平成4年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成四年十月七日(水曜日)
  午前十時開議
  第一 議案第百十号から議案第百三十三号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百十号から議案第百三十三号まで(質疑) 
 二 一般質問
出 席 議 員(四十五人)
 1  番  尾  崎  要  二
 2  番  中  村  裕  一
 3  番  下  川  俊  樹
 4  番  石  田  真  敏
 6  番  木  下  秀  男
 7  番  岡  本 保
 8  番  藁  科  義  清
 9  番  北  村 翼
 10  番  小  川 武
 11  番 上野山  親  主
 12  番  井  出  益  弘
 13  番  町  田 亘
 14  番  尾  崎  吉  弘
 15  番  門  三佐博  
 16  番  西  本  長  弘
 17  番  高  瀬  勝  助
 18  番  冨  安  民  浩
 19  番  和  田  正  一
 20  番  阪  部  菊  雄
 21  番  平  越  孝  哉
 22  番  大  江  康  弘
 23  番  岸  本  光  造
 24  番  山  本 一
 25  番  吉  井  和  視
 26  番  浜  田  真  輔
 27  番  堀  本  隆  男
 28  番 宇治田  栄  蔵
 29  番  富  田 豊
 30  番  中  村  利  男
 31  番  馬  頭  哲  弥
 32  番  宗 正  彦
 33  番  鶴  田  至  弘
 34  番  上  野  哲  弘
 35  番  村  岡 キミ子  
 36  番  松  本  貞  次
 37  番  木  下  義  夫
 38  番  和  田  正  人
 39  番  中  西  雄  幸
 40  番  橋  本 進
 41  番 野見山   海
 42  番  森 正  樹
 43  番  浜  本 収
 44  番  新  田  和  弘
 45  番  浜  口  矩  一
 46  番  森  本  明  雄
欠 席 議 員(なし)
 〔備 考〕
 5  番  欠  員
 47  番  欠  員
説明のため出席した者
 知 事 仮  谷  志  良
 副知事 西  口 勇
 出納長 梅  田  善  彦
 知事公室長 市  川  龍  雄
 総務部長  山  中  昭  栄
 企画部長  佐  武  廸  生
 民生部長  吉  井  清  純
 保健環境部長  遠  藤 明
 商工労働部長  中  西  伸  雄
 農林水産部長  中  村 昇
 土木部長  山  田 功
 企業局長  高  瀬  芳  彦
  以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 岩  崎  正  夫
 教育長 西  川 時千代  
  以下教育次長
 公安委員会委員長
 玉  置  英  夫
 警察本部長 中  長  昌  一
  以下各部長
 人事委員会委員長
 水  谷  舜  介
  人事委員会事務局長
 代表監査委員  天  谷  一  郎
 選挙管理委員会委員長
 稲  住  義  之
  選挙管理委員会書記長
  地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長  塩  崎  省  吉
 次  長  中  村 彰
 議事課長  中  西  俊  二
 議事課副課長  佐  竹  欣  司
 議事班長  松  谷  秋  男
 議事課主事 古  井  美  次
 議事課主事 松  本  浩  典
 総務課長  川  端  孝  治
 調査課長  大  畑 巌
 (速記担当者)
 議事課主査 吉  川  欽  二
 議事課主査 鎌  田 繁
 議事課速記技師 中  尾  祐  一
 議事課速記技師 保  田  良  春
  ──────────────────
  午前十時二分開議
○議長(馬頭哲弥君) これより本日の会議を開きます。
○議長(馬頭哲弥君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から現金出納検査結果の報告がありましたので、報告いたします。
 次に、報告いたします。
 過日提出のあった議案第百十九号及び議案第百二十四号については職員に関する条例の改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
  〔職員朗読〕
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 和人委第238号
 平成4年9月30日
 和歌山県議会議長  馬 頭 哲 弥 殿
  和歌山県人事委員会委員長  水 谷 舜 介
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成4年9月29日付け和議会第207号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
 記
 議案第119号  和歌山県職員の賞じゆつ金に関する条例の一部を改正する条例
 議案第124号  和歌山県警察職員の賞じゆつ金に関する条例の一部を改正する条例
 意  見
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
  ──────────────────
○議長(馬頭哲弥君) 日程第一、議案第百十号から議案第百三十三号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 4番石田真敏君。
  〔石田真敏君、登壇〕(拍手)
○石田真敏君 地方の問題についてお伺いいたします。
 現在、地方は大きな分岐点に差しかかっていると思います。今までは、人口が減り、活力が低下することについて危機感がありました。これに対し、今では特に過疎化の進行している農山村を中心に、次代を担う若者の流出により、コミュニティー自体が崩壊するのではないかという危機が、まさに訪れようとしているように思われるのであります。そしてまた、大都市圏への人口、機能の集中が依然として続き、さきの国勢調査で十八もの道県で人口減少となりました。地方の衰退が一層深刻なものとなっているのであります。まさしく、今までとは違った新しい過疎の状況であり、新しい地方の状況であると私は思います。高齢化が進み、若者が流出するという状況がこのまま続けば、当然の帰結として地域人口は激減し、地域衰退から崩壊へとつながっていかざるを得ないのであります。このまま崩壊に向かうのか、それとも、言われて久しい言葉ですが、本当の意味での「地方の時代」をつくり出していくことができるのかの分岐点に立っていると思います。
 そしてこの問題は、本質的には前の島根県知事の恒松制治氏の指摘されるように、「個々の地方団体あるいは地域社会が、自分たちの地域をどうするのかということを考えるのを通り越した段階にある。したがって、国の政治あるいは国の行政としてこうした問題を一体どう解決するのかということが今求められている」、そういう状況にあると私も思います。そしてそのためには、今の地方自治制度、あるいは中央と地方のあり方を含めた今の行政システムでよいのか、そういうところまでの議論がなされなければならないとも思います。
 このような中で、大多数は現行行政システムの中での議論ではありますが、最近、地方についての議論が目立って大きくなってきているようであります。第三次行革審の第二次答申、地方拠点法、パイロット自治体構想、さらには生活大国五カ年計画などであります。
 このような地方を取り巻く議論について知事は具体的にどのように認識しておられるのか、また全国知事会等を通じてどのような活動をされていこうとされているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 ここで、昨年、総合研究開発機構が発行した「若者の意識・行動と地域活性化─なぜ『東京』に集まるのか─」を見てみますと、そこに寄せられた全国各地のシンクタンクからの報告は、地方の悩みが全国共通のものであることを示しています。すなわち、若者の流出は全国共通の問題であり、その原因も異口同音であります。大きく分けて三つの原因が指摘されていますが、それは都会における就業機会の多さ、文化的刺激、そして生活面での利便性と多様性であり、さらにそれらすべてを貫く選択の自由の高さであります。
 また、和歌山のシンクタンクである和歌山社会経済研究所からの報告では、「和歌山においては、高次都市機能、文化施設や遊び場所が乏しく、特に若者にとっては自己表現、行動の場が少ないため都市圏への流出が加速されている」とし、「リゾートだ、観光だというだけでなく、生活、教育、文化まで含めたトータルな空間システムの構築が早急に望まれる」と指摘しています。
 こういう状況の中で、地方における二つの問題について質問いたしたいと思います。
 一つは、高齢化の進展と若者の流出の中で、コミュニティー自体の崩壊に直面している地域の今後の地域づくり、町づくりにどう取り組んでいくのか、すなわち新しい過疎の問題にどう対応していくのかという点であります。
 またもう一点は、地方拠点法の考え方やことしの「建設白書」の指摘に見られるように、「核都市の人口が三十万人以上ないと、その都市圏では将来も人口増加が望めない」、さらにまた「全国平均以上の人口増加率を維持するのは核都市の人口が五十万人を超える都市圏に限られる」との「建設白書」の予測に対しどう対応していくのか、すなわち新しい地方の問題にどう取り組んでいくのかという点であります。
 まず、新しい過疎の問題についてお伺いいたします。
 平成三年度版「過疎白書」によりますと、「近年、東京一極集中が進む中で、多くの過疎地域においては、人口の減少が引き続いているばかりでなく、高齢者が多く若者が少ないなど、地域の活力が低下していると言わざるを得ない状況にある」と指摘されています。さらに、「過疎地域の財政状況は、地方税を初めとする自主財源が極めて乏しく、地方交付税や地方債に依存せざるを得ない脆弱なものとなっている」とも、また「過疎地域は、全国より約十九年も先行した高齢化社会になっている」とも指摘されております。
 このような指摘を目の当たりにいたしますと、これらの町村は十年先、二十年先には一体どうなっていくのか、どうなっているのかという素朴な疑問がわいてくるのであります。果たして町村として、コミュニティーとして存続し得るのかという疑問であり、不安であります。現に、県下市町村のうち国の過疎法対象町村は十七町村であります。また、高齢化率が二○%を超える町村は全市町村の五割弱に当たる二十四町村、さらに十一町村は二五%を超えているのであります。これらの町村について十年先、二十年先を考えたとき、県はどういう姿を想像されているのかをお聞かせいただきたいと思います。
 また、こういう状況に対して、平成二年施行の過疎法では、それまでの第一次、第二次過疎法とは違った対策が打ち出されております。この新過疎法をも含めて県としてはどのような対策をされているのか、また、これらの対策によってこれら町村がどう変化すると見通されているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 また、過疎対策としての一つの提言でありますが、明治当初、日本は文明の進んだ西洋から見れば極東の一小国でありました。そのために、時の為政者は官営工場の設立とその民間への払い下げという手段によって日本近代化の基礎を築いた故事に倣い、過疎地域において非常に難しい民間企業誘致よりも、地域の特性を生かした官営工場あるいは企業の設立によって自前で雇用の確保と若者の定着を図り、地域の活性化を図るというような観点も必要ではないかと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、新しい地方の問題についてお伺いいたします。
 一点目は、地方拠点法の考え方や「核都市の人口が三十万人以上ないと、その都市圏では将来も人口増加が望めない」という「建設白書」の予測についてお伺いいたします。
 前の総合研究開発機構理事長の下河辺淳氏は、要約すると、「良好な居住環境や文化情報などのいわゆる高次都市機能の充実が、道路、上下水道などの基礎的な都市機能の充実とともに図られれば、必ずしも東京に集中する必要がなくなった時代を迎えた」、このように最近指摘されております。とするならば、いかにして若者が定住できるような、また企業が立地できるような、都市機能の充実を含めた環境づくりを地方がなしていけるかが問題となってくると思います。しかし、現在の県下の市町村の状況でこれをなし得るでしょうか、否と言わざるを得ないと思います。
 例え話をいたしますと、海南市では、ここ数年、市民会館の建てかえが市民の大きなテーマであります。しかし、国土庁の都市機能要覧を見てみますと、人口五万人都市でショービジネスが成り立つと思われる座席数千席を超える文化会館を持つのは全体の二割強にすぎないのであります。十万人都市でも四割にすぎません。そこで、海南市として仕方なく座席数五百席の市民会館をつくったとして、本当に市民が喜び、若者が定住し、企業が立地する要件である都市機能の一つになり得るでしょうか。
 これは一例でありますが、その他の都市機能においてもこのようなことが見られるのであります。確かに、幾つかの資料で人口規模別の各種都市機能の集積状況を見てみますと、三十万人都市、二十万人都市、そして十万人以上と未満では、その集積状況に大きな差を生じております。そして特に、人口二十万人未満の都市では、その機能集積度は非常に低いと言わざるを得ません。
 ここで、県下市町村の状況を見てみますと、和歌山市を除いては約七万人の田辺市が最も大きい都市でありますが、今まで申し上げた今日の全国的な潮流から言うならば、県下市町村が現在のままの規模で今後も存続していくことは、それぞれの縮小再生産を意味することになります。
 であるとするならば、二十一世紀に生き残るために、戦略的な発想のもと、さらなる広域行政の推進や市町村合併などによって地域の行財政能力を高め、都市機能の集積も高めて全国的潮流に耐え得る核都市並びに都市圏づくりをしていかなければならないと思います。県としてはこのことについてどういうご所見をお持ちなのか、お伺いいたします。また、その場合、核都市はどのくらいの規模が必要であると認識されているのかもお聞かせいただきたいと思います。
 また二点目として、「建設白書」の「全国平均以上の人口増加率を維持するのは核都市の人口が五十万人を超える都市圏に限られる」との予測についてお伺いいたします。
 あくまでも予測ではありますが、この予測に対しても県下にはこれを満たす都市がないのであります。辛くも可能性のあるのは人口四十万人の和歌山市だけであります。しかし、和歌山県として今後より以上の発展を目指す以上、全国に伍していける五十万人を超える地方中核都市を育て上げていかなければならないのではないかと思いますが、県としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。また、そのための方策についてもお聞かせいただきたいと思います。
 以上、大きく分けて二点について今後の地方の問題についてお伺いをしてまいりましたが、一点目の過疎問題は言うに及ばず、二点目の核都市づくりにおいても、「どのような産業でも基盤ができたところには出ていくが、経済が先行していくことは極めて難しい。それだけに、札幌、仙台、福岡以外では公的な基盤整備ができていないと難しい」との指摘が産業界の方からなされる現状では、和歌山県を初め大多数の県では、いずれの問題についても現下の地方自治制度、行政システムのもとでは、さしずめ国に大きな期待をせざるを得ないのが現実であります。
 そこでまず、県が中心になって県下市町村の将来についての研究会などを設置されてはいかがかと思います。また同時に、地方六団体などを通じて、国に積極的に今後の地方とのあり方に対する発想や施策の転換を求めていかなければ地方にあすはないと思いますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、ようやく開港時期をあとわずか二年後の平成六年夏とまで特定できる状況を迎えた関西国際空港について、和歌山県として今後も取り組まなければならない、大きく分けて三つの問題についてお伺いをいたします。すなわち、一つは関西新空港における国内便確保について、二つ目は全体構想の早期実現について、三つ目は空港関連地域整備事業についてであります。
 まず第一番目は、かつて知事も「政治生命をかける」とまで言われた関西新空港への国内便確保問題であります。
 去る九月十日付の日本経済新聞によりますと、「関西国際空港会社では、九四年夏の開港時に一日あたり国際線約九十便、国内線約七十便を確保したい考え。このうち国際線については目標達成のめどがついたが、国内線は大阪国際空港(伊丹)に比べて割高とされる着陸料金がネックとなって三十便程度にとどまる見通しのため、国内線誘致に全力を挙げることにした」と報じられております。
 また、山形新幹線の誕生によって羽田─山形便が大きく影響を受けているように、新幹線の高速化が国内航空事業にも大きく影響することが予想されてまいりました。また、当初より指摘されておりましたが、伊丹─羽田間と関空─羽田間との約三十分という時間距離の差も、伊丹存続となった以上、大きな要素として取り上げられることになると思います。
 このような状況の中で、今後、県としては関空会社に協力していくのは当然でありますが、これらの状況をどう受けとめ、どう取り組もうとされているのか、さらには、九月六日付の朝日新聞に「中・四国など近距離線は大阪空港、北海道や沖縄など長距離線は新空港」と報じられていますが、例えば七十便でどのような国内線のネットワークを築くことが県としてベストであると考えておられるのかもお伺いをいたします。
 また、今申し上げました伊丹との約三十分の時間距離差がある問題とも相まって、去る九月の新聞各紙には再び陸上ルート案が検討されている旨、報じられております。このことについては、去る二月に行われた関空対策特別委員会と県選出国会議員との懇談会では明確に否定されました。にもかかわらず今回再び報じられたわけで、運輸省の常套手段とはいえ、まことに遺憾と言わざるを得ません。
 新聞によりますと、「地元泉州の首長らは、『国のやることは信じられない』と一様に不快感をあらわにし、和泉市の池田市長は、『時間や経費などの問題は初めから織り込み済みだったはず。大阪空港存続も、泉州に何の相談もなく国が決めたことだ。同意の大前提を崩し、信頼関係を失ってまでルートを変更する理由にはならない。騒音公害が起きないという保証もない。はっきりと反対を伝える』と、断固拒否の構えだ」と報じられております。このルート変更についての知事のご所見をお伺いいたします。
 第二番目として、全体構想の早期実現についてお伺いをいたします。
 ここで、第六次空港整備計画を受けて、地元から初めて示された全体構想推進策として注目を浴びた関西国際空港全体構想推進懇談会の報告書を見てみると、その運営主体について「二十四時間運用可能な国際空港は、国の責務において国際公共財として早急に整備する必要がある」と述べられております。しかし一方、「空港は、地域発展の核として位置づけられ、その整備に地元が積極的に参画し、推進していくことも考え合わせると、関西国際空港の第二期計画の建設に当たっては、今後、国と地元がイコールパートナーの立場に立って」とも述べられております。
 私は、運営主体としては、関西国際空港が第一種空港である以上、羽田や伊丹あるいは成田空港のように、国またはそれに準ずる公団が主体となって世界に対する日本の責務を果たすことが当然であると思いますが、このことについては、去る七月、議会に提出された関空対策特別委員会中間報告にも明記されておりますように、県選出国会議員からは空港整備法改正というのは現実的ではないとの指摘がなされました。
 そして、ことし夏、毎日新聞に掲載された「ドキュメント 関西国際空港 全国構想はいま」に描かれている大蔵省の姿勢は、一貫して全体構想については非常に厳しいものであります。そこには、日本にとって二十四時間空港をつくることの意義や国土の均衡ある発展を考慮する視点などが全く欠落しており、さらに国際空港をつくるのに採算性を偏重し過ぎる姿勢だけが目立つなど、経済合理性や需要先行型の公共投資配分という、従来からの東京一極集中を生んだ非常に近視眼的な官僚的発想しかないのであります。そして、ここに官僚政治だけが先行し、本当の政治が機能し得ていないことに非常に残念なものを感じております。
 そういう中で、日向方斎氏や佐治敬三氏のように、関西財界にも国が責務を果たすべきとの見解があります。昭和五十八年末、公団方式で決着する寸前に、当時の経済状況とも相まって、大蔵省の強い抵抗で特殊会社方式に転換、関西は地元負担を泣く泣くのまざるを得なかった経緯があるとはいえ、第一種空港は国がつくるという大原則をないがしろにすることは許されないと私は思います。このことについて県のお考えはどうなのか、お伺いいたします。
 そしてまた、さきの毎日新聞の特集では、「霞が関の関西不信は、関西が感じているレベルをはるかに超えていることは間違いない」と、大蔵省や運輸省の複数の担当者の言葉を引用しながら報じています。なぜ、これほどまでに大蔵省初め中央官庁とそごを来してしまったのかという思いがいたします。これを解きほぐさないで前に進めるのかとも考えますが、知事のご所見をお聞かせいただきたいと思います。
 また、先ほどの報告書にあるごとく、「国と地元がイコールパートナーの立場に立って」という考えをもし受け入れるとするならば、将来にわたって大きな地元負担金の問題が出てくるわけであります。この問題は、現在もオール関西で議論されていると思いますが、この議論の現状と今後の見通しはどうなのか、そして和歌山県の考えはどうなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 またもう一点、この報告書には重要なことが盛り込まれていると思います。それは、「二○○五年ごろには第二期計画の二本目の滑走路の供用開始ができるよう建設を進めるべきである」と指摘されている点であります。
 二○○五年と言えばいかにも遠い将来のように感じられますが、約十一年の工期ということになれば、二年後の一九九四年には第二期計画に着手しなければならないことになります。これは確かに一つの試案ではありますけれども、遠からずこういう事態になってくるのではないかと思います。そしてそれ以上に、二十四時間運航の国際空港としての機能から見ても、また責務から見ても当然なさなければならないと思います。そうであるならば、この第二期計画、工事への対応も県としてはすぐにでも考えなければならないことになってくるのであります。さしずめ、新たな土砂採取問題を初め種々の問題が考えられます。このことについてどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
 第三番目の問題として、空港関連地域整備計画についてお伺いいたします。
 このことについては、昭和六十一年に策定された関西国際空港関連地域整備計画に基づいて事業展開がなされ、随分その進捗が図られているように思います。しかし、その中でも当初の予想に反してその進捗が非常におくれているものがあるとすればその理由、そして今後の対策も含めてお聞かせいただきたいと思います。
 以上のように、さまざまな施策が展開されているのでありますが、少し欲を言うならば、これまでの施策はどちらかというと関空開港に伴う受け入れ態勢の整備ということが主であると思います。特にインフラ整備に重点が置かれてきたように思います。これはこれで非常に大事でありますが、しかし、いよいよ二年後に開港が特定できるようになり、空港本体の姿も徐々に見え始めてまいりますと、この空港本体と直接関連する施策あるいは施設は一体何なのか、また空港をジャンプ台のようにして利用して新たな効果を生み出す施策や施設は一体何なのかというようなことを思うわけであります。
 このような視点で眺めてみますと、昨年の九月議会で森正樹議員よりご指摘のあった物流基地に関しても、りんくうタウンを抱える泉佐野市など二市一町が、国の輸入推進地域フォーリンアクセスゾーンに内定したこと、あるいは大阪貿易会が泉大津市沖に物流情報施設を計画していることなどが新聞で報じられております。和歌山としては、このような視点に立った施策についてどのように取り組んでおられるのか、物流基地問題も含めてお聞かせいただきたいと思います。
 また、この視点に立った一つの提言でありますが、ことし一月二十九日からのフィリピンとの航空当局間協議以来、関西国際空港への乗り入れ航空路線の策定作業が順次進められております。そして、八月二十一日現在、その数は二十七カ国に達しております。しかし、今現在、これらの国々で和歌山県に興味を示してくれる国は果たして何カ国あるでしょうか。恐らく、皆無に近いのではないかと思います。もしそうであるとするならば、それこそ関西国際空港におり立った人々は、大阪、京都、神戸を目指して、和歌山に立ち寄ることなく立ち去ってしまうことになります。
 そこで、新たな課題として、関西国際空港に乗り入れてくる国々の中から和歌山県の戦略に合う国をピックアップし、それらの国々といかにすれば協力関係を結べるのか、各国を訪問してでも意見交換や和歌山のPRをするなど、新たな状況に見合った新たな行動を起こされてはどうかと思うのでありますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、平成六年七月十六日から九月二十五日までの七十二日間、和歌山マリーナシティにおいて入場者百万人を目標に準備が進められている世界リゾート博についてお伺いいたします。
 申し上げるまでもなく、和歌山県では初めての博覧会であり、ビッグプロジェクトであります。と同時に、関西国際空港の開港を控えた大阪湾ベイエリアでの唯一のビッグイベントでもあるということで、この世界リゾート博に寄せる期待は非常に大きいものがあります。
 そこで、以下、数点についてお伺いいたします。
 まず、博覧会の基本にかかわる目標入場者数についてであります。
 先ほども申し上げたように目標入場者数は百万人とされていますが、仄聞するところによりますと、三菱総合研究所の入場者予測調査では二百五十万人の入場者があると予測され、さらに会期の延長によってはまだ増加するとの予測になっているようであります。また、同規模の過去の博覧会と比較してみますと、一九八七年の東北未来博は、期間七十三日で入場者数二百九十七万人、後背圏人口四百五十三万人、一九八八年の岐阜未来博は、期間七十三日で入場者数四百七万人、後背圏人口千三百五十八万人であります。これに対し世界リゾート博は、総事業費五十億円、期間七十二日とほとんど同規模でありながら、後背圏人口は千八百七十八万人と群を抜いているのであります。
 今申し上げた過去の例、また先ほど申し上げました研究所の予測調査等から見て、百万人という目標入場者数は余りにも過小見積もりではないかと思います。そして、そうであるとするならば、このことはかえってさまざまな混乱を招くことになると危惧いたします。この際、目標入場者数を大幅に見直されるべきではないかと思いますが、お考えをお伺いいたします。そして、この目標入場者数の見直しは博覧会のあらゆる部門に影響を及ぼすことになるだけに、早急になされなければならないと思います。
 さきの議会で、目標入場者数の見直しについて、この夏の交通量調査の結果等を踏まえて検討していくとの答弁がなされていますが、この答弁からしますと、交通量のキャパシティーによって入場者が制限されるわけであります。これは当然と言えば当然でありますが、では制限された目標入場者数を設定するとして、実際の入場者もそれに制限するのかということになります。なぜならば、もし目標入場者数を大幅に超える入場者があった場合、対応し切れないことになるからであります。このように考えますと、もしコンセプトのしっかりしない中途半端な目標設定がなされるならば、さまざまな面、例えば、運営、交通、宿泊などに大きな混乱をもたらし、ひいては和歌山のイメージ自体に大きなダメージを与えることになると思います。
 そこでお伺いいたしたいのは、世界リゾート博をどのようなものとして位置づけるかであります。基本方針では、「この博覧会を通して和歌山を国内外にアピールするとともに、国際リゾートエリアとして定着させたいと考えています」とあります。すなわち、できるだけたくさんの方々に和歌山をアピールしたいと受け取れるのであります。しかし一方、第二次実施計画の中では、「ヨット、スキューバダイビングなど、リゾートにおけるさまざまな魅力を実際に体験することのできる機会を提供する」と述べられています。このことは、私もほかの博覧会にはない大きな魅力として賛成でありますが、これを実施するとなると人数が限定されたものとなるのはやむを得ないということになります。言葉をかえて言えば、できるだけたくさんの方々に来ていただけるものにするのか、入場者数を絞り込んででもグレードの高いものにするのか、それともこれらの折衷的なものにするのかということであります。どこにリゾート博を位置づけようとされているのか、明確な答弁をいただきたいと思います。
 次に、目標入場者数は企業のパビリオン出展にも大きな影響を与えると思います。以前、新聞で報じられ、九月九日付の日本経済新聞でも報じられていますが、出展企業の出おくれが問題になっています。当然、出展による宣伝効果を考える企業として目標入場者数は、出展するかどうかを判断する大きな要因の一つになるはずであります。同時期に開催される三重の祝祭博が三百万人であれば、和歌山の百万人に比べて最低三倍以上の効果を期待できることになるわけであります。当然、企業の投資額も変わってくるのであります。そういう面でも、目標入場者数の設定をどうするのかの検討が当然なされるべきだと思います。現在までに出展が決まっている企業、団体について、さらには今後、目標入場者数を見直したとき、どう変化すると予測されているのかについてお聞かせいただきたいと思います。
 また、県内企業、県内各団体、業界を国内外にアピールするために、これらに対しどのような形での参加を求められているのか、お伺いをいたします。
 次に、「関西国際空港が開港することから和歌山を国内外にアピールする」ということがこのリゾート博の目標の一つとうたわれております。では、関西国際空港との連携はどのようなものを考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
 第一に、関西国際空港株式会社さらには運輸省等関係官庁との関係でありますが、具体的にどのような協力関係を築いておられるのか、お伺いをいたします。
 第二に、先ほど申し上げましたように、既に関西国際空港への乗り入れ国が順次決定していっておりますが、そのような国々に和歌山に目を向けていただくためにも積極的にこれらの国々に参加を求めていくべきではないかと思いますが、ご所見をお伺いいたします。同時に、今日までいわゆる外国の国々あるいは航空会社に対しどのようなアプローチをされているのかもお聞かせいただきたいと思います。
 第三に、姉妹都市並びに海外移住等で非常に関係の深い国々に対してはどうアプローチされているのか、お伺いいたします。
 最後に、この世界リゾート博には県内外から二百万人以上の方々が参加していただくと言われる中で、これら参加していただいた方々、あるいは施設、ホスピタリティーを含めたソフトなどを今後にどうつなげていくのかであります。決して、線香花火的なものに終わらせてはならないと思います。このことについてどのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、和歌山県にとっては大イベントであります。そして、国内外の和歌山に対するイメージもこれによって大きく左右される可能性があります。それだけに、決して中途半端なものにだけはしてもらいたくないと思います。関空開港という時期、リゾート博というすばらしいテーマ性、そして千八百万人もの後背地人口、これだけの要件をそろえているだけに、自信を持って、中身の濃い、すばらしい博覧会に仕上げていっていただきたいと思います。そして、この前向きの姿勢こそが成功をもたらすのだと確信をいたします。
 最後に、世界リゾート博にもかかわりますが、マリーナシティと地域経済とのかかわりについてお伺いをいたします。
 申し上げるまでもなく、マリーナシティ計画は民間と公共とが相協力して行っている事業であります。それだけに、企業独自で行っている事業に比して県民の寄せる期待には大変大きなものがあります。そして、その期待の一つが地域への経済波及効果であります。関空建設においても、それへの参画あるいは地域経済波及効果について県民の期待は非常に大きいものがあります。しかし、その主体性、地域性等さまざまな要件からして、当初、期待したほどに直接的な参画という面ではその成果を上げていないようであります。規模、資金力、その他の点でやむを得ない面もあると思います。しかし、マリーナシティは関空とは違います。その主体性においても、地域性においても違います。マリーナシティ建設の主目的は地域を活性化させることであり、そのために県が全面的協力をしているのであります。それだけに、県民のマリーナシティに寄せる直接的な参画あるいは地域経済波及効果への期待には大なるものがあります。
 そこで、現在までの直接的な参画あるいは地域経済波及効果についてどのような実績を上げているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 仄聞するところによりますと、マリーナシティ内で展開されるさまざまな事業、すなわちホテル事業、大規模店舗事業、不動産販売事業、スポーツ施設事業等、多くの事業について既にそれらを管理運営するメーン企業が決定し、県内企業の参画は非常に困難だとの嘆きの声も聞こえてきますが実情はどうなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 確かに、規模、資金力、ノーハウ等により大手企業の進出もやむを得ない分野もあろうと思います。がしかし、すべて大企業が取り仕切ってしまうというのではマリーナシティ計画の地域活性化に資するという目標は非常に限られたものとなり、県民がこの計画に寄せた期待とは大いに食い違うものとなってまいります。このことについて県はどのように考えておられるのか、そして県内企業の参画をどう図られようとしているのか、さらには地域への経済波及効果をいかにして高められ、どういう効果を上げられようとしておるのかお伺いをいたしまして、質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの石田真敏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 石田議員にお答え申し上げます。
 地方の問題ということでございます。
 お話のように、東京への一極集中が進む中で、地方では過疎化、高齢化が深刻化しており、さらに東京においても過密による都市機能の停滞といった状況が生じておる現状でございまして、お話のありました新しい過疎の状況、また新しい地方の時代という形になりつつあると、私も思うわけでございます。
 先月の政府招集の知事会議においてもこの問題が特に取り上げられまして、山村問題も大きな課題でございました。私も、本県の山村の実態、若者が少ない現況、かつて「国破れて山河あり」ということが言われましたが、今はまさに山河が荒れようとしている、国はどうなるかという問題がございます。特に国際環境問題が世界的に取り上げられておる中で、外国の森林問題もさることながら、国内の森林問題の大きな影響、治水、空気等、環境の問題を国民的課題として考えなければいけないんじゃないか、農林水産省だけではなしにあらゆる角度から考えていかなければならないゆゆしき問題であるということを訴えてまいったわけでございます。
 また、行政の取り組みについてもご意見ございましたが、私もかねてから知事会等において権限委任、財源の充実を訴えてまいっておりますが、話ございました拠点都市法等々、新しい問題が出てまいっておりまして、行政の取り組みからもこうした対策を考えていかなければならないということ、同感でございます。こうした問題等については、私たちも、そしてまた国会においても十分検討していただかなければならないし、議長会においても同一歩調で進んでいただいておるわけでございます。
 また、お話ございましたように、若者の流出ということについては、やはり就業、生活環境、文化的刺激といった問題がございまして、従来から産業振興、交通網の整備等を兼ね合わせて考えておるわけでございますけれども、若人をいかに地元に残すかということをこれからもなお一層考えていかなければならないと思っております。
 特に、山村を多く抱える和歌山県でございます。山村対策については、今、国においても国土庁、自治省、農林水産省の三省庁が一体となって、いかにあるべきか検討研究を重ねておるところでございます。そうしたところにおいて、本県の山村対策についての提言を行っていかなければならないと思います。また、お話ございましたように、非常に厳しい段階でございます。総知を結集しての検討、そしてまた提言等についても十分配慮してまいりたいと思っております。
 それから、関西国際空港でございます。
 まず飛行経路についてでございますけれども、運輸省から正式な話がございませんので確たることは申し上げられませんが、現在、運輸省において検討されておると聞いてございます。
 しかしながら、この問題について本県としては、居住地域に航空機騒音等による影響が及ぶことがあってはならないと考えております。今後提示があった時点で、県議会のご意見をいただきながら適切に対応してまいりたいと思っております。
 次に、全体構想でございます。
 全体構想については、私は第六次空港整備計画でその推進ということが我が国の空港整備方針として正式に位置づけられたものであると思っております。そうした関係から、現在も関西政財界が一体となって実現に努力しておるわけでございますけれども、今後ともなお一層努力するとともに、私もその一端を担って積極的に進めてまいりたいと思っております。
 次に、リゾート博でございます。
 目標入場者数の見直しについてでございます。
 お話ございましたように、我々が考えている数よりも予測調査の方が多いわけでございまして、このことは非常にありがたいことでございます。
 ただ、交通対策についてこの夏から調査を行っておるところでございまして、それに基づいて海上なり道路なりの体系とにらみ合わせながら決定したいと思っておるわけでございます。見直しをしなければならないと思っておりますし、こうした結果を見てできるだけ早期に決定したいと思っておるところでございます。
 また、この博覧会の位置づけでございます。
 この博覧会は、関西国際空港の開港を契機に、二十一世紀に飛躍しようとする本県を国内外にアピールするとともに、豊かな自然、文化、歴史資源を活用した燦黒潮リゾート構想の推進や地域の活性化を図るべく進めておるものでございまして、できるだけ多くの人に参加していただきたいと思っておるところでございます。
 また、終了後の問題でございますけれども、これもお話ございましたように、一過性に終わらせてはならないと思っておるわけでございます。この博覧会を通じて、和歌山の国際的なリゾートエリアとしての定着を図り、また、この博覧会を開催するに当たって培われたノーハウや内容を本県の財産としてどのように活用していくかということを今後十分検討してまいりたいし、さらにまた、本県で設置計画しているマリーナシティ和歌山館(仮称)を通して本県のすばらしい文化等を知らせてまいりたいと思います。
 何と申しましても、このリゾート博を成功させて、そしてその成功させた県民の総力を今後の県勢発展のために大いに活用してまいりたいと存じておるわけでございます。
 他の問題は、部長から答弁させていただきます。
○議長(馬頭哲弥君) 総務部長山中昭栄君。
  〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 地方の問題について、ご提言を含めて七点お尋ねがございました。
 まず、過疎町村の問題についてでございます。
 ご指摘のような人口動態を考えますと、過疎化、高齢化にどのように対処していくかがこれからの行政の大きな課題であると考えております。本県の過疎町村における人口の減少、とりわけ若い人たちの流出が深刻な状況にございまして、このまま推移をいたしますと、特に出生数の少ない町村において、将来地域社会として成り立っていくのかどうかという懸念もございます。このことは、当該地域だけではなくて国土の荒廃にもつながる問題であると認識いたしております。
 四全総においては多極分散型国土の形成をうたっておりますし、また平成元年十二月に出された新行革審の答申でも、農山漁村における地域社会の維持、振興のための支援方策の充実が必要とされておりますけれども、若者の人口流出を防いで定住を促進するための決め手、効果的な処方せんを提示することは、当該町村はもとより県としてもこれまで真剣に取り組んできたところでございますが、実際問題としてはなかなか難しい面がございます。何よりもまず、水と緑の保全といったこれらの町村が持っている公益的な機能の維持、活用が国土政策の観点から進められなければならないと考えております。
 これとあわせまして、我が国の社会経済全体を考えた場合に、こういった問題の背景には幾つかの不均衡が存在していることを認識いたしまして、その是正を図っていくことも必要であります。東京一極集中に見られるような大都市と地方、バブルと言われた投機経済と実態経済、さらにGNPと生活実感、こういったものがその例でございます。こういう状況の中で、地方団体といたしましても、地域政策に関してその力量が問われるところでございまして、従来とは異なった角度から施策の展開を図っていくことが大切でございます。
 具体的には、ふるさと創生という観点から、ここ数年来さまざまな手厚い財政措置が講じられてきておりまして、一億円をどう使うかということだけではなくて、ソフト、ハード両面において住民が真の豊かさを実感できるような各種施策を推進するとともに、雇用の場の創出のためにふるさと財団融資の活用などを図ってきたところでございますし、県においても補助金、貸付金、情報の提供等、できるだけの支援措置を講じてきております。また、新過疎法の趣旨を踏まえて、過疎町村の事業実施に当たっては、人口の流出防止だけではなくて、生きがい対策、健康・福祉といった高齢化への対応という点にも配意をしなければならないと考えております。
 今後の変化を予測することは容易ではございませんが、それぞれの町村が地域づくりのために、いかに創意工夫を凝らし、主体性を持っていくかが重要でございます。今後も、息の長い取り組みが必要になってくると考えております。
 なお、過疎対策に関して雇用の確保についてのご提言をいただきましたが、経済的な側面から言いますと、民間活力をいかに育て、あるいは導入し活用していくかということが地域活性化の決め手となると思います。しかし、立ち上がりの時期において、いわゆる官主導で地域の特性を踏まえた産業の振興を図ることも大切でございます。例えば、観光事業などについては公営企業としての経営の可能性を探っていくことも一つのアイデアであろうかと考えております。
 次に、新しい地方の問題についてでございます。
 東京一極集中への対応の一つとして、あるいはまた地域活性化の戦略として、拠点となる核都市を整備し、その自立的発展を促していくことが必要であることはご指摘のとおりでございます。
 これまでも、さまざまな行政分野で市町村相互間の協力がなされてきておりますが、どちらかというとそれらは事務の共同処理に主眼が置かれておりました。行財政能力や政策形成能力を高めながら周辺地域と一体化した圏域を形成するという観点から、単なる経済的な格差の是正を超え、誇りを持って住み得る、多様で個性的な地域の振興を図っていくべきであります。そうすることによって、都市におけるにぎわいや活力、田園におけるゆとりや潤いをともに享受し得る地域社会が育ち、また小規模町村の自立も確かなものになっていくと考えております。
 もとより、この過程は現行制度の改善とその発展の道筋の上にあるわけでございまして、特に市町村行政の主体性の強化のための制度的な条件整備が不可欠でございます。さらに、複合事務組合やふるさと市町村圏制度、町づくり特別対策事業などを活用し、都市と周辺市町村から成る社会生活圏に即応した行政の展開が必要となってまいります。
 この場合の核都市の規模でございますが、ご指摘の都市機能の集積を高めるということは、言いかえれば規模の利益を発揮するということでもございまして、感覚的には十万人オーダーの人口規模が必要と思われますが、その地域の立地条件や産業構造、基盤整備の蓄積度などにもかかわる面がございまして、一概には言えないのではないかと思います。
 二点目の、五十万人を超える地方中核都市の育成についてでございます。
 確かに、人口規模の大きさは、その都市にそれだけの吸引力があるということでもございます。その限りでは県全体の発展にもプラスであると言えましょうが、反面、その吸引力が県の内側に向いたときには地域格差を拡大するということにもなりかねません。和歌山市については、この点に配意をして基盤整備を進め、産業構造の多様化をして県都としての発展を図っていくことが必要であると思います。
 最後に、研究会の設置でございます。
 地域振興のためには、情報、意欲、財源、それとともに資源、地域特性を生かす知恵をいかに出していくかが大きな要素となります。県といたしましても、政策提言を行えるだけの調査研究を進めていくことが大切であると考えておりまして、特に県庁内の若い人たちの新鮮な感覚、アイデアを生かしていけるように、関係部局ともよく相談をしながら検討していきたいと考えております。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 関西国際空港に関連するご質問にお答えいたします。
 まず国内便の確保については、議員ご指摘のように、適正な着陸料金の設定や空港としての利便性及び飛行時間、他の空港との競争力の確保等さまざまな課題がございますが、県民の利便性確保は何にも増して重要と考えてございまして、今後とも国、関西国際空港株式会社さらには航空会社等に対し、県議会のお力添えをいただきながら、国内便確保に向けて積極的な働きかけを行ってまいりたいと存じます。
 次に、国内線のネットワークの問題についてでございます。
 国内便の路線については、本県が実施した県民アンケート及び県内企業アンケートの結果や三点セット時の需要の想定等を踏まえ、東京便はもとより、札幌、仙台、福岡、鹿児島、那覇等の国内主要空港やさらには主要な地方空港との具体的なネットワーク化を検討するとともに、引き続き、国、関空会社、航空会社等に対して要請してまいりたいと存じます。
 次に、第一種空港の設置主体の問題でございます。
 第一種空港については、議員ご指摘のとおり、本来、国が設置、管理するのが原則でございます。しかしながら、関西国際空港の第一期計画においては、当時の国の財政事情及び民間活力導入政策推進等の社会情勢を背景に空港整備法が改正され、国、地方公共団体及び民間が出資する特殊法人として関西国際空港株式会社が設立されたところでございます。
 第二期計画については、空港整備法の関係もございまして極めて難しい問題であると存じますが、事業主体、事業手法等について、国、地方公共団体、さらには民間とで十分協議しなければならないものと考えてございます。
 次に、懇談会報告に係る取り組みについてのご質問でございます。
 関西国際空港全体構想推進懇談会報告については、全体構想の早期実現に向けての一つの提言であると受けとめてございます。現在、関係者間において、この問題についての議論はいたしてございません。第二期計画の事業主体及び財源問題を含めた事業手法等については、調査の進捗を見きわめながら、事業計画が明らかになっていく段階で、国及び関係者間において協議検討していかなければならない問題であると考えてございます。
 次に、第二期計画の整備の時期についてでございます。
 昨年の航空審議会答申において、第一期計画の滑走路処理能力の限界に達するまでの間に整備を進めることと明記されているところでございます。第二期計画の具体的な事業手法、事業主体等については、国初め関係者間において協議調整が進められることになると存じますが、そうした過程において本県の対応について県議会の皆様のご意見をいただきながら検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、関西国際空港関連地域整備計画についてでございます。
 現在、計画に盛り込まれた事業については、各事業主体において鋭意事業の推進が図られているところでございます。しかしながら、一部の事業においては、地元合意形成のおくれや用地買収の難航等により進捗がおくれているものもございます。これらについては、関係部局と連携を図りながら事業のなお一層の進捗を図ってまいる所存でございます。
 また、関連の施策についてでございます。
 地域整備計画では、関西国際空港の持つ広域的かつ高速性を有する輸送機能を積極的に活用したプロジェクト展開を図ることといたしてございまして、具体的には関西国際空港からもたらされる高付加価値な物資などを集積する物流機能、またそれを支える国内外の情報機能や商業機能、さらには国際交流機能など、さまざまな機能を備えた国際的な複合輸送拠点の整備等について検討を進めているところでございます。また、現在の地域整備計画における紀の川テクノバレー計画をさらに発展させ、京阪神に次ぐ関西第四の都市圏とも言うべき紀泉臨空都市圏において主要な機能を担う新都市拠点の形成、臨空型産業の形成、並びに空港直結機能充実を主眼とした広域交通体系整備を骨子とした紀の川臨空都市整備推進調査を本年度、国の協力も得ながら実施をいたしたく、今議会に補正予算としてお願いいたしてございます。今後とも、議員ご指摘のように、新たな効果を生み出す施策を取り入れられるよう努めてまいりたいと存じます。
 次に、関西国際空港への乗り入れ国と協力関係を結ぶための方策等についてでございます。
 本県に海外の人、物、情報を積極的に受けとめていくためには、議員ご提言のとおり、関西国際空港に乗り入れる多くの国々との緊密な交流はぜひとも必要でございます。そのためには、海外に向けた本県のPRも必要であり、海外からの受け入れ態勢の充実も図らなければならないと考えてございます。関西国際空港の開港を機に、幅広い友好関係の実現に向け、友好関係を結び得る相手先の調査検討を進めることにより外国人の来県の機会の拡大が図られるよう、関係部局と連携し対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 知事公室長市川龍雄君。
  〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 世界リゾート博についてでございます。
 まず、企業等の参加についてでございます。
 現在、出展が決まっている企業、団体についてでございますが、パビリオンの出展面積の目安を約一万平米に置いて、これをめどに鋭意要請活動を行ってきたところでございます。現在、近畿地建グループや和歌山市の公共パビリオンのほかに数社の民間パビリオンの内諾を得てございますが、企業名については、企業の広報戦略の事情や現在交渉中の他の企業への影響等から、いま少し調整を図った上で発表したいと考えてございます。
 パビリオン出展については、予定どおり確保できる見込みでございまして、出展要請の状況としてはおおむね順調に進んでいるところでございます。
 また今後、目標入場者数を見直した場合に、企業、団体の対応に変化があるかどうかについてでございますが、ご指摘のように、企業がパビリオンを出展する場合に、目標入場者数が一つの大きな判断基準になろうかと存じます。しかしながら、最近の厳しい経済情勢の中で各企業に出展要請をお願いし、これまでのところ要請活動は順調に進んできておりますので、目標入場者数の見直しによるパビリオン出展への影響は小さいものと思われますが、幅広く要請を行っていく施設参加や営業参加については効果が期待できるものと考えてございます。
 次に、県内企業、団体の参加についてでございます。
 この世界リゾート博は、通商産業省のジャパンエキスポ制度の認定を受けており、地域産業の振興が大きな柱の一つとなってございます。したがいまして、県内企業等を国内外にアピールするために、パビリオン出展や出展協賛をしていただくとともに、地場産業や伝統工芸の展示、紹介のため和歌山プラザを設置するなど、今後さまざまな形での参加を具体的にお願いし、地域産業の振興を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、関西国際空港とのかかわりについてでございます。
 運輸大臣や関西国際空港株式会社の社長などにリゾート博の名誉顧問に就任いただくとともに、出展イベント等については関西国際空港株式会社ではプロジェクトチームをつくって検討をいただいているところでございます。また、運輸省についてもパビリオンの出展を検討していただいているところでございます。
 次に、関西国際空港への乗り入れ諸外国への参加の働きかけ、また外国や航空会社へのアプローチについてでございます。
 議員ご指摘のように、世界の国々に和歌山に目を向けていただく上で、リゾート博は絶好の機会であると考えてございます。これまで、大阪国際空港乗り入れの航空会社三十三社で組織する関西エアライン協会に対してことしの五月に説明会を行い、出展スポンサー等の協力要請を行うとともに、外国政府観光局等の代表で組織する在日外国政府観光局代表協議会に対しても、ことし五月に現地を視察していただいたところであり、近く東京において出展参加などのお願いをすることになってございます。
 さらに、姉妹都市や海外移住等で関係の深い国々に対するアプローチについてでございます。
 友好提携を結んでいる中国山東省については、リゾート博が開催される平成六年がちょうど友好提携十周年に当たりますので、出展、イベントなどを中心に参加の話し合いを現在進めているところでございます。なお、県内自治体については、四市四町が海外十五都市と友好提携を行っておりますので、それぞれの関係市町を通じて参加の呼びかけをしてまいりたいと存じております。また、海外移住で関係の深い国々に対しては、これまでそれぞれの在外県人会を中心にリゾート博のPRなどを行うとともに、リゾート博が開催されるのを機に、里帰りを兼ねた参加を呼びかけているところでございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 商工労働部長中西伸雄君。
  〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) マリーナシティと地域経済についてでございます。
 マリーナシティの建設は、県においても地域経済の活性化に大いに期待をしているところでございます。埋立事業における受注業者の内訳についても、元請業者五十八業者中、県内企業が三十二業者ございます。下請業者については、その大半が県内企業と伺っております。議員お話しのマリーナシティの諸事業及びそれらの管理運営方法等については、現在のところ決定されていないところでございます。
 県といたしましては、引き続きマリーナシティの建設、及びその後の施設運営面での県内企業優先参画、マスタープラン発表時に地元優先等、需要目標を含め公表するよう松下興産に対し強く申し入れを行っているところであります。なお、このことについては基本的には理解を得ているところでございます。
 一方、企業といたしましては、コストとサービスの競争という原則がございます。さらに、議員ご指摘の規模、資金力、ノーハウ等々、県内の企業は越えなければならない問題点も多くあるわけでございます。これらを県と地域が一体となって克服するために、本年二月に地元商工会議所等が組織するマリーナシティ連絡協議会を発足させ、受注に関する研究検討を進めておるところでございます。五月に講習会を開き、またこの十月には現地調査を予定しているところでございます。
 今後とも、県内産品の活用、テナントへの参画、地元雇用等、さらに地域への経済波及効果を高められるよう、関係機関と連携を図りながら、県内企業の参画に積極的に努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 4番石田真敏君。
○石田真敏君 時間がありませんので、意見、要望を申し上げたいと思います。
 最初の地方の問題ですが、これは非常に大切な問題だと思っております。ただ、難しいということも言えるかと思いますが。
 言えることは、今までどおりの考え方でこれから十年、二十年やっていくということは、もうできないんじゃないかという気がしておるということなんです。つまり、対症療法的に事を処していけば、行政をやっていけばいいということでは、もうないと思います。和歌山県という立場から県下市町村を眺めたときに、いかに戦略的な対応をやっていくか。どこかがそういうことを考えないといけない時期に来ているんじゃないか。そうでないと、十年先、二十年先には大変なことになると思います。研究会をつくっていただくということですから、大いに期待をいたしますので、真剣な取り組みをお願いいたしたいと思います。
 それから、関空についてです。
 私は、今回なぜ、一見、今までに言われたような質問をしたかというと、今後どんな問題に取り組んでいかなければならないかを浮き彫りにしたいと思ったからなんです。あえて言えば、和歌山県の意思を出されたらどうかということです。全体構想もそうです。国内便もそうです。なぜネットワークを聞いたか。頼みに行くときに、国内便をよろしくお願いしますじゃ迫力がないんですよ。羽田便何便下さい、札幌便何便下さいと言わないと迫力がない。そこに和歌山県の意思があるのかということをぜひお聞きしたかった。全体構想でもそういうことなんです。そういうことを踏まえて今後対応していただきたいと思います。
 それから、リゾート博です。
 知事は、できるだけたくさんと言われました。そうすると、うたい文句の体験はどうするのかということが問題になってくると思うんです。やはり皆さんは、体験を楽しみにということで来ている。世界リゾート博の売り物です。来たけれども体験できなかったということは、すなわちイメージダウンになるんです。ですから、その辺をいかにうまく処理するか、これから本当に真剣な議論をしていただかないと、たくさん来てもらったらいいというだけでは済まないと思いますので、そういう面での今後の検討もお願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で石田真敏君の質問が終了いたしました。
○議長(馬頭哲弥君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 20番阪部菊雄君。
  〔阪部菊雄君、登壇〕(拍手)
○阪部菊雄君 九月定例議会に一般質問をさせていただくこと、今回で六回目でございます。お許しを得まして、質問をさせていただきます。
 今、まさに世界の激動と変革は何人も予測できない状況にあり、二十一世紀に向かう地球に生存する人類は、最大の苦悩と苦難の連続でもあり、一つ間違えば世界じゅうがいまだかつてなかった騒乱になる可能性の極めて高い、不安定な様相を呈していると考えられます。
 かつて私は、平成元年と三年の九月定例議会の一般質問で、マルクス・レーニンの共産主義は、武力でもっての残忍な弾圧なくして国家の機能を維持することができないと申し上げました。すなわち、一党独裁、ソ連型社会主義の崩壊はソ連東欧諸国に及び、いずれ北朝鮮やキューバ、中国に波及することは歴史的必然ではなかろうかと予測するものであります。
 思えば、我が国もバブル経済が崩壊し、そのツケが一般の国民や地方自治体や良心的に経営している企業にまで及びつつあります。我が国一番のしにせであった繊維商社のイトマンも百年の歴史を閉じました。また、四十有余年の庶民金融機関であった東洋信金も、悪女尾上縫とそれに寄生した者たちによってとうとう消滅してしまいました。さらにまた今日、マスコミや全国民を騒がしている佐川疑惑にかかわる金丸国会議員への献金五億円と上申書による略式起訴、二十万円の罰金刑で済んだということに割り切れない怒りの思いを抱いているのは、あに私一人のみにあらず、心ある国民の偽らざる心情であります。
 揺れ動くこのような世相の中で、共産党支持の真田候補に圧倒的勝利であった仮谷県政の第五期目の一年が瞬く間に過ぎ去りました。あたかも本日は、知事選挙告示のその日でもあります。
 県政を左右する大事業のマリーナシティ建設、世界リゾート博──リゾート博の第一期キャラバン隊は既に出発いたしております──コスモパーク加太、南麓サイエンスパーク計画、福祉・保健の大規模拠点である健康ふれ愛パークの開発計画等々、県勢浮揚のビッグプロジェクトが平成六年の関西国際空港の開港を目指して着々と進捗しつつあることは、県議会に籍を置く一人としてまことに喜びにたえないところであります。
 さて今回、仮谷知事から直接お答えいただく重要な問題が三点ございます。いずれも、伊都地方住民の地域開発と活性化と将来の発展のための重かつ大なるお願いでございます。
 一番目は、知事は第四期目の知事選挙の得票率は県全体で八三・九三%、三十九万三千七百八票、昨年の十月二十七日投票の第五期目の得票率は八三・七一%、三十七万六百三票という圧倒的な勝利になりました。大変うらやましいことでございます。私があえてこれに触れさせていただいたのは、本日、正面の傍聴席に──知事さん、よく見てください。たくさんお越しいただいておりますので──知事選挙に全力を挙げて支援する花園村の部矢村長さん、上西議長さん、各議員、村の重要な役職を務めておられる大多数の仮谷知事後援会のメンバーが、知事の積極的な明快なご答弁をいただきたいと、かたずをのんで見守っているからであります。どうか、村民の熱い願いを成就させていただきたいと思います。
 ちなみに、六十二年執行の知事選挙における花園村の知事得票率は九八・○五%、平成三年は九七・八%、まさに驚異的な圧勝であります。私は、厳粛なこの壇上から、傍聴席にお越しいただいております大多数の花園村の皆さんに、知事に成りかわりまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 花園村では、アイデアマンの部矢村長を先頭に、議員、村民挙げて、年々、過疎化、高齢化する山村の活性化振興を図るために、それはそれは涙ぐましい活動をされていることは、つとに知事も十二分にご認識いただいているところであります。平成三年度の観光客は約九万人、宿泊利用客は延べ二万七千九百十人でありました。また、本年七月オープンした恐竜ランドの入場者は、九月十三日現在、五万三千五百五十五人となりました。ようやく、霊峰高野山の奥深きこの山村の部矢村長初め村民の皆様の顔に自信と明るさが芽生えてまいったのであります。
 ところで、知事さんもご承知のとおり、交通アクセスとしての道路の整備が遅々として進行いたしておりません。知事、村民多年の念願である町村道花園長谷線のトンネル構想についてであります。すなわち、梁瀬から美里町長谷宮に至るトンネル千八百八十メートルの実現をしていただきたいと思うのであります。これが実現できますと、冬の積雪時も通行が可能となり、距離も一挙に六・五キロメートル短縮されることになります。
 ちなみに、県下の平成元年度から平成四年現在までの農林水産部のトンネルの実績と工事中は四工事、進行中は水上栃谷トンネル──龍神、中辺路を通じるトンネルでございます──この長さは二千三百四メートルでございます。これは、ふるさとづくり特別対策事業であります。また土木部では、六十一年度より着工完了と進行中のトンネル数は十四カ所で、いずれも山村の活性化、距離の短縮、町村間の有機的な交通アクセスのトンネルとしてなくてはならない重要なものであります。
 今、私が知事にお願い申し上げているトンネルは、花園村が将来に向かって飛躍と発展と活力を果たす重要なトンネルであります。ご厚情とご理解あるご答弁をお願いする次第であります。
 二番目は、昨年たまたま知事が橋本、伊都地方にお越しになったときのことであります。知事と一緒に九度山町奥野町長、中西議長、議員の皆さんや多数の町役職の方々が同行し、慈尊院の地域をご視察いただいたのであります。そのとき地元の皆さんから、慈尊院から高野口町大野の国道二十四号に直結する紀の川の架橋と新しい道路について陳情を受けられたはずでございます。この架橋と新しい道路は、高野口地内八号線バイパスとして知事よりご認可いただきました。目下、用地買収と工事にかかりつつあり、特にこの八号線が、京奈和大野インターより国道二十四号線まで県代行で施行していただく路線と直線で結ぶ、極めて有効な道路新設と架橋であります。九度山町では、来年より国道昇格となる和歌山橋本線と結び、さらに現在、用地買収、測量中の河南農道に結びたいということであります。そうなると高野口地内で国道二十四号線に直結し、さらに高野口町道八号線とも結ばれ、京奈和大野インターさらにまた北上して広域農道に連結される、大切な大動脈となります。ぜひ、よろしくご高配を願うものであります。
 なお、この質問に関連いたしまして、土木部長に、八号線の用地買収費と工事費を増額していただき、一日も早く完成できるようお願いいたします。
 また農林水産部長に、河南農道の現況についてご説明をお願いいたします。
 さて、三番目は、私ども地域住民や企業、自治体にとって極めて重要なものでございます。それは、高野口町松本町長が呼びかけ人代表として、南海とJRに対して働きかけている南海高野線橋本駅、JR和歌山線橋本駅を起点としての相互乗り入れのことであります。
 目下、南海高野線の複線化については多少のおくれはありますが、既に御幸辻─橋本間一・七キロメートルが工事されており、去る十月二日に現線路から新線路へ切りかえられました。現在の建設は上下線兼用の単線でありますが、平成五年十二月までにもう一本線路を敷設し、複線化の実現となります。複線化に並行して、現在の四両編成を六両にするために橋本駅のホームを拡張し、将来、八両編成まで乗り入れることができるよう計画されております。
 思い見まするに、きのくに線のスーパーくろしお号が新大阪・京都駅まで運行され、南紀新宮と直結いたしました。これにより、一般乗客の利便、地域の活性化、観光客の増加等、はかり知れないインパクトとなりました。今こそ、相互乗り入れの絶好のチャンスであります。幸い、軌道幅、電圧も同じであります。ただ、車両幅がJRの方が二十センチ広いようでありますが、ホームの改善等を行うことにより決して不可能ではありません。起点JR粉河駅から橋本駅経由難波へ、またその逆に難波から粉河駅まで、せめて朝夕の通勤時間帯に上下何本かの運行実現をするために、ぜひ知事のご協力をお願いする次第であります。特にJRは極めて消極的とのことでありますが、知事からJR西日本社長に強く要望していただきたいと思います。
 さて、昨年九月の定例議会でコスモパーク加太計画の見直しについて前企画部長に質問いたしました。提案内容は、前回より大幅で進歩的であります。すなわち、開発用地二百七十ヘクタールの計画面積の中に高・中級住宅用地約一一%、リゾート及び誘致施設四六%、合計五七%が見込まれております。私は、バブル経済崩壊後の諸情勢、円高指向やミクロ、マクロから分析した世界の経済はいかなることがあっても好転することはないと思考しております。こうした古い時代の計画を根本的に見直す絶好のチャンスでもあります。
 その内容はさまざまでしょうけれども、田辺市における丸紅の撤退やゴルフ場開発の中断等々、県内にもこうしたバブル崩壊による現実の姿を冷静に受けとめていただきたいのであります。大幅見直しの中に、昨年私が提案した和歌山県総合運動公園の三十ヘクタールを中核としていただき、仮谷知事の名が後世まで称賛される施設を、知事さん、つくろうではありませんか。今後の二十年、否百年後を展望し、大いなる遺産を子孫に残そうではありませんか。部長、頑固に拒否されるお考えかどうかは知りませんけれども、忌憚なきお答えをちょうだいいたしたいと思います。
 さて、長く続いた平成景気もバブル経済の崩壊と期を一にして昨年から急激に下降し、日本の経済は極度の不況と自信喪失に陥っている感があります。九月二十九日、経済企画庁が発表した七月の景気動向指数では、物によってはやや好転の兆しが見えたというものの、依然、最悪の下降線をたどっております。県内の経済界、特に中小企業、地場産業にあっては、個人消費の低迷、販売不振等で景気が冷え込んでいるとの声が日増しに高まっております。
 例えば、私の地元のパイル織物業界においても、生産額の五○%以上を占めてきた車両シート用モケットが三○%以上落ち込んでいるのを初め、綿両面毛布、寝装、玩具用ボア等、産地全体が未曾有の厳しい状況にあります。
 このように全業種にわたる厳しい経済情勢を踏まえて、国においては十兆七千億円に上る総合経済対策を打ち出したところでありますが、中でも中小企業対策が大きな柱となっております。これを受けて、今議会冒頭の知事説明の中で、中小企業向け融資枠を三十億円拡大するとともに、融資利率を引き下げるとのことであります。
 そこで、商工労働部長にお尋ねいたします。
 去る四月に実施された二十億円の融資枠拡大を中心とした第一次緊急対策の利用状況はどうか、また今回の第二次対策の具体的内容はどうなっているのか、詳細なる説明をお聞かせいただきたいのであります。
 また、県下の中小企業の待望久しかった県工業技術センター新館研究交流棟が過日完成いたしました。深いご理解をいただきました仮谷知事初め関係各位に衷心より厚く御礼申し上げる次第であります。私もパイル織物業者として、技術センターが、今後、地域の産業、中小企業の技術面での中核的指導支援のセンターとして機能していくことを願うものであります。センターの技術者の献身的なご協力により、再織も、コンピューター等による自動化が完成いたしました。大変ありがとうございました。
 九月十四日、紀州繊維工業協同組合と商工労働部の合同懇談会が、中西部長一行の幹部の皆さんと実施されました。その席上、野上理事長より五項目のお願いをいたしました。その中で、特に再織とパイル織物高度化開発のため、町立パイル織物開発センターに県工業技術センターの高野口分室を設置していただき、人的、経済面にわたる濃厚な援助を是が非でも実現させていただきたく、要望する次第でございます。
 次に、四全総と第二国土軸構想に組み込まれた京奈和高規格道路についてであります。
 橋本─高野口間の十一・三キロメートルについては、着々と進行しているようであります。ところが、九月二十五日の新聞によりますと、全買収予定面積の三%という国の補正予算額は去年並みの六億円にすぎないのであります。総買収面積六六・五ヘクタール、地権者約五百人に上る大きな事業でございます。この程度の少額な予算では、平成十年完成という目標はかなりおくれるように思えてなりません。また、橋本インターから山田地区、高野口町応其に至る側道は国で認可されておりますが、この側道は応其平野、山田、吉原等の周辺整備、地域活性化と発展に係る重要道路であり、国道三百七十一号線のバイパスとともに大阪経済圏に直結する紀北地方の大動脈でもあります。進捗状況、予算増額等の見通しについて、土木部長の所見をお伺いするものであります。
 さて、日々にその魔手が暗夜に拡大し、まさに「日本はエイズ感染の爆発前夜にある」と、公衆衛生審議会の塩川委員長が提言しました。エイズについては、二、三年前までは厚生省も、紳士淑女の皆さんも、まして地方自治体も大したことはないものと考えておりました。しかし今日、あっという間に蔓延増加するエイズ予防について、拱手傍観ができない事態になりました。
 エイズの感染経路は、性的接触によることが大半であると判明いたしております。全国一斉にエイズ予防に対するキャンペーンが始まり、県も「ストップエイズ」のタイトルで、「エイズはどんな病気なのでしょう。エイズは予防可能な病気です。エイズは着実にふえています。異性間性的接触による感染がふえています。感染者は全国に広がっています」等々、特に性的接触が主要な感染経路という認識がなされております。
 さて、前議会でエイズ患者の発生があったのか、ないのかということで、先輩尾崎吉弘議員と議会に対して、発病者が二名あったと訂正報告がございました。その後、県下の患者、感染者の発生はないのか、改めて状況を詳しく保健環境部長よりお聞かせいただきたいと思います。
 平成二年九月定例会で質問を申し上げ、その前の六月定例会で全員賛成で議決された議請第八十三号「伊都地方に心身障害者更生施設の設置について」、お忘れなくご努力をいただいておると信じますが、県当局はもとより、関係市町村により積極的に働きかけていただき、一日も早く障害児を持つ多くの肉親のせつない心情にこたえてやってほしいと存じ、改めて要望する次第であります。
 さて、大阪、兵庫県では、この二十五日、九月定例議会で「福祉のまちづくり条例」が提出されました。以下、その中身を披露させていただきます。
 これは兵庫県の条例ですが、「すべての人々が、一人の人間として尊重され、等しく社会参加の機会を持つことにより自己実現を果たせる社会の構築こそ、人類の願いであり、我々に課せられた重大な責務である。 いま、二十一世紀の超高齢社会を迎えるに当たり、こころ豊かな兵庫の実現に向け、高齢者や障害者を含むすべての県民がいきいきと生活できる福祉のまちづくりを強力に推進していかなければならない」とうたっております。
 我が県も、こうした状況のもとにどういう取り組みをされているのか、民生部長よりご答弁いただきたいのであります。
 次に、さても厳しい経済状況、景気の下降により、各都道府県の九二年度税収は七千五百六十六億円落ち込む見込みが、自治省の緊急調査の結果明らかになりました。
 我が県の状況と九三年度税収の予測等について、簡単に総務部長よりご答弁をいただきたいと存じます。
 いろいろと質問いたしましたが、各担当部長の誠意誠実なご答弁をお願いし、着実に諸施策が進行しつつある仮谷知事のさらなるご活躍と健康を心より祈念申し上げ、私の第一回の質問を終わります。答弁によっては第二質問もさせていただきます。どうもありがとうございました。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの阪部菊雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 阪部議員にお答え申し上げます。
 お話ございましたように、私は花園村の皆さんには大変お世話になっております。
 お話ございました町村道花園村梁瀬から美里町長谷宮までのトンネル構想でございますけれども、これについても陳情を絶えず承って、私も頭を痛めているところでございます。この道路は花園村と美里を結ぶ、両町村にまたがる市町村道でございます。そしてまた、経費が莫大になるわけでございまして、そうした点から非常に難しいわけでございます。
 後ほど土木部長から答弁いたしますけれども、まず両町村間で、ある程度話し合ってもらうことが大事じゃないかと思っております。また、いろいろな制度があります。だから、市町村道だけではなしに、ふるさと事業としての町村道でやれないかどうか等々あるわけでございますので、そうした問題を私たちも研究させていただきたいと思っております。
 それから、九度山町慈尊院から高野口町大野、国道二十四号直結の道路架橋についてでございます。
 これも両町にまたがる問題でございまして、現在、両町の道路計画がないわけでございます。そうした点、土木部長から答弁いたしますけれども、やはり両町の話し合いによってどういう構想でいくかということが先決ではないかと思っております。
 それから、南海高野線とJR和歌山線の相互乗り入れの実現でございます。
 ご提言の乗り入れについては、橋本駅構内における接続線の新設、車両幅の違い、信号等の電気設備の整備、ダイヤ編成の問題など、今後検討を要する多くの課題があると聞いておるわけでございまして、関係部局に研究させるとともに、事業者に対しても働きかけていきたいと思います。
 話ございました、社長との会談については、機会がございましたならば私から話し合ってみたいと思っております。ただしかし、相互乗り入れについては、信楽の事件がございまして相当慎重なようでございます。
○議長(馬頭哲弥君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えをいたします。
 まず、町村道花園長谷線については、現在、花園村及び美里町において、公共事業によりそれぞれ一カ所の事業中でございます。ご要望のトンネルについては、両町村境界部のトンネルであることや膨大な事業費を要すること等から、まずトンネルを含む未改良区間の全体改良計画を策定する必要があろうと思います。今後、両町村間において計画を調整していただくとともに、事業化については、現在、事業中箇所の進捗状況あるいは未改良区間全体の整備計画の策定状況等を見きわめながら検討してまいりたいと思います。
 次に、九度山町慈尊院から高野口町大野、国道二十四号直結の道路架橋についてでございます。
 これは、高野口町の都市計画道路浦島伏原線及び町道八号線に連結する道路と考えられます。しかしながら、先ほど知事が申しましたように、本区間には現在道路計画がなく、また架橋については、両町の町道認定を初め莫大な事業費を必要とするなど、まだ多くの課題もあり、今後、両町間において検討する必要があろうかと思われます。
 それから、高野口町の町道八号線の事業促進でございます。
 現在、国道二十四号から京奈和自動車道高野口インターまでの間を平成二年度より県代行事業として実施しております。これより北側については、町において公共事業として実施しております。今後の事業促進については、建設省にもその予算の増額を強く働きかけてまいります。
 京奈和高規格道路についてでございます。
 京奈和自動車道橋本道路については、京阪神都市圏の環状道路の一部を構成し、地域活性化に寄与する自動車専用道路として平成元年度に事業化され、平成三年度には国道橋本事務所を設置し、用地買収等を進めております。現在、橋本市真土、市脇両地区で地元説明、用地幅くい設置、丈量測量が終わっております。用地交渉が初期段階であり、必ずしも事業費が大きいとは言えませんが、地元のご協力を得ながら、側道も含め早期完成を目指して国に強く要望してまいります。
 さらに、高野口町から打田町間についても、紀北東道路として今年八月に建設省から大蔵省へ平成五年度新規事業化の要望がなされ、県といたしましても、京奈和自動車道の一層の促進を図るため、その実現に努力をしてまいりたいと思います。
○議長(馬頭哲弥君) 農林水産部長中村 昇君。
  〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) 河南農道の現況についてでございます。
 当地方の農業の振興、地域開発など活性化対策に、紀の川左岸地区広域農道の整備が重要で、なおかつ急務と考えてございます。
 議員ご承知のとおり、橋本市からかつらぎ町に至る全長十八キロメートルのうち十一キロメートルについては、平成三年度に国の事業採択を受けて実施のための測量設計を行い、本年度から九度山町を中心に鋭意用地買収などを進めているところでございます。今回、国の総合経済対策を受けて本格的に工事に着手すべく事業促進を図るために、今議会に補正予算をお願いすることとしているところでございます。
 なお、かつらぎ町の残り七キロメートルについては、平成五年度採択に向けて去る六月に政府要望を行ってきたところでございますが、さらに十二月の予算編成に向けて強く国に働きかけてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) コスモパーク加太計画の再検討についてのご質問にお答えいたします。
 コスモパーク加太計画については、二十一世紀へ向けて情報化、国際化に対応できる、しかも自然環境と調和のとれた魅力ある新しい町づくりを目指して、民間のノーハウを活用し、土地利用計画を策定すべく努力を重ねているところでございます。コスモパーク加太計画が長期的な展望を必要とする重要なプロジェクトであることにかんがみ、現在、経済動向等、諸情勢の推移を見ながら、推進機構内に設置したワーキンググループにおいてさまざまな観点から慎重に土地利用計画の策定作業を進めているところでございます。
 議員ご提案の和歌山県総合運動公園については、紀三井寺公園の再開発の整備方針との関連もございますが、貴重なご意見と受けとめさせていただきたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 商工労働部長中西伸雄君。
  〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 第一次と第二次の緊急経済対策についてお答えいたします。
 まず、第一次緊急経済対策により融資枠の拡大を行いました中小企業振興資金の貸付状況でございますが、この四月から八月末までの新規貸付状況は、昨年同期に比べ、件数で一・八倍の六百件でございます。貸付金額で見ると、約一・五倍の六十二億五千二百五万円という実績になってございます。貸付累計額は二百十八億八千六百六十四万円となってございます。
 このような利用状況を踏まえるとともに、今回の第二次対策として、ただいま説明申し上げました中小企業振興資金の融資枠を四月の拡大に加えましてさらに二十五億円拡大し、本年度の融資枠を当初の二百億円から二百四十五億円に拡大するとともに、主に運転資金である中小企業経営安定資金についても、現在の景気状況を踏まえ融資枠を五億円拡大し、本年度当初の融資枠十四億円を十九億円にすることといたしてございます。また、県単独で実施しておりますそれぞれの融資制度については、この十月一日から融資利率を○・四%もしくは○・三%引き下げを実施したところでございます。今後も、経済動向等を十分注視してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 保健環境部長遠藤 明君。
  〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 最近のエイズ患者、感染者の状況を申し上げますと、平成四年一月から八月までの八カ月間で全国では三百二十六人に達し、過去最高だった昨年一年間の二百三十八人を大きく超える急激な増加を示しています。県内における平成四年一月から八月までの患者、感染者の報告はありませんでしたが、このほど九月に県内の医師から感染者一名発生との報告を受けました。この感染者は二十歳代の外国人女性であり、感染経路は異性間性的接触となっております。
 本県のエイズ対策といたしましては、昭和六十二年一月から県下保健所での相談窓口の開設と検査体制の確立を図ってまいったところでありますが、さらに本年十月、医療従事者を実地研修に派遣するところであります。
 また予防対策としては、正しい知識の普及のため、各保健所において教育用ビデオ、リーフレット等を利用した啓発や講演を実施するとともに、現在、エイズ予防に関するポスター、キャッチフレーズの募集を十一月の締め切りで実施するなど、今後とも各種事業等を通じて正しい知識の普及啓発を積極的に進めてまいる所存であります。
○議長(馬頭哲弥君) 民生部長吉井清純君。
  〔吉井清純君、登壇〕
○民生部長(吉井清純君) 福祉和歌山県づくりについてお答えいたします。
 まず、伊都地方に心身障害者更生施設の設置についてのご要望でございます。
 県といたしましても、施設整備の必要性は十分認識しているところでございます。今後も引き続き、地元の心身障害児者父母の会や市町村に対して設置場所、運営主体等について指導してまいりたいと考えております。
 次に、大阪府並びに兵庫県において、議員お話しのとおり、高齢者や障害者を含むすべての県民が生き生きと生活できる町づくりを推進するため、「福祉のまちづくり条例」が九月定例議会においてそれぞれ上程されたところでございます。
 もとより本県においても、障害者や高齢者の社会参加を促進するためには、住環境の整備改善を図ることが最も重要な課題であると認識し、障害者にかかる和歌山県長期行動計画の推進目標の主要な柱に掲げているところであり、昭和六十一年には障害者等の住みよい生活環境整備指針を策定し、関係機関の協力を得ながらその促進を図ってきたところでございます。そうした努力の結果、着実にその整備が進んできたと考えておりますが、障害者や高齢者を含むすべての人々が社会参加できる福祉の町づくりを促進するため、整備指針をさらに強力に推進してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(馬頭哲弥君) 総務部長山中昭栄君。
  〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) まず、今年度の県税収入の状況でございます。
 既に、当初予算見積もりの段階で景気の先行きの不透明な状況を踏まえて、三年度の決算見込み対比三・六%減の千五億円を計上したわけでございますが、その後、個人県民税では平成三年中の所得の伸びを反映して増収が見込まれますけれども、県民税利子割や法人事業税等で申告額が落ち込んでおります。こうした状況から、今回五十一億円の減額補正をお願いしているところでございます。
 平成五年度の税収については、今後の経済動向によるところでございますが、法人二税については、今後景気の回復が期待されるとしても、三月決算法人が多いことから、税収としては来年度には反映されにくいという事情がございます。県民税利子割についても、しばらく低い金利水準で推移すると見込まれます。個人県民税についても、その大半を占めている給与所得が伸び悩んでいます。こういった事情から判断いたしまして、明年度においても引き続き厳しい状況に置かれるものと考えております。
○議長(馬頭哲弥君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 20番阪部菊雄君。
○阪部菊雄君 知事さんからの答弁は、花園村、美里町、九度山町、高野口町等について、大変難しい問題であるけれども何とかせないかんなあと、こういうふうに受け取っております。また、上におられる花園村の皆さんもそういうように十分ご認識いただいたと思うわけでございます。ふる特だとかいろいろの事業がありますので、どこに当てはまるか知りませんけれども、土木部を中心に各町村をご指導、ご鞭撻賜りたいと要望する次第でございます。
 それから、保健環境部長からのお話でございます。
 九月に入って、確かに一人の患者が発病したという報告があったということでございます。外国人というだけではわかりませんけれども、夜働く女性であるようにも承っております。東南アジア系ではないかなと、私自身は考えておるわけでございます。まあ、うつしたのかうつされたのかは知りませんけれども、ぜひこういう問題について今後とも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 けさのNHKのニュースを聞いておりますと、大阪府では環境保健部を中心にして、庁内でエイズ連絡協議会をつくってエイズ問題に鋭意取り組んでいくというようなことが言われておりましたので、我が県でもぜひそういう方向でつくっていただきたい。
 また、けさの新聞を見ますと、世界エイズデーというのを県民文化会館でやるそうでございます。これは、対象が高校生らしゅうございます。そこで、エイズクイズ大会をやるんだと。一位にはエイズ博士号を渡す。二万円だそうです。次の上位五位まで修士号一万円。十位までは学士号五千円というようなことで、ひんしゅくを買うたというようなことが書いてありましたけれども、一般の方々も同じでございますが、高校生に対するエイズ教育は少しおくれているように思いますので、教育委員会と連携されて積極的に取り組んでいただきたいと思います。これは、要望でございます。
 それから、企画部長でございます。
 前と内容が余り変わっておりませんので、非常に落胆はいたしております。紀三井寺の再開発と言うけれども、紀三井寺を再開発して駐車場を大きくとってできるというような可能性はあるんでしょうか。これは僕はよくわかりませんけれども、むしろ住居用の一一%とリゾート誘致施設の四六%を合わせて五七%もある中で、もう一遍見直してもらって、紀三井寺の再開発ばかりじゃなしに、そういうものを含めながら再開発も考えていくと。紀三井寺の野球場だって、夜間の照明をつくるに当たって地域の住民から反対されているはずでございます。
 そのような状況もございますので、将来を展望いたしますと、むしろコスモパーク加太の中に和歌山県の総合運動公園をオープンさせていただいて、その後にお金なかったら、あの辺また処分していただいてもいけると。お金があったら構いませんけれども、そういうふうにも考えておりますので、ぜひともそういうこともご検討いただきたいと思います。
 いずれも、要望でございます。以上で終わり。
○議長(馬頭哲弥君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で阪部菊雄君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(馬頭哲弥君) この際、暫時休憩いたします。
  午後零時五分休憩
  ──────────────────
  午後一時三分再開
○副議長(大江康弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(大江康弘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 3番下川俊樹君。
  〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 お許しを得まして、質問を行います。
 県の懸命な努力により、和歌山は大きな未来と明るい話題が聞かれるようになってまいりました。私も、県議会の一員として大変うれしく、ありがたく、まずもって仮谷県政の努力に対し評価を申し上げたいと存じます。しかしながら、このことをいま一歩進めて地域的な視点で分析いたしますとき、紀南地域選出の議員として指摘しなければならない問題が山積していると申し上げざるを得ないのでございます。
 私の立場からの問題点は、紀北地域には議論すべき施策があり、紀南地域にはその対象となる施策が少ないということでございます。仮谷知事も、さきの知事選挙当選直後の記者会見でこのことに言及され、「紀南の振興が今後の重要な課題である」とコメントしておられました。
 紀南地域の振興を考える場合、いたずらに紀北地域と紀南地域とか、県政の北高南低といったレベルでこの問題をとらえるのではなく、紀南地域が残されてきた現在の姿、現状というものを直視し、今の紀南地域が今日の時代傾向的に、あるいは国土的視点から何が期待されているのか、何をなし得るのかといった視点からの検討が必要であると思います。同時にまた、このことが長い目で見て必ずや紀南の真の豊かさにつながるものであると確信いたす次第でございます。
 今さら申し上げるまでもなく、紀南地域──ここでは熊野地域と読みかえて話を進めてまいりますが、熊野地域にはすぐれた歴史文化と豊かな自然環境が温存されてございます。高度成長時代にあっては、この熊野の資源は隠れた存在にしかすぎませんでした。今や、我が国は生活大国という新たな国づくりの段階に入る中で、世界的に環境という問題がクローズアップされてまいりました。環境、生活大国という中で、ようやく熊野にも風が吹き、日が当たり、そして出番がめぐってきたと考えるべきではないでしょうか。
 こうした認識のもとに、私は本日、次の三点について質問をいたしたいと存じます。第一点は、熊野地域全体の将来ビジョンの策定であり、第二点は、この各論としての熊野学研究センターについてであり、第三点は、再生の新熊野に最もふさしわいテーマである浮島の森の復活についてでございます。
 まず最初に、熊野の将来ビジョンについてお尋ねをいたします。
 熊野は、我が国では出雲と並んで日本のふるさとであり、我々の心のふるさととも言うべき歴史に彩られた貴重な地であります。我が国誕生の第一歩とも言うべき神武東征が語り継がれ、遠く秦の国からは皇帝の命を帯びて徐福が不老長寿を求めた地であります。華やかな熊野もうでが繰り広げられる一方、西方浄土を求めた修行僧の悲しい歴史もあります。小栗判官が病をいやし、平維盛滅亡の言い伝えは歴史にロマンを添えております。さらに熊野の魅力を続けるならば、熊野はこれらの歴史をタイムカプセルのごとく、今にそのままの姿で私たちに引き継いでくれていることであります。このことが、熊野を今日、より魅力あるものにしている大きな理由であります。長い歴史と文化、これが熊野の魅力です。
 大台ケ原に降る雨は、紀伊半島のうっそうたる森林を守り、渓谷に清流を注いでおります。熊野灘を流れる黒潮は、漁業の恵みとともに、雄大な海岸美と広大な海洋空間を見せてくれます。随所に我が国を代表する温泉が湧出し、彩りと風情を提供してくれます。そして、これらが織りなす環境は、熊野の温かい人情と素朴な風土を育ててくれます。豊かな自然環境は、熊野の大きな資源です。
 しかしながら一方において、熊野を大辺路と中辺路に囲まれた地域と定義いたしますと、熊野は約十四万六千人が住み、働く生活の場でもあります。観光、農林漁業、商業を中心とする人々の生活があります。この生活を守り育てていくことが熊野の大きな課題であります。地域の人口構成を見ると若者の比率が少なく、若者をどう定着させるか、若者が魅力を感じる定住条件をつくり上げていかなければなりません。定住条件の整備が熊野の大きな課題です。
 熊野を取り巻く交通条件を見ると、近畿自動車道は日高川を渡り、内陸部では水上栃谷線、宇井苔峠のトンネル工事が完成間近でございます。白浜空港の拡張も、おおむね順調に推移をしていると聞いてございます。新宮市内のヘリポートも、関係者のご努力により整備が順調でございます。また、本年三月からJR東海のワイドビュー南紀号により名古屋方面のスピードアップが図られるとともに、車両の快適性が向上してきてございます。熊野の悲願とも言うべき交通体系の整備が急速に進んでまいりました。知事が提唱されている県内三時間交通の完成も間近と申せましょう。熊野への時間距離は短縮されつつある、これが熊野の現状でございます。
 さらに、この熊野に数多くの人々を引きつけるためにはさらなる鉄道の活性化が必要であり、JR西日本においても新型車両を導入し、よりよい交通体系を確立する必要があると思いますが、県当局の取り組みについてお伺いをいたします。
 熊野の資源、熊野への期待、熊野の悩み、熊野の現状を大ざっぱに整理してまいりました。
 最後に、熊野の整備は県民や地元の力のみでは無理があろうかと思います。国の力、民間の力を導入しながら、長期の視点に立って整備を進める必要があろうかと思います。私は、そのためにも、皆さんが熊野に注目をしていただいている今、熊野の長期にわたるビジョンを策定することが必要であろうと考えます。そして、そのことが外部の力を熊野に結集する原動力にもなるものと考える次第でございます。
 「熊野は、国民の保養基地である」との新全国総合開発計画の一節が、今も思い出されます。生活大国を標榜するに至った我が国の経済的、社会的、文化的等の状況を踏まえ、さらには本県の紀南地域に対する長期的な基本認識をあわせ、今後の県当局の熊野地域に対する基本的な取り組みをお伺いするものであります。
 次に、熊野学研究センターについてお伺いいたします。
 ことしの二月、新宮の御燈祭の日に那智勝浦町において開催された第一回「熊野を語るフォーラム」に参加し、また八月二十七日、和歌山市において第二回「熊野を語るフォーラム」と、今注目されている熊野について大変有意義なものが開催されました。
 熊野をテーマとした熊野学研究センター構想は、紀南の人々にとっても、熊野の復権、熊野から全国へ、世界へといった熱い期待をかけるものであり、紀南活性化の大きな柱であると考えます。二月議会において中村利男議員もご所見を述べられてございますが、本構想の具体化についてお伺いをいたします。
 まず、施設の概要についてでございます。
 施設については、本県のみならず、日本全国、いや地球全体を考えたものとしたらどうか、お伺いをいたします。
 学術研究センターはもとより、物的にも、精神的にも熊野が理解できる博物館を、さらに熊野といえば精神的にも肉体的にも「行」の熊野ですから、児童生徒はもとより老弱男女まで楽しめる体験学習の場をつくられてはいかがか、お伺いをいたします。
 次に、施設を支え、運営していく人材についてでございます。
 熊野学とは、これからの学術研究であります。黒潮に乗ってきた文化、徐福のように大陸から来た文化等、熊野は多種多様な文化の到着地であり、ご存じのとおり、歴史文化は大変豊富です。歴史文化の核づくりは人づくりと考えますが、その人づくりとして広く学術研究を初めとする人材をどのように集められ、どのように育てられるのか、お伺いをいたします。
 続いて、本構想を核とした場合、その外枠としての地域とのかかわりについて提案いたします。
 紀南の人々の熱い期待をセンター設置への醸成とし、さらに参加意識を高めるため、市町村においては歴史文化の見直し、掘り起こしを行い、市町村ごとに熊野のテーマを持つイベントを開催する。例えば、熊野を演出するシンボリックな祭りを興し、それらのネットワーク化を図り、季節ごとに熊野を訪れ、熊野に溶け込んでいただく。また、全国的には三千三百社あると言われる熊野神社を巻き込んだ全国的なイベント──例えば、熊野といえば火、燃え盛る火のイメージがあります。そこで、三千三百社から熊野の火を送り届けてもらい、また熊野三山から三千三百社へ熊野の火を送り出し、各地との交流を図る。さらに国際的には、徐福が不老不死の薬を求めて渡来したとのことから、中国との交流はもとより、世界各地から不老長寿と言われる薬草を集め、不老長寿の里づくりを行うことを提案いたします。
 次に、浮島の森についてお伺いをいたします。
 浮島の森とは、正式名称を新宮藺沢浮島植物群落と言い、新宮市の真ん中にあって、湧水にぽっかりと浮かぶ植物の森であり、周囲の面積約五千平米、植生はヤマモモ、シダ等百三十種類に及び、特に暖地、寒地両方の植物がそろって生育をしている、まことに貴重な島と申しますか森でございまして、このため昭和二年、国の天然記念物に指定されてございます。
 周辺の都市化が進み、下排水がこの島を覆い、森を浮かべていた地下水にも変化があらわれてまいりました。この結果、先ごろ新聞等にも報道されてございましたように、植生にも影響が見られ、貴重な生態が崩れつつあります。新宮市といたしましてもその保存は大変重要なテーマでございまして、市当局はもとより地元の有志の方々による研究、対策が積極的に行われているところでございますが、環境の悪化は対策を超えたスピードで進んでございます。さきの熊野フォーラムにおいても、「熊野は、病めるものの再生の地である」との指摘が多くの先生方から語られました。今、私たちは、目の前に病める浮島の森を抱えております。この森の再生こそが熊野の真価を問い、地域の良心を問い、和歌山県の良識を問いかけているのであります。
 先ほども申し上げたように、この森の生態はほかに類を見ない環境によって支えられております。この対策は、水質、水温にまで及び、極めて慎重を要すると同時に、早急な手当てが求められているのであります。対策がおくれればおくれるほど取り返しのつかない結果を迎えることになります。私たちは、貴重な物と心を失うこととなります。事態は、今や地元を超え県のレベルにあると申せましょう。和歌山県の貴重な文化資源を保存するという観点に立って、まず本格的な学術調査の実施をお願いするとともに、抜本的、総合的な対策を早急に実施されるよう提案し、知事にこの問題に対するご所見をお伺いするものであります。
 次に、浮島の森と深いかかわりのある市田川、浮島川の浄化対策についてお尋ねをいたします。
 私たちを取り巻く自然環境は、近年、次第にその本来の姿が損なわれつつあるものが少なくありません。また、特に都市とその周辺においては、健康な人間生活を支える環境条件が次々と狭められ、あるいは失われつつあります。こうした社会的な背景は、残存する貴重な自然空間として人々の目を改めて河川環境に向けさせ、環境的価値の見直しと再認識を促すこととなりました。豊かな未来を築くためには環境の保全整備が必要であります。水質浄化を考え、さらには下水道整備をも考えねば環境の保全整備はおぼつきません。
 新宮市における公共下水道整備の整備計画、並びにその総事業費とそれに対する地方負担額はどうなっているのか、またどのように指導されるのか、お伺いをいたします。あわせて、本県全体の下水道整備を進めるに当たりどのような将来計画を持っておられるのか、お伺いをいたします。
 新聞報道によりますと、市田川の浄化事業は近畿地建紀南工事事務所が十一月から着手するとのことであります。このことは、私も以前から強い要望を踏まえてお願いをしてきたところでありますが、近畿地建紀南工事事務所による特段の配慮をいただき、進められてきたものであります。この計画は、新宮川本川から浄化用水を導水して希釈浄化するものであります。この国の浄化計画とともに、県としては市田川、浮島川の浄化整備をどのように考えておられるのか、土木部長にお尋ねをいたします。
 次に、学校週五日制についてでございます。
 国民の注目を浴びながら、学校週五日制が去る九月十二日からスタートいたしました。このことについてはマスコミでもいろいろな角度から取材をし、九月十二日当日に開放された学校のグラウンドや体育館における子供たちの活動状況や公立施設の利用状況、各地の催しなどについて報道されてございます。
 教育長は、これまで本会議等において、「学校週五日制は、子供が家庭や地域における生活時間を多くして、できるだけ幅広い体験の機会をふやすことにより、豊かな道徳性と社会性を養い、心豊かでたくましく生きていくことを目指すものである。そのためには、学校、家庭及び地域社会相互の連携をより密にして、それぞれの教育力を高めることが大切である」との見解を表明されております。県民の多くは、スタートしたばかりのこの教育上の大きな改革が国民の間にスムーズに定着し前進していくのかどうか、強い関心を持っております。
 そこで、教育長に次の点についてお伺いをいたします。
 一点目は、当日の各学校や社会施設の対応状況はどのようであったのか、二点目は、子供の学力について、保護者などから心配や不安が出されている中で、県教育委員会はどのような指導をしてきたのか、三点目は、県下で十四の調査協力校を指定していると聞いているが、それらの学校の状況はどのようであったのか、四点目は、本制度がスタートしたばかりであり、その成果なり課題が整理されていない現時点にあって時期尚早の感なきにしもあらずでありますが、巷間議論されている学校週五日制の月二回以上の実施について教育長はどのように考えているのか、以上お伺いをいたします。
 続いて、スポーツ振興についてお尋ねをいたします。
 現在、山形県において「べにばな国体」が開催されており、本県の代表選手の皆さんが力いっぱい競技を展開している最中であります。選手の皆さん一人一人が郷土の名誉を担って奮闘しておられる様子をテレビ、ラジオ、新聞等で拝見しているわけでありますが、ここ数年、国体の成績が低下しつつあり、スポーツ県和歌山として長年高い実績を上げてきたことを考えると一抹の寂しさを禁じ得ません。また、そのことが青少年、ひいては県民生活全体の活力の低下につながることを懸念するものであります。スポーツは国体だけでなく、第三回全国スポレク祭の開催を契機として生涯スポーツの振興にも力を入れておられることは承知しておりますが、競技スポーツの成績も上がってこそ生涯スポーツに弾みがつき、県民の生活に活力が生まれるものと考えるのであります。
 そこで、近年の国体の成績を踏まえて、和歌山県のスポーツの振興についてどのような計画を持っておられるのか、お考えをお伺いいたしたい。
 また、聞くところによりますと、二巡目の国体誘致が取りざたされているようでありますが、本県のスポーツ振興を考える上で大きな影響力を持つ国体の誘致について、できるだけ早い時期に実現できるよう選手強化や施設の整備等、諸準備を進める必要があると思いますが、教育長のお考えをお尋ねいたします。
 最後に、県立看護婦養成所の設置についてお伺いいたします。
 近年、我が国における医療情勢は、医療技術の高度化あるいは専門化、がん、心臓病、脳血管疾病等の急増を初めとする疾病構造の変化など、ますます複雑多様化していることはご承知のとおりでございます。さらに、他国には類を見ない急激な高齢化社会の到来に向けて、保健医療福祉サービスを提供するマンパワーの確保がますます重要な課題となってございます。とりわけ、看護職員の不足は今や全国的な社会問題となっていると申し上げても過言ではないと思うのでございます。
 紀南地方においても同様でございまして、看護婦の不足は今や慢性的な問題となっております。私どもは、以前から紀南地方へ看護婦養成所の設置をお願いしてまいったところでございます。仮谷知事におかれては、このたび新宮市蜂伏に一学年定員四十名の県立看護婦養成所を設置する議案を提出していただきました。心から厚くお礼を申し上げ、あわせて県が計画している看護婦養成所のねらい、施設の内容、規模、建設のスケジュール等についてお伺いするものでございます。
 またこの際、知事に要望しておきたいことがございます。ご承知のとおり、新宮市には新宮市医師会附属准看護学院がございます。これは定員三十名で、当地方唯一の看護職員養成所であり、新宮市を初め三重県南牟婁郡を含む近隣の医療に大きく貢献をしていることは事実でございます。本学院の存在は、当地方にとって貴重なものでございます。また、この学院の学生は従来から新宮市民病院で実習を行っておりますが、県立看護婦養成所を設置していただくことにより准看護学院の学生の実習に影響がないのか、両校の学生の実習が可能なのか、その点大変心配をしているわけでございます。この点について影響が及ばないように、知事に特段のご配慮をお願いする次第でございます。
 以上で、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○副議長(大江康弘君) ただいまの下川俊樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
  〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 下川議員にお答え申し上げます。
 熊野地方の振興について質問をいただいたわけでございます。第一点の、熊野地域全体の将来ビジョンの策定についてでございます。
 お話のように、現在、社会が求めつつあるものを考えるとき、熊野地域の新たな展開への大きな可能性を実感するものでございます。ともすれば経済偏重だった社会が、ゆとりや心の豊かさを求める時代に変わりつつあります。まさに、熊野地域の持つ資源や特性が脚光を浴びる時代が到来しつつあるのではないかと考えられるわけでございます。これまでもその資源に着目して、日本文化デザイン会議の誘致、古道ピア、熊野フォーラムの開催等、内外に広くその魅力をアピールしてきたところでございます。これらを受けての地元における取り組みも芽生えつつあるということで、非常にうれしい限りでございます。
 今後とも、交通基盤や産業対策を中心とした定住条件の整備を積極的に進めていくとともに、国民的な財産とも言える熊野のすばらしい資源を十分に生かした地域活性化のあり方について、地元の皆さんの参画を得ながら、新しい視点、長期的な視点からそのビジョンづくりに取り組んでまいりたいと考えており、現在その手法をどうするかの検討を進めているところでございます。
 いずれにいたしましても、二十一世紀に向けて生活大国の一部を担えるような地域を目指して、夢と希望に満ちたビジョンを策定し、国、民間等の力をおかりしながらその実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、熊野学研究センターでございます。
 ご承知のように、専門的分野からご意見、ご提言をいただくために、熊野の歴史、文化に造詣の深い諸先生方に集まっていただいて、第二回「熊野を語るフォーラム」を八月末に開催いたしたところでございます。諸先生方から、熊野学研究センターの基本的な性格について貴重なご意見を承りました。そしてまた、議論の中にもあったわけでございますけれども、熊野文化を世界に向けて発信する拠点としての位置づけ、研究機能はもとより、一般を対象とした展示機能、体験学習機能、文化交流機能等を持たせて、熊野をわかりやすく紹介できる博物館的な施設の建設に向けて具体的に研究を進めてまいらなければならないのではないかと考えております。
 しかし、熊野学といっても、これは各分野にわたる、学問的で幅広い総合的な研究でございます。そのスタッフについても、まず日本や世界に通ずるような人をリーダーとした形で考えるとともに、その後進の育成、充実を図っていくことが極めて重要でございます。ですから、そのリーダーをだれにするかということが先決でございまして、そうした人を得るように努力しつつ考えてまいりたいと思っております。ただ、残念に思っておりますのは、熊野大学を主宰して熊野のために大変努力していただいていた中上健次さんが亡くなられたことでございます。この人がおられたならば大きな相談相手になっていただけたと、残念に思うわけでございます。
 それから、運営面の問題でございます。地元のご意見、ご協力をいただきながら、県としても、何をなすべきかということを十分見きわめて取り組んでまいりたいと思っております。
 また、議員からご提言ございましたイベントの開催、各地との交流等についても、熊野学研究センター構想の具体化とあわせて研究してまいりたいと考えておるところでございます。
 次は、浮島の森でございます。
 私も、浮島の森は全国的に見て貴重な植物群落であり、県の宝であり、非常に関心を持っておるわけでございます。
 現在、国、県、市で環境整備に取り組んでおるわけでございますけれども、お話のように、これからなお一層大切に保存して立派な形にしていかなければならないと思っております。詳細については、教育長から答弁させていただきます。
 次に、県立看護婦養成所の設置でございます。
 お話ございましたように、かねてから東牟婁、新宮地方より看護婦養成所の設置を訴えられておったわけでございます。また、高齢化、福祉化が進む中で、保健、健康の面、福祉行政の面からも、看護職員の確保ということが県政において非常に重要な課題でございます。そうした意味において、このたび新宮地方に看護婦養成所の設置を進めているところでございます。
 その施設の概要でございますけれども、一学年定員四十名と考えており、校地面積五千八百平方メートルに教室及び体育館等、校舎面積三千平方メートルを建設するものであります。本年度は、用地買収並びに実施設計を行い、平成五年度に建設に着工し、平成七年四月の開校を予定しております。
 なお、お話ございました地元の准看護学院との実習の問題でございますけれども、この点については私たちも十分配慮して進めてまいりたいと考えております。
○副議長(大江康弘君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 河川浄化及び下水道整備についてお答えをいたします。
 新宮市の公共下水道整備については、新宮と三輪崎の二処理区として計画されており、事業費としては総額約二百七十七億円、うち地方負担額は約百六十八億円となっております。なお、地方負担額のうち約百五十三億円が起債対象となる予定であります。
 下水道整備は多額の費用がかかるため、新宮市に対して段階的な財政計画により早期に事業着手を行うよう指導しているところでございます。また、県全体の下水道整備については、平成七年度を目途とする第七次下水道整備五箇年計画を促進することはもとより、現在、各市町村で作成している下水道整備基本構想に基づいて、地域の実情に応じた下水道整備を促進してまいりたいと考えております。
 次に、市田川、浮島川の浄化についてでございます。
 これらの河川の水質は、生活排水、農業排水などが流入すること、感潮区間のため河川に堆積物がたまりやすいことなどにより悪化してきております。このため平成三年度より、国、県、市から成る市田川総合河川対策検討会において、水質浄化対策を含めた河川環境の整備を目的とした総合的な計画の検討を進めてまいりました。国においては、この一環として、本年度より市田川への浄化用水導入事業に着手することにしております。県といたしましても、関係機関と十分協議しつつ、浮島川の浄化整備に向け取り組んでまいりたいと存じます。
○副議長(大江康弘君) 企画部長佐武廸生君。
  〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) JRくろしお号のグレードアップについてお答えいたします。
 交通体系の整備については、道路や南紀白浜空港のジェット化整備、さらには下川議員に大変お力添えをいただいております新宮川のヘリポートの整備など、関係機関の協力をいただきながら交通基盤の充実に取り組んでいるところでございます。
 議員ご指摘の新型車両の導入についてでございますが、特急くろしお号については、昭和五十三年十月の紀勢本線の電化に伴い、スピードアップ等を図るため振り子式の新型車両が投入されたところでございます。その後、平成元年七月の新大阪駅、京都駅乗り入れを契機として、パノラマグリーン車の導入、さらには座席の改良等も随時行われ、車両のグレードアップや乗り心地の向上が図られてまいったところでございます。こうしたことについては、JR西日本と随時意見交換の場を設け、要請してまいったところでございます。しかしながら、なお多くの解決すべき課題もございまして、今年度、調査検討委員会を設け、車両関係の専門家の方にも参加をいただきまして、一層の高速化や快適性の向上を図るという観点から検討が行われてございます。
 今後、この調査結果を踏まえ、JR西日本を初め関係機関とも協議しながら対応してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題の三点についてお答えいたします。
 国指定天然記念物新宮藺沢浮島植物群落は、新宮市の市街地に所在し、杉、ヤマモモ、アカマツなどの樹木が繁殖し、特に寒地性のヤマドリゼンマイ、ミズゴケ類や暖地性のシダ類が混生し、植物の生態や分布の上からも、また浮島という全国的に見てまれな地形をなしている、貴重な植物群落であります。
 新宮市において、昭和二十八年からしゅんせつ、囲さく構築、排水路工事等を実施してきたところであります。しかし近年、周辺の環境の変化、とりわけ都市化による地下水の減少や汚水の流入により、植物群落の生態に悪影響を及ぼしているのが現状であります。
 このため、文化庁の指導に基づき、新宮市において昭和六十三年から専門家から成る浮島植物群落調査委員会を組織し、気象、地下水等の環境調査、花粉分析、植物相の変遷等について調査研究してきているところであり、県教育委員会も参加してございます。
 この調査結果の方向づけに基づき、現在、新宮市において、建設省、県の土木部、保健環境部、教育委員会、新宮市の関係部局から成る浮島植物群落保存対策協議会を設けるとともに、市田川総合河川対策検討会においても、新宮川等からの水の導入方法や汚水措置、排水施設等の整備や植物群落の保護について総合的に検討しているところであります。また新宮市において、本年度から減少した植物の保護増殖や環境改善工事についても着手することとなっております。
 今後、浮島植物群落調査委員会の方針に基づき、管理団体である新宮市と協議しながら具体的な方策を進めてまいる所存であります。
 次に、学校週五日制についてでございます。
 学校週五日制最初の休業土曜日であった九月十二日当日の状況については、幼稚園、小学校、中学校、高等学校のほとんどで、校庭、体育館、図書室等の学校施設を開放いたしました。これらの学校施設で活動した子供たちは、合わせて約六千八百人でございました。また特殊教育諸学校においても、家庭や地域社会で主体的に活動することが困難な子供たちを対象にして、体育館、プール、校庭等を開放し、五十人余りの子供たちがトランポリンや水遊び等を楽しみました。
 子供たちの指導については、幼稚園や小・中学校では、PTAの役員、管理職、教職員のボランティアの協力が得られました。特殊教育諸学校では、県教育委員会が委嘱した指導員や保護者、教職員等が対応いたしました。
 また公共施設等の開放については、県立の紀伊風土記の丘、博物館、自然博物館、体力開発センターを無料開放するとともに、県下の市町村の公民館、歴史民俗資料館等の社会教育施設を開放し、合わせて約七千人の子供たちが利用いたしてございます。
 自然博物館には約四百五十人が来館し、体力開発センターのプールでも約三百人が水泳を楽しみました。また、県の事業である子どもスポレクフェスティバルinこざに約五百人が参加したのを初め、家事手伝い、図書館利用、カヌー遊び、紀伊風土記の丘に登るなど、子供たちは家族との触れ合いを深めたり、公共施設等を利用したり、郷土の自然や伝統文化財に触れるなど、主体的にさまざまな過ごし方をしてございます。
 次に、学校週五日制と学力の問題であります。
 このことについて、これまで教育水準の維持向上を図るため、子供の学習の負担感に配慮しつつ、学校裁量の時間の活用や学校行事等の精選、短縮授業の取り扱いの見直しなどにより授業時間の確保に努めるとともに、教材等の精選、指導内容の改善や指導方法等の工夫を行うよう指導してきております。
 月二回を休業日とする県下の調査研究協力校の状況については、事前に保護者や児童生徒に学校週五日制の趣旨の徹底を図るとともに、いきいきカードやふれあいカードをつくるなどして創意工夫を凝らし、休業土曜日を過ごすよう指導を行っております。
 子供たちは、グラウンド、体育館等におけるスポーツやゲーム、また開放講座でのワープロ教室や手芸教室に参加するなどして有意義な休日を過ごしたとの報告を受けてございます。
 学校週五日制については、これまで子供たちのさまざまな活動を支えるための指導員やボランティアの養成、施設、設備のあり方等について研究してきたところでございます。
 今後、月二回以上段階的に拡充していくことについては、まず月一回の実施状況を分析して諸課題を明らかにするとともに、月二回実施している調査研究協力校の調査結果を踏まえ、国の動向等も見守りながら慎重な対応が必要であると考えてございます。
 次にスポーツの振興については、あすを担うたくましい青少年を育成するとともに、活力ある県民生活を実現する上で重要な課題であると位置づけ、競技スポーツと生涯スポーツの振興に取り組んでいるところであります。
 黒潮国体開催から二十年を経過したこともあり、現在、県スポーツ振興審議会に二十一世紀を展望した本県のスポーツ振興方策について諮問しているところであります。諮問の内容としては、生涯スポーツの振興方策、競技力の向上方策、スポーツ振興に係る諸条件の整備などがあり、その中で指導者の養成、スポーツ施設の整備、スポーツ振興のための財源確保の方策など、総合的な観点から審議いただいているところでありますので、答申をいただいた後、その内容を踏まえて具体的な振興方策を進めてまいる所存であります。
 また二巡目国体の誘致については、昨年の九月県議会で知事の答弁がありましたとおり、議員各位のご協力を得ながら、誘致に向けて諸条件の整備を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(大江康弘君) 以上で、下川俊樹君の質問が終了いたしました。
○副議長(大江康弘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番木下秀男君。
  〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 今議会の知事説明で、国の総合経済対策を受けて、県単独事業については交付税措置のある起債の積極的活用や平成五年度予定事業の繰り上げ実施を行うべく、過去、最大規模の八十億一千余万円の増額補正を行い、さらに公共事業推進を図るために用地取得事業特別会計として六十二億八千二百余万円の大幅増額をし、国との調整がつき次第さらに追加計上するとのご説明をいただきました。仮谷知事の自信のほどと県勢浮上にかける積極的な取り組みに満腔の敬意を表するものであります。知事の意を体し、各部局長を中心に県職員一体となって諸施策の推進と県勢発展にとご努力いただいたことに、これまた敬意を表し、感謝申し上げます。
 以下、数点について各部局長にお伺いいたします。
 まず、補正予算編成に当たっての基本を総務部長にお伺いいたします。
 政府は、現在の日本経済不況を打破するため、ことし八月二十八日、経済対策閣僚会議を開き、総合経済対策を実施するために十兆七千億円の財政措置を決定いたしました。これを受けて自治大臣から全自治体に書簡が届けられたそうでありますが、内容を要約いたしますと経済対策に積極的に取り組めという通達と伺っております。総合経済対策の中の柱の一つである地方単独事業のうち臨時地方道整備事業、臨時河川等整備事業、臨時高等学校整備事業については、全額地方債で賄えることになったとも伺ってございます。さらに、辺地及び過疎債についても三百億円が追加されたと伺っております。これら国の積極的な経済浮揚策を受けて、県として補正予算編成に当たってどのような事業を重点施策として取り組まれたかをお伺いいたします。
 次に、日高高等学校中津分校グラウンド整備についてであります。
 県下高等学校四分校の校舎を初めとして体育館、格技場、寄宿舎等々の施設整備がほとんど完成した中で、日高高等学校中津分校のグラウンド整備が残っており、昭和六十二年九月議会に学校関係者や近隣の町村長、父兄会、同窓会の皆さんから請願書が提出されたことはご承知のとおりであります。五十メートル四方足らずのグラウンドで男女一緒の運動は不可能で、運動種目も限定されたものとなり、近隣の町村のご好意で体育の授業やクラブ活動を続けております。昭和五十九年度、分校教育の活性化と母校愛の涵養を目的に中津分校に硬式野球部が発足いたしましたが、グラウンドの状況は今申し上げたとおりまことに狭隘なため、練習は全くできず、陸上競技は川辺町の競技場を、硬式野球部は中津村若者広場を借用して練習活動を続けているのが現状でございます。特に、校舎のある中津村の赤松壽男村長の全面的な支援と協力で、昭和五十九年十二月以来、今日まで無償で若者広場の提供を受け、子供たちは存分に練習をすることができ、今夏の県内大会で準優勝したことは記憶に新しいところであります。しかし、いつまでも村の好意に甘えているわけにはまいりません。九月十日、県議会の総務常任委員会一行の皆さんが県内調査で中津村を視察いただきましたが、そのときに赤松村長から、分校に対していかに支援、協力してきたかの説明とグラウンドの早期完成を陳情されたのであります。
 現在、用地は中津村の協力のもとに平成三年十二月に粗造成が完了し、今年五月、県に寄附を申し出て、既に登記完了済みと伺ってございます。国の緊急総合経済対策の中に、臨時高等学校整備事業として二百億円が予定され、地方単独事業は全額起債で賄えるようにする、追加に当たっては地域の実情に応じ積極的な予算計上と効果的実施に努めることとなっております。用地を造成の上、寄附を受けて県有地となり、こんな好条件のそろったチャンスはないと思います。四期十六年間村政を担当した赤松村長はこの九月に勇退されましたが、今日まで数多くのご協力をいただき、このグラウンド建設整備にかけた情熱にただただ感謝するのみであります。
 教育委員会としては、今日までの赤松村長と村のご協力に対していっときも早く着工し、完成に向けて努力するべきであると思考いたしますが、教育長の積極的なご答弁を求めます。
 次に、県道御坊美山線皆瀬地内崩土の早期復旧についてであります。
 日高郡の中心部を結ぶ主要県道御坊美山線の美山村地内で、今年五月十四日の集中豪雨により災害が発生いたしました。崩壊土砂約五千立方で約八十メートルにわたって埋没し、第二次災害の危険から手がつけられず、地盤が締まってからということでようやく九月から復旧事業に着手したところであります。この間、六月議会の建設委員会において早期復旧をお願いし、九月九日には議会の建設常任委員会の皆さんと土木部長以下、幹部の皆さん方に現場を視察していただきましたが、御坊土木事務所の見通しでは、事業費が約一億四千万円、開通は平成五年の夏ごろという見込みでございます。
 住民の足として一日に二十往復のバス運行をしている御坊南海バスはこの災害により減収が大変大きく、また地域住民や特に通学生や老人が困り果て、悲鳴を上げている現状であります。美山村、龍神村が企業誘致した大喜工業、紀南パンジー、地元木材業者等が、原材料と製品の搬出入に二時間半余りの遠回りをして南部町経由で京阪神を往来しているのが現状でございます。この工事の短期開通に向けての見通しを土木部長にお伺いいたします。
 続いて、これらに関する迂回トンネルの建設でございます。
 ただいま申し上げた皆瀬地内の崩土の現場は、今ご説明のとおり、急峻で風化地盤の上に軟弱で、四六時中落石があり、危険と隣り合わせの状態であります。この現場を見て、一九八四年七月、越前加賀海岸でがけ崩れにより十五名の死亡事故があったことを思い出すのであります。その加賀海岸の事故の状況は、高さ七十メートル、幅二十メートル、崩土約千五百トンと報道されてございます。福井県は、事故再発を防ぐために一年八カ月の短期間で迂回トンネルを完成しました。私はこれにヒントを得て、村境である中津村岩ノ川から美山村皆瀬間に迂回トンネル建設を提言するものであります。たび重なる災害復旧工事費を計算すると、将来の安全と費用の軽減につながると思うのであります。これも、土木部長の積極的なご答弁をお願い申し上げます。
 次に、学校週五日制についてお伺いいたします。
 ただいまも下川議員から詳細にわたっての質問がございましたが、私も二、三の例を挙げて質問いたします。
 詰め込み教育の反省から、社会、生活体験などを通じて自主判断し、行動できる児童生徒を育てることを目的に、国公立の幼稚園から高等学校まで、第二土曜日を休業とする学校週五日制制度が九月十二日から実施されました。このことは、明治五年の学制発布、昭和二十一年の教育制度の改革、そして平成四年の学校週五日制と、我が国の三大改革とも言われてございます。五日制制度実施に当たって、この議場で多くの議員が教育庁と論議を交わし、二月議会において意見書を提出したところであります。
 第一回実施した九月十二日前後の全国各地の実情も報道されましたが、賛否両論ございました。私の身近にあった実例を申し上げます。
 郡内のある中学校で、進学指導担当の先生が九月十二日の休日をいかに過ごそうかと三年生全員に無記名アンケートをとりましたら、九八%が進学に必要な補習授業希望であったので実施したところ、九八%の生徒が登校して勉強したという結果が出てございます。残りの二%の生徒はいかにしたかというと、勉強嫌いと「起こし組」だということでございました。この「起こし」というのは、両親が朝早く仕事に出るので寝過ごして遅刻したり、遅くなったので登校しない子供たちを先生が起こしに朝早く家庭訪問することを言うのだそうです。土曜休日となると「起こし」をする必要がなくなるが、学力差のつくことが大変だと聞かされました。この子供たちに対しどう対処すべきであるか、この制度実施に当たって生徒の側に立つべきか、制度を守るべかと、この先生は悩んでおりました。
 もう一件申し上げますと、十二日の朝、私は日高川の川口に釣りに行っておりますと、私のそばに小学校二年生ぐらいの男の子を連れた人が来て同じように釣ったのでございますが、三人で釣り話をしながら尋ねますと、その子供は奈良から来たと申しておりました。その少年に、「休みが二日続くので、お父さんと釣りに来られてよかったね」と言うと、その少年は首を横に振って、「僕は、学校へ行って勉強して、友達と野球をしたいのに、学校は休みだから学校には行けない。喜んでいるのは、僕をだしにして釣りに来れたお父さんだ」と、このように話した少年を思い出しますが、この少年にはゆとりも何もないと感じたのであります。
 例を挙げ、私見の一端を申し上げました。この制度実施一日だけで判断できるものではございませんが、学校教育週五日制実施に伴う評価と今後の課題について教育長の所見をお伺いいたします。
 次に、医療廃棄物の処理についてであります。
 私は、男の厄年と言われる四十一歳のときに大病を患って、六十日の入院治療で一命を取りとめたのであります。そのときに二千三百ccの輸血を受け、余病の併発もなく全治回復したのでありますが、その折、係の医師から、人体には約六千二百から六千五百ccの血液があるけれども、君のように三分の一以上の出血で助かるのは少ないと言われ、「医は仁術なり」なりということを身をもって体験したのであります。以来、医療には特別に関心を持つようになりました。今、世界の医学会で最大の問題はエイズだと言われております。午前中の阪部議員もエイズについて質問されました。また、以前には尾崎吉弘議員からも質問がありましたから、私は二次感染予防の意味を込めて質問いたします。
 医学の発達と医療器具の多種化によって廃棄物の量が多くなり、また感染予防の必要もあって処理法の全面改正がなされ、九一年十月二日、国会において新廃棄物処理法が成立いたしております。これは、一九七○年公布以来二十年ぶりに議論され、医療廃棄物等についても強く踏み込んだものと伺っております。九二年七月から施行されていますが、県の対応と県下の状況等について、以下質問いたします。
 まず自治体の対処の仕方でありますが、和歌山保健所管内はすべての医療廃棄物は収集しない、御坊保健所管内は病院、医院から排出される感染性医療廃棄物は行政サイドでは収集しないとされていると聞いております。
 私の調べでは、県下保健所管内で完全に実施されている市町村は十二市町村で、ゼロの市町村が三市町ございました。県下千カ所ほどある医療機関で、この処理法により処理されている医療機関は五○%強で、約半分が一般廃棄物として処理されているように見られるのであります。この点について、県当局の対応と指導方針をお伺いいたします。
 次に、感染性医療廃棄物の処理についてであります。
 これは、この新廃棄物処理法で最も大切な問題であると考えます。医療廃棄物適正処理手引によりますと、中間処理は能力を備えた地方自治体あるいは業者となっており、収集運搬に当たっては分別された感染性廃棄物を他の廃棄物と混載しないこと、及び車両に限定を設けていますが、これらの点に沿うためには自治体に新たな負担が生じると思うのであります。このために、実施されていない市町村が多くあるのかもしれません。県当局の対応をお伺いいたします。また、歯科医師からの医療廃棄物についてもお伺いいたします。
 さて、法を遵守する立場から質問いたしましたが、医療法改正に伴い、各病院の経営が非常に厳しくなっているとも伺ってございます。地域医療の充実という使命を考え合わせると、厚生省等に実情を上申するとか、あるいは地方自治体として廃棄物の処理に必要な経費を診療報酬の中に位置づけをさせるとか、何らかの財政援助を考えるべきではないかとも思います。私見を申し上げましたが、この点、保健環境部長のご答弁を求めます。
 次に、開発と守秘義務についてであります。
 土地開発ブームに沸く時代の出来事でありますが、乱開発により被害を受けている方から苦情を持ち込まれ、許可を与えた県に申し入れてほしいとの依頼があり、関係する課に当時の状況を知るために資料を要求いたしましたが、「個人の権利を守るため」との理由で拒否されました。再度、議会の調査課を通じ申し入れましたが、同じ理由で拒否されました。今、県下各地で自然を守ろうとの運動が広がりつつあります。私は、乱開発の防止と被害者と自然を守るために、あえてこの項目を質問に取り入れました。
 県立自然公園特別区域第三種地区内における工作物の管理小屋と進入路の許可についてであります。このことは、由良町にあって九月町議会においても一般質問で取り上げられました。
 具体的に申し上げますと、一番目、昭和五十三年三月、管理小屋建築申請については、地元の区長、漁業組合長の同意書を添付して申請を出したが、隣接地の同意がなく、開発面積約百平米に対して同意書三十平米と大きな開きがあるのはなぜか、隣接地の同意が要らないのかどうか、この点をまずお伺いします。
 昭和六十二年二月十九日、進入路設置、二百三十四平米の申請に同意書が要らないのか、要るのか。その当時の申請には、区長さんは同意はしていないと言ってございます。この進入路工事については、隣接のお寺の所有地でございますが──寺地と隣接するので苦情を申し入れたところ、立ち会った職員のとりなしで、今後このような乱開発をしないという約束を取りつけ、やむなく同意したそうでございます。その工事完了後、管理小屋を建て、その管理小屋から出る生活雑排水は隣接の寺地に垂れ流しのため、苦情を申し入れたが聞き入れられず、昭和六十三年二月五日申請の二つ目の管理小屋、木造二階建て百九十五平米と聞いているものの、これにも同意書がつけていないが、必要がないのかどうか。そして、管理小屋から約百五十メートル、幅員約二メートルが上に向かって施設されております。これには一切許可申請がないと聞くのでありますが、許可の必要があるのか、ないのか、この点をお伺いするものであります。
 また、乱開発道路を五十メートルほど上ったところのなだらかな斜面、約三百平方メートルを伐採し、キジを飼ってございます。乱開発道路奥の二百メートルほどの場所をさらにキジの放し飼い場にする計画で、約千平米の立ち木を伐採し、放置しているようでございます。これらの件について正規な諸手続に不備はありませんか、あるとすれば和歌山県自然公園条例第十三条及び第十五条に違反すると思いますが、県当局の見解はいかがでございましょうか。
 平成元年九月十日の日高地方北部の集中豪雨で、これらの乱開発で道路が川の役をして管理小屋の排水管を通じ鉄砲水となり、県道を越して下のお寺の庫裏に流れ込み、大騒動したそうでございます。事後、県観光課及び県事務所の係と町役場職員が災害状況を確認し、開発に関してはその都度、町と日高県事務所に善処方を申し入れたところ、県は施行者である地主に注意したとのことですが、一向に聞き入れられず現状のままで、依然として寺地に生活雑排水を垂れ流しでございます。
 私は、現地を二度にわたって見てまいりました。畑を持っている被害者の皆さんにも今日までの状況を伺いました。私がこの件で調査を始めた直後、県の職員が急遽現地に来られたとも聞きます。県は土地所有者の権利を守るためと申しますが、拒否する理由は何であるか、同じ公園地内にあって乱開発によって被害を受けている人の権利をどのように考えておるのかをお伺いするものでございます。
 以上で、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(大江康弘君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長山中昭栄君。
  〔山中昭栄君、登壇〕
○総務部長(山中昭栄君) 緊急総合経済対策に関連をして、補正予算編成に当たっての基本的な考え方でございます。
 今回の九月補正においては、依然として先行き不透明感をぬぐえない県内の経済情勢を踏まえながら、景気の低迷からの脱却が喫緊の課題であるという認識のもとに、景気への対応を中心に据えて思い切った予算措置を講じたところでございます。
 具体的には、先般、八月二十八日の国の総合経済対策を受けて、県単独の施策として道路、河川等の県単独事業の大幅な追加等によって当面の景気の浮揚を図るとともに、今後の公共事業等の着実な実施のために用地の先行取得を積極的に推進することにいたしております。さらに、年度間の切れ目のない事業執行を図るため新たに導入する、いわゆるゼロ県債を含む債務負担行為を大幅に追加するほか、金融面でも中小企業に対する貸付枠の拡大や貸付金利の引き下げなど、各般にわたり総合的な対策を講じております。
 これに加えて、国の総合経済対策による公共事業についても、事業箇所、事業費の獲得に鋭意努力をしてきたところでございまして、今回の補正による総合経済対策予算はこれまでで最大の規模となることから、相当の効果が期待できるものと考えております。
○副議長(大江康弘君) 土木部長山田 功君。
  〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 県道御坊美山線の災害に関してお答えを申し上げます。
 この御坊美山線の災害箇所については、通行どめが非常に長期にわたっているため、利用者の皆様方に大変ご迷惑をおかけいたしております。一刻も早く安全通行が図られるよう、災害復旧事業として鋭意取り組んでいるところでございます。
 災害の状況は、平成四年五月十四日の豪雨によって崩土が発生し、通行不能となったものであります。被災以後のたびたびの降雨により二次災害の危険性もあり、測量調査も困難な状況でございましたが、去る九月三十日に災害現地査定を受け、採択されましたので、近々本格的な復旧工事に着手することといたしております。
 なお、通行どめ解除の時期については、本年中には片側通行が可能となり、平成五年梅雨期までには全面通行となるよう最善の努力をしてまいります。
 今後、当区間全体の防災についての調査を行い、代替路の確保や、ご提言のトンネル案も含め、その対策を検討してまいりたいと存じます。
○副議長(大江康弘君) 保健環境部長遠藤 明君。
  〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 医療廃棄物についてでございます。
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正に伴い、廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアルが国においてまとめられ、感染性廃棄物の定義や処理方法等が具体的に示されたところでございます。
 議員ご指摘のとおり、従来、医療廃棄物の処理を市町村に依存しているケースが多く見られたところでございますが、法改正に伴い、感染性の判断や取り扱いに専門的知識を必要とし、また収集、運搬及び処理に伴う設備の充実が求められることから、対応が困難な市町村もあると考えられます。専門の処理業者に委託するなど、医療廃棄物の適正な処理が図られるよう、医師会、歯科医師会の協力を得て排出関係者を指導してまいる所存でございます。
 なお、財政援助等については全国的な問題でありますが、地域医療の充実という観点から、今後、関係機関、団体等の意向を踏まえて対処してまいりたいと考えております。
○副議長(大江康弘君) 商工労働部長中西伸雄君。
  〔中西伸雄君、登壇〕
○商工労働部長(中西伸雄君) 開発のための許認可の同意等についてでございます。
 議員ご質問の、由良町内における工作物の許可についてでございます。
 昭和五十三年の管理小屋、昭和六十二年の進入路及び昭和六十三年の管理小屋については、県立自然公園条例第十三条第三項の規定に基づき、許可を行ってございます。昭和五十三年の許可以外については、地元の同意書が添付されておりません。しかし、その当時、地元の方々と種々協議をされたと聞いてございます。
 なお、一般的には自然公園法並びに県立自然公園条例では同意書の添付は義務づけてはおりませんが、行為の内容によっては地域へ与える影響を考慮し、申請者に対し地元の理解を十分得るよう指導を行っているところでございます。
 次に、管理小屋からの道路の造成並びに伐採についてでございます。
 このことについては、遺憾ながら県立自然公園条例の規定に基づく許可を得ずになされている行為でございまして、現在、行為者からの事情聴取等、事実関係を調査中で、その結果を踏まえて厳しく対処してまいりたいと考えております。
 なお、県としても、巡視の励行、地域への普及啓発等により違反行為の防止に努めているところでございますが、今後とも和歌山県の豊かな自然環境の保護と利用を図るため、関係機関、市町村の協力のもとに一層努力していく所存でございます。
 次に、守秘義務についてでございます。
 議員ご指摘の許可申請に係る文書の資料の開示については、一般的には申請者のプライバシー等にかかわる問題があると考えられます。したがって、県立自然公園条例の許認可の文書についても、開示することが適当でないと判断したものでございますので、ご理解を賜りたいと思います。
 また、ご指摘の開発によって生じてきている排水等の問題については、関係機関等と協議し、これが対応について申請者を強く指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 日高高校中津分校グウランド整備と学校週五日制についてお答えいたします。
 日高高校中津分校の件についてでございますが、校舎整備については、年次計画に基づき、昭和五十八年の整備をもっておおむね完了しているところでございます。
 議員ご質問の運動場については、現状での用地拡張は地形的に困難であり、従前から地元のご厚意により、若者広場等をクラブ活動などに利用させていただいておりましたが、このたび中津村を初めとする地元の関係者並びに村民の方々の並々ならぬ熱意とご協力によって運動場用地を確保できることとなったため、平成五年度着工の予定で平成四年度当初予算に調査設計費を計上し、現在、鋭意事務を進めているところでございます。教育委員会といたしましては、運動場としてできる限り早期に使用できるよう努力してまいりたいと存じます。
 次に、学校週五日制の評価と今後の課題についてでございます。
 学校週五日制は、学校、家庭及び地域社会の教育全体のあり方を見直し、子供たちがみずから考え、主体的に判断し行動できる資質や能力を身につけることをねらいとするものであります。
 初めて経験する休業土曜日であった九月十二日は、ほとんどの学校、園で運動場や体育館などの施設を開放しました。また、公共施設の開放についても、県立の自然博物館や紀伊風土記の丘等を無料開放するとともに、市町村においても社会教育施設等を広く開放いたしました。そのような状況のもとで、子供たちはスポーツや文化活動等を行ったり、さまざまな催しに参加するなどして有意義な休日を過ごしたと受けとめております。
 しかしながら、議員ご指摘の事例にも見られますように、学校週五日制の趣旨がまだ十分徹底し切れていない一面があるほか、留守家庭の問題や、地域において子供たちが自主的に活動したり異年齢の友達と活動できる基盤にまだ弱さがあることも事実でございます。学力にかかわる問題については、授業時数の確保に努めるとともに、月曜日から金曜日までの授業を充実させることによって対処するよう指導してきております。親子の触れ合う機会を多く持つことは、子供たちの豊かな人間形成を図る上で大切なことであると考えます。
 教育委員会としましては、これまで二十万部余りのパンフレットを作成してすべての保護者に配布するとともに、テレビやラジオを通じて啓発活動を行ってきたところでございますが、今後なお学校週五日制の円滑な実施に向けて広く県民の理解と協力を求めるとともに、学校教育の充実、家庭や地域社会における教育力の向上、学校外活動の充実等の課題の解決を図るため努力してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(大江康弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 6番木下秀男君。
○木下秀男君 ただいま答弁をいただいた中で、公園法の条例に同意書の必要はないという答弁がございましたが、このままでまいりますと小規模の開発は何ぼでもできるようになってきます。各地で乱開発が続発しており、県の自然公園条例はまさにざる法であると思います。
 今、土地を商いする皆さん方は、海の見えるところ、海に近いところ、海で遊べるところという、海に関係するところをもくろんで商売をしに来る。その一例が今申し上げた場所でございますが、このように、県の観光課で隣接の人の意も得ないままに小規模開発を許可することによって、小規模が二つ、三つ、四つと重なれば大規模につながってくると思います。
 そういう意味で、この和歌山県の自然公園条例の見直しが必要と思いますので、今、質問いたしたことを十分踏まえた中で検討賜りますように要望いたしまして、私の質問を終わります。
○副議長(大江康弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下秀男君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(大江康弘君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十一分散会

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