平成4年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(木下秀男議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時三分開議
○議長(馬頭哲弥君) これより本日の会議を開きます。
○議長(馬頭哲弥君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から現金出納検査の結果報告がありましたので、報告いたします。
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○議長(馬頭哲弥君) 次に日程第一、議案第百四十八号から議案第百五十五号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 6番木下秀男君。
 〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 平成四年十二月議会冒頭に質問の先陣を承る機会を与えていただきました先輩・同僚の皆さん方に、感謝申し上げます。
 本日は、十二月八日であります。こう申し上げますと、何を今さらそんなことをと思われる方が多いかと思いますが、今から五十一年前の昭和十六年十二月八日、真珠湾攻撃に始まる日米の開戦の日であります。三年八カ月余の長期戦の末に日本の敗戦であります。
 私は、ここで戦争について議論するものではございませんが、この大戦で何を得たかということであります。それは民主主義であると思います。廃墟と化した焦土の中から復興をなし、四十有余年を経た今日、戦勝国よりも敗戦国である我が国の方が経済発展をなし遂げ、「経済大国日本」とまで言われる国となり、世界の国々、特にASEANやアラブ諸国の青年たちが「黄金の国日本」、「ゴールド・アイランド・ジャパン」と日本に向かって留学に、研修に、さらには労働にと、大挙して渡来してきているのが昨今の現状であります。
 戦後の政治面を見ますと、国民参加による議会制民主主義を取り入れ、創成期には混乱もあり流血騒動もありましたが、国内が安定するに従って平衡して自由社会の中で国策を進めてきたことが今日の繁栄を見たものと考えるのであります。このことは、一に日本国民の勤勉と労働がこの現状をもたらしたすべてであると思います。しかし、今の政情を見るとき、中央政界も地方政界も、目を覆い、耳をふさぎたくなることばかりでございます。金銭感覚が完全に麻痺し、派閥抗争に明け暮れ、権力獲得のことばかりで、政争あって政策なしの状態であります。
 ある有名な政治学者は、「政治には三つの側面がある。一つは権力としての政治、二つには技術としての政治、三つには倫理としての政治」と説かれてございます。そして、「この三つは倫理的要請としての自由と統合という目的に仕えなければならない」としてございます。
 現今の政情を見るとき、目的と手段が逆転していると思います。国民の怒り、当然であります。政界も、まさにバブル経済崩壊直前の状況であると思います。地方議会の末席にある私も、自重自戒、反省を重ねておるところでございます。これが、本会議の先陣を承った私の今の心境の一端であります。
 今国会において、政治改革の一環として衆議院の定数減、九増十減の法案成立が確定いたしました。さきの国会において定数改正案が議題になったとき、私ども自由民主党県連を挙げて、そして関係する市町村の皆さん方のお力添えを得て猛反対運動したことはいまだ記憶に新しく、その余韻が覚めやらぬ今、現実のものとなりました。
 私は、この公選法改正案が衆議院本会議で成立する十二月三日の朝、衆議院におりました。自由民主党和歌山県連岡本会長のもとに、役員の一人として上京していたのであります。
 そのときの概況をかいつまんで申し上げますと、十二月二日、三日と自由民主党三役、綿貫幹事長、佐藤総務会長、森政調会長に、定数条例改正に伴う和歌山第二区一名減の反対運動からこの臨時国会成立に至るまでの自由民主党和歌山県連の意見と県選出自民党衆参両院議員の意見の集約したものを報告し、定数問題に関する結論、けじめを地元選出国会議員のご同行を得て上申したのであります。
 三日朝八時からの朝食会では衆参両院の先生方に、国政に、また県政にご苦労、ご活躍いただいておることに対して感謝の言葉を申し上げました。諸先生方、特に二区の三代議士からは、「定数問題については物心両面にわたり賜ったご支援は生涯忘れられない」と、感謝のあいさつもございました。そして、懇談の中でいろいろと政治談義がございましたが、ある人の発言には、「このようなメンバーで会合するのも最後になるかもしれないな」、また「保守三議席を守るためにお互いに苦労し、努力をしたな」と、ねぎらいとも感謝とも言えぬ言葉も出ました。最後に、三人の二区選出の代議士が同じように、「やるだけのことはやり、言うべきことは言い尽くしました。ここまで来れば、たとえ我々の首切り法案であっても、党議決定となれば、組織に生きる国会議員として本会議に臨み、正々堂々と起立賛成いたします」と言われたこの言葉が今も私の脳裏を離れないのであります。
 今回の定数減問題に関して一部報道等に、一名減と引きかえに何か物ごいに行ったような扱いもありますが、これはげすの勘ぐりというものであって、私どもは決して物ごいに行ったものでもなければ交換条件を出したものでもなく、政治団体の下部組織として意見の集約を本部に具申し、それを政治の場に反映することが政党政治の正道と信じて行ったことであることを、この場をおかりして申し上げたいと思います。
 そこで知事にお伺いいたしますが、あなたは昭和のすべて、和歌山県政のすべてを知り尽くした人であると信じております。若くして県職員として戦後の復興を手がけ、経済成長期には県の最高幹部として、そして安定期には知事として五期目を担当され、全国知事会の中でも古参の有力な方となられました。今の世上を見るとき、バブル経済の崩壊により景気の低迷は戦後最大と言われ、まだまだ続くと予測されてございます。県内の状況を見ましても、不況倒産が続き、農産物の自由化によるショックからようやく立ち直りかけたやさきに農産物自由化の第二波、米の自由化と、たび重なる外圧を受け、今また政界金権汚職に荒れるその余波を受けて、政治改革の名のもとに国政に参画していた和歌山第二区の衆議院議員の一議席が次の選挙から減員されることが決定されます。
 十二月三日、四日の新聞紙上に、和歌山二区の三人の代議士と各地の方々のコメントが載せられてございましたが、紀南地方の過疎の意見が多く見られました。確かに人口減と老人の多い町や村がふえ、学校がなくなり、空き家が多いのが目立ってございます。これらの町や村ではそれぞれ工夫を凝らし、活力振興事業やもろもろのイベントを催し、努力をしておりますが、これという実効が上がっていないのが現状であります。この現状を見て私は、ここ十年余の県が政府に要望する各年度ごとの政府予算に関する要望書の内容をつぶさに点検してみました。
 確かに、そのとき、その時代に適した計画を樹立し、先取りの計画もあり、なるほどと思う計画もありました。しかし今、もろもろの計画を見るとき、県全体の均衡ある事業計画があったかと見比べてみると、北高南低というか北重視・南無視というか、そのような感がするのであります。北には、県挙げてのリゾート博覧会成功に向けてマリーナシティの関連事業計画があり、関西国際空港開港に向けて加太開発の諸事業が進行中でありまして、関連する紀の川筋の各町では目に見えた開発事業が進みつつあります。一方、紀南に目を向けると何がありますか。紀中では日高港湾の建設、御坊田園テクノタウンの建設、燦黒潮リゾート構想の推進などがあり、これらの計画は地域住民にとって、これぞ我がふるさとの発展と信じて大きな期待と夢を抱いたものでありますが、現状はどうでありましょうか。
 日高港湾建設計画は、私が当選した昭和五十四年の港湾審議会で決定したことを記憶してございますが、今日に至るも事業主体が決まらず、予算化された国からの事業費を繰り越し返上しているのが現状であります。テクノタウン構想につきましては、昭和五十九年六月、御坊市民会館において御坊田園テクノタウン建設促進協議会なるものを設立し、華々しくその意気を示したのであります。その会長に知事が就任されてございますが、自来今日まで総会も開かれず、有名無実の状況であります。燦黒潮リゾート構想に至っては、一千億円の計画がわずかの間に二千億円と天文学的な数字を並べ、そしてある日突然に撤収という、まさにバブル経済崩壊の見本のような形で消え去っていったのが紀南のプロジェクトであると私は考えます。
 前段に申し上げましたが、名実ともに和歌山県政の長老であり、実力者であり、経験豊富な知事でありますが、平成維新前夜とも言われる今、政治家仮谷志良としてのご所見をお伺いするものでございます。
 次に、関西国際空港国内便確保についてであります。
 関西国際空港開港を和歌山県の飛躍発展の年に、国際化の窓口にと、知事を先頭に、私ども議会も特別委員会を設置して全面的に取り組んできたところでございます。先々月には、和歌山県議会関西国際空港対策特別委員と県当局関係者が相携えて日本航空、全日空、日本エアシステム社の本社をそれぞれ訪ね、重役の方々、運航担当の役員の方々に一九九四年夏開港予定の関西国際空港への国内便確保の要請に行ってきたところであります。各社ともども、運輸省とよく連携をとりながら便数を決めるとの返事をいただきました。
 関西国際空港への国内便乗り入れについては、運輸省としても関空会社としても、航空会社三社に誘致を強く申し入れておるようでございますが、いずれもよい返事がないようでございます。理由として、正式に表明されてはおりませんけれども、新空港の着陸料が現在の大阪国際空港に比べ大幅に高くなることだと言われてございます。さらに、全国各地で整備された地方国際空港がふえたこと、また不況による機材の購入を差し控えておること、さらには近く開発されるであろう六百人、七百人という乗客を運べるような超大型高音速の機材開発まで差し控えておるというような話も聞くのであります。
 関西空港株式会社の服部社長は、七月に開かれた関西国際空港推進会議の席上で、「現時点で開港時目標の一日七十便の達成は難しい」──これは国内便でございます──と申し述べてございます。そして十二月二日、服部社長は同じように、「開港時には国際線の便数の確保はほぼできたが、国内線については半数にも満たない。そのめどは立っていない」との発言を繰り返されてございます。このことについて知事のご所見を伺うものであります。
 次に、湾岸道路の建設についてであります。
 さきの県議会関西国際空港対策特別委員会県外調査の折、羽田空港沖合移転拡張工事の現場を視察してまいりました。新埋立地に管制塔を中心に空港管理ビルを移転し、モノレールを地下に入れ、千葉県と神奈川県を結ぶ京葉湾岸道路と立体交差をさす中で交通対策が完璧なまでに計画され、進行中でありました。
 ここで、土木部長にお伺いいたします。
 目下開会中の臨時国会において、大阪湾臨海地域開発整備法──俗に言うベイエリア法案でございます──が提出され、成立のめどが立っていると聞いております。法案は、大阪湾ベイエリアを世界都市にふさわしい機能と良好な居住環境を備えた地域として総合計画を策定し、地域活力の向上を図り、東京一極集中の是正を目的とすることを明記されていると伺ってございます。開発構想としては、大阪府、兵庫県、和歌山県にわたる関西新空港関連三府県を中心とした大阪湾岸一帯を抜本的に再開発しようとするものと聞いてございます。この構想に和歌山県がどの地域まで対象として含まれているのか。含まれているとすれば、大阪府とどこまで湾岸道路建設の話し合いを持っているのかをお伺いするものであります。
 私は、将来二十一世紀に向け、スケールの大きな湾岸道路計画がぜひ必要と思うものであります。土木部長の答弁を求めるものであります。
 次に、水産試験研究機関の整備であります。
 和歌山県の漁業は、内海性と外海性をあわせ持つ水域で多種にわたる形態を有する漁業を営んでございます。古くは、遠くアラフラ海の潜水漁業、けんけん漁法による日本海からシナ海方面までの漁を行ってまいりましたが、現在では遠洋漁業、近海漁業、海面漁業、養殖漁業が主体となり、生産量総額は約八千トン、生産額にして四百五十億円ほどの数値を上げてございます。
 今日の漁業はつくり育ててとる漁業となり、沿岸漁業に依存しているのがほとんどであります。栽培漁業を推進し、水産資源の維持増大と漁業経営安定を図るためには水産研究機関の役割が大きく、さらに新技術等の導入も急務であります。和歌山県の現状を見ると、内海、外海に向けての大学水産研究所があり、県水産業に大きく貢献いただいております。一方、県の水産試験研究機関を見ますと、県下五カ所に分散しており、機関の連携不備と施設の狭隘と老朽で、お粗末この上もない実情であります。
 和歌山県水産試験研究機関整備計画検討委員会の答申もまとまっていると聞くのでありますが、この点について知事の積極的な答弁を求めるものであります。
 次に、水産振興対策についてであります。
 私は、質問のごとに足腰の強い一次産業の育成を取り上げ、その強力な施策の実施を申し上げてまいりましたが、今回は水産業一つに絞って質問いたします。
 かつて、この壇上から、紀伊水道における徳島県との境界問題を取り上げました。当時は経済部の所管で、時の経済部長は早急に徳島県と協議をすると答弁されましたが、一向に解決された様子もなく、平成四年度だけでも和歌山県船籍の漁船──まき網船でございます──が十二、三回も検挙され、それぞれ罰金を科せられ追徴金を取られ、さらに操業停止の措置をとられているのが現状であります。
 そこで、次の点についてお伺いいたします。
 慣行線と境界線について。和歌山県と徳島県の間に慣行線、境界線という問題がありますが、いずれが本当の線であるのか。その線があるのかないのか。
 そして、慣行線は諭鶴羽山頂と沼島東端を結ぶ線、日ノ御埼と伊島西端を通り蒲生田岬を結ぶ線の交差する点までをいうとあります。これは昭和二十四年の新漁業法により抹消されたと聞くのでありますが、法的にいかがなっておるか、伺うものであります。
 検挙される水域はほとんど慣行線上とその延長線上であると聞いてございますが、和歌山県としてこれを認めるものかどうかもお伺いするものであります。
 そして、この件を申し上げて長い年月がたってございますが、徳島県との話し合いの状況、結果が出ておれば、あわせてお伺いするものでございます。
 さらに、この境界争いの件について、和歌山県知事と徳島県知事との間で書簡が交わされておるとも聞くものでありますが、いかがでありましょうか。農林水産部長の答弁を求めるものであります。
 次に、密航防止対策についてであります。
 「人のうわさも七十五日」とことわざにございますが、日本人の熱しやすさと冷めやすい性格をあらわしたことわざと理解しております。私もその一人でございますが、その中で、なかなか冷めないことがございます。平成二年、年も押し迫った十二月に和歌山県那智勝浦町で起きた密輸事件でございます。
 茨城船籍の漁船が中国製と見られるトカレフ──防弾チョッキでも撃ち抜くという威力のあるピストル──を台湾経由で日本国内へ密輸したのを警視庁が摘発したというショッキングなニュースであります。総数は二千丁にも上ると発表されました。本州最南端にある遠洋漁業基地勝浦港でこんなことがあってよいものか。一日も早く国内に出回ったトカレフが回収されるようにと念じたものであります。
 しばらくして、あるテレビ局の特別報道番組でピストルによる事件をテーマとした報道を見まして、またまた驚きました。事件に使われたピストルは和歌山県那智勝浦港から密輸されたトカレフである、中国、東南アジア方面からの漁船による密輸ルートとして太平洋岸を警戒する必要があるとの報道でありました。そして、平成四年五月十日未明、那智勝浦町の隣町古座町へ密航中国人三十四人が上陸との報道であります。町民の機転と警察の機敏な行動で全員を出入国管理法違反で逮捕し、大阪入管へ移送した事件が発生したのであります。六月末には、田辺市扇ケ浜海岸から密入国疑いがある者十一人を逮捕いたしております。これら密入国者はピストルの輸入疑いがないようでありますけれども、黄金の国日本を目指した不法入国事件でございます。
 日本の関係当局は、中国福建省を基点に密航者請負グループがあり、日本の地形の詳しい者と連携をし、海岸線の複雑な紀伊半島が穴場としてねらわれているのではないかとも言われてございます。ちなみに、今年四月で全国十三カ所、五百人が密入国してございます。防衛対策が急務であると思います。
 本部長にお伺いいたします。県民の治安と生命を守り、防犯、防災、交通安全と多忙な職務に加え、公安面で長い海岸線の水際警備について県警本部としていかなる対策を立てているか。官民一体となって取り組むべきことであると思考いたしますが、県民に何を望んでおられるかもお伺いするものであります。
 最後に、国連・障害者の十年の成果と反省について申し上げます。
 国際障害者年運動を機に、障害者の福祉の向上、施設の整備充実、社会への参加、労働等について我々も取り組み、考えようとのことで議会に議員連盟を組織して県内の施設や近隣府県の施設を見学し、取り組み状況を勉強いたしてございます。
 一例を申し上げますと、今年四月、三重県の精薄者施設と授産施設を視察してまいりましたが、この施設は、親子二代にわたって障害福祉に携わっている方が施設長であり、現場体験から得たすべての知識を表現した施設と言われるだけに、ソーラーシステムを採用し、居室は個人の自主性を取り入れ、食事等についても一般家庭と何ら変わりなく、喫茶、飲酒も自由で、施設は生活の場、暮らしを営む場を基本としたユニークな施設であります。特にボランティアとして泊まり込みで来ていた高校生、大学生の明るさに感銘を受けたものであります。
 この施設が開園したのは昭和五十八年八月と日が浅いので入園者の年齢が若く、老人対策の問題は起こっておりませんが、県内の状況を見ますと、あかつき園を初めとして、施設の老朽化、入所者の高齢化、無認可の授産施設等、課題が残されていると思います。
 また、障害児、特に心身障害児対策の基本は早期発見、早期治療、早期療育であると言われてございます。心身障害児対策として、母子保健法、児童福祉法、学校教育法等により胎児期から対策が講じられており、個々の機能は果たされていると思いますが、相互の有機的連携、協力体制が必要であります。しかし、今の県の状態では十分でないと思います。
 そこで、心身障害児に対する総合対策として、総合医療の充実した機能を備え、早期発見、相談、指導、治療、訓練等の機能をあわせ持つ総合医療センターの設置が必要と考えるものであります。
 国連・障害者の十年の終年に当たり私見の一端を申し上げましたが、県としてこの十年間の成果と、残された課題があるとすれば何であるかをお伺いするものであります。民生部長の答弁をお願い申し上げます。
 以上で、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下議員にお答え申し上げます。
 ただいま木下議員から、現在の厳しい政治情勢の中で、またかつてない不景気の中で、さらに和歌山県にとっては九増十減という厳しい政治情勢の中で県政へのこれからの取り組みについての質問をいただいたのでございます。
 まず、均衡ある発展の問題でございますけれども、関西国際空港開港を控え、和歌山市を中心とした紀北地帯並びに和歌山県にとって大きな飛躍発展の好時期だと考えておりまして、それに基づいて中期計画の各種プロジェクトを積極的に推進しているわけでございます。国際都市としての和歌山、また産業都市としての和歌山、居住地域としての和歌山等、紀北地域の発展に積極的に努めているところでございます。
 また、紀南地方につきましても、皆さん方のご支援をいただいて、高速道路の南伸、白浜空港のジェット化、企業団地づくりの整備等々に努めているところでございます。
 お話ございました日高港湾の計画につきましても、現在、御坊市と県との役割分担を明記し、漁業補償は地元でするという取り決めも行って積極的に進めておるところでございます。
 また、テクノタウンについてはご指摘の点もあるわけでございますけれども、平成六年には御坊団地が二カ所でき上がりますし、また市においても企業団地を整備しております。
 しかしながら、県全体で見た場合、ご指摘のように、紀南地方は過疎化、高齢化が進んでございます。県勢の均衡化を図るために、なお紀南の活性化ということが必要であり、若者が定着できるような地域形成のためには高速交通体系の整備が極めて重要な課題であると思っております。そうした交通網の整備を行うとともに、紀南地方の活性化を図る上において、すばらしい自然と歴史、文化、またそうした調和のとれた文化機能、居住機能、さらには産業振興対策等を積極的に進めていかなければならないと思っております。
 また、本年、拠点都市法が制定されました。これを活用して、市町村ともども生活大国にふさわしい新しい観点からの地域づくりというものを積極的に進めてまいりたいと存じておるところでございます。
 それから、関西空港の問題でございます。
 国内便の確保につきましては、ご指摘のように極めて重要な課題と認識して取り組んでおりますし、また先日も、県議会の関西国際空港対策特別委員会の皆さんには日本航空、全日空、日本エアシステムのいわゆる航空三社に対しても要望していただいたところでございます。
 また、議員お話しの種々の問題でございますけれども、現在、主要都市と具体的な路線、便数について運輸省案を取りまとめ、航空会社と近いうちに調整に入ると聞いておりまして、先日、私も運輸事務次官、航空局長に会って国内便の確保について重ねて強く要請してまいったところでございます。
 次に、水産業振興の問題でございます。
 水産業振興の問題については私もその重要性を深く見詰めておりまして、漁場の整備、特に遠洋漁業が非常に厳しい中でございますから、沿岸漁業の問題、増殖の問題、また漁場保全対策、漁業経営安定対策等を議会の皆さんのご了承を得て積極的に進めておるところでございます。
 そうした中での水産試験場の占める役割というものについては、私も非常に重要な問題と思っております。バイオテクノロジーが発達してきた現在、また技術革新の時代の中で、こうした試験研究機関の果たす役割を重要と認めておるわけでございます。特に技術者の問題、また試験研究機関の問題等、いろいろな問題がありまして、統合の問題についても関係者の皆さんで検討をいただいてまいったところでございます。
 しかし、統合の問題につきましても、従来の試験研究機関の例を見た場合、統合ではなしに、ふえる場合が多くございます。そうした問題も絡み合わせつつ、地元と試験研究機関とのあり方等の問題、そして試験研究機関がいかにあるべきかという問題を真剣に考えていかなければならないと思っておりまして、いろいろなお教えをいただいて積極的に進めてまいりたいと考えております。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 湾岸道路の建設についてお答えを申し上げます。
 まず、今臨時国会に議員立法として提案をされている大阪湾臨海地域開発整備法につきましては、ベイエリアの開発整備のためのグランドデザインを実現させるためのものでございます。
 対象地域につきましては、本法案が可決をされた後において策定される基本方針で決定をされることになりますが、グランドデザインの対象地域と同様、県としては大阪湾が閉鎖性水域であることからそのエリアを広くとることを主張し、瀬戸内地域である御坊市までを従来から要望しているところでございます。
 湾岸道路につきましては、この法律が成立後、その趣旨にのっとり大阪府とも協議を進めてまいりたいと思いますが、一方、和歌山方面への湾岸道路については、第十一次道路整備五箇年計画の案では国道二十六号第二阪和国道に接続が計画をされており、京奈和自動車道の西への延伸、いわゆる紀淡連絡道路と接続をして本四連絡道路に至る大阪湾環状道路が必要とされております。
 今後、この事業の具体化に向け、積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) 水産振興対策の、和歌山、徳島両県の海面における県境問題についてお答えを申し上げます。
 紀伊水道における和歌山と徳島の海面の境界線の問題でございますが、両県の主張は平行線をたどっており、結論は出ていないのが現状でございます。
 徳島県は旧漁業法により認められていた専用漁業権の海域線をもって境界線と主張しているのに対しまして、本県は、専用漁業権は昭和二十四年に廃止をされており、したがって本県漁船の過去からの操業実績を勘案しながら新たに境界線を設定すべきであると主張してございます。
 第二の慣行線についてでございますが、一般的に言われているのは旧漁業法の専用漁業権の海域線を指しておりまして、瀬戸内海区における慣行線については議員お話しのとおりでございます。また法的には、旧漁業法での規定でありますので、現在の漁業法では明確に規定はされてございません。
 第三の、検挙に関する問題でございます。現在、両県の境界線は確定しておりませんが、許可漁業等においては知事の行政権の及ぶ範囲内で一定の線を設け、漁業の取り締まりを行ってございます。
 第四の徳島県との話し合いの状況でございますが、両県間で境界線の主張が異なるため、いまだ合意に至っておりません。しかし、操業上のトラブルを避けるために両県の海区漁業調整委員会の相互の理解を深めるよう、定期的に協議会を開催してございます。
 第五につきましては、両県知事の間で文書の交換はいたしてございません。
 いずれにいたしましても、県境問題は両県の長い間の懸案であり、県益につながる重要な問題でございます。今後とも、海区漁業調整委員会と協議をしながら対応してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 国連・障害者の十年の成果と今後の課題についてお答えをいたします。
 国連・障害者の十年における本県の障害者対策につきましては、昭和五十六年の国際障害者年を契機として、昭和五十七年に障害者にかかる和歌山県長期行動計画を策定し、県政の重点課題として明確な位置づけを行うとともに、県民を初め関係団体の協力を得ながら、市町村との密接な連携のもとに総合的かつ体系的な施策の推進に努めてまいりました。こうした全県的な取り組みの結果、障害者福祉の目覚ましい充実が図られてまいりました。
 とりわけ、施設整備につきましては、県立施設の整備を図る一方、民間法人にも協力を得て進めてまいりました結果、この十年間に身体障害関係施設が八カ所、精神薄弱関係施設が十七カ所の施設の整備が図られたところでございます。
 さらに、生活環境につきましても、障害者の住みよい生活環境整備指針に基づいて強力な推進を行ってきた結果、身体障害者に配慮した車いす用トイレを初め、スロープや自動ドア等を整備する施設が増加するなど、本県における障害者福祉の増進にとって極めて意義深い十年であったと考えております。しかしながら、近年、障害者の増加とともに高齢化や重複化が進み、さらにそのニーズも多様化している中で、新たな視点に立った障害者対策を講じなければならない課題が生じてございます。
 県といたしましても、この十年の実績を点検評価するとともに、課題を明らかにすることはもちろん、現在進めている身体障害者実態調査による調査結果を踏まえ、県心身障害者対策協議会のご意見も伺いながら、長期的展望に立ったきめ細かい施策の充実をより積極的に図ってまいる所存でございます。
 次に、精神薄弱者更生施設の入所者の高齢化対策でございますが、精神薄弱者の場合、健常者に比してはるかに早く老化している現状を考えるとき、入所者の高齢化対策は今後の極めて重要な課題であると認識いたしているところでございます。
 また、心身障害児対策についてでありますが、議員ご指摘のとおり、早期発見を含む治療などの医療の側面と相談や指導などの福祉の側面、教育の機能など、関係する機関の有機的な連携が最も大切なことであると考えてございます。したがいまして、今後ともこうした関係機関との連携をさらに密にし、総合的な心身障害児対策に対処してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 警察本部長中長昌一君。
 〔中長昌一君、登壇〕
○警察本部長(中長昌一君) 密航の防止対策につきまして、木下議員にお答えをいたします。
 本年に入り、全国の太平洋沿岸で集団密入国事件が頻発をしておりまして、和歌山県においても五月十日に古座町鬼宿海岸で、また六月二十七日に田辺市扇ケ浜で中国人の集団密入国事件が発生し、合わせて四十六人を検挙したところであります。
 延々六百キロメートルに及ぶ複雑な海岸線と三つの開港場を有する和歌山県の地理的条件を考えますと、今後ともこの種事件の発生が予測されますので、こうした事件の教訓を生かし、事件の再発防止と水際での検挙を図るため、現在、海上保安庁、入管、税関などの関係機関との連携を図りながら、特に夜間における海岸線を重点に沿岸の警戒警備の強化に努めているところでありますが、議員ご指摘のとおり、船舶、漁業関係者並びに沿岸住民の方々の幅広いご協力をいただくことが何よりも重要であると考えているところであります。このため、現在、沿岸を管轄する各警察署において、これらの方々のご協力を得ながら沿岸防犯連絡会をつくるなど、沿岸の警戒警備体制の強化に努めているところであります。
 沿岸地域の方々の今後ともなお一層のご支援、ご協力をお願い申し上げる次第であります。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 6番木下秀男君。
○木下秀男君 丁重なご答弁をいただきましたが、知事にお伺いいたします。
 まず一点、今、県警本部長が「地域沿岸住民のご協力を」と言われました。これは当然のことでございますが、私が質問し本部長が答えたことに対して県としてどのようにお考えか、どんな取り組みをしようとお考えか。お考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
 もう一点、知事の今後の行動についてでございますが、先ほど申し上げましたように、知事は隅から隅まで知り尽くしておると思います。テレビの水戸黄門のようにしろというのではございませんけれども、これから、南の方だけとは申しませんが、特に過疎に悩んでいる地域を自分の目で確かめ、自分の耳で聞くような──県庁の出先や市町村長の集まったところへ行って聞くのではなくて水戸黄門が回ったような形で、自分でその現地を確かめる中で県政に反映していくというようなお取り組みをいただきたいと思いますが、知事のお考え、いかがでございますか。
○議長(馬頭哲弥君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下秀男議員にお答え申し上げます。
 まず、密航についての警備の問題について。先ほど本部長から答弁申し上げましたように、そうした警察の警備と相まって、漁業組合とも十分連絡し、また市町村とも連絡し合って警備について十分の配慮をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
 それから、過疎地域の状況等について知事ももう少し調査せよ、目で見てこいということでございます。お教えのとおり、そうした点を遵守してまいりたいと思っております。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問はありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 以上で、木下秀男君の質問が終了いたしました。

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