平成4年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、早速、質問をしてまいります。
 大規模開発と環境保全について、まずお尋ねをいたします。
 去る六月三日から十四日まで、ブラジルで国連環境開発会議(地球サミット)が開かれました。この会議は、国連の環境と開発のための委員会の呼びかけで、各国政府及び環境NGO(非政府組織)代表が一堂に会して地球環境問題について対策を協議し、立場の違いを超えて共同で対応していこうというものです。
 今大きな国際的問題となっているCO2(二酸化炭素)の増大による地球温暖化、フロンによるオゾン層破壊、酸性雨などNOX による大気汚染の激化等々、地球環境の破壊が深刻となり、国際世論が喚起された結果とも言えるのではないでしょうか。
 ここには、世界百八十三カ国の首脳や政府代表が参加、そして並行して世界各国のNGOによる環境問題についてのグローバルフォーラム92など、百六十五カ国、七千五百団体が、毎日四万人を超える大きな大会として成功させました。
 地球サミットでは、「環境と開発に関するリオ宣言」、具体的な実行指針となる「アジェンダ21」、「森林に関する原則声明」や地球の温暖化を防ぐための「気候変動枠組み条約」、野生種の保護を目指す「生物多様性条約」に、それぞれ百五十三カ国と百五十七カ国が調印したことも報道されました。
 ここに日本からも、公害被害者や科学者、弁護士、労働組合、住民団体、消費者団体など多数が参加をいたしました。NGOから地球環境保全に最も非協力的、消極的だったアメリカに最悪の金賞が、そして日本政府にゴールデンベビー賞が贈られたことは、今の日本政府の環境に対する姿勢がうかがえるところであります。
 一方、環境保全のための途上国援助への資金づくりで、また、工場の脱硫脱硝装置や自動車の排ガス規制技術など、日本は幾つかの汚染防除技術のいずれにおいても大きな役割を果たしてきていますし、これを国際的に期待されている現実でもあります。
 こうした国際化した環境問題は、国内でもリゾート法成立以来、特に拡大されていると言われます。既に三十五県が国のリゾート法に基づく構想の承認が終わり、最終的には四十一県に達するようであります。特定地域の面積は我が国の農用地面積に匹敵するとも言われています。また、広さばかりでなく、これまで開発の手の及ばなかった比較的良好なわずかに残された自然環境の地域が開発対象になっていることとあわせて、国立公園や自然環境保全法による保全地域あるいは保安林、農地でも農振地域が組み込まれているのであります。
 しかも、リゾート開発はいずこも、金太郎あめと言われているように、ゴルフ場、ホテル、マリーナが主体です。これに関連するアクセス道路などを含め、森林伐採や土地造成、海浜埋め立てを伴うもので、貴重な自然が破壊され、農林業への影響は避けられないと思うのです。「まず開発ありき」のリゾート法のもとでは、乱開発と環境破壊を招かざるを得ない状態になってきています。
 全国各地の状況を調べてみますと、企業の撤退、自治体の財政負担の過重、住民の反対などによって、計画の見直しや縮小、断念に追い込まれている状況にあります。お隣の淡路島は、四十一の事業計画のうち、今着工あるいは実施計画段階にあるのがわずかに七つの事業です。そして兵庫県は、十五の計画が規模縮小、そして十が見直しをやらなければならないということになっています。また、三重県の鳥羽市や九州の福岡県、そして山口、沖縄、静岡、山梨、北海道など、その他の地方自治体でも見直しが相次いでいると言われています。
 そこで、お尋ねをいたします。
 本県における燦黒潮リゾート構想の七重点整備地区ごとの具体的計画の進捗状況と今後の見通しについて、企画部長にお答えいただきたいと思います。
 次に、ゴルフ場開発についてお尋ねを申し上げます。
 去る六月十日、二年間の経過措置を経て林野庁長官通達により、ゴルフ場の造成に係る切り土量、盛り土量はそれぞれ十八ホール当たりおおむね二百万立方メートル以下とするという、森林を守る立場から厳しい規制が加えられてまいりました。それまでは野放しの状態でありましたから当然といえば当然でありましょうが、今後はゴルフ場開発にわずかばかりの歩をとめたことになりましょう。
 これまで、事前協議中の開発業者により地元住民や地権者、水利権者、漁業組合への執拗な同意工作が行われ、許可申請に必要な書類が不十分なまま県事務所に申請した事業者も数多くあるものと、地元住民の訴えから推察できます。中には、事前協議を申請して、県からの意見通達が五月二十四日に出され、わずか十八日後には本申請という到底考えられない申請まで受け付けている実態ですから、届け出制や事前協議のあり方について疑わざるを得ません。まさに、これこそ駆け込み申請そのものだと言えます。届け出制と事前協議制の目的と効果について、関係部長の所見をお伺いいたします。
 続いて、計画当初からの住民参加と資料公開の保障及び住民合意についてお尋ねをいたします。
 私たち住民、特に開発計画地周辺住民は、計画のあることすらなかなか知らないし、知らされないことが多々あります。特に、事ゴルフ場開発については特徴的であるようにも思うのです。どうしてなのでしょうか。
 本県の方針としてゴルフ場等開発計画に関する取扱いで明記をされていますが、ここでは「地域振興として地元市町村及び地元住民が積極的に要請している計画(予定地)に限って届け出を受け付けるものとする」とし、その地域振興として、過疎対策関連事業、同和対策関連事業、観光・リゾート対策関連事業、その他特に地域振興に寄与すると認められるものの四つを位置づけ、限定しているのです。ですから、この要件を満たしているのであれば、企業は住民に開発計画の具体的説明を資料公開の上で行い地元住民の意見や要求にこたえる、そんな努力を当然しなければならないと思うのです。多くの企業が地元の住民の協力や理解を得る積極的な努力を怠ってきた結果として、現在の多くの住民運動があるのではないでしょうか。
 現状はといいますと、地元住民が具体的計画を知り得る段階は、多くは届け出受理後あるいは事前協議申請終了後でありますから、地元住民としましては、直接、しかも最も被害や影響を受ける者が無視されているわけですから、開発業者とともに行政不信が起こるのは当然だと思います。
 開発許可申請まで一度も地元自治会への説明会も開催されないばかりか、この六月十一日、林地開発そのものが改正された時点においても、その後においても説明会が行われていない自治会すらあることを記憶にとどめていただきたいと思います。
 地元同意を得るため、例えば、海南市の全日空海南ゴルフでは同意料として三億八千万円、同意していない自治会も後で同意したら別途支払う、あるいは和歌山市のフォレストシティでは開発協力金あるいは迷惑料として二億円、またすさみ町の里野台では一世帯五百万円といった、住民合意を金で買うといった企業活動が平然と行われているのです。私は、こういった住民の誠意を金で買うような許せない業者に対して大きな怒りを覚えます。企業に対する今までの県当局の行政指導のあり方が問われなければなりません。また、地権者、水利組合、漁業組合の同意についても多くの疑問が語られているのです。
 この間、地元合意についての住民団体の皆さんや私らのこれまでの質問、折衝に対する答弁は、住民合意は法的義務はないが、地元住民とのトラブルを避けるため、行政指導として開発業者に対し関係地元合意を同意書として得るよう指導を行ってきた、その内容は、開発業者は関係単位自治会に計画を説明し、そこで出された意見や質問等にも答え、結論に至った経過について書面で提出するよう指導してきており、この結果の経過を許可判断の重要な参考材料にするということでありました。つけ加えますと、和歌山市のフォレストシティ計画地である有功地区住民に対しては、開発区域周辺単位自治会については自治会の総意による同意書、浸水被害地区住民単位自治会については調整協議書を提出するよう指導し、協議書も同意書同等に扱うことを明確に答弁されています。
 しかし、現実には指導の効果が十分あらわれていないのは残念なことであります。法律が不十分であるならば、地方自治体として、行政指導にとどめず、行政の上乗せ条件として住民合意を許可条件に義務づけする必要が求められていると思うのです。関係部長のご所見をお尋ねします。
 あえて申し上げなければなりません。ゴルフ場開発計画の地元では住民を二分するような感情問題が発生している中で、「開発問題がなければ隣や近所が仲よく生活していけたのに。本当に悲しいことだ」と涙を流しながら叫んでいる住民の皆さんたちの気持ちを真摯に受けとめ、対応を願うものです。
 最後に、住民の立場に立った環境アセスメントについてお伺いいたします。
 私は、一九八九年九月議会において、リゾート法成立に伴い、ゴルフ場を初めとした大規模な乱開発による自然環境破壊を事前に防止する環境アセスメントの緊急性をただしてまいりました。民間事業の開発に係るアセスメントには、住民参加と情報公開の保障や一定面積以上の開発についての義務づけ、広く地域の環境を評価範囲とすることなどを要望してまいったところです。
 昨日、環境影響評価指導要綱が完成し、記者発表が行われたようです。約三年にわたっての担当者の努力に感謝を申し上げると同時に、実効ある要綱にさらにつくり上げていただきますよう改めて要望しておきたいと思います。
 私は、本朝その指導要綱を見せていただいたばかりで細かなところまで分析していませんので、いろいろ申し上げられませんが、私の要望しておりました住民参加と公開の保障、一定面積以上の開発に対するアセスメントの義務づけ、そして地域住民への説明会開催や住民の意見提出という形での市民参加の道が保障されていることは、評価したいと思います。
 しかし、開発許可において計画の変更や中止措置を含む規制にならない点や、審査は民主的な第三者機関で行うことなどの方法がまだ明らかになっていません。私は、県の環境政策は、県民が安全、健康でかつ快適な環境を享受する権利の実現、そして良好な環境を将来の世代に引き継ぐことを自治体の制度としてぜひとも充実、発展させることであり、真の住民の立場に立った環境アセスメントの実現であろうかとも思うのですが、関係部長の指導要綱についての見解をお答えいただきたいと思います。
 一回目の質問を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 村岡議員にお答えをいたします。
 まず、燦黒潮リゾート構想の七重点整備地区ごとの具体的な進捗状況と見通しについてでございます。
 燦黒潮リゾート構想に位置づけているプロジェクトの進捗状況でございますが、全プロジェクト七十五件のうち、一部施設の完成したものから事前協議中のものまで含め、三十四プロジェクトが進展しているところでございます。これを本構想の中核地である田辺・白浜地区で見ますと十六のうち九プロジェクト、またその北部地区の加太・紀泉地区、和歌浦湾地区、西有田・白崎地区の三地区で見ますと二十八のうち十七プロジェクト、南部地区の勝浦・太地地区、潮岬地区、枯木灘地区の三地区で見ますと三十一のうち八プロジェクトが進展しているところでございます。
 また、計画の見通しにつきましては、経済情勢の変化などにより計画の進展に若干の影響が見られますが、リゾート地の形成には相当長期間を要するものでございますので、今後とも地元市町村との連携を密にし、民間企業の積極的な誘致を図りながら自然と共生する個性豊かな海洋性リゾートの形成を推進し、地域振興を図ってまいる所存でございます。
 次に、ゴルフ場等の開発についての届け出制の目的と効果についてのご質問でございます。
 県土の総合的かつ計画的な利用を図るためには、適正な土地利用を推進することが重要でございます。特にゴルフ場開発計画につきましては、こうした観点から、個別法による開発許可申請手続の以前の取り扱いとして、昭和六十三年十二月一日にゴルフ場等開発計画(予定地)に関する取り扱いを定めたところでございます。
 この通達によりまして、過疎対策、同和対策、観光・リゾート対策、その他特に地域振興に寄与するもののいずれかに該当すると認められ、地域振興として地元市町村及び地域住民が積極的に要望している計画に限り受け付けるものとしてございます。このことにより、地元市町村との連絡調整が緊密化されるとともに、土地利用の総合的な調整や地域振興等の位置づけが明確化されるなど、十分効果が果たされているものと考えてございます。
 次に、計画当初からの住民参加と資料公開の保障についてでございます。
 ゴルフ場の新規開発計画につきましては、個別法による開発許可申請手続の以前の取り扱いとして、先ほど申し上げたように通達を定め、過疎対策、同和対策、観光・リゾート対策、その他特に地域振興に寄与するもののいずれかに該当すると認められ、地域振興として地元市町村及び地域住民が積極的に要望している計画に限り受け付けるものとしてございます。
 なお、届け出書の公開についてでございますが、まだ構想、計画の段階のもので不確定の要素が多く含まれていることから、公開することで無用の混乱を招くおそれがあること、また企業秘密や個人のプライバシー等の問題もあり、公表は差し控えさせていただいてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) ゴルフ場等の開発についてお答えを申し上げます。
 まず林地開発許可制度の事前協議制でございますが、林地開発許可制度では、開発計画の内容について早期把握、災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全等、許可要件の指導及び他の法令による関係課室との調整、開発許可事務を適正、円滑に実施する意味から事前協議制を定めているところでございます。従って、申請者の指導、関係機関との連携など効果的に実施をされておりまして、その効果があると判断をしてございます。
 次に、林地開発許可制度に係る資料の公開につきましては、用地関係を初め申請者の利害に絡む難しい面もございますが、計画がある程度具体化した時点で、事前協議済みの開発計画について、位置図、区域図等その計画の概要は関係者等に問い合わせがあれば対応をしているところでございます。
 次に住民合意の問題でございますが、林地開発許可制度の円滑な実施を図る立場から地元との調整を図ることは大切であり、また極めて重要なことと考えてございます。このため、関係区域内及び隣接直下の自治会あるいは関係団体の同意を得るよう指導しているところでございます。なお自治会の範囲については、市町村長の意見によって同意の範囲を指導してございます。
 最後に、開発申請の許可条件に地元住民合意を義務づけることでございますが、林地開発許可の申請に当たっては、地元住民の意向を尊重する意味から、地元関係住民の同意を得るよう指導しておるところでございます。また、開発許可に際しては、事業実施の安全性、確実性を期するための許可条件を付しておりますが、その許可条件の一つとしての住民同意の義務づけは、制度上適切でないものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) 私は、都市計画法の開発許可に関連をいたしましてお答えを申し上げます。
 まず事前協議制の目的、効果ということでございますが、都市計画法の開発許可に係る事前協議制度は、大規模な開発構想について、申請者に対し総合的に指導することにより、計画内容の適正化及び事務処理の合理化を図ることを目的として設けられております。
 具体的には、県及び地元市や町の関係部局で構成される大規模開発調整協議会において、個々の開発構想案について、申請者に対し、開発に必要な諸手続、設計に当たって考慮すべき基盤整備、防災対策等を指導しているところであります。この事前協議制度により、関係機関の連携のもとに各種手続などが適正かつ円滑に進められるよう努めているところであります。
 次に住民参加あるいは資料公開の問題でございますが、開発許可に関する資料の公開につきましては、構想・計画段階の場合は区域や設計内容等にまだ不確定の要素が多く含まれていることから混乱を招くおそれがあると考えられること、また資料の中には事業活動や個人の利害に絡む情報も含まれているというようなことから、原則として資料自体を一般に公開するということは難しいと考えております。なお、事前協議済みの大規模な開発計画については、関係者等から問い合わせがあれば、その位置、計画概要等について説明を行っておるところであります。
 次に住民合意の問題でございますが、住民合意については、開発事業者に対し、開発行為の工事中及び完成後のトラブル防止の観点から、開発区域及び隣接する自治会の同意を得るように指導をしております。地元自治会の意向につきましては、開発計画を十分に説明して理解を得るよう開発事業者に対する指導を行っているところでございます。
 それから、開発申請及び許可条件に地元の住民合意を義務づけてはどうかという問題でございますが、大規模な開発事業については地元住民の意見を尊重するという立場から、開発申請者に対し、地元説明会を行って計画内容を説明するとともに、地元自治会の同意を得るように現在指導しております。
 なお、都市計画法におきましては、開発許可に当たって適正な土地利用を確保する観点から許可基準を規定しているものであり、法律上定められている土地改良区等の公共施設管理者の同意は必要でありますけれども、いわゆる一般的な住民合意を許可の条件として義務づけるということは法制度上適切ではないと考えられます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 保健環境部長遠藤 明君。
 〔遠藤 明君、登壇〕
○保健環境部長(遠藤 明君) 環境アセスメントについてでございますが、本日公布された和歌山県環境影響評価指導要綱では、事業者に対して環境影響評価準備書の作成、縦覧、説明会などの手続を実施させることとなります。関係地域住民は、準備書を閲覧し、説明会に参加し、公害の防止及び自然環境の保全の見地から意見を述べることができます。県としては、関係市町村長の意見を聞き、環境保全の見地から事業者に対し意見を述べることとしております。
 これらの意見は、事業者の作成する環境影響評価書に反映され、再度縦覧されることとなっております。このような手続を通じ、環境アセスメント制度を適正に運用してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今、お答えをいただいたわけですけれども、大体、予想はできておりました。
 特に、今住民の皆さんたちが非常に問題にしていること、なぜ反対運動が起きているかという問題、とりわけこの事前協議制が本当に効果的に今働いているのかどうかという問題について、届け出のときの開発同意書はだれのものが必要なのかということと、事前協議申請のときにはだれの同意書が必要なのかということをもう一回お答えください。
 それから、今、最初の届け出のときに、地域振興の四項目に該当し地元市町村及び地域住民が積極的に要望している計画のみを受け付けるというふうになっているわけですけれども、問題はこの「地域住民が積極的に要望している計画」について、その周辺住民の皆さんたちの意見をどうくみ上げられているのか、どう反映された形での積極的要望なのか、このことについてお答えください。また、「地域振興」とおっしゃいますけれども、具体的に中身は何なのか、もう一回お答えください。
 それから、資料を公開すると無用に混乱を招くというふうにおっしゃいました。企業の秘密云々ということはあると思います。しかし、住民側にとっては何も混乱は起こらないわけです。一体どんな混乱が起こると判断をされているのか、お答え願いたいと思います。
 住民合意のあり方ですけれども、私が先ほど申し上げましたように、住民合意とはその開発区域の周辺住民の同意だと。そして、単位自治会の総意のもとに、総会あるいは投票といったものが民主的に行われ、自治会長が代表として印鑑を押すんだと。これが住民合意だというふうに、今までも繰り返し建築課や林業課も答えてこられました。この点について、そうなのか、もう一回お答えいただきたいと思います。
 それで、特に県は、法律的な根拠はないけれども、後のトラブルが起こらないためにも住民合意をとるように業者に対して指導しているんだとおっしゃってきたわけですけれども、現実的には、先ほども申し上げましたように、海南の全日空のゴルフ場の場合は同意料という形での協定書が明らかに文章化されているわけです。一体、そういう形での同意のとり方が行政として本当にいいのかどうか。有功のフォレストシティでは同じような形で開発協力金、迷惑料として二億円が支払われてきているということですけれども、そういった住民合意のとり方が本当にいいのかどうかという問題をお答えいただきたいと思います。
 それから、駆け込み申請──担当者の皆さんたちは駆け込み申請ではないとおっしゃっているわけですけれども、六月十日のあの厳しい林地開発の改正によって、どのゴルフ場でも実際に今までの土量でできないという判断のもと、何としても旧法でつくらなければならないという状態の中で、二十二にも及ぶゴルフ場の駆け込み申請が行われているわけです。こういったところから見てみますと、この受付のときに、法的にも住民合意の面でも本当に正しく、事前協議のときに指導されたものがクリアされて出されたのかどうか。
 美里の真国ゴルフなんていうのは、五月二十五日に事前協議の意見書が出されて、十八日後にはもう申請が出ているわけですからね。これは、里道など未解決の問題がいっぱい残されたまま申請をされている。ましてや地域の地権者の同意も、水利権者や漁業組合の皆さんたちの同意すらとれていない、そういうゴルフ場もあるわけです。
 こういった状態のままで行政が受付をし、許可には一定の期間が要るでしょうけれども、もしその許可を出すとするならば、本当にその限られた法律を守っているのかどうか。実際的には六月十一日以降これはだめになるわけですから。そういった問題から見てみると、この開発許可申請というものは本当に法的なものが守られたものだったのかどうか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
 まず、以上の点について。
○議長(山本 一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長佐武廸生君。
 〔佐武廸生君、登壇〕
○企画部長(佐武廸生君) 再質問にお答えをいたします。
 第一点は届け出書にだれのものが必要なのかということ、それから第二点は地域住民が積極的に要望していること、あわせてお答えをさせていただきます。
 ゴルフ場計画が地域振興に資するということで地元の市町村及び地域住民が積極的に要望をしているかどうかを、届け出書の場合の判断基準といたしてございます。こうしたことから、地元市町村としては、その首長である市町村長、また地域住民としては地域を代表する、例えば区長であるとか自治会長等からの推進要望を判断基準といたしておるところでございます。
 それから地域振興に関するご質問でございますが、ゴルフ場の開発は、スポーツ振興はもとより雇用の拡大、地域産業の振興、市町村財政への貢献等が見込まれているところでございます。
 しかしながら、無秩序な開発を抑制するために、本県の重要施策である過疎対策、同和対策、観光・リゾート対策等、地域振興に資するものに限って受理をいたしておるところでございます。
 最後に、無用の混乱のご質問でございます。
 届け出の段階では構想・計画の段階でございまして、確定したものではございませんので、無用の混乱を招くおそれがあると判断をいたしてございます。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 農林水産部長中村 昇君。
 〔中村 昇君、登壇〕
○農林水産部長(中村 昇君) 再質問にお答えをいたします。
 まず事前協議制の同意の関係でございますが、先ほどお答えを申し上げましたように、開発直下の自治会、そして関係団体の同意を得るように強く指導しておるところでございます。
 また、特に住民合意の問題につきましては、開発あるいは許可の際に住民とのトラブルを避けて開発がスムーズにいくよう、住民の理解を得るよう、これも強く指導してございます。
 次に、同意に関する取り扱いの問題で金銭等のお話がございました。同意の取得方法については種々論議もあり難しい問題でございますが、地元との話し合いを進めてもらうよう開発事業者に対して指導しておるところでございます。
 次に、駆け込み申請というふうに思われるということでございますけれども、ゴルフ場の計画というのは大変長期にわたって計画がなされており、私どもの判断といたしましては、短期間に事前協議、そしてすぐ申請ということはあり得ないという判断をしてございます。また申請に際しましては、法的な要件がクリアをされておりますので、県としては受理をいたしました。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 土木部長山田 功君。
 〔山田 功君、登壇〕
○土木部長(山田 功君) お答えを申し上げます。
 事前協議に際しましては、先ほど申し上げましたように、地元自治会、これは主にその当該区域及び隣接区域の地元自治会の同意を得るということで指導しております。さらに、単位自治会についてのお話もございました。連合自治会の同意という場合もございます。これも一般的には地元同意の一つの形であるとは考えております。具体的にはいろいろなケースがあろうかと思いますが、地元市町村の意見も聞きつつ、これに対処してまいりたいと考えております。
 それから同意料の問題でございますが、これは今ほど農林水産部長から答弁があったとおりと考えております。
 以上でございます。
○議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 35番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 農林水産部長、あなたは今、駆け込み申請の部分で、駆け込み申請ではなさそうでありそうでというあれでしたけれども、この二十二のうち、期間を見てみますと──もちろん長いのもございます。一年半あるいは三年かけてじっくりとやってきたところもございます。しかし、実際に届け出の制度が変わった後、六十三年十二月一日からですか、ここを見てみますと、だんだん早くなっているんです。一番長いもので一年半。そして平成三年度に入ってきますと、もう軒並みに三カ月、二カ月、五カ月という状態なんです。
 あなたは長期にわたって事前協議のクリアのためにやっているというふうにおっしゃいますけれども、二カ月、三カ月で果たして住民とのコンセンサスとかそういうものが──とれているところもあると思います、確かに。しかし、今、この二十二のうちの十カ所は住民の反対運動が起こっているわけです。こういう状態を見てみますと、やっぱりこの住民への説明、それから先ほど浜本先生がおっしゃった、住民に対する誠意というか業者や行政側の指導のあり方というものが、実際にはこの地元の人たちの理解を得るような形ではないんです。
 だから、私があえて言っているのは、こういう六月十日を起点にした慌てた──あなたのところの指導というのは、書類は全部が全部そろわなくても構わないよ、見通しがあるならばその見通しもつけて書類を出しなさいと、こういうことになっているんでしょう。そこに大きな問題があると思っているんです。本当に事前協議に長い間かけてその地域のためにやるとするならば、本当にまじめに、そして住民の皆さんたちのこの思いや不安をどうやって解決していくのか、そういう企業の努力がないんです。
 あなたたちは、私たちが住民の皆さんたちと交渉するときには「強く指導いたします」と。確かにやっていただいているんです。だけども、それがなかなか、業者に伝わっているのか、伝わらないのか。それともやらないのか。ここのところを、開発業者のこの横暴さ、不誠意さを、もっともっとあなたたちが見きわめないといけないと思うんです。
 だから、私がるる言っているように、真国なんていうのはもうとんでもない話です。地権者の同意もないわ、水利組合の同意もないわ、里道の変更もないわ、そういった問題が全く未解決のままで出されている。町議会とか町長さんというのは、積極的に推進をするために同意書も意見書も書かれてきています。でも、最も被害をこうむる肝心の地元住民の皆さんたちの開発に対する気持ちが全く反映されないというのが今の事態です。農林水産部長や土木部長がおっしゃることは、余りにも白々しい答弁なんです。現地は大変なんです。
 だから、その問題をどう解決していくのか。そして事前協議のあり方が、本当にまともに業者に指導をされて、日常的にその問題をクリアするための努力がされているのかどうか。実際に、この事前協議のときにあなたたちは、「問題については速やかに解決をしなさい」とわざわざ書いているでしょう。だから、そういった問題が──それはそれで積極的な姿勢として受け取りますけれども──業者やあなたたちに対する不信感を生んでいるんです。申請のときにはそれはもうすべてクリアされて出てくると、住民はそういうふうに理解をするんです。
 だから、今あなたは事前協議で十分コンセンサスはとれていて申請がなされてきたものだというふうに答弁なさいましたけれども、これは私は納得できません。今、地元の問題を抱えている人たちというのは、あなたのおっしゃっているようなことでは事は済んでいないんですよ。この問題については、業者あるいは県の行政としての指導のあり方が問われると思います。その地域で本当にその開発をし発展させていくというふうに考えるならば、町づくりの観点、そして過疎対策の問題から見るならば、もっともっと住民の皆さんたちに積極的に声をかけていくと。
 あなた、今おっしゃいましたね。開発がスムーズにいくように地域住民の同意を得るんだと。「まず開発ありき」なんですよ、行政の考え方が。住民がその計画を聞いて、なるほどそれはいいことだなと本当に積極的に思うならば、こんな運動は起こっていないんですよ。さまざまな地域住民の思い、町づくりの問題についてもいろいろな意見をいっぱいお持ちでしょう。そういった問題を大事にするということ。このゴルフ場とかそれに複合する施設といったものの開発については、余りにも住民が無視されているということなんです。
 これは、事業者、企業だけの問題ではありません。地元の住民の皆さんたちも、ここに住みつきたいし、子や孫たちにもふるさととしてここに帰ってきてほしいと、こういう思いで今みんな一生懸命考えているんです。だから、おっかぶせるようなこういう巨大な開発というものについて、もっと行政の方で、住民の立場も考えて、ただ「地域活性化のため」と言うだけではなく本当にそうであるのかどうか、もっと真剣に考えていただきたいと思います。被害をこうむるその周辺住民の人たちの思いを、もっともっと酌み取っていただきたいというふうに思います。
 だから──もうこれ以上申しませんけれども、とにかく、今の住民運動が起こっているのは行政指導のあり方と業者の姿勢に大きな問題があるということをつけ加えて、発言を終わります。
○議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(山本 一君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時五十分休憩
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