平成4年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(石田真敏議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(馬頭哲弥君) これより本日の会議を開きます。
○議長(馬頭哲弥君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から現金出納検査結果の報告がありましたので、報告いたします。
 次に、報告いたします。
 過日提出のあった議案第百十九号及び議案第百二十四号については職員に関する条例の改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
  〔職員朗読〕
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 和人委第238号
 平成4年9月30日
 和歌山県議会議長  馬 頭 哲 弥 殿
  和歌山県人事委員会委員長  水 谷 舜 介
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成4年9月29日付け和議会第207号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
 記
 議案第119号  和歌山県職員の賞じゆつ金に関する条例の一部を改正する条例
 議案第124号  和歌山県警察職員の賞じゆつ金に関する条例の一部を改正する条例
 意  見
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(馬頭哲弥君) 日程第一、議案第百十号から議案第百三十三号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 4番石田真敏君。
  〔石田真敏君、登壇〕(拍手)
○石田真敏君 地方の問題についてお伺いいたします。
 現在、地方は大きな分岐点に差しかかっていると思います。今までは、人口が減り、活力が低下することについて危機感がありました。これに対し、今では特に過疎化の進行している農山村を中心に、次代を担う若者の流出により、コミュニティー自体が崩壊するのではないかという危機が、まさに訪れようとしているように思われるのであります。そしてまた、大都市圏への人口、機能の集中が依然として続き、さきの国勢調査で十八もの道県で人口減少となりました。地方の衰退が一層深刻なものとなっているのであります。まさしく、今までとは違った新しい過疎の状況であり、新しい地方の状況であると私は思います。高齢化が進み、若者が流出するという状況がこのまま続けば、当然の帰結として地域人口は激減し、地域衰退から崩壊へとつながっていかざるを得ないのであります。このまま崩壊に向かうのか、それとも、言われて久しい言葉ですが、本当の意味での「地方の時代」をつくり出していくことができるのかの分岐点に立っていると思います。
 そしてこの問題は、本質的には前の島根県知事の恒松制治氏の指摘されるように、「個々の地方団体あるいは地域社会が、自分たちの地域をどうするのかということを考えるのを通り越した段階にある。したがって、国の政治あるいは国の行政としてこうした問題を一体どう解決するのかということが今求められている」、そういう状況にあると私も思います。そしてそのためには、今の地方自治制度、あるいは中央と地方のあり方を含めた今の行政システムでよいのか、そういうところまでの議論がなされなければならないとも思います。
 このような中で、大多数は現行行政システムの中での議論ではありますが、最近、地方についての議論が目立って大きくなってきているようであります。第三次行革審の第二次答申、地方拠点法、パイロット自治体構想、さらには生活大国五カ年計画などであります。
 このような地方を取り巻く議論について知事は具体的にどのように認識しておられるのか、また全国知事会等を通じてどのような活動をされていこうとされているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 ここで、昨年、総合研究開発機構が発行した「若者の意識・行動と地域活性化─なぜ『東京』に集まるのか─」を見てみますと、そこに寄せられた全国各地のシンクタンクからの報告は、地方の悩みが全国共通のものであることを示しています。すなわち、若者の流出は全国共通の問題であり、その原因も異口同音であります。大きく分けて三つの原因が指摘されていますが、それは都会における就業機会の多さ、文化的刺激、そして生活面での利便性と多様性であり、さらにそれらすべてを貫く選択の自由の高さであります。
 また、和歌山のシンクタンクである和歌山社会経済研究所からの報告では、「和歌山においては、高次都市機能、文化施設や遊び場所が乏しく、特に若者にとっては自己表現、行動の場が少ないため都市圏への流出が加速されている」とし、「リゾートだ、観光だというだけでなく、生活、教育、文化まで含めたトータルな空間システムの構築が早急に望まれる」と指摘しています。
 こういう状況の中で、地方における二つの問題について質問いたしたいと思います。
 一つは、高齢化の進展と若者の流出の中で、コミュニティー自体の崩壊に直面している地域の今後の地域づくり、町づくりにどう取り組んでいくのか、すなわち新しい過疎の問題にどう対応していくのかという点であります。
 またもう一点は、地方拠点法の考え方やことしの「建設白書」の指摘に見られるように、「核都市の人口が三十万人以上ないと、その都市圏では将来も人口増加が望めない」、さらにまた「全国平均以上の人口増加率を維持するのは核都市の人口が五十万人を超える都市圏に限られる」との「建設白書」の予測に対しどう対応していくのか、すなわち新しい地方の問題にどう取り組んでいくのかという点であります。
 まず、新しい過疎の問題についてお伺いいたします。
 平成三年度版「過疎白書」によりますと、「近年、東京一極集中が進む中で、多くの過疎地域においては、人口の減少が引き続いているばかりでなく、高齢者が多く若者が少ないなど、地域の活力が低下していると言わざるを得ない状況にある」と指摘されています。さらに、「過疎地域の財政状況は、地方税を初めとする自主財源が極めて乏しく、地方交付税や地方債に依存せざるを得ない脆弱なものとなっている」とも、また「過疎地域は、全国より約十九年も先行した高齢化社会になっている」とも指摘されております。
 このような指摘を目の当たりにいたしますと、これらの町村は十年先、二十年先には一体どうなっていくのか、どうなっているのかという素朴な疑問がわいてくるのであります。果たして町村として、コミュニティーとして存続し得るのかという疑問であり、不安であります。現に、県下市町村のうち国の過疎法対象町村は十七町村であります。また、高齢化率が二○%を超える町村は全市町村の五割弱に当たる二十四町村、さらに十一町村は二五%を超えているのであります。これらの町村について十年先、二十年先を考えたとき、県はどういう姿を想像されているのかをお聞かせいただきたいと思います。
 また、こういう状況に対して、平成二年施行の過疎法では、それまでの第一次、第二次過疎法とは違った対策が打ち出されております。この新過疎法をも含めて県としてはどのような対策をされているのか、また、これらの対策によってこれら町村がどう変化すると見通されているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 また、過疎対策としての一つの提言でありますが、明治当初、日本は文明の進んだ西洋から見れば極東の一小国でありました。そのために、時の為政者は官営工場の設立とその民間への払い下げという手段によって日本近代化の基礎を築いた故事に倣い、過疎地域において非常に難しい民間企業誘致よりも、地域の特性を生かした官営工場あるいは企業の設立によって自前で雇用の確保と若者の定着を図り、地域の活性化を図るというような観点も必要ではないかと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、新しい地方の問題についてお伺いいたします。
 一点目は、地方拠点法の考え方や「核都市の人口が三十万人以上ないと、その都市圏では将来も人口増加が望めない」という「建設白書」の予測についてお伺いいたします。
 前の総合研究開発機構理事長の下河辺淳氏は、要約すると、「良好な居住環境や文化情報などのいわゆる高次都市機能の充実が、道路、上下水道などの基礎的な都市機能の充実とともに図られれば、必ずしも東京に集中する必要がなくなった時代を迎えた」、このように最近指摘されております。とするならば、いかにして若者が定住できるような、また企業が立地できるような、都市機能の充実を含めた環境づくりを地方がなしていけるかが問題となってくると思います。しかし、現在の県下の市町村の状況でこれをなし得るでしょうか、否と言わざるを得ないと思います。
 例え話をいたしますと、海南市では、ここ数年、市民会館の建てかえが市民の大きなテーマであります。しかし、国土庁の都市機能要覧を見てみますと、人口五万人都市でショービジネスが成り立つと思われる座席数千席を超える文化会館を持つのは全体の二割強にすぎないのであります。十万人都市でも四割にすぎません。そこで、海南市として仕方なく座席数五百席の市民会館をつくったとして、本当に市民が喜び、若者が定住し、企業が立地する要件である都市機能の一つになり得るでしょうか。
 これは一例でありますが、その他の都市機能においてもこのようなことが見られるのであります。確かに、幾つかの資料で人口規模別の各種都市機能の集積状況を見てみますと、三十万人都市、二十万人都市、そして十万人以上と未満では、その集積状況に大きな差を生じております。そして特に、人口二十万人未満の都市では、その機能集積度は非常に低いと言わざるを得ません。
 ここで、県下市町村の状況を見てみますと、和歌山市を除いては約七万人の田辺市が最も大きい都市でありますが、今まで申し上げた今日の全国的な潮流から言うならば、県下市町村が現在のままの規模で今後も存続していくことは、それぞれの縮小再生産を意味することになります。
 であるとするならば、二十一世紀に生き残るために、戦略的な発想のもと、さらなる広域行政の推進や市町村合併などによって地域の行財政能力を高め、都市機能の集積も高めて全国的潮流に耐え得る核都市並びに都市圏づくりをしていかなければならないと思います。県としてはこのことについてどういうご所見をお持ちなのか、お伺いいたします。また、その場合、核都市はどのくらいの規模が必要であると認識されているのかもお聞かせいただきたいと思います。
 また二点目として、「建設白書」の「全国平均以上の人口増加率を維持するのは核都市の人口が五十万人を超える都市圏に限られる」との予測についてお伺いいたします。
 あくまでも予測ではありますが、この予測に対しても県下にはこれを満たす都市がないのであります。辛くも可能性のあるのは人口四十万人の和歌山市だけであります。しかし、和歌山県として今後より以上の発展を目指す以上、全国に伍していける五十万人を超える地方中核都市を育て上げていかなければならないのではないかと思いますが、県としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。また、そのための方策についてもお聞かせいただきたいと思います。
 以上、大きく分けて二点について今後の地方の問題についてお伺いをしてまいりましたが、一点目の過疎問題は言うに及ばず、二点目の核都市づくりにおいても、「どのような産業でも基盤ができたところには出ていくが、経済が先行していくことは極めて難しい。それだけに、札幌、仙台、福岡以外では公的な基盤整備ができていないと難しい」との指摘が産業界の方からなされる現状では、和歌山県を初め大多数の県では、いずれの問題についても現下の地方自治制度、行政システムのもとでは、さしずめ国に大きな期待をせざるを得ないのが現実であります。
 そこでまず、県が中心になって県下市町村の将来についての研究会などを設置されてはいかがかと思います。また同時に、地方六団体などを通じて、国に積極的に今後の地方とのあり方に対する発想や施策の転換を求めていかなければ地方にあすはないと思いますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、ようやく開港時期をあとわずか二年後の平成六年夏とまで特定できる状況を迎えた関西国際空港について、和歌山県として今後も取り組まなければならない、大きく分けて三つの問題についてお伺いをいたします。すなわち、一つは関西新空港における国内便確保について、二つ目は全体構想の早期実現について、三つ目は空港関連地域整備事業についてであります。
 まず第一番目は、かつて知事も「政治生命をかける」とまで言われた関西新空港への国内便確保問題であります。
 去る九月十日付の日本経済新聞によりますと、「関西国際空港会社では、九四年夏の開港時に一日あたり国際線約九十便、国内線約七十便を確保したい考え。このうち国際線については目標達成のめどがついたが、国内線は大阪国際空港(伊丹)に比べて割高とされる着陸料金がネックとなって三十便程度にとどまる見通しのため、国内線誘致に全力を挙げることにした」と報じられております。
 また、山形新幹線の誕生によって羽田─山形便が大きく影響を受けているように、新幹線の高速化が国内航空事業にも大きく影響することが予想されてまいりました。また、当初より指摘されておりましたが、伊丹─羽田間と関空─羽田間との約三十分という時間距離の差も、伊丹存続となった以上、大きな要素として取り上げられることになると思います。
 このような状況の中で、今後、県としては関空会社に協力していくのは当然でありますが、これらの状況をどう受けとめ、どう取り組もうとされているのか、さらには、九月六日付の朝日新聞に「中・四国など近距離線は大阪空港、北海道や沖縄など長距離線は新空港」と報じられていますが、例えば七十便でどのような国内線のネットワークを築くことが県としてベストであると考えておられるのかもお伺いをいたします。
 また、今申し上げました伊丹との約三十分の時間距離差がある問題とも相まって、去る九月の新聞各紙には再び陸上ルート案が検討されている旨、報じられております。このことについては、去る二月に行われた関空対策特別委員会と県選出国会議員との懇談会では明確に否定されました。にもかかわらず今回再び報じられたわけで、運輸省の常套手段とはいえ、まことに遺憾と言わざるを得ません。
 新聞によりますと、「地元泉州の首長らは、『国のやることは信じられない』と一様に不快感をあらわにし、和泉市の池田市長は、『時間や経費などの問題は初めから織り込み済みだったはず。大阪空港存続も、泉州に何の相談もなく国が決めたことだ。同意の大前提を崩し、信頼関係を失ってまでルートを変更する理由にはならない。騒音公害が起きないという保証もない。はっきりと反対を伝える』と、断固拒否の構えだ」と報じられております。このルート変更についての知事のご所見をお伺いいたします。
 第二番目として、全体構想の早期実現についてお伺いをいたします。
 ここで、第六次空港整備計画を受けて、地元から初めて示された全体構想推進策として注目を浴びた関西国際空港全体構想推進懇談会の報告書を見てみると、その運営主体について「二十四時間運用可能な国際空港は、国の責務において国際公共財として早急に整備する必要がある」と述べられております。しかし一方、「空港は、地域発展の核として位置づけられ、その整備に地元が積極的に参画し、推進していくことも考え合わせると、関西国際空港の第二期計画の建設に当たっては、今後、国と地元がイコールパートナーの立場に立って」とも述べられております。
 私は、運営主体としては、関西国際空港が第一種空港である以上、羽田や伊丹あるいは成田空港のように、国またはそれに準ずる公団が主体となって世界に対する日本の責務を果たすことが当然であると思いますが、このことについては、去る七月、議会に提出された関空対策特別委員会中間報告にも明記されておりますように、県選出国会議員からは空港整備法改正というのは現実的ではないとの指摘がなされました。
 そして、ことし夏、毎日新聞に掲載された「ドキュメント 関西国際空港 全国構想はいま」に描かれている大蔵省の姿勢は、一貫して全体構想については非常に厳しいものであります。そこには、日本にとって二十四時間空港をつくることの意義や国土の均衡ある発展を考慮する視点などが全く欠落しており、さらに国際空港をつくるのに採算性を偏重し過ぎる姿勢だけが目立つなど、経済合理性や需要先行型の公共投資配分という、従来からの東京一極集中を生んだ非常に近視眼的な官僚的発想しかないのであります。そして、ここに官僚政治だけが先行し、本当の政治が機能し得ていないことに非常に残念なものを感じております。
 そういう中で、日向方斎氏や佐治敬三氏のように、関西財界にも国が責務を果たすべきとの見解があります。昭和五十八年末、公団方式で決着する寸前に、当時の経済状況とも相まって、大蔵省の強い抵抗で特殊会社方式に転換、関西は地元負担を泣く泣くのまざるを得なかった経緯があるとはいえ、第一種空港は国がつくるという大原則をないがしろにすることは許されないと私は思います。このことについて県のお考えはどうなのか、お伺いいたします。
 そしてまた、さきの毎日新聞の特集では、「霞が関の関西不信は、関西が感じているレベルをはるかに超えていることは間違いない」と、大蔵省や運輸省の複数の担当者の言葉を引用しながら報じています。なぜ、これほどまでに大蔵省初め中央官庁とそごを来してしまったのかという思いがいたします。これを解きほぐさないで前に進めるのかとも考えますが、知事のご所見をお聞かせいただきたいと思います。
 また、先ほどの報告書にあるごとく、「国と地元がイコールパートナーの立場に立って」という考えをもし受け入れるとするならば、将来にわたって大きな地元負担金の問題が出てくるわけであります。この問題は、現在もオール関西で議論されていると思いますが、この議論の現状と今後の見通しはどうなのか、そして和歌山県の考えはどうなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 またもう一点、この報告書には重要なことが盛り込まれていると思います。それは、「二○○五年ごろには第二期計画の二本目の滑走路の供用開始ができるよう建設を進めるべきである」と指摘されている点であります。
 二○○五年と言えばいかにも遠い将来のように感じられますが、約十一年の工期ということになれば、二年後の一九九四年には第二期計画に着手しなければならないことになります。これは確かに一つの試案ではありますけれども、遠からずこういう事態になってくるのではないかと思います。そしてそれ以上に、二十四時間運航の国際空港としての機能から見ても、また責務から見ても当然なさなければならないと思います。そうであるならば、この第二期計画、工事への対応も県としてはすぐにでも考えなければならないことになってくるのであります。さしずめ、新たな土砂採取問題を初め種々の問題が考えられます。このことについてどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
 第三番目の問題として、空港関連地域整備計画についてお伺いいたします。
 このことについては、昭和六十一年に策定された関西国際空港関連地域整備計画に基づいて事業展開がなされ、随分その進捗が図られているように思います。しかし、その中でも当初の予想に反してその進捗が非常におくれているものがあるとすればその理由、そして今後の対策も含めてお聞かせいただきたいと思います。
 以上のように、さまざまな施策が展開されているのでありますが、少し欲を言うならば、これまでの施策はどちらかというと関空開港に伴う受け入れ態勢の整備ということが主であると思います。特にインフラ整備に重点が置かれてきたように思います。これはこれで非常に大事でありますが、しかし、いよいよ二年後に開港が特定できるようになり、空港本体の姿も徐々に見え始めてまいりますと、この空港本体と直接関連する施策あるいは施設は一体何なのか、また空港をジャンプ台のようにして利用して新たな効果を生み出す施策や施設は一体何なのかというようなことを思うわけであります。
 このような視点で眺めてみますと、昨年の九月議会で森正樹議員よりご指摘のあった物流基地に関しても、りんくうタウンを抱える泉佐野市など二市一町が、国の輸入推進地域フォーリンアクセスゾーンに内定したこと、あるいは大阪貿易会が泉大津市沖に物流情報施設を計画していることなどが新聞で報じられております。和歌山としては、このような視点に立った施策についてどのように取り組んでおられるのか、物流基地問題も含めてお聞かせいただきたいと思います。
 また、この視点に立った一つの提言でありますが、ことし一月二十九日からのフィリピンとの航空当局間協議以来、関西国際空港への乗り入れ航空路線の策定作業が順次進められております。そして、八月二十一日現在、その数は二十七カ国に達しております。しかし、今現在、これらの国々で和歌山県に興味を示してくれる国は果たして何カ国あるでしょうか。恐らく、皆無に近いのではないかと思います。もしそうであるとするならば、それこそ関西国際空港におり立った人々は、大阪、京都、神戸を目指して、和歌山に立ち寄ることなく立ち去ってしまうことになります。
 そこで、新たな課題として、関西国際空港に乗り入れてくる国々の中から和歌山県の戦略に合う国をピックアップし、それらの国々といかにすれば協力関係を結べるのか、各国を訪問してでも意見交換や和歌山のPRをするなど、新たな状況に見合った新たな行動を起こされてはどうかと思うのでありますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、平成六年七月十六日から九月二十五日までの七十二日間、和歌山マリーナシティにおいて入場者百万人を目標に準備が進められている世界リゾート博についてお伺いいたします。
 申し上げるまでもなく、和歌山県では初めての博覧会であり、ビッグプロジェクトであります。と同時に、関西国際空港の開港を控えた大阪湾ベイエリアでの唯一のビッグイベントでもあるということで、この世界リゾート博に寄せる期待は非常に大きいものがあります。
 そこで、以下、数点についてお伺いいたします。
 まず、博覧会の基本にかかわる目標入場者数についてであります。
 先ほども申し上げたように目標入場者数は百万人とされていますが、仄聞するところによりますと、三菱総合研究所の入場者予測調査では二百五十万人の入場者があると予測され、さらに会期の延長によってはまだ増加するとの予測になっているようであります。また、同規模の過去の博覧会と比較してみますと、一九八七年の東北未来博は、期間七十三日で入場者数二百九十七万人、後背圏人口四百五十三万人、一九八八年の岐阜未来博は、期間七十三日で入場者数四百七万人、後背圏人口千三百五十八万人であります。これに対し世界リゾート博は、総事業費五十億円、期間七十二日とほとんど同規模でありながら、後背圏人口は千八百七十八万人と群を抜いているのであります。
 今申し上げた過去の例、また先ほど申し上げました研究所の予測調査等から見て、百万人という目標入場者数は余りにも過小見積もりではないかと思います。そして、そうであるとするならば、このことはかえってさまざまな混乱を招くことになると危惧いたします。この際、目標入場者数を大幅に見直されるべきではないかと思いますが、お考えをお伺いいたします。そして、この目標入場者数の見直しは博覧会のあらゆる部門に影響を及ぼすことになるだけに、早急になされなければならないと思います。
 さきの議会で、目標入場者数の見直しについて、この夏の交通量調査の結果等を踏まえて検討していくとの答弁がなされていますが、この答弁からしますと、交通量のキャパシティーによって入場者が制限されるわけであります。これは当然と言えば当然でありますが、では制限された目標入場者数を設定するとして、実際の入場者もそれに制限するのかということになります。なぜならば、もし目標入場者数を大幅に超える入場者があった場合、対応し切れないことになるからであります。このように考えますと、もしコンセプトのしっかりしない中途半端な目標設定がなされるならば、さまざまな面、例えば、運営、交通、宿泊などに大きな混乱をもたらし、ひいては和歌山のイメージ自体に大きなダメージを与えることになると思います。
 そこでお伺いいたしたいのは、世界リゾート博をどのようなものとして位置づけるかであります。基本方針では、「この博覧会を通して和歌山を国内外にアピールするとともに、国際リゾートエリアとして定着させたいと考えています」とあります。すなわち、できるだけたくさんの方々に和歌山をアピールしたいと受け取れるのであります。しかし一方、第二次実施計画の中では、「ヨット、スキューバダイビングなど、リゾートにおけるさまざまな魅力を実際に体験することのできる機会を提供する」と述べられています。このことは、私もほかの博覧会にはない大きな魅力として賛成でありますが、これを実施するとなると人数が限定されたものとなるのはやむを得ないということになります。言葉をかえて言えば、できるだけたくさんの方々に来ていただけるものにするのか、入場者数を絞り込んででもグレードの高いものにするのか、それともこれらの折衷的なものにするのかということであります。どこにリゾート博を位置づけようとされているのか、明確な答弁をいただきたいと思います。
 次に、目標入場者数は企業のパビリオン出展にも大きな影響を与えると思います。以前、新聞で報じられ、九月九日付の日本経済新聞でも報じられていますが、出展企業の出おくれが問題になっています。当然、出展による宣伝効果を考える企業として目標入場者数は、出展するかどうかを判断する大きな要因の一つになるはずであります。同時期に開催される三重の祝祭博が三百万人であれば、和歌山の百万人に比べて最低三倍以上の効果を期待できることになるわけであります。当然、企業の投資額も変わってくるのであります。そういう面でも、目標入場者数の設定をどうするのかの検討が当然なされるべきだと思います。現在までに出展が決まっている企業、団体について、さらには今後、目標入場者数を見直したとき、どう変化すると予測されているのかについてお聞かせいただきたいと思います。
 また、県内企業、県内各団体、業界を国内外にアピールするために、これらに対しどのような形での参加を求められているのか、お伺いをいたします。
 次に、「関西国際空港が開港することから和歌山を国内外にアピールする」ということがこのリゾート博の目標の一つとうたわれております。では、関西国際空港との連携はどのようなものを考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
 第一に、関西国際空港株式会社さらには運輸省等関係官庁との関係でありますが、具体的にどのような協力関係を築いておられるのか、お伺いをいたします。
 第二に、先ほど申し上げましたように、既に関西国際空港への乗り入れ国が順次決定していっておりますが、そのような国々に和歌山に目を向けていただくためにも積極的にこれらの国々に参加を求めていくべきではないかと思いますが、ご所見をお伺いいたします。同時に、今日までいわゆる外国の国々あるいは航空会社に対しどのようなアプローチをされているのかもお聞かせいただきたいと思います。
 第三に、姉妹都市並びに海外移住等で非常に関係の深い国々に対してはどうアプローチされているのか、お伺いいたします。
 最後に、この世界リゾート博には県内外から二百万人以上の方々が参加していただくと言われる中で、これら参加していただいた方々、あるいは施設、ホスピタリティーを含めたソフトなどを今後にどうつなげていくのかであります。決して、線香花火的なものに終わらせてはならないと思います。このことについてどのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、和歌山県にとっては大イベントであります。そして、国内外の和歌山に対するイメージもこれによって大きく左右される可能性があります。それだけに、決して中途半端なものにだけはしてもらいたくないと思います。関空開港という時期、リゾート博というすばらしいテーマ性、そして千八百万人もの後背地人口、これだけの要件をそろえているだけに、自信を持って、中身の濃い、すばらしい博覧会に仕上げていっていただきたいと思います。そして、この前向きの姿勢こそが成功をもたらすのだと確信をいたします。
 最後に、世界リゾート博にもかかわりますが、マリーナシティと地域経済とのかかわりについてお伺いをいたします。
 申し上げるまでもなく、マリーナシティ計画は民間と公共とが相協力して行っている事業であります。それだけに、企業独自で行っている事業に比して県民の寄せる期待には大変大きなものがあります。そして、その期待の一つが地域への経済波及効果であります。関空建設においても、それへの参画あるいは地域経済波及効果について県民の期待は非常に大きいものがあります。しかし、その主体性、地域性等さまざまな要件からして、当初、期待したほどに直接的な参画という面ではその成果を上げていないようであります。規模、資金力、その他の点でやむを得ない面もあると思います。しかし、マリーナシティは関空とは違います。その主体性においても、地域性においても違います。マリーナシティ建設の主目的は地域を活性化させることであり、そのために県が全面的協力をしているのであります。それだけに、県民のマリーナシティに寄せる直接的な参画あるいは地域経済波及効果への期待には大なるものがあります。
 そこで、現在までの直接的な参画あるいは地域経済波及効果についてどのような実績を上げているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 仄聞するところによりますと、マリーナシティ内で展開されるさまざまな事業、すなわちホテル事業、大規模店舗事業、不動産販売事業、スポーツ施設事業等、多くの事業について既にそれらを管理運営するメーン企業が決定し、県内企業の参画は非常に困難だとの嘆きの声も聞こえてきますが実情はどうなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 確かに、規模、資金力、ノーハウ等により大手企業の進出もやむを得ない分野もあろうと思います。がしかし、すべて大企業が取り仕切ってしまうというのではマリーナシティ計画の地域活性化に資するという目標は非常に限られたものとなり、県民がこの計画に寄せた期待とは大いに食い違うものとなってまいります。このことについて県はどのように考えておられるのか、そして県内企業の参画をどう図られようとしているのか、さらには地域への経済波及効果をいかにして高められ、どういう効果を上げられようとしておるのかお伺いをいたしまして、質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの石田真敏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 石田議員にお答え申し上げます。
 地方の問題ということでございます。
 お話のように、東京への一極集中が進む中で、地方では過疎化、高齢化が深刻化しており、さらに東京においても過密による都市機能の停滞といった状況が生じておる現状でございまして、お話のありました新しい過疎の状況、また新しい地方の時代という形になりつつあると、私も思うわけでございます。
 先月の政府招集の知事会議においてもこの問題が特に取り上げられまして、山村問題も大きな課題でございました。私も、本県の山村の実態、若者が少ない現況、かつて「国破れて山河あり」ということが言われましたが、今はまさに山河が荒れようとしている、国はどうなるかという問題がございます。特に国際環境問題が世界的に取り上げられておる中で、外国の森林問題もさることながら、国内の森林問題の大きな影響、治水、空気等、環境の問題を国民的課題として考えなければいけないんじゃないか、農林水産省だけではなしにあらゆる角度から考えていかなければならないゆゆしき問題であるということを訴えてまいったわけでございます。
 また、行政の取り組みについてもご意見ございましたが、私もかねてから知事会等において権限委任、財源の充実を訴えてまいっておりますが、話ございました拠点都市法等々、新しい問題が出てまいっておりまして、行政の取り組みからもこうした対策を考えていかなければならないということ、同感でございます。こうした問題等については、私たちも、そしてまた国会においても十分検討していただかなければならないし、議長会においても同一歩調で進んでいただいておるわけでございます。
 また、お話ございましたように、若者の流出ということについては、やはり就業、生活環境、文化的刺激といった問題がございまして、従来から産業振興、交通網の整備等を兼ね合わせて考えておるわけでございますけれども、若人をいかに地元に残すかということをこれからもなお一層考えていかなければならないと思っております。
 特に、山村を多く抱える和歌山県でございます。山村対策については、今、国においても国土庁、自治省、農林水産省の三省庁が一体となって、いかにあるべきか検討研究を重ねておるところでございます。そうしたところにおいて、本県の山村対策についての提言を行っていかなければならないと思います。また、お話ございましたように、非常に厳しい段階でございます。総知を結集しての検討、そしてまた提言等についても十分配慮してまいりたいと思っております。
 それから、関西国際空港でございます。
 まず飛行経路についてでございますけれども、運輸省から正式な話がございませんので確たることは申し上げられませんが、現在、運輸省において検討されておると聞いてございます。
 しかしながら、この問題について本県としては、居住地域に航空機騒音等による影響が及ぶことがあってはならないと考えております。今後提示があった時点で、県議会のご意見をいただきながら適切に対応してまいりたいと思っております。
 次に、全体構想でございます。
 全体構想については、私は第六次空港整備計画でその推進ということが我が国の空港整備方針として正式に位置づけられたものであると思っております。そうした関係から、現在も関西政財界が一体となって実現に努力しておるわけでございますけれども、今後ともなお一層努力するとともに、私もその一端を担って積極的に進めてまいりたいと思っております。
 次に、リゾート博でございます。
 目標入場者数の見直しについてでございます。
 お話ございましたように、我々が考えている数よりも予測調査の方が多いわけでございまして、このことは非常にありがたいことでございます。
 ただ、交通対策についてこの夏から調査を行っておるところでございまして、それに基づいて海上なり道路なりの体系とにらみ合わせながら決定したいと思っておるわけでございます。見直しをしなければならないと思っておりますし、こうした結果を見てできるだけ早期に決定したいと思っておるところでございます。
 また、この博覧会の位置づけでございます。
 この博覧会は、関西国際空港の開港を契機に、二十一世紀に飛躍しようとする本県を国内外にアピールするとともに、豊かな自然、文化、歴史資源を活用した燦黒潮リゾート構想の推進や地域の活性化を図るべく進めておるものでございまして、できるだけ多くの人に参加していただきたいと思っておるところでございます。
 また、終了後の問題でございますけれども、これもお話ございましたように、一過性に終わらせてはならないと思っておるわけでございます。この博覧会を通じて、和歌山の国際的なリゾートエリアとしての定着を図り、また、この博覧会を開催するに当たって培われたノーハウや内容を本県の財産としてどのように活用していくかということを今後十分検討してまいりたいし、さらにまた、本県で設置計画しているマリーナシティ和歌山館(仮称)を通して本県のすばらしい文化等を知らせてまいりたいと思います。
 何と申しましても、このリゾート博を成功させて、そしてその成功させた県民の総力を今後の県勢発展のために大いに活用してまいりたいと存じておるわけでございます。
 他の問題は、部長から答弁させていただきます。
○議長(馬頭哲弥君) 総務部長山中昭栄君。
  〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 地方の問題について、ご提言を含めて七点お尋ねがございました。
 まず、過疎町村の問題についてでございます。
 ご指摘のような人口動態を考えますと、過疎化、高齢化にどのように対処していくかがこれからの行政の大きな課題であると考えております。本県の過疎町村における人口の減少、とりわけ若い人たちの流出が深刻な状況にございまして、このまま推移をいたしますと、特に出生数の少ない町村において、将来地域社会として成り立っていくのかどうかという懸念もございます。このことは、当該地域だけではなくて国土の荒廃にもつながる問題であると認識いたしております。
 四全総においては多極分散型国土の形成をうたっておりますし、また平成元年十二月に出された新行革審の答申でも、農山漁村における地域社会の維持、振興のための支援方策の充実が必要とされておりますけれども、若者の人口流出を防いで定住を促進するための決め手、効果的な処方せんを提示することは、当該町村はもとより県としてもこれまで真剣に取り組んできたところでございますが、実際問題としてはなかなか難しい面がございます。何よりもまず、水と緑の保全といったこれらの町村が持っている公益的な機能の維持、活用が国土政策の観点から進められなければならないと考えております。
 これとあわせまして、我が国の社会経済全体を考えた場合に、こういった問題の背景には幾つかの不均衡が存在していることを認識いたしまして、その是正を図っていくことも必要であります。東京一極集中に見られるような大都市と地方、バブルと言われた投機経済と実態経済、さらにGNPと生活実感、こういったものがその例でございます。こういう状況の中で、地方団体といたしましても、地域政策に関してその力量が問われるところでございまして、従来とは異なった角度から施策の展開を図っていくことが大切でございます。
 具体的には、ふるさと創生という観点から、ここ数年来さまざまな手厚い財政措置が講じられてきておりまして、一億円をどう使うかということだけではなくて、ソフト、ハード両面において住民が真の豊かさを実感できるような各種施策を推進するとともに、雇用の場の創出のためにふるさと財団融資の活用などを図ってきたところでございますし、県においても補助金、貸付金、情報の提供等、できるだけの支援措置を講じてきております。また、新過疎法の趣旨を踏まえて、過疎町村の事業実施に当たっては、人口の流出防止だけではなくて、生きがい対策、健康・福祉といった高齢化への対応という点にも配意をしなければならないと考えております。
 今後の変化を予測することは容易ではございませんが、それぞれの町村が地域づくりのために、いかに創意工夫を凝らし、主体性を持っていくかが重要でございます。今後も、息の長い取り組みが必要になってくると考えております。
 なお、過疎対策に関して雇用の確保についてのご提言をいただきましたが、経済的な側面から言いますと、民間活力をいかに育て、あるいは導入し活用していくかということが地域活性化の決め手となると思います。しかし、立ち上がりの時期において、いわゆる官主導で地域の特性を踏まえた産業の振興を図ることも大切でございます。例えば、観光事業などについては公営企業としての経営の可能性を探っていくことも一つのアイデアであろうかと考えております。
 次に、新しい地方の問題についてでございます。
 東京一極集中への対応の一つとして、あるいはまた地域活性化の戦略として、拠点となる核都市を整備し、その自立的発展を促していくことが必要であることはご指摘のとおりでございます。
 これまでも、さまざまな行政分野で市町村相互間の協力がなされてきておりますが、どちらかというとそれらは事務の共同処理に主眼が置かれておりました。行財政能力や政策形成能力を高めながら周辺地域と一体化した圏域を形成するという観点から、単なる経済的な格差の是正を超え、誇りを持って住み得る、多様で個性的な地域の振興を図っていくべきであります。そうすることによって、都市におけるにぎわいや活力、田園におけるゆとりや潤いをともに享受し得る地域社会が育ち、また小規模町村の自立も確かなものになっていくと考えております。
 もとより、この過程は現行制度の改善とその発展の道筋の上にあるわけでございまして、特に市町村行政の主体性の強化のための制度的な条件整備が不可欠でございます。さらに、複合事務組合やふるさと市町村圏制度、町づくり特別対策事業などを活用し、都市と周辺市町村から成る社会生活圏に即応した行政の展開が必要となってまいります。
 この場合の核都市の規模でございますが、ご指摘の都市機能の集積を高めるということは、言いかえれば規模の利益を発揮するということでもございまして、感覚的には十万人オーダーの人口規模が必要と思われますが、その地域の立地条件や産業構造、基盤整備の蓄積度などにもかかわる面がございまして、一概には言えないのではないかと思います。
 二点目の、五十万人を超える地方中核都市の育成についてでございます。
 確かに、人口規模の大きさは、その都市にそれだけの吸引力があるということでもございます。その限りでは県全体の発展にもプラスであると言えましょうが、反面、その吸引力が県の内側に向いたときには地域格差を拡大するということにもなりかねません。和歌山市については、この点に配意をして基盤整備を進め、産業構造の多様化をして県都としての発展を図っていくことが必要であると思います。
 最後に、研究会の設置でございます。
 地域振興のためには、情報、意欲、財源、それとともに資源、地域特性を生かす知恵をいかに出していくかが大きな要素となります。県といたしましても、政策提言を行えるだけの調査研究を進めていくことが大切であると考えておりまして、特に県庁内の若い人たちの新鮮な感覚、アイデアを生かしていけるように、関係部局ともよく相談をしながら検討していきたいと考えております。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 関西国際空港に関連するご質問にお答えいたします。
 まず国内便の確保については、議員ご指摘のように、適正な着陸料金の設定や空港としての利便性及び飛行時間、他の空港との競争力の確保等さまざまな課題がございますが、県民の利便性確保は何にも増して重要と考えてございまして、今後とも国、関西国際空港株式会社さらには航空会社等に対し、県議会のお力添えをいただきながら、国内便確保に向けて積極的な働きかけを行ってまいりたいと存じます。
 次に、国内線のネットワークの問題についてでございます。
 国内便の路線については、本県が実施した県民アンケート及び県内企業アンケートの結果や三点セット時の需要の想定等を踏まえ、東京便はもとより、札幌、仙台、福岡、鹿児島、那覇等の国内主要空港やさらには主要な地方空港との具体的なネットワーク化を検討するとともに、引き続き、国、関空会社、航空会社等に対して要請してまいりたいと存じます。
 次に、第一種空港の設置主体の問題でございます。
 第一種空港については、議員ご指摘のとおり、本来、国が設置、管理するのが原則でございます。しかしながら、関西国際空港の第一期計画においては、当時の国の財政事情及び民間活力導入政策推進等の社会情勢を背景に空港整備法が改正され、国、地方公共団体及び民間が出資する特殊法人として関西国際空港株式会社が設立されたところでございます。
 第二期計画については、空港整備法の関係もございまして極めて難しい問題であると存じますが、事業主体、事業手法等について、国、地方公共団体、さらには民間とで十分協議しなければならないものと考えてございます。
 次に、懇談会報告に係る取り組みについてのご質問でございます。
 関西国際空港全体構想推進懇談会報告については、全体構想の早期実現に向けての一つの提言であると受けとめてございます。現在、関係者間において、この問題についての議論はいたしてございません。第二期計画の事業主体及び財源問題を含めた事業手法等については、調査の進捗を見きわめながら、事業計画が明らかになっていく段階で、国及び関係者間において協議検討していかなければならない問題であると考えてございます。
 次に、第二期計画の整備の時期についてでございます。
 昨年の航空審議会答申において、第一期計画の滑走路処理能力の限界に達するまでの間に整備を進めることと明記されているところでございます。第二期計画の具体的な事業手法、事業主体等については、国初め関係者間において協議調整が進められることになると存じますが、そうした過程において本県の対応について県議会の皆様のご意見をいただきながら検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、関西国際空港関連地域整備計画についてでございます。
 現在、計画に盛り込まれた事業については、各事業主体において鋭意事業の推進が図られているところでございます。しかしながら、一部の事業においては、地元合意形成のおくれや用地買収の難航等により進捗がおくれているものもございます。これらについては、関係部局と連携を図りながら事業のなお一層の進捗を図ってまいる所存でございます。
 また、関連の施策についてでございます。
 地域整備計画では、関西国際空港の持つ広域的かつ高速性を有する輸送機能を積極的に活用したプロジェクト展開を図ることといたしてございまして、具体的には関西国際空港からもたらされる高付加価値な物資などを集積する物流機能、またそれを支える国内外の情報機能や商業機能、さらには国際交流機能など、さまざまな機能を備えた国際的な複合輸送拠点の整備等について検討を進めているところでございます。また、現在の地域整備計画における紀の川テクノバレー計画をさらに発展させ、京阪神に次ぐ関西第四の都市圏とも言うべき紀泉臨空都市圏において主要な機能を担う新都市拠点の形成、臨空型産業の形成、並びに空港直結機能充実を主眼とした広域交通体系整備を骨子とした紀の川臨空都市整備推進調査を本年度、国の協力も得ながら実施をいたしたく、今議会に補正予算としてお願いいたしてございます。今後とも、議員ご指摘のように、新たな効果を生み出す施策を取り入れられるよう努めてまいりたいと存じます。
 次に、関西国際空港への乗り入れ国と協力関係を結ぶための方策等についてでございます。
 本県に海外の人、物、情報を積極的に受けとめていくためには、議員ご提言のとおり、関西国際空港に乗り入れる多くの国々との緊密な交流はぜひとも必要でございます。そのためには、海外に向けた本県のPRも必要であり、海外からの受け入れ態勢の充実も図らなければならないと考えてございます。関西国際空港の開港を機に、幅広い友好関係の実現に向け、友好関係を結び得る相手先の調査検討を進めることにより外国人の来県の機会の拡大が図られるよう、関係部局と連携し対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 知事公室長市川龍雄君。
  〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 世界リゾート博についてでございます。
 まず、企業等の参加についてでございます。
 現在、出展が決まっている企業、団体についてでございますが、パビリオンの出展面積の目安を約一万平米に置いて、これをめどに鋭意要請活動を行ってきたところでございます。現在、近畿地建グループや和歌山市の公共パビリオンのほかに数社の民間パビリオンの内諾を得てございますが、企業名については、企業の広報戦略の事情や現在交渉中の他の企業への影響等から、いま少し調整を図った上で発表したいと考えてございます。
 パビリオン出展については、予定どおり確保できる見込みでございまして、出展要請の状況としてはおおむね順調に進んでいるところでございます。
 また今後、目標入場者数を見直した場合に、企業、団体の対応に変化があるかどうかについてでございますが、ご指摘のように、企業がパビリオンを出展する場合に、目標入場者数が一つの大きな判断基準になろうかと存じます。しかしながら、最近の厳しい経済情勢の中で各企業に出展要請をお願いし、これまでのところ要請活動は順調に進んできておりますので、目標入場者数の見直しによるパビリオン出展への影響は小さいものと思われますが、幅広く要請を行っていく施設参加や営業参加については効果が期待できるものと考えてございます。
 次に、県内企業、団体の参加についてでございます。
 この世界リゾート博は、通商産業省のジャパンエキスポ制度の認定を受けており、地域産業の振興が大きな柱の一つとなってございます。したがいまして、県内企業等を国内外にアピールするために、パビリオン出展や出展協賛をしていただくとともに、地場産業や伝統工芸の展示、紹介のため和歌山プラザを設置するなど、今後さまざまな形での参加を具体的にお願いし、地域産業の振興を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、関西国際空港とのかかわりについてでございます。
 運輸大臣や関西国際空港株式会社の社長などにリゾート博の名誉顧問に就任いただくとともに、出展イベント等については関西国際空港株式会社ではプロジェクトチームをつくって検討をいただいているところでございます。また、運輸省についてもパビリオンの出展を検討していただいているところでございます。
 次に、関西国際空港への乗り入れ諸外国への参加の働きかけ、また外国や航空会社へのアプローチについてでございます。
 議員ご指摘のように、世界の国々に和歌山に目を向けていただく上で、リゾート博は絶好の機会であると考えてございます。これまで、大阪国際空港乗り入れの航空会社三十三社で組織する関西エアライン協会に対してことしの五月に説明会を行い、出展スポンサー等の協力要請を行うとともに、外国政府観光局等の代表で組織する在日外国政府観光局代表協議会に対しても、ことし五月に現地を視察していただいたところであり、近く東京において出展参加などのお願いをすることになってございます。
 さらに、姉妹都市や海外移住等で関係の深い国々に対するアプローチについてでございます。
 友好提携を結んでいる中国山東省については、リゾート博が開催される平成六年がちょうど友好提携十周年に当たりますので、出展、イベントなどを中心に参加の話し合いを現在進めているところでございます。なお、県内自治体については、四市四町が海外十五都市と友好提携を行っておりますので、それぞれの関係市町を通じて参加の呼びかけをしてまいりたいと存じております。また、海外移住で関係の深い国々に対しては、これまでそれぞれの在外県人会を中心にリゾート博のPRなどを行うとともに、リゾート博が開催されるのを機に、里帰りを兼ねた参加を呼びかけているところでございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 商工労働部長中西伸雄君。
  〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) マリーナシティと地域経済についてでございます。
 マリーナシティの建設は、県においても地域経済の活性化に大いに期待をしているところでございます。埋立事業における受注業者の内訳についても、元請業者五十八業者中、県内企業が三十二業者ございます。下請業者については、その大半が県内企業と伺っております。議員お話しのマリーナシティの諸事業及びそれらの管理運営方法等については、現在のところ決定されていないところでございます。
 県といたしましては、引き続きマリーナシティの建設、及びその後の施設運営面での県内企業優先参画、マスタープラン発表時に地元優先等、需要目標を含め公表するよう松下興産に対し強く申し入れを行っているところであります。なお、このことについては基本的には理解を得ているところでございます。
 一方、企業といたしましては、コストとサービスの競争という原則がございます。さらに、議員ご指摘の規模、資金力、ノーハウ等々、県内の企業は越えなければならない問題点も多くあるわけでございます。これらを県と地域が一体となって克服するために、本年二月に地元商工会議所等が組織するマリーナシティ連絡協議会を発足させ、受注に関する研究検討を進めておるところでございます。五月に講習会を開き、またこの十月には現地調査を予定しているところでございます。
 今後とも、県内産品の活用、テナントへの参画、地元雇用等、さらに地域への経済波及効果を高められるよう、関係機関と連携を図りながら、県内企業の参画に積極的に努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 4番石田真敏君。
○石田真敏君 時間がありませんので、意見、要望を申し上げたいと思います。
 最初の地方の問題ですが、これは非常に大切な問題だと思っております。ただ、難しいということも言えるかと思いますが。
 言えることは、今までどおりの考え方でこれから十年、二十年やっていくということは、もうできないんじゃないかという気がしておるということなんです。つまり、対症療法的に事を処していけば、行政をやっていけばいいということでは、もうないと思います。和歌山県という立場から県下市町村を眺めたときに、いかに戦略的な対応をやっていくか。どこかがそういうことを考えないといけない時期に来ているんじゃないか。そうでないと、十年先、二十年先には大変なことになると思います。研究会をつくっていただくということですから、大いに期待をいたしますので、真剣な取り組みをお願いいたしたいと思います。
 それから、関空についてです。
 私は、今回なぜ、一見、今までに言われたような質問をしたかというと、今後どんな問題に取り組んでいかなければならないかを浮き彫りにしたいと思ったからなんです。あえて言えば、和歌山県の意思を出されたらどうかということです。全体構想もそうです。国内便もそうです。なぜネットワークを聞いたか。頼みに行くときに、国内便をよろしくお願いしますじゃ迫力がないんですよ。羽田便何便下さい、札幌便何便下さいと言わないと迫力がない。そこに和歌山県の意思があるのかということをぜひお聞きしたかった。全体構想でもそういうことなんです。そういうことを踏まえて今後対応していただきたいと思います。
 それから、リゾート博です。
 知事は、できるだけたくさんと言われました。そうすると、うたい文句の体験はどうするのかということが問題になってくると思うんです。やはり皆さんは、体験を楽しみにということで来ている。世界リゾート博の売り物です。来たけれども体験できなかったということは、すなわちイメージダウンになるんです。ですから、その辺をいかにうまく処理するか、これから本当に真剣な議論をしていただかないと、たくさん来てもらったらいいというだけでは済まないと思いますので、そういう面での今後の検討もお願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で石田真敏君の質問が終了いたしました。

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