平成4年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成四年十二月八日(火曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第百四十八号から議案第百五十五号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百四十八号から議案第百五十五号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十五人)
 1 番 尾 崎 要 二
 2 番 中 村 裕 一
 3 番 下 川 俊 樹
 4 番 石 田 真 敏
 6 番 木 下 秀 男
 7 番 岡 本  保
 8 番 藁 科 義 清
 9 番 北 村  翼
 10 番 小 川  武
 11 番 上野山 親 主
 12 番 井 出 益 弘
 13 番 町 田  亘
 14 番 尾 崎 吉 弘
 15 番 門  三佐博 
 16 番 西 本 長 弘
 17 番 高 瀬 勝 助
 18 番 冨 安 民 浩
 19 番 和 田 正 一
 20 番 阪 部 菊 雄
 21 番 平 越 孝 哉
 22 番 大 江 康 弘
 23 番 岸 本 光 造
 24 番 山 本  一
 25 番 吉 井 和 視
 26 番 浜 田 真 輔
 27 番 堀 本 隆 男
 28 番 宇治田  栄 蔵
 29 番 富 田  豊
 30 番 中 村 利 男
 31 番 馬 頭 哲 弥
 32 番 宗  正 彦
 33 番 鶴 田 至 弘
 34 番 上 野 哲 弘
 35 番 村 岡 キミ子  
 36 番 松 本 貞 次
 37 番 木 下 義 夫
 38 番 和 田 正 人
 39 番 中 西 雄 幸
 40 番 橋 本  進
 41 番 野見山   海
 42 番 森  正 樹
 43 番 浜 本  収
 44 番 新 田 和 弘
 45 番 浜 口 矩 一
 46 番 森 本 明 雄
欠 席 議 員(なし)
 〔備 考〕
 5 番 欠 員
 47 番 欠 員
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 西 口  勇
 出納長 梅 田 善 彦
 知事公室長 市 川 龍 雄
 総務部長 山 中 昭 栄
 企画部長 佐 武 廸 生
 民生部長 吉 井 清 純
 保健環境部長 江 口 弘 久
 商工労働部長 中 西 伸 雄
 農林水産部長 中 村  昇
 土木部長 山 田  功
 企業局長 高 瀬 芳 彦
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代 
 以下教育次長
 公安委員会委員長
   山 階 清 弘
 警察本部長 中 長 昌 一
 以下各部長
 人事委員会委員長
   水 谷 舜 介
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   稲 住 義 之
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 塩 崎 省 吉
 次 長 中 村  彰
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主事 古 井 美 次
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 川 端 孝 治
 調査課長 大 畑  巌
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時三分開議
○議長(馬頭哲弥君) これより本日の会議を開きます。
○議長(馬頭哲弥君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から現金出納検査の結果報告がありましたので、報告いたします。
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○議長(馬頭哲弥君) 次に日程第一、議案第百四十八号から議案第百五十五号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 6番木下秀男君。
 〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 平成四年十二月議会冒頭に質問の先陣を承る機会を与えていただきました先輩・同僚の皆さん方に、感謝申し上げます。
 本日は、十二月八日であります。こう申し上げますと、何を今さらそんなことをと思われる方が多いかと思いますが、今から五十一年前の昭和十六年十二月八日、真珠湾攻撃に始まる日米の開戦の日であります。三年八カ月余の長期戦の末に日本の敗戦であります。
 私は、ここで戦争について議論するものではございませんが、この大戦で何を得たかということであります。それは民主主義であると思います。廃墟と化した焦土の中から復興をなし、四十有余年を経た今日、戦勝国よりも敗戦国である我が国の方が経済発展をなし遂げ、「経済大国日本」とまで言われる国となり、世界の国々、特にASEANやアラブ諸国の青年たちが「黄金の国日本」、「ゴールド・アイランド・ジャパン」と日本に向かって留学に、研修に、さらには労働にと、大挙して渡来してきているのが昨今の現状であります。
 戦後の政治面を見ますと、国民参加による議会制民主主義を取り入れ、創成期には混乱もあり流血騒動もありましたが、国内が安定するに従って平衡して自由社会の中で国策を進めてきたことが今日の繁栄を見たものと考えるのであります。このことは、一に日本国民の勤勉と労働がこの現状をもたらしたすべてであると思います。しかし、今の政情を見るとき、中央政界も地方政界も、目を覆い、耳をふさぎたくなることばかりでございます。金銭感覚が完全に麻痺し、派閥抗争に明け暮れ、権力獲得のことばかりで、政争あって政策なしの状態であります。
 ある有名な政治学者は、「政治には三つの側面がある。一つは権力としての政治、二つには技術としての政治、三つには倫理としての政治」と説かれてございます。そして、「この三つは倫理的要請としての自由と統合という目的に仕えなければならない」としてございます。
 現今の政情を見るとき、目的と手段が逆転していると思います。国民の怒り、当然であります。政界も、まさにバブル経済崩壊直前の状況であると思います。地方議会の末席にある私も、自重自戒、反省を重ねておるところでございます。これが、本会議の先陣を承った私の今の心境の一端であります。
 今国会において、政治改革の一環として衆議院の定数減、九増十減の法案成立が確定いたしました。さきの国会において定数改正案が議題になったとき、私ども自由民主党県連を挙げて、そして関係する市町村の皆さん方のお力添えを得て猛反対運動したことはいまだ記憶に新しく、その余韻が覚めやらぬ今、現実のものとなりました。
 私は、この公選法改正案が衆議院本会議で成立する十二月三日の朝、衆議院におりました。自由民主党和歌山県連岡本会長のもとに、役員の一人として上京していたのであります。
 そのときの概況をかいつまんで申し上げますと、十二月二日、三日と自由民主党三役、綿貫幹事長、佐藤総務会長、森政調会長に、定数条例改正に伴う和歌山第二区一名減の反対運動からこの臨時国会成立に至るまでの自由民主党和歌山県連の意見と県選出自民党衆参両院議員の意見の集約したものを報告し、定数問題に関する結論、けじめを地元選出国会議員のご同行を得て上申したのであります。
 三日朝八時からの朝食会では衆参両院の先生方に、国政に、また県政にご苦労、ご活躍いただいておることに対して感謝の言葉を申し上げました。諸先生方、特に二区の三代議士からは、「定数問題については物心両面にわたり賜ったご支援は生涯忘れられない」と、感謝のあいさつもございました。そして、懇談の中でいろいろと政治談義がございましたが、ある人の発言には、「このようなメンバーで会合するのも最後になるかもしれないな」、また「保守三議席を守るためにお互いに苦労し、努力をしたな」と、ねぎらいとも感謝とも言えぬ言葉も出ました。最後に、三人の二区選出の代議士が同じように、「やるだけのことはやり、言うべきことは言い尽くしました。ここまで来れば、たとえ我々の首切り法案であっても、党議決定となれば、組織に生きる国会議員として本会議に臨み、正々堂々と起立賛成いたします」と言われたこの言葉が今も私の脳裏を離れないのであります。
 今回の定数減問題に関して一部報道等に、一名減と引きかえに何か物ごいに行ったような扱いもありますが、これはげすの勘ぐりというものであって、私どもは決して物ごいに行ったものでもなければ交換条件を出したものでもなく、政治団体の下部組織として意見の集約を本部に具申し、それを政治の場に反映することが政党政治の正道と信じて行ったことであることを、この場をおかりして申し上げたいと思います。
 そこで知事にお伺いいたしますが、あなたは昭和のすべて、和歌山県政のすべてを知り尽くした人であると信じております。若くして県職員として戦後の復興を手がけ、経済成長期には県の最高幹部として、そして安定期には知事として五期目を担当され、全国知事会の中でも古参の有力な方となられました。今の世上を見るとき、バブル経済の崩壊により景気の低迷は戦後最大と言われ、まだまだ続くと予測されてございます。県内の状況を見ましても、不況倒産が続き、農産物の自由化によるショックからようやく立ち直りかけたやさきに農産物自由化の第二波、米の自由化と、たび重なる外圧を受け、今また政界金権汚職に荒れるその余波を受けて、政治改革の名のもとに国政に参画していた和歌山第二区の衆議院議員の一議席が次の選挙から減員されることが決定されます。
 十二月三日、四日の新聞紙上に、和歌山二区の三人の代議士と各地の方々のコメントが載せられてございましたが、紀南地方の過疎の意見が多く見られました。確かに人口減と老人の多い町や村がふえ、学校がなくなり、空き家が多いのが目立ってございます。これらの町や村ではそれぞれ工夫を凝らし、活力振興事業やもろもろのイベントを催し、努力をしておりますが、これという実効が上がっていないのが現状であります。この現状を見て私は、ここ十年余の県が政府に要望する各年度ごとの政府予算に関する要望書の内容をつぶさに点検してみました。
 確かに、そのとき、その時代に適した計画を樹立し、先取りの計画もあり、なるほどと思う計画もありました。しかし今、もろもろの計画を見るとき、県全体の均衡ある事業計画があったかと見比べてみると、北高南低というか北重視・南無視というか、そのような感がするのであります。北には、県挙げてのリゾート博覧会成功に向けてマリーナシティの関連事業計画があり、関西国際空港開港に向けて加太開発の諸事業が進行中でありまして、関連する紀の川筋の各町では目に見えた開発事業が進みつつあります。一方、紀南に目を向けると何がありますか。紀中では日高港湾の建設、御坊田園テクノタウンの建設、燦黒潮リゾート構想の推進などがあり、これらの計画は地域住民にとって、これぞ我がふるさとの発展と信じて大きな期待と夢を抱いたものでありますが、現状はどうでありましょうか。
 日高港湾建設計画は、私が当選した昭和五十四年の港湾審議会で決定したことを記憶してございますが、今日に至るも事業主体が決まらず、予算化された国からの事業費を繰り越し返上しているのが現状であります。テクノタウン構想につきましては、昭和五十九年六月、御坊市民会館において御坊田園テクノタウン建設促進協議会なるものを設立し、華々しくその意気を示したのであります。その会長に知事が就任されてございますが、自来今日まで総会も開かれず、有名無実の状況であります。燦黒潮リゾート構想に至っては、一千億円の計画がわずかの間に二千億円と天文学的な数字を並べ、そしてある日突然に撤収という、まさにバブル経済崩壊の見本のような形で消え去っていったのが紀南のプロジェクトであると私は考えます。
 前段に申し上げましたが、名実ともに和歌山県政の長老であり、実力者であり、経験豊富な知事でありますが、平成維新前夜とも言われる今、政治家仮谷志良としてのご所見をお伺いするものでございます。
 次に、関西国際空港国内便確保についてであります。
 関西国際空港開港を和歌山県の飛躍発展の年に、国際化の窓口にと、知事を先頭に、私ども議会も特別委員会を設置して全面的に取り組んできたところでございます。先々月には、和歌山県議会関西国際空港対策特別委員と県当局関係者が相携えて日本航空、全日空、日本エアシステム社の本社をそれぞれ訪ね、重役の方々、運航担当の役員の方々に一九九四年夏開港予定の関西国際空港への国内便確保の要請に行ってきたところであります。各社ともども、運輸省とよく連携をとりながら便数を決めるとの返事をいただきました。
 関西国際空港への国内便乗り入れについては、運輸省としても関空会社としても、航空会社三社に誘致を強く申し入れておるようでございますが、いずれもよい返事がないようでございます。理由として、正式に表明されてはおりませんけれども、新空港の着陸料が現在の大阪国際空港に比べ大幅に高くなることだと言われてございます。さらに、全国各地で整備された地方国際空港がふえたこと、また不況による機材の購入を差し控えておること、さらには近く開発されるであろう六百人、七百人という乗客を運べるような超大型高音速の機材開発まで差し控えておるというような話も聞くのであります。
 関西空港株式会社の服部社長は、七月に開かれた関西国際空港推進会議の席上で、「現時点で開港時目標の一日七十便の達成は難しい」──これは国内便でございます──と申し述べてございます。そして十二月二日、服部社長は同じように、「開港時には国際線の便数の確保はほぼできたが、国内線については半数にも満たない。そのめどは立っていない」との発言を繰り返されてございます。このことについて知事のご所見を伺うものであります。
 次に、湾岸道路の建設についてであります。
 さきの県議会関西国際空港対策特別委員会県外調査の折、羽田空港沖合移転拡張工事の現場を視察してまいりました。新埋立地に管制塔を中心に空港管理ビルを移転し、モノレールを地下に入れ、千葉県と神奈川県を結ぶ京葉湾岸道路と立体交差をさす中で交通対策が完璧なまでに計画され、進行中でありました。
 ここで、土木部長にお伺いいたします。
 目下開会中の臨時国会において、大阪湾臨海地域開発整備法──俗に言うベイエリア法案でございます──が提出され、成立のめどが立っていると聞いております。法案は、大阪湾ベイエリアを世界都市にふさわしい機能と良好な居住環境を備えた地域として総合計画を策定し、地域活力の向上を図り、東京一極集中の是正を目的とすることを明記されていると伺ってございます。開発構想としては、大阪府、兵庫県、和歌山県にわたる関西新空港関連三府県を中心とした大阪湾岸一帯を抜本的に再開発しようとするものと聞いてございます。この構想に和歌山県がどの地域まで対象として含まれているのか。含まれているとすれば、大阪府とどこまで湾岸道路建設の話し合いを持っているのかをお伺いするものであります。
 私は、将来二十一世紀に向け、スケールの大きな湾岸道路計画がぜひ必要と思うものであります。土木部長の答弁を求めるものであります。
 次に、水産試験研究機関の整備であります。
 和歌山県の漁業は、内海性と外海性をあわせ持つ水域で多種にわたる形態を有する漁業を営んでございます。古くは、遠くアラフラ海の潜水漁業、けんけん漁法による日本海からシナ海方面までの漁を行ってまいりましたが、現在では遠洋漁業、近海漁業、海面漁業、養殖漁業が主体となり、生産量総額は約八千トン、生産額にして四百五十億円ほどの数値を上げてございます。
 今日の漁業はつくり育ててとる漁業となり、沿岸漁業に依存しているのがほとんどであります。栽培漁業を推進し、水産資源の維持増大と漁業経営安定を図るためには水産研究機関の役割が大きく、さらに新技術等の導入も急務であります。和歌山県の現状を見ると、内海、外海に向けての大学水産研究所があり、県水産業に大きく貢献いただいております。一方、県の水産試験研究機関を見ますと、県下五カ所に分散しており、機関の連携不備と施設の狭隘と老朽で、お粗末この上もない実情であります。
 和歌山県水産試験研究機関整備計画検討委員会の答申もまとまっていると聞くのでありますが、この点について知事の積極的な答弁を求めるものであります。
 次に、水産振興対策についてであります。
 私は、質問のごとに足腰の強い一次産業の育成を取り上げ、その強力な施策の実施を申し上げてまいりましたが、今回は水産業一つに絞って質問いたします。
 かつて、この壇上から、紀伊水道における徳島県との境界問題を取り上げました。当時は経済部の所管で、時の経済部長は早急に徳島県と協議をすると答弁されましたが、一向に解決された様子もなく、平成四年度だけでも和歌山県船籍の漁船──まき網船でございます──が十二、三回も検挙され、それぞれ罰金を科せられ追徴金を取られ、さらに操業停止の措置をとられているのが現状であります。
 そこで、次の点についてお伺いいたします。
 慣行線と境界線について。和歌山県と徳島県の間に慣行線、境界線という問題がありますが、いずれが本当の線であるのか。その線があるのかないのか。
 そして、慣行線は諭鶴羽山頂と沼島東端を結ぶ線、日ノ御埼と伊島西端を通り蒲生田岬を結ぶ線の交差する点までをいうとあります。これは昭和二十四年の新漁業法により抹消されたと聞くのでありますが、法的にいかがなっておるか、伺うものであります。
 検挙される水域はほとんど慣行線上とその延長線上であると聞いてございますが、和歌山県としてこれを認めるものかどうかもお伺いするものであります。
 そして、この件を申し上げて長い年月がたってございますが、徳島県との話し合いの状況、結果が出ておれば、あわせてお伺いするものでございます。
 さらに、この境界争いの件について、和歌山県知事と徳島県知事との間で書簡が交わされておるとも聞くものでありますが、いかがでありましょうか。農林水産部長の答弁を求めるものであります。
 次に、密航防止対策についてであります。
 「人のうわさも七十五日」とことわざにございますが、日本人の熱しやすさと冷めやすい性格をあらわしたことわざと理解しております。私もその一人でございますが、その中で、なかなか冷めないことがございます。平成二年、年も押し迫った十二月に和歌山県那智勝浦町で起きた密輸事件でございます。
 茨城船籍の漁船が中国製と見られるトカレフ──防弾チョッキでも撃ち抜くという威力のあるピストル──を台湾経由で日本国内へ密輸したのを警視庁が摘発したというショッキングなニュースであります。総数は二千丁にも上ると発表されました。本州最南端にある遠洋漁業基地勝浦港でこんなことがあってよいものか。一日も早く国内に出回ったトカレフが回収されるようにと念じたものであります。
 しばらくして、あるテレビ局の特別報道番組でピストルによる事件をテーマとした報道を見まして、またまた驚きました。事件に使われたピストルは和歌山県那智勝浦港から密輸されたトカレフである、中国、東南アジア方面からの漁船による密輸ルートとして太平洋岸を警戒する必要があるとの報道でありました。そして、平成四年五月十日未明、那智勝浦町の隣町古座町へ密航中国人三十四人が上陸との報道であります。町民の機転と警察の機敏な行動で全員を出入国管理法違反で逮捕し、大阪入管へ移送した事件が発生したのであります。六月末には、田辺市扇ケ浜海岸から密入国疑いがある者十一人を逮捕いたしております。これら密入国者はピストルの輸入疑いがないようでありますけれども、黄金の国日本を目指した不法入国事件でございます。
 日本の関係当局は、中国福建省を基点に密航者請負グループがあり、日本の地形の詳しい者と連携をし、海岸線の複雑な紀伊半島が穴場としてねらわれているのではないかとも言われてございます。ちなみに、今年四月で全国十三カ所、五百人が密入国してございます。防衛対策が急務であると思います。
 本部長にお伺いいたします。県民の治安と生命を守り、防犯、防災、交通安全と多忙な職務に加え、公安面で長い海岸線の水際警備について県警本部としていかなる対策を立てているか。官民一体となって取り組むべきことであると思考いたしますが、県民に何を望んでおられるかもお伺いするものであります。
 最後に、国連・障害者の十年の成果と反省について申し上げます。
 国際障害者年運動を機に、障害者の福祉の向上、施設の整備充実、社会への参加、労働等について我々も取り組み、考えようとのことで議会に議員連盟を組織して県内の施設や近隣府県の施設を見学し、取り組み状況を勉強いたしてございます。
 一例を申し上げますと、今年四月、三重県の精薄者施設と授産施設を視察してまいりましたが、この施設は、親子二代にわたって障害福祉に携わっている方が施設長であり、現場体験から得たすべての知識を表現した施設と言われるだけに、ソーラーシステムを採用し、居室は個人の自主性を取り入れ、食事等についても一般家庭と何ら変わりなく、喫茶、飲酒も自由で、施設は生活の場、暮らしを営む場を基本としたユニークな施設であります。特にボランティアとして泊まり込みで来ていた高校生、大学生の明るさに感銘を受けたものであります。
 この施設が開園したのは昭和五十八年八月と日が浅いので入園者の年齢が若く、老人対策の問題は起こっておりませんが、県内の状況を見ますと、あかつき園を初めとして、施設の老朽化、入所者の高齢化、無認可の授産施設等、課題が残されていると思います。
 また、障害児、特に心身障害児対策の基本は早期発見、早期治療、早期療育であると言われてございます。心身障害児対策として、母子保健法、児童福祉法、学校教育法等により胎児期から対策が講じられており、個々の機能は果たされていると思いますが、相互の有機的連携、協力体制が必要であります。しかし、今の県の状態では十分でないと思います。
 そこで、心身障害児に対する総合対策として、総合医療の充実した機能を備え、早期発見、相談、指導、治療、訓練等の機能をあわせ持つ総合医療センターの設置が必要と考えるものであります。
 国連・障害者の十年の終年に当たり私見の一端を申し上げましたが、県としてこの十年間の成果と、残された課題があるとすれば何であるかをお伺いするものであります。民生部長の答弁をお願い申し上げます。
 以上で、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下議員にお答え申し上げます。
 ただいま木下議員から、現在の厳しい政治情勢の中で、またかつてない不景気の中で、さらに和歌山県にとっては九増十減という厳しい政治情勢の中で県政へのこれからの取り組みについての質問をいただいたのでございます。
 まず、均衡ある発展の問題でございますけれども、関西国際空港開港を控え、和歌山市を中心とした紀北地帯並びに和歌山県にとって大きな飛躍発展の好時期だと考えておりまして、それに基づいて中期計画の各種プロジェクトを積極的に推進しているわけでございます。国際都市としての和歌山、また産業都市としての和歌山、居住地域としての和歌山等、紀北地域の発展に積極的に努めているところでございます。
 また、紀南地方につきましても、皆さん方のご支援をいただいて、高速道路の南伸、白浜空港のジェット化、企業団地づくりの整備等々に努めているところでございます。
 お話ございました日高港湾の計画につきましても、現在、御坊市と県との役割分担を明記し、漁業補償は地元でするという取り決めも行って積極的に進めておるところでございます。
 また、テクノタウンについてはご指摘の点もあるわけでございますけれども、平成六年には御坊団地が二カ所でき上がりますし、また市においても企業団地を整備しております。
 しかしながら、県全体で見た場合、ご指摘のように、紀南地方は過疎化、高齢化が進んでございます。県勢の均衡化を図るために、なお紀南の活性化ということが必要であり、若者が定着できるような地域形成のためには高速交通体系の整備が極めて重要な課題であると思っております。そうした交通網の整備を行うとともに、紀南地方の活性化を図る上において、すばらしい自然と歴史、文化、またそうした調和のとれた文化機能、居住機能、さらには産業振興対策等を積極的に進めていかなければならないと思っております。
 また、本年、拠点都市法が制定されました。これを活用して、市町村ともども生活大国にふさわしい新しい観点からの地域づくりというものを積極的に進めてまいりたいと存じておるところでございます。
 それから、関西空港の問題でございます。
 国内便の確保につきましては、ご指摘のように極めて重要な課題と認識して取り組んでおりますし、また先日も、県議会の関西国際空港対策特別委員会の皆さんには日本航空、全日空、日本エアシステムのいわゆる航空三社に対しても要望していただいたところでございます。
 また、議員お話しの種々の問題でございますけれども、現在、主要都市と具体的な路線、便数について運輸省案を取りまとめ、航空会社と近いうちに調整に入ると聞いておりまして、先日、私も運輸事務次官、航空局長に会って国内便の確保について重ねて強く要請してまいったところでございます。
 次に、水産業振興の問題でございます。
 水産業振興の問題については私もその重要性を深く見詰めておりまして、漁場の整備、特に遠洋漁業が非常に厳しい中でございますから、沿岸漁業の問題、増殖の問題、また漁場保全対策、漁業経営安定対策等を議会の皆さんのご了承を得て積極的に進めておるところでございます。
 そうした中での水産試験場の占める役割というものについては、私も非常に重要な問題と思っております。バイオテクノロジーが発達してきた現在、また技術革新の時代の中で、こうした試験研究機関の果たす役割を重要と認めておるわけでございます。特に技術者の問題、また試験研究機関の問題等、いろいろな問題がありまして、統合の問題についても関係者の皆さんで検討をいただいてまいったところでございます。
 しかし、統合の問題につきましても、従来の試験研究機関の例を見た場合、統合ではなしに、ふえる場合が多くございます。そうした問題も絡み合わせつつ、地元と試験研究機関とのあり方等の問題、そして試験研究機関がいかにあるべきかという問題を真剣に考えていかなければならないと思っておりまして、いろいろなお教えをいただいて積極的に進めてまいりたいと考えております。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 湾岸道路の建設についてお答えを申し上げます。
 まず、今臨時国会に議員立法として提案をされている大阪湾臨海地域開発整備法につきましては、ベイエリアの開発整備のためのグランドデザインを実現させるためのものでございます。
 対象地域につきましては、本法案が可決をされた後において策定される基本方針で決定をされることになりますが、グランドデザインの対象地域と同様、県としては大阪湾が閉鎖性水域であることからそのエリアを広くとることを主張し、瀬戸内地域である御坊市までを従来から要望しているところでございます。
 湾岸道路につきましては、この法律が成立後、その趣旨にのっとり大阪府とも協議を進めてまいりたいと思いますが、一方、和歌山方面への湾岸道路については、第十一次道路整備五箇年計画の案では国道二十六号第二阪和国道に接続が計画をされており、京奈和自動車道の西への延伸、いわゆる紀淡連絡道路と接続をして本四連絡道路に至る大阪湾環状道路が必要とされております。
 今後、この事業の具体化に向け、積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) 水産振興対策の、和歌山、徳島両県の海面における県境問題についてお答えを申し上げます。
 紀伊水道における和歌山と徳島の海面の境界線の問題でございますが、両県の主張は平行線をたどっており、結論は出ていないのが現状でございます。
 徳島県は旧漁業法により認められていた専用漁業権の海域線をもって境界線と主張しているのに対しまして、本県は、専用漁業権は昭和二十四年に廃止をされており、したがって本県漁船の過去からの操業実績を勘案しながら新たに境界線を設定すべきであると主張してございます。
 第二の慣行線についてでございますが、一般的に言われているのは旧漁業法の専用漁業権の海域線を指しておりまして、瀬戸内海区における慣行線については議員お話しのとおりでございます。また法的には、旧漁業法での規定でありますので、現在の漁業法では明確に規定はされてございません。
 第三の、検挙に関する問題でございます。現在、両県の境界線は確定しておりませんが、許可漁業等においては知事の行政権の及ぶ範囲内で一定の線を設け、漁業の取り締まりを行ってございます。
 第四の徳島県との話し合いの状況でございますが、両県間で境界線の主張が異なるため、いまだ合意に至っておりません。しかし、操業上のトラブルを避けるために両県の海区漁業調整委員会の相互の理解を深めるよう、定期的に協議会を開催してございます。
 第五につきましては、両県知事の間で文書の交換はいたしてございません。
 いずれにいたしましても、県境問題は両県の長い間の懸案であり、県益につながる重要な問題でございます。今後とも、海区漁業調整委員会と協議をしながら対応してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 民生部長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 国連・障害者の十年の成果と今後の課題についてお答えをいたします。
 国連・障害者の十年における本県の障害者対策につきましては、昭和五十六年の国際障害者年を契機として、昭和五十七年に障害者にかかる和歌山県長期行動計画を策定し、県政の重点課題として明確な位置づけを行うとともに、県民を初め関係団体の協力を得ながら、市町村との密接な連携のもとに総合的かつ体系的な施策の推進に努めてまいりました。こうした全県的な取り組みの結果、障害者福祉の目覚ましい充実が図られてまいりました。
 とりわけ、施設整備につきましては、県立施設の整備を図る一方、民間法人にも協力を得て進めてまいりました結果、この十年間に身体障害関係施設が八カ所、精神薄弱関係施設が十七カ所の施設の整備が図られたところでございます。
 さらに、生活環境につきましても、障害者の住みよい生活環境整備指針に基づいて強力な推進を行ってきた結果、身体障害者に配慮した車いす用トイレを初め、スロープや自動ドア等を整備する施設が増加するなど、本県における障害者福祉の増進にとって極めて意義深い十年であったと考えております。しかしながら、近年、障害者の増加とともに高齢化や重複化が進み、さらにそのニーズも多様化している中で、新たな視点に立った障害者対策を講じなければならない課題が生じてございます。
 県といたしましても、この十年の実績を点検評価するとともに、課題を明らかにすることはもちろん、現在進めている身体障害者実態調査による調査結果を踏まえ、県心身障害者対策協議会のご意見も伺いながら、長期的展望に立ったきめ細かい施策の充実をより積極的に図ってまいる所存でございます。
 次に、精神薄弱者更生施設の入所者の高齢化対策でございますが、精神薄弱者の場合、健常者に比してはるかに早く老化している現状を考えるとき、入所者の高齢化対策は今後の極めて重要な課題であると認識いたしているところでございます。
 また、心身障害児対策についてでありますが、議員ご指摘のとおり、早期発見を含む治療などの医療の側面と相談や指導などの福祉の側面、教育の機能など、関係する機関の有機的な連携が最も大切なことであると考えてございます。したがいまして、今後ともこうした関係機関との連携をさらに密にし、総合的な心身障害児対策に対処してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 警察本部長中長昌一君。
 〔中長昌一君、登壇〕
○警察本部長(中長昌一君) 密航の防止対策につきまして、木下議員にお答えをいたします。
 本年に入り、全国の太平洋沿岸で集団密入国事件が頻発をしておりまして、和歌山県においても五月十日に古座町鬼宿海岸で、また六月二十七日に田辺市扇ケ浜で中国人の集団密入国事件が発生し、合わせて四十六人を検挙したところであります。
 延々六百キロメートルに及ぶ複雑な海岸線と三つの開港場を有する和歌山県の地理的条件を考えますと、今後ともこの種事件の発生が予測されますので、こうした事件の教訓を生かし、事件の再発防止と水際での検挙を図るため、現在、海上保安庁、入管、税関などの関係機関との連携を図りながら、特に夜間における海岸線を重点に沿岸の警戒警備の強化に努めているところでありますが、議員ご指摘のとおり、船舶、漁業関係者並びに沿岸住民の方々の幅広いご協力をいただくことが何よりも重要であると考えているところであります。このため、現在、沿岸を管轄する各警察署において、これらの方々のご協力を得ながら沿岸防犯連絡会をつくるなど、沿岸の警戒警備体制の強化に努めているところであります。
 沿岸地域の方々の今後ともなお一層のご支援、ご協力をお願い申し上げる次第であります。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 6番木下秀男君。
○木下秀男君 丁重なご答弁をいただきましたが、知事にお伺いいたします。
 まず一点、今、県警本部長が「地域沿岸住民のご協力を」と言われました。これは当然のことでございますが、私が質問し本部長が答えたことに対して県としてどのようにお考えか、どんな取り組みをしようとお考えか。お考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
 もう一点、知事の今後の行動についてでございますが、先ほど申し上げましたように、知事は隅から隅まで知り尽くしておると思います。テレビの水戸黄門のようにしろというのではございませんけれども、これから、南の方だけとは申しませんが、特に過疎に悩んでいる地域を自分の目で確かめ、自分の耳で聞くような──県庁の出先や市町村長の集まったところへ行って聞くのではなくて水戸黄門が回ったような形で、自分でその現地を確かめる中で県政に反映していくというようなお取り組みをいただきたいと思いますが、知事のお考え、いかがでございますか。
○議長(馬頭哲弥君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下秀男議員にお答え申し上げます。
 まず、密航についての警備の問題について。先ほど本部長から答弁申し上げましたように、そうした警察の警備と相まって、漁業組合とも十分連絡し、また市町村とも連絡し合って警備について十分の配慮をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
 それから、過疎地域の状況等について知事ももう少し調査せよ、目で見てこいということでございます。お教えのとおり、そうした点を遵守してまいりたいと思っております。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問はありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 以上で、木下秀男君の質問が終了いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番浜本 収君。
  〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 新南紀白浜空港の県道トンネル工事、東京佐川急便事件を通じての現実の政治についての知事の見解、暴対法推進と警察の行政、さらには教育問題、特に定数内講師の問題、以上四点について質問をいたします。
 新南紀白浜空港の県道トンネル工事の現場には、「工事名 県道白浜紀伊富田停車場線(仮称・新鴨居トンネル)工事 発注者 和歌山県 施工者 飛島・大末建設共同企業」と横文字で大きく書かれた看板が、つい九月ごろまでかけられてございました。
 既にご承知のように、十月二十六日の読売新聞の記事によれば、「ずさんトンネル工事 検査院指摘 貫通後修復 コンクリの厚さ不足 和歌山の県道」の見出しで、以下、次の指摘がなされたところであります。
 「白浜町鴨居で建設中の新南紀白浜空港の県道トンネル工事で、設計ミスから百二十七か所でコンクリートの厚さが不足している施工不良が会計検査院のチェックで見つかり、県が約三か月かけて修復させていたことが二十六日にわかった。 トンネル(長さ四百九十九メートル、幅十メートル、高さ七・三五メートル)は、滑走路の下を北東から南西に横切る県道白浜紀伊富田停車線の付け替え道路。国の補助をうけ総事業費十七億四千五百万円で平成二年一月から建設、来年一月に完成予定する。 不良施工が見つかったのはトンネル中央で、強度を保つため鉄筋(直径十六ミリ)を入れ、内側から厚さ十センチ以上のコンクリートで覆う設計だった。 ところが、会計検査院が貫通後の五月に五百四十か所を掘削調査したところ、鉄筋を覆うコンクリートの厚さが一・五センチしかないなど、十センチ以下のところが七十七メートル区間で百二十七か所も見つかった。 このため、検査院は『建設地は海に近く、鉄筋を覆うコンクリートが薄いと早期腐食の原因になる』と改善を指導した」、そこで県は「企業体に二千五百万円を負担させ、八月までに修復を終えた」とあります。
 以上の記事──この記事が正確であるかどうかということも含め、そういった概要に立って次の質問をいたします。
 一つ目、もし国の会計検査院の指摘がなかったらこの工事はそのまま素通りしていたと判断されるが、県自身の検査ないし監督はどうであったのか。また、県の検査体制はどうなっているのか。
 二つ目、共同企業体に二千五百万円を負担させ、八月末までに修復を終えたとするこの措置は当然のことではあるが、この工事そのものについての検査は県でその後行っているのかどうか。また、共同企業体へのペナルティーはどうなっているのか。そのまま見過ごしていくつもりなのか。
 三つ目、本件については、県議会、特に建設委員会にどのような報告が行われているのか。ただいまのところ、私の知っている範囲では、建設委員会には何ら報告がされていないと聞いてございます。また、県土木部はそのコメントの中で、「県の監督が不十分だったのと、業者の施工に原因があった。早く見つかったのが不幸中の幸いで、今後はこういうことがないよう十分、注意したい」と述べているが、「早く見つかったのが不幸中の幸い」とするこのくだりは、私には到底いただけない。早く見つかったのでせめてよかった、不幸中の幸いだなどということは外に向かって言う言葉ではないと私は思うのであります。土木部長の答弁をあわせて求めます。また、本件についての知事の所見を伺うものであります。
 東京佐川急便事件を通じて現実の政治についての知事の見解を伺います。
 九月県議会の最終日、私が提案した「佐川急便疑惑の徹底解明と政治倫理の確立に関する意見書」は、本会議において、趣旨説明五分、採決三秒と、あっけなく否決されたが、政治はまさに生き物であります。社会、共産の五名にしか満たなかったけれども、その後の本件についての全国的な動きは、我々五名が指摘したように、まさに燎原の火のごとく日本列島全土に政治不信となって拡大しつつあります。
 ご承知のように、県内各市町村議会においても本件に関する意見書や決議文が続出しているところであるが、ただいまのところ市議会の関係では、海南市、橋本市、田辺市、新宮市、有田市、和歌山市──余すところ一カ所、御坊市であります。また町村議会でのそれは、岩出町、湯浅町、由良町、美浜町、中津村、龍神村、南部川村、上富田町、串本町、大塔村、古座川町、本宮町、那智勝浦町で、この十二月の各市町村議会においても引き続き多くの決議や意見書が出されることが予想されるが、これらの意見書と決議文はいずれも「佐川急便疑惑」、「金丸前代議士」、「竹下元総理」、「暴力団」等々を明記した上での真相解明と政治倫理の確立を求めるものであります。
 このような県下各市町村議会の一連の動きと政治に対する信頼回復、政治改革を強く求める正当な国民の声は、まさに古い永田町政治への批判でもあり、対決でもあります。このことについて知事はどのような判断をし、認識をされているのか。この際、ぜひ県民に明らかにされたいのであります。
 次に、いわゆる暴対法と本問題について警察本部長にただします。
 前段でも述べたように、さきの意見書の提案に当たり、私は田辺市における官民百十団体、六百名参加の暴力団追放の決起集会のことを引用しましたが、平成四年三月から施行されたこの暴対法の解説や啓発活動に県警察は鋭意取り組んでいるところであります。
 また、去る十一月二十日、中長県警察本部長は県下警察署長会議において、「年末の多忙な時期を迎えるが、ことしの業務の総仕上げに向けて一層の努力をするよう」と訓示し、当面の業務推進上の重要課題として特に暴力団対策の強化徹底を指示したところであります。
 さらに、去る九月九日に和歌山市民会館ホールで開催された第一回暴力団追放県民・市民大会では、「『暴力団を恐れない 暴力団に金を出さない 暴力団を利用しない』の暴力追放三ない運動を展開し、暴力のない、平和で明るく住みよい和歌山県の実現に寄与する」として、大会宣言を採択したところであります。
 そこで、まず平成四年三月から開始した財団法人県暴力団追放県民センターの経過とその活動状況をこの機会に明らかにされたいのであります。
 二つ目には、先ほど述べた暴力団追放三ない運動とは逆に、「暴力団を恐れ、暴力団に金を出し、暴力団を利用する」という批判の中で政権が誕生したとして疑惑を招いているこの国の政治の現実は、暴対法に積極的に取り組んでいる警察行政とは全く相入れないものであると私は思うが、この際、警察本部長の見解を求めるものであります。
 最後に教育問題、特に定数内講師の問題について教育長に質問をいたします。
 条例定数による県内教職員一万一千四百九十四人中、いわゆる定数内講師は百八十一名であります。そのうち、小学校の定数内講師は七十七名、中学校は六十一名、高校二十五名、盲聾養護学校十八名、計百八十一名であります。これら百八十一名の教員は県下の各学校に配置され、一般教職員と何ら変わることなく児童生徒の教育に専念しているところであるが、このうち小中学校への配置状況を地方別に見れば、次のとおりであります。
 和歌山市十名、伊都三十三名、那賀二十名、海草六名、有田八名、日高八名、東牟婁十一名、西牟婁四十二名であります。この数字が示しているように、小中学校の定数内講師百三十八名中、田辺・西牟婁地方に配置されている講師は四十二名であり、定数内講師の全体の三〇%で第一位を占めております。続いて伊都地方三十三名の二四%、第二位であります。
 このような状況に立って、次の諸点をただすものであります。
 一つ目、この田辺・西牟婁地方の四十二名という高い配置の根拠とその理由、また県下郡市間の配置人員のアンバランスの理由、さらに、この中には校長、教頭以外の三名の教員が定数内講師といった僻地の小学校もあるが、教育上、また学校運営上、問題はないのか。私は問題ありと認識をするがゆえに、問題はないのか、まずお答え願いたいのであります。
 二つ目、定数内講師の中には、昭和五十六年から既に十一年五カ月もの間、田辺・西牟婁管内の小中学校十六校を不合格のまま転々と勤務されている方がいます。この方は立派な教員で、地域の父母、子供たちの信頼を集め、地方教育委員会も、またそれを認めているところであります。何年も勤務を重ね、テストの繰り返しを行っているうちに、この教員と同じように採用試験の年齢制限を受けた教員もいるが、県教育委員会は、県下学校全体の教育運営が成り立たないため、これらの教員が必要であるとしてそういう制度を設け、教育の一翼を担ってもらっているわけであります。
 ここで私は、昨年の九月県議会における馬頭議員と西川教育長の質疑応答を、お許しを得て紹介し、以下質問を続けます。
 質疑応答は、次のとおりであります。馬頭議員、「長い人は、何年も一筋に精励してくださっている。その熱意も技能も人柄も、まことに敬服のほかなしというような講師先生が多くおられます。しかし、そういう人が、一枚のペーパーテストで先生になれない、合格しないということで、ずっと講師に甘んじていなければならない。五回、六回と試験に挑戦をする粘り強い人もおります。しかし皮肉なことに、朝から夕方暗くなるまで一生懸命頑張って勤める先生ほど試験に受かりにくい。当たり前であります。今は試験のテクニックが大変要求される時代でありますけれども、勉強に打ち込むことができないから試験が受かる道理がないのであります。それだけ教育現場で一生懸命打ち込んでいるということです。こういう人たちは、正規の教員としての資格は持たないけれども、生徒に慕われ、父兄に敬愛される立派な先生であります。教育委員会は、これらの人たちの貢献度をどう評価してくれているのであろうか。一定の勤務評価に基づいてこうした人材に道を開く考えはないか」。教育長、「こうした補充講師の中には、教育愛に燃え、熱心に指導いただいている方々が多くございます。このため、教員採用選考検査については、ペーパーテストのみによることなく、面接検査を従前の一回から集団面接、個別面接の二回に増加いたしました。また、実技検査をも拡充することによって、人間性豊かで使命感にあふれ、実践力のある人材が確保できるよう年々改善を加えているところでございます。近年、児童生徒数の減少に伴い採用者数が減少いたしておりますが、教員採用検査の合格者の大半は講師経験者でございまして、その体験が生かされているものと考えてございます。今後はさらに検査方法を工夫し、優秀な人材が確保できるよう努力いたしてまいる所存でございます」。
 この質疑応答の内容を踏まえた上で、昨年と本年の教員の採用状況、特にこの面に焦点を当てて答えられたいのであります。
 三つ目、商工労働部長に質問をいたしますが、県は商工労働部を中心に、この夏、八月十三日にきのくに人材Uターンフェアを行い、県内の参加企業五十九社とともに人材を求めたところ、千五百二十四人が面接に応じ、うち内定者八十五名、また東京、大阪のそれぞれの事務所においてもきのくに人材Uターン事業を行っているところであります。
 西牟婁郡内のある学校で三年間講師をされていた教員は、三年目の採用試験も前年同様B合格だったが、同じ年、北海道の教員採用試験を受けたところ、これもB合格であった。ところが、北海道ではB合格は正式教員になれるため、今、その人は北海道で教鞭をとっている事例があります。もう少し詳しく言うならば、彼は西牟婁郡で生まれたものの、この地で教育者としての道を歩むことを和歌山県は許さなかったのであります。そして今、北海道にいて、すぐれた教員として生活をしてございます。知事のおひざ元の串本町の人であります。
 私は、こういった教員にUターンの呼びかけをせよと言っているのではない。この四月、西牟婁郡内の小学校に講師として赴任された若い教員は、一カ月後の五月にさっさと教員をやめて紀北に帰った例もあると言う。できるものなら県内の出身地域を中心に教員ができたらと思うのは、私一人だけではないと思う。
 ふるさとの学校、その学校を包む村や町には年一度のお祭りが必ずある。そのお祭りのみこしを担いで、「ワッショイ、ワッショイ」と、子供たちが祭りを盛り上げる。そんなお祭りに鉢巻きをした多くの先生も一緒に参加する。どこにでもある、こんなありふれたように思える風景の中に、私は教育のすばらしさを発見することがある。過疎対策、若者定着といった視点からも、またゆとり、豊かさを求めるという時代の流れからも人事行政を見直し、その中で定数内講師のあり方、特に経験年数と教育実践力の評価等を踏まえ、いま一度検討を求めて質問といたします。
 以上で終わります。ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
 新南紀白浜空港の県道トンネル工事に関しまして、お話のように会計検査院から指摘を受けたのでございまして、このことについてはまことに遺憾に存じておるわけでございます。今後、かかる事態が生じないように、職員に対する研修並びに建設業者に対しても指導してまいりたいと存じておるところでございます。
 お話ございました検査体制、また共同企業体へのペナルティーの問題等につきましては、土木部長から答弁させていただきます。
 次に、佐川問題に対する見解でございます。
 県議会初め県下各市町村議会において多くの意見書が提出されておりますように、東京佐川問題をきっかけとして国民の政治に対する不信感が一段と増幅したことは事実であり、非常に残念なことでございます。私も政治に携わる者の一人として、政治に対する倫理観の確立、抜本的な政治改革を求める国民の声の重大さを強く認識するとともに、県民の信頼にこたえられる、公正で清潔な政治を継続してまいりたいと考えております。
 また、現在、国会において緊急政治改革案が審議中でございますけれども、国民の納得が得られる、実効のある抜本的な政治改革が早急になし遂げられることを期待している次第でございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 新南紀白浜空港の県道トンネル工事についてお答え申し上げます。
 まず、最初の新聞記事についてでございますが、この南紀白浜空港整備事業につきまして、本年五月、会計検査院による実地検査が行われました。新聞報道された県道つけかえトンネル工事は平成元年度から平成四年度にわたる四カ年の継続工事で、今回の検査は平成元年度から平成三年度の三カ年分が対象となっております。
 検査内容は、トンネル工事の覆工コンクリートの一部で鉄筋のかぶりが設計と相違しているとの指摘を受けたものであります。この原因は、鉄筋の組み立て時に固定アンカーの結合が十分でなかったこと、さらにコンクリート打設の際、組み立てた鉄筋がその重量により変形したものと思料をされます。このような事態を生じたことについてはまことに遺憾であり、深く反省をしているところでございます。
 県の検査体制につきましては、県工事検査規程に基づき、技術管理室に所属する検査員が主体となって実施をしております。本件に関する検査は、目視できるところは長さ、幅等の寸法を測定し、目視できない鉄筋等は工事写真等で確認をしたわけでございます。また監督については、鉄筋を組み立てた後に設計図書と適合しているかということを確認し、写真撮影後、コンクリートの打設を指示いたしておるところでございます。
 共同企業体へのペナルティーでございますが、まず去る十一月二十六日に警告書による厳重注意を行っております。また、今後、会計検査院の審議結果を見て、県建設工事等契約に係る指名停止等の措置要綱に基づいて適切な措置を行ってまいる所存でございます。
 なお、請負業者の責任において既に手直し工事を完了しておりますが、その確認検査についても県の検査員が実施をいたしております。
 建設委員会に対する報告につきましては、会計検査院で現在審議中でございますが、今回の委員会で途中経過を説明させていただきたいものと考えております。
 また、新聞でのコメントにつきましては、既にトンネルを供用していた場合のことも考え合わせた発言でございます。その点、あわせてご理解をいただきたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 警察本部長中長昌一君。
 〔中長昌一君、登壇〕
○警察本部長(中長昌一君) 暴力団対策についての浜本議員のご質問にお答え申し上げます。
 まず、財団法人和歌山県暴力団追放県民センターの経過とその活動状況についてでありますが、この暴追センターは暴力団追放運動の中核として本年四月に公益法人として設立をされ、五月から業務を開始いたしました。
 暴追センターの主な業務内容でありますが、暴力団に関する相談の受理、暴力団の被害防止のための広報啓発活動、少年を暴力団から守るための活動等であります。
 まず相談受理活動につきましては、弁護士、少年指導委員、保護司など二十四名の方々を暴力追放相談委員に委嘱して業務の充実を図っているほか、相談窓口も、暴追センターだけでなく、和歌山市内の百貨店を初め、田辺市、新宮市などにおいても定期的に相談所を開設し、県民の皆様のニーズに対応しているところであります。
 なお、これまで暴追センターに寄せられた暴力団に関する相談は、およそ六十件であります。
 相談内容について若干の事例をご紹介いたしますと、二年くらい前から暴力団に加入をしていた少年二人が、やくざが嫌になった、足を洗いたいと相談に来ましたので、暴力団から脱退するための指導助言を行って二人を組から離脱させたところ、現在では両名とも工員としてまじめに働いていると聞いております。
 このほか、ある会社員から女性問題で暴力団員に因縁をつけられて困っているとの相談がありましたが、この件については警察で引き継ぎを受けて、その暴力団組員を恐喝未遂で逮捕いたしております。
 また、広報啓発活動につきましては、ポスター、パンフレット、暴力団追放ステッカー等を作成・配布しているほか、各地域、職域の皆さん方のご協力を得て暴力団追放県民・市民大会を開催するなど、県民の暴力団排除意識高揚のため広報啓発活動を推進しております。
 警察といたしましては、今後とも事業内容に創意工夫を凝らし、最大の効果が上げられるよう暴追センターを指導し、また協力・援助してまいる所存であります。
 次に、暴力団対策に取り組む基本姿勢についてであります。
 暴力団の追放は県民総ぐるみで取り組まなければならない重要な課題でありますが、さきに議員からご指摘ありました三原則、「暴力団を恐れない 暴力団に金を出さない 暴力団を利用しない」という暴力追放の三大原則は暴力団排除活動を進める上で非常に重要な基本原則であると認識をしておりまして、このことについては機会あるごとに県民の皆さん方にも強く訴えているところであります。
 したがいまして、一般論ではありますが、政治家であれ、いかなる人であれ、仮にも暴力団を利用したりすることは、ただいま申し上げた暴力団対策の基本原則に反するものであり、あってはならないことと認識をしております。
 警察といたしましては、県民の暴力団排除機運が高まりつつある今こそ、暴力団に対してあらゆる面からの取り締まり活動を徹底し、暴力団の壊滅を目指していく所存であります。
○議長(馬頭哲弥君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 定数内講師と教育問題についてお答えいたします。
 議員ご質問の、いわゆる定数内講師の配置に地域的不均衡が生じていることにつきましては、児童生徒数減に伴う教員の定数減や郡市間交流及び校種間の人事交流、さらには教科の専門性とのかかわり等により生じてきているものでございます。特に西牟婁地方では、この地域から紀北地方の小中学校や県立学校への異動が当初の計画より多くなったこと、また学校の統合等が見込まれたためでもございます。こうした状況につきましては、今後の人事異動において、でき得る限り是正に努めてまいりたいと考えてございます。
 また、講師の多くは、それぞれの学校において情熱を持って教育に携わっていただいておりますが、配置に当たっては、今後、小規模校等に偏ることのないよう十分配慮いたしてまいります。
 次に教員採用についてでございますが、現在は児童生徒の減少に伴い採用数が少なくなってきていますので、志願者の中の講師を経験した人だけでも募集人数の数倍に達するのが実情でございます。
 採用検査に当たっては、人間性豊かで、教育への情熱と使命感、実践力を兼ね備え、さらには地域に溶け込み、地域とのかかわりを大切にできる人材がより多く得られるよう面接検査を二度にわたって行うとともに実技検査を実施するなど、検査内容に工夫改善を加えてきているところでございます。
 こうした中で、合格者に占める講師経験者の割合は非常に高くなってきており、昨年は約七〇%、本年度はさらに七五%程度に拡大する見込みであり、講師の体験が生かされているものと考えてございます。
 今後とも、採用検査に当たっては、真に本県教育の将来を担うに足る人材が確保できるよう一層の工夫改善を加えてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番浜本 収君。
○浜本 収君 土木部長の答弁でございますが、先ほども申し上げましたように、よく一般的に、例えば他人が交通事故に遭った場合など、病院で「せめて命あってよかったのう」とか、そういうことを言うたりすることがあるけれども、県の行政に携わる人々が、聞かれたからと言って「早く見つかったのが不幸中の幸いや」ということを平然と言う心臓が私にはわからない。「早く見つかったのでよかった」というのは、「死ななんでよかったよ」というような言い方とあんまり変わらない。
 そのコメントを読んでみると、そのときは、「県の監督が不十分だったのと、業者の施工に原因があった。この点についてはどう言われてもいたし方ございません」ということでコメントに応じるべきである。それをまだつけ加えて、「早く見つかったのが不幸中の幸いで、今後はこういうことがないように十分、注意したい」と、こういう言葉は不要である。しかし、それでも答弁は、トンネルを供用していた場合のことを考えたもので、私に理解せよと。理解せよと言われても、私は理解することができません。それは、あるいは人生観の相違かもわからん。わかりませんけれども、理解することができません。それが一つ。
 それから建設委員会への報告ですけれども、私は、行政を行う者は当局と議会との関係を大変大切に──最もとは言わないけど、非常に重要な問題として考えるべきだと思います。それをわかっていても、東京では既に新聞に出ている。そして、私は白浜におる関係もあるのかどうか知りませんけれども、十人ほどの方から、中にはご丁寧にこんなの出てあると、その新聞を私のところへ持ってきてくれた人が二人もおるわけです。この言い方は場合によって取り消さなければならないけれども、「あれら──県の人らということです──皆こうなんかの。トンネルをそこらでつくっているけど、皆こんな手抜き工事を──新聞を読むと手抜き工事みたいな受け取り方をするわけです──してあるんかの。こんなん、何なよ」と雑談的に、あるいはまた直接言いに来た人がございます。
 建設委員会というのは、会期から会期までの間に開いても、付託しているからいいのであります。二千五百万円ですか、やり直させたということが新聞に出ている。しかも、事の内容はどうあれ、国の会計検査院にチェックされたということが載っている。それを建設委員のどなたにも──この間、私が聞いたら、委員長にはしたみたいな話はしておりましたけれども。しかし、少なくとも建設委員会の委員に対して、「こういうことがあったんだけど、ただいまは中間報告しかできないので、こうなっておるんだが」ということの中間報告のような形ででも──どういう形であれ、視察に行った夕方のおぜんの前で、「ちょっとおぜんの前で失礼ですが、こういうことがありました」ということの報告も兼ねてすべきであると私は思う。私は、そう思う。そういう議会との関係をもっと重要な問題としてとらえるべきである。
 ただいま、十二月の建設委員会でするんやとの答弁がありました。十二月の建設委員会で当然するだろう。するだろうけど、本会議で既に質問をされておる。それ以前に、やっぱりこういう問題はきちっとすべきだ。そうすると浜本の質問もなかったであろうということで、あわせて答弁を求めます。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 最初の「不幸中の幸い」というコメントについてでございますが、その前後にどういうやりとりがあったかということは定かでございません。いずれにいたしましても、誤解を受けるような発言であるというご指摘でございます。
 ただ、恐らく、先ほど申しましたように、供用を開始する前に手が打てたという、工事担当者としての気持ちというのがついすっと出てしまったのではないかと考えられますけれども、いずれにしても、そういうご指摘でございます。今後、慎重な対応をしてまいりたいと思っております。
 それから、二点目の委員会への報告でございます。
 今回のことを教訓といたしまして、より行政対応について心がけをしてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問はありませんか。
 〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(馬頭哲弥君) 以上で、浜本収君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十五分休憩
 ──────────────────
 午後一時三分再開
○副議長(大江康弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(大江康弘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番森 正樹君。
 〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 ただいま議長から質問を許されましたので、一般質問をさせていただきます。
 初めに、関西国際空港に関する諸問題についてお尋ねをいたします。
 まず全体構想についてでございますが、近年、「国際貢献」という言葉が広く喧伝されるようになりました。すなわち、GNP世界第二位の経済大国日本に対して、国際社会の中で果たすべき応分の責任分担を求める声が世界各国から起こってきているのでございます。米以外にこれといって一〇〇%国内で産出することのない無資源国日本は、例えば一次エネルギーの海外依存度という数字で見てまいりますと九〇・一%で、世界の主要四十カ国の中で第一位であることを見ても明らかでございます。そのような日本は、東南アジアを初めとして南北アメリカ、アフリカ、ヨーロッパ、豪州等、世界の大多数の国々との貿易によって利潤を上げ、世界有数の経済大国に発展してまいりました。
 今、世界が日本に求めているのは経済大国にふさわしい国際の場での貢献であり、積極的なかかわりであります。PKO平和協力やODAがまさにそれであり、今後ますます我が国の国際社会への積極的な参加を望む声が強くなってくるものと思われます。一方ではまた世界じゅうで、我が国が貿易による経済的利潤の追求に偏り、先進国にふさわしい社会資本の整備に力を入れていないことに対する不満の声が強くなってまいりました。
 日米構造協議の席上、アメリカ合衆国が我が国に対して要求していた項目のうちに、今後十年間で四百三十兆円の公共事業を実施するというのがございますが、まさにこれこそ、図らずも先進国、経済大国にふさわしい社会基盤の確立を忘れていたことを指摘された形となったのであります。残念ながら、アメリカを先頭にした諸外国からの指摘は当たっていると言わざるを得ません。経済大国にふさわしいゆとりと豊かさを国民一人一人が享受しているとは言えないからであります。
 本論に戻りますが、我が国の表玄関とも言うべき国際空港一つをとっても、夜間の離着陸を大きく制限された欠陥空港しか持っていないのであります。世界のほとんどすべての国際空港が二十四時間運用のハブ空港として機能しており、また国際便、国内便が結節するいわゆるスーパーハブ空港であるわけでございます。
 そうした中で、新東京国際空港、大阪国際空港とも、世界の主要空港の中で設備の充足度、快適度、利便性など、すべての面でおくれをとり、航空関係者や利用者から欠陥の烙印を押されているのであります。このことへの反省から関西国際空港計画が生まれてきたことは、ご承知のとおりでございます。我が国がアジアのリーダーとして、それにふさわしいスーパーハブ空港を持つことは世界に対する日本の責任であり、一日も早い関西国際空港全体構想の実現は国際公約、国際的責任を果たすことにもつながるのであります。
 ところで、最近、アジアの各地で新しい時代に対応するスーパーハブ空港を建設する動きが具体化してまいりました。新ソウル空港、新香港空港等がそれであります。韓国は、仁川沖の二つの島の間を埋め立て、三千ヘクタールを超える大海上空港を計画しております。これは滑走路四本の空港になると言われておりまして、アジアのスーパーハブ空港を目指していることは明白でございます。しかも、韓国の大韓航空、アシアナ航空は、現在、我が国の東京、大阪、名古屋、福岡、新千歳はもちろん、仙台、新潟、岡山、広島、熊本、那覇等々、我が国の十五空港と路線を開設しておりまして、今後さらにこれがふえることも予測されます。
 我が国の航空需要の大きさと国際空港の欠陥度、それに関西国際空港の全体構想が遅々として実現化しないという現実を見据えまして、韓国は明らかに国策としてアジアのスーパーハブ空港づくりを進め、アジアにおける主導権を握ろうとしていることが考えられるわけでございます。
 かつて、ソウル─新潟線を開設するに当たり、大韓航空の日本担当者は周囲の採算性を疑問視する声に対して、日本のお客さんを韓国へ迎えるだけではなくて世界へお運びするんだと豪語したと聞いております。まさにソウルの金浦空港がアジアのスーパーハブ空港たり得ることを強い自信を持って表明した言葉と、印象的に聞いた次第でございます。
 一方、香港新空港の場合は、現在、香港政庁と中国政府の間で若干の意見の食い違いがあってぎくしゃくとしているように報道されておりますけれども、既に日本の大手企業と香港の地元企業とのジョイントベンチャーによって建設に着手されたようでございます。聞くところによりますと、加太の関西国際空港土取り工事に使用された超大型機材が香港新空港工事用に使用されるために発送が始まったということであります。
 また、シンガポールのチャンギ空港も機能の拡大充実を目指して整備が進められているわけでございますが、これら関西国際空港の競争相手となる空港は、いずれも一九九〇年代後半の完成を目指して急ピッチで工事に着手し、片や関西国際空港は、スーパーハブ空港の最低条件である全体構想の実現に向けてスタート台につく前にごたごたと今もめている段階であります。このような現状で果たしてアジアのスーパーハブ空港たり得るのか甚だ疑問であり、大きな危惧を抱くものでございます。
 用地買収や漁業補償にほとんど手間の要らない韓国新ソウル空港、香港新空港、シンガポール・チャンギ空港という名の三人のランナーは、既にスタート台をけって走り出しました。一方、関西国際空港という名のランナーは、スタート台の前で出資の分担などをめぐって運輸省という名のコーチともめている最中であります。一体いつになったらスタートするのでありましょうか。関西国際空港全体構想は、今るる申し上げたようなさまざまな観点から、我が国の威信をかけて一日も早く実現しなければならない命題なのでございます。
 そこで、お尋ねいたします。
 最近、全体構想の実現に対する関西全体の熱が少し冷えていることを危ぶむ声も聞かれるわけでございますが、知事、あなたは、第一に全体構想をめぐる情勢をどのように把握しておられるのか。第二に、全体構想の実現を難しくし、トーンダウンを招いている原因は一体何なのか。第三に、今後、全体構想実現に向けてどのような取り組みをしていくおつもりであるのか。お答えをいただきたいと思います。
 第二点、関西国際空港の国内便の大幅確保についてでございます。
 最近の報道によりますと、関西国際空港と大阪空港との間の国内便の割り振りをめぐり、運輸省と航空各社との話し合いが始まったと伝えられました。先ほど木下秀男議員のご質問にもございましたので、簡単に申し上げたいと思います。また、大阪府が航空会社等に対して行ったアンケート調査の結果も公表されました。これらの数値を見ておりますと、関西国際空港への国際線については運輸省の当初目標をオーバーする乗り入れ希望があったと言われておりますけれども、一方の国内線については当初の目標を大きく下回る希望が寄せられただけだと、そのように伝え聞いております。
 そこで、知事並びに所管部長にお尋ねをいたします。
 第一に、これらの報道やアンケート調査の数値について、国内便の大幅確保は厳しいものがあると考えられますけれども、実情はいかがでございましょうか。また、どのようにそれを分析しておられるのか。
 第二に、関西国際空港における国内便の確保を困難にしている原因が種々考えられると思いますけれども、それは何なのか。
 第三に、和歌山にとって、また関西全体にとって、ひいては我が国にとって国内便の大幅確保は何が何でも実現しなければならない命題でありますし、それが関西国際空港のスーパーハブ空港としてのグレードアップにもつながると思います。今後、その実現に向けてどのようなスケジュールでどう行動され、どう対応されようとするのか、そのお考えをお聞きしたいと思います。
 第三点、交通アクセス問題についてお尋ねいたします。
 関西国際空港は、多重アクセスが売り物の一つとなっております。これは関西国際空港から見て近畿北部、すなわち大阪市等の方から見た場合でありまして、本県を初め四国東部や奈良南部、三重県など、南部側から見た視点ではございません。本県からの交通アクセスという点ではまだまだ多くの課題を残しているのであります。
 第一は、鉄道アクセスについてでございます。JR、南海とも、空港連絡線とつなぐホームの形状が和歌山側から見るとスイッチバック式となり、使い勝手の面でまことにぐあいが悪いということ。第二は、和歌山からの直行便の運行について、JR、南海ともに採算性を盾に渋っているということ。第三に、大阪側から一時間に五、六便の直行便が運行される計画と聞いておりますけれども、それによって、例えば特急くろしおなどの在来便が大幅に減便されるのではないかというおそれがあるという点。第四として南ルートの問題でありますが、和歌山県を中心として近畿南部や四国東部の強い要望であり、これが実現するならば、今までに申し上げた幾つかの懸案事項の解消にもつながるわけでございます。その実現までには越えなければならないハードルがたくさん横たわっておりますけれども、我々百八万県民の悲願でもございますし、何としても実現をしなければならないと思います。以上四点について関係部長の明快なご答弁を賜りたいと思います。
 次に、「ウエルネス WAKAYAMA 世界リゾート博」についてお尋ねをいたします。
 ある報道によりますと、今は一日に一つのイベントが生まれる時代だと聞いておりますが、本県が県勢の浮揚を目指して、日本国内のみならず世界にアピールしていくまたとない絶好の機会であることは論をまちません。長らく低迷し続けてきた県勢の活性化は百八万県民のひとしく願うところであり、このリゾート博が県勢浮揚に向かう転換点になるものと確信をいたしております。したがって、そうした意味でリゾート博は是が非でも成功させなければなりませんし、失敗は許されないわけであります。官民一体となり、総力を挙げて取り組んでいく必要があろうかと存じます。
 ここ数年、いわゆるバブル経済がはじけたことによるリゾート熱の鎮静から、一部にリゾート博の成功を危ぶむ声があったり、またリゾートに対するいろんな考え方が伝えられておりますけれども、私は逆にこのバブル経済崩壊により、これまでブロイラーのように無理やり太らされたぜい肉部分がそぎ落とされ、本当の意味で身の締まった経済に支えられたリゾートが今後は定着していくのではないか、一時の流行ではない本物のリゾートが定着していくと、ある意味ではそのように楽観している者の一人でございます。
 一時の流行が去り、現実を見据えつつ着実な経済発展を目指していく中で、真に豊かさとゆとりを国民一人一人が体感できるような余暇時間の過ごし方、リゾートライフのあり方がこれから模索されていくことでありましょう。その意味でも、平成六年夏に行われる世界リゾート博は時宜を得たイベントであると思います。
 臨時行政改革推進審議会豊かなくらし部会──前熊本県知事・細川護熈さんが部会長でございます──の第二次部会報告の中で、我が国は「『生活先進国』を目指すべきである」として、次のように述べておられます。「日本は世界屈指の経済大国に成長した。しかし、国民の多くにとって、本当に豊かになったという実感が湧いてこない。これからは、生活の豊かさの面でも先進国を目指し、経済成長の成果を豊かな国民生活の実現に結びつける方向に向けて、制度・施策の大きな転換が必要である。同時に、世界とともに生きるという視点も欠かせない。(中略)『豊かなくらし』の目標として、人間性豊かな社会、環境を重視する社会、そして選択肢の多い社会の実現を目指したい。それに向けて、新しい社会システムを創造していかなければならない」、そのように言われております。
 ところで、世界リゾート博まであと五百八十四日となりました。半年後にはオープニングセレモニーも迎えるわけでございます。現在、最終の詰めの段階に入っておられると思いますけれども、以下数点にわたり関係部長のお答えを賜りたいと思います。
 第一に、企業、団体のパビリオン出展要請もほぼめどがついたと思われますけれども、最終的にどの程度の規模になるのか。現時点での数値についてご答弁を賜りたいと思います。また、イベントの概要について、あわせてお答えをいただきたい。
 第二に、過日、和歌山社会経済研究所による世界リゾート博の経済波及効果の算出結果が公表されましたが、このことについても、数値並びに算出方法等についてご報告をいただきたいと思います。
 第三に、世界リゾート博を行うことにより和歌山県のイメージアップにつながることが期待されるわけでございますけれども、そこで、この点に関して幾つかお尋ねをいたします。
 まず第一点目、そのPR宣伝について、今後どういう取り組みをしていかれるのか。
 第二点目に、和歌山に来訪される県外あるいは国外の多くの人々のために宿泊設備の整備が急務であることは、だれの目にも明らかでございます。この点についてどのような対応をしていくおつもりであるのか、お答えをいただきたい。
 第三点、和歌山のイメージアップを図るためには、和歌山市を初めとする既存の都市、例えば和歌山市とか海南市といった周辺の都市の町並みの整備等が必要になってくるのであります。
 余談でございますけれども、私は和歌山市会議員を二期八年やらせていただきました。その間、和歌山市のこうした町並みの整備等々の問題について、本会議の一般質問、委員会等々で何度もいろんな提案も含めて申し上げてきた経緯が実はございます。和歌山市の例で申し上げますと、丸正前の本町通りがキャブシステムの導入とともに町並みの整備がやっと図られました。リゾート博が行われるマリーナシティにおいては、ある意味で非日常空間があそこに出現をするわけでございますが、一方で、そのすぐ横にある和歌山市が旧来のままの、古いといいますか雑然とした町並みであって、整備がされておりません。その逆差が余りにも大き過ぎると、和歌山のイメージアップどころか、ある意味で逆に和歌山のイメージダウンにつながるおそれもあると危惧をするものでございます。そのほかにも、例えば内川の浄化とか街路の整備、それから和歌山市内を走っていると中央分離帯への空き缶やたばこのぽい捨てとか、さまざまな問題もございます。細かいことを申せば切りがございませんけれども、県外から多くの人に来ていただくためにも、和歌山の町のクリーンアップと申しますか町並み景観の整備を至急進めていかなければならないと思います。そうした点について、現実と、これからどういうふうにお取り組みをされるのか、お答えを賜りたいと思います。
 第四点として、マリーナシティ以外でのリゾート博の盛り上げや本大会以前のプレイベントの開催についてどういう取り組みをされるのか、それぞれ明快なご答弁を賜りたいと思います。
 最後に、第四の問題として会場へのアクセスについてお尋ねをいたします。
 第一点、道路網の整備につきまして、毛見一号線、毛見二号線、シーサイドロードの進捗状況についてご報告を賜りたい。交差点の改良問題や、例えば毛見一号線、二号線における高速道路等からのアクセスについても、部分改良も含めてお答えをいただきたいと思います。
 交通アクセスの二点目としてソフト面でございますが、会場への専用シャトルバスの運行、海上交通の確保、和歌山市や海南市の日常の交通渋滞との関係をどうクリアしていくのかという問題について今後どういう対応をしていかれるのか、お聞かせを願いたいと思います。
 このリゾート博は、考えますと、七月十六日からということで、ちょうど夏休み期間とぶつかるわけでございます。それでなくても非常に交通混雑が予測されるわけでございますが、お盆休みとか土・日を中心にしてマイカーや団体バスが殺到することが考えられます。そうした状況を踏まえてこれらの問題をどう解決されるのか、そしてまた駐車場対策についてもどうされるのか、お聞かせを願いたいと思います。
 一点、提案というような形ではございませんけれども、会場周辺の混雑を回避するために、会場から少し離れたところに駐車場を設けてそこまでバスなりマイカーで来ていただく、そこから専用のシャトルバスで往復して入場者を運ぶというパーク・アンド・ライドシステムの導入も当然考えていかなければならないと思いますが、駐車場対策とあわせてお聞かせを願いたいと思います。
 以上で、第一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(大江康弘君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港の全体構想の実現についてでございます。
 森議員からご指摘ございましたように、アジアの空港状況を見ると、仁川、香港、シンガポールと進みつつございますけれども、そうした中で関西国際空港が国際ハブ空港としての機能を十分に発揮するためには全体構想の実現が絶対に不可欠な条件だと思っております。
 現在、第二期空港計画策定のための諸調査が進められておるところでございますけれども、全体構想実現のためにも本調査を早期に完了していただかなければならないわけでございまして、平成五年度の予算における調査費の確保について全力を尽くしておるところであり、全体構想早期実現期成会によって要望活動等を行っておるわけでございます。また、明日も東京アピール''92を都内で開催いたしまして、副知事に参加してもらう予定になっております。
 全体構想実現のためには関係者間で種々協議を行わなければならない点もございますが、そうした問題等について、適切に、県議会の協力を得ながら努力してまいりたいと存じておる次第でございます。
次に、国内便の確保についてでございます。
 けさほど木下議員にもお答えしましたけれども、今日まで運輸省を初め航空会社等の関係機関に対し、機会あるごとに県議会ともども要望してまいったところでございます。
 話ございましたように、現在、アンケート調査においていろいろなことが言われておりますけれども、運輸省においては、現在、路線や便数等について具体的な取りまとめを行っており、年内に航空会社と調整に入ると聞いております。先日も、事務次官、航空局長にも強く要請してまいったところでございます。
 今後とも、県議会の皆さん方のご協力をいただきながら積極的に推進してまいりたいと考えておる次第でございます。
 他の問題は、部長から答弁させていただきます。
○副議長(大江康弘君) 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 関西国際空港に関連するご質問にお答えをいたします。
 まず、全体構想の実現についてでございます。
 昨年閣議決定された第六次空港整備五箇年計画においては、全体構想の推進を図るため調査検討を進める旨、明記されておりますが、これに先立つ航空審議会答申において二期計画の事業着手の条件として示された事業費の抑制、地元負担のあり方等、関係団体と議論をしていかなければならない課題がございます。しかしながら、まず国によって二期計画の事業計画、事業費等が明らかにされる必要がございます。そのため早期に調査を完了していただくよう、ことしの夏から初めての現地調査として音波探査による地質調査が開始されたところでございますが、さらに平成五年度予算においてボーリング調査等を含む九億六千八百万円の調査費の概算要求が行われており、この全額確保のために要望活動を積極的に続けているところでございます。
 関西国際空港は、平成六年夏ごろの開港に向け、先月末の管制塔の完成を初めとして、滑走路、旅客ターミナルビル等、極めて順調に整備が進められてございます。当面は一期計画の予定どおりの開港が急務でございまして、現在、関西国際空港株式会社を初め関係機関が全力を傾注しているところでございます。
 全体構想の実現は極めて重要な問題でございますので、現在進められている二期計画に関する調査を早期に完了していただくため、所要の調査費の確保に向け、さらに懸命の働きかけを行ってまいる所存でございます。
 次に、国内便の確保についてでございます。
 議員ご質問のアンケート調査における航空会社からの回答につきましては、国内航空会社九社中、回答が得られた五社によると十四都市、二十三便との調査結果が出ていると聞いてございます。
 国内便の確保に当たりましては、伊丹空港の存続、着陸料金の問題、さらには関西国際空港の利便性に対するPR不足等の課題があるものと聞いてございます。
 県といたしましては、これまでも運輸省を初め関係各機関に対して機会あるごとに強く要望してまいったところであり、過日も県議会関西国際空港対策特別委員会の皆様方とともに日本航空、全日空、日本エアシステムに出向き、要請を行ったところでございます。
 今後とも、東京便を初め全国の主要都市と数多くネットワークされるよう、運輸省での検討の動向を見きわめつつ、県議会のお力添えをいただきながら、さらに積極的な要望活動を行ってまいりたいと存じます。また全国の主要都市に対しても、関西国際空港への国内便乗り入れについて機運の盛り上げを図っていただくよう要請してまいりたいと存じます。
 次に、関西国際空港に関連する交通アクセス問題についてのご質問でございます。
 まず、空港建設の決定がなされて以降、本県からの鉄道、バス、タクシー等、複数の交通機関による利便性の高いアクセスを確保するため、国、事業者、関係機関に働きかけを行ってまいったところでございます。
 現在、鉄道につきましては、昭和六十年十二月の関係閣僚会議で決定された関西国際空港関連施設整備大綱に基づき、大阪側からの連絡線の整備が進められているところでございます。本県からの鉄道アクセスについても、大量輸送、定時性という他の交通機関にはない利点を有することから、JR西日本、南海電鉄に対してスイッチバック方式による直接乗り入れなどについて強く働きかけを行ってまいってございます。
 現在のところ、旅客需要や鉄道敷の用地難などの不確定な要素もございますが、県民の利便性が最大限確保されるよう、国初めJR西日本、南海電鉄等の関係機関に対してより積極的な働きかけを行ってまいりたいと存じます。
 また、鉄道アクセスに伴う在来便への影響についてでございます。
 空港へのアクセス列車のダイヤ編成に当たりましては、特急など在来便の運転本数に影響を及ぼさない方向で作業を進める予定であると伺っております。県といたしましても、既存の特急などの運転本数に影響が出ないよう、かねてから鉄道のアクセス確保とあわせてJR西日本、南海電鉄に強く働きかけを行ってまいったところでございまして、今後とも積極的な対応を行ってまいりたいと存じます。
 次に、関西国際空港の南ルートでございます。
 航空審議会第二次答申あるいはその後の運輸省案による全体構想には盛り込まれておりませんが、昨年四月に大阪湾ベイエリア開発推進協議会から発表された大阪湾ベイエリア開発整備のグランドデザインにおいて、長期的な展望に立って具体化を図るべき交通インフラとして位置づけがなされてございます。しかしながら、事業主体等、非常に大きな課題もございまして、今後、県内の関係市町で組織している紀泉問題連絡協議会とともにその方策等について研究を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 知事公室長市川龍雄君。
 〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 世界リゾート博は、議員ご案内のとおり、関西国際空港の開港を契機に本県で初めて開催する博覧会であり、自然、歴史、文化、産業などの本県の持つすぐれた特性を国内外にアピールする絶好の機会であると考えてございます。本年九月には世界リゾート博の第二次実施計画を策定したところであり、現在、その具体化に向けて作業を進めているところでございます。
 まず、企業、団体等によるパビリオンの出展状況でございますが、公共パビリオンとしましては、近畿地建グループや和歌山市のほかに、マリーナシティ和歌山館とその中で展開する市町村コーナーが決定してございます。また、民間のパビリオンについても十社を超える企業から出展の意向をいただいており、おおむね順調に進んでいると考えてございます。
 次に会場内でのイベントについてでございますが、マリーナシティという会場特性を最大限に活用した中で、すべてのイベントが、参加して楽しむ、見て楽しむ、遊びながら学ぶといった体験型のイベントとして展開することといたしてございます。その主なものといたしましては、ワールドリゾートパレードや国際映像音楽祭、世界レーザー級のヨット選手権大会、またマリーナを活用したものでは光と船のパレードや水と光と音のページェントなどを予定してございます。
 最後にパビリオン等の会場計画でございますが、近く各施設の基本設計に取りかかることとしており、二十一世紀のリゾートのあり方を内外に提言するにふさわしい施設づくりを進めてまいる考えでございます。
 次に、リゾート博の経済波及効果についてでございます。
 本年九月の和歌山社会経済研究所の発表によりますと、入場者数百万人、会場建設費五十億円とした場合に、博覧会の会場建設と入場者の消費支出による総生産誘発効果は総投資額の一・七八倍、これに伴う雇用誘発効果は三千四百余人と推定されてございます。
 今後、目標入場者数の見直しやマリーナシティ和歌山館を初めとする大規模な施設、関連公共施設投資などによって一層の経済波及効果が期待できるものと考えてございます。テクノ&リゾート立県を目指す本県にとりまして、この博覧会が県勢活性化の起爆剤として地域の発展に大きな効果をもたらすものと期待してございます。
 次に、イメージアップについてでございます。
 まず、PR宣伝についての取り組みでございます。これまでは博覧会の周知を図ることを重点とし、広報宣伝活動を積極的に行ってきたところでございますが、この十月からは県内の全市町村を表敬訪問し、キャンペーンを展開しているところでございます。また県外につきましても、九月に関西のマスコミを対象に世界リゾート博全体構想記者説明会を開催いたしましたほか、JR西日本、南海電鉄の協力を得て京都駅、新大阪駅、難波駅等の主要駅に世界リゾート博の残日表示計を設置し、PRに努めているところでございます。
 今後の予定としましては、来年一月から、最も誘客が期待される近畿圏を重点に観客誘致のキャンペーンを展開してまいることとしてございます。
 次に、博覧会への来場者のための宿泊対策でございます。地方博での初の試みとして、会場内へのオートキャンプ場の設置や話題性のある外国の豪華客船を誘致すべく、現在交渉を行っているところでございます。また県内の宿泊施設の整備等については、県の制度融資の資金枠の拡大や貸付利率の引き下げを図ったところでございます。さらに県内の観光地との連携を図るために、各旅行代理店に博覧会と県内観光地をパックとした商品企画化を依頼し、県内の宿泊施設の有効利用を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、博覧会場以外でのリゾート博の盛り上げやプレイベントの開催などへの取り組みについてでございますが、本年七月から県内の全市町村の協力を得て各地でプレイベントを開催しているところでございます。主会場で開幕一年前に当たる来年七月にオープニングセレモニーを開催するのを皮切りに、県内各地域で、おのおのの特色を生かし、地元と一体となった各種イベントをリレー方式で開催し、博覧会への盛り上げを図ってまいりたいと考えてございます。
 最後に、交通アクセスについてでございます。
 まず、会場への専用シャトルバスの運行につきましては、JRや南海などの公共輸送機関の利用者のために、各主要駅からシャトルバスの運行を計画してございます。また海上輸送についても、和歌山港からのシャトルボートを計画してございます。
 次に駐車場対策についてでございますが、会場内には乗用車約四千台、団体バス約百五十台のスペースがあり、通常日には十分対応できる広さを確保してございます。しかし、入場者が予想を超える場合に備えて、紀三井寺の医大移転用地など数カ所に会場外の駐車場を設け、ご指摘のパーク・アンド・ライド方式による運行も計画してございます。
 さらに、今後の詳細な交通計画を具体化するために、関係行政機関を初めとして、鉄道、バス、タクシーなどの関係機関で構成する世界リゾート博交通対策連絡協議会を近く発足させるべく、現在準備を進めているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えいたします。
 世界リゾート博覧会に関して、和歌山のイメージアップにどうつなげていくかという問題でございます。
 このリゾート博を契機として和歌山市など都市のイメージアップを図るために、街路では、県事業として和歌山港鳴神山口線の三年坂付近、和歌浦廻線のあしべ橋から片男波公園まで、また市の事業として市駅小倉線の阪和線踏切の立体化の整備等を進めております。
 また、景観の整備を目的として、県事業としてけやき大通りで、また市事業として本町和歌浦線の築地通りでキャブ事業をそれぞれ進めております。
 さらに、けやき大通りでは、道路の空間を修景し、沿道の景観と調和のとれた道づくりのため、ふれあい道路事業を実施するとともに、国道四十二号、県道和歌山海南線など観客輸送ルートにおいては国、県、市で構成する緑化推進連絡会議を開催し、道路の緑化を積極的に進めてまいりたいと存じます。
 また、河川につきましては、内川の水辺は非常に貴重な都市空間であり、河川の浄化を図り、潤いのある美しい河川環境を再生することは重要な課題であると認識をしております。この実施のため、国、和歌山市との十分な連携のもとに、流域内及び河川内での対策を住民や企業の協力を得ながら計画的に推進することとしております。当面、平成六年に向けて、親しみの持てる川づくりとして護岸や緑地等、水辺景観の整備に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、世界リゾート博の交通アクセスについてでございます。
 まず、この世界リゾート博のメーン会場となるマリーナシティへのアクセス道路の整備状況についてご説明をいたします。
 毛見一号線につきましては、毛見一号橋を含む本線及び国道四十二号との交差点は現在工事中で、順調に進んでおります。平成五年度末に完成をする予定であります。
 毛見二号線の進捗状況でございますが、平成四年十一月に仮称「毛見二号橋」の中央径間部が架設をされており、全体としては平成五年度末完成を目途といたしております。
 また、毛見二号線に接続する海南市道と国道四十二号の交差点は左折専用車線の設置を建設省の方へお願いしており、現在検討中と伺っております。
 シーサイドロードの進捗状況でございますが、平成四年度に事業化をされ、現在、測量立ち入りの承認、用地測量、用地交渉等が順次行われております。紀三井寺川の架橋についても、下部工事、上部工事が発注をされたと聞いております。
 また、シーサイドロードと国道四十二号との交差点は、県庁方面からの右折車線を設置しようとすると旭橋の拡幅が必要となりますけれども、現橋の拡幅は工事に相当な日数を要し、リゾート博までの完成は難しいため、旧紀三井寺競馬場跡地に計画をされている駐車場へ一度左折で誘導し、転回させてシーサイドロードへ直進させることを現在検討しております。
 それから、近畿自動車道紀勢線の海南東インター及び海南インターから毛見二号線に至る都市計画道路築地阪井線及び国道四十二号のうち、築地阪井線は今年度中に完成する予定であります。また、国道四十二号は、この区間がほぼ改良済みであり、周辺の土地利用状況から見て新たな改良というのは困難でございます。そのため、リゾート博用に各交差点信号間の系統化や交通誘導等、ソフト面の対策が必要と考えております。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 42番森 正樹君。
○森 正樹君 二、三、要望をもって再質問といたしたいと思います。
 まず初めに全体構想でございますが、これは私が申し上げるまでもなく、スーパーハブ空港とかハブ空港というのは自転車の車軸とスポーク──まさにハブは車軸であって、その車軸からスポークが放射状に伸びており、それによって自転車の車輪は回るわけでございますが、これからの空港というのは、世界から日本へやってきて、その日本の国際空港から日本の各地へそのまま放射状に乗りかえていける、これで初めてスーパーハブ空港──あるいは「ハブ・アンド・スポーク」と言ったりもします──と言えるわけであります。
 ところが現実には、日本の新東京国際空港、大阪空港とも非常に欠陥があって問題が多い。そのためにできた関西国際空港ですが、大阪空港の周辺が、何というか、だだをこねることによって大阪空港は存続となりました。それによって、これは巷間言われる数字でございますが、今のところ国内便はまだ三十便しか希望が出ていない。運輸省としては七十便を考えているようですけれども、そうなるとまさに数本のスポークで自転車を支えなければならないということになってきて、とてもスーパーハブ空港たり得ないと言えるわけでありまして、その点に非常に大きな危惧を抱く者の一人でございます。
 先ほどもちょっと比喩めいて申し上げましたけれども、かつて私がシンガポールのチャンギ空港へ調査に参ったときに、シンガポール政府の空港担当役人であるリファンユさんと話をいたしました。「漁業補償はどうしているのですか」と聞きましたら、「漁業補償って何ですか。そんなものがあるんですか」と。「漁業補償」という言葉自体が向こうの政府の人には理解できないわけです。要するに、そういうものはシンガポールにはないと言うわけです。自然に海が育てたものを漁民がとるのだから、それに対して補償をする必要はないと。したがって、あそこも海上空港でございますが、漁業補償がないだけ拡幅工事、空港整備が非常に進めやすかったことは容易に想像できるわけでございます。誤解があってはいけませんので、漁業補償がいいとか悪いとか、そういうことを私は申し上げているのではございません。
 それからもう一つ。ソウルに新しく計画されている新ソウル・メトロポリタン空港の方も、一九九七年ですか、仁河沖にまず二本の滑走路でできてくるわけであります。そして、二〇〇〇年の初めにさらに二本の滑走路を設けて四本にするそうでございます。そうなると、日本から、大阪からわずか一時間ちょっとの距離に、まさにアジアのスーパーハブ空港が出現をするわけであります。
 先ほどの例えをそのままもう一遍繰り返しますと、チャンギとか香港、新ソウル・メトロポリタン空港もすべて、いろんな意味で、全体構想というか空港全体計画の実現まで非常にスムーズに進みやすい国の状況なんです。まさにカール・ルイスが走るようなものです。それに対して我が国は、用地買収から始まってさまざまな問題がいろいろと絡んでくるわけであります。自分の体重はカール・ルイスでも、そこへ自分の体重の二倍ぐらいの荷物をしょった、ちょうど小錦が走るようなものであって、カール・ルイスと小錦が競争すればどちらが勝つか、これはだれが考えても一目瞭然です。そういう意味で、関西国際空港の全体計画というのは、我が国のこれからのアジアの──盟主という言葉は余りいい言葉ではありませんが、リーダーとして日本が立っていくために、また逆に日本が世界に、国際公約といいますか国際的な責任を果たす意味で、何としても実現しなければならない全体構想であると思います。
 そうしたことから、さまざまな難しいハードルを乗り越えていかなければならないわけですけれども、我々を取り巻く状況は決して楽観できない、難しいということは言えると思います。
 最近、この全体構想については非常にトーンダウンをしているという声がよく聞かれるわけでありますけれども、我々がさらに関西国際空港の全体構想の必要性を訴えて、そのためにご協力できるところは喜んでさせていただきますので、どうか仮谷知事さん初め、何としてもこの全体構想の実現までさらに熱意を持って取り組んでいただきたい。これは要望しておきたいと思います。
 それから国内便でございますが、関西国際空港に国内便がなかなか入りづらいという理由がいろいろあるわけです。一つは、もちろん大阪空港の存続という問題があります。これは前回の質問でも申し上げたのでもう言いませんが、もう一つ、この新関西国際空港の着陸料やアクセス料金が非常に高いという問題があります。
 最近、竹村健一さんが「週刊ポスト」という雑誌の中で言われているのには、国際線ボーイング七四七(三百七十二トン)の着陸料を世界で比較すると、例えばロサンザルス空港が七万二千円、ロンドンのヒースロー空港が十万三千円、それに対して成田の新東京国際空港が実に八十九万二千八百円と、このように群を抜いて日本の空港は高いわけです。関西国際空港の着陸料は、この成田をさらに上回るという説も一部にはあります。したがって、当然、大阪国際空港の方が安い──世界じゅうと比べたら高いのですけれども、それでも新関西国際空港に比べれば安いわけです。しかも、大都市に近くて利便性が高い。そういう意味で関西国際空港への乗り入れを渋っているという部分があると私は思うんです。
 大阪府が行ったアンケート調査の中では、日本航空と全日本空輸は回答しておりませんから、もちろんその分の数はある程度見込めますけれども、しかしながらそうしたアクセス料金とか着陸料といったいろんな難しい問題があるわけでして、これもやはり何らかの形で考えていかなきゃならない。今後、その点についてもぜひとも空港会社や運輸省等へ働きかけをしていただきたい。そのようにお願いしたいと思います。
 最後にもう一点だけ。南ルートの問題でございますけれども、これは実現まで非常に長い道のりを要すると思います。ただ、我々和歌山の人間にとってこの南ルートの実現は悲願でもありますし、また将来の東海南海連絡道との絡みもございますし、午前中の質問で木下先生がおっしゃっていたベイエリア構想との関連も出てきますけれども、そうしたさまざまの中でこの南ルートというのは将来の問題としてぜひ実現していくべきであろう。その意味で、関西国際空港の全体構想の中にこれをきちっと位置づけるように国に対して働きかけなりをしていっていただきたいと思います。
 それと、もう一つ。南ルートの場合、一つには、すぐそばに燃料タンクがあるということ、二つには滑走路の端と非常に接近しているということ、それからもう一つには、航空燃料を運ぶタンカーの通行があって、橋をかける場合には橋脚を非常に高く上げなければならないという問題等々があり、非常に難しいと聞いております。
 そこで、ひとつ提案といいますか、海底面を少し掘り下げて、その上にふたをかけ、そのままトンネルを通すというやり方の沈埋トンネルというものがあり、既に香港とかオーストラリアで供用開始をしているわけですけれども、この方式を使えば、関西国際空港南ルートは、今申し上げたいろんな問題を十分クリアできると思います。これは熊谷組というところがやっています。私は別に熊谷組から何ももらっていませんので宣伝するつもりはございませんが、技術的な問題があると言われている中で、この沈埋トンネル方式でやればこれらの問題点が全部クリアできるということから、一つの提案として申し上げておきたいと思います。
 いろいろ申し上げましたけれども、ぜひともよろしく対応方お願いします。ありがとうございました。
 以上で終わります。
○副議長(大江康弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(大江康弘君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時二分散会

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