平成4年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(木下義夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時四分再開
○副議長(大江康弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(大江康弘君) この際、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
 職員に公文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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 財第279号
 平成4年12月10日
 和歌山県議会議長 馬 頭 哲 弥 殿
  和歌山県知事 仮 谷 志 良
  和歌山県議会平成4年12月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
 議案第 156号 平成4年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第 157号 平成4年度和歌山県立医科大学特別会計補正予算
 議案第 158号 職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第 159号 教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第 160号 警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第 161号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第 162号 企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
 議案第 163号 工事請負契約の締結について
 議案第 164号 工事請負契約の締結について
 議案第 165号 工事請負契約の締結について
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○副議長(大江康弘君) お諮りいたします。ただいま報告いたしました議案第百五十六号から議案第百六十五号までを本日の日程に追加し、直ちに議題といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(大江康弘君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
○副議長(大江康弘君) 議案第百五十六号から議案第百六十五号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明申し上げます。
 まず、今回追加提案いたしましたのは、職員等の給与改定に伴う補正予算案及び関係条例の改正であります。去る十月十六日、県人事委員会より職員の給与改定に関する勧告を受け、本年四月一日から実施するため所要の措置を講ずるものであります。
 予算案件としては、給与関係経費といたしまして一般会計で十四億五千百余万円、特別会計につきましても所要の補正予算を計上いたしております。
 また、議案第百五十八号から第百六十二号をもって給与関係条例の改正をお願いいたしております。
 次に、その他の案件といたしまして、議案第百六十三号から第百六十五号は工事請負契約の締結を行うものであります。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○副議長(大江康弘君) 以上で、知事の説明が終わりました。
○副議長(大江康弘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番木下義夫君。
 〔木下義夫君、登壇〕(拍手)
○木下義夫君 通告した順番に従いまして、質問をさせていただきます。
 まず初めに、産業社会の国際化に対応する県の施策についてであります。
 国際化社会、情報化社会、技術革新化社会の到来と言われて久しく、我が和歌山県を取り巻く環境も一日一日とそのようになってきている。二十一世紀への大プロジェクトと言われている関西国際空港の開港が平成六年夏とあと一年半後に迫っており、それに付随する事業もだんだんと進んでいる。
 和歌山マリーナシティの埋め立て建設も順調に進んでおり、一九九四年七月十六日から九月二十五日までの間、「ウエルネスWAKAYAMA 世界リゾート博」が開催され、その準備も着々と進み、先日、入場料金の発表までされる運びとなっている。その後、松下興産を中心にして、国際化、情報化、技術革新化に対応したすばらしい地域をつくるために和歌山マリーナシティにリゾート施設を中心とした町づくりをすることになっており、大変うれしいことであると思います。
 また、産業社会の国際化に対応するため我が和歌山県は、仮谷知事を中心にし、国際連合地域開発センターと協力して、県下の各種団体と相携えて昨年とことし、国際会議を開催している。昨年はメガインフラ国際会議イン和歌山''91を、国連地域開発センターと県を中心として構成したメガインフラ国際会議イン和歌山''91和歌山県実行委員会とが主催して、十一月十三日から十一月十六日までの間、外国から九カ国十名の専門家の方々を招待し、国内の専門家も大勢招待して和歌山市を中心に開催した。
 専門家会議で、藤原治一郎・近畿通産局総務企画部長は、関西地域経済の近年の構造変化の概要と地域活性化をもたらす八百を超える主要プロジェクトについて講演し、秋武孝春・大和銀行総合研究所研究部長も、関西国際空港、主要地域プロジェクトとアジア太平洋地域経済との相互関連性について、「関西地域には関西国際空港、明石海峡大橋、関西文化学術研究都市、紀淡海峡トンネル等のプロジェクトがあり、東京一極集中是正の中で、関西とアジア地域の人事交流、技術交流が活発化してくる。和歌山県にはすばらしい伝統文化、歴史、宗教があり、関西国際空港開港を控えて和歌山県飛躍にとって大きなチャンスがある。これを実らせるためには、県内の交通アクセスの整備拡充と同時に西日本のプロジェクトとして第二国土軸整備を進めなければならない」と述べている。また、招待者の一人で私の友人であるシンガポール国立大学助教授のチア・リン・シェン氏は、チャンギ空港を例にして、空港設備、外国資本導入、メガインフラの整備、空港周辺とのリンク等がシンガポールの今日の発展に大きな役割を果たしたこと、シンガポールではメガインフラを整備する場合、将来の需要予測、周辺整備とのリンクを大切にして、需要よりも供給が先であるとの考え方で進めているとの意見発表があった。
 ダラス・フォートワース空港開発機構企画開発部長のリチャード・G・ペティット氏は、「国際ハブ空港がもたらす周辺地域開発の誘発」ということで、内陸に無からつくり上げたダラス空港は大成功で、今も成長を続けており、関西国際空港の全体構想はぜひとも必要であると述べているのであります。
 本年は、同じく国連地域開発センターと新たに田辺市と近畿大学が入った和歌山実行委員会との共催で、国際産業開発会議''92和歌山を十一月十六日から二十一日までの間、和歌山市、紀北、紀中、田辺、白浜を中心にして開催した。外国からの招待者十二カ国二十三名及び国内の専門家を招待してすばらしい会議が開催されたことについて、仮谷知事初め関係者の皆さんに心から感謝と敬意を表したいと思います。
 基調講演では、NHK国際部衛星放送ニュース編集長・渡辺光一氏が「新しい時代を迎えるアジアへの期待」と、オーストラリア・モナッシュ大学公共政策研究所長のゴードン・L・クラーク氏が「国際社会におけるものづくりの重要性」について講演し、またパネルディスカッションで上野皓司・和歌山大学経済学部教授は「和歌山県の企業の国際化と今後の展望」として、「貿易、企業設立、資本参加、技術提携といった形で海外との交流を深め国際化に取り組んでいるが、情報収集力の不足、交通事情は現状として不便(将来は関空に期待)、資金力の弱さ、人材の確保育成の困難性、公的助成に余り恵まれていないという実態であり、今後、西太平洋圏域への進出、交流は地域間の均等な発展と安定をもたらす重要なかぎとなる。そのための条件としては、労働力(知的企業への適応性)、自然条件、社会環境(治安、生活文化、習慣)、制度(法律、人的交流)、受け入れ態勢、現地での企業との競合、政治情勢がある。そして交流拡大のための課題としては、相互理解、出入国体制の確立、安心できる公的な情報提供システム、情報ネットワークの整備等がある」と言っている。
 十一月二十日、田辺市でもオープンフォーラムが開催され、約百五十人の参加があり、田辺地域ではこのようなすばらしい国際会議が開催されたのは初めてで、出席者の方々は非常に喜んでおり、毎年開催されることを望んでいました。
 今申し上げましたように、二年間にわたって国連地域開発センターと和歌山県が中心となってすばらしい国際会議を開催した。そこで、仮谷知事初め企画部長にお尋ねをいたしたいと思います。
 一、このような国際会議を開くことになったきっかけ。
 二、MIC和歌山''91の報告書に「関西国際空港のインパクト─世界との交流を目指して」とあるが、この二回の国際会議のもたらした効果と今後の発展の見通しについて。
 三、私はこの二回の国際会議はすばらしいものであり、必ずや和歌山県に大きな効果をもたらすものと信じ、引き続き毎年開催すべきであると思うがいかがか。
 四、和大の上野皓司教授も和歌山県の企業の国際化と今後の展望について、情報収集力の不足、資金力の弱さ、人材確保・育成の困難性、公的助成に余り恵まれていない等、その困難性について述べられている。これらの諸問題を解決しなければ産業社会の国際化に効果的に対応できないとの意見発表があった。このことについてどのように考え、今後どのようにしていくかについて知事の所見をお尋ねいたします。
 二点目、特急くろしおの関西国際空港への直接乗り入れについてであります。
 関西国際空港も関係者の努力でいよいよ平成六年夏開港の運びとなり、和歌山県においてもそれに対応すべき各種プロジェクト、和歌山マリーナシティの建設、世界リゾート博の開催、コスモパーク、南紀新白浜空港の開設等に取り組んでいるところであり、着々と進んでいるのは大変喜ばしいことであります。
 関西国際空港へのアクセスは陸・海・空にわたり、その中で一般県民に手軽に利用されるのは鉄道であると思います。この問題について以前から種々論議がされており、また十二月八日、森議員から質問がありましたが、私も質問をさせていただきたいと思います。
 先般から、各種マスコミによって関西国際空港への鉄道アクセスについての報道がなされている。そのこと自体は大変よいことだと思いますが、それに対応した対策をとらなければ、和歌山県にとって大変なことになると思います。
 例えば、平成三年八月十三日の毎日新聞夕刊によれば、京都駅に国際線搭乗窓口を設置し、関西国際空港へ直通列車を運行することについてJR西日本と日本航空とが合意したと報じられている。JR西日本と日本航空は、平成六年に改築されるJR京都駅に国際線搭乗手続の窓口を設置することに同意、近く開設に関する覚書を交わすことになった。その場で手荷物を預かるなど、空港窓口が出張する形で、JRは直通列車を運行する。京都駅の改築完成が平成六年となり、広くなる京都駅に窓口を設けて、空港アクセスのサービスアップと合意している。
 計画によると、カウンターなどの設備は駅の地下一階に設けて、ここで海外旅行客は航空券とパスポートの確認を済ませて搭乗券を入手する等、非常に便利になる。空港─大阪─京都と直通列車が運行されることになると、その利便性は非常によくなり、海外からの観光客、国内主要都市からの観光客は、乗りかえがなく手荷物が到着駅で受け取れる等、非常に快適そのものであるので、必然的に大阪、京都へ流れていくことになる。和歌山県へ一番近い、そして非常に期待の大きい関西国際空港への鉄道アクセスは、JR西日本、南海電鉄と二つのルートがあるが、今のところ関西国際空港への直接乗り入れ計画がどのようになっているか明確でなく、私自身だけでなく関係者も大きな不安を抱いている。
 田辺からJR西日本を利用して関西国際空港を利用しようとすれば、現状では和歌山駅でおりて阪和線に乗り、日根野駅で乗りかえて空港に行くか、天王寺までくろしおに乗って、天王寺から空港行きの直通列車に乗るかである。天王寺まで行って空港に行くのは時間的、経済的に大きなロスであり、現状では、和歌山駅下車、阪和線に乗りかえて日根野駅で下車、そして空港線に乗りかえるという複雑な乗りかえをしなければならない。大きな手荷物を持っている場合や高齢者の方々には大変なことになる。
 一方、海外や国内主要都市から来られた方々も、大阪、京都行きにはスチュワードサービスを受けられる列車がある一方、何回も乗りかえなければ和歌山県内に行けない場合、特に観光客やよりフリーな方々は当然のこととして京都、大阪に行ってしまい、観光客の誘致、産業の活性化等、和歌山県の活性化にとって致命傷になる。また南海電鉄も、泉佐野で乗りかえなければならず、非常に不便である。
 先日、JR西日本和歌山支社へ行ってこのことを話し、和歌山県にとってもJR西日本和歌山支社にとっても大変なことになるので、その対策を立てるべきだと話をした。くろしお特急が関係者の努力によって京都、新大阪への乗り入れが実現し、そのことが和歌山県の活性化、特に観光客の誘致に大きな効果をもたらしているのは周知のとおりであります。
 そこで、くろしお特急を日根野駅で停車させ、そのうち何両かの車両を直接関西国際空港へ乗り入れられるようにしなければならない。JR西日本の関係者の話では、このことはわかっているが、今のところ本社の方も需要等いろいろ言うので弱っているとのことでありました。
 そこで、仮谷知事及び企画部長にお尋ねいたします。
 くろしおの日根野駅停車、関西国際空港への直接乗り入れ、南海の泉佐野停車、空港への直接乗り入れの現状と将来の見通しについて。そして、このことは和歌山県にとって非常に大きな問題であろうと思うので、和歌山県の官民挙げて熱心に運動しなければならないと思う。そこで、和歌山県輸送力強化促進委員会という官民で構成している委員会もあるので、それを活用して運動すべきであると思うが、今までどのような運動を展開してきたか、今後どのように運動を展開していくかをお教えいただきたいと思います。
 第三点は、公立高等学校における教育行政についてであります。
 平成二年十二月県議会で、公立高等学校における管理職のリーダーシップについて質問をし、それに対して当時の教育長より、校長がリーダーシップを確立し、教員が教育に対する情熱と専門性を高め、学校が一丸となって教育実践に当たるよう指導してまいる所存であると、力強い答弁をいただいている。
 変化の激しい社会に対応して、より効果的な教育を行って魅力ある高等学校教育をするために、高等学校教育の多様化、個性化をより一層図らなければならない。
 よく言われますように、教育には不易と流行という言葉があるように、寺子屋時代の教育から今日の教育にも通用する人格の形成という不易の部分を大切にしながら、時代や社会の変化に弾力的に対応する流行の部分、すなわち社会や時代が変化する中で公立高等学校に対する世間の見方が変わってきているのであります。
 このことに教育委員会は気づいて、次のような対応をしている。一つは四十人学級の編制であり、本年は八校、来年度は十二校で実施しようとしている。二つ目は、時代に即応するため、単位制を青陵高校、紀の川高校、南紀高校で実施している。三つ目は、旧来の学科を廃止して、本年度は熊野高校には森林科学、御坊商工には電子機械科、新宮商業には会計科及び情報処理科、来年度では南部高校には服飾デザイン科、向陽高校には環境科学科、新宮高校は建設工学科を設置しようとしている。このことは大変すばらしいことであるが、新しい学科を設置することにより学校運営がより複雑化、困難化されてくるので、より一層校長を初めとする管理職に人事権と予算権を与えなければ、仏つくって魂入れずになり、魅力ある学校運営ができず、社会の変化に対応できなくなり、生徒激減期においてますます公立学校離れが起きてくると思う。
 そこで、平成二年十二月県議会での当時の教育長の答弁に対して、その後、校長及び管理職の権限確立についてどのような施策を行ってきているか、また学校経営の重要なポストである主任等の任命に当たっては、その任にふさわしい人材が適切に選任されているかについても答弁を願います。
 次に、教育効果を上げるための授業日数の増加についてでありますが、平成三年九月県議会で阪部議員が取り上げ、教育長が先頭に立って授業日数の増加について努力し、効果を上げていることについては敬意を払いたいと思います。しかし、授業日数が増加したが、それに伴って授業時間も増加しているか、また、今後、授業時間についてどのような対策を立てるべきだと思うか、答弁を願います。
 また、高等学校で二学期制を導入することも教育効果の向上の一つとして考えられ、桐蔭高校、向陽高校について採用されているが、二学期制の効果と今後二学期制実施の見通しについてお尋ねをいたしたいと思います。
 最後の問題に移りますが、高齢化社会における福祉施策についてであります。
 この問題については毎回県議会で論議されているところであり、昨日も吉井議員が質問をしておりました。私自身も何回か質問したことがありますが、ますます深刻化している老人介護の問題について質問をいたしたいと思います。
 いつも元気な友人が最近余り元気がないので尋ねると、お母さんが痴呆性の老人病になり、夜・昼は間違うし、朝早くから外出するので夜もゆっくり寝られず、家族一同困っていると言う。老人施設にお世話になったらどうかと言うと、できるだけ自分たちで介護したいと頑張っていると言う。このおばあさんは家族に見てもらえて幸せだなと思う反面、このご家族のご苦労は大変なものだと思います。
 このようなことは世上非常に多い。例えば、母子二人で、一人は働きに行かなければ生活ができないが、お母さんが老人性痴呆性にかかって大変だという家庭も多い。
 現在、県、市町村、民間の方々が一生懸命になって特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、老人保健施設を設置して老人の介護、養護に取り組んでいるが、介護されている老人よりもなお一層要介護老人の方が多く、社会生活、家庭生活面で大きな支障を来している現状であります。
 そこで、今後の老人福祉施策について民生部長にお尋ねをいたしたいと思います。
 一番目は、県の高齢者の動向と独居老人及び老人家族の動向についてであります。
 二番目は、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、老人保健施設の設置状況と各収容者数についてであります。
 三番目は、各地域における入居希望待機者数及び待機期間とその対応策についてであります。
 四番目は、高齢者の介護を行うと点数が記録され、将来その分の介護を自分が無料で利用できる時間貯蓄制が広まっており、貯蓄好きの日本人の気質に合致して、ボランティア活動への呼び水にもなっているようである。法務省官房長を退任した堀田力氏が所長になって旗上げをした「さわやか福祉推進センター」が時間貯蓄制を取り入れたボランティア団体の全国ネット化に乗り出し、厚生省も研究会を発足させて高齢化社会に備える新システムとして注目されている。この制度を和歌山県にも大いに取り入れてボランティア活動を活発化すべきだと思うが、このことについても民生部長の見解をお尋ねいたします。
 以上で、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(大江康弘君) ただいまの木下義夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下議員にお答え申し上げます。
 国際会議開催のきっかけでございますけれども、お話ございましたように、関西国際空港の開港を間近に控え、和歌山県を二十一世紀の新たな国際交流拠点にしなきゃならないし、また国際理解の涵養に努めなければならないと考えておるわけでございます。
 平成二年度に県の職員を国際連合地域開発センターに派遣いたしまして、国際連合センターとの連携を図るとともに外国との人的交流を図ってまいりたいと、現在進めつつあるわけでございます。
 そうした中において、国際連合センターと共同でこのたびの会議を開催した次第でございまして、今後とも国際会議等、種々の国際イベントの開催についても積極的に対処してまいりたいと思っております。
 それから、県内の企業の国際化と今後の展望についてでございますけれども、社会の大きな流れは国際化が進みつつあるわけでございます。中でも経済の分野における国際化が最も速く進展しているのが現状でございまして、県内の企業を見ても数多くの企業が海外へ進出しており、特に最近においてはアジア付近を中心にして海外進出が非常に多いわけでございます。
 こうした流れの中で、県としては、地場産業、中小企業の海外進出、海外商品の調達等の取り組みに対し、中小企業情報センター、また和歌山経済国際化センターにおいて、海外取引に関する相談事業や海外取引情報の提供、また海外取引実務研修等、積極的に努力しております。
 また、海外市場への進出の助成として、国内外の新しい販路の開拓、貿易の振興を図るための大阪、東京の国際見本市や軽工業を中心にしたドイツのフランクフルト・メッセ及び香港のレザーフェアに参加し、県内企業の国際的地位の向上を図っておるところでございます。
 今後、関西国際空港の開港、世界リゾート博の開催を間近に控え、より一層国際化が進展してまいるものと考えておるわけでございまして、国際化にも十分対応できる企業を育成していくという観点から、中小企業情報センターや和歌山経済国際化センターの充実、情報力の強化を図るとともに、企業の技術力の向上、人材育成、新商品の開発等の事業をより積極的に進めてまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、特急くろしおの関西国際空港への直接乗り入れについての現在までにやってきたこと等でございます。
 関西国際空港へのアクセスについては、空港建設以来、本県からの鉄道、バス、タクシー等、複数の交通機関による利便性の高いアクセスを確保するため、機会あるごとに運輸省、JR、南海電鉄に対して要望をしてまいったところでございます。
 特に、官民一体となってこれを進めなければならないじゃないかと。お説もっともでございまして、輸送力強化促進委員会の協力を得て、積極的に相ともに努力してまいりたいと思っておるところでございます。
○副議長(大江康弘君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) まず、国際会議に関するご質問にお答えいたします。
 国際会議の効果等についてでございますが、昨年度のメガインフラ国際会議に引き続き、本年度も国際連合地域開発センターと共催で国際産業開発会議を開催し、海外十二カ国二十三名を含む内外の専門家約五十名を迎え、地域産業と国際化について五日間にわたって意見交換を行ったところでございます。
 今回の国際会議においては、初めて田辺市においてもオープンフォーラムを開催する等、県民の皆様に国際会議を身近なものとして広く参加していただくとともに、県内各地の地域産業の視察を通じ、産業交流を図ったところでございます。
 また、当会議においても人的ネットワークが重要であることが強調されましたが、国際会議を契機として国内外からの参加者と本県との交流が盛んとなり広がっていくことは、人的交流を進める上で大きなインパクトになるものと考えてございます。この国際会議開催という貴重な経験を生かし、今後とも本県の国際化の推進に各部局ともども努めてまいる所存でございます。
 次に、国際会議の継続についてでございますが、先ほど知事がお答えいたしましたように、国際連合地域開発センターとの人的交流により、同センター二十周年記念事業の一環として昨年度メガインフラ国際会議を誘致し、本年度はまた同センターの産業開発ユニットと本県との二カ年にわたる共同研究テーマである環太平洋地域産業開発プロジェクトの総仕上げの会議として、本県で開催したものでございます。
 同センターとの連携は引き続き継続し、人的交流及び地域振興における調査研究等については今後とも進めてまいりたいと考えてございます。こうした調査の進展の過程で、国際会議開催等についても検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、JR特急くろしお号及び南海電車の関西国際空港への直接乗り入れについてでございますが、鉄道は大量輸送、定時性という利点を持っており、こうしたことからJR西日本、南海電鉄に対し、スイッチバック方式等による直接乗り入れについて強く働きかけを重ねてまいったところでございます。
 議員ご質問のJR日根野駅構内でのスイッチバック方式による列車の運行は、技術的には可能となってございます。また、泉佐野駅における連続立体交差事業の用地取得について、一部困難な箇所もあると伺ってございます。
 いずれにしても、運行実施に当たっては、旅客需要などの不確定要素もございますが、県民の利便性や本県の観光・産業の振興を図る上でも重要な問題でございますので、輸送力強化促進委員会等のご協力もいただきながら、今後とも、国初めJR西日本、南海電鉄等に対してより幅広い活動を展開してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 高齢化社会における福祉施策についてお答えをいたします。
 まず、県の高齢者の動向と独居老人及び老人家族の動向についてであります。
 県調査による本年四月現在の高齢者の人口は十七万五千七十三人で、全人口の一六%を占めており、全国平均の一三%に比べて三ポイント程度高くなっております。また、平成二年の国勢調査によると、本県の高齢者のいる世帯の割合は三五%で、全国平均の二六・四%を相当上回っております。さらに、高齢者のいる世帯のうち、ひとり暮らし世帯の割合は一九%、夫婦のみの世帯の割合は二二・一%、合計すると四一・一%であり、高齢者のいる世帯の約四割がひとり暮らしまたは夫婦のみの世帯であるという状況でありまして、全国平均の三五・七%に比べ五・四ポイント程度高くなっております。
 次に、特別養護老人ホームなどの施設の設置状況と収容者数でございます。
 現在、特別養護老人ホームは三十六施設、二千三百八十五床で満床となっています。養護老人ホームについては十四施設、千床でございまして、約九割の九百五人が入所してございます。老人保健施設については、保健環境部の所管ではございますが、十一施設で八百八床でございまして、おおむね各施設とも満床となっている現状でございます。
 続いて、各地域における入所希望者の待機状況とその対応策でございますが、特別養護老人ホームの待機状況については、紀北地域で三百五十九人、紀中地域で六十三人、紀南地域で百二十七人となってございまして、福祉事務所単位では最も多いのが和歌山市の三百九人、最も少ないのが海草郡の三人となっており、地域の格差がございます。待機期間については、一週間程度の地域もありますが、入所まで数カ月を要している地域もございます。
 県では、特別養護老人ホームについては、国のゴールドプランの水準を二五%上回る整備目標を立てており、今後は待機者の状況や、あるいはまた地域バランス等を考慮しながら、その重点的な整備を進めてまいりますが、あわせて老人保健施設の一層の整備促進を図るとともに、ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイ等、在宅サービスを強力に推進してまいる所存でございます。
 最後に、ボランティア活動の時間貯蓄制の実施でございます。
 高齢化社会が急速に進行する中、今後ますます要介護老人の増加が見込まれ、介護に広く住民の皆さん方の参加が求められているところでございます。
 こうした高齢者の介護ニーズに対する一方策として、議員ご提言のボランティア時間貯蓄制度を採用する団体が全国的にふえつつある状況にございます。しかしながら一方では、貯蓄した時間で将来受けることのできるサービスや看護マンパワーを確保できるのかといった問題等について十分検討すべきであるという意見もございます。
 このようなことから、議員ご意見のとおり、現在、厚生省においても団体相互間の流通等の問題点について研究が進められているところでございますが、県としては、国のこういった検討の推移を見守るとともに、今後、行政として本制度にどのようにかかわっていくべきかなどについて十分研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 学校における管理職の権限確立など、三点についてお答えいたします。
 今日の変化の激しい社会にあって、学校教育に対する県民の期待はますます強くなってきております。こうした時期だけに、学校長は確固たる教育理念を持ち、教育者としての権威を高め、リーダーシップを発揮することが従前にも増して求められてございます。
 教育委員会としては、前回議員にお答えしたことをも踏まえ、その後さまざまな取り組みをしてきているところでございます。
 研修については、新任校長研修講座や教育経営研修講座等において、校長の職責を確認するとともに、法規に基づく管理演習を行うなど、その充実に努めてきております。また、従前から行ってきた学校訪問に加え、本年度から新たに総合指導訪問等を実施しており、教育課程の編成など、それぞれの学校の持つ教育課題に応じてより具体的な指導助言を行っているところであります。
 校長は校務をつかさどり所属職員を監督する職責にあることから、主任の任命をも含め、校内の人事に全責任を持つことはもちろん、教職員の進退について法令に基づき意見具申を行える立場にございます。教育委員会としては、管理職の登用や人事異動に当たって、教育長ヒアリング等を実施することによって校長の意見具申が十分に反映するよう努めているところでございます。
 特に、議員ご指摘の主任等については、教育に対する豊かな経験と高い見識を有し、校長の行う学校経営に対して積極的に協力するとともに、関係教職員に対し指導助言のできる人材を任命して、適材が適所に配置されるよう指導してまいります。
 次に、授業の日数及び授業時数の確保についてでありますが、本年度は学校週五日制の導入という中にあっても、平成三年九月議会でお答えしたときよりも平均授業日数は全日制において十八日増加し、二百十四日となっております。また、各学校においては学校行事を精選したり始業式や終業式当日にも授業を実施するなど、さまざまな工夫を凝らし、授業時数の確保に努力しております。
 今後も、学習指導要領に定められた年間標準授業時数を確保するとともに、自習時間等の解消や一時間一時間の授業の充実を課題として指導していく必要があると考えております。
 最後に、二学期制についてでありますが、現在実施されている学校の状況を見ますと、一年を前期と後期の二期に分けることにより弾力的な教育課程の編成が可能となるとともに、夏休みなどの長期休業の前日まで授業が実施できるなど、特色ある教育活動が展開され、生徒は前向きに学習に励んでおり、今後大きな教育効果を上げていくものと期待しております。
 二学期制を初めとして、魅力と特色ある学校づくりを進めるために、学校長の強力なリーダーシップのもと、各学校が生徒や地域の実態に応じて主体的かつ意欲的に取り組み、県民の信頼と期待にこたえられるようさらに指導に努めてまいる所存であります。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 37番木下義夫君。
○木下義夫君 力強い答弁をいただいて感謝しているわけですが、二、三点、要望をさしていただきたい。
 民生部長については、和歌山県の現状を述べていただいたわけですが、大変な現状だろうと。これは今後、もっともっとスピードアップして高齢化社会になるんじゃなかろうかということでありますが、待機しているというのは──例えば特別養護老人ホームの場合は、よくなって家へ帰られるというケースよりもまた別なケースの方が非常に多いということで、まことに残念なことでありますから、その間、いわゆる家庭生活、社会生活における混乱、それによるロスというのは非常に大きいと思うんです。そのことを踏まえて今後とも介護政策をお願いしたいと思います。
 その場合、一策として、いわゆるボランティアで自分がやりやすいというのはこの時間制の問題だろうと思いますので、その点よろしくお願いいたしたいと思います。
 それから企画部長、くろしおの乗り入れ、南海電車の乗り入れなんですが、もうあと一年半後に関空の開港が近づいているわけです。もし今、私が担当者で、全国大会を和歌山県でやろうか、大阪、京都でやろうかといったときには、やっぱり一年ぐらい前から準備すると思うんです。そうすると、京都、大阪へはすっと行ける。ところが和歌山はどうやらわからんということになると、和歌山でやりたいと思っても、やっぱりやりづらいわけです。こういうことも踏まえて、今後より一層、今答弁いただいた輸送力強化促進委員会の皆さんにも協力していただいて、県民挙げて強力な運動を展開していただくことを要望したいと思います。
 それから、国際会議を開いていただいていろんな効果が上がっていると思うんです。国際化の芽がちょうど出たところだと思いますので、その芽を大事にしていただいて、今後大きな花を咲かせ、実をならすような施策と努力を重ねていただきたい、こういうふうに思います。
 教育長からも非常に力強い答弁をいただいたんですが、答弁は答弁として、実際非常に難しい問題もあろうかと思いますので、不退転の決意で進んでいただけますよう心からお願いして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○副議長(大江康弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下義夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(大江康弘君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十六分散会

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