平成5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(北村 翼議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時二分開議
○議長(馬頭哲弥君) これより本日の会議を開きます。
○議長(馬頭哲弥君) 日程第一、議案第一号から議案第七十三号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 9番北村 翼君。
 〔北村 翼君、登壇〕(拍手)
○北村 翼君 このたびは質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。通告に従いまして、数点のご質問を申し上げます。
 まず、平成五年度予算についてお伺いいたします。
 先般の知事の所信表明の中で、関空開港、リゾート博開催を控え、平成五年度が和歌山県にとって極めて大切な年であるとありましたが、私も全く同感であります。そして、これらを一過性のものにすべきでなく、将来にわたって息の長い、和歌山県発展の起爆剤にしたいという知事のお考えには、満腔の賛意を表するものであります。その意味で、平成五年度予算の中身を見てみますと、税収が厳しい中、県債の発行や基金の取り崩しなど種々の工夫を凝らしながら、景気情勢も踏まえて投資重点型とするなど、極めて適切な内容となっていると私も考えます。
 この五年度予算から翌年の関空開港、リゾート博の開催につなげるとして、その先、将来に向けてのふるさと和歌山をつくり上げるために知事はどのように取り組んでいこうとされるのか、ご所見を承りたいと思います。
 次に、紀の川利水協定に関連してお伺いいたします。
 先日、水資源対策特別委員会で阪和間道路を視察する機会がありました。昭和六十二年に大阪府と和歌山県の間で締結された紀の川利水に関する協定の進捗状況を視察することが目的でございました。朝早くマイクロバスで県庁を出発し、西の端の加太から順次府県間道路を往復し、最後は国道三百七十一号線の紀見峠を越え、伊都県事務所で意見交換をし、総括するというスケジュールでございました。
 私の率直な印象を一言で申し上げますと、和歌山県側では動きが非常に目立っておるが、大阪府側の動きがちょっと見えにくいということでございました。特に、府県道岬加太港線における大川トンネルの立派な進捗ぶりには大いに驚かされ、かつその熱意をいたく感じるその一方で、大阪府内の小島地区の未整備が強く印象として残りました。
 次に行った府県道泉佐野岩出線では、近畿自動車道紀勢線泉南インターチェンジから大阪湾に向けての整備に比べ、本県側に向けての整備のおくれが強く感じられたところでございます。このことは国道三百七十一号線で最も強く感じられ、紀見峠から橋本市内に向けての本県側の積極的な取り組みに対し、府県境から河内長野バイパスまでの整備に大きな不安を残すことになりました。
 国道三百七十一号線につきましては、私の地元ということもあり、やや詳しく触れてみたいと思います。
 国道三百七十一号線は、南は串本町から龍神村、高野町を経て橋本市から大阪府河内長野市を結ぶ総延長二百三十一キロメートルに及ぶ県内主要幹線道路であり、さらに詳しく見ますと、橋本市から南は山岳部を縦断する内陸幹線軸であり、北は河内長野市から国道百七十号線を経て大阪に通ずる県東部の大幹線軸であります。
 本日は阪和間道路というテーマでありますので、橋本市から河内長野バイパスまでの延長十三・八キロメートルについて重点的に取り上げてみたいと思います。
 この国道三百七十一号線バイパスは、人口急増地域であり、大阪に通勤する人口の多い橋本市及び紀北東部地区にとっては将来の地域発展を左右しかねない重要な路線であり、加えて新しい紀見トンネルがちょうど自宅の真下を通るという、私個人にとっても最も身近なこの国道の進捗に大いに関心を寄せているところであります。既存のルートを活用しながら南北に縦断する新しいバイパスは、既に県内七・七キロメートルにあっては一部用地買収に着手し、東西幹線道路として整備が進む京奈和自動車道とともに新しい交通体系を感じさせるものがあります。
 一方、大阪府側の河内長野バイパスから県境までの六・一キロメートルは、計画が進んでいるとはいうものの、本当に和歌山県側のスケジュールに合わせて整備が進むものかなと、一抹の不安を持つものでございました。
 道路は、これを利用する側に立てば、事業主体はだれであれ、一本のルートとして整備されてこそ、その効用が発揮されます。大阪、和歌山一体となっての整備が強く求められる国道三百七十一号線の視察の印象でありました。
 当日の当局の説明によりますと、それぞれに都市計画の手続は進めているとのことでありましたが、県民にはやはり目に見えた進捗がぜひ必要であると考えますので、一日も早い具体化を強く要望するものであります。
 そして、このことが紀の川分水を決断された県政に対する県民の信頼を増すことにつながるであろうことを申し添え、以下、協定書の内容に準じ、五点について質問を行うものであります。
 第一点は、分水の基本とも言える紀の川大堰と紀伊丹生川ダムの進捗状況についてであります。
 先日、新聞紙上により紀の川大堰が本年度着工と知り、関係者のご苦労に感謝申し上げるとともに、本事業の着実な進行を大いに喜んだ次第であります。今後は紀伊丹生川ダムの建設に目が移ってまいりますが、この両事業の現状と今後の見通しについて土木部長の見解を伺うものであります。
 第二点は、地域整備協力費についてであります。
 協定書に基づく取り決めによりますと、大阪府は分水に対する協力費として、和歌山県に対ししかるべき協力を行うこととなっているが、この地域整備協力費の内容について、その目的、支払いの方法を伺うとともに、地域整備事業の具体的な内容についても企画部長の答弁を求めるものであります。
 第三点は、協定書に盛られた府県間道路のうち、特に岬加太港線、泉佐野岩出線、国道三百七十一号線につきまして、本県側の取り組みとともに大阪府側の取り組みについて、現状と見通しを土木部長にお伺いする次第であります。
 第四点は、加太・岬スカイラインについてであります。
 コスモパーク加太の現状とスケールを目の当たりにし、私は加太・岬スカイラインの必要性をこれまでにも増して痛感した次第であります。二百六十ヘクタールに及ぶこの大事業をやり遂げるには、何としても幹線のアクセス道路となるスカイラインを整備することが喫緊の課題であると言っても過言ではありません。その見通しについて、企画部長の答弁を求めます。
 最後は、南大阪、紀北地域の一体的な総合施策の推進についてであります。
 分水を契機に泉州と紀北地域が一体となって開発整備を進めようとするこの取り組みについては、その着想は多とするものでありますが、利害の違う両府県が一緒になって一つのテーマに取り組むことの難しさもあろうと思います。その推進体制及び現状について、企画部長にお伺いするものであります。
 次に、京奈和自動車道の橋本道路についてお伺いいたします。
 京奈和自動車道は、第二国土軸構想の一翼を担う主要道路でありますとともに、京阪神、都市圏の外環状道路の一部を構成する道路であります。また和歌山県内においては、橋本林間田園都市を初めとする地域開発の促進、地場産業など産業の活性化に大きく寄与するとともに、国道二十四号線の交通混雑の解消に役立つ道路として、地元はもちろん、広く県民が熱望しているところであります。
 平成元年度から橋本道路として橋本市から高野口町間が事業化され、現在、その事業を進めておりますが、行政はもちろんのこと、地元の京奈和自動車道建設促進協議会に献身的な努力をしていただいており、その熱意にこたえるためにも早期完成に向けて大幅な予算の確保が必要と考えます。県の取り組みについて、土木部長の見解をお願い申し上げます。
 また、国道三百七十一号線と国道二十四号線の交差以南の橋本市市脇─清水間の架橋につきましては、平成元年度には都市計画決定がなされ、早期事業化を強く要望し、平成五年度に調査をお願いしていたところでありますが、県におかれては地元住民の熱意を酌み取って平成四年度の予算で既に調査に入っていただいておることをお聞きしまして、地元住民とともに、知事さんに心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。
 次に、紀の川流域下水道についてお伺い申し上げます。
 環境保全に対する国民の意識が非常に高まっている中で、安全でおいしい水を飲むためには上流の水をきれいにする以外に方法はないと言われております。昨年売れた家庭用浄水器は三百六十万台、ミネラルウオーターが二十八万キロリットル、水洗トイレを使っている国民は八千百万人、大体六六%、都市部の下水道利用者は四千八百万人、三九%、農村漁村は三千三百万人、二七%が浄化槽で水洗化をしております。しかし、台所などから出る生活排水は規制がなく、約七千万人がそのまま流されて、最大の水質汚染源になっております。そこで、厚生省では「水道水源の水質保全法案」(仮称)を今国会に提出するとか──その成り行きについて大きな関心を持つものであります。
 我々の母なる川・紀の川は、その豊かで清らかな流れは私たちの生活に潤いと安らぎを与えてくれます。その紀の川を守ろう、水質汚濁を食いとめようと始めたのが一市三町の流域下水道伊都処理区であります。しかし、処理場の受け入れ地域は大変であります。その後、相当の年月が経過しておりますが、関係の皆さんのご努力で、最近、処理場周辺地域に対して地域整備計画案を示し、地権者と話し合いを行っていると聞いております。現在の進捗状況をお聞かせ願います。
 次に、幹線管渠の延伸についてお尋ねします。
 流域下水道の幹線管渠の末端は、現在、高野口町と橋本市の市町界となっております。橋本市においては、全体水量比の五四%、計画の半分以上を負担している現状であります。また、橋本市で大規模開発が進められており、これらを考えると、財政上大きな負担となってまいります。それで、最近、幹線管渠の下水道法事業認可基準が見直されたようにお聞きしますので、この際、県事業として橋本市内への延伸をお願いするものであり、これについて土木部長さんから答弁をお願い申し上げます。
 次に、年金問題についてお伺いをいたします。
 最近、年金問題について新聞、テレビ等マスコミによりいろいろと報道がなされており、国民から強い関心が示されているところであります。
 さて、昨今は国民のほとんどが公的年金及び自助努力で老後生活を支えているという実態と、公的年金制度は現役世代が引退世代へ仕送りするという制度でもあり、年金を支える側と受ける側の比率が大変問題となってきております。
 また、厚生省が発表した最新の人口推計では年金財政の暫定試算について触れており、これによると、近年の急速な高齢化と少子化により、二〇五〇年には全人口に占める六十五歳以上の人口は二五・八%と推計されていることから、将来人口と人口構成をもとに年金財政を展望したとき、年金財政が非常に厳しい状況にあるとされているが、それでもやはり国民皆年金のシステムを守り育てるほかはないと同時に、これらの方策として支給年齢の引き上げや給付水準の切り下げなどが選択肢として考えられています。また、今や年金なしに老後は語れないし、年金は生活大国づくりの基盤であるとして、年金の重要性をわかりやすく訴え続ける努力が必要であるのではないかと思われるのであります。
 次に、新聞報道によりますと、行政監察事務所がある県において実施した国民年金の業務実態調査の結果について取り上げています。それによりますと、国民年金への未加入者や、加入していても結婚などによる種別変更をしていない者、また保険料の長期滞納者などがかなりいることが判明したことにより、国民年金業務の強化について知事に要請したとあります。これらの方々については、そのまま放置することは将来無年金者となるおそれがあり、こういった方々の老後生活を考えると、まことに憂慮すべき事態と考えるところであります。
 これら報道をまつまでもなく、公的年金の果たす役割は大変重要であります。しかしながら、私自身、若い方々に年金についてどのような認識を持っているかを尋ねたところ、まことに残念ながら、今、国民年金に加入しても、自分自身、将来年金が受けられるかどうかわからないといった不安を抱いていることを理由に国民年金に加入しないといった方々が少なからず見受けられるところであります。
 そこで、次のご質問を申し上げます。
 一、公的年金制度の今後の動向について、二、本県における国民年金事業の現状と課題について、三、県民に対する国民年金制度の周知啓蒙について、この三点について説明いただくとともに、今後の年金事業推進の所信について民生部長にお伺いいたします。
 次に、歴史街道計画についてお伺いをいたします。
 昨年二月定例会において上野哲弘議員から、熊野古道を歴史街道にという趣旨から要望として取り上げておられましたが、私からは、先日発表された歴史街道計画についてお伺いいたします。
 三月三日付の新聞によりますと、「世界規模の文化・観光ルート『歴史街道』を関西に誕生させる計画を決定した」とあります。また、「平成六年度を関連プロジェクトの本格スタートの年とし、十二年度までに三重県・伊勢から奈良県・飛鳥、京都、大阪、神戸まで約三百キロを古代から近代への発展過程をたどる『歴史街道』(メインルート)として整備する」とも報じられております。私は、和歌山県がすっぽり欠落しておると思われるようなこの記事を見まして、大きな怒りと不満でいっぱいであります。なぜならば、関西の、近畿の、さらに日本の歴史を語る上で欠かせない古代から近世の主要ルートの街道が南海道であり、大和街道であるからでございます。
 南海道は、古代には五畿七道の一つとして、平安遷都以前は平城京──古い南海道です──以後は平安京と紀伊、淡路、阿波、讃岐、伊予、土佐の六国を結ぶ官道であり、今で申せば首都に通ずる主要七国道の一つでありまして、そのルートは、都から国境の真土山、すなわち現在の橋本市隅田町真土を越えて紀伊の国に入り、紀の川北岸を西進して加太に至り、加太から海路で淡路に渡るというものであります。「日本書紀」によれば、大和朝廷の朝鮮出兵はこの紀の川ルートを通り河口を起点としたと考えられ、国家的な事業としてつくられた古代の国道であり、鉄や仏教などが入ってきた渡来文化の道筋に当たり、王権を支える重要な道路でもあります。このことは、奈良県御所市で古墳時代の国道が見つかり、計画的につくられた同時代の道が確認されたと昨年の八月に発表されるなど、ますます歴史の道としての文化的、歴史的価値が高まり、五世紀代の紀の川流域が王権形成に果たした役割が改めてクローズアップされたと、古代史の専門家に高く評価されているところでございます。
 また、当地域には、熊野とともに和歌山県が誇る空海開祖の高野山を有し、国宝、重要文化財等、貴重な数多くの日本を代表する歴史的遺産がございます。さらに、ふるさとの豊かな自然を見詰め、地域の生活と自然とのかかわりを巨木等を通じて考えていこうという第六回全国巨木フォーラムが高野地域で本年十月ごろの紅葉の時期に開催されるなど、森の文化を発信する日本の拠点としても重要な地域であります。
 以上、長々とお話ししましたが、この関西歴史街道整備計画に熊野古道、高野街道、南海道などの歴史的に日本を代表する街道が入っているのかいないのか、企画部長にお伺いをいたします。
 次に、麻薬・覚せい剤等についてお伺いをいたします。
 最近の報道によりますと、男の中の男とも言われた元プロ野球選手による覚せい剤事件を初め、芸能人によるコカイン事件等、スポーツ界、芸能界のヒーローたちの麻薬・覚せい剤事件が後を絶たず、関係者やファン等、特に青少年に対し大きな衝撃を与えていることは非常に深刻な事態と言わざるを得ません。また、欧米においてはコカイン、大麻等の乱用が国家的な問題となっていますし、一方、コロンビアを中心にしたコカインの不正取引で密売組織が日本を新しいターゲットとして暴力団に接近しつつあり、極めて警戒を要する事態となっています。
 我が国の薬物乱用者は、海外旅行での乱用の経験、退廃的、享楽的社会風潮、ストレス社会等を背景に、従来からの覚せい剤の乱用に加え、コカイン、大麻等の乱用が主婦層、若者にも浸透し、乱用者の増加が危惧されています。さらに、暴力団の新たな資金源化が懸念されます。
 本県でも、覚せい剤事犯が薬物乱用の大部分を占め、大きな問題となっていると思われますが、さらに平成に入り、コカイン事犯、大麻事犯など、若者を中心に流行の兆しが見られる現状にあると聞いています。これら薬物の乱用は人々の心身を侵して生命を危うくするのみならず、家庭を崩壊し、社会秩序を崩壊に導くなど、もはや個人の問題ではなく、社会組織や国の安定を脅かす深刻な社会問題の一つであります。特に、世界リゾート博を控え、明るく健康なふるさとづくりを目指す本県にとって、まことに憂慮すべき事態を迎えていると言わざるを得ません。県としても、取り締まり、啓発等、種々対策をとられていると思いますが、より一層の対策が必要であると考えますので、以下二点について質問をいたします。
 麻薬・覚せい剤等の乱用者の拡大を防ぎ、薬物事犯を根絶するため、警察当局の取り締まり状況と今後の取り組みについてお伺いします。
 また、薬物乱用を未然に防止するためには県民への啓発活動が重要であると考えますので、その現況及び今後の取り組みについて保健環境部長にお伺いをいたします。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。よろしくご答弁のほどをお願い申し上げます。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの北村翼君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 北村議員にお答え申し上げます。
 平成五年度の予算を通じて、ふるさと和歌山の創造という問題についての知事の考え方ということでございます。
 和歌山県にとりまして、ことしは近畿自動車道紀勢線が国土軸と連係できるし、また関西空港ができることにより、悲願であった半島性からの脱却を果たし、大きく飛躍発展する時期だと考えておるわけでございます。
 これまでにも、皆さん方から国内あるいは国際的な交流を活発にするためにご努力をいただいて、活力と文化あふれるふるさとづくりに邁進してまいったわけでございます。おかげをもって県の人口も平成元年より増加に転じましたし、さらに昨年には人口流入県となるなど、いよいよ本県にも人・物・情報が活発に交流する時代を迎えたわけでございます。
 今後の問題として、紀淡海峡ルートを含む第二国土軸構想、また近畿自動車道の紀伊半島一周、京奈和自動車道、ミニ新幹線等を含む高速交通網等の諸問題が山積しております。これらは二十一世紀の初頭には完成し、現実化することが予想されるわけでございまして、大きく飛躍発展することが期待されるのではないかと確信するものでございます。
 また、関空の開港、リゾート博の開催を契機といたしまして、本県の持っておるすばらしい文化、自然、特に今まで交通が不便であったためにかえって残されたいいものを逆にとって、これからの発展に努めていかなければならないと思います。
 例えば、異文化と交流する国際文化の地の創造であります。外国の文化を取り入れて、それとの交流によって新しい文化を創造してきたのが日本文化の歴史だと思います。また、この関西空港ができることにより、異文化と交流する場所として発展しなければならないし、さらに新しい技術が開発・導入される高度産業の地域、自然と共生できる国際リゾート地といった新たな視点から、生活大国にふさわしい、真に豊かさが実感できる住みやすい郷土づくり、将来の和歌山のビジョンとして、二十一世紀の和歌山はこうあるべきだという展望等についての調査研究を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 まず、紀の川大堰と紀伊丹生川ダムの進捗状況でございます。
 紀の川大堰建設事業につきましては、昭和六十二年度に建設に着手をし、これまでに大堰事業の関連工事である低水護岸の整備、工事用道路の設置並びに右岸側における準備工事の促進を行っており、今月中旬には第一期工事を発注して、大堰本体工事の促進、右岸側の魚道施設並びに低水護岸の整備等を実施していくと伺っております。
 次に紀伊丹生川ダムの実施計画調査につきましては、平成元年度より地元関係者の協力を得ながら環境調査、地形測量並びに先例地生活実態調査などの諸調査を進めており、今年度までに延べ二十六本のボーリングを実施されているところであります。
 平成五年度は引き続き地質調査ボーリング及び各種の調査を進めるとともに、地元関係者の理解を得て河川現況調査等を実施して、ダム諸元に係る計画づくりに着手をする予定と聞いております。
 両事業とも重要な事業であります。県といたしましても、地元関係者のご理解とご協力のもとに事業の促進が図られるよう、関係市町とも十分連携をしながら国に働きかけをしてまいりたいと考えております。
 次に、府県間道路でございます。
 まず、岬加太港線につきましては、平成四年一月に大川トンネルが貫通をして、現在、工事及び用地買収を引き続き進めております。大阪側でございますが、岬町小島地区で、現在、漁業組合との調整を図りながら用地買収が進められております。
 続いて泉佐野岩出線についてでございますが、根来地区で、現在、用地買収を進めております。大阪側につきましては、平成三年七月に府県境から泉南市金熊寺間のバイパス四キロメートルの都市計画決定が行われ、現在、トンネルの予備設計が実施をされております。金熊寺から堺阪南線間の約四キロのうち三百メーターは供用中でございます。残る区間について、用地買収、文化財調査、工事が進められております。また、堺阪南線から海岸へ向けての樽井男里線約一キロにつきましては、用地買収はほぼ終了して文化財調査と工事が進められております。
 国道三百七十一号線につきましては、橋本バイパスとして用地買収を進めておりますが、大阪側については、平成四年度に河内長野市石仏から府県境間約六キロメートルが公共事業として事業化をされ、現在、測量及びトンネル調査が実施をされております。
 いずれにつきましても、今後とも大阪府に引き続き整備の促進を要望してまいりたいと存じます。
 次に、京奈和自動車道の橋本道路についてでございます。
 平成元年度に事業化され、現在、用地買収を進めております。今後、橋本道路の早期完成を図るために地元関係者の皆様のご協力を得るとともに、建設省に対して予算の大幅拡大を強く訴えかけてまいりたいと思います。
 最後に、紀の川流域下水道についてでございます。
 この流域下水道の伊都浄化センターにつきましては、地元に対し、浄化センター設置に伴う地域整備計画の案を提示しているところでございます。一方、地権者の方々については地域整備計画案と並行して話し合いを進めておるところであり、全体の合意には至っておりませんが、一部地権者との間で合意が得られ、現時点で全体では二・四ヘクタール、全体の一三%、そのうち一期計画分としては二・一ヘクタール、約三〇%の用地買収を行ったところであります。今後とも、積極的に交渉を行って用地の確保に全力を尽くしてまいります。
 次に幹線管渠の延伸につきましては、流域下水道の管渠の終点マンホールの位置が原則として末端の市町村の境界までとされていた下水道法事業認可基準が平成四年一月に見直しをされまして、一定の条件の範囲内ではありますが、幹線管渠の延伸が可能となりました。
 ただ、財政負担等の問題もございますので、今後いろいろ検討をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) まず、紀の川利水協定に関連するご質問にお答えいたします。
 地域整備協力費につきましては、紀の川利水に関する協定書により、紀の川流域の整備振興対策に資することを目的に設置された財団法人紀の川水源地域対策基金を通じ、昭和六十三年度から紀の川流域の整備対策事業費として受け入れているところでございます。
 その対象事業といたしましては、紀の川流域の治山治水、土地改良、府県間道路等の整備事業及び紀伊丹生川ダムに係る水源地域対策事業となっているところでございます。
 加太・岬スカイラインでございますが、これはコスモパーク加太計画の実現にとっても根幹となる道路であり、また地域の交通体系を考える上からも極めて重要と認識しているところでございます。
 協定に基づき、大阪府と相協力して構想の具体化に努めることとなっておりまして、平成元年度から両府県が合同で計画条件の整理、概略路線の検討等の調査を行ってまいりました。平成五年度には、これらの調査を踏まえ、両府県土木部の協力を得て、基本ルートの選定について合同で取り組みを行うこととしてございます。今後とも、事業化に向け、なお一層努力してまいりたいと存じます。
 南大阪、紀北地域の一体的な総合施策の推進についてでございますが、紀の川利水の協定に基づき、南大阪、紀北地域の調和ある発展を図ることを目的に、平成二年十二月に両府県の企画担当部長と関係課室長を構成員として紀泉地域総合整備推進委員会を設立してございます。
 現在の取り組み状況でございますが、平成二年度に策定をした創造と交流を基本としたグランドデザインを基調に、本地域の一体的地域整備のあり方やアクセス整備、あるいは広域的な機能分担等について協議検討しているところでございまして、臨空都市圏として、また水共同域として総合的、一体的な整備に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、歴史街道計画についてでございます。
 この計画につきましては、当初、文化人の提言を受けて経済界を中心に進められていたものであり、メーンルートのみを取り上げた内容となってございました。その後、産・官挙げての組織の必要性から、平成三年四月には行政機関も参画した歴史街道推進協議会が設立をされたところでございます。本県といたしましても、当協議会に参画し、近畿一円にわたる歴史資源の集積を強く主張した結果、議員ご質問の紀の川沿線や熊野古道などがテーマルートとして位置づけられ、高野・熊野もうでルートとして加えられたところでございます。
 今後は、こうした地域において案内標示等の整備を進め、統一的なPRを行うなど、官民が一体となってその計画推進に取り組んでいくこととしてございます。
 一方、本県におきましても、知的余暇活動の場として本県の歴史、文化を全国的にPRするとともに、イメージアップを図るため、県独自の歴史文化街道構想の検討を進めているところでございます。
 以上です。
○議長(馬頭哲弥君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 年金関係についてお答えをいたします。
 まず第一点目の、公的年金制度の今後の動向についてであります。
 現在、我が国の公的年金制度は、大別して各種共済組合、厚生年金保険、国民年金から成ってございますが、昭和三十六年四月の国民年金法の施行によって国民皆年金となったわけであります。その後、各制度の改正を重ね、大幅な給付内容の改善などによって現在の給付水準に引き上げられ、老後生活の所得保障の柱として重要な役割を果たしているところでございます。
 ちなみに、平成三年国民生活基礎調査によりますと、高齢者世帯の収入の五四・八%が恩給、年金であります。また、高齢者世帯の四九・二%が恩給、年金のみで生活を支えておるというように、今や年金は老後生活になくてはならない重要なものとなってございます。
 厚生年金保険と国民年金につきましては、五年に一度は年金の財政再計算を行うとともに、年金制度についても改正が検討されることとなっております。したがいまして、来年度が財政再計算の時期となっていることから、議員ご指摘のとおり、先日発表された厚生省の年金財政の暫定試算によりますと、高齢化の進展や出生率の低下など、年金制度を取り巻く情勢は従来より増して厳しくなるものと見込まれており、現在の制度をこのままにしても保険料は相当高くなることが予想されております。
 また、ご承知のとおり、今の経済環境、雇用情勢は大変厳しいものがありますが、真に年金制度が国民に信頼され、安定した制度として維持するためには、仮に国民にとって多少の痛みを伴うものであっても、これは避けて通ることのできない課題ではないかと思料されます。
 いずれにいたしましても、年金制度については、二十一世紀の本格的な高齢化社会においても、健全で安定した運営ができる制度であることを願っているものであります。
 次に本県の国民年金の現状でございますが、被保険者数は約二十八万三千人、推定加入率九三・一%となっており、保険料の収納状況は、収納率八六・六%、保険料収納総額は約百四十五億七千五百万円であります。年金給付は、年金受給権者約十五万六千人、年金総額六百二十四億円となっております。
 また、当面の課題でありますが、私ども行政が、年金は世代と世代の支え合いといった世代間扶養について県民の理解を得るため平素努力しているにもかかわらず、県民の多くの方々、特に若年層に国民年金に対する無関心者が多く、未加入者は約一万三千人、保険料の未納者は約一万九千人と推定しております。この約三万二千人の方々すべてが将来無年金者となるとは考えておりませんけれども、多くの無年金者あるいはまた低額の年金受給者となることが懸念されるところであります。
 次に、三点目の県民に対する周知についてでございます。
 県では、平素から定期機関紙の発行や「県民の友」、市町村広報紙への掲載依頼、テレビ・ラジオ等、さまざまな広報媒体の活用を図るなど積極的にPRに努めており、また地域住民と密接な関係にある市町村あるいは国民年金委員さん方に対して協力依頼をするなど、鋭意努力を重ねているところでございます。今後とも引き続き県民の理解と協力を得ながら、県民の年金権の確保に一層の努力を重ねる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 麻薬・覚せい剤問題の啓発の現状と今後の取り組みについてでございます。
 麻薬・覚せい剤等の乱用を防止するには、ご指摘のとおり、厳正な取り締まりとともに徹底した啓発が必要かつ効果的であると考えております。
 啓発活動につきましては、県薬物乱用対策推進本部を中心に種々取り組んでいるところであり、これらの活動の中で、昭和六十年度から実施している覚せい剤乱用防止推進員制度を活用し、民間団体と一体となり、ミニ集会など日常生活を通じて県民に覚せい剤等薬物乱用の弊害、恐ろしさを啓発し、乱用の未然防止に努めているところであります。
 また、県教育委員会等と連携のもとに、学校教育、家庭教育、社会教育等、あらゆる機会をとらえ、主に青少年層に対する啓発活動もあわせて実施しているところでございます。
 しかし、今後、コカイン、大麻等の薬物乱用の増加も予想されますので、さらにより一層の効果を目指し、平成五年度からは覚せい剤乱用防止推進員と地域ボランティア団体等で地域的レベルでの組織化をするとともに、各種イベントへの参加、大会の開催など、より地域に根差した草の根運動を積極的に推進したいと考えております。
 こうした啓発活動を繰り返していく中で、覚せい剤などの薬物乱用を許さない社会環境づくりに努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 警察本部長中長昌一君。
 〔中長昌一君、登壇〕
○警察本部長(中長昌一君) 北村議員のご質問にお答えをいたします。
 覚せい剤等薬物犯罪の現況についてであります。
 覚せい剤の検挙が依然として高水準で推移しているほか、コカイン、ヘロイン、向精神薬及び大麻事犯が増加し、薬物乱用の多様化の傾向を示しております。
 また、これらの薬物の密売には依然として暴力団が深く介入しておりますし、密輸手口が巧妙化しておりますとともに、青少年の薬物乱用も深刻化しております。
 また、県下の平成四年中における覚せい剤犯罪の取り締まり状況でありますが、検挙人員二百四十二人、押収量九十五グラム、大麻事犯で検挙人員五人、押収量百五十六・七グラムでありまして、検挙人員中暴力団員が百十二名で、全体の四五%を占めております。また、最近の本県の人口十万人当たりの検挙人員は全国第一位となっております。
 県警察といたしましては、このような厳しい覚せい剤犯罪の現状及び今後増加が予想される大麻、コカイン等の薬物事犯の状況を踏まえて、覚せい剤等薬物犯罪の徹底摘発を県警察の重点目標に掲げ、暴力団を中心とした密売組織の壊滅と末端乱用事犯の徹底検挙を柱とした強力な取り締まりを実施することとしておりますし、また県等関係機関、団体との連携を一層強化して、薬物犯罪を根絶する社会環境づくりのための広報啓発活動などの諸施策をも推進してまいる所存でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 再質問がありませんので、以上で北村翼君の質問が終了いたしました。

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