平成5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(木下秀男議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時三分開議
○議長(馬頭哲弥君) これより本日の会議を開きます。
○議長(馬頭哲弥君) この際、報告いたします。
 過日提出のあった議案第四十三号及び議案第六十号については職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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   和人委第410号
   平成5年3月4日
 和歌山県議会議長 馬 頭 哲 弥 殿
 和歌山県人事委員会委員長 水 谷 舜 介
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成5年2月26日付け和議会第349号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
  記
 議案第43号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第60号 警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
  意 見
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(馬頭哲弥君) 次に、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から現金出納検査の結果報告がありましたので、報告いたします。
○議長(馬頭哲弥君) 次に、知事から議案の追加提出がありました。
 職員に公文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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   財第327号 
   平成5年3月9日
 和歌山県議会議長 馬 頭 哲 弥 殿
  和歌山県知事 仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成5年2月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
  記
 議案第72号 平成4年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第73号 平成4年度和歌山県用地取得事業特別会計補正予算
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○議長(馬頭哲弥君) 日程第一、ただいま報告いたしました議案第七十二号及び議案第七十三号を一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました議案につきまして、ご説明申し上げます。
 平成四年度予算のうち、用地取得の遅延、その他諸般の事由により本年度内に完了することが困難と見込まれる事業につきまして、一般会計で百二十四億七千二百余万円、特別会計で九億九千五百万円を平成五年度に繰り越し使用することについてお願いいたしております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(馬頭哲弥君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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○議長(馬頭哲弥君) 次に日程第二、議案第一号から議案第七十一号までをあわせ一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 6番木下秀男君。
 〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 平成五年度予算案を初め諸議案を審議する二月定例会一般質問の先陣を承る機会を与えていただきました先輩・同僚の皆さんに感謝申し上げます。
 昨年は、バブルの崩壊による厳しい経済不況と金権汚職や贈収賄事件等による政治不信で暮れた年でありました。明けて新春早々、国民ひとしく待ち望んでおりました皇太子殿下と小和田雅子さんのご婚約発表は、暗雲を吹き飛ばす明るいご慶事であり、今議会冒頭、和歌山県議会で祝意を表したところであります。国際化時代にふさわしい皇室外交を進められることを国民が希望しておると思います。
 さて、今議会に提案されました予算案は、戦後初めて県税二年連続減収という景気沈滞が進む中で、経済の安定を図ることを緊急課題とした投資重視の県単事業を大幅に引き上げた景気刺激予算と見ているのであります。しかし、経済不況のトンネルの出口が見えず、この状態を「ホールインワン景気」と呼ぶ人もあります。まさに、「パットしない」厳しい状況の中で予算編成をされた知事初め当局の皆さんのご苦労に敬意を表しながら、数項目にわたって質問をいたします。
 公文書の開示に関する条例についてであります。
 近年、社会の情報化は目覚ましいものがあります。ありとあらゆる情報が私たちのふだんの生活の中に入り込んできており、日常生活に多大の影響を及ぼしているとも思います。それだけに、情報が持っている意味、価値はまことに重要なものとなっております。
 私は、常々、地方の活性化というものは、その地域の住民と行政の歯車がうまくかみ合っていくような住民参加が実践されなくてはならないと考えています。そして、住民参加という観点から申し上げれば、まず県政についての理解と信頼が深められることが重要であり、その結果、県政参加の意識も高まってくるものだと考えております。そのためには、県と住民との間の情報の流れをもっと豊かにする必要があるとも思うのであります。県民の県政情報に対する関心は非常に高いものがあり、情報公開への強い要請があると思うのであります。
 本県の場合には、「県民の友」や報道機関等を通じて県が行っているプロジェクトや公共事業、あるいは制度の案内等の情報提供のほか、各種行政資料の閲覧制度等、県政情報の公開に努力され、我々もそうした県の情報提供によって、一応はいろいろと知ることができるようになってきてはおります。しかし、もう少し具体的なことを知りたい、どういう経過でどんな内容の事業になっているのかなどもっと詳しく知りたいと思っても、それについてはなかなか知ることができないのが実態でありました。
 このたび、本県においても公文書の開示に関する条例案が提案され、県民は必要とするときに必要な情報を知ることができることになるわけで、私は県当局の画期的な取り組みに対してその姿勢を評価したいと思います。そして、この制度がその趣旨、目的に沿って適正に運用され、県民の積極的な利用により県勢発展のため大いに活用されるべきであると考える次第であります。
 しかし、その一方で、行政情報にはその性格上、プライバシーに関する情報や安易に公開されることによって特定の者に不当な利益や不利益を与えるもの、円滑な行政運営に支障を来すことにより県民全体に不利益を与える情報等もあるわけで、これらの情報についてはより慎重に取り扱っていただかねばならないと思うのであります。また、ある意味では権利ばかりが大手を振って、制度本来の目的から離れたような要求がなされ、行政の日常業務にまで影響を与えかねないような事例が生じはしないのか、この制度によって得た情報を悪用されることはないのかとの懸念もあります。
 これらの点について条例案では、原則公開を基本としながらも、保護すべき情報との調整を図るため、開示しないことができる公文書の規定が置かれ、また利用者の適正使用についての規定も設けられているものと理解しておりますが、いずれにいたしましても、この制度が生かされるかどうかは、それを利用する県民にいかに制度の趣旨なり目的を理解していただき、正しく利用してもらえるのか、また実施機関である行政がいかに適正に運用していくのかの問題になろうかと思います。
 そこで、本条例案について、知事及び総務部長に幾つかの点をお尋ねいたします。
 まず第一に、条例の目的に関係して、このたびの情報公開制度の制定と県勢の発展とがどのように結びついていくとお考えなのか。
 第二に、既に全国で三十九都道府県において情報公開制度が実施されております。本県の制度実施は遅い方で、制度化には相当の期間を要しておりますが、その経過についてお伺いするものであります。また、今後どのように制度を運用されていくお考えなのか。
 第三に、この条例案には実施機関として公安委員会と議会が入っておりませんが、除外している理由は何か。
 第四に、条例案第九条で開示をしないことができる公文書として八つの項目が挙げられておりますが、基本的にどのようにお考えなのか、また解釈の仕方によっては開示されない公文書が非常に広範囲になり、これまで公開されていた情報の範囲と変わらないのではないか、この点はどのようにお考えなのか、以上の点についてお伺いするものであります。
 続いて、世界リゾート博についてであります。
 平成六年七月十六日から九月二十五日までの七十二日間にわたって和歌山マリーナシティで開催される、本県始まって以来のビッグイベントである世界リゾート博も、開幕まで四百九十四日と迫ってまいりました。
 知事は、年頭の記者会見の中で、「ことしは、関西国際空港の開港や世界リゾート博の開催を翌年に控えた大切な年であり、近畿自動車道の大阪側が全通することとあわせて、全国に、そして世界に開かれた和歌山県となるときも目前である」と言われております。
 私も、関西国際空港の開港を契機に開催されるこの世界リゾート博によって、和歌山県の魅力が国内外にアピールされ、地域の活性化が図られるとともに、本県の国際化がより一層促進されるものと確信するものであります。この世界リゾート博の成否が和歌山県の将来を左右すると言っても過言ではないと思うわけでございますが、恐らく知事もそのように考えられ、この博覧会を成功させるべく全精力を傾注されていることと推察いたします。
 聞くところによりますと、企業、団体のパビリオンも当初の計画どおり確保されたということであり、またこの博覧会の主要施設の一つとなる、松下興産株式会社が恒久施設として建設するテーマパークもこの一月に着工されたということであります。厳しい経済情勢の中で着々と準備が進められていることは、主催者である世界リゾート博協会の皆さんの大変なご苦労があったと思うわけでありますが、博覧会の成功を願う者の一人として気がかりな点がありますので、次に質問いたします。
 交通アクセスについてであります。
 このリゾート博開催が決定されてから、本会議でも委員会でも、パビリオン会場と国道、高速道路との連結の意見が出ております。人工島と毛見間の連結道路ができたようでありますが、我々が指摘した和歌浦口津屋三差路、紀三井寺交差点、浜の宮─琴の浦間のトンネルがいまだに手がつけられていない現状でございます。
 国道四十二号線では、吉備町水尻の有料道路の合流点から湯浅・広川町間、日高川口天田橋─関西電力火力発電所間の交通渋滞の解消が急務であると思うのであります。土曜日の南進、日曜日の北進における四十キロ、五十キロの渋滞は、ドライバーの苦情の極に達している状態であります。この渋滞が解消されず、終日渋滞という事態ともなれば、日常の経済活動に悪影響を及ぼしかねないと心配するものであります。
 私は、大阪の花博へ昼夜、時間を変えて三回行ってまいりましたが、まず感じたのは駐車場、案内標示、公衆便所等であります。特に、紀州路に案内標示、公衆便所の不足が指摘されています。これは、観光立県を言う和歌山県としては是が非でも整備しなければならないことであります。来場者のほとんどが自家用車とバスになると思われますし、駐車場の完備が必要と考えますが、その取り組みはいかがでございましょうか。宿泊についても、和歌山市内、海南市内の現状を見ると収容能力に無理があると思いますが、いかがでありますか。
 博覧会の開催期間は七月中旬から九月中旬と、ちょうど暑い時期であり、子供たちの夏休みの時期でもあります。このような催し事の中で病気や事故の発生件数は表に出ないものでありますが、大変な事故数が出ているとも聞いております。無事故成功を祈る上からも、万難を排した対策をお願いするものであります。
 次に、輸送計画についてであります。
 この博覧会は、海をテーマに多種にわたるパビリオンやパークが計画されていると聞いてございますが、船を中心とした輸送計画を立て、南国紀州の海を皆さんに知ってもらう絶好の機会だと思うのであります。青函連絡船や宇高連絡船の廃止、関釜連絡船の休止等で客船が余っているのが現状であります。関釜航路のジェットフォイル船、宇高航路のホバークラフトによる臨時航路の開設や関西汽船や川崎汽船、昭和海運等、海運会社と提携して、海南港、白浜桟橋、勝浦宇久井港、新宮港を結び、来和いただいた皆さんに海の旅を体験していただきながら宿泊地に行くということも一計と思考するものでございます。海南港─白浜間は高速艇で一時間、車での時間から見ると半分以上短縮され、海の旅を満喫できるとも思います。また、紀伊水道を通過しているブルーハイウエーのフェリーの寄港等の検討をされてはいかがかと提言するものであります。
 次に、不況対策についてであります。
 景気不況の期間がこのまま続くとしたならば、余りにも長過ぎるので回復力がなくなるのではないかと言われるほど長いトンネル内にいる状況が続き、各地で倒産の報道や人員整理の計画発表がなされています。
 金融機関の調査予測によりますと、この景気後退は動向指数から判断すると九一年初頭から始まり、過去の景気循環から後退局面の平均期間を計算すると約十七カ月、一年半もの長期にわたるもので、要因として考えられることは、オイルショックや円高不況のときの外国からの急激な冷え込みではなく、じわじわと後退し、国内において景気循環の中で自律的調整とバブル崩壊に伴う資産デフレの生じたことだと言われてございます。もう一点は、政府がこの景気後退の認知がおくれ、対策が後手後手になったことも大きく、この状況を経済学者は「複合不況」という言葉で説明をしております。
 民間の信用調査機関の帝国データバンクの一月二十日発表によりますと、平成四年の企業倒産は全国で一万四千百六十七件、和歌山県では百一件となっています。昭和六十一年に次ぐ多発記録を更新したとされています。内容を見ますと、負債が大型化し、個人企業が全体の六割弱となっており、市況低迷は県下全域に及び、個人企業、零細企業にも深刻な影響を及ぼしていることが判明いたしております。時を同じくして、大蔵省和歌山財務事務所が県内の景気動向を発表しました。それによりますと、県経済界は大都市の落ち込みに比べればまだよい方だが、当面、景気は下降線をたどるとの見方であります。かような厳しい状況の中で予算編成に取り組んだ商工労働部長のご苦労は察するに余りありますが、次の三点についてお伺いいたします。
 一、県としての不況克服の基本施策、二、県が誘致した企業の立地後の状況と雇用状況、三、最近、特に新聞紙上をにぎわしている採用延期、中止、休業等について、以上三点をお伺いいたします。
 続いて過疎対策でありますが、これは主として住宅対策を中心にしてであります。
 過疎対策という施策は、中央、地方を問わず、法律までつくってその対策に苦労しているのが今日の実態であります。五年に一度の国勢調査を見ても、回を重ねるごとに人口減の市町村がふえ続け、さらに高齢化が進み、公的な運営や部落の催し物や祭事の維持も困難な状況に陥り、地域社会の形態が崩壊しつつあると言っても過言ではありません。若者の都会へのあこがれをとめるすべもありませんが、過疎化防止と若者定住対策に取り組み成功した一例を挙げて、県の住宅政策を伺うものであります。
 日高郡中津村でありますが、人口わずか二千五百人余りの典型的な過疎の村であります。昨秋勇退された赤松壽男村長が、就任直後から過疎対策を重点施策として学校の整備と住宅施策に取り組み、村内の五小学校、二中学校をすべて近代的な校舎に新築し、昭和五十五年から十三年計画で小学校区別に村営住宅建設計画を立てて、ようやく今年、五十五戸の村営住宅が完成したのであります。現時点の状況でありますが、入居者の年齢は二十歳代後半から三十五歳ぐらいまで、一家族三、四人で、就学前の子供が四十三名、就学児が四十三名となっております。小学校は小規模校でありますが、全校普通教育で複式ではありません。入居者は村が誘致した企業で働く人、隣町に誘致したUターン組の社員等、多岐にわたっています。家屋は、ほとんどが木造二階建て三LDKで、建築費概算で一戸一千万円程度であります。村内の道路整備が進み、交通に要する時間も短縮されたことも一因でありましょうけれども、前述いたしましたとおり、住宅政策が実り、過疎に歯どめがかかったと評価するものであります。木造の家一戸を建てるのに三十数業種に影響を及ぼすと言われています。村内の木材を使用し、村内業者に建築を請け負わせ、人口対策、教育対策、林業対策、労働対策と、一石五鳥、六鳥にもなっております。
 ここで、県公営住宅を平成四年末で見ると、県営一般住宅五千二十六戸のうち、和歌山市が半分以上の二千九百七十一戸、県営住宅のない町村二十二町村、過疎の指定を受けた十七町村中、大塔村、中辺路町、日置川町、すさみ町、この四町村以外には一戸の県営住宅もありません。住宅建設後の維持管理に難点があることも伺うのでありますが、岐阜方式とか広島方式という方法も十分研究して、和歌山方式を考え出したらと思うものであります。
 今、中央でも地方でも、一極集中是正、地方分散による均衡ある発展と言われていますが、今日までの和歌山県の住宅施策にはこの言葉がぴったりと当てはまると思うのであります。県が策定した第六期住宅建設五箇年計画(平成三年度から七年度)によりますと、「過疎地域においては、地域活性化の原動力である若者の定住促進が不可欠であり、その政策課題を支援するため地域の特性を生かした公共住宅の供給に努める」と明記されてあります。平成五年度の方針をお伺いするものであります。
 次に一次産業についてでありますが、初めに山村過疎について申し上げます。
 本県は、紀州木の国と言われるように、森林が多く、今日まで森林とともに生きてきた長い歴史・文化がございます。今、山村地域は経済発展の陰で過疎化の波を大きくこうむり、若者の流出、高齢化の進展が続き、地域社会の崩壊が起きつつある現状にございます。しかしながら、一方において環境問題を初め森林文化の見直しが進みつつある現状の中で、当局を初め関係者の一方ならぬご努力もあり、今議会においても山村過疎地域の活性化に向けた新たな施策と具体化された予算が計上されていることに意を強くするとともに、ここに改めて敬意を表するものであります。
 ことしの二月に、県下で全国規模のフォーラムが二回開催されました。二月五日、六日と、南部川村において全国から多くの方々の参加を得て、木炭による地域振興を念頭に、森と炭と人間の将来像を探るための「木炭の未来と環境フォーラム」が盛大に開催されたところでございます。もう一つは、二月十六日、本宮町で熊野文化にご造詣の深い梅原猛先生を講師にお招きし、全国百十の過疎市町村からの参加を得て、全国で初めて「高い公益性を持つ森林を、国を挙げて守ろう」を合い言葉に「森林交付税フォーラム」が開催され、森林と生命について熱っぽい議論が交わされたと聞いてございます。
 もう一つは、IWC京都会議であります。このIWCとは、鯨資源の保護と捕鯨産業の秩序ある発展を目的に国際捕鯨取締条約が結ばれたことであります。この会議が京都で開かれますが、捕鯨国である日本、ノルウェーなどの国々が商業捕鯨再開を、そして保護という立場から禁止をと言う国と、この両方の意見をまとめるのが京都会議であります。平成四年一月には、捕鯨の将来像を探る国際シンポジウムが那智勝浦町で開催されました。ここには、アメリカ、カナダ、アイスランド等、各国から文化人類学者や鯨研究者十六名が出席されました。総括として、日本の沿岸小型捕鯨は独自の捕鯨文化であり、国際捕鯨委員会が禁止している商業捕鯨とは異なる捕鯨として認知されるべきだとの意見の一致を見ております。また、座長を務められたカナダのアルバータ大学のミルトン・フリーマン教授は、「住民が生きるために必要な捕鯨が存在することを明らかにできた」と話されております。しかし、国際世論は厳しく、水産庁はことしの二月、太地町にある二つの組合に対し捕鯨枠大幅削減を通告してきたのであります。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたしますが、県としてこの三つの地方からの動きをどう受けとめ、今後どうされようとしているのか、お伺いするものであります。
 このような新しく、そして大きなうねりを大切に育て、大河となるべく、関係者が一丸となって取り組むことが今求められているのではないでしょうか。
 次に、農業問題についてお尋ねいたします。
 ご承知のとおり、ガット・ウルグアイ・ラウンドは、農業問題を初め多くの課題、問題を抱え、また各国の思惑も異なり、いまだ決着に至っていない現状にありますが、近い将来には自由化されることは間違いないと思います。日本にとりましても、国民の基本食糧である米を初めとして厳しい環境下に置かれてございます。こうした情勢を踏まえ、県としてこれからの本県の農業をどのように振興しようとしているのか、そのお考えを伺うものであります。
 また、消費者の食品に対するニーズの多様化が進む一方、近畿自動車道の紀南延伸、南紀新空港のジェット化、さらには関空新空港の開港、大阪中央市場の整備等、今後、本県の農産物流通を取り巻く環境が大きく変化することが予想される中で、県として本県農産物の流通販売対策についてどのように取り組まれようとしているのかをお伺いするものであります。
 産業廃棄物についてであります。
 つくられたものは必ず廃棄される運命にあり、また物の製造には副産物としての廃棄物が発生するものであり、社会経済の発展の中で廃棄物の量は年々増加しているところであります。全国市長会のまとめでは、年間三千七百五十万トン、処理経費一兆七百億円となっていますが、町村分を含めると膨大な額になります。
 廃棄物については、一般廃棄物は市町村に、産業廃棄物については排出事業者にその処理責任があるとはいえ、地域の産業振興、テクノ&リゾートを標榜する我が和歌山県としては、廃棄物問題を今後の県政の重要課題の一つとして位置づけるべきであると考えております。
 幸いにも、我が県には和歌山北港の埋立地があり、和歌山環境保全公社の管理のもとに廃棄物が適正に処理されてきたところでありますが、この埋立地は平成八年に終了することになっています。後継処分場を直ちに確保することが極めて困難な状況から察すれば、フェニックス計画に依存せざるを得ないものと考えますが、フェニックス計画は県下全域をカバーしているわけでなく、また量的にも無制限に廃棄物が受け入れられるわけでもありません。やはり、県内で処分可能な廃棄物は県内で処分するという姿勢を基本にしなければ、今後の県勢の持続的、安定的な発展は望めないと思うのであります。
 そこで、将来の廃棄物を適正に処理、処分していくためには、県としても廃棄物行政組織を強化する必要があると考えますが、まず知事の所見をお伺いいたします。
 続いて、フェニックス計画に参加するためには廃棄物の海上輸送のための積み出し基地の建設が必要でありますが、その基地建設の計画はいかがなってございますか。
 県内処分場の安定確保のためには、そのための官民一体となった組織と多額の資金及び県の支援が必要と考えますが、県としてどういうお考えを持っておられるのか、お伺いいたします。
 次に、和歌山下津港の整備計画についてお伺いいたします。
 特定重要港湾和歌山下津港については、昭和三十五年に港湾計画が決定して以来、昭和四十九年と昭和六十年の改定を経て現在に至っておりますが、その間、南港木材港の開発、万トンバースの整備を初めめとして、着々と近代港湾の整備が進められてきました。現在も、雑賀崎における都市再開発用地の造成や県のビッグプロジェクトである和歌山マリーナシティの造成などが進められ、県経済の最重点拠点としてその地位を築きつつあるように思われます。
 ところで、現在の港湾計画による港湾整備事業を見ると、さきに申しました雑賀崎の都市再開発用地の造成、和歌山マリーナシティとも並ぶ大きな事業として、本港地区における木材港の水面貯木場埋立計画があります。この事業については、木材の取り扱いを水面貯木から陸上貯木に転換し、本県地場産業である木材業の振興を図るとともに、内陸部で操業している製材業者の集約を図り、住工混在地の環境改善や水質向上に寄与するという重要な目的があると思われます。このように、事業の趣旨からも本港地区木材港再開発は早期に執行する必要があると思われますが、まだ着手されていないのが現状であります。本事業に対する現在の取り組みと今後の予定について、土木部長の答弁を求めます。
 次に、現在の和歌山下津港の港湾計画については、今申し上げたように、昭和六十年に改定され、平成七年を計画の目標年次としておりますが、引き続き次期の港湾計画の改定を平成七年に予定していると聞いております。そこで、この次期港湾計画において、次の点をどのように考えておられるか、お伺いいたします。
 まず第一点は、先ほども申し述べた廃棄物処理の観点であります。当面はフェニックス計画に依存せざるを得ないと考えますが、一方では、県全体の長期的な処理計画を策定し、その中で新たな最終処分地の確保について検討していく必要があると思います。そこで、海上での処分地の確保についてどう考えていくのか、お伺いします。
 第二点は、社会経済の高度化、多様化に伴い、都市の機能についても高度化、多様化が要求されるようになってきております。住宅、業務、商業、あるいは都市基盤インフラ等々、多方面にわたるニーズが増大してきております。これらに適切に対応していくためには、内陸部だけではなく、海上も含めた広範な空間の中で考えていかなければなりません。港湾としてその一環を担う必要もあるかと思われますが、この点どう考えているのか、お伺いいたします。
 次に、日高港湾の整備計画についてであります。
 日高港は、和歌山下津港や大阪湾諸港との機能分担を図りつつ、和歌山県中部地域の経済活動を支える物資流通と地域開発の拠点としてこの地域の飛躍的な発展を図っていくために、昭和五十八年に重要港湾に指定され、同年十二月に港湾計画が策定されております。現在の日高港には西川河口部に水深三・五メートルの航路や岸壁しかなく、この地域の基幹産業である木材産業にとっては、外材の直輸入ができず、県内外の他港から海上輸送や陸上輸送を余儀なくされ、輸送コストのアップによって市場競争力が低下し、経営が圧迫されている現状にあります。したがって、日高港の整備は、平成六年度に開通予定の高規格道路の御坊延伸とも相まって、その果たす役割はますます大きくなり、県土の均衡ある発展に大きく寄与するものと確信しております。
 しかるに、種々の問題から主要地区である御坊市側の工事着工はいまだにされておらず、計画が策定されてから既に九年余の歳月が過ぎようとしてございます。県当局は、平成四年六月に早期事業実施を図るため港湾計画の一部変更を行っていると聞いてございますが、具体的な整備計画の内容と今後の取り組み方針についてお伺いするものであります。
 以上で、私の質問を終わります。どうも、ご清聴ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下秀男議員にお答え申し上げます。
 情報公開に関する条例の制定と県勢の発展ということでございます。
 お話ございましたように、最近の社会情勢等から地方自治体に対する情報公開に関する要請が非常に高まっておるわけでございまして、そうした住民の関心、意識の高まりは地方の発展を図っていく上で非常に大事なものであるということは同感でございます。そうした意味においても、県民が必要なときにいつでも情報を得るということによってこれまで以上に県政に対する信頼、理解を深めていくわけでございまして、県民の参加によって開かれた県政が一層推進していくと考えるわけでございます。そうした目的から、公文書開示の制度化を図ろうとするものでございます。
 もちろん、この制度の実施によって県民の皆さんが理解を深めます。しかしまた、これに携わる職員についても、従来にも増して県民の立場に立った公正な立場で情報公開をしなければならないということが言われるわけでございます。そうした点について配慮しなければなりません。お話ございましたように、この情報公開制度を行うことにより、これまで以上に県民と行政が一体となった形で行政運営が図られ、県勢のよりよい発展に結びついていくと考えるものでございますし、またそうしなければならないと考えております。
 次に、廃棄物対策でございます。
 最近、新聞、ラジオ、テレビ等においても、廃棄物の問題が連日のように取り扱われているのが現状でございます。お話のように、一般廃棄物は市町村に、また産業廃棄物は排出業者にその処理責任があるわけでございますけれども、それらを指導する立場として、廃棄物の減量化、リサイクル、処理場の確保等については重要な課題であると考えておるわけでございます。
 お話ございました、それらに対する県の組織改正の問題でございますけれども、そうした趣旨を踏まえて廃棄物対策室を近く設置したいと考えておるところでございます。
 他の問題は、関係部長から答弁いたします。
○議長(馬頭哲弥君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 公文書の開示に関する条例についてでございます。
 まず、制度化に至る経過と制度の運用についてお答えを申し上げます。
 本県における情報公開制度に関する取り組みについては、昭和五十六年に情報公開調査研究会を発足させたのでございますが、研究を深めていく過程で、プライバシーの保護を初め、機関委任事務の取り扱い等、多くの課題があったことから種々議論を重ね、慎重に検討を続けてまいったところでございます。その間、昭和五十九年に行政資料室を設置して行政資料に関する閲覧制度を設けるなど、情報提供の充実にも努めてまいりました。
 公文書開示の本格的な制度化に向けては、平成元年に情報公開推進委員会を設置するとともに、平成三年四月、総務学事課内に情報公開準備班を設けて具体的な検討作業を進める一方で、同年の五月に県内各界の有識者の方々で構成する情報公開懇話会を設置して、広い視野から本県の情報公開制度のあり方についてご議論をいただき、昨年の三月にご提言をいただいたところでございます。県といたしましては、これまでの検討結果や懇話会のご提言の趣旨を踏まえながら、条例案の作成作業に鋭意取り組んできたものでございます。
 今後は、新しい制度の創設によって、より積極的な情報の公開に努力をいたしますとともに、県民の皆様の一層の行政参加を期待いたしております。制度実施に当たりましては、個人のプライバシーの保護、第三者の利益の保護、公正円滑な行政運営の確保等に十分に配意をしながら条例の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
 次に、公安委員会と議会を条例案において実施機関から除外している理由についてでございます。
 まず公安委員会については、犯罪捜査、あるいは公共の安全や秩序の維持というような特殊な内容の事務を所管いたしておりますし、また国や他の都道府県との密接な連携のもとに広域的に処理しなければいけないような事務が多く、全国的な調整も必要であると考えております。このために、制度実施済みのすべての都道府県において公安委員会は実施機関から除かれているところでございます。本県においても除外することとした次第でございます。
 また議会については、議決機関であり、執行機関とはその性格を異にしておりますし、県民の代表として県政を監視し、県民の利益を公に反映するのがその責務であるということから、情報公開懇話会のご提言の中でも、実施機関となるか否かは議会みずからの判断にゆだねるのが相当であるというご意見をいただいたところでございます。県といたしましては、既に制度的には議会の本会議と委員会、その会議録等については公開をされているという点、また実益の面から見ても、議会事務局から知事部局に提出された公文書については知事が実施機関になっていることから開示請求に対応できると考えておりまして、実施機関には含めずに提案をさせていただいた次第でございます。
 次に、開示しないことができる公文書についてのお尋ねでございます。
 本制度は、基本的には公開を原則といたしておりますが、ご指摘のように、行政情報の中には、個人のプライバシーの保護を初め、第三者の権利、利益の保護や公正かつ円滑な行政運営の確保等の観点から公開に適さない情報も含まれております。そうした情報については慎重に取り扱う必要があると考えております。
 県といたしましては、情報公開懇話会のご提言を踏まえるとともに、他の都道府県の例も参考にしながら、非開示事項については公開の原則に対する例外的な措置として、必要最小限の範囲にとどめるべきであるという認識に立って慎重に検討をしてきたところでございます。その結果、非開示事項に該当する項目として、懇話会のご提言にも示されている八つの項目に類型化し、条例案第九条各号に規定をしております。
 なお、ご指摘の条例の解釈によって非開示とされる範囲が広くなるのではというご懸念については、条例の解釈運用に当たって、実施機関は県民の公文書の開示を求める権利を十分に尊重することにいたしております。拡大解釈や恣意にわたることのないよう適正な運用を期してまいりたいと考えております。
○議長(馬頭哲弥君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 木下秀男議員にお答えいたします。
 議員ご指摘の案内標示、公衆トイレの整備についてでございますが、世界リゾート博の開催を来年に控え、和歌山県に今まで以上に多くの観光客が訪れることが予想されます。観光地としての条件は、その地方の特質や資源はもとより、快適な利用環境が提供されているか否かが大きな要素であると考えてございます。特に、公衆トイレ等の基本的な施設の充実が必要でありますので、平成四年度から主要観光地等の公衆トイレの整備を県単独で進めるとともに、国の補助事業、市町村への補助事業等を活用しながら施設の充実を図ってきているところでありますが、今後ともなお一層の整備を進めていくこととしてございます。
 また、県内を訪れる観光客がスムーズに観光できるような案内標示等について、関係機関や関係部局とも調整を図りながら整備を推進したいと考えてございます。
 次に、世界リゾート博の会期中における宿泊対策についてでございます。
 今日まで、関係部局や関係機関との間で対策等について鋭意協議しているところでありますが、会期中の宿泊者としては、博覧会の運営等の従事者やイベント参加者等の関係者と博覧会への来場者に区分されると考えられます。このうちイベントへの参加者については、世界リゾート博協会においてできる限り早期に宿泊者数を把握し、旅行代理店に宿舎の確保を依頼することとしてございます。また来場者の宿泊については、和歌山市内等での宿泊の確保はもとより、県内観光地のよさを来場者の方々に知っていただくとともに、宿泊していただくために博覧会会場と県内観光地を結ぶ旅行企画を旅行代理店に依頼するなどし、来場者の宿泊対策に努めてまいりたいと考えてございます。
 なお、世界リゾート博に向けて旅館等からの要望もあり、平成五年度に観光施設整備資金を設け、宿泊施設の改築に対して支援をしてまいることとしてございます。
 次に、不況対策についてでございます。
 まず、不況克服の基本施策でございます。
 商工労働部といたしましては、昨年からの景気低迷、先行き不透明感が続くという経済動向を踏まえ、県として実施した二度にわたる経済対策の中で、中小企業金融の円滑化のための対策として、中小企業振興資金、中小企業経営安定資金の融資枠の拡大、また各融資制度の融資利率の引き下げ等の対策を実施してまいりました。その結果、昨年四月からこの一月末までの新規貸付実績を平成三年度同期と比べると、中小企業振興資金では件数で約一・七倍の千三百十四件、融資金額では約一・六倍の百三十億三千四百万円、また中小企業経営安定資金については、件数、融資金額とも約一・四倍の百二件で九億七千百万円となってございます。このような実績から見ると、中小企業の皆さんに県の融資制度を活用していただいているものと考えてございます。
 しかし、景気動向は依然として低迷しているという現状を受けとめ、平成五年度においてもさらに融資制度の充実を図るために、中小企業振興資金等の融資枠を拡大するとともに、長引く景気の低迷により売り上げの減少している中小企業者の資金需要にこたえるため、低利の不況対策特別融資として融資枠四十五億円の緊急経営資金特別融資制度を創設するなどし、総融資枠でも平成四年度当初と比べ九・四%増の五百八十九億六千五百万円をお願いしているところでございます。今後とも、景気動向等を注視し、中小企業金融の円滑化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、誘致企業の立地後の状況と雇用状況についてでございます。
 誘致企業の経営安定は、そこに働く者にとって最も重要なことであります。県といたしましても、その事業活動状況には常に関心を持っており、努めて企業訪問を行い、状況把握をいたしてございます。
 現在、五十七の誘致企業のうち四十五社が操業しており、その事業活動はおおむね順調に推移していると把握しております。しかし、昨今の厳しい経済情勢のため、業績が思わしくない企業があるのも事実であります。県といたしましても、市町村とともに各種の相談に応じているところでございます。今後とも、市町村に対し企業との連絡を密にするよう徹底するとともに、県の企業訪問の回数をふやすなど、誘致企業の事業活動状況の速やかな把握に努めていきたいと存じます。
 次に、誘致企業の労働力確保についてでございます。
 市町村とともに組織する企業立地連絡協議会で誘致企業の紹介誌を発行し、県内の高校等に配布するほか、特に誘致企業が地域に定着するまでの間、従業員確保に対する地元市町村の強い支援をお願いしているところでございます。
 次に、採用の延期や中止、休業についてでございます。
 最近の雇用失業情勢を見ると、求人数が減少する一方で求職者数が増加し、昨年十一月の有効求人倍率は三年二カ月ぶりに一倍台を下回り、本年一月には○・九三倍となるなど雇用情勢が厳しさを増しており、一部の企業では一時休業等の雇用調整が見られるところであります。
 また、このような状況を背景として、本年度の県内高等学校卒業者の就職内定者のうち、事業の悪化等により七名の採用内定取り消しが発生したところでございます。このような採用内定取り消しは、その高校生に与えるショックは大変大きいもので、将来の職業生活に影響を及ぼすものであります。
 このため県といたしましては、一時休業等を実施している事業主に対し、休業中に支払った賃金等の一部を助成する雇用調整助成金制度を活用することにより、企業の雇用維持努力を支援して失業の予防に努めているところでございます。また、離職者が発生した場合は早期再就職に努めております。一方、このような採用内定の取り消しを防止するため、本県において昨年十二月に新規高等学校卒業予定者の採用内定取り消し及び入職時期の繰り下げ回避についてのリーフレットを作成、配布し、これに基づいて事業主に対し指導しているところでございます。
 なお、採用内定を取り消された者に対しては、速やかに職業相談等を実施して、現在、全員、別の企業に就職が内定しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 まず、世界リゾート博の交通アクセスについて。
 世界リゾート博開催に伴う会場周辺の交通対策については、昨年八月に実施した交通量調査、及びリゾート博協会による入場者の予測交通量をもとに、会期中の会場周辺の交通量予測調査を現在行っているところであり、平成四年度末を目標にこの予測交通量をもととして観客誘導計画を策定することといたしております。
 ご質問の国道四十二号毛見トンネルを含む毛見拡幅工事については、今年度中に工事発注が行われ、リゾート博開会を目途に事業促進が図られると国から聞いております。県においても、交通量予測調査の中で交通渋滞が予測されている国道四十二号と臨港道路毛見一号線の平面交差点の仮設高架橋の設置について当初予算に計上させていただいておるところであります。また、紀三井寺交差点の対策についても、現在、関係者間でリゾート博開催までに実施可能な対策を検討しているところであります。
 次に、国道四十二号湯浅町から御坊市天田橋間の渋滞対策については国道四十二号湯浅御坊道路の早期供用が必要と考えておりますが、現時点での工事期間の短縮は非常に厳しいと聞いております。しかしながら、リゾート博開会までの吉備町から広川町間の部分供用については現在国に働きかけておるところでございますが、なお一層要望をしていく所存であります。
 次に道路標識でございますが、リゾート博交通誘導ルート沿いの主要箇所に一定間隔で案内標識を平成五年度より設置する予定であります。また、道路利用者に親切で、わかりやすく、見やすくするための大型案内標識の整備を平成四年度より継続的に進めておるところでございます。なお、直轄国道についても、方向・方面別を標示したわかりやすい案内標識を建設省に要望してまいりたいと思います。
 次に、世界リゾート博の海上輸送計画についてでございます。
 海上輸送計画については、海上アクセス需要調査に基づいて、主として南海本線や四国からのフェリーの利用客等に対し、和歌山港区とマリーナシティを結ぶ航路を検討しております。
 議員ご提案の和歌山港区や海南港区と紀南地方を結ぶフェリーや旅客船の運航については、庁内組織である海上交通部会において検討してまいりましたが、運航事業者の確保や採算性などの問題がございます。さらに現在、新宮港へ就航している長距離フェリーのマリーナシティ周辺への寄港についても、現在のフェリーの就航状況や貨物輸送への影響あるいは需要量等の問題がございますので難しいものと考えられます。
 なお、宿泊地とマリーナシティを結ぶクルージングとしては、和歌浦漁港との運航を検討しております。また、先ほど申し上げた和歌山港区とマリーナシティを結ぶ海上輸送においても、短時間ではありますが船旅気分を味わっていただけるのではないかと考えております。
 次に、過疎対策としての住宅施策でございます。
 公営住宅の建設については、和歌山県第六期住宅建設五箇年計画に基づき、各市町村における住宅事情や需要の動向を見きわめながら、それぞれの市町村で建設を推進するとともに、県としても広域的な生活圏の中で市町村の協力を得ながら県営住宅の建設を進めているところでございます。特に、若者の流出を防ぐための過疎対策としては、就労の場の確保とともに、住宅の供給も重要な課題と考えております。今後も、若者の定着と地域の振興のため、公営住宅等の建設に努めるとともに、関係機関とも連携し取り組んでまいりたいと思います。
 次に、和歌山下津港の整備計画についてでございます。
 和歌山下津港本港地区の水面貯木場埋め立てについては、木材関係者と調整を重ね、現在までに利用者の方々との間で合意形成を図りつつございます。また本事業は、地場産業である木材業の振興にとどまらず、市街地の環境改善、とりわけ内川の木材係留をなくし、内川の浄化を図ることも目的といたしております。
 内川に木材を係留している製材業者の移転については、現在、木材業界が主体となって埋立地への移転等について話を進めておるところでございます。また、県としては庁内の関係各課室が一体となって移転促進の指導を行っておるところでございます。種々問題はございますが、本事業の実施に際しては、木材業界との役割分担を明確にした上で、早期に事業着手をしてまいりたいと考えてございます。
 和歌山下津港の次期港湾計画の改定については、現在、平成七年度ごろに行うことを目標に作業を進めておるところであります。改定計画に当たっては、長期的な観点から和歌山下津港の目指すべき方向を見定めることが必要であると考えております。個別の課題として物流機能の強化など種々の課題があるわけですが、その中でフェニックス計画とも調整しながら廃棄物処理用地の確保、あるいは都市活動を支えるための都市機能用地の問題についても十分検討してまいりたいと考えております。
 次に、日高港湾の整備計画でございます。
 日高港については、昭和五十八年に重要港湾に指定され、港湾計画が策定されたところであります。中紀地域の拠点港として日高港に求められている諸要請に早期にこたえるため、昨年六月に港湾計画の一部変更をしたところであります。当面は、一期計画として防波堤四百メートル、仮防波堤六百九十メートル、水深十二メートルの大型岸壁一バースなどの整備と十九・四ヘクタールの土地造成を、国、県、市が一体となって平成九年度ごろの供用を目標に進めたいと考えております。なお、土地造成については県が施行することといたしております。
 今後は、事業着手に当たっての県と市の役割分担等についての協定を平成四年度内に結ぶとともに、地元関係者の協力を得て漁業交渉を行い、埋立免許を取得し、平成五年度には工事着手ができるよう努力をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 世界リゾート博における駐車場対策のご質問にお答えいたします。
 交通輸送対策部会としては、会場の位置や公共交通機関の状況、近畿自動車道の大阪側の全線開通等を勘案すると、これまでに開催された地方博覧会に比べ自家用車の利用が高いと予想されております。
 議員お話しの駐車場の確保については、こうしたことから会場内の自家用車約四千台、団体バス約百五十台の駐車場を確保するとともに、お盆や休日等の入場者が大幅に上回る場合に備え、会場外駐車場として紀三井寺の医大移転用地に約千六百台、和歌山操車場駅跡地に約一千台の駐車場を確保し、駐車場と会場までの交通手段としてシャトルバスの運行を計画してございます。さらに、これら以外にも適地を選定し、会場へ集中する車両の混雑緩和と交通の円滑化を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) 第一次産業についてお答えを申し上げます。
 まず、山村過疎対策への取り組みでございます。
 去る二月五日、六日、南部川村において全国木炭生産地の関係市町村など多数の参加のもとに木炭サミットを開催したところでありますが、非常に反響が大きく、今後、全国的な広がりと継続性を持った催しになっていくものと考えてございます。
 また、本宮町長の呼びかけにより、二月十六日には森林交付税フォーラムが盛大に開催されたところでございます。このような催しを他に先駆け、和歌山の地から全国に情報発信できたことは大きな意義があったものと受けとめてございます。
 また、昨年九月に開催された全国知事会議の席上、知事から農林水産大臣を初め関係大臣に対して、森林や山村の持つ重要性についての政策提言をしてまいったところでございます。県としては、今後、市町村と連携を密にしながら、全国の各府県や市町村ともども国等への要請活動や啓発活動を進め、厳しい現状にある山村過疎地域の活性化を図り、住民の定住と若者たちが将来に希望の持てる山村づくりを進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、IWC京都会議への取り組みでございます。
 古式捕鯨発祥の地であり、捕鯨と鯨の食文化に歴史と伝統を有する和歌山県といたしましては、この国際会議の成り行きに大きな関心を寄せているところでございます。鯨をめぐり、反捕鯨国や環境保護団体から厳しい意見もありますが、議員お話しのように、漁業関係者の熱心な運動の成果により、一部において日本の沿岸小型捕鯨の是認論、あるいは国における調査の結果、ミンククジラ資源の回復がIWC科学委員会で認められるなど明るい面もございます。県といたしましては、ミンククジラについての商業捕鯨再開の実現と、これまで本県の太地町を含め日本の沿岸小型捕鯨を支えてきたイルカ等小型鯨類が従来どおり取り扱われるよう、国、関係県及び太地町と連携を図りながら積極的に取り組んでまいります。
 次に、これからの農業施策でございます。
 農業は本県の基幹産業であり、若者が魅力を持って取り組める産業として育成していくことが重要であると考えてございます。昨年六月には新しい農政の展開方向を示した新政策が公表されてございますが、農業生産について見ると、水稲を中心とした大規模経営を目指したものであり、本県のような傾斜地が多く暖地性を生かした集約農業の地域においてどう生かしていくかが今後の課題と考えてございます。
 こうした中で、県としては、これまでも地域の実態や特性を生かして、県下を紀の川、有田川、日高、紀南の四地域に区分して、ミカン、柿、梅などの果樹、エンドウ、レタスなどの野菜、カスミソウ、センリョウなどの花卉、花木による活力ある産地づくりに努めているところでございます。こうした結果、果実粗生産額では全国一位の千四十三億円を、また専業農家率では近畿一位となるなど、農業県としての地位を確保しているところでございます。
 今後とも、産地間競争に打ちかつべく、おのおのの地域の特性を最大限に生かして、小規模な生産組織の統合を図りながら、施設園芸を組み合わせた生産性の高い農業の実現に向けて、各般の施策を積極的に展開してまいる所存でございます。
 次に、今後の農産物流通対策についてでございます。
 消費者ニーズの多様化やスーパー等、大口量販店シェアの高まりの中で、農産物流通は全国の中央卸売市場取扱高の増大、産地間価格差の拡大、及び産地の出荷状況に基づく信用取引の導入により大きく変化してございます。
 このため、品質規格の統一やロットの拡大、味一果実等個性化商品や選果技術の開発などを進める一方、県産青果物を扱う拠点卸売会社で組織する和歌山会と県農業関係団体との情報交換や品質の検討会を進めてきたところでございます。また、昨年には大阪と東京において、知事、副知事を先頭に県産青果物の販売促進キャンペーンを実施するなど、販路拡大に積極的な取り組みをしてきたところでございます。
 今後とも、生産者団体みずからの販売活動を基本にして、県産農産物のPR等を進めるとともに、交通体系の整備や情報化に対応した集出荷施設の整備、市場開拓など、生産販売体制づくりにあわせ、県内卸売市場の近代化をさらに進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 木下議員ご質問の廃棄物問題でございます。
 フェニックスの積み出し基地については、フェニックス計画の主体である大阪湾広域臨海環境整備センターが建設することとなってございまして、現在、平成八年八月から廃棄物を搬入できるよう大阪湾センターに申し入れているところでございます。
 県といたしましては、国の平成六年度予算編成時期である本年八月をめどに基地の候補地案を示すなど必要な準備を進め、詰めの段階に来ているところでございます。
 しかしながら、フェニックス計画の処理対象区域は紀北の四市十町に限られ、また無制限にすべての廃棄物を受け入れてもらえるわけではないことはご指摘のとおりでございます。県内で発生するものは可能な限り県内で処理すべきであると考えてございますが、市町村、排出事業者の努力を基本としつつも、県として必要な支援を行ってまいりたいと考えてございます。
 このため、平成五年度当初予算で廃棄物処理センター設立構想策定のための調査費をお願いしてございます。また、公的な処理機関に対する資金面での支援基盤として、和歌山県地域環境保全基金の条例改正をお願いしているところでございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 当局は、答弁においてもう少し簡潔に答えていただくようにお願いいたします。
○議長(馬頭哲弥君) これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時二十二分休憩
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