平成4年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(鶴田至弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(大江康弘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 それでは、通告に従いまして順次質問をさせていただきます。
 まず、知事にお尋ねをいたします。
 現在、佐川のブラックマネーの問題や暴力団の力で首相の座を得た等々の疑惑で、今、中央政界は国民から深刻な政治不信の中に置かれております。昨日、浜本議員の質問に答えて知事は、このような事態を遺憾とするとともに、県民の納得のいく実効のある政治改革を期待する旨の表明がありました。政治改革論議はさまざまありますが、国民の改革の声に便乗して小選挙区制の制定を図ったり、選挙期間の短縮を画策したりと、およそ金権腐敗の是正とか政治倫理確立とかけ離れた方向へ流れようとしている傾向もあります。
 戦後政治は、残念なことに数多くの汚職を生み出し、政治の歴史の片側には腐敗の歴史が並行するような感さえありますが、これらは挙げて企業、団体からの政治家あるいは政治団体への献金と結びついて起こっております。政治が金でゆがめられるもとは、企業、団体からの献金がほとんど自由に許されているというところに最大の原因があるやに思われます。したがって私は、政治改革の決め手はこの企業、団体による政治献金の禁止こそ焦眉の課題であろうかと考えるところでありますが、知事はいかがお考えでしょうか。知事の言われる県民の納得のいく実効のある政治改革とはいかなる施策を想定されておられるのか、ご答弁いただきたいと思います。
 それでは、二番目の問題に入ります。
 障害者に働く場をというテーマでお聞きいたします。
 本日は、障害者の日であります。ほとんどの新聞等がこの日を取り上げていろいろと報道されておりますが、どこにも引用される国連の国際障害者年行動計画の一節があります。冒頭に、まずそれを紹介しておきたいと思います。「ある社会がその構成員のいくらかの人々を締め出すような場合、それは弱くてもろい社会なのである」、こういう一節があることをほとんどの新聞が紹介しておりますが、そういう点については、既に当局の皆さん方も十分ご承知のことかと思います。そういうことを踏まえて質問させていただきたいと思います。
 去る九月、障害者雇用促進月間として当局の関係機関は一定の活動を展開され、それなりの成果を上げられてきたと思います。障害者がみずからの障害を克服し、社会の一員として生き、人間的成長を遂げていく上で、労働の場の保障ということは極めて大きな意味を持つと思うわけであります。県下の心身障害者へのその保障は、しかし必ずしも満足のいくものではありません。それは、その実績が都道府県で何番目の位置にあるとか、全国平均と比べてどの水準にあるのかという意味ではなくて、成人されておられる県下の障害者、労働の意欲を持っておられる障害者の方々の、その意欲と働く場を求める要求との比較においてのことであります。
 国際障害者年もことしは最後の年であり、当局も一段の努力をされているところであろうと思いますが、本県における企業による心身障害者の雇用状況はどのようになっているでしょうか。三十数%の企業が法定数を満たしていないと仄聞いたしておりますが、なぜそのような事態が克服されていないのでしょうか。県下の障害者の労働意欲の調査や休職者等を調査されているでしょうか。企業の方々も努力をされているのでしょうが、なかなか進まない障害者の雇用は一体何が問題なのでしょうか。またそれを乗り越えるためには行政としてどのような援助が必要なのか、お考えになっていることがあればお示しいただきたいと思います。
 また、県下には障害者雇用について職業安定課が直接指導対象としない、本社を県外に持つ企業がたくさんあります。国の指導が企業単位の雇用率を目安にしているため、県下のそのような企業が和歌山県域でその目標を達成しているかどうか明確でないようでありますが、わかっている範囲でお答えください。県外に本社を持つ企業は県内に相当あります。これらが県域において法定雇用率を充足させれば、相当の前進が望めるものと思われます。もし充足されていないケースがあれば、県職安課の任とされて障害者雇用の前進を図られてはいかがでしょうか。
 また、重度障害者、精神障害者の雇用は極めて狭い門となっております。重度障害者、精神障害者の雇用状況はいかがなものでしょうか。この点では、大企業は特にその社会的責任の上から言っても重要な役割を果たしていただくべきだと考え、当局の格別の努力を求めたいわけでありますが、いかがお考えになっておられるか、お示しいただきたいと思います。
 また、障害者が企業に労働の場を求めても、企業の要求と障害者の労働能力のギャップから、就労する門戸は勢い狭いものにならざるを得ません。そのような中で、障害者のために認可あるいは無認可を含めての授産施設、小規模共同作業所などが、障害者の近親者、心ある方々によって土地、建物、運営、仕事の受注、販売と、実にさまざまな苦労をしながら県下でも三十数カ所が開設され、四百名前後の方々がそこで働いておられます。認可された法人の授産所であっても、その運営は資金的にも相当な労苦がつきまとっていますが、無認可になると、その困難はさらに大きなものとなっています。
 最近、古紙回収で運営費の一部を補っていた共同作業所が古紙の暴落により一つの財源を失ったと嘆いておることが報道されておりました。また、昨今の不況のあおりで共同作業所で働く方々の仕事が少なくなったという話もお聞きしております。
 もちろん、このような話は今に始まったことではなく、共同作業所の宿命のように、作業所がスタートすればほとんど例外なく聞くところでもあります。この貴重な仕事をしている共同作業所が、なぜ古紙回収に汗を流さなければならないのでしょうか。なぜ、街頭カンパやバザーなどをしながら運営に当たらなければならないのでしょうか。一に運営に要する資金の不足からでありますが、県下の共同作業所の運営の状況、補助金やカンパ、バザー、廃品回収等の事業がどのように運営されているのか。明らかに運営資金の不足からですが、そういう点をお調べになったことがありますか。補助金制度の現況とその問題点、今後の展望などをお示しいただきたいと思います。
 また、そこに働く障害者の賃金はいかほどのものになっているかお調べになったことがございますでしょうか。障害者の働く意欲を充足させるものになっているか、あるいは社会でともに生きていくという喜びを感じ得るほどものになっているかどうか。私の知るところでは、月収一万円前後というのはざらで、極めて低いのが現状であります。このような点はどのように把握され、どのようなお考えを持っているか、お示し願いたいと思います。また、そこで働く障害者の方々の賃上げができるような援助を何とかしてあげられないものかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
 さらに、作業所の運営に携わる方々の賃金も実に低い水準にあります。これら職員は、障害者の近親の方や障害者福祉に関係する方々で、とりわけ労働の場の提供による障害の克服と労働による人間としての発達をさらなるものにし得るという信念から低賃金と労の多い任務についておられます。その方々の仕事ぶりにはまことに頭の下がる思いでありますが、その労に比べて賃金が余りにも安い。もし低賃金ゆえに職員が一人でもやめるというようなことになれば、作業所はたちまち運営に大きな支障を来すことも明らかであります。県当局はその実態をどう掌握されておられますか。
 私は、このような実情から見て小規模作業所に対する補助制度を大幅に改善する必要を切に願うわけでありますが、当局のお考えをお示しいただきたいと思います。
 私が、このように小規模作業所に県当局の絶大なる支援を求めるのは、労働の場から門戸を締め出された方々にその場を提供し、労働という人間固有の行為を通して自己をより発展させていくということを保障することは、挙げて行政がその責任を負うべき憲法的な課題、生存権、労働権を保障する課題だと思うからであります。したがって、その基本的な責任は国に属するものとは思いますが、我が世界に冠たる経済大国は、障害者のすべてに労働の場を提供し、そこにともに人間的発展を遂げていこうとする施策は、残念ながら貧弱であります。関係者の切なる叫びで耳が痛くなったときだけ、のろのろと腰を上げるというのが今の国の現状であります。そして、自治体行政が国の施策のおくれを補完するために、住民の声を聞きながら、それぞれの工夫をしながら頑張っているところであろうかと思います。それだけに県行政の任務は大変だと思いますが、しかし県行政自身がこの問題に本当にしっかりと立っていただくことこそが国の政策をも動かしていくことになるのではないかと思います。
 県下には、六十五歳までの成人で障害を持った方々が二万人ほどおられます。その方々は、企業で雇用されている方、認可、無認可の障害者の授産施設で働いている方はごくわずかで、働きたくとも働く場がないという方が圧倒的な状況であります。また、障害によっては、本人が今、働く意思が弱くとも、療育と自立のために働く場が欲しいと思っている近親者の方々もおられると思います。現在、そのような方々は県下にどのくらいおられるでしょうか。お調べになったことはあるでしょうか。また、その結果は現在の諸施策に比べていかがなものでしょうか。調べられていないとすれば調査をし、必要な施策の建設の指針をつくられてはいかがでしょうか。
 養護学校からは、毎年八十数名の方々が卒業されています。この方々の就職は保障されているでしょうか。共同作業所に数多く入所されているところから考えると、このような受け入れ態勢は近親者の熱意による小規模作業所に任せるのではなく、県行政の責任において対応できるようにしていく必要があろうかと思います。
 また、精神障害を患って入院加療中の方々も、社会参加の足場として、あるいは復帰後の労働と生活の場として授産施設があるならば相当数の方々が退院できるであろうと推測されています。私の近所にも、身元を引き受けてくれるような施設があればと言われている方もおられます。当局は、そのような潜在的な退院可能者をどのように掌握されておられますか。
 以上のように見てまいりますと、障害者のための授産施設は現在のような規模では到底間に合わず、今後ますます必要になってくると思われます。しかし、今までの経過から見ても、小規模作業所から法人化、認可施設という道をたどってようやく日の目を見るというのが現実で、行政の主導的な政策展開がないように思われます。障害者年の最後の年でありますが、その点を十分総括され、新年度に向けて抜本的な政策を準備されてはいかがでしょうか。
 また、そこに至るまでの経過的措置として、幾つかの問題点を指摘して善処を求めたい点があります。
 一つは、小規模共同作業所の一般的補助を拡大することを前提に、さらに重度障害者を受け入れている作業所への補助金の加算、重度加算補助とも言うべき制度が必要ではないかと思います。身近な小規模作業所へ重度障害者が比較的多く集まるという現況があります。障害者一人、二人に対して運営に当たる職員が一人つかなければならないという事情も生まれ、職員をふやす必要に迫られているところもたくさんあります。しかし、それができないという現実もまたあるわけです。そういう点を考えて、重度加算ということも考えられないでしょうか。
 二つ目は、作業所への通所費の補助がかなわないだろうかということであります。授産所、作業所の目的は、労働を通じて障害を克服すること、あるいは社会に参加する喜びを通じ人間的発達を促すことでもあります。ところが、作業員の賃金が極端に安いため、時には通所のための交通費さえ賄えないという事態も生じており、通所する方々の労働意欲にも否定的な影響を与えかねないような事態も生まれています。市町村によっては、既に一部交通費補助を行って喜ばれているところも生まれております。温かい「ふれ愛紀州路」の県政のスローガンはこのようなところにも及ぼされるべきではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。
 障害者が普通の人々と同じように生活するためには、それなりの金が要ってまいります。そして、普通の人々と同じように生きたいという要求は決してぜいたくな要求ではなく、極めて人間的な要求であります。予算全体から見れば、これに対する補助金をたとえ今の倍にするとしても、必ずしも大きな金額にはならないと思います。今、小規模には五千三百万円が補助されています。思い切った増額をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。そのようなお考えに立って、ぜひこれらの要求の実現方をお願いしたいと思います。
 また、さきにも申しましたが、この面での国の施策は決定的におくれています。国の施策に比べると、和歌山の現行の施策の方がはるかに進んでいると言っても過言ではありません。認可授産施設、無認可小規模作業所への財源を国に対して強力に働きかけていただきたいと思います。ことしの要求の中にも三カ所の認可授産施設に関する国への要求が三点ありましたが、無認可については触れられておりませんでした。せびお願いしたいと思います。
 障害者に対する施策についての質問は非常にたくさんございますが、今回はこの小規模作業所問題に限ってお尋ねをし、お願いをしたいと思います。
 次に、不況の現状とその対策についてお尋ねをいたします。
 深刻な不況がまだ脱出口を見出せないまま進行しております。和歌山の地場産業である繊維、染色、木材、木工、鉄鋼等、すべての業種と言えるぐらいの範囲で不況は深刻化し、中でも資金力の弱い小零細企業は塗炭の苦しみを味わわされています。
 私ども日本共産党は、過日、不況対策委員会を設置して、関係業界等の実情、あるいは親会社や行政当局に対する要望等を聴取し、去る十一月二十七日に県当局に要望を提出したところでありますが、この場において改めて質問をいたし、不況にあえぐ県下の中小零細企業への県当局の熱のこもった支援を求めたいと思うのであります。
 不況の深刻さは大方の方々が既にご承知のことと思いますが、私どもが現地に入って聴取した現状は想像した以上のものでありました。
 あるプラスチック加工業者は、最盛期に比して仕事量は三割から四割に減少し、従業員を四割減らさざるを得なくなった。せっかく買った機械は動かさないままに放置されており、これからこの機械の借金払いに追われると嘆いていました。建具、ふすまを業とされる方々は、不況の上に新たに進出してきた大手との競争で、一体いつ仕事が回ってくるのだろうかと訴えられていました。ある特殊織物業者は、仕事量が三割に減った、機械の代金支払いが困難になってきた、働いてもらっている方々にも仕事を出せず迷惑をかけて申しわけない、彼女らの中にはサラ金などに手を出している者もいると憂えておりました。私自身、和歌山市の南部に住んでおり、ニット、メリヤス産業という繊維関係の職場がたくさんありますが、そこでも職種によっては深刻な不況が浸透して、工場で働く婦人の仕事の減少を訴えられる日々であります。
 今回の不況は、単に需給関係の不均衡によるだけのものでなく、バブル経済の崩壊という近来にない経済状態を背景にしており、消費不況が重なるという従来に例を見ない深刻な状態であります。倒産件数も昨年の二倍を上回り、その深刻さを裏づけています。
 県当局も、業界等の声により大方のところは承知されているかもしれませんが、ぜひ直接、不況の現場、とりわけ経営難、またそこから来る生活難の実態をつぶさに調査することが必要ではなかろうかと思います。そして、従来にも増して県行政としての対策が必要ではなかろうかと思います。いかがお考えでしょうか。
 実は、このように提言申し上げるのは、現行の対策に多くの方々の意見が寄せられているからであります。聞くところによりますと、四月あるいは九月に行われてきた不況対策により、各貸付金制度も相当活用され、融資を求める業者に歓迎されたことを物語る実績となっております。それ自体は結構なことであり、歓迎されたことは喜ばしいことであります。しかし、当局の一定の施策にもかかわらず、さらなる有効な融資制度を求める声が私どものもとに寄せられています。
 県の九月の施策が発表されたとき、幾人かの業者の方にその報告をしたところ、歓迎される方々と同時に、我々には利用できない措置だと不満を表明された方も相当おられました。といいますのは、小零細企業の方の多くは国金でも信用保証協会でも既に融資を受けて目下返済途上である、県の融資枠拡大は今まで借りずに来た方には朗報だろうが既に借りている者は借りたくても借りられない、この不況は自然界で言えば大風や地震などの激甚災害と同じなのだから、従来の枠をふやすというだけでなくぜひとも別枠で思い切った低利の不況対策特別融資制度をつくっていただきたい、そういう声が非常に強いわけです。秋の融資枠拡大だけでは借りたくても借りられず、歯ぎしりをしている方も多いわけです。当局として、このような声に効果的にこたえられるよう積極的な対応を強く求めたいと思います。
 サラ金被害をなくす会、通称あざみの会と称しているところがあります。そこで聞いた話ですが、十月以降でも経営資金のやりくりがうまくいかず、サラ金に頼らざるを得ず、返済不能、事実上倒産、自己破産というケースが五件あったそうです。いずれも、まじめな働き手で、カードで安易な買物をし過ぎたというものではなく、例えば住友の孫請業が仕事がなくなり、一時しのぎの借金が正規の金融機関ではできずにサラ金に手をつけ、引き続く不況の中で立ち直れずに倒産。あるいはプロパン業者が、資金繰りができずにさる企業に転職をした、ところがその企業が九月に倒産し、プロパン業時代の借金が返せなくなってサラ金へ、そして自己破産のやむなきに至る、こういうケースもあります。ある特殊織物業者は、機械を購入し設備投資をするも、この不況で仕事がなくなり、返済金も捻出できず、サラ金でしのいだけれども結局倒産、等々のケースが見受けられます。いずれも莫大な返済金に困ったというのではなく、県の融資制度の枠内で解決できる程度の内容でありますが、既に国金も保証協会も利用させていただいていたので、いかんともできずという状態でありました。経営者としての才覚について意見もあろうかと思いますが、まじめに頑張っても、不況の中ではふとしたアクシデントでこのような状況になってしまいます。
 今、倒産、自己破産にまで至っていないが、このような火の車による自転車操業者が小零細企業の中に相当おられ、切に新たな低利、長期償還の許される金融を求めていると思います。ぜひ、さきに求めた調査等を生かして有効な援助を強めていただきたいと思います。これらの制度は、既に東京都、神奈川県、福島県その他でも設けられている制度であり、本県においてもその気になれば可能なことであろうと思われます。
 また、この不況対策の融資に関連して幾つか求めたい点がございます。
 無担保・無保証の融資制度である特別小口の制度は、県の努力による保証料の無料という制度とも相まって歓迎されている点は評価するところでありますが、償還期限が三年ということで、資本力の弱い小零細業者には厳し過ぎるという面もございます。借りたいが返せない、五年だったら返せるのに残念ながら借りられない、せめて償還期間を五年にしてもらえないだろうかという声が強く上がっています。他府県では、保証料つきで五年の制度が一般的なようであります。現行の保証料抜きでの五年制度の創設、あるいは保証料がついても県がそれを補助するという形での五年ものをいま一度努力していただければ、金融難にあえぐ零細業者の喜びはひとしおかと思いますが、県当局のお考えを示していただきたいと思います。
 また、不況の直撃を受けている業者に対しては、現行融資の返済期限の延長、利子補給等の措置をとるべく検討を求めたいと思います。特別小口の貸付枠を一千万円に広げる措置を国に要求してもらいたいとの声が上がっておりますが、いかがでしょうか。
 また、無担保・無保証の小口融資制度について、当局に指導方を要請したい点がございます。
 去る十月、信用保証協会へ無担保・無保証での小口融資を求めた業者がおりました。取引先の業者の倒産のあおりで、経営のつなぎ資金の必要からでした。無担保・無保証だからと私の勧めで信用保証協会へ行ったところ、二人の保証人を要求された。話が違うではないかということで、また相談の逆戻りに参った方がおりました。貸した金は返してもらわねばというのは貸す方の論理としては当然でありますが、保証協会は一般の銀行ではありません。担保も保証人もない方々への援助ということを大きな目的とした保証協会です。保証協会が安易にそのようなことをしては、その目的は失われ、協会の自殺行為にもなりかねません。
 不況の中で、和歌山というわけではありませんが、このような現象は全国的にもあちこちに見受けられるようであります。不況だからこそ駆け込んだ保証協会で、こんなつれない話はありません。通産省も一定の指導をしたいとの意向のようですが、当局に早急に適切な対応を求めたいと思います。いかがでしょうか。
 次に、仕事をどうつくるかという問題です。
 これは金融よりも難しいかもしれませんが、当局としてとれる手だてをしっかりと打っていただきたいと思います。十一月十八日、通産大臣あるいは中小企業庁長官から各企業に対しても要請が出されております。それと連動するような形でも、また関係当局が中小零細企業とともにこの不況を打開していくという特別の努力を、この際、仕事の開拓ということでも行っていただきたいと思います。
 多くのことを要望させていただきましたけれども、いずれも本当に今、関係者が必死になって求めていることばかりだと思います。誠意ある施策の実現を心から訴えまして、第一問を終わります。
○副議長(大江康弘君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 東京佐川問題に対する私の考え方については、きのう浜本議員にもお答えしたとおりでございますけれども、具体的には政治に金がかかると言われる現状を打開することが必要であると考えておるわけでございます。現在、国会において、議員がご指摘の緊急政治改革案の審議が進められておりますので、今後抜本的な政治改革の施策が明らかにされるものと考えております。
 また、企業、団体からの献金問題についてでございますけれども、平成元年に共産党の中村博議員にも答弁したのでございますが、社会生活には法人と個人とがあるわけでございます。だから、企業、団体の献金は全くいけない、個人献金だけを認めるということはいかなるものかと考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、政治資金規正法でいかに規制するかが国会で論議されているところでございまして、その推移を眺めたいと考えております。
○副議長(大江康弘君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 障害者に労働の場を、その中で企業における障害者の雇用の促進をということでございます。
 県下の障害者の雇用状況でございますが、県下に本社を設置し、従業員六十三名以上の企業の実雇用率が一・九一%となってございます。ちなみに、全国の実雇用率は一・三六%でございます。
 また、法定雇用率を達成していない企業の割合は三五%ございますが、その内容を見てみますと、一名ないし二名の障害者雇用が不足している企業が約九二%を占めてございまして、法定雇用率の達成にあと一歩の企業が多くございます。
 また、本社を県外に設置する企業を三十人以上の規模で見ると、約百八十事業所があります。その中で三百人以上規模企業の工場等は十六カ所あり、その工場等の雇用状況は、法定雇用率を達成している工場等は七カ所、未達成の工場等は九カ所となってございます。これら工場等への雇用率達成指導の充実を図ることが重要な課題となっているところでございます。
 障害者の雇用に当たっては、作業施設等の改善や特別な雇用管理など配慮すべき点も見られているところでございます。そのため県としては、障害者雇用を対象とした設備改善助成金や賃金助成金制度等を周知するとともに、障害者の雇用促進を図っているところでございます。
 なお、雇用率達成指導については、本社が県内にあるなしにかかわらず実施しているところでございます。議員ご指摘の重度障害者、精神障害者の雇用の立ちおくれが見られているところであり、重度障害者、精神障害者の雇用対策の充実が求められているところであります。このため今般、障害者の雇用の促進等の法律が一部改正され、重度障害者、精神障害者の施策の充実を図られたところでございます。また、大企業における雇用率が低いため、九月の障害者雇用促進月間においても、職員が大企業を中心に直接訪問し、障害者雇用促進指導を実施したところでございます。
 なお、職業安定所に求職申し込みをして就職が決まっていない障害者の方が八百六十七人ございまして、今後とも障害者の雇用促進に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、不況の現況の把握でございます。
 県下の地場産業、また商店街が何を求め、今後どう進んでいこうとしているか、現地の生の声を聞くために各地で懇談会を開催してございます。本年度は、現在までに地場産業で六回、商店街で七回を実施し、それぞれの状況を把握しているところでございます。
 その他、本年から商店街においては、四半期に一度の景況調査を行ってございます。各業界とも売れ行きが伸びない等、いわゆるバブル経済の破綻による景気の低迷から各業種とも落ち込んでございます。こういった状況に対処するために、四月の緊急経済対策、また九月補正においても不況対策を実施したところでございます。今後とも、県内地場産業、商店街の活性化を図るため、各業界等の意向を踏まえ、業界等と一体となって対応してまいる所存でございます。
 次に、不況対策についての融資制度でございます。
 中小企業金融円滑化のための対策として、従前より各融資制度を設け取り組んできているところでございます。景気の低迷、先行き不透明感の続く中で、四月に実施した緊急経済対策に続き、八月末の国の総合経済対策をも受けて、中小企業金融対策として中小企業融資相談窓口の継続設置、中小企業振興資金の融資枠を四月の二十億円からさらに二十五億円に拡大し、また主に運転資金である中小企業経営安定資金の融資枠を五億円拡大するとともに、県の各融資制度の融資利率を○・四%もしくは○・三%引き下げるといった思い切った対策を実施し、対応しているところでございます。その結果、四月から十月末までの状況を平成三年度と比べてみると、中小企業振興資金にあっては、件数では約一・五倍の八百三十六件、融資金額では約一・四倍の八十六億六千万円、また中小企業経営安定資金については、件数では約一・四倍の七十三件、融資金額でも約一・四倍の七億二千万円といった実績になってございます。
 このように融資実績から見てみますと、中小企業の皆さんに県の融資制度を有効に活用していただいているものと考えてございますが、今後も景気の動向等を注視し、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、既融資の返済猶予等については、現在行っておりませんけれども、県としてはさきに答弁させていただいたように、中小企業振興資金、経営安定資金の融資枠の拡大と各種融資制度の融資利率を思い切って引き下げるといった中小企業金融対策を実施し対応したところでございます。
 また、返済猶予、特別小口融資の融資期間の延長、限度額の引き上げの件については、信用保証協会等との関係もあり、今後、国、他府県の動向をも見ながら検討してまいりたいと考えてございます。
 最後に、無担保・無保証の小口融資制度については、信用保証協会の保証つきの他の債務がないことという条件が中小企業信用保険法で定められております。信用保証協会にあっても、中小企業者の方から相談、問い合わせ等があった場合にはその点についても十分説明を行っているものと思いますが、議員ご質問の件についても、今後信用保証協会に対して十分指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 共同作業所の補助金の問題についてお答えをいたします。
 小規模作業所は、地域における障害者の働く場として、また生活指導や訓練を受ける場として大きな役割を果たしているところでございますが、自主的に運営されている無認可の施設であるため、その運営や労働条件等の実態は、認可施設に比べ厳しい状況にあると考えております。
 県といたしましても、こうした実態の改善を図るため、昭和五十四年度から作業所に対し補助を行うとともに、その増額に努めてまいりました。特に本年度は、補助枠を拡充するとともに増額を図ったところでございます。今後も、運営実態を見ながら対応してまいりたいと考えております。
 また、分場制度の導入や法人認可についても指導するとともに、厚生省に対しても、福祉的就労の場、デイケアの場として明確に位置づけるとともに市町村補助とするよう要望しているところでございまして、引き続き小規模作業所の運営の安定に努力してまいる所存でございます。
 次に、障害者の賃金と通所費の問題については、特に低賃金については認識しているところでございますが、いずれにいたしましても、通所費も含め公的補助は困難でございます。
 しかしながら、県といたしましては、障害者の雇用対策は重要な課題であるとの認識のもとに、商工労働部と連携をとりながら一般企業への雇用促進を行う一方、重度の障害者の就労機会の増大を図るため、本年度県下で二カ所目の身体障害者福祉工場を建設中であり、さらに精神薄弱者福祉工場の設置に向け、現在検討を進めているところでございます。また施設への通所費についても、障害者の方々が通所費を要さず簡単に通所が可能となるような地域バランスのとれた施設の配置が必要であると考えておりまして、今後も計画的な施設の建設を行い、通所費の軽減に努めてまいる所存でございます。
 次に、施設充実のために十分な各種調査をということでございます。
 障害者対策を推進する上で、障害者のニーズや実態を的確に把握し、施策に反映することは極めて重要なことであると考えてございます。
 昨日、木下秀男議員にもお答えいたしましたとおり、現在、身体障害者実態調査を実施すべく準備をしているところでございます。障害者の雇用や施設建設に対するニーズなど、議員お話しの実態も明らかにされるものと考えております。こうした調査結果を踏まえ、障害者福祉の向上に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 精神障害者に労働の場をということに関してお答えいたします。
 精神疾患による入院患者の退院の可否については、家族の受け入れ態勢や経済的な問題等もありますが、医学的な判断に負うところが多く、その掌握については困難な状況にございます。
 県といたしましては、回復途上にある精神障害者の地域における生活基盤の安定を図るため、保健所におけるデイケア事業のほか、通院患者リハビリテーション事業、小規模作業所通所訓練事業、社会復帰施設に対する運営補助事業などを実施しておりますが、今後も指導、援助体制を充実させ、精神障害者の社会復帰対策を促進してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(大江康弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 職業安定所に仕事を求めて、いまだに仕事につけないという方が八百六十七人もおるということをお聞きいたしました。
 実はそういう数字は前にも聞いたことがあるわけですが、なかなかこの数字が一向に減らない、増加の傾向さえある、こういうような状態が続いています。雇用するのは企業の方で、こちらの関係者が直接採用するというわけにはいきませんから、問題は簡単にいかないと思います。しかし、自分たちの障害を克服して、これから力いっぱい働いていこうと意欲に燃えておられる方々に仕事が与えられるよう、当局としては精いっぱいのことをやっていただきたいと思うんです。
 そして、一言つけ加えさせていただくならば、今までどおりのやり方だけでは問題は解決しないんではないか、今までのようなやり方の延長線上で頑張っていくというだけでは事は解決しないんではないかと思いますので、関係する職員を増員していただく等のことも考えて、このような方々に仕事が保障されるように、ぜひともご奮闘いただきたいと思います。
 また、重度障害者、精神障害者の雇用問題については、これからさらに進んでこようかと思います。
 現在、特に大企業の方におくれが出ています。大企業が今、社会の中で持っている責任、そういうことも十分当局の方から指導していただいて、ひとつその社会的責任が果たされるように当局の奮闘をお願いしたいと思います。
 それから、小規模作業所には肢体不自由児の小規模作業所と精神障害者のための小規模作業所があります。当局からちょうだいする補助金が、肢体不自由児の作業所に対する補助金と精神障害者の作業所に対する補助金が相当違っているわけです。精神障害者の方々の方が低いんです。補助対象が若干異なりますので厳密な計算はできませんけれども、七、八人の作業所ですと七十万円から八十万円、精神障害者の方への補助金が少ないんです。これは非常に妙な話でして、大体もとになっている法律がこういうことになっているそうなんですが、この補助金は県が独自に頑張っておられるところですから、この差をなくして、ともに手をつないで頑張れるように措置をお願いしたいと思うんです。精神障害者の施設だったらなぜ低いんだという声を聞きますし、その声に対してだれも答えができないという状況です。ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
 それから、小規模作業所への各種の補助金に対して、ことしの予算でも若干ふやしていただきました。それは非常に結構なことなんですが、当局の皆さん方もご承知のように、非常に運営が厳しい。その証拠に、古紙を回収したり、カンパに回ったり、バザーをやったりということで、本来の業務と違うところで汗を流さなければならない。こういう不況になると、それをまともに受けてさらにしんどい状態にあるということですので、ぜひとも補助金アップについてはご検討をいただきたいと思います。
 先ほど私も申し上げましたけれども、本来は国がもっとしっかりしてくれなあかんのです。そういうことを乗り越えて今自治体行政でやっておられるということについては、私は評価したいと思います。しかし、この現場で頑張っておられる方々は本当にぎりぎりのところで、人権を守るために、生きるという生存権をかけて頑張っておられる方々ですので、住民のための自治体行政として力を傾けていただきたいと思います。
 和歌山の小規模作業所に関係する諸施策では、他の府県と比べて進んだ点がたくさんあると思っております。認可された作業所、授産施設などは、近畿の中でも奈良あたりに比べても確かに多いわけですが、小規模作業所の補助金ということだけをとってみると、残念ながら必ずしもいいというわけにはいかないんです。
 ご承知だと思いますけれども、七、八人のところですが、三重県で三百五十万円、奈良県で四百九十万円、大阪府で五百万円、和歌山は二百五十万円、このぐらいの差があるわけです。もちろん、自治体の財政力にもよりますし、いろいろ原因はあると思います。あっちにはないけれども、こっちにはええものがあると、こういうことは私もわかっているんですけれども、しかし、本当にぎりぎりのところで、障害者の皆さん方がみんなと一緒に、普通の人と同じように頑張ろうと奮闘されている場でございますので、大いに力を込めて援助、補助をお願いしたいと思います。
 重度加算の問題、通所補助の問題については、残念ながらいい答弁はもらえませんでした。しかし、全体を底上げしていくという中で、そういうことに対してもこたえられるようにお願いを申し上げたいと思います。
 また、質問の中で一つ落としましたけれども、不況によって授産施設の中の仕事が減っているところもあります。ぜひとも、官公需の優先的な提供とか、仕事のあっせんとかいうところにも力を注いでいただければ、関係する方々は大きな喜びとするところではないかと思います。
 私は、「ふれ愛紀州路」というスローガンが大変好きなんです。そういう心が紀伊半島のすべての小規模作業所に、もちろんそれだけじゃなくていろんなことも含めてですけれども、そういう精神があふれておって、共同作業所で働いている方々から本当に笑い声が聞こえるような施策の実現方をぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。
 不況対策で多くのことを申し上げました。時間がございませんので、検討していきたいという答弁をいただいた点についてはぜひご検討いただいて、よりよい施策の発展をお願い申し上げたいと思います。
 特に、障害者対策の問題については、当局のヒューマニズムとその善意を私も信頼させていただきまして、来るべき当初予算に大きく反映されることを心から願いまして、第二問は要望にとどめておきたいと思います。
○副議長(大江康弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(大江康弘君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時四十六分散会

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