教育の果たす役割は大変重要となってございます。教育の分野におきましては、高齢者の精神的、文化的欲求を充足し、心身ともに健康で、生きがいのある生活を人々にもたらすための施策を図っていく必要があります。
 社会教育におきましては、生きがいを促進する事業として、高齢者教室や世代間交流、ボランティア養成講座などを実施し、高齢者の役割について学習したり、ふれあい町づくりを目指す事業を行ってございます。
 スポーツに関しましては、県スポーツ・レクリエーション大会を初め各種スポーツ大会やスポーツ教室などを開催し、高齢者のスポーツ活動を促進しております。
 また、学校教育におきましては、ふるさと教育の一環として、高齢者を招き、手工芸品のつくり方を学んだり昔話を聞いたり、あるいは高齢者の家庭や福祉施設を訪問したりして世代間の交流などを図ってございます。
 今後、豊かで活力ある高齢化社会の実現に向けて、次の六点についての課題を考えてございます。
 その一はボランティア精神を培う諸活動を推進すること、その二は若い世代との交流の機会を提供すること、その三は高齢者が安心してスポーツに取り組めるスポーツ医事相談の実施やニュースポーツの普及を推し進めること、その四は高齢者の心身の状況等に即したより適切な学習プログラムを開発すること、その五は若いときから地域の活動に親しむ機会を提供すること、その六は高齢期に備えての学習機会を提供することなどの事業をより一層充実させていく必要があると考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 警察本部長中長昌一君。
 〔中長昌一君、登壇〕
○警察本部長(中長昌一君) いわゆる情報化・国際化・高齢化の問題についてお答えをいたします。
 これら三つの問題は、現在及び将来の警察運営を考えていく上でのキーポイントであると認識をいたしております。
 まず、情報化と警察のかかわりでありますが、例えば他人のコンピューターシステムに侵入してプログラムを破壊し、あるいは銀行のオンラインシステムに不正なデータを入力して現金をだまし取るなどのいわゆるコンピューター犯罪の増加、またクレジットカード等が普及しているカード社会の中でカードを偽造し、そのカードを利用して金品をだまし取る犯罪の増加、携帯電話やポケットベルなどの通信機器の急速な発達と普及に伴い犯罪が広域化し、巧妙化するなどにより捜査がより困難化する問題等が挙げられます。
 次に国際化とのかかわりでありますが、来日外国人が増加することに伴い、外国人が事件事故の被害者になり、あるいは外国人が犯罪を行うといった外国人の関係する事件事故の増加と取り調べ等の捜査の困難化、また、豊かな日本で働き、本国に送金するため不法に残留し、あるいは密入国する事犯の増加、さらに覚せい剤やけん銃の密輸入などに見られるように、人や物が国際的に動くことに伴い捜査が長期化、困難化することの問題等が挙げられます。
 また、高齢化の問題につきましては、例えば高齢者を対象とした悪質商法などの犯罪の増加、スピード化、過密化する車社会への適応が難しい高齢者が事故の被害者となるケースの増加、さらにはドライバーが高齢化することに伴って反射機能等が低下することにより交通事故を起こすケースの増加などの問題があります。以上のような傾向は、今後、より顕著なものとなることが予想されるところでございます。
 県警察といたしましては、こうしたことに的確に対応するため、コンピューターや通信機器についての専門的知識を備えた捜査官の育成、語学能力と国際的知識を備えた国際捜査官の育成、タガログ語等少数言語の通訳の確保、高齢者に対する安全教育と交通環境の整備等を積極的に推進していくことといたしております。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 4番石田真敏君。
○石田真敏君 まず野鉄問題についてですが、県の方から、議論の場を設けるために努力していただけるということをお聞きしまして、非常にありがたいと思います。
 ただ、先ほどもボールの投げ合いをしないでくださいと申し上げましたが、建前論にとらわれてそういう機会の設置がおくれることのないようにしていただきたいと思います。
 切実なのは沿線の住民でありまして、これら住民の不安を一日も早く解消していただけるように積極的な対応をお願いしておきます。
 それから、情報化・国際化・高齢化についてお伺いをしたわけですが、質問の中でも触れましたように、今まで、「情報化」と言うと情報システム課、あるいはハード面でのネットワークというイメージが非常に先走る、「国際化」と言うと都市間交流だけ、「高齢化」と言うとお年寄りの問題というような短絡的なとらえ方をされがちであったし、今もそうじゃないかなと思うんです。しかし、お答えもいただいたように非常にさまざまな面にそういう影響が及んでおりまして、どんな影響があるのか、なかなか簡単にはとらえ切れないと思います。私もさっぱりわかりませんで、それで今回は各部各課から、我々にとって情報化はこうだな、あるいは国際化はこうだな、高齢化はこうだなということを全庁的に集めていただくと、おぼろげながらでも、情報化というのはこうか、国際化はこうか、高齢化はこうかというようなことが見えてくるんではないかと思いまして質問をさせていただいた次第でございます。きょうは、情報化・国際化・高齢化という問題についての入り口の論議をさせていただいたという気がするわけなんです。
 それで、答弁いただいたことについて、今後、三点ばかりご検討をいただきたいと思います。
 まず一つは、それぞれご答弁いただいた中に、既にたくさんの重要な課題というのがあったと思います。これは、即座に全部するには財政的な問題も絡むでしょうからなかなかそう簡単にはできないと思いますが、しかし今、この情報化・国際化・高齢化という三つの要因に対して、少なくともこういうことが課題として挙げられているということですから、それにどういうふうに取り組んでいくのか、そしてどういうふうに克服していくのかということを今後ご検討いただきたいと思います。
 それから、この情報化・国際化・高齢化の進展のスピードというのは、すごいです。特に情報化などは、我々がうっかりしていると民間の進んだ方の背中はもう全く見えない、わけがわからないというところまでいってしまう可能性があるわけです。そういうふうに非常にスピードが速いこの変化に対して行政としてどういうふうに今後対応をしていくのか。
 今、答弁で挙げていただいたような問題以外の問題が、今後、次から次へと出てくる可能性もあると思います。それに対して、平成五年の二月議会でこれだけ挙げたからそれで終わりということじゃなくて、非常に速く進む中で今後新しく出てくる問題に対してもどういうふうに対応していくかということが問題になると思うんです。これは、例えば情報化であれば、情報システム課が対応すればいいという問題ではないだろうと思います。そういう意味で、今後の進展の中から出てくる問題に対してどういうふうに対応していくのか、二つ目の問題として今後ご検討いただきたいと思います。
 それから三つ目としては、答弁をお聞きしておりまして、従来の縦割り行政ではもう対応できないんじゃないかなというふうに思いました。今回は、情報化・国際化・高齢化という大きなトレンドを挙げましたが、例えば先ほども申し上げた、いわゆる出生率をどうして上げるかという少子化対策は、民生部だけの問題じゃありません。それから、この間も議論がありましたが、環境問題についてどうするかとなると、これも保健環境部だけの問題ではないわけであります。こういうテーマが今後出てくるときに、今までのように縦割りだけでというわけにはなかなかいかないんじゃないかなと思います。
 それからまた、視点を変えてみますと、今申し上げた高齢化と情報化をどう組み合わせるかという問題になったときにも縦割りでは対応できないわけでありまして、今後、そういう時代の大きなトレンドに対して機敏に、そして機動的にいかに対応するかという問題についてもご検討をいただきたいと思います。
 以上が答弁をいただいた中で感じたことでありまして、この場で議論するには時間的な制約などもございますので、今申し上げた三点について今後十分にご検討いただけるように希望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(大江康弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で石田真敏君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(大江康弘君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時四十三分散会

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