平成5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成五年三月九日(火曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第七十二号及び議案第七十三号(知事説明・質疑)
 第二 議案第一号から議案第七十一号まで(質疑)
 第三 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第七十二号及び議案第七十三号(知事説明・質疑)
 二 議案第一号から議案第七十一号まで(質疑)
 三 一般質問
出 席 議 員(四十四人)
 1 番 尾 崎 要 二
 2 番 中 村 裕 一
 3 番 下 川 俊 樹
 4 番 石 田 真 敏
 6 番 木 下 秀 男
 7 番 岡 本 保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 北 村 翼
 10 番 小 川 武
 11 番 上野山 親 主
 12 番 井 出 益 弘
 13 番 町 田 亘
 14 番 尾 崎 吉 弘
 15 番 門 三佐博 
 16 番 西 本 長 弘
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 冨 安 民 浩
 19 番 和 田 正 一
 20 番 阪 部 菊 雄
 21 番 平 越 孝 哉
 22 番 大 江 康 弘
 23 番 岸 本 光 造
 24 番 山 本 一
 25 番 吉 井 和 視
 26 番 浜 田 真 輔
 27 番 堀 本 隆 男
 28 番 宇治田  栄 蔵
 29 番 富 田 豊
 30 番 中 村 利 男
 31 番 馬 頭 哲 弥
 33 番 鶴 田 至 弘
 34 番 上 野 哲 弘
 35 番 村 岡 キミ子  
 36 番 松 本 貞 次
 37 番 木 下 義 夫
 38 番 和 田 正 人
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 橋 本 進
 41 番 野見山  海
 42 番 森 正 樹
 43 番 浜 本 収
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 口 矩 一
 46 番 森 本 明 雄
欠 席 議 員(一人)
 32 番 宗 正 彦
 〔備 考〕
 5 番 欠 員
 47 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口 勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 佐 武 廸 生
 民生部長 吉 井 清 純
 保健環境部長 江 口 弘 久
 商工労働部長 中 西 伸 雄
 農林水産部長 中 村 昇
 土木部長 山 田 功
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
  岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
  山 階 清 弘
 警察本部長 中 長 昌 一
 以下各部長
 人事委員会委員長
  水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
  稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 塩 崎 省 吉
 次 長 中 村 彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 古 井 美 次
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 川 端 孝 治
 調査課長 大 畑 巌
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時三分開議
○議長(馬頭哲弥君) これより本日の会議を開きます。
○議長(馬頭哲弥君) この際、報告いたします。
 過日提出のあった議案第四十三号及び議案第六十号については職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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   和人委第410号
   平成5年3月4日
 和歌山県議会議長 馬 頭 哲 弥 殿
 和歌山県人事委員会委員長 水 谷 舜 介
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成5年2月26日付け和議会第349号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
  記
 議案第43号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第60号 警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
  意 見
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(馬頭哲弥君) 次に、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から現金出納検査の結果報告がありましたので、報告いたします。
○議長(馬頭哲弥君) 次に、知事から議案の追加提出がありました。
 職員に公文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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   財第327号 
   平成5年3月9日
 和歌山県議会議長 馬 頭 哲 弥 殿
  和歌山県知事 仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成5年2月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
  記
 議案第72号 平成4年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第73号 平成4年度和歌山県用地取得事業特別会計補正予算
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○議長(馬頭哲弥君) 日程第一、ただいま報告いたしました議案第七十二号及び議案第七十三号を一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました議案につきまして、ご説明申し上げます。
 平成四年度予算のうち、用地取得の遅延、その他諸般の事由により本年度内に完了することが困難と見込まれる事業につきまして、一般会計で百二十四億七千二百余万円、特別会計で九億九千五百万円を平成五年度に繰り越し使用することについてお願いいたしております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(馬頭哲弥君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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○議長(馬頭哲弥君) 次に日程第二、議案第一号から議案第七十一号までをあわせ一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 6番木下秀男君。
 〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 平成五年度予算案を初め諸議案を審議する二月定例会一般質問の先陣を承る機会を与えていただきました先輩・同僚の皆さんに感謝申し上げます。
 昨年は、バブルの崩壊による厳しい経済不況と金権汚職や贈収賄事件等による政治不信で暮れた年でありました。明けて新春早々、国民ひとしく待ち望んでおりました皇太子殿下と小和田雅子さんのご婚約発表は、暗雲を吹き飛ばす明るいご慶事であり、今議会冒頭、和歌山県議会で祝意を表したところであります。国際化時代にふさわしい皇室外交を進められることを国民が希望しておると思います。
 さて、今議会に提案されました予算案は、戦後初めて県税二年連続減収という景気沈滞が進む中で、経済の安定を図ることを緊急課題とした投資重視の県単事業を大幅に引き上げた景気刺激予算と見ているのであります。しかし、経済不況のトンネルの出口が見えず、この状態を「ホールインワン景気」と呼ぶ人もあります。まさに、「パットしない」厳しい状況の中で予算編成をされた知事初め当局の皆さんのご苦労に敬意を表しながら、数項目にわたって質問をいたします。
 公文書の開示に関する条例についてであります。
 近年、社会の情報化は目覚ましいものがあります。ありとあらゆる情報が私たちのふだんの生活の中に入り込んできており、日常生活に多大の影響を及ぼしているとも思います。それだけに、情報が持っている意味、価値はまことに重要なものとなっております。
 私は、常々、地方の活性化というものは、その地域の住民と行政の歯車がうまくかみ合っていくような住民参加が実践されなくてはならないと考えています。そして、住民参加という観点から申し上げれば、まず県政についての理解と信頼が深められることが重要であり、その結果、県政参加の意識も高まってくるものだと考えております。そのためには、県と住民との間の情報の流れをもっと豊かにする必要があるとも思うのであります。県民の県政情報に対する関心は非常に高いものがあり、情報公開への強い要請があると思うのであります。
 本県の場合には、「県民の友」や報道機関等を通じて県が行っているプロジェクトや公共事業、あるいは制度の案内等の情報提供のほか、各種行政資料の閲覧制度等、県政情報の公開に努力され、我々もそうした県の情報提供によって、一応はいろいろと知ることができるようになってきてはおります。しかし、もう少し具体的なことを知りたい、どういう経過でどんな内容の事業になっているのかなどもっと詳しく知りたいと思っても、それについてはなかなか知ることができないのが実態でありました。
 このたび、本県においても公文書の開示に関する条例案が提案され、県民は必要とするときに必要な情報を知ることができることになるわけで、私は県当局の画期的な取り組みに対してその姿勢を評価したいと思います。そして、この制度がその趣旨、目的に沿って適正に運用され、県民の積極的な利用により県勢発展のため大いに活用されるべきであると考える次第であります。
 しかし、その一方で、行政情報にはその性格上、プライバシーに関する情報や安易に公開されることによって特定の者に不当な利益や不利益を与えるもの、円滑な行政運営に支障を来すことにより県民全体に不利益を与える情報等もあるわけで、これらの情報についてはより慎重に取り扱っていただかねばならないと思うのであります。また、ある意味では権利ばかりが大手を振って、制度本来の目的から離れたような要求がなされ、行政の日常業務にまで影響を与えかねないような事例が生じはしないのか、この制度によって得た情報を悪用されることはないのかとの懸念もあります。
 これらの点について条例案では、原則公開を基本としながらも、保護すべき情報との調整を図るため、開示しないことができる公文書の規定が置かれ、また利用者の適正使用についての規定も設けられているものと理解しておりますが、いずれにいたしましても、この制度が生かされるかどうかは、それを利用する県民にいかに制度の趣旨なり目的を理解していただき、正しく利用してもらえるのか、また実施機関である行政がいかに適正に運用していくのかの問題になろうかと思います。
 そこで、本条例案について、知事及び総務部長に幾つかの点をお尋ねいたします。
 まず第一に、条例の目的に関係して、このたびの情報公開制度の制定と県勢の発展とがどのように結びついていくとお考えなのか。
 第二に、既に全国で三十九都道府県において情報公開制度が実施されております。本県の制度実施は遅い方で、制度化には相当の期間を要しておりますが、その経過についてお伺いするものであります。また、今後どのように制度を運用されていくお考えなのか。
 第三に、この条例案には実施機関として公安委員会と議会が入っておりませんが、除外している理由は何か。
 第四に、条例案第九条で開示をしないことができる公文書として八つの項目が挙げられておりますが、基本的にどのようにお考えなのか、また解釈の仕方によっては開示されない公文書が非常に広範囲になり、これまで公開されていた情報の範囲と変わらないのではないか、この点はどのようにお考えなのか、以上の点についてお伺いするものであります。
 続いて、世界リゾート博についてであります。
 平成六年七月十六日から九月二十五日までの七十二日間にわたって和歌山マリーナシティで開催される、本県始まって以来のビッグイベントである世界リゾート博も、開幕まで四百九十四日と迫ってまいりました。
 知事は、年頭の記者会見の中で、「ことしは、関西国際空港の開港や世界リゾート博の開催を翌年に控えた大切な年であり、近畿自動車道の大阪側が全通することとあわせて、全国に、そして世界に開かれた和歌山県となるときも目前である」と言われております。
 私も、関西国際空港の開港を契機に開催されるこの世界リゾート博によって、和歌山県の魅力が国内外にアピールされ、地域の活性化が図られるとともに、本県の国際化がより一層促進されるものと確信するものであります。この世界リゾート博の成否が和歌山県の将来を左右すると言っても過言ではないと思うわけでございますが、恐らく知事もそのように考えられ、この博覧会を成功させるべく全精力を傾注されていることと推察いたします。
 聞くところによりますと、企業、団体のパビリオンも当初の計画どおり確保されたということであり、またこの博覧会の主要施設の一つとなる、松下興産株式会社が恒久施設として建設するテーマパークもこの一月に着工されたということであります。厳しい経済情勢の中で着々と準備が進められていることは、主催者である世界リゾート博協会の皆さんの大変なご苦労があったと思うわけでありますが、博覧会の成功を願う者の一人として気がかりな点がありますので、次に質問いたします。
 交通アクセスについてであります。
 このリゾート博開催が決定されてから、本会議でも委員会でも、パビリオン会場と国道、高速道路との連結の意見が出ております。人工島と毛見間の連結道路ができたようでありますが、我々が指摘した和歌浦口津屋三差路、紀三井寺交差点、浜の宮─琴の浦間のトンネルがいまだに手がつけられていない現状でございます。
 国道四十二号線では、吉備町水尻の有料道路の合流点から湯浅・広川町間、日高川口天田橋─関西電力火力発電所間の交通渋滞の解消が急務であると思うのであります。土曜日の南進、日曜日の北進における四十キロ、五十キロの渋滞は、ドライバーの苦情の極に達している状態であります。この渋滞が解消されず、終日渋滞という事態ともなれば、日常の経済活動に悪影響を及ぼしかねないと心配するものであります。
 私は、大阪の花博へ昼夜、時間を変えて三回行ってまいりましたが、まず感じたのは駐車場、案内標示、公衆便所等であります。特に、紀州路に案内標示、公衆便所の不足が指摘されています。これは、観光立県を言う和歌山県としては是が非でも整備しなければならないことであります。来場者のほとんどが自家用車とバスになると思われますし、駐車場の完備が必要と考えますが、その取り組みはいかがでございましょうか。宿泊についても、和歌山市内、海南市内の現状を見ると収容能力に無理があると思いますが、いかがでありますか。
 博覧会の開催期間は七月中旬から九月中旬と、ちょうど暑い時期であり、子供たちの夏休みの時期でもあります。このような催し事の中で病気や事故の発生件数は表に出ないものでありますが、大変な事故数が出ているとも聞いております。無事故成功を祈る上からも、万難を排した対策をお願いするものであります。
 次に、輸送計画についてであります。
 この博覧会は、海をテーマに多種にわたるパビリオンやパークが計画されていると聞いてございますが、船を中心とした輸送計画を立て、南国紀州の海を皆さんに知ってもらう絶好の機会だと思うのであります。青函連絡船や宇高連絡船の廃止、関釜連絡船の休止等で客船が余っているのが現状であります。関釜航路のジェットフォイル船、宇高航路のホバークラフトによる臨時航路の開設や関西汽船や川崎汽船、昭和海運等、海運会社と提携して、海南港、白浜桟橋、勝浦宇久井港、新宮港を結び、来和いただいた皆さんに海の旅を体験していただきながら宿泊地に行くということも一計と思考するものでございます。海南港─白浜間は高速艇で一時間、車での時間から見ると半分以上短縮され、海の旅を満喫できるとも思います。また、紀伊水道を通過しているブルーハイウエーのフェリーの寄港等の検討をされてはいかがかと提言するものであります。
 次に、不況対策についてであります。
 景気不況の期間がこのまま続くとしたならば、余りにも長過ぎるので回復力がなくなるのではないかと言われるほど長いトンネル内にいる状況が続き、各地で倒産の報道や人員整理の計画発表がなされています。
 金融機関の調査予測によりますと、この景気後退は動向指数から判断すると九一年初頭から始まり、過去の景気循環から後退局面の平均期間を計算すると約十七カ月、一年半もの長期にわたるもので、要因として考えられることは、オイルショックや円高不況のときの外国からの急激な冷え込みではなく、じわじわと後退し、国内において景気循環の中で自律的調整とバブル崩壊に伴う資産デフレの生じたことだと言われてございます。もう一点は、政府がこの景気後退の認知がおくれ、対策が後手後手になったことも大きく、この状況を経済学者は「複合不況」という言葉で説明をしております。
 民間の信用調査機関の帝国データバンクの一月二十日発表によりますと、平成四年の企業倒産は全国で一万四千百六十七件、和歌山県では百一件となっています。昭和六十一年に次ぐ多発記録を更新したとされています。内容を見ますと、負債が大型化し、個人企業が全体の六割弱となっており、市況低迷は県下全域に及び、個人企業、零細企業にも深刻な影響を及ぼしていることが判明いたしております。時を同じくして、大蔵省和歌山財務事務所が県内の景気動向を発表しました。それによりますと、県経済界は大都市の落ち込みに比べればまだよい方だが、当面、景気は下降線をたどるとの見方であります。かような厳しい状況の中で予算編成に取り組んだ商工労働部長のご苦労は察するに余りありますが、次の三点についてお伺いいたします。
 一、県としての不況克服の基本施策、二、県が誘致した企業の立地後の状況と雇用状況、三、最近、特に新聞紙上をにぎわしている採用延期、中止、休業等について、以上三点をお伺いいたします。
 続いて過疎対策でありますが、これは主として住宅対策を中心にしてであります。
 過疎対策という施策は、中央、地方を問わず、法律までつくってその対策に苦労しているのが今日の実態であります。五年に一度の国勢調査を見ても、回を重ねるごとに人口減の市町村がふえ続け、さらに高齢化が進み、公的な運営や部落の催し物や祭事の維持も困難な状況に陥り、地域社会の形態が崩壊しつつあると言っても過言ではありません。若者の都会へのあこがれをとめるすべもありませんが、過疎化防止と若者定住対策に取り組み成功した一例を挙げて、県の住宅政策を伺うものであります。
 日高郡中津村でありますが、人口わずか二千五百人余りの典型的な過疎の村であります。昨秋勇退された赤松壽男村長が、就任直後から過疎対策を重点施策として学校の整備と住宅施策に取り組み、村内の五小学校、二中学校をすべて近代的な校舎に新築し、昭和五十五年から十三年計画で小学校区別に村営住宅建設計画を立てて、ようやく今年、五十五戸の村営住宅が完成したのであります。現時点の状況でありますが、入居者の年齢は二十歳代後半から三十五歳ぐらいまで、一家族三、四人で、就学前の子供が四十三名、就学児が四十三名となっております。小学校は小規模校でありますが、全校普通教育で複式ではありません。入居者は村が誘致した企業で働く人、隣町に誘致したUターン組の社員等、多岐にわたっています。家屋は、ほとんどが木造二階建て三LDKで、建築費概算で一戸一千万円程度であります。村内の道路整備が進み、交通に要する時間も短縮されたことも一因でありましょうけれども、前述いたしましたとおり、住宅政策が実り、過疎に歯どめがかかったと評価するものであります。木造の家一戸を建てるのに三十数業種に影響を及ぼすと言われています。村内の木材を使用し、村内業者に建築を請け負わせ、人口対策、教育対策、林業対策、労働対策と、一石五鳥、六鳥にもなっております。
 ここで、県公営住宅を平成四年末で見ると、県営一般住宅五千二十六戸のうち、和歌山市が半分以上の二千九百七十一戸、県営住宅のない町村二十二町村、過疎の指定を受けた十七町村中、大塔村、中辺路町、日置川町、すさみ町、この四町村以外には一戸の県営住宅もありません。住宅建設後の維持管理に難点があることも伺うのでありますが、岐阜方式とか広島方式という方法も十分研究して、和歌山方式を考え出したらと思うものであります。
 今、中央でも地方でも、一極集中是正、地方分散による均衡ある発展と言われていますが、今日までの和歌山県の住宅施策にはこの言葉がぴったりと当てはまると思うのであります。県が策定した第六期住宅建設五箇年計画(平成三年度から七年度)によりますと、「過疎地域においては、地域活性化の原動力である若者の定住促進が不可欠であり、その政策課題を支援するため地域の特性を生かした公共住宅の供給に努める」と明記されてあります。平成五年度の方針をお伺いするものであります。
 次に一次産業についてでありますが、初めに山村過疎について申し上げます。
 本県は、紀州木の国と言われるように、森林が多く、今日まで森林とともに生きてきた長い歴史・文化がございます。今、山村地域は経済発展の陰で過疎化の波を大きくこうむり、若者の流出、高齢化の進展が続き、地域社会の崩壊が起きつつある現状にございます。しかしながら、一方において環境問題を初め森林文化の見直しが進みつつある現状の中で、当局を初め関係者の一方ならぬご努力もあり、今議会においても山村過疎地域の活性化に向けた新たな施策と具体化された予算が計上されていることに意を強くするとともに、ここに改めて敬意を表するものであります。
 ことしの二月に、県下で全国規模のフォーラムが二回開催されました。二月五日、六日と、南部川村において全国から多くの方々の参加を得て、木炭による地域振興を念頭に、森と炭と人間の将来像を探るための「木炭の未来と環境フォーラム」が盛大に開催されたところでございます。もう一つは、二月十六日、本宮町で熊野文化にご造詣の深い梅原猛先生を講師にお招きし、全国百十の過疎市町村からの参加を得て、全国で初めて「高い公益性を持つ森林を、国を挙げて守ろう」を合い言葉に「森林交付税フォーラム」が開催され、森林と生命について熱っぽい議論が交わされたと聞いてございます。
 もう一つは、IWC京都会議であります。このIWCとは、鯨資源の保護と捕鯨産業の秩序ある発展を目的に国際捕鯨取締条約が結ばれたことであります。この会議が京都で開かれますが、捕鯨国である日本、ノルウェーなどの国々が商業捕鯨再開を、そして保護という立場から禁止をと言う国と、この両方の意見をまとめるのが京都会議であります。平成四年一月には、捕鯨の将来像を探る国際シンポジウムが那智勝浦町で開催されました。ここには、アメリカ、カナダ、アイスランド等、各国から文化人類学者や鯨研究者十六名が出席されました。総括として、日本の沿岸小型捕鯨は独自の捕鯨文化であり、国際捕鯨委員会が禁止している商業捕鯨とは異なる捕鯨として認知されるべきだとの意見の一致を見ております。また、座長を務められたカナダのアルバータ大学のミルトン・フリーマン教授は、「住民が生きるために必要な捕鯨が存在することを明らかにできた」と話されております。しかし、国際世論は厳しく、水産庁はことしの二月、太地町にある二つの組合に対し捕鯨枠大幅削減を通告してきたのであります。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたしますが、県としてこの三つの地方からの動きをどう受けとめ、今後どうされようとしているのか、お伺いするものであります。
 このような新しく、そして大きなうねりを大切に育て、大河となるべく、関係者が一丸となって取り組むことが今求められているのではないでしょうか。
 次に、農業問題についてお尋ねいたします。
 ご承知のとおり、ガット・ウルグアイ・ラウンドは、農業問題を初め多くの課題、問題を抱え、また各国の思惑も異なり、いまだ決着に至っていない現状にありますが、近い将来には自由化されることは間違いないと思います。日本にとりましても、国民の基本食糧である米を初めとして厳しい環境下に置かれてございます。こうした情勢を踏まえ、県としてこれからの本県の農業をどのように振興しようとしているのか、そのお考えを伺うものであります。
 また、消費者の食品に対するニーズの多様化が進む一方、近畿自動車道の紀南延伸、南紀新空港のジェット化、さらには関空新空港の開港、大阪中央市場の整備等、今後、本県の農産物流通を取り巻く環境が大きく変化することが予想される中で、県として本県農産物の流通販売対策についてどのように取り組まれようとしているのかをお伺いするものであります。
 産業廃棄物についてであります。
 つくられたものは必ず廃棄される運命にあり、また物の製造には副産物としての廃棄物が発生するものであり、社会経済の発展の中で廃棄物の量は年々増加しているところであります。全国市長会のまとめでは、年間三千七百五十万トン、処理経費一兆七百億円となっていますが、町村分を含めると膨大な額になります。
 廃棄物については、一般廃棄物は市町村に、産業廃棄物については排出事業者にその処理責任があるとはいえ、地域の産業振興、テクノ&リゾートを標榜する我が和歌山県としては、廃棄物問題を今後の県政の重要課題の一つとして位置づけるべきであると考えております。
 幸いにも、我が県には和歌山北港の埋立地があり、和歌山環境保全公社の管理のもとに廃棄物が適正に処理されてきたところでありますが、この埋立地は平成八年に終了することになっています。後継処分場を直ちに確保することが極めて困難な状況から察すれば、フェニックス計画に依存せざるを得ないものと考えますが、フェニックス計画は県下全域をカバーしているわけでなく、また量的にも無制限に廃棄物が受け入れられるわけでもありません。やはり、県内で処分可能な廃棄物は県内で処分するという姿勢を基本にしなければ、今後の県勢の持続的、安定的な発展は望めないと思うのであります。
 そこで、将来の廃棄物を適正に処理、処分していくためには、県としても廃棄物行政組織を強化する必要があると考えますが、まず知事の所見をお伺いいたします。
 続いて、フェニックス計画に参加するためには廃棄物の海上輸送のための積み出し基地の建設が必要でありますが、その基地建設の計画はいかがなってございますか。
 県内処分場の安定確保のためには、そのための官民一体となった組織と多額の資金及び県の支援が必要と考えますが、県としてどういうお考えを持っておられるのか、お伺いいたします。
 次に、和歌山下津港の整備計画についてお伺いいたします。
 特定重要港湾和歌山下津港については、昭和三十五年に港湾計画が決定して以来、昭和四十九年と昭和六十年の改定を経て現在に至っておりますが、その間、南港木材港の開発、万トンバースの整備を初めめとして、着々と近代港湾の整備が進められてきました。現在も、雑賀崎における都市再開発用地の造成や県のビッグプロジェクトである和歌山マリーナシティの造成などが進められ、県経済の最重点拠点としてその地位を築きつつあるように思われます。
 ところで、現在の港湾計画による港湾整備事業を見ると、さきに申しました雑賀崎の都市再開発用地の造成、和歌山マリーナシティとも並ぶ大きな事業として、本港地区における木材港の水面貯木場埋立計画があります。この事業については、木材の取り扱いを水面貯木から陸上貯木に転換し、本県地場産業である木材業の振興を図るとともに、内陸部で操業している製材業者の集約を図り、住工混在地の環境改善や水質向上に寄与するという重要な目的があると思われます。このように、事業の趣旨からも本港地区木材港再開発は早期に執行する必要があると思われますが、まだ着手されていないのが現状であります。本事業に対する現在の取り組みと今後の予定について、土木部長の答弁を求めます。
 次に、現在の和歌山下津港の港湾計画については、今申し上げたように、昭和六十年に改定され、平成七年を計画の目標年次としておりますが、引き続き次期の港湾計画の改定を平成七年に予定していると聞いております。そこで、この次期港湾計画において、次の点をどのように考えておられるか、お伺いいたします。
 まず第一点は、先ほども申し述べた廃棄物処理の観点であります。当面はフェニックス計画に依存せざるを得ないと考えますが、一方では、県全体の長期的な処理計画を策定し、その中で新たな最終処分地の確保について検討していく必要があると思います。そこで、海上での処分地の確保についてどう考えていくのか、お伺いします。
 第二点は、社会経済の高度化、多様化に伴い、都市の機能についても高度化、多様化が要求されるようになってきております。住宅、業務、商業、あるいは都市基盤インフラ等々、多方面にわたるニーズが増大してきております。これらに適切に対応していくためには、内陸部だけではなく、海上も含めた広範な空間の中で考えていかなければなりません。港湾としてその一環を担う必要もあるかと思われますが、この点どう考えているのか、お伺いいたします。
 次に、日高港湾の整備計画についてであります。
 日高港は、和歌山下津港や大阪湾諸港との機能分担を図りつつ、和歌山県中部地域の経済活動を支える物資流通と地域開発の拠点としてこの地域の飛躍的な発展を図っていくために、昭和五十八年に重要港湾に指定され、同年十二月に港湾計画が策定されております。現在の日高港には西川河口部に水深三・五メートルの航路や岸壁しかなく、この地域の基幹産業である木材産業にとっては、外材の直輸入ができず、県内外の他港から海上輸送や陸上輸送を余儀なくされ、輸送コストのアップによって市場競争力が低下し、経営が圧迫されている現状にあります。したがって、日高港の整備は、平成六年度に開通予定の高規格道路の御坊延伸とも相まって、その果たす役割はますます大きくなり、県土の均衡ある発展に大きく寄与するものと確信しております。
 しかるに、種々の問題から主要地区である御坊市側の工事着工はいまだにされておらず、計画が策定されてから既に九年余の歳月が過ぎようとしてございます。県当局は、平成四年六月に早期事業実施を図るため港湾計画の一部変更を行っていると聞いてございますが、具体的な整備計画の内容と今後の取り組み方針についてお伺いするものであります。
 以上で、私の質問を終わります。どうも、ご清聴ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下秀男議員にお答え申し上げます。
 情報公開に関する条例の制定と県勢の発展ということでございます。
 お話ございましたように、最近の社会情勢等から地方自治体に対する情報公開に関する要請が非常に高まっておるわけでございまして、そうした住民の関心、意識の高まりは地方の発展を図っていく上で非常に大事なものであるということは同感でございます。そうした意味においても、県民が必要なときにいつでも情報を得るということによってこれまで以上に県政に対する信頼、理解を深めていくわけでございまして、県民の参加によって開かれた県政が一層推進していくと考えるわけでございます。そうした目的から、公文書開示の制度化を図ろうとするものでございます。
 もちろん、この制度の実施によって県民の皆さんが理解を深めます。しかしまた、これに携わる職員についても、従来にも増して県民の立場に立った公正な立場で情報公開をしなければならないということが言われるわけでございます。そうした点について配慮しなければなりません。お話ございましたように、この情報公開制度を行うことにより、これまで以上に県民と行政が一体となった形で行政運営が図られ、県勢のよりよい発展に結びついていくと考えるものでございますし、またそうしなければならないと考えております。
 次に、廃棄物対策でございます。
 最近、新聞、ラジオ、テレビ等においても、廃棄物の問題が連日のように取り扱われているのが現状でございます。お話のように、一般廃棄物は市町村に、また産業廃棄物は排出業者にその処理責任があるわけでございますけれども、それらを指導する立場として、廃棄物の減量化、リサイクル、処理場の確保等については重要な課題であると考えておるわけでございます。
 お話ございました、それらに対する県の組織改正の問題でございますけれども、そうした趣旨を踏まえて廃棄物対策室を近く設置したいと考えておるところでございます。
 他の問題は、関係部長から答弁いたします。
○議長(馬頭哲弥君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 公文書の開示に関する条例についてでございます。
 まず、制度化に至る経過と制度の運用についてお答えを申し上げます。
 本県における情報公開制度に関する取り組みについては、昭和五十六年に情報公開調査研究会を発足させたのでございますが、研究を深めていく過程で、プライバシーの保護を初め、機関委任事務の取り扱い等、多くの課題があったことから種々議論を重ね、慎重に検討を続けてまいったところでございます。その間、昭和五十九年に行政資料室を設置して行政資料に関する閲覧制度を設けるなど、情報提供の充実にも努めてまいりました。
 公文書開示の本格的な制度化に向けては、平成元年に情報公開推進委員会を設置するとともに、平成三年四月、総務学事課内に情報公開準備班を設けて具体的な検討作業を進める一方で、同年の五月に県内各界の有識者の方々で構成する情報公開懇話会を設置して、広い視野から本県の情報公開制度のあり方についてご議論をいただき、昨年の三月にご提言をいただいたところでございます。県といたしましては、これまでの検討結果や懇話会のご提言の趣旨を踏まえながら、条例案の作成作業に鋭意取り組んできたものでございます。
 今後は、新しい制度の創設によって、より積極的な情報の公開に努力をいたしますとともに、県民の皆様の一層の行政参加を期待いたしております。制度実施に当たりましては、個人のプライバシーの保護、第三者の利益の保護、公正円滑な行政運営の確保等に十分に配意をしながら条例の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
 次に、公安委員会と議会を条例案において実施機関から除外している理由についてでございます。
 まず公安委員会については、犯罪捜査、あるいは公共の安全や秩序の維持というような特殊な内容の事務を所管いたしておりますし、また国や他の都道府県との密接な連携のもとに広域的に処理しなければいけないような事務が多く、全国的な調整も必要であると考えております。このために、制度実施済みのすべての都道府県において公安委員会は実施機関から除かれているところでございます。本県においても除外することとした次第でございます。
 また議会については、議決機関であり、執行機関とはその性格を異にしておりますし、県民の代表として県政を監視し、県民の利益を公に反映するのがその責務であるということから、情報公開懇話会のご提言の中でも、実施機関となるか否かは議会みずからの判断にゆだねるのが相当であるというご意見をいただいたところでございます。県といたしましては、既に制度的には議会の本会議と委員会、その会議録等については公開をされているという点、また実益の面から見ても、議会事務局から知事部局に提出された公文書については知事が実施機関になっていることから開示請求に対応できると考えておりまして、実施機関には含めずに提案をさせていただいた次第でございます。
 次に、開示しないことができる公文書についてのお尋ねでございます。
 本制度は、基本的には公開を原則といたしておりますが、ご指摘のように、行政情報の中には、個人のプライバシーの保護を初め、第三者の権利、利益の保護や公正かつ円滑な行政運営の確保等の観点から公開に適さない情報も含まれております。そうした情報については慎重に取り扱う必要があると考えております。
 県といたしましては、情報公開懇話会のご提言を踏まえるとともに、他の都道府県の例も参考にしながら、非開示事項については公開の原則に対する例外的な措置として、必要最小限の範囲にとどめるべきであるという認識に立って慎重に検討をしてきたところでございます。その結果、非開示事項に該当する項目として、懇話会のご提言にも示されている八つの項目に類型化し、条例案第九条各号に規定をしております。
 なお、ご指摘の条例の解釈によって非開示とされる範囲が広くなるのではというご懸念については、条例の解釈運用に当たって、実施機関は県民の公文書の開示を求める権利を十分に尊重することにいたしております。拡大解釈や恣意にわたることのないよう適正な運用を期してまいりたいと考えております。
○議長(馬頭哲弥君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 木下秀男議員にお答えいたします。
 議員ご指摘の案内標示、公衆トイレの整備についてでございますが、世界リゾート博の開催を来年に控え、和歌山県に今まで以上に多くの観光客が訪れることが予想されます。観光地としての条件は、その地方の特質や資源はもとより、快適な利用環境が提供されているか否かが大きな要素であると考えてございます。特に、公衆トイレ等の基本的な施設の充実が必要でありますので、平成四年度から主要観光地等の公衆トイレの整備を県単独で進めるとともに、国の補助事業、市町村への補助事業等を活用しながら施設の充実を図ってきているところでありますが、今後ともなお一層の整備を進めていくこととしてございます。
 また、県内を訪れる観光客がスムーズに観光できるような案内標示等について、関係機関や関係部局とも調整を図りながら整備を推進したいと考えてございます。
 次に、世界リゾート博の会期中における宿泊対策についてでございます。
 今日まで、関係部局や関係機関との間で対策等について鋭意協議しているところでありますが、会期中の宿泊者としては、博覧会の運営等の従事者やイベント参加者等の関係者と博覧会への来場者に区分されると考えられます。このうちイベントへの参加者については、世界リゾート博協会においてできる限り早期に宿泊者数を把握し、旅行代理店に宿舎の確保を依頼することとしてございます。また来場者の宿泊については、和歌山市内等での宿泊の確保はもとより、県内観光地のよさを来場者の方々に知っていただくとともに、宿泊していただくために博覧会会場と県内観光地を結ぶ旅行企画を旅行代理店に依頼するなどし、来場者の宿泊対策に努めてまいりたいと考えてございます。
 なお、世界リゾート博に向けて旅館等からの要望もあり、平成五年度に観光施設整備資金を設け、宿泊施設の改築に対して支援をしてまいることとしてございます。
 次に、不況対策についてでございます。
 まず、不況克服の基本施策でございます。
 商工労働部といたしましては、昨年からの景気低迷、先行き不透明感が続くという経済動向を踏まえ、県として実施した二度にわたる経済対策の中で、中小企業金融の円滑化のための対策として、中小企業振興資金、中小企業経営安定資金の融資枠の拡大、また各融資制度の融資利率の引き下げ等の対策を実施してまいりました。その結果、昨年四月からこの一月末までの新規貸付実績を平成三年度同期と比べると、中小企業振興資金では件数で約一・七倍の千三百十四件、融資金額では約一・六倍の百三十億三千四百万円、また中小企業経営安定資金については、件数、融資金額とも約一・四倍の百二件で九億七千百万円となってございます。このような実績から見ると、中小企業の皆さんに県の融資制度を活用していただいているものと考えてございます。
 しかし、景気動向は依然として低迷しているという現状を受けとめ、平成五年度においてもさらに融資制度の充実を図るために、中小企業振興資金等の融資枠を拡大するとともに、長引く景気の低迷により売り上げの減少している中小企業者の資金需要にこたえるため、低利の不況対策特別融資として融資枠四十五億円の緊急経営資金特別融資制度を創設するなどし、総融資枠でも平成四年度当初と比べ九・四%増の五百八十九億六千五百万円をお願いしているところでございます。今後とも、景気動向等を注視し、中小企業金融の円滑化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、誘致企業の立地後の状況と雇用状況についてでございます。
 誘致企業の経営安定は、そこに働く者にとって最も重要なことであります。県といたしましても、その事業活動状況には常に関心を持っており、努めて企業訪問を行い、状況把握をいたしてございます。
 現在、五十七の誘致企業のうち四十五社が操業しており、その事業活動はおおむね順調に推移していると把握しております。しかし、昨今の厳しい経済情勢のため、業績が思わしくない企業があるのも事実であります。県といたしましても、市町村とともに各種の相談に応じているところでございます。今後とも、市町村に対し企業との連絡を密にするよう徹底するとともに、県の企業訪問の回数をふやすなど、誘致企業の事業活動状況の速やかな把握に努めていきたいと存じます。
 次に、誘致企業の労働力確保についてでございます。
 市町村とともに組織する企業立地連絡協議会で誘致企業の紹介誌を発行し、県内の高校等に配布するほか、特に誘致企業が地域に定着するまでの間、従業員確保に対する地元市町村の強い支援をお願いしているところでございます。
 次に、採用の延期や中止、休業についてでございます。
 最近の雇用失業情勢を見ると、求人数が減少する一方で求職者数が増加し、昨年十一月の有効求人倍率は三年二カ月ぶりに一倍台を下回り、本年一月には○・九三倍となるなど雇用情勢が厳しさを増しており、一部の企業では一時休業等の雇用調整が見られるところであります。
 また、このような状況を背景として、本年度の県内高等学校卒業者の就職内定者のうち、事業の悪化等により七名の採用内定取り消しが発生したところでございます。このような採用内定取り消しは、その高校生に与えるショックは大変大きいもので、将来の職業生活に影響を及ぼすものであります。
 このため県といたしましては、一時休業等を実施している事業主に対し、休業中に支払った賃金等の一部を助成する雇用調整助成金制度を活用することにより、企業の雇用維持努力を支援して失業の予防に努めているところでございます。また、離職者が発生した場合は早期再就職に努めております。一方、このような採用内定の取り消しを防止するため、本県において昨年十二月に新規高等学校卒業予定者の採用内定取り消し及び入職時期の繰り下げ回避についてのリーフレットを作成、配布し、これに基づいて事業主に対し指導しているところでございます。
 なお、採用内定を取り消された者に対しては、速やかに職業相談等を実施して、現在、全員、別の企業に就職が内定しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 まず、世界リゾート博の交通アクセスについて。
 世界リゾート博開催に伴う会場周辺の交通対策については、昨年八月に実施した交通量調査、及びリゾート博協会による入場者の予測交通量をもとに、会期中の会場周辺の交通量予測調査を現在行っているところであり、平成四年度末を目標にこの予測交通量をもととして観客誘導計画を策定することといたしております。
 ご質問の国道四十二号毛見トンネルを含む毛見拡幅工事については、今年度中に工事発注が行われ、リゾート博開会を目途に事業促進が図られると国から聞いております。県においても、交通量予測調査の中で交通渋滞が予測されている国道四十二号と臨港道路毛見一号線の平面交差点の仮設高架橋の設置について当初予算に計上させていただいておるところであります。また、紀三井寺交差点の対策についても、現在、関係者間でリゾート博開催までに実施可能な対策を検討しているところであります。
 次に、国道四十二号湯浅町から御坊市天田橋間の渋滞対策については国道四十二号湯浅御坊道路の早期供用が必要と考えておりますが、現時点での工事期間の短縮は非常に厳しいと聞いております。しかしながら、リゾート博開会までの吉備町から広川町間の部分供用については現在国に働きかけておるところでございますが、なお一層要望をしていく所存であります。
 次に道路標識でございますが、リゾート博交通誘導ルート沿いの主要箇所に一定間隔で案内標識を平成五年度より設置する予定であります。また、道路利用者に親切で、わかりやすく、見やすくするための大型案内標識の整備を平成四年度より継続的に進めておるところでございます。なお、直轄国道についても、方向・方面別を標示したわかりやすい案内標識を建設省に要望してまいりたいと思います。
 次に、世界リゾート博の海上輸送計画についてでございます。
 海上輸送計画については、海上アクセス需要調査に基づいて、主として南海本線や四国からのフェリーの利用客等に対し、和歌山港区とマリーナシティを結ぶ航路を検討しております。
 議員ご提案の和歌山港区や海南港区と紀南地方を結ぶフェリーや旅客船の運航については、庁内組織である海上交通部会において検討してまいりましたが、運航事業者の確保や採算性などの問題がございます。さらに現在、新宮港へ就航している長距離フェリーのマリーナシティ周辺への寄港についても、現在のフェリーの就航状況や貨物輸送への影響あるいは需要量等の問題がございますので難しいものと考えられます。
 なお、宿泊地とマリーナシティを結ぶクルージングとしては、和歌浦漁港との運航を検討しております。また、先ほど申し上げた和歌山港区とマリーナシティを結ぶ海上輸送においても、短時間ではありますが船旅気分を味わっていただけるのではないかと考えております。
 次に、過疎対策としての住宅施策でございます。
 公営住宅の建設については、和歌山県第六期住宅建設五箇年計画に基づき、各市町村における住宅事情や需要の動向を見きわめながら、それぞれの市町村で建設を推進するとともに、県としても広域的な生活圏の中で市町村の協力を得ながら県営住宅の建設を進めているところでございます。特に、若者の流出を防ぐための過疎対策としては、就労の場の確保とともに、住宅の供給も重要な課題と考えております。今後も、若者の定着と地域の振興のため、公営住宅等の建設に努めるとともに、関係機関とも連携し取り組んでまいりたいと思います。
 次に、和歌山下津港の整備計画についてでございます。
 和歌山下津港本港地区の水面貯木場埋め立てについては、木材関係者と調整を重ね、現在までに利用者の方々との間で合意形成を図りつつございます。また本事業は、地場産業である木材業の振興にとどまらず、市街地の環境改善、とりわけ内川の木材係留をなくし、内川の浄化を図ることも目的といたしております。
 内川に木材を係留している製材業者の移転については、現在、木材業界が主体となって埋立地への移転等について話を進めておるところでございます。また、県としては庁内の関係各課室が一体となって移転促進の指導を行っておるところでございます。種々問題はございますが、本事業の実施に際しては、木材業界との役割分担を明確にした上で、早期に事業着手をしてまいりたいと考えてございます。
 和歌山下津港の次期港湾計画の改定については、現在、平成七年度ごろに行うことを目標に作業を進めておるところであります。改定計画に当たっては、長期的な観点から和歌山下津港の目指すべき方向を見定めることが必要であると考えております。個別の課題として物流機能の強化など種々の課題があるわけですが、その中でフェニックス計画とも調整しながら廃棄物処理用地の確保、あるいは都市活動を支えるための都市機能用地の問題についても十分検討してまいりたいと考えております。
 次に、日高港湾の整備計画でございます。
 日高港については、昭和五十八年に重要港湾に指定され、港湾計画が策定されたところであります。中紀地域の拠点港として日高港に求められている諸要請に早期にこたえるため、昨年六月に港湾計画の一部変更をしたところであります。当面は、一期計画として防波堤四百メートル、仮防波堤六百九十メートル、水深十二メートルの大型岸壁一バースなどの整備と十九・四ヘクタールの土地造成を、国、県、市が一体となって平成九年度ごろの供用を目標に進めたいと考えております。なお、土地造成については県が施行することといたしております。
 今後は、事業着手に当たっての県と市の役割分担等についての協定を平成四年度内に結ぶとともに、地元関係者の協力を得て漁業交渉を行い、埋立免許を取得し、平成五年度には工事着手ができるよう努力をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 世界リゾート博における駐車場対策のご質問にお答えいたします。
 交通輸送対策部会としては、会場の位置や公共交通機関の状況、近畿自動車道の大阪側の全線開通等を勘案すると、これまでに開催された地方博覧会に比べ自家用車の利用が高いと予想されております。
 議員お話しの駐車場の確保については、こうしたことから会場内の自家用車約四千台、団体バス約百五十台の駐車場を確保するとともに、お盆や休日等の入場者が大幅に上回る場合に備え、会場外駐車場として紀三井寺の医大移転用地に約千六百台、和歌山操車場駅跡地に約一千台の駐車場を確保し、駐車場と会場までの交通手段としてシャトルバスの運行を計画してございます。さらに、これら以外にも適地を選定し、会場へ集中する車両の混雑緩和と交通の円滑化を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) 第一次産業についてお答えを申し上げます。
 まず、山村過疎対策への取り組みでございます。
 去る二月五日、六日、南部川村において全国木炭生産地の関係市町村など多数の参加のもとに木炭サミットを開催したところでありますが、非常に反響が大きく、今後、全国的な広がりと継続性を持った催しになっていくものと考えてございます。
 また、本宮町長の呼びかけにより、二月十六日には森林交付税フォーラムが盛大に開催されたところでございます。このような催しを他に先駆け、和歌山の地から全国に情報発信できたことは大きな意義があったものと受けとめてございます。
 また、昨年九月に開催された全国知事会議の席上、知事から農林水産大臣を初め関係大臣に対して、森林や山村の持つ重要性についての政策提言をしてまいったところでございます。県としては、今後、市町村と連携を密にしながら、全国の各府県や市町村ともども国等への要請活動や啓発活動を進め、厳しい現状にある山村過疎地域の活性化を図り、住民の定住と若者たちが将来に希望の持てる山村づくりを進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、IWC京都会議への取り組みでございます。
 古式捕鯨発祥の地であり、捕鯨と鯨の食文化に歴史と伝統を有する和歌山県といたしましては、この国際会議の成り行きに大きな関心を寄せているところでございます。鯨をめぐり、反捕鯨国や環境保護団体から厳しい意見もありますが、議員お話しのように、漁業関係者の熱心な運動の成果により、一部において日本の沿岸小型捕鯨の是認論、あるいは国における調査の結果、ミンククジラ資源の回復がIWC科学委員会で認められるなど明るい面もございます。県といたしましては、ミンククジラについての商業捕鯨再開の実現と、これまで本県の太地町を含め日本の沿岸小型捕鯨を支えてきたイルカ等小型鯨類が従来どおり取り扱われるよう、国、関係県及び太地町と連携を図りながら積極的に取り組んでまいります。
 次に、これからの農業施策でございます。
 農業は本県の基幹産業であり、若者が魅力を持って取り組める産業として育成していくことが重要であると考えてございます。昨年六月には新しい農政の展開方向を示した新政策が公表されてございますが、農業生産について見ると、水稲を中心とした大規模経営を目指したものであり、本県のような傾斜地が多く暖地性を生かした集約農業の地域においてどう生かしていくかが今後の課題と考えてございます。
 こうした中で、県としては、これまでも地域の実態や特性を生かして、県下を紀の川、有田川、日高、紀南の四地域に区分して、ミカン、柿、梅などの果樹、エンドウ、レタスなどの野菜、カスミソウ、センリョウなどの花卉、花木による活力ある産地づくりに努めているところでございます。こうした結果、果実粗生産額では全国一位の千四十三億円を、また専業農家率では近畿一位となるなど、農業県としての地位を確保しているところでございます。
 今後とも、産地間競争に打ちかつべく、おのおのの地域の特性を最大限に生かして、小規模な生産組織の統合を図りながら、施設園芸を組み合わせた生産性の高い農業の実現に向けて、各般の施策を積極的に展開してまいる所存でございます。
 次に、今後の農産物流通対策についてでございます。
 消費者ニーズの多様化やスーパー等、大口量販店シェアの高まりの中で、農産物流通は全国の中央卸売市場取扱高の増大、産地間価格差の拡大、及び産地の出荷状況に基づく信用取引の導入により大きく変化してございます。
 このため、品質規格の統一やロットの拡大、味一果実等個性化商品や選果技術の開発などを進める一方、県産青果物を扱う拠点卸売会社で組織する和歌山会と県農業関係団体との情報交換や品質の検討会を進めてきたところでございます。また、昨年には大阪と東京において、知事、副知事を先頭に県産青果物の販売促進キャンペーンを実施するなど、販路拡大に積極的な取り組みをしてきたところでございます。
 今後とも、生産者団体みずからの販売活動を基本にして、県産農産物のPR等を進めるとともに、交通体系の整備や情報化に対応した集出荷施設の整備、市場開拓など、生産販売体制づくりにあわせ、県内卸売市場の近代化をさらに進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 木下議員ご質問の廃棄物問題でございます。
 フェニックスの積み出し基地については、フェニックス計画の主体である大阪湾広域臨海環境整備センターが建設することとなってございまして、現在、平成八年八月から廃棄物を搬入できるよう大阪湾センターに申し入れているところでございます。
 県といたしましては、国の平成六年度予算編成時期である本年八月をめどに基地の候補地案を示すなど必要な準備を進め、詰めの段階に来ているところでございます。
 しかしながら、フェニックス計画の処理対象区域は紀北の四市十町に限られ、また無制限にすべての廃棄物を受け入れてもらえるわけではないことはご指摘のとおりでございます。県内で発生するものは可能な限り県内で処理すべきであると考えてございますが、市町村、排出事業者の努力を基本としつつも、県として必要な支援を行ってまいりたいと考えてございます。
 このため、平成五年度当初予算で廃棄物処理センター設立構想策定のための調査費をお願いしてございます。また、公的な処理機関に対する資金面での支援基盤として、和歌山県地域環境保全基金の条例改正をお願いしているところでございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 当局は、答弁においてもう少し簡潔に答えていただくようにお願いいたします。
○議長(馬頭哲弥君) これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時二十二分休憩
 ──────────────────
 午後一時四分再開
○議長(馬頭哲弥君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 44番新田和弘君。
 〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長よりお許しをいただきましたので、一般質問並びに質疑を行います。
 まず初めに、平成五年度当初予算と財政問題についてお尋ねをいたします。
 平成三年春から始まった景気後退は既に丸二年続いており、戦後の景気後退は長くても一年半程度で回復に転じていましたが、今回は年がかわっても明るい展望が見えてこない、極めて厳しい年になりそうであります。
 本年の我が国経済の最大の課題は、深刻化する不況を克服し、内需中心の安定成長を実現することであります。景気の回復にはGNPの約六割を占める個人消費と二割を占める民間設備投資の回復が不可欠でありますが、企業収益が大幅減益であり、バブル経済で肥大化した企業体質を改善するために徹底した合理化を進めている企業には設備の上乗せは期待できません。
 また、総務庁が三月に発表した家計調査報告によると、平成四年度の全世帯の一カ月平均消費支出は、物価上昇分を差し引いた実質で前年比○・四%増と昭和五十九年以来八年ぶりの低い伸び率で、景気後退の影響が個人消費にはっきりあらわれてきていると分析しています。さらに、本年に入って円が百十五円台に突入するという急激な円高が進行するなど経済情勢は一段と厳しさを加え、不況の出口がさらに遠のくのではないかと心配されているところであります。こうした中で日銀は、平成三年七月以降、六次にわたる公定歩合の引き下げを行い、年二・五%として景気の下支えを行っております。
 政府は、五年度の経済成長見通しを実質で三・三%と設定し、景気対策に配慮した平成五年度予算で一般会計七十二兆三千五百四十八億円、財政投融資計画四十五兆七千十五億円を提案し、現在、衆議院を通過して参議院で審議されているところであります。さらに、平成五年度予算成立後、直ちに不況の一層の深刻化に加え、アメリカなどからの内需拡大要求や最近の急激な円高に対する為替相場の安定の面からも、新総合景気対策として十兆円を超える大型補正予算を今国会に提出することを求める要望も出てきております。
 本県においては、関西国際空港の開港と世界リゾート博の開催を間近に控え、景気対策をも踏まえて「確かな実感 和歌山の時代 こころ豊かに誇れるふるさとに」を基本目標に、平成五年度当初予算案で一般会計四千九百七億七千百七十八万四千円、特別会計、企業会計合わせて千百五十三億六百十万六千円が提案されております。一般会計の伸び率は地財計画二・八%をやや上回る三%を確保していますが、県税収入の落ち込みと国の財源不足の影響を受けた予算となっております。歳入面では、県税収入が九百二十九億円で地財計画の前年比四・二ポイント減をさらに下回る七・六ポイント減と、二年連続のダウンとなっております。このため、地方交付税一千五百一億円、前年比七・一%増を見込む一方、財政調整基金から九十五億円、県債管理基金から百五十五億円、合計二百五十億円の取り崩しを行っています。さらに景気対策に配慮し、県債を財源として県単独の普通建設事業を六百九十億円、前年比一三・八ポイント増を計上し、公共事業の確保に努めております。
 そこで、仮谷知事に当初予算に対する所見をお伺いいたします。
 次に、平成四年度の県税収入は当初千五億円の計上であったが、九月に五十一億円の減額補正となり、二月の最終補正では九百六十八億四千四百万円が計上されております。平成五年度当初の県税収入はこの最終補正を約四十億円下回る計上であり、これは法人事業税が前年比約五十三億円の減、伸び率一六・七ポイント減が大きな要因と考えられます。
 こうした観点から、一、平成四年度の県税収入及び法人事業税の決算見込みはどうか、二、平成五年度県税収入はどう見通されているのか、以上二点、総務部長にお尋ねいたします。
 次に、地方交付税は県税収入の落ち込みを受けて千五百一億円、前年比七・一ポイント増の計上でありますが、国は財源不足を理由に平成五年度の交付税総額を十五兆四千三百五十一億円、前年比一・六ポイント減の確保とすると決め、本年も特例減額四千億円を初め、平成五年度の地方交付税の総額に加算することとしていた四千三百十七億円を平成九年度以降の加算とする繰り延べ等の措置がとられているところであります。これにより、約一兆一千二百億円が総額から減額されております。
 そこで、一、平成五年度地方交付税の確保見通しはどうか、二、国の交付税特別会計への加算の繰り延べ措置について本県への影響はどうか、以上二点、総務部長にお尋ねをいたします。
 次に、公共事業等に係る国庫補助負担率については、昭和五十九年までは四分の三、三分の二であったものが、補助金カットにより暫定措置として、それぞれ十分の六、十分の五・五とカットされてきました。国は、平成五年度からこれを体系化、簡素化等の観点から見直しを行い、直轄事業については三分の二、補助事業については二分の一を基本として恒久化することになりました。このため、平成五年度では地方財政への影響額として、おおむね六千七百億円の地方への負担増となっております。
 そこで、一、負担率の恒久化による平成五年度の本県への負担増はどれくらいか、二、負担増については、一部、臨時特例債を充てるとの対応であるようですが、本県の場合はどう対応されるのか、以上二点、総務部長にお尋ねをいたします。
 次に、国庫補助金等の整理合理化による一般財源化についてお尋ねをいたします。
 歳出四款衛生費三項保健所費中、職員費二百六十三人分、十九億四千百五十一万九千円が計上されていますが、平成四年度は人件費に対して保健所運営交付金一億七千三百八十万円が歳入として受け入れていましたけれども、今回の措置で五年度からは国の交付金がゼロとなり、全額県費負担となりました。
 また、歳出七款商工費二目商業振興費二十一億六千八百七十万三千円中、商工会議所及び商工会の経営指導員の人件費に対して国庫補助金がありましたが、平成五年度から減額され七年度にはゼロとすることになり、七年度は全額県費負担となる予定であります。平成五年度では、国庫補助金の小規模企業指導の歳入が七千三百五十六万円減額され、七億三千五百六十五万円の計上となっております。七年度国庫補助ゼロとなれば、実質約八億円の歳入減となる予定であります。
 そこで、一、保健所運営交付金の廃止により保健サービスの拠点である保健所の人員削減につながらないかと心配するが、どう対応するのか、二、商工会議所、商工会の経営指導員の国庫補助削減により、深刻な不況の中で経営指導員等の削減につながらないかと危惧されるが、どう対応されるのか、三、一般財源化への財源措置はどうか、以上三点、関係部長にお尋ねをいたします。
 次に、歳出面から景気対策についてお尋ねをいたします。
 平成五年度は、景気対策の上からも、四年度に引き続いて県単独事業による公共事業の確保に努められてきたところであります。四年度は、国の緊急経済対策を受けて、本県においても上半期までに公共事業の八○%の前倒し発注を行う、さらに金融対策として振興資金の融資枠を二十億円拡大するなどの対策を講じてきました。本年は不況が一段と深刻化し、在庫、設備調整に加えて雇用調整が進み、大学生や高校生の就職において採用内定の取り消しが出るなど、大きな社会問題になってきています。
 こうした状況の中、三月五日、大蔵省は、景気浮揚を図るねらいから、五年度予算案の衆議院通過を受けて、公共事業の前倒しについて上半期契約率を七五%程度とする方針で関係省庁と調整に入ると伺っております。また自治省も、五年度上半期の公共事業の契約率を高目に設定し、予算の執行を急ぐことを地方自治体に指示する方針とのことであります。さらに、採用内定の取り消しの問題に対して労働省は、企業が内定の取り消しや採用規模の縮小、中止などをする場合、公共職業安定所長か募集対象の学校長に事前に通知することを義務づける方針とのことであります。
 そこで、一、民間の雇用調整が行われる今年、本県における学生、生徒の内定取り消しの状況はどうか、二、民間の採用の縮小傾向の中で本年は公務員を希望する人も多くなると思われますが、県は平成五年度の職員採用を例年どおりの規模で実施するのか、三、本県の五年度公共事業の上半期前倒しについては、四年度同様八○%を目指されるのか、四、金融対策として、振興資金の融資枠の拡大と緊急経営資金融資四十五億円の融資条件及び公定歩合引き下げによる新年度の金利はどうなるのか、五、信用保証協会の信用保険の限度額を引き上げる内容の中小企業信用保険法の改正がなされる旨の発表が三月に行われましたが、改正が行われると県の各制度融資額はどう改善されるのか、以上五点、関係部長にお尋ねをいたします。
 次に、保健、医療問題についてお尋ねします。
 県立医科大学特別会計歳出一款二項附属病院費中、骨髄移植関係備品等整備費五千六百十万四千円と、一般会計四款衛生費四項医薬費中、骨髄バンク普及推進事業百四万四千円が計上されています。
 白血病や再生不良性貧血など血液の難病については、以前は有効な治療法がなく治りにくい病気でしたが、骨髄移植という治療法により、これらの病気で苦しむ患者さんが健康を取り戻せるようになりました。本県でも、五年度、医大に骨髄移植の器材が調い、難病に苦しむ方々に移植手術の道が開かれたことは大変喜ばしいことであります。
 ご承知のとおり、骨髄移植は病に侵された骨髄幹細胞を提供者の健康な骨髄に置きかえることを言います。血液の赤血球にはABO式の血液型があるように、白血球にもHLA型という複雑な血液型があり、HLA型は兄弟姉妹間では四分の一の確率で一致するようですが、非血縁者では数百から数万分の一の確率でしか一致しないそうであります。そのため、善意の骨髄提供希望者のより多くの登録が骨髄移植には欠かすことができません。平成三年十二月に公的な骨髄バンクが発足し、五年間に十万人の登録をしていただく目標で、全国六十七カ所の血液センターが窓口となっております。本県では、平成五年一月より県職員が骨髄提供者となって休暇をとった場合は病休扱いとすることが実施されてきております。さらに、五年度予算では骨髄移植に必要な器材の購入予算が計上され、骨髄バンク普及推進事業の予算化もされています。
 そこで、一、医大において器材が調えば、いつごろより骨髄移植が行われるのか、二、本県のドナー登録者数と骨髄バンク普及推進事業をどう進めるのか、三、骨髄バンクへのドナー登録をふやしていくためにも公務員の方々の善意がぜひ必要であると思いますが、本県において、公務員の方々がドナー登録の検査及び骨髄提供のために休暇をとった場合、特別休暇にされてはどうか、以上三点、お尋ねをいたします。
 次に、県立医科大学特別会計歳出一款三項紀北分院費の診療用備品五千六百六十五万円中に、エックス線骨密度測定装置の購入に関連してお尋ねをいたします。
 老人が寝たきりになる原因の第一番が脳血管障害であり、第二位は骨折であります。お年寄りの骨折の大半は、骨にすが入ってすかすかになる骨粗鬆症であります。また、背中や腰が曲がるのは、単に老化が原因ではなく骨粗鬆症から起こってくることが明らかになってきました。日本の骨粗鬆症患者は四百万人から五百万人と推計されております。骨粗鬆症は高齢になるとかかりやすく、特に女性が五十歳を過ぎるとかかりやすく、一たんかかると非常に治りにくいため予防が第一番と言われています。最近、放射性同位元素を用いて骨の量を測定する方法が開発され、骨密度測定機が病院の診療用として本県においても平成三年に医大附属病院に、平成五年には紀北分院に導入される運びであります。
 そこで、一、成人病予防の観点から骨粗鬆症対策にどう取り組まれるのか、二、骨密度測定機の導入によるメリットと医大紀北分院に続いて県下の保健所にも導入されてはどうか、以上二点、保健環境部長にお尋ねをいたします。
 最後に、教育問題についてお尋ねをいたします。
 高校の進学率が九五%を超え、大学進学率が三八%に達する急速な高学歴化となり、これに伴って高校の序列化、私学の台頭が顕著になってきています。中学校においては、高校入試に不合格者を出さないためにとの考え方から、業者テストなどの偏差値で生徒の進路を輪切りする進路指導のあり方が論議を呼んできたところであります。
 昨年十一月に埼玉県の竹内教育長が業者テストの偏差値結果を私立高校の事前進路相談に提供しないよう公立中学校を指導すると発言したことから、業者テストの偏差値が私立高校の入試事前相談に提供され、その偏差値結果によって合格の内定通知が入試以前に生徒に対して行われている実態が大きな話題となりました。
 文部省が業者テストの全国実態調査を行ったところ、全国の四十四都府県で実施し、うち十四都府県で高校側にデータが提供されていることが明らかになりました。和歌山県では、和歌山市内の中学校は十二月に業者テストを一回、七、八割の学校で実施、さらに一月には校長会による共通テストが一回、授業時間を利用して実施されております。和歌山市以外の中学校では、おおむね業者テストを年間六回から十回程度、授業時間を活用して実施していると聞いております。
 文部省の高校教育改革推進会議の入試部会は、本年一月に高校入試の改善策をまとめ、最終報告によると、一、入学者選抜に際し中学校は高校に業者テストの結果を一切出さない、二、高校は業者テストの偏差値を中学校、保護者、生徒、塾から求めない、三、中学校での授業中の実施、教師の費用徴収、監督、問題作成、採点にかかわらないを強く要請し、これらの是正措置は来年度から実施するとしております。さらに文部省は、二月二十二日付で全国都道府県教育委員会に対して、偏差値体制を助長する業者テストへの中学校教職員の関与や偏差値による進学先振り分けを禁止する事務次官通知を出しました。また三月十日には、都道府県教育委員会や私学を受け持つ知事部局の担当者を文部省に集め、業者テストの排除や高校改革策を説明する合同会議を開く予定と伺っております。
 文部省の一連の指導は、中学校に対し、業者テストに象徴される偏差値による輪切りの進路指導に対して改善を強く求めたものでありますが、生徒を受け入れる高校側にも当然変革が求められていると思います。現在の高校教育から、生徒一人一人の個性や創造力を重視した教育にいかに切りかえていくかにあると思われます。そのためには、今日までも努力されてきましたが、高校入試の多様化がぜひとも必要となってまいります。
 そこで、一、高校教育改革推進会議の最終報告並びに次官通知を受けて、今後、業者テストや校長会による共通テストをどう指導されるのか。二、脱偏差値を高校入試に求めるためには入試の多様化が必要であります。平成五年度入試状況においても、推薦入学内定者が定員の五○%に達した学校もあります。職業科の推薦枠及び普通科への推薦入試の導入など必要と思われますが、入試の多様化に対してどう取り組まれるのか。三、私立高校の入試の改善に対して今後どう指導されるのか。以上三点、教育長及び総務部長にお尋ねをいたします。
 次に、偏差値による輪切りの進路指導の弊害として、高校の中退者が増加してきています。平成三年度の高校中退者は、全国で公私立合わせて十一万二千九百三十三人と、最高だった前年より約一万人減少しましたが、高校生の総数も減少しているため中退率は○・一ポイントの減にとどまりました。
 本県の三年度県立高校全日制における中退者は六百七十八人で過去最高となり、生徒総数が三万八千七百七十一人と前年より千四百十七人減少しているにもかかわらず、中退者が五十七人増加、中退率も一・七%と前年を○・二ポイント増加してきております。中途退学の理由としては、一、進路変更、二、学校生活、学業不適応、三、学業不振が主な理由となっていますが、中退者の五三%が一年生でやめております。最近の傾向としては、生徒が欠席、遅刻、早退などで授業を欠席するため、時間数の不足などによる中途退学が多いと聞いております。授業を三分の一以上も欠席する生徒は進級できないのは当然と言えますが、学校側は、生徒に多少問題があったりすれば、幾ら指導しても頭を打たなければだめ、学校へ来なかったり授業に出ない生徒はやめてもらう以外にないとの排除の論理が優先しているのではないかと心配されます。学校によっては一年間に七十人以上も中途退学者を出すところもあり、教師の側にも意識を変えて、受け入れた生徒を可能な限り卒業、進級させるよう取り組んでいただく必要があるのではないかと思います。文部省は、中途退学者の増加に歯どめをかけるため、第五次公立高校学級編制・教職員配置改善計画で専任教員を置くことを打ち出しています。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 一、県立高校の中途退学者の減少のためにどう対応されるのか、また専任教員の配置など、どう取り組まれるのか、二、教員の資質向上として、初任者研修、五年研修に続く中堅教員の研修をどう進めるのか、以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、高校総合学科の新設についてお尋ねをいたします。
 高校教育改革推進会議は、二月に生徒の適性や希望に合わせた大幅な教科選択を認める総合学科の具体化を内容とする最終報告をまとめ、平成六年度から設置できるよう文部省は省令の改正を行うとのことであります。
 報告によると、総合学科は国語I、数学Iなどの必修科目最低三十五単位以外は生徒が自主的に選ぶことになり、法的に必要な八十単位を満たせば卒業できる、学年のない単位制になっています。新科目としては、一、体験学習などを盛り込み、社会へのガイダンス的性格を持つ産業社会と人間、二、コンピューターの仕組みと活用を学ぶ情報に関する基礎的科目、三、自分でテーマを選ぶ卒論、卒業研究的な課題研究を挙げております。このほかの科目選択は、情報系、海洋資源系、福祉サービス系、芸術系、体育・健康系など十三科目群の中から生徒が自由に時間割りを編成でき、進路希望が変わった場合は大幅に選択科目を変えることができるようになっています。
 文部省が総合学科設置に踏み切った背景には、九五%を超える進学率の上昇の中で、高校は選抜された一部の生徒のための学校ではなく、小中学校と同じように能力、適性や将来の希望などの面で多様な生徒が入学するようになってきているためと考えらます。さらに、受け入れ側の高校は普通教育と職業教育の二つに分かれており、生徒の個性に合った自由な選択や在学途中の進路変更を受け入れにくい枠組みのままであります。また、中学校における偏差値の輪切りによる進路指導により不本意入学も少なくないため、中退退学者を増加させてきております。こうした弊害を解消することにもねらいがあると言われております。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 一、本県において平成六年度から総合学科の設置については、学科の新設、普通科と職業科の総合、普通科または職業科を新学科に変更するなど種々考えられますが、総合学科の設置にどう対応されるのか、二、選択科目の設置と教員確保はどうされるのか、三、総合学科の入試には、学業に加えて生徒会活動やクラブ活動等を含めた推薦入学を導入すべきであると考えるがどうか、以上三点お尋ねをいたしまして、第一回の質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 新田議員にお答えします。
 当初予算に対する知事の所見でございます。
 本県にとって、関西国際空港の開港と世界リゾート博の開催を来年に控えて、平成五年度の予算は極めて重要であります。これらを起爆剤として和歌山県が発展していくためには、従来から進めてまいった各種施策をなお一層着実に進めていかなければならないと考えておるわけでございます。しかしながら、バブル経済の崩壊によって経済は極めて不透明な状況でございまして、特に法人関係税の落ち込み等がございまして、二年連続して県税収入が前年度を下回ると見込まれるわけでございます。こうした県税収入面から見ても、県財政は非常に厳しい状況でございます。
 予算編成に当たってはこうした事情を踏まえ、各種経営等の合理化、歳出の節減等に意を尽くすとともに、国の財源措置のある起債等の大幅な確保、また今まで積み立ててきた各種基金のかつてない大幅な取り崩しを行って財源充当するなど、各種の工夫をしてまいったところでございます。その上で、ふるさと和歌山の新しい時代を切り開くために、当面の経済情勢等から急を要する課題について適切な対応を図ることはもちろん、将来を見据えた場合において真に必要と考えられる施策について思い切った措置をすることとし、私の掲げる五つの重点施策に沿って予算編成をいたしました。
 この結果、一般会計当初予算案は、国の予算、地方財政計画のいずれも、伸び率においては上回るものとなっております。その中でも、特に県単独投資については現在の景気情勢も踏まえ、二年連続して二けたの伸びを確保し、投資重点型の予算とさせていただいた次第でございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) まず、財政問題について数点お答えをいたします。
 平成四年度県税収入と法人事業税の決算見込みでございます。
 平成四年度の県税収入については、去る九月議会において五十一億円の減額補正をさせていただいたところでございますが、その後、これまでの実績等に基づいて見直しを行った結果、自動車取得税では需要の低迷により落ち込みが見込まれるものの、幸い県民税利子割が予想したほどには落ち込まなかったことや不動産取得税で大規模家屋に係る増収が見込まれることなどにより、今回、差し引き十四億円余の増額補正をお願いいたしております。
 特にお尋ねの法人事業税については、ほとんどの法人の申告が出そろっており、今後の見通しとしては石油関連法人でまずまずの申告が期待できるほか、他の業種では大きな変動がないものと見込まれます。したがいまして、現在までの調定、徴収状況等から見て現計予算額は確保できるものと考えております。
 平成五年度の県税収入の見通しについてでございます。
 最近の経済情勢や地方財政計画、本県の産業構造の特殊性等を踏まえて見積もり作業を行ったわけでございますが、主要税目である法人二税については、経済情勢の影響を受けやすいことから、特に関係企業に業績照会などをして見積もっております。
 業種別に見ると、景気の低迷を反映し、製造業では、本県の基幹産業である鉄鋼を初め、化学、石油、機械器具等の不振が見込まれます。製造業以外の業種でも全般的に減収が見込まれ、法人二税全体で約五十九億円、率にして一六%の減となっております。また県民税利子割についても、平成三年夏以降の六次にわたる公定歩合の引き下げに伴う預金金利の低下等の影響により約四十六億円、率にして三六%の減となっております。一方、個人県民税については増収を見込んでおりますし、自動車税や軽油引取税等でも相応の伸びが見込まれます。反面、特に法人二税や県民税利子割の落ち込みが大きく影響して、県税全体では前年度当初対比で九二・四%、七十六億円減の九百二十九億円の計上となったものでございます。
 今後の見通しについては、先ほど申し上げたように税収は景気の影響を受けやすいものでございますので、今後の経済動向を注意深く見守る必要がありますが、当初予算計上額は確保できるものと考えております。
 次に、平成五年度地方交付税の確保の見通しでございます。
 当初予算においては、前年度に比べ約百億円、七・一%増の一千五百一億円を計上いたしております。交付税総額は、ご指摘のように対前年度比で一・六%の減となっておりますが、臨時財政特例債償還基金費という単年度の特殊要素を除けば実質五・二%の増ということでございます。
 地方交付税については、これまでと同様に、基準財政需要額、収入額、いずれも自治省で示している伸び率に基づいて適正に試算を行っておりますが、特に平成五年度は県税収入が地財計画以上の落ち込みとなることも織り込んで計上したものでございます。したがいまして、現時点においては平成五年度の地方交付税は当初予算計上額を確保できるものと考えております。
 交付税特別会計への加算の繰り延べ措置等による本県への影響についてでございます。
 平成五年度の地方財政対策においては、国、地方を通じて極めて厳しい財政状況の中で、ご指摘のございました特例減額や特例加算の繰り延べという措置が講じられて策定されております。この結果、平成五年度の地方交付税総額は対前年度比一・六%の減となったわけでございますが、内容的に見ると、ただいま申し上げたように、平成四年度の臨時財政特例債償還基金費を除けば五・二%の増となっており、所要の財源が確保されております。これにより、平成五年度の地方財政対策においては、景気に配慮しながら、地方単独事業の大幅な増額、地域福祉の充実、森林、山村対策等、当面する財政需要に対応し得る地方一般財源の確保が図られたところでございます。したがいまして、私ども県を含め地方団体の財政運営に支障は生じないものと受けとめております。
 次に、補助率の恒久化による本県の負担増と臨時特例債への対応でございます。
 今回の国庫補助負担率の恒久化により見込まれる本県への影響額は、平成四年度との比較において試算すれば、補助事業で約十五億円の負担増とはなりますが、直轄事業で約十三億円の負担減となりますので、差し引き影響額は約二億円の負担増となります。
 なお、補助負担率引き下げ前の昭和五十九年度の水準と比較して増加することとなる地方負担額については、その全額について公共事業等臨時特例債等を充当して、後年度、その元利償還金に対して地方交付税上の措置が講じられることになっております。本県において、五十九年度比で見込まれる直轄事業、補助事業を合わせて約七十億円の負担増については、その全額をこの特例債等の発行で賄うことにいたしております。
 次に、国庫補助負担金の一般財源化に伴う財源措置についてでございます。
 国庫補助負担金の一般財源化については、地方行政の自主性、自律性を高め、行財政運営の簡素・効率化を図る観点から、地方公共団体の事務事業として同化定着しているものについて行われてきております。その趣旨からも、地方公共団体が新たに負担することになる所要の額は、毎年度の地方財政計画に計上され、所要の財政措置が講じられることになっております。
 平成五年度においても、ご指摘がございましたように、保健所運営交付金のうち人件費相当分、小規模事業指導費補助金の一部などについて一般財源化が図られることになっておりますが、その影響額は地方交付税の交付額の算定基礎となる単位費用等に算入され、個々の地方公共団体の行財政運営に支障を来すことのないよう措置がされることになっております。
 次に、景気対策に関連して平成五年度の県職員の採用規模についてでございます。
 平成五年度の県職員の採用については、一般行政職、土木職、農学職等、競争職の各職種とも例年と同様の規模で行う予定でございます。
 次に、公共事業の上半期の前倒しについてでございます。
 公共事業等の執行については、平成四年度において上半期契約率七九・六%と平年ベースを大幅に上回り、ほぼ目標に近い結果となったところでございます。平成五年度の公共事業等についても、現下の経済情勢を踏まえて、引き続きこれを着実に執行していく必要があるものと考えております。予算成立後、国の動向等を見きわめながら、上半期の前倒しについても検討してまいりたいと考えております。
 次に、保健医療問題のうち医科大学における骨髄移植についてでございます。
 県立医科大学においては、県民の方々の期待や社会的要請にこたえるべく、平成五年度当初予算で骨髄移植のための経費をお願いいたしているところでございます。具体的な時期については、現時点で明確に申し上げることはできませんが、夏ごろをめどに無菌室の改修や備品の購入を進め、骨髄移植が実施できるように体制の整備を図っていきたいと考えております。
 次に、骨髄バンクへのドナー登録等のための休暇の取り扱いでございますが、ドナーの登録検査あるいは骨髄提供のための休暇を特別休暇として扱ってはどうかというご質問でございます。
 本県においては、自治省の指導もあって、本年一月から骨髄提供者として入院をした場合に病気休暇の対象としたところでございます。ただ、骨髄バンクへのドナー登録等のための休暇については、国が特別の取り扱いを定めていない現時点においてその導入は困難であると考えております。しかしながら、骨髄移植に関する社会的要請や国の動向も見て、休暇の対象やその形態について今後とも検討を続けてまいりたいと考えております。
 最後に、教育問題のうち私立高校入試への指導についてでございます。
 私立学校については、建学の精神や独自の校風等を尊重して、入学試験の方法を県が強制すべきものではないと考えておりますが、生徒の個性や創造力を尊重する観点から、入学選抜は、その能力、適性、興味、関心等に基づいて総合的に行われることが望ましく、いろいろ工夫をして今後も改善がなされていくことを期待いたしております。
 また、入学者選考における業者テストの利用については、偏差値の偏重やいわゆる受験戦争の温床ともなりかねないという論議があることは承知をいたしております。昨年調査をいたしたところでは、一部に校外模擬試験の成績の記入を求めていた学校もございましたが、現在ではございません。
 県としては、業者テストの偏差値を用いない入学者選抜の改善等を内容とした二月二十二日付の文部省事務次官の通知を受けて、この趣旨を徹底するように、昨年に引き続き重ねて私立高校に対して要請をしたところでございます。また明日、文部省主催で都道府県主管部課長会議が開催されますので、この会議の趣旨を踏まえて、今後の私立学校への対応について検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 平成五年度当初予算の保健所運営交付金の廃止についてでございます。
 保健所運営交付金については、人件費相当分が平成五年度から一般財源化されることとなっております。しかし、先ほども総務部長から答弁があったように、地方財政計画の中で措置されることとなっております。
 保健環境部といたしましても、平成五年度予算において、現在大きな社会問題となっているエイズ対策として保健所での検査体制と相談事業の充実等を図ることとしており、今後も地域住民の保健予防や環境衛生の向上を目指し、業務を推進してまいりたいと考えてございます。
 次に、保健医療問題の骨髄移植に関してでございます。
 骨髄移植の普及啓発については、保健所を通じ市町村の協力をお願いしてその推進に努めているところでございますが、平成五年度末現在、本県のドナー登録者数は五十名と少ない状況にございます。このため、今後より多くのドナー登録者の確保を図る必要があると考え、平成五年度当初予算に骨髄バンク普及推進事業をお願いしております。
 事業内容は、関係機関、関係団体との連携を深め、骨髄移植の正しい知識の普及、骨髄提供登録者の確保の推進を図るための仮称「骨髄移植推進対策協議会」を早急に設置するとともに、各種行事、会合等でのポスター、パンフレット等の活用により、県内でのドナー登録のより一層の普及啓発を推進することとしております。
 続きまして、新田議員ご提案の骨粗鬆症対策についてでございます。
 高齢者が寝たきりになる原因の一つに骨粗鬆症が挙げられています。その予防といたしましては、カルシウムの摂取と運動等が重要であることから、県といたしましては、食生活面からの普及啓発としてグリーン&ホワイト運動においてカルシウムの摂取を呼びかけているところでございます。平成五年度においても、骨粗鬆症の予防と食生活の関係において講演会やマニュアル作成の予算をお願いしているところでございます。
 また骨密度測定機については、医学的な研究の観点から本年度、医大の紀北分院に機器の予算計上がされており、骨粗鬆症各種治療法の効果判定に関する臨床的研究と骨密度測定における精度の向上等に役立つものであります。保健所への導入については、医学的な研究の成果を踏まえ、今後の検討課題としてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 新田議員にお答え申し上げます。
 まず、商工会議所、商工会の経営指導員の国庫補助の削減についてでございます。
 経営改善普及事業における一般財源化は、人件費等が平成五年度から最終の平成七年度までに交付税措置をとる予定で、その対象となる人員は二百五十二名ございます。本県商工業者の大部分を占める小規模事業者の振興対策に経営改善普及事業は重要な柱でございますので、今後、経営指導員等の人員の確保及び資質の向上対策を積極的に図ってまいる所存でございます。
 次に、採用内定の取り消し状況については、先ほど木下秀男議員のご質問にお答えさせていただいたように、最近の厳しい雇用情勢を背景として、本年度の県内高等学校卒業者の就職内定者のうち、事業の悪化等により七名の採用内定取り消しが発生したところでございます。このような採用内定取り消しは、その高校生に与えるショックは大変大きなもので、将来の職業生活に影響を及ぼすものであります。
 このたび国においては、このような内定取り消しを行う場合、事前に公共職業安定所へ通知する義務づけを検討中と聞いておりますが、本県においてもこのような採用内定の取り消しを防止するため、昨年十二月に新規高等学校卒業予定者内定取り消し及び入職時期の繰り下げ回避についてのリーフレットを作成、配布し、これに基づいて事業主に対し指導しているところでございます。
 なお、採用内定を取り消された者に対しては、速やかに職業相談等を実施して、現在は全員、別の企業に就職が内定しているところでございます。
 続いて、景気対策についてでございます。
 先ほど木下議員にお答えさせていただいたように、昨年からの景気の低迷という経済動向を受け、中小企業金融の円滑化を図るために中小企業振興資金などの融資枠拡大等の対策を実施してまいりました。
 しかし、景気動向は依然低迷している中で、平成五年度の県の融資制度についてはより一層の充実を図り、議員ご質問の中小企業振興資金の融資枠についても、昨年度の利用実績を踏まえ、平成四年度当初に比べ八十五億円増の二百八十五億円に拡大するとともに、新規に緊急経営資金特別融資制度を創設し、売り上げの減少している中小企業者に対し、運転資金で二千万円を融資限度額として低利で融資することといたしてございます。
 なお、各融資利率については、三月からの市中での貸出金利の低下ということもあり、それを踏まえて現在、検討しているところでございます。
 次に、中小企業信用保険法の保険限度額の改正の件でございます。
 この改正が県の全融資制度の融資限度額の変更につながるものではございませんが、融資制度の中で特別小口融資資金及び中小企業経営安定資金の融資限度額については、従来からこの信用保険法の保険限度額を適用、また参考にして設定してきていますので、平成五年度に引き上げを実施してまいりたいと考えております。
○議長(馬頭哲弥君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題七点についてお答えいたします。
 業者テストについては、県教育委員会はこれまで通知を出すなどして、安易にこれを実施したり、その結果を私立高等学校等に対して提出することのないよう指導してきているところであります。
 業者テストに依存して進学指導を行うことは、受験競争の過熱化にさらに拍車をかけ、生徒の人間形成に好ましくない影響を及ぼすとともに、教育者としての責任と誇りにかかわる問題であると考えますので、今が本来あるべき進路指導を追求する絶好の機会であるととらえてございます。
 今後、文部省の通達内容等を十分に踏まえ、各中学校における業者テストにかかわる抜本的な改善について、本県としての基本的な考え方を周知徹底してまいる所存であります。
 校長会が実施している共通テストについては、問題作成の方法、年間指導計画への位置づけなどから業者テストとは性格を異にしておりますが、結果の利用の方法等において進路指導上の問題となる場合もあると考えられますので、今後、実態や内容等を十分に把握しながら検討してまいりたいと考えております。
 次に入学者選抜方法についてでありますが、偏差値に依存しない特色ある豊かな教育を推進するためには、それにふさわしい選抜方法の改善が必要であります。
 本県では、平成四年七月に高校教育改革検討委員会を設置し、中学校における新しい学力観に基づく学習指導を生かし、高等学校において特色ある教育を推進するため、例えば調査書内容の改善や受験機会の複数化など、推薦入学及び一般選抜方法のあり方などについて具体的な方法を研究するとともに、県外調査等を通じて全国の状況を把握したり関係各方面から幅広く意見を聞くなど、入学者選抜方法の改善に向けて積極的に取り組んでいるところでございます。
 次に、高等学校における中途退学の問題でございます。
 議員ご指摘のとおり、本県における中途退学者の数は、ここ数年わずかずつながら増加傾向にあります。そのため、習熟度別学習指導の実施や個別指導等、一人一人に視点を当てた指導を強化するとともに、生徒が主体的に参加できる、よくわかる授業の創造に向けた指導法の研究等を行うよう各学校を強く指導しております。
 教員の配置に当たっては、定数標準法に基づき配置いたしておりますが、さらに学校の実情を十分に勘案し、必要に応じて担当教員等の授業の持ち時間数を軽減するなどの措置を講じてきております。今後は、国の第五次教職員定数改善計画の進捗状況を見きわめながら、教員の配置がさらに進むよう努力いたしてまいります。
 また教員の研修については、初任者研修、教務主任研修、教頭・校長研修など、年次別、職能別に体系的に実施してきているところであります。さらに、平成五年度からは教職経験六年次及び十一年次のすべての教員に対する研修を拡充し、中堅教員としての自覚と使命感を高めさせ、実践的指導力の向上を図ってまいる所存でございます。また、教員のためのカウンセリング講座を実施するとともに、生徒指導中央講座等、各種の研修会に派遣するなど、教員の資質の向上に努めているところであります。
 最後に、総合学科についてであります。
 生徒の進路意識の希薄化や学校生活に適応できない生徒が増加するなどの課題がある中で、このほど文部省から、生徒が自分の特性、興味、関心及び希望の進路に即して、主体的に科目を選択し学習することを可能とする総合学科構想が発表されたところであります。この総合学科構想は、従前の教育の枠と発想を超えたものであるだけに、教員の定数、施設、設備の充実等の課題がありますが、高校教育の個性化を推進するものとして、これからの教育改革の一つの方向を示すものと受けとめております。
 県教育委員会といたしましては、本県高校教育をより充実、活性化させる観点から、総合学科について、こうした課題を踏まえながら多面的に研究してまいりたいと思います。また、それに伴う教職員の配置については、国において今後検討していくものと聞いておりますので、その動向を見きわめながら必要な教員が確保できるよう研究いたしてまいります。
 入学者選抜における推薦入学の導入についても、総合学科設置の趣旨を踏まえ、今後、十分検討してまいる所存であります。
 以上です。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 以上で、新田和弘君の質問が終了いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番高瀬勝助君。
 〔高瀬勝助君、登壇〕(拍手)
○高瀬勝助君 お許しをいただきまして、質問をさせていただきます。
 昨年三月、緊張の中、この壇上で初質問をさせていただいて、はや一年が過ぎました。本日、平成五年二月議会一般質問の初日に当たって、日ごろから私がライフワークとして取り組んでいるスポーツ振興と福祉問題について質問させていただきますので、当局のご答弁をよろしくお願いいたします。
 まず、スポーツ振興について、何点かにわたりお伺いしたいと存じます。
 連日、テレビや新聞等で報道されておりますように、選抜高校野球やプロ野球、また初めて開催されるサッカーのJリーグを初め、スポーツ界はファン待望のシーズンインとなりました。また、大相撲大阪場所に引き続く和歌山巡業も前人気は上々のようであり、みずから実践する場合においても、あるいは観戦する場合においても、スポーツは私たちにとって切っても切り離せない営みであると痛感させられる次第でございます。
 私は、昨年の二月県議会においてもスポーツの振興に関して質問をさせていただいたところでありますが、学生時代からスポーツ界でお世話になり、以後、今日まで先輩や友人、あるいは後輩といった多くの仲間との交流を深める中で、スポーツの持つすばらしさを肌身をもって実感しており、まだまだ修行中ではありますが、いろいろな意味で人間を大きくしてもらったと感謝しているのでございます。仮谷知事は、常々、スポーツの振興を図っていくためには、その頂点は高く、またすそ野の広い施策が大切であると申されておりますが、私も全く同感であります。
 ところで、本県スポーツ界の現状、中でも競技スポーツについて申し上げますと、ご承知のように、昭和四十六年の第二十六回黒潮国体開催を契機に、全国都道府県の中でも常に中位以上の成績を確保し、これまでに多くの名選手を生み出すなど、まことに輝かしい成果を上げて、スポーツ県和歌山、強い和歌山として内外ともに高い評価をいただいてまいりました。こうした実績は、みずからもかつて柔道の選手として活動され、スポーツをこよなく愛する県体育協会会長でもある仮谷知事の強いリーダーシップによるものと敬意を表する次第でございます。
 しかしながら、一昨年の第四十六回石川国体、昨年の第四十七回山形国体において、総合成績がいずれも四十二位という低調な結果に終わったことは、国民体育大会の成績が一般的に各都道府県の競技水準のバロメーターとも言われているとおり、本県の競技力は残念ながら低下したと言わざるを得ないのであります。
 スポーツは、勝ったとか負けたとかといった勝敗、すなわち結果にこだわることも大切でありますが、昨年の質問でも申し上げたとおり、より高い水準の技能や記録に挑戦するため、みずからを厳しく律し、その目的に向かって日々努力する過程の中で剛健な身体を形成するとともに、礼節、勇気、公正及び不屈の精神を体得させる最適の人間形成の場であり、また一生を通じて理解し合えるような多くの友を知り、友情を育てる場ともなり、こうして成長した若者は活力ある地域社会をつくる上で本当に貴重な人材となり得るものだと考えているものでございます。
 冒頭に申し上げたとおり、縁があって私も随分長い間スポーツに親しみ、またスポーツ団体のお世話をさせていただいてまいりましたので、貴重な人材育成の場となる本県競技スポーツが低下してきたことについては大変憂慮しているところでございます。平成六年の世界リゾート博開催をばねに、今まさに二十一世紀に向かって本県が大きく飛躍発展を遂げようとしているとき、何よりも必要とするのは確固たる人的基盤、すなわち人材の確保であり、そのためには長期的な視野に立った全県的な取り組みが必要であると確信するものであります。幸いなことに、こうした本県の現状を踏まえ、二十一世紀に向けてのスポーツ振興方策について、現在、県スポーツ振興審議会に諮問していただいていると聞いておりますので、私はここであえて答弁は求めませんけれども、どうぞ私の申し上げた点についてご理解をいただきたいと存じます。
 次に、ただいま申し上げた低調ムードにある本県競技スポーツの威信回復と申しますか、レベルアップについてであります。
 私は、スポーツ団体や選手一人一人の努力がまず大切であろうと思っております。幸いなことに、私の知る限りにおいてはスポーツ関係者一同、選手ともども懸命に取り組んでおられ、こうした活動には従来、支援をいただいているところでありますが、日々の練習や試合、あるいは遠征、合宿のための競技力向上対策費、いわゆる選手強化費としての資金的な援助について、より一層のご理解をお願いするものであります。
 本来、スポーツ活動は、みずからの健康や体力の増強を目的として行うものであり、これに要する経費は自己負担が原則ではありましょうが、現在、スポーツ少年団を中心とする小学生の活動はもちろん、中高校生や大学生、社会人に至るまで、強くなりたい、スポーツ活動を通じて自己を磨きたいと考えておられる多くの県民の方々に資金的な支援をすることも必要なのではないかと思っているのでございます。その方策については、県予算だけで負担するのではなく、国や他の都道府県の多くにおいて官民一体となったスポーツ振興基金が設置されているともお伺いしておりますので、こうしたことも含め、平成五年度に向けての競技力向上にかかわる今後の支援について、教育長にお伺いしたいと存じます。
 次に、資金的な支援と同様に大切なスポーツ活動の拠点となるべき施設の整備についてお伺いをいたします。
 過日、新聞等にも報道されておりましたが、和歌山操駅跡にメーンアリーナ、サブアリーナを含む多目的ホールが建設されるとのこと、どのような中身に仕上げていくかは別の機会に申し上げるとして、本県の地域活性化はもちろんのこと、私の地元でもある宮前地区の発展にも大いにつながることであり、まことに結構なことと、もろ手を挙げて賛同するものであります。
 県有の体育施設は、相撲場が昭和三十六年に建設されたのを初め、陸上競技場や県立体育館が昭和三十九年に、また県立武道館が昭和四十三年に建設されるなど、全国的に見ても比較的早い時期に建設されたものが多く、以後、三十年近くが経過する中で一部老朽化が見られ、また設備等においても十分とは言えない現状にあります。
 このたびの多目的ホールの建設計画を契機として、二十一世紀に入ってからの本県の一大ビッグイベントともなる二巡目国体を想定し、その誘致や主会場となるべき場所の選定等を含め、長期的な計画のもとに総合運動公園の整備を図っていかなくてはならないと思う次第であります。この点、知事にご所見をお伺いいたしたいと存じます。
 次に、スポーツイベントの誘致、開催についてでございます。
 例年、正月の国立競技場にはサッカーやラグビーの熱戦を観戦するため超満員の観客が詰めかけることは、ご承知のとおりでございます。東京のことはさておき、本県でも昨年行われたサッカーのJリーグである鹿島アントラーズとサンフレッチェ広島の試合には、紀三井寺陸上競技場の正面スタンド、バックスタンドともほぼ満員に近い観客が入ったと聞いておりますし、また県立体育館では日米男子対抗バレーが、全国のファンも含め、これまた満員の観客を集めたようであります。こうした事実が物語っておりますように、大きなスポーツイベントを誘致、開催すれば、ただいま申し上げたように、地理的な問題は別として、県内はもちろん、広い地域の方々にも関心を持たれ、多くの観衆が集まるものだと確信いたしておるのであります。
 来年の世界リゾート博には、ヨットのレーザー級世界選手権が県当局並びにヨット関係者のご努力により開催されると聞いておりますが、関西新空港の開港を控えて、多目的ホールの建設も進む中、こうしたスポーツのビッグイベントを今後、積極的に誘致、開催し、地域の活性化に結びつけてはどうかとご提案申し上げる次第であります。人が多く集まり話題になることが、和歌山を知ってもらい、またスポーツへの一層の理解が深まることにつながり、その中にこそいろいろな意味での発展が期待でき、地域活性化の一助になるものと思いますが、いかがなものでございましょうか。
 以上のような観点から、多目的ホールの建設等を考慮しつつ、スポーツイベントの積極的な誘致、開催について、教育長のご所見をお伺いしたいと存じます。
 続きまして、障害者対策についてお尋ねいたしたいと思います。
 県挙げて取り組んでまいりました国連・障害者の十年も、昨年末をもって終了いたしました。県当局の積極的な施策の推進によって着実な成果をおさめた十年であったと、私は率直に評価いたしております。しかしながら、社会経済の進展とともに新しい課題や問題も発生しているところであり、さらなる障害者対策の充実をお願いするものでありますが、本日は障害者対策のうち、特に精神薄弱者の社会自立の促進の問題に絞り質問いたしたいと存じます。
 社会自立ということは、精神薄弱者の方が地域社会において地域の人々とともに社会生活を営むことであります。その基本は、一般企業への雇用の促進であると言っても過言ではないと思っております。精神薄弱者の一般企業への雇用状況については、県当局のご努力と事業者の皆様のご理解、ご協力によって年々増加の兆しが見えているところでありますが、いまだその実態は低位であると言わざるを得ないのであります。
 こうした一般企業への厳しい雇用状況の中で、今、精神薄弱者授産施設の役割がますます増大していると伺っております。この授産施設は、一般企業に雇用されることが困難な精神薄弱者が社会自立を図るための職業的訓練や社会適応訓練等を受ける場であると同時に、働く場でもあります。
 現在、本県には認可授産施設として、和歌山市にあるつわぶき授産工場を初め八施設が設置され、約三百名の精神薄弱者の方が利用しておられると伺っております。また、それぞれの施設においては、個々の精神薄弱者の持っている能力を育てるための適切な指導訓練を行うとともに、職業を与え、あるいは施設によっては一般企業での実習を実施する等、精神薄弱者に働く喜びと社会自立への意欲や自信を高めるため真剣な取り組みがなされておりますし、精神薄弱者の方自身もまた懸命に努力されているとのことであります。
 こうした結果、施設利用者のうち一般企業に雇用された者は平成三年度で十一名、平成四年度は六名で、二年間で十七名という実績を上げておりますし、また賃金についても、一人月平均にすれば一万四、五千円と自立を行うには極めて低い賃金でありますが、精神薄弱者の社会自立にとって非常に大きな使命を果たしているところであります。こうした授産施設はまことに重要であり、一般企業に適応できる精神薄弱者を育成し、より高額な賃金を確保するため、授産施設の一層の機能の充実が必要であると考えている次第であります。
 平成五年度当初予算において、高収益授産科目開発事業が計上されております。これは、平成四年二月県議会における和田正人議員のご提言にも沿うものであり、今私が述べてきた授産施設の機能の充実につながるものであると思いますが、その内容とこの事業によりどのような効果が期待できるのか、民生部長のご答弁をいただきたいと思います。
 最後に、高齢者福祉対策の取り組みについて質問いたします。
 先般、厚生省が老人保健福祉マップを発表いたしました。これにより本県の状況を見てみますと、以前から整備が進んでいる特別養護老人ホームの整備率では近畿圏では断然トップ、全国でも十番台の高水準でありますし、施設整備に比べおくれていたとされる在宅老人に対する福祉サービスも、かなめとなるホームヘルパー事業は近畿でトップの都道府県中第十三位、ショートステイ事業も全国十番台、デイ・サービス事業は全国二十番台ではありますが、伸び率は全国で一位となっており、着実な成果を上げております。今後とも、高齢化が全国より進んでいる高齢化先行県として、なお一層の福祉サービスの充実を期待し、お願いをするものでありますが、ひとまず福祉和歌山の実現を県政の柱に掲げ、高齢者対策に積極的に取り組んでいただいた知事のご努力がこの数字として実ったものとして高く評価いたしたいと存じます。しかしながら、できるならば、これらの福祉サービスのお世話にならない、あのきんさん、ぎんさんのような元気いっぱいのお年寄りになってもらいたいものであります。
 厚生省では、日本の寝たきり老人が全国で七十万人おり、近いうちに百万人に達すると推計しておりますが、寝たきりになると本人も大変ですし、そのお世話をする家族の苦労は本当に大変だと聞いております。和歌山県のお年寄りが寝たきりにならず、いつまでも健康で生き生きと生活できるための施策にも十分意を用いていただきたいと考えますが、知事のご所見をお伺いしたいと存じます。
 しかし、残念ながら、お年寄りも高齢になればなるほど、どうしても寝たきりになったり、老人性痴呆症にかかったりする方の割合が高くなってきます。このような方々にはきめ細かな福祉サービスの推進をなお一層進めていただきたいと考えますが、とりわけ、最近大きな問題となっているのが痴呆症のお年寄りに対する対策であります。重度となると、あちこちを徘回したり、奇声を発したり、布団や壁をむしったり、最悪の場合は自分の排せつ物をもてあそぶ上に、朝と夜が逆転して家族が夜一睡もできないといった事態も出てきているのであります。この対策について、民生部長のご答弁をいただきたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの高瀬勝助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 高瀬議員にお答え申し上げます。
 スポーツの振興でございます。
 高瀬議員から、過去の経験からしてのスポーツ振興についてのご提案をいただいたわけでございます。また、最近の国民体育大会における県の成績が四十二位という点を指摘されたわけでございます。
 私も、スポーツは「底辺は広く、頂点は高く」ということをスローガンにしておるわけでございますけれども、そうした競技力が弱ったという実情について非常に残念に思っておるわけでございます。私も、体協の会長をさせていただいておりますので、選手強化対策本部会議に出席していろいろ検討しているわけでございます。この選手強化についても、話ございましたように、競技力を強くすることは自分を鍛えることでもありますし、また多数の友人を得て地域の活性化にもつながるものでもございますので、競技力ということについてなお一層配慮していかなければならないと思っております。
 それと関連して、施設の充実でございます。
 これについては、後ほど教育長から答弁いたしますけれども、県、市町村、各種団体とも施設の充実には努力しておるところでございますし、また屋内の体操場だけではなしに、河川敷等の活用によるスポーツ広場という形も積極的に進めてまいりたいし、さらに、現在計画中の陸上等を行うことができる大規模ホールについて検討を進めており、立派な大会ができるような多目的ホールをつくりたいと思っておるわけでございます。そしてまた、各種のスポーツ大会、全国的な大会を開催したらいいじゃないかという提言に対しても、私もさように存じておるわけでございます。
 また、国民体育大会の開催が本県スポーツ振興の面に果たした役割は非常に大きいものがございますし、今後とも大きいと思いますので、各都道府県の動向を見ながら、できるだけ早い機会に名のりを上げるべきではないかと思っております。
 また総合運動公園についても、この議会でも質問ございましたけれども、国民体育大会の開催の見通しも念頭に置きながら、総合的な視点に立ってその整備方針を決めてまいりたいと思っておる次第でございます。
 それから、高齢者が生き生きと健康で生活できる対策についてでございます。
 まず、健康づくりにつきましては、健康教室や各種の老人のスポーツ大会等を開催して健康づくりに励んでおりますし、また長寿大学や洋上老人大学の長寿丸で九州へ参るといった事業を行い、あるいは高齢者の作品展等を行って生きがいづくりを進めております。そのほか、行政と地域とが一体となって行う高年齢者対策に取り組む団体等に対しての補助等も行っておるわけでございます。
 また、本年度から喜の国いきいきキャンペーンというのを展開しており、その一環として、子供から老人まで一緒になってやれる喜の国いきいき体操というのをつくりました。とにもかくにも、県民みんなが一緒になって健康づくりに励むという形を積極的に進めてまいりたいと考えております。
○議長(馬頭哲弥君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) まず、障害者対策についてお答えをいたします。
 議員お話しのとおり、授産施設が精神薄弱者の社会自立の促進に大きな役割を果たしている現状の中で、その機能を充実することは極めて重要な課題であると認識いたしておるところであります。
 このたび予算計上いたしました高収益授産科目開発事業については、集約型高収益農業生産を行うもので、自動薬剤噴霧器や自動空調設備等、先進技術を導入した三百三十三平米のプラスチックハウスを由良あかつき園に設置し、農林水産部や地元農業協同組合の技術指導のもとに野菜や花卉の育苗並びに栽培を行うものであります。
 また、本事業の効果についてでありますが、精神薄弱者の技術の習得や高賃金の確保など、精神薄弱者の社会自立の促進に大きな効果を期待しているところでございます。あわせて、他施設、他地域への波及についても、その可能性を探るモデル事業として考えてございます。
 次に、高齢者福祉対策についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、在宅において痴呆性のお年寄りを介護されているご家族のご苦労は大変なものでございます。このため、ホームヘルプ事業、ショートステイ事業、デイ・サービス事業など、いわゆる在宅三事業を中心として要援護老人対策を進めているところでございますが、とりわけ痴呆性老人を対象に毎日通所できるデイ・サービス事業も本年度から開始いたしたところであります。また、痴呆性老人を介護する家族の相談に応じたり、訪問指導を行うための在宅介護支援センターを九カ所設置したところであります。さらに、県単独事業といたしまして、痴呆性老人の介護ノーハウを持っている特別養護老人ホームで在宅介護者の相談や処遇研修等を行うための痴呆性老人介護相談所を県下八カ所の施設で実施しているところであります。今後とも、なお一層痴呆性老人対策に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) スポーツ振興の二点についてお答えいたします。
 本県の総合的な競技力については、議員ご指摘のとおり低下している状況にございます。したがいまして、スポーツを通しての人づくりという観点を踏まえながら、なお一層競技力向上のための施策を推進する必要があると考えております。
 そのための支援についてでございますが、従前より重点施策の一つとして、県体育協会が行う種々の競技力向上対策事業に対して補助してきたところですが、本年度はさらにジュニア層の育成強化のための経費を増額いたしました。また平成五年度に向けては、スポーツ県和歌山推進事業として企業スポーツの活性化や、今後広く本県スポーツを振興していくため、基金などその方策を検討する事業や、地域に根差したスポーツの定着を図り、スポーツを通じての特色ある町づくりを目指した、うるおい町づくり特定市町村スポーツ指定事業を新規事業としてお願いしているところでございます。今後、従来の施策に加え、これらの新規事業を有効に活用するとともに、県スポーツ振興審議会のご意見をいただきながら、指導者の資質向上や学校、企業のスポーツクラブへの訪問、激励を積極的に行うなど、より一層のレベルアップを図ってまいりたいと存じます。
 次に、スポーツイベントの誘致、開催については、議員ご提言のとおり、スポーツの振興や地域の活性化にとって重要であると考えてございます。
 現在、本県では年間を通じて、近畿大会、西日本大会や各種競技の全国大会など、平均十回程度開催しております。しかしながら、これらの大会は県内外から多くの観客が参加できるビッグイベント的な大会とはなり切れておらず、関係者中心の大会となっております。スポーツの振興を図り、これを地域の活性化につないでいくためにも、今後、関係競技団体と調整を図るとともに、多目的ホールのオープン等をも考慮に入れながら、ビッグイベントとなるスポーツ大会の誘致、開催に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 17番高瀬勝助君。
○高瀬勝助君 ただいま、知事さん初め皆さんから答弁をちょうだいいたしまして、ありがとうございます。
 スポーツということで、特に和歌山県の場合、人口が最近では微増だということは伺っておりますけれども、県の活性化ということになればなかなか厳しいものがございます。ことし、来年にたくさんのイベントを抱えている中で、スポーツも一つの人間づくりの中で生かしていただくためにも、きょう質問させていただいた競技力の向上、施設の整備、イベント誘致という三つのものが一体となってこそ、Uターン組を含めて若者が戻ってくることになり、それに伴う事業所の誘致ということにもなろうかと、そんなことを常々感じております。
 皆さんの質問の中にありましたとおり、和歌山県としては予算編成上、これから来年に向かって税収の不足等、厳しいものもあるわけですけれども、人間それぞれの知恵を絞れば、まだまだ和歌山県にはたくさんの恵まれた自然の中ではぐくむものがあるはずだと思っております。
 そういう意味で、スポーツを柱とした中から人間形成、そして県勢の発展につながればと思いますので、どうか今後ともなお一層そうした事業への取り組みをお願いする次第でございます。
 次に、授産施設の整備の件で民生部長からご答弁をいただきましたが、これから、健常者の中で身体障害者の皆さん方が同じように頑張って仕事ができるような──施設に入ってしまえばその中で閉じこもってしまうのではなしに、授産施設を一つのステップとして社会への復帰が図れるように、この計画されたものをこれからの一つの大きな柱の事業として民生部に取り組みをお願いする次第でございます。
 以上、要望としてお願いいたします。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で高瀬勝助君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(馬頭哲弥君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時四十二分散会

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