平成5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第五号 平成五年三月十二日(金曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第七十三号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第一号から議案第七十三号まで(質疑)
 二 一般質問
 三 休会決定の件
出 席 議 員(四十四人)
 1 番 尾 崎 要 二
 2 番 中 村 裕 一
 3 番 下 川 俊 樹
 4 番 石 田 真 敏
 6 番 木 下 秀 男
 7 番 岡 本  保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 北 村  翼
 10 番 小 川  武
 11 番 上野山 親 主
 12 番 井 出 益 弘
 13 番 町 田  亘
 14 番 尾 崎 吉 弘
 15 番 門  三佐博 
 16 番 西 本 長 弘
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 冨 安 民 浩
 19 番 和 田 正 一
 20 番 阪 部 菊 雄
 21 番 平 越 孝 哉
 23 番 岸 本 光 造
 24 番 山 本  一
 25 番 吉 井 和 視
 26 番 浜 田 真 輔
 27 番 堀 本 隆 男
 28 番 宇治田  栄 蔵
 29 番 富 田  豊
 30 番 中 村 利 男
 31 番 馬 頭 哲 弥
 32 番 宗  正 彦
 33 番 鶴 田 至 弘
 34 番 上 野 哲 弘
 35 番 村 岡 キミ子  
 36 番 松 本 貞 次
 37 番 木 下 義 夫
 38 番 和 田 正 人
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 橋 本  進
 41 番 野見山   海
 42 番 森  正 樹
 43 番 浜 本  収
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 口 矩 一
 46 番 森 本 明 雄
欠 席 議 員(一人)
 22 番 大 江 康 弘
 〔備 考〕
 5 番 欠 員
 47 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口  勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 佐 武 廸 生
 民生部長 吉 井 清 純
 保健環境部長 江 口 弘 久
 商工労働部長 中 西 伸 雄
 農林水産部長 中 村  昇
 土木部長 山 田  功
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
   山 階 清 弘
 警察本部長 中 長 昌 一
 以下各部長
 人事委員会委員長
   水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 塩 崎 省 吉
 次 長 中 村  彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 古 井 美 次
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 川 端 孝 治
 調査課長 大 畑  巌
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時三分開議
○議長(馬頭哲弥君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(馬頭哲弥君) 日程第一、議案第一号から議案第七十三号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 13番町田 亘君。
 〔町田 亘君、登壇〕(拍手)
○町田 亘君 どんな障害であれ、障害を持つ子供の親にとって最も大きな気がかりは、もし自分が死んだらこの子は無事に生きていけるのだろうかということであります。
 時々テレビで「裸の大将」を見ながら、本当の山下清さんはどんな人だったのだろう、ドラマで見る限り、少し障害はあるようだけれども、人情味があり、親切で、絵がうまく、旅から旅をして一ところに落ちつかないが、彼が行く先々で大勢の人たちに親しまれ、笑いと涙で感動の放浪生活を送っていた、もしドラマのような人生なら、これほどある意味で幸せな人生はなかったと思うのであります。
 昨年、朝日新聞社主催、教育委員会後援の山下清作品展を見学し、絵や日記、遺品等を見ることができました。そこで私は山下清さんの本当の姿を知りたいと思い、生い立ちや日常生活について書かれた資料はないかと探しました。東京や大阪に出たときに大きな本屋にも入って探しましたが、見つかりませんでした。議会調査課にもお願いしていましたところ、大阪の中之島図書館で昭和十五年に戸川先生の書いた「特異児童」という一冊の本を見つけてくれました。貴重な本だから貸し出しはできないとのことなので、大阪までその本を読みたくて行ってまいりました。
 以下、山下清さんについて少し紹介したいと思います。
 彼は、大正十一年、東京の浅草で生まれ、今生きていれば七十歳ですが、昭和四十六年に四十九歳で亡くなっています。彼の家庭は悲惨なもので、実の父は彼が幼いときに死亡、弟が一人いたが、不良少年で教護院に入れられたそうであります。母は再婚したが、養父は大変な酒乱で浪費癖があり、家は貧しさをきわめたために母は子供を連れて家を出、母子ホームに入りました。彼は母子ホームから小学校に通ったのであるが、学業は劣等、その上、現在でいういじめに遭うので、友達と一緒に遊ばず、遠回りして家に帰ったり、病的な憶病から発作的に見境なくナイフで傷つけるなど、凶暴な子供であったそうです。また、彼がいじめられた原因としては、知的能力の低さのほかに偏屈な性格、そして盗癖があったと書いています。まさに手のつけられない子供であったそうです。
 このような境遇、経歴から、十二歳のときについに千葉県にある精神薄弱児童養護施設八幡学園に入所させたのであります。彼にとって八幡学園の生活は、まさにオアシスであったそうです。それまでのようにいじめもなく、勉強は易しく、第一、張り絵ができる。彼が何よりも好きだった虫がいる。花がある。チョウ、ハチ、セミ、森がある。今まで抑えられていた彼の天分は一気に発揮され、異常なぐらいの進歩で、数年後には画壇の大家をして天才とまで驚かせた作品を生み得たのであります。テレビで見る山下清さんからは想像することができない生い立ちでありました。
 戸川先生いわく、「彼の絵の立派なできばえを見た人たちから『どのように指導したのか』とよく聞かれる。多くの人たちは障害を持つ子供は指導しないと何もできないと頭から思い込んでいるが、彼らは皆一つずつ何かよいものを持っているのであって、それが自然に開発されるような生活の場さえ与えられれば、よい芽はおのずから成長していくもので、初めからない才能は外から与えることはできない。日に当て水をかけてやることは絶対に必要だが、芽がなくては草木は伸びない」と言うのであります。
 私たち自由民主党県議団で福祉議員連盟をつくり、たくさんの施設を見学させていただき、多くの人たちと話し合い、勉強もしてまいりました。今の天皇が皇太子時代ご夫妻で訪れた、奈良県にある心境荘園という園生百五十人余りを抱えた大きな施設も訪問したことがありました。
 施設長より昼食をともにしようとお招きをいただいたので、多分幕の内弁当ぐらいだろうと思って行くと、大食堂に案内され、すき焼きの準備が整い、ビールや酒まで出されてびっくりしました。食器棚にはちょうしやビールコップ等がいっぱい並んでいるではありませんか。九十三歳の施設長も「園生も晩酌をやっていますよ」と笑っておられました。大きなダンスホールあり、カラオケあり、工場でふすまづくり、畳づくりに励んでいる姿、農園で汗をかきながら働いている姿、生き生きと生活している姿をこの目にして、大変感動したものでした。
 重度の障害を持った人たちにも少しは何かができる、それを見出してあげることを忘れてはならないのであります。「この子らに世の光を」という哀れみの政策だけを求めるのではなく、この子らがみずから輝く「この子らを世の光に」をモットーにしたいものです。障害を持った人たちは、その障害と闘い、それを克服していく努力の中に、豊かな温かい人間を育て、生涯かかっても三歳児程度の知的発達がなくても、豊かに充実していく生き方があると思うのであります。県の施設、民間の施設の職員の皆さんも一生懸命に頑張っている姿に、頭の下がる思いがいたします。
 以下、関係部長にお尋ねいたします。
 国連・障害者の十年は昨年で終了、新たに中央心身障害者対策協議会で国内長期行動計画の策定、また国際的にもアジア・太平洋障害者の十年の決議が行われました。そこで、今後の長期的な障害者対策のあり方についてのお考えをお示し願います。
 次に、精神薄弱者を受け入れるための「者の施設」は現在では収容能力に不足があると聞きますが、現状と今後の計画について。また授産施設についてでありますが、先般、高瀬議員の質問にありましたように、十七名が社会に復帰しているとありますが、その後うまくいっているのか。問題はないのか。社会復帰しても、ハンディを背負った障害者が仕事の面、人間関係などがうまくいかず、もし万一失敗したとき、再度の入所を希望しても困難なものとなります。その対策はどうか。厚生省では今年度より社会復帰のための補助金を出すと聞くが、どのようなことか。また、グループホーム的なものについてもお教え願います。
 最近は、プライバシーを考えて施設も個室化の傾向にあり、また障害者の中に高齢化した方も多くなってきていると思いますが、食事等を含めた高齢化対策について、施設のあり方についてお聞かせ願います。
 障害者に対していろいろ優遇措置がなされていますが、障害者に係る運賃等の割引は特急券を除く急行券のみとあるが、もう何年も前から各地で急行は走っていません。現状に合わないものであります。改正方を要望していただきたいと思います。
 最後に福祉事務所の充実についてでありますが、現在、郡部の福祉事務所はすべて県事務所の民生課がやっています。また、県事務所所長、次長が福祉事務所の所長、次長を兼務しています。所長、次長については各分野での行政があり、また多忙であり、福祉に理解があっても専門的ではない行政マンが多いのも事実であります。本年も四月から老人等の措置権限が町村に委譲されることであり、町村の指導も含めて福祉事務所の機能をより充実する必要があります。
 そこで、専任の所長を発令するか、もしくは現在同和行政の推進をするために各事務所に設置している同和主幹のように、多様化する福祉全般の調整、特に増加している福祉施設の指導、町村の指導調整のために、名称は別として福祉主幹等を発令してはいかがですか。
 知事が提唱されている「住んでいてよかったふるさと和歌山」のために、地域に密着した、充実した福祉を進めるために、先ほど申しましたように国際障害者年の以後の推進のためにも、積極的に福祉行政に取り組んでおられる仮谷知事に二十一世紀に向かっての福祉行政のあり方、また取り組みについてご所見をお聞かせ願います。
 次に、農業問題についてお伺いいたします。
 我が国の農業において、昭和の時代は激動の時代でありました。その時代に農業に従事し、いろんな体験をされ、時代の進歩とともに農薬や機械化の開発、農業技術の発展で身を粉にして働いた当時からやっと解放されたのもつかの間、休耕や転作等の作付調整に追い回され、さらに国際農作物の自由化の波等々、時代の変化といいながらも目まぐるしく変わってまいりました。農業の移り変わりをいま一度振り返って昭和の農業の変遷を子孫に伝えようと、上富田町朝来の老人クラブの方たちがすばらしい冊子を発行されました。
 第二次大戦直後の一九四五年から五〇年の時代は「飢えからの解放」で、国民は満腹感を求めた時代でありました。そのために農村から強制的に供出も行われたが解決に至らず、食糧増産政策が必要でありました。戦前の農業は地主・小作関係であったために、農民にやる気を起こさせようとそこにメスを入れ、小作農を自作農にと農地改革を行った時代でもありました。自分でつくったものがすべて自分のものになれば生産意欲は増すだろうし、つくった米の価格についても、食糧管理法の役割は当時としては大きかったと思います。こうして農民のやる気を起こせばそれなりのアイデアも力量も発揮され、まさに農業生産力の増進に成功し、飢餓から解放された時代でもありました。
 六〇年代は、高度経済成長、所得倍増と言われ始めた時代で、ようやく満腹感を感じるようになり、芋やでん粉質ばかりとってはいけない、栄養のバランスを考えなくては、つまり満腹感の次は栄養になり、肉、野菜、牛乳、果物といった洋風化の食事がとられるようになりました。肉を食べれば畜産振興、野菜振興、酪農振興、果樹振興が叫ばれた時代でもありました。自作農主義を借地でもよいと農地法の改正を行い、転換した時代でもありました。それに、食糧不足農政から米の過剰問題が起こり、米の生産調整が登場したのもこの時代でありました。
 七〇年代の前半は、オイルショックもあり、つくっても売れない時代が始まったときでもありました。
 そして八〇年代は、腹はいっぱい、栄養も満足、うまいものも口に入るようになり、カップヌードルのような簡便性が求められ、高級、ファッション等、多様化時代になりました。大分県の一村一品運動のように、全国一律農政から地域農政に変わりつつある時代でもありました。
 そこで現在は、経済成長とともに豊かな食生活は実現したが、今や日本は世界最大の農作物輸入国となっており、自給率はカロリーベースで四七%まで低下し、先進国の中でも非常に低く、食糧供給のあり方についても、ガット・ウルグアイ・ラウンド等、国家的な課題として国民の食糧確保と国際競争力に十分耐え得る農政を考えなければならない時期に来ていると思うのであります。
 平成三年五月、農林水産省は「新しい食料・農業・農村政策の方向」として取りまとめ、本年一月、農政審議会中間取りまとめとして発表されましたが、それによりますと、二十一世紀を見据えた農業を目指し、食料、農業、農村の三つに分かれて論議をされています。
 その政策の一部を拾ってみると、新農政で特に力を入れているのは多様な担い手の育成と土地利用型農作物、新たな生産体制と農業技術の確立等々、難しい表現をしておりますが、要するに、これからの政策の実を上げる方法は、農業を職業として選択し得る魅力とやりがいのあるものにすることであります。自給率向上だとか食糧の安全保障とか言っていますが、それだけで今の若者を引きつけることはできません。都会の青年が楽しく青春を謳歌しているのに、農業青年だけに押しつけられるのは御免だと言うでありましょう。政策の中に、年間労働時間は他産業並みの水準、生涯所得も他産業の従事者と遜色のない水準を実現するとありますが、絵にかいたもちのように思えてならないのであります。もちろん、行政だけに頼るのではなく、地域住民が英知を結集し、農業経営の改善を図らねばなりません。
 そこで中山間地域について対策の方向が示されていますが、我が和歌山県は、都市的地域は岩出町、和歌山市ほか四市一町、平地農業地域は貴志川町、有田市、吉備町ほか七市町、他の三十八町村はすべて中山間地域であります。面積にして八〇%以上を占めています。私たちの住む西牟婁郡内はすべて中山間地域であります。急傾斜地が多く平たんな土地が少ない上、農地も少なく分散し、また基盤整備がおくれています。付加価値の高い農業の展開を目指していくとありますが、山間地域では減反の前に、耕作放棄地が五〇%以上もある町村がふえているのであります。老齢化しているために自分の食べるだけの米を少しつくるだけで、今からハウスをつくり取り組んでいく元気がないのであります。早急に対策を講じなければ、田畑の境界線がわからなくなった耕作放棄地がもう数年後には大変なことになると思います。
 ある町村で、遊休農地の増加に伴い、農地の貸し手ではなくて借り手に一万から二万の奨励金を出して放棄地をなくすための努力をしていると聞きます。企業を誘致して都会に出た若者たちをUターンさせたある工場で、農家の出身の青年たちに工場で働きながら家業である農業を継いでいくかと聞いたところ、農業を手伝うと答えた青年は一人もいなかったと言います。
 そこで、農林水産部長にお尋ねします。
 新政策についての感想はどうか、また新政策について近畿農政局と協議会を持ったことがあるのか、お聞かせ願います。
 中山間地域の今後の農業振興対策について、本県の新規就農者は年々減少しておりますが、我が和歌山県で大きく所得を上げているであろう農家はどのような地域で何を生産しているのか、また、中山間地域でも産業おこし、村おこしを推進する人材の育成確保を図ることが大切と考えますが、どのような対策を講じられるのか。
 我が県は地域に根差した普及所の指導等についてもきめ細かく活動していただいており、感謝しているところであります。新政策の中で普及指導のあり方についても触れられておりますけれども、どのように考えているのか。農地の流動化について奨励金を出している町村の内容についてもお示し願います。
 次に、JR朝来駅前開発についてお尋ねします。
 国鉄が合理化を図り民営化されてから、数年以上たちます。その合理化のおかげで駅舎の無人化が始まり、私たちの住む朝来駅もその対象となり、私たちは国道四十二号線と国道三百十一号線の熊野古道入り口の接点でもあり、また和歌山県で随一の人口の増加発展の町でもあり、学生千三百人余りの熊野高校の生徒の中で三百人余りがこの駅を利用しているため、駅員を残してほしいと署名を集め、決起集会を開いてまでお願いに行きましたが、我々の気持ちは通じず、無人駅になりました。
 その後、町が負担して駅に人を置き、老人会初めいろいろの団体の皆さんや近所の方が季節ごとに美しい花の鉢を置いてくれたり、学生たちの自転車を整理したりして駅を守ってまいりました。しかし一方で、無人駅となって日がたつにつれ、心ない人たちのためにトイレは壊され、長い間そのままになっておりました。三百人余りの学生の乗降する駅にトイレのない不自由さは言うまでもありません。最近になってようやく修理がなされたところであります。
 前置きが長くなりましたが、県の企画部を通じて、国鉄清算事業団が管理している朝来駅前の元貨物取扱用地を地方自治体すなわち上富田町に払い下げを受けないかとの打診があったそうです。我々住む者にとっては、駅前といえば安くても坪五、六十万円は下らないだろうと考えていました。そこで、町として四千百平米、約千二百坪もある土地を何億も出して駐車場等にするゆとりがないというのも、当たり前の話であります。
 そこで、朝来駅前商店街の皆さんが集まり、国道四十二号線の駅前は県下一と言われるほど狭い国道で拡幅の余地がないところなので、道路の拡幅も含めて駅前の再開発に取り組もうではないかと、平成二年に朝来駅前開発発起人会を設立し、同年十二月に町に陳情書を提出、町は協議を重ね、平成三年二月、町議会総務常任委員会が福井県南条町に駅前開発について視察し、平成三年三月十三日、同陳情書を受理したのであります。
 駅前の皆さんが商工会館に集まり、何度も何度も会議を重ねてまいりました。途中から私も参画し、平成三年、県を通じて国鉄清算事業団の考えを聞いていただきましたところ、清算事業団に接触するための留意点をお教えいただきました。
 それは、使用目的、利用計画は明確にしておくこと。細部にわたっても契約書に明記され、事業団は契約書に忠実で、もし一部分であっても、また一時的であっても用途外に使用されると訴訟も辞さないという面があります。仙台市は違約金の支払いを求めて提訴され争っている等、非常に厳しいものがあります。また、契約条件として供用の期限が定められますので、当初の利用目的のままであっても、計画自体の進行がおくれた場合もだめであります。まず土地を購入してから計画を詰めるのではなくて、町内部で固め切ってから交渉すべきである。また地価については時価で売るのが当然と、清算事業団の強い意向に沿って真剣に取り組んでいたところでありました。
 そこで、都市計画の専門家も招いて講演もしていただき、何度も何度も計画を練り直しましたが、一度立てた計画を変えてはいけないと言われても、玄関口である駅前付近のこと、一つも変更なしの万全の計画がそう簡単にできるものではありませんでした。
 昨年末の新聞に、当該地が処分されたことが報じられていました。なぜいとも簡単に一民間企業に売却されたのか、その経過についてご説明願いたいと思います。市町村であれば随意契約、その他民間及び個人であれば公開入札で行われていると思いますが、当該地の契約方法についてお教え願います。
 坪当たり十万円ぐらいで契約されたと仄聞するが、その金額であれば町で十分計画は立てられたのに、また駅前商店街で事業ができたのにという声があります。また、事業団は土地転がし、転売等を一番心配しており、その町の発展につながるような計画を指導していたのであるから、購入した当該地も、その会社の発展はもちろん、地域の発展と駅前の活性化のためにすばらしい計画がなされていると思いますが、その計画をお教え願います。
 私たちの一番の願いは、顔である駅前が、地域が活性化することであります。町がもっと積極的に事業団と取り組むのはもちろんであったかもしれないが、県も駅前の顔づくりに町と協力し合ってもっと積極的に対処すべきであったと思います。県は清算事業団との間にあってどのような取り組みをされたのか、企画部長の答弁を求めます。
 最後に、土木部長にお尋ねします。
 知事初め県当局のご協力をいただき、国道三百十一号線も商業円域が変わるほど進んでまいりました。心から感謝を申し上げるものでありますが、現在進めている中辺路四工区について、中途で地すべり等があり、おくれています。早急に完成させ供用開始させれば、野中の曲がりくねった道が一直線になり、元野中小学校の下まで開通するのであります。残工事と供用開始の時期について。
 次に上富田の工区でありますが、稲葉根トンネルも完成し、深見橋も着工されました。本年度で県道上富田南部線まで完了するものと思います。しかし、県道上富田南部線の新岡トンネルもまだできず、供用を開始しても岡地区で大変な混雑が予想されます。県道上富田南部線の新岡トンネル及び三百十一号の尾崎・立平の計画についてお示し願います。
 同じく上富田すさみ線の生馬地区でありますが、半島振興予算等も活用し着々と進められておりますが、日置川町川原谷に採石工場があり、大型トラックが多く通行しています。現在進めております白浜空港の滑走路等にたくさんの採石が必要になってくると思うのであります。空港に一番近い採石場といえば、この工場からでありましょう。大型車が来ると普通車はとまらないとぎりぎりで通れないのが、富田川にかかっている生馬橋であります。トラック同士であれば橋の向こうで待っているのが現状であります。道路の改良に伴いこの橋の改良をも検討すべきだと思いますが、お考えをお聞かせ願います。
 そして、新しい道路が新設され改良されることは、その地域にとって活性化することであり、喜ばしいことであります。しかし、道路ができると、そのそばはすぐに宅地化されます。つまり、今まで遊水地帯であって水の調整をしていたところがなくなるのであります。道路事業とともに水対策についても十分考えなくてはなりません。
 富田川も毎年河床の整備をやっていただいておりますが、抜本的な解決は富田川本流の河床を下げる以外にないと思うのであります。そこで、大変難しい問題もありますが、下流の井ぜきについて、可動式等、研究検討すべきでないでしょうか、お答えを願います。
 最後に、彦五郎堤防の公園計画についてお尋ねいたします。
 今から三百年余り前、たびたびの大雨で現富田川の堤防が決壊するので、その対策を村の衆が集まって何度も何度も相談するのであるが決まらず、そこで彦蔵と五郎の二人は村人のこの宿命的な悩みを救う悲願のためにみずから進んで堤防建設の人柱となった、そういう伝説に基づいて建てられた碑が国道三百十一号の富田川のほとりにあります。地元初め町当局もその周辺を憩いと潤いのある公園にしてはと計画していますが、桜づつみモデル事業として具体化していきたいと思います。ご見解をお願いして、これで終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの町田亘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 町田議員にお答え申し上げます。
 福祉行政についての今後の取り組みの問題でございます。
 かねてから私も申し上げておりますように、県政の最重点として福祉行政を県議会の皆さんとともに進めておる状況でございます。しかしながら、お話もございましたけれども、最近の福祉を取り巻く環境は非常に厳しい現状でございまして、高年齢化が急スピードで進んでおりますし、また出生率減少という問題、核家族化の問題、また児童の健全育成といった面など、諸問題が山積しておるわけでございます。そうした変化に対応するためには、県民の皆さんの積極的な考え方、また強烈なニーズというものにこたえていかなければならないのではないかと思っておるわけでございます。
 こうした環境の中で調和のとれた活力のあるふるさとづくりを進めていくには、障害者、また老人、児童、母子家庭等、社会的・経済的に弱い立場に置かれておる皆さんに対し、積極的な社会的救済の方法を考えていかなければならないわけでございます。
 このために、私は県政の推進については福祉を原点にして進めていくべきであるという立場に立ち、県や市町村、また地域の各種団体と連携をとりながら進めてまいりたい、特に在宅福祉を中心にした福祉活動を進め、また保健とか医療等、そうした関連するものと十分連携をとった形の総合的体制のもとに福祉を進めていきたいと思ってございまして、先ほど来、福祉に対する町田議員の熱烈なる心情をお聞きしたわけでございますけれども、その心を心といたしまして、なお一層進めてまいりたいと思っております。
○議長(馬頭哲弥君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) ただいま町田議員から障害者福祉とりわけ精神薄弱者福祉の重要性についての貴重な教訓をいただき、今後の障害者の福祉行政の推進に生かしてまいりたいと考えております。
 私も障害者対策は福祉の原点であるという認識のもとに積極的に施策を推進してまいりましたが、とりわけ法施行を見ましても、精神薄弱者福祉については身体障害者福祉に比べて十年に及ぶおくれがございます。さらなる精神薄弱者福祉の充実の必要性を痛感している次第であります。また、国連・障害者の十年が終了し、アジア・太平洋障害者の十年がスタートする本年が障害者対策の新たなる出発の年であるという決意のもとに、懸命の努力を重ねてまいる所存であります。
 それでは、まず今後の長期的な障害者対策のあり方についてお答えをいたします。
 国連・障害者の十年終了後においても、障害者の増加、重度化、ニーズの多様化など長期的な展望に立った障害者対策が必要であるとの考えのもとに、今議会に第二次障害者にかかる和歌山県長期行動計画を策定するための予算をお願いしておるところでございます。障害者の方々が地域社会において、健常者とともに生きがいを持って力強く生活できる社会の建設を目標にした計画にいたしたいと考えてございます。
 次に、精神薄弱者更生施設の現状と今後の整備計画についてであります。
 現在までに入所施設が八カ所、定員五百三十人、また通所施設が一カ所、定員三十人の整備を行ってございまして、近畿府県においては京都府とともに高い整備率を誇っているところでございます。
 また、精神薄弱者更生相談所の判定に基づく施設入所待機者数は、重度者の増加とともに百八十四名に上っております。現在、和歌山市に定員五十人の入所更生施設を建設中でございますが、今後も引き続き地域バランスを考慮しながら計画的な施設整備を図り、入所待機者の解消に努めてまいりたいと考えております。
 次に、授産施設における社会自立に係るご質問でございますが、授産施設利用者の社会自立を促進する上で企業への雇用は重要な課題であると考えております。平成三年度及び四年度の二年間で、議員お話しのとおり十七人の方が企業に就職されておりますが、出身施設の指導助言などの強力なバックアップと事業者の温かい理解と協力のもとに、精神薄弱者自身の努力も相まって、現在まで企業に定着をしているところでございます。
 しかしながら、議員ご指摘のとおり、もとの施設への再入所が困難な状況の中で、もし失敗したらという心配が企業への就職をちゅうちょさせていることも十分理解できるところでございます。
 そこで、万一就職に失敗した場合の対策については、現在、由良あかつき園、由良みのり園の二施設において自立促進モデル事業を実施しておりますが、再入所できる期間が九十日に制限されるなど、その利用が非常に難しい現状であります。国においても、こうした現状を踏まえ、平成五年度から利用施設を全施設に拡大するとともに、再入所期間を一年に延長することが検討されているところであり、今後、精神薄弱者の社会自立の促進に大きな役割を果たすものと期待するものであります。
 さらに、精神薄弱者の企業定着を支援するためグループホームを設置し、施設の全面的なバックアップを受けながら、世話人による二十四時間体制の指導援助を行っているところであります。現在、このグループホームは十ホーム設置され、三十五人の精神薄弱者が入居しておりますが、平成五年にはさらに二カ所の増設を計画しているところでございます。
 いずれにしても、企業への就職を促進するためには、精神薄弱者自身の就労意欲を高めていくこともまた大切ではないかと考えております。このため、平成五年度に高収益授産科目開発事業を予算化したものでありますし、それぞれの施設においても入所者の個性に合った職域の開発と適切な指導・訓練を真剣に行う一方、八施設において毎年六十人程度の入所者を企業実習に派遣し、企業適応力の養成に努めているところであります。
 次に、精神薄弱者更生施設における高齢者対策でありますが、特に処遇面において、指導・訓練を初め食事等の生活部分に至るまで特別の配慮が必要であると考えているところであり、さらに今後検討を重ねてまいりたいと思います。
 また施設における個室化についてでありますが、精神薄弱者援護施設基準による居室の定員は一室四人が標準と決められており、個室化による建設費の増加等の関係から施設の個室化は非常に難しいところであります。しかしながら、南紀福祉センターや現在建設中の施設では二人部屋としたところもあり、また入所施設が生活の場となっている実態やプライバシーを考えた場合、今後の大きな課題として検討していく必要があると考えております。
 最後に、運賃割引制度改正についてでありますが、近畿府県民生部長会を通じても国に対し要望しているところでございますが、今後とも引き続き強く要望してまいりたいと考えてございます。
 次に、福祉事務所の充実についてお答えをいたします。
 福祉を取り巻く現状は大変厳しい上、県民の福祉行政に対するニーズも多種多様化してございます。これらを的確に把握し、総合的な地域福祉のリーダーとしての役割を担う福祉事務所の重要性はますます高まるものと考えてございます。
 ご提言の福祉事務所専任の所長または福祉主幹の配置については、それぞれの地域における行政全般の中での県事務所のあり方とも関連する問題でございますので、職務内容等を検討する中で関係部局とも十分協議してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) 農業問題につきまして、お答えを申し上げます。
 まず新政策についての感想でございますが、新政策は中長期的な展望に立って食料・農業・農村の総合的な見直しを行ったもので、米を中心とした土地利用型農業の体質の強化、また中山間地域を初めとした農山漁村の振興を柱に二十一世紀に向けた農業、農村の振興方策を示したものとなってございます。
 この中で、農業生産については水稲を中心とした大規模経営を目指したものでございまして、本県のように傾斜地が多く暖地性を生かした果樹等の集約農業を展開している地域においては、今後どう生かしていくかが課題と考えてございます。
 次に、新政策に関する近畿農政局との協議会についてでございますが、新政策の円滑な推進を図るため、近畿管内の農林水産部長会議、そしてまた近畿農政局を中心にして県、市町村、農業団体、食品業界等から成る近畿地域新政策推進連絡協議会が開催をされており、その会議の席上、具体的な推進方法について意見交換を行ったところでございます。
 次に、中山間地域については、従来から農林業を営むことによって県土保全や水資源の涵養等、大きな役割を果たしてきております。この地域の活性化を図ることは非常に重要と考えてございます。
 過日、農政審議会の部会長である元農林水産事務次官と近畿農政局長に和歌山県においでをいただきまして、本県の現状を視察いただくとともに、その対策の具体化について、地域の実情等を十分反映していただけるようお願いしたところでございます。
 今後、本年度実施している新農政推進調査研究事業の結果を生かしながら、新たに中山間地域活性化モデル事業を実施してまいりたい、また、地域の特性を生かした付加価値の高い農林業の推進、意欲のある農林家を中心とした組織づくり、地域資源を生かした地場産業の振興や質の高い生活環境の確保などについて、関係部局との連携を図りながら市町村ともども、若者に魅力のある心豊かな農山村づくりに取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、県内で高所得を上げている農家でございます。
 県の専業農家約九千四百戸のうち、一千万以上の売り上げを上げている農家が約四千戸前後と推定されてございます。地域別に見ますと、紀の川流域では柿、桃などの落葉果樹やショウガ、バラ、スプレー菊の栽培農家がございます。また有田川流域では、ハウスミカンや味一ミカン等、高品質のミカンの生産農家やバラ、オモトなどの花の栽培農家が上げられてございます。日高紀南地域では、冬季の温暖な気象条件を生かし、完熟ミカン、越冬中晩柑や梅栽培農家のほかに、エンドウ、ミニトマトなどの野菜、カスミソウ、スターチス等の施設導入による複合経営農家が高所得を上げているのが実情でございます。
 次に、中山間地域における人材の育成確保についてでございますが、これまで農村青少年センターを拠点として四Hクラブ員を重点に青年大学講座を開設するとともに、先進的な農林業経営者を農業士として八百五十四名、グリーンワーカーとして百二十九名を認定し、地域における農林業のリーダーとしての役割を果たしていただく一方、計画的に研修等を実施しているところでございます。また農業大学校においては、農村の担い手となる学生に実践教育を通じて人材の育成に努めてまいりました。さらに広く人材確保を図る上で、高校生を対象にしてみどりの学園や農業大学校体験入学も実施してございます。
 農家婦人対策としては、婦人大学講座を開設するほか、農業労働の改善、新しい農家経営の確立、地域農産物の利活用、農村環境の改善など四つの分野を重点にし、生活改善友の会などを核として婦人研修等、市町村、関係団体と連携しながら推進をしているところでございます。今後とも、市町村、農業団体、教育委員会と連携をしながら、若者が定着できる人材育成確保について積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に新政策と普及体制でございますが、国が昨年十二月、新普及事業研究会を設置し、現在検討が進められているところでございます。
 本県はこれまでも、地域の特性を生かしながら収益性の高い農業経営や健全な農家生活の確立、すぐれた農業後継者の育成確保に取り組んできたところでございますが、今後はこれに加えて経営感覚にすぐれた効率的かつ安定的な経営体の育成強化、さらには高度先進技術や女性の能力を発揮できる条件整備等、農業者のニーズに即応したきめの細かい普及活動を推進してまいりたいと考えております。また、専門的普及活動と広域的機能の発揮できる総合普及指導体制の充実強化にもあわせ努めてまいります。
 次に、町村が実施をしている農地流動化奨励金についてでございますが、古座川町では農地の借り手に対して十アール当たり一万円の奨励金を毎年交付しております。また川辺町では、契約が十年以上の借り手及び農地を買い入れて経営を拡大した人に対して十アール当たり五万円の助成を行っていると聞いてございます。
 県としては、今後とも県農業公社、市町村、農業委員会等との連携を一層密にしながら、農地流動化対策により耕作放棄の抑制に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) JR朝来駅前開発についてのご質問にお答えをいたします。
 国鉄清算事業団用地の処分については、日本国有鉄道清算事業団法に基づき、公共の用に供する場合には地方公共団体あるいは公益法人等の購入希望により随意契約による処分をすることができます。また、それ以外の場合については一般競争入札により処分がなされることとなってございます。これに伴って、必要に応じ、各市町村に対し購入意向調査がなされてきたものでございます。
 議員ご質問のJR紀勢本線朝来駅前用地については、意向調査の結果、当初、上富田町から駅前整備事業用地として活用したい旨の意向が寄せられましたので、国鉄清算事業団にその旨を伝達しましたが、その後、実施可能な利用計画の策定がおくれ、また売却価格の不明確な中で数年が経過したものでございます。
 一方、国鉄清算事業団においては、当該用地内に残置されていた給油施設の撤去を求める訴訟を起こしており、結果的には昨年十二月、裁判上の和解により、利害関係人である田辺湾汽船株式会社に売却されたものでございます。
 また利用計画については、集客案内所、道路、給油タンク、資材置き場、倉庫及び駐車場施設を二年以内の着手を条件として設置されるものであり、土地売買契約上の規制条件として十年間の転売及び転貸の禁止等の特約がつけられていると聞いてございます。
 次に県の取り組みについてでございますが、県としては、上富田町に対し、国鉄清算事業団用地の処理方針に沿った実施可能な利用計画の必要性等について助言を行うとともに、国鉄清算事業団に対して上富田町の意向を伝えてまいったところでございますが、先ほどお答えいたしましたような経過で推移したものでございます。
 県としては今後、国鉄清算事業団用地の処分に当たっては、地元市町村及び当事業団とさらに緊密な連携を図りながら対処してまいりたいと存じます。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 紀南の道路整備に関してお答えをいたします。
 まず国道三百十一号中辺路四バイパスについては、地すべり対策工を施工して平成五年度完了の予定としております。それから、上富田二バイパスは平成五年度に稲葉根トンネルを含め上富田南部線まで供用の予定でありますが、供用に伴い関連道路の整備を町と協議してまいります。
 また、県道上富田南部線の新岡トンネルについては、現在ボーリング調査等も終わっておりますけれども、地すべり地域でありまして、その工法を検討中でございます。平成五年度は地すべり対策工に着手をして、平成六年度にはトンネル工の着手を目指したいと考えております。
 また、国道三百十一号上富田二バイパスのうち、尾崎地区については、平成五年度は盛り土ののり面工、水路工等の本工事を施工する予定でございます。立平地区については、地元の皆様のご協力を得ながら用地買収を促進してまいりたいと存じます。
 次に、上富田すさみ線の生馬橋は昭和三十一年に架設されたトラス橋でございます。したがって、構造上、待避所等の局部的な改良は不可能でありますが、今後、県全体の橋梁整備の状況も勘案をしながら検討させていただきたいと存じます。
 次に、富田川下流の井ぜきの改築についてでございます。
 富田川の治水対策については、昭和二十五年から中小河川改修事業を実施しておるところであります。改修計画は、河口から十五・四キロメートルの区間について堤防護岸の整備と河床の切り下げ等を行うものであり、これまでに本川の堤防整備と支川の改修を促進してきたところでございます。
 近年、流域内の開発が進みつつあることから、現在取り組んでいる箇所の事業促進を図り、本川の河床掘削に着手するための取水ぜきの改築については、ご指摘のとおりいろいろ難しい問題もございますので、地元調整を含め検討してまいりたいと考えております。
 最後に彦五郎堤の問題でございますが、桜づつみモデル事業は、堤防の強化と良好な水辺空間の形成をあわせて行うことを目的としております。桜等の植栽を行うには、規定の堤防幅に加えて三メーター以上の用地が必要でございまして、事業の申請に当たってはその用地が確保されていること、または市町村等により確実に確保ができることが指定の前提となっております。
 議員ご提言の彦五郎堤については、その歴史的背景等から潤いのある水辺づくりにふさわしいものと考えますので、その整備に向け、地元のご協力が得られるよう、町とともに積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 再質問がありませんので、以上で町田亘君の質問が終了いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番森 正樹君。
 〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 議長よりお許しをいただきましたので、一般質問を行いたいと存じます。
 まず初めに、関西国際空港の諸問題についてお尋ねをいたします。
 私たちの待望久しかった開港まで、あと一年有半まで迫りました。最近のマスコミ報道を見ておりますと、関西国際空港にかかわる報道の取り扱われない日がないと言っても過言ではないほど頻繁に取り上げられているのでございます。それだけ、関西国際空港問題が関西にとって最重要課題であり最大関心事であるということのあらわれだと存じます。なかんずく我が和歌山にとってはなおさらであることは、言うまでもございません。私は、さきの十二月議会でも関西国際空港問題について言及いたしました。そして、今二月議会において引き続き触れさせていただくわけでございます。
 ところで、私は関西国際空港問題に関しまして、これまで一貫して和歌山側の立場から考え、発言をしてまいりました。今回は少し切り口を変えて論じてみたいと思います。もちろん、本県の県益を追求するという立場はいささかも変化はございませんが、全体構想実現の問題をめぐる質問に関しましては、関西全体の立場に立って進めてまいりたいと存じます。もっとわかりやすく単刀直入に申し上げれば、中央と地方の対立という構図の中で地方の視点に立って考えていくということでありまして、地方の逆襲という視点で物申し上げたいのでございます。
 歴史作家・司馬遼太郎氏は、「街道を行く」第三十七巻「漱石と田舎」の章で、日本人の都へのあこがれの強さにつきまして次のように述べています。
 明治後の東京が異常な憧憬を地方からうけてしまったことについてである。
 当時の英国の田園に住む紳士階級にとって、首都のロンドンは単に、金融や商工業、あるいは政治をするためのいわばビジネスの機能であるにとどまり、特別な尊敬の対象ではなかったはずであった。むろん、
「私はロンドンっ子です」
 といったところで、自慢のたねにはならなかった。
 アメリカもそうらしい。アメリカのある日本学者がいった。「日本人のふしぎは、田園(いなか)を一段下にみることですね。アメリカ人はニューヨークに住むよりも、田園に住みたがります。日本人の場合、ひょっとすると逆ではないでしょうか」
 ひょっとするとどころではない。こんにちの日本ほど東京への一極集中のはなはだしい時代はない。アメリカの若い人が、ワシントンD・Cにあこがれて上ってくるなどという話はきいたことがないのである。
 都あこがれという日本人の習癖は、はるかなむかしながら、八世紀初頭に出現した平城京(奈良の都)のころにさかのぼるべきなのかもしれない。
 当時は商工業が未発達で、都市の必要などはなく、都市は存在しなかった。でありながら、唐の長安の都の三分の一の規模の大都市が大和盆地に出現したのである。青や丹で塗られた宮殿・官衙あるいは都城の楼門は圧倒的な威容を誇った。
 日本じゅうが、まだ竪穴住居や掘立小屋に住んでいたころだったから、多少の謀反気をもっていた地方地方の土豪も心をくじかれたに相違なく、要するに津々浦々の鄙どもは、文明に慴伏させられたのである。首都尊敬という型は、このときにはじまったかとおもわれる。
 こういうふうに述べられています。
 どうも、日本人といいますのは押しなべて都へのあこがれというのが強いようでございまして、中央志向・地方べっ視の考え方が体臭のように身についているのかもしれません。これは、高校を卒業した若者の多くが一たんは東京へ出たがったり、また働き盛りのサラリーマンも東京本社勤務を望むというような点にもあらわれているのではないかと思います。
 これはまた中央官僚にも言えることでありまして、地方べっ視・中央偏重の考えに凝り固まっている中央省庁の役人たちの頑迷固陋さを示す発言を紹介いたします。これは、第三次行革審「豊かなくらし部会」の中での審議委員に対する各省庁の説明の場での発言であります。
 「『豊かなくらし部会』や地方分権特例制度小委員会の審議の席上でも、──ここからですけれども──『国会議員や中央官庁の官僚にも質の悪い者はいるが、地方の質ははるかに低い。そういう人たちに大きな権限を渡したら、何が起こるかわからない。地域エゴ丸出しの政治が全国で展開することになりかねない』といった発言が、各省庁の代表の口からたびたび飛び出した」、これは同じく審議委員をしていた人の本でございますので、間違いのないことだと思います。私に言わせれば、こんな傲慢な発言を堂々と公の場でしてはばからない官僚こそ、質の悪い、質の低い連中だと言っても過言ではないと思います。
 中央偏重・地方切り捨ての典型的な例がありますので、紹介をしたいと思います。それは、新幹線網の建設と計画についてであります。
 よく言われていることでございますけれども、九州七県の一千三百万人の長い間の念願でありました九州新幹線が、一昨年秋、八代-西鹿児島間の一部で工事に着手をいたしました。昭和四十年代の早い時期に建設を要望する声が地元で上がり、運動を進めてこられたわけでございますが、実に三十有余年の歳月を要したのでございます。地元民の宿願実現に向けて、今やっと第一歩を踏み出したというところであろうかと思います。一方、東北・上越新幹線と東海道新幹線を結ぶ上野-東京間の新幹線建設工事は、昭和五十八年八月、工事抑制の決定が下されたにもかかわりませず、それから八年後の平成三年春、営業運転が開始されました。
 片や、九州七県挙げての長年の夢が緒についたばかりであり、一方ではどれだけの緊急性、必要性があるのか。上野-東京間わずか三・六キロメートル──これは在来の京浜東北線や山手線の乗りかえで行き来が簡単にできるのであります。鉄道だけに限っても、全国にもっと緊急性、必要性を有する計画が山積しておりますし、多くの要望が出されている中で、このわずか三・六キロメートルに一千三百十七億円もの巨費が投じられたわけであります。一説によりますと、この一千三百十七億円は九州新幹線建設費よりも高いということでございますが、そうした巨費を投じる運輸省のバランス感覚のなさ、東京中心主義、地方切り捨ての論理を指摘しなければなりません。
 この霞ケ関の中央官僚たちの東京中心主義、地方切り捨ての論理を証明する資料がもう一つありますので、紹介をしたいと思います。
 議長のご了承を賜りまして、先輩・同僚議員の皆様のお手元には既に配付をさせていただいております。議長のお許しをいただいて、仮谷知事以下、三役の皆様にもお渡しをしたいと思います。(資料を渡す)全部読んでおりますと時間がございませんので、特に二枚目の四行目からでございます。これもやはり、先ほどちょっと申し上げました第三次行政審「豊かなくらし部会」での運輸省の説明の記録でございます。
 「運輸行政は、このように全国ネットワーク(統一性)を背景として広域的(広域性)かつ総合的に行われなければならない性格を持っていることから、一部の権限についてこれを特定の地方公共団体に委譲したり、あるいは交通関係社会資本整備のための財源を地方の一般財源化し、地方が独自の判断でこれを支出できるようにすることは好ましくないと考えられる。 すなわち、交通問題に対し地方ごとに異なる取り扱いを認めた場合、空港、港湾等の交通関係社会資本の整備が全国的視点(統一性)から計画的に行われなくなる可能性があるばかりか、全国的視野(統一性)に立った運輸事業の円滑な運営の確保を妨げるとともに、極端な場合には空港、港湾等交通関係社会資本の整備につき、地域間で極めてアンバランスとなる事態が現出し(公平性)、我が国経済社会の均衡ある発展を阻害する恐れもある」。これは、地方分権特例制度についての意見を求められた中で運輸省の幹部が答えた言葉でございます。
 繰り返しますけれども、この中で特に「交通問題に対し地方ごとに異なる取り扱いを認めた場合、空港、港湾等の交通関係社会資本の整備が全国的視点(統一性)から計画的に行われなくなる可能性があるばかりか、全国的視野(統一性)に立った運輸事業の円滑な運営の確保を妨げるとともに、極端な場合には空港、港湾等交通関係社会資本の整備につき、地域間で極めてアンバランスとなる事態が現出」すると、そのように言っているわけであります。
 まさに、この言葉こそ自語相違も甚だしいと言わざるを得ません。なぜならば、今私が問題にしております関西国際空港は、空港整備法第三条には「第一種空港は、運輸大臣が設置し、及び管理する」というふうに明記されているのであります。これこそまさに、今の運輸官僚の言った言葉に沿って定められた法律で、趣旨は一貫しているわけでありますけれども、残念ながらその後、この空港整備法には「前項の規定にかかわらず」という第二項が加えられるに至りました。
 本来、第一種空港は国の責任において設置すべきものでございます。運輸省幹部自身が豊かなくらし部会の中での説明で、地方ごとに異なる取り扱いを認めるならば、社会資本の整備が計画的に行われないし、また地域間でアンバランスが生じるし、我が国経済社会の均衡ある発展を阻害するおそれがあると言っている一方で、関西国際空港に関しては関西国際空港株式会社という形で地元に押しつけているのであります。
 よく言われていることでございますが、市民の足となっております路線バスのバス停の移動や新設といった地域の日常的なささいな事柄まで、その許認可権を握って放さない。バス停の移動など、運輸省の人たちに事情がわかるわけはないわけです。これこそ、まさに都道府県知事や市町村長の方が事情がよくわかって、その許認可の適任者だと私は思います。
 一方で、国の基幹的施設とも言うべき第一種空港の関西国際空港の建設につきまして、地元に大きく負担を負わせているという事実があるわけでございます。この第一種空港こそ、国がそのすべてを握って、全責任において設置し管理すべきであると私は思います。
 もちろん、誤解のないようにここでつけ加えておきたいと思いますけれども、山中昭栄総務部長初め和歌山県庁に出向して来られている皆さんは、そんなことはない、地方の実情もよくわかっていただいて、極めてバランス感覚にすぐれた優秀な官僚であると私は信じております。またこれから国へ帰られましても、和歌山のためにあるいは地方のために一肌脱いでくれる方であるというふうに信じてございます。
 今ここで私が問題にしておりますのは、従来から言われていることですけれども、地方分権を求める声に対しまして、省庁によって態度がいろいろあるわけですけれども、特に運輸・文部の両省が権限委譲はすべて拒否だという非常にかたくなな姿勢だと言われております。これは、運輸・文部両省が地方への浸透度が非常に薄くて足場の弱さからくる恐怖心によるものだと、これも先ほどの本に審議委員の一人が述べておりました。
 まだまだ言いたいことがございますけれども、本日の議論のテーマは関西国際空港でございますので、本論に戻したいと思います。
 ところで、最近、関西国際空港を取り巻く報道は非常に悲観的なものが多いように思います。例えば、先般来も服部関西国際空港株式会社社長が述べておられましたけれども、「関西の人たちは『全体構想を応援する』とは言うが、自らはだれも(事業主体となる)選手にならない。今のやり方なら、実現可能なプロジェクトとは言えない。当社は決して"選手"ではない」という形で、全体構想の事業の中で関西国際空港株式会社が主体になるのは難しいということを明言したわけでございます。
 また、全体構想調査費の分担について関西の財界・官界、関西国際空港株式会社の意見がまとまらない姿を見た運輸省は、これ幸いと、「地元に熱意がない」との理由でボーリング調査費の計上を二年続きで見送ったということが報じられております。さらには、このような状況に危機感を持った宇野関西経済団体連合会会長の「調査費八十億円は地元で負担するから国は早期着工の決定を」との発言も報じられておりました。
 このように、関西国際空港をめぐる情勢はまことに厳しく、前途多難を思わせるものがございます。そこで、このようなもろもろの状況を踏まえまして、当局に数点にわたりお尋ねをしたいと思います。
 このようなさまざまな状況を踏まえて、全体構想の実現のために国に対してより大きな力で対抗していかなければならない、特に運輸省に対して強く当たっていかなければならないと思います。関西が財界や民間団体すべてを含んで一体となって取り組みをすべきでありますけれども、関西国際空港のスタートの時点からこの問題にかかわり、今も現職におられるのは、仮谷知事、あなたお一人でございます。あなたがこの全体構想実現の音頭をとって全員を引っ張っていくべきだと、その責任と資格があると私は思います。
 知事はかつて、国内便の確保について「政治生命をかける」と言われました。全体構想実現は国内便の確保と同等もしくはそれ以上の重大問題でございます。知事、あなたは全体構想の実現のために、同じく「政治生命をかける」くらいの決意で取り組んでおられるものだと私はかたく信じております。そこで、この問題について今後取り組む知事の決意のほどをお聞かせ賜りたいと存じます。
 第二に、二年続きで全体構想ボーリング調査費計上が見送られましたが、このことについてどのように対応していかれるのか、お聞かせを願いたいと思います。
 第三に、全体構想調査費は八十億から百億と言われておりますけれども、この捻出について今後の見通しを承りたいと思います。また、宇野関経連会長は地元が負担金を出すことを意思表明したわけでございますが、こうした意思表明を既成事実として、今後ますます運輸省は地元である関西に対してさまざまな負担を押しつけてくるのではないかという心配をいたします。その点についてもお願いをしたいと思います。
 次に、国内便の大幅確保に触れたいと思います。
 関西国際空港の国内線を一便でも多く確保し充実させることは、本県民の利便性はもとより、乗り継ぎによる国際線の需要をも増大させる相乗効果も期待でき、結果的に関西国際空港への航空需要を高め、全体構想の実現を加速させるものであると存じます。
 ところが、大阪空港にアジアなど近距離国際線と現在就航中の国内線の便数を残してほしい、また営業時間も一時間か二時間の延長が望ましい──これは伊丹商工会議所等六団体が航空会社や運輸省に陳情したときの発言でございます。近距離国際線も残してほしいというのは若生正池田市長が発言したそうでありますが、そうしたことが新聞に報道されておりました。「今さらよくあんなことが言えたものだ」と、ある応対した運輸省の幹部は言ったそうでありますが、大阪空港周辺の身勝手さ、不誠実さはこの際不問に付しておきたいと思います。彼らの動きは関西国際空港の国内線の大幅確保に確実に脅威を与え、その足並みを乱す動きであると思います。
 一方、関西国際空港の着陸料の問題ですが、例えばジャンボ機の場合、大阪空港で六十万円、成田空港では九十万円だと聞いております。この両空港でも海外の国際空港をはるかに上回る高さでございますが、関西国際空港の場合はそれを上回ることになるかもしれないとも報じられております。また、アクセス交通の利便性の面を理由に、大阪空港より不便だという声が航空会社や一部の人たちの間にあります。
 以上のようなさまざまな点から、関西国際空港における国内便は、目標の七十便に対して今のところ二十数便しか確保されていないというふうに報じられております。大阪空港周辺の動きはともかく、国内便確保に向けての運動は、純粋に関西国際空港の機能充実を願うオール関西の立場で取り組むべきものであると考えます。この点についてどう取り組むおつもりであるのか、企画部長のお考えを聞かせていただきたいと思います。
 ところで、先般、知事は関西の自治体、経済界、関西国際空港株式会社で構成するポートセールス団の団長として沖縄へ出向かれ、関西国際空港と那覇を結ぶ路線の開設に向け、精力的に活動を行ってこられたと聞いております。関西国際空港への国内便の確保は、大阪空港との兼ね合いなどから関係諸団体の足並みのそろいにくい状況の中ではありますけれども、オール関西によるポートセールスが実施されたことは知事のリーダーシップのたまものだと、そのように推察をいたします。このようなポートセールスが、一回限りではなくて、国内の幹線空港といいますか、重立った主要空港に対して継続的、連続的に行われるよう、知事、今後もぜひともリーダーシップをとっていただきたい、そのように期待をいたします。
 そこで、一回目のポートセールス団団長として実際に参加された知事の感触のほどをお聞かせいただきたい。また、今後のポートセールスの計画等についても聞かせていただきたいと思います。
 次に、紀淡海峡大橋構想についてお尋ねをいたします。
 先日、建設省近畿地建と和歌山県、兵庫県の三者が時を同じくして紀淡海峡連絡道路の現地調査に入ることを発表いたしました。第十一次道路整備五箇年計画においても大阪湾環状道路の一部を構成する道路として位置づけられたところであり、将来的には第二国土軸を構成する一部として重要な位置を占める道路であるわけでございます。もしこれが実現いたしますならば世界一の架橋となりまして、本県における二十一世紀のビッグプロジェクトとして県民の大きな期待が寄せられるところであります。百八万県民の夢がこの紀淡海峡十一キロメートルにかかるのであります。
 我が国のみならず世界にも類例を見ない長大橋となること、また極めて潮流の速い海峡でございますし、外洋に面して風速、風力等が大きいこと等々、技術的に非常に難しい問題を抱え、今後クリアしていかなければならない点が多々存在することはよく存じておりますが、この紀淡海峡大橋の実現は、限界に達している一軸一極集中型国土構造を解消し、二軸双眼構造の望ましい国土形成に資するものとなると思います。第二国土軸上に展開される他の多くのプロジェクトが有効に機能することも考えられますし、西日本経済文化圏の創出にもつながると思います。
 そこで、今予算に一億五千万円の調査費を思い切って計上されたことについて、仮谷知事にこの事業にかける意気込みについて率直なご意見を語っていただきたいと思います。あわせて今回の一億五千万円の調査費に関して、どのような調査を行うものであるのか、土木部長の見解を賜りたいと思います。
 次に、町並み整備、都市景観整備についてお尋ねをいたします。
 明年完成する和歌山マリーナシティを主会場として世界リゾート博が開催されますとともに、関西国際空港の開港に伴い、和歌山市を中心として県内主要都市が今後さまざまな意味で国際化の対応を迫られてまいります。すなわち、国際都市と呼ぶにふさわしい町並み景観、都市景観の向上がそれらに対して求められてくると思います。
 そこで、お尋ねをいたします。第一に、品格と潤いのある、またゆとりのある町並みを創出するために総合設計制度、市街地住宅総合設計制度の活用を強力に推進すべきであると思いますけれども、いかがでしょうか。第二に、県下七市を中心に都市景観条例の制定を促進して各都市のメーンストリートの景観の向上を図っていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。以上二点、土木部長のご見解を賜りたいと思います。
 最後に、企業メセナ(フィランソロピー)について触れてみたいと思います。
 国際経済商学学生協会(アイセック)東京大学委員会が行った「企業メセナ活動に対する学生の意識調査」によりますと、調査に応じた学生の六五%がメセナ(フィランソロピー)について知っており、八五%が企業のメセナ活動の必要性を認めていることが報じられておりました。しかしながら、一般にはまだまだ企業メセナ(フィランソロピー)について理解は進んでおりませんし、これからだというのが実情のようでございます。
 そこで、私も勉強不足でございますし、辞典類からの抜粋で申し上げますと、「メセナ」とは、フランス語で文化芸術活動に対する支援を意味し、ローマ帝国の創成期にメセナスという重臣が文化や芸術を保護したことからきた言葉だそうでございます。
 主に企業は二通りの方法で支援活動を行うとされ、一つは直接的方法で、冠コンサート、冠イベントといった、企業名をつけたいろんな催しに寄附を行うもの、もう一つは、基金を設定して財団をつくり、そこを通して支援を行うという二つの形があるそうでございます。
 また「フィランソロピー」は、英語で慈善の意味、語源的にはフィランソロピーの「フィル」が愛、「アンスロピー」が人類で、まあ人類愛ということになりますけれども、欧米では個人や団体が教育、研究、医療、福祉、環境保全、芸術、そうしたさまざまな問題に対して奉仕活動を行ったり寄附金を拠出する伝統がありますし、企業もこれに直接参加したり、財団などを通じて間接的に参加したりしています。アメリカでは、一九一〇年から三〇年にかけて特にその傾向が顕著であったと言われております。
 有名なカーネギー財団、ロックフェラー財団、フォード財団、ブルッキング研究所などはすべてこの時代に設立をされておりますし、現在は全米企業の二〇%が何らかの形でこの企業メセナ(フィランソロピー)に参加、関与をしていると言われております。また、IBM、アメリカン・エキスプレス、ペプシ、チェース・マンハッタン銀行、モービル、ゼロックスなどは、この慈善活動、企業メセナに非常に熱心な企業だということで知られております。一九八八年の数字でありますけれども、アメリカのGNPの二%に相当する九百三十七億ドルが慈善活動に投じられているそうでございます。
 「億万長者の贈り物」という本がございまして、これによると、アメリカ合衆国の美術館や博物館がほとんど私立で運営をされております。有名なナショナル・ギャラリー・オブ・アートは国立でございますけれども、それ以外は、例えばメトロポリタン美術館、ニューヨーク近代美術館、ホイットニー美術館、さらにはイザベラ・ステュワート・ガードナー美術館等々がいずれも私立で運営をされています。これらはすべてアンドリュー・カーネギー、ジョン・D・ロックフェラー、アンドリュー・W・メロン、ジョン・ピエモント・モーガン、イザベラ・ステュワート・ガードナー等々、一九一〇年から一九三〇年あたりで巨万の富を築いた大富豪の肝いりでできたものでございます。
 その代表的人物の一人、カーネギーホールで有名でございますが、アンドリュー・カーネギーのことについてちょっと引用してみたいと思います。
カーネギーは、若いころから「余剰な富は篤志活動のために使いたい」と決意し、折に触れて「自分が満足できて、心の豊かな暮らしさえできれば、物質的に貧しいことは、必ずしも不幸であるとは限らない」と語っていた。彼の言葉の端はしには、マタイやルカによる福音書にみられる、「貧しいあなたたちは幸せである。神の国はあなたたちのものであるから」といったようなキリストの言葉に共通するものが感じられる。
 しかし、カーネギーの著書『富の福音』を見ると、彼がプルタルコスのたとえ話を引き合いに、金をばらまくだけの慈善は、かえって乞食を増やすことになるとして、その場しのぎの寄付を戒めている事実に遭遇する。困っている人に当座の援助を与えるのではなく、彼らが職につけるように教育を施し、建設的な生き方を示唆するのが現代アメリカに見られる弱者救済の基本理念であるとすれば、アンドリュー・カーネギーこそは、まさに、それを具体的に体系化して実行した人物と言えるのではないだろうか。
 アンドリュー・カーネギーという男が、なぜ、その晩年をフィランソロピーに賭けるようになったのかを考える場合、十九世紀、ヴィクトリア王朝時代に英・米を通じて顕著に見られた禁欲主義、キリスト教的倫理観の支配、資本家の良心によって理想社会を実現しようとした空想的社会主義の影響など、様々な時代要因が浮かび上がってくる。
 しかし、おそらく、その最も直接的な動機となったのは、少年のころに見た、失業したためにすさみきってしまった父親の姿と、待遇改善を求めて荒れ狂う労働者たちの必死の形相が重なったことからくる、資本家となった自分への深い自責の念だったのではないかと思われる。
そういうふうに述べられております。
 我が国におきましても、社団法人企業メセナ協議会が結成をされまして、一九八八年には第三回日仏文化サミット──既に三回開かれておりますが──が開催されるなど、最近活発に活動が進んでまいりました。このほかにも、経団連による一%クラブや芸術文化助成財団協議会、その他各企業の独自の活動として各種財団の活動がございます。
 そこで、お尋ねをしたいと思います。
 これら企業メセナ協議会や芸術文化助成財団協議会、あるいは一%クラブなどに参加している企業は一体どの程度に現在なっているのか、また県内企業はあるのかどうか、また企業独自でメセナ活動を行っているものがあれば、あわせてご報告を賜りたいと思います。
 最後に、最近の企業メセナに関する動きについても同時にご報告をいただき、また地方自治体としてこの企業メセナ(フィランソロピー)に今後どうかかわりどう取り組んでいかれるのか、ご所見を賜りまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
○知事(仮谷志良君) 森議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港の全体構想の実現についてでございますが、お話ございましたように、今、非常に厳しい状況にあるのが現実の姿だと思いますし、また、第一種空港だから国がやるべきだという議論があるわけでございます。
 私もそう思うけれども、さきの第六次の空港整備五箇年計画で示された課題につきまして、関西国際空港全体構想早期実現期成会がございまして、私たち関係知事、市長、財界が代表理事になってございますけれども、あらゆる角度からこれを真剣に検討していかなければならないと感じておりまして、その上に、関西が政治力をもう少し結集しなきゃならないんじゃないかということを痛感するわけでございます。
 現在、直接の地元でございます大阪府を中心に、大阪市、大阪商工会議所、関西経済連合会の首脳により定例の懇談会が設けられており、その中でも関西国際空港問題を取り上げて意見交換が行われておるということを聞いておりまして、非常に力強く思うし、期待もしておるわけでございます。
 いずれにしても、全体構想の早期実現につきましては、関西の政界、経済界、官界の総力を結集して取り組んでいかなければならないと思っておるわけでございまして、こうした面において私も努力させていただきたいと思っております。
 それから、関西国際空港についてのポートセールスでございます。
 国内線の確保を難しくしている原因の一つに、私は関西国際空港のPR不足ということが問題点ではないかと思っておるわけでございます。これを解消するために、出資しておる地方公共団体十二団体、商工会議所、関西経済連合会、関西国際空港株式会社が一体となってポートセールス団を組織し、第一回として、去る二月十二日に私が団長となって沖縄を訪問してまいったところでございます。
 沖縄におきましては、各界各層の方々とレセプションを開催するとともに、沖縄県知事、経済界代表者、沖縄総合事務局長等を訪問し、関西国際空港の持つさまざまなメリットについて紹介を申したわけでございます。すなわち、今度できる泉南の関西国際空港は日本の空港の中でも一番すぐれた空港なんだ、二十四時間空港なんだ、そしてまた国際便と国内便の乗り継ぎについては、成田のようなものではない、階段を上りおりするだけで国内線、国際線に移れるんだ、また、泉南の関西国際空港というとへんぴな交通不便なところのように思うかもしれないけれども、伊丹のようにリムジンバスや車だけではなしに、JRも南海電車もあるし、高速道路も近畿自動車道紀勢線と湾岸道路の二本あるんですよ、海からは神戸から船で来られるんですよというふうに申し上げたわけでございまして、沖縄におきましても相当な理解が得られたと思います。
 ただ、向こうへ行って感じましたことは、関西国際空港ができる前と現在と大分事情も変わっておるということでございます。その第一点は、日本の各地方空港が国際空港化し、九州地方ではもうほとんど国際空港になっておる。韓国や香港、シンガポールへ飛んで、そこから連携しておる。成田には必ずしも行かない。また日本海の方では、ロシアとの航空路線をつくっておる。そのように大分変わってきつつございます。そしてまた、航空不況というものが非常に厳しく、日航や全日空の支店長等に会いましたけれども、そうした感じがひしひしとしたわけでございます。競争相手がふえてきておるなということも実感した次第でございます。
 そうした点から、今後ともなお一層関西国際空港を積極的にPRしていかなきゃならないんじゃないかと思うわけでございまして、今後、このように四者が組んで行うポートセールスを北海道と福岡でやる計画になっておるわけでございます。
 それから、紀淡海峡連絡道路の実現について県はどう取り組むかということでございます。
 私は、このたびの現地調査は非常に喜ばしいことであり、また頼りにしておったことでもございます。これは、これまでの第二国土軸構想推進協議会のご努力、また県議会の皆さんのご努力、また紀淡海峡交流会議を設立して国等の関係機関に積極的に働きかけてきた大きな成果だと思っておるわけでございます。
 お話のとおり、この道路は本県にとって二十一世紀のビッグプロジェクトであり、本県のさらなる活性化につながるものだと感じておりまして、その実現のために調査費を計上させていただいたわけでございまして、積極的に取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 関西国際空港に関連するご質問にお答えをいたします。
 まず、関西国際空港の全体構想に関するボーリング調査及び調査費の問題についてでございます。
 関西国際空港の全体構想に関する調査については、議員ご指摘のとおり、ボーリング調査が運輸省の概算要求に盛り込まれながら見送られるなど非常に厳しい状況でございますが、一方、全体構想を推進する上で非常に重要な資材供給調査等が認められるなど、一定の前進がございます。今後も、ボーリング調査を含め、全体構想の実現に向けて必要な諸調査を国と関西国際空港株式会社において引き続き進めていただけるものと存じますが、所要の調査費の獲得に向け、関西挙げて強力な支援体制で臨んでいかなければならないと考えてございます。
 次に国内便の確保についてでございますが、関西国際空港株式会社が設定している七十便の確保につきましては、議員お話しのとおり、非常に厳しいものがあると聞いてございます。このことは、大阪空港の存続、着陸料金の問題、飛行経路の問題、さらには関西国際空港の利便性に対するPR不足等、さまざまな要因が考えられますが、極めて深刻な昨今の世界的な航空不況が大きな要因ともなってございます。
 また、議員ご質問のように、大阪空港周辺一部関係者の中で種々の議論がなされているようでございますが、運輸省におきましては、関空建設の経緯を踏まえ、開港時には大阪空港のジェット機の離発着枠百回分を関空に移すとともに、国際線の一元化はもとより、国内・国際のハブ空港としてふさわしい国内主要路線の設定に向けて協議検討が続けられると伺ってございます。また、国内便についての課題の一つである着陸料につきましては、少なくとも大阪空港と同じレベルにしていただくよう、国初め関西国際空港株式会社に要請してまいりたいと存じます。
 本県といたしましても、県議会のお力添えをいただきながら、引き続き国初め航空会社に対して、東京便はもとより全国の主要都市と数多くネットワークされるよう強く要請してまいりたいと存じます。
 次に、ポートセールスの今後の計画についてでございます。
 先ほど知事から答弁いたしましたように、関西国際空港への国内便確保の一つの方策として、関係自治体、経済界、関西国際空港株式会社が一体となってポートセールスを実施してございます。
 第一回は、本県知事が団長として沖縄を訪問したところでございますが、第二回としては、来る三月二十五日に大阪商工会議所の安倍川副会頭を団長として札幌に訪問する予定でございます。また第三回としては福岡を予定してございまして、いずれも沖縄同様、よりよい成果が挙げられるよう参加団体と一致協力し、関西国際空港のPRを行ってまいりたいと考えてございます。
 今後とも、関係自治体、経済界とも協力しながら、また本県独自においても県議会のお力添えをいただきながら、関係府県に対してポートセールス活動を行い、関西国際空港への国内便の確保に向けて積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 まず紀淡海峡大橋の調査費の件でございますが、このたびの紀淡連絡道路調査については、紀淡海峡の幅が広く、現在世界最長である明石海峡大橋をさらに上回るということから、技術的に架橋が可能かどうかを判断するための現地調査でございます。国及び兵庫県、和歌山県が連携して数年をかけて調査を進めることとし、県は主として現地におけるデータの収集を行い、国はそれらを受けて技術的、経済的検討を行うということとしております。
 現地での調査項目としては、気象、海象、地形、地質、環境等でございます。具体的には、気象については風向、風速、地震の観測、海象については潮流、潮汐等の調査、環境については環境アセスメントに必要な種々の現況調査となってございます。
 それから、都市景観、町並み景観の整備についてのご提言についてでございますが、まず総合設計制度、市街地住宅総合設計制度の導入でございます。
 市街地の町並み形成に当たり、建築基準法に基づく総合設計制度は、敷地内に広場、公園等に準ずる空地を提供していただくとともに、容積率等を緩和して土地の有効高度利用を促すというものでございまして、効果的な制度と考えております。
 本県でも既に二カ所実施されておりますが、今後、市街地住宅総合設計制度も含めて、中心市街地を重点として積極的な活用を図っていく必要があると考えております。この制度は、市街地環境の整備改善を図る上で民間の建築活動を計画面で誘導していこうとするものであります。したがって、建築を予定する建築主及び設計者の理解と協力が必要でありますので、制度のPRに努めるとともに、和歌山市及び関係機関とも十分協調しつつ制度の活用を推進してまいりたいと存じます。
 次に、都市景観条例の制定でございます。
 都市の幹線街路の整備を進めるに当たり、都市が持つすぐれた自然の景観や都市の軸となる道路の景観、また大規模建築物に対する市街地の景観等に配慮をして町の発展と調和を図ることは、二十一世紀を目指した質の高い町づくりにとって欠くことのできない重要な要素であると考えます。
 県下においても、風致地区内における道路の整備において景観に配慮をしたり、地区計画や建築協定制度の活用により、建築物の形態や色彩に統一的な手法を用いることなどによって一定の効果が見られるところでありますが、さらに推進をするためには都市景観条例等の制定は有効なものと考えます。今後、関係市町や専門家のご意見も十分にお聞きしながら、条例等の可能性について探ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 知事公室長市川龍雄君。
 〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 企業メセナ協議会の概要でございます。
 社団法人企業メセナ協議会は、平成二年二月に加入企業六十社により設立され、平成四年十二月現在では正会員百七十九社、準会員三十八社、合計二百十七社が加入していると聞いてございます。当協議会の主な活動でございますが、企業による芸術文化支援についての啓発普及を初め、文化団体からの対企業要請の窓口、海外の同種の団体との交流など、幅広く活動されてございます。
 次に芸術文化助成財団協議会は、昭和六十三年十一月に設立され、現在十九の財団が加入し、加入の各財団はそれぞれ国内外の芸術文化活動を助成し、我が国の文化の向上発展に寄与されてございます。
 また一%クラブは、企業の経常利益の一%を文化支援を含めた社会貢献活動に充てることを目的に、社団法人経済団体連合会が提唱した企業クラブで、国際貢献など幅広い分野で情報の交換、提供が行われてございます。
 なお、本県に所在する企業の加入状況については、県内に工場、支社、営業所等がある企業が五十一社加入していると伺ってございます。
 次に、独自のメセナ活動を行っている事例については、芸術文化助成財団協議会加入の各企業が設立した財団が、それぞれ独自にまたは共同で地域文化活動を支援してございます。本県では、平成三年度に紀伊の国オペラ実行委員会が東洋信託文化財団から、平成四年度には木の本獅子舞保存会外二団体が花王芸術文化財団、東洋信託文化財団及び第百生命財団から助成を受けてございます。
 地方自治体としての企業メセナ、文化芸術支援の取り組みについてでございますが、メセナ活動が継続して繰り広げられることが芸術文化創造の新たな活力を生み出す大きな支えでございますので、今後も企業の積極的な支援活動を期待してございます。また、県単独の支援施策として、国民文化祭を初め県民文化祭参加団体等に対して、従前より助成を行ってございます。
 今後も、県民が文化活動に参加し、また芸術文化に接する機会に恵まれ、心豊かに質の高い生活が送れるよう、国、県、企業、芸術文化団体がそれぞれ連携し、協力し合って芸術文化振興を推進してまいるとともに、現在県で進めてございます熊野学研究センター構想のように地域の活性化体制を文化的な視点からとらえるなど、幅広い視野からの文化行政を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 42番森 正樹君。
○森 正樹君 時間もございませんので、簡単に申し上げたいと存じます。
 まず、関西国際空港問題につきまして。
 知事、ぜひ全身全霊をもってこの問題に取り組んでいただきたい。「政治生命をかける」と過去に言われました。我々議員も、ここにいらっしゃる先輩・同僚議員の諸先生ほとんど皆さんが同じ決意で、この和歌山県勢、和歌山県益発展のために取り組んでいただけるものと確信をしております。今ここで賛否を問うわけにはいきませんが、恐らくほとんど全員が賛成をしていただけるのではないかと思います。知事一人に責任を負わせて我々は逃げるようなことはない、ともに政治生命をかけてこの関西国際空港全体構想の実現と国内便の大幅確保に取り組んでいきたい──もちろん微力でございますけれども、そのような気持ちでいっぱいでございます。
 どうか県政百年の大計を過たないように、我々が後世の者から何をしておったんだと言われないように、今一番重要なときでございますし、この問題に全力で取り組んでいかなければならない。そういう意味で、ぜひとも知事のもう一層のご奮闘をお願いしたいと思います。
 それから、ポートセールスにつきまして、福岡、札幌で行われるそうでございますが、ほかにも我が国には主要空港がたくさんございます。例えば、根室、釧路、仙台、新潟、青森、さらには九州の方へ行きますと長崎、熊本、鹿児島とか、たくさんございますし、可能な限り、そのような地域へ行ってポートセールスをしていただきたい。もし協力せよと言われれば自費ででも参加さしていただきますので、どうぞおっしゃっていただきたいと思います。
 最後に、企業メセナについて若干申し上げたいと思います。
 先ほどもちょっと触れましたけれども、一九八八年に行われました第三回日仏文化サミットの席上で、共同議長を務められた永井道雄さんが──朝日新聞の客員論説委員です──このサミットの日本側の議長として、最後のまとめとして次の六つのポイントを言われております。
 一、財源、税制改革の問題。
 二、文化庁の文化に対する報告書を白書といった権威あるものにして、国、自治体、企業の協力関係で文化がどのぐらい伸びたかを明らかにすること。
 三、文化運営者を尊重し、その社会的保障や権利を確立すること。
 四、官僚的な形ではない基本法、原則の整備を検討すること。
 五、これまで経済的視点で見てきたあらゆる行政を文化的視点で見直し、企業を軸とするメセナ育成のための協議会などを設けること。
 六、国際的交流の必要性。
 このように述べられております。
 それで、一部に「自治体が企業メセナ(フィランソロピー)にかかわるのは非常にまずいのではないか」ということを言う人があります。私は決してそうではないと思います。
 例えばこの文化サミットの中でも、ジャック・サントロさんというフランスのポワチエ市の市長さんは、このように言われております。
 「フランスでの地方公共団体の役割について話したい。これまでに言われたようにわが国の文化資金調達では国家の役割が大きいのが特徴だ。それとともに地方自治体の援助も見逃せない。これは、教育、美術や音楽の学校、文化財保護、創作活動への援助など国と同じくあらゆる分野に及んでいる。(中略)文化予算は義務的支出でないから自治体の全く自由な判断でなされることもまれではない。(中略)ポアチエ市では、過去一年間に市予算に占める文化予算は九%から一五%に増えている」と、実に市予算の一五%をこうした点に注いでいるわけでございます。
 我が国の場合はまだ緒についたばかりでございますから、まだまだこれからですけれども、これは決して行政が手をこまねいていていい問題ではない、やはり今後重大な問題として取り組んでいただきたいということを一点申し上げまして、いずれも要望でございますが、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時一分休憩
 ──────────────────
 午後一時四分再開
○議長(馬頭哲弥君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番堀本隆男君。
 〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 お許しを得まして、早速、質問に入らせていただきます。
 私ごとで大変恐縮でありますが、県会議員になって間もなくのころであります。私が尊敬する大先輩の政治家に、県会議員として、政治家としての心構えをお伺いしました。「教えるほどの資格もないが」と言われながら、「『足して二で割る政治かな』と、昔、大野伴睦氏が言ったとか言わないとか話題になったことがありました。今の政治はそんな安易なものではありません。やはり政治家は理念と哲学を持たないといけません。金集めと票集めに走る政治家の多いことは嘆かわしいことであります。厳しいようですが、あなたも県庁を出たのですから、県民のサイドに立った立場でもう一度県政を勉強し直し、確固たる信念とビジョンを持ってほしい。そして、当然のことではありますが、県議会の役割は行政機能のチェック機関であります。歯にきぬを着せぬ直言があなたの使命と思ってほしい。二つ目は、県会議員は広く県民の声を集約し、県行政に反映させることが大切であります。そのためには郡内をよく歩くことです」と、そして政治家としての幾つかの行動規範を教えてくれました。
 なぜ冒頭にこんな思い出話をいたしたのかと申しますと、本日の質問内容について若干厳しいものがあれば、こうした考え方が私のベースになっているのだとご理解を賜りたいのであります。
 それにしましても、先日の紀の国大使の発言のうち、和歌山県を「眠れる森の美女」と評したことは、私の住む紀南でも、新聞を読んだ識者の間でちょっとした話題となっております。いつになったら雄々しい獅子になるのかと。そして、若い人たちに私は質問を受けました。今県勢は発展していると言えるのかどうかと。
 紀南に住む若者の一つの実感として、「紀北では関空や高速道路の整備に合わせ、マリーナシティを初め頭脳立地構想や国道・県道の改修、図書館、美術館その他多くのプロジェクトが次々に建設されていく。県都としては当然かもしれない。確かに、そうした面で県は懸命に頑張っていることは認めます。しかし、こうした社会資本の整備が産業の発展とうまくつながっていると言えるのかどうか。社会資本整備政策と同時に、産業政策にももっと力を入れてほしい。若い人たちが県勢が発展していると言うのは、産業政策の結果として県民の懐が暖かくなった、豊かになってきたという実感を指して言っているのであって、自分にはその実感がない。特に農林水産業を主産業とする紀南ではその感じが薄いと言わざるを得ない」、と主張するわけであります。
 さて、本論に入りたいと思います。
 配付のありました「平成五年度予算の概要」を読みますと、商工労働部にマル新・産業活性化ビジョン策定事業七百九十八万四千円が計上され、そして説明に「内外の著しい経済環境の変化の中で今後の本県経済の持続的発展を確保するため、中長期的かつグローバルな視点に立って県経済を展望し、取り組むべき施策の指針となるビジョンの策定に要する経費」とあります。聞いてみますと、十年前、昭和五十七年に策定した和歌山県産業構造長期ビジョンが八〇年代を対象としていたために今回改定しようとするものであるとのこと。経済警察委員会においてこの改定を主張してまいった一人として、県の積極姿勢を評価したいと思います。どこの府県においても、産業構造長期ビジョンは行政や産業界、民間にとって産業政策のバイブルであり、今や二十一世紀へのかじ取りにとって不可欠の指針であります。
 そこで、お尋ねいたします。
 一、知事は改定されるビジョンについてのグランドデザインをどのように描いておられるのか。去年の新春記者発表の「二十一世紀の和歌山県の姿」を考えておられるのかどうか。私はこれはよく描けていると思います。
 二、改定作業は平成五年度中に完成するものか。
 三、今回のビジョンは九〇年代に対応するものか、二〇一〇年までを目標とするものか。
 四、県長期総合計画や地場産業振興ビジョンとの整合性について。
 今、日本の産業界は長引く不況がさらに深刻度を増し、リストラクチャリング(事業の再構築)のあらしが吹き荒れてまいりました。中でも、日産自動車座間工場の閉鎖と五千人の削減計画は衝撃的な発表であり、企業城下町の混乱は察するに余りあります。東洋紡の三千人一時自宅待機、NTTの九六年までに一万五千人削減、昨日の住友金属の三千人の削減発表など、連日のように新聞紙上で大・中・小企業の別なくリストラ計画が出され、企業内失業は百万人に上ると推計されてまいりました。右肩上がりの成長を信じ、バブル経済のピーク時に過剰設備投資と人員増を行った企業ほど、そのツケが厳しいのであります。特に、超高級化商品を目指した企業が、バブルの崩壊後、深刻な販売不振に陥っております。
 著名なエコノミストは、「今、日本の産業界の取り組んでいるリストラは、人員削減、合理化など、後ろ向きである。目指すべきリストラは、日本が世界の先端を走り続けるための創造的な技術開発など前向きであるべきだ。バブルピークの最中にシェア確保のために量産テクノロジーに走ったとがめが出てきた。欧米では十年前にこれを経験して企業体質を改善している。量産に走るやり方は開発途上国にすぐ追いつかれる。高い質を求めよ」と。
 またアメリカのアナリストは、「十年前のアメリカがちょうど今の日本と同じだった。高価でハイグレードな車の生産競争に走り、例えば同一車種で七十、八十ものハンドルをつくる。むだで過剰な設備投資に陥った結果、日本の安くてシンプルで性能のよい車にたちまち追い越され、ビッグスリーなど全米各地の工場が閉鎖の憂き目に遭ってしまった。失業のあらしに見舞われた。今、アメリカの自動車産業はこれらの経験を踏まえ、経営改善に努め、もう日本に負けなくなった」と言い始めております。電気、精密機器、その他も例外ではありません。
 ところで、本県の景気の現況について商工労働部長にお尋ねします。
 先日発表された日銀の短観では景気は一層その深刻度を増したとありましたが、本県のトータルな景況感並びに特に厳しい業種とその深刻度、つまり倒産企業数、一時休業企業・休業工場数、人員削減を打ち出した企業等の実態を教えていただきたいのであります。
 さらにお伺いいたしたいのでありますが、去年行われました事業所統計調査(全国版)を見ますと、事業数の増加は二十五県、減少は二十二府県、本県はマイナス三%で全国四十五位であります。特に製造業と小売商業の減少が著しい。ここ数年来、県当局の大変なご努力で企業立地は著しく伸びているのでありますが、総数で減少するのは立地企業数以上に消滅する企業数が多いということになるのかどうか、お尋ねしたいのであります。もしそうだとすると、今後の対策についてどのように考えられるのか。このままでは、本県の製造業は衰退の一途をたどると言わざるを得ません。
 次に、産業構造長期ビジョンと長期総合計画とは密接な関連性があります。今回の改定に当たっては長計の動向を踏まえ将来推計を求めることとなりますが、国勢調査並びに先日発表された平成二年度の県民経済計算や工業統計がベースとなります。
 そこで、企画部長にお尋ねします。
 第四次長期総合計画における社会経済の将来見通しのうち、まず人口についてでありますが、長計では基準年の一九八〇年に百八万七千人が二〇〇〇年には百十五万二千人を見込んでおり、一方、厚生省人口問題研究所では二〇〇〇年に百三万九千人と推計して、相当な乖離があります。現時点で二〇〇〇年に何万人を推定しておりますか。
 同様に、県内総生産について一九九〇年の目標値と実績値の比較、及び二〇〇〇年に目標値の達成が可能かどうか。同様に、工業出荷額、一人当たり県民所得についても、それぞれ一九九〇年における目標値と実績値の比較、二〇〇〇年における目標達成の可能性についてお教えいただきたいのであります。さらに、土地利用のうち工業用地についても一九九〇年における目標値と実績値との比較、並びに二〇〇〇年に目標の達成が可能かどうか教えてください。特に、二〇〇〇年の見通しについてはシビアに大胆にお示しください。
 さて、以後は要望にとどめたいと思いますが、現行ビジョンを検討して感じますことは、よくまとめてあるのですが、デスクプランであります。他の県に持っていって県名を変えれば使用可能で、県下各地域ごとの将来展望が不足しております。野村総研一社の意見と受けとめられます。そして策定委員会のメンバーも、県内の方ばかりで構成しておりますが、国際社会における産業政策を論じ得る有力エコノミスト、例えば石井威望、堺屋太一、唐津一先生などもぜひ加えてほしいと思います。
 企業誘致に力点を置くと同時に、地域内からの産業おこしの可能性も模索が必要であります。これは、紀南地域に特に目を向けていただきたい。当然に、国際化に対応したグローバルな産業政策の掘り下げも必要と存じます。
 地域開発に当たっては、高速道路の延伸に伴うインターチェンジをきかした工業団地、企業誘致の戦略を積極的に盛り込み、行政投資も、県のみでなく市町村の果たす役割の大きいことを自治省も認めており、その方向や、さらに厚生省が提案している福祉機器、保健医療機器の日本の開発のおくれに対する支援等、近未来産業も多くあります。
 先日、大阪府泉南地方へ参り、三つのコスモポリスの実態を勉強してまいりましたが、バブルの頂上期に目いっぱいで買収した造成土地の売却予定価格が坪約百万円になると聞き、企業誘致の進まない理由もわかりました。本県が紀の川流域で造成する工業団地は、これから景気の回復に伴い臨空産業地帯として大きく伸びるだろうと感じてまいった次第であります。
 時代は大変難しくなりました。単に複合不況のみでなく、国際競争が激しくなる中で、日本企業がこれまでに体験したことのない産業改革のうねりとサバイバルをかけて行うリストラを本県でどのように乗り越えていくか、当局のスタッフの皆さんに力作をお願いしたいのであります。特にお願いしたいことは、決してつくってすぐ戸棚にしまわないで、座右の銘になるよう、庁内の総知を結集していただきたいのであります。
 なお、余計なことでありますが、先日読みました近畿通産局が去年策定した「二十一世紀に向けた近畿地域の望ましい産業構造のあり方に関する調査報告書」は、すぐれて参考になりましたので、ご紹介いたします。
 さて、次に市町村民所得統計の作成についてであります。
 一昨年十月、神戸市におきまして全国過疎問題シンポジウムが国土庁、兵庫県、全国過疎地域活性化連盟の主催で開催されました。私も出席して、心打たれる話が多くありました。
 まず、基調講演に立った東京大学の大森教授は、東京一極集中問題に触れ、「国鉄当時からの上り・下りの考えを脱却し克服しなければならない」とアピールしております。次に格差について、「その発想の転換が要る」として、次のように述べております。「是正という言葉が必ず後について出てくるが、そうではなくて、違いを格差と考えるか個性と考えるかであって、個性と理解して誇りと思うことが大切で、格差という弱点を克服できるのではないか」。さらに意識の問題に触れ、「東大にも留年生が多い。幾ら勉強してもできない人と、怠慢による場合があり、こうした人は除籍処分にすることがある。新過疎法で調査に回った際、地域の人々に本音で伺うと、『本気でやっていない。留年している』と白状した。これは、本気でやれば卒業できるのであります。さらに、従来の国の役人が一番で県がその次、市町村の職員は三番目と思っているのは間違いで、町村にすごいと思う人がおります。この人たちは何を考えているかといいますと、一つは自分たちの働いている町は自治体としてどんな町か、地域をどんなふうに見ているか、つまり、あんなことは役場の連中が勝手にやっていることで、おれたちは知らん、これでは住民の心から遠い役場になっている。地域づくりは遠くなってはできません。住民が町に金を出すという考えに到底ならないのであります」。最後に、「市町村は末端機関ではなく先端機関であり、国の政策をおろしていく最終の窓口ではなく、市町村こそが地域の課題を見つけ出し取り組んで政策化させる先端機関であるという認識の転換が必要で、その意欲と力量が問われている」と。
 さて、パネラーの一人、兵庫県の貝原知事は、「週休二日制が定着し、心の豊かさが問われる中で、生活圏が広がり、都会と過疎地の交流がますます重要になってくる。ふるさと創生一億円のように、過疎地が自由に使える交付金制度の新設を政府に要望していく」と、意向を表明しておりました。
 兵庫県氷上町在住のドイツ出身の高木モニカさんは、「明治維新時には世界の過疎地であった日本は、壮大な村おこしで短期間に脱却した」と歴史について触れ、「ドイツ人の多くは、田舎の自然の中で今バカンスを過ごしております。つまり、けちけちバカンスをします。都会人の自然志向が強まってきた日本でも、過疎地が注目されるようになる」と、過疎地の持つ豊かな自然にポテンシャルを見出し、本物の自然志向ブームの到来を予測しておりました。
 山形県の横山万蔵・西川町長は、豪雪地で町民所得が県内最低だった西川町を県内六位にまで引き上げた経過を説明し、町長就任と同時に掲げた目標を「町民所得の県下最下位からの脱却」とし、役場の職員を頭脳集団としてフルに活用し、豪雪を逆手にとって夏スキーで五十万人の客を集め、月山の自然水を売り出したのであります。それらが当たったわけでありますが、「何々がないからだめだ」の発想ではなく、都会にないもので、ここでなければできないものを考えて実行した。今では町に不相応な立派な病院と体育館もできた。半年間、雪の中にいる住民の健康を第一に考えたからで、今では県内一の長寿村になっております。
 以上が、全国過疎問題シンポジウムでの主な発言であります。過疎問題については改めて論議しますが、私は山形県の西川町長の発言に注目したいのであります。それは、町民所得県内最低からの脱却を合い言葉にしたということであります。
 経済企画庁経済研究所の資料を見ますと、市町村民所得統計の整備を行っている府県のうち、府県が市町村の分を計算しているところは十九県、府県と市町村が共同で計算しているところ、市町村が主体的に計算しているところなどがあり、全く実施していないところは和歌山県ほか三県であります。
 今、和歌山県は「一〇〇の指標からみた和歌山」という立派な資料を出しております。人口、労働者数、県内総生産、一人当たり県民所得など、百の指標についてそれぞれ各都道府県順位をあらわして、本県を客観的に見ることができるよう県民に提供しております。さらに、市町村編を登載し、県内の市町村順位を並べ、自町の置かれた位置が直ちにわかるようになっており、市町村議会議員や活用している県民に大変好評であります。
 そこで、いま一歩踏み込んで、市町村民所得統計を県主導で整備してほしいのであります。民間からは個人所得指標という本が出されており、全国の市町村ごとに全国の平均所得を一〇〇とした自町のウエートと順位が出されておりますが、その算出方法にやや疑問点もあり、ぜひ県の策定をお願いしたいのであります。所得統計のみが生活の豊かさをあらわす唯一の指標ではありませんが、一つの目安になると考えられます。策定準備に約二年間かかるそうでありますが、当局のお考えをお伺いしたいのであります。
 次に、大規模沖合養殖プラントの導入についてであります。
 さて、私は昨年三月の当初県議会の一般質問において、大規模沖合養殖プラント「アクアシステム」を国の補助事業として採用するよう水産庁へ働きかけてほしい旨、お願いをいたしました。その際、同時に、マグロ養殖のモデルプラントをなぜ本県でやらないのかとお尋ねしましたが、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約の締約国会議が京都国際会館で開催された際、マグロについて取引の原則禁止もしくは輸出許可書が必要とする措置をスウェーデンが提案し、結局これを取り下げたのでありますが、水産庁においては将来の需要に備えてクロマグロの養殖をモデル的に行うことを決定し、黒潮の流れる暖かい太平洋岸の六県に打診の上、最終的に鹿児島県でこれを実施したのであります。本県では串本を中心に検討されましたが、組合側では、このような大規模マグロ養殖は初めての試みであり、役員会で検討の結果、種苗の確保、技術者の確保、採算性を考慮し実施を見送った旨、農林水産部長から答弁がありました。記憶に新しいところであります。
 このマグロ養殖プラントにさらに改良を加え、近代的に装備した先端漁業がアクアシステムであります。長崎県野母崎でノルウエーのパテントを生かし、長さ百十二メートル、幅三十二メートル、甲板までの高さ二メートルの堂々たる船型の養殖台船で、生けす十基に目下、高級魚シマアジを飼って努力を重ねております。一基七億円から八億円という高額なものであるだけに、これを産業基盤として位置づけていただき、国の構造改善事業として補助対象に採択をお願いしたわけであります。
 幸い、農林水産部長の答弁は、「県といたしましては、つくり育てる漁業を振興する観点から、養殖漁業の振興を積極的に図ってまいっており、沖合養殖の導入はまことに重要であると認識しております。また、アクアシステム等大規模な養殖システムもその一つの方策として大変有効であると考えてございます。いずれにいたしましても、海洋の活用は漁業振興のみならず地域の活性化にとっても重要であると認識しておりますので、国の補助事業への採択などの財政支援はもとより、技術指導等についてもなお一層努力してまいります」と、力強い回答をいただいたわけであります。
 沈滞する沿岸漁業の振興にと野母崎まで視察に行ってまいった串本漁協組合長ほか私どもは、大喜びをいたしました。そしてその後、水産庁やパテントを有する住友金属、実験操業中の大洋漁業へも再々出かけ、その実現方を伝えてまいりました。県水産課も極めて熱心に応援してくれ、水産庁も串本湾がその適地であることも認め、平成六年から始まる第四次沿岸漁場整備開発計画に向けて検討してみたいというところまでまいったわけであります。いま一歩のところであります。
 そして、他府県に先駆けてこれを本県に認めてもらうためにも受け皿づくりが不可欠とのアドバイスもあって、平成五年の予算で県にこれが調査費の要求をお願いいたしました。県が百万円、町が百万円、組合が百万円の調査事業であります。なぜ、県、町、組合がそれぞれ金を分担するのかと申しますと、県も町も組合も一体となって取り組むという姿勢を国に示すことが大切であるからであります。そして、県から見ましたとき、何もかも県におんぶするのでなく、町と組合が自主的、自立的にこの事業に取り組む覚悟も示したところであります。
 ところが、最終的にこの県の百万円の予算が削られました。一体なぜでありましょうか。組合長は、平均年齢六十四歳という高齢者漁業の限界を憂い、かつ低収入の実態を考えて、若い技術の進んだ漁業者の導入を図るためには沖合養殖は不可欠との信念で、この事業に向き合っております。最初のモデル事業が成功しますと、次々に自力でもふやす覚悟を持っているようであります。せっかく地元で盛り上がっている火を消さないでほしいのであります。町長も、組合幹部の多く出席する会合で積極支援を約束しております。知事も、本県の発展の一つの方向は海の活用にあると常々語られております。今回予算化されなかった理由はもっと大きな視点での配慮と判断があったと思うのでありますが、この沖合養殖事業は沿岸漁業の先端産業、ニューフロンティアであります。この際、大きな決断をお願いしたいのであります。
 次の点について農林水産部長にお尋ねします。このような地元の熱意を酌んでいただき、ぜひ積極的な対応をお願いするところでありますが、国に対し積極的に働きかけていただく等、今後どのように取り組んでいただけるか、県の考え方について意のある答弁をいただきたいと思います。
 次に、トロピカルフルーツガーデンを大島に。
 まず、平成五年度道路予算に大島架橋関係費を多く計上していただきましたこと、串本町民の一人として多くの皆さんとともに大変うれしく、知事初め当局の皆さんに深く感謝する次第であります。ありがとうございます。
 こうした架橋の動向を見て、町内の有志の皆さんが相集い、串本町里造都(リゾート)クラブをつくりました。「里造都」とは、里をつくって都となすの意であります。一昨年暮れにスタートし、約三十人が月一回ないし二回集まりまして、串本町のリゾート基地をいかに進めるか、ボランティアで毎回出席してくれる大阪在住のコンサルタント社長や民間企業の方も参加してくれ、熱のこもった論議が交わされております。
 紀南の地にあって、間近になった関西国際空港時代の到来や、高速道路の紀南延伸、新白浜空港のジェット化が、漠然とではありますが紀南も開けてくる体感となって、未来への期待が高まるのだと思います。行政が進める社会資本の整備の果たす役割は極めて大きいと思います。
 それに加えて、串本町が今リゾート元年と銘打って取り組んでいるふるさと特別対策事業が順調に進展し、総合スポーツ施設、分譲宅地、ホテル建設用地もほぼ完成して、ロイヤルホテルの進出も決定したことや、ふるさと創生一億円事業で掘削した泉源から摂氏四十度、毎分四百リットルの温泉が湧出したこともあって、地域開発への関心が高まってまいりました。
 一方、串本町の人口は今もって減少の歯どめがききません。若者の流出は、例えば串本高校卒業生約三百人のうち町内就職は十数名で、その大半は大学等への進学と都市への就職であります。つまり、町内に就職すべき産業がないのであります。もともとの地場産業である農林水産業は就業者の高齢化もあって衰退の一途をたどっており、わずかに観光産業が頑張っている現況で、ここ十年来、雇用力の高い企業誘致はほとんどないと言えます。山が迫って平地が少なく、地価も意外と高く、京阪神からの交通体系の未整備が新しい産業の立地を阻んでいるわけであります。
 したがって、町民所得も低下をたどっており、町民の購買力の減少で町内の商店街の歯抜け現象が著しくなってまいりました。過疎の進行は農林水産業にとどまらず、今や商店街に目立ってまいり、私は第二段階に入ったと思うのであります。こうしたことから、新たな産業おこしをしない限り、町の未来に夢と希望がなくなると深刻に考え始めております。
 幸いにも、リゾートやバカンスブームの影響で、しかも実質的な労働時間短縮の効果もあって、バブル経済の崩壊、景気低迷の中にあっても昨年の観光客は若干増加しており、串本町内の名勝地、橋杭岩や潮岬灯台、串本海中公園はにぎわっており、海中公園へは昨年四十九万人の来客がありました。
 大島架橋が実現しますと、大島の中に新たな魅力を加えることで紀伊半島周遊の観光バスは相当数入島することが予測されます。その新たな魅力施設は何かを検討しているのが、串本里造都クラブであります。新しい産業としての位置づけと雇用の増大を図り、新たな国際交流の拠点にまでならないかと考えております。
 ご承知のとおり、大島はトルコ軍艦エルトグロール号の遭難碑やトルコ記念館、アメリカ艦船レディー・ワシントン号の日本初渡来を記念した日米修好記念館などがあり、これらを総合したテーマパークのようなものを検討中であります。まだ実現するかしないかは全くわかりませんが、実現の可能性も踏まえて努力をしている最中であります。
 さて、前置きが大変長くなりましたが、里造都クラブの検討会の中で、大島は大変暖かく冬に霜もおりない恵まれた自然条件を活用し、紀北の岩出町にある緑花センターのようなものを紀南の緑花センターとして大島に造成してもらえないだろうかという声が出ました。既に京都大学の植物園があります。ただし、ここは雑草の研究が主であります。これに県の緑花センターや串本農協の花の試験地などをつくることで、さらに島民の方々が沿道に花を多く栽培してもらえば、すばらしい花の島になるということであります。
 こうした検討の最中に、たまたま私の友人であります県果樹園芸試験場の研究員からすごい提案が示され、一同感じ入り、大島架橋と同時にオープンできるよう県にお願いできないかということで、質問させていただくわけであります。
 提案のテーマは、トロピカルフルーツを利用した紀南地方のリゾート開発であります。主張は、「二十一世紀には必ず余暇時代に入り、紀南の持つ地理的、自然環境的優位性が見直されてくる。しかし、現状は受け入れ態勢が整っておらず、みすみすチャンスを逃がしている。トロピカルフルーツの産地化で開発を進めよう。そして紀南地方を日本のカリフォルニア、紀州の海岸をウエストコーストと呼ばそう」と訴え、その構想を述べております。
 特に、大島全島を亜熱帯果樹ガーデンにと提案し、ハワイ・オアフ島やマウイ島のトロピカルフルーツガーデンが大変人気が高く、具体的な紹介を行って、それとそっくり同じものをと提案しており、これら亜熱帯果樹は既に試験場でテストをしており、一部はハウス栽培にして実らせる可能性は十分にあるとしております。
 さらに提案を重ね、この際、京大植物研究所を串本町に返還していただいてトロピカルフルーツの中核とする案や、亜熱帯作物試験場にするとか、さらに京大、近大、県、町から成る亜熱帯果樹研究所を設置し、研究を深め、大島の町民も積極的に支援することでハワイに負けないトロピカルフルーツガーデンができると提案し、もし自分が行ってやれと言われれば行く覚悟があるようであります。
 ご参考までに、岡山県は同じくフラワー・アンド・フルーツ構想を平成五年度から三十ヘクタール、百二十億円をかけて建設することを決定しております。
 大島架橋の実現化が、地元にこのようなインパクトを与えているわけであります。当局におかれましては、夢のプランではなく実現可能な計画として調査を開始してほしいのであります。私ども串本里造都クラブでも期待を大きくしているところであります。ご所見を承りたいのであります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 堀本議員にお答え申し上げます。
 県の産業構造長期ビジョンの改定についてでございます。
 最近の県内外の社会経済情勢の変化、また県内における交通網の整備を中心とした基盤整備の問題、また各種プロジェクトが進捗しつつあるこうした経済環境の中で、予測される社会経済環境の変化を的確に把握し、体系立った産業施策の展開を図るということが私は不可欠なことだと考えておるわけでございまして、新たに中長期的な視点に立って県経済を展望したビジョンを策定したいと存ずるわけでございます。
 そのグランドデザインとしては、国内はもとより世界の各地を視野に入れて産業展開を目指してまいりたい、そして新産業、研究施設の集積とともに、豊かな和歌山の自然と融合した、職・住・学・遊の近接した、県民の豊かさが実感できる「二十一世紀の和歌山の姿」の実現とともに、また持続的に産業基盤の整備を図っていく、そのための産業構築をデザインとして進めてまいりたいと考えておるところでございます。
 他の問題は部長から答弁いたします。
○議長(馬頭哲弥君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) お答えいたします。
 昭和五十七年三月に作成した和歌山県産業構造長期ビジョンは、鉄鋼、石油の二業種に大きく特化している工業構造、またこのことによる景気変動の影響を強く受ける県経済の体質の改善を図ることを課題として、県経済の安定成長の道を探るために策定したものでございます。このビジョンにおきまして、新産業の導入による県経済の活性化、既存工業の発展の芽の発掘、育成の二つの方向が提案されてございます。これを指針として、加工組み立て型産業の誘致促進、地場産業振興センターの建設、工業技術センターの再編整備等の施設展開を図ってきたところであり、成果もあらわれているところでございます。
 ビジョンの改定に当たっては、学識経験者、各界各層の方々のご意見をいただきながら、平成五年度で県経済の実態把握などのための基礎調査を行い、翌平成六年度において県経済の望ましい姿の実現に向けてのビジョン策定を行うという計画を考えてございまして、県の長期総合計画、また他の産業振興計画等の整合をも図りつつ進めたいと考えているところでございます。新たなビジョンの目標としては、おおむね十年間を展望したいと考えているところでございます。
 次に、本県経済の現況並びに製造事業所の減少と対策についてでございます。
 民間の調査機関によりますと、平成四年に一千万以上の負債で倒産した企業は百一件でございまして、その主な業種としては、卸小売業で三十五件、建設業で二十七件、製造業で二十件等となっており、その原因といたしましては、放漫経営、販売不振、業界不振等となってございます。また、地場産業の各事業協同組合からの情報によりますと、昨年一年間で、特殊織物で十五件、皮革で一件が事業を休止中でございまして、いずれも従業員五名以下の小規模事業者であると聞いているところでございます。
 「和歌山県の工業」平成三年版で事業所数の動向を見ますと、従業員四人から二十九人の事業所で減少し、三十人以上の事業所で増加しております。県全体で百四十七の減少となってございます。この中には地場産業である木材、家具、金属、皮革、繊維等の産業がありますけれども、これら事業所減少の主な原因としては、事業主の高齢化や後継者難、従業員不足等が考えられるところであります。このため、中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律に基づく事業を積極的に進め、職場環境等の改善に努めているところでございます。
 また、産業の国際化、業際化すなわち多角化、新分野進出等により業種間の境界が薄れる中、社会経済環境の変化に対応できる地域産業を育成するために、制度融資の拡充、販路・需要の開拓に努めるとともに、中小企業の最大の課題と言われる新技術・新製品の開発力不足に対応するため、地域産業技術の中核的な研究開発支援施設として工業技術センターの再編整備を進めているところでございまして、平成四年度の研究交流棟の竣工に引き続き、本館建設のための実施設計等に要する予算を今議会にお願いしているところでございます。
 今後とも、工業技術センター並びにテクノ振興財団を中心として、地域産業のハイテク化、技術の高度化を積極的に支援してまいりたいと考えてございます。さらに、企業用地の確保とともに、企業誘致に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 第四次長期総合計画における社会経済の実績と将来見通しについてのご質問にお答えいたします。
 まず人口につきましては、平成二年の計画人口百九万五千人に対し国勢調査人口は百七万四千人となり、二万人強の乖離がございます。しかし、平成元年から人口増に転じ、昨年は人口流入県となり、大変明るい兆しが見えてまいりましたものの、ご承知のとおり、人口推計に当たり重要な要因でございます合計特殊出生率は、本県を含め全国的に予想を上回る低下となってございます。今後、産業政策、住宅政策等、快適な生活環境を整備し、計画人口の達成に向け、引き続き努力してまいりたいと存じます。
 次に県内総生産については、平成二年の計画額二兆五千億円に対し実数二兆八千七百二十三億円となり、また一人当たり県民所得についても、計画額二百十四万九千円に対し二百二十三万九千円となってございまして、それぞれ計画額を上回っています。また、平成二年度工業用地の計画面積十八平方キロメートルに対し、土地利用現状把握調査では十九平方キロメートルとなり、若干計画面積を上回っています。しかしながら、工業出荷額については、計画額三兆二千七百十億円に対して、従業員四人未満の事業所を含まない実数は二兆五千十四億円と、計画額を下回っております。
 県内総生産等については、現時点においておおむね計画を達成する状況となってございますが、現在、経済環境は大変厳しく、予断を許さない状況にあると考えてございます。関西国際空港の開港、高速交通基盤の整備によるインパクトを最大限に生かした第三次中期実施計画を策定し、各種プロジェクトの推進により引き続き長期総合計画の目標達成に努めてまいりたいと存じます。
 次に市町村民所得統計についてでございますが、この種の統計は、地域の経済構造を把握し行政施策を進める上で重要な統計の一つでございます。こうしたことから、県においては昭和二十六年度から自主的な統計として県民所得統計を作成してまいってございます。
 一方、市町村に対しては、市町村民所得統計の手引書を配付し指導するとともに、毎年開催している市町村統計担当職員の研修会の場で作成方法等の説明を行ってきたところでございますが、今なおいずれの市町村においても作成されていないのが実情でございます。
 この統計は、作成主体として、議員お話しのとおり、市町村あるいは市町村と県との共同作業、また県独自による方法等がございますが、いずれにいたしましても、市町村のご理解を得ることが先決でございます。今後、市町村と協議を重ねながら、その実現に向け努力をしてまいりたいと存じます。
 以上です。
○議長(馬頭哲弥君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) 大規模沖合養殖プラントの導入についてお答えを申し上げます。
 議員お話しのように、大規模沖合養殖の導入については、地元串本町では国への働きかけや実験操業中の現地の視察もされてございます。地元では、平成五年度調査事業として検討委員会を設け、事業規模、採算性、設置場所の選定等の諸問題の調査検討を進め、具体化に向けて取り組みがなされることとなってございます。この検討委員会に県並びに水産試験場も参画をしてまいりたいと考えてございます。
 県としては、平成六年度からスタートする第四次沿整計画の中で補助事業に採択されるよう働きかけているところでございますが、今後とも国に対して要望を続けてまいりたいと思います。また、技術指導はもとより財政支援等についても検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、議員ご提案のトロピカルフルーツガーデン構想については、大島地区の離島振興計画の中で「すぐれた自然環境や観光資源などを活用した観光産業の発展を目指す」とされておりますように、観光農業の一環として大変意義のある提案として受けとめてございます。当地区のトロピカルフルーツの産地化については、風、水等の環境、立地条件など考慮しなければならない問題もありますが、温暖多雨といった気象条件から栽培には支障がないものと考えてございます。
 しかしながら、地元の熱意、用地の問題、受け入れ態勢、事業主体、さらには運営体制、資金問題等、大きな課題もございますので、今後、関係機関や地元、町の意見を十分承りながら検討してまいりたいと存じます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 以上で、堀本隆男君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は三月十五日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(馬頭哲弥君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十六分散会

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