平成4年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第三号 平成四年十二月九日(水曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第百四十八号から議案第百五十五号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百四十八号から議案第百五十五号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十五人)
 1 番 尾 崎 要 二
 2 番 中 村 裕 一
 3 番 下 川 俊 樹
 4 番 石 田 真 敏
 6 番 木 下 秀 男
 7 番 岡 本  保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 北 村  翼
 10 番 小 川  武
 11 番 上野山 親 主
 12 番 井 出 益 弘
 13 番 町 田  亘
 14 番 尾 崎 吉 弘
 15 番 門  三佐博 
 16 番 西 本 長 弘
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 冨 安 民 浩
 19 番 和 田 正 一
 20 番 阪 部 菊 雄
 21 番 平 越 孝 哉
 22 番 大 江 康 弘
 23 番 岸 本 光 造
 24 番 山 本  一
 25 番 吉 井 和 視
 26 番 浜 田 真 輔
 27 番 堀 本 隆 男
 28 番 宇治田  栄 蔵
 29 番 富 田  豊
 30 番 中 村 利 男
 31 番 馬 頭 哲 弥
 32 番 宗  正 彦
 33 番 鶴 田 至 弘
 34 番 上 野 哲 弘
 35 番 村 岡 キミ子  
 36 番 松 本 貞 次
 37 番 木 下 義 夫
 38 番 和 田 正 人
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 橋 本  進
 41 番 野見山   海
 42 番 森  正 樹
 43 番 浜 本  収
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 口 矩 一
 46 番 森 本 明 雄
欠 席 議 員(なし)
 〔備 考〕
 5 番 欠 員
 47 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 佐 武 廸 生
 民生部長 吉 井 清 純
 保健環境部長 江 口 弘 久
 商工労働部長 中 西 伸 雄
 農林水産部長 中 村  昇
 土木部長 山 田  功
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
   山 階 清 弘
 警察本部長 中 長 昌 一
 以下各部長
 人事委員会委員長
   水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 塩 崎 省 吉
 次 長 中 村  彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 古 井 美 次
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 川 端 孝 治
 調査課長 大 畑  巌
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時三分開議
○議長(馬頭哲弥君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(馬頭哲弥君) 日程第一、議案第百四十八号から議案第百五十五号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 10番小川 武君。
 〔小川 武君、登壇〕(拍手)
○小川 武君 おはようございます。議長のお許しをいただきまして、通告順に従い、順次質問をさせていただきます。
 まず、紀淡海峡問題についてであります。
 去る十月二十二日、四国徳島市において、第二国土軸構想推進協議会を構成する、本県を初め愛知県以西の十七府県と八経済団体の共催による第四回第二国土軸シンポジウムが開催され、関係者が活発な意見交換を行ったと報じられております。このシンポジウムでは、第二国土軸構想推進協議会が昨年実施した基礎調査の報告と、紀淡海峡、豊予海峡、伊勢湾口の三ルートで形成される海峡交流圏をめぐって意見を交換、東京一極集中を是正する従来の論議に加え、三海峡に循環交通体系と経済交流圏を構成する必要性が強く打ち出されたとあります。
 また、十一月二十六日、東京において第三回新国土形成シンポジウムが開催され、全国四十一道府県の知事を代表して仮谷知事が、循環型高速道路網の早期形成による新たな活力ある地域経済圏づくりを熱っぽく訴えられたのであります。日本の国土づくりは、二十一世紀を目前に控えて今新たな対応を始めていると言っても、決して過言でないと言えます。そして、そのリーダー役として東奔西走されている仮谷知事の活躍に、心から敬意を表したいと思うのであります。
 昭和三十九年、国連技術援助計画調査団のワイズマン博士が打ち出した東海南海連絡道構想、そしてそれを二十一世紀のビッグプロジェクトして昭和五十四年に仮谷知事が紀淡海峡トンネル構想として具体的な提案をされた第二国土軸構想は、今や夢物語としてではなく、西日本の政財界を揺り動かし、実現へ向けての熱い思いとなってみなぎっているのであります。
 紀淡海峡は、申すまでもなく大阪湾ベイエリア開発の明石海峡大橋、大阪湾岸道路を結ぶ大阪湾環状交通体系を形成するかなめであり、また関西文化学術研究都市から奈良、五条、橋本、和歌山に至る京奈和自動車道を中心とする関西大環状軸の結節点、さらには九州、四国、近畿、中部圏域を結ぶ海峡交流圏の中心拠点としての位置にあり、第二国土軸構想を推進する上において欠かせざる要衝と言えるものであります。
 現在、国においては、四全総の点検作業と次の第五次全国総合開発計画の策定のための準備作業に入っていると言われております。四全総に大阪湾環状交通体系という位置づけをさせたことが具体化への第一歩であったと評価するものでありますが、第二国土軸、紀淡海峡連絡ルートをさらに国家プロジェクトとして国の計画に明確な位置づけをすることこそが実現への必要不可欠な具体的展開であろうかと思うのであります。我が県議会においても、ことしの三月、第二国土軸建設促進議員連盟を結成したところであり、県政挙げてこの実現に向けて取り組む体制が着々と整いつつあります。関西国際空港と第二国土軸は、和歌山の将来を切り開いていくために必要にして最大のプロジェクトであります。
 第二国土軸構想推進協議会のリーダーでもある仮谷知事の、第二国土軸構想の促進、紀淡海峡ルートの実現に向けてのこれからの決意のほどをお聞かせいただきたいのであります。
 また、この紀淡海峡連絡ルートについては、紀淡海峡トンネル調査が始まって十年、紀淡海峡道路の調査も着手されている中、鉄道か道路か、あるいはまた両方なのか、本格的な検討の時期に来ているのではないかと考えるわけであります。いずれにいたしましても、この紀淡海峡連絡ルートを和歌山県としていかに利用し、どのような形で活用していくかを具体的に考えていく必要があるのではないでしょうか。
 例えば、コスモパーク加太計画にしても、紀淡海峡大橋とすれば観光リゾート基地としての評価は一層変わってくるでしょう。二十一世紀をにらんだ県土の開発計画のすべてにわたって、この紀淡海峡連絡ルートは大きな変化を来すことになると思います。紀淡海峡連絡ルートが実現すれば、我が和歌山県としてこういうことをやりたいという具体的な計画を打ち上げ、関係者を説得していくことこそ実現へ向けての確実なステップではないでしょうか。第二国土軸構想、紀淡海峡連絡ルートへの取り組みの現状と今後の進め方、あわせて紀淡海峡連絡ルートについては鉄道か道路か、あるいはトンネルか橋か、どちらが本県にとって有利と考えるのか、関係部長の熱意ある答弁をお願いしたいと思います。
 次に、前回に引き続き、和歌浦の振興について質問いたしたいと思います。
 マリーナシティ、片男波公園の建設、和歌浦廻線の延伸と和歌浦一帯の活性化、燦黒潮リゾート構想の拠点地域としての発展に日ごろご尽力いただいておりますこと、地元の議員として感謝にたえない次第であります。
 さて、先ごろ和歌山社会経済研究所等が中心となって、「リフレッシュ和歌浦計画 和歌浦委員会提案書」が発表されました。既に目を通されている方もおありと思いますが、私としても、和歌浦に生まれ、和歌浦で育ち、今日までの和歌浦の盛衰を実感してきた者として、この提案書については大いに深い関心を持って読ませていただいたところであります。
 どうすれば観光地としての和歌浦が再びにぎわいを取り戻せるか、観光和歌浦に欠けているものは何なのか、和歌浦のここが問題ということで、国立公園地域内にあって地形的制約条件が多いこと、観光にかける積極的な事業意欲が足りないことの二点を挙げ、そのため現在のレジャースタイルに対応できていない、すなわちモータリゼーションに対応できていない、例えば、高速道路や幹線道路と直結していない、駐車場が少ない、大型観光バスが通れない道が多い、また観光施設面では、老朽化した宿泊施設が多い、大型ホテルがない、新しい遊び場、物販、観光施設がほとんどないなどの点が挙げられております。
 平成三年の和歌浦地域への日帰り観光客約百三十八万人のうち、紀三井寺で約七十七万人、片男波海水浴場で約四十六万人を占めており、残りの東照宮、番所庭園、養翠園、新和歌遊園の四カ所を合わせても約十五万人にすぎない状況で、さらに宿泊客数の比率は年々低下傾向にあります。四十万都市の市街地に隣接し、しかも我が国第二の大都市圏である大阪都市圏から七十キロ以内という立地、美しい海岸線、多彩な文化財、歴史の厚さ、こうした得がたい立地条件、貴重な観光資源を和歌浦の町づくりに生かしていけるはずであると、この提案書は言っております。
 そして、この具体的な活性化のための提案として、一、現在の県職員研修所一帯を計画敷地とした和歌浦歴史文華館計画、二、フィッシャーマンズワーフの建設を柱とした和歌浦漁港再開発計画、三、現在のロープウエーにかわって東洋一のエスカレーターを備えた高津子山回転展望台再開発計画、四、現在、和歌山市駅から水軒口までつながっている鉄道の和歌浦までの延伸、以上の四つがリーディングプロジェクトとして挙げられております。
 これらは夢物語と言えばそれまでですが、中には必要度合いの高い提案もされているのであります。その一つに和歌浦漁港の活性化があると思います。
 和歌浦漁港は、万葉の地で知られた和歌の浦、片男波に接し、さらに新和歌浦、奥新和歌浦へと連なる和歌浦観光の中心部であります。当漁港は、昭和四十九年に魚市場が中央卸売市場に移転して以来、漁港本来の機能が失われつつあり、一方ではヨット、プレジャーボート等の施設が整備され、環境の変化に伴い、この漁港の様相も変化しつつあります。しかしながら、当漁港の大部分の土地が有効に生かされず、散然とした風景が和歌浦のイメージを低下させていることは非常に残念なことであります。
 そこで、和歌浦湾一帯はマリーナシティ、和歌公園、片男波海水浴場の整備が進行されており、これらの推進にあわせて当漁港の有効活用、すなわち必要スペースを漁港機能として残し、残余スペースを市民の憩いの場、観光の新名所として整備してはどうかと思うのであります。
 私は、フィッシャーマンズワーフのような漁業協同組合等、地元住民が参加した形態の施設を中心とした整備を期待するわけでありますが、県当局の和歌浦漁港のリニューアル方策について展望をお示しいただきたいと思うのであります。
 経済大国日本、国民すべてが中流意識を持つこの時代、それだけに明治の先覚者森田庄兵衛翁のごとき私財を投じて地域の活性化、発展のために和歌浦開発を手がけてくれるような冒険家が出現しないことも現実であります。そういう意味においては、和歌浦活性化の現在の先達は行政をおいてほかにはないのではなかろうかと思うのであります。
 和歌浦観光の振興策について、これまでいろいろ語られ、検討されておりますが、今回このリフレッシュ和歌浦計画のような斬新かつ具体的な提案は貴重なものであろうかと思うのであります。関係部長として、どのような受けとめ方をされておられるのか、観光和歌浦の今後の振興策とあわせ、商工労働部長の見解をお聞きしたいと思います。
 次に、去る九月に発表された和歌山市手平・中島地区の旧国鉄和歌山操車場駅跡地に建設される健康ふれ愛和歌山計画について質問を行いたいと思います。
 和歌山操車場駅跡地は和歌山市街地に唯一残された広大な都市空間であり、その跡地利用については県民の注目と熱い期待が寄せられております。当計画概要書を見てみますと、跡地約六・九ヘクタールに福祉施設、保健施設、スポーツを初め各種イベント等が開催できる多目的ホール、そして地域社会の担い手の活動拠点として女性センター、青少年センター等の施設が計画されております。この計画を見て、県民各界各層の皆様が待ち望んでいた施設の大部分が当計画に包含されることになり、画期的なものだと感じたところであります。国体道路沿いの広大な土地が、県民の交流の場として、また緑豊かな憩いの場として生まれ変わろうとしております。私は、この計画に大きな期待を寄せるとともに、計画の具体化を図り、早期実現を切望するものであります。
 そこで、当計画を積極的に推進していただきたいという願いを込めて、数点の質問をいたします。
 まず、交通アクセスの問題についてであります。
 当施設の利用についてでありますが、特に多目的ホールの利用については、全県下を対象にした県民集会や国際イベント等といった催し物が行われると思います。県内はもちろん、県外各地からの利用が見込まれることでしょう。そうした場合、最も利用される交通機関は、言うまでもなくJRであると考えます。私は、JR宮前駅が利用の拠点になると思いますが、いかがなものでしょうか。
 大阪城ホールができて、JR大阪環状線に大阪城公園駅が新設されました。また、名古屋のレインボーホールはJR笠寺駅近くに建設されております。こうした状況から見れば、当施設の利用はJR和歌山駅からの乗りかえでJR宮前駅利用がメーンルートにならざるを得ないと考えられます。一方、道路アクセスについても、当施設に面している通称国体道路は、現在でも交通量の多いことで知られております。イベント等が開催された場合、交通ラッシュは目に見えている状況であります。
 そこで、当施設を利用する場合の交通アクセス対策について、いかにお考えになっているかをお伺いしたいと思います。また、本事業のスムーズな進展を望みながら、実現に向けての今後のスケジュールについてもお伺いしたいと思います。
 次に県財政の対応でありますが、計画を実現化するためには何といっても財政的な裏づけがなくてはなりません。県においては、当計画のみならず、マリーナシティ、美術館、博物館、図書館や県立医大の統合移転といったビッグプロジェクトを抱えており、今後、財政面での対応が大変だろうと思われるところであり、また、さきの九月補正予算で県税の減額というかつてない厳しい局面に来ていることを察するわけですが、本計画を推進するに当たり、財源措置の見通しについて県財政を預かる立場の総務部長にお伺いしたいと思います。
 最後に、世界リゾート博についてお伺いいたします。
 和歌山マリーナシティを主会場として、二十一世紀のリゾート体験をメーンテーマに、世界に開かれたリゾート、自然との対話に満ちたリゾート、心の触れ合うリゾートの三つをサブテーマとして、世界リゾート博は再来年夏の開催を目指して今その準備が着々と進められております。
 世界リゾート博のPR用パンフレットを見ますと、開催の意義、目的の一つとして、県民総参加の町づくりの機運を高める、そのために県内のリゾート地をネットワーク化し、世界リゾート博の県域全体での広域的展開を図り、県民総参加を実現、県勢の活性化を図るとうたわれております。
 しかし、県民の間に入って聞いてみますと、現在のところでは、マリーナシティで行われるイベントであり、始まったら見に行くといった受け身型の反応であり、自分たちがお客さんを迎えるのだ、自分たちも参加するのだといった積極的な対応が見られないのであります。県民総参加と言うが、どのような形で参加すればよいのかという形が見えてこないのであります。
 思えば二十二年前、昭和四十六年の黒潮国体、夏秋合わせてわずか二週間、十万人足らずのお客さんを温かい真心で迎えようと、県民は燃えに燃えたのであります。沿道には真っ赤なサルビア、黄色のマリーゴールドの花が咲き誇り、親切にしよう、美しくしよう、むだをなくそう、たくましく鍛えようのスローガンの新県民運動が県内隅々まで浸透したのであります。何があのように県民を興奮させたのか。県選手団の活躍を心から応援する、それもありましょう。しかし、もっと大きなことは、黒潮国体を契機に県土の大改造を図ろうという大目標があったからではないでしょうか。
 和歌山市を例にとっても、市内の目抜き通りを走っていた軌道電車を廃止し、広い自動車道路となりました。国体道路の愛称で呼ばれている県道和歌山海南線の開通、紀三井寺運動公園の整備、そしてポスト国体施設として体力開発センターがオープンするなど、県民生活の利便性の向上、生活文化の向上に大きな成果をもたらしたものでありました。
 世界リゾート博は、開催期間七十二日、予定入場者も今のところ少なく見積もって百万人であります。黒潮国体よりもはるかに大がかりな催しであります。世界リゾート博を通じて、本県を訪れる国内外の多くのお客さんに和歌山の自然、歴史、文化、産業を知ってもらう、リゾート立県として整備された県内各地のリゾート施設とそれを経営する県民の心豊かな対応を知ってもらい、和歌山の住みやすさ、暮らしやすさを国内外にアピールする絶好の機会であると、広報パンフレットには紹介されております。
 しかし、そうした理想論だけで県民は納得するでしょうか。世界リゾート博の経済波及効果二百三十九億円、雇用創出効果三千四百人と言われておりますが、そうしたこととあわせ、世界リゾート博がなぜ現在の和歌山県民にとって必要なのか、県民生活の上にどのようなプラス変化をもたらすものであるのか、言いかえれば、ポストリゾート博で何を残せるのか、県民の日常生活に直結したリゾート博効果として何が期待できるのか明確にし、県民に知ってもらう必要があるのではないかと思うものでありますが、関係部長の答弁をお願いいたします。
 そして、私は、あの黒潮国体のときのような、世界リゾート博を成功させるための県民運動を強く推し進めることを提案したいのであります。
 お客様に対して町をきれいにしてお迎えすることは、とても大切なことと思います。それといま一つ、「真心で迎えよう」を県民運動として取り組まれてはどうかと思うのであります。タクシーの運転手さんばかりにマナーの向上を訴える前に、県民すべてが国内外からのお客さんと接するマナーをさわやかに高めたいものであります。
 世界リゾート博はジャパン・エキスポに指定され、来年七月から県内各地で地域の特性を生かしたリレーイベントが開催されると聞いております。まさに、温かい人間性に満ちあふれた和歌山県を国内外に浸透させる絶好の機会であります。ぜひ、世界リゾート博県民運動を提唱するものであります。知事のご所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの小川武君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 小川議員にお答え申し上げます。
 第一点の問題、第二国土軸構想、紀淡海峡ルートの実現への決意についてでございます。
 本県は紀伊半島に属しており、それがゆえに国土軸に通じることが多年の悲願でございました。そうした観点に立って、県は第二国土軸構想を推進しているところでございます。一昨年、本県で開催したシンポジウムを契機に設立した第二国土軸構想推進協議会で、調査研究や要望など活発な活動を展開してきたところでございます。また、去る六月、国において発表された生活大国五か年計画には、今後、新たな国土軸のあり方も含め、二十一世紀の国土構造の姿について総合的な検討を進めることが明記されたところでございます。
 先ほど話ございましたように、議会でも議員連盟をつくっていただきましたので、なお一層連携を深めて、この構想が国の計画に早期に位置づけられるよう、関係団体と連携を密にして今後とも積極的に進めてまいりたいと思っております。
 また、そのかなめとなる紀淡海峡ルートについても、お話ございましたように、国において道路、鉄道の両面での調査を実施しているところでございます。こうした中で、去る九月には近畿と四国の交流を深めるため紀淡海峡交流会議を設立し、海峡交流圏の形成を進めることとしているところでございます。
 今後とも、この会議の代表者の一人として、紀淡海峡ルートの早期実現に向けて最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
 次に、世界リゾート博についてご提言なりご意見を賜ったわけでございます。
 これを成功させるためには県民運動の推進が一番大事だ、行政と民間とが一体となって、お互いがこのリゾート博をやるんだ、支えるんだという気概を持ってやることが一番大事だということ、同感でございます。そうしたムードをいかに盛り上げていくかということが肝要だと思っておるところでございます。
 そうした県民運動を具体的に推進していくために、リゾート博推進本部に専門部会としての県民運動部会を設置して、緑と花づくり運動、環境美化運動、まごころの輪づくり運動の三目標を柱に検討させているところでございます。また、お話ございました、我が国内外から来られる方を温かく迎え、本県のすばらしさを十分認識していただけるように今後積極的に進めていかなければならないと思っております。
 また、県民運動とあわせて、県民の皆さんに総参加していただくために、博覧会の運営に広くボランティアの皆さんの参加をいただくことも肝要なことだと思っておるわけでございます。これを積極的に推進し、協力していただくという形で進めてまいりたいと考えております。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 紀淡海峡問題に関連するご質問にお答えいたします。
 まず、第二国土軸構想についての取り組みの現状と進め方でございます。
 十七府県及び八経済団体で構成する第二国土軸構想推進協議会において、国土計画への明確な位置づけなど関係省庁等に要望を行うとともに、国土軸のあり方の研究調査を行い、新たな海峡交流圏や多軸型国土の形成を提言し、取りまとめたところでございます。この提言に基づき、本年夏には国会議員連盟との懇談会など活発に活動してきたところでございます。おかげをもちまして、来年度の国土庁の概算要求にも交通基盤の整備と国土の軸のあり方に関する調査費が計上され、国においても第二国土軸を含む新たな国土軸のあり方の調査に初めて取り組みがなされるなど、本協議会の成果が大きくあらわれてきてございます。
 今後は、新たな国土軸構想を提唱している東北、日本海沿岸等、他の地域との交流を深め、国土計画への明確な位置づけができるよう、さらに積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、紀淡海峡ルートについてでございます。
 トンネル調査については、四国新幹線のうち本州─淡路島間の海底トンネル部分に係る区間の調査が順調に進んでございまして、本年度で十年目を迎えてございます。一方、紀淡連絡道路については、昨年から建設省において調査をしていただいており、来年度より始まる第十一次道路整備五箇年計画案に、大阪湾環状道路として地域の活性化施策の推進とあわせて事業の具体化を図ると位置づけられたところでございます。
 このように、国において鉄道、道路の両面から調査をしていただいてございます。今後は、これらの調査の早期完了と早期実現に向け、関係府県や経済団体と連携を密にしながら、県議会の皆様のご協力をいただき、一日も早い実現のため懸命に努力してまいりたいと考えてございます。
 次に、架橋方式かトンネル方式かとのご質問でございます。
 まず、現在進められている紀淡海峡トンネルの調査や紀淡連絡道路の調査を完了していただくことが重要でございます。今後は、鉄道については整備計画への位置づけ、道路については第十一次道路整備五箇年計画の正式決定に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、健康ふれ愛和歌山計画に関連する質問でございます。
 広く県民に利用される大規模施設を建設する場合、交通アクセスの整備はとりわけ重要な課題であると考えてございます。
 まず鉄道については、ご指摘のとおり、大量輸送を図る意味からもJR紀勢本線宮前駅の利用が不可欠であると考えてございます。当駅から施設までのアクセス道路については、アメニティーの高い遊歩道等を検討いたすこととしてございます。
 また道路交通については、一定規模の駐車場を確保いたしたいと考えておりますが、数千人規模の大規模イベント開催の場合には、最寄りのターミナル駅からのシャトルバスの活用等によるスムーズな運行計画を検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、今後のスケジュールについてでございます。
 多目的ホール棟、健康・福祉棟の建設については、平成五年度より実施設計作業を進めて平成七年春には着工し、工事期間は約二年間を予定しておりますが、財政事情等も勘案しながら建設を進めてまいらなければならないものと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) 和歌浦漁港のリニューアルについてお答えを申し上げます。
 和歌浦漁港は、観光や周辺の景観との調和のとれた施設整備を図ることが極めて重要であると考えてございます。この漁港は、紀伊水道の生鮮魚介類の荷揚げ場として昭和二十六年に第三種漁港に指定され、その間、昭和四十二年に和歌浦魚市場が開設され、漁港と魚市場がそれぞれの機能を発揮してまいったところでございます。
 議員のお話のとおり、昭和四十九年に魚市場が西浜の中央卸売市場に全面移転いたしましたが、なお周辺漁船の荷揚げ場としての機能を持ってございます。また、最近の海洋レジャーブームに乗って遊漁船等が多数係留されるようになったため、本年四月にこれらを係留するための利用施設を完成したところでございます。
 さらに、漁港用地の有効活用についてでありますが、ご提言いただいた和歌浦漁港のリニューアルについては、県としても漁港の地理的環境及び社会的環境を十分認識し、現在、漁業協同組合、地元自治会を中心に幅広く関係者に呼びかけ、有効活用について市民並びに観光客を対象にした地場産品コーナー、イベント広場、緑地、駐車場等、和歌浦活性化のための方策の検討を進めているところでございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 和歌浦の観光振興についてお答えいたします。
 和歌浦地域は、万葉の時代から多くの人々に親しまれた景勝地であるとともに、多くの歴史的、文化的資源が残っており、紀北地域における重要な観光拠点でございます。
 議員ご指摘のリフレッシュ和歌浦計画は、今後の和歌浦の観光振興を図る上で貴重な提言であろうと考えてございます。現在、世界リゾート博の開催を控え、和歌山マリーナシティや片男波海水浴場、和歌公園などの整備が進む中で、和歌浦地域に多くの新たな観光的魅力が付加されようとしてございます。またソフト面においても、和歌浦地域への誘客を図るため、本年度もビーチバレーボール大会やヨットレース観戦クルージングなど、体験・参加型のイベントを実施しているところでございます。
 なお今後、和歌浦の観光振興を図る上においては、東照宮、天満宮、玉津島神社など地域の歴史、文化資源の積極的な活用やPRを展開するとともに、周辺の観光地との連携による観光ルートの設定などが必要であろうかと考えてございます。さらに、より魅力的な観光地にするためには、観光関係者が自主的に行動することが肝要であろうかと考えてございます。今後とも、地元関係市町との連携のもとに、和歌浦の観光振興に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 健康ふれ愛和歌山計画の財源措置の見通しについてでございます。
 幾つか例を挙げてご指摘がございましたように、本県においてはこれまで計画段階であった数々の大規模事業が既に進捗をし、また今後も新たに着手を予定しているところでございます。これらの事業の円滑な推進を図るためには、必要な財源を確保し、財政の対応力を維持していくことが不可欠でございますが、一方、昨今の景気の後退は、国税、地方税、双方の低下を招くことになり、特に歳入面での制約から本県の財政も大変厳しい状況が続くものと考えられます。
 こうした中で、ご質問の健康ふれ愛和歌山計画については、国の支援措置の中でもできるだけ有利な制度を活用すべく、自治省のリーディングプロジェクトとして実施することといたしました。これは、元利償還金の五五%が地方交付税で措置される地域総合整備事業債を活用するものであり、実質的に相当程度の一般財源負担の軽減が図られることになりますが、それでもなお事業自体が多額の財源を必要とするものであるため、今後具体的な事業実施に当たっては、各年度の財政状況等を十分勘案しながら適切な対応に努め、円滑な事業進捗が図られるよう配意していかなければいけないと考えております。
○議長(馬頭哲弥君) 知事公室長市川龍雄君。
 〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) リゾート博についてお答え申し上げます。
 博覧会の終了後に何が残り、どういう効果が期待できるかについてでございます。
 この博覧会は、議員お話しのように、開幕の一年前から県下各地域の特性や豊かな自然、文化、歴史資源を生かしたイベントを展開することによって本県のイメージアップを図り、地域の活性化につながることはもちろんのこと、博覧会場から二十一世紀のリゾートの情報発信を行い、和歌山を国際リゾートエリアとして定着させるという大きな意義と目的を持ってございます。また、博覧会の開催によりハード面のインフラが整備されるとともに、博覧会開催のための投資経費や会場内外での消費支出などによって誘発される経済的な波及効果や雇用機会の増大等が期待できるものと考えてございます。
 さらに、県民総参加でこの博覧会を展開することにより、県民の連帯感や郷土愛の醸成が図られるものと思ってございますし、博覧会終了後も、恒久施設である仮称マリーナシティ和歌山館を通して本県のすばらしさをさらにアピールするとともに、本県で初めて開催される博覧会の内容やこれまで培われてきたノーハウを何らかの形で残していきたいと考えてございます。このように、世界リゾート博の開催により、大きな有形無形の財産を後世に残していけるものと確信をいたしているところでございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 以上で、小川武君の質問が終了いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番野見山 海君。
 〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 おはようございます。本日の二番バッターとして、四点について一般質問をさせていただきます。
 最初に、地方拠点都市整備法について行います。
 地方の今後はどうあるべきかということについては、九月議会で石田議員が質問されまして、紀南の住民として本当にありがたく思いました。この地方拠点法は、紀南の活性化と町づくりのために最後のチャンスではないかなと私は考えている次第でございます。
 東京一極集中の是正と地方の活性化を目指す地方拠点法案がさきの国会で成立し、国では年内にも第一次指定都市を決定するための作業に入っているところであります。
 この地方拠点都市は、各都道府県に一、二カ所の対象地域を定め、下水道や住宅、文化施設などの公共投資を十年間にわたって重点配分し、高度な都市機能を備えた町づくりを整備するもので、税制面からも優遇措置を行うなどして、人口の定着化を図るのがねらいとされております。そして、地域整備の基本計画は市町村で作成するなど、地方の自主性を尊重するというのが大原則となっております。この地域指定は県知事が権限を持っているのであります。和歌山県でも、田辺市、御坊市の二カ所が指定に向けて積極的に働きかけていると聞いております。
 しかし、先月の三十日付の産経新聞の報道を見てみますと、第一次指定は三十二道県が名のりを上げているものの、我が和歌山県はこの三十二カ所の中に入っておらず、この報道を見る限りでは、紀南地方の活性化と紀南地方の浮上を願う田辺、西牟婁、御坊地方の県民の皆さんは、あれっという疑問を持ったのではないでしょうか。
 県指定の権限を持つ仮谷知事の地方拠点法の県内指定に向けての見通しと今後の取り組みについて、ご所見をお伺いいたしたいと思います。
 この指定に向けて積極的に作業を進めている田辺周辺広域市町村圏組合の中の田辺市は、ことし市制五十周年と記念すべき年を迎える中、「活力ある美しいまちづくり」をスローガンに掲げて、二十一世紀へ向けての田辺市づくりに取り組んでいるところであります。しかし、バブル経済の崩壊によって、リゾートによる地域の活性化を進めていた田辺市では、企業の事業規模の縮小などによりリゾート開発計画が大きく後退したのであります。田辺市としては、方針変更しなければならない状況下に至っております。
 このため県当局におかれては、この地方拠点法の指定を積極的に進められ、若者が定着できる紀南の中核都市づくりのために田辺市とその周辺町村にスポットライトを当てていただきたいと思いますが、当局のご見解をお伺いしたいと思います。
 二つ目に、交通死亡事故についてお伺いいたします。
 我が国では、戦後の経済成長とともに、交通事故による死亡者数が昭和四十五年に一万六千七百六十五人というワースト記録になって以来、昭和五十年代には交通安全に向けて積極的な啓発や取り組みが行われ、オイルショック以降、亡くなった方の数は一万人を下回り、八千人台となりました。しかし、昭和六十三年には亡くなった方の数は再び一万人台となり、第二次交通戦争時代に突入いたしました。我が和歌山県でも、昭和四十四年に亡くなった方の数が二百三十人と史上最高を数えた後、昭和五十年代はそれを下回り百人前後となっていますが、第二次交通戦争と言われる昭和六十三年には百四十一人と、十三年ぶりに高い数となりました。
 また、ことしの交通事故を見てみますと、全国での死亡者数は十一月末現在で一万三百七十六人となり、この数字は、およそ四十六分間に一人が交通事故で亡くなっているという現状をあらわしています。和歌山県でも、十月二十八日には交通事故で亡くなった方の数が百人の三けたを記録し、この百人は昨年より四十五日も早いハイペースで、増加率も近畿地方ではワーストワンという不名誉な数を記録しています。このため、県や市町村、民間の事業所などで構成し、会長を仮谷知事が務められている交通事故をなくする県民運動推進協議会では、百人を記録した翌二十九日に交通死亡事故多発非常事態宣言を行い、県民ぐるみ、職場、学校、家庭ぐるみで交通事故防止に向けての取り組みがなされていると聞いております。
 そこで、例えば交通安全や交通ルール、マナーの向上を呼びかける啓発用のビデオを家庭や学校、職場などに導入したり、また協議会が中心となり、制作して貸し出すといった積極的な施策を展開してはいかがでしょうか。
 また、県内の主要幹線道路には中央分離帯がほとんどなく、死亡事故の多く発生する対面通行という状況下にあります。県では、車両がセンターラインを割ると音の出るセンターラインを導入するなどして居眠り運転やわき見運転防止対策に取り組まれていますが、道路の幅員に余裕のある箇所にこの音の出るセンターラインを二重にするといったように、より安全性を強化して事故防止対策に当たってはいかがでしょうか。
 また警察本部におかれては、百人を記録して以来、街頭での指導取り締まりを強化して対策に当たっていることに対し敬意を表したいと思います。しかし、亡くなった方の数は十二月六日現在で百十人となり、昨年一年間で亡くなった方の数百四人を既に上回っている状況にあります。和歌山県警の警察官の数は大阪府警に比べて十分の一以下の千八百八十人と少なく、週休二日制の導入などに伴い街頭での指導取り締まりにも限界がありますが、県民、国民の生命、財産を守るという観点からも、より積極的な取り組みをお願いするものでございます。ついては県当局並びに警察本部は、この事態をどのように受けとめ、今後、死者抑止にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。
 続いて、週休二日制について質問いたします。
 生活大国の実現に向けて、ゆとり、豊かさといった表現が労働組合や行政機関でも叫ばれる今日、和歌山県でも九月から完全週休二日制を実施、続いて和歌山市も今月から、また田辺市を初め県内市町村も取り組んでいると聞いておりますが、この完全週休二日制やリフレッシュ休暇は、ゆとり、豊かさ、それに健康づくりという観点からも大変意義あるものと考えます。
 県内の市町村の完全週休二日制の現在までの取り組みをお聞かせいただきたいと思います。また、県内の市町村や外郭団体等の完全週休二日制の実施に伴い、住民サービスを低下させないためにどのような指導をされているのかについてもお伺いしたいと思います。
 また、この完全週休二日制は民間企業では大手企業を中心に実施されていますが、中小企業等では完全週休二日制は余り行われていないのが現状であります。この民間企業での完全週休二日制やリフレッシュ休暇の実施状況と民間企業への指導等をどのように行っているのかについてもお伺いしたいと思います。
 県がまとめた昨年一年間の観光客動態調査結果では、県内への観光客は宿泊客と日帰り客を合わせると二千七百八十九万四千八百三十五人となっており、一昨年より三・五%の増加となっております。しかし、県観光課のことし七月と八月の二カ月間の白浜町や那智勝浦町といった県内主要観光地での観光客動態調査では、バブル経済の崩壊に伴う影響などで昨年の同じ時期に比べて二・五%の減少で、これの減少は五年ぶりのことだということです。
 この中で観光客の動向を見てみますと、毎年多くの海水浴客が訪れる和歌山市、白浜町、那智勝浦町での減少が見られる中、逆に根強いアウトドアブームを反映してキャンプ場を持つ本宮町や龍神村などでは観光客がふえ、特に本宮町の川湯キャンプ場では台風の影響で四日間キャンプ場を閉めたにもかかわらず約二万人が訪れ、過去最高の人手を記録したということです。このアウトドアブームは、週休二日制や夏季休暇制度の普及によるものが大きな要因と見られます。今後ますます広がりを見せるアウトドア型の行楽地でのキャンプ場の整備や駐車場整備、トイレや休憩所等の整備を積極的に進めるべきだと思います。また、アウトドア専門のガイドブックや日帰りの行楽客を対象としたガイドブックを作成されてはいかがでしょうか。このほか、車で訪れる観光客に対しては、快適でゆったりとした紀州路の観光を楽しんでもらえるためにも、行楽地に通じる主要幹線道路沿いに無料休憩所を今後さらに大幅に増設されてはいかがでしょうか。観光、リゾート立県の推進に当たられている県当局のご見解をお伺いいたします。
 最後に、梅衰弱症についてお伺いいたします。
 梅衰弱症の問題については、さきの二月議会の農林水産委員会でも先輩県議が取り上げて論議されましたけれども、その後、県果樹園芸試験場での調査結果などが発表されておりますので、改めて質問をさせていただきます。
 田辺市上芳養石神地域、秋津川地域、南部川村地域を中心に、昭和六十年ごろから梅園の衰弱が見られ始め、特にここ四、五年、梅衰弱症が目立ち始めました。被害に遭った梅園は二十二ヘクタール余り、梅の木にして七千本以上に及んだと新聞で報道されています。その後、ことしに入って梅衰弱症の調査経過と結果について県農業試験場の研究員の方がまとめられ、発表されています。
 それによりますと、梅の衰弱症が認められている木の特徴は、一、葉の色が薄くなる、二、伸び枝、つまり徒長枝の発生が減少している、三、収量が減少する、四、収穫前の未熟な果実の落果が多いなどが挙げられています。しかも、被害園は増加しつつあることも判明しております。これらについては、現在、県農業試験場暖地園芸総合指導センターでは栽培栄養管理面から、また果樹園芸試験場では病虫害の面から原因究明と対策のための調査を行っていますが、まだまだ時間がかかりそうであります。
 当初、衰弱した梅の症状が白紋羽病に似ていたことから、それが原因ではないかということで衰弱した木の根を掘り起こして確認しましたが紋羽菌は確認できず、また何らかのウイルスの感染ではないかと四種類のウイルスについて検出を試みたもののこれも検出されず、今のところウイルスが衰弱症に関与している可能性は薄いそうであります。この原因はわかっていないということですが、県当局の当面の対策についてお伺いいたします。
 一方、田辺市においては、ことし四月にJA紀南、田辺市など八団体で梅病虫害特別対策協議会を組織され、また南部町でも平成三年十一月に梅病虫害対策委員会が組織されました。そして、それぞれこの問題について取り組まれているのが現状であります。田辺市の対策協議会では、平成四年度に二百四十万円の予算を計上して暖地園芸総合指導センターと協力して原因究明に取り組んでおります。この梅衰弱症の広がりは梅農家の死活問題であり、梅農家の打撃はそのまま梅加工業者や地域経済に大きな影響が出るのは必至だと思います。このため、一日も早く原因究明に向けて抜本的な対策と各方面からの総合的な視点からのアプローチが必要と思いますが、ご見解をお伺いいたします。
 また、全国的にも酸性雨が問題視されております。地元では、酸性雨や霧の関係で梅衰弱症が起こったのではないかという声さえ出ております。田辺市の対策協議会としても、基本的には果樹園の管理を呼びかけております。また、酸性雨の調査研究費を計上して総合的な原因究明に取り組もうとしております。
 今日の酸性雨の原因となるものは多くあります。工場の煙突からの排ガス、自動車の排ガス、あるいは火力発電所からの窒素酸化物、硫黄酸化物の排出などさまざまな要因も考えられ、これがどのようにかかわって自然に影響を及ぼしているのか、今日なお不明となっております。梅生産者の悩みを早く解消するためにも、県衛生公害研究センターを充実させるなど、この原因の調査研究に積極的に取り組む必要があると思いますが、ご所見をお伺いいたします。
 以上、一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 野見山議員にお答え申し上げます。
 地方拠点法についての取り組みでございます。
 私も、これについては本県の飛躍発展の拠点にすべきではないかと思っておるわけでございます。この法に関する関係省の基本方針が去る十月十三日に告示されましたけれども、その中で、地方定住の核としてふさわしい相当規模の人口を有する地方都市を中心に、原則として各県一ないし二カ所を限度とすると示されております。この関係省庁は六省庁に及ぶわけでございます。現在、各省庁の支援を最大限に導入するために関係省庁と事務的な協議を進めるように指示しているところであり、その線に沿って作業を進めているところでございます。
 いずれにいたしましても、私は本県において二カ所指定していく考えでございまして、関係省庁の動向、地元市町村の取り組み、計画内容等の熟度を見きわめながら、この制度の成果を最大限発揮して紀南地方の活性化を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、交通事故についてでございます。
 ご指摘のとおり、非常に厳しいものがあるわけでございまして、下半期に入っても増加傾向に歯どめがかからず、十月二十八日には死亡者が百人を数え、まことに憂慮すべき情勢となったので、その翌日、交通死亡事故多発非常事態宣言を発令して県民の皆さんに交通事故の防止を強く訴えるとともに、現在、関係機関、団体のご協力を得、年末年始の交通事故防止とあわせて、広報啓発を重点とした緊急対策を推進している最中でございます。
 その結果、前年対比の増加率は下がり、増加傾向に歯どめがかかったものと考えていますけれども、今後ともシートベルトの着用の徹底、夜間の交通事故防止、飲酒運転の追放などを重点に、協議会へ加入していただいている関係団体の協力を得て運動の輪を広げてまいりたいと存じます。人命のとうとさについて県民の皆さんに十分ご認識をいただき、交通事故の防止になお一層努力していただくよう強く訴えてまいりたいと考えておるところでございます。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 地方拠点法についてのご質問にお答えいたします。
 議員お話しのとおり、この法律において地域指定は知事が、基本計画の策定は市町村が共同で行うものと定められており、市町村の熱意や計画の熟度が制度を実効あるものにすると考えております。
 十月十三日に告示された国の基本方針の中で、次のような指定基準が示されております。一、中心都市は、地方定住の核にふさわしい相当規模の人口を有し、行政、経済、文化等の機能が集積し、広域的な経済社会生活圏の中心となる地方都市、二、地域の広がりは、通勤圏、商圏、日常の生活圏、文化圏、公共サービス圏等、地域の実情を踏まえつつ、中心都市とその周辺の地域の機能が相互に密接に関連し得ると認められる範囲内などが示されております。
 先ほどの知事答弁にもございましたように、現在、建設省を初めとした関係六省庁の制度的支援をいただくため、関係省庁との事務的な協議を行っており、最終的な事務作業を進めてございます。今後、市町村の計画内容等の熟度を見きわめ、早い時期に国との協議を終え、この制度を最大限活用して、とりわけ紀南地方の活性化にとって実効ある施策となるよう取り組んでいきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 総務部長山中昭栄君。
 〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 市町村の完全週休二日制について、まずその取り組みの状況でございます。
 この十二月から和歌山市と橋本市が導入をしております。平成五年一月には、那賀郡内六町が導入予定でございます。また他の市町村については、三市三十七町村が平成五年度当初に導入予定となっておりますが、海南市と新宮市については現在のところ未定でございまして鋭意検討中であると聞いております。
 次に、完全週休二日制の導入と行政サービスとの関連でございます。
 市町村においては、特に窓口業務や公共施設の利用等、住民の生活に密着した事務が多いことから、週休二日制の導入に当たってはこれらの行政サービスを低下させないことが最も大切な点でございまして、機械的、一律に閉庁方式を導入するのではなく、業務や施設の内容、性格に即した対応をとることが必要でございます。こうした認識のもとに事務処理体制の整備に努めて、月曜日から金曜日の開庁日における行政サービスの一層の向上を図るとともに、閉庁日における緊急時の連絡体制の確保など、特に重要な事項の迅速な処理に遺漏がないようにする等、各市町村でできるだけの工夫を行った上で、住民の皆さんの理解を得て導入するように指導をいたしているところでございます。
○議長(馬頭哲弥君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 週休二日制についての民間企業での実施状況と県の指導についてでございます。
 民間企業が何らかの形で実施している週休二日制は、平成三年十二月調べの労働時間等実態調査では、昭和六十三年度の調査と比較して実施率は四七・四%から六三・八%へと大幅な伸びを示しております。完全週休二日制についても、六%から一○%へと増加してございます。しかしながら、三十人未満の企業の週休二日制の実施率は四七・七%であり、完全週休二日制は四・○%となっており、企業規模間で大きな格差がございます。なお、リフレッシュ休暇の実施状況は七・八%となってございます。
 個々の企業における具体的な取り組み等については、監督機関である労働基準局とともに和歌山県時短問題等懇話会等を通じ、労使を初め行政関係機関からのご意見をいただきながら現実的な時短の進め方等を協議してまいりたいと考えております。
 一方、労働基準局との共催で実施しているホットウィークフォーラム、ゆとり創造シンポジウム、県で実施している夏季労働セミナー、労務管理講習会等でその啓発に努めておりますけれども、今後とも時短促進法等のPRに努めてまいりたいと考えます。
 次に、週休二日制の広がる中でリゾート、観光施設等の受け入れの整備でございます。
 議員ご指摘のように、週休二日制の定着により、観光についても心の豊かさを求めたアウトドアスポーツなどの体験型観光へとニーズが変化してきてございます。こうした状況を踏まえ、県としては、低廉で宿泊していただけるオートビレッジやキャンプ場の整備、また観光情報の拠点となる紀の国新王子の設置や休憩所、トイレなどの整備を、関係市町村の協力もいただきながら計画的に進めているところでございます。またガイドブックについては、現在、観光情報誌、イベントブックなどを作成し、観光客に提供しているところでございます。
 なお、今後とも関西国際空港の開港や世界リゾート博の開催に向けて、本県の観光振興を図るため、施設整備や観光情報誌の充実に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) 梅衰弱症についてお答え申し上げます。
 梅衰弱症の現在の発生状況は、田辺市、日高郡の栽培面積の一・一%に当たる二八・九ヘクタールで発生が認められてございます。これらの対策でございますが、市町村、農協と連携しながら現地調査や産地でのアンケートを実施するとともに、平成三年度からは緊急技術対策として暖地園芸総合指導センターと果樹園芸試験場で原因究明と発生防止対策に努めてございます。
 こうした調査結果を踏まえて、県農林水産技術会議果樹部会や地域対策協議会で土壌酸度の矯正、夏季かん水の励行、肥培管理や着果調整により樹勢の維持を図るよう指導の徹底に取り組んできたところでございます。また、発生樹については早期改植を指導し、老木園の品種更新とあわせて産地の若返り対策を推進してございます。
 今後とも、試験研究や現地での実証を一層強化するとともに、関係機関、団体とも連携を密にし、総合的な対策を積極的に講じてまいる所存でございます。
 以上です。
○議長(馬頭哲弥君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 梅の衰弱症に関して、酸性雨の調査研究等についてお答えいたします。
 酸性雨の調査方法は現在まだ研究段階でございますが、県衛生公害研究センターの屋上で平成元年度から降水中のpH等の測定をしております。その結果によりますと、環境庁が全国二十三カ所で行っている結果と比較して顕著な差は見られません。
 酸性雨は局地的でなく全国的また地球的な問題であると認識していますが、地球環境問題が叫ばれている中で、保健環境部としても関係機関と調整の上、測定技術の研究等を進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(馬頭哲弥君) 警察本部長中長昌一君。
 〔中長昌一君、登壇〕
○警察本部長(中長昌一君) 交通死亡事故抑止対策についてのご質問であります。
 先ほど知事からも答弁がございましたように、極めて厳しい情勢にありまして、警察としても交通事故抑止の諸対策を懸命に推進しているところでございます。
 本年の交通死亡事故の特徴を若干申し上げますと、まず飲酒運転、著しいスピード違反、無理な追い越しなどの悪質、危険な違反に起因する事故が多く、約六割を占めております。また、高齢者の死亡事故が昨年の一・五倍と大幅にふえております。さらに、シートベルトをしていなかったために死亡している事故が目立っております。こういった特徴的傾向が認められます。
 こうした傾向を踏まえて現在推進している対策としては、まず可能な限り機動隊を含めた制服警察官を街頭に進出させて、幹線道路における交通監視やパトカー、白バイによる流動警戒、夜間検問などを強化しているところであります。また、交通指導員会等、関係団体の皆様方にもご協力をいただいて街頭指導や啓発活動の強化にも努めております。さらに高齢者の安全対策としては、街頭における保護、誘導活動を強化しているほか、家庭に対する交通安全指導の実施や反射シールなどを配布し、活用してもらっております。シートベルトの問題については、着用率の向上を図るため本年四月からセーフティーベルト21ということで着用推進キャンペーンを展開中であります。
 こうした施策を推進した結果、交通死亡事故は十月二十九日の非常事態宣言発令後やや鎮静化の兆しが見えておりまして、十一月中の死者は六人で昨年に比べて九人減少しております。今後も、引き続き関係機関、団体と協力しながら総合的な交通安全対策をさらに推進していく所存であります。
 なお、ご提言いただきました啓発用ビデオテープの件については、交通安全教育上効果的であると思いますので、今後検討してまいりたいと考えております。
 また、いわゆる音の出る黄色のセンターラインについても、交通事故の多い区間などに設置を進めておりますが、今後もご提言の趣旨を踏まえて拡充整備に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番野見山 海君。
○野見山 海君 ご回答ありがとうございました。再質問でなく、要望にかえさせていただきます。
 一点目の件ですが、きのうも木下議員の方から話がありましたように、二区の定数減が成りました。私は紀南の方々から、紀南の声が国会に届かないんじゃないかというお話をよく聞くんです。なぜかと言いますと、過疎になればなるほど投票率がいいんです。知事選挙を見てみましても、紀南地方は七○%を超えておるんです。それだけ、国に対して、あるいは県に対しての期待を込めて投票率がいいんではないかなと思います。だから定数の増減については、投票率あるいは選挙区の面積も計算の中に入れて定数を決めていただきたいなという感じを私個人は持つわけでございます。
 そういった意味で、この拠点法を生かして紀南における活性化、基盤整備、道路網の整備に重点的に取り組んでいただきたい。よろしくお願いをしておきたいと思います。
 最後ですけれども、梅衰弱症の問題です。
 さきの六月議会で私は、カメムシ、ひょうの問題を取り上げて質問させていただきました。おかげさまで、九月の補正予算で七百万円以上の予算を組んでいただき、農家の方は喜んでおられます。
 きのう私、農林水産部長のところにカメムシにやられた梅と普通の梅を持っていって見てもらっているんですが、カメムシにやられた梅はちょっと商品価値になりにくい要素がありますので、農家の方々は大変な状況だという押さえ方をされております。和歌山県の梅園は二千ヘクタール近くございまして、その中の特に南部、南部川、田辺地域に七○%が集中しているわけでございますから、どうかこういった問題に総合的に、積極的に取り組んでいただきたいことを要望して終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十五分休憩
 ──────────────────
 午後一時四分再開
○副議長(大江康弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(大江康弘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番吉井和視君。
 〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 それでは、通告順に従いまして質問をさせていただきます。
 まず初めに、農業関係について質問させていただきます。
 今、日本の稲作がガットでの関税自由化により崩壊するのではないかと大変懸念されております。日本人の主食の米は、自給するという基本のもとに、食管法により外国米を国内に入れることなく守られてきたのであります。アメリカによる市場開放の要求が、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉の場で、例外なき関税化という自由貿易の原則論により強く出されております。最近のアメリカ、EC間の農業交渉の合意という新しい局面により、ますます日本の米市場開放が迫られてきているのであります。一粒の米も入れないという方針であった農水省はどのような対応をするのか、最終的に受け入れざるを得ないと判断するのか、また政府はあくまでも日本の農業の基幹である稲作を日本農業の聖域として最後まで守り通すのか、日本農政史上最大の分岐点になってきております。この問題は、国政において論議され、最終決断される問題でありますが、むしろ地方が主体となって考えなければならないと思うわけであります。
 アメリカの米は日本の価格の五分の一であるとか、タイ米は十分の一であるとかという意見がございます。そしてまた、この米を日本が輸入すれば、今、米をつくっている農家にその所得分を補償しても、まだおつりが来るというような意見を述べる方もいらっしゃいます。果たして、米が自由化され、日本がアメリカ及び国際市場の米を買いに出たとき、米の価格は今のままで安定するのか、また生産地域がごく一部に限られており、生産量が少ない、日本人が好むとされるジャポニカ系の米を安定して供給してくれるのかどうかが問題であります。二十年前、アメリカが大豆の禁輸措置をとったときのようなことが再び起こらないとも限らないわけであります。
 アメリカには輸出管理法というものがあって、大統領権限で農産物の輸出制限ができることになっているのであります。ニクソン大統領による大豆禁輸措置がとられたころから、いわゆる食糧の安全保障の必要性が盛んに論じられたわけであります。世界のどこの国においても食糧自給を優先政策としていることは事実でございます。スイス、スウェーデンといった中立国は、農業用資材においてさえも備蓄して、あらゆることを想定して国民が飢えることのない、生き延びるための政策をとっているのであります。それは、みずからの苦い歴史的体験から実施しているわけであります。
 十二年前の農政審議会の答申にも、食糧自給について、「今後の世界の食糧需給の不安定性や国際的要因による不測の事態の発生に備え、平素から輸入の安定確保や備蓄とあわせて農業生産の担い手の育成を中心にして、優良農地、水資源確保、農業技術の向上を含め総合的な食糧自給力の維持強化を図っておくことが必要である」と述べております。また、「食糧の安全保障」という言葉も初めてこの答申の中でうたわれたわけであります。米が一たん自由化されれば日本の稲作は大きな波で衰退し、農家は米を捨て、十年もしないうちにすべての水田が消滅するのではないでしょうか。
 和歌山県の稲作状況でありますが、稲作農家は三万一千三百世帯あり、その作付面積は約一万ヘクタールで全国第四十二位、全国の○・五%の生産量であることから米の自由化の影響は少ないわけでありますが、農家の農業収入の八・六%を占めていることでもあり、本県農家にとっても大きな問題であろうと考えるところであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 米の自由化で日本の稲作が消滅することにより、日本の農村の環境、生活、文化のすべてが変化し、農村社会が崩壊するのではないかという意見もございます。地方の時代を担うためにも、日本の農業の振興は避けて通れないものであります。知事は、全国知事会のリーダーとして、また地方の旗頭として、国に対し、米の自由化、日本のあるべき農業及び農村社会について提言する立場にあると思うわけでありますが、知事のご意見をお伺いいたしたいと思います。
 次に、稲作がなくなれば水田の果たしてきた治水機能、水資源保全機能はどのようになるでしょうか。
 この機能をダムに代替してダムを建設するとすれば、ダム建設費が九兆円かかると言われております。これは、三菱総合研究所が農水省の委託を受けて行った調査結果であります。そしてまた島根大学の永田教授は、このダムの維持管理、償却費が毎年一兆円程度かかると指摘しております。それだけ水田は重要な役割を果たしてきたわけであります。
 また、農業用水、治水、防火用水、自然環境の保全という役割を果たしてきたため池はどうなるのか。
 ため池のほとんどは江戸時代につくられたと言われております。昔の人が、多くの労力と時間をかけてつくったのであります。しかし、それらは老朽化のため大変危険な池が相当数あると聞いております。県内には大体五千六百カ所のため池がございます。そのうち九○%以上が農業用水として利用されているわけであります。米の自由化等で、今後農業用水としてのため池が不必要となり放置されるということになりますと、維持管理のないため池はますます危険となるのが必然であります。また、今の時点でさえ不要とされるため池がたくさんありますが、いざというときの食糧供給能力を確保するためにも、先人が苦労してつくり残してくれた財産であるため池をできるだけつぶさず、貯水したまま保全し、私たちの生活に利用できる方法を考える必要があるのではないかと考えます。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。
 県下のため池の現状と今後の方針、利活用についてお尋ねいたします。
 そしてまた、吉備町は今すばらしい計画をいたしております。吉備町に手水池という池がございますが、この池のほとりに町の庁舎を建設し、このため池を町民の憩いの場の公園として、貯水したまま利活用を図るという計画をいたしております。しかし、この池は古く、しかも現在では農業用水として利用している農家が少なくてその維持管理が行き届かないため、堤防が危険な状態となってきております。
 そこで、農村の自然環境保護を兼ね備えた手水池の整備と利活用整備を推進していただくよう、よろしくお願いを申し上げます。
 続いて、高齢社会について質問をさせていただきます。
 昨今、高齢者問題について各方面で論議されております。さまざまな分野での諸問題について考えるとき、高齢者問題と関係なしには語れないというほどの状況になってきております。推計では、平成三十七年には国民四人に一人が高齢者であるという社会が到来するわけであります。諸外国が経験したことのない物すごく速いスピードでこの高齢化社会がやってくるわけであります。
 現在、欧米諸国の老齢人口比率は、スウェーデン一八・一%、ドイツ一四・九%、イギリス一五・四%、アメリカ一二・六%となっており、現時点では日本より高齢化が進んでいるわけでありますが、あと三十年ほどすれば日本は世界一の高齢社会になるわけであります。
 高齢化社会と言われる高齢比率七%から、高齢社会と言われる高齢比率一四%までの到達スピードでありますが、アメリカでは六十五年、スウェーデンでは八十五年、フランスでは実に百十五年という長い時間をかけて緩やかに高齢化社会に突入したわけであります。しかし、日本は二十五年という短い年数でこの社会に入るわけであります。高齢化率が高くても、欧米のようにゆっくりとしたスピードで進行すれば、その社会到来に対してさまざまな準備もできるわけでありますが、急速に高齢化するというところに日本における高齢化社会の問題点と課題があるわけでございます。二十一世紀の超高齢化社会が暗黒社会となるのか、それとも成熟社会としてお互いにみんなが長寿を喜び合える社会になるかは今からの対策いかんにかかっているわけであります。
 特に和歌山県は、全国より十年早いスピードで高齢社会がやってくるわけでありますから、全国に先駆けた高齢対策を推進していかなければ将来に対応することができないわけであります。国においては、本格的な高齢社会に対応するため、従来より進めてきた地域福祉の充実とその体制づくりに重点を置くという方向を明確にしております。これは、今までの施設中心の高齢対策から、地域の中で今まで自分たちが関係してきた社会関係を維持しながら、在宅中心に施策を体系化していこうということであります。しかし、あくまでも地域福祉を支えるのは福祉制度や福祉施設であり、それが充実しなければ理想とする地域福祉の存在がないわけであります。
 そういう観点から、まず福祉施設の問題について質問をさせていただきます。
 福祉の水準はその国の人権保障の水準をあらわしていると言われますが、現在の老人ホーム入所者の生活、処遇は文化的な生活水準を維持されているかどうかについて、知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、老人ホームの新設についてであります。
 老人ホーム建設のほとんどは民間の社会福祉法人が設置主体となっているのでありますが、老人ホーム新設に当たり、設置主体となっている者がその用地を無償で提供することはもちろん、建物についても現行の国庫補助単価では建設することが非常に困難であり、かなりの差額を法人が負担しているのが現状であります。これは、ひいては入所者の適正な処遇及び福祉従事者の待遇改善を阻害する要因になりかねないと考えるわけでありますが、老人ホーム建設時の実態及び今後の方針についてお尋ねいたします。
 次に、本格的な高齢社会に対応するため平成二年に老人福祉法を改正し、地域福祉の中で在宅福祉サービスと施設サービスを市町村単位で一元的にカバーできる体制づくりを進めているところであります。この改正については大変評価するものであり、市町村の積極的な取り組みが期待されるということで今後の高齢対策の方向づけがなされたわけでありますが、今回の改正点の実施について、例えば、施設の確保、人材の確保等の具体的な取り組み方針についてお尋ねいたします。
 次に、二十一世紀の地域福祉を確立するためには、どうしても地域社会の支え、ボランティア活動なしには高齢社会を乗り切ることは困難であると確信いたします。特に高齢社会に対応するボランティアについては、介助、介護等の専門的な知識、技術が必要とされております。
 そこで、県ではさまざまなボランティア施策を実施しておりますが、専門的な知識、技術を習得できるボランティアスクールを開校してはどうかと思うわけでありますが、いかがでございますか。
 また最近、介護福祉士という認定制度がありますが、その受験資格とリンクする方向で国と協議し、ボランティア専門スクールの開校について検討していただきたいと思いますが、いかがなものかお伺いいたします。
 さらに最近、ボランティアの有償サービスをメニューとした福祉事業を和歌山市が実施していると聞きますが、ボランティアによる有償サービスが、ボランティアの無償性ということから考え、今後ボランティア育成の障害になるのではないかと心配するのでありますけれども、この方向に疑問がないかどうかお聞かせください。
 次に、教育長にお尋ねいたします。
 来年の高校生募集で吉備高校の家政科が廃止されたわけであります。これは時代の流れで仕方がないという意見もございますけれども、今後いろんな専門的な学科を考えるときに、二十一世紀に向けて真にボランティアの育成が必要とされるなら、県立高校に福祉科あるいは福祉のカリキュラムを持った学科を設置すべきと思うわけでありますが、このような考えがあるかどうかについてお伺いいたします。
 続いて、個性ある川づくりということについてご質問申し上げます。
 川は、人間にとって身近な自然の恵みであり、かけがえのない共通の財産であります。人間は、川から受ける害を少なくするよう、そしてまた川から受ける利益を多くするように古来より働きかけてまいりました。人々は川のほとりで生活し、川の恩恵の上にそれぞれの文化と歴史を築いてきたのであります。また、生活領域の拡大、生産活動の発展のために、河川の治水、利水機能の整備に最大限努力を払ってまいりました。そして、治水と利水の条件がある程度満足されると、次に求める方向はゆとりや潤いといった高度な精神的な充実感というものになってまいりました。この流れに沿って、水辺の環境に対する関心がますます高まってきたのであります。その結果、川辺に対する再評価が広く行われ、河川を中心とした町づくりや町の活性化、あるいは各種イベントが各地方で催されたり計画されたりするようになってきたのであります。
 各地域のそれぞれの河川は、その河川独自の歴史、風土といったさまざまな個性があります。私は、河川の整備や環境保全、リゾート、活性化対策等を含めた川づくりには、それぞれ川の個性を重視したものでなければ本物の自然というものはあらわれないと思います。また、個性を配慮した地域の川づくりをするために、各河川を再評価し、目的達成に向けた長期計画を作成しなければその川づくりに対応できないと考えますが、土木部長のご見解をお尋ねいたします。
 私は有田川のほとりに住んでおりますが、昭和二十八年の七・一八大水害は有田川流域一帯に大きな被害と悲惨なつめ跡を残したのであります。流域住民はそのことを片時も忘れず、常に堤防の強化を訴え、不安のない生活をするため河川整備に神経を注いできたのであります。その結果として、有田川は一定の治水機能が確保できつつあり、地域住民は安堵と感謝をしているところであります。
 しかしながら、特に有田川下流においては、近年、流域における生産活動の拡大や生活様式の変化から、河川へ排出される汚濁の増大により川の環境が著しく侵されております。私たちが子供のころの清流は、もはや存在いたしません。その清流の回復を、地域住民はもとより漁業関係者を初め、釣り客や有田川に親しみを覚える人たちから強く望まれているところであります。この問題を解決するためには、まず公共下水道の整備や農業集落排水事業の早期実施が必要なわけでありますが、現在、有田川流域における総合的な川づくりについてどのように取り組まれておるのか、また将来どのような計画が個性ある有田川にふさわしいのかをお尋ねいたします。
 以上お尋ねいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○副議長(大江康弘君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 吉井議員にお答え申し上げます。
 米の自由化及び農業、農村社会についての問題でございます。
 米の自由化については、かねてから知事会を通じて政府に対し自由化阻止を強く要望してまいってきておるところでございます。
 お話ございましたように、ウルグアイ・ラウンドの決着を目指してECと米国との間で農業政策で基本的合意を得たということが伝えられておるわけでございまして、日本の農業にとっても非常に厳しい段階に立ち至っていることは事実でございます。政府としては、米を一律関税化の例外として取り扱っていくという基本方針で努力すると言明しておるわけでございます。私としても、こうした国の動向を注視しながら、従来の自由化阻止、反対の基本方針を堅持してまいる所存でございます。
 お話ございましたように、米は我が国農業の中心でもあるし、国の主要産業でもあり、食糧安保の面においても重要でございます。また、稲作農家だけの問題でもなく、農村社会、環境保全の面においても水田の果たす役割は非常に大きいものがございます。日本の生活、文化、伝統等を農村が支えておる現況でございます。そうした点を重視しつつ努力してまいりたいと思っております。
 次に、高齢者社会についての問題でございます。施設入所者の処遇及び生活水準についてでございます。
 お話ございましたように、全国的に高齢化が進みつつある中で和歌山県は特に高齢化が進んでおりまして、そうした中でいかに福祉政策があるべきかということが非常に重要な課題であることは論をまたないところでございます。
 現在の老人ホームは旧来の形と異なり、明るくて、地域に開放された施設になっておるわけでございます。特に最近、一人当たりの居室面積や昼間の活動スペースの拡大、プライバシー保護の面からも個室が重視されておるわけでございます。本県では、全国で初めての全室個室の特別養護老人ホームのモデルを設置したところでもあります。また、介護普及センターを全国に先駆けて県内に設置し、職員の介護技術の向上を通じて入所者が安心して処遇を受けられるように努力しているところでございます。今後とも、入所者が自立して文化的な生活が送れるように努めてまいりたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) ため池の保全と整備についてお答えを申し上げます。
 和歌山県におけるため池は、総数五千六百カ所余りございます。その利用の現状は、農業専用が五千二百カ所、農業と防火用水等の併用が百五十カ所、全く利用されていないため池が二百五十カ所となってございます。
 議員お話しのとおり、ため池の築造は古く、改修を要するものが多いため、過去十年間に約百五十カ所の改修整備を実施してきたところでございます。また、ため池の維持管理については、受益面積の減少、後継者不足、管理費の高騰等により維持管理に種々課題も生じておるのが現状でございます。従来、農業用水のみならず治水機能も兼ねたため池も多く、出水期における災害を防止するためにも、市町村及び管理団体に対して万全の措置を講じられるよう指導を徹底し、維持管理の円滑化を図っていくとともに、今後もその整備に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 また、ため池の多目的利用についてでございますが、議員ご指摘のように、今後ため池の保全にあわせて農村の自然環境に配慮した地域の触れ合いの場として利用するなど、ため池の有効な活用を図っていく必要があると考えてございます。
 最後に、お尋ねの吉備町の手水池の事業推進についてでございますが、農業用水の確保とともに県下で初めて町民が水に親しめる憩いの場としてのため池整備でございまして、平成五年度採択に向けて国に対して強く要望しているところでございます。今後とも、引き続き事業実現のため努力をしてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(大江康弘君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 高齢社会について、まず施設の新設についてお答えをいたします。
 老人ホームに関する会計では、施設建設時の法人の負担と施設の運営に要する経費は法令上明確に区分されており、議員ご心配のように老人ホーム建設時の負担が入所者の処遇や従事者の待遇改善に影響を与えることはないと考えております。
 ただ、老人ホームの建設に際しては、国及び県では基準額の四分の三を補助することとなっておりますが、議員ご指摘のとおり、設置者には超過負担など相当な負担が伴うことも事実でございます。この設置者の負担を軽減するため、毎年、補助単価の引き上げが図れているほか、社会福祉医療事業団による低利融資の制度も用意されております。今後とも、老人ホームの建設及び運営が円滑に行われるように、引き続き補助基準額の増額等について国に要望してまいりたいと考えてございます。
 次に、老人福祉法の改正における取り組みについてでございます。
 先般の老人福祉法の改正により、高齢者福祉サービスについては、在宅福祉はもとより施設福祉についても市町村が主体となって総合的に推進するという位置づけがなされたところでございます。このような状況を踏まえ、県では「わかやま二○○一喜の国長寿保健福祉プラン」において在宅福祉サービス、施設福祉サービスの目標量を設定したところでございます。
 現在、各市町村では、ホームヘルプ事業、デイサービス事業等の在宅福祉サービスが順調に進められていますが、県としてもこれを支援すべく、市町村の福祉サービスの拠点となる施設の整備を推進するとともに、本年、県に設置した福祉人材情報センターを活用して、さらに質の高い福祉マンパワーの確保に努めてまいりたいと考えております。さらに、各市町村では現在、老人保健福祉計画を策定中でありますが、この中で各市町村における具体的な高齢者福祉サービスのビジョンが明らかにされるように指導してまいりたいと考えております。
 次に、ボランティアスクールの設置についてでございます。
 高齢社会が急速に進行する中、現在、福祉の充実が大きな課題でございます。行政施策とともに、互いに助け合い支え合う、ぬくもりのある地域づくりが叫ばれているところでございます。そうした情勢において、とりわけホームヘルパー等、福祉従事者の確保を初め、住民参加とともにボランティアの育成などの観点から福祉マンパワーの確保は極めて重要なことと認識いたしております。
 このため、県においては、従来より福祉マインドの醸成と身近なボランティア経験を積んでいただく機会としてサマーボランティアスクールを開設してきたところでありますが、本年度から介護福祉士の資格取得を目指す方々を支援するための介護福祉士の受験に向けた講習会を開催しているところでございます。また、先ほど知事の答弁にもありましたとおり、介護普及センターにおいても、職員の資質向上はもとより、住民を対象とした介護教室の開催も行うこととしてございます。さらに、ボランティアなどの福祉入門日曜教室の開催を通じ、広く福祉の人材確保に努めているところでございます。
 介護福祉士の資格とリンクした形でのボランティアスクールの開設については、新しい課題解決のための貴重なご提言と受けとめさせていただきますが、ただ、議員ご指摘のように介護福祉士は国の資格制度でございますので、今後の研究課題とさせていただきたいと思います。
 最後に、ボランティア有償サービスについてでございます。
 和歌山市社会福祉協議会において、昨年からふれあいサービスという名称で有償サービスが実施されてございます。このサービスは住民による会員制の相互援助活動で、福祉ニーズへのサービスに対し利用料などの実費を支払う仕組みで、住民参加型在宅福祉サービスと呼ばれ、現在、全国で約三百六十団体が実施していると聞いてございます。元来、ボランティアは自発性、無償性といった性格でございまして、この有償サービスとボランティア活動とは、その性格、内容がおのずと異なるものと認識しているところでございますが、議員ご指摘の点については十分配慮しながら、今後ともボランティアの育成に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 河川づくりについてお答えをいたします。
 個性ある川づくりについてでございますが、河川はその流域の歴史や文化と深くかかわり、治水、利水事業の進展は社会経済の発展に大きく寄与してきたところであります。近年、豊かさや潤いを求めて水辺への関心が高まっており、親水性や景観、生態に配慮した川づくりが強く認識されているところであります。
 本年度からスタートした第八次治水事業五箇年計画においても、治水対策に加え、環境対策が柱の一つとなっております。今後、河川の整備に当たっては、河川の特性や流域の歴史、文化を踏まえ、治水計画と整合した個性豊かな川づくりを目指して、河川環境管理基本計画など長期的な視点に立った計画の策定に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、有田川の現状と将来計画についてでございます。
 有田川は、昭和二十八年の大水害を契機として、災害復旧助成事業による復旧、昭和四十一年度には治水、利水を目的とする二川ダムが完成、昭和五十七年度からは河口から金屋橋までの区間十五キロメートルにおいて中小河川改修事業により治水対策を進めているところであります。平成元年度から二川ダムで周辺環境整備事業、平成二年度からは下流区間でふるさとの川モデル河川としての事業を進めており、また今年度には有田市、吉備町、清水町で地方特定河川環境整備事業に着手するなど、水辺環境整備に取り組んでいるところでございます。
 今後、河川の特性や背後地域と調和のとれた有田地方の自然や文化的な特色を踏まえ、親水性、景観、生態系並びに水質の保全等に配慮した川づくりを目指して有田川環境管理基本計画を策定し、事業を促進してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 高校における福祉学科の設置についてお答えいたします。
 高齢化社会に対応する青少年のボランティア活動は大変重要であると考えてございます。教育委員会といたしましては、本年度の学校教育指導の方針と重点において新たに福祉教育を重点指導項目の一つとして設け、この中で、児童生徒一人一人に備わっている福祉の心を積極的に引き出すとともに、ボランティア活動等を通して福祉へのかかわりを自分自身の問題として認識させ、生涯にわたって実践的に社会にかかわっていく態度を育成する必要があると明記しております。
 具体的には、学校の教育活動全体を通して福祉問題の学習や福祉体験学習等を計画的に実施すること、高齢者等が社会生活の中で援助を必要としている場面に出会ったときには積極的に適切な行動がとれるよう指導すること、さらにはボランティア活動への参加や家庭における看護によって新たな自分を発見することが大切であると指導しております。各高等学校にあっては、家庭科のホームプロジェクトや学校家庭クラブ、及び生徒会活動の中で老人ホームへの訪問や養護学校との交流活動等に取り組んでいるところであります。
 今後、各学校での福祉に関する学習をより充実させていくとともに、議員お尋ねの福祉関連学科の設置については、時代や社会のニーズ、地域や学校の実態等を踏まえ、福祉や介護等を学習する福祉系のコースを含めた高等学校における新たな総合学科設置構想との関連の中で多面的に研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 25番吉井和視君。
○吉井和視君 それでは、何点か、要望という形でやらせていただきます。
 まず最初に、知事の米の自由化の問題に対する答弁でありますが、私、大変満足いたしております。
 それから、福祉施設入所者の水準についての知事のお考え方でありますが、私は、現在の福祉施設、特に老人ホームの入所者の処遇については生活水準が低いという考えのもとにこの質問をさせていただきました。
 私も、かつて高校生のボランティアと一緒に特別養護老人ホームに三日間ほど泊まった経験がございます。この場で細かいことを申し上げて非常に申しわけないと思いますが、ふろは二日に一回とか、夕食は五時からというように、我々通常の一般家庭の生活からすればまだまだ低い状態にあるわけでございます。そういうことを考えてみると、この生活者の水準というものは、先ほど質問の中で言わせていただいた人権保障の水準から見ると、まだまだという感がございます。そういうことも考え合わせていただいて、今後、老人ホーム入所者の生活の向上に取り組んでいただきたい。ただ、措置費の基準といったようなものがございますが、そういうことも含めて検討していただきたいと思います。
 また部長から、老人ホームの新設について影響がないというご答弁があったわけですが、これはそのとおりだと思います。しかし、世の中には「不正」という言葉が頭につくととんでもないことが起こるということを考え合わせていただいて、特に福祉の職場で働いている人たちの身分の安定、待遇改善というものを考えていただきたいと思います。
 それから、ボランティアの有償サービスについてですけれども、民生部長は、高瀬局長とともに長い間、和歌山県の同和問題を支えてこられた方でございます。そこで特に要望するわけですけれども、同和問題の県内の実態調査、県民意識調査を見てみますと、まだまだの感がございます。そこで私は、ボランティア活動に若い人たちが参加し、人の痛み、人の大切さ、人が人を救う、そういうことを認識することが同和問題の解決にもつながる一番の道ではないかと思いますので、そういうこともご要望申し上げておきます。
 最後になりましたけれども、教育長の答弁もありがたいもので、非常に喜んでおります。
 そこで、教育長の答弁の中に総合学科設置構想というのがございましたが、これは初めて聞く名前です。ちょっと聞いてみたところによると、生徒の意欲等を主体的に取り入れた専門的な学科だということです。その中には福祉看護コースというものがあって非常にいいものだと思います。これは、私の質問申し上げたことと同じような意味を含むものですので、積極的に推進していただくことをお願い申し上げます。
 要望は、以上でございます。
○副議長(大江康弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
○副議長(大江康弘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 それでは、通告に従いまして順次質問をさせていただきます。
 まず、知事にお尋ねをいたします。
 現在、佐川のブラックマネーの問題や暴力団の力で首相の座を得た等々の疑惑で、今、中央政界は国民から深刻な政治不信の中に置かれております。昨日、浜本議員の質問に答えて知事は、このような事態を遺憾とするとともに、県民の納得のいく実効のある政治改革を期待する旨の表明がありました。政治改革論議はさまざまありますが、国民の改革の声に便乗して小選挙区制の制定を図ったり、選挙期間の短縮を画策したりと、およそ金権腐敗の是正とか政治倫理確立とかけ離れた方向へ流れようとしている傾向もあります。
 戦後政治は、残念なことに数多くの汚職を生み出し、政治の歴史の片側には腐敗の歴史が並行するような感さえありますが、これらは挙げて企業、団体からの政治家あるいは政治団体への献金と結びついて起こっております。政治が金でゆがめられるもとは、企業、団体からの献金がほとんど自由に許されているというところに最大の原因があるやに思われます。したがって私は、政治改革の決め手はこの企業、団体による政治献金の禁止こそ焦眉の課題であろうかと考えるところでありますが、知事はいかがお考えでしょうか。知事の言われる県民の納得のいく実効のある政治改革とはいかなる施策を想定されておられるのか、ご答弁いただきたいと思います。
 それでは、二番目の問題に入ります。
 障害者に働く場をというテーマでお聞きいたします。
 本日は、障害者の日であります。ほとんどの新聞等がこの日を取り上げていろいろと報道されておりますが、どこにも引用される国連の国際障害者年行動計画の一節があります。冒頭に、まずそれを紹介しておきたいと思います。「ある社会がその構成員のいくらかの人々を締め出すような場合、それは弱くてもろい社会なのである」、こういう一節があることをほとんどの新聞が紹介しておりますが、そういう点については、既に当局の皆さん方も十分ご承知のことかと思います。そういうことを踏まえて質問させていただきたいと思います。
 去る九月、障害者雇用促進月間として当局の関係機関は一定の活動を展開され、それなりの成果を上げられてきたと思います。障害者がみずからの障害を克服し、社会の一員として生き、人間的成長を遂げていく上で、労働の場の保障ということは極めて大きな意味を持つと思うわけであります。県下の心身障害者へのその保障は、しかし必ずしも満足のいくものではありません。それは、その実績が都道府県で何番目の位置にあるとか、全国平均と比べてどの水準にあるのかという意味ではなくて、成人されておられる県下の障害者、労働の意欲を持っておられる障害者の方々の、その意欲と働く場を求める要求との比較においてのことであります。
 国際障害者年もことしは最後の年であり、当局も一段の努力をされているところであろうと思いますが、本県における企業による心身障害者の雇用状況はどのようになっているでしょうか。三十数%の企業が法定数を満たしていないと仄聞いたしておりますが、なぜそのような事態が克服されていないのでしょうか。県下の障害者の労働意欲の調査や休職者等を調査されているでしょうか。企業の方々も努力をされているのでしょうが、なかなか進まない障害者の雇用は一体何が問題なのでしょうか。またそれを乗り越えるためには行政としてどのような援助が必要なのか、お考えになっていることがあればお示しいただきたいと思います。
 また、県下には障害者雇用について職業安定課が直接指導対象としない、本社を県外に持つ企業がたくさんあります。国の指導が企業単位の雇用率を目安にしているため、県下のそのような企業が和歌山県域でその目標を達成しているかどうか明確でないようでありますが、わかっている範囲でお答えください。県外に本社を持つ企業は県内に相当あります。これらが県域において法定雇用率を充足させれば、相当の前進が望めるものと思われます。もし充足されていないケースがあれば、県職安課の任とされて障害者雇用の前進を図られてはいかがでしょうか。
 また、重度障害者、精神障害者の雇用は極めて狭い門となっております。重度障害者、精神障害者の雇用状況はいかがなものでしょうか。この点では、大企業は特にその社会的責任の上から言っても重要な役割を果たしていただくべきだと考え、当局の格別の努力を求めたいわけでありますが、いかがお考えになっておられるか、お示しいただきたいと思います。
 また、障害者が企業に労働の場を求めても、企業の要求と障害者の労働能力のギャップから、就労する門戸は勢い狭いものにならざるを得ません。そのような中で、障害者のために認可あるいは無認可を含めての授産施設、小規模共同作業所などが、障害者の近親者、心ある方々によって土地、建物、運営、仕事の受注、販売と、実にさまざまな苦労をしながら県下でも三十数カ所が開設され、四百名前後の方々がそこで働いておられます。認可された法人の授産所であっても、その運営は資金的にも相当な労苦がつきまとっていますが、無認可になると、その困難はさらに大きなものとなっています。
 最近、古紙回収で運営費の一部を補っていた共同作業所が古紙の暴落により一つの財源を失ったと嘆いておることが報道されておりました。また、昨今の不況のあおりで共同作業所で働く方々の仕事が少なくなったという話もお聞きしております。
 もちろん、このような話は今に始まったことではなく、共同作業所の宿命のように、作業所がスタートすればほとんど例外なく聞くところでもあります。この貴重な仕事をしている共同作業所が、なぜ古紙回収に汗を流さなければならないのでしょうか。なぜ、街頭カンパやバザーなどをしながら運営に当たらなければならないのでしょうか。一に運営に要する資金の不足からでありますが、県下の共同作業所の運営の状況、補助金やカンパ、バザー、廃品回収等の事業がどのように運営されているのか。明らかに運営資金の不足からですが、そういう点をお調べになったことがありますか。補助金制度の現況とその問題点、今後の展望などをお示しいただきたいと思います。
 また、そこに働く障害者の賃金はいかほどのものになっているかお調べになったことがございますでしょうか。障害者の働く意欲を充足させるものになっているか、あるいは社会でともに生きていくという喜びを感じ得るほどものになっているかどうか。私の知るところでは、月収一万円前後というのはざらで、極めて低いのが現状であります。このような点はどのように把握され、どのようなお考えを持っているか、お示し願いたいと思います。また、そこで働く障害者の方々の賃上げができるような援助を何とかしてあげられないものかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
 さらに、作業所の運営に携わる方々の賃金も実に低い水準にあります。これら職員は、障害者の近親の方や障害者福祉に関係する方々で、とりわけ労働の場の提供による障害の克服と労働による人間としての発達をさらなるものにし得るという信念から低賃金と労の多い任務についておられます。その方々の仕事ぶりにはまことに頭の下がる思いでありますが、その労に比べて賃金が余りにも安い。もし低賃金ゆえに職員が一人でもやめるというようなことになれば、作業所はたちまち運営に大きな支障を来すことも明らかであります。県当局はその実態をどう掌握されておられますか。
 私は、このような実情から見て小規模作業所に対する補助制度を大幅に改善する必要を切に願うわけでありますが、当局のお考えをお示しいただきたいと思います。
 私が、このように小規模作業所に県当局の絶大なる支援を求めるのは、労働の場から門戸を締め出された方々にその場を提供し、労働という人間固有の行為を通して自己をより発展させていくということを保障することは、挙げて行政がその責任を負うべき憲法的な課題、生存権、労働権を保障する課題だと思うからであります。したがって、その基本的な責任は国に属するものとは思いますが、我が世界に冠たる経済大国は、障害者のすべてに労働の場を提供し、そこにともに人間的発展を遂げていこうとする施策は、残念ながら貧弱であります。関係者の切なる叫びで耳が痛くなったときだけ、のろのろと腰を上げるというのが今の国の現状であります。そして、自治体行政が国の施策のおくれを補完するために、住民の声を聞きながら、それぞれの工夫をしながら頑張っているところであろうかと思います。それだけに県行政の任務は大変だと思いますが、しかし県行政自身がこの問題に本当にしっかりと立っていただくことこそが国の政策をも動かしていくことになるのではないかと思います。
 県下には、六十五歳までの成人で障害を持った方々が二万人ほどおられます。その方々は、企業で雇用されている方、認可、無認可の障害者の授産施設で働いている方はごくわずかで、働きたくとも働く場がないという方が圧倒的な状況であります。また、障害によっては、本人が今、働く意思が弱くとも、療育と自立のために働く場が欲しいと思っている近親者の方々もおられると思います。現在、そのような方々は県下にどのくらいおられるでしょうか。お調べになったことはあるでしょうか。また、その結果は現在の諸施策に比べていかがなものでしょうか。調べられていないとすれば調査をし、必要な施策の建設の指針をつくられてはいかがでしょうか。
 養護学校からは、毎年八十数名の方々が卒業されています。この方々の就職は保障されているでしょうか。共同作業所に数多く入所されているところから考えると、このような受け入れ態勢は近親者の熱意による小規模作業所に任せるのではなく、県行政の責任において対応できるようにしていく必要があろうかと思います。
 また、精神障害を患って入院加療中の方々も、社会参加の足場として、あるいは復帰後の労働と生活の場として授産施設があるならば相当数の方々が退院できるであろうと推測されています。私の近所にも、身元を引き受けてくれるような施設があればと言われている方もおられます。当局は、そのような潜在的な退院可能者をどのように掌握されておられますか。
 以上のように見てまいりますと、障害者のための授産施設は現在のような規模では到底間に合わず、今後ますます必要になってくると思われます。しかし、今までの経過から見ても、小規模作業所から法人化、認可施設という道をたどってようやく日の目を見るというのが現実で、行政の主導的な政策展開がないように思われます。障害者年の最後の年でありますが、その点を十分総括され、新年度に向けて抜本的な政策を準備されてはいかがでしょうか。
 また、そこに至るまでの経過的措置として、幾つかの問題点を指摘して善処を求めたい点があります。
 一つは、小規模共同作業所の一般的補助を拡大することを前提に、さらに重度障害者を受け入れている作業所への補助金の加算、重度加算補助とも言うべき制度が必要ではないかと思います。身近な小規模作業所へ重度障害者が比較的多く集まるという現況があります。障害者一人、二人に対して運営に当たる職員が一人つかなければならないという事情も生まれ、職員をふやす必要に迫られているところもたくさんあります。しかし、それができないという現実もまたあるわけです。そういう点を考えて、重度加算ということも考えられないでしょうか。
 二つ目は、作業所への通所費の補助がかなわないだろうかということであります。授産所、作業所の目的は、労働を通じて障害を克服すること、あるいは社会に参加する喜びを通じ人間的発達を促すことでもあります。ところが、作業員の賃金が極端に安いため、時には通所のための交通費さえ賄えないという事態も生じており、通所する方々の労働意欲にも否定的な影響を与えかねないような事態も生まれています。市町村によっては、既に一部交通費補助を行って喜ばれているところも生まれております。温かい「ふれ愛紀州路」の県政のスローガンはこのようなところにも及ぼされるべきではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。
 障害者が普通の人々と同じように生活するためには、それなりの金が要ってまいります。そして、普通の人々と同じように生きたいという要求は決してぜいたくな要求ではなく、極めて人間的な要求であります。予算全体から見れば、これに対する補助金をたとえ今の倍にするとしても、必ずしも大きな金額にはならないと思います。今、小規模には五千三百万円が補助されています。思い切った増額をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。そのようなお考えに立って、ぜひこれらの要求の実現方をお願いしたいと思います。
 また、さきにも申しましたが、この面での国の施策は決定的におくれています。国の施策に比べると、和歌山の現行の施策の方がはるかに進んでいると言っても過言ではありません。認可授産施設、無認可小規模作業所への財源を国に対して強力に働きかけていただきたいと思います。ことしの要求の中にも三カ所の認可授産施設に関する国への要求が三点ありましたが、無認可については触れられておりませんでした。せびお願いしたいと思います。
 障害者に対する施策についての質問は非常にたくさんございますが、今回はこの小規模作業所問題に限ってお尋ねをし、お願いをしたいと思います。
 次に、不況の現状とその対策についてお尋ねをいたします。
 深刻な不況がまだ脱出口を見出せないまま進行しております。和歌山の地場産業である繊維、染色、木材、木工、鉄鋼等、すべての業種と言えるぐらいの範囲で不況は深刻化し、中でも資金力の弱い小零細企業は塗炭の苦しみを味わわされています。
 私ども日本共産党は、過日、不況対策委員会を設置して、関係業界等の実情、あるいは親会社や行政当局に対する要望等を聴取し、去る十一月二十七日に県当局に要望を提出したところでありますが、この場において改めて質問をいたし、不況にあえぐ県下の中小零細企業への県当局の熱のこもった支援を求めたいと思うのであります。
 不況の深刻さは大方の方々が既にご承知のことと思いますが、私どもが現地に入って聴取した現状は想像した以上のものでありました。
 あるプラスチック加工業者は、最盛期に比して仕事量は三割から四割に減少し、従業員を四割減らさざるを得なくなった。せっかく買った機械は動かさないままに放置されており、これからこの機械の借金払いに追われると嘆いていました。建具、ふすまを業とされる方々は、不況の上に新たに進出してきた大手との競争で、一体いつ仕事が回ってくるのだろうかと訴えられていました。ある特殊織物業者は、仕事量が三割に減った、機械の代金支払いが困難になってきた、働いてもらっている方々にも仕事を出せず迷惑をかけて申しわけない、彼女らの中にはサラ金などに手を出している者もいると憂えておりました。私自身、和歌山市の南部に住んでおり、ニット、メリヤス産業という繊維関係の職場がたくさんありますが、そこでも職種によっては深刻な不況が浸透して、工場で働く婦人の仕事の減少を訴えられる日々であります。
 今回の不況は、単に需給関係の不均衡によるだけのものでなく、バブル経済の崩壊という近来にない経済状態を背景にしており、消費不況が重なるという従来に例を見ない深刻な状態であります。倒産件数も昨年の二倍を上回り、その深刻さを裏づけています。
 県当局も、業界等の声により大方のところは承知されているかもしれませんが、ぜひ直接、不況の現場、とりわけ経営難、またそこから来る生活難の実態をつぶさに調査することが必要ではなかろうかと思います。そして、従来にも増して県行政としての対策が必要ではなかろうかと思います。いかがお考えでしょうか。
 実は、このように提言申し上げるのは、現行の対策に多くの方々の意見が寄せられているからであります。聞くところによりますと、四月あるいは九月に行われてきた不況対策により、各貸付金制度も相当活用され、融資を求める業者に歓迎されたことを物語る実績となっております。それ自体は結構なことであり、歓迎されたことは喜ばしいことであります。しかし、当局の一定の施策にもかかわらず、さらなる有効な融資制度を求める声が私どものもとに寄せられています。
 県の九月の施策が発表されたとき、幾人かの業者の方にその報告をしたところ、歓迎される方々と同時に、我々には利用できない措置だと不満を表明された方も相当おられました。といいますのは、小零細企業の方の多くは国金でも信用保証協会でも既に融資を受けて目下返済途上である、県の融資枠拡大は今まで借りずに来た方には朗報だろうが既に借りている者は借りたくても借りられない、この不況は自然界で言えば大風や地震などの激甚災害と同じなのだから、従来の枠をふやすというだけでなくぜひとも別枠で思い切った低利の不況対策特別融資制度をつくっていただきたい、そういう声が非常に強いわけです。秋の融資枠拡大だけでは借りたくても借りられず、歯ぎしりをしている方も多いわけです。当局として、このような声に効果的にこたえられるよう積極的な対応を強く求めたいと思います。
 サラ金被害をなくす会、通称あざみの会と称しているところがあります。そこで聞いた話ですが、十月以降でも経営資金のやりくりがうまくいかず、サラ金に頼らざるを得ず、返済不能、事実上倒産、自己破産というケースが五件あったそうです。いずれも、まじめな働き手で、カードで安易な買物をし過ぎたというものではなく、例えば住友の孫請業が仕事がなくなり、一時しのぎの借金が正規の金融機関ではできずにサラ金に手をつけ、引き続く不況の中で立ち直れずに倒産。あるいはプロパン業者が、資金繰りができずにさる企業に転職をした、ところがその企業が九月に倒産し、プロパン業時代の借金が返せなくなってサラ金へ、そして自己破産のやむなきに至る、こういうケースもあります。ある特殊織物業者は、機械を購入し設備投資をするも、この不況で仕事がなくなり、返済金も捻出できず、サラ金でしのいだけれども結局倒産、等々のケースが見受けられます。いずれも莫大な返済金に困ったというのではなく、県の融資制度の枠内で解決できる程度の内容でありますが、既に国金も保証協会も利用させていただいていたので、いかんともできずという状態でありました。経営者としての才覚について意見もあろうかと思いますが、まじめに頑張っても、不況の中ではふとしたアクシデントでこのような状況になってしまいます。
 今、倒産、自己破産にまで至っていないが、このような火の車による自転車操業者が小零細企業の中に相当おられ、切に新たな低利、長期償還の許される金融を求めていると思います。ぜひ、さきに求めた調査等を生かして有効な援助を強めていただきたいと思います。これらの制度は、既に東京都、神奈川県、福島県その他でも設けられている制度であり、本県においてもその気になれば可能なことであろうと思われます。
 また、この不況対策の融資に関連して幾つか求めたい点がございます。
 無担保・無保証の融資制度である特別小口の制度は、県の努力による保証料の無料という制度とも相まって歓迎されている点は評価するところでありますが、償還期限が三年ということで、資本力の弱い小零細業者には厳し過ぎるという面もございます。借りたいが返せない、五年だったら返せるのに残念ながら借りられない、せめて償還期間を五年にしてもらえないだろうかという声が強く上がっています。他府県では、保証料つきで五年の制度が一般的なようであります。現行の保証料抜きでの五年制度の創設、あるいは保証料がついても県がそれを補助するという形での五年ものをいま一度努力していただければ、金融難にあえぐ零細業者の喜びはひとしおかと思いますが、県当局のお考えを示していただきたいと思います。
 また、不況の直撃を受けている業者に対しては、現行融資の返済期限の延長、利子補給等の措置をとるべく検討を求めたいと思います。特別小口の貸付枠を一千万円に広げる措置を国に要求してもらいたいとの声が上がっておりますが、いかがでしょうか。
 また、無担保・無保証の小口融資制度について、当局に指導方を要請したい点がございます。
 去る十月、信用保証協会へ無担保・無保証での小口融資を求めた業者がおりました。取引先の業者の倒産のあおりで、経営のつなぎ資金の必要からでした。無担保・無保証だからと私の勧めで信用保証協会へ行ったところ、二人の保証人を要求された。話が違うではないかということで、また相談の逆戻りに参った方がおりました。貸した金は返してもらわねばというのは貸す方の論理としては当然でありますが、保証協会は一般の銀行ではありません。担保も保証人もない方々への援助ということを大きな目的とした保証協会です。保証協会が安易にそのようなことをしては、その目的は失われ、協会の自殺行為にもなりかねません。
 不況の中で、和歌山というわけではありませんが、このような現象は全国的にもあちこちに見受けられるようであります。不況だからこそ駆け込んだ保証協会で、こんなつれない話はありません。通産省も一定の指導をしたいとの意向のようですが、当局に早急に適切な対応を求めたいと思います。いかがでしょうか。
 次に、仕事をどうつくるかという問題です。
 これは金融よりも難しいかもしれませんが、当局としてとれる手だてをしっかりと打っていただきたいと思います。十一月十八日、通産大臣あるいは中小企業庁長官から各企業に対しても要請が出されております。それと連動するような形でも、また関係当局が中小零細企業とともにこの不況を打開していくという特別の努力を、この際、仕事の開拓ということでも行っていただきたいと思います。
 多くのことを要望させていただきましたけれども、いずれも本当に今、関係者が必死になって求めていることばかりだと思います。誠意ある施策の実現を心から訴えまして、第一問を終わります。
○副議長(大江康弘君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 東京佐川問題に対する私の考え方については、きのう浜本議員にもお答えしたとおりでございますけれども、具体的には政治に金がかかると言われる現状を打開することが必要であると考えておるわけでございます。現在、国会において、議員がご指摘の緊急政治改革案の審議が進められておりますので、今後抜本的な政治改革の施策が明らかにされるものと考えております。
 また、企業、団体からの献金問題についてでございますけれども、平成元年に共産党の中村博議員にも答弁したのでございますが、社会生活には法人と個人とがあるわけでございます。だから、企業、団体の献金は全くいけない、個人献金だけを認めるということはいかなるものかと考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、政治資金規正法でいかに規制するかが国会で論議されているところでございまして、その推移を眺めたいと考えております。
○副議長(大江康弘君) 商工労働部長中西伸雄君。
 〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 障害者に労働の場を、その中で企業における障害者の雇用の促進をということでございます。
 県下の障害者の雇用状況でございますが、県下に本社を設置し、従業員六十三名以上の企業の実雇用率が一・九一%となってございます。ちなみに、全国の実雇用率は一・三六%でございます。
 また、法定雇用率を達成していない企業の割合は三五%ございますが、その内容を見てみますと、一名ないし二名の障害者雇用が不足している企業が約九二%を占めてございまして、法定雇用率の達成にあと一歩の企業が多くございます。
 また、本社を県外に設置する企業を三十人以上の規模で見ると、約百八十事業所があります。その中で三百人以上規模企業の工場等は十六カ所あり、その工場等の雇用状況は、法定雇用率を達成している工場等は七カ所、未達成の工場等は九カ所となってございます。これら工場等への雇用率達成指導の充実を図ることが重要な課題となっているところでございます。
 障害者の雇用に当たっては、作業施設等の改善や特別な雇用管理など配慮すべき点も見られているところでございます。そのため県としては、障害者雇用を対象とした設備改善助成金や賃金助成金制度等を周知するとともに、障害者の雇用促進を図っているところでございます。
 なお、雇用率達成指導については、本社が県内にあるなしにかかわらず実施しているところでございます。議員ご指摘の重度障害者、精神障害者の雇用の立ちおくれが見られているところであり、重度障害者、精神障害者の雇用対策の充実が求められているところであります。このため今般、障害者の雇用の促進等の法律が一部改正され、重度障害者、精神障害者の施策の充実を図られたところでございます。また、大企業における雇用率が低いため、九月の障害者雇用促進月間においても、職員が大企業を中心に直接訪問し、障害者雇用促進指導を実施したところでございます。
 なお、職業安定所に求職申し込みをして就職が決まっていない障害者の方が八百六十七人ございまして、今後とも障害者の雇用促進に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、不況の現況の把握でございます。
 県下の地場産業、また商店街が何を求め、今後どう進んでいこうとしているか、現地の生の声を聞くために各地で懇談会を開催してございます。本年度は、現在までに地場産業で六回、商店街で七回を実施し、それぞれの状況を把握しているところでございます。
 その他、本年から商店街においては、四半期に一度の景況調査を行ってございます。各業界とも売れ行きが伸びない等、いわゆるバブル経済の破綻による景気の低迷から各業種とも落ち込んでございます。こういった状況に対処するために、四月の緊急経済対策、また九月補正においても不況対策を実施したところでございます。今後とも、県内地場産業、商店街の活性化を図るため、各業界等の意向を踏まえ、業界等と一体となって対応してまいる所存でございます。
 次に、不況対策についての融資制度でございます。
 中小企業金融円滑化のための対策として、従前より各融資制度を設け取り組んできているところでございます。景気の低迷、先行き不透明感の続く中で、四月に実施した緊急経済対策に続き、八月末の国の総合経済対策をも受けて、中小企業金融対策として中小企業融資相談窓口の継続設置、中小企業振興資金の融資枠を四月の二十億円からさらに二十五億円に拡大し、また主に運転資金である中小企業経営安定資金の融資枠を五億円拡大するとともに、県の各融資制度の融資利率を○・四%もしくは○・三%引き下げるといった思い切った対策を実施し、対応しているところでございます。その結果、四月から十月末までの状況を平成三年度と比べてみると、中小企業振興資金にあっては、件数では約一・五倍の八百三十六件、融資金額では約一・四倍の八十六億六千万円、また中小企業経営安定資金については、件数では約一・四倍の七十三件、融資金額でも約一・四倍の七億二千万円といった実績になってございます。
 このように融資実績から見てみますと、中小企業の皆さんに県の融資制度を有効に活用していただいているものと考えてございますが、今後も景気の動向等を注視し、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、既融資の返済猶予等については、現在行っておりませんけれども、県としてはさきに答弁させていただいたように、中小企業振興資金、経営安定資金の融資枠の拡大と各種融資制度の融資利率を思い切って引き下げるといった中小企業金融対策を実施し対応したところでございます。
 また、返済猶予、特別小口融資の融資期間の延長、限度額の引き上げの件については、信用保証協会等との関係もあり、今後、国、他府県の動向をも見ながら検討してまいりたいと考えてございます。
 最後に、無担保・無保証の小口融資制度については、信用保証協会の保証つきの他の債務がないことという条件が中小企業信用保険法で定められております。信用保証協会にあっても、中小企業者の方から相談、問い合わせ等があった場合にはその点についても十分説明を行っているものと思いますが、議員ご質問の件についても、今後信用保証協会に対して十分指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 共同作業所の補助金の問題についてお答えをいたします。
 小規模作業所は、地域における障害者の働く場として、また生活指導や訓練を受ける場として大きな役割を果たしているところでございますが、自主的に運営されている無認可の施設であるため、その運営や労働条件等の実態は、認可施設に比べ厳しい状況にあると考えております。
 県といたしましても、こうした実態の改善を図るため、昭和五十四年度から作業所に対し補助を行うとともに、その増額に努めてまいりました。特に本年度は、補助枠を拡充するとともに増額を図ったところでございます。今後も、運営実態を見ながら対応してまいりたいと考えております。
 また、分場制度の導入や法人認可についても指導するとともに、厚生省に対しても、福祉的就労の場、デイケアの場として明確に位置づけるとともに市町村補助とするよう要望しているところでございまして、引き続き小規模作業所の運営の安定に努力してまいる所存でございます。
 次に、障害者の賃金と通所費の問題については、特に低賃金については認識しているところでございますが、いずれにいたしましても、通所費も含め公的補助は困難でございます。
 しかしながら、県といたしましては、障害者の雇用対策は重要な課題であるとの認識のもとに、商工労働部と連携をとりながら一般企業への雇用促進を行う一方、重度の障害者の就労機会の増大を図るため、本年度県下で二カ所目の身体障害者福祉工場を建設中であり、さらに精神薄弱者福祉工場の設置に向け、現在検討を進めているところでございます。また施設への通所費についても、障害者の方々が通所費を要さず簡単に通所が可能となるような地域バランスのとれた施設の配置が必要であると考えておりまして、今後も計画的な施設の建設を行い、通所費の軽減に努めてまいる所存でございます。
 次に、施設充実のために十分な各種調査をということでございます。
 障害者対策を推進する上で、障害者のニーズや実態を的確に把握し、施策に反映することは極めて重要なことであると考えてございます。
 昨日、木下秀男議員にもお答えいたしましたとおり、現在、身体障害者実態調査を実施すべく準備をしているところでございます。障害者の雇用や施設建設に対するニーズなど、議員お話しの実態も明らかにされるものと考えております。こうした調査結果を踏まえ、障害者福祉の向上に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 精神障害者に労働の場をということに関してお答えいたします。
 精神疾患による入院患者の退院の可否については、家族の受け入れ態勢や経済的な問題等もありますが、医学的な判断に負うところが多く、その掌握については困難な状況にございます。
 県といたしましては、回復途上にある精神障害者の地域における生活基盤の安定を図るため、保健所におけるデイケア事業のほか、通院患者リハビリテーション事業、小規模作業所通所訓練事業、社会復帰施設に対する運営補助事業などを実施しておりますが、今後も指導、援助体制を充実させ、精神障害者の社会復帰対策を促進してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(大江康弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 職業安定所に仕事を求めて、いまだに仕事につけないという方が八百六十七人もおるということをお聞きいたしました。
 実はそういう数字は前にも聞いたことがあるわけですが、なかなかこの数字が一向に減らない、増加の傾向さえある、こういうような状態が続いています。雇用するのは企業の方で、こちらの関係者が直接採用するというわけにはいきませんから、問題は簡単にいかないと思います。しかし、自分たちの障害を克服して、これから力いっぱい働いていこうと意欲に燃えておられる方々に仕事が与えられるよう、当局としては精いっぱいのことをやっていただきたいと思うんです。
 そして、一言つけ加えさせていただくならば、今までどおりのやり方だけでは問題は解決しないんではないか、今までのようなやり方の延長線上で頑張っていくというだけでは事は解決しないんではないかと思いますので、関係する職員を増員していただく等のことも考えて、このような方々に仕事が保障されるように、ぜひともご奮闘いただきたいと思います。
 また、重度障害者、精神障害者の雇用問題については、これからさらに進んでこようかと思います。
 現在、特に大企業の方におくれが出ています。大企業が今、社会の中で持っている責任、そういうことも十分当局の方から指導していただいて、ひとつその社会的責任が果たされるように当局の奮闘をお願いしたいと思います。
 それから、小規模作業所には肢体不自由児の小規模作業所と精神障害者のための小規模作業所があります。当局からちょうだいする補助金が、肢体不自由児の作業所に対する補助金と精神障害者の作業所に対する補助金が相当違っているわけです。精神障害者の方々の方が低いんです。補助対象が若干異なりますので厳密な計算はできませんけれども、七、八人の作業所ですと七十万円から八十万円、精神障害者の方への補助金が少ないんです。これは非常に妙な話でして、大体もとになっている法律がこういうことになっているそうなんですが、この補助金は県が独自に頑張っておられるところですから、この差をなくして、ともに手をつないで頑張れるように措置をお願いしたいと思うんです。精神障害者の施設だったらなぜ低いんだという声を聞きますし、その声に対してだれも答えができないという状況です。ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
 それから、小規模作業所への各種の補助金に対して、ことしの予算でも若干ふやしていただきました。それは非常に結構なことなんですが、当局の皆さん方もご承知のように、非常に運営が厳しい。その証拠に、古紙を回収したり、カンパに回ったり、バザーをやったりということで、本来の業務と違うところで汗を流さなければならない。こういう不況になると、それをまともに受けてさらにしんどい状態にあるということですので、ぜひとも補助金アップについてはご検討をいただきたいと思います。
 先ほど私も申し上げましたけれども、本来は国がもっとしっかりしてくれなあかんのです。そういうことを乗り越えて今自治体行政でやっておられるということについては、私は評価したいと思います。しかし、この現場で頑張っておられる方々は本当にぎりぎりのところで、人権を守るために、生きるという生存権をかけて頑張っておられる方々ですので、住民のための自治体行政として力を傾けていただきたいと思います。
 和歌山の小規模作業所に関係する諸施策では、他の府県と比べて進んだ点がたくさんあると思っております。認可された作業所、授産施設などは、近畿の中でも奈良あたりに比べても確かに多いわけですが、小規模作業所の補助金ということだけをとってみると、残念ながら必ずしもいいというわけにはいかないんです。
 ご承知だと思いますけれども、七、八人のところですが、三重県で三百五十万円、奈良県で四百九十万円、大阪府で五百万円、和歌山は二百五十万円、このぐらいの差があるわけです。もちろん、自治体の財政力にもよりますし、いろいろ原因はあると思います。あっちにはないけれども、こっちにはええものがあると、こういうことは私もわかっているんですけれども、しかし、本当にぎりぎりのところで、障害者の皆さん方がみんなと一緒に、普通の人と同じように頑張ろうと奮闘されている場でございますので、大いに力を込めて援助、補助をお願いしたいと思います。
 重度加算の問題、通所補助の問題については、残念ながらいい答弁はもらえませんでした。しかし、全体を底上げしていくという中で、そういうことに対してもこたえられるようにお願いを申し上げたいと思います。
 また、質問の中で一つ落としましたけれども、不況によって授産施設の中の仕事が減っているところもあります。ぜひとも、官公需の優先的な提供とか、仕事のあっせんとかいうところにも力を注いでいただければ、関係する方々は大きな喜びとするところではないかと思います。
 私は、「ふれ愛紀州路」というスローガンが大変好きなんです。そういう心が紀伊半島のすべての小規模作業所に、もちろんそれだけじゃなくていろんなことも含めてですけれども、そういう精神があふれておって、共同作業所で働いている方々から本当に笑い声が聞こえるような施策の実現方をぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。
 不況対策で多くのことを申し上げました。時間がございませんので、検討していきたいという答弁をいただいた点についてはぜひご検討いただいて、よりよい施策の発展をお願い申し上げたいと思います。
 特に、障害者対策の問題については、当局のヒューマニズムとその善意を私も信頼させていただきまして、来るべき当初予算に大きく反映されることを心から願いまして、第二問は要望にとどめておきたいと思います。
○副議長(大江康弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(大江康弘君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時四十六分散会

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