平成5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第三号 平成五年三月十日(水曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第七十三号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第一号から議案第七十三号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十四人)
 1 番 尾 崎 要 二
 2 番 中 村 裕 一
 3 番 下 川 俊 樹
 4 番 石 田 真 敏
 6 番 木 下 秀 男
 7 番 岡 本 保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 北 村 翼
 10 番 小 川 武
 11 番 上野山 親 主
 12 番 井 出 益 弘
 13 番 町 田 亘
 14 番 尾 崎 吉 弘
 15 番 門 三佐博 
 16 番 西 本 長 弘
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 冨 安 民 浩
 20 番 阪 部 菊 雄
 21 番 平 越 孝 哉
 22 番 大 江 康 弘
 23 番 岸 本 光 造
 24 番 山 本 一
 25 番 吉 井 和 視
 26 番 浜 田 真 輔
 27 番 堀 本 隆 男
 28 番 宇治田  栄 蔵
 29 番 富 田 豊
 30 番 中 村 利 男
 31 番 馬 頭 哲 弥
 32 番 宗 正 彦
 33 番 鶴 田 至 弘
 34 番 上 野 哲 弘
 35 番 村 岡 キミ子  
 36 番 松 本 貞 次
 37 番 木 下 義 夫
 38 番 和 田 正 人
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 橋 本 進
 41 番 野見山  海
 42 番 森 正 樹
 43 番 浜 本 収
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 口 矩 一
 46 番 森 本 明 雄
欠 席 議 員(一人)
 19 番 和 田 正 一
 〔備 考〕
 5 番 欠 員
 47 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口 勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 佐 武 廸 生
 民生部長 吉 井 清 純
 保健環境部長 江 口 弘 久
 商工労働部長 中 西 伸 雄
 農林水産部長 中 村 昇
 土木部長 山 田 功
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
  岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
  山 階 清 弘
 警察本部長 中 長 昌 一
 以下各部長
 人事委員会委員長
  水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
  稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 塩 崎 省 吉
 次 長 中 村 彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 古 井 美 次
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 川 端 孝 治
 調査課長 大 畑 巌
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時三分開議
○議長(馬頭哲弥君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(馬頭哲弥君) 日程第一、議案第一号から議案第七十三号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 10番小川 武君。
 〔小川 武君、登壇〕(拍手)
○小川 武君 議長のお許しをいただき、通告に従いまして、まずミニ新幹線を初めとする鉄道の高速化についてお伺いいたしたいと思います。
 鉄道につきましては、昨年三月の東海道新幹線東京─新大阪間におけるのぞみ号の登場や、七月の在来線・新幹線両区間の走行が可能な四〇〇系車両つばさによる奥羽本線福島─山形間の新幹線直通運転いわゆるミニ新幹線の開業、さらにはこのたびのダイヤ改正におけるのぞみ号の博多への延長と増発など、その高速化は着実に進められておるのであります。
 さらに、昨年十一月に発表されました運輸経済年次報告いわゆる「運輸白書」においても、「東京一極集中を是正し、多極分散型国土を形成し、国土の均衡ある発展を図るためにも、全国的な高速交通ネットワークを整備し、地域間の交流を促進していくことが重要である」とした上で、鉄道については「全国の高速交通ネットワークの高度化を図ることが、鉄道整備の目標となる。特に、地球温暖化等地球環境問題がクローズアップされつつある中で、CO2の排出量が少なく環境負荷の小さい鉄道の果たす役割はより一層重要になる」と、その重要性が改めて強調されているところであります。そして、その具体的な整備方策の一つとして新幹線と在来線の直通運転化の推進が示されております。
 新幹線と在来線の直通運転につきましては、在来線を活用して比較的低い投資額と短い工事期間で高速交通ネットワークの拡大をもたらすものであり、冒頭でも申し上げましたとおり、昨年七月、奥羽本線の福島から山形までの区間が開通し、東京─山形間の所要時間が三十四分短縮され、一日当たりの輸送人員も平成二年度に比べ四割も増加するなど、首都圏との交流促進が図られております。また、盛岡─秋田間の田沢湖線につきましても、平成八年ごろの完成を目指し、工事が進められておるところであります。
 県議会におきましても、昨年三月より、自民党県議団政調会に大江副議長を座長としてミニ新幹線等調査会が設置されました。私もメンバーの一人として参加いたし、勉強を重ねてまいったところであります。
 調査会は、二カ月に一回のペースで六回開催し、六回目は調査会の皆さんとともに、ミニ新幹線の開業した山形県とその建設が進められている秋田県、そしてJR東日本を訪問し、地元での取り組みや苦労話、JR東日本との協力体制などにつきまして山形・秋田両県当局の担当者から説明を聞き、つぶさに現地を視察してまいりました。
 この視察に当たりまして、私はミニ新幹線導入にかける地元の熱意を直接肌で感じ、JRはもとより国や隣接府県との密接な連携の必要性を痛感したところであります。
 山形新幹線沿線で力強く展開されている、町の個性に合わせたユニークな駅を核としてさまざまな形で繰り広げられている町づくりを見るにつけ、これが本県に導入されたときの、社会、経済、文化等、各方面に及ぼすはかり知れない影響に思いをいたすものであります。
 本県においても、ちょうど一年前の二月定例会におきまして、中村裕一議員の質問に答えて仮谷知事は「ミニ新幹線問題について積極的に取り組んでまいりたい」と述べられ、昨年来、本県を中心とした紀伊半島におけるミニ新幹線、在来線の高速化など、その整備のあり方、導入可能性等につきまして、学識経験者、運輸省、JR西日本を初めとする関係行政機関、関係運輸事業者の協力を得て、調査が実施されているところであります。今月末にもその調査結果の取りまとめがなされると、かねてから伺っているところであります。
 幸い、本県の至近距離に我が国初の二十四時間空港である関西国際空港が開港されようとしております。将来この空港とミニ新幹線を結ぶことができるならば、その波及効果は山形の比ではないと確信するものであります。
 山形新幹線は、昭和六十三年八月に山形駅前広場で起工式を行って工事着手し、平成四年七月の開業に至るまで工事期間はわずか四年、昭和六十一年十二月、地元で期成同盟会を設立して以来、事前の準備期間を入れてもわずか六年半という驚くべき早さで完成しております。
 本県の場合、山形県と比べ、整備区間の長さや地形等が大いに異なり、運転本数等ダイヤ密度が比較にならないほど高いことを考えれば、その導入には多大の課題はあろうかと思いますが、ミニ新幹線が二十一世紀の本県鉄道の主役となり、地域の活性化にはかり知れない効果をもたらすことに思いをいたすとき、その実現に向かって全力を傾けるべきときではないかと思うのであります。知事のご所見をお伺いしたいと思います。
 さて、本県へのミニ新幹線導入となりますと、いろいろの問題が立ちはだかることと想定されます。例えば、新大阪からのルートを考えましても、大阪環状線や阪和線の過密なダイヤへの対応や阪和線の連続立体交差の必要性、さらには田辺以南の複線化の問題、カーブの線形改良等々、これらはほんの一例にすぎず、平均時速百三十キロへの課題が多いわけであります。
 また、秋田県では、新幹線計画時、岩手県に対しておつき合いの意味で「一億円でも出してもらえたら」とお願いしたところ、大方の予想に反しまして、岩手県は「北東北の振興のためならば」と二十四億円も出してくれたとのことであります。秋田新幹線は分割併用する盛岡駅では停車いたしますが、そのほか岩手県内ではどこにもとまらないにもかかわらずであります。
 紀勢本線を論じる場合、必ず考慮しなければならないのが隣接府県、特に大阪府との関係であります。昨年十一月、阪和開発連絡協議会におきまして、和歌山県・大阪府共同の問題として鉄道整備に触れ、来年度新たに両府県が共同調査を行うこととされておりますが、今後ミニ新幹線の導入を推進していくとき、隣接する大阪府の協力が不可欠であると思うのであります。
 県におかれましては、鉄道の輸送力向上と高速化への対応として平成五年度において一千万円の予算が計上され、運輸省、JR西日本等の協力を得て調査が実施されるとのことであります。私はこうした県当局の取り組みを高く評価するものでありますが、先ほど申し上げました本県ミニ新幹線導入へのもろもろの課題について、どのような方向で解決に向けた対応をされようとしているのか、本年度実施されている調査の進展状況と来年度調査への取り組みについて、企画部長のご所見をお伺いしたいと思います。
 次に、和歌山大学教育学部跡地に建設中の新美術館・博物館についてであります。この新しい二つの施設は、二十一世紀に向けた和歌山県の文化創造の核となる施設として大きな期待が寄せられております。
 全体の整備計画を見てみますと、緑豊かな史跡・和歌山城との調和を考え、建物の周辺に池や滝などを配し、自然を生かした立体的なものとなっておるのであります。また、敷地全体を県民憩いの場として時間外でも広く開放されることは大変喜ばしいことであります。建築面積も現施設の四倍から五倍になり、展示室も機能面を重視して効率的な展示を行えるよう室内を無柱にするなど、時代を先取りした設計となっております。特に博物館の展示室には、全国の公立博物館では類を見ない三十メートルの長尺の展示ケースを四本も設置されることとなっております。
 これらのことから、私は知事並びに教育委員会の文化に対する力強い意気込みを感じ取ることができるのであります。このようなすばらしい新館が県民の期待を一身に担って日に日に建ち上がっていく姿を目の当たりにするとき、その完成を心待ちにしているのは私一人ではないと思うのであります。
 現在の予定では平成六年三月完成になっていますが、平成六年は関西国際空港が開港される年であります。また、七月にはリゾート博が開催される記念すべき年であります。国内外からたくさんの人が本県にやってまいります。本県のよさを知っていただくとともに、新美術館・博物館を通じて本県の歴史の厚さと豊かな文化をアピールする絶好の機会であると思うのであります。
 新しい施設ができた場合、完成が即オープンとはいかないことは一般論として当然のことであります。施設運営にそれなりの習熟期間も必要であり、機材の配置等、内部作業も必要でありましょう。また、最近よく言われている、コンクリートから出る有害物質の影響を緩和するための養生期間も必要であることは承知いたしております。しかし、最新の技術を駆使して、美術品に十分配慮した上で、ぜひとも世界リゾート博に間に合わせていただきたいと思うのであります。新美術館・博物館の開館時期について、知事にお答えをいただきたいと思います。
 次に、新美術館・博物館の運営方針についてお伺いいたします。
 最近、他府県では次々とすばらしい美術館や博物館がオープンされております。それぞれに個性のあるユニークな館を目指していることが強く印象づけられているところであります。中でも、私の知る範囲では、山梨県立美術館はミレーを中心とする作品、世田谷美術館ではルソー、ゴーギャン、ピカソなどを初めとする素朴派の作家の作品、また最近では、平成二年にオープンいたしました徳島県立近代美術館では「人間」というテーマを追求する作品の収集展示をしております。博物館では、福岡県立九州歴史資料館では「太宰府」をメーンテーマとして展示しており、小・中・高校生はもとより県内外からたくさんの方々が見学に来られ、親しまれているそうであります。
 このようなことを考えてみますと、新館は和歌山らしい特色をいかに出すのか、そして全国的にもユニークな「さすが、やっぱり和歌山」と言われる特色をどのように生かしていくのか、大変大事なことと思います。
 本県は古くから開かれた地域であります。鳴神貝塚や岩橋千塚古墳群、紀伊国分寺跡を初め、高野、熊野といった信仰のメッカとして古代から中近世にかけてはぐくまれてきた文化的な土壌があります。そうした歴史の上に立った文化的風土をいかに表現するのか、それが新館の一つの使命でもあると考えるわけであります。新館の和歌山らしさや全国に誇るユニークな特徴点について、特に教育長にお伺いいたしたいと思います。
 平成元年に出されました「和歌山県立新美術館の建設基本構想」の中で新美術館の基本的性格を五つ挙げ、その中に「県民の新しい文化創造の核となる美術館」「美術に関する情報が充実し、県民が学習しやすい美術館」とあります。また、平成二年に出されました「博物館新館建設構想」の中で、「広く県民が積極的に参加し、生涯にわたって文化活動や学術研究ができる学習の場とする」という基本性格がうたわれております。
 したがって両館は、文化、芸術の県民生涯学習の場として、また地域文化の高揚や担い手の育成としての役割も持つものであると思うのでありますが、そういった点をいかに運営面で生かしていくお考えを持っておられるのか、教育長にお伺いいたしたいと思います。
 最後に、平成六年夏、関西国際空港開港と世界リゾート博の開催に合わせ、特別な展覧会を催すお考えについてお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの小川武君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 小川議員にお答え申し上げます。
 ミニ新幹線の本県導入についての知事の所見でございます。
 お話ございましたように、近年「鉄道の復権」ということが言われるようになりまして、鉄道の機能、役割が改めて見直されている現状でございます。東北新幹線の話がございましたけれども、そうしたものを活用したミニ新幹線の導入など、鉄道の高速化についての取り組みがなされている現状でございます。
 そしてまた、和歌山県は関西国際空港の至近距離にあって、なお一層国内外の交流が盛んになるということでございます。そうした中で、ミニ新幹線の導入を初めとする在来線の高速化を進めることが非常に重要でございまして、現在、運輸省と共同で整備構想の策定を進めつつあり、来年度も引き続きやらせていただきたいと思っておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、議員お話しのように、隣県との問題等々たくさんの課題はございますけれども、ミニ新幹線が二十一世紀の交通の大きな役割を果たすということに大きな期待を込めて積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、新美術館・博物館の開館時期でございます。
 話ございましたように、課題はいろいろございますけれども、最大のイベントである世界リゾート博、これにはぜひ間に合わせていただきたいということで現在進めつつあるわけでございます。
 詳細については教育長から答弁させていただきます。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 紀伊半島における高速交通体系整備構想に関する調査についてでございますが、その進展状況と来年度調査への取り組みにつきましてお答えいたします。
 調査については、学識経験者、運輸省、JR西日本、JR東海など、関係者から成る調査委員会を設置し、本県鉄道の現地調査も含めて数回にわたる委員会を開催していただき、ミニ新幹線導入を初めとする在来線の高速化に向け、技術面などさまざまな面から検討をしていただいているところでございます。本年度は、高速交通体系整備構想と課題の整理を行うこととしてございます。
 議員ご指摘のとおり、ミニ新幹線導入については、大阪環状線、阪和線の過密ダイヤへの対応や連続立体交差の必要性、さらには田辺以南の複線化の問題、カーブの線形改良など、多くの課題が議論されているところでございます。
 その解決のためにも、平成五年度ではさらに、運輸省の指導により財団法人運輸経済研究センターにおいてミニ新幹線導入について調査を進めていただけることとなってございます。一方、大阪府と共同で高速化に伴う地域活性化調査等を行うこととしてございます。また、本年度の調査結果を踏まえ、JR西日本のご協力をいただき、在来線スピードアップの具体化のための調査を行ってまいりたいと考えてございます。
 今後、鉄道整備基金の活用などについても国に対し働きかけを行い、事業化に向け積極的な取り組みを行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 新美術館・博物館にかかわって、三点についてお答えいたします。
 新しい近代美術館・博物館の開館についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、美術品に悪影響を及ぼすアルカリ性物質を除去するための養生期間が最も大きな課題でございますが、世界リゾート博覧会に合わせてオープンさせたいという強い願いを持ってございます。教育委員会としては、世界リゾート博覧会開催時には国内外の人々に新館をご披露できるよう、関係機関と協議を重ねながら最大限の努力を傾注してまいる所存でございます。
 次に運営の基本方針についてでありますが、新近代美術館については、県民の新しい文化創造の核となるような美術館とするため、新美術館建設検討委員会から答申をいただいた五つの基本的性格を踏まえながら運営することとしております。また、美術品収集の基本的な方針についても、その答申を踏まえながら、国内外を代表する郷土ゆかりの作家の作品や国際的にも評価を受けている版画を中心に収集しているところでございます。
 郷土ゆかりの作家としては、近代美術史に名を残した日本画の川端龍子、下村観山、洋画の川口軌外、彫刻の建畠大夢や保田龍門などの作品を収集しております。これらの作品は国際的にも著名で、本県の文化水準の高さを示すものであります。また版画では、「和歌山版画ビエンナーレ展」も回を重ねること五回目を迎え、今回の応募も、国内作家はもちろんのこと、世界六十数カ国からの応募者を合わせて延べ千百十名の作家から三千百五十七点という多数に上り、今やまさに国際的に定着したビエンナーレ展となってございます。新館で直接鑑賞できるこれらの作品は、県民はもとより県外の方々にとっても十分ご満足いただけるものと考えています。
 次に新しい博物館についてでございますが、本県は熊野三山や高野山に代表されますように、古代より人々の心のよりどころとなり、文化が栄えたところでございます。とりわけ熊野地方は、熊野信仰のため全国各地からたくさんの人々が険しく幽玄な山々を越え、また青い海を見ながら当地を訪れ、その歴史の流れの中に幾多の文化を生み出してまいりました。この貴重な文化遺産は本県の誇りであり、また県内全域は文化財の宝庫でもあります。
 新館では、これらの豊かな文化財を通して、小・中・高校生はもとより、県民を初め県外の方々にすぐれた文化と歴史の流れを通史的に展示、紹介することといたしております。また一方、専門的な展示として、例えば「心のふるさと熊野信仰と紀州の宗教」などのコーナーを中心に本県文化の特徴を積極的に紹介し、隣の近代美術館と連携をとってまいりたいと考えてございます。
 次に、地域文化の高揚と担い手となる人々の育成についてでありますが、新しい近代美術館・博物館においては、美術鑑賞講座、各種の研修会や講演会などの諸事業を幅広く実施することにより本県文化の向上、振興を図るとともに、新しい担い手となる人々の美に対する鋭い感性と創造力を身につけさせるものと考えております。
 最後に特別展示の開催についてでありますが、現在、新館における諸課題がございますので、これを解決すべく最大限の努力をしてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 10番小川 武君。
○小川 武君 ただいま、答弁をいただきました。知事の長年の夢でもあったと思いますし、県民も非常に期待をしております新美術館・博物館の開館時期に際しまして、知事から「リゾート博に間に合わせたい」と、非常に力強い答弁をいただきました。
 リゾート博の目標入場者数は百万人と聞いております。まださらに上方修正するという話も聞いております。もし仮に百五十万人ともなれば、その四割、約六十万人の人が県外から来るわけであります。リゾート博の開催期間は七十二日間。こんなに多くの人が和歌山を訪れるということは、かつてなかったと思うんです。まあ、恐らくこれからもないと思うんです。こうした関西国際空港開港の年、世界リゾート博開催の年にぜひ間に合わすようにご努力をいただきたい。
 今も教育長の答弁の中にもありましたが、文化庁の問題とか、クリアしなければならない問題はいろいろあると思うんです。また、今まで県当局並びに教育委員会、特に関係する職員の皆さん方は大変ご苦労されたと思うんです。しかし、ぜひこのリゾート博に間に合うように開館をしていただきたい。
 運営の面とか特展の問題についても答弁ありましたけれども、和歌山のよさをぜひ世界じゅうの人に知っていただけるように、新美術館・博物館の開館時期に関して、私は、今の時期に日にちまではともかくも、四月とか五月とか、少なくとも七月の初旬とか、そういうお答えをいただけると思っていたんです。そういう点ではちょっと物足らんわけですけれども、とにかく前向きな答弁をいただきましたので、重ねてリゾート博までに開館できることを希望いたしまして、要望にとどめたいと思います。
 以上です。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で小川武君の質問が終了いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 それでは、お許しをいただきましたので、質問並びに質疑をさせていただきます。
 議案第四十一号「和歌山県公文書の開示に関する条例」についてお尋ねをしたいと思います。
 まず、このように情報公開に一歩踏み出したことを評価したいと思います。一般的にいえば、行政権を握る者にとって都合の悪い情報は民衆に知らせたくないと考えるのは、洋の東西を問わず歴史が示しているところであります。情報公開の制度が今日に至るまでできなかったというのも、その歴史の一端にあると思うわけでありますが、世論の高まりの中で公開へと進んできたことは一歩の前進と歓迎するものであります。
 それだけに、行政側からのお仕着せ的な情報公開でなく、国民の憲法的権利を県民にどう保障していくかという観点が貫かれることが大事であろうかと思うわけであります。行政側に都合の悪いものは公開しないという姿勢がどこかに潜んでいれば、美しい条文も骨を抜かれたり形骸化することになりかねません。一歩の前進を評価しつつも、そういう立場からよりよい条例であってほしいことを願いつつ質問をいたします。
 まず第一条の「目的」についてでありますが、県民が公文書の開示を求める権利の根拠を明らかにすべきだろうと思います。すなわち、憲法に定められた「知る権利」を明文化すべきであろうと考えます。なぜなら、行政がみずからの都合で自分の都合のよい範囲で公文書を開示するという不徹底性を排し、県民の権利を憲法の理念において保障することが本来的なあり方だと思うからであります。
 第一条では県民の県政に対する理解と信頼を深めてもらうことが目的となっておりますが、理解と不信を深める場合なども一般論的にはあり得ることで、理解と信頼のみを求めるという出発点では開示に対する制約が強くなると思われますが、いかがでしょうか。
 第二条の「実施機関」についてですが、公安委員会が抜けています。警察の業務である犯罪の予防や捜査等に一定の機密が必要であることは否定するものではありませんし、昨日の答弁について一定うなずける点がないでもありませんが、それでもなおかつ公開されてしかるべきものはあるはずであります。危険物取り締まり業務あるいは交通安全対策など、開示の対象としては何ら差し支えないものがあり、公安委員会の一切を非開示の対象とするというのは、「知る権利」を保障するという立場から遠ざかるものであろうと思います。
 同条第二項の「公文書」の規定として決裁または供覧の手続が完了しているものとありますが、意思決定の過程に県民の「知る権利」が及ばないのは意思決定に県民の意思の反映を拒むものであり、決裁以前のすべてを非公開とすべきではないと思うのですが、いかがでしょうか。
 第三条は、開示を求める権利と個人に関する情報の関係であります。「開示を求める権利を十分に尊重する」ということと「個人に関する情報がみだりに公にされることがないよう最大限の配慮をしなければならない」とありますが、「十分に尊重する」と「最大限の配慮をする」という二つの形容詞の違いの意味はどういうものでしょうか。プライバシーの保護は当然ではありますが、いたずらにプライバシーの保護をかざして「知る権利」を抑制する危険はないでしょうか。形容詞の背後の行政姿勢に危惧を感じますが、いかがなものでしょうか。個人の情報も、非開示部分を定めて開示する権利を保障すべきだと思います。
 第五条、開示請求権者の資格条項でありますが、個人、法人、団体いずれも県内に住所または事務所を有する者となっております。開示事務に多額の費用が要るために納税者に限る、あるいは和歌山県の自治振興に他府県の者からとやかく言われる筋合いはないという立場らしく思われますが、日本国民に和歌山県政を堂々と開示してもよいのではないでしょうか。経費にかかわることで言えば、県外者には料金の上で一定の方策をとることも考えてしかるべきだと思います。
 第七条の5について、開示を求められた文書の中に「県以外のものに関する情報が記録されているときは、あらかじめ当該県以外のものの意見を聴くことができる」とありますが、その意見が開示の当否を決定する要件となるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
 第九条は、開示しないことができる条件であります。法律または政令の規定に基づくものはやむを得ないと思いますが、主務大臣からの明示の指示があった場合という項目があります。ところで、「明示の指示」とはいかなるものをいうのか。主務大臣の恣意的な言動によって非開示となるとすれば、国民の「知る権利」が大きく損なわれることになりかねないと思うのですが、いかがでしょうか。
 同じく第九条の二号に関して、個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、または識別され得るものは非開示にすることができるとありますが、開示請求者が本人または保護者の場合はその条項から除く条項として加えるべきではないでしょうか。
 例えば、学校生徒に関する指導要録、内申書は本人または保護者に当然知らされてしかるべき内容であろうと思うのですが、いかがでしょうか。川崎市が今、先進例を示しておるわけでありますが、本県教育委員会も英断のときではないでしょうか、お考えを示していただきたいと思います。
 非開示とすることができるとされる同条の五号、六号、七号に関してお尋ねをいたしますが、五号に「県と国等との協力関係又は信頼関係が損なわれると認められるもの」、六号に「開示することにより当該合議制機関等の公正若しくは円滑な議事運営が損なわれるもの」、七号に「意思形成に支障が生ずるおそれがあると認められるもの」、八号に「関係当事者間の協力関係若しくは信頼関係が損なわれると認められるもの」等々が列記されています。いずれも、是とすべき理由であると同時に、解釈次第では非開示の範囲を拡大するおそれがあります。第一条の目的条項に開示の目的が県政への信頼を深めてもらうことという項があるだけに、気がかりな内容だと言えます。「知る権利」をどのような形で担保されているのか、明らかにしていただきたいと思います。
 第十条に関して言えば、当該情報の記録されている部分と非開示にすべき部分とが容易に分離することができるときは非開示部分を除いて公文書を開示することができるとあります。逆に言えば、分離が容易でない場合には開示しなくてもよいということになります。分離が容易か否かということも主観の入りやすい部分であります。ここにも開示することを主たる方向として担保することが必要であり、あえて「容易」という言葉の挿入は不要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 第十五条の二項に、開示される文書は平成五年三月三十一日以後のものに限られることになっております。過去の膨大な文書のすべてを開示できるよう整備することは至難であろうとは推測されます。しかし、県政を知る上で過去の文書が必要なことは当然であります。直ちに開示はならないまでも、順次開示できるよう整備を進めるべきであろうと思うのですが、いかがでしょうか。
 第十七条について、「積極的な情報提供の推進に努める」とありますが、この条例の目的から見てこの情報提供は格段の努力の求められるところでありますが、あえてこの条項を設けたことによって情報提供の施策をどう発展させようとしておられるのか、お示しいただきたいと思います。
 次に、不況対策と地域産業、地元業者の発展を願って幾つかの質問をいたします。
 去る十二月議会において、不況対策について幾つかの要望を申し上げて質問をしたところでありますが、その後、県民の願いにこたえて不況対策の特別融資の制度を創設するなど一定の対応をされたことについて、その努力を喜びとするものであります。しかし、現今の不況の深刻さは私たちに寄せられる相談の一つ一つに実感され、県当局の一層の不況対策の強化を求めたい次第であります。
 今議会に提出された予算案の中に、不況対策特別融資制度が設けられ、その枠四十五億円とされております。恐らく、PRの仕方次第でたちまちいっぱいになってしまう可能性があるかと思うわけであります。他府県の状況の中には、一週間で枠を超えたところもあるようでございます。その際は直ちに追加補正をして窮迫する零細業者に援助の手を差し伸べるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 また県は、特別小口貸付制度として、四百五十万円、保証料無料、返済期限三年の制度を設けています。保証料無料制度というのは近畿的にも先進例であり、当局の努力について大いに評価したいと思うところでありますが、同時に「三年の返済はきつ過ぎる。何とか五年にしてもらえないか」という声は依然として強く上がっております。私も、昨年その旨のお願いをいたしましたが、残念ながらこたえていただいている状況ではありません。
 今、政府の方で四百五十万円を五百万円にという措置が講じられようとしていますが、当局にあってはこの際、枠を五百万円にし、保証料無料制度を維持して五年返済へと制度を発展させてはいかがかと思いますが、ご所見を賜りたいと思います。
 次に、仕事をふやす問題についてお尋ねをいたします。
 不況の中で深刻な問題は、金融の問題、仕事の確保の問題であります。不況の中で仕事が減少するのは当然のことではありますが、それが零細な企業へのしわ寄せという形で進められてくるところに、大企業に比べられない深刻な苦しみがあります。
 私の知人のある零細な鉄工所の経営者は、県の中小企業振興公社の指導でリースで加工機械を借り入れ、あと一息でリース期限が終わるというやさきにこの不況に出会い、もはやリース料も払えない、何としたものかと悲壮な思いで相談を持ちかけてまいりました。聞けば、同じような状況が同業者にたくさんいる、怠けているのではない、夜を徹しても仕事をする意思はあるが、八時間働ける仕事がない、ときどき仕事にありつけても安くて話にならない、それでも後々の仕事を回してほしいからその仕事をする、ここ半年そんな状態が続いていると話してくれました。
 大手や元請はこの不況の中で内製化、仕事を下請に出さずに自分の工場で製造するようになり下請は一方的にしわ寄せを受ける、そんな状況があちこちに出ています。通産省、中小企業庁あたりも通達等を出して下請保護に一定のポーズを示しておりますが、それっきりになっています。
 県は、中小企業振興公社等を通じて独自の努力をされていると思いますが、この不況に当たりどのような努力をされ、どのような成果を上げていると考えられますか。県下中小零細企業の今後の仕事をふやす手だてをどう考えておられるか、明らかにしていただきたいと思います。
 次に、県が発注する公共事業は、和歌山の業者にとっては何といっても大きな活性化の起爆剤であります。そういう立場から県も、県内業者の育成のためそれなりの配慮をもって発注に当たっているところであろうとは思います。しかし、当局が鳴り物入りで推し進めるビッグプロジェクトなどは県内にどのような起爆剤的役割を果たしてきたのか。残念ながら、思うようには作動していないではないかと思われる点があります。工事が大きくなればなるほど県外の企業の参入が大きくなり、和歌山の関係業者はそれを見ながら指をくわえている状況も見受けられます。
 ついては、以下の事業について、県内業者、県外業者の社数と請負事業費を明らかにしていただきたいと思います。
 一、マリーナシティの造成。港湾関係も含んでお答えください。
 二、コスモパーク加太の土取りと造成。
 三、土木部に関するもの。
 四、農林水産部に関するもの。
 以上について、県内業者、県外業者がどのようにその仕事を受けているかを明らかにしていただきたいと思います。
 県外大手が受注した工事も、一定部分は県下の下請企業へと仕事が回されてきています。それらの仕事が金額にしてどれだけのものなのかわからないというのが実態であろうと思いますが、参画した下請企業数はどの程度あったのか、県外・県内企業として明らかにしていただきたい。可能な範囲でその事業量を金額にして示していただきたいと思います。各部としても県内企業への下請を求めているとは思いますが、果たしてそれが実効のあるものになっているのかどうか、お示しをいただきたいと思います。
 続いて、住友金属の人員削減についてお尋ねをいたします。
 去る二月二十六日の朝日新聞によりますと、住友金属工業は向こう三年間に二千七百人の人員削減を行うと報じておりました。うち一千人が自然退職者となり、千七百人が出向等により現在の職場を追われることになり、和歌山工場においても相当数がその対象となるものと推測されます。現今の不況の中で、現在の職場よりもよい職場への出向ということは考えにくく、対象となる方々やその家族は随分とご苦労されると思われます。
 ついては、住友金属に対して、労働者に不利益をもたらす出向等は行わず、企業努力によって安定した職場とし、対象者が同社の中で労働を継続できるよう会社に対して申し入れ、指導等を行うようにされたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 また、従来、このようなのときの出向はさまざまな問題を惹起してまいりました。零細な地元企業と競合したり、それによってそこで従来から働く人々に不利益をもたらしたりということは、しばしば聞かされてきたところであります。昨今の不況時、ただでさえ仕事がないと嘆いているとき、そのような事態を起こされると、出向を命じられた方々も、競合する企業も、そこで従来から働く人々にとっても大変不幸であります。
 これらの零細企業と比べるならば、幾ら鉄鋼不況とはいえ、住友金属は天下の大資本であります。地域の零細な企業や労働者を犠牲にしなくとも雇用力は何とかなるはずであります。県当局もその点を踏まえて、住友金属に対し、懸念される事態が起こらないよう万全の対応をされるよう指導していただきたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 続いて、米の問題について質問をいたします。
 昨年の十二月議会で知事は、米の輸入自由化反対を表明されました。大変結構なことだと私も賛意を表する次第でありますが、政府の動きは着実に自由化の方向に進んでいるように見えます。
 昨年発表された農業「新政策」は、明らかに自由化に対応するよう日本の農業構造を変革する目的で考案されたと推測されます。ご承知のように新政策は、「土地利用型農業の経営の展望」の中で、稲作を中心とした今後の形態を、十ないし二十ヘクタールの個別経営体十五万戸と二万集団の組織経営体とを創設し、農業生産、農地利用の八割をこれに集中しようとするものであります。
 和歌山県の稲作面積は、相次ぐ減反政策の結果、現在極めてわずかなものになっているわけでありますが、新政策を進めるところで、単純計算をしても大方の農家が消滅し、数百戸の農家あるいは組織経営体が残るだけということになってしまいます。しかし、このような一見非現実的と思えるような施策が、法によって一歩一歩着実に遂行されようとしている現実があります。
 例えば、一月二十九日に農水省が示した構造政策一括法案大綱では、そのことが相当具体的に示されてきています。農地利用増進法は農業基盤経営強化促進法に改められ、その目的には、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担うよう農業構造を確立するための措置を講ずることをうたい、都道府県と市町村がこれに基づいてそれぞれの基本方針と基本構想を定め、農業基盤の強化の促進に関する目標、育成すべき経営体に関する目標、農地保有法人に関する事項等を定めるよう義務づけようとしています。平たく言えば、零細な集約的農家の土地を大農家を核として二十ないし三十ヘクタールの農家に合併させてしまう、あるいは農業株式会社をつくって零細な農家の土地を併合してしまうという方策を県や市町村が基本方針をつくって遂行することを義務づけられるわけであります。
 和歌山県では、米作は農業生産の中でもごくわずかなものでありますが、米作がそれぞれの家庭に及ぼしている影響は決して小さなものではありません。それを、結局土地を手放さざるを得ないような方策を県や市町村が率先して指導しなければならないわけであります。そして、その目的が米の輸入自由化への体制づくりであり、体制の進捗状況いかんに応じて輸入の自由化が促進されるということになれば、口では自由化反対、実際の仕事は自由化促進という、県民に対して極めて不誠実な行政をせざるを得ないということになってまいります。
 県の米作はわずかなものでありますが、日本の米作の一翼を担っていることは事実であり、和歌山の米作を守ることが日本の米を守る、日本の農家を守ることに連なるものであるとすれば、政府が今進めようとしている一連の施策に対し、県としても毅然として対応すべきであると考えるわけでありますが、当局はいかがお考えをお持ち合わせでありましょうか、お答えをいただきたいと思います。
 これをもって、第一問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 公文書の開示に関する条例につきまして、特に「知る権利」を尊重されるお立場からの非常に多岐にわたるご質問をいただきました。順次、お答えを申し上げます。
 まず、「知る権利」の明文化と条例第一条の「目的」の表現についてでございます。
 憲法上の国民の「知る権利」の保障という観点からその根拠を明確にすべきではないかという点についてでございますが、いわゆる国民の「知る権利」については、憲法上の重要な理念であるということは一般的になってきていると言えようかと思いますが、そのことによって直ちに訴訟上の権利救済が受けられるような具体的な権利として確立しているものではないと考えられております。
 したがって、この条例における開示請求権については、憲法から導き出されるところの「知る権利」を直接的に具体化したということではなくて、条例案第一条に掲げている「県民参加による開かれた県政の一層の推進」という目的を達成するために、いわゆる実定法上の権利として県民の公文書の開示請求権を条例によって創設しているものでございます。
 また、第一条の条例制定の目的の表現についてでございますが、公文書開示制度は、ただいま申し上げたように県民参加による開かれた県政を一層推進することを目的としております。そのためには、県政に対する県民のご理解と信頼を深めていただくことが重要でございます。そして、この制度の実施により、県民の方々は必要なときに県政に関する情報を直接入手できるようになりますので、これまで以上に県政が身近なものになり、このことがひいては県政のよりよい発展に結びついていくものと考えております。
 なお、開示に対する制約が強くなるというご指摘でございますが、開示・非開示の判断については第九条各号の規定を適正に運用してまいる所存でございます。
 次に、公文書の定義についてでございますが、開示請求の対象公文書を「決裁又は供覧等の手続が終了し」と規定しておりますのは、こうした手続が終了していない公文書は未成熟な情報でございまして、組織的には意思決定がされていないものでありますので、かえって開示することにより無用の誤解と混乱を生ずるおそれもございます。実施機関としての責任を明確にする意味からも限定したものでございます。
 次に、第三条に規定する条例の解釈及び運用についてでございますが、「県民の公文書の開示を求める権利を十分に尊重する」との規定は、本条例の基本理念である原則公開の立場を明らかにしたものでございます。
 しかし、他方で、プライバシーの保護が個人の尊厳にかかわる憲法上確立された基本的人権の一つであることから、「個人に関する情報がみだりに公にされることがないよう最大限の配慮をしなければならない」として、公開を原則とする公文書開示制度との関係においても最大限の保護が必要であることを明らかにしたものでございます。
 次に、請求権者についてでございます。
 公文書の開示を請求できる者につきましては、県条例の効力の及ぶ範囲が原則としてその行政区域に限られているという点、県民参加により開かれた県政を一層推進していくという本制度の目的、さらにこの制度の運用は県民の方々の負担によってなされるものであるといった点を考慮し、一定の範囲の方に限定をしたものでございます。
 しかしながら、近年の日常生活圏の広がり等から、県民以外の方々についても県行政とさまざまな形でかかわりを持つことが多くなってきておりますし、関係者からの行政情報に対するニーズも増加をしてきております。そうした点を考慮して、第五条で規定をする請求権者以外の方については、条例案第十六条の規定により、実施機関が定める一定の範囲の中で開示の申し出ができるという任意開示の制度を設け、公文書の開示の申し出に応じるよう努めることとしております。
 次に、県以外の者からの意見聴取についてでございますが、条例案の第七条第五項の「あらかじめ、県以外のものの意見を聴くことができる」との規定については、開示請求された公文書の中に第三者の情報が記録をされている場合に、開示をすることにより当該第三者の権利、利益を不当に侵害することのないように、開示・非開示の決定を慎重かつ的確に行うために、実施機関が必要と判断した場合に意見を聞くことができるよう設けているものでございます。
 当該意見については、実施機関が開示・非開示の決定を行うに際しての一つの判断材料とするものでございまして、同意を求める性格のものではございません。
 次に、第九条第一号に規定をする主務大臣等からの明示の指示についてでございますが、「開示してはならない旨の明示の指示」については、開示してはならない情報について主務大臣等からの通達、訓令、通知等、文書による具体的な指示のあるものと考えております。
 次に、いわゆる本人情報の開示についてでございますが、公文書開示制度は第一条に掲げる目的のために定めるものでございます。県民が自己に関する情報を行政機関から得るための制度を定めるものではございません。したがって、本条例に基づく公文書の開示については、本人あるいはそれ以外の者のいずれからなされた場合であっても、開示するかどうかについては同じ結論になるべきものでございます。言いかえますと、開示を請求する者の違いによって取り扱いが異なるものではないということでございます。
 次に、非開示事項と「知る権利」の関係についてでございます。
 「知る権利」と本条例との関係については、先ほどもお答えを申し上げたとおりでございます。本制度は基本的には公開を原則としているものではございますが、行政情報の中には公開に適さないものも含まれておりますので、公開の原則に対する例外として、開示しないことができる公文書として条例案の第九条各号にそれらを類型化して規定しているものでございます。
 「知る権利」との関係で、特に同条第五号から第八号までに規定する事項を引用されましたが、要は、議員が言われる「知る権利」とプライバシーの保護や円滑な行政運営による県民全体の利益の保護といった要請のどちらを重視するかという比較考量の問題だと考えております。もとより、条例の適用に当たっては拡大解釈や恣意にわたることのないよう適正な運用を期してまいります。
 次に、第十条に規定する部分開示についてでございます。
 この規定は、公文書の開示請求に対しては原則公開の精神から、当該公文書の中に部分的に開示できる情報と開示することのできない情報とが含まれている場合、開示できる部分についてはできるだけ開示をしていくという趣旨から設けているものでございます。
 「容易に」との表現は、開示することのできない部分とできる部分とを分離することにつきまして、公文書そのものを損傷することなく物理的、経済的に分離が容易であることが必要との観点から規定をしているものでございます。この規定の趣旨を踏まえて運用してまいりたいと考えております。
 次に、第十五条第二項の対象公文書についてでございます。
 公文書開示制度の運用に際しては、県民の方々から公文書の開示請求があった場合に、県民の方々が求めている情報が県の保有している膨大な公文書の中に存在するかどうかを速やかに検索をし、該当する公文書を特定しなければなりません。そのためには、適正な文書管理と文書の検索システムが確立されている必要がございます。
 しかしながら、過去の公文書をこの制度の対象とするためには、県が保有するこのような膨大な量の公文書について、逐一検索のための目録等の整備が必要となり、それがために通常の行政運営に支障が生じ、ひいては県民サービスの低下を招く懸念もございます。したがいまして、制度の円滑な実施を確保するために、請求権の対象となる公文書を制度実施年度以降のものに限定したわけでございます。
 なお、過去の公文書についても、条例案第十六条の規定により実施機関が定めるものについては任意開示の対象とし、開示に努めることとしております。
 最後に、第十七条の積極的な情報提供の推進についてでございます。
 県政に関する県民の理解と信頼をこれまで以上に深めていただくためには、公文書の開示制度を利用していただくだけではなく、事実上の情報提供についても一層充実をさせていくということが重要であると考えております。
 県においては、これまでも「県民の友」の発行を初め、報道機関への資料提供、行政資料室での閲覧制度、テレビ・ラジオの活用等、さまざまなメディアを活用して情報提供に努めてきたところでございますが、条例案の第十七条の規定は、公文書開示制度の実施を一つの契機としてより積極的な情報提供に努めていく基本姿勢を明らかにしたものでございまして、その趣旨に沿った運用を図っていかなければならないものと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 金融対策の改善と下請振興についてでございます。
 県といたしましては、中小企業の金融円滑化対策として従前より融資制度を設け、取り組んできているところでございます。長引く景気の低迷を踏まえ、平成五年度においても、融資制度のより充実を図るために融資枠を拡大し、また売り上げの減少している中小企業者への資金需要にこたえるために緊急経営資金特別融資制度を創設するなど、対策を講じることとしてございます。
 議員ご指摘の特別小口融資資金の融資限度額については、昨日、新田議員にもお答えいたしましたが、中小企業信用保険法の特別小口保険の保険限度額を適用しているものであり、現在、国においてもこの信用保険法の改正が審議されております。
 信用保険法の改正がなされますと、特別小口保険の限度額が四百五十万円から五百万円に引き上げられますので、県としても特別小口融資資金の融資限度額を引き上げてまいりたいと考えてございます。
 また、融資期間の五年への延長については、関係機関との協議が必要でございますので、ご質問の趣旨を踏まえ努力してまいりたいと考えてございます。
 次に、新制度の緊急経営資金特別融資制度の融資枠は四十五億円を予定してございますが、その融資枠の拡大については、中小企業の皆さんの利用状況等を見ながら対応してまいりたいと考えてございます。
 次に下請企業の育成についてでございますが、重要な課題として受けとめてございまして、その振興に取り組んでいるところでございます。
 受注企業の仕事確保については、京阪神の発注企業や関西国際空港株式会社等の大型プロジェクトに対応するため、同業種の受注企業グループを結成させ、大量の仕事でも受注できる体制で発注企業の訪問を行っているところでございます。
 また、受注登録企業名簿を作成し、イベント等、発注企業の集まる機会をとらえて配付するとともに、県内の発注企業に対しては、特に移動あっせん相談を行っているところでございます。
 また本年度は、下請企業の創造的なすぐれた製品、高度な加工技術等を広く紹介したガイドブックを作成し、発注企業、商社等に配付することにより販路開拓や下請取引の促進を図っているところでございます。
 その結果、平成四年度分として平成五年二月末で二百二十八件の下請取引紹介あっせんを実施するとともに、受注企業グループでも、建築金物、鉄骨建築等、関西国際空港株式会社並びにマリーナシティ関連の受注を確保したところでございます。
 なお、発注企業が受注企業の一方的な取引の改正を強要しないよう、近畿通産局等と共催して下請取引適正化のための講習会を開催するとともに、中小企業振興公社の発行する「公社だより」でもその点について発注企業の注意を喚起したところでございます。また、本年一月、公社登録の発注企業に対して同趣旨の文書を送付し、発注企業に対する指導を徹底しているところでございます。
 厳しい経済環境の続く中、下請企業の仕事確保のため元請企業の訪問を行うなど、きめ細かな指導を進め、これら下請企業の振興に努力してまいりたいと考えてございます。
 次に住友金属についてでございますが、住友金属では現在、平成五年度から三カ年の事業計画を策定中であると聞いてございます。
 人員削減計画が事実とするならば、和歌山製鉄所への影響も十分考えられることでございます。県としても、従来より従業員や下請企業等に十分配慮するよう申し入れてきたところでありますが、さらに強く要望してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 不況対策と下請振興に関して、土木部所管の工事についてご回答を申し上げます。
 県内業者の育成については最重点に考えておりますが、トンネル工事、ダム工事、大型港湾工事、大型橋梁工事、大型建築工事等、高度な技術力、豊富な経験、資金力が必要な工事等に限って県外大手業者に発注をしております。
 平成二年度、三年度に発注した県内・県外業者への発注件数等でございますが、平成二年度実績で県内四千七百十件、金額で四百四十五億円、県外百七件、金額で百四十三億円となってございます。また三年度実績では、県内四千五十九件、金額で四百九十億円、県外九十九件、金額で二百五十二億円となってございます。
 平成三年度の県外発注額が二年度と比較して若干高いのは、県立新図書館、県立美術館、博物館等の大型建築工事の発注があったという特殊事情によるところが大きいものでございます。
 次に、下請の状況でございます。
 平成三年度で県外業者が中心となって契約をした大型建設工事の件数は十八件でございます。この中には、県内と県外と組んだジョイントベンチャーの発注もございますが、下請業者数としては県内で百五十七社、県外で九十八社となっております。率で申しますと、県内が六二%、県外が三八%でございます。
 土木部としては、元請業者に対して契約時等あらゆる機会を通じて下請業者の選定には県内業者を優先するよう指導しているところでございますが、今後とも土木事務所等にもこの趣旨を徹底し、さらにきめ細かく進めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 土地開発公社の土砂採取事業に係る工事発注状況についてお答えをいたします。
 平成二年度から平成三年度末まで県土地開発公社で行った土砂採取事業については、請負額三百十六億二千百万円で、県内企業一社を含む十社による共同企業体に発注し、下請企業は全体で百十社でございます。
 下請企業については、県内企業が六十五社、県外企業は四十五社となってございまして、比率で申しますと県内五九%、県外で四一%となってございます。
 開発公社では、県内の中小企業育成のため極力県内企業を下請に参加させるよう、共同企業体に対して指導が行われたところでございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) 農林水産部の公共事業の発注状況についてでございますが、工事内容は、道路、トンネル、橋梁、治山、漁港、魚礁の設置となってございます。
 平成二年度、三年度に発注した県内・県外業者への発注の件数等でございますが、平成二年度は県内六百一件で請負額百三十八億八千二百万円、県外二十一件で請負額三十八億四千六百万円、平成三年度では県内六百七件で請負額百三十五億二千四百万円、県外十五件で請負額四十二億一千二百万円でございます。
 なお、下請状況でございますが、平成三年度に県外業者へ発注した十五件の下請業者数は二十七社で、すべて県内業者となってございます。今後も下請業者の育成に努めてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、米の輸入自由化と新政策についてでございます。
 米は国民の基本食糧であり、農業の根幹をなすもので、米の輸入自由化阻止については、これまで機会あるごとに全国知事会や県議会を通じて関係機関に強く要望してまいったところでございます。
 ご承知のとおり、本県は米の消費県でございまして、かつ零細規模でありますが、その米づくりは果樹、野菜、花卉との複合経営の一環として、また裏作野菜の生産安定や稲作依存度の高い兼業農家にとって、欠くことのできない品目でございます。
 昨年六月に示された新政策における稲作経営の望ましい規模は、議員お話しのとおりでございます。しかし、本県では一戸当たりの稲作面積が〇・三ヘクタールと小さいことや平地が少ないなど、国の基準にそぐわない面もございます。したがって、県では、従来から進めてまいりました高収益、複合経営の推進を基本としながら、主要な作業の共同化など、地域の実態に応じた効率的な米生産を目指してまいる所存でございます。
 また、ご指摘の農業経営基盤強化促進法案については、主として経営規模の拡大を目指しておるものでございますが、経営の効率的、安定的な農業育成などの関連施策を活用しながら、これらに対応してまいりたいと考えております。
○議長(馬頭哲弥君) 企業局長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○企業局長(高瀬芳彦君) ご質問のマリーナシティ関連の工事発注状況についてお答えいたします。
 平成二年度実績は、県内企業への発注が六件、金額で三億三千四百万円、県外企業へは三件、六十三億九千万円となってございます。また平成三年度実績では、県内企業三件、金額で三億三千二百万円、県外企業五件、十八億六千九百万円の発注となってございます。
 次に、平成三年度の県外企業受注の五件に係る下請業者数でございますが、県内業者十社、県外業者四社となってございます。率では、県内で七一%、県外で二九%となってございます。
 なお、企業局としても、今後も引き続いて県内企業の育成に努めてまいりたいと思います。機会あるごとにそのように要請をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 公文書の開示、調査書と指導要録についてお答えいたします。
 調査書、指導要録の開示についてございますが、高等学校の入学者選抜に際して中学校から高校へ提出される調査書は生徒の平素の学習の記録や生活態度などを記載しており、これは入学者選抜に当たり総合的に判定を行う上で、学力検査と並んで重要な資料となるものであります。また指導要録は調査書等の原本となるもので、児童生徒の氏名や入学年月日などの学籍と学習や健康の状況を記録しており、調査書とともに個人に関する情報であります。
 これらを公開することは、教育現場に混乱を持ち込むことにつながるおそれがあり、仮に保護者から請求が出されたといたしましても、応じることは適切でないと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 警察本部長中長昌一君。
 〔中長昌一君、登壇〕
○警察本部長(中長昌一君) 公文書開示条例について、公安委員会を実施機関に含めていないのはどうかというご質問でございます。
 県警察としては、警察行政を進める上において県民の皆様方の理解と協力を得ることが最も重要であると考えており、情報公開制度の意義や理念について十分に認識をしているところでございます。
 しかしながら、警察が保有をしておる情報のほとんどは、犯罪捜査に関するもの、個人のプライバシーに関するもの、個人の生命身体あるいは財産の保護に関するもの等々でありまして、これらは本来公開にはなじまない性質のものと考えております。
 また、これらの情報のほか、県民の理解と協力のもとに提供された一般的情報などがありますが、そのほとんどは情報源及びその内容を他に漏らさないという保証のもとに提供されたものであります。したがって、仮に公安委員会が実施機関となった場合、警察に提供した情報が将来公開される可能性を有するということになることから県民が情報提供をちゅうちょすることが予想され、その協力を確保することが困難となり、警察業務を遂行する上で重大な影響を及ぼすことが懸念されるのであります。
 さらに、警察業務は本来、地方的性格と国家的性格とをあわせ有する事務であり、全国的な統一性、一体性を保つ必要があります。このため、既に情報公開制度を実施している先行府県においても、いずれも公安委員会は実施機関から除かれております。
 以上のことから、本県においても全国同様、公安委員会は実施機関から除かれているものと考えております。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をいたします。
 情報公開の問題でございますが、先ほどいささか細目にわたってお尋ねをして、同僚の議員の皆さん方にも若干お聞き苦しい点があったのではないかと思いますが、私は総務委員会に所属しておらず、この場でしか聞けませんので、ご理解をいただきたいと思います。そのまま続けさせていただきます。
 条例と「知る権利」に関係する問題でございますけれども、「知る権利」の具体化ではないという答弁でございました。条文を読む限り、そうであろうということは承知しているわけです。県政を知ってもらう、理解してもらうためのそういう行政側からの開示ということについて、私は否定するものではありません。それはそれで大変結構なことだと思います。
 同時に、それを逆の方面から裏づける──憲法的な意味での「知る権利」というのはもう既に明らかにされてきているわけですから、そういう立場からこの目的に接近をさせるということが、この条例そのものにより力強い生命を与えるものではないかと思うわけです。そういう点で、「知る権利」からの出発というのも必要ではないかという私の考えであります。ただ、この点については論争になるだろうと思いますので、そういう点、含みおいて考えていただきたいと思います。
 次に、個人情報についてであります。
 本人の請求だからといって例外的に開示すべきではないというお話がございました。条例の精神からだけでいきますと、そういうことになろうと思います。
 ただ、私が先ほどからしきりに申し上げている、情報公開というのは前提として「知る権利」というものが憲法的に保障された上に成り立っているという立場で進めるならば、この個人の情報ということについても、本人の情報であれば提供してしかるべきではないかと思うわけです。正確な情報が記録されているのか、誤った情報を訂正してもらえるのか、そういう権利は当然あると思うんです。そういうことが、この条例の目的である「県政を理解し信頼をさせる」というところに合致していくのではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。その点を再度お尋ねをしておきたいと思います。
 それから、開示しなくてもよい場合を定めた九条についてお尋ねを申し上げたいと思います。
 九条を適正に運用していく、恣意にわたることのないようにしたいという部長答弁がございました。そのこと自体は大変結構なことだと思うわけですが、そういう内容を条文の文言の中に明確にすべきではないかと私は思うわけです。
 それで、幾つかの項目についてお尋ねをいたします。
 本条例を定めるに当たって、当局は情報懇話会より「和歌山県における情報公開制度のあり方について」という提言を受けておられると思います。その提言を十分に尊重されて条例案の作成に当たったと思うわけですが、この提言との関係で二、三、お尋ねをいたします。
 九条の六項です。これは「当該合議制機関等の公正若しくは円滑な議事運営が損なわれると認められるもの」は開示しなくてもよいという項目を定めたところであります。
 この内容についても、妥当な点がある点については私は否定をいたしません。ただ、この点について提言はこのように述べているんです。「当該合議制機関等の公正又は円滑な議事運営が著しく損なわれると認められるものについては非開示とすることができる」と。この提言の中には「著しく」という言葉が入っています。これを本条例ではあえて抜いたわけですね。それは一体どういうことなのか。
 提言の中では、「著しく」という言葉を入れる上でこのような理由をつけています。「この非開示事項は、濫用されるおそれが多分にある。上記のような議事運営規程又は議決さえあれば、すべて非開示とされるというのでは、公文書公開制度の趣旨が没却される」と。だから、「一定期間の実施状況によっては、この非開示事項を見直す必要があると考える」というところまで述べておりまして、そして「著しく」という形容詞をあえて入れたわけです。それをこの条例案では抜かれたというのはどういうことなのか、明らかにしていただきたいと思います。私は、これを抜くことによって恣意の入る余地があえて広げられたのではないかと懸念をするわけであります。
 次に第七項の、意思形成過程の情報で開示がその過程に支障を来すおそれがあれば開示しなくてもよいという内容についてであります。
 これにつきましても、さきの提言はその支障が明白な場合に限定せよとうたっています。条文上、それは担保されておらないわけで、逆に意思形成に支障が生じるおそれのあるものは開示しないというふうに、提言とは逆方向の、「おそれ」という極めて恣意的な文言が入れられているわけです。この「おそれ」という言葉は、提言の例文の中にはございません。なぜ、そういう主観が入る余地のある「おそれ」という言葉を入れられたのか、お聞きしたいと思います。私は、削除すべきだと思います。
 次の八項の行政運営情報についても、同様であろうかと思います。
 ここでも提言は、開示・非開示の判断は実施機関の恣意的な判断に流れやすいとの注意をし、その運用に当たっては客観的に明白な条件のある場合に限って非開示とすべしと言っているわけです。ところが、条文上はそれが保障されていません。したがって、提言の条件について明記をすべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
 そのほか、このような問題はたくさんございます。一応この程度にとどめおきたいと思いますが、なぜこの問題について私がくどくどと申し上げるかと言いますと、条文の読み方というのは時代によって変わってくるからであります。こういうふうに、開示を前提にするんだ、原則公開だという前提でこの条例文がつくられたということではありますけれども、その条件が明文化されていないと、時代によってその精神がどんどん変えられていく。そういうことは歴史上たくさんあるわけです。したがって、こういう条文については明確にしておく必要があるのではないかと思いまして、先ほどからの意見を申し上げさせていただいているわけでございます。
 それから、公安委員会の開示の問題でございます。
 本部長が答えられた犯罪等の関係についての開示ということは、もうおっしゃるとおりだと思います。私もそれで結構だとは思いますけれども、皆さんがなされている仕事というのはそれだけではないと思うんです。だから、開示してはならない部分と開示してもいい部分というのが分離できると思うんです。そういう点を一切ひっくるめてしまって公安委員会関係は別だと、こういうようなやり方では、県民の信頼を得るために公開をしていくんだという条例の本来的な趣旨に公安委員会みずからが後退姿勢をとることになるのではないかと思うわけであります。これは別に答弁は要りませんが、お聞きおきいただきたいと思います。
 それから、議会について申しますと、これも当然公開されるべきだと思いますが、昨日の質問と答弁の中にもございましたように、それは議会の良識が決めることであろうかと思います。私もそういうふうに思っておりますが、開示の方向で議長さんはイニシアチブを発揮されるよう期待を申し上げたいと思うわけでございます。
 情報公開に関連する質問は以上でございます。
 次に、下請振興についてお尋ねをいたします。
 当局の皆さん方が一定の努力をしておられることについては、私、評価することにやぶさかではございません。本当にご苦労さんだと思っております。ただ、その仕事自身、靴の上から足をかくような感じが否めないわけです。通達を出す、紹介事業を行う、これは大変結構なことだと思いますけれども、それがどのような実効を上げておられるのか、そして元請企業がそれをどのように受けとめておるのか、こういうあたりがなかなか掌握されないままになっているわけです。内製化の問題がどれだけ進んでいるのか、あるいは単価の切り下げがどうなっているのか、こういうあたりがほとんど掌握されていないというのが実態です。
 紹介事業も随分とやられましたけれども、実際にそれが仕事として実ったのは、先ほど紹介された数字の約六分の一にとどまっているわけです。そういう皆さん方の努力にもかかわらずなかなかうまくいっていないという問題に対して、あと一歩踏み込んだ指導が必要ではないかと思うわけです。不況という特殊な状況の中でございますから成果が上げにくいという事情もよくわかりますが、そういうときだけにご奮闘を願いたいと思います。
 金融対策は、さきに求めたほかに、従来の振興資金の返済猶予や返済期限の延長ということもぜひお考えをいただきたいと思います。この点は要望にとどめておきたいと思います。
 県工事の発注状況の答弁につきまして、二つのことを感じました。一つは、ビッグプロジェクト、大規模工事における県内企業の位置の低さということです。これが余りにも低いわけです。例えば、コスモパーク加太の土取り造成事業については三百十六億円が投下されておりますが、これがJVに発注された。その中に県内業者というのは一業者だけです。あとはもうそうそうたる県外の業者が並んでいるという状態であります。だから、三百十六億の受け手としては大半が県外業者であったと。下請の問題についてはまた別に論じたいと思いますが、そういう状況であった。マリーナシティの造成についても、金額にして平成二年と三年では実に九一%が県外業者に落ちているわけです。教育三館のあの美術館、博物館、図書館についても、ほとんどが県外業者にいく。
 こういうような非常に大きな事業になると八〇%、九〇%、一〇〇%近くが県外業者の方に流れてしまうという問題については、県下の業者の資本力、技術力の問題があろうかとは思いますが、やはり一考を要するのではないかと思います。こういう点をぜひ考えていただきたい。
 それから、その県外業者に発注された仕事がどれだけ県内の業者に下請されてきたかという問題です。
 これは、実は私が質問を通告するまで、何社あるかを十分掌握されていない部局もございました。そして、仕事を受けた会社数はわかりましたけれども、仕事の量についてはわからないわけです。
 例えば、コスモパーク加太で県外業者の受けた仕事の六十数%が県内の下請が受けたんだと答弁されます。そうすると、事業量としても何だか相当数が県内業者に落ちてきたように錯覚をしますけれども、それは会社の数であって、例え話によくするわけですけれども、コスモパーク加太でほこりが立たないように水をまいている会社だって、非常に小さな仕事の量ですが、一社に勘定されるわけです。電線一本引いても一社に勘定されるわけです。そうすると、会社の数だけではその下請事業がどれだけ和歌山県の業者に落ちてきたかということがわからないんです。そして実際、これが全体のトータルとしてもわかっていないというのが実情なんです。
 これは、民間の会社と会社との関係ですから金額的に掌握するということは非常に難しい問題もあります。それは十分承知の上でありますけれども、県内業者を育成する、そして中小業者を育てていこうという立場に立つならば、そこにもう一工夫あっていいんじゃないかと思うわけです。そういう点での一段の努力を求めたいと思うわけです。
 そうでないと、鳴り物入りで経済波及効果がこれだけあるんだとおっしゃられても、実際、その風が大阪や東京を向いて吹いていってしまったというようなことになりかねないわけであります。そういう点を関係者の皆さん方は十分考えて今後の努力をしていただきたいと思いますが、どういうふうなご所見をお持ちでしょうか。この問題に限りましては、土木部長の方から一括してお答えいただければと思います。
 以上で、第二問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 公文書の開示に関する条例についての再度のお尋ねでございますが、まず第一点の本人の開示請求の取り扱いの問題でございます。
 自己に関する情報の開示請求に関する制度と今回ご提案申し上げている本制度とは、本来、趣旨、目的を異にするものでございまして、公文書開示制度とは別の制度として別途検討する必要があるものと考えまして、提案を申し上げている条例案の内容になっているということでございます。
 それから非開示事項についての考え方でございますが、この制度においては、第三条で解釈及び運用について規定している原則公開の精神に基づいて運用されるものでございまして、各非開示事項はその例外として規定しているものでございます。
 個別に第九条の第六号から八号までの規定を引用されてご指摘をいただきましたが、個別にその趣旨を申し上げますと、第六号の合議制機関については、行政が独善に陥ることを防止して行政を民主化し公正さを担保するために設置されているものでございまして、こういった機関の性格からすると、その独立性や第三者性を高度に尊重することが重要であると考えたわけでございます。
 したがって、そうした合議制機関における自由な討議や発言が差し控えられるという事態になりますと、機関そのものの設置の趣旨も損なわれていくことにもなりますので、公正、円滑な議事運営を担保するということに主眼を置いたものでございます。
 また、七号の意思形成過程の情報については、未成熟あるいは不正確な情報を開示することによって県民の方々に誤解や混乱を生ずるおそれがあるということから、意思形成に際して逆にそのことが支障になるということを避けるための規定でございます。
 八号の行政運営情報については客観的に判断をしていくことにしており、懇話会提言も踏まえて運用をしてまいる所存でございます。
 総じて、行政の恣意的な運用になるのではないかというご懸念からのご質問だと受けとめておりますが、制度的にも、実施機関の拡大解釈や恣意的な判断を排除するために非開示とした理由を請求権者に提示することを義務づけておりますし、不服申し立てがあった場合には第三者的な機関である公文書開示審査会への諮問を義務づけております。こういった条例全体の組み立てから見ますと、実際問題としては、非開示事項の適用の有無にそういった文言のあるなしが直接影響することはない、それほどの違いを生ずることはないと考えております。
 いずれにしても、九条の六号から八号までに規定をする非開示事項に該当するかどうかの判断に当たっては客観的な該当事由が必要であると考えておりますし、制度の運用に当たっては、繰り返しになりますが、その趣旨に沿って適正になされるように心がけてまいりたいと考えております。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 大型事業に関する下請の問題についてお答え申し上げます。
 大型の土木工事あるいは建築工事になりますと、どうしてもその下請も重層的でありますし、民間業者間の発注、受注の仕方もいろいろな形態がございます。したがって、非常に複雑になっておりますので、おっしゃるとおり、その金額をぴしっと全体をつかむということは実は自信はございませんが、ただ、県内業者育成という一つの大きな観点もございます。実際どのような方法が可能かということを十分研究させていただきたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問はありませんか。
 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時五十七分休憩
 ──────────────────
 午後一時三分再開
○副議長(大江康弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(大江康弘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 11番上野山親主君。
 〔上野山親主君、登壇〕(拍手)
○上野山親主君 通告順に従いまして一般質問を進めてまいりたいと存じます。
 今、国際社会は、米ソの冷戦構造が崩壊し、新しい秩序を確立すべく目まぐるしく変化しようとしています。世界各地で、民族紛争や内乱、飢餓に苦しむ子供たち、難民問題、地球環境問題等、多くの課題が生じてきております。その中で、世界のリーダーであるアメリカでは新しくクリントン体制がスタートしました。また、国連の国際社会の中の役割が重要視されてまいりました。このような状況下の中で、日本の国際貢献のあり方が問われているのであります。
 一方、国内的には、バブル経済がはじけ、ロッキード、リクルート、佐川疑惑等々による国民の政治に対する不信は頂点をきわめようとしています。また、我々地方にとっても、東京一極集中によるひずみが生じ、地方分権を求める声が高まってまいりました。
 今国会冒頭において宮沢首相は、「変革」という言葉を繰り返し使われています。今まさに、我が国が現時点において追い求めなければならないのは、この変革であります。政治、行政の仕組みそのものの変革であり、私たち地方が国に頼らざるを得なかった仕組みそのものの変革であります。
 戦後、我が国の経済は、世界の中で他に類を見ないほどの急成長をし、世界第二位の経済大国の地位を得るまでになりました。しかし、国民一人一人がこれに見合った生活の豊かさを実感し、単に物質的満足にとどまらず、精神的な充実感を得るにはほど遠い状況にあります。大都会では、一生働いても自分の家が持てない、将来に希望が持てない、過密による交通渋滞やごみ、廃棄物問題、水やエネルギー供給の制約等の問題に苦しんでいます。これに反し私たち地方は、生活住環境はなかなか整備されず、陸・海・空に及ぶ交通網の確立に躍起になり、若者たちは都会へ流出し、急激な高齢化社会の進展の中で過疎にあえいでいます。二十一世紀を迎えるにふさわしい国土の実現に向けて、生活大国と世界から称賛されるビジョンづくりが急務であろうと考えます。
 平成二年十一月、衆参両院において国会等の移転に関する決議が行われました。政府においては、国土庁長官の求めにより首都機能移転問題に関する懇談会が開催され、平成二年一月より現在まで十三回にわたり会合が開かれております。この懇談会は、四全総の提起する国民的規模での議論に資するため開催され、首都機能の移転を前提とした上で、最も効果的かつ望ましい方策について検討することとしています。また、内閣総理大臣が首都機能移転問題を考える有識者会議を開催するなど、活発な論議が行われています。衆参両院では、ともに平成三年八月五日に国会等の移転に関する特別委員会が設置され、衆議院では平成三年第百二十一回臨時国会から平成四年第百二十四回臨時国会に至るまでの間に十九回、参議院では十二回開催され、審議が継続されております。
 政府が、東京問題や東京の将来像に関する考え方、国会等の移転に対する賛否等について社団法人日本リサーチ総合研究所に委託することによって二度の調査を行っております。一部、調査結果について紹介を申し上げたいと思います。
 この調査は、平成三年十月と平成四年三月の二回にわたって実施されたものであります。調査対象者は、中央官庁課長級五百名、大手企業部課長級四百名、芸能、文化人四百名、中小企業経営者五百五十名、主婦二百名、合計二千五十名で実施され、回答者は八百三十九名、回答率四○・九%でありました。
 調査結果のうち目立った部分を紹介申し上げますと、現在、東京について特に不満や不安に思うことについては、高地価等による暮らしにくさを不満とする回答が最も多くて七五・四%、次に大震災等による不安を挙げた人が五八・八%となっています。次に、東京圏への居住志向に関して、全体的には東京圏からの脱出を志向する人が定住を志向する人を上回っているのであります。特に、中央官庁の課長級の七割近くが脱出志向であります。次に、国会等の移転に対する賛否については、賛成と答えた人は七三・七%、特に中央官庁課長級が八三・七%、大手企業部課長級八一%と、いわゆるエリート層と言われる人々の賛成率の高いことが目立っております。賛成する理由として、国土のバランスある発展が期待できるが七六・一%、政治や行政の仕組みが大きく変わるが六三%、全国各地域の自主性が高まるが五六・五%となっています。
 この調査からも明らかなように、大部分の人々は東京から脱出をしたい、少なくとも老後は地方で生活したいと望んでいます。また、国会等の移転は国土のバランスある発展に寄与できると考えている人々も多いわけであります。特に、中央省庁のエリート層がそれを強く望んでいるということであります。首都機能移転構想についての議論は尽くさなければなりませんが、中央のみで議論されるのではなくて、私たち地方はもちろんでありますが、国民の各層からの世論を巻き起こす必要があろうと考えます。第二の東京を生み出すための移転構想であってはならないと思うのであります。私の一番懸念いたしますのは、この首都機能移転構想の底流には、現時点の東京の過密状況打破、解消のための政策としての位置づけをされはしないかということであります。まず国ありき、中央権力ありきのための政策に終始しないかということであります。
 今、明治以来の中央集権体制を見直そうと、地方分権論が盛んに議論されております。大前研一氏が結成された平成維新の会が提唱しております道州制の導入により地方に権限を委譲し、政治腐敗を生む政治と金の関係を断ち切って利権構造の中央集権体制を改めようとする案が国民に投げかけられております。
 昨年九月に大分県議会、福岡市議会で、政府に対し地方分権推進法の制定を求める意見書が採択されております。私たち地方の議会も行政も、この問題について地方の立場でどう取り組み、どうかかわっていくのか、避けて通ることはできないのではないでしょうか。今、全国民的規模で、日本の政治や行政の仕組みを新しい方向に変革していかねばならないという機運が高まりつつあります。地方分権論について、知事のご所見をお伺いするものであります。
 続きまして、有田市の西部地域における観光と産業振興に資するための基盤整備についてお伺いいたします。
 有田市の西部地域は、県立自然公園を中心とした観光地域でもあり、県下でも有数な漁業地域でもあります。そして今、有田市では男浦地先の埋め立てにより住宅地の開発や野球場などの観光拠点づくりを、有田市の将来の夢と希望を託し、最重点課題として取り組んでいます。この事業については県当局の皆さん初め国の関係各位に大変なご尽力をいただいておりますことを、心からお礼を申し上げる次第であります。
 しかしながら、道路網がいまだ確立されておらず、行政と市民が一丸となって取り組んでおりますこの事業も、交通アクセスの面で多くの課題が残されております。男浦地先へ通ずる幹線道路を建設する必要があろうかと考えます。
 まず、県道宮崎古江見線の整備であります。
 現在の宮崎古江見線は有田川沿いから宮崎町辰ケ浜に入る路線でありますが、観光バスの対面通行が極めて難しい状況であります。その解決策として、海岸線に沿っての県道バイパスを検討いただきたいのであります。
 いま一点は、有田市都市計画街路西浜新田線を延長し、有田川によって遮られている道路網を有田川河口大橋を建設することによって結んでいただきたいと思います。国道四十二号線より初島地区、港地区を通じ男浦地区へのルートが可能になり、吉備インターから国道四十二号線を通じ男浦地区へのルートが確立され、大きな効果が期待できると思うのであります。
 以上二点について、土木部長のご所見をお伺いするものであります。
 また、有田市の西部地域には、箕島漁港、矢櫃漁港、逢井漁港、さらには千田漁港が存在し、その周辺には古くから漁村が形成されております。しかし、これらの漁村間を結ぶ交通網は皆無に等しく、漁民の生活や産業の振興に支障を来しているのであります。この地域は、多くの観光旅館を有し、通称宮崎の鼻と呼ばれるすばらしい景観を有する県立自然公園地域でもあり、観光ルートとしての価値も忘れてはならないと思うのであります。また、湯浅町から有田市へ通ずる湾岸道路として、地域住民の生活道路としての機能も十分発揮できるものと確信いたします。
 また逢井地区は、現在、一本のトンネルが唯一の交通手段であります。その損傷もひどく、現在の車社会ではその対応が困難なほど狭く、交通安全上も問題が多く、災害等の有事の際には陸の孤島と化す危険性が非常に高く、地域の漁民、住民にとって大変不便な生活を強いられています。ぜひもう一本、トンネルの建設をご検討いただければと存じます。
 以上二点について、漁港関連道事業での取り組みを強く要望するものであります。農林水産部長のご所見をお伺いいたします。
 最後に、環境問題について質問を進めてまいりたいと思います。
 昨年、六月三日から十四日間、ブラジルのリオデジャネイロを舞台にして、国連環境開発会議いわゆる地球サミットが開催されました。この会議には、百八十カ国を超える各国政府代表や各種の国際機関代表、そして百カ国余りの国家元首ないし国家首脳が出席をしました。その最終日に、「環境と開発に関するリオ宣言」「森林に関する原則声明」「アジェンダ21」などを採択して閉幕しております。いよいよ地球的規模での環境問題への取り組みがスタートしたわけであります。
 環境問題は、最初は比較的単純でごく小さな地域内での問題にすぎなかったものが、次第に多様化、複雑化し、さらには国際化した環境破壊へと徐々に拡大してきたのであります。その背景には、これまでの我々の経済社会のあり方と密接にかかわっていることが数多くあります。現在の環境危機は、我々の経済社会全体、地域社会レベルから地球社会のレベルまでのあり方そのものの根本的な新しい国際社会問題となっているのではないでしょうか。
 今日、一般に環境問題と呼ばれるものを一つ一つ拾い上げれば、大気、水、土壌などの汚染に伴うそれぞれの被害としての公害問題に始まり、原生林や野生動植物の保護、緑地や湿地の保全といった自然保護をめぐる問題、さらには地域景観や歴史的、文化的価値のある町並みの保存、地球的スケールで見ればオゾン層破壊や温暖化現象といったように、枚挙にいとまがありません。
 今回は、私たちの生活に一番身近な問題でありながら、その影響は極めて広範囲に及ぶごみ、廃棄物問題について質問を進めてまいりたいと存じます。
 本県のごみ処理状況は、一般廃棄物、一日総排出量千百二十七トンのうち九七%に当たる千八十八トンが収集されており、その処理は焼却処理一日八百八十九トンで全体の七八・九%、埋立処理一日百二十八トンで一一・四%、自家処理三十九トンで三・五%となっております。また、焼却施設は五市十六町六組合で、合計三十三の施設が設置されております。全国的に見ても、全国平均の六九・三九%に比べ、全国八位と処理能力は上位の位置を占めております。
 ごみ問題は、現在の多様化し複雑化した経済社会の中では、排出されたものを焼却し、焼却不可能なものは埋めるという単純な方法ではもはや解決できないのは言うまでもありません。ごみの減量と無害化、そしてその資源化をどうするかという問題であります。
 通産省の再生資源の利用の促進に関する法律の制定や厚生省の廃棄物処理法も改正され、できるだけ資源として再利用する方向へと国の姿勢も変化してきています。また、一九八九年度には全国三千三百自治体の二一%に当たる七百三自治体が資源ごみの回収を行っているそうであります。少しでもごみの量を減らし、リサイクルできるものはリサイクルしようという取り組みは企業でも始まっています。スーパーでは、実際に牛乳パックやトレー、缶や瓶などの回収を手がけているところがふえています。これらの取り組みの背景には、地球環境の危機についてのさまざまな報道や外国からの働きかけもありますが、何といっても大きいのは市民、市民団体からの呼びかけであります。
 まず第一に検討しなければならないのは、ごみ発生源における減量とリサイクル活動を活発に行うということであります。例えば、家庭系ごみに対しては、住民から排出される再生資源を、製品製造者や資源回収業者などが住民あるいは住民組織から直接的に資源リサイクルする事業、または住民相互のリサイクル活動をまず尊重することが第一と考えます。自治体は、必要に応じ、その活動に対して経済的援助、器材の貸し出し、活動拠点の提供などを与えなければなりません。また、住民みずからが環境保全に留意しながら、例えば家庭における堆肥づくりを行う場合、経済的補助を行うことが考えられます。
 次に、行政がごみを集めて資源を回収するには、ガラス、鉄、アルミ、古紙などをほぼ有姿のままで手選別や機械選別により回収する方法と、ごみから原材料を分別収集して堆肥やごみ燃料などの価値のあるものを生産する方法があります。さらに、集めたごみをエネルギーに変換することも考えられます。
 ここで、全国の数々のリサイクル運動に取り組んでいる市民運動、市民団体がありますが、その一例を紹介申し上げたいと思います。
 大量生産、大量流通、大量販売を支えるものの一つに、トレーを初めとする便利なプラスチック類があります。型崩れせず、品質や鮮度を保持するということで、人手を必要とする相対販売から最小限の人員で物を販売する方式へと転換を遂げたスーパーマーケットなどでは、プラスチック包装が多用されております。第一次オイルショックの直後、一九七二年のころ、高知市内の消費者グループがトレー包装を考え、商品の包装紙とごみ減量運動が活発化しました。この消費者グループは、五百人の主婦を対象にアンケート調査を実施し、高知市の行政当局にも参加、協力を得、スーパー経営者側と何度も話し合いを重ねた結果、一九八一年、六十八品目の青果物のトレーの包装廃止の合意が交わされたのであります。こうして、当時、ミニスーパーを除いた十一社五十九店舗の高知市内の全量販店とデパートの青果物から六十八品目のトレーが外されたのであります。これは、市民と行政の認識が同じレベルで運動が起こり、企業を動かした一例であります。トレー包装の廃止は、ごみの減量ばかりではなく、プラスチックの持つ有毒性による環境汚染を防止し、市行政のごみ処理経費の削減にまで効果を引き起こしたそうであります。
 ごみ問題は、収集活動、収集方法に始まり、その処理施設、能力の問題、運搬方法、そしてごみそのものの再資源活用と技術革新、リサイクル運動と地域社会そのもののシステムづくり等々、課題は広範で多種多様であります。もちろん、いずれもそれぞれの自治体の責任において解決しなければならない問題であることは言うまでもありませんが、現在の自治体の能力には財政的にも、ハード面、ソフト面、全般に及んでその限界があります。近い将来、焼却炉の廃止や埋め立ての廃止といった国際的に環境法の改正によるリサイクル化、コンポスト化、再利用化の方向に転換されることが十分予想されます。県は、将来に向けての政策を打ち出し、十分な情報を収集し、県下それぞれの市町村を指導できるだけの能力と機能を構築していかねばならないと考えます。ごみ問題に関する将来的ビジョンと、今後、市町村に対しどのような指導方針をお持ちなのか、保健環境部長にご所見をお伺いするものであります。
 また近年、児童や生徒向けに環境教育のための教材や県民への啓発活動のためのビデオ等を作成し、各方面へ働きかけておられますが、今後、環境教育について県下の自治体や学校教育、県民の啓発活動等、どのような方針で臨まれるのか、あわせてお伺いするものであります。
 以上で、第一回目の質問を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(大江康弘君) ただいまの上野山親主君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 上野山議員にお答え申し上げます。
 地方分権についての知事の所見ということでございます。
 東京一極集中が進む中で、地方は過疎化、高齢化が進んでおるわけでございます。また、東京では過密による都市機能の停滞といった現況にございます。お話のように、政治、行政、縦割り行政等の仕組みそのものに大きな変革が必要になっておると思うわけでございます。
 話ございましたように、国会移転の問題が取りざたされており、論議されておるわけでございます。また、政党においても地方分権が叫ばれておるし、大前さん、細川さん等、地方分権についていろいろ論議が交わされておるわけでございます。私は、これは非常にありがたいことだと思っております。
 しかし、地方分権と申しましてもいろいろなことが言われておるわけでございます。大前さんの言う地方分権、これは憲法を改正しなければならないような問題ではないかと思います。また、道州制の問題、連邦の問題、さらにまた現在の組織形態において中央と地方とがあって、その権限を大幅に委譲するという問題もございますし、市等においても人口が違うため三十万都市を主体にした市町村のあり方を考えるという問題等々、いろいろあるわけでございます。
 このようにいろいろ論議されておるということは、明治以降においてこれから成熟社会に入ってくるということで非常にいいことでございます。今までは、産業第一主義、系列主義、中央集権主義で行くことが日本の発展に一番よかったという考えに基づいておったと思うわけでございますけれども、これから一人一人の国民が豊かな生活ができる生活大国という形になるためには、地域の文化、地域の個性、土地の住みやすさというものが重点として取り上げられなければいけないのではないかと思うわけでございます。
 地方分権については言われてから久しいわけでございまして、土光臨調のときにもこの問題が取り上げられ、我々としても権限委任について、例えば地方事務官の制度等についてもこれを県に移管せよと言った。しかし、それができていないということも考えていかなければならない。中央の領域を守るという精神が非常に強いのではないかと思うんです。地方自治体はそれだけの能力がないと彼らは言うけれども、私は人材とか技術面において地方自治体も相当進んできておると思うわけでございますけれども、その壁を打ち破っていかなければならないわけでございます。国の行政機構改革についても、知事会から異議を出して知事会としての意見を申しておるわけでございます。
 このように、地方分権についてあらゆる角度から論議されておるときでございます。だから、広範な立場において考えていこうということで、現在、知事会において専門部会を設けて検討しておるわけでございます。しかし、我々はどちらかというと実務家肌でございます。だから、道州制にすぐ持っていったらいいのかというよりも、現在の都道府県をもう少し評価すべきではないか、権限を強化してそれから道州制の問題とかに段階的に行くべきじゃないかという考えが強いわけでございますけれども、こうした問題は今後の研究課題になるわけでございます。
 私も所見を言わせていただくならば、かつて和歌山県においても阪奈和合併が論議されたことがございます。こういった合併問題の論議もあろうと思うんです。しかし、都道府県をもう少し充実していく。全国の都道府県はある程度基礎が確立してきている、そしてまた各都道府県の県民は郷土に愛着を持っていると思うんです。人口規模が東京都のように一千百万人のところもありますし、百万人以下の県もあるわけであります。けれども、定着しつつある。それを充実することによって、合併問題なり、道州制なり、連邦制なりというものに段階的に行くべきではないかと、今のところそう考えておるわけでございますけれども、今後、知事会等において十分検討してまいりたいと思っております。
○副議長(大江康弘君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 有田市西部地域の幹線道路についてお答えを申し上げます。
 県道宮崎古江見線の現況は、箕島漁港付近の市街地で特に幅員が狭小であるところがございます。ほかは、ほぼ一次改良済みとなっております。当面、箕島漁港付近の人家連檐部における現道拡幅等の調査を行って、地元のご協力を得ながら、その改良整備を進めたいと考えております。
 また、議員ご提案の県道バイパス計画及び都市計画街路西浜新田線を延長して有田川左岸の辰ケ浜と結ぶ有田川河口大橋の計画については、いずれも非常に大規模な橋梁となり種々問題もあると思われますので、今後、交通量、交通形態、投資効果等を考えながら、有田市ともども勉強をさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) 漁港関連道の取り組みについてお答えを申し上げます。
 漁港関連道事業についてでございますが、議員ご承知のとおり、農林漁業用揮発油税財源身がわり措置の一環として、道路の新設並びに改良ができる事業でございます。この事業は、漁獲物の流通及び漁業用資材の搬入搬出、漁業生産の近代化、漁村環境の改善を図るためとなってございます。漁港と国道、県道等の主要道路に接続をしたり、漁港と漁港、また主要漁場とを結ぶ道路事業となっておりますので、漁港道路を中心とした整備については、議員ご提言の趣旨を踏まえて、事業主体となる漁港管理者の有田市と検討してまいりたいと考えてございます。
○副議長(大江康弘君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 上野山議員ご質問の環境問題の、ごみ問題に関する将来的ビションについてでございます。
 近年の産業経済の急速な発展拡大により、豊かで多様な消費生活や生活スタイルを享受するようになりました。このことは一方で、ごみをますます増大させており、地球規模の環境保全の側面からも、ごみ問題については重要な課題であると認識しております。ごみの量の増大により、今後、処理施設の確保が次第に難しくなっていくことが予想されます。県といたしましては、和歌山県に適したごみの排出抑制と再利用を進めるための計画的な施策の展開を図るべく、ごみ減量・再資源化促進事業をスタートさせ、この中で基本的ビションを策定し、リサイクル社会の積極的推進に努めてまいる所存でございます。
 また、市町村への指導方針については、二十一世紀を目指した長期的な対策を講ずるため、市町村ごとに一般廃棄物処理基本計画の策定を行い、この計画の中でごみの排出を抑制し、その再生利用を位置づけるよう指導しているところでございます。平成五年度には、半数を超える市町村でごみの減量化、再資源化の事業を予定しておりますが、今後、県下全市町村での取り組みができるよう指導してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、環境教育の取り組みについてでございます。
 環境問題に対する理解と認識を深め、責任ある行動を促していく環境教育は大変重要なことであると認識しております。このため、昭和六十二年度において環境教育の推進に当たっては、一、自然を愛する心や豊かな人間性を養っていくべきであること、二、情報の収集や提供が重要であること、三、学校、家庭、地域、企業等の対象に応じて展開していくこと、などを方針とした環境教育カリキュラム策定調査報告書を取りまとめております。これを受けて、小中学生向け副読本、社会人を対象としたガイドブック、ビデオ等を作成するとともに、わかやま環境フェアの開催など、環境保全意識の高揚に継続的に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、平成元年度に設置した地域環境保全基金の運用益等を活用しながら、対象者、テーマなどを考慮し、市町村、関係機関等と連携して、先ほど申しました方針に従って環境教育を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 11番上野山親主君。
○上野山親主君 どうも、ご答弁ありがとうございました。
 土木部長と農林水産部長に改めてお願いをしたいんですが、今申し上げた事業は、有田市にとって必ずやらなければならない事業であります。どうか、これから市の方とも相談いただいて前向きの姿勢で取り組んでいただきますように、この場でご陳情申し上げます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 保健環境部長に要望したいんですが、昨年開催された地球サミットで採択されている「アジェンダ21」というのがあります。これは、二十一世紀に向けての環境問題に対する行動計画をあらわしているものであります。聞くところによりますと、四部四十章から構成されている、五百ページにも上る膨大なものであるそうであります。その中身は、大気保全のための生態系管理とか水管理、廃棄物管理等のメディア別の課題であるとか、地方自治体、産業界等の主体別の役割が合意されておって、二十一世紀へ行動計画として採択をしたという内容であるそうであります。その「アジェンダ21」の第二十八章に、地方自治体の役割が記載されております。一九九三年までに国際社会は地方自治体間の協力の増進を目指した取り組みを開始し、一九九六年までに地方自治体は地域住民との意見交換を行うことを目標としているということが載っております。いよいよ環境問題は、国際社会がもう一つになって動き出したという感があります。
 私の心配しますのは、国際社会の中で例えば国際環境法みたいな法律が制定されて、埋立処理とか焼却処理を国際的に制限していこうではないかという可能性が出てくるのでなかろうか。そうなりますと、今までやっておった焼却処理、埋立処理というのがなかなかしにくくなってきます。
 保健環境部長に特にお願いしたいのは、環境問題は国際社会の動きなしではこれからはもう考えられないと思いますので、どうか国際社会の動向を十分見きわめた上で、県下の市町村への指導のための処方せんといいますか、この町についてはどのやり方を教えていくと、そういう処方せんを構築していただいて、今から準備をしていただきたいと思います。その点、強く要望を申し上げておきます。
 最後に、知事にちょっとお教えをいただきたいんですが。
 今、知事みずから、全国知事会のお話をしていただきました。今、仮谷知事は、全国知事会のリーダーでもあります。その全国知事会のリーダーとして、これからこの地方分権についてどのように取り組んでいかれるのか。特に、今お話があった──正式な名前は存じ上げませんが、全国知事会の中で懇談会をつくられて議論をされており、近々答申を出されるというお話を聞きました。この答申が出た後は知事会としてどうされるのか、知事会としての行動計画といいますか、日程、方針等、もしこの場で発表できるものがありましたら、知事の方からひとつお教えを願いたいと思います。
 以上で、再質問を終わります。
○副議長(大江康弘君) ただいまの再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 地方分権についての知事会のなには、先ほど申しましたように、専門部会をつくって現在検討中でございます。だから、まだはっきりした結論は出ていないし、専門部会の中でもまだはっきりしていないわけでございます。内容等については、私もまだ十分じゃないわけです。
 ただ、言えますことは、知事会で決めるだけじゃなしに、これを国民運動的に進めていかなければならない問題ではないかということです。そしてまた、市長会、町村長会、議長会等、地方六団体の皆さんと手を合わせつつ国民運動の形で進めるということが大事でございますので、そうしたコンセンサスもこれからの問題になってくるんじゃないかと思います。
 以上です。
○副議長(大江康弘君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(大江康弘君) 以上で、上野山親主君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(大江康弘君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時四十五分散会

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