平成4年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、順次お尋ねをしてまいります。
 初めに、関西電力における女性差別問題について伺ってまいりたいと思います。
 この具体的内容に入る前に、お断りとお願いをしておきたいことがございます。きょうは、この会場に関西電力の関係者の方もお見えになっていると推察をいたしますけれども、この具体的内容の中で、私は一人の女性の問題として発言をしているわけではございません。現在、その対象の女性は産休中であり、この年末には無事に元気な赤ちゃんが生まれるであろうということで大事に産休を過ごしていらっしゃいますし、続いて育児休暇を一年とられるということも聞き及んでいます。そういったことで、差別問題に触れるわけですけれども、この方が引き続いて、子育てをしながら一生懸命頑張る決意を持って現場に復職をされていくと確信いたしておりますが、ぜひともこの問題について、企業当局はもちろんのこと職場の皆さんたちも、これから頑張るというこの女性に温かい支援を送っていただき、その方を大事にしながら女性問題を考えていただきたい、この問題を取り上げた結果によって再び不利益な取り扱いがされないよう、殊にお願いをしておきたいと思います。
 では、始めていきたいと思います。
 ご存じのように、国連の女子差別撤廃条約が批准されて六年、男女雇用機会均等法が施行されて五年がたちました。しかし、職場における男女平等はまだまだ不十分でありますし、男女平等ということを口実に母性保護の権利が大幅に切り捨てられた現労基法などの問題も多々あります。これらは、結婚してもずっと働きたいという女性の願いとは相入れない現状にあることを認識していただきたいことを申し上げ、今回はそのことはさておき、時代錯誤かとも思われるような女性差別あるいはべっ視の状況が和歌山県を代表するような大企業の職場で日常茶飯事行われているという事実をここに申し上げ、県行政としての見解を伺うものです。この問題については十一月二十七日付の朝日新聞夕刊によって報道されておりますので、既にご存じと思います。
 事態は、関西電力の和歌山県内の営業所での出来事であります。真夏の八月のある日、妊娠中のA子さんは、妊婦用の制服がないため私服で勤務をいたしておりました。支店長の訪問の際、A子さんは私服でお茶を出したのです。支店長が帰った後に上司である営業所長は、職場のみんなのいる前で「着る服がないなら裸で歩け」、その上、「おなかの子供は男の子か女の子かわかっているのか」と尋ね、「わかりません」と答えると、「あなたほどしっかりして気の強い人はまず男の子に間違いないだろう」とか「人前で大きな腹をさらしてみっともない。そんな思いをするくらいなら、私は男に生まれてきてよかった」などと、実に乱暴な口調で嫌がらせが行われたというものです。
 A子さんはこのことが悔しくて悲しくて、眠れない夜が数日間も続いたそうです。まさにA子さんへの人権侵害に等しく、しかも女性に対する侮辱としか言いようがありません。私は、こういう管理職が職場にいることを非常に悲しく思いますし、このような上司がいる限り真の男女平等は実現しないであろうと、怒りを込めてこの壇上から訴えたいと思います。
 A子さんは、結婚する際にも、そして仕事を続けるに当たっても、この上司から数々の嫌がらせが退職させるためにありました。上司は、「会社をやめないと転勤さすぞ」とか、「共稼ぎをすると子供が不良になるから会社をやめた方がよい」とか、「夫が浮気をするから家にいる方がよい」などと、A子さんの親元まで電話をして「会社をやめるようにA子さんに言ってくださいよ」と、執拗に働き続けることへの妨害が続きました。さらに、「退職しないと仕事をふやすぞ」と言って、新たな仕事がふやされました。終業時間間際になって「この仕事をやってくれ」と言ってくるなど、異常なほど退職が強要されたのであります。
 関西電力には、結婚退職制度や出産退職制度も存在しません。ですから、結婚しても働く権利は、本人の意思によって当然保障されなければなりません。そればかりか、結婚すれば当然妊娠するという経過をたどる、これが一般的な共通の認識ではないでしょうか。また、妊娠者には妊婦服を制服として支給する、これもまた最近の情勢では、女性社員を雇用している企業の今日的常識ではないかと思うわけです。
 関西電力和歌山支店営業所には社員千七百六十名余り、そのうち女性社員は百名余り、そのうち既婚者はたったの四名です。関西電力全社的に見ても大変少なく、女性社員千九百名余り、既婚女性百三十六名、約七%です。これに比べて東京電力は既婚女性社員が三八%でありますから、他社と比べてみても異常に少ないと言わざるを得ません。今や日本の女性労働者の中でも既婚女性が七割を占めるという状況でありますから、こういうことから考えても異常に低い現状にあると言わざるを得ません。この現状は、関西電力の特定した管理職の不見識にとどまらず、関西電力という大企業の前近代的労務体質から来たものでありましょう。このことも強調しておかなければなりません。
 こうした関西電力の企業方針であることを職場新聞「鉄塔」に投書が寄せられ、その「投書欄」に記載されています。私の手元にも届いておりますので、その投書を読んでみたいと思います。
 若干前文を略しますが、「結婚する女子社員に退職を迫る事は、関電のどの職場でも日常茶飯事で今日まで続いています。 その方法は、上司を中心として『仕事と家庭は両立しない』などと親切ごかしに退職の説得をするもので、私も以前から特管職の指示を受けこのような事に加担してきた上司の一人です。 今回の『裸で歩け』発言は"所長"個人の失言ではなく関電の労務政策が言わしめた事件と確信します」、このように、はっきり現役職者が訴えていらっしゃるわけです。
 さらに、私の手元に関西電力労働組合が編集をした大変きれいな女性向けパンフレット「バレンタイン」というものがあります。この中にもこのことが収録され、指摘をされております。去る六月開催された「レディース・フォーラムin京都」における東北電力労働組合や中部、東京の両電力労働組合の女性幹部を招いてのパネルディスカッションでの一幕であります。
パネラーの一人である東北電労の女性は、恐らくこのときに関西電力の女性から質問が出された中で現状を報告されたのでありましょう。そのことに対してこの一人のパネラーは、「まず関電の(結婚退職は)『当然と思っている上司』の皆さんに訊ねてみたいですね。『何故、退職するのが当然で、肩を叩いたり、圧力をかけたりするのですか?』『当然の根拠は何ですか?』『働く女性について、どう思いますか?』…と。感情的じゃなくて理論的に」お聞きしたいと、このように明確に企業の一貫した労務体質を浮き彫りにしているのです。
 朝日新聞の報道後、多くの女性の方々から私のところにもファックスや電話による多くの怒りの声が寄せられてまいりました。その一例ですが、「本当にひどい女性差別だ」「Aさん一人の問題ではない。女性すべてに対する重大な問題だ」「許すことはできない」「本来なら、周囲の人たちから喜ばれ、気を使っていただいて出産を迎えるのですが、こんな上司のもとでは妊娠・出産が悪いことのように感じ、苦しかっただろうと思います。働く女性の一人として、彼女に頑張って強い母になってほしいと願います」、こういうふうな声がファックスでも送られてまいりました。
 こういった大きな反響をこの問題は呼んでいます。こういったやさき、婦人少年室に九月末、一人の女性から投書が入ったそうです。婦人少年室は早速関西電力に出向き、事情調査を行いました。その事情調査に基づく指導を行われたようでありますが、男女雇用機会均等法における禁止規定以外は罰則規定のない現法でありますから、おのずと婦人少年室の指導にも限界があり、援助というところにとどまらざるを得ません。早急にこの問題についても改善し、実効ある平等法を求めたいと思うのです。
 以上、るる申し上げてまいりました。私は、今回の関西電力で起こった問題は、女性の人権にかかわる問題として受けとめております。直接の行政責任はないことは承知の上で、県行政にお尋ねをしなければなりません。しかし、事女性の社会参加を積極的に進めている県行政にあっては、よそごととして見過ごすという消極的な姿勢であってはならないと思うのです。県民の安全な職場環境をつくるためには、いかなる大企業であっても行政は積極的に意見を申し入れるなど、厳しい対処を考えなければならないと思います。
 県行政の最高責任者である知事の見解をお聞かせください。そして、労働行政の直接責任者である商工労働部長と、母性を何よりも大切にと行政を進めている民生部長の見解をお聞きしたいと思いますし、両部長には、あわせて真の男女平等を実現するための具体的施策についてもお答え願います。
 この問題の質問を終えるに当たり、私は一言愚言を申し上げておきたいと思います。関西電力と言えば、住友金属と並ぶ和歌山県では有数の近代的企業であろうと私は思っております。今日の経済社会において大企業の社会的に果たす役割は大変大きなものがあります。それゆえに、近代的大企業の職場でこそ、女性の職場進出を初めとした女性の能力を本当に花開かせていただき、結婚しても安心して生き生きと働き続けられる職場の環境整備を率先して実施し、そして県下のどの企業よりも模範になってもらいたいと私は切に願うものです。
 特に、女性は生まれながらに母性機能を有しているわけですから、この母性機能を保護するという立場なくしては真の男女平等が前進しないこと、また母性が大切にされる職場は男性にとっても権利が守られて働きやすい職場になることは、私は確信を持っています。ここに、このことについても声を大にして強調しておきたいと思います。
 次に、和歌浦の都市計画街路和歌浦廻線に関して幾つかお尋ねをいたします。
 和歌川の河口に広がる三十ヘクタールの干潟は近畿では最大の広さを持ち、都心に近い干潟として大変重要であると考えます。来年六月には北海道釧路市でラムサール条約の締約国の会議が、アジアで初めて開催されます。日本も加盟しているラムサール条約は、前文で次のように述べております。
 「湿地が経済上、文化上、科学上及びレクリエーション上大きな価値を有する資源であること、及び湿地を喪失することが取り返しのつかないことであることを確信し、湿地の進行性の侵食及び湿地の喪失を現在及び将来とも阻止することを希望し」と、湿地の大切さを述べているのであります。干潟は湿地そのものであり、大切に保存されるべきものであるということが日本を含めて国際的な認識となっているわけです。
 ところが、この九月に発表されました環境庁の第四回自然環境保全基礎調査海域生物環境調査結果では、前回調査の一九七八年と比べて全国で四千七十六ヘクタールもの干潟が消滅し、そのうち一千八百九十ヘクタールは埋め立てによって消滅しているとのことであります。環境庁では、釧路での国際会議に向けて条約に登録する湿地の数を現在の四カ所からふやす計画だと聞き及んでいます。こうしたときに和歌山県が近畿地方でも有数の湿地である和歌川河口の干潟を埋め立てようとするのでありますから、事業を進めるに当たっては非常な慎重さが求められると思うんです。
 さて、その和歌川河口についてですが、有名な山部赤人の歌も広い干潟があってこそ生まれたものであり、名草山を後景に、片男波、不老橋を中心とした和歌浦の歴史的景観の核の一つをなすものであることは言うまでもありません。また近年、生物の研究者によれば、ここには近畿地方ではここにしかないオサガニの貴重な群落が報告されています。また、一時絶滅を伝えられたハクセンシオマネキの姿も見られるようになったと聞いています。このことは大変うれしいことではありますし、県当局はこうした干潟の生物実態調査をなされたと思いますけれども、その結果は公表されておりません。
 このたび、和歌山市と県の都市計画審議会を通過した街路の拡張計画によりますと、不老橋のたもとからあの三角公園までの二百八十メートルにわたって干潟を二十五、六メートルの幅で埋め立てようとするものになっております。
 土木部長にお伺いいたします。まず第一点は、この七千平方メートル以上もの干潟の埋め立てを伴う街路計画は、案の段階で住民への説明はどのようになされたのでしょうか。海水浴場による交通混雑で一番被害をこうむり、また和歌川の干潟に親しんでいるのが周辺住民の方々でありますから、まず最初に計画案を明らかにして住民の方々の意見を聞くのが大切だと思うからです。計画を決めてから審議会に意見を出せと言うだけでは、計画に住民の意思が反映されるとは言いがたいのではないでしょうか。また、埋め立てによる干潟の生息動物への影響は避けられないと思いますが、その現状調査はいつだれが行ったのか、そしてその結果の公表を行う意思がおありかどうか、お伺いいたします。
 また、この区域は和歌山下津港湾に含まれる港湾でもありますが、そこでの埋め立てですから港湾整備計画の変更になるのではないでしょうか。その点で、埋め立てまでの法的な手続として、県の港湾審議会による埋め立て計画の変更や中央港湾審議会での変更承認、環境アセスメントなどの実施などが必要と考えます。県が事業実施に当たって検討されている計画日程をお示し願いたいと思います。
 この問題の最後に、干潟の大切さについては最初に述べたとおりでありますけれども、貴重な干潟を調査保全し、子供たちがスナガニ類やハクセンシオマネキを身近に観察したり手で触れられるような教育的な環境に整備されれば、和歌浦が本当に市民から親しまれる干潟になると考えるのです。関係部長の答弁をお願いいたします。
 教育長にお尋ねをいたしますが、干潟の生物や干潟の大切さを市民に知らせ、子供たちにも教える施策が必要なのではないかと思います。教育長のお考えをお尋ねいたします。
 最後に、内川浄化問題についてお尋ねいたします。
 昨年、和歌山市は内川浄化対策として排出水の色等規制条例を施行し、平成六年四月一日までに色抜き施設の整備を義務づけ、その後、規制基準を達成しない場合には条例違反として勧告や排出水の停止、さらに五万円から三十万円の罰金に処されるという厳しいものであります。この条例の対象事業は染色・化学工場でありますが、その大半が中小業者のようでございます。
 和歌山市では、施設整備のため五億円以内の融資あっせんや利子補給制度などで積極的な施策が今進められているところです。一方、事業者の方々も苦労しながら一生懸命努力をされているようでありますが、不況の中で資金づくりに苦慮されていると聞いております。残されたわずかの期間内で全事業者が条例にこたえ得るのか、大変厳しい状況にあると言えるのではないでしょうか。大企業ならば企業責任を求めたとしても、当対象事業者が中小企業であることを考慮し対応する必要があると思うのであります。
 そこで、県は内川の河川管理者として今日まで種々の努力を続けてこられたことは評価しておりますが、和歌山市の条例を実効あるものにするための県としての具体的な援助策とその進捗状況をお聞かせ願いたいと思います。そして、何よりも中小事業者に対する資金援助を求めたいと思います。その考えがおありかどうか、関係部長からお答えをいただきたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 関西電力の女性差別問題についてでございますけれども、女子労働者の問題につきましては、母性を尊重し、性別による差別はあってはならないことでございます。すべての人間は生まれながらにして自由かつ平等であり、男女とも個人としてひとしく尊重される社会が実現されなければならないと思っておる問題でございます。
 この件については、県として企業に対し適切な指導をするよう担当部長に指示しておるところでございます。なお、女性問題の推進につきましては、今後とも広く県民の理解が得られるように努力してまいる所存でございます。
 以上です。
○議長(馬頭哲弥君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 村岡議員にお答えをいたします。
 事実把握と見解、それから施策についてでございます。
 議員ご質問の事実把握と見解についてでございますけれども、県としては、会社側の今までの対応等について報告を受けてございます。あわせて、雇用管理の改善に今後とも万全を期されるよう、会社側に申し入れたところでございます。
 男女雇用機会均等法は、法のもとの平等を保障する憲法の理念にのっとり、女子労働者が母性を尊重されつつ、しかも性別により差別されることがないようにと定められておりますとおり、女子労働者を差別することはあってはならないものと考えてございます。
 県としても、今後とも女子労働者の働きやすく安心して働ける環境づくりに向けて、男女雇用機会均等セミナー、仕事と育児を考えるフォーラム等、各種の施策と普及啓発について、労働省和歌山婦人少年室と連携をさらに密にして努力してまいりたいと考えてございます。
 次に、和歌浦の都市計画街路和歌浦廻線についての干潟の保全・調査でございます。
 和歌山県における干潟・藻場に関しては、自然環境保全基礎調査の一環として国より県が調査委託を受け、その分布状況について調査を実施しております。干潟は自然との触れ合いの場として人々の利用にも資するものであって、このような利用も大切と考えておるところでございます。
 次に内川浄化対策についてでございますが、内川浄化対策は県としても県政の重点施策として取り組んでいるところでございます。
 さて、和歌山市の排出水の色等規制条例が平成六年四月一日より適用されることに伴い、関係の業界にあっては、企業の技術担当職員のトップを中心に今日まで十数回の調査検討会議が開催されてきたと聞いてございます。商工労働部としても、関係業界と数回にわたり話し合いを持つ一方、工業技術センターにおいて、県立姫路工業大学の支援を得ながら、工場からの着色排水を脱色処理する技術的な方法についてのマニュアルを策定し、低コストで脱色する技術を確立するための調査研究を行っているところでございます。また、新たな排水処理施設の設置については、建設費を初め、用地の確保やランニングコスト、さらに脱色方法等、幾つかの重要な問題をクリアしなければならないと認識してございます。
 今後とも、関係業界はもとより、関係機関と連携を密にしながら、今日の経済状況も踏まえ、それら問題解決のために積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 村岡議員にお答えをいたします。
 事実の把握については、ただいま商工労働部長から答弁したとおりでございます。
 働く女性が年々増加する中で、労働分野における母性保護の必要性については、女子労働者の健康を保護するだけではなく、健全な次世代を生み育てる社会的な役割を担うといった意味からも重要な課題と考えております。したがって、働く女性、特に妊産婦に対する差別は絶対に許されるものではないと考えてございます。
 次に具体的な施策でございますが、女性問題については二十一世紀を目指す女性施策の指標として「わかやま女性プラン」を策定し、そのプランに沿い各部局において諸施策を積極的に推進しているところでございますが、真の男女平等を実現するには、男女の固定的な役割分担を払拭することが大切であると考えております。そのため、県民の意識改革を図る広報啓発活動の展開や女性の学習及び活動の拠点となる女性センターの建設決定を初め、女性が安心して働ける条件整備として放課後児童対策、乳児保育や延長保育など、諸施策の充実に努めているところでございます。また、政策決定へ女性の意見を反映するため、県の審議会や委員会等に女性の登用を図るとともに、市町村に対しても機会あるごとに女性登用を指導しているところでございます。
 今後とも、真の男女平等を実現するため、国、県、市町村、関係機関等と連携をしながら女性問題解決に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 都市計画街路和歌浦廻線についてお答えを申し上げます。
 まず住民への説明の件でございますが、和歌浦廻線は片男波公園や片男波海水浴場にとっても緊急かつ重要な道路として、あしべ橋に続き整備を進めるもので、地元住民の方々からも早期整備を強く要望されている道路であります。このことから、和歌浦廻線の拡幅計画については、その案を作成する段階で、地元の方々に干潟の埋め立てを伴う道路断面であることを十分説明しております。
 次に現状調査の件でございますが、埋め立てに伴う生物等に対する調査については、平成三年度から四年度の二カ年にわたり専門のコンサルタントに委託をして調査してございます。この調査は国が定めている環境影響評価の実施に基づく調査ではなく、埋め立て免許申請の提出に必要な項目について調査を行ったものでありますので、この調査結果を公表する計画はございません。
 最後に、事業実施の計画日程についてでございます。
 今後の事業実施の予定でございますが、このたびの和歌浦廻線の計画は港湾活動に直接影響を与えるものではなく、港湾計画の変更には該当いたしません。したがいまして、県の港湾審議会や中央港湾審議会での変更承認を受ける必要はないものでございます。
 今後、本年中に埋め立て免許申請書類の提出を行い、免許がおり次第、建設大臣に事業認可の申請を行いたいと思っております。完成時期については、世界リゾート博に間に合うようその事業を進めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕
○保健環境部長(江口弘久君) 内川の浄化についてでございますが、二月議会で答弁いたしましたとおり、和歌山市の色等規制条例については、工場、事業場で個別の事情はあるものの、和歌山市の担当部局からは、ほぼ対応可能であると聞いております。
 また、今後、市や事業所からの相談等があれば協力したいと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 干潟の保全と教育的立場についてお答えいたします。
 現在の子供たちにとって、自然の事物や現象に直接触れさせることは、自然に対する関心や興味を持たせる上で大切であると考えてございます。
 県立自然博物館等の施設において、自然情報の得やすい場所を選びながら、自然に親しむ方法や科学的な観察の方法についての講座を開催したり、県下各地の海岸や川や山で観察会を積極的に実施するなどしております。また、子供たちを対象にした学習講座では、特に自然との接し方や生き物とのかかわり方について学ばせ、その理解を図る一助としております。また、県教育研修センターでは、身近な動植物の観察等を通して自然についての理解を深めるための研修講座等を実施し、指導者の資質の向上を図っております。
 和歌浦の干潟につきましても、県下に数多くある自然観察地の一つとして、潮干狩りを兼ねた遠足地等に活用されている例もございます。今後も、自然との触れ合いの場として有効な活用について研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきましたので、再質問をしたいと思います。
 まず最初に和歌浦廻線の問題でございますけれども、和歌川河口の干潟の埋め立てについては、ご承知のように、和歌の浦は古くからの景勝地として和歌山県が全国に誇れる歴史的景観を持つところだと私たちも自負しているところです。それが今、あのあしべ橋によって、そのかなめである不老橋の景観が本当に哀れな状況になっていますし、今また干潟が姿を変えようとしているわけです。
 干潟は自然の浄化槽としての役割も持っているというふうに思いますし、そこには多くの生物が住んでいます。そして、すぐれた自然環境がすぐ近くにあることが、和歌山県の最も大切にする必要のあるところだと思うんです。
 先ほども申し上げましたように、今、干潟について、全国的にも世界的にも保存の動きが起きています。規模の大小はありましても和歌山県にとっては大切な干潟だと思いますし、これは間違いないと思います。その干潟を行政が先頭になって、十分な論議も経ずに──そう私は考えます。専門家の方々の意見も十分に聞いていただきたい──もう既に年内にも埋め立て申請をされようとしている。余りにも急ぎ過ぎではないかと思います。急ぎ過ぎて後で後悔しないためにも、「住民の方々が積極的に」というふうに言われていますけれども、さらなる住民の方々や専門家の方々の意見を取り入れて慎重に検討されることを重ねて要望しておきたいと思います。
 続きまして、中小業者の方々が非常に今苦労していらっしゃる市の色抜き条例です。
 これは、きょうも朝のテレビで報道されていましたが、やっぱり市中銀行からの借り入れが非常に厳しい。制限がますます厳しくなって、資金繰りが大変だと。きのうの鶴田議員の質問の中でも不況の問題で提起をいたしましたけれども、こういった状況が今後とも続くことは十分に考えられると思います。
 そういった点で、地場の中小──本当に小さい企業の皆さんたちが苦労してこの条例にこたえようとしている努力、ここを何とか県行政としても救ってほしいと、こういう叫びだと私たちは受けとめています。そういう点から、市がそれなりの融資制度といったものをつくっているわけですから、県も何らかの対策を積極的に今後進めてくださるようにお願いをしておきたいと思います。
 次に女性問題ですけれども、これは、私は決して男性を無視して発言しているわけではございません。この世の中は男女がともに生活をしていく場でございますから、女性の地位が上がることによって男性が──今まさに、過密労働や長時間労働の中で男性の皆さんたちが一生懸命頑張っている中で、過労死という状態が続いているわけです。国際的にも「過労死」は英語でなくても通じるというような時代になってきているわけです。そして労働力がだんだん不足してきている中で、先ほども述べましたように、この女性の社会参加が日本の経済を大きく支えてきているということは否めないと私は思っています。
 戦後四十七年たちました。日本の女性の社会的地位は、本当に大きく変わってきていると思います。今まさに、女性の時代だともてはやされてきているわけです。靴下と女性が非常に強くなったという言葉もいっときは出てまいりました。しかし、私たち女性、ましてや働く女性は、本当に職場の中で泣く思いをしながら日々頑張っています。
 一九六〇年、ちょうどあの安保闘争の時期ですけれども、当時、女性労働者は七百三十八万人でした。今はもう二千五百万人を超えるような状況になってまいりました。そして、既婚女性が未婚者を大きく上回り、その数も七〇%をはるかに超えるような既婚女性が今の社会を担っていると言っても言い過ぎではないと思います。そして、多くの女性の皆さんたちが社会の中で一生懸命活動を続けて、主体的に活躍していらっしゃるということも、もう多くの男性の皆さんもご存じのとおりでございます。
 特に女性は、生活体験の中から食品公害や環境を守る問題、そして平和を守り子供と生活を守るために、命をかけてでも頑張っているのが今の世の中の女性だと思います。一度の人生だから本当に輝いて働きたい、人間らしく生きたい、これが今、すべての女性の皆さん方の望みでもあります。今それに向かって、一生懸命頑張っているところです。
 これまでの長い歴史の中で、結婚の自由や相手を選ぶ自由、政治に参加する自由もなかった当時から考えてみますと、大変進んできていると思います。保育所がなくて働くお母さんたちが仕方なく退職をしなければならなかった時代、働いていても二十五歳、三十歳という若さで定年制がしかれているために泣く泣く退職をしなければならなかった時代、男子五十五歳、女子五十歳の定年退職制の差別や昇格差別の問題を、あるいは結婚退職制をやめてほしい、パートの首切りをやめてくださいといって裁判に訴えて頑張らなければ女性の働く職場を確保できなかった時代、そういう時代を、私たちは涙ながらに頑張ってまいりました。
 「女性は家庭に帰れ」と言われながらも、今やまさに女性の社会参加がなくては日本の経済がもたない、労働力がもたないような時期になってきているわけです。そういった中で、育児休業制の問題や男女平等の機会均等法がつくられてまいりました。これは、何といっても、女性を大事にするという側面と、そして労働力の不足を女性によって賄っていくという、こういう二つの側面があると思います。しかし、ご存じのように、育児休業制にいたしましても、男女平等法にいたしましても、罰則規定がございません。このことが、企業や使用者側がこの問題を避けて通れる一番の問題だと私たちは思っています。
 どうしても今、女性が本当に安心して輝いて働ける、そんな職場づくりを、そしてそれは何といっても、先ほども申しましたように、大きな企業ほど模範的につくっていただきたいと思いますし、この県庁の中でも日々その努力をされていますけれども、さらなる努力をしなければならないと思います。歴史の中で女性が変わり、男性の皆さん方と一緒にすばらしい世の中をつくっていく、そして男性が一緒になって女性の問題も考えて、女性も男性の問題を考えながらともに働きやすい職場をつくり上げていくことが、今一番求められていると思うんです。
 しかし、皆さん、男女平等法や育児休業制といったものが法制化されたとしても、一方では労働基準法の中で母性保護の項目が大きく切り下げられ、緩和されていく中で、女性にも長時間労働、深夜労働や産休──産休そのものは大きく拡大をされておりますけれども──といった問題について、母性保護の問題を抜きにしてこの男女雇用機会均等法や育児休業法がつくられていった経過を、私たちは黙って見過ごすわけにはいきません。
 母性保護について、あくまでも私たちが考えなければならない、行政が考えなければならない問題は、何と申しましても、生まれてくる子供は県民みんなの宝だということです。そういう位置づけをしていただきたいなと思いますし、次代を担う大切な母子を守るために、その職場環境、労働条件の改善を初めとして、どうしても労働基準法のこの母性保護の問題を再びもとに戻してほしい、こういう願いを持っています。
 そういう点でも、私たちはこの母性保護の問題をこの関西電力の差別問題から新たに学ぶことができました。何といっても、女性があってこそこの世の中は成り立っていく。昔、平塚らいてうが「元始、女性は太陽であった」というすばらしい言葉を残しているわけですけれども、こういう点で、県庁内でも、企業の中でも、母性保護の問題について研究をともにしていってほしいなと思います。
 「出産は産みの苦しみ」ということがずっと言われてきています。女性のこの妊娠をし子供を産む出産というのは、本当に命がけでありますし、一大事業であるということも新たに認識をしていただきたい、このように思って私はこの問題を閉じたいと思うわけです。ぜひとも県行政が、先ほど答弁されました中身でもっともっと積極的に、どんな企業に対しても胸を張って意見を具申するなり──今度は恐らく口頭で申し入れをしていただいたと思いますけれども、今後は文書なりそういうものでも厳しく対応していただきますように、再びこのような事件がこの議会で発言されないようにお願いをしておきたいと思うわけです。
 たくさん申し上げますけれども、もうちょっと聞いてください。
 この関電でございますけれども、この関西電力そのものに、こういう女性差別、あるいは母性保護を大事にしてこなかったという歴史的なものがあるんです。会社の体質として残っているということが、ここに如実にあらわれているわけです。これは一九八六年の関電の「職場しんぶん」です。これを読んでみますと、こういうものがあるんです。
 「関電の職場では、女性は結婚と共に殆ど退職していきます。 結婚すれば退職しなければならないという考えが、普通になっているからです。 定期採用者の古い入社はS三十年に一名あったのを最後に、約十年間は女性の採用は殆どありませんでした。 四十年頃の女性の入社には、結婚をすれば退職する旨の誓約が必要でした。 それから十年後になると誓約は口約束になりました。 結婚後も会社で働らきたい意志をもっていても、『入社の時の約束なのでやめる』と言って退職する女性が殆ど全員でした。 その代り結婚しても働らきたいという女性のために、職場の(仲間の)人が一生懸命職さがしをして、中小企業の職を見つけ会社をやめてもらった例もありました。 最近は、『結婚すれば退職しなさい』ということはなく、『結婚されると皆さんやめてゆきますねえ』と言って、暗にそれが普通だという感じの会社側の発言に変わりました。 しかし、結婚しても会社をやめないとなると、事態はもっと深刻になります」ということで、この会社に勤めているある女性の場合でも、当時、役職者から「結婚したら会社をやめよ」とか「家の近くに仕事を世話してあげようか」とか言われました。「会社をやめた方がよい」とも言われてきました。こうした嫌がらせは結婚してからも続き、子供が生まれると役職者から「まだ来るのか」「本当に来るのか」とか、「会社をやめて別の職場に変わったらどうや」とか言われてきたそうです。これがいまだに関西電力の体質として依然として残っていて、基本的には一向に変わっていないというふうに思います。こういう点から見ましても、ぜひとも私は改善を求めるものであります。
 そして、一九九〇年の七月の「職場しんぶん」にも書いてあります。これは会社側がアンケートをとったものですけれども、「結婚をしても仕事を続けたい」という人たちがどれぐらいいるかを調査いたしました。和歌山支店採用六十名のうち、十七名は女子社員です。女子社員に対するアンケートの中で「結婚しても働き続けたいですか」という問いに対して、「生涯仕事を続けたい」という人が、皆さん、十七名中八名あるんです。「子供ができるまで働きたい」という人が五名。こういった人たちの意思が今本当に引き継がれているのかどうか、これも考えていただきたいと思います。
 この問題については、私はただ一人の問題ではなくて県下あるいは日本全体の女性に対する問題だと思いますので、ぜひとも県行政の積極的な対応について期待をいたします。
 終わります。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十八分休憩
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