平成5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第1号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第一号 平成五年二月二十六日(金曜日)
  午前十時開会・開議
 第一 会議録署名議員の指名
 第二 会期決定の件
 第三 議案第一号から議案第七十一号まで(知事説明)
会議に付した事件
 一 会議録署名議員の指名
 二 会期決定の件
 三 議案第一号から議案第七十一号まで(知事説明)
 四 休会決定の件
出 席 議 員(四十五人)
 1 番 尾 崎 要 二
 2 番 中 村 裕 一
 3 番 下 川 俊 樹
 4 番 石 田 真 敏
 6 番 木 下 秀 男
 7 番 岡 本 保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 北 村 翼
 10 番 小 川 武
 11 番 上野山 親 主
 12 番 井 出 益 弘
 13 番 町 田 亘
 14 番 尾 崎 吉 弘
 15 番 門 三佐博 
 16 番 西 本 長 弘
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 冨 安 民 浩
 19 番 和 田 正 一
 20 番 阪 部 菊 雄
 21 番 平 越 孝 哉
 22 番 大 江 康 弘
 23 番 岸 本 光 造
 24 番 山 本 一
 25 番 吉 井 和 視
 26 番 浜 田 真 輔
 27 番 堀 本 隆 男
 28 番 宇治田  栄 蔵
 29 番 富 田 豊
 30 番 中 村 利 男
 31 番 馬 頭 哲 弥
 32 番 宗 正 彦
 33 番 鶴 田 至 弘
 34 番 上 野 哲 弘
 35 番 村 岡 キミ子  
 36 番 松 本 貞 次
 37 番 木 下 義 夫
 38 番 和 田 正 人
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 橋 本 進
 41 番 野見山  海
 42 番 森 正 樹
 43 番 浜 本 収
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 口 矩 一
 46 番 森 本 明 雄
欠 席 議 員(なし)
 〔備 考〕
 5 番 欠 員
 47 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口 勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 佐 武 廸 生
 民生部長 吉 井 清 純
 保健環境部長 江 口 弘 久
 商工労働部長 中 西 伸 雄
 農林水産部長 中 村 昇
 土木部長 山 田 功
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長職務代行者
  山 本 昭
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
  山 階 清 弘
 警察本部長 中 長 昌 一
 以下各部長
 人事委員会委員長
  水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
  稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 塩 崎 省 吉
 次 長 中 村 彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 古 井 美 次
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 川 端 孝 治
 総務課主査 森 佳 則
 総務課主事 星 加 正 積
 調査課長 大 畑 巌
 調査課主幹 竹 内 潔
 調査課調査員 辻 和 良
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時二分開会・開議
○議長(馬頭哲弥君) ただいまから、平成五年二月定例会を開会いたします。
○議長(馬頭哲弥君) これより本日の会議を開きます。
○議長(馬頭哲弥君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十時三分休憩
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 午前十一時二分再開
○議長(馬頭哲弥君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(馬頭哲弥君) この際、一言申し上げさせていただきます。
 このたび、国民がひとしく待ち望んでおりました皇太子殿下のご婚約がめでたく決定になりました。
 新しい年の初めにもたらされたまことにさわやかなこの慶事を、心からお祝い申し上げたいと存じます。
○議長(馬頭哲弥君) それでは、これより議事に入ります。
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○議長(馬頭哲弥君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。
 今期定例会の会議録署名議員は、9番北村翼君、24番山本一君、41番野見山海君の三君を指名いたします。
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○議長(馬頭哲弥君) 次に日程第二、会期決定の件を議題といたします。
 お諮りいたします。今期定例会の会期は、本日から三月二十三日までの二十六日間といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) ご異議なしと認めます。よって、今期定例会の会期は本日から三月二十三日までの二十六日間と決定いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 次に、諸般の報告をいたします。
 お手元に配付のとおり、知事から地方自治法第百八十条の規定による専決処分の報告及び地方自治法第二百二十一条第三項の規定に定める法人の経営状況を説明する書類の提出が、監査委員から監査の結果報告及び現金出納検査結果の報告がありました。
 以上、報告いたします。
○議長(馬頭哲弥君) 次に、今期定例会に提出されました議案について報告いたします。
 職員に公文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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   財第318号 
   平成5年2月26日
 和歌山県議会議長 馬 頭 哲 弥 殿
  和歌山県知事 仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成5年2月定例会議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
 議案第 1号 平成5年度和歌山県一般会計予算
 議案第 2号 平成5年度和歌山県農業改良資金特別会計予算
 議案第 3号 平成5年度和歌山県林業改善資金特別会計予算
 議案第 4号 平成5年度和歌山県沿岸漁業改善資金特別会計予算
 議案第 5号 平成5年度和歌山県中小企業近代化資金特別会計予算
 議案第 6号 平成5年度和歌山県母子福祉資金特別会計予算
 議案第 7号 平成5年度和歌山県寡婦福祉資金特別会計予算
 議案第 8号 平成5年度和歌山県東京事務所宿舎特別会計予算
 議案第 9号 平成5年度和歌山県職員住宅特別会計予算
 議案第10号 平成5年度和歌山県物品調達特別会計予算
 議案第11号 平成5年度和歌山県立医科大学特別会計予算
 議案第12号 平成5年度和歌山県印刷事業特別会計予算
 議案第13号 平成5年度和歌山県営競輪事業特別会計予算
 議案第14号 平成5年度和歌山県営港湾施設管理特別会計予算
 議案第15号 平成5年度和歌山県市町村振興資金特別会計予算
 議案第16号 平成5年度和歌山県自動車税等証紙特別会計予算
 議案第17号 平成5年度和歌山県用地取得事業特別会計予算
 議案第18号 平成5年度和歌山県立五稜病院事業会計予算
 議案第19号 平成5年度和歌山県電気事業会計予算
 議案第20号 平成5年度和歌山県工業用水道事業会計予算
 議案第21号 平成5年度和歌山県土地造成事業会計予算
 議案第22号 平成4年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第23号 平成4年度和歌山県農業改良資金特別会計補正予算
 議案第24号 平成4年度和歌山県林業改善資金特別会計補正予算
 議案第25号 平成4年度和歌山県沿岸漁業改善資金特別会計補正予算
 議案第26号 平成4年度和歌山県中小企業近代化資金特別会計補正予算
 議案第27号 平成4年度和歌山県母子福祉資金特別会計補正予算
 議案第28号 平成4年度和歌山県東京事務所宿舎特別会計補正予算
 議案第29号 平成4年度和歌山県職員住宅特別会計補正予算
 議案第30号 平成4年度和歌山県物品調達特別会計補正予算
 議案第31号 平成4年度和歌山県立医科大学特別会計補正予算
 議案第32号 平成4年度和歌山県印刷事業特別会計補正予算
 議案第33号 平成4年度和歌山県営競輪事業特別会計補正予算
 議案第34号 平成4年度和歌山県営港湾施設管理特別会計補正予算
 議案第35号 平成4年度和歌山県市町村振興資金特別会計補正予算
 議案第36号 平成4年度和歌山県自動車税等証紙特別会計補正予算
 議案第37号 平成4年度和歌山県用地取得事業特別会計補正予算
 議案第38号 平成4年度和歌山県土地造成事業会計補正予算
 議案第39号 平成4年度和歌山県有料道路事業会計補正予算
 議案第40号 和歌山県立文書館設置及び管理条例
 議案第41号 和歌山県公文書の開示に関する条例
 議案第42号 和歌山県職員定数条例の一部を改正する条例
 議案第43号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第44号 和歌山県地域環境保全基金の設置、管理及び処分に関する条例の一部を改正する条例
 議案第45号 和歌山県立自然公園条例の一部を改正する条例
 議案第46号 和歌山県立高等技術専門校設置条例の一部を改正する条例
 議案第47号 和歌山県木材業者等の登録に関する条例の一部を改正する条例
 議案第48号 和歌山県森林整備担い手基金の設置、管理及び処分に関する条例
 議案第49号 護摩壇山森林公園設置及び管理条例
 議案第50号 和歌山県漁港管理条例の一部を改正する条例
 議案第51号 和歌山県建設工事紛争審査会委員等の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
 議案第52号 和歌山県港湾施設管理条例の一部を改正する条例
 議案第53号 和歌山県都市公園条例の一部を改正する条例
 議案第54号 和歌山海南都市計画事業御膳松土地区画整理事業施行に関する条例の一部を改正する条例
 議案第55号 和歌山県営住宅管理条例の一部を改正する条例
 議案第56号 和歌山県建築基準法施行条例の一部を改正する条例
 議案第57号 和歌山県立学校等職員定数条例の一部を改正する条例
 議案第58号 和歌山県立図書館設置及び管理条例
 議案第59号 和歌山県地方警察職員定員条例の一部を改正する条例
 議案第60号 警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第61号 和歌山県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第62号 和歌山県使用料及び手数料条例の一部を改正する条例
 議案第63号 平成5年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
 議案第64号 平成4年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
 議案第65号 当せん金付証票の発売について
 議案第66号 一級河川の指定について
 議案第67号 訴訟の提起について
 議案第68号 財産の取得について
 議案第69号 工事請負契約の締結について
 議案第70号 工事請負契約の締結について
 議案第71号 工事請負変更契約の締結について
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○議長(馬頭哲弥君) 日程第三、ただいま報告いたしました議案第一号から議案第七十一号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 平成五年度予算案を初め諸議案についてご審議をお願いするため二月定例会を招集いたしましたところ、議員各位には何かとお忙しい中をご参集いただき、厚く御礼申し上げます。
 ただいま議長から開会に当たり述べられました、国民がひとしく待ち望んでおりました皇太子殿下のご婚約が先月めでたく決定になりました。県民の皆様とともに心からお喜びを申し上げます。
 ただいま上程されました諸議案について提案理由をご説明するのに先立ち、県政の運営について私の所信を申し述べたいと存じます。
 去る一月二十日のアメリカ大統領就任演説、また二十二日、国会開会日の首相の施政方針演説の中で日米両国の最高首脳の政治姿勢の根本にひとしく据えられたのが、「変化・変革」でありました。
 私たちの生活環境に直結する地球環境問題を初め、協調と競争の接点に立った世界経済・貿易のルールづくりの難しさ、さらには世界各地で多発している政情不安の長期化、深刻化など、冷戦終結後の国際社会はいまだ幾多の課題を抱え、今なお新しい世界秩序の確立を目指し、混迷の渦中にあります。
 一方、国内に目を転じれば、国内経済が依然として低迷を続ける中にあって、政治に対する国民意識の低下への対応や、これまでの成長・効率優先主義から、ゆとりと豊かさを実感できる経済社会の実現が喫緊の課題として取り上げられております。
 こうした状況を見るとき、今の私たちがいかに大きな時代の転換期にいるのかを痛感させられます。そして、これら国際社会とのより緊密な関係が進展する中にあって、そうした変化・変革は私たちの県経済、県民生活にも重大な影響を及ぼしていることも事実であります。
 しかしながら、県政においては、現下におけるさまざまな課題に全力で取り組むことは無論のこと、単に受け身にとどまることなく、時代の潮流を的確にとらえ、より積極果敢なふるさとづくりの推進に転じる時期であると考えております。
 さて、本年は関西国際空港の開港、世界リゾート博の開催という、本県にとりまして二つの大きな転機を翌年に控えた、極めて大切な年であります。この二つのプロジェクトは、県経済のさらなる飛躍発展を図り、人、情報、文化の活発な交流を通じて、より豊かで質の高い生活環境、社会環境を創造するための重要なかぎであります。これまでの努力の成果を土台に、この大きなチャンスをしっかりと私たちの掌中におさめるべく、本県の基礎を仕上げなければなりません。
 このような中、本年中に近畿自動車道の大阪側が全線供用開始され、また来年夏ごろには関西国際空港が開港することとなりました。これにより、長年の悲願でありました国土軸、国際軸に直結する運びとなったことは感慨にたえません。
 しかしながら、関西国際空港は、現在建設中の第一期工事だけではハブ空港としての完全な姿とは申せません。私たちは、十分な国内便の確保と全体構想の早期実現という課題に取り組まなければなりませんし、また高速道路の紀南延伸、京奈和自動車道等の建設促進、さらには紀淡海峡ルートを初めとする第二国土軸構想の推進など、高速交通ネットワークを構築し、本県を新たな国土軸上に位置づけるという次なる目標に向かって前進を続けなければなりません。
 また、ジャパン・エキスポにも決定されております世界リゾート博につきましては、国、市町村を初め県内外の多くの企業のご参加、ご協力をいただき、既に二十四の団体や企業の出展及び大規模協賛が決定いたしております。主会場となる和歌山マリーナシティの建設と並行し、順調に開催準備が進められており、一月には博覧会の主要施設の一つでありますテーマパークも着工されました。
 県といたしましても、会場内に恒久施設として和歌山館、サンセットパーク等の建設を初め、引き続き全庁的協力体制のもとで取り組んでまいります。
 それと同時に、私は、この博覧会が県民総参加によるものでなければならないと考えております。なぜならば、世界リゾート博は二十一世紀のリゾート体験のあり方を提言する一大メッセージであるに加え、本県が過去、現在、未来にわたって有するすべての有形無形の資源と県民の英知を結集してつくり上げようとする将来の和歌山の姿を表現し、日本全国に、そして世界にアピールするものであるからです。
 本年は、七月のオープニングセレモニーを皮切りに、県内各地で多彩なプレイベントが行われるわけですが、その意味でもぜひとも多くの県民の皆様のご参加をお願い申し上げます。
 このほか、県土の均衡ある発展を図るための県内交通網の整備、高齢化に対応した医療・福祉体制の充実、自然の恵みを享受しつつ安全で快適な生活を送れる環境づくり、国際化、情報化、技術高度化の進展著しい時代に対応し得る人材の育成、地域特性を生かした産業の育成強化などの重要課題に取り組んでまいらねばならないことは言うまでもありません。
 これらの諸問題について、私が掲げております五つの政策目標、「のびゆく県土づくり」、「すこやかな社会づくり」、「やさしい生活環境づくり」、「こころ豊かな人づくり」、「たくましい産業づくり」を基本に、総合的な施策を講じてまいる所存であります。
 なお、その実施に当たっては、現在の第二次中期実施計画が平成五年度をもって終了することを踏まえ、次の第三次計画においても適正に位置づけてまいりたいと考えております。
 さらに、国土軸、国際軸との直結が現実のものとなろうとしている今、本県が持つすばらしい自然、文化、歴史資源が花開き、新しい産業、新しい文化、新しい活力のあるふるさとづくりを進める絶好のチャンスであります。
 国において次期全国総合開発計画の検討が始まらんとしている今、私たちもまた二十一世紀における和歌山県のあるべき姿を描き、次なるステップへと進む重要な時期に差しかかっております。
 現在のように国内外の社会経済情勢の変動が激しく不安定な時代にありまして、誤りのない将来展望を開くことは極めて難しいことではあります。しかし、最善の進路選択は確かな将来ビジョンなくしてはなし得ず、確かな将来ビジョンは時流に対する深い洞察なくしては生まれないことを銘記し、今後の社会経済動向、国民・県民意識の動向等をより的確に把握し、分析するための努力を粘り強く続けてまいる所存であります。
 しかしながら、県の政治、行政を担当する私たちは、県民の皆様の信頼とご協力なくしては、その任務を到底全うできないものでございます。
 現在、国民の政治に対する不信感はかつてない深刻なものであると感じております。私自身、政治家の一人としてそのことを謙虚に受けとめ、県民の皆様の信頼におこたえすべく、より精進を重ねますとともに、情報公開制度の早期実施等、より公正で透明な行政システムの構築に努めてまいりたいと考えております。
 議員各位を初め、県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。
 以下、予算の具体的な内容につきまして、ご説明申し上げます。
 まず、歳入の概況といたしましては、国内経済が低迷を続けており、資産価格の下落もあって厳しい状況に直面しているのを反映し、法人関係税の落ち込みなど、県税収入が大幅なマイナスとなっております。
 このような財源面で非常に厳しい中、平成五年度の予算編成に当たっては、各種施策について優先順位の厳しい選択を行うとともに、経常的な一般行政経費の抑制等により、限られた財源の重点的かつ効率的配分に努めたところであります。
 一方、県民生活の豊かさを着実に実現していくため、地方特定道路整備事業、半島振興道路整備事業、ふるさと農道・林道緊急整備事業等、国の財源措置のある起債等を最大限に活用することといたしております。
 また、施策の計画的な推進を図るため、今まで節減、合理化等により蓄えてきた基金の思い切った活用を図り、景気対策にも十分配慮しつつ、投資重点型の積極的な予算編成を行ったところであります。
 以下、各分野における歳出予算の概要についてご説明申し上げます。
 第一の柱は、「のびゆく県土づくり」であります。
 まず最初に、県土の均衡ある発展と地域資源の活用、産業の活性化を図るための道路交通網の整備であります。
 県内幹線自動車道路の整備といたしましては、湯浅御坊道路、京奈和自動車道橋本道路、及び平成五年度より事業化の紀北東道路の事業を促進するとともに、整備区間として決定されている近畿自動車道紀勢線の御坊─南部間の早期事業化に努めてまいります。
 なお、完成が待たれておりました国道二十四号和歌山バイパス、国道四十二号田辺バイパスの稲成─会津川間及び日置川道路第一期工事につきまして平成五年度中には供用開始予定であり、林道水上栃谷線、広域基幹林道龍神本宮線につきまして本年秋に完成予定となっております。
 また、広域農道紀の川右岸、岩出─橋本間が本年五月をもって全線開通いたしますとともに、左岸地区についても既に工事着手いたしております。
 今後、府県間道路の事業促進を図りつつ、新たに紀南縦貫林道の整備に着手することとし、県内陸部における県土軸の一層の整備充実を進めてまいります。
 さらに、白浜有料道路を本年四月から無料開放することといたしております。
 一方、鉄道につきましては、本年度実施いたしております調査結果を踏まえ、高速化など輸送改善方策、さらには鉄道を活用した地域の活性化方策についても検討を行うことといたしております。
 また、第二国土軸構想の推進につきましては、推進協議会で国家プロジェクトに位置づけられるよう調査を行うとともに、紀淡海峡ルートにつきましては、建設省においても第十一次道路整備五箇年計画(案)に「紀淡連絡道路の事業の具体化を図る」と位置づけされ、早期実現に向け大きく前進しておりますので、引き続き国等に強く働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、海と空の交通網の整備につきましては、和歌山下津港と日高港の港湾整備計画の促進を図るとともに、現在開発中の超高速貨物船テクノスーパーライナー(TSL)の県内での国際複合拠点整備の調査を進め、基地の誘致に取り組んでまいります。
 また、南紀白浜空港につきましては、早期開港に向け全力を挙げて取り組んでおり、本年度は本格的な盛り土工事にかかってまいります。
 次に、昨年十二月に大阪湾ベイエリア開発のグランドデザインの実現のため大阪湾臨海地域開発整備法が成立いたしたのに伴い、近く国において示される基本方針に基づき、関係市町村等の意見を聞き、本県の整備計画の策定を進めてまいります。
 また、地方拠点都市地域の指定につきましては、先月、田辺・御坊地域の関係資料を総合窓口である国土庁に提出いたしたところであり、今後、関係省庁との協議を行い、当地域を指定していきたいと考えております。
 さらに、新宮・東牟婁地域を中心に、地元のご協力をいただきながら、熊野地域の資源を最大限に活用し、長期的視点に立った将来構想やその実現に向けての熊野地域活性化計画の策定に取り組んでまいります。
 第二の柱は、「すこやかな社会づくり」であります。
 県民の皆様の健康を支える看護職員の充足対策として、紀南地方では平成七年四月開校を目指し、新宮市に紀南地方看護婦養成所の建設を進めるとともに、紀北地方では平成八年四年開校を目指し、看護短期大学建設のための実施設計にかかってまいります。
 また、現在大きな社会問題となっておりますエイズ対策につきましては、正しい知識の普及啓発を積極的に行いますとともに、保健所での検査体制とカウンセリング体制の充実を図り、医師の判断による検査の無料化を実施してまいります。
 さらに、かねてより県立医科大学附属病院において白血病等の治療のため骨髄移植を実施すべく医療スタッフの養成等に努めてまいりましたが、体制が整いましたので、診療機器等の整備充実を図り、本治療の実施に踏み切ることといたしております。
 また、本県の医療拠点施設としての県立医科大学の移転整備につきましては、来年度着工を目指し、本年度は実施設計に入ります。
 次に、長寿社会への対応であります。
 県民の皆様に長寿社会、高齢化問題について正しい認識、理解を持っていただくための啓発キャンペーンを昨年に引き続き実施するほか、本県の喜の国長寿保健福祉プランに沿ってホームヘルパー、ショートステイ、デイ・サービスをさらに拡充するとともに、昨年開所した介護実習・普及センターにおいて老人介護の知識の普及や介護技術向上のための研修等を行うなど、在宅老人福祉サービスをますます充実してまいります。
 次に障害者対策でありますが、国連・障害者の十年終了後における長期的展望に立った総合施策を推進するための第二次障害者にかかる長期行動計画を策定するとともに、障害者の社会参加をより促進するため、障害者が容易に利用できる施設を紹介する和歌山福祉ガイドマップの制作や精神薄弱者通所授産施設の整備を行うことといたしております。
 また、障害者及び児童福祉対策といたしまして、近年の複雑化、多様化する相談ニーズに対応した障害者及び児童の一貫した相談体制の確立と県民に開かれた総合施設として活用するため、身体障害者福祉センター及び中央児童相談所の統合整備を進めてまいります。
 次に同和問題についてでありますが、昨年一部改正され五カ年延長された地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の二年目に当たり、法期限内で残された課題を解消するためにも住環境整備等に積極的に取り組み、また同和問題の早期完全解決のため、教育啓発活動や産業就労対策につきましても強力に推進してまいります。
 第三の柱は、「やさしい生活環境づくり」であります。
 県民生活の質の向上を図り、快適で住みよいふるさと和歌山をつくっていく各種施策に重点配分を行うため、昨年度より新しく設けました県民生活環境整備重点化枠につきましては、緑と花づくり県民運動の推進、水辺に親しめる空間を創出するための河川、海岸の護岸整備や水辺の拠点づくり等、大幅な拡充を図ったところであります。
 また、過疎地域の下水道事業を推進するため、公共下水道事業に係る処理場建設を県が代行する制度を設けております。
 さらに、人と自然が共生する総合的な環境施策のあり方を示す環境管理計画の策定や、ごみ減量、再資源化の積極的な推進を図る再生利用等推進基本計画を策定するとともに、シンポジウムの開催等、各種啓発活動を実施してまいります。
 次に、憩いの場としての公園等の整備であります。
 まず、自然を身近に体験できる森林公園として整備を進めておりました護摩壇山ワイルドライフが本年春にオープンいたします。今後は周辺に日本一のシャクナゲ園の造成等を進め、山のリゾートのメッカとしてまいりたいと考えています。
 また、健康運動公園として整備を進めております和歌公園につきましては、その中核施設として、健康の維持増進に役立て、また万葉時代の背景、風土の紹介や万葉の世界が体験できる健康館、万葉館の建設を進めてまいります。
 さらに、本県の持つすばらしい自然はひとしく県民の貴重な財産であるとの考えから、田辺南部海岸県立自然公園内の天神崎の民有地買い上げに対する助成等も行うことといたしております。
 次に県民の暮らしの安全の確保でありますが、暴力団の排除を強化するため特別捜査隊を設置するとともに、職員の増員を図ったところであります。
 また、地域警察としての派出所、駐在所の機能を高めるため、相談員の設置やテレビ電話等を導入いたしております。
 第四の柱は、「こころ豊かな人づくり」であります。
 まず、学校教育の充実でありますが、より行き届いた教育を実現し、教育水準の向上を図るため、高等学校における四十人学級を八校から二十校に拡充するとともに、特色ある学校づくりの一層の推進を図るほか、産業教育に対する理解と協力を得るため、生徒の学習成果を紹介する産業教育フェアを開催することといたしております。
 また、和歌山市内及び周辺地域の重度肢体不自由児を対象とする高等部の学級を紀北養護学校に新たに設置いたします。
 次に、青少年の健全育成を推し進めるため、新たに社団法人和歌山県青少年育成協会に青少年育成基金を造成するとともに、女性の社会参加の促進を図るため、本県の名称、地名でもある「和歌」を全国募集し、女性による「平成女性和歌集」を編さんすることといたしております。
 また、本県文化を発信する新たな拠点として、また生涯学習を推進する中核施設として建設を進めてまいりました新図書館、文化情報センター、文書館の複合施設が本年三月末に完成し、「きのくに志学館」の愛称で、七月三十日、開館いたします。
 なお、新美術館、新博物館の建設も順調に進んでおり、来年三月には工事が完了する予定であります。
 次に、国際化への対応として、和歌山操車場駅跡地に県民の健康・福祉増進の拠点として建設いたします総合健康・福祉センターとあわせて、国際的なイベントやスポーツ大会等が開催できる多目的ホールを建設することとしており、本年度には基本設計と一部実施設計に取りかかりたいと考えております。
 このうち、多目的ホールの建設につきましては、民間の英知と創造性あふれたすぐれた作品を求めるために指名設計競技を実施することといたしております。
 また、先月、知事が来県されたフランスのピレネーオリアンタル県との友好提携を推進するとともに、外国人が訪れやすい、住みやすい町づくりを目指した国際交流ボランティア登録制度の確立、活用を図ってまいります。
 第五の柱は、「たくましい産業づくり」であります。
 まず、国内経済が引き続き低迷する中で県内の経済動向を見てまいりますと、住宅投資や公共投資に下支えが見られるものの、昨年からの個人消費の減退、民間設備投資の回復のおくれが目立ってきております。具体的には、大型小売店の販売額や新車登録台数の落ち込み、企業倒産件数の増加など、各種経済指標も依然として低調であり、県内景気は非常に厳しい状況にあると考えております。
 そういう景気の停滞といった経済情勢にあって、融資制度全体の融資枠を大幅に拡大するとともに、最もそのしわ寄せを受ける中小企業者への低利の特別融資制度として、緊急経営資金特別融資制度の創設や旅館など宿泊を伴う観光施設の改修資金を融資するための制度を設けております。
 また、県内産業の振興を図っていくためにも、県内各地でその受け皿となる工業団地の造成を引き続き積極的に行ってまいります。
 さらに、地域産業の振興を図るため、工業技術センターを産業技術の中核的支援施設として整備することとし、研究交流棟の建設に引き続き、本館の新築を進めてまいります。
 次に農林水産業の振興でありますが、消費者ニーズの多様化や産地間競争の激化に対応するため、省力選果システムの導入等による産地の条件整備、特産果実や高品質果実の栽培技術の開発、黒潮フラワーエリアの推進のための和歌山フラワーフェスタの開催、熊野牛のブランド化、資源管理型漁業の推進など、省力化、特色ある産地化の推進を図ってまいります。
 また、農業集落排水施設や新山村振興農林漁業対策等、農山村、漁村の環境整備や基盤整備に積極的に取り組んでまいります。
 なお、近年、林業従事者の減少や高齢化が進む中で森林の有する多様な公益的機能を今後とも維持していくため、森林整備担い手基金を創設するとともに、林業労働者の確保、育成を図る総合対策を実施することといたしております。
 以上の施策のほか、世界リゾート博開催期間中の和歌山市及びその周辺地域の交通渋滞が予想されることから、交通誘導システムの導入やそのルート整備を緊急に行うとともに、国道四十二号、毛見一号交差点において、右折車がスムーズに通行できるよう高架式の右折車線を設置いたします。
 また、有田総合庁舎及び岩出警察署の新築工事を進めるとともに、和歌山西警察署建設のための設計に取りかかってまいります。
 以上が、予算案の主な内容であります。
 この結果、平成五年度一般会計の総額は四千九百七億七千百余万円、対前年度三・〇%増となったところであります。
 なお、あわせてご提案申し上げている特別会計予算は総額九百十六億五千五百余万円、企業会計予算は二百三十六億五千余万円となっております。
 次に、平成四年度補正予算の主なものについてご説明申し上げます。
 まず、一般会計の補正総額は九十億七千九百余万円の減額となりますが、その主な内容としては、災害復旧事業等の減額や県債管理基金への積み立て等であります。
 また、特別会計では六十八億千三百余万円の減額となり、企業会計においては六十一億五千二百余万円の減額となっております。
 続きまして、条例案件についてご説明申し上げます。
 本議会に提出いたしました条例案件は二十三件でありますが、以下、その主なものについてご説明申し上げます。
 まず、議案第四十号及び第五十八号は、県立図書館等の完成に伴い、文書館の設置、図書館の移転及び文化情報センター設置のための規定の整備等を行うものであり、議案第四十一号は、情報公開制度を実施するため、公文書の開示に関し必要な事項を定めるものであります。
 議案第四十二号、第五十七号及び第五十九号は、それぞれ教育委員会事務局、公営企業、県立学校等の職員及び警察職員の定数、定員を定めるものであります。
 また、議案第四十三号及び第六十号は教務手当等職員の特殊勤務手当の額の改定等を行うものであり、議案第四十五号は、県立自然公園特別地域内の高山植物等を採取または損傷する行為について知事の許可を必要とするための改正であります。
 議案第四十七号、第五十号、第五十二号及び第六十二号は、昭和六十年から七年以上、実質的に据え置いておりました使用料及び手数料等を改正するのが主な内容であります。
 また議案第四十八号は、林業従事者の労働安全衛生充実、技術・技能向上等、森林労働環境の充実を図るための基金を設けるものであり、議案第四十九号は護摩壇山森林公園の完成に伴うものであります。
 議案第五十五号は県営住宅の収入超過入居者に対する割り増し賃料の額の上限を廃止するための改正を行うものであり、議案第六十一号は有料道路事業の廃止等に伴う改正であります。
 次に、その他案件といたしましては九件でありますが、議案第六十三号及び第六十四号は建設事業施行に伴う市町村負担金について、それぞれ議決をお願いするものであります。
 また、議案第六十八号は財産の取得であり、議案第六十九号及び第七十号は工事請負契約、議案第七十一号は同変更契約の締結であります。
 このほか、諸報第一号は地方自治法第百八十条第一項の規定による知事専決処分報告であります。
 最後に、法人の経営状況を説明する書類を別途提出いたしております。
 以上で、提出議案に対する私の説明を終わります。何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(馬頭哲弥君) 以上で、知事の説明が終わりました。
 ご参考までに、ただいまの知事説明要旨を配付いたします。
 〔「知事説明要旨」配付〕
○議長(馬頭哲弥君) 配付漏れはありませんか。──配付漏れなしと認めます。
○議長(馬頭哲弥君) 次に、お諮りいたします。明三月一日から三月五日まで及び三月八日を議案調査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) ご異議なしと認めます。よって、三月一日から三月五日まで及び三月八日は休会とすることに決定いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 次会は三月九日再開し、質疑及び一般質問を日程といたします。
○議長(馬頭哲弥君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午前十一時四十九分散会

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